説明

情報コード読取装置、透過読み取り用の情報コードの形成された担持体

【課題】 単位面積当たりの情報量を増大させた透過読み取り用の情報コードの形成された担持体を提供する。
【解決手段】 担持体90が光を透過する半透明なシートで構成されている。情報コードCを構成するセル単位の面は、担持体90の厚みの厚い基準面c0と、担持体90の厚みが基準面c0よりも薄い第1面c1と、担持体90の厚みが第1面c1よりも薄い第2面c2と、から構成され、基準面c0に“0”、第1面c1に“1”、第2面c2に“2”の情報が割り付けられる。半透明なシートの厚みの違いで、基準面c0を透過した光の明度は低く、第1面c1を透過した光の明度は基準面c0よりも高く、第2面c2を透過した光の明度は第1面c1よりも高い。これにより、基準面c0と、第1面c1と、第2面c2とが識別でき、割り付けられた“0”、“1”、“2”の3値の情報を読み出すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過読み取り用の情報コードの形成された担持体、及び、該担持体に形成された透過読み取り用の情報コードを読み取る情報コード読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、シート等にマーカあるいはドットを設けて情報コードの“0”、“1”を示すバーコード等の一次元コード、QRコード等の二次元コードが情報の記録に用いられている。
【0003】
特許文献1には、透明な基準面に凹凸パターンを設けて、光を照射して反射光から当該凹凸を読み取る凹凸パターン読取装置が開示されている。
【特許文献1】特開平5−89276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二次元コードは、二次元に情報を記録するので一次元コードに対して情報量は多いが、“0”、“1”の2値を用いているため、単位面積当たりの情報量には限界があった。特許文献1では、光を透過するものを“0”、光を反射するものを“1”として読み取りを行っているため、従来の二次元コードと同様に単位面積当たりの情報量に限界があった。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、単位面積当たりの情報量を増大させた透過読み取り用の情報コードの形成された担持体、及び、該透過読み取り用の情報コードを読み取る情報コード読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、光を透過する担持体90に形成されセル単位の面から成る透過読み取り用の情報コードCであって、
前記セル単位の面は、前記担持体の厚みの厚い基準面c0と、該基準面c0から窪んだ凹部から成る前記担持体90の厚みが前記基準面c0よりも薄い第1面c1と、前記基準面c0から窪んだ前記第1面c1よりも深い凹部から成る前記担持体90の厚みが前記第1面c1よりも薄い第2面c2と、から少なくとも構成され、
前記基準面c1と、前記第1面c2と、前記第2面c3とのそれぞれに値が割り付けられて成る透過読み取り用の情報コードCを読み取る情報コード読取装置であって、
前記担持体90の前記基準面c0の上方又は、前記基準面c0の設けられた反対側の面の下方から光を照射する照射手段12と、
前記照射手段12により透過された担持体90の画像を取得する画像取得手段16と、 前記取得された画像のセル単位の明度から、セル単位に前記基準面c0と、前記第1面c1と、前記第2面c2とを識別するセル識別手段37と、
前記基準面c0と、前記第1面c1と、前記第2面c2とに割り付けられた値から情報コードをデコードするデコード手段38とを備えることを技術的特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の情報コード読取装置では、光を透過する担持体に情報コードが形成される。情報コードを構成するセル単位の面は、担持体の厚みの厚い基準面と、担持体の厚みが基準面よりも薄い第1面と、担持体の厚みが第1面よりも薄い第2面と、から構成され、例えば、基準面に“0”、第1面に“1”、第2面に“2”の情報が割り付けられる。情報コード読取装置は、担持体に光を照射し、透過された担持体の画像を取得する。厚みの違いで、基準面を透過した光の明度は低く、第1面を透過した光の明度は基準面よりも高く、第2面を透過した光の明度は第1面よりも高い。これにより、基準面と、第1面と、第2面とが識別でき、割り付けられた“0”、“1”、“2”の3値の情報を読み出すことで、単位面積当たりの情報量の高い情報コードをデコードすることが可能になる。
【0008】
請求項2の情報コード読取装置では、基準面と、第1面と、第2面とを透過した光の明度差が得られるように照度を調整する照度調整手段を備えるため、明度差に基づき基準面と、第1面と、第2面とが識別でき、割り付けられた“0”、“1”、“2”の3値の情報を読み出すことで、単位面積当たりの情報量の高い情報コードをデコードすることが可能になる。
【0009】
請求項3の情報コード読取装置では、画像取得手段が、基準面と、第1面と、第2面とを透過した光の明度差が得られるように露光時間又はゲインを調整する調整手段を備えるため、明度差に基づき基準面と、第1面と、第2面とが識別でき、割り付けられた“0”、“1”、“2”の3値の情報を読み出すことで、単位面積当たりの情報量の高い情報コードをデコードすることが可能になる。
【0010】
請求項4の情報コード読取装置では、照射手段が情報コードと対向する面光源から成る。このため、担持体表面で鏡面反射が起き難く、厚みの異なる基準面と、第1面と、第2面とを透過した光で、明度差を得ることができる。
【0011】
請求項5の情報コード読取装置では、担持体の厚みの厚い基準面と、担持体の厚みが基準面よりも薄い第1面と、担持体の厚みが第1面よりも薄い第2面とを透過した光の明度に基づき、基準面と、第1面と、第2面とを識別する。基準面と、第1面と、第2面とに割り付けられた“0”、“1”、“2”の3値の情報を読み出すことで、単位面積当たりの情報量の高い情報コードをデコードすることが可能になる。
【0012】
請求項6の情報コード読取装置では、情報コードの所定位置に設けられた基準面と第1面と第2面との明度から、基準面と第1面と第2面とを透過した光の明度の基準値を設定する。そして、明度の基準値に基づき、情報コードのセル単位に基準面と第1面と第2面とを識別するため、適切に識別することができる。
【0013】
請求項7の透過読み取り用の情報コードの形成された担持体では、担持体が光を透過する。情報コードを構成するセル単位の面は、担持体の厚みの厚い基準面と、担持体の厚みが基準面よりも薄い第1面と、担持体の厚みが第1面よりも薄い第2面と、から構成され、例えば、基準面に“0”、第1面に“1”、第2面に“2”の情報が割り付けられる。厚みの違いで、基準面を透過した光の明度は低く、第1面を透過した光の明度は基準面よりも高く、第2面を透過した光の明度は第1面よりも高い。これにより、基準面と、第1面と、第2面とが識別でき、割り付けられた“0”、“1”、“2”の3値の情報を読み出すことができるので、明“0”、暗“1”の2値情報を用いる従来の情報コードに対して、単位面積当たりの情報量を1.5倍にすることができる。
【0014】
請求項8の透過読み取り用の情報コードの形成された担持体では、担持体が光を透過する。情報コードを構成するセル単位の面は、担持体の厚みの厚い基準面と、担持体の厚みが基準面よりも薄い第1面と、担持体の厚みが第1面よりも薄い第2面と、担持体の厚みが第2面よりも薄い第3面と、から少なくとも構成され、例えば、基準面に“0”、第1面に“1”、第2面に“2”、第3面に“3”の情報が割り付けられる。厚みの違いで、基準面を透過した光の明度は低く、第1面を透過した光の明度は基準面よりも高く、第2面を透過した光の明度は第1面よりも高く、第3面を透過した光の明度は第2面よりも高い。これにより、基準面と、第1面と、第2面、第3面とが識別でき、割り付けられた“0”、“1”、“2”、“3”の4値の情報を読み出すことができるので、明“0”、暗“1”の2値情報を用いる従来の情報コードに対して、単位面積当たりの情報量を倍にすることができる。
【0015】
請求項9の透過読み取り用の情報コードの形成された担持体では、透過光の明度の基準値を設定するための基準面と、第1面と、第2面とが、情報コードの所定位置に設けられている。このため、情報コード読取装置は、所定位置に設けられた基準面と第1面と第2面との明度から、基準面と第1面と第2面とを透過した光の明度の基準値を設定することが可能になる。そして、明度の基準値に基づき、情報コードのセル単位に基準面と第1面と第2面とを識別することで、適切に識別することができる。
【0016】
請求項10の透過読み取り用の情報コードの形成された担持体では、情報コードのタイミングパターンに、明度の基準値を設定するための基準面と第1面と第2面とが設けられている。このため、タイミングパターンで兼用して明度の基準値を設定することが可能になり、明度の基準値を設定するためのパターンにより情報コードの単位面積当たりの情報量を減らすことが無い。
【0017】
請求項11の透過読み取り用の情報コードの形成された担持体では、担持体が光を透過する半透明なシートで構成されている。情報コードを構成するセル単位の面は、担持体の厚みの厚い基準面と、担持体の厚みが基準面よりも薄い第1面と、担持体の厚みが第1面よりも薄い第2面と、から構成され、例えば、基準面に“0”、第1面に“1”、第2面に“2”の情報が割り付けられる。半透明シートの厚みの違いで、基準面を透過した光の明度は低く、第1面を透過した光の明度は基準面よりも高く、第2面を透過した光の明度は第1面よりも高い。これにより、基準面と、第1面と、第2面とが識別でき、割り付けられた“0”、“1”、“2”の3値の情報を読み出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る情報コード読取装置、該情報コード読取装置で読み取る透過読み取り用の情報コードの形成された担持体について、図1〜図5を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る情報コード読取装置の光学系10の構成を示す構成図である。光学系10は、面光源を構成する照明器12と、照明器12からの平行光が情報コードの形成された担持体90を透過した光を集光する結像レンズ14と、結像レンズにより結像された情報コードの画像を撮像するイメージセンサから成る受光センサ16とから構成されている。担持体90は、光を透過すると共に、情報コードのセル単位の厚みに応じて光を減衰させれる例えば樹脂素材の半透明シートから構成されている。後述するように情報コードCは、QRコードと同様な位置検出パターン、タイミングパターン等の機能パターンを備える。
【0019】
図2は、第1実施形態の情報コード読取装置の制御系の構成を示すブロック図である。
CPU30と、照明器12の照度を調整する照度調整手段としての照明制御ブロック22と、受光センサ16の露光時間及びゲインの調整手段としてのセンサ制御ブロック24と、画像データを保持すると共に、制御情報を保持するメモリ26とを備える。
【0020】
CPU30は、情報コードの特徴を検出するコード特徴検出ブロック32と、情報コードに設けられた切り出しシンボル(位置検出パターン)を検出して情報コードを切り出すコード切り出しブロック34と、情報コードの画像取り込みを制御する画像取込制御ブロック36と、情報コードを構成する後述するセル毎の深さを階調に変換することで基準面と、第1面と、第2面とを識別する深さ−階調変換ブロック37と、取り込まれた情報コードの画像をデコードするデコードブロック38と、情報コードを構成する後述するセル毎の明度差を持たせるため受光センサ16の露光時間及びゲイン、照明器12の照度の設定を算出するためのセンサ・照明設定算出ブロック39とを備える。
【0021】
図3は、半透明シートから成る担持体90を図1中の受光センサ16側から見た底面図であり、担持体90の上面側に形成された情報コードCを透過させた状態を示している。図4は、図3中の担持体90のA−A断面を示している。上述したように、第1実施形態の情報コードCは、既存のQRコードと同様な位置検出パターンcc等の機能パターンと、データセルとを備える。ここで、QRコードではデータセルに明“0”、暗“1”の2値が割り付けられているのに対して、第1実施形態の情報コードCでは、明“0”、灰“1”、暗“2”の3値が割り付けられている。
【0022】
図3中の担持体90のA−A断面である図4に示すように、情報コードの各セルは、担持体の厚みと等しい基準面c0と、該基準面c0から窪んだ凹部から成る担持体90の厚みが基準面c0よりも薄い第1面c1と、基準面c0から窪んだ第1面c1よりも深い凹部から成る担持体90の厚みが第1面c1よりも薄い第2面c2と、から構成されている。断面図下の取得画像に示す担持体90の厚みの最も厚い透過光の減衰量の最も大きい基準面c0には暗“2”が割り付けられ、担持体90の厚みが中間で、減衰量も中間の第1面c1には灰“1”が割り付けられ、担持体90の厚みが薄く透過光の減衰の最も小さい第2面c2には明“0”が割り付けられことで、上述したように情報コードCの各セルには、明“0”、灰“1”、暗“2”の3値が割り付けられている。基準面c0、第1面c1、第2面c2は、型押しで一面ずつ形成することも、一括して構成することもできる。また、レーザで形成することもできる。更に、第1面c1、第2面c2の表面は、平面では無く、ドット等の深さの異なる半球状の窪みであっても良い。
【0023】
図3中のA-A線上の位置crには、透過光の明度の基準値を設定するための基準用の基準面c0と第1面c1と第2面c2とが設けられている。
【0024】
情報コード読取装置による情報コードCの読み取り処理について図5のフローチャート、及び、図1、図2を参照して説明する。
まず、受光センサ16の露光時間及びゲインの初期値をセンサ制御ブロック24で設定すると共に、照明器12の照度の初期値を照明制御ブロック22により設定する(S12)。照明器12からの光を担持体90に透過し、受光センサ16で撮像した情報コードCの画像を画像取込制御ブロック36により取得する(S14)。そして、情報コードの特徴をコード特徴検出ブロック32により検出し(S16)、情報コードの切り出しをコード切り出しブロック34により行う(S18)。次に、深さ−階調変換ブロック37により、情報コードの情報から階調数を取得する(S20)。引き続き、深さ間隔が一定、即ち、担持体の厚みと等しい基準面c0と、基準面c0よりも薄い第1面c1と、第1面c1よりも薄い第2面c2との厚み差により、上述したS12で取得した階調数が基準面c0、第1面c1、第2面c2分の3階調であるかを判断する(S22)。階調数が3である場合には(S22:Yes)、最小・最大輝度を取得し(S24)、最小・最大階調から3階調(基準面c0、第1面c1、第2面c2分)の各階調の明度を算出し、3階調の基準値を設定する(S26)。
【0025】
一方、上述したS22での階調数が基準面c0、第1面c1、第2面c2分の3階調にならないときには(S22:No)、図3及び図4を参照して上述した位置crに設けられた透過光の明度の基準値を設定するための基準用の基準面c0と第1面c1と第2面c2とから、基準面c0と第1面c1と第2面c2での明度の基準値を取得する(S30)。
【0026】
そして、3階調の基準値に基づき基準面c0、第1面c1、第2面c2を識別し、データセルを構成する基準面c0、第1面c1、第2面c2に割り付けられた“0”、“1”、“2”の3値をデコードブロック38でデコードする(S28)。デコードが成功したか否かを判断し(S32)、デコードが成功した場合には(S32:Yes)、処理を終了する。他方、デコードに失敗した場合には(S32:No)、基準面c0と、第1面c1と、第2面c2とを透過した光の明度差が得られる照明器12の照度、及び、受光センサ16の露光時間又はゲインの設定値をセンサ・照明設定算出ブロック39により算出し(S34)、算出した値を照明器12、受光センサ16に設定し(S12)、再度、画像の取得を行う。
【0027】
上述したように第1実施形態の透過読み取り用の情報コードCの形成された担持体90では、担持体90が光を透過する半透明なシートで構成されている。情報コードCを構成するセル単位の面は、担持体90の厚みの厚い基準面c0と、担持体90の厚みが基準面c0よりも薄い第1面c1と、担持体90の厚みが第1面c1よりも薄い第2面c2と、から構成され、基準面c0に“0”、第1面c1に“1”、第2面c2に“2”の情報が割り付けられる。半透明シートの厚みの違いで、基準面c0を透過した光の明度は低く、第1面c1を透過した光の明度は基準面c0よりも高く、第2面c2を透過した光の明度は第1面c1よりも高い。これにより、基準面c0と、第1面c1と、第2面c2とが識別でき、割り付けられた“0”、“1”、“2”の3値の情報を読み出すことができるので、明“0”、暗“1”の2値情報を用いるQRコード等の従来の情報コードに対して、単位面積当たりの情報量を1.5倍にすることができる。
【0028】
第1実施形態の透過読み取り用の情報コードCの形成された担持体90では、透過光の明度の基準値を設定するための基準面c0と、第1面c1と、第2面c2とが、情報コードCの位置crに設けられている。このため、情報コード読取装置は、位置crに設けられた基準面c0と第1面c1と第2面c2との明度から、基準面c0と第1面c1と第2面c2とを透過した光の明度の基準値を設定することが可能になる。そして、明度の基準値に基づき、情報コードCのセル単位に基準面c0と第1面c1と第2面c2とを識別することで、適切に識別することができる。
【0029】
第1実施形態の情報コード読取装置は、担持体90に光を照射し、透過された担持体90の画像を取得する。厚みの違いで、基準面c0を透過した光の明度は低く、第1面c1を透過した光の明度は基準面c0よりも高く、第2面c2を透過した光の明度は第1面c1よりも高い。これにより、基準面c0と、第1面c1と、第2面c2とが識別でき、割り付けられた“0”、“1”、“2”の3値の情報を読み出すことで、単位面積当たりの情報量の高い情報コードCをデコードすることが可能になる。
【0030】
第1実施形態の情報コード読取装置では、基準面c0と、第1面c1と、第2面c2とを透過した光の明度差が得られるように照明器12の照度を調整する照明制御ブロック22を備えるため、明度差に基づき基準面c0と、第1面c1と、第2面c2とが識別でき、割り付けられた“0”、“1”、“2”の3値の情報を読み出すことで、単位面積当たりの情報量の高い情報コードCをデコードすることが可能になる。
【0031】
また、第1実施形態の情報コード読取装置では、受光センサ16が、基準面c0と、第1面c1と、第2面c2とを透過した光の明度差が得られるように露光時間又はゲインを調整するセンサ制御ブロック24を備えるため、明度差に基づき基準面c0と、第1面c1と、第2面c2とが識別でき、割り付けられた“0”、“1”、“2”の3値の情報を読み出すことで、単位面積当たりの情報量の高い情報コードCをデコードすることが可能になる。
【0032】
第1実施形態の情報コード読取装置では、照明器12が情報コードCと対向する面光源から成る。このため、担持体90表面で鏡面反射が起き難く、厚みの異なる基準面c0と、第1面c1と、第2面c2とを透過した光で、明度差を得ることができる。
【0033】
第1実施形態の情報コード読取装置では、担持体90の厚みの厚い基準面c0と、担持体90の厚みが基準面c0よりも薄い第1面c1と、担持体90の厚みが第1面c1よりも薄い第2面c2とを透過した光の明度に基づき、基準面c0と、第1面c1と、第2面c2とを識別する。基準面c0と、第1面c1と、第2面c2とに割り付けられた“0”、“1”、“2”の3値の情報を読み出すことで、単位面積当たりの情報量の高い情報コードCをデコードすることが可能になる。
【0034】
第1実施形態の情報コード読取装置では、情報コードCの所定の位置crに設けられた基準面c0と第1面c1と第2面c2との明度から、基準面c0と第1面c1と第2面c2とを透過した光の明度の基準値を設定できる。そして、明度の基準値に基づき、情報コードCのセル単位に基準面c0と第1面c1と第2面c2とを識別するため、適切に識別することが可能である。
【0035】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る透過読み取り用の情報コードCに付いて図6を参照して説明する。ここで、担持体90及び情報コード読取装置に関しては、上述した第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0036】
図6は、第2実施形態に係る半透明シートから成る担持体90を受光センサ側から見た底面図であり、担持体90の上面側に形成された情報コードCを透過させた状態を示している。第2実施形態の情報コードCは、既存のQRコードと同様な位置検出パターンcc、タイミングパターンcpv、cph等の機能パターンと、データセルとを備える。そして、第1実施形態と同様に情報コードの各セルは、担持体の厚みと等しい基準面c0と、該基準面c0から窪んだ凹部から成る担持体90の厚みが基準面c0よりも薄い第1面c1と、基準面c0から窪んだ第1面c1よりも深い凹部から成る担持体90の厚みが第1面c1よりも薄い第2面c2と、から構成されている。担持体90の厚みの最も厚い透過光の減衰量の最も大きい基準面c0には暗“2”が割り付けられ、担持体90の厚みが中間で、減衰量も中間の第1面c1には灰“1”が割り付けられ、担持体90の厚みが薄く透過光の減衰の最も小さい第2面c2には明“0”が割り付けられことで、上述したように情報コードCの各セルには、明“0”、灰“1”、暗“2”の3値が割り付けられている。
【0037】
そして、垂直方向のタイミングパターンcpvには、透過光の明度の基準値を設定するための基準用の基準面c0と第2面c2とが設けられている。水平方向のタイミングパターンcphには、透過光の明度の基準値を設定するための基準用の基準面c0と第1面c1とが設けられている。
【0038】
第2実施形態の透過読み取り用の情報コードCの形成された担持体では、明度の基準値を設定することを可能にする基準面c0と第1面c1と第2面c2とが、情報コードのタイミングパターンcpv、cphに設けられている。このため、タイミングパターンcpv、cphで兼用して明度の基準値を設定することが可能になり、明度の基準値を設定するためのパターンにより情報コードの単位面積当たりの情報量を減らすことが無い。
【0039】
[第3実施形態]
第3実施形態に係る透過読み取り用の情報コードCに付いて図7を参照して説明する。ここで、担持体90及び情報コード読取装置に関しては、上述した第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0040】
図7は、第3実施形態に係る半透明シートから成る担持体90を受光センサ側から見た底面図であり、担持体90の上面側に形成された情報コードCを透過させた状態を示している。第2実施形態の情報コードCでは、明度の基準値を設定することを可能にする基準面c00と第1面c10と第2面c20とが情報コードCの外部に配置されている。第3実施形態では、基準面c00と第1面c10と第2面c20を大きく形成することが容易で、明度の基準値を設定し易い利点がある。
【0041】
[第4実施形態]
第4実施形態に係る透過読み取り用の情報コードCに付いて図8、図9を参照して説明する。図8は、半透明シートから成る担持体90を図1中の受光センサ16側から見た底面図であり、担持体90の上面側に形成された情報コードCを透過させた状態を示している。図9は、図8中の担持体90のA−A断面を示している。上述したように、第1実施形態の情報コードCでは、明“0”、灰“1”、暗“2”の3値が割り付けられているのに対して、第4実施形態の情報コードCでは、明“0”、明灰“1”、暗灰“2”暗“4”の4値が割り付けられる。
【0042】
図3中の担持体90のA−A断面である図9に示すように、情報コードの各セルは、担持体の厚みと等しい基準面c0と、該基準面c0から窪んだ凹部から成る担持体90の厚みが基準面c0よりも薄い第1面c1と、基準面c0から窪んだ第1面c1よりも深い凹部から成る担持体90の厚みが第1面c1よりも薄い第2面c2と、基準面c0から窪んだ第2面c2よりも深い凹部から成る担持体90の厚みが第2面c2よりも薄い第3面c3と、から構成されている。断面図下の取得画像に示す担持体90の厚みの最も厚い透過光の減衰量の最も大きい基準面c0には暗“3”が割り付けられ、担持体90の厚みが中間より厚くて、減衰量も中間より多い第1面c1には暗灰“2”が割り付けられ、担持体90の厚みが中間より薄くで、減衰量も中間よりも少ない第2面c2には明灰“1”が割り付けられ、担持体90の厚みが薄く透過光の減衰の最も小さい第3面c3には明“0”が割り付けられことで、上述したように情報コードCの各セルには、明“0”、明灰“1”、暗灰“2”暗“4”の4値が割り付けられる。
【0043】
第4実施形態の透過読み取り用の情報コードCの形成された担持体90では、情報コードを構成するセル単位の面は、担持体90の厚みの厚い基準面c0と、担持体90の厚みが基準面c0よりも薄い第1面c1と、担持体90の厚みが第1面c1よりも薄い第2面c2と、担持体90の厚みが第2面c2よりも薄い第3面c3と、から構成され、基準面c0に“0”、第1面c1に“1”、第2面c2に“2”、第3面c3に“3”の情報が割り付けられる。厚みの違いで、基準面c0を透過した光の明度は低く、第1面c1を透過した光の明度は基準面c0よりも高く、第2面c2を透過した光の明度は第1面c1よりも高く、第3面c3を透過した光の明度は第2面c2よりも高い。これにより、基準面c0と、第1面c1と、第2面c2、第3面c3とが識別でき、割り付けられた“0”、“1”、“2”、“3”の4値の情報を読み出すことができるので、明“0”、暗“1”の2値情報を用いる従来の情報コードに対して、単位面積当たりの情報量を2倍にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
上述した第4実施形態では、4階調の情報コードを例示したが、5以上の階調を設けるもとも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1実施形態に係る情報コード読取装置の光学系の構成を示す構成図である。
【図2】第1実施形態の情報コード読取装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態に係る情報コードの形成された担持体を図1中の受光センサ側から見た底面図である。
【図4】図3中の担持体のA−A断面図である。
【図5】情報コード読取装置による情報コード読み取り処理を示すフローチャートである。
【図6】第2実施形態に係る情報コードの形成された担持体を受光センサ側から見た底面図である。
【図7】第3実施形態に係る情報コードの形成された担持体を受光センサ側から見た底面図である。
【図8】第4実施形態に係る情報コードの形成された担持体を受光センサ側から見た底面図である。
【図9】図8中の担持体のA−A断面図である。
【符号の説明】
【0046】
10 光学系
12 照射器
14 結像レンズ
16 受光センサ
22 照明制御ブロック(照度調整手段)
24 センサ制御ブロック(露光時間又はゲインの調整手段)
37 深さ−階調変換ブロック(セル識別手段)
38 デコードブロック(デコード手段)
90 担持体
C 情報コード
c0 基準面
c1 第1面
c2 第2面
cpv タイミングパターン
cph タイミングパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を透過する担持体に形成されセル単位の面から成る透過読み取り用の情報コードであって、
前記セル単位の面は、前記担持体の厚みの厚い基準面と、該基準面から窪んだ凹部から成る前記担持体の厚みが前記基準面よりも薄い第1面と、前記基準面から窪んだ前記第1面よりも深い凹部から成る前記担持体の厚みが前記第1面よりも薄い第2面と、から少なくとも構成され、
前記基準面と、前記第1面と、前記第2面とのそれぞれに値が割り付けられて成る透過読み取り用の情報コードを読み取る情報コード読取装置であって、
前記担持体の前記基準面の上方又は、前記基準面の設けられた反対側の面の下方から光を照射する照射手段と、
前記照射手段により透過された担持体の画像を取得する画像取得手段と、
前記取得された画像のセル単位の明度から、セル単位に前記基準面と、前記第1面と、前記第2面とを識別するセル識別手段と、
前記基準面と、前記第1面と、前記第2面とに割り付けられた値から情報コードをデコードするデコード手段とを備えることを特徴とする情報コード読取装置。
【請求項2】
前記照射手段が、前記基準面と、前記第1面と、前記第2面とを透過した光の明度差が得られるように照度を調整する照度調整手段を備えることを特徴とする請求項1の情報コード読取装置。
【請求項3】
画像取得手段が、前記基準面と、前記第1面と、前記第2面とを透過した光の明度差が得られるように露光時間又はゲインを調整する調整手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2の情報コード読取装置。
【請求項4】
前記照射手段は、前記情報コードと対向する面光源から成ることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1の情報コード読取装置。
【請求項5】
前記セル識別手段は、前記担持体の厚みの厚い前記基準面と、前記担持体の厚みが前記基準面よりも薄い前記第1面と、前記担持体の厚みが前記第1面よりも薄い前記第2面とを透過した光の明度に基づき、前記基準面と、前記第1面と、前記第2面とを識別することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1の情報コード読取装置。
【請求項6】
前記情報コードの所定位置に設けられた前記基準面と、前記第1面と、前記第2面とから、前記基準面と、前記第1面と、前記第2面とを透過した光の明度の基準値を設定する明度基準値設定手段を備え、
前記セル識別手段は、前記明度の基準値に基づき、情報コードのセル単位に前記基準面と、前記第1面と、前記第2面とを識別することを特徴とする請求項5の情報コード読取装置。
【請求項7】
セル単位の面から成る透過読み取り用の情報コードの形成された光を透過する担持体であって、
前記セル単位の面は、前記担持体の厚みの厚い基準面と、該基準面から窪んだ凹部から成る前記担持体の厚みが前記基準面よりも薄い第1面と、前記基準面から窪んだ前記第1面よりも深い凹部から成る前記担持体の厚みが前記第1面よりも薄い第2面と、から構成され、
前記基準面と、前記第1面と、前記第2面とのそれぞれに値が割り付けられて成る透過読み取り用の情報コードの形成された担持体。
【請求項8】
セル単位の面から成る透過読み取り用の情報コードの形成された光を透過する担持体であって、
前記セル単位の面は、前記担持体の厚みの厚い基準面と、該基準面から窪んだ凹部から成る前記担持体の厚みが前記基準面よりも薄い第1面と、前記基準面から窪んだ前記第1面よりも深い凹部から成る前記担持体の厚みが前記第1面よりも薄い第2面と、前記基準面から窪んだ前記第2面よりも深い凹部から成る前記担持体の厚みが前記第2面よりも薄い第3面と、から少なくとも構成され、
前記基準面と、前記第1面と、前記第2面と、前記第3面とのそれぞれに値が割り付けられて成る透過読み取り用の情報コードの形成された担持体。
【請求項9】
透過光の明度の基準値を設定するための前記基準面と、前記第1面と、前記第2面とが、情報コードの所定位置に設けられていることを特徴とする請求項7の透過読み取り用の情報コードの形成された担持体。
【請求項10】
前記情報コードは、QRコードと同じタイミングパターンが設けられ、 前記タイミングパターンは、前記基準面と、前記第1面と、前記第2面とにそれぞれ設けられてなり、透過光の明度の基準値が設けられていることを特徴とする請求項9の透過読み取り用の情報コードの形成された担持体。
【請求項11】
前記担持体は半透明なシートで構成されていることを特徴とする請求項7〜請求項10のいずれか1の透過読み取り用の情報コードの形成された担持体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−140088(P2010−140088A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−313377(P2008−313377)
【出願日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】