説明

患者治療指導用インタラクティブ教育システム

【解決手段】 患者治療をユーザーに教示するためのインタラクティブ教育システムについて説明する。1実施例において、前記システムは、肺と、前記肺と流体流通自在な通路と、前記通路の流体通流を制御するための呼吸弁とを含む人体モデルを具備するものである。また、前記システムは、加圧流体を前記流体通路に供給するための空気圧式モジュールも含む。プロセッサを使用して前記呼吸弁を制御することができる。前記プロセッサアクセス可能で、前記プロセッサによって実行される複数の命令を格納するメモリは、前記呼吸弁を操作して前記空気圧式モジュールから肺への加圧流体の流れを調整するための命令を含むものである。前記プロセッサは、波形、脈拍等、様々な生理学的指標を生成することも可能である。前記指標を事前記録すること、若しくは動的に生成することが可能である。外部装置を使用して前記プロセッサを無線制御する場合もある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くインタラクティブ教育分野に関するものであって、より具体的には、患者治療プロトコル指導用インタラクティブ教育システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
学生が実際の患者に接することを許可する前に、患者治療プロトコルを学生に教示するのは望ましいことであるが、教科書やフラッシュカードは、実地教育によって学生が得る有益性に欠けている。このため、患者をシュミレートするよう構成されたマネキンなどの装置とそれに対応して患者治療を実践するための医療機器とを用いた患者治療教育が頻繁に行われてきた。しかし、そのようなシステムの欠点の1つは、多くの場合、医療機器は極めて高価であるため、ユーザーの多くは、その教育体験の包括性を犠牲にしてでも、妥協してより少ない種類の機器を使用しなければならない点である。前述の問題の1つの解決策は、米国特許第5,853,292号明細書に教示されている比較的安価なシミュレーション医療機器(「バーチュアル」機器)一式を用いることである。前記特許明細書の開示全文は、この参照により本書に組み込まれる。
【0003】
患者治療の教育におけるもう1つの問題は、患者の特定の身体音の発生位置を見つけて解釈する方法を、ユーザーにいかに教示するかである。身体音可聴位置を示すチャートまたは表示は、前記ユーザーの行動に対する音声、視覚、あるいは触覚反応といった何らかの実際的なフィードバックを前記ユーザーに与えることがないため、ほとんど役に立たない。例えば、鎖骨中線に沿った第5肋間腔から心尖音が聞こえることを知っていることと、実際の患者を相手にその位置を見つけて認識することは、大きく異なる。より実際的な経験を提供するために、マネキン全体の様々な位置で身体音を発信するスピーカを配置する方法が試されたが、スピーカの音はマネキン全体で反響しやすく、通常は遠く離れた音が不自然に並列されてしまうため望ましくない。さらに、一度に1つの音だけ発信するとしても、スピーカの性質上、実際の患者における解剖学的領域よりも広範な領域にで音が聞こえるので、むしろ前記ユーザーによる発音位置の誤認を奨励することになる。
【0004】
患者治療教育におけるさらに別の問題は、生理学的症状と、それら症状に対する適切な対応の仕方を前記ユーザーにいかに教示するかである。しかし、生理学的行動のシミュレーションの難しさといった教育環境における制約があるため、そのような対応はあまり現実的ではない。
【0005】
したがって、シミュレートされた患者治療を組み込んだ、実際機器およびバーチュアル機器の双方を用いて、前記ユーザーに実際的な音声若しくは視覚フィードバックを提供するインタラクティブ教育システムが必要である。また、実際的な生理学的行動を提示するインタラクティブシステムが必要であり、これにより前記ユーザーはこのような行動を解釈して対応することが可能となる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
まとめ
1実施形態において、本発明は、患者治療をユーザーに教示するためのシミュレータシステムを提供する。前記システムは、人体の少なくとも一部のモデルを含み、前記モデルは、第1の肺および第2の肺と、前記肺と流体流通自在な第1の流体通路と、呼吸弁とを有する。前記呼吸弁は、前記第1の流体通路を通る流体の流れを制御するようになっている。また、前記システムは、前記第1の流体通路と流体流通自在な空気圧式モジュールも含み、前記空気圧式モジュールは、加圧流体を前記第1の流体通路に供給するようになっている。前記呼吸弁はプロセッサアクセス可能であって、前記プロセッサは、当該プロセッサにより実行される複数の命令を格納するメモリにアクセス可能である。前記命令は、前記呼吸弁を操作することにより、前記空気圧式モジュールから前記第1の流体通路を通って第1の肺および第2の肺へ通流する加圧流体の流れを調整するための命令を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、広くインタラクティブ教育分野に関するものであって、より具体的には、患者治療プロトコル指導用インタラクティブ教育システムに関するものである。但し、以下の開示は本発明の異なる特徴を実現するために、多種多様な実施形態または実施例を提供するものと理解されるべきである。本発明の開示をわかりやすくするために、具体的な構成要素と配置の実施例について以下に説明する。当然のことながら、これらは単に実施例であって、限定を意図するものではない。加えて、本発明の開示は、その様々な実施例の中で、参照番号および/または文字を繰り返す場合がある。この繰り返しは説明を簡易化および明確化する目的で行われるものであり、それ自体が本書に記載した各種実施形態および/または構成の関係を定めるものではない。
【0008】
図1aを参照して説明すると、参照番号10は、通常、ユーザーに患者治療プロトコルを教示するためのインタラクティブ教育システムを指す。前記システム10は、医療機器をシミュレートするために用いられる一式のバーチュアル機器12と、前記ユーザーによる患者治療活動を受ける患者をシミュレートするために用いられるシミュレータ14とを有する。この実施形態において、前記バーチュアル機器12およびシミュレータ14は、有形体である。従って、前記バーチュアル機器12は、前記シミュレータ14と連動して現実の医療装置のような外観、感触、動作を有する。このバーチュアル機器12は様々な形状を網羅するが、そのような形状としては、全身の関節部を有する成人サイズのマネキン、胎児、新生児、小児、若年者、あるいは腕、胴体、頭部、骨盤部などマネキンの一部分が含まれるものと理解される。前記シミュレータ14によって受信される患者治療活動は、下記に説明する方法によって感知され、前記活動に応答して前記システム10は前記ユーザーへフィードバックを与える。フィードバックとしては、任意の音声応答、視覚応答、あるいは触覚応答が含まれ得るものと理解されるべきである。
【0009】
図1bを参照して説明すると、システム10’は、プログラム15aを有するコンピュータ15から成り、このコンピュータの一部は、ソフトウェアにより生成される一式のバーチュアル機器12’およびシミュレータ14’を生成する。このように、前記ユーザーによって実行される患者治療活動は、ソフトウェアにより生成される、選択されたバーチュアル機器12’に関連するアイコンの操作工程を有し、この操作工程によって、前記ソフトウェアにより生成されたシミュレータ14’に患者治療が提供される。この実施形態において、前記プログラム15aは、マウスのクリック若しくは音声作動式ソフトウェアなど従来の手段を用いて前記ユーザーによる活動を監視し、応答としてフィードバックを提供するものであるが、これについては下記に説明する。
【0010】
図1aに再び戻ると、前記システム10は、さらに、通信インターフェイスモジュール(CIM)16を有し、前記モジュールは、従来の電源18から動作電力を受信し、マイクロコントローラ(PIC)20を含む。マイクロコントローラは、Microchip Technology, Inc.(アリゾナ州チャンドラー市(Chandler))など、多くのベンダから入手可能であるが、次にこのマイクロコントローラをカスタマイズ(すなわちプログラム)する。前記CIM16は前記システム10の内部または外部のいずれに設置することも可能である。
【0011】
下記に説明するように、PIC20は前記ユーザー活動によって入力信号を受信し、前記ユーザーへのフィードバックを提供するために特定の方法によって応答するようにプログラムされる。例えば、音声フィードバックを提供するために、前記CIM16は音声チップ22を付加的に具備し、前記音声チップは前記PIC20に応答して、スピーカ24に実際的な患者の音(例えば、心臓、肺、血圧(Korotkoff)、腸などの音)を発信させる。前記CIM16には、前記スピーカ24の音量を調節するためのコントロール26が含まれる。
【0012】
あるいは、前記の望ましいフィードバックの複雑さに基づいて、前記CIM16を前記コンピュータ15およびプログラム15aに接続する場合もある。本実施例の音声フィードバックにおいて、前記プログラム15aを用いることによって非常に様々な身体音のライブラリを提供することができる。
【0013】
前記CIM16は、集合的に28として図に示される複数のポートを有し、前記ポートは、前記ユーザーの患者治療活動の結果として生じる、前記バーチュアル機器12と、前記シミュレータ14に配置されたセンサー30との間のインタラクションによって起こる入力信号を受信する。前記バーチュアル機器12と前記センサー30との間のインタラクションとしては、電気、光学、圧力差、触覚的、温度制御、無線(例えばラジオ周波数)、または電磁によるインタラクションが可能であり、さらに、結果として生成される前記入力信号を管理するために、1つ以上のPIC20、1つ以上のCIM16を用いることが可能であるものと理解されるべきである。
【0014】
図2を参照して説明すると、前記バーチュアル機器12は、少なくとも1つの静脈注射用(IV)針と、気管内(ET)チューブと、心電図(ECGまたはEKG)モニターと、血圧計(BP)カフと、パルス酸素濃度計カフと、体外用臨時心臓ペースメーカーと、体外用自動心臓細動除去器(AED)と、手動心臓細動除去器と、肺動脈(PA)カテーテル若しくは同様の血行動態モニター装置と、バーチュアル聴診器とを含む。各機器はそれぞれ12a〜12jとされ、集合的に36という線で示された、対応センサー30a〜30jを有する。特に指示しない限り、前記線郡36は概略的なものであり、前記バーチュアル機器12と前記センサー30を機能的に相互接続することにより、前記ユーザーの患者治療活動により生ずるインタラクションが提供され、前記インタラクションが前記CIM16への入力信号として報告されることを単に図示するものである。前記線群36のうちの1つが物理的な接続を表す場合は、その接続について記載する。さらに、機器郡12またはセンサー郡30間でのそのような物理的な線の共有も考慮されるものと理解されるべきである。
【0015】
前記IV針12aは、薬物受容可能な前記シミュレータ14の部位に対応するものである。一般的に、電気的インタラクション(このインタラクションにより前記入力信号も提供される場合がある)は、前記CIM16に物理的に接続されているノードの一方を有するバーチュアル機器12と、もう一方のノードを有するセンサー30とを介して発生するか、若しくは、2つのノードを有するバーチュアル機器と導電性材料によって形成されたセンサー、またはバーチュアル機器と2つのノードを有する導電性材料よって発生する場合がある。後者の場合、前記バーチュアル機器とセンサーのうちのいずれか1つのみが前記CIM16に接続されている可能性がある。本実施形態においては、前記シミュレータ14の腕の前肘部はセンサー30aを有する場合があり、前記センサー30aは、導電性材料の2層の間に挟まれた絶縁材を有し、前記で導電性材料は、適切な厚みと、小さい鋭角(例えば20°)で前記針12aが布を貫通可能な織り密度とを有する。前記センサー30aの前記導電性材料層を、線36a’を介して前記CIM16に電気接続することにより、前記針12aが前記導電性材料の2層を正しく貫通して、前記シミュレータ14の静脈への挿管がシミュレートされると、前記層の間で回路が完成し、この回路が前記CIM16によって感知される。1実施形態において、前記針12aは、前記プログラム15aによって提供される選択可能な特定の薬物郡と投与量を有し、また、前記シミュレータ14へ前記薬物投与を行うためにラベル付けされた多種シリンジを搭載した投薬トレイの一部である。薬物投与の効果は、前記プログラム15aによって制御される。
【0016】
前記ETチューブ12bは、シミュレートされた患者気道管理に用いられる。前記シミュレータ14は頭部、両眼、鼻、口、および従来の気道補助器具の取り付け可能な実物的気道とを有し、前記気道は、設定を調整して大型舌部、閉塞した咽頭、または閉鎖した声帯を表示することが可能であるため、前記患者治療活動の難易度を増すことができる。前記シミュレータ14の気道における前記ETチューブの適切な配置を確認するために、光センサー30bを前記シミュレータ14の気管壁に設置し、線36b'を介して前記CIM16に接続する。前記気管への前記ETチューブ12bの適切な配置は、前記ETチューブの先端が前記光センサー30bのビームに触れたときに確認される。また、前記センサー30bは、流体が通過したかどうかの決定にも用いられる。前記センサー30bの代わりに、電気装置を用いることも可能である。
【0017】
前記ECGモニター12cは、リアルタイムトレースモニターとR波ソニックマーカーとを含むマルチリードシステムと、その一端にて前記CIMと接続する線36cとを有し、前記線36cの反対端は複数のセンサーに取り付けられる複数のカラーコードされたパッチを有するものであって、集合的に30cとして示すこれらセンサーは、前記シミュレータ14の胴体の正しい部位に設置される。前記CIM16が前記パッチと前記センサーの間の電気的インタラクションを感知されるするとき、適切な配置が確認される。
【0018】
前記BPカフ12dは、例えば腕に巻きつけるなどして前記シミュレータ14に取り付けられ、前記CIM16に取り付けられる線36dを含む。前記シミュレータ14は、シミュレートされた心臓、肺、その他の器官を含む。触診可能な脈拍は、頚動脈、上腕、橈骨、大腿骨、足背動脈の部位で検地することが可能で、シミュレートされた患者の状態を表すために変化する場合がある。例えば、収縮期血圧の低下につれて特定の脈拍位置を触診できないようにすることが可能である。前記カフ12dは、前記シミュレータ14への前記カフ12dの適切な位置づけを感知するための手段30dを含み、線36dを介して前記CIM16に取り付けられる。
【0019】
前記パルス酸素濃度計指カフ12eは、例えば指に巻きつけるなどして前記シミュレータ14に取り付けられるものであって、前記CIM16に取り付けられる線36eを含む。正常なガス交換によるバーチュアルな肺動力学は、前記プログラム15aによって制御されるものであって、前記プログラム15aにより、換気量(TV)および機能的残気量(FRC)を決定することもできる。前記カフ12eは、前記シミュレータ14に前記カフ12eを適切に位置づけるための手段30eを含む。
【0020】
体外用臨時心臓ペースメーカー12fは、一端が前記CIM16に接続する線36fを具備し、前記線36fはその反対端に、集合的に30fとして示す複数のセンサーに取り付けられた複数の前部および後部心臓ペースメーカーパッドを有する。これらのセンサーは、前記シミュレータ14の胴体の正しい部位に取り付けられる。このようにして、前記CIM16は、前記シミュレータ14への前記体外用臨時心臓ペースメーカー12fの適切な配置を確認する。前記心臓ペースメーカー12fは、心臓ペースメーカー速度、CAP(恒常的動脈ペーシング)タイム、電流を制御すると伴に、律動ペーシングを示す手段を有し、前記プログラム15aによって制御される。
【0021】
前記体外用自動心臓細動除去器(AED)12gは、一端が前記CIM16に接続する線36gを具備し、前記線36gはその反対端に、集合的に30gとして示すセンサーに取り付けられた心尖および胸骨AEDパッドを有する。前記センサーは、前記シミュレータ14の胴体の正しい部位に取り付けられ、前記CIM16を介して前記AED12gが前記シミュレータに適切に配置されていることを確認する。ソフトウェアにより生成されたショックボタンを選択すると、前記システム10は除細動ショックをシミュレートし、その結果、前記プログラム15aによって制御される状態が生じる。
【0022】
前記手動心臓細動除去器12hは、一端が前記CIM16に接続する線36hを具備し、前記線36hはその反対端に、集合的に30hとして示す複数のセンサーに取り付けられた心尖および胸骨心臓細動除去器用パッドを有する。これらのセンサーは、前記シミュレータ14の胴体の正しい部位に取り付けられ、前記CIM16を介して前記手動心臓細動除去器12hが前記シミュレータに適切に配置されていることを確認する。ソフトウェアにより生成されたショックボタンを選択するか、あるいは、手動心臓細動除去器12hに関連する2つのショックボタンを用いることによって、前記システム10は除細動ショックをシミュレートし、その結果、前記プログラム15aによって制御される状態が生じる。
【0023】
図2および3を参照して説明すると、前記PAカテーテル若しくは同様の血行動態モニター12iは、前記シミュレータ14の中心静脈(図示せず)に挿入される血管カテーテルである。前記PAカテーテル12iは、遠位端に膨張自在なバルーン302を伴う長尺管300を有する。前記管300の反対端は、複数のコネクタ306a〜306dを有する分割器304を具備する。コネクタ306aは近位注入用、コネクタ306bは遠位注入用であって、コネクタ306cは肺動脈(pulmonary artery、略称PA)圧を報告する。コネクタ306dは、前記バルーン302を膨張させる圧力を提供するためのシリンジ308に接続されている。前記バルーン302の適切な配置は、前記シミュレータ14に配置されたセンサー30iによって決定され、PA閉塞圧、心拍出量、混合静脈血酸素飽和度のような重要な血行動態指数を構成するカテーテルデータが、前記プログラム15aによって生成される。
【0024】
図2および4aを参照して説明すると、前記聴診器12jは、下記に説明するように、センサー30jと連動しながら、前記シミュレータ14の1つの解剖学的位置から別の位置へと移動して、前記ユーザーが患者の実際的な身体音を聞くことを可能にする。ある側面においては、前記聴診器12jの外観は標準的な聴診器に類似しており、音を聞くためのイヤホン350a、350bを有する。これらのイヤホンは、延長部351a、bに接続されており、前記延長部は二股耳管352に連結されている。同様に、前記聴診器は、さらに、ベル管354と、好ましくは非鉄材料でできたベル356とを有する。
【0025】
従来の聴診器と異なり、前記耳管352と前記ベル管354の間に電子制御ボックス358が配置される。前記制御ボックス358は前記聴診器12jの作動用オン/オフボタン360と、電池量低下など動力源の潜在的損失を示すための従来型表示灯362とを有する。前記制御ボックス358には差込口364が装備されており、ここから外部スピーカー(図示せず)へ出力することによって、前記イヤホン350a、bから聞こえる音を他のユーザーが聞くことが可能になる。これにより、前記患者治療活動から便益を受けるユーザーの数が増加するだけでなく、必要に応じてインストラクターが前記ユーザーの能力をテストして前記ユーザーの技術を訂正することも可能になる。
【0026】
図4bを参照して説明すると、前記制御ボックス358には、電池などの小型電源366と、下記に説明する収集回路368(図4c、図4d)と、事前定義された音を発信するために、小型スピーカ372へ命令を送る音回路370(図4e)とが含まれている。前記小型スピーカは、ADDAX Sound Company(イリノイ州ノースブルック(Northbrook))などから入手可能である。図4fは図4c〜図4eの回路の別の実施形態に従った代替回路図であって、より少ない数の構成要素を用いるものである。
【0027】
前記スピーカ372を前記イヤホン350a内に配置し、ワイヤ372aを介して前記制御ボックス358に接続することにより、前記音回路370(図4e)が生成する音を前記ユーザーに聞かせることが可能になる。第2の、実質的に同一のスピーカを反対側のイヤホン350b内に配置し、同様に前記制御ボックス358に接続することが可能であるものと理解されるべきである。また、前記音回路370を前記差込口364に接続することにより、上述の理由のために外部スピーカに接続することができる。1つの代替実施形態において、前記スピーカを前記制御ボックス内に配置し、従来型の耳管を介して音を前記イヤホンに送信することが可能である。ある音の集合から別の音の集合へと切り替えるための、数多くのポジションを有するスイッチ374は、前記制御ボックス358上に配置される。
【0028】
M.C.Davis Co.(アリゾナ州アリゾナシティ(Arizona City))から入手可能なRF(radio frequency:ラジオ周波数)信号収集コイル376は前記ベル356の内部に配置され、下記に説明するように、RF信号の送信と収集を行う。前記収集コイル376は、付随ワイヤ376aを有する銅線コイルと回路であって、前記電子制御ボックス358に取り付けられている。ポリマーディスク378は、前記ベルからのノイズを減少するために前記収集コイル376と前記ベル356の間に配置される。
【0029】
図4hを参照して説明すると、少なくとも1つのセンサー30jが、特定の心音、肺音(気道を含む)、コロトコフ(Korotkoff)音、あるいはその他の音が通常聞かれる場所である前記シミュレータの解剖学的位置に置かれている。前記センサー30jは、前記聴診器12jの収集回路368(図4c、4d)によって特定される少なくとも1つの信号を提供することによって、前記音回路370(図4e)が前記シミュレータ14のセンサーの解剖学的位置において適切な音を前記ユーザーに対して発信するよう、前記音回路に命令を与える。前記音回路370(図4e)は、前記選択されたセンサー30jの位置に対応する身体音が格納されたライブラリを有し、前記センサー30jは任意の数の同様のセンサーを表すものであると理解されるべきである。
【0030】
前記センサー30jは、前記ユーザーによる視覚的検出を避けるために、前記シミュレータの皮膚14bの下に配置される。同様に、肋間腔など一部の解剖学的位置を検知するには触診が必要であるため、前記センサー30jの厚みをできるだけ薄くすることによって、意図的若しくは偶然に前記センサーが検知されるのを防ぐことも有益である。1つの代替実施形態において、前記センサー30jを、前記皮膚14bに非常に良く似たオーバーレイ(図示せず)に付着することができ、従って、他のシミュレータおよび患者モデルにオーバーレイを配置することが可能である。このようにして、これらの装置を前記聴診器12jと伴に使用できるように変換することが可能になる。
【0031】
前記センサー30jは、Microchip Technology, Inc.(アリゾナ州チャンドラー市(Chandler))から入手可能なRF IDタグ400(部品番号MCRF200−I/3C00A)を有するものであって、前記タグを、前記Microchip Technology,Inc.から入手可能な「Developer’s Tools」を用いてプログラムすることが可能である。これにより、前記特定のセンサー30jを特定する機能を果たす一意の信号を発信することが可能になる。M.C. Davis Co.(アリゾナ州アリゾナシティ(Arizona))から入手可能なコイル402は、動作可能なように前記タグ400に接続される。前記タグ400およびコイル402を、M.C.Davis Co.(アリゾナ州アリゾナシティ)からから入手可能なRTV埋め込み用材料404若しくはシリコンゴムに埋め込むことによって、前記タグ400およびコイル402の損傷を防ぐことができる。埋め込まれた前記タグ400およびコイル402は、集合的にRFトランスミッタ406を形成し、前記トランスミッタは、一意の連続した周波数を有する信号を発信する。
【0032】
図4b、図4gを参照して動作について説明すると、前記トランスミッタ406は能動的に周波数を発信可能であるが、受動的な発信、すなわち前記聴診器ベル356の前記収集コイル376によって要求された場合にのみ動作するのが好ましい。この好適な実施形態においては、前記収集コイル376は、125kHz励起周波数のような搬送波信号を伝達するものであり、前記搬送波信号は、前記トランスミッタの事前定義された近接範囲若しくは収集距離に前記ベル356が入った場合に、前記トランスミッタ406によって受信される。前記トランスミッタ406に対する前記ベル356の収集距離、したがって前記収集コイル376の収集距離は、前記搬送波信号の強度対ノイズ比(S/N比)によって決定される。したがって、前記搬送波信号の前記S/N比を調整することによって、前記センサー30jの解剖学的位置、したがって前記トランスミッタ406の解剖学的位置に対して、前記ユーザーが前記聴診器ベル356をどの程度正確に配置する必要があるかを制御する手段が与えられる。前記ユーザーが前記シミュレータ14に前記ベル356を正確に配置すると、適切な身体音という形でフィードバックが与えられる。通常、前記S/N比は、前記ベル356が前記センサー30jのトランスミッタ406から約0.5センチメートルから2センチメートルの範囲内に置かれることを要求するように設定される。
【0033】
十分な強度の搬送波信号が受信されると、その応答として前記トランスミッタ406は、一般に周波数偏移変調(frequency shift keying、略称FSK)として既知の処理に使用するための、連続した2つの特定用周波数を発信するが、他の変調方法を用いることも可能である。前記聴診器ベル356内の収集コイル376は、前記発信周波数を受信し、前記信号を前記収集回路368(図4c、4d)へ中継する。前記収集回路368(図4c、図4d)は、前記センサー30jを特定する。各センサー30jの解剖学的位置は前記プログラマーには周知なので、各センサーに関連付けられる適切な身体音の選択が提供され、前記音回路370(図4e)は前記選択を利用することができる。したがって、前記センサー30jを特定することによって、前記収集回路368(図4c、図4d)は前記音回路370(図4e)に命令を送り、前記トランスミッタ406の解剖学的位置として適切な身体音を前記音回路に発信させ、前記ユーザーは前記イヤホン350aに配置された前記スピーカ372を通して前記身体音を聞くものである。
【0034】
前記ユーザーがより広範な音の選択できるように、より多くのセンサー30jを前記シミュレータ14に追加するか、各センサーが1つ以上の音に対応させることが考えられる。図示するように、前記スイッチ374(図4b)は5つの異なるポジションを有し、5つの異なる音の集合間で前記音回路370(図4e)を切り替えるための手段を含む。よって、スイッチポジション数は、単一のセンサーによって生成されうる音の数に相当するものと理解されるものである。すなわち13のセンサーと5つのスイッチポジションによって、前記ユーザーは正常音と異常音の例を含む位置ごとの適切な音を最高65まで聞くことができる。表1が示すように、成人患者に聞かれる正常音および異常音を、前記実施例の正常音および異常音とすることが可能である。
【0035】
【表1】

【0036】
同様に、表2が示すように、子供に聞かれる正常音および異常音を前記実施例の正常音および異常音とすることが可能である。当然、表1および表2に記載の音は、あくまでも例を挙げる目的により提供されているものであって、任意の異なる音が考慮される。
【0037】
【表2】

【0038】
前記収集コイル376と前記センサー30jの間に必要とされる近接範囲を(S/N比を介して)選択することによって、このような事前定義された身体音を前記シミュレータ14上の正確な位置に置くことが可能であり、したがって、ユーザーの患者治療スキルをより適切にテストすることができるものであるため、前記聴診器12jは大幅な改良である。前記ユーザーは一時点で1身体音のみを聞く。よって、正しい解剖学的部位にのみで、前記身体音を位置付けできる。
【0039】
好適な実施形態において、特定のセンサー位置にある音は、上述の閾近接範囲に基づいて、聞こえるか若しくは聞こえないかのいずれかである。しかし、1つの代替実施形態において、前記S/N比は2つのセンサー30j(および対応する音)からの信号をオーバーラップするように調整可能であり、そうすることによって、前記ユーザーが前記聴診器ベル356を1つのセンサーに接近させ、もう一方のセンサーから離れるように移動させて、実地におけるシナリオをシミュレートするにつれて、前記音をより明瞭にすることができる。図1aおよび図4bを参照して説明すると、前記聴診器12jに関する前記システム10の別の利点は、適切に開発されたCIM16であるものと理解される前記電子制御ボックス358がバーチュアル機器12jに物理的に統合されていることによって、前記システムが簡易化される点である。
【0040】
別の実施形態において、前記バーチュアル聴診器12jは、コロトコフ音を発信するよう適切に開発されており、また、標準血圧計カフ若しくはBPカフ12dと、センサー30jを装備したマネキンの腕(図示せず)と、空気圧測定手段とに取り付けらたCIM16に動作可能なように接続されているものである。前記BPカフ12dは、前記腕の周囲に巻き付けられるものであって、そのすべての要素が前記CIM16(チュートリアルソフトウェアまたは電子制御ボックス)に接続されるものと理解されるべきである。第1のユーザーは、前記腕についての脈拍数と、聴診間隙(選択肢)と、収縮期血圧と、拡張期血圧とを事前選択する。第2のユーザーが前記聴診器のベル356を前記センサー30jの事前定義された近接範囲内に置くと、前記事前選択された脈拍数にて上腕脈拍が聞こえる。前記第2のユーザーは、次に、前記BPカフ12dの圧力を、前記収縮期血圧よりも高いと判断される水準にまで上げる。前記水準が正確であれば、前記心音は停止し、前記第2のユーザーに自動フィードバックを提供し、前記外部スピーカが使用されている場合は他者に対しても前記自動フィードバックを提供する。次に、前記第2のユーザーが前記BPカフ12dの圧力を下げると、前記収縮期血圧を表す第1のコロトコフ音(K1)が、前記選択された脈拍数と同期して聞こえる。圧力がさらに下げると、第2、第3、第4のコロトコフ音(K2、K3、K4)を含む音が聞こえ、それに続いて、前記拡張期血圧に到達すると、静寂になる。前記第2のユーザーは、自分で前記収縮期血圧および拡張期血圧を予測して記録したものを、前記事前選択された値と比較することができる。聴診間隙が選択された場合に、前記事前選択された値よりはるかに低い収縮期血圧を前記第2のユーザーが予測していた場合は、高血圧症の症例を「誤診」することになるため、将来の患者治療活動に有用な体験をすることになる。
【0041】
次に図5を参照して説明すると、前記プログラム15aの導入画面表示40が前記コンピュータ15上に示されている。前記表示40はいくつかの装飾的機能として、タイトルボックス42、ECGボックス44、生命徴候ボックス46を含む。前記表示40は、指導ボックス48、テストボックス50、バーチュアル機器ボックス52も含む。
【0042】
前記画面40は、前記プログラム15aが提供する選択可能な患者治療モジュール郡54a〜54pも表示し、前記モジュール郡は医療トピックおよび関連するコンセプトを含む情報を提供するものである。下記に説明するように、各モジュールは単一のトピックを有し、前記ユーザーのためのインタラクティブ患者治療トレーニングを表すものである。前記モジュール54a〜54gは、前記指導ボックス48に配置され、前記モジュール54h〜54jは前記テストボックス50に配置され、前記モジュール54k〜54pは前記バーチュアル機器チューターボックス52に配置される。前記プログラム15aを終了するための終了ボックス56も、前記テストボックス50に配置される。
【0043】
図5および6を参照して説明すると、前記モジュールの1つが前記ユーザーによって、例えば音声認識若しくは前記コンピュータ15のマウスを用いての選択によって選択されると、前記プログラム15aは、その選択されたモジュールのトピックに特定の情報カテゴリーを一覧するメニュー画面を表示する。例えば、前記BLSモジュール54aが前記ユーザーによって選択されると、前記プログラム15aは図6が示すような命令画面60を表示する。前記命令画面60は、情報ボックス62を含み、前記情報ボックスはモジュール54aの基本的救命処置(Basic Life Support、略称BLS)情報項目66〜74のメニューバー64に関する情報を含む。前記BLSモジュール54aのような項目は、前記画面60から前記メニューバー64を介して選択可能であって、各モジュール54a〜54pは、下記に説明するように、その独自の特定情報項目を伴なう独自の命令画面を有するものである。
【0044】
図7を参照して説明すると、メニューから終了項目以外の項目を選択すると、情報表示画面76が表示される。前記画面76は情報ボックス78を有し、前記情報ボックスは、その選択されたメニュー項目に該当するテキストおよび/または図を含む場合がある。前記情報画面76は、任意の数の画面の一例として使用されているものであって、さらに、そのような画面を各項目について順次に若しくは一連のシリーズで表示することができるものと理解されるべきである。
【0045】
画面76のような一連の画面は、選択されたメニュー項目の患者治療プロトコルに関するチュートリアルを有する。従って、前記ユーザーは、前記指導ボックス48から適切なモジュールを選択することによって、トピックライブラリからの情報をレビューし、一連の画面をナビゲートすることができる。一連の画面のナビゲーションは、前記ユーザーが3つのボックスの中から選択することによって行われる。前記3つのボックスは、それぞれ「Back(戻る)」、「Next(次へ)」、「Exit(終了)」を構成する80、82および84であり、前記一連の画面内で後戻りしたり先へ進んだりするなどの対応機能がある。シリーズの最初の画面の場合のように「Back(戻る)」機能が使用不可能な場合、または最後の画面の場合のように「Next(次へ)」機能が使用不可能な場合は、前記ボックス80若しくは82を、選択不可能なボックスとすることができる。前記表示画面76はメニューも有し、この例において、それは前記モジュール54aに対応するプルダウンメニュー64である。このように、前記ユーザーは、前記メニューバーを使用することによって、その選択されたモジュール内で項目を切り替えることが可能である。
【0046】
図8を参照して説明すると、前記モジュール54aは基本的救命処置に関連する以下の項目の一群を含む。イントロ項目66、「CPR」項目68、「FBO」(異物閉塞)項目70、「練習」項目72、前記表示画面40に戻るための「終了」項目74。1項目を選択することによって、一連の情報表示画面(図7)が、前記プログラム15aによって提供される適切な情報と伴に開始される。あるいは、前記一連の画面が開始される前に1項目を副項目に分割する場合もある。例えば、前記「CPR」項目68が選択された場合、前記ユーザーは、1人CPRである68aと2人CPRである68bとを含む一式の副項目から選択しなくてはならない。
【0047】
前記「練習」項目72が選択されると、前記ユーザーは前記シミュレータ14(図1a)でCPRを練習することができ、前記プログラム15aは、前記CIM16(図1a)およびセンサー30(図1a)を介して前記ユーザーによる圧迫および換気を感知する。前記シミュレータ14の心臓および肺は、気道換気と心臓圧迫を確認する圧力トランスデューサに接続されており、例えば、空気管を前記シミュレータ14の気管壁に取り付け、前記CIM16に接続されているセンサー30に接続することによって、前記シミュレータに対するCPR換気が行われたときに前記CIM16が前記空気管と前記センサーを介して、その換気活動の圧力と量のタイミングと程度を監視するようにすることが可能である。同様に、圧縮空気袋を前記シミュレータ14の胸腔内に埋め込むことによって、前記CIM16に取り付けられた圧縮センサー30に空気管によって接続したときに、CPR胸部圧迫手順の適切なタイミングと程度を感知および確認することが可能になる。前記プログラム15aは、前記ユーザーの活動に関連する情報を、事前定義された標準と比較することによって、インタラクティブなトレーニングセッションを提供する。
【0048】
前記事前定義された標準は選択可能なものであって、米国心臓協会(American Heart Association)等が定めるBLS(基本的救命処置)およびACLS(2次救命処置)ガイドラインを含め世界中で使用されている医療プロトコルを反映したものである。少なくとも7つの心肺機能蘇生処置(cardiopulmonary resuscitation、略称、CPR)の主要プロトコルが格納され、前記ユーザーが選択可能である。さらに、ユーザーは、心臓圧迫および気道換気の深さ、持続期間、頻度に関し、前記プロトコルを更新すること、あるいはその局所プロトコルを反映する「新しいプロトコル」を入力して格納することができる。前記プログラムは、一連の許容可能限度を用いて、CPRをテストするための新しいCPR波形を生成する。
【0049】
前記「練習」項目72は、図示するように前記プログラム15aによって表示される副項目86〜100の一群を含む。「製品タイプ」副項目86は、シミュレータ14のタイプを特定するために提供されている。「CPR練習」副項目88を選択すると、前記ユーザーは、複数のアクションシーケンス88a〜88fすなわち1人の救命者によるCPR、2人の救命者によるCPR、1人の救命者によるCPR換気および圧迫技術、2人の救命者によるCPR換気および圧迫技術、人工呼吸、胸部圧迫の中から選択して、CPRトレーニングを受けることができる。CPRテストスピード副項目90は、アクションシーケンス90aか90bを、1人の救命者か2人の救命者のいずれかで行うことを選択するよう前記ユーザーに促すプロンプトを提供する。「設定」副項目92により、前記ユーザーは、92a〜92fすなわち2,4,6,8,10,または20の圧迫/換気周期を有するアクションシーケンスを特定することができる。その「結果/印刷」副項目94は、前記プログラム15aに、前記ユーザーが前記シミュレータ14に対して行った圧迫および換気活動の時間と程度を記録させる。「音」副項目96は、CIMビープ、実際音、または音なしという選択肢(図示せず)の一群を有する。「通信」ポート副項目98は、シリアルポート1とシリアルポート2という選択肢(図示せず)の一群から選択させるものである。「終了」副項目100が選択されると、前記プログラム15aは前記「練習」項目72を終了して前記モジュール54aへ戻る。
【0050】
図9を参照して説明すると、前記「気道モジュール(Airways)」54b(図5)が選択されると、前記プログラム15aが実行され、情報項目102〜108すなわち「解剖学」、「気道を開く」、「アクションシーケンス」、「終了」が提供される。前記「解剖学」項目102を選択することによって、胴体上部、頸部、頭部、口、声帯を含む気道の解剖学に関連する一連の情報画面を表示することができる。前記「気道を開く」項目104は、副項目104a〜104fすなわち序文、過呼吸、患者位置、声帯、気管内チューブ、配置の確認を含む。前記アクションシーケンス項目106は、副項目106a、106bすなわち前記患者が呼吸をしている状況と前記患者が呼吸をしていない状況とを含む。前記「終了」項目108を選択すると、前記「気道」モジュール54bが終了し、前記表示40(図5)に戻る。
【0051】
図10を参照して説明すると、前記「静脈内(Intravenous)」モジュール54c(図5)が選択されると、前記プログラム15aが実行され、情報項目110〜118すなわち「序文」、「末梢」、「気管内」、「中心」、「終了」が提供される。前記「末梢」項目112を選択することによって、肘正中静脈、外頸静脈、伏在静脈、骨内アクセスなど、末梢血管に関連する一連の情報画面を表示することができる。前記「気管内」項目114を選択することによって、アトロピン、リドカイン、エピネフリン(ALE)といった薬剤のETチューブ投与に関連する一連の情報画面を表示することができる。前記「中心」項目116を選択することによって、大腿静脈、鎖骨下静脈、内頸静脈を含む中心静脈に関連する一連の情報画面を表示することができる。前記「終了」項目118を選択すると、前記「静脈」モジュール54cが終了し、前記表示40(図5)に戻る。
【0052】
図11を参照して説明すると、前記「電気的(Electrical)」モジュール54d(図5)が選択されると、前記プログラム15aが実行され、情報項目120〜136すなわちECG、心臓細動除去/電気的除細動、生命徴候、体外ペーシング、インプラント、バーチュアル聴診器、機器、ECG音、終了が提供される。前記「ECG」項目120を選択することによって、理論、使用、バーチュアルECGに関連する一連の情報画面シリーズを表示することができる。前記「心臓細動除去/電気的除細動」項目122は、手動心臓細動除去122aおよび自動心臓細動除去122b(AED)という副項目を含む。前記「生命徴候」項目124を選択することによって、血圧、心拍数、酸素飽和度に関連する一連の情報画面を表示することができる。前記「体外ペーシング」項目126を選択することによって、理論、使用、バーチュアル心臓細動除去、バーチュアル心臓ペースメーカーに関連する一連の情報画面を表示することができる。前記「インプラント」項目128は、ペースメーカー128aおよび心臓細動除去器128bという副項目を有する。前記「バーチュアル聴診器」項目130を選択することによって、前記ソフトウェアで生成された聴診器の使用に関連する一連の情報画面シリーズを表示することができるが、前記プログラム15aの前記ソフトウェアで生成された聴診器については、前記バーチュアル機器チューターボックス52に関する図18と伴に下記でより詳細に説明する。前記「機器」項目132は、前記バーチュアル機器12、前記センサー30、前記CIM16の間の接続の有効化、無効化、確認という一式の選択肢(図示せず)を有する。前記「ECG音」項目134は、前記音の有効化若しくは無効化という一式の選択肢(図示せず)を有する。「終了」項目136を選択すると、前記プログラム15aが前記「電気」モジュール54dを終了し、前記表示40(図5)に戻る。
【0053】
図12を参照して説明すると、前記「不整脈(Arrhythmias)」モジュール54e(図5)が選択されると、前記プログラム15aが実行され、項目138〜146すなわち不整脈、治療、トレース、終了に関する情報が提供される。前記項目138,140は、数多くの問題についての情報138aと治療についての情報140aという選択肢の一群を含む。前記「トレース」項目142は、前記トレースの開始および停止のためのコントロール群142aを有する。前記「ECG音」項目144は、前記音の有効化若しくは無効化という一式の選択肢(図示せず)を有する。前記「終了」項目146を選択すると、前記プログラム15aが前記「不整脈」モジュール54eを終了し、前記表示40(図5)に戻る。
【0054】
図13を参照して説明すると、前記「薬剤(Drugs)」モジュール54f(図5)が選択されると、前記プログラム15aが実行され、アルファベット順に項目150〜154に分類される薬剤すなわち薬剤A−D、E−N、O−Vに関する情報が提供される。前記「終了」項目156を選択すると、前記プログラム15aが前記「薬剤」モジュール54fを終了し、前記表示40(図5)に戻る。
【0055】
図14を参照して説明すると、前記「治療(Treatments)」モジュール54g(図5)が選択されると、前記プログラム15aが実行され、「一般アルゴリズム」158、「治療」160、「ヘルプ」162、「終了」164という項目を含む、治療アクションシーケンスに関する情報アルゴリズムが提供される。前記「一般アルゴリズム」158により、前記ユーザーは、プログラムがシミュレートした患者の状態に関する質問に回答することによって、治療のシナリオに沿って作業を進めることが可能になる。前記「治療」項目160は、選択肢の一群160aを含み、心房粗動、AMI(急性心筋梗塞)、アジストリー、自動体外心臓細動除去、徐脈、電気的除細動、ショック、低体温症、手動体外心臓細動除去、興奮収縮解離、PSVT(発作性上室性頻拍)、臨時体外心臓ペースメーカー、頻拍、心室細動、心室頻拍、広域複雑頻拍を含むトピックに関する情報を受信する。前記「ヘルプ」項目162は、前記「治療」モジュール54gの使用に関する情報を提供する。前記「終了」項目164を選択すると、前記プログラム15aが前記「処理」モジュール54gを終了し、前記表示40(図5)に戻る。
【0056】
図5を再び参照し、テストモジュール54h〜54jを前記テストボックス50から選択すると、前記プログラム15aが実行され、CPRや「コード(Code)」シナリオに対するその他の対応などの患者治療プロトコルについて前記ユーザーをテストするのを補助するテストシーケンスが提供される。前記プログラム15aは、患者の苦痛のシナリオの工程に従って進み、対応若しくは必要な作業の完了をするための時間として事前定義された時間を前記ユーザーに与えるので、前記ユーザーは「コード」状況のプレッシャーを体験することができる。例えば、前記プログラム15aは、前記ユーザーが前記患者の治療を行うために選択しなくてはならない選択肢を含む選択肢群を提供することによって前記ユーザーをテストすることが可能であり、前記ユーザーが正しい選択肢を選択しないかぎり、そのシーケンスは次のイベントへ進行しない。前記プログラム15aによって、前記ユーザーは、前記バーチュアル機器12およびセンサー30が前記CIM16へ入力を行うための接続を有効化、無効化、または確認することができる。
【0057】
前記バーチュアル機器12(図1aおよび図2)が有効化されると、前記ユーザーは、前記バーチュアル機器12を用いて前記シミュレータ14への患者治療活動を行い、その結果および対応の質を前記プログラム15aによって監視することができる。あるいは、前記ユーザーは、前記プログラム15aによって生成されたソフトウェアシミュレーションによる機器12’(図1b)を用いることができる。前記プログラム15aは、前記患者が回復するまで前記シナリオに沿って進み、前記ユーザーの対応についての批評を随時提供するとともに、正しくない選択またはアクションのそれぞれについて説明を与える。前記テストモジュール54h〜54jの機能には、前記シナリオによって設定されるアクションシーケンスが事前定義された数の前記シミュレータ14の圧迫/換気周期を含むように前記ユーザーが特定することを可能にする項目か、あるいは、前記シミュレータ14に対して行われた圧迫および換気活動の時間および程度を前記ユーザーが記録することを可能にする項目か、あるいは、実際音を聞くために選択肢の一群から選択するための項目が含まれる。
【0058】
図15を参照し、前記BLSテストモジュール54h(図5)を選択すると、前記プログラム15aが実行され、前記ユーザーのCPR技術をテストするために役立つ項目170〜182すなわち「製品タイプ」、「CPRテスト」、「設定」、「印刷」、「音」、「通信ポート」が提供される。前記「製品タイプ」項目170は、シミュレータ14のタイプを特定するためのものである。前記「CPRテスト」項目172を選択すると、前記ユーザーは、複数のアクションシーケンスから選択して、1人の救命者172aまたは2人の救命者172bによるCPRトレーニングを受けることができる。前記「設定」項目174により、前記ユーザーは、174a〜174fすなわち2,4,6,8,10,または20の圧迫/換気周期を有するアクションシーケンスを特定することができる。前記「印刷」項目176は、前記プログラム15aに、前記ユーザーが前記シミュレータ14に対して行った圧迫および換気活動の時間と程度を記録させる。前記「音」項目178は、178a〜178cすなわちCIMビープ、実際音、または音なしという選択肢の一群を有する。前記「通信」ポート項目180は、180a〜180bすなわちシリアルポート1およびシリアルポート2という選択肢を含む一群からの選択を可能にする。前記「終了」項目182を選択すると、前記プログラム15aが前記BLSテストモジュール54hを終了し、前記表示40(図5)に戻る。
【0059】
図16を参照して説明すると、ACLS(2次的救命処置)テストモジュール54i(図5)を選択することによって、前記ユーザーは、複数の項目184〜194すなわち「シナリオ」、「機器」、「ロギング」、「状況対応」、「ECG音」、「終了」から選択することが可能となる。前記「シナリオ」項目184は、無脈の77歳女性、胸の痛みのある55歳男性、息切れ症状の18歳男性、無脈の50歳男性、息切れ症状の65歳男性、無反応の72歳女性、疲労と衰弱症状のある50歳女性、僻地にいて胸の痛みのある60歳男性、マラソン走者の40歳男性、22歳のフットボール選手を有するアクションシーケンスの一群184aを含む。前記ユーザーは、一連の情報画面を前記一群184aの中から選択し、次に前記画面をナビゲートしながら質問を受け、その選択されたアクションシーケンスに対する適切な手順を回答として与える。より具体的には、前記プログラム15aは、その選択されたシーケンスの詳細および前記患者のECGトレースと生命徴候を示すボックス(図示せず)を提供する。前記機器項目186によって、前記ユーザーは、前記シミュレータ14からの入力を前記CIM16へ供給する前記バーチュアル機器12およびセンサー30の接続の有効化186a、無効化186b、若しくは確認186cをすることができる。前記ユーザーは、前記モジュール54iにおいて前記プログラム15aによって生成されたソフトウェアシミュレーションによる機器を用いることが可能であり、若しくは、副項目186aを選択することによって前記機器が有効化されている場合は、前記ユーザーは前記シミュレータ14に対する患者治療活動を実行することが可能であり、前記ユーザーの対応の結果と質は前記プログラム15aによって監視される。前記「ロギング」項目188は、副項目188a〜188cすなわち前記シミュレータ14に対して前記ユーザーによって行われた圧迫および換気活動の時間と程度の記録を有効化、無効化、若しくは表示するという副項目を有する。前記「状況対応」項目190は、選択肢の一群190a〜190cを有し、2秒、8秒、または15秒の状況対応の中から選択する。前記「ECG音」項目192は、前記音の有効化若しくは無効化という選択肢の一群(図示せず)を有する。前記「終了」項目194を選択すると、前記プログラム15aが前記「ACLS」モジュール54iを終了し、前記表示40(図5)に戻る。
【0060】
テストを、前記プログラム15aによって上述のように定義するか、または前記ユーザーが定義することが可能である。例えば、前記「コードメーカー・テスト・モジュール(Codemaker Test module」54j(図5)を選択することによって、例えばインストラクターである第1のユーザーは、例えば生徒である第2のユーザーをテストするシナリオを作成することができる。図17aを参照して説明すると、前記コードメーカー・テスト・モジュール54jは、複数の項目200〜210すなわち「機器」、「ロギング」、「ECG音」、「通信ポート」、「ヘルプ」、「終了」を含む。前記「機器」項目200によって、前記ユーザーは、選択肢の一群200a〜200cからさらに選択することによって、前記シミュレータ14からの入力を前記CIM16へ供給する前記バーチュアル機器12およびセンサー30の有効化、無効化、若しくは確認をすることができる。前記「ロギング」項目202は、前記シミュレータ14に対して前記ユーザーによって行われた圧迫および換気活動の時間と程度の記録を非表示若しくは表示するのための選択肢の一群202a〜bを有する。前記「ロギング」項目202によって生成された記録を使って、前記ユーザーにフィードバックを与えることができる。
【0061】
あるいは、前記機器が無効化されている場合(項目200b)、前記生徒は、ソフトウェアによって生成された機器を用いて適切な処置を施すことができる。前記「ECG音」項目204は、前記音の有効化若しくは無効化という選択肢204aおよび204bの一群を有する。前記「通信」ポート項目206は、通信ポート1すなわち206aと通信ポート2すなわち206bという選択肢の一群からの選択を可能にする。前記「ヘルプ」項目208は、前記モジュール54jの使用方法の説明を提供する。前記「終了」項目210を選択すると、前記プログラム15aが前記「コードメーカー」モジュール54jを終了し、前記表示40(図5)に戻る。
【0062】
図17b〜17fを参照して説明すると、コードメーカーモジュール用に前記プログラムにより生成された画面表示が示されている。前記画面表示211は、ナビゲーション項目200〜210、すなわち、「機器(Instrumentation)」、「ロギング(Logging)」、「ECG音(ECG Sounds)」、「通信ポートComm. Port」」、「ヘルプ(Help)」、「終了(Exit)」を含むメニューバー211aを有する。前記画面表示は、ECGチャート212、生命徴候モニター213、患者状況更新ボックス214、合計経過時間クロック215も有し、セッションの保存、ファイルの開封、ファイルの削除、または印刷といった従来の機能を有するデータボックス216も有する。ユーザーは予備情報ボタン217を選択するか、あるいは、そのような情報を供給することを知らせるプロンプトを受けることができる。前記ボタン217を選択することによって、内部表示画面217’(図17c)が生成され、前記ユーザーはそこに予備データを入力することができる。
【0063】
アクションボックス218は、インストラクターが条件をさらにカスタマイズするためのボタン218a〜218gを有する。例えば、前記ボタン218fを選択すると、内部表示画面218f’(図17d)が生成されるので、前記インストラクターは前記画面に生命徴候および心調律を入力することができ、それらは前記生命徴候モニター213に実際的に反映される。よって、ボタン217および218a〜218gを用いて、前記インストラクターは、性別、体重、年齢のなどの情報、および息切れ、胸の痛み、意識、循環のような患者の症状に関する患者予備パラメータ一式を入力することによって、前記(バーチュアルまたは実在する)患者シミュレータを定義する。これらの患者の症状は、ボックス214(図17d)に要約されている。インストラクターが定義したテストシステムによって、前記インストラクターは、地方、国、国際レベルの患者治療プロトコルについて前記生徒をテストすることができる。多くのアルゴリズムはファイルを開くことによって選択可能であり、当該アルゴリズムにはBLS、ACLS、小児科、産科(OB)の緊急状況が含まれる。その他のアルゴリズムは生成および格納が可能であり、アルゴリズムを相互にリンクすることも可能である。
【0064】
前記生徒は、ボタン218h〜218nを使って前記状況に対するアクションを採ることができる。例えば、前記ボタン218mを選択すると、内部表示画面218m'(図17e)が生成されるので、前記生徒はバーチュアル機器の中から、患者治療活動に使用する機器を選択することができる。前記生徒は、次に、バーチュアル若しくは実在のシミュレータを用いて前記患者治療活動を行うことができる。
【0065】
前記生徒およびインストラクターのアクションのすべては、後のレビューのために前記ログ219(図17f)にタイムマーカーとともに記録される。アクションは一時停止および再開可能である。
【0066】
このモジュールの利点は、柔軟な指導が行えることと、その受講者の専門的技能を知る能力にある。インストラクターによって定義されたアルゴリズムは、既知の構造化されたアルゴリズムとは異なるものであると考えられるため、前記生徒が回答を機械的に暗記するという問題が避けられる。
【0067】
前記バーチュアル機器チューターボックス52のモジュール54k〜pを使用することによって、「コード」シナリオで共通して用いられる機器についての情報が提供される。一部の実施例においては、前記バーチュアル機器12の一部を前記シミュレータ14と伴に患者治療プロトコルに用いた練習の機会が提供される。
【0068】
図18を参照して説明すると、前記ユーザーによる前記「音(Sounds)」モジュール54k(図5)の選択によって、前記プログラム15aが起動され、表示20のような一連の画面が表示される。前記表示220は、オン/オフボタン222aと、選択可能な心音222bおよび肺音222cの一覧とを含む「音」ボックス222を含む。前記一覧222b〜222cから音を1つ選択すると、前記プログラム15aがチュートリアルボックス222dを表示し、その選択された音に関係する情報が表示される。前記表示は、80〜84のボタン、すなわち「戻る(Back)」、「次へ(Next)」、「終了(Exit)」ボタンによってナビゲートされ、ヒトの胴体224(例えば図1bの14’)を表す図を追加的に含む。さらに、前記コンピュータ15のマウス(図示せず)の位置に対応する聴診器アイコン226(例えば図1bの12’)を前記胴体周囲で移動させ、前記選択された音が聞こえる正しい解剖学的部位に前記聴診器アイコンが置かれると、前記アイコンが光り、前記プログラム15aが前記音を発信する。すなわち、前記プログラム15aは、選択された患者の身体音が検出される位置を学習させるための音声フィードバックと視覚的フィードバックを両方とも与えるものである。「終了」項目228は、前記モジュール54kを終了して前記表示40(図5)に戻るために提供される。
【0069】
あるいは、前記プログラム15aの前記音と聴診器アイコンを制御する部分を抜粋して、CD−ROMなどのポータブルデータ格納装置に保存することによって、選択された患者身体音の位置を見つけることを目的とした、音声と視覚による両方のフィードバック機能を有する学習システムを作成することができる。
【0070】
図19を参照して説明すると、前記「生命徴候(Vital Signs)」モジュール54l(図5)の選択によって、前記プログラム15aが起動され、表示230のような一連の画面が表示される。前記表示230は、「生命徴候」モニターボックス232を含むものであって、前記モニターボックスは、232a〜232dすなわち収縮期血圧、拡張期血圧、心拍数、酸素飽和度の指標ボックスを含む。前記表示230は、80〜84、すなわち「戻る」、「次へ」、「終了」ボタンによってナビゲートされる。「サンプル律動(Sample Rhythms)」項目234は、正常な洞律動、洞性徐脈、心室固有調律、心室頻拍、心室細動など、前記ユーザーによって観察される選択可能な律動の一群を含むものである。「終了」項目236は、前記モジュール54lを終了して前記表示40(図5)に戻るために提供される。
【0071】
図20を参照して説明すると、前記「バーチュアルECG」モジュール54m(図5)の選択によって、前記プログラム15aが起動され、表示240のような一連の画面シリーズが表示される。前記表示240は、ECGスイープ242aを表示する心電図(ECG)ボックス242を含み、心拍数指標242bおよびオン/オフボタン242cを有するものである。前記表示240は、80〜84すなわち「戻る」、「次へ」、「終了」ボタンによってナビゲートされる。「サンプル律動」項目244は、正常な洞律動、洞性徐脈、心室固有調律、心室頻拍、心室細動など、前記ユーザーによって観察される選択可能な律動の一群を含むものである。「ECG音」項目246によって、前記ユーザーはそれに関連付けられる音を有効化若しくは無効化することができる。「終了」項目248は、前記モジュール54mを終了して前記表示40(図5)に戻るために提供される。
【0072】
図21を参照して説明すると、前記「自動心臓細動除去器(Automatic Defibrillator)」モジュール54n(図5)の選択によって、前記プログラム15aが起動され、表示250のような一連の画面が表示される。前記表示250は、アドバイザリー(advisories)ボックス252aと、252b〜252dすなわちオン/オフボタン、分析(Analyze)ボタン、ショック(Shock)ボタンとを有する制御ボックス252を含む。また、前記表示250は、スイープ254aとオン/オフボタン254bとを有するECGボックス254も有する。前記表示250は、80〜84,すなわち「戻る」、「次へ」、「終了」ボタンによってナビゲートされる。「サンプル律動」項目256は、正常な洞律動、洞性徐脈、心室固有調律、心室頻拍、心室細動など、前記ユーザーによって観察される,選択可能な律動の一群を含むものである。「ECG音」項目258によって、前記ユーザーはそ関連音を有効化若しくは無効化することができる。「終了」項目259は、前記モジュール54nを終了して前記表示40(図5)に戻るために提供される。
【0073】
図22を参照して説明すると、前記「手動心臓細動除去器(Manual Defibrillator)」モジュール54o(図5)の選択によって、前記プログラム15aが起動され、表示260のような一連の画面が表示される。前記表示260は、埋込みECGスイープ262a、アドバイザリーボックス262b、ボタン262c〜262g、すなわち、オン/オフ、エネルギー選択(Energy Select)、チャージ(Charge)、ショック(Shock)、同期(Synchronize)ボタン、心拍数表示262h、選択されたエネルギー指標262iを有する制御ボックス262を含む。前記表示260は、80〜84、すなわち「戻る」、「次へ」、「終了」ボタンによってナビゲートされる。「サンプル律動」項目264は、正常な洞律動、洞性徐脈、心室固有調律、心室頻拍、心室細動など、前記ユーザーによって観察される、選択可能な律動の一群を含むものである。「ECG音」項目266によって、前記ユーザーは関連音を有効化若しくは無効化することができる。「終了」項目268は、前記モジュール54oを終了して前記表示40(図5)に戻るために提供される。
【0074】
図23を参照して説明すると、前記「心電図(ECG)」モジュール54p(図5)の選択によって、前記プログラム15aが起動され、表示270のような一連の画面が表示される。前記表示270は、心電図(ECG)ボックス272を含み、前記ボックスはECGスイープ272a、心拍数指標272b、オン/オフボタン272cを有するものである。前記プログラム15aによって「心臓ペースメーカー」ボックス274も提供され、これはボタン274a〜274dすなわち、電源(Power)、モード(Mode)、速度(Rate)、出力(Output)ボタンと、それに関連する状況指標274e〜274hとを有するものである。前記表示270は、80〜84、すなわち「戻る」、「次へ」、「終了」ボタンによってナビゲートされる。「サンプル律動」項目276は、洞性徐脈、心室固有調律など、前記ユーザーによって観察される、選択可能な律動の一群を含むものである。「ECG音」項目278によって、前記ユーザーは,関連音を有効化若しくは無効化することができる。「終了」項目279は、前記モジュール54pを終了して前記表示40(図5)に戻るために提供される。
【0075】
生体電位波形、波形と音の同期、および様々なシナリオにおける他の態様のモデリングを事前記録、あるいはリアルタイムで算出することができる。例えば、前記PIC20(図1)を用いて、シナリオに関連する情報を処理し、ユーザーの行動または行動に対する様々なシナリオパラメータを生成することができる。あるいは、前記PIC20は、前記シナリオにリアルタイムのモデリングを部分的に提供することによって、既存シナリオを拡張することができる。例えば、エミュレートされたECG波形の形態を、前記PIC20によって自動的に変更することによって、心拍数の増加に対応させることが可能である。これによって、各シナリオがリアルタイムでカスタマイズされるため、前記シナリオによる指導の価値がさらに高まる。
【0076】
一部の実施形態において、複数のシナリオを相互にリンクすることにより、単一のシナリオと比べてより複雑で、より大きなシナリオを提供することができる。さらに、このようなリンク付けによって、インストラクターは、比較的わかりやすいシナリオからより複雑なシナリオにトレーニング状況を拡大することができる。ユーザーの行動の結果として前記状況拡大が生じるならば、特に効果的であろう。例えば、第1のシナリオの間に、ユーザーが適切な措置を採れなかった場合、前記ユーザーの第1のシナリオでの失敗に基づいた第2のシナリオを実行することができる。前記第2のシナリオは、インストラクターが選択する場合、リンク付けされたシナリオの一覧から自動選択される場合、特定の行動若しくは非行動に関連するシナリオの一覧から自動選択される場合がある。このような自動選択を補助するために、選択パラメータ(例えば難易度、特定の患者治療に適用される制限付きシナリオ等)を事前定義することが可能である。加えて、事前定義するか、動的に生成する形で、トレンディング(傾向分析)をシナリオに導入することもできる。
【0077】
図24を参照して説明すると、別の実施形態において、ポータブル緊急治療シミュレータシステム500が図示されている。前記シミュレータシステム500を、図1aの前記インタラクティブ教育システム10に統合すること、若しくは一部の機能を前記システム10と単に共有することが可能である。例示するために、前記シミュレータシステム500は、全身の間接部を有するマネキンであって、両腕、両脚、胴体と、心臓、肺モデルなどの前記胴体内に配置された、選択的内部臓器モデルとを有する成人の形をしている。この例示においては成人マネキンを用いるが、前記シミュレータシステム500は、小児サイズのマネキンのようなより小さいサイズのマネキンに使用するために縮小されていると理解されるべきである。また、前記マネキンは、挿管可能な気道、静脈注射および筋肉注射を行うための様々な注射位置を具備している場合がある。さらに、無意識の患者をシミュレートするよう、前記マネキンが実際的な体重を有することもある。加えて、前記マネキン内の様々なコネクタおよびケーブルを強化すること、前記シミュレータシステム500の様々な電子・電気構成要素を前記マネキン内部でショック、流体、圧迫力から保護することが可能である。また、前記シミュレータシステム500をモジュール式にすることによって、前記システムの他の部分に修正を加えずに、様々な構成要素を削除および/または追加することもできる。
【0078】
前記シミュレータシステム500は、その他の複数のモジュールと接続されインタラクトするメインモジュール502を含むが、これについては、以下に詳細に説明する。前記メインモジュール502は、1若しくはそれ以上のプロセッサ、すなわちMicrochip Technology,Inc.(アリゾナ州チャンドラー市)から入手可能なPIC18LF452プロセッサのようなプロセッサを含み、その他のモジュールの少なくとも一部を制御するために使用される。本実施形態において、前記メインモジュール502は、2つのプロセッサ(図29、図30)を含み、前記プロセッサは前記シミュレータシステム500の他の回路(図31〜図40)とインタラクトする。なお、前記モジュールのいくつかは同様の回路を有するものであるため、単一の代表的回路を用いて前記シミュレータシステム500内のいくつかの回路を図示することができることに注目されたい。
【0079】
本実施例において、電力回路504(図31に図示するようなもの)から前記シミュレータシステム500に電気を供給することが可能であり、前記電力回路は、異なる2つの電源のうちの1つを用いて電力を供給する。前記第1の電源は直接ライン電源(例えば110または220VAC)を含み、このライン電源は前記電力モジュール504によって受信され、MCI Transformer Corp.(ニューヨーク州バビロン(Babylon))から入手可能なSeries 4−49変圧器などの変圧器506によって、事前定義された第2の電圧または電流に変換される。例えば、前記変圧器506は、受信されたAC電圧を第2の電圧(例えば28VAC)あるいは望ましい電流(例えば6.25アンペア)に変換することができる。前記変圧器506は、Altronix Corp(ニューヨーク州ブルックリン市(Brooklyn))から入手可能なSMP7 High Current Power Supply/Chargerのような電力供給/充電器508へ電力を供給する。前記電力供給/充電器508は、電池510、前記メインモジュール502、空気圧式モジュール518に電力を供給する。なお、望ましい場合は、その他のモジュールも、前記電力供給/充電器508から直接に電力を受信する可能性があるものと理解されるべきである。前記電池510は、前記第2の電源を供給するものである。
【0080】
作動中、前記電源をユーザーが選択することも、自動選択とすることも可能である。例えば、前記シミュレータシステム500が作動中であって、前記電力モジュール504が直接ライン電源に接続されている場合、前記電力供給/充電器508は、前記直接ライン電源を用いて、電力を前記シミュレータシステム500の構成要素へ自動的に供給することができる。しかし、前記シミュレータシステム500が動作中であって直接ライン電源に接続されていない場合は、前記電力供給/充電器508は電力を前記電池510から自動的に引き出すことができる。前記シミュレータシステム500が非作動中であって直接ライン電源に接続されている場合は、前記電力供給/充電器508は前記電池510を充電することができる。これによって、前記シミュレータシステム500をポータブルに利用することと、前記シミュレータシステム500を使用中に直接ライン電源が切れた場合に電池によるバックアップを供給することとの両方が可能となる。
【0081】
前記シミュレータシステム500は、無線通信モジュール512(図32)を介した双方向無線接続を用いて制御可能である。無線通信を使用可能なポータブルまたは携帯装置514と、パーソナルコンピュータまたは同様の非ポータブル装置とを用いて、前記シミュレータシステム500と通信することが可能である。この通信は、前記無線通信モジュール512および別の無線通信モジュール516経由で行われる。前記装置514は、プログラム可能なタッチスクリーン式グラフィカル・ユーザー・インターフェイスを含み、前記インターフェイスは、カラー表示を使用して提供される場合も、そうでない場合もある。前記無線通信モジュール516は、1若しくはそれ以上の無線プロトコル(例えばBluetoothまたはIEEE802.11b)を含み、前記無線プロトコルによって、前記装置514は、ユニバーサル・シリアル・バス(Universal Serial Bus、略称、USB)または同様の接続を介して、前記シミュレータシステム500と接続および通信することが可能になる。例えば、前記装置514を用いて、前記シミュレータシステム500を制御し、生理学的データセットを保存および取得し、前記シミュレータシステム500でシナリオを実行し、前記シミュレータシステム500内の様々なセンサーを監視することが可能である。本実施例において、前記無線通信モジュール512および前記無線通信モジュール516の双方は、AeroComm,Inc.(カンザス州ルネキサ(Lenexa))から入手可能なAC4490−100AまたはAC4424のようなRF通信モジュールを使用可能である。一部の実施形態において、前記シミュレータシステム500を、Microsoft Corp.(ワシントン州レドモンド市Redmond))から入手可能なMicrosoft Speechのような音声認識システムを用いて制御することが可能である。さらに、前記メインモジュール502を除く前記シミュレータシステム500の構成要素は、希望に応じて、前記装置514によって直接制御が可能である。なお、そのような直接制御を可能にするためには、構成要素は、前記無線通信モジュール512のような、前記装置514と通信するためのインターフェイスを必要とするものと理解されるべきである。
【0082】
引き続き図24を参照して説明すると、前記シミュレータシステム500は、前記電力回路504、無線通信モジュール512、空気圧式モジュール518の他に複数の構成要素を含む場合がある。例えば、前記シミュレータシステム500は、換気圧センサー520と、胸部圧迫センサー522と、両側BPカフ圧力センサー524と、心臓細動除去/電気的除細動センサー526と、体外心臓ペースメーカー528と、律動エミュレータ530と、可触診脈拍モジュール532と、肺弁534と、呼吸弁536と、気道/気胸弁アレイ538と、複数のスピーカとを具備する場合がある。前記複数のスピーカは、両側肘前スピーカ540と、頭部スピーカ542と、左胸スピーカ544と、右胸スピーカ546とを含む。これらの構成要素の動作について、以下により詳細に説明する。
【0083】
前記換気圧センサー520は、換気の強度を、胸部圧迫とは別に肺574内部の圧力に基づいて計測する回路(図33の回路と類似した回路)の一部を構成する圧力トランスデューサーである。前記胸部圧迫センサー522は、胸部圧迫強度を、換気とは別にモデル心臓(図示せず)内部の圧力に基づいて計測する回路(例えば図33の回路)の一部を構成する圧力トランスデューサーである。前記両側BPカフ圧力センサー524は、前記マネキンのいずれかの腕に取り付けられる標準血圧計カフによって生じる圧力を計測する回路(図33)の一部を構成するものであり、これについては以下により詳細に説明する。前記心臓細動除去/電気的除細動センサー526は、体外心臓細動除去器またはその他の除細動装置によって生じる除細動ショックを検出する回路(図34)の一部を構成するものである。前記回路は、除細動のエネルギーを安全に消散し、エミュレートされたECG位相に対するショック時間を報告する。前記体外心臓ペースメーカーセンサー528は、体外心臓ペーシング装置の使用を検出する回路(図34)の一部を構成する。前記回路はペーシングのエネルギーを安全に消散し、ペーシング速度を検出するものであって、且つ、捕捉ECG信号のエミュレーションを可能にするECGエミュレーション回路(図35a〜図35c)へ信号を提供することも可能である。
【0084】
前記メインモジュール502内のプロセッサの1若しくは両方は、これらセンサーからの入力を受信し、次に、その受信した入力を、前記無線通信モジュール512を介して前記装置514へ送信する。前記シミュレータシステム500は、分流器、若しくは除細動またはペーシングによるエネルギーを消散する代替消散方法を含む。前記エネルギーは、このような装置によって期待される自然電気抵抗の近似値である。
【0085】
前記装置514を介して制御可能な前記メインモジュール502内のソフトウェアは、前記シミュレータシステム500の行動の様々な側面を制御することができる。例えば、前記プロセッサは信号を生成し、前記律動エミュレータ530を使用して、AED、心臓細動除去器/電気的除細動器、体外心臓ペースメーカー、またはEKGにより実際の患者において計測可能な様々な生体電位をエミュレートすることができる。これらエミュレーションを、記録された生体電位信号か、若しくは事前定義されたコンピュータプロセスを用いてリアルタイムで生成される信号のいずれかを用いて実行することが可能である。
【0086】
一部の実施形態において、前記シミュレータシステム500は、体外電導性部位(図示せず)を前記マネキンの皮膚上に含むことが可能である。これら部位は、電極を前記シミュレータシステム500に取り付ける場所である。例えば、前記マネキンは、その背面に(第1の心臓ペースメーカー電極を取り付けるための)第1の電導性部位を含み、その胸部に(第2の心臓ペースメーカー電極、心臓細動除去装置、またはEKG電極を取り付けるための)第2、第3の電導性部位を含む場合がある。
【0087】
また、前記シミュレータシステム500の実施形態である前記マネキンは、前記可触診脈拍モジュール532に関連付けられる、触診可能な脈拍位置を有することも可能である。本実施例において、前記シミュレータシステム500は、両側頸動脈、橈骨動脈、大腿動脈の脈拍を表す3つの脈拍位置を含む。図36(前記両側頸動脈の位置を示す)に図示する実施例の回路を、前記脈拍位置の各位置に使用することが可能である。各脈拍位置における脈の強度をアクチュエータによって個別に制御することが可能であるため、前記シミュレータシステム500は各位置において血圧低下の影響をシミュレートすることができる。さらに、各位置を、エミュレートされたECGおよび心音と個別に同期させることが可能であり、その脈拍数を呼吸相によって調節することができる。
【0088】
追加的に図25および26を参照して説明すると、前記空気圧式モジュール518は、前記シミュレータシステム500の他の構成要素と伴に、前記シミュレータシステム500が、より実際的に、呼吸とそれに関連付けられる生理学的状態をシミュレートすることを可能にするものである。本実施例において、前記空気圧式モジュール518は、前記シミュレータシステム500のその他の構成要素とは個別に制御されるものである。そのような個別制御は、例えば、前記空気圧式モジュール518を始動若しくは停止するためのオン/オフスイッチを用いることによって実現することができる。その他の実施形態において、前記空気圧式モジュール518を、前記装置514または前記メインモジュール502のプロセッサによって、図37に図示するようなコンプレッサ回路を介して制御することができる。
【0089】
前記空気圧式モジュール518は、コンプレッサ制御装置550、コンプレッサ552(ウィスコンシン州シェボイガン(Sheboygan)のRietschle Thomas Sheboygan,Inc.から入手可能なモデル007CDC13を用いることができる)、第1の貯留器554、圧力調整器556、第2の貯留器558を含む。図26が示すように、前記コンプレッサ制御装置518は、コンパレータ560、リレードライバ562、リレー564、圧力トランスデューサ566、ヘッドステージ差動増幅器568、低域通過フィルタ570、メインステージ増幅器572を含む。前記空気圧式モジュールの、例えば前記コンプレッサ552のような部分を、前記マネキンの四肢(例えば脚)に格納することによって、前記空気圧式モジュール518から聴診可能な位置への音の伝達を最小限にすることが可能である。
【0090】
動作中、前記空気圧式モジュール518は、前記シミュレータシステム500に以下のように加圧空気を提供する。前記第1貯留器554における圧力を前記圧力トランスデューサ566(本実施例においてはWheatstoneブリッジ圧力トランスデューサ)が感知する。前記圧力トランスデューサ566が信号を発信し、この信号は前記ヘッドステージ差動増幅器568によって増幅されてから前記低域通過フィルタ570によってフィルタされる。このフィルタされた信号は、前記メインステージ増幅器572によって増幅され、前記コンパレータ560へ送られる。前記コンパレータ560にはヒステリシスが実装され、これにより前記コンパレータ560は1平方インチ当たり4.5〜5.5ポンドの圧力(4.5〜5.5psi)を維持することができる。前記コンパレータ560を、前記コンパレータの出力に基づいてリレー564を制御する前記リレードライバ562に接続することによって、前記コンプレッサ552へ電力を供給し、前記第1の貯留器554内の圧力を事前定義された水準に維持する。例示を目的として説明すると、前記第1の貯留器554内の圧力は、約4.5〜5.5psiに維持される。前記圧力調整器556は、McMaster−Carr Supply Company(ジョージア州アトランタ市(Atlanta))から入手可能なモデル41795K3型調整器のような受動的調整器である可能があり、この圧力調整器によって、前記第2の貯留器内の圧力を事前定義された圧力に維持する。本実施例においては、前記第2貯留器の圧力は約1.5psiに維持される。
【0091】
前記加圧空気は、前記空気圧式モジュール518によって、第1の通路533aと第2の通路533bを通じて前記シミュレータシステム500へ供給される。前記加圧空気は、複数の弁またはその他の制御素子を用いて前記メインモジュール502のプロセッサによって制御される。例えば、前記弁としては、肺弁534、呼吸弁536、気道/気胸弁アレイ538が含まれる。前記弁に送られる空気の圧力は、どの貯留器によってその空気が供給されるかに依存する。例示を目的として説明すると、前記呼吸弁536および肺弁534は、前記第1の通路533aを介して前記第2の貯留器(1.5psi)に接続されており、前記気道/気胸弁アレイ538は、前記第2通路533bを介して前記第1貯留器(4.5〜5.5psi)に接続されている。前記肺弁534、呼吸弁536、気道/気胸弁アレイ538の各弁は、図38が示すような、各弁を制御するために使用可能な回路に連結している。
【0092】
前記呼吸弁536としては、Humphrey Products Company(ミシガン州カラマズー(Kalamazoo))から入手可能なモデルD2031を使用することができ、前記呼吸弁に、排気通路535(例えば前記マネキンの気道)が連結されており、前記マネキンは自然な呼気を呈する。前記呼吸弁536を通過する空気の流れは、前記呼吸弁536が設定されている位置に依存する。前記呼吸弁536が第1の位置にある場合、空気は前記肺弁534のみに向けて送られる。前記呼吸弁が第2の位置にある場合、空気は1方向逆止め弁594を介して前記肺弁534へ向けて送られると伴に、前記マネキンの気道535へも向けて送られる。前記呼吸弁536が第1の位置にある場合、前記逆止め弁594は、空気が前記マネキンの気道535へ漏洩することを防ぐ。
【0093】
各肺弁534としては、Humphrey Products Companyから入手可能なHumphrey 315弁を使用することができ、前記各肺弁は、肺モデル574(図25)に接続されている。前記肺弁534は、2つの気道のうちの1つを通じて前記空気圧式モジュール518へ接続される。その具体的な気道は、上述したように、前記呼吸弁536の位置に依存する。
【0094】
吸気をシミュレートするために、前記呼吸弁536を介して前記肺574を膨張させることが可能で、呼気の間は、前記呼吸弁536のスイッチを入れて前記肺574からの空気を前記気道535を介して逃がすことができる。これによって、前記BLSプロトコルにおける主要な呼吸指標である自然呼気が作り出される。呼吸が行われている間、肺容量を増すために、前記逆止め弁594を介して補助換気を行うことができる。上述したように、前記逆止め弁594は、前記呼吸弁536が前記第1の位置にあるときに(例えば吸気中)、空気が前記マネキンの気道535へ漏洩することを防ぐものである。
【0095】
前記肺弁534を作動して、前記肺574へ空気を供給することによって、気胸若しくは1若しくは両方の肺の閉塞をシミュレートすることができる。これは、シミュレートされた呼吸若しくは手動換気の間に、1若しくは両方の肺が充填されるのを防ぐ。異なる呼吸数および肺容量を、前記メインモジュール502に格納すること、若しくは前記装置514を用いてそれらを設定することが可能である。さらに、チェーン・ストークス(Cheyne−Stokes)呼吸または喘息発作のような複雑な呼吸パターンをシミュレートすることができる。前記換気圧センサー520は、前記マネキンの胸部圧迫とは個別に、前記流体圧についてのフィードバックを提供する。希望する場合は、前記頭部スピーカ542(図24)を用いて、前記マネキンの呼吸パターンに対応する呼吸音をシミュレートすることができる。
【0096】
前記気道/気胸弁アレイ538としては、Humphrey Products Companyから入手可能なマニホルドHumphrey HG010M3FにおけるHumphrey HG010E1を使用することができ、前記気道/気胸弁アレイは、複数の弁576、578、580、582を介して膨張自在なアクチュエータに接続されている。前記各弁576、578、580、582の各々は、図38に示すような回路によって制御される場合もある。前記弁576は、2つの気胸部位584に接続されおり、前記気胸部位は、適切な前記弁576を一時的に開放することよって加圧可能である。各気胸部位584は、(バルーンのような)空気貯留器になっている。2つの逆止め弁586は、各部位を包んでいるセルフシーリング式ラテックス製隔膜を貫通しない限り、膨張した前記気胸部位584が収縮することを防ぐ。
【0097】
前記弁578は舌浮腫空気貯留器588に接続されており、前記舌浮腫空気貯留器は前記マネキン内部に配置されて膨張によって舌浮腫をシミュレートする。前記弁580は咽頭腫脹貯留器590に接続されており、前記咽頭腫脹貯留器は前記マネキンの咽頭後部に配置されて膨張によって咽頭腫脹をシミュレートする。前記弁582は喉頭痙攣空気貯留器592に接続されており、前記喉頭痙攣空気貯留器は前記マネキンの喉頭の少なくとも一部を囲んでおり、喉頭痙攣をシミュレートする。逆止め弁596は前記第1貯留器と前記気道/気胸弁アレイ538の間に配置されており、呼吸中の前記空気貯留器584、588、590、592の圧力の変化を防ぐ。
【0098】
追加的に図27および28を参照して説明すると、腕モデル600は、前記シミュレータシステム500の一部内の流体通路602の実施例を例示している。本実施例において、前記流体通路602は、前記腕モデル600の肩に接続されているが、前記ポート604を前記腕モデル600のその他の部分若しくは前記モデル全身(胴体など)のその他の部分に配置することがきるものと理解されるべきである。また、前記腕モデル600は、静脈システム606も含む。図28の断面図が示すように、前記静脈システム606を溝608に配置することが可能であり、それによって、加圧に伴って静脈を「回転」することができる。前記腕モデル600は、回転ポイント610を含むこともあり、それによってユーザーは、前記腕モデル600の様々な部分を回転させることが可能になる。例えば、前記腕モデル600の手の部分を180°回転させることによって、手の平を上向き、下向きにしたり、若しくはそれらの間の任意の配向にしてシミュレートすることができる。本実施例において、前記腕モデル600は、注射位置612も含む。
【0099】
図24〜26を再び参照して説明すると、前記メインモジュール502のプロセッサは、上述の弁の作動を制御すること、対応する音(表1および表2を参照して前述したような音)を発信すること、広範なシナリオをシミュレートするためのその他の機能を実行することが可能である。加えて、前記プロセッサは、より実際的なシナリオを作成するために少なくとも生理機能モデリングの一部を実行することが可能である。例えば、特定の心調律を実行する場合、前記プロセッサは前記マネキンの心拍数を呼気中に低下させて、洞性迷走神経反射をシミュレートすることができる。
【0100】
前記プロセッサは、選択された心調律と心音(左心臓スピーカ544および右心臓スピーカ546を介して発信される)を同期することもできる。さらに、前記プロセッサは、エミュレートされたEKG信号を可触診脈拍アクチュエータ(前記可触診脈拍モジュール532に連結)および前記心音と同期することもできる。同様に、前記可触診脈拍アクチュエータの強度を、血圧に合わせて変化させることもできる。肺音(左心臓スピーカ544および右心臓スピーカ546を介して発信される)を前記プロセッサによって制御し、前記気胸の状態を反映することができる。コロトコフ音(両側肘前スピーカ540を介して発信される)を前記プロセッサによって操作し、シミュレートされた血圧と加圧されたBPカフ圧との間の関係に対応させることができる。一部の実施形態においては、前記頭部スピーカ542を用いて、発話、呼吸音、その他の発声を提供することができる。例えば、前記発話を記録すること若しくはCentre for Speech Technology Research(スコットランド、エジンバラ(Edinburgh))から入手可能なFestival Speech Synthesis Systemのような発話合成エンジンによって生成することが可能である。これらの音は、心音、肺音、その他の音のためのボイス回路(図39)およびその他の複数の回路(うち1つを図40に図示する)を介して制御することが可能である。
【0101】
これらは単に前記プロセッサによって実行可能な生理機能モデリングの例であって、その他のモデリングを用いて生理機能をシミュレートすることも可能であるものと理解されるべきである。そのようなモデリングを、前記装置514から送信すること、前記プロセッサに格納すること、または前記プロセッサアクセス可能なメモリデバイス(フラッシュカードまたはハードドライブ等)に格納することが可能である。さらに、前記プロセッサは、そのようなモデリングをリアルタイムで提供すること、若しくはリアルタイムのモデリングを既存シナリオの部分に供給することによって既存シナリオを拡張すことが可能である。例えば、前記プロセッサによって、実行されるシナリオに対応する波形をリアルタイムで生成することができる。
【0102】
また別の実施形態において、実際の医療装置の代わりに「バーチュアル機器」付属品を用いることができる。そのような付属品の1例は、(アナログからデジタルへの)データ収集装置と外部インターフェイスユニットとが装備されたポータブルコンピュータであって、例えばラップトップのようなものである。
【0103】
マネキン(例えば図24のシミュレータシステム500)からのエミュレートされた信号を記録し、前記装置514(図24)と直接に通信することによって、前記付属品は、AED、心臓細動除去器、体外心臓ペースメーカー、自動血圧装置、脈拍−酸素−飽和装置を模倣することができる。記録された若しくは動的に生成された生体電位信号のライブラリを、模倣される前記装置に対応した様々なフォーマットで表示することができる。前記外部インターフェイス・ユニットは、AED、EKG、体外心臓ペースメーカー電極のほか、心臓細動除去器パドル(例えば、エミュレートされた心臓生体電位および電極取り付けの質の両方に依存する装置)に適合することが可能である。前記外部インターフェイス・ユニットは、バーチュアル自動血圧計カフおよび脈拍−酸素飽和「フィンガークリップ」プローブを提供することも可能であり、エミュレートされた信号のデータ収集を必ずしも必要としないが、単に取り付けが適切であるかを検出し、前記装置514と無線通信して、シミュレートされた生理機能の状態を決定することが可能である。
【0104】
例と伴に実施形態を示して説明してきたが、広範な修正、変更、置換が考えられる。前述の開示における修正、変更、代替が意図されるものであって、本発明の一部の特徴が、本発明のその他の特徴とは独立して採用される場合もあるものと理解されるべきである。さらに、本発明の要旨の範囲から逸脱することなく、前述の実施形態に変更を行う場合があることが理解されるべきである。例えば、前記メインモジュール502のプロセッサおよび前記装置514は、特定の機能性と伴に例示されているが、それらの機能性が重複することもあり、他方に関して説明された機能を各々が実行する場合もあるものと理解されるべきである。加えて、前記空気式モジュールとそれに連結された弁および貯留器とについて、空気を使用するものとして説明したが、任意の流体を使用することが可能なものと理解されるべきである。さらに、例示的な回路設定を示したが、その他の回路設定および/またはソフトウェアを用いて同一の機能性を達成することも可能であると理解されるべきである。本開示を読んだ後に、当業者にとって初めて自明となる改良若しくは修正は、本出願の精神と範囲に含まれるものと見なされる。したがって、添付の特許請求の範囲は広範に、且つ本発明の範囲と一致した方法で解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1a】図1aは、バーチュアル機器および患者シミュレータを用いた患者治療指導用インタラクティブ教育システムの1実施例の概略図である。
【図1b】図1bは、ソフトウェアにより生成されたバーチュアル機器および患者シミュレータを用いた患者治療指導用インタラクティブ教育システムの1実施例の概略図である。
【図2】図2は、図1aのシステムにおけるバーチュアル機器一式とシミュレータとの間のインタラクションを示す概略図である。
【図3】図3は、図1aのシステムのバーチュアルPAカテーテルの透視図である。
【図4a】図4aは、図1aのシステムのバーチュアル聴診器の透視図である。
【図4b】図4bは、前記バーチュアル聴診器の切欠き図を含む透視図である。
【図4c】図4cおよび4dは、前記バーチュアル聴診器の収集制御装置の回路図である。
【図4d】図4cおよび4dは、前記バーチュアル聴診器の収集制御装置の回路図である。
【図4e】図4eは、前記バーチュアル聴診器の音制御機能の回路図である。
【図4f】図4fは、図4c〜図4eの回路の別の実施形態に従った回路図である。
【図4g】図4gは、本開示の1実施形態の回路図である。
【図4h】図4hは、前記バーチュアル聴診器と協調動作するセンサーの切欠き図を含む透視図である。
【図5】図5〜図7は、図1a〜図1bの教育システムのプログラムにより生成された画面表示の図である。
【図6】図5〜図7は、図1a〜図1bの教育システムのプログラムにより生成された画面表示の図である。
【図7】図5〜図7は、図1a〜図1bの教育システムのプログラムにより生成された画面表示の図である。
【図8】図8〜図17aは、前記プログラムに含まれるモジュールの概略図である。
【図9】図8〜図17aは、前記プログラムに含まれるモジュールの概略図である。
【図10】図8〜図17aは、前記プログラムに含まれるモジュールの概略図である。
【図11】図8〜図17aは、前記プログラムに含まれるモジュールの概略図である。
【図12】図8〜図17aは、前記プログラムに含まれるモジュールの概略図である。
【図13】図8〜図17aは、前記プログラムに含まれるモジュールの概略図である。
【図14】図8〜17aは、前記プログラムに含まれるモジュールの概略図である。
【図15】図8〜図17aは、前記プログラムに含まれるモジュールの概略図である。
【図16】図8〜図17aは、前記プログラムに含まれるモジュールの概略図である。
【図17a】図8〜図17aは、前記プログラムに含まれるモジュールの概略図である。
【図17b】図17b〜図17fは、コードメーカーモジュール用に前記プログラムにより生成された画面表示である。
【図17c】図17b〜図17fは、コードメーカーモジュール用に前記プログラムにより生成された画面表示である。
【図17d】図17b〜図17fは、コードメーカーモジュール用に前記プログラムにより生成された画面表示である。
【図17e】図17b〜図17fは、コードメーカーモジュール用に前記プログラムにより生成された画面表示である。
【図17f】図17b〜図17fは、コードメーカーモジュール用に前記プログラムにより生成された画面表示である。
【図18】図18は、図1bにおけるソフトウェアにより生成されたバーチュアル機器とシミュレータとの間のインタラクションに関連するプログラムによって生成された画面表示の図である。
【図19】図19〜図23は、図1a〜図1bにおける前記システムのバーチュアル機器に関連するプログラムによって生成された画面表示の図である。
【図20】図19〜図23は、図1a〜図1bにおける前記システムのバーチュアル機器に関連するプログラムによって生成された画面表示の図である。
【図21】図19〜図23は、図1a〜図1bにおける前記システムのバーチュアル機器に関連するプログラムによって生成された画面表示の図である。
【図22】図19〜図23は、図1a〜図1bにおける前記システムのバーチュアル機器に関連するプログラムによって生成された画面表示の図である。
【図23】図19〜図23は、図1a〜図1bにおける前記システムのバーチュアル機器に関連するプログラムによって生成された画面表示の図である。
【図24】図24は、ポータブル緊急治療シミュレータシステムの1実施例の概略図である。
【図25】図25は、図24のシミュレータシステムと伴に使用可能な空気圧式モジュールの1実施例の概略図である。
【図26】図26は、図25の空気圧式モジュールと伴に使用可能なコンプレッサ制御装置の1実施例の概略図である。
【図27】図27は、図24のシミュレータシステムと伴に使用可能な腕モデルの1実施例の概略図である。
【図28】図28は、図27の腕モデルの下位部分の横断面である。
【図29】図29は、図24のシミュレータシステムを制御するために使用可能な第1のマイクロプロセッサとそれに関連する構成要素とを示す回路図である。
【図30】図30は、図24のシミュレータシステムを制御するために使用可能な第2のマイクロプロセッサとそれに関連する構成要素とを示す回路図である。
【図31】図31は、図29または図30のマイクロプロセッサと連動して使用可能な電力回路の1実施例の回路図である。
【図32】図32は、図29または図30のマイクロプロセッサと連動して使用可能な無線通信モジュール回路の1実施例の回路図である。
【図33】図33は、図29または図30のマイクロプロセッサと伴に使用可能なセンサー回路の1実施例の回路図である。
【図34】図34は、図29または図30のマイクロプロセッサに伴に使用可能な除細動機または体外心臓ペースメーカー回路の1実施例の回路図である。
【図35a】図35a〜図35cは、図29または図30のマイクロプロセッサと伴に使用可能な心電図回路の1実施例の回路図である。
【図35b】図35a〜図35cは、図29または図30のマイクロプロセッサと伴に使用可能な心電図回路の1実施例の回路図である。
【図35c】図35a〜図35cは、図29または図30のマイクロプロセッサと伴に使用可能な心電図回路の1実施例の回路図である。
【図36】図36は、図29または図30のマイクロプロセッサと連動して使用可能な脈拍触診可能な位置の回路の1実施例の回路図である。
【図37】図37は、図29または図30のマイクロプロセッサと連動して使用可能なコンプレッサ回路の1実施例の回路図である。
【図38】図38は、図29または図30のマイクロプロセッサと連動して使用可能な弁作動回路の1実施例の回路図である。
【図39】図39は、図29または図30のマイクロプロセッサと連動して使用可能なボイス回路の1実施例の回路図である。
【図40】図40は、図29または図30のマイクロプロセッサと連動して使用可能な音回路の1実施例の回路図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者治療をユーザーに教示するためのシミュレータシステムであって、
人体の少なくとも一部のモデルであって、前記モデルは第1の肺および第2の肺と、前記肺と流体流通自在な第1の流体通路と、呼吸弁とを有し、前記呼吸弁は前記第1の流体通路を通る流体の流れを制御するようなっているものである、前記モデルと、
前記第1の流体通路と流体流通自在であり、加圧流体を前記第1の流体通路に供給するようなっているものである、空気圧式モジュールと、
前記呼吸弁にアクセス可能なプロセッサと、
前記プロセッサアクセス可能なメモリであって、前記プロセッサによって実行される複数の命令を格納し、前記命令は、前記呼吸弁を操作することにより、前記空気圧式モジュールから前記第1の流体通路を通って第1の肺および第2の肺へ通流する加圧流体の流れを調整するための命令を含むものである、前記メモリと
を有するシミュレータシステム。
【請求項2】
請求項1記載のシミュレータシステムにおいて、このシミュレータシステムは、さらに、
前記モデル内に配置され、前記第1の肺および第2の肺から排出される流体を前記モデルの口の外部へ導くようなっている流体排出路を有するものである。
【請求項3】
請求項2記載のシミュレータシステムにおいて、前記流体排出路は、前記呼吸弁と流体流通自在である。
【請求項4】
請求項1記載のシミュレータシステムにおいて、このシミュレータシステムは、さらに、
前記プロセッサアクセス可能であり、前記呼吸弁と前記第1の肺および前記第2の肺との間に配置される、第1の肺弁および第2の肺弁を有し、前記第1の肺弁は前記第1の肺への流体流通を制御するものであり、前記第2の肺弁は前記第2の肺への流体流通を制御するものである。
【請求項5】
請求項1記載のシミュレータシステムにおいて、このシミュレータシステムは、さらに、
第1の流体貯留器と、
前記第1の流体貯留器および前記空気圧式モジュールと流体流通自在な第2の流体通路と、
前記第1の流体貯留器と前記空気圧式モジュールとの間の前記第2の流体通路内に配置された流体貯留器弁を有し、前記流体貯留器弁は前記第2の流体通路から前記第1の流体貯留器への流体流通を制御することによって、前記第1の流体貯留器を膨張させるようなっているものである。
【請求項6】
請求項5記載のシミュレータシステムにおいて、このシミュレータシステムは、さらに、
前記第2の流体通路に連結され、前記流体貯留器弁によって制御可能な第2の流体貯留器を有し、前記第1の流体貯留器および第2の流体貯留器は前記モデル内に配置されて、気胸部位としての役割を果たすものである。
【請求項7】
請求項6記載のシミュレータシステムにおいて、前記第1の流体貯留器および第2の流体貯留器の各器は、セルフシーリング式ラテックス製隔膜を有するものである。
【請求項8】
請求項6記載のシミュレータシステムにおいて、このシミュレータシステムは、さらに、
前記空気圧式モジュールと、前記第1の流体貯留器および第2の流体貯留器との間に配置される1方向弁を有するものである。
【請求項9】
請求項5記載のシミュレータシステムにおいて、前記第1の流体貯留器は、前記モデル内に配置されて膨張したときに舌浮腫をシミュレートするものである。
【請求項10】
請求項5記載のシミュレータシステムにおいて、前記第1の流体貯留器は、前記モデル内に配置されて膨張したときに咽頭腫脹をシミュレートするものである。
【請求項11】
請求項5記載のシミュレータシステムにおいて、前記第1の流体貯留器は、前記モデル内に配置されて膨張したときに喉頭痙攣をシミュレートするものである。
【請求項12】
請求項5記載のシミュレータシステムにおいて、前記流体貯留器弁は前記プロセッサアクセス可能であり、前記メモリに格納され、前記プロセッサによって実行される複数の命令は、前記流体貯留器弁を操作することにより、前記空気圧式モジュールから前記第2の流体通路を通って前記第1の流体貯留器へ通流する加圧流体の流れを調整するための命令を含むものである。
【請求項13】
請求項1記載のシミュレータシステムにおいて、このシミュレータシステムは、さらに、
心臓モデルを有するものであり、前記メモリに格納され、前記プロセッサによって実行される前記複数の命令は、前記心臓速度を変更する命令を含むものである。
【請求項14】
請求項13記載のシミュレータシステムにおいて、前記心臓はソフトウェア内でモデル化されるものである。
【請求項15】
請求項1記載のシミュレータシステムにおいて、このシミュレータシステムは、さらに、
少なくとも1つの可触診脈拍アクチュエータを有するものであり、前記メモリに格納され、前記プロセッサによって実行される前記複数の命令は、前記アクチュエータの強度を変化させるための命令を含むものである。
【請求項16】
請求項15記載のシミュレータシステムにおいて、前記メモリに格納され、前記プロセッサによって実行される前記複数の命令は、エミュレートされたEKG信号を前記可触診脈拍アクチュエータと同期させるための命令を含むものである。
【請求項17】
請求項1記載のシミュレータシステムにおいて、このシミュレータシステムは、さらに、前記プロセッサによって制御可能な複数のスピーカを有するものである。
【請求項18】
請求項17記載のシミュレータシステムにおいて、前記メモリに格納され、前記プロセッサによって実行される前記複数の命令は、前記スピーカのうちの少なくとも1つから発信される心音を、選択された心調律と同期するための命令を含む。
【請求項19】
請求項17記載のシミュレータシステムにおいて、前記メモリに格納され、前記プロセッサによって実行される前記複数の命令は、前記スピーカのうちの少なくとも1つを介して肺音を発信するための命令を含むものである。
【請求項20】
請求項17記載のシミュレータシステムにおいて、このシミュレータシステムは、さらに、前記スピーカのうちの少なくとも1つを介して、シミュレートされた発話を発信するようなっている発話シンセサイザーを有するものである。
【請求項21】
請求項20記載のシミュレータシステムにおいて、前記発話は事前録音されたものである。
【請求項22】
請求項20記載のシミュレータシステムにおいて、前記発話は動的に生成されるものである。
【請求項23】
請求項1記載のシミュレータシステムにおいて、このシミュレータシステムは、さらに、前記プロセッサと外部装置との間に無線インターフェイスを有するものであり、前記プロセッサは、前記無線インターフェイスを介して前記外部装置により制御されるようなっているものである。
【請求項24】
請求項1記載のシミュレータシステムにおいて、前記モデルは、さらに、前記プロセッサアクセス可能な複数のセンサーを有するものである。
【請求項25】
請求項24記載のシミュレータシステムにおいて、前記センサーは、体外心臓ペースメーカーセンサーを含むものである。
【請求項26】
請求項24記載のシミュレータシステムにおいて、前記センサーは、胸部圧迫センサーを含むものである。
【請求項27】
請求項24記載のシミュレータシステムにおいて、前記センサーは、換気センサーを含むものである。
【請求項28】
請求項24記載のシミュレータシステムにおいて、前記センサーは、両側用血圧計カフ圧力センサーを含む。
【請求項29】
請求項24記載のシミュレータシステムにおいて、前記センサーは、心臓細動除去/電気的除細動センサーを含むものである。
【請求項30】
請求項1記載のシミュレータシステムにおいて、このシミュレータシステムは、さらに、前記モデル内に配置される電池を有するものである。
【請求項31】
請求項30記載のシミュレータシステムにおいて、このシミュレータシステムは、さらに、
ライン電源または電池を用いて前記シミュレータシステムへ電力を供給するようなっている電源を有するものである。
【請求項32】
請求項31記載のシミュレータシステムにおいて、前記電源は、外部電源へ取り付けられる場合はライン電源を使用し、外部電源に取り付けられない場合は電池電源を使用して、前記シミュレータシステムへ電力を供給するようなっているものである。
【請求項33】
請求項30記載のシミュレータにおいて、前記電池は取り外し可能であって、前記シミュレータの外部にある充電装置によって充電されるようなっているものである。
【請求項34】
患者治療をユーザーに教示するためのシミュレーションシステムであって、
生理学的行動を物理的且つ電子的にシミュレートするようなっている患者シミュレータと、
前記シミュレータに動作可能なように連結され、前記生理学的行動を制御するためのプロセッサと、
前記プロセッサアクセス可能なメモリであって、前記プロセッサによって実行される複数の命令を格納し、前記命令は、
複数のシナリオを提供するための命令であって、各シナリオは少なくとも1つの生理学的行動に関連付けられる、前記命令と、
ユーザーが前記複数のシナリオのうちの1つを選択することを可能にするための命令と、
前記選択されたシナリオの生理学的行動を、前記患者シミュレータを使用してシミュレートするための命令と
を含むものである、前記メモリと
を有するシミュレーションシステム。
【請求項35】
請求項34記載のシミュレーションシステムにおいて、このシミュレーションシステムは、さらに、複数のシナリオを相互にリンクし、単一のシナリオにするための命令を有する。
【請求項36】
請求項34記載のシミュレーションシステムにおいて、このシミュレーションシステムは、さらに、
トレンディング(傾向分析)のための命令を有するものであり、1シナリオに関連付けられるパラメータは、前記シナリオが実行されるに伴って変化するものである。
【請求項37】
請求項34記載のシミュレーションシステムにおいて、このシミュレーションシステムは、さらに、
前記プロセッサと連結された無線インターフェイスを有するものであって、前記プロセッサは、前記無線インターフェイスを介して外部装置によって制御可能である。
【請求項38】
請求項34記載のシミュレーションシステムにおいて、前記メモリに格納され、前記プロセッサによって実行される前記複数の命令は、前記選択されたシナリオに対応する複数の波形を生成するための命令を含むものである。
【請求項39】
請求項38記載のシミュレーションシステムにおいて、前記波形のうちの少なくとも一部は、前記プロセッサによって動的に生成されるものである。
【請求項40】
患者治療をユーザーに教示するためのシミュレータシステムであって、
第1の肺および第2の肺と、前記肺に空気を提供するようなっている第1の気道と、第1の弁とを有するモデルであって、前記第1の弁は前記第1の気道を通る空気の流れを制御するようなっているものである、前記モデルと、
前記第1の気道に空気を供給するようなっている空気圧式モジュールと、
前記第1の弁を制御するようなっているプロセッサと、
前記プロセッサアクセス可能なメモリであって、前記プロセッサによって実行される複数の命令を格納し、前記命令は、前記第1の弁を制御することにより、前記空気圧式モジュールから前記第1の気道を通って前記第1の肺および第2の肺へ通流する空気の流れを調整するための命令を含むものである、前記メモリと
を有するシミュレータシステム。
【請求項41】
請求項40記載のシミュレータシステムにおいて、このシミュレータシステムは、さらに、
膨張自在な貯留器と前記空気圧式モジュールに連結された第2の気道と、
前記膨張自在な貯留器と前記空気圧式モジュールとの間に配置された第2の弁とを有し、前記第2の弁は、前記第2の気道を通る空気の流れを制御することによって前記膨張自在な貯留器を膨張するようなっているものである。
【請求項42】
請求項41記載のシミュレータシステムにおいて、前記空気圧式モジュールは、
コンプレッサと、
前記コンプレッサと流体流通自在な第1の貯留器と、
前記第1の貯留器と流体流通自在な第2の貯留器と、
前記第1と前記第2貯留器の間に配置された調整器であって、前記第2貯留器の圧力を前記第1貯留器の圧力よりも低い圧力に維持するようなっているものである、前記調整器と、
前記コンプレッサおよび前記第1の貯留器と流体流通自在なコンプレッサ制御装置と
を有するものである。
【請求項43】
請求項42記載のシミュレータシステムにおいて、前記第1の気道は、前記第2の貯留器と流体流通自在である。
【請求項44】
請求項43記載のシミュレータシステムにおいて、前記第2の気道は、前記第1の貯留器と流体流通自在である。
【請求項45】
請求項42記載のシミュレータシステムにおいて、前記コンプレッサ制御装置は、
前記第1の貯留器と流体流通自在な圧力トランスデューサと、
前記圧力トランスデューサによって検出された圧力を事前定義された圧力閾値と比較するコンパレータと、
前記コンパレータおよび前記コンプレッサとに連結されたリレーであって、前記リレーは、前記コンパレータからの信号を受信すると前記コンプレッサに電力を供給するようなっているものである、前記リレーと
を有するものである。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図4e】
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【図4f】
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【図4g】
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【図4h】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17a】
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【図17b】
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【図17c】
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【図17d】
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【図17e】
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【図17f】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35a】
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【図35b】
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【図35c】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公表番号】特表2007−514967(P2007−514967A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541675(P2006−541675)
【出願日】平成16年11月23日(2004.11.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/039409
【国際公開番号】WO2005/053508
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(506177659)ゴーマード サイエンティフィック カンパニー、インク. (5)
【Fターム(参考)】