説明

情報コード読取装置

【課題】 凹凸により形成された情報コードを容易に読み取ることができる情報コード読取装置を提供する。
【解決手段】 赤、緑、青の三原色のダイオード21r,21g,21bで凹部Sにより形成される情報コードQを照明する。リング状に配置された3色の各ダイオード21r,21g,21bの光が均等に当たる凹部S中の平坦な部分は、三原色を合わせた白色になり、凹部Sのエッジ部分、即ち、凹部Sの輪郭を構成する部分は、1色の照明から影となって当該色が照射させなくなり、他方の2色の光源からのみ照明される。照明された情報コードのカラー画像を撮像し、三原色の合わさった白色以外の色(赤色及び青色の合わさったマゼンタ色mz、赤色及び緑色の合わさった黄色ye、緑色及び青色の合わさったシアン色si)を識別することで、各凹部Sの輪郭を検出し、情報コードを特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹凸により形成された情報コードを読み取ることができる情報コード読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
情報コードとして、対象物に直接、刻印、印刷するダイレクトマーキングが用いられている。刻印のダイレクトマーキング(ドットインパクトダイレクトマーキング)は、対象物の表面に凹部が形成されるのみなので、真上から照明しても反射率が異ならない場合が生じ、情報コードの各セル(凹部)が情報コード読取装置で認識し難いことがある。係る場合には、斜めから照明する等の照明位置、照明方向を調整しながら読み取りを行っていた。特許文献1には、リング照明及び拡散板によって、凹凸のある基板認識マークを認識できるようにした認識装置が開示されている。特許文献2には、3色のリング照明により、レジストパターン、文字パターンを認識できるようにした照明装置が開示されている。
【特許文献1】特開平5−327292号公報
【特許文献2】特開平5−248820号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した刻印のダイレクトマーキングを情報コード読取装置で読み取る際に、照明位置、照明方向を調整してもなかなか読み取れないことがあった。特許文献1では、プリント基板上の凹凸の有る基板認識マークを検出することはできるが、凹凸を検出するものではないため、刻印のダイレクトマーキングの読み取りに応用することはできない。また、特許文献2の被測定物の色に応じた着色色を発光する方法は、刻印のダイレクトマーキングの読み取りに適用することはできない。
【0004】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、凹凸により形成された情報コードを容易に読み取ることができる情報コード読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、凹凸により形成される情報コードを照明する複数色の光源と、
前記光源により照明された情報コードのカラー画像を撮像する撮像手段と、
前記光源からの複数色を合わせた色と異なる色を識別することで、前記情報コードを構成する各凹凸の輪郭を検出し、情報コードを特定する特定手段と、
特定された前記情報コードをデコードするデコード手段と、を備えることを技術的特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1では、複数色の光源で凹凸により形成される情報コードを照明する。複数の光源の光が均等に当たる凹凸中の平坦な部分は、光源からの複数色を合わせた色になり、凹凸のエッジ部分、即ち、凹凸の輪郭を構成する部分は、何れかの色の照明から影となって当該色が照射させなくなり、光源からの複数色を合わせた色と異なる色となる。照明された情報コードのカラー画像を撮像し、光源からの複数色を合わせた色と異なる色を識別することで、情報コードを構成する各凹凸の輪郭を検出し、情報コードを特定する。そして、特定された前記情報コードをデコードする。このため、凹凸により形成される情報コードを容易に読み取ることができる。
【0007】
請求項2では、赤、緑、青内の2色の光源で凹凸により形成される情報コードを照明する。2色の光源の光が均等に当たる凹凸中の平坦な部分は、2色を合わせた色(例えば、赤色、青色の場合にはマゼンタ色)になり、凹凸のエッジ部分、即ち、凹凸の輪郭を構成する部分は、一方の色の照明から影となって当該色が照射させなくなり、他方の色の光源(例えば、赤の1色、青の1色)からのみ照明される。照明された情報コードのカラー画像を撮像し、2色の光源の合わさらない色(例えば、赤色及び青色)を識別することで、情報コードを構成する各凹凸の輪郭を検出し、情報コードを特定する。このため、凹凸により形成される情報コードを容易に読み取ることができる。
【0008】
請求項3では、赤、緑、青内の2色の光源は、同色の光源が1列に配置されると共に、列状の光源が対向するように平行に配置されている。このため、凹凸中の平坦な部分には、対向する方向に配置された2色の光源の光を均等に当て、2色を合わせた色(例えば、赤色、青色の場合にはマゼンタ色)にできる。一方、凹凸のエッジ部分、即ち、凹凸の輪郭を構成する部分は、一方の色の光源から影となるようにして当該色を照射させなくでき、他方の色の光源(例えば、赤の1色、青の1色)からのみ照明されるようにできる。
【0009】
請求項4では、赤、緑、青の三原色の光源で凹凸により形成される情報コードを照明する。同一割合になるようにリング状に配置された3色の各光源の光が均等に当たる凹凸中の平坦な部分は、三原色を合わせた白色になり、凹凸のエッジ部分、即ち、凹凸の輪郭を構成する部分は、1色の照明から影となって当該色が照射させなくなり、他方の2色の光源からのみ照明される。照明された情報コードのカラー画像を撮像し、三原色の合わさった白色以外の色(赤色及び青色の合わさったマゼンタ色、赤色及び緑色の合わさった黄色、緑色及び青色の合わさったシアン色)を識別することで、情報コードを構成する各凹凸の輪郭を検出し、情報コードを特定する。このため、凹凸により形成される情報コードを容易に読み取ることができる。
【0010】
請求項5では、リング状の光源が、撮像手段の中心線に対して同心円状に配置されているため、撮像手段により撮像される範囲を、3色の光源から均等に光りを当てることができる。
【0011】
請求項6では、赤、緑、青の3色の光源が、複数個の光源から成り、各色の光源がそれぞれ集合して配置されている。このため、凹凸中の平坦な部分には、三原色の光源の光を均等に当て白色にできる。一方、凹凸のエッジ部分、即ち、凹凸の輪郭を構成する部分は、一方の色の光源から影となるようにして当該色を照射させなくでき、他の2色の光源からのみ照明されようにして、白色以外の色(赤色及び青色の合わさったマゼンタ色、赤色及び緑色の合わさった黄色、緑色及び青色の合わさったシアン色)にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[第1実施形態]
以下、本発明の情報コード読取装置を2次元コードリーダに適用した第1実施形態について図を参照して説明する。まず、第1実施形態に係る2次元コードリーダ10の構成概要を図1及び図2に基づいて説明する。
【0013】
図1(A)に示すように、2次元コードリーダ10は、丸みを帯びた薄型のほぼ矩形箱状なすハウジング本体11と、このハウジング本体11の下面ほぼ中央後端寄りにハウジング本体11に一体に形成されるグリップ部12と、からなるガンタイプのハウジングを備えている。このグリップ部12は、作業者が片手で把持可能な程度の外径に設定されており、当該グリップ部12を握った作業者の人差し指が当接する部位に、後述する青色照明光Lb、赤色照明光Lrの出射を指示するトリガースイッチ14が設けられている。
【0014】
ハウジング本体11の内部には、後述する回路部20が収容されており、またハウジング本体11の先端部には、青色照明光Lbを出射する青色発光ダイオード21bと、赤色照明光Lrの出射する赤色発光ダイオード21r(図1(A)のB矢視方向から見た照明器21を拡大して示す図1(B)参照)とが配置され、反射光Lrの入射を可能にする読取口11aが形成されている。なお、図1(A)には、回路部20を構成するプリント配線板15,16や、このプリント配線板16に実装される受光センサ23、結像レンズ27等が図示されている。
【0015】
図1(B)に示すように、青色発光ダイオード21bと、赤色発光ダイオード21rとは、同色のダイオードが縦1列で照明器21に配置されると共に、縦1列の青色発光ダイオード21bと、縦1列の赤色発光ダイオード21rとが対向するように平行に配置されている。
【0016】
図2に示すように、回路部20は、主に、青色発光ダイオード21b、赤色発光ダイオード21r、受光センサ23、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40、操作スイッチ42、液晶表示器46等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、電源スイッチ41、電池49等の電源系と、から構成されており、前述したプリント配線板15,16に実装あるいはハウジング本体11内に内装されている。
【0017】
光学系は、青色発光ダイオード21b、赤色発光ダイオード21r、受光センサ23、結像レンズ27等から構成されている。青色発光ダイオード21b、赤色発光ダイオード21rは、青色照明光Lb、赤色照明光Lrを発光可能な照明光源として機能する。第1実施形態では、受光センサ23を挟んだ両側に青色発光ダイオード21b、赤色発光ダイオード21rが設けられており、ハウジング本体11の読取口11aを介して読取対象物Rに向けて青色照明光Lb、赤色照明光Lrを照射可能に構成されている。なお、この読取対象物Rには、刻印のダイレクトマーキング(ドットインパクトダイレクトマーキング)からなる情報コードQが形成されている。
【0018】
受光センサ23は、読取対象物Rや情報コードQに照射されて反射した反射光Lrをカラーで受光可能に構成されるもので、例えば、C−MOSやCCD等の固体撮像素子である受光素子を100万個オーダでm行n列の2次元に配列したカラーエリアセンサが、これに相当する。この受光センサ23の受光面23aは、ハウジング本体11外から読取口11aを介して外観可能に位置しており、受光センサ23は、結像レンズ27を介して入射する入射光をこの受光面23aで受光可能にプリント配線板16に実装されている。
【0019】
結像レンズ27は、外部から読取口11aを介して入射する入射光を集光して受光センサ23の受光面23aに像を結像可能な結像光学系として機能するもので、例えば、鏡筒とこの鏡筒内に収容される複数の集光レンズとにより構成されている。第1実施形態では、青色発光ダイオード21b、赤色発光ダイオード21rから照射された青色照明光Lb、赤色照明光Lrが情報コードQに反射して読取口11aに入射する反射光Lrを集光することにより、受光センサ23の受光面23aにコード像を結像可能にしている。
【0020】
次に、図2に戻ってマイコン系の構成概要を説明する。マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、操作スイッチ42、LED43、ブザー44、液晶表示器46、通信インタフェース48等から構成されている。このマイコン系は、その名の通り、マイコン(情報処理装置)として機能し得る制御回路40およびメモリ35と中心に構成されるもので、前述した光学系によって撮像されたコード像の画像信号をハードウェア的およびソフトウェア的に信号処理し得るものであり、本願の特定手段、デコード手段を構成する。また制御回路40は、当該2次元コードリーダ10の全体システムに関する制御も行っている。
【0021】
光学系の受光センサ23から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力されると、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、メモリ35に入力されると、所定のコード像画像情報格納領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ23およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0022】
メモリ35は、半導体メモリ装置で、例えばRAM(DRAM、SRAM等)やROM(EPROM、EEPROM等)がこれに相当する。またROMには、画像処理プログラムの他、青色発光ダイオード21b、赤色発光ダイオード21r、受光センサ23等の各ハードウェアを制御可能なシステムプログラム等が予め格納されている。
【0023】
制御回路40は、2次元コードリーダ10全体を制御可能なマイコンで、CPU、システムバス、入出力インタフェース等からなるもので、メモリ35とともに情報処理装置を構成し得るもので情報処理機能を有する。この制御回路40には、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置(周辺装置)と接続可能に構成されており、第1実施形態の場合、電源スイッチ41、操作スイッチ42、LED43、ブザー44、液晶表示器46、通信インタフェース48等を接続されている。これにより、例えば、電源スイッチ41や操作スイッチ42の監視や管理、またインジケータとして機能するLED43の点灯・消灯、ビープ音やアラーム音を発生可能なブザー44の鳴動のオンオフ、さらには読み取った情報コードQによるコード内容を画面表示可能な液晶表示器46の画面制御や外部機器とのシリアル通信を可能にする通信インタフェース48の通信制御等を可能にしている。なお、操作スイッチ42には、前述のトリガースイッチ14が含まれている。
【0024】
電源系は、電源スイッチ41、電池49等により構成されており、制御回路40により管理される電源スイッチ41のオンオフによって、上述した各装置や各回路に、電池49から供給される駆動電圧の導通や遮断が制御されている。なお、電池49は、所定の直流電圧を発生可能な2次電池で、例えば、リチウムイオン電池等がこれに相当する。
【0025】
このように2次元コードリーダ10を構成することによって、例えば、電源スイッチ41がオンされて所定の自己診断処理等が正常終了し、作業者が、トリガースイッチ14を押圧しオンにすると、制御回路40が同期信号を基準に青色発光ダイオード21b、赤色発光ダイオード21rに発光信号を出力する。これにより、当該発光信号を受けた青色発光ダイオード21b、赤色発光ダイオード21rは、青色照明光Lb、赤色照明光Lrを照射するため、当該撮像視野内に位置する情報コードQに青色照明光Lb、赤色照明光Lrが照射されてその反射光Lrが読取口11aを介して結像レンズ27に入射する。このため、受光センサ23の受光面23aには、結像レンズ27によりコード像が結像され、それぞれの像が受光センサ23の受光素子に対して露光可能となる。
【0026】
第1実施形態では、青色発光ダイオード21bと赤色発光ダイオード21rとの2色の照明を用いることで、対象物Rに刻印されたダイレクトマーキング(ドットインパクトダイレクトマーキング)からなる情報コードQを読み取れるようにしている。
図3(A)は、凹部(セル)Sからなる情報コードQと、照明器21との対応関係を示す模式図であり、図3(B)は、青色発光ダイオード21bからの青色照明光Lbと赤色発光ダイオード21rからの赤色照明光Lrとによる凹部Sの照明範囲を示す説明図であり、図3(C)は、凹部Sでの青色照明光Lb、赤色照明光Lrによる着色色の説明図である。
【0027】
図3(B)に示すように赤色発光ダイオード21rからの赤色照明光Lrは、凹部Sの図中右側のエッジre近傍で影になり照射されない部分ができる。この部分は、青色発光ダイオード21bからの青色照明光Lbのみ照射されるので青色cbになる。凹部Sを上側(即ち2次元コードリーダ10側)から見た青色照明光Lb、赤色照明光Lrによる着色色を示す図3(C)のように、凹部Sの右側の側縁(エッジ部分)、即ち、凹部Sの輪郭部右側は半割のリング状に青色cbになる。
【0028】
反対に、図3(B)に示すように青色発光ダイオード21bからの青色照明光Lbは、凹部Sの図中左側のエッジle近傍で影になり照射されない部分ができる。この部分は、赤色発光ダイオード21rからの赤色照明光Lrのみ照射されるので赤色crになる。図3(C)のように、凹部Sの左側の側縁(エッジ部分)、即ち、凹部Sの輪郭部左側は半割のリング状に赤色crになる。
【0029】
エッジを除く中央部では、赤色発光ダイオード21rからの赤色照明光Lrと青色発光ダイオード21bからの青色照明光Lbとが照射され、赤色光と青色光を重ねたマゼンタ色mzになる。なお、凹部Sの外側も同様にマゼンタ色となる。
【0030】
第1実施形態の2次元コードリーダ10は、図3(C)に示したマゼンタ色以外の凹部Sの輪郭部の半割リング状の青色cbと半割リング状の赤色crとを識別し、凹部Sの輪郭を得る。即ち、照明された情報コードのカラー画像を撮像し、制御回路40は、青色発光ダイオード21b、赤色発光ダイオード21rからの青色、赤色を合わせたマゼンタ色と異なる色(青色、赤色)を識別することで、情報コードQを構成する各凹部Sの輪郭を検出し、情報コードQを特定する。そして、特定された情報コードQをデコードする。同様に、凸部から形成された情報コードをデコードできるため、凹凸により形成される情報コードを容易に読み取ることができる。
【0031】
第1実施形態の2次元コードリーダ10は、青色発光ダイオード21bと、赤色発光ダイオード21rとは、同色のダイオードが縦1列に照明器21に配置されると共に、縦1列の青色発光ダイオード21bと、縦1列の赤色発光ダイオード21rとが対向するように平行に配置されている。このため、凹凸中の平坦な部分には、対向する方向に配置された赤青2色のダイオードの光を均等に当て、赤青2色を合わせたマゼンタ色にできる。一方、凹凸のエッジ部分、即ち、凹凸の輪郭を構成する部分は、一方の色のダイオードから影となるようにして当該色を照射させなくでき、他方の色のダイオード(赤の1色、青の1色)からのみ照明されようにできる。
【0032】
なお、第1実施形態の2次元コードリーダ10は、赤色と青色を用いマゼンタ色以外を検出したが、赤色と緑色を用いて黄色以外を検出することも、緑色と青色を用いて、シアン色以外を検出することもできる。ここで、第1実施形態の2次元コードリーダ10は、下地に直接印刷された二次元コード、及び、シール状の二次元コード、例えば、白いシールに黒で印刷された二次元コードに対しても、白地に重ねたマゼンタ色と当該色以外を検出することで読み取ることができる。
【0033】
[第2実施形態]
引き続き、図4〜図6を参照して本発明の第2実施形態に係る2次元コードリーダ10について説明する。
図4(A)は第2実施形態に係る2次元コードリーダのハウジング等の構成概要を示す説明図である。図5は、2次元コードリーダの回路部の構成概要を示すブロック図である。前述した第1実施形態では、2色の発光ダイオードを用いた。これに対して、第2実施形態では、3色(三原色)の発光ダイオードを用いる。図4(A)及び図4(A)のB矢視方向から見た照明器を拡大して示す説明図である図4(B)に示すように、照明器121はリング状に形成され、それぞれ複数個の青色発光ダイオード21bと、赤色発光ダイオード21rと、緑色発光ダイオード21gとが、青、赤、緑の3色が同一割合になるようにリング状に配置される。また、各青色発光ダイオード21bと、赤色発光ダイオード21rと、緑色発光ダイオード21gとが、それぞれ集合して配置されている。即ち、リング状の照明器121を120度で3分割した範囲にそれぞれ配置されている。なお、照明器121の青色発光ダイオード21bと、赤色発光ダイオード21rと、緑色発光ダイオード21gは、受光センサ23の中心線Xに対して同心円状に配置され、受光センサ23により撮像される範囲に3色のダイオードから均等に光りを当てるようにしている。
【0034】
図6(A)は、凹部(セル)Sからなる情報コードQと、照明器121との対応関係を示す模式図であり、図6(B)は、青色発光ダイオード21bからの青色照明光Lbと赤色発光ダイオード21rからの赤色照明光Lrとによる凹部Sの照明範囲を示す説明図であり、図6(C)は、凹部Sでの青色照明光Lb、赤色照明光Lr及び緑色発光ダイオード21gからの緑色照明光による着色色の説明図である。
【0035】
図6(B)に示すように赤色発光ダイオード21rからの赤色照明光Lrは、凹部Sの図中右側のエッジre近傍で影になり照射されない部分ができる。この部分は、青色発光ダイオード21bからの青色照明光Lb、及び、図示しない緑色発光ダイオード21gからの緑色照明光が照射されるので、青、緑を合わせたシアン色siになる。凹部Sを上側(即ち、2次元コードリーダ10側)から見た青色照明光Lb、赤色照明光Lr、緑色照明光による着色色を示す図6(C)のように、凹部Sの右上側の側縁(エッジ部分)、即ち、凹部Sの該当輪郭部は3分割のリング状にシアン色siになる。
【0036】
反対に、図6(B)に示すように青色発光ダイオード21bからの青色照明光Lbは、凹部Sの図中左側のエッジle近傍で影になり照射されない部分ができる。この部分は、赤色発光ダイオード21rからの赤色照明光Lr及び図示しない緑色発光ダイオード21gからの緑色照明光が照射されるので黄色yeになる。図6(C)のように、凹部Sの左上側の側縁(エッジ部分)、即ち、凹部Sの該当輪郭部は3分割のリング状に黄色yeになる。
【0037】
図6(C)中に示すように凹部Sの図中下側の側縁(エッジ部分)、即ち、凹部Sの下側輪郭部は、緑色発光ダイオード21gからの緑色照明光からの影となり照射されない部分ができる。この部分は、赤色発光ダイオード21rからの赤色照明光Lr及び青色発光ダイオード21bからの青色照明光Lbが照射されるのでマゼラン色mzになる。
【0038】
エッジを除く中央部では、赤色照明光Lrと青色照明光Lbと緑色照明光とが照射され、赤色光と青色光と緑色光を重ねた白色whになる。なお、凹部Sの外側も同様に白色whとなる。
【0039】
第2実施形態の2次元コードリーダ10は、図6(C)に示した白色以外の凹部Sの輪郭部の3分割リング状のシアン色siと、3分割リング状の黄色yeと、3分割リング状のマゼラン色mzとを識別し、凹部Sの輪郭を得る。即ち、照明された情報コードのカラー画像を撮像し、制御回路40は、ダイオードからの三原色を合わせた白色と異なる色を識別することで、情報コードを構成する各凹部Sの輪郭を検出し、情報コードQを特定する。そして、特定された情報コードQをデコードする。同様に、凸部から形成された情報コードをデコードできるため、凹凸により形成される情報コードを容易に読み取ることができる。なお、この第2実施形態の2次元コードリーダ10は、三原色を重ねた白色を照射し、白色と白色以外とを識別して情報コードを検出するので、第1実施形態の2次元コードリーダ10と比較して、一般的な二次元コードを読み取り易いという利点がある。
【0040】
第2実施形態の2次元コードリーダ10では、赤、緑、青の三原色のダイオード21r、21g、21bで凹部Sにより形成される情報コードQを照明する。リング状に配置された3色の各ダイオード21r、21g、21bの光が均等に当たる凹部S中の平坦な部分は、三原色を合わせた白色になり、凹部Sのエッジ部分、即ち、凹部Sの輪郭を構成する部分は、1色の照明から影となって当該色が照射させなくなり、他方の2色のダイオードからのみ照明される。照明された情報コードのカラー画像を撮像し、三原色の合わさった白色以外の色(赤色及び青色の合わさったマゼンタ色mz、赤色及び緑色の合わさった黄色ye、緑色及び青色の合わさったシアン色si)を識別することで、各凹部Sの輪郭を検出し、情報コードを特定する。このため、凹凸により形成される情報コードを容易に読み取ることができる。
【0041】
また、第2実施形態の2次元コードリーダ10では、赤、緑、青の3色のダイオード21r、21g、21bが、複数個のダイオードから成り、各色のダイオードがそれぞれ集合して配置されている。このため、凹凸中の平坦な部分には、三原色の光源(ダイオード)の光を均等に当て白色whにできる。一方、凹凸のエッジ部分、即ち、凹凸の輪郭を構成する部分は、一方の色の光源から影となるようにして当該色を照射させなくでき、他の2色の光源からのみ照明されようにして、白色以外の色(赤色及び青色の合わさったマゼンタ色mz、赤色及び緑色の合わさった黄色ye、緑色及び青色の合わさったシアン色si)にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
上述した実施形態では、情報コード読取装置として2次元コードリーダを例に挙げたが、本発明の構成は、凹凸により形成されたバーコードを読み取るバーコード読取装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1(A)は本発明の第1実施形態に係る2次元コードリーダのハウジング等の構成概要を示す説明図であり、図1(B)は、図1(A)のB矢視方向から見た照明器を拡大して示す説明図である。
【図2】第1実施形態に係る2次元コードリーダの回路部の構成概要を示すブロック図である。
【図3】図3(A)は、凹部(セル)からなる情報コードと、照明器との対応関係を示す模式図であり、図3(B)は、青色発光ダイオードからの青色照明光と赤色発光ダイオードからの赤色照明光とによる凹部の照明範囲を示す説明図であり、図3(C)は、凹部での青色照明光、赤色照明光による着色色の説明図である。
【図4】図4(A)は第2実施形態に係る2次元コードリーダのハウジング等の構成概要を示す説明図であり、図4(B)は、図4(A)のB矢視方向から見た照明器を拡大して示す説明図である。
【図5】第2実施形態に係る2次元コードリーダの回路部の構成概要を示すブロック図である。
【図6】図6(A)は、凹部(セル)からなる情報コードと、照明器との対応関係を示す模式図であり、図6(B)は、青色発光ダイオードからの青色照明光と赤色発光ダイオードからの赤色照明光とによる凹部の照明範囲を示す説明図であり、図6(C)は、凹部での青色照明光、赤色照明光、緑色照明光による着色色の説明図である。
【符号の説明】
【0044】
10…2次元コードリーダ(情報コード読取装置)
20…回路部
21b…青色発光ダイオード
21g…青色発光ダイオード
21r…青色発光ダイオード
23…受光センサ(撮像手段)
23a…受光面
27…結像レンズ
35…メモリ
40…制御回路(特定手段、デコード手段)
Lf…照明光
Lr…反射光
Q…情報コード
D…凹部(セル)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹凸により形成される情報コードを照明する複数色の光源と、
前記光源により照明された情報コードのカラー画像を撮像する撮像手段と、
前記光源からの複数色を合わせた色と異なる色を識別することで、前記情報コードを構成する各凹凸の輪郭を検出し、情報コードを特定する特定手段と、
特定された前記情報コードをデコードするデコード手段と、を備えることを特徴とする情報コード読取装置。
【請求項2】
前記複数色の光源は、赤、緑、青内の2色の光源であることを特徴とする請求項1の情報コード読取装置。
【請求項3】
前記2色の光源は、同色の光源が1列に配置されると共に、列状の光源が対向するように平行に配置されていることを特徴とする請求項2の情報コード読取装置。
【請求項4】
前記複数色の光源は、赤、緑、青の3色の光源であり、3色が同一割合になるようにリング状に各光源が配置されていることを特徴とする請求項1の情報コード読取装置。
【請求項5】
前記リング状の光源は、前記撮像手段の中心線に対して同心円状に配置されていることを特徴とする請求項4の情報コード読取装置。
【請求項6】
前記赤、緑、青の3色の光源が、複数個の光源から成り、各色の光源がそれぞれ集合して配置されていることを特徴とする請求項4又は請求項5の情報コード読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−286793(P2007−286793A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−111723(P2006−111723)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】