説明

情報入力装置

【課題】 安定的にIC情報を読み取ることができる情報入力装置を提供する。
【解決手段】 情報入力装置1は、設置面による磁界強度の変動を緩和する変動緩和部材を有する。この変動緩和部材は、底面板金50であり、金属部材で構成され、例えば、ステンレス、アルミ、銅、又は、鉄で形成される。底面板金50は、アンテナ20の外周より大きくすることで、設置面からの影響を緩和し、情報入力装置1は、ICチップと安定的に無線通信を行うことができる。そのため、底面板金50は、鉛直上方から見た時、アンテナ20の投影面積内には、大きな穴加工を施してはならず、アンテナ20より外側に施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、非接触式ICカードの券面の画像を光学的に読み取る画像読取手段を備えたことを特徴とするICカードリーダライタが開示されている。
また、特許文献2には、原稿を載置するための原稿台と、前記原稿台に載置された原稿を副走査方向に移動し光学的に走査するための原稿走査手段と、走査された原稿画像を光学的に読み取り電子データに変換する画像読取手段とを有する画像読取装置において、メモリとアンテナを含む無線通信素子と通信するための少なくとも一つの通信アンテナを前記原稿走査手段上に具備し、前記通信アンテナを介して前記無線通信素子内のメモリからの情報の読み出し及びメモリへの情報の書き込みを行う手段とを備えたことを特徴とする画像読取装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−134054
【特許文献2】特開2006−203630
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、IC情報が安定的に読み取ることができる情報入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る情報入力装置は、非金属材料で構成された筐体と、前記筐体の上部に設けられたアンテナと、前記筐体の下部に設けられ、この情報入力装置の設置面による磁界強度の変動を緩和させる変動緩和部材とを有する。
【0006】
好適には、前記変動緩和部材は、前記アンテナの外周よりも大きな金属部材で構成されている。
【0007】
好適には、前記筐体の上部に設けられ、ICチップの読み取りを行う読取面をさらに有し、前記アンテナは、前記読取面の周囲に配置され、前記読取面に載せられたICチップの読み取りを行い、前記変動緩和部材は、前記筐体の底面に配置され、鉛直上方から見た場合に、前記アンテナよりも広い投影面積を有する。
【0008】
好適には、前記変動緩和部材は、直径13mm以下の穴が設けられた金属シートである。
【0009】
好適には、前記金属シートに設けられた穴は、この情報入力装置を鉛直上方から見た場合に、前記アンテナよりも外側に位置する。
【0010】
好適には、前記変動緩和部材は、前記アンテナから10mm以上離間している。
【0011】
好適には、前記変動緩和部材は、前記筐体の底面と側面の一部を覆う金属部材である。
【0012】
好適には、前記読取面は、透明なシート状の部材で構成されており、前記読取面に載置された原稿を副走査方向に移動し、光学的に走査する画像読取手段と、前記読取面に載置された原稿に付されたICチップから、前記アンテナを介して無線通信により情報を取得する情報取得手段とをさらに有する。
【0013】
好適には、前記画像読取手段は、非金属部材が含まれた導光部材と、金属部材が含まれた受光素子とで構成されており、前記画像読取手段の導光部材は、前記読取面に近接する位置に配置され、前記画像読取手段の受光素子は、前記アンテナから10mm以上離間した位置に配置されている。
【0014】
好適には、前記情報取得手段は、前記画像読取手段が既定の位置に存在する時に限り、前記アンテナを介して無線通信を行う。
【0015】
好適には、前記画像読取手段及び前記情報取得手段を制御する制御手段をさらに有し、
前記制御手段は、同一の原稿に対して、前記画像読取手段による画像読取処理と、前記情報取得手段による情報読取処理とを連続的に実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、IC情報を安定的に読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係る情報入力装置1の斜視図である。
【図2】図1に示した本実施形態に係る情報入力装置1の平面図である。
【図3】図2のA−A線矢視断面図である
【図4】ガラス2を例示する斜視図である。
【図5】アンテナ20を例示する斜視図である。
【図6】トップカバー30を例示する斜視図である。
【図7】シールド板金40を例示する斜視図である。
【図8】ベースフレーム32を例示する斜視図である。
【図9】底面板金50を例示する斜視図である。
【図10】本実施形態に係る情報入力装置1の変形例を例示する斜め上方からの斜視図である。
【図11】本実施形態に係る情報入力装置1の変形例を例示する斜め下方からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
まず、本実施形態の背景と概要を説明する。
一般的な非接触型IC読取装置は、アンテナとICチップ間との磁界を利用する電磁誘導方式を利用し通信している。そのため、通信時は、設置環境により磁界強度が変動しやすいほか、アンテナとICチップ間やその周辺に金属部材があると、磁界の影響により周辺に存在する金属部材に渦電流が流れ、反磁界が発生する。そのため、本来必要な通信用の磁界が弱まり、通信距離が短くなるため、読取時の障害となる。
【0019】
本実施形態の情報入力装置1は、電磁誘導方式を利用して、原稿に付されたICチップから情報を取得する機能と、原稿から光学的に画像を読み取る機能とを有する。また、情報入力装置1は、縦30cm以下、横30cm以下、高さ30cm以下(好ましくは5cm以下)の大きさを有するハンディタイプの装置である。本実施形態の情報入力装置1は、小型化によって、どこにでも持ち運びでき、広い設置場所を必要としない手軽さを実現する。
しかし、磁界強度は、設置環境や設置面の素材により変動するため、全ての設置場所で通信時に必要な磁界強度を保てるとは限らない。特に、本実施形態の情報入力装置1では、高さを30cm以下に抑えているため、ICチップの読取面と設置面との距離が短く、設置面による磁界変動の影響を受けやすい傾向がある。
また、本実施形態の情報入力装置1に設けられたアンテナは、A6サイズ以上の領域を包含するループ形状である。ループアンテナの読取領域の中心付近の磁界強度は、その周囲の領域より弱くなる傾向がある。そのため、読取面が比較的広くなると、ループアンテナの読取領域の中心付近の磁界強度を保つことが難しくなる。一方で、徒に磁界強度を強くすると、ICチップを破壊する虞がある。
そこで、本実施形態の情報入力装置1は、設置面による磁界強度の変動を抑制する変動抑制部材を有し、かつ、この変動抑制部材による磁界強度の影響を加味して、アンテナの出力強度を設定している。
【0020】
以下、本発明の実施形態の外装構成を、図面を参照して説明する。ただし、本発明の範囲は、図示例に限定されるものではない。
図1は、本実施形態に係る情報入力装置1の斜視図である。
図2は、図1に示した本実施形態に係る情報入力装置1の平面図である。
【0021】
図1及び図2に例示するように、情報入力装置1は、原稿を載置できるガラス2と、機械部分を収納する筐体3とで構成されている。筐体3は、載置された原稿を固定することができる原稿台カバー(不図示)を設置できる。
【0022】
ガラス2は、四角形で透明なシート状部材である。本例のガラス2は、ガラス製であるが、透明であり、かつ、透磁性を有していれば、他の材質によって構成してもよく、例えば、透明なプラスチック板などであってもよい。
ガラス2の表面には、アンテナ20と、アンテナ貼付領域12と、読取面10とが構成される。アンテナ貼付領域12には、アンテナ20が貼り付けられる。読取面10は、アンテナ20に囲まれた領域であり、原稿台として機能する。
【0023】
アンテナ20は、ループ形状をしており、電流を通す素材で構成されている。アンテナ20は、原稿に付された非接触型ICチップの読み取りを行うために、非接触型ICチップに対応する磁界を発生し、非接触型ICチップ内に起電力を起こさせ、通信を行う。本例のアンテナ20は、ガラス2の筐体3に面する側に固定され、ガラス2の縁沿いにループ状に配置されている。
アンテナ20の出力は、後述する底面板金50の影響を加味して設定されている。すなわち、アンテナ20は、底面板金50の固定的な影響が存在しても、読取面10のいずれにICチップが配置されても、配置されたICチップからIC情報を読み取ることができる程度の出力強度に設定されている。
【0024】
アンテナ貼付領域12は、ループ状のアンテナ20を貼り付けたガラス2上の領域である。アンテナ貼付領域12は、載置された原稿を光学的に走査することができない領域でもある。
【0025】
読取面10は、アンテナ貼付領域12に囲われた領域である。読取面10は、載置された原稿を光学的に走査するため、筐体3の内部を見通すことができる。読取面10は、画像を読み取るべき原稿、又は、非接触型ICチップが付された媒体(以下、これも原稿という)を載置するところである。読取面10は、少なくとも、A6(105mm×148mm)サイズ又はパスポートの片面が入るサイズに設定されている。
【0026】
図3は、図2のA−A線矢視断面図である。
図4は、ガラス2を例示する斜視図である。
図5は、アンテナ20を例示する斜視図である。
図6は、トップカバー30を例示する斜視図である。
図7は、シールド板金40を例示する斜視図である。
図8は、ベースフレーム32を例示する斜視図である。
図9は、底面板金50を例示する斜視図である。
図3〜図9に示すように、筐体3は、側面を構成するトップカバー30と、底面を構成するベースフレーム32とで構成されている。筐体3の内部には、シールド板金40が配置され、筐体3の底面には底面板金50が配置されている。
【0027】
トップカバー30は、図6に例示するように、情報入力装置1の筐体3の側面外装である。トップカバー30の材質は、非金属材料であり、例えば、合成樹脂で形成されている。トップカバー30は、直方体の形で、上面部及び下面部に大きな開口を有する。また、トップカバー30は、原稿台カバーを持ち上げるための窪みがあり、その付近には情報入力装置1を起動させる電源ボタンが設置されている。
【0028】
シールド板金40は、図7に例示するように、情報入力装置1の内部骨格である。シールド板金40の材質は、金属部材で、例えば、ステンレス、アルミ、銅、又は鉄で形成されている。シールド板金40は、トップカバー30に収まる略四角形の大きさであり、端は固定できるよう略垂直に立ち上がっている。
シールド板金40は、アンテナ20から10mm以上は離間して設置され、制御装置など(不図示)から発生する電磁波をシールドする。
【0029】
ベースフレーム32は、図8に例示するように、情報入力装置1の筐体3の底面外装である。ベースフレーム32の材質は、非金属部材で、例えば、合成樹脂で形成されている。ベースフレーム32は、四角形の形状でありトップカバー30に合致する大きさである。ベースフレーム32は、情報入力装置1を保持するためのくびれが設けられており、副走査方向の両端にあるため安易に持ち運びができる。
【0030】
底面板金50は、図9に例示するように、シート状の金属部材であり、例えば、ステンレス、アルミ、銅、鉄で形成される。底面板金50は、本発明に係る変動緩和部材の一例である。
底面板金50は、設置する環境により情報入力装置1が影響を受けないよう機能する。
本例の底面板金50は、アンテナ20の外周よりも大きな面積を有する略四角形状の板である。また、本例の底面板金50は、固定するための取付け穴と、ベースフレーム32とある程度の距離を保つことのできる突起をそれぞれ四隅に有する。底面板金50に設けられた取付け穴は、直径13mm以下である。また、底面板金50の取付け穴は、情報入力装置1を鉛直上方から見た場合、アンテナ20よりも外側に配置されている。底面板金50には、取付け穴の他に、穴を設けることができるが、穴の直径を13mm以下とし、かつ、アンテナ20よりも外側に配置されることが望ましい。また、底面板金50は、アンテナ20から10mm以上は離間して設置される。
【0031】
また、筐体3には、原稿から画像を読み取るための移動ユニット(不図示)が設けられている。移動ユニットの上部(すなわち、ガラス2に近い部分)に、非金属部材で構成された導光体が設けられており、移動ユニットの下部(すなわち、ガラス2から遠い部分)に、金属部分を含む受光素子が設けられている。受光素子は、移動ユニットの長手方向(主走査方向)に配列され、ライン状のイメージセンサを形成する。
移動ユニットは、画像読取動作の時に、ガラス2に近接する下方を副走査方向に移動し、導光体で導かれた原稿の反射光を、受光素子で読み取っていく。
また、筐体3内には、IC情報取得部と、制御装置と、電力供給部とが設けられている。IC情報取得部は、アンテナ20を介して、ICチップからIC情報を読み取る。制御装置は、IC情報取得部と、移動ユニットとを制御する。電力供給部は、アンテナ20、移動ユニット及びIC情報取得部などの他の構成で電力を供給する。
【0032】
以上説明したように、情報入力装置1は、様々な場所に設置されても、読取面10に載置された原稿のICチップから、安定的にIC情報を読み取ることができる。
【0033】
次に、上記実施形態の変形例を説明する。
上記実施形態では、底面板金50は、略四角形でベースフレーム32と類似する大きさと説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、底面板金50は、図10及び図11に例示するように、トップカバー30まで覆ってもよい。ただし、底面板金50の立ち上がっている端面は、アンテナ20より約10mm以上離間している。
【符号の説明】
【0034】
1…情報入力装置
2…ガラス
3…筐体
10…読取面
12…アンテナ貼付領域
20…アンテナ
30…トップカバー
32…ベースフレーム
40…シールド板金
50…底面板金

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非金属材料で構成された筐体と、
前記筐体の上部に設けられたアンテナと、
前記筐体の下部に設けられ、この情報入力装置の設置面による磁界強度の変動を緩和させる変動緩和部材と
を有する情報入力装置。
【請求項2】
前記変動緩和部材は、前記アンテナの外周よりも大きな金属部材で構成されている
請求項1に記載の情報入力装置。
【請求項3】
前記筐体の上部に設けられ、ICチップの読み取りを行う読取面
をさらに有し、
前記アンテナは、前記読取面の周囲に配置され、前記読取面に載せられたICチップの読み取りを行い、
前記変動緩和部材は、前記筐体の底面に配置され、鉛直上方から見た場合に、前記アンテナよりも広い投影面積を有する
請求項2に記載の情報入力装置。
【請求項4】
前記変動緩和部材は、直径13mm以下の穴が設けられた金属シートである
請求項3に記載の情報入力装置。
【請求項5】
前記金属シートに設けられた穴は、この情報入力装置を鉛直上方から見た場合に、前記アンテナよりも外側に位置する
請求項4に記載の情報入力装置。
【請求項6】
前記変動緩和部材は、前記アンテナから10mm以上離間している
請求項3に記載の情報入力装置。
【請求項7】
前記変動緩和部材は、前記筐体の底面と側面の一部を覆う金属部材である
請求項6に記載の情報入力装置。
【請求項8】
前記読取面は、透明なシート状の部材で構成されており、
前記読取面に載置された原稿を副走査方向に移動し、光学的に走査する画像読取手段と、
前記読取面に載置された原稿に付されたICチップから、前記アンテナを介して無線通信により情報を取得する情報取得手段と
をさらに有する
請求項3に記載の情報入力装置。
【請求項9】
前記画像読取手段は、非金属部材が含まれた導光部材と、金属部材が含まれた受光素子とで構成されており、
前記画像読取手段の導光部材は、前記読取面に近接する位置に配置され、
前記画像読取手段の受光素子は、前記アンテナから10mm以上離間した位置に配置されている
請求項8に記載の情報入力装置。
【請求項10】
前記情報取得手段は、前記画像読取手段が既定の位置に存在する時に限り、前記アンテナを介して無線通信を行う
請求項8に記載の情報入力装置。
【請求項11】
前記画像読取手段及び前記情報取得手段を制御する制御手段
をさらに有し、
前記制御手段は、同一の原稿に対して、前記画像読取手段による画像読取処理と、前記情報取得手段による情報読取処理とを連続的に実行させる
請求項8に記載の情報入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−85091(P2013−85091A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223143(P2011−223143)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000136136)株式会社PFU (354)
【Fターム(参考)】