説明

情報の同期方法及び情報の同期システム

【課題】更新された辞書情報を全ての端末に転送して、リアルタイムに辞書情報等の情報の同期を取ることを可能とする。
【解決手段】サーバ104は、複数の端末の1つが辞書情報の更新を行ったとき送信されてくる更新通知電文を受信し、その端末以外の他の端末の全てに、更新通知電文を送信し、辞書情報の更新を行った端末以外の他の端末から更新応答電文を受信する。転送経路確立処理手段203は、受信した順に応答電文を送信してきた端末の端末番号を端末番号管理テーブル202に格納して管理しテーブル202の端末の端末番号に基づいて、辞書情報転送管理テーブル201に転送先端末番号と転送元端末番号とをセットして転送経路を確立する。辞書情報転送処理手段204は、前記辞書情報転送管理テーブルの転送先端末番号と転送元端末番号とに基づいて転送元の端末から転送先の端末へ更新した辞書情報を転送させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報の同期方法及び情報の同期システムに係り、特に、専門性の高い辞書情報を、複数の端末間で同期化するための情報の同期方法及び情報の同期システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の端末間で辞書情報等の情報を一致させる情報の同期化のための情報の転送に関する従来技術として、例えば、特許文献1等に記載された技術が知られている。この従来技術は、ファイル実体とファイルを転送する転送機能モジュールのプログラムファイルとを単一の文書ファイルとしてカプセル化して、同期すべき情報の転送を実現するものであり、同期すべき情報を受け取った端末の受信者が転送先の端末を選択することにより、次の送信先を決定しなければならず、情報を転送する度に次の転送先を選択している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−182595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来技術は、ファイル実体とファイルを転送する転送機能モジュールのプログラムファイルとを単一の文書ファイルとしてカプセル化して、同期すべき情報の転送を実現しているため、転送先の受信者が次の転送先を選択しなければならず、情報を転送するための手間が増え、リアルタイムに辞書情報等の情報の同期化を図ることができないという問題点を生じさせている。
【0005】
本発明の目的は、前述した従来技術の問題点を解決し、受信者が転送先を選択する必要をなくして、更新された辞書情報を全ての端末に転送して、リアルタイムに辞書情報等の情報の同期を取ることを可能とした情報の同期方法及び情報の同期システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば前記目的は、サーバと複数の端末とが通信路を介して接続されており、前記複数の端末の1つが辞書情報の更新を行ったとき、辞書情報の更新を行った端末以外の他の端末内の辞書情報に更新された辞書情報を反映させる情報の同期方法において、前記サーバは、転送経路確立処理手段と、辞書情報転送処理手段と、辞書情報転送管理テーブルと、端末番号管理テーブルとを備え、前記複数の端末の1つが辞書情報の更新を行ったとき送信されてくる更新通知電文を受信すると、前記辞書情報の更新を行った端末以外の他の端末の全てに対して、更新通知電文を送信し、前記辞書情報の更新を行った端末以外の他の端末のそれぞれからの更新応答電文を受信し、前記サーバの転送経路確立処理手段は、受信した順に応答電文を送信してきた端末の端末番号を前記端末番号管理テーブルに格納して管理し、前記端末番号管理テーブル内の端末の端末番号に基づいて、前記辞書情報転送管理テーブルのレコード内に転送先端末番号と転送元端末番号とをセットして転送経路を確立し、前記サーバの辞書情報転送処理手段は、前記辞書情報転送管理テーブルの転送先端末番号と転送元端末番号とに基づいて、前記転送元端末番号の端末から転送先端末番号の端末へ更新した辞書情報を転送させることにより達成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、辞書情報等の情報の更新時、更新情報を順に全端末に転送することができるので、ネットワーク及び端末の負荷を軽減し辞書情報等の情報をリアルタイムに同期させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1−1】辞書情報を更新した端末、辞書情報の更新対象の端末及びサーバの間での更新通知、更新応答の通信を説明するシーケンスチャートである。
【図1−2】更新通知電文及び更新応答電文のレイアウトを説明する図である。
【図1−3】本発明の一実施形態による情報の同期システムの構成を示すブロック図である。
【図2】サーバ内に設けられる辞書情報転送管理テーブルと端末番号管理テーブルとの構成を説明する図である。
【図3】サーバにより行われる辞書情報の転送経路を確立する処理を説明するフローチャートである。
【図4】辞書情報転送経路が確立した後の辞書情報の転送の処理動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明による情報の同期方法及び情報の同期システムの実施形態を図面により詳細に説明する。
【0010】
図1−1は辞書情報を更新した端末、辞書情報の更新対象の端末及びサーバの間での更新通知、更新応答の通信を説明するシーケンスチャート、図1−2は更新通知電文及び更新応答電文のレイアウトを説明する図、図1−3は本発明の一実施形態による情報の同期システムの構成を示すブロック図である。
【0011】
まず、図1−3を参照して、本発明の一実施形態による情報の同期システムの構成について説明する。
【0012】
本発明の実施形態による情報の同期システムは、それぞれが辞書情報ファイル105A〜105Eを有して、辞書情報の更新を行っている複数の端末105a〜105eと、サーバ104とが接続されて構成されている。複数の端末105a〜105eのそれぞれを使用している利用者は、端末を使用しての業務処理中に使用する辞書情報を変更したとき、あるいは、端末を使用する利用者の業務としての辞書情報の編集等を行っている中で辞書情報を変更したとき、使用している端末内の辞書情報ファイルの更新を行っている。
【0013】
サーバ104は、複数の端末のそれぞれで辞書情報の更新が行われて、その辞書情報を他の端末に反映させる際の辞書情報の転送を管理する辞書情報転送管理テーブル201と、複数の端末のそれぞれの端末番号を管理する端末番号管理テーブル202と、辞書情報の端末相互間での転送経路を確立するプログラムである転送経路確立処理部203と、辞書情報を転送処理するプログラムである辞書情報転送処理部204とを有している。
【0014】
前述した端末及びサーバのハードウェア構成は、図示しないが、端末のそれぞれは、PCに代表される情報処理装置であり、CPU、主メモリ、HDD等の記憶装置、キーボード等の入力装置、表示装置、サーバ及び他の端末の間での通信を行う通信装置を備えて構成され、前述の辞書情報ファイルを記憶装置内に格納しており、また、辞書情報の更新を行うプログラムが主メモリにロードされてCPUにより実行される。
【0015】
また、サーバ104も、前述した端末と同様なハードウェア構成を有し、前述した辞書情報転送管理テーブル201と端末番号管理テーブル202とが記憶装置に格納され、転送経路確立処理部203と辞書情報転送処理部204とは、主メモリ内にロードされてCPUにより実行される。
【0016】
前述において、辞書情報を更新した端末は、他の端末との間で情報の同期化を図るために、サーバ104に更新通知電文を送信し、これを受けたサーバ104は、他の端末に更新通知電文を送信するが、このときの辞書情報の更新対象の端末及びサーバの間での更新通知、更新応答の通信の処理を図1−1に示すシーケンスチャートを参照して説明する。図1−1に示す例では、辞書情報を更新した端末を端末101、サーバをサーバ102、辞書情報の更新対象の端末を端末103として示している。
【0017】
辞書情報を更新した端末101は、辞書情報を更新すると、更新通知電文101aをサーバ102へ送信する。
【0018】
端末101から更新通知電文101aを受信したサーバ102は、更新通知電文102aを辞書情報の更新対象端末103へ送信する。
【0019】
サーバ102から更新通知電文102aを受信した辞書情報の更新対象端末103は、更新応答電文103aをサーバ102へ送信する。
【0020】
前述で説明したシーケンスにおいて、サーバ102が更新通知電文102aを辞書情報の更新対象端末103へ送信する処理は、複数の辞書情報の更新対象端末に対して同時に、すなわち、同報通信により行われ、複数の端末のそれぞれからの更新応答電文は、サーバに到着順に記憶されていく。
【0021】
次に、前述したシーケンスの中でサーバと端末との間で送受信される更新通知電文と更新応答電文とのレイアウト構成を図1−2を参照して説明する。
【0022】
更新通知電文101a、102a及び更新応答電文103aのレイアウトには、電文を送信する年月日(YYYYMMDD)、送信元の端末番号、送信先の端末番号、辞書情報の状態(追加、変更、削除によりフラグ1が立つ)が設定される。
【0023】
図2はサーバ内に設けられる辞書情報転送管理テーブル201と端末番号管理テーブル202との構成を説明する図である。
【0024】
辞書情報転送管理テーブル201は、図2(a)に示すように、他の端末へ辞書情報を転送する転送元となる端末の端末番号201aと、他の端末から辞書情報を転送される転送先となる端末の端末番号201bとから構成される。また、端末番号管理テーブル202は、更新応答電文103aをサーバ102へ送信してきた順に格納された端末番号202aと、辞書情報の転送経路が確立したときに1とされ、辞書情報の転送経路が確立したか否かを判断するために利用される端末フラグ202bとにより構成される。
【0025】
前述した辞書情報転送管理テーブル201と端末番号管理テーブル202との内容は、図1−1に示すシーケンスの中でサーバにより行われる後述する辞書情報の転送経路を確立する処理の中で生成される。
【0026】
図3はサーバにより行われる辞書情報の転送経路を確立する処理を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。以下では、ここでの処理を、図1−1に示して説明したシーケンスによる処理を含んだものとして説明する。
【0027】
(1)端末の1つを操作している利用者であるオペレータが辞書情報を更新すると、辞書情報を更新した端末101は、サーバ102へ更新通知電文101aを送信する(ステップ301、302)。
【0028】
(2)サーバ102は、送信されてきた更新通知電文101aを受信し、図2(a)に示す辞書情報転送管理テーブル201の転送元201aの欄に、辞書情報を更新して更新通知電文101aを送信してきた端末の端末番号を追加する。ここでは、端末番号1を持つ端末が更新通知電文101aを送信してきたものとして、サーバ102は、辞書情報転送管理テーブル201の第1行目のレコードの転送元201aの欄に“1”を格納する(ステップ303)。
【0029】
(3)サーバ102は、辞書情報を更新した端末101を除く、システム内の全端末に対して更新通知電文102aを送信し、更新通知電文102aを送信した後、図2(b)に示すサーバ102内の端末番号管理テーブル202を初期化する。ここで、端末番号管理テーブル202の初期化とは、各行のレコードの端末番号202aの欄、各行のレコードの端末フラグ202bの欄に“0”を格納することである(ステップ304、305)。
【0030】
(4)辞書情報を更新した端末101を除く全端末(辞書情報の更新対象となっている端末103)は、更新通知電文102aを受信した後、更新応答電文103aをサーバ102へ送信する(ステップ306)。
【0031】
(5)サーバ102は、辞書情報を更新した端末101を除く全端末のそれぞれからの更新応答電文103aを受信し、端末番号管理テーブル202の端末番号202aの欄の各行のレコードに、更新応答電文103aを送信してきた更新対象端末103の端末番号を順に追加していく。追加する順番は、サーバ102に更新応答電文103a届いた更新対象端末103の端末番号の順である。図2(b)に示す例では、端末番号2〜端末番号5を持つ端末から順番に更新応答電文103aを送信してきたものとして示している(ステップ307)。
【0032】
(6)次に、サーバ102の転送経路確立処理部203は、端末番号管理テーブル202内の端末フラグ202bの欄に0が無いか否かを端末フラグ202bの欄の上位行のレコードから順にチェックして判定する(ステップ308)。
【0033】
(7)ステップ308の判定で、端末番号管理テーブル202内の端末フラグ202bの欄に0が有った場合、サーバ102の転送経路確立処理部203は、0が有った行のレコードの端末番号202aの欄の端末番号を、辞書情報転送管理テーブル201の空きとなっている行のレコードの最上位行のレコードの転送先201bの欄と次の行のレコードの転送元201aの欄にセットし、端末番号管理テーブル202内の端末フラグ202bを1に変更した後、ステップ308からの処理に戻って処理を繰り返す(ステップ309、310)。
【0034】
(8)ステップ308の判定で、端末番号管理テーブル202内の端末フラグ202bの欄に0がなかった場合、サーバ102の転送経路確立処理部203は、辞書情報転送管理テーブル201の空きとなっている行のレコードの最後の行のレコードの転送先201bの欄に処理の終了を示す記号であるEOFをセットして辞書情報転送経路を確立させる。そして、サーバ102の転送経路確立処理部203は、該転送経路確立処理部203を構成するプログラムに確立した転送経路(辞書情報転送管理テーブル201の内容)を書き込んでここでの処理を終了する(ステップ311)。
【0035】
前述したステップ308〜310の処理を繰り返した後ステップ311の処理行うことにより、辞書情報転送管理テーブル201は、図2(a)に示しているような状態に更新されることになる。
【0036】
図4は辞書情報転送経路が確立した後の辞書情報の転送の処理動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0037】
(1)サーバ102は、転送経路確立処理部203を構成するプログラムを読込み、辞書情報転送処理部204を構成するプログラムにコピーする(ステップ401)。
【0038】
(2)次に、サーバ102は、辞書情報転送処理部204を構成するプログラムを読み込み、転送経路確立処理部203に書き込まれている辞書情報転送管理テーブル201の上位行のレコードから順に転送元201aの欄の端末番号の端末から転送先201bの欄の端末番号の端末へ更新した辞書情報を転送させる(ステップ402、403)。
【0039】
(3)辞書情報転送管理テーブル201のレコード転送先201bの欄にEOFがないか否かを判定し、EOFがなかった場合、ステップ403へ戻り次のレコードに基づいて更新した辞書情報の転送を行わせ、EOFがあった場合、ファイル転送の正常終了を確定してここでの処理を終了する(ステップ404、405)。
【符号の説明】
【0040】
104 サーバ
105a〜105e 端末
105A〜105E 辞書情報ファイル
201 辞書情報転送管理テーブル
202 端末番号管理テーブル
203 転送経路確立処理部
204 辞書情報転送処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバと複数の端末とが通信路を介して接続されており、前記複数の端末の1つが辞書情報の更新を行ったとき、辞書情報の更新を行った端末以外の他の端末内の辞書情報に更新された辞書情報を反映させる情報の同期方法において、
前記サーバは、転送経路確立処理手段と、辞書情報転送処理手段と、辞書情報転送管理テーブルと、端末番号管理テーブルとを備え、前記複数の端末の1つが辞書情報の更新を行ったとき送信されてくる更新通知電文を受信すると、前記辞書情報の更新を行った端末以外の他の端末の全てに対して、更新通知電文を送信し、前記辞書情報の更新を行った端末以外の他の端末のそれぞれからの更新応答電文を受信し、
前記サーバの転送経路確立処理手段は、受信した順に応答電文を送信してきた端末の端末番号を前記端末番号管理テーブルに格納して管理し、前記端末番号管理テーブル内の端末の端末番号に基づいて、前記辞書情報転送管理テーブルのレコード内に転送先端末番号と転送元端末番号とをセットして転送経路を確立し、
前記サーバの辞書情報転送処理手段は、前記辞書情報転送管理テーブルの転送先端末番号と転送元端末番号とに基づいて、前記転送元端末番号の端末から転送先端末番号の端末へ更新した辞書情報を転送させることを特徴とする情報の同期方法。
【請求項2】
サーバと複数の端末とが通信路を介して接続されており、前記複数の端末の1つが辞書情報の更新を行ったとき、辞書情報の更新を行った端末以外の他の端末内の辞書情報に更新された辞書情報を反映させる情報の同期システムにおいて、
前記サーバは、転送経路確立処理手段と、辞書情報転送処理手段と、辞書情報転送管理テーブルと、端末番号管理テーブルとを備え、前記複数の端末の1つが辞書情報の更新を行ったとき送信されてくる更新通知電文を受信すると、前記辞書情報の更新を行った端末以外の他の端末の全てに対して、更新通知電文を送信し、前記辞書情報の更新を行った端末以外の他の端末のそれぞれからの更新応答電文を受信し、
前記サーバの転送経路確立処理手段は、受信した順に応答電文を送信してきた端末の端末番号を前記端末番号管理テーブルに格納して管理し、前記端末番号管理テーブル内の端末の端末番号に基づいて、前記辞書情報転送管理テーブルのレコード内に転送先端末番号と転送元端末番号とをセットして転送経路を確立し、
前記サーバの辞書情報転送処理手段は、前記辞書情報転送管理テーブルの転送先端末番号と転送元端末番号とに基づいて、前記転送元端末番号の端末から転送先端末番号の端末へ更新した辞書情報を転送させることを特徴とする情報の同期システム。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−65542(P2011−65542A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217250(P2009−217250)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000152985)株式会社日立情報システムズ (409)
【Fターム(参考)】