説明

情報再生装置、再生開始方法及び再生開始プログラム

【課題】本発明は、メイン電子機器2に対して迅速に要求データを供給することができる。
【解決手段】本発明は、メイン電子機器2から供給される指示回転速度Sdに応じた読出速度で光ディスク100から読出データを読み出してバッファ20Aに一時記憶し、メイン電子機器2から供給される要求特定情報に応じた要求データをバッファメモリ20から読み出してメイン電子機器2に供給し、光ディスク100の回転が停止した状態で要求特定情報が供給されると、バッファメモリ20から要求データを読み出して供給する一方、光ディスク100を最も小さい想定回転速度Si1で回転させて情報を読み出し、バッファメモリ20Aにおける格納データ量Daが所定の記憶量以上となるタイミングで次の想定回転速度Si2〜Si4へ順次変更するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報再生装置、再生開始方法及び再生開始プログラムに関し、例えば光ディスクに記録された各種情報を再生する光ディスク装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光ディスク装置においては、光ディスクに対して音楽コンテンツや映像コンテンツ、或いは各種データ等の情報を記録し、また当該光ディスクから当該情報を再生するようになされたものが広く普及している。
【0003】
この光ディスク装置としては、例えばノート型のパーソナルコンピュータや、携帯型のDVD(Digital Versatile Disc)再生装置などの各種電子機器に搭載されるようになされたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この光ディスク装置では、搭載されている電子機器(以下、これを外部機器と呼ぶ)からの要求に応じて光ディスクから情報を読み出し、当該情報を外部機器に供給するようになされている。
【特許文献1】特開2000−348431公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで近年、再生処理における光ディスクの回転速度が高速化している。このような光ディスク装置では、光ディスクを所定の回転速度まで上昇させるまでに時間を要するため、光ディスクからの情報の読出を開始するまでに時間を要してしまい、外部機器に対する情報の供給の開始までに時間を要するという問題があった。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、外部機器に対する情報の供給を開始するまでの時間を短縮し得る情報再生装置、再生開始方法及び再生開始プログラムを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明においては、外部機器が要求するデータを特定する要求特定情報及びデータが記憶されたディスク状でなる記憶媒体の回転速度を指示する指示回転速度を受信する受信部と、予め想定されている複数の想定回転速度のうち、指示回転速度に基づいて設定回転速度を設定し、当該設定回転速度で記憶媒体を回転させるディスク回転部と、記憶媒体の設定回転速度に応じた読出速度で記憶媒体からデータを読み出すデータ読出部と、読み出したデータを記憶すると共に、記憶された当該データのうち要求特定情報に対応するデータを外部機器に供給するデータ記憶部と、データ記憶部における現在の記憶されたデータの記憶量が所定量以上であるか否かを判別するデータ量判別部とを設け、ディスク回転部は、記憶媒体が停止した状態から回転を開始する際に、複数の想定回転速度のうち、指示回転速度よりも小さい想定回転速度を設定回転速度に設定し、データ量判別部によってデータ記憶部に所定量以上のデータが記憶されたと判別される度に、設定回転速度をより大きい想定回転速度へ変更することにより、段階的に設定回転速度を指示回転速度まで引き上げるようにした。
【0008】
これにより最小の想定回転速度で記憶媒体を回転させた状態でデータの読出を迅速に開始すると共に、設定回転速度を変更する際に、データ記憶部に記憶されたデータがゼロになるのを極力防止することができる。
【0009】
また本発明においては、外部機器が要求するデータを特定する要求特定情報及びデータが記憶されたディスク状でなる記憶媒体に対する外部機器の指示を表す指示回転速度に応じて、予め想定されている複数の想定回転速度のうち、指示回転速度に基づいて設定回転速度を設定し、当該設定回転速度で記憶媒体を回転させ、記憶媒体の設定回転速度に応じた読出速度で記憶媒体からデータを読み出してデータ記憶部に記憶すると共に、記憶された当該データのうち要求特定情報に対応するデータを外部機器に供給する情報再生装置に対する記憶媒体が停止した状態から回転を開始する際の再生開始方法であって、複数の想定回転速度のうち、指示回転速度よりも小さい想定回転速度を設定回転速度に設定する回転速度設定ステップと、設定回転速度が指示回転速度でない場合に、データ記憶部におけるデータの現在の記憶量が所定量以上であるか否かを判別するデータ量判別ステップと、データ記憶部に所定量以上のデータが記憶されたと判別される度に、設定回転速度をより大きい想定回転速度へ変更することにより、段階的に設定回転速度を指示回転速度まで引き上げる回転速度変更ステップとを設けるようにした。
【0010】
これにより最小の想定回転速度で記憶媒体を回転させた状態でデータの読出を迅速に開始すると共に、設定回転速度を変更する際に、データ記憶部に記憶されたデータがゼロになるのを極力防止することができる。
【0011】
さらに本発明においては、外部機器が要求するデータを特定する要求特定情報及びデータが記憶されたディスク状でなる記憶媒体に対する外部機器の指示を表す指示回転速度に応じて、予め想定されている複数の想定回転速度のうち、指示回転速度に基づいて設定回転速度を設定し、当該設定回転速度で記憶媒体を回転させ、記憶媒体の設定回転速度に応じた読出速度で記憶媒体からデータを読み出してデータ記憶部に記憶すると共に、記憶された当該データのうち要求特定情報に対応するデータを外部機器に供給する情報再生装置に対して、記憶媒体が停止した状態から回転を開始する際に、複数の想定回転速度のうち、指示回転速度よりも小さい想定回転速度を設定回転速度に設定する回転速度設定ステップと、設定回転速度が指示回転速度でない場合に、データ記憶部におけるデータの現在の記憶量が所定量以上であるか否かを判別するデータ量判別ステップと、データ記憶部に所定量以上のデータが記憶されたと判別される度に、設定回転速度をより大きい想定回転速度へ変更することにより、段階的に設定回転速度を指示回転速度まで引き上げる回転速度変更ステップとを設けるようにした。
【0012】
これにより最小の想定回転速度で記憶媒体を回転させた状態でデータの読出を迅速に開始すると共に、設定回転速度を変更する際に、データ記憶部に記憶されたデータがゼロになるのを極力防止することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、最小の想定回転速度で記憶媒体を回転させた状態で読出データの読出を迅速に開始すると共に、設定回転速度を変更する際に、データ記憶部に記憶された読出データがゼロになるのを極力防止することができ、かくして外部機器に対する情報の供給を開始するまでの時間を短縮し得る情報再生装置、再生開始方法及び再生開始プログラム
を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0015】
(1)全体構成
図1に示すように、光ディスク装置1を搭載しているノート型パーソナルコンピュータなどの電子機器(以下、これをメイン電子機器と呼ぶ)2は、図示しないバッテリによって駆動し、光ディスク装置1に装填されたBD(Blu-ray Disc、登録商標)−RE(Rewritable)ディスクやBD−ROM(Read Only Memory)ディスク等でなる光ディスク100に対して音楽コンテンツ、映像コンテンツ又は各種データ等の情報を記録し、また当該光ディスク100から当該情報を再生するようになされている。
【0016】
このメイン電子機器2は、操作部4を介したユーザの操作に応じて、光ディスク装置1自体の稼動を停止させる停止モード、光ディスク装置1によって光ディスク100に記録された情報を読み出す再生モード、又は光ディスク装置1によって光ディスク100に情報を記録する記録モードに移行する。
【0017】
メイン電子機器2は、ユーザからの再生要求に応じて再生モードに移行すると、光ディスク装置1に対して光ディスク100に記録された情報の供給を要求する。光ディスク装置1は、これに応じて要求された情報をメイン電子機器2に供給する。そしてメイン電子機器2は、光ディスク装置1から供給された情報を表示部3に表示し、又図示しないスピーカから出力することにより、光ディスク100に記録された情報を再生する。
【0018】
またメイン電子機器2は、ユーザからの記録要求に応じて記録モードに移行すると、光ディスク装置1に対して光ディスク100に対して情報の記録を要求すると共に当該記録する情報を表す記録信号を供給する。そして光ディスク装置1は、光ディスク100に対して情報を記録する。
【0019】
さらにメイン電子機器2は、ユーザの停止要求に応じて停止モードに移行すると、光ディスク装置1の稼動を停止する。
【0020】
このようにメイン電子機器2は、光ディスク装置1をコントロールすることにより、光ディスク100からの情報の再生及び当該光ディスク100に対する情報の記録を実行し得るようになされている。
【0021】
図2に示すように光ディスク装置1は、マイクロコンピュータ(以下、マイコンと呼ぶ)10が光ディスク装置1全体を統括制御するようになされており、メイン電子機器2が有する図示しないバッテリから電源の供給を受けて駆動する。この光ディスク装置1は、フラッシュメモリ11に記憶された各種プログラムや回転制御プログラムなどをRAM(Random Access Memory)20に展開することにより、光ディスク100に対する読出処理及び記録処理等の各種処理や後述する回転制御処理及びデータ供給処理を実行するようになされている。
【0022】
具体的にメイン電子機器2(図1)は、ユーザから光ディスク100を再生する旨の要求が操作部4を介してなされると、再生モードに移行し、外部インターフェース12(図2)を介して当該光ディスク100に記憶されている情報の情報供給命令、光ディスク100の回転速度を表す指定回転速度Sd及び情報を特定する要求特定情報を光ディスク装置1に供給する。
【0023】
マイコン10は、光ディスク100が装填された状態で、外部インターフェース12を介して情報供給命令、指定回転速度Sd及び要求特定情報が供給されると、指定回転速度SdをRAM20に一時記憶すると共に読出処理を開始し、当該要求特定情報に基づいて読出対象となる情報を特定する読出アドレス情報(詳しくは後述する)を生成し、これを情報読出命令と共に駆動制御部13へ送出する。
【0024】
駆動制御部13は、光ディスク100の回転速度として予め想定されている複数の想定回転速度Siのうち、マイコン10からの指定回転速度Sdに基づく一の想定回転速度Si(詳しくは後述する)を設定回転速度Ssとして設定するようになされている。
【0025】
駆動制御部13は、スピンドルモータ14を制御することにより情報読出命令に応じて、クロック19を基準とし設定回転速度Ssで光ディスク100を回転させると共に、当該情報読出命令及び読出アドレス情報を基にスレッドモータ15を制御し、光ピックアップ16を当該光ディスク100の径方向に移動させる。これにより駆動制御部13は、光ピックアップ16が有するレーザダイオード(図示しない)から出射された光ビームを当該光ディスク100の信号記録層における読出アドレス情報に応じたトラックに集光した状態で照射させる。
【0026】
このとき光ピックアップ16は、光ディスク100に照射した光ビームが反射されてなる反射光ビームを受光し、その光量に応じた検出信号を生成し、信号処理部18へ送出する。
【0027】
信号処理部18は、この検出信号に基づいて所望トラックに対する光ビームの照射位置のずれ量に応じたトラッキングエラー信号STEと光ディスク100の信号記録層に対する光ビームの焦点のずれ量に応じたフォーカスエラー信号SFEとを生成してこれらを駆動制御部13へ送出すると共に、当該検出信号を基に再生RF信号SRFを生成してマイコン10へ送出する。
【0028】
駆動制御部13は、トラッキングエラー信号STE及びフォーカスエラー信号SFEに基づいたトラッキング制御信号CT及びフォーカス制御信号CFを生成し、これらを光ピックアップ16へ送出する。これに応じて光ピックアップ16は、トラッキング制御及びフォーカス制御を行い、光ビームの焦点を光ディスク100の所望トラックに合わせるようになされている。
【0029】
マイコン10は、再生RF信号SRFに対して所定の復調処理や復号化処理等を施し、これを読出データとして一旦RAM20内の所定の記憶領域を占めるバッファメモリ20Aに一時記憶(詳しくは後述する)した後、要求特定情報が表す情報(以下、これを要求データと呼ぶ)としてメイン電子機器2(図1)へ送出する。
【0030】
具体的にマイコン10のメモリ制御部10Bは、バッファメモリ20Aに記憶された読出データのアドレスを表すデータアドレス情報と、バッファメモリ20Aにおいて当該読出データが記憶された記憶領域情報とを対応付けてRAM20に一時記憶し、要求特定情報に対応するデータアドレス情報を特定すると共に、当該データアドレス情報に対応する記憶領域情報から読出データを読み出すことにより、当該要求特定情報が表す読出データ(すなわち要求データ)をメイン電子機器2へ送出する。
【0031】
この結果メイン電子機器2は、要求データに基づく画像を表示部3に表示し、又当該要求データに基づく音声をスピーカ(図示しない)から出力するようになされている。
【0032】
一方メイン電子機器2は、停止モードにおいて光ディスク100に情報を記憶する旨の要求がユーザからなされると、記録モードに移行し、外部インターフェース12を介して当該光ディスク100に対する情報の記録命令、光ディスク100の回転速度を表す指定回転速度Sd及び情報を表す記録信号を光ディスク装置1に供給する。
【0033】
光ディスク装置1(図2)は、メイン電子機器2から外部インターフェース12を介してマイコン10に記録命令、指定回転速度Sd及び記録信号が入力されると、記録処理を開始し、当該指定回転速度Sdで光ディスク100を回転させると共に、当該記録信号に対して所定の変調処理を施し、これを信号処理部18により記録用の信号に変換した後、光ピックアップ16から当該記録用の信号に応じた記録用ビームを出射させることにより、記録信号に応じた情報を光ディスク100に記録する。
【0034】
また光ディスク装置1は、ユーザの要求に応じてメイン電子機器2が停止モードに移行したことにより、当該メイン電子機器2から外部インターフェース12を介して停止命令が供給されると、読出処理または記録処理を中止する。
【0035】
このように光ディスク装置1は、メイン電子機器2からの情報供給命令及び記録命令に応じて、メイン電子機器2からの指示回転速度Sdで光ディスク100を回転させることにより、光ディスク100から読出データを読み出す読出処理、及び光ディスク100に対して情報を記録する記録処理を実行するようになされている。
【0036】
(2)再生モードにおける先読機能
光ディスク装置1は、例えば動画像データなどの連続するデータを光ディスク100から読み出してメイン電子機器2に供給する際、何らかの原因で一時的に光ディスク100から読出データの読出が中断してメイン電子機器2で再生中の映像が静止したり、音声が途切れたりするのを防止するため、予め先読みした読出データをバッファメモリ20Aに記憶しておく、いわゆる先読機能を有している。
【0037】
すなわち光ディスク装置1のマイコン10は、読出処理として、メイン電子機器2からの要求に応じた要求データを光ディスク100から逐次読み出すのではなく、光ディスク100の回転速度に応じた読出速度で情報を読み出し、読み出された情報(以下、これを読出データと呼ぶ)をバッファメモリ20Aに一時記憶する。
【0038】
そしてマイコン10は、読出処理と並行して実行するデータ供給処理において、バッファメモリ20Aに記憶されている読出データのうち、メイン電子機器2からの要求に応じた読出データを要求データとして読み出してメイン電子機器2に供給することにより、メイン電子機器2に対して要求データを供給するようになされている。
【0039】
具体的に図3に示すように、マイコン10は、メイン電子機器2から供給される情報供給命令に応じ、時点t0において指示回転速度Sdを設定回転速度Ssとして読出処理を開始し、駆動制御部13によって設定回転速度Ssに応じた最大電圧駆動時間(時点t0から時点t1までの間)Tvに渡り、スピンドルモータ14に印加する電圧(以下、これをスピンドル駆動電圧と呼ぶ)Vsとして最大駆動電圧VMAXを印加し、時点t1において設定回転速度Ssに応じた安定駆動電圧Vaを印加する。
【0040】
またマイコン10の光ピックアップ制御部(以下、これをOP制御部と呼ぶ)10Aは、要求特定情報から特定される情報のアドレスを表す読出アドレス情報を生成すると共に、光ディスク100の現状の回転速度(以下、これを現状回転速度と呼ぶ)Snを監視する。
【0041】
OP制御部10Aは、現状回転速度Snが設定回転速度Ss付近で殆ど変化しないことにより、時点t1において現状回転速度Snが設定回転速度Ssに安定したと判別すると、光ピックアップ16を制御し、読出アドレス情報が表すアドレスに基づいて設定回転速度Ssで回転している光ディスク100に対して光ビームの出射を開始する。
【0042】
ここで光ディスク100は、所定の記録密度で情報が記録されている。このため光ディスク装置1が光ディスク100から読出データを読み出すときの読出速度は、現状回転速度Snに依存する。
【0043】
マイコン10のメモリ制御部10Bは、時点t2において目標トラックに光ビームが照射されたことにより現状回転速度Snに応じた読出速度で光ディスク100から実際に読み出され、信号処理部18を介して順次供給される読出データをバッファメモリ20Aに一時記憶すると共に、当該読出データのアドレスを表すデータアドレス情報及びバッファメモリ20Aにおける当該読出データが記憶された記憶領域情報をRAM20に一時記憶する。
【0044】
メモリ制御部10Bは、読出データが供給されると、読出処理を継続したままデータ供給処理を開始し、RAM20に記憶された記憶領域情報及びデータアドレス情報に基づいてメイン電子機器2から供給される要求特定情報に対応する要求データをバッファメモリ20Aから読み出し、外部インターフェース12を介してメイン電子機器2に供給する。
【0045】
このようにマイコン10は、要求特定情報の供給の有無及びその供給速度に拘らず、設定回転速度Ssで光ディスク100から読出データを読み出してバッファメモリ20Aに一時記憶する。このためメイン電子機器2への要求データの供給速度よりも光ディスク100から読出データの読出速度が速ければ、読出データはバッファメモリ20Aに蓄えられ、格納データ量Daが徐々に増加する(時点t3から時点t4)。
【0046】
そしてマイコン10は、時点t4において、バッファメモリ20Aの記憶領域の全てに読出データが記憶されたことにより、バッファメモリ20Aの記憶可能容量がゼロ(以下、これを格納データ最大量と呼ぶ)DMAXになると、OP制御部10Aによって光ピックアップ16のレーザダイオード(図示しない)を制御して光ビームの出射を休止することにより、光ディスク100を設定回転速度Ssで回転させたまま光ディスク100から読出データの読み出しを中断する。
【0047】
これによりマイコン10は、光ビームの出射を休止することにより光ディスク装置1が使用する電力を低減することができると共に、光ディスク100を回転させたままにするため、直ちに光ディスク100からの読出データの読出を再開し得る状態にすることができる。
【0048】
このときメモリ制御部10Bは、信号処理部18から読出データが供給されなくなるため、読出データのバッファメモリ20Aへの記憶を中断する一方、要求特定情報に応じてバッファメモリ20Aからの要求データを読み出してメイン電子機器2へ供給し続けるため、バッファメモリ20Aの格納データ量Daが徐々に減少することになる。
【0049】
マイコン10のOP制御部10Aは、時点t5において、バッファメモリ20Aの格納データ量が所定の残量閾値Db未満となると、最後に記憶された読出データのデータアドレス情報をRAM20から読み出し、当該データアドレス情報が表すアドレスの次のアドレスを読出アドレス情報として生成し、駆動制御部13へ供給する。
【0050】
駆動制御部13は、読出アドレス情報に従って、光ディスク100から最後に読出データを読み出したアドレスの次のアドレスを目標トラックとして光ピックアップ16における光ビームの出射を再開する。
【0051】
この結果時点t6において、メモリ制御部10Bは、実際に光ディスク100から読出データの読出が開始されることにより信号処理部18から供給が再開される読出データをバッファメモリ20Aに一時記憶するようになされている。
【0052】
このように、光ディスク装置1のマイコン10は、読出処理及びデータ供給処理を並行して実行し、読出処理として、要求特定情報が表す情報よりも後に読み出されるべき情報をも光ディスク100から予め読み出し、読出データとしてバッファメモリ20Aに蓄えておくと共に、データ供給処理としてメイン電子機器2からの要求特定情報に応じた要求データをバッファメモリ20Aから読み出して供給することにより、要求特定情報に応じた要求データを光ディスク100から読み出してメイン電子機器2に対し順次供給するようになされている。
【0053】
(3)再生再開処理
ところで光ディスク装置1の駆動制御部13は、停止した状態にある光ディスク100を回転させる際、現状回転速度Snを極力短い時間で設定回転速度Ssまで引き上げるために、当該設定回転速度Ssに拘らず常に所定の最大駆動電圧VMAXでスピンドルモータ14を駆動するようになされている。
【0054】
例えば図4に示すように、最大駆動電圧VMAXを印加して現状回転速度Snを設定回転速度Ssにまで到達させるまでに要する時間は、設定されている設定回転速度Ssにほぼ比例し、設定回転速度Ssが大きい程時間を要することになる。すなわち一の最大駆動電圧VMAXを印加する時間(以下、これを最大電圧印加時間と呼ぶ)Tvは設定回転速度Ssに応じて長くなる。
【0055】
ここでメイン電子機器2は、再生モードにおいてユーザの要求があった場合には、光ディスク100から読出データの読出を一時的に停止する、いわゆる一時停止サブモードに移行する。このとき光ディスク装置1は、所定の再生待時間に渡って一時停止サブモードが解除されない場合には、省電力のために光ディスク100の回転を停止(以下、これを回転停止状態と呼ぶ)させている。
【0056】
この一時停止サブモードでは、ユーザが再生の一時停止箇所からの再生再開を要求することが想定される。従って光ディスク装置1は、再生再開時においてメイン電子機器2から供給される要求特定情報に応じ、バッファメモリ20Aから一時停止前に記憶された要求データを読み出してメイン電子機器2に対して供給することにより、当該メイン電子機器2に直ちに再生を開始させ得ると考えられる。
【0057】
ところが、再生再開時に単純に要求データを読み出してメイン電子機器2に供給する構成でなる仮想の光ディスク装置1X(図示せず)では、仮に設定回転速度Ssとして大きい回転速度でなる指示回転速度Sdが設定された場合、回転停止状態にある光ディスク100を当該設定回転速度Ssで回転させるまでに時間を要するため、実際に光ディスク100から読出データを読み出して当該読出データをバッファメモリ20に記憶し始めるまでに時間を要してしまう。
【0058】
この結果、この仮想の光ディスク装置1Xは、バッファメモリ20Aに記憶された読出データを全てメイン電子機器2に供給し終わったにも拘らず、光ディスク100から実際に読出データを読み出し始めることができず、光ディスク100から読出データを実際に読出始めるまでの間、メイン電子機器2に要求データの供給ができなくなってしまう。
【0059】
すなわち図5に示すように、かかる構成を有する仮想の光ディスク装置1Xは、メイン電子機器2から供給された情報供給命令に応じて時点t10において読出処理を開始し、指示回転速度Sdを設定回転速度Ssとし、当該設定回転速度Ssに応じた最大電圧印加時間Tv(時点t10から時点t12まで)に渡ってスピンドルモータ14に最大駆動電圧VMAXを印加する。同時に時点t10において仮想の光ディスク装置1Xは、データ供給処理を開始し、要求特定情報に応じた要求データをバッファメモリ20Aから読み出してメイン電子機器2に供給する。
【0060】
仮想の光ディスク装置1Xは、最大電圧印加時間Tvが長く、時点t13において光ディスク100に対して光ビームを照射し、時点t14において光ディスク100から実際に読出データを読み出し始めるため、光ディスク100の現状回転速度Snが設定回転速度Ssに到達する前の時点t11において、格納データ量Daがゼロになってしまう。従ってこの時点t11から時点t14までの間に渡ってメイン電子機器2に対する要求データの供給が滞ることになる。
【0061】
メイン電子機器2に対する要求データの供給が滞ると、メイン電子機器2において一旦再生が再開されたにも拘らず、動画像における映像が静止したり音声が途切れることになり、ユーザに違和感を与えてしまう。
【0062】
そこで本実施の形態による光ディスク装置1は、回転停止状態にある光ディスク100から読出データを読み出し始める再生再開時において、直ちにデータ供給処理を開始してメイン電子機器2に直ちに読出データを供給すると共に段階再生処理を実行し、設定回転速度Ssを最も小さい想定回転速度Siに設定して光ディスク100から迅速に情報の読出を開始した後、設定回転速度Ssを回転停止前の設定回転速度Ss(すなわち指示回転速度Sd)まで段階的に引き上げることにより、メイン電子機器2に対する要求データの供給が滞るのを極力防止するようになされている。
【0063】
以下、光ディスク装置1が想定回転速度Siとして4つの想定回転速度Si1、Si2、Si3、Si4(例えば1倍速、2倍速、3倍速、4倍速)を有しており、指示回転速度Sdが最も大きい回転速度でなる想定回転速度Si4であった場合における段階再生処理について説明する。
【0064】
(3−1)段階再生処理
図6に示すように、光ディスク装置1のマイコン10は、光ディスク100が回転停止状態のときにメイン電子機器2から要求特定情報が供給されると、RAM20に記憶されている指示回転速度Sdに拘らず、最も小さい想定回転速度Siでなる想定回転速度Si1を設定回転速度Ssに設定する。
【0065】
そしてマイコン10は、時点t20において駆動制御部13によって設定回転速度Ss(すなわち想定回転速度Si1)に応じた最大電圧印加時間Tv1(時点t20から時点21までの間)に渡ってスピンドル駆動電圧Vsとして最大駆動電圧VMAXを印加した後、時点21において想定回転速度Si1に応じた安定駆動電圧Va1を印加する。
【0066】
同時に時点t20においてマイコン10は、メモリ制御部10Bによってデータ供給処理を開始し、メイン電子機器2から継続して供給される要求特定情報に応じ、バッファメモリ20Aから要求データを読み出し、メイン電子機器2へ供給する。この結果、時点t20に格納データ最大量DMAXであったバッファメモリ20Aの格納データ量Daは徐々に減少する。
【0067】
時点t22において、マイコン10のOP制御部10Aは、光ディスク100の現状回転速度Snが想定回転速度Si1に安定すると、光ディスク100に対して光ビームを照射する。時点t23において、マイコン10のメモリ制御部10Bは、目標トラックに光ビームが照射されたことにより光ディスク100から実際に読出データの読出が開始され、信号処理部18から供給される読出データをバッファメモリ20Aに一時記憶する。この結果時点t23まで徐々に減少していたバッファメモリ20Aの格納データ量Daは上昇に転じる。
【0068】
このようにマイコン10は、読出処理において想定回転速度Si1を設定回転速度Ssに設定することにより、最大電圧印加時間Tv1を短くすることができるため、読出処理の開始から実際に光ディスク100から読出データの読出を開始するまで(時点t20〜時点t23)の時間を短縮することができる。
【0069】
この結果マイコン10は、データ供給処理において格納データ量Daがゼロになる前(時点t23)に光ディスク100から読出データの読出を開始することができ、メイン電子機器2に対して滞ることなく円滑に要求データを供給し得るようになされている。
【0070】
そしてマイコン10は、バッファメモリ20Aの格納データ量Daを監視し、時点t24において格納データ量Daが格納データ最大量DMAXになると、想定回転速度Si1の次に小さい回転速度でなる想定回転速度Si2を設定回転速度Ssに設定すると共に、OP制御部10Aによって光ディスク100に対する光ビームの照射を休止する。
【0071】
このとき駆動制御部13は、光ディスク100が回転停止状態ではなく、既に想定回転速度Si1で回転しているため、想定回転速度Si2及びSi1の差分に応じた最大電圧印加時間Tv2(時点t24から時点25までの間)だけ最大駆動電圧を印加する。そして時点25において駆動制御部13は、想定回転速度Si2に応じた安定駆動電圧Va2を印加する。
【0072】
時点26において、マイコン10のOP制御部10Aは、光ディスク100の現状回転速度Snが想定回転速度Si1で安定すると、光ディスク100に対して光ビームの照射を開始する。この結果マイコン10のメモリ制御部10Bは、時点t27において信号処理部18から供給される読出データをバッファメモリ20Aに一時記憶する。
【0073】
このようにマイコン10は、設定回転速度Ssを光ディスク100が既に想定回転速度Si1で回転している状態から想定回転速度Si2に変更することにより、短い最大電圧印加時間Tv2に応じて、光ディスク100から読出データの読出が中断する時間(以下、これを読出中断時間と呼ぶ、時点t24から時点t27まで)を回転停止状態から想定回転速度Si2にする場合よりも短縮することができる。
【0074】
またマイコン10は、格納データ量Daが格納データ最大量DMAXのときに想定回転速度Si1でなる設定回転速度Ssを次に大きい想定回転速度Si2に変更するため、データ供給処理においてバッファメモリ20Aの格納データ量Daがゼロになるまでに要する時間を極力長くし、当該設定回転速度Ssの変更に伴う読出中断時間中にバッファメモリ20Aの格納データ量Daがゼロになる危険性を極力低減させることができる。
【0075】
そしてマイコン10は、バッファメモリ20Aの格納データ量Daを監視し、時点t28において格納データ量Daが格納データ最大量DMAXになると、想定回転速度Si2の次に小さい回転速度でなる想定回転速度Si3を設定回転速度Ssに設定し、時点t29〜時点t31において想定回転速度Si2のとき(時点t25〜時点t27)と同様の処理を繰り返す。
【0076】
さらにマイコン10は、時点t31において指定回転速度である想定回転速度Si4を設定回転速度Ssに設定し、時点t32〜35において想定回転速度Si2のとき(時点t25〜時点t27)と同様の処理を繰り返す。
【0077】
これによりマイコン10は、設定回転速度Ssを指定回転速度Sdである想定回転速度Si4にまで段階的に引き上げると共に、指定回転速度Sdで以降の読出処理を実行し得るようになされている。
【0078】
このようにして光ディスク装置1は、再生再開時において想定回転速度Siのうち、最も小さい回転速度でなる想定回転速度Si1を設定回転速度Ssに設定すると共に、格納データ量Daが格納データ最大量DMAXになった時点で次に小さい回転速度でなる想定回転速度Siへ設定回転速度Ssを順次変更することにより、メイン電子機器2に対する要求データの供給を迅速に開始しつつ要求データの供給が滞るのを効果的に防止し、かつ最終的に指示回転速度Si4で読出処理を実行し得るようになされている。
【0079】
この結果、光ディスク装置1は、メイン電子機器2に速やかに再生を再開させつつ、映像の静止や音声の途切れを極力低減させ、スムーズな再生を実行させ得るようになされている。
【0080】
(3−2)高速再生処理
ところで、バッファメモリ20Aからの要求データの読出速度が想定回転速度Si1による読出速度よりも早い場合には、図7に示すように、光ディスク100から実際に読出データの読出を開始してバッファメモリ20Aへの読出データの供給が開始された時点t23において、バッファメモリ20Aの格納データ量Daが上昇に転じることなくそのまま減少を続ける。
【0081】
この場合、時点t44においてバッファメモリ20Aの格納データ量Daがゼロになってしまい、このまま段階再生処理を継続してもこの想定回転速度Si1のままではバッファメモリ20Aを格納データ最大量DMAXにすることができないため、設定回転速度Ssを変更することができず、設定回転速度Ssを指示回転速度Sdまで引き上げることができない。
【0082】
そこで光ディスク装置1は、格納データ量Daがゼロになると段階再生処理を中止し、設定回転速度Ssを指示回転速度Sd(想定回転速度Si4)に設定する高速再生処理を実行する。
【0083】
具体的にマイコン10は、時点t44において格納データ量Daがゼロになると、想定回転速度Si1及びSi4の差分に応じた最大電圧印加時間Tvh(時点t44から時点t45まで)に渡って最大駆動電圧VMAXを印加する。
【0084】
時点t46において、マイコン10のOP制御部10Aは、光ディスク100の現状回転速度Snが想定回転速度Si4に安定すると、光ディスク100に対して光ビームを照射する。時点t47において、マイコン10のメモリ制御部10Bは、信号処理部18から供給される読出データをバッファメモリ20Aに一時記憶すると共に、メイン電子機器2への要求データの供給を再開する。
【0085】
これによりマイコン10は、メイン電子機器2から供給された指示回転速度Sdで光ディスク100から読出データを読み出すことができるため、メイン電子機器2への要求データの供給速度が光ディスク100からの読出データの読出速度を上回ることなく、メイン電子機器2に対して円滑に要求データを供給することができる。
【0086】
ちなみにマイコン10は、例えば再生再開時や再生処理中にユーザが異なる箇所を再生することを要求したことにより、RAM20に要求特定情報を表すデータアドレス情報が記憶されておらず、バッファメモリ20Aに要求特定情報が表す要求データが存在しないと判断した場合にも、時点t44から同様にして高速再生処理を実行するようになされている。
【0087】
このように光ディスク装置1は、段階再生処理においてバッファメモリ20Aの格納データ量Daがゼロになると、設定回転速度Ssを指示回転速度Sdに設定して読出処理を実行することにより、バッファメモリ20Aからの要求データの読出速度が想定回転速度Si1による読出速度よりも速いような場合には、指示回転速度Sdによる読出処理に迅速に切り替えることができ、回転停止状態からの再生再開を極力スムーズに実行し得るようになされている。
【0088】
この結果光ディスク装置1は、再生の開始までに多少時間を要するものの、以降はメイン電子機器2に映像の静止や音声の途切れが確実に生じない状態で再生を実行させ得るようになされている。
【0089】
(3−3)回転停止処理
上述したようにユーザからの要求に応じてメイン電子機器2が再生モードから一時停止サブモードに切り換わり、所定の再生待時間が経過してもこの一時停止サブモードが解除されない場合、光ディスク装置1は、ユーザが直ちに再生を再開する可能性は低いと判断し、省電力のため、光ディスク100の回転を一時的に停止する回転停止処理を実行し、光ディスク100を回転停止状態にする。
【0090】
この回転停止処理において光ディスク装置1は、バッファメモリ20Aを格納データ最大量DMAXにしてから光ディスク100の回転を停止するようになされている。
【0091】
例えば図8に示すように、時点t50から時点t51までにおいて、光ディスク装置1のマイコン10は読出処理及びデータ供給処理を実行している状態を示している。すなわち光ディスク装置1は、駆動制御部13によってスピンドル駆動電圧Vsとして安定駆動電圧Vaを印加し、現状回転速度Snが指定回転速度Sdの状態にあり、間欠的に光ビームを照射することにより、バッファメモリ20Aの格納データ量Daが周期的に増減している。
【0092】
時点t51において、マイコン10は、メイン電子機器2が一時停止サブモードに移行したことにより要求特定情報が供給されない場合、要求データの供給を停止する一方、そのまま読出処理を継続する。そして所定の再生待時間(時点t51から時点t52まで)が経過すると、マイコン10は、OP制御部10Aによって格納データ量Daが格納データ最大量DMAXになるまで(時点t52から時点t53まで)光ディスク100から読出データを読み出す。そして時点t53においてマイコン10は、格納データ量Daが格納データ最大量DMAXになると、駆動制御部13によってスピンドル駆動電圧Vsをゼロとし、光ディスク100の回転を停止する。
【0093】
このように光ディスク装置1は、光ディスク100の回転停止時にバッファメモリ20Aを格納データ最大量DMAXにしておくことにより、直ちにメイン電子機器2に供給可能な読出データを予め最大量にしておくことができ、再生再開時における段階再生処理の際に格納データ量Daがゼロになるのを極力防止し得るようになされている。
【0094】
(4)再生モードにおける回転制御処理及びデータ供給処理の手順
次に、回転制御プログラムに従って実行される回転制御処理手順RT1及びデータ供給処理手順RT2について図9〜図12のフローチャートを用いて説明する。なお光ディスク装置1は、メイン電子機器2が再生モード(一時停止サブモードを含む)に移行してから停止モードになるまでの間、この回転制御処理手順RT1(図9)及びデータ供給処理手順RT2(図13)を並行して実行する。
【0095】
(4−1)回転制御処理手順
光ディスク装置1のマイコン10は、メイン電子機器2から情報供給命令が供給されると、回転制御処理手順RT1を開始し、次のステップSP1へ移る。
【0096】
ステップSP1においてマイコン10は、メイン電子機器2から要求特定情報が供給されたか否かについて判別し、要求特定情報が供給された場合には、次のステップSP2へ移る。
【0097】
ステップSP2においてマイコン10は、当該要求特定情報が表す要求データがバッファメモリ20Aに存在するか否かについて判別する。ここで肯定結果が得られた場合、このことは現在読出処理中であるか、回転停止状態からの再生再開時であることにより、ユーザを待たせることなくメイン電子機器2へ要求データを供給することが望まれることを表しており、このときマイコン10は、次のステップSP5へ移る。
【0098】
ステップSP5において、マイコン10は、サブルーチンSRT11(図10)へ移り、段階再生処理を実行すると、ステップSP1へ戻り、処理を継続する。
【0099】
これに対してステップSP2において否定結果が得られた場合、このことはユーザの要求により一から再生が開始されたか、再生箇所が変更されたことにより、ユーザを多少待たせてでも滞りなくメイン電子機器2へ要求データを供給することが望まれる、若しくは想定回転速度Si1での読出速度よりも要求データの供給速度が速いため、段階再生処理を実行することが困難であることを表しており、このときマイコン10は、次のステップSP6へ移る。
【0100】
ステップSP6において、マイコン10は、サブルーチンSRT12(図11)へ移り、高速再生処理を実行すると、ステップSP1へ戻り、処理を継続する。
【0101】
またステップSP1において否定結果が得られた場合、マイコン10は次のステップSP7へ移り、メイン電子機器2から停止命令が供給されたか否かについて判別し、否定結果が得られた場合には、次のステップSP8へ移る。
【0102】
ステップSP8において、マイコン10は、再生待時間が経過したか否かについて判別する。ここで肯定結果が得られた場合、このことはユーザの要求によりメイン電子機器2が一時停止モードに移行してから所定の再生待時間が経過したためユーザが直ちに再生を再開しない可能性が高いことを表しており、このときマイコン10は、次のステップSP9へ移る。
【0103】
ステップSP9においてマイコン10は、サブルーチンSRT13(図12)へ移り、回転停止処理を実行すると、ステップSP1へ戻り、処理を継続する。
【0104】
これに対してステップSP7において肯定結果が得られた場合、このことはメイン電子機器2が再生モードから停止モードへ移行したことを表しており、このときマイコン10は、終了ステップへ移り、回転制御処理手順RT1を終了する。
【0105】
(4−2)段階再生処理の手順
回転制御処理手順RT1(図9)のステップSP5において、光ディスク装置1のマイコン10は、サブルーチンSRT11(図10)のステップSP21へ移り、光ディスク100が回転停止状態であるか否かを判別する。
【0106】
ここで肯定結果が得られた場合、マイコン10は、想定回転速度Siのうち、最も小さい回転速度でなる想定回転速度Si1を設定回転速度Ssとして光ディスク100の回転を開始し(図6、時点t20)、次のステップSP23へ移る。
【0107】
ステップSP23において、マイコン10は、光ディスク100の現状回転速度Snを継続して監視し、当該現状回転速度Snが設定回転速度Ss付近で安定すると(図6、時点t22)、次のステップSP24へ移る。
【0108】
ステップSP24において、マイコン10は、光ディスク100に対して光ビームを照射する(図6、時点t22)と、次のステップSP25へ移る。
【0109】
ステップSP25において、マイコン10は、実際に光ディスク100から読み出され、信号処理部18から供給される読出データをバッファメモリ20Aに格納する(図6、時点t23)と、次のステップSP26へ移る。
【0110】
ステップSP26において、マイコン10は、格納データ量Daが格納データ最大量DMAXであるか否かについて判別する。
【0111】
ここで肯定結果が得られた場合、このことは現在のタイミングで光ディスク100から読出データの読出を休止すると、最も長い時間に渡ってバッファメモリ20Aに一時記憶された読出データを用いたメイン電子機器2への要求データの供給が可能であることを表しており、このときマイコン10は、次のステップSP27へ移る。
【0112】
ステップSP27において、マイコン10は、現在の設定回転速度Ssが指示回転速度Sdであるか否かについて判別し、肯定結果が得られた場合には、現在の設定回転速度Snを当該現在の設定回転速度Ssの次に小さい想定回転速度Siに設定して現状回転速度Snを上昇させる(図6、時点t24、時点t28及び時点t32)と、次のステップSP29へ移る。
【0113】
これに対してステップSP26において否定結果が得られた場合、このことは今すぐに現状回転速度Snを上昇させるべきでないことを表しており、このときマイコン10は、次のステップSP29へ移る。
【0114】
またステップSP27において否定結果が得られた場合、このことは既に設定回転速度Ssが指示回転速度Sdになっており、これ以上現状回転速度Snを上昇させる必要がないことを表しており、このときマイコン10は、次のステップSP29へ移る。
【0115】
ステップSP29において、マイコン10は、回転制御処理手順RT1(図9)のステップSP5へ戻り、処理を継続する。
【0116】
(4−3)高速再生処理の手順
回転制御処理手順RT1(図9)のステップSP6において、光ディスク装置1のマイコン10は、サブルーチンSRT12(図11)のステップSP41へ移る。
【0117】
ステップSP41において、マイコン10は、設定回転速度Ssが指示回転速度Sdであるか否かについて判別し、肯定結果が得られた場合には、次のステップSP43へ移る。
【0118】
これに対してステップSP41において否定結果が得られた場合、マイコン10は、ステップSP42へ移り、設定回転速度Ssを指示回転速度Sdに設定し、光ディスク100を指示回転速度Sdで回転させる(図7、時点t44)。
【0119】
ステップSP43において、マイコン10は、光ディスク100の現状回転速度Snを継続して監視し、当該現状回転速度Snが設定回転速度Ss付近で安定すると(図7、時点t46)、次のステップSP44へ移る。
【0120】
ステップSP44において、マイコン10は、光ディスク100に対して光ビームの照射を開始する(図7、時点t46)と、次のステップSP45へ移る。
【0121】
ステップSP25において、マイコン10は、光ディスク100から実際に読み出され、信号処理部18から供給される読出データをバッファメモリ20Aに格納する(図7、時点t47)と、次のステップSP46へ移る。

【0122】
ステップSP46において、マイコン10は、回転制御処理手順RT1(図9)のステップSP6へ戻り、処理を継続する。
【0123】
(4−4)回転停止処理の手順
回転制御処理手順RT1(図9)のステップSP9において、光ディスク装置1のマイコン10は、サブルーチンSRT13(図12)のステップSP61へ移る。
【0124】
ステップSP61において、マイコン10は、格納データ量Daが格納データ最大量DMAXであるか否かについて判別し、否定結果が得られた場合には、次のステップSP62へ移る。
【0125】
ステップSP62において、マイコン10は、光ディスク100から読出データを読み出し(図8、時点t52〜t53)、次のステップSP63へ移る。
【0126】
ステップSP63において、マイコン10は、光ディスク100から読み出した読出データを読出データとしてバッファメモリ20Aに格納すると、ステップSP61へ戻り、処理を継続する。
【0127】
これに対してステップSP64において肯定結果が得られた場合(図8、時点t53)、このことはバッファメモリ20Aにこれ以上読出データを記憶できないことを表しており、このときマイコン10は、次のステップSP65へ移る。
【0128】
ステップSP65において、マイコン10は、回転制御処理手順RT1(図9)のステップSP9へ戻り、処理を継続する。
【0129】
(4−5)データ供給処理手順
光ディスク装置1のマイコン10は、メイン電子機器2から情報供給命令が供給されると、データ供給処理手順RT2を開始し、次のステップSP81へ移る。
【0130】
ステップSP81においてマイコン10は、メイン電子機器2から要求特定情報が供給されたか否かについて判別し、要求特定情報が供給された場合には、次のステップSP82へ移る。
【0131】
ステップSP82において、マイコン10は、バッファメモリ20Aから、要求特定情報が表す読出データを要求データとして読み出してメイン電子機器2へ供給すると、ステップSP81へ戻り、処理を継続する。
【0132】
これに対してステップSP81において否定結果が得られた場合、マイコン10はステップSP83へ移り、メイン電子機器2から停止命令が供給されたか否かについて判別する。
【0133】
ここで否定結果が得られた場合、マイコン10は、ステップSP81へ戻り、処理を継続する。
【0134】
これに対してステップSP83で肯定結果が得られた場合、このことはメイン電子機器2が停止モードに移行したことを表しており、このときマイコン10は、終了ステップへ移り、データ供給処理手順RT2を終了する。
【0135】
(5)動作及び効果
以上の構成において、光ディスク装置1は、外部機器であるメイン電子機器2が要求するデータとしての要求データを特定する要求特定情報及びディスク状でなる記憶媒体である光ディスク100の回転速度を指示する指示回転速度を受信する外部インターフェース12と、予め想定されている複数の想定回転速度Si1〜Si4のうち、メイン電子機器2から供給される光ディスク100の回転速度を指示する指示回転速度Sdに基づいて設定回転速度Ssを設定し、当該設定回転速度Ssで光ディスク100を回転させ、光ディスク100の設定回転速度Ssに応じた読出速度で光ディスク100からデータとしての読出データを読み出し、当該読出データをデータ記憶部としてのバッファメモリ20Aに記憶すると共に、要求特定情報に対応する読出データをバッファメモリ20Aから読み出して要求データとしてメイン電子機器2に供給し、光ディスク100が停止した回転停止状態から回転を開始する際に、複数の想定回転速度Si1〜Si4のうち、指示回転速度Ssよりも小さい想定回転速度Siである最小の想定回転速度Si1を設定回転速度Ssに設定し、バッファメモリ20Aにおける現在の読出データの記憶量である格納データ量Daが格納データ最大量DMAXであることにより所定量以上の読出データが記憶されたと判別する度に、設定回転速度Ssをより大きい想定回転速度Si2〜Si4へ順次変更することにより、段階的に設定回転速度Ssを指示回転速度Sdまで引き上げるようにした。
【0136】
これにより光ディスク装置1は、光ディスク100の設置回転速度Ssを最も早く安定させ得る想定回転速度Si1に設定して、光ディスク100から読出データを早く読み出し始めることができ、読出データの読出が中断する読出中断時間を極力小さくできると共に、データ格納量Daが所定の記憶量以上となるタイミングで設定回転速度Ssを変更するため、バッファメモリ20Aのデータ格納量Daがゼロになる可能性を低減させることができ、メイン電子機器2に対して要求データの供給が滞るのを極力防止することができる。
【0137】
また光ディスク装置1は、バッファメモリ20Aが記憶可能な読出データの最大量を記憶した格納データ最大量DMAXになると、設定回転速度Ssをより大きい想定回転速度Si2〜Si4へ順次変更することにより、読出中断時間にバッファメモリ20Aのデータ格納量Daがゼロになる可能性を最も小さくすることができる。
【0138】
ここで停止モードから再生モードへ移行したり、光ディスク100内で再生する情報を変更する場合には、再生する情報を検索して再生を開始する必要があるため、再生開始までに多少時間を要するであろうとユーザが考えるのに対して、一時停止サブモードでは、再生の一時停止時点から再生を再開することが想定されるため、再生再開の要求をすると直ちに再生を再開してくれるだろうというユーザの期待感が強く存在する。
【0139】
光ディスク装置1は、バッファメモリ20Aに要求特定情報に対応する読出データが記憶されていない場合には、指示回転速度Sdを設定回転速度Ssに設定することにより、読出データの記憶速度よりも要求データの供給速度が大きいためバッファメモリ20Aのデータ格納量Daがゼロになった段階再生処理における継続の困難時だけでなく、再生モードへの移行による再生の開始時及び再生箇所の変更時においても供給開始までの時間を多少要する高速再生処理を実行することができる。
【0140】
このとき光ディスク装置1は、判別の分岐数を減少させることができるため、従来の再生の開始時、再生箇所の変更時、段階再生処理における継続の困難時を逐次判別して高速再生処理を開始する場合と比較して、制御を容易にすることができる。
【0141】
すなわち光ディスク装置1は、光ディスク100が停止した状態から回転を開始する際、要求データが記憶された光ディスク100に対するメイン電子機器2の指示を表す指示回転速度Sdに応じて、予め想定されている複数の想定回転速度Siのうち、指示回転速度Sdよりも小さい想定回転速度Siを設定回転速度Sdに設定して光ディスク100を回転させ、またメイン電子機器2が要求する要求データを特定する要求特定情報に応じて、予め光ディスク100から読み出されバッファメモリ20Aに記憶された読出データから要求特定情報に対応する読出データを要求データとしてメイン電子機器2への供給を開始し、光ディスク100の現在の現状回転速度Snが設定回転速度Ssとなった状態で、当該設定回転速度Ssに応じた読出速度で光ディスク100から読出データを読み出してバッファメモリ20Aに記憶し、設定回転速度Ssが指示回転速度Sdでない場合に、バッファメモリ20Aにおける現在の読出データの記憶量であるデータ格納量Daが所定量以上であるか否かを判別し、データ記憶部に所定量以上の読出データが記憶されたと判別される度に、設定回転速度Ssをより大きい想定回転速度Siへ変更することにより、段階的に設定回転速度Ssを指示回転速度Sdまで引き上げるようにした。
【0142】
以上の構成によれば、光ディスク装置1は、メイン電子機器2から供給される指示回転速度Sdに応じた読出速度で光ディスク100から読出データを読み出してバッファ20Aに一時記憶し、メイン電子機器2から供給される要求特定情報に応じた要求データをバッファメモリ20から読み出してメイン電子機器2に供給し、光ディスク100の回転が停止した状態で要求特定情報が供給されると、バッファメモリ20から要求データを読み出して供給する一方、光ディスク100を最も小さい想定回転速度Si1で回転させて情報を読み出し、バッファメモリ20Aにおける格納データ量Daが所定の記憶量以上となるタイミングで次の想定回転速度Si2〜Si4へ順次変更することにより、要求データを極力滞らすことなく、メイン電子機器2に対して迅速に要求データを供給し得る情報再生装置、再生開始方法及び再生開始プログラムを実現できる。
【0143】
(6)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、格納データ最大量DMAXになると次の想定回転速度Si2〜Si4へ設定回転速度Ssを順次変更するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、バッファメモリ20Aの格納データ量Daが所定量以上になると次の想定回転速度Si2〜Si4へ変更するようにしても良い。
【0144】
この場合、次に設定される想定回転速度Siに応じてこの所定量を設定するようにしても良い。例えば想定回転速度Si1、Si2、Si3、Si4がそれぞれ1倍速、2倍速、4倍速、8倍速のように等倍間隔でない場合、現在の設定回転速度Ssから次に設定される想定回転速度Siとの差分に応じた時間だけ光ディスク100から読出データの読出が中断されることから、当該差分に応じてこの記憶量を設定する。これにより、極力短時間で設定回転速度Ssを指示回転速度Sdまで引き上げることができる。
【0145】
また上述の実施の形態においては、段階再生処理において、想定回転速度Siのうち、最小の想定回転速度Si1を設定回転速度Ssに設定するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、指示回転速度Ssより小さい想定回転速度Siを設定すれば良く、例えば想定回転速度Si2又はSi3を設定するようにしても良い。すなわち光ディスク装置1は、データの供給速度よりも大きい想定回転速度Siに設定すれば、バッファメモリ20Aのデータ格納量Daを所定量以上にすることができ、これにより上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。このとき、光ディスク装置1は、要求データの供給速度に応じてデータの供給速度よりも大きい想定回転速度Siのなかから最小の想定回転速度Siを選定して設定回転角度Ssを設定することも可能である。
【0146】
同様に、設定回転速度Ssを次に大きい想定回転速度Siへ順次変更するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、現在の設定回転速度Ssよりも大きい回転速度でなる想定回転速度Siへ変更すればよく、例えば設定回転速度Ssを想定回転速度Si1から想定回転速度Si3へ変更するようにしても良い。
【0147】
さらに上述の実施の形態においては、現在の上記設定回転速度と次に設定される上記設定回転速度との差分に応じた印加時間に渡って最大駆動電圧を印加するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば所定時間に渡って複数の駆動電圧を段階的に印加するようにしても良く、回転を上昇させるときの駆動電圧についてとくに制限はない。
【0148】
また必ずしも最大駆動電圧を印加する必要はなく、例えば安定駆動電圧Vaよりも大きい所定の駆動電圧を印加するようにしても良い。この場合であっても、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0149】
さらに上述の実施の形態においては、再生再開時にのみ段階再生処理を実行するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、メイン電子機器2が停止モードから再生モードに移行する再生開始時に段階再生処理を実行するようにしても良い。この場合であっても、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0150】
さらに上述の実施の形態においては、バッファメモリ20Aに要求特定情報に対応する読出データが記憶されていない場合には、指示回転速度Sdを設定回転速度Ssに設定することにより、再生開始時には高速再生処理を実行する一方、一時停止からの再生再開時には段階再生処理を実行すると共に、段階再生処理が困難な場合には高速再生処理に移行するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば情報供給命令の有無に応じて再生の開始又は一時停止からの再生の再開かを判別し、再生開始時には高速再生処理を実行し、再生再開時には段階再生処理を実行すると共に、段階再生処理の回転停止状態において格納データ量Daの減少速度や要求特定情報の供給速度から段階再生処理の実行可否を判別し、否定結果が得られた場合に高速再生処理を実行するようにしても良い。
【0151】
これにより、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができるのに加え、段階再生処理の実行が困難である旨の判断を一段と早く行ってより高速再生処理に移行することができるため、光ディスク100から読出データを読み出すまでの時間を短縮することができる。
【0152】
また同様に光ディスク装置1は、要求特定情報が表す要求データのアドレスが連続的か否かを判別し、不連続の場合には高速再生処理を実行することにより、再生箇所の変更の有無を判別するようにしても良い。
【0153】
さらに上述の実施の形態においては、所定の再生待時間に渡って要求特定情報が供給されない場合には、回転停止処理を実行するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばユーザの一時停止要求に応じ、所定の再生待時間が経過した後、メイン電子機器2が一時停止命令を供給し、当該一時停止命令に応じて回転停止処理を実行するようにしても良い。この場合であっても、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0154】
さらに上述の実施の形態においては、再生開始時の情報供給命令と共に指示回転速度Sdが供給され、一時停止からの再生再開時には設定回転速度Ssを再生開始時に供給された指示回転速度Sdに最終的に設定するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、一時停止からの再生再開時にメイン電子機器2から改めて指示回転速度Sdを供給され、これを最終的に設定回転速度Ssに設定するようにしても良い。この場合であっても、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0155】
さらに上述の実施の形態においては、バッファメモリ20Aに記憶可能な読出データの最大量が記憶された状態で光ディスク100の回転を停止する回転停止処理を実行するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば最小の想定回転速度Si1に応じた記憶量が記憶された状態で光ディスク100の回転を停止しても良く、また、必ずしも回転停止処理を実行しなくても良い。この場合であっても、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0156】
さらに上述の実施の形態においては、バッファメモリ20Aが格納データ最大量DMAXになると、光ビームの照射を停止して光ディスク100からの読出データの読出を停止し、バッファメモリ20Aの格納データ量Daが所定の残量閾値Db未満になると光ビームの照射を開始して光ディスク100からの読出データの読出を開始するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、必ずしも光ビームの照射を停止する必要は無い。この場合であっても、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0157】
さらに上述の実施の形態においては、メイン電子機器2が再生モードにあるときには、回転制御プログラムに従って回転制御処理を実行するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば再生開始時又は再生再開時に、段階再生処理手順SRT11を実行する再生開始プログラムに従って、上述した段階再生処理を実行するようにしても良い。この場合であっても、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0158】
さらに上述の実施の形態においては、光ディスク装置1がメイン電子機器2に搭載されるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば孤立した光ディスク装置1に対してメイン電子機器2としての外部機器(例えばパーソナルコンピュータ)が接続されるようにしても良い。また、光ディスク装置1は、直接メイン電子機器2に接続している必要は無く、例えば別の電子機器やネットワークを介してメイン電子機器2に接続してても良い。
【0159】
さらに上述の実施の形態においては、ディスク状でなる情報記録媒体としての光ディスク100に対して段階再生処理を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばディスク状でなる磁気記録媒体に対して段階再生処理を適用するようにしても良い。
【0160】
さらに上述の実施の形態においては、バッファメモリ20Aに記憶された読出データから要求データを選定してメイン電子機器2へ供給するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば光ディスク100からの読出速度が要求データの供給速度と同一である場合には、記憶した読出データを直ぐに読み出し、要求データとして供給することになる。
【0161】
さらに上述の実施の形態においては、記録及び再生機能を有する光ディスク装置1に本発明を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、再生機能のみを有する各種情報再生装置に本発明を適用するようにした場合であっても、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0162】
さらに上述の実施の形態においては、回転制御プログラム等をフラッシュメモリ7に予め格納するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、メモリースティック(ソニー株式会社の登録商標)などの外部記憶媒体からフラッシュメモリ5などにインストールするようにしても良い。また、回転制御プログラムなどをUSB(Universal Serial Bus)やEthernet(登録商標)(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11a/b/gなどの無線LAN(Local Area Network)を介して外部から取得し、さらには地上ディジタルテレビジョン放送やBSディジタルテレビジョン放送により配信されるようにしても良い。
【0163】
さらに上述の実施の形態においては、受信部としての外部インターフェース12と、ディスク回転部としての駆動制御部13及び回転制御部10Cと、データ読出部としてのOP制御部10A及び光ピックアップ16と、データ量判別部としてのマイコン10と、データ記憶部としてのバッファメモリ20A及びメモリ制御部10Bによって情報再生装置としての光ディスク装置1を構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ディスク回転部と、データ読出部と、データ記憶部とによって本発明の情報再生装置を構成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0164】
本発明の情報再生装置、再生開始方法及び再生開始プログラムは、例えば種々の電子機器に搭載される光ディスク装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】メイン電子機器の外観構成を示す略線図である。
【図2】光ディスク装置の全体構成を示すブロック図である。
【図3】再生の開始時の説明に供するタイミングチャートである。
【図4】駆動電圧の印加時間と現状回転速度の関係を示す略線図である。
【図5】指示回転速度を設定した場合の再生再開処理の説明に供するタイミングチャートである。
【図6】段階再生処理の説明に供するタイミングチャートである。
【図7】高速再生処理の説明に供するタイミングチャートである。
【図8】回転停止処理の説明に供するタイミングチャートである。
【図9】回転制御処理手順の説明に供するフローチャートである。
【図10】段階再生処理手順の説明に供するフローチャートである。
【図11】高速再生処理手順の説明に供するフローチャートである。
【図12】回転停止処理手順の説明に供するフローチャートである。
【図13】データ供給処理手順の説明に供するフローチャートである。
【符号の説明】
【0166】
1……光ディスク装置、2……メイン電子機器、3……表示部、4……操作部、10……マイコン、10A……OP制御部、10B……メモリ制御部、10C……回転制御部、11……フラッシュメモリ、12……外部インターフェース、13……駆動制御部、14……スピンドルモータ、15……スレッドモータ、16……光ピックアップ、18……信号処理部、20……RAM、20A……バッファメモリ、Vs……スピンドル駆動電圧、VMAX……最大駆動電圧、Va、Va1〜Va4……安定駆動電圧、Sn……現状回転速度、Ss……設定回転速度、Sd……指示回転速度、Si、Si1〜Si4……想定回転速度、Da……格納データ量、DMAX……格納データ最大量、Db……残量閾値。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器が要求するデータを特定する要求特定情報及び上記データが記憶されたディスク状でなる記憶媒体の回転速度を指示する指示回転速度を受信する受信部と、
予め想定されている複数の想定回転速度のうち、上記指示回転速度に基づいて設定回転速度を設定し、当該設定回転速度で上記記憶媒体を回転させるディスク回転部と、
上記記憶媒体の上記設定回転速度に応じた読出速度で上記記憶媒体から上記データを読み出すデータ読出部と、
読み出した上記データを記憶すると共に、記憶された当該データのうち上記要求特定情報に対応する上記データを上記外部機器に供給するデータ記憶部と、
上記データ記憶部における現在の記憶された上記データの記憶量が所定量以上であるか否かを判別するデータ量判別部と
を具え、
上記ディスク回転部は、
上記記憶媒体が停止した状態から回転を開始する際に、上記複数の想定回転速度のうち、上記指示回転速度よりも小さい想定回転速度を上記設定回転速度に設定し、上記データ量判別部によって上記データ記憶部に所定量以上の上記データが記憶されたと判別される度に、上記設定回転速度をより大きい想定回転速度へ変更することにより、段階的に上記設定回転速度を上記指示回転速度まで引き上げる
ことを特徴とする情報再生装置。
【請求項2】
上記ディスク回転部は、
上記記憶媒体が停止した状態から回転を開始する際に、上記複数の想定回転速度のうち、上記指示回転速度よりも小さい想定回転速度を上記設定回転速度に設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報再生装置。
【請求項3】
上記記憶量は、
上記データ記憶部が記憶可能な上記データの最大量である
ことを特徴とする請求項1に記載の情報再生装置。
【請求項4】
上記ディスク回転部は、
現在の上記設定回転速度と次に設定される上記設定回転速度との差分に応じた印加時間に渡って所定の駆動電圧を印加することにより、上記記憶媒体を上記設定回転速度で回転させる
ことを特徴とする請求項1に記載の情報再生装置。
【請求項5】
上記ディスク回転部は、
上記記憶媒体が一時的に停止した一時停止状態でない場合には、上記設定回転速度を上記指示回転速度に設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報再生装置。
【請求項6】
上記ディスク回転部は、
上記設定回転速度に応じた読出速度が上記外部機器に対する上記データの供給速度よりも遅い場合には、上記設定回転速度を上記指示回転速度に設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報再生装置。
【請求項7】
上記ディスク回転部は、
上記要求特定情報が表す上記データが不連続である場合には、上記設定回転速度を上記指示回転速度に設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報再生装置。
【請求項8】
上記ディスク回転部は、
上記データ記憶部に上記要求特定情報に対応する上記データが記憶されていない場合には、上記指示回転速度を上記設定回転速度に設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報再生装置。
【請求項9】
上記ディスク回転部は、
上記要求特定情報が供給されなくなってから所定の再生待時間が経過した場合、上記データ記憶部に記憶可能な最大量の上記データが記憶された状態で上記記憶媒体の回転を停止する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報再生装置。
【請求項10】
上記データ読出部は、
上記データ記憶部が記憶可能な上記データの最大量が記憶されると、上記記憶媒体からの上記読出情報の読出を停止し、上記データ記憶部に記憶された上記データが所定の残量閾値未満になると、上記記憶媒体から上記データの読出を開始する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報再生装置。
【請求項11】
外部機器が要求するデータを特定する要求特定情報及び上記データが記憶されたディスク状でなる記憶媒体に対する上記外部機器の指示を表す指示回転速度に応じて、予め想定されている複数の想定回転速度のうち、上記指示回転速度に基づいて設定回転速度を設定し、当該設定回転速度で上記記憶媒体を回転させ、上記記憶媒体の上記設定回転速度に応じた読出速度で上記記憶媒体から上記データを読み出してデータ記憶部に記憶すると共に、記憶された当該データのうち上記要求特定情報に対応する上記データを上記外部機器に供給する情報再生装置に対する上記記憶媒体が停止した状態から回転を開始する際の再生開始方法であって、
上記複数の想定回転速度のうち、上記指示回転速度よりも小さい想定回転速度を上記設定回転速度に設定する回転速度設定ステップと、
上記設定回転速度が上記指示回転速度でない場合に、上記データ記憶部における上記データの現在の記憶量が所定量以上であるか否かを判別するデータ量判別ステップと、
上記データ記憶部に所定量以上の上記データが記憶されたと判別される度に、上記設定回転速度をより大きい想定回転速度へ変更することにより、段階的に上記設定回転速度を上記指示回転速度まで引き上げる回転速度変更ステップと
を具えることを特徴とする再生開始方法。
【請求項12】
外部機器が要求するデータを特定する要求特定情報及び上記データが記憶されたディスク状でなる記憶媒体に対する上記外部機器の指示を表す指示回転速度に応じて、予め想定されている複数の想定回転速度のうち、上記指示回転速度に基づいて設定回転速度を設定し、当該設定回転速度で上記記憶媒体を回転させ、上記記憶媒体の上記設定回転速度に応じた読出速度で上記記憶媒体からデータを読み出してデータ記憶部に記憶すると共に、記憶された当該データのうち上記要求特定情報に対応する上記データを上記外部機器に供給する情報再生装置に対して、
上記記憶媒体が停止した状態から回転を開始する際に、
上記複数の想定回転速度のうち、上記指示回転速度よりも小さい想定回転速度を上記設定回転速度に設定する回転速度設定ステップと、
上記設定回転速度が上記指示回転速度でない場合に、上記データ記憶部における上記データの現在の記憶量が所定量以上であるか否かを判別するデータ量判別ステップと、
上記データ記憶部に所定量以上の上記データが記憶されたと判別される度に、上記設定回転速度をより大きい想定回転速度へ変更することにより、段階的に上記設定回転速度を上記指示回転速度まで引き上げる回転速度変更ステップと
を実行させることを特徴とする再生開始プログラム。

【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−310926(P2008−310926A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−160508(P2007−160508)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【出願人】(306025075)ソニーNECオプティアーク株式会社 (46)
【Fターム(参考)】