説明

情報処理プログラム、情報処理方法、および、情報処理装置

【課題】表示装置に表示された画像をユーザーの意図に沿った形態で出力することができる情報処理プログラム、情報処理方法、および、情報処理装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、複数の文書表示装置(文書表示装置2,3)における文書の閲覧履歴を用いて、印刷設定情報を生成する。たとえば、画像形成装置1は、印刷対象の文書についての各文書表示装置の閲覧履歴のうち、最も画面サイズが小さい文書表示装置において、印刷対象のオブジェクトが表示された直前に表示された内容を、印刷対象のオブジェクトの近傍に印刷する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理プログラム、情報処理方法、および、情報処理装置に関し、特に、複数の文書表示装置で閲覧され得る文書についての画像形成のための設定情報を生成するための情報処理プログラム、情報処理方法、および、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像の印刷に、当該画像の閲覧状態を反映させるための技術が提案されている。
【0003】
たとえば、特許文献1(特開2000−83222号公報)には、デジタルカメラで撮影した画像やメモリーカードに記録した画像をテレビの画面に表示させ、そして、テレビの表示エリアに拡大表示した部分がそのまま印刷されるように画像をトリミングして印刷させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−83222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、携帯端末の普及により、デジタルカメラで撮影された画像が、パーソナルコンピュータやテレビなどに備えられた表示装置の比較的大きな画面だけでなく、携帯端末に備えられた表示装置における比較的小さな画面にも表示される場合が多くなってきた。
【0006】
このように、画像が種々の大きさの画面で表示される場合、特許文献1に記載の技術をそのまま適用されたのでは、ユーザーの意図に沿わない態様で画像が印刷される場合が想定される。
【0007】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、表示装置に表示された画像をユーザーの意図に沿った形態で出力することができる情報処理プログラム、情報処理方法、および、情報処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に従った情報処理プログラムは、画像形成に関する設定情報を生成するためのコンピューターにおいて実行される情報処理プログラムであって、コンピューターを、複数の文書表示装置における文書の閲覧履歴を取得するための取得手段、および、取得手段が取得した文書の閲覧履歴に基づいて、文書の画像形成に関する設定情報を生成するための生成手段として機能させる。
【0009】
好ましくは、生成手段は、文書において、複数の文書表示装置のうち2以上の文書表示装置において閲覧対象となった第1の領域を画像形成の対象に含める。
【0010】
好ましくは、生成手段は、複数の文書表示装置のうち少なくとも1の文書表示装置における第1の領域の表示倍率に基づいて、画像形成における対象の倍率を決定する。
【0011】
好ましくは、生成手段は、さらに、閲覧履歴において、第1の領域の直前または直後に閲覧対象となった第2の領域を対象に含める。
【0012】
好ましくは、生成手段は、記録媒体において第2の領域が第1の領域に隣接して画像形成されるように、設定情報を生成する。
【0013】
好ましくは、生成手段は、記録媒体において、第1の領域が記録媒体の第1の面に画像形成され、第2の領域が記録媒体の第2の面に画像形成されるように、設定情報を生成する。
【0014】
好ましくは、生成手段は、複数の文書表示装置のうち少なくとも1の文書表示装置における第1の領域の閲覧についてのカラーモードに応じて、設定情報におけるカラーモードを決定する。
【0015】
好ましくは、複数の文書表示装置は、第1の文書表示装置と第2の文書表示装置とを含み、生成手段は、文書の閲覧履歴が、第1の文書表示装置で第1の領域がカラーで閲覧された履歴と、第2の文書表示装置で第1の領域がモノクロで閲覧された履歴とを含む場合、当該第1の領域の閲覧時間の長い方のカラーモードに、設定情報におけるカラーモードを決定する。
【0016】
本発明に従った情報処理方法は、画像形成に関する設定情報を生成するためのコンピュータが、複数の文書表示装置における文書の閲覧履歴を取得するステップ、および、文書の閲覧履歴に基づいて、文書の画像形成に関する設定情報を生成するステップとを実行する。
【0017】
本発明に従った情報処理装置は、画像形成に関する設定情報を生成するためのコンピュータによって構成される情報処理装置であって、複数の文書表示装置における文書の閲覧履歴を取得するための取得手段と、取得手段が取得した文書の閲覧履歴に基づいて、文書の画像形成に関する設定情報を生成するための生成手段とを備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、或る文書についての複数の文書表示装置における閲覧履歴に基づいて、当該文書の画像形成に関する設定情報が生成される。これにより、1の文書表示装置の閲覧履歴のみで設定情報が生成されることにより他の文書表示装置では意図しないような表示態様に基づく設定情報が生成されて画像形成が行なわれることを極力回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態である情報処理装置を含むファイルシステムの全体構成を模式的に示す図である。
【図2】図1の画像形成装置および文書表示装置の制御ブロックを示す図である。
【図3】文書表示装置Aの表示部に表示される内容を説明するための図である。
【図4】文書表示装置Bの表示部に表示される内容を説明するための図である。
【図5】図1の画像形成装置において実行される印刷処理のフローチャートである。
【図6】図5のステップS70の指示に従って、印刷用紙等の記録媒体上に形成された画像の一例を示す図である。
【図7】図6の変形例を示す図である。
【図8】図5の変形例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態に係る情報処理装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一の機能・作用を奏する要素については、各図において同一の符号を付し、その詳細な説明は繰返さない。
【0021】
<ファイルシステムの構成>
図1は、本発明の一実施の形態である情報処理装置を含むファイルシステムの全体構成を模式的に示す図である。
【0022】
図1を参照して、本実施の形態のファイルシステムは、画像形成装置1と、文書表示装置2,3を含む。文書表示装置2,3は、それぞれ、画像形成装置1にアクセスすることにより、当該画像形成装置1に格納された文書を閲覧する。
【0023】
画像形成装置1は、当該文書についての印刷指示を入力されると、文書表示装置2による当該文書の閲覧履歴と、文書表示装置3での当該文書の閲覧履歴とを取得し、これらの閲覧履歴から、当該文書の印刷設定情報を決定する。
【0024】
本実施の形態のファイルシステムでは、画像形成装置1により情報処理装置が構成され、そして、文書表示装置2および文書表示装置3により複数の文書表示装置が構成される。
【0025】
なお、ファイルシステムにおいて、備えられる文書表示装置の数は、図1に示した2に限定されるものではない。3以上の文書表示装置についての上記文書の閲覧履歴に基づいて、当該文書の印刷設定が決定されてもよい。
【0026】
また、印刷対象となる文書のデータの保存場所は、画像形成装置1に限定されず、文書表示装置2、文書表示装置3、および、画像形成装置1が通信可能な、これらの装置とは別途設けられたファイルサーバー等の装置であってもよい。
【0027】
また、以下説明する本実施の形態では、文書表示装置2および文書表示装置3における文書の閲覧履歴は、各文書表示装置において作成されて格納されている。なお、閲覧履歴の作成および/または格納は、各文書表示装置でなされていなくてもよい。各文書表示装置の閲覧履歴の作成および/または格納は、各文書表示装置が通信可能な装置においてなされても良い。また、各文書表示装置の閲覧履歴は、1の装置に格納されている必要はなく、画像形成装置1がアクセスできれば、別々の装置に格納されていても良い。この場合、画像形成装置1は、それぞれの装置にアクセスすることにより、各文書表示装置の閲覧履歴を取得し、上記した印刷設定情報を生成する。
【0028】
<制御ブロック>
図2は、画像形成装置1および文書表示装置2,3の制御ブロックを示す図である。
【0029】
(画像形成装置1)
図2を参照して、画像形成装置1は、画像読取機能、画像形成機能、ファクシミリ機能等の複数の機能を有する複合機(Multifunction Peripheral)により構成される。なお、本発明の情報処理装置は、画像形成のための設定情報を生成できれば、画像形成等の機能を備えている必要はない。
【0030】
さて、画像形成装置1は、当該画像形成装置1の動作を全体的に制御するシステムコントローラー100を含む。システムコントローラー100は、CPU(Central Processing Unit)を含む。また、画像形成装置1は、タッチパネルなどの、ユーザからの情報の入力を受付ける操作部101、システムコントローラー100のワークエリアとして機能するメモリー102、通信機能を有する通信部103、ハードディスク等の記憶装置によって構成される記憶部104、記録用紙等の記録媒体に画像を形成する画像形成部105、印刷指示等の対象となった画像に対して拡大/縮小等の種々の処理を施して印刷用の画像データを生成する画像処理部106、光学的に原稿画像を読取って原稿の画像データを生成する撮像部107とを含む。通信部103は、たとえば汎用の通信制御装置および当該通信制御装置を制御するためのモデムなどの装置によって構成される。また、画像形成部105は、たとえば、感光体、当該感光体に静電潜像を形成するための装置、当該静電潜像上にトナーを供給して画像を生成するための装置、形成された画像を記録用紙に転写するための装置等を含む。
【0031】
システムコントローラー100が実行するプログラムは、記憶部104に記憶されている。記憶部104は、画像形成装置1の本体に固定されていても良いし、当該本体に着脱可能に設けられていてもよい。着脱可能な場合の具体例としては、CD−ROM(Compact Disc - Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disk - Read Only Memory)、USB(Universal Serial Bus)メモリー、メモリーカード、FD(Flexible Disk)、ハードディスク、磁気テープ、カセットテープ、MO(Magnetic Optical Disc)、MD(Mini Disc)、IC(Integrated Circuit)カード(メモリーカードを除く)、光カード、マスクROM、EPROM、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read-Only Memory)などの、不揮発的にプログラムを格納する媒体が挙げられる。
【0032】
(文書表示装置2)
文書表示装置2(以下、適宜「文書表示装置A」とも言う)は、当該文書表示装置2の動作を全体的に制御するシステムコントローラー200を含む。システムコントローラー200は、CPU等のプロセッサーを含む。
【0033】
また、文書表示装置2は、外部からの情報の入力を受付けるための装置であってタッチパネル等の操作部201と、文書等の情報を表示させる表示部202と、他の装置(たとえば、画像形成装置1)との通信を行なうための通信部203と、システムコントローラー200が実行するプログラム等を記憶する記憶部204とを含む。
【0034】
上記した文書表示装置2の閲覧履歴は、たとえば記憶部204に記憶される。また、文書表示装置2において閲覧される文書が画像形成装置1からダウンロードされた場合には、当該文書のデータはたとえば記憶部204に記憶される。なお、文書表示装置2の閲覧履歴は、外部の装置からダウンロードされた文書のみでなく、文書表示装置2に直接インストールされた文書についても作成される。
【0035】
記憶部204は、文書表示装置2の本体に固定されていても良いし、当該本体に着脱可能に設けられていてもよい。着脱可能な場合の具体例としては、CD−ROM、DVD−ROM、USBメモリー、メモリーカード、FD、ハードディスク、磁気テープ、カセットテープ、MO、MD、ICカード(メモリーカードを除く)、光カード、マスクROM、EPROM、EEPROMなどの、不揮発的にプログラムを格納する媒体が挙げられる。
【0036】
(文書表示装置3)
文書表示装置3(以下、適宜「文書表示装置B」とも言う)は、当該文書表示装置3の動作を全体的に制御するシステムコントローラー300を含む。システムコントローラー300は、たとえばCPU等のプロセッサーを含む。
【0037】
また、文書表示装置3は、外部からの情報の入力を受付けるための装置であってタッチパネル等の操作部301と、文書等の情報を表示させる表示部302と、他の装置(たとえば、画像形成装置1)との通信を行なうための通信部303と、システムコントローラー300が実行するプログラム等を記憶する記憶部304とを含む。
【0038】
上記した文書表示装置3の閲覧履歴は、たとえば記憶部304に記憶される。また、文書表示装置3において閲覧される文書が画像形成装置1からダウンロードされた場合には、当該文書のデータはたとえば記憶部304に記憶される。なお、文書表示装置3の閲覧履歴は、外部の装置からダウンロードされた文書のみでなく、文書表示装置3に直接インストールされた文書についても作成される。
【0039】
記憶部304は、文書表示装置3の本体に固定されていても良いし、当該本体に着脱可能に設けられていてもよい。着脱可能な場合の具体例としては、CD−ROM、DVD−ROM、USBメモリー、メモリーカード、FD、ハードディスク、磁気テープ、カセットテープ、MO、MD、ICカード(メモリーカードを除く)、光カード、マスクROM、EPROM、EEPROMなどの、不揮発的にプログラムを格納する媒体が挙げられる。
【0040】
(装置情報)
文書表示装置2の記憶部204には、装置情報として、当該文書表示装置2の仕様が記憶されている。表1に、記憶される仕様の一例を示す。
【0041】
【表1】

【0042】
表1では、文書表示装置2(文書表示装置A)の画面サイズおよび解像度が示されている。画面サイズとは、表示部202の画像表示領域のサイズである。また、上記解像度は、当該画像表示領域における画像の解像度である。
【0043】
また、文書表示装置3の記憶部304には、装置情報として、当該文書表示装置3の仕様が記憶されている。表2に、記憶される仕様の一例を示す。
【0044】
【表2】

【0045】
表2では、文書表示装置2(文書表示装置B)の画面サイズおよび解像度が示されている。画面サイズとは、表示部302の画像表示領域のサイズである。また、上記解像度は、当該画像表示領域における画像の解像度である。
【0046】
表1および表2から理解されるように、文書表示装置Aの画面サイズは、4.8インチである。一方、文書表示装置Bの画面サイズは、8.0インチである。つまり、本実施の形態では、両装置の画面サイズは異なり、具体的には、文書表示装置Bの方が文書表示装置Aよりも画面サイズが大きい。
【0047】
(閲覧履歴)
文書表示装置2および文書表示装置3のそれぞれでは、各装置における文書の閲覧履歴が作成され、格納されている。
【0048】
図3は、文書表示装置Aの表示部202に表示される内容を説明するための図である。
図3(A)では、文書表示装置2において閲覧対象として選択された文書が、文書表示装置2の表示部202の幅に応じて、展開されて作成された表示用データ900が示されている。そして、図3(A)では、表示用データ900に対して、座標A1を左上端とする領域901が示されている。文書表示装置2では、操作部201によって座標A1が指定されると、当該座標A1を左上端とする領域901が、表示部202における表示対象領域として選択されて、表示部202に表示される。つまり、表示領域901は、表示用データ900における、表示部202における表示対象を示している。
【0049】
文書表示装置2において、操作部201に表示対象領域を変更するための情報が入力されると、表示用データ900から表示対象領域として抽出される位置が変更される。
【0050】
たとえば、図3(B)に示されるように、変更後の表示対象の左上端の座標として座標A2が指定された場合、表示部202に表示される領域として表示用データ900から抽出される領域は、領域902に変更される。
【0051】
本実施の形態では、このように表示位置を指定する情報が入力された場合、システムコントローラー200は、操作部201に対して入力された情報を検出し、その情報を記憶部204に閲覧履歴として格納する。閲覧履歴の一例を、表3に示す。
【0052】
【表3】

【0053】
表3の閲覧履歴は、文書名と、開始座標と、拡大率とを含む。
文書名とは、表示対象となっている文書を特定する情報である。なお、文書F1とは、表示用データ900の元となる文書の名称と言える。開始座標とは、図3(A)において座標A1と示されるように、表示部202での表示対象となる領域の左上端の座標である。拡大率とは、操作部201に対して入力された、表示部202における画像表示に対して設定された拡大率である。
【0054】
表3に示された閲覧履歴には、表示対象領域を指定された順に、各開始座標等が格納されている。つまり、表3に示された閲覧履歴は、開始座標として座標A1が指定され、次に、開始座標として座標A2が指定されたことを示している。
【0055】
図4は、文書表示装置Bの表示部302に表示される内容を説明するための図である。
図4(A)では、文書表示装置3において閲覧対象として選択された文書が、文書表示装置3の表示部302の幅に応じて、展開されて作成された表示用データ910が示されている。そして、図4(A)では、表示用データ910に対して、座標B1を左上端とする領域911が示されている。文書表示装置3では、操作部301によって座標B1が指定されると、当該座標B1を左上端とする領域911が、表示部302における表示対象領域として選択されて、表示部302に表示される。つまり、表示領域911は、表示用データ910における、表示部302における表示対象を示している。
【0056】
文書表示装置3において、操作部301に表示対象領域を変更するための情報が入力されると、表示用データ910から表示対象領域として抽出される位置が変更される。
【0057】
たとえば、図4(B)に示されるように、変更後の表示対象の左上端の座標として座標B2が指定された場合、表示部302に表示される領域として表示用データ910から抽出される領域は、領域912に変更される。
【0058】
なお、指定された座標がオブジェクトの左上座標である場合には、システムコントローラー300は当該オブジェクトに対して予め定められた表示倍率(拡大率)で当該オブジェクトを表示させる。オブジェクトとは、画像や表など、文書にはめ込まれた対象を言う。この結果、図4(B)では、左上座標を座標B2とするオブジェクト(グラフ)が、図4(A)内よりも拡大されて、表示されている。
【0059】
図2に戻って、本実施の形態では、このように表示位置を指定する情報が入力された場合、システムコントローラー200は、操作部301に対して入力された情報を検出し、その情報を記憶部304に閲覧履歴として格納する。閲覧履歴の一例を、表4に示す。
【0060】
【表4】

【0061】
表4の閲覧履歴は、表3の閲覧履歴と同様に、文書名と、開始座標と、拡大率とを含む。表4に示された閲覧履歴では、開始座標として座標B1が指定され、次に、開始座標として座標B2が指定されたことが示されている。
【0062】
なお、本実施の形態では、閲覧履歴は、表示位置を指定する情報が入力される度に記録されてもよいし、表示位置が指定されることによって表示部202または表示部302に表示された対象領域が、予め定められた特定の時間以上(たとえば、5秒)以上表示されたことを条件として、格納(保持)されてもよい。なお、システムコントローラー200またはシステムコントローラー300は、次の表示位置を指定する情報の入力がなされるまでの時間を、各表示対象領域が表示部202または表示部302に表示された時間として、上記判断をすることができる。
【0063】
<印刷処理>
図5は、画像形成装置1において実行される印刷処理のフローチャートである。
【0064】
操作部101に対して所定の文書の印刷指示が入力されると、または、通信部103を介して所定の文書の印刷指示が入力されると、システムコントローラー100は、ステップS10の処理を実行する。ステップS10において、システムコントローラー100は、各文書表示装置における、印刷を指示された文書についての閲覧履歴の開始座標から、2以上の文書表示装置の閲覧履歴に共通のオブジェクトの閲覧履歴が含まれるか否かを判断する。具体的には、システムコントローラー100は、印刷対象として指定された文書を、各文書表示装置の画面サイズおよび解像度に従って、展開する。そして、各文書表示装置の開始座標と画面サイズとによって、当該開始座標で指定される表示領域(たとえば、図3(A)の表示領域901、図3(B)の表示領域902、図4(A)の表示領域911、図4(B)の表示領域912、等)を特定し、そして、このように特定した領域に共通のオブジェクトが含まれるか否かを判断することにより、上記判断が実現される。そして、システムコントローラー100は、2以上の文書表示装置の閲覧履歴に共通のオブジェクトの閲覧履歴が含まれると判断するとステップS20へ処理を進める。一方、2以上の文書表示装置の閲覧履歴に共通のオブジェクトの閲覧履歴が含まれないと判断すると、ステップS60へ処理を進める。
【0065】
ステップS60では、システムコントローラー100は、当該所定の文書についての印刷設定情報を取得して、ステップS70へ処理を進める。ここで、印刷設定情報は、たとえば、操作部101を介して入力される。また、外部の装置から、通信部103を介して入力されてもよい。
【0066】
一方、ステップS20では、システムコントローラー100は、ステップS10で複数の文書表示装置の閲覧履歴に含まれると判断したオブジェクトを、印刷対象のオブジェクトに決定し、さらに、当該印刷対象のオブジェクトを閲覧履歴に含む。文書表示装置の閲覧履歴を取得して、ステップS30へ処理を進める。
【0067】
ここで、ステップS20において取得される閲覧履歴の一例を、表5に示す。
【0068】
【表5】

【0069】
表5に示した閲覧履歴では、印刷対象のオブジェクトを含む文書(文書F1)についての閲覧履歴である。また、表5の閲覧履歴は、装置情報と、画面サイズと、解像度と、開始座標と、拡大率とを含む。
【0070】
装置情報とは、各閲覧履歴を構成する情報がどの文書表示装置の情報であるかを示す。画面サイズは、当該装置情報によって特定される文書表示装置の画面サイズおよび解像度である。
【0071】
システムコントローラー100は、各文書表示装置の記憶部(記憶部204,304)の装置情報から、これらの情報を取得してもよい。なお、各文書表示装置の装置情報が、文書表示装置2,3とは異なるサーバーに登録されている場合、システムコントローラー100は、当該サーバーから各文書表示装置の装置情報を取得してもよい。
【0072】
次に、ステップS30では、システムコントローラー100は、ステップS20で閲覧履歴を取得した文書表示装置の中で、画面サイズが最小の文書表示装置の閲覧履歴において、印刷対象とされたオブジェクトの直前に表示対象となった領域を、印刷対象に追加する領域として選択して、ステップS40へ処理を進める。
【0073】
次に、ステップS40では、システムコントローラー100は、ステップS20で取得した閲覧履歴に含まれる2以上の文書表示装置のうち、画面サイズが最大の文書表示装置の閲覧履歴から、ステップS20で印刷対象と決定したオブジェクトの表示倍率を抽出し、当該表示倍率を印刷倍率と決定して、ステップS50へ処理を進める。
【0074】
たとえば、表5に示した閲覧履歴の例では、画面サイズが最大である文書表示装置は、文書表示装置Bである。上記したように、文書表示装置Bにおける閲覧履歴において、印刷対象のオブジェクトは、開始座標が座標B1とされた場合にも、座標B2とされた場合にも含まれる。この場合、拡大率が大きい履歴に従って、印刷倍率が決定される。つまり、表5に示された例では、200%の拡大率に従って、印刷倍率が200%と決定される。
【0075】
ステップS50では、システムコントローラー100は、画像処理部106に対して、印刷用の画像データの生成を指示する。また、システムコントローラー100は、当該画像データに対応した印刷設定情報を生成する。なお、ステップS50において生成される画像データは、印刷対象として、ステップS20で印刷対象と決定されたオブジェクトおよび、ステップS30で印刷対象と決定された領域とを含む。また、ステップS50で生成される印刷設定情報には、印刷倍率として、ステップS40で決定された倍率が含まれる。
【0076】
そして、ステップS70では、システムコントローラー100は、画像形成部105に対して、ステップS50で生成された印刷情報、または、ステップS60で取得された印刷設定情報に従った印刷指示(画像形成)を指示して、処理を終了する。
【0077】
図6は、ステップS70の指示に従って、印刷用紙等の記録媒体上に形成された画像の一例を示す図である。
【0078】
図6の画像800は、領域801と領域802を含む。
領域802は、ステップS20で印刷対象と決定されたオブジェクトである。そして、領域801は、ステップS30で印刷対象と決定された領域に対応する画像である。
【0079】
なお、領域801の画像は、文書表示装置A(表5の閲覧履歴において、画面サイズが最も小さい文書表示装置)において、印刷対象のオブジェクトを含む表示(図3(B)の領域902)の直前に、文書表示装置Aにおける表示領域として指定された領域(図3(A)の領域901)に含まれる内容を示している。
【0080】
つまり、本実施の形態の印刷処理によれば、表5に閲覧履歴が含まれる文書表示装置の中で最も画面サイズが小さい文書表示装置において、印刷対象のオブジェクトが表示された直前に表示された内容が、印刷対象のオブジェクト(図6の画像802)の近傍に、領域801として、印刷される。印刷対象のオブジェクトが表示された直前に表示された内容が、印刷対象のオブジェクトの近傍に印刷されるのは、そのような内容が、印刷対象のオブジェクトと高い関連性を有していると考えられるからである。また、最も画面サイズが小さい文書表示装置において、直前に表示された内容が選択されるのは、画面サイズの小さい文書表示装置ではその画面の小ささから表示できる内容が制限を受けるため、当該制限下で選択された表示内容は、最もオブジェクトとの関連性が反映されると考えられるからである。なお、関連性に応じた印刷ができればよく、上記内容は、印刷対象のオブジェクトの直後に位置するように印刷されても良い。また、直前に表示された場合には印刷対象の直前に位置するように印刷し、直後に表示された場合には印刷対象のオブジェクトの直後に位置するように印刷するなど、閲覧の順序が印刷位置に反映されるように、印刷位置が調整されても良い。
【0081】
そして、印刷対象のオブジェクトの印刷倍率は、表5に閲覧履歴が含まれる文書表示装置の中で最も画面サイズが大きい文書表示装置において、当該印刷対象オブジェクトの表示についての最大の拡大率とされる。この拡大率が、ユーザーが印刷対象のオブジェクトを見る大きさとして最も好ましい大きさを反映していると考えられるからである。
【0082】
<変形例(1)>
図6を参照して説明された印刷結果では、印刷対象とされたオブジェクトに関連性が高いと考えられる内容(領域801)は、上記オブジェクトが印刷された用紙と同じ用紙の同じ面に、当該オブジェクトの近傍に印刷された。なお、当該内容と上記オブジェクトの印刷用紙における位置関係は、他の態様であってもよく、たとえば、用紙の表と裏であってもよい。
【0083】
図7は、図6の変形例を示す図である。
図7(A)は、印刷用紙の表面を示し、図7(B)は、印刷用紙の裏面を示す。
【0084】
印刷用紙の裏面には、印刷対象とされたオブジェクトに対応する画像821が含まれる。一方、その裏面である面810には、図6の領域801に対応する画像811が含まれる。
【0085】
<変形例(2)>
各文書表示装置における閲覧履歴において、他のさらに多くの情報が、印刷設定に反映されてもよい。
【0086】
本変形例における文書表示装置Aおよび文書表示装置Bでの閲覧履歴を、表6と表7に示す。
【0087】
【表6】

【0088】
【表7】

【0089】
表6は、文書表示装置Aの閲覧履歴であり、表7は、文書表示装置Bの閲覧履歴である。これらの閲覧履歴では、表3および表4を参照して説明した閲覧履歴に対して、さらに、カラーモードと閲覧時間を含む。カラーモードとは、開始座標が指定されたときの各文書表示装置における表示のカラーモードである。閲覧時間とは、当該開始座標が指定されてから次の開始座標が指定されるまでの時間である。
【0090】
本変形例では、閲覧履歴のカラーモードに従って、印刷のカラーモードが設定される。図8は、本変形例において実行される印刷処理のフローチャートである。
【0091】
図8を参照して、本変形例の印刷処理では、図5を参照して説明した印刷処理に対して、ステップS41が追加されている。
【0092】
また、本変形例では、ステップS20において、表8に示されるような閲覧履歴が生成される。
【0093】
【表8】

【0094】
表8に示された閲覧履歴では、表5を参照して説明した閲覧履歴に対して、それぞれの開始座標に対応してカラーモードおよび閲覧時間が含まれる。これは、表6および表7の閲覧履歴にカラーモードと閲覧時間が含まれることによる。
【0095】
さて、本変形例では、ステップS40において印刷倍率を決定した後、システムコントローラー100は、ステップS41で、印刷の際のカラーモードを決定する。
【0096】
ここで、印刷時のカラーモードは、表8に示した閲覧履歴において、印刷対象の領域に印刷対象のオブジェクトを含む開始座標に対応した閲覧時間が最も長いものを選択し、当該選択された履歴におけるカラーモードを、印刷のカラーモードと決定する。表8の閲覧履歴では、開始座標が、座標A2,B1,B2の3つの履歴において、表示対象となる画像に印刷対象のオブジェクトが含まれる。この3つの履歴のそれぞれの閲覧時間は、40秒、5秒、10秒である。したがって、ステップS41では、システムコントローラー100は、開始座標が座標A2のときのカラーモード(モノクロ)を、印刷のカラーモードとして選択する。
【0097】
図8に戻って、ステップS41でカラーモードを決定した後、システムコントローラー100は、ステップS50で、印刷用の画像データの生成を画像処理部106に指示し、そして、印刷設定情報を生成する。ここで、生成される印刷設定情報には、さらに、ステップS41で決定されたカラーモードが、印刷用のカラーモードとして含まれる。そして、このように生成された画像データについての印刷が、ステップS70において指示される。
【0098】
今回開示された実施の形態およびその変形例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態および各変形例は、可能な限り、単独でも、組合わせても、実施することを意図される。
【符号の説明】
【0099】
1 画像形成装置、2,3 文書表示装置、100,200,300 システムコントローラー、101,201,301 操作部、102 メモリー、103,203,303 通信部、104,204,304 記憶部、105 画像形成部、106 画像処理部、202,302 表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成に関する設定情報を生成するためのコンピューターにおいて実行される情報処理プログラムであって、
前記コンピューターを、
複数の文書表示装置における文書の閲覧履歴を取得するための取得手段、および、
前記取得手段が取得した前記文書の閲覧履歴に基づいて、前記文書の画像形成に関する設定情報を生成するための生成手段として機能させるための、情報処理プログラム。
【請求項2】
前記生成手段は、前記文書において、前記複数の文書表示装置のうち2以上の文書表示装置において閲覧対象となった第1の領域を画像形成の対象に含める、請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項3】
前記生成手段は、前記複数の文書表示装置のうち少なくとも1の文書表示装置における前記第1の領域の表示倍率に基づいて、画像形成における前記対象の倍率を決定する、請求項2に記載の情報処理プログラム。
【請求項4】
前記生成手段は、さらに、前記閲覧履歴において、前記第1の領域の直前または直後に閲覧対象となった第2の領域を前記対象に含める、請求項2または請求項3に記載の情報処理プログラム。
【請求項5】
前記生成手段は、記録媒体において前記第2の領域が前記第1の領域に隣接して画像形成されるように、前記設定情報を生成する、請求項4に記載の情報処理プログラム。
【請求項6】
前記生成手段は、記録媒体において、前記第1の領域が前記記録媒体の第1の面に画像形成され、前記第2の領域が前記記録媒体の第2の面に画像形成されるように、前記設定情報を生成する、請求項4に記載の情報処理プログラム。
【請求項7】
前記生成手段は、前記複数の文書表示装置のうち少なくとも1の文書表示装置における前記第1の領域の閲覧についてのカラーモードに応じて、前記設定情報におけるカラーモードを決定する、請求項2〜請求項6のいずれかに記載の情報処理プログラム。
【請求項8】
前記複数の文書表示装置は、第1の文書表示装置と第2の文書表示装置とを含み、
前記生成手段は、前記文書の閲覧履歴が、前記第1の文書表示装置で前記第1の領域がカラーで閲覧された履歴と、前記第2の文書表示装置で前記第1の領域がモノクロで閲覧された履歴とを含む場合、当該第1の領域の閲覧時間の長い方のカラーモードに、前記設定情報におけるカラーモードを決定する、請求項7に記載の情報処理プログラム。
【請求項9】
画像形成に関する設定情報を生成するためのコンピュータが、
複数の文書表示装置における文書の閲覧履歴を取得するステップ、および、
前記文書の閲覧履歴に基づいて、前記文書の画像形成に関する設定情報を生成するステップとを実行する、情報処理方法。
【請求項10】
画像形成に関する設定情報を生成するためのコンピュータによって構成される情報処理装置であって、
複数の文書表示装置における文書の閲覧履歴を取得するための取得手段と、
前記取得手段が取得した前記文書の閲覧履歴に基づいて、前記文書の画像形成に関する設定情報を生成するための生成手段とを備える、情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−17121(P2013−17121A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150052(P2011−150052)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】