説明

情報再生装置及び情報再生方法等

【課題】車両等の移動体の挙動が危険状態にある場合に、運転者等の操作者の心理状態を迅速に安定にさせ、移動体の挙動を危険状態から安全状態に導くことが可能な情報再生装置及び情報再生方法等を提供する。
【解決手段】車両等の移動体に設けられ、楽曲等を再生する情報再生装置は、移動体の挙動に関する挙動情報を取得し、取得された挙動情報に基づいて前記移動体の挙動が危険状態にあるか否かを判断し、危険状態にあると判断された場合に、前記移動体の操作者の心理状態を安定にさせる特定プログラム情報を再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の移動体に設けられ、楽曲データ等のプログラム情報を再生する情報再生装置等の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の操作中の危険状態を回避するため、警告を発したり、装置の操作を使用不能とする技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、車両が動作中で運転者の二つの手がそのハンドルを握っているのを検知されないとき、電話を一時停止する技術、更には、運転者の生理的状態(例えば、所定の脈拍、体温、血圧、と/あるいは運転者の皮膚の伝導度)をも検出し、所定の生理的状態が検出されたとき、電話を使用不能にする技術が開示されている。また、特許文献1には、加速、減速、過度の操縦、高速道への入出、追い越し、レーンの変更、ギアの変更、クラッチの操作、車両の逆走行運転状態、ブレーキ動作、他の車両への過度な接近、過度な操作と/あるいは車両の過度な高速度を検出する手段により、これらの状態、あるいはその組み合わせのいずれかは、電話、コンピュータあるいは車両内の他の注意をそらす可能性のある装置の操作を使用不能とすることが開示されている。
【0004】
また、居眠りや脇見など運転者の運転状態をセンサなどで検出し、危険な状態を警告するなどの技術も存在する。
【特許文献1】特表2005−507125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術においては、走行する道路の状況などの外的要因による突発的な車両の挙動変化や、各種センサ等から予想可能な危険に対して、回避するための警告や挙動制御については対処できるが、運転者の心理状態による危険な運転を回避することは困難である。なぜなら、運転者の心理状態は、車両の運転に対して影響力を持ち、運転者の心理状態が安定しない限り引き続き危険運転を持続する可能性があるからである。
【0006】
そこで、本願の課題の一例は、車両等の移動体の挙動が危険状態にある場合に、運転者等の操作者の心理状態を迅速に安定にさせ、移動体の挙動を危険状態から安全状態に導くことが可能な情報再生装置及び情報再生方法等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、移動体に設けられ、プログラム情報を再生する情報再生装置であって、移動体の挙動に関する挙動情報を取得する取得手段と、前記取得された挙動情報に基づいて前記移動体の挙動が危険状態にあるか否かを判断する判断手段と、前記移動体の操作者の心理状態を安定にさせる特定プログラム情報を含む複数のプログラム情報を記憶するプログラム情報記憶手段と、前記判断手段により危険状態にあると判断された場合に、前記記憶された前記特定プログラム情報を再生させる制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項10に記載の発明は、プログラム情報を再生する情報再生方法であって、移動体の挙動に関する挙動情報を取得する工程と、前記取得された挙動情報に基づいて前記移動体の挙動が危険状態にあるか否かを判断する工程と、前記移動体の操作者の心理状態を安定にさせる特定プログラム情報を含む複数のプログラム情報を記憶する工程と、前記判断工程において危険状態にあると判断された場合に、前記記憶された前記特定プログラム情報を再生させる工程と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項11に記載の情報再生処理プログラムの発明は、移動体に設けられ、プログラム情報を再生するコンピュータを、移動体の挙動に関する挙動情報を取得する取得手段、前記取得された挙動情報に基づいて前記移動体の挙動が危険状態にあるか否かを判断する判断手段、前記移動体の操作者の心理状態を安定にさせる特定プログラム情報を含む複数のプログラム情報を記憶するプログラム情報記憶手段、及び前記判断手段により危険状態にあると判断された場合に、前記記憶された前記特定プログラム情報を再生させる制御手段として機能させることを特徴とする。
請求項12に記載の記録媒体の発明は、請求項11に記載の情報再生処理プログラムをコンピュータ読み取り可能に記録したことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本願の最適な実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0011】
なお、以下に説明する実施の形態は、一例として、移動体を車両とし、情報再生装置を、その車両に設けられた(搭載された)車載用ナビゲーション・オーディオ再生記録装置(以下、単に、「オーディオ再生記録装置」という)に対して本願を適用した場合の実施形態である。
【0012】
先ず、図1等を参照して、本実施形態に係るオーディオ再生記録装置の構成及び機能を説明する。
【0013】
図1は、本実施形態に係るオーディオ再生記録装置の概要構成例を示す図である。
【0014】
本実施形態に係るオーディオ再生記録装置Sは、図1に示すように、HD(Hard Disk)ドライブ1、デコード部2、音声処理部3、スピーカ4、CD(Compact Disc)ドライブ5、エンコード部6、GPS(Global Positioning System)受信部7、センサ部8、操作部9、表示部10、及びシステム制御部11等を備えて構成されている。
【0015】
プログラム情報記憶手段の一例としてのHD(Hard Disk)ドライブ1は、システム制御部11の制御の下、図示しないHD(記録媒体の一例)へのデータの記録(書き込み)又は再生を行うようになっている。
【0016】
HDには、オーディオ再生記録装置S全体の制御を司るプログラム(ナビゲーション(経路探索や経路案内(経路誘導)等)機能に係るプログラム、オーディオ記録、再生機能に係るプログラム(本願の情報再生処理プログラムを含む)、及び各種データ(テキストデータ、画面データ及び地図データ等)が記録されている。なお、上記プログラムは、例えば、インターネット及び移動体通信網(無線基地局を含む)等を含む通信ネットワークに接続された所定のサーバに保存しておき、当該サーバから通信部(図示せず)を介して提供されるものであっても良いし、例えばCD−ROM等の記録媒体に記録しておき、当該記録媒体からCDドライブ5を介して提供される(読み込まれる)ものであっても良い。
【0017】
また、HDには、プログラム情報の一例としての楽曲データ(音楽ファイル)(以下、単に、「楽曲」という)が複数(多数)記憶(記録)されている。これらの楽曲は、システム制御部11の制御の下、例えばCDドライブ5によりCDから再生され、エンコーダ部6により圧縮等された後、HD(Hard Disk)ドライブ1により記憶される。また、システム制御部11の制御の下、HDドライブ1によりHDから再生された楽曲は、デコード部2により伸張等され、音声処理部3を介してスピーカ4から音波として出力(拡声)される。なお、音声処理部3は、D(Digital)/A(Analog)コンバータ及びアンプ(図示せず)等を備えており、例えばデコード部2から出力された楽曲に係るデジタルデータ、又はCDドライブ5から再生出力された楽曲に係るデジタルデータを、アナログ信号に変換し、これを増幅してスピーカ4に出力するようになっている。また、MD(Mini Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体から楽曲等の再生を行うドライブをオーディオ再生記録装置Sに備えても良い。
【0018】
そして、HDに記憶された多数の楽曲の中には、車両の操作者である運転者の心理状態を安定にさせる特定楽曲(言い換えれば、リラックスさせる効果がある楽曲)が1又は複数含まれている。どのような楽曲が運転者の心理状態を安定にさせるかは個人差があるが、一例としては、その運転者が安全運転している(つまり、車両の挙動が安全状態にある)ときに車両内で聴いている(CD又はHDから再生出力されている)楽曲が、運転者の心理状態を安定にさせる楽曲として判断されるようになっている。
【0019】
なお、初期の段階では、当該装置Sのユーザ(運転者等)が操作部9を操作して所望の楽曲を特定楽曲として選択し設定する(例えば、後述する挙動レベルを“1”に設定する)ように構成しても良い。
【0020】
また、HDには、記憶された夫々の楽曲に関する情報として、例えば、楽曲ID、楽曲タイトル、アーティスト名(歌手、演奏者等)、ジャンル名、再生時間(演奏時間)、アルバム名及び挙動レベル等を登録する楽曲リストが記憶されている。図2は、楽曲リストの内容の一例を示す図である。
【0021】
ここで、挙動レベルとは、車両の挙動についての危険度を段階的に表した情報をいう。図3は、挙動レベルと危険度との関係の一例を示す図である。図3に示す例では、挙動レベルは10段階で表されており、挙動レベルの数値が大きいほど危険度が高くなる一方、挙動レベルの数値が小さいほど危険度が低くなっている。危険度が低いということは、車両の挙動が安全状態にあることを意味している。そして、図3に示す例では、挙動レベル“7”以上が車両の挙動が危険状態にあるとして判断されるようになっている。なお、どの挙動レベル以上を、危険状態にするかは、ユーザ又は製造者等により任意に設定可能になっている。また、図3の例では、挙動レベルを10段階で示したが、これより少ない段階(例えば、5段階)で表しても良いし、これより多い段階(例えば、100段階)で表しても良い。
【0022】
そして、このような挙動レベルは、例えば、楽曲の再生中に、システム制御部11により取得された車両の挙動に関する挙動情報に基づいて決定され(詳細は後述)、当該挙動情報が取得されたときに再生中であった楽曲に対して対応付け(紐付け)られ、図2に示すように楽曲リスト中に登録されるようになっている。
【0023】
ここで、挙動情報としては、例えば、車両の速度、加速度、方位、ハンドル回転角度、アクセルの踏み込み具合、ブレーキの踏み込み具合、などを示す情報が該当する。
【0024】
なお、図2において楽曲IDが“FFFF”の楽曲等は、例えばスピーカ4から拡声されずにCDからHDに高速転送記憶された楽曲であり、未だ挙動レベルが登録されていないものである。
【0025】
GPS受信部7は、衛星軌道上に配置され地球を周回するGPS衛星から出力される航法電波を、アンテナ(図示せず)を介して受信し、受信した信号に基づいて現在位置情報(経度及び緯度)を検出し、GPSデータとしてシステム制御部11へ出力するようになっている。
【0026】
センサ部8は、例えば、車速パルスに基づき車両の速度を検出する速度センサ、地磁気を利用して車両の走行方位を検出する方位センサ(ジャイロセンサ)、車両の加速度を検出する加速度センサ、車両の走行距離を検出する距離センサ等を備えており、これらのセンサによって検出された各データ(速度データ、方位データ、加速度データ、走行距離データ等)はシステム制御部11へ出力されるようになっている。
【0027】
操作部9は、ユーザが各種指示(例えば、選択指示、再生指示、停止指示、或いは、記録指示等)を行うための指示ボタンが設けられており、ユーザにより押下された指示ボタンに対応する指示信号がシステム制御部11へ出力されるようになっている。なお、操作部9は、各種指示ボタンが設けられたリモコン(図示せず)との間で赤外線通信を行い、当該リモコンからの指示信号を受信してシステム制御部11へ出力することも可能になっている。
【0028】
表示部10は、ディスプレイ等を有し、システム制御部11の制御の下、ナビゲーション機能に係るメニュー画面、地図画面、案内画面等を表示したり、オーディオ記録、再生機能に係るメニュー画面、楽曲に関する情報等の画面を表示するようになっている。
【0029】
そして、システム制御部11は、演算機能を有するCPU(Central Processing Unit)、作業用RAM、各種データやプログラムを記憶するROM等を備えており、システム制御部11のCPUが、上述したプログラムを読み出し実行することにより、当該オーディオ再生記録装置Sにおける構成要素全体を統括制御すると共に、本願の取得手段、挙動レベル決定手段、挙動情報対応付け手段、判断手段、及び制御手段等として機能し、後述する処理を実行するようになっている。なお、システム制御部11におけるナビゲーション(現在地から目的地までの経路探索や経路案内等)処理については、公知であるので詳しい説明を省略する。
【0030】
また、システム制御部11は、車両における各機器の制御を担う車両ECU20と通信バス(図示せず)を介して相互にデータ通信を行うことが可能となっている。車両ECU20は、車両内における各種センサを通じて、アクセルの踏み込み具合(アクセルの基準位置に対する踏み込み位置)、ブレーキの踏み込み具合(ブレーキの基準位置に対する踏み込み位置)、エンジン回転数、及びハンドル(ステアリング)回転角度等を認識しており、これらを示す情報をシステム制御部11に出力する。
【0031】
システム制御部11は、楽曲の再生中に、車両ECU20からのアクセルの踏み込み具合、ブレーキの踏み込み具合、エンジン回転数、及びハンドル回転角度、並びに、センサ部8からの速度データ、方位データ、及び加速度データのうち少なくとも何れか一つの情報を挙動情報として取得(RAMの所定領域に記憶)するようになっている。
【0032】
また、システム制御部11は、楽曲の再生中に当該挙動情報を、例えば所定周期(特に限定されない)で複数回取得するようになっており、当該取得した複数の挙動情報(つまり、当該楽曲の再生開始から再生終了までに取得された複数の挙動情報)、例えば複数の挙動情報から求められる車両の挙動の変化に関する値に基づいて上述した挙動レベルを決定する。
【0033】
車両の挙動の変化に関する値としては、例えば、速度データ等から求められる車両の速度の変化量、方位データから求められる車両の方向の変化量、アクセルの踏み込み具合を示す情報から求められるアクセルの踏み込み具合の変化量、ブレーキの踏み込み具合を示す情報から求められるブレーキの踏み込み具合の変化量、ハンドル回転角度を示す情報から求められるハンドル回転角度の変化量等が挙げられる。これらの変化量は、例えば、今回取得した挙動情報に係る値(例えば、速度)と、前回(例えば数秒前に)取得した挙動情報に係る値との差の絶対値を算出することにより求めることができる。一般に、所定単位時間当たりの車両の速度の変化量、アクセルの踏み込み具合の変化量、及びブレーキの踏み込み具合の変化量が大きい場合には、急アクセルや急ブレーキによる危険な挙動があったと推定され、また、車両の方向の変化量及びハンドル回転角度の変化量が大きい場合には、急ハンドルによる危険な挙動があったと推定される。
【0034】
図4は、楽曲再生中に所定間隔(例えば、10秒)毎に求められた、車両の挙動に関する変化量(例えば、車両の速度の変化量)を時系列的に示した概念図である。図4の例においては、楽曲の再生開始から再生終了まで(ここでは、再生終了5秒前まで)に求められた変化量が閾値を超えた回数は9回(符号51部の枠内)である。また、図4の例においては、再生の前半(符号51部)よりも後半(符号52部)の方が閾値を超えた変化量が少ない傾向にあることがわかる。
【0035】
このようにして求められた複数の変化量から、変化量が閾値を超えた回数、それらの変化量の平均値、及び変化の傾向の3つのパラメータが算出され、これらのパラメータの一つ又は組合せを用いられてそのときの挙動レベルが決定されることになる。
【0036】
変化量が閾値を超えた回数のパラメータのみが用いられる場合、変化量が閾値を超えた回数が20回以上のとき挙動レベルが“10”となり、当該回数が18回以上20未満のとき挙動レベルが“9”となり、当該回数が16回以上18未満のとき挙動レベルが“8”となり、当該回数が14回以上16未満のとき挙動レベルが“7”となり、当該回数が12回以上14未満のとき挙動レベルが“6”となり、・・・というように挙動レベルが決定される。また、閾値を超えた変化量の平均値のパラメータのみが用いられる場合、閾値を超えた変化量の平均値が30以上のとき挙動レベルが“10”となり、当該変化量の平均値が25以上30未満のとき挙動レベルが“9”となり、当該変化量の平均値が21以上25未満のとき挙動レベルが“8”となり、当該変化量の平均値が17以上21未満のとき挙動レベルが“7”となり、当該変化量の平均値が12以上17未満のとき挙動レベルが“6”となり、・・・というように挙動レベルが決定される。また、変化の傾向のパラメータのみが用いられる場合、変化量が閾値を超えた回数が楽曲の再生終了に近づくにつれて増加する場合には、挙動レベルが高く(その中でも増す割合が大きければ、その割合に応じて挙動レベルが高く)決定され、再生終了に近づくにつれて減少する場合(例えば、図4に示すような場合)には、挙動レベルが低く決定される。また、これらのパラメータの組合せが用いられる場合、これらのパラメータが代入される計算式が用いられ、当該計算式により算出された値が対応する挙動レベルが決定される(或いは、挙動レベル毎に上記パラメータの組合せ条件を記述したテーブルを用いて決定されるようにしても良い)。
【0037】
このように決定される挙動レベルは、1種類の挙動情報から求められる変化量に基づき決定されても良いが、より精度を高めるためには、複数種類の挙動情報(例えば、車両の速度(又は、アクセルの踏み込み具合)と、ハンドル回転角度(又は、車両の方向))の夫々から求められる変化量に基づき決定されることが望ましい(速度に関する危険性(急アクセルや急ブレーキ)と、方向に関する危険性(蛇行運転等)の2つの要素を考慮した挙動レベルを決定すれば、より精度を高められる)。
【0038】
また、挙動レベルの決定に当たって、HD等に記憶された地図データにて示される高速道路の有無、交差点の有無、カーブの有無等を考慮するようにしても良い。例えば、上記楽曲再生中に走行していた経路における高速道路や交差点の割合に応じて上記閾値を変化(高速道路又は交差点の割合が多い場合には、その分上記閾値を上げる等)させるように構成しても良い。
【0039】
そして、システム制御部11は、こうして挙動レベルを決定すると、上記挙動情報を取得したときに再生中であった楽曲に対して、当該決定した挙動レベルを示す情報を対応付け、楽曲リスト中に登録する。また、決定された挙動レベルを示す情報を対応付ける対象となる楽曲に対して既に挙動レベルを示す情報が対応付けられて登録されている場合もありうるが、かかる場合、システム制御部11は、双方の挙動レベルを所定の計算式に代入して新たな挙動レベルを算出し、当該算出した新たな挙動レベルを示す情報を当該楽曲に対して対応付けて登録することになる。
【0040】
また、システム制御部11は、挙動レベルを決定すると、当該決定した挙動レベルに基づいて車両の挙動が危険状態にあるか否かを判断し、危険状態にあると判断した場合(例えば、図3に示すように、挙動レベルが“7”以上である場合)には、上記記憶された特定楽曲をHDから再生させスピーカ4から音波として出力(拡声)させるように制御する。
【0041】
例えば、システム制御部11は、記憶された複数の楽曲の中から、挙動レベルを示す情報が対応付けられ、且つ、当該挙動レベルが所定範囲(例えば、図3に示すように、挙動レベルが1〜6までの範囲)にある楽曲を、特定楽曲として選定し、当該選定した特定楽曲を再生させるようになっている。
【0042】
また、当該挙動レベルが所定範囲(例えば、図3に示すように、挙動レベルが1〜6までの安全状態範囲)にある楽曲が複数ある場合には、例えば、危険度が相対的に低い挙動レベルである楽曲が優先して選定(例えば、挙動レベルが最も低い楽曲が選定)される。或いは、危険状態にあると判断されることにより再生されるべき特定楽曲の直前の再生に係る楽曲(上記挙動情報の取得の際に再生されていた楽曲)に対応付けられた属性情報(例えば、アーティスト名(歌手、演奏者等)、ジャンル名)の全部又は一部が一致する属性情報が対応付けられた楽曲が優先して選定される。
【0043】
次に、図5乃至図7等を参照して、本実施形態に係るオーディオ再生記録装置の動作を説明する。
【0044】
図5は、システム制御部11における挙動情報取得・変化量算出処理を示すフローチャートであり、図6は、システム制御部11における挙動レベル決定・登録処理を示すフローチャートであり、図7は、システム制御部11における危険状態判断・特定楽曲再生処理を示すフローチャートである。
【0045】
図5に示す挙動情報取得・変化量算出処理は、例えば、オーディオ再生記録装置Sにおいて例えば車両の運転者からの操作部9を介した指示により、楽曲が選曲された場合に開始される。
【0046】
なお、かかる楽曲の選曲モードとしては、例えば、複数の楽曲のランダム選曲(楽曲リストに登録されている楽曲のランダム選曲、選択されたアルバムに収録された楽曲のランダム選曲等)モード、或いは、複数の楽曲の連続選曲(楽曲リストに登録されている楽曲を登録順に連続選曲、選択されたアルバムに収録された楽曲をトラック番号順に連続選曲等)モード等が挙げられる。
【0047】
図5に示す挙動情報取得・変化量算出処理が開始されると、先ず、システム制御部11は、選曲された楽曲の再生処理を開始し(ステップS1)、当該楽曲の再生指令をHDドライブ1等に与える。これにより、当該楽曲は、HDドライブ1によりHDから再生され、デコード部2により伸張等され、音声処理部3を介してスピーカ4から音波として出力(拡声)される(再生中となる)。
【0048】
次いで、システム制御部11は、HDに記憶された楽曲リストを参照して、再生中の楽曲に関する情報が楽曲リストに登録されているか否かを判別し(ステップS2)、登録されていない場合には(ステップS2:N)、ステップS5に移行する。一方、再生中の楽曲に関する情報が登録されている場合には(ステップS2:Y)、システム制御部11は、当該楽曲に対して挙動レベルを示す情報が対応付けられて登録されているか否かを判別し(ステップS3)、登録されていない場合には(ステップS3:N)、ステップS5に移行する。一方、当該楽曲に対して挙動レベルを示す情報が対応付けられて登録されている場合には(ステップS3:Y)、当該楽曲に対して対応付けられて登録されている挙動レベルを示す情報を楽曲リストから取得(RAMに一時的に記憶)する(ステップS4)。
【0049】
次いで、ステップS5では、上述した挙動情報が取得される。そして、システム制御部11は、上記挙動情報から、上述したように、車両の挙動に関する変化量を求め(算出)し(ステップS6)、続いて、当該変化量が閾値以上であるか否かを判別し(ステップS7)、閾値以上である場合には(ステップS7:Y)、当該変化量及びそのタイミングの時間(例えば、再生開始からX秒)をRAMの所定領域に記憶保存し(ステップS8)、ステップS9に移行する。一方、当該変化量が閾値以上でない場合には(ステップS7:N)、算出された変化量を記憶保存せず(破棄して)、ステップS9に移行する。
【0050】
次いで、ステップS9では、再生中の当該楽曲が例えば5秒後に終了するか(終了しているか)否かを判別し、5秒後に終了しない場合には(ステップS9:N)、システム制御部11は、ステップS5に戻り上記と同様の処理を行う。こうして、再生中の当該楽曲が5秒後に終了すると判別されるまで、ステップS5〜S9の処理は、例えば所定間隔(例えば、10秒)毎に、繰り返し行われることになる。
【0051】
なお、ステップS9にて判断される「5秒」は、図6に示す挙動レベル決定・登録処理及び図7に示す危険状態判断・特定楽曲再生処理における選曲に要する時間等を考慮したものであり、再生終了までに図6に示す挙動レベル決定・登録処理及び図7に示す危険状態判断・特定楽曲再生処理における選曲等が終えるのであれば、その他の時間(例えば、0秒〜5秒の間の時間)であっても良い。また、5秒より長い時間であっても良いが、なるべく、その楽曲の再生時間全体にわたって車両の挙動に関する挙動情報を取得しその変化量を算出し、これらの変化量に基づいて挙動レベルを決定することにより、その楽曲に関してより正確な挙動レベルを紐付けることができる。
【0052】
一方、再生中の楽曲が5秒後に終了する場合(つまり、現時点が再生終了の時点から再生終了5秒前の時点までの間の範囲にある)には(ステップS9:Y)、システム制御部11は、図6に示す挙動レベル決定・登録処理に移行する。
【0053】
次に、図6に示す挙動レベル決定・登録処理が開始されると、システム制御部11は、上記ステップS8にて記憶保存された挙動に関する変化量の数(つまり、変化量が閾値を超えた回数)を算出(カウント)する(ステップS11)。
【0054】
次いで、システム制御部11は、上記ステップS8にて記憶保存された挙動に関する変化量の平均値を算出する(ステップS12)。
【0055】
次いで、システム制御部11は、上記ステップS8にて記憶保存された挙動に関する変化量及びそのタイミングの時間から、上述したように、挙動変化の傾向を判断し、その傾向に係る数値(割合等)を算出する(ステップS13)。
【0056】
次いで、システム制御部11は、上記算出した挙動に関する変化量の数、挙動に関する変化量の平均値、及び挙動変化の傾向に係る数値から(これら算出された3つのパラメータの少なくとも一つを用いて)、上述したように、挙動レベルを決定する(ステップS14)。
【0057】
次いで、システム制御部11は、当該再生に係る楽曲(例えば、再生終了直前(間際)にある楽曲)に対して挙動レベルを示す情報が既に対応付けられて登録されているか否かを判別し(ステップS15)、登録されている場合には(ステップS15:Y)、上記ステップS4にて記憶された挙動レベルと、上記ステップS14にて決定された挙動レベルと、を合算して平均値を算出し、これを小数点以下四捨五入(或いは小数点以下切捨て)して新たな挙動レベルを算出する(ステップS16)。このように両挙動レベルの平均値をとることにより、既に対応付けられて登録されている(既に紐付けされている)挙動レベルを大きく変化させないことができ、過去の車両の挙動の変化の学習効果を図ることができる。例えば、今回決定された挙動レベルと、過去に紐付けられた挙動レベルとの間の開きが大きい場合には、過去に紐付けられた挙動レベルに対して、新たに紐付けされる挙動レベルの変化は大きめになる。なお、今回決定された挙動レベルと、過去に紐付けられた挙動レベルとの平均値をとるに当たって、何れか一方の重み付けを大きくしても良い。
【0058】
次いで、システム制御部11は、当該再生に係る楽曲(例えば、再生終了直前(間際)にある楽曲)に対して、上記ステップS16で算出した新たな挙動レベルを示す情報を対応付け、楽曲リスト中に登録(過去に紐付けられた挙動レベルを示す情報を、新たに算出された挙動レベルを示す情報で上書き)し(ステップS17)、図7に示す危険状態判断・特定楽曲再生処理に移行する。
【0059】
一方、上記ステップS15において挙動レベルを示す情報が登録されていないと判別された場合には(ステップS15:N)、システム制御部11は、当該再生に係る楽曲(例えば、再生終了直前(間際)にある楽曲)に関する情報が楽曲リストに登録されているか否かを判別し(ステップS18)、登録されている場合には(ステップS18:Y)、上記ステップS14にて決定された挙動レベルを示す情報を、当該再生に係る楽曲に対して対応付けて楽曲リスト中に登録し(ステップS19)、図7に示す危険状態判断・特定楽曲再生処理に移行する。
【0060】
一方、当該再生に係る楽曲(例えば、再生終了直前(間際)にある楽曲)に関する情報が楽曲リストに登録されていない場合(例えば、CDからの再生の場合)には(ステップS18:N)、システム制御部11は、当該再生に係る楽曲の楽曲タイトル及び再生時間等(これらの情報は、例えばCDから楽曲が再生される際に当該CD或いはインターネットを介してCDDBから取得)と共に、上記ステップS14にて決定された挙動レベルを示す情報を対応付けて楽曲リスト中に新たに登録し(ステップS20)、図7に示す危険状態判断・特定楽曲再生処理に移行する。
【0061】
次に、図7に示す危険状態判断・特定楽曲再生処理が開始されると、システム制御部11は、上記ステップS14にて決定された挙動レベルに基づいて車両の挙動が危険状態にあるか否かを判断し(ステップS31)、危険状態にないと判断した場合(例えば、決定された挙動レベルが予め設定された基準挙動レベル未満にある場合)には(ステップS31:N)、そのときの選曲モードを維持しつつ当該処理を終了する。そして、当該選曲モードにより次の楽曲が選曲されると、再び、図5に示す挙動情報取得・変化量算出処理が開始されることになる。
【0062】
一方、危険状態にあると判断された場合(例えば、決定された挙動レベルが予め設定された基準挙動レベル以上にある場合)には(ステップS31:Y)、システム制御部11は、安全運転楽曲自動選曲モードへ遷移し(ステップS32)、直前の選曲モードがランダム選曲モードであるか否かを判別する(ステップS33)。なお、基準挙動レベルは、当該楽曲再生中に走行していた経路における高速道路や交差点の割合(地図データより認識)に応じて変化するように構成しても良い。
【0063】
そして、直前の選曲モードがランダム選曲モードでない(例えば、連続選曲モードである)場合には(ステップS33:N)、システム制御部11は、上記楽曲リストを参照して、当該再生に係る楽曲(例えば、再生終了直前(間際)にある楽曲)に対応付けられた属性情報(例えば、アーティスト名及びジャンル名等)の全部又は一部が一致する属性情報が対応付けられた楽曲を1又は複数検索し(ステップS34)、検索された楽曲の中から、挙動レベルが基準挙動レベル未満の安全状態範囲にあり、且つ、例えば挙動レベルが最も低い(つまり、安全性の最も高い)楽曲を特定楽曲として選定する(ステップS35)。これにより、運転者が現在聴いている楽曲に極力近いジャンルやアーティスト等の楽曲を選曲し、安全運転楽曲自動選曲モードへ遷移したことを運転者に意識させないようにさせる。
【0064】
一方、直前の選曲モードがランダム選曲モードである場合には(ステップS33:Y)、運転者が現在聴いている楽曲に極力近いジャンルやアーティスト等の楽曲を選曲する必要性がない(ランダム選曲であったため)、システム制御部11は、上記楽曲リストを参照して、挙動レベルが基準挙動レベル未満の安全状態範囲にあり、例えば挙動レベルが最も低い(つまり、安全性の最も高い)楽曲を特定楽曲として選定する(ステップS36)。
【0065】
なお、上記ステップS35及びS36において、挙動レベルが最も低い楽曲を特定楽曲として選定する以外にも、例えば、挙動レベルが基準挙動レベル未満の安全状態範囲にある複数の楽曲の夫々に割り当てられた挙動レベルに応じた確率で(つまり、挙動レベルが低ければ(安全性が高い)、それだけ選定される確率が高くなり、挙動レベルが高ければ(安全性が低い)、それだけ選定される確率が低くなる)、何れかの楽曲が選定されるように構成しても良い。このように構成すれば、固定的に楽曲が選定されることを防ぐことができる。
【0066】
次いで、システム制御部11は、当該再生に係る楽曲(例えば、再生終了直前(間際)にある楽曲)が再生終了したか否か判別し(ステップS37)、再生終了した場合には(ステップS37:Y)、上記ステップS35又はS36にて選定(選曲)された特定楽曲の再生処理を開始し(ステップS38)、当該楽曲の再生指令をHDドライブ1等に与える。これにより、当該特定楽曲は、HDドライブ1によりHDから再生され、デコード部2により伸張等され、音声処理部3を介してスピーカ4から音波として出力(拡声)される。
【0067】
次いで、システム制御部11は、当該再生された特定楽曲が再生終了したか否か判別し(ステップS39)、再生終了した場合には(ステップS39:Y)、安全運転楽曲自動選曲モードから直前の選曲モードへ遷移し(ステップS40)、当該処理を終了する。そして、当該選曲モードにより次の楽曲が選曲されると、再び、図5に示す挙動情報取得・変化量算出処理が開始されることになる。
【0068】
以上説明したように、上記実施形態によれば、オーディオ再生記録装置Sは、車両の挙動に関する挙動情報を取得し、取得した挙動情報に基づき例えば車両の挙動についての危険度を段階的に表した挙動レベルを決定し当該決定した挙動レベルに基づいて、車両の挙動が危険状態にあるか否かを判断し、危険状態にあると判断した場合に、車両の運転者の心理状態を安定にさせる特定楽曲を再生させるように構成したので、運転者の心理状態を迅速に安定にさせ、車両の挙動を危険状態から安全状態に導く(言い換えれば、運転者の心理状態を危険な運転状態から安全な運転状態へと導く)ことができる。つまり、本願は、車両を運転するときに利用されている「音楽を聴く」という行為が運転者や同乗者の心理状態と密接な関係があり、気分に応じて運転者は数ある楽曲の中から、今自分が聴きたい楽曲を選択するという状況に着目し、車両の挙動が危険状態にある場合、車両の運転者の心理状態を安定にさせる特定楽曲を再生させるのである(車両の挙動に応じた最適な音楽選曲の実現)。
【0069】
従って、車両の挙動が危険状態にある場合に、警告等で運転者を驚かせることなく、当該運転者が日ごろから利用する楽曲のうち心理状態を安定にさせる特定楽曲の再生により、無意識に運転者の心理状態が安定し例えばイライラした状態からリラックス状態に至る(緊張状態になりにくく)ため、事故に繋がるような車両の挙動を予め回避することができ、更には、運転者の疲れを癒すこともできる。
【0070】
しかも、従来のように、生体センサやCCDカメラなどから運転者の状態を取込み解析するようなシステムを設けることなく、車両内に存在する身近な音楽を利用して運転者の心理状態を安定させることができるので、コストを低減させることもできる。もちろん、生体センサやCCDカメラなどから運転者の状態を挙動情報として取得して、これに基づいて挙動レベルを決定し当該決定した挙動レベルに基づいて、車両の挙動が危険状態にあるか否かを判断するようにしても構わない。
【0071】
また、近年膨大な音楽ファイルを扱い保存する運転者にとっては、新たな音楽選曲モードである安全運転楽曲自動選曲モードが追加され楽曲再生の楽しみが増える。
【0072】
また、オーディオ再生記録装置Sは、楽曲の再生中に取得した挙動情報に基づき上記挙動レベルを決定し、当該挙動情報が取得されたときに再生中の楽曲に対して上記決定した挙動レベルを示す情報を対応付けて登録しておき、上記危険状態にあると判断した場合に、記憶された複数の楽曲の中から、挙動レベルを示す情報が対応付けられ、且つ、当該挙動レベルが安全状態範囲にある楽曲を、特定楽曲として選定し、これを再生するように構成したので、運転者の心理状態を安定にさせる楽曲について個人差があっても、その運転者が安全運転している(つまり、車両の挙動が安全状態にある)ときに車両内で聴いていた楽曲を選定(選曲)することができ、個々のユーザ毎に合った最適に特定楽曲を再生することができる。従って、個々の運転者の心理状態を危険な運転状態から安全な運転状態へと導くことができる。
【0073】
また、オーディオ再生記録装置Sは、複数の特定楽曲が記憶されている場合に、危険度が相対的に低い挙動レベルである楽曲を優先して選定するように構成したので、運転者の心理状態を迅速に安定にさせ、車両の挙動を危険状態から安全状態に導くという効果をより高めることができる。
【0074】
また、オーディオ再生記録装置Sは、複数の特定楽曲が記憶されている場合に、再生されるべき特定楽曲の直前の再生に係る楽曲の属性情報の全部又は一部が一致する属性情報が対応付けられた特定楽曲を優先して選定するように構成したので、運転者が現在聴いている楽曲に極力近いジャンルやアーティスト等の楽曲を選曲し、安全運転楽曲自動選曲モードへ遷移したことを運転者に意識させないようにさせて緊張状態になりにくくさせるため、事故に繋がるような車両の挙動を予め回避することができ、更には、運転者の疲れを癒すこともできる。
【0075】
また、オーディオ再生記録装置Sは、楽曲の再生中に挙動情報を複数回取得し、当該取得した複数の挙動情報から求められる車両の挙動の変化に関する変化量に基づいて挙動レベルを決定するように構成したので、より一層、当該挙動レベルの正確性及び精度を向上させることができる。
【0076】
なお、上記実施形態においては、楽曲の再生中に挙動情報を複数回取得し、車両の挙動の変化に関する変化量に基づいて挙動レベルを決定するように構成した(この方法が当該挙動レベルの正確性及び精度を向上させるので望ましいのであるが)が、挙動レベルの決定方法としては、これに限定されるものではなく、当該変化量を求めないで、例えば取得した挙動情報から直接的に挙動レベルを決定する等、その他の方法によって挙動レベルを決定するものであっても構わない。
【0077】
また、上記実施形態においては、特定楽曲の直前に再生されている楽曲が再生終了した場合に(ステップS37:Y)、当該特定楽曲の再生処理が開始されるように構成したが、別の例として、特定楽曲の直前に再生されている楽曲をフェードアウト等させて途中で再生終了させて上記特定楽曲の再生処理が開始されるように構成しても良い。このように構成すれば、運転者の心理状態を迅速に安定にさせ、車両の挙動を危険状態から安全状態に導くという効果を早めることができる。なお、突然再生終了させ、次の特定楽曲に切り替えてしまうと、悪い心理状態になることが想定されるので、フェードアウトなどで極力曲の切り替えを意識させないようにすることが必要である。
【0078】
また、上記実施形態において、特定楽曲の再生が開始された後、その効果を図るため、当該特定楽曲の再生中にも上述したステップS5〜S14と同様の処理を行って挙動レベルを決定し、直前の楽曲の再生中に決定された挙動レベルと比較して、当該挙動レベルが下がった(例えば、挙動レベルが8から4に下がった)場合(つまり、車両の挙動が危険状態から安全状態に確実に推移した)には、その差(当該差が大きければ大きな効果があったことになる)に所定の定数を乗じた値(例えば、差が4レベルあるとすると、4*定数(例えば、定数0.3)=1(少数点以下は四者五入或いは切り捨て))分だけ、当該特定楽曲に対応付けられている挙動レベルを減算して上書き登録するように構成すれば、より一層、当該挙動レベルの正確性及び精度を向上させることができる。
【0079】
また、上記実施形態においては、プログラム情報として楽曲を例にとって説明したが、これに限定されるものではなく、映像データ等(例えば、ビデオクリップ)に対して適用するように構成しても良い。
【0080】
また、上記実施形態においては、本願をオーディオ再生記録装置Sに適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、移動体に搭載される音楽データ並びに画像データの再生又は記録機能を有するプレーヤ等の電子機器等に対しても適用可能である。
【0081】
また、上記実施形態については、移動体として車両を例にとって説明したが、これに限定されるものではなく、移動体として航空機、船舶等に対して適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本実施形態に係るオーディオ再生記録装置の概要構成例を示す図である。
【図2】楽曲リストの内容の一例を示す図である。
【図3】挙動レベルと危険度との関係の一例を示す図である。
【図4】楽曲再生中に所定間隔毎に求められた、車両の挙動に関する変化量を時系列的に示した概念図である。
【図5】システム制御部11における挙動情報取得・変化量算出処理を示すフローチャートである。
【図6】システム制御部11における挙動レベル決定・登録処理を示すフローチャートである。
【図7】システム制御部11における危険状態判断・特定楽曲再生処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0083】
1…HDドライブ
2…デコード部
3…音声処理部
4…スピーカ
5…CDドライブ
6…エンコード部
7…GPS受信部
8…センサ部
9…操作部
10…表示部
11…システム制御部
S…オーディオ再生記録装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に設けられ、プログラム情報を再生する情報再生装置であって、
移動体の挙動に関する挙動情報を取得する取得手段と、
前記取得された挙動情報に基づいて前記移動体の挙動が危険状態にあるか否かを判断する判断手段と、
前記移動体の操作者の心理状態を安定にさせる特定プログラム情報を含む複数のプログラム情報を記憶するプログラム情報記憶手段と、
前記判断手段により危険状態にあると判断された場合に、前記記憶された前記特定プログラム情報を再生させる制御手段と、
を備えることを特徴とする情報再生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報再生装置において、
前記取得された挙動情報に基づいて前記移動体の挙動についての危険度を段階的に表した挙動レベルを決定する挙動レベル決定手段を更に備え、
前記判断手段は、前記決定された挙動レベルに基づいて、前記移動体の挙動が危険状態にあるか否かを判断することを特徴とする情報再生装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報再生装置において、
前記取得手段は、前記プログラム情報の再生中に前記挙動情報を取得し、前記挙動レベル決定手段は、当該取得された挙動情報に基づいて前記挙動レベルを決定するものであって、
前記挙動情報が取得されたときに再生中であった前記プログラム情報に対して、前記決定された前記挙動レベルを示す情報を対応付ける挙動情報対応付け手段を更に備え、
前記制御手段は、前記判断手段により危険状態にあると判断された場合に、前記記憶された複数のプログラム情報の中から、前記挙動レベルを示す情報が対応付けられ、且つ、当該挙動レベルが所定範囲にあるプログラム情報を、前記特定プログラム情報として選定し、当該選定した特定プログラム情報を再生させることを特徴とする情報再生装置。
【請求項4】
請求項3に記載の情報再生装置において、
複数の前記特定プログラム情報が記憶されている場合に、前記制御手段は、前記危険度が相対的に低い挙動レベルである前記特定プログラム情報を優先して選定することを特徴とする情報再生装置。
【請求項5】
請求項3に記載の情報再生装置において、
夫々の前記特定プログラム情報には、当該プログラム情報の属性を示す属性情報が対応付けられており、
複数の前記特定プログラム情報が記憶されている場合に、前記制御手段は、前記判断手段により危険状態にあると判断されることにより再生されるべき前記特定プログラム情報の直前の再生に係るプログラム情報に対応付けられた属性情報の全部又は一部が一致する属性情報が対応付けられた前記特定プログラム情報を優先して選定することを特徴とする情報再生装置。
【請求項6】
請求項3乃至5の何れか一項に記載の情報再生装置において、
前記挙動情報対応付け手段は、前記決定された挙動レベルを示す情報を対応付ける対象となるプログラム情報に対して既に前記挙動レベルを示す情報が対応付けられている場合には、双方の前記挙動レベルを所定の計算式に代入して新たな挙動レベルを算出し、当該算出した新たな挙動レベルを示す情報を前記プログラム情報に対して対応付けることを特徴とする情報再生装置。
【請求項7】
請求項2乃至6の何れか一項に記載の情報再生装置において、
前記取得手段は、前記プログラム情報の再生中に前記挙動情報を複数回取得し、前記挙動レベル決定手段は、当該取得された複数の挙動情報に基づいて前記挙動レベルを決定することを特徴とする情報再生装置。
【請求項8】
請求項7に記載の情報再生装置において、
前記挙動レベル決定手段は、前記複数の挙動情報から求められる前記移動体の挙動の変化に関する値に基づいて前記挙動レベルを決定することを特徴とする情報再生装置。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の情報再生装置において、
前記挙動レベル決定手段は、前記プログラム情報の再生開始から再生終了所定時間前までに取得された前記複数の挙動情報に基づいて前記挙動レベルを決定することを特徴とする情報再生装置。
【請求項10】
プログラム情報を再生する情報再生方法であって、
移動体の挙動に関する挙動情報を取得する工程と、
前記取得された挙動情報に基づいて前記移動体の挙動が危険状態にあるか否かを判断する工程と、
前記移動体の操作者の心理状態を安定にさせる特定プログラム情報を含む複数のプログラム情報を記憶する工程と、
前記判断工程において危険状態にあると判断された場合に、前記記憶された前記特定プログラム情報を再生させる工程と、
を備えることを特徴とする情報再生方法。
【請求項11】
移動体に設けられ、プログラム情報を再生するコンピュータを、
移動体の挙動に関する挙動情報を取得する取得手段、
前記取得された挙動情報に基づいて前記移動体の挙動が危険状態にあるか否かを判断する判断手段、
前記移動体の操作者の心理状態を安定にさせる特定プログラム情報を含む複数のプログラム情報を記憶するプログラム情報記憶手段、及び
前記判断手段により危険状態にあると判断された場合に、前記記憶された前記特定プログラム情報を再生させる制御手段として機能させることを特徴とする情報再生処理プログラム。
【請求項12】
請求項11に記載の情報再生処理プログラムをコンピュータ読み取り可能に記録したことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−108315(P2008−108315A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−288236(P2006−288236)
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】