説明

情報処理プログラム、情報処理装置、情報処理方法、および情報処理システム

【課題】他の情報処理装置に、ネットワーク上のデバイスとの接続設定を容易に行わせ得る情報プログラム、情報処理装置、情報処理方法、および情報処理システムを提供すること。
【解決手段】本発明によれば、デバイス情報取得手段が、ネットワークに接続されているデバイスを識別するデバイス情報を、そのデバイスに対する処理要求から取得するとともに、ネットワーク情報取得手段が、そのデバイスが接続されているネットワークを識別するネットワーク情報を取得し、作成手段が、取得したデバイス情報及びネットワーク情報を少なくとも含む接続データを、作成する。よって、作成された接続データを外部装置に取得させることにより、外部装置において、その接続データに含まれるデバイス情報とネットワーク情報とを用いて、ネットワーク上における該当デバイスとの接続設定を行わせることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報プログラム、情報処理装置、情報処理方法、および情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、パーソナルコンピュータや、携帯端末(モバイル端末)などの情報処理装置は、ネットワークを介して接続されているデバイス(例えば、プリンタ)を検索することができる。例えば、特許文献1には、コンピュータが、ネットワークを介して接続されるプリンタを検索し、当該プリンタを示すシンボルをウィンドウ内に表示するコンピュータシステムが記載されている。従来、情報処理装置は、TCP/IPプロトコルに従うブロードキャストを用いて、ネットワーク上のプリンタを検索する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−99296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、近年では、セキュリティの観点から、情報処理装置に記憶されるOS(Operating System)のベンダが、ブロードキャストをOSに実行させるためのAPI(Application Program Interface)を公開していない場合がある。この場合、ユーザは、情報処理装置をネットワーク上のプリンタに接続するために、プリンタのIPアドレスを事前に調べ、そのIPアドレスを情報処理装置のユーザインターフェイスから入力する必要があり、煩雑であるとともに、手間もかかる。
【0005】
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、他の情報処理装置に、ネットワーク上のデバイスとの接続設定を容易に行わせ得る情報プログラム、情報処理装置、情報処理方法、および情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明の情報処理プログラムは、デバイスが接続されたネットワークに接続されている情報処理装置のコンピュータが実行するプログラムであって、前記デバイスに対する処理要求から、前記デバイスを識別するデバイス情報を取得するデバイス情報取得手段と、接続されているネットワークを識別するネットワーク情報を取得するネットワーク情報取得手段と、取得した前記デバイス情報及び前記ネットワーク情報を、少なくとも含む接続データを作成する作成手段として、前記情報処理装置を機能させる。
【0007】
なお、本発明は、情報処理装置、情報処理装置を制御する制御装置、情報処理システム、情報処理方法、情報処理プログラムを記録する記録媒体等の種々の態様で実現可能である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の情報処理プログラムによれば、この情報処理プログラムを実行するコンピュータを備える情報処理装置では、デバイス情報取得手段が、ネットワークに接続されているデバイスを識別するデバイス情報を、そのデバイスに対する処理要求から取得するとともに、ネットワーク情報取得手段が、そのデバイスが接続されているネットワークを識別するネットワーク情報を取得する。そして、作成手段が、取得したデバイス情報及びネットワーク情報を少なくとも含む接続データを、作成する。このように作成された接続データを外部装置に取得させることにより、外部装置において、その接続データに含まれるデバイス情報とネットワーク情報とを用いて、ネットワーク上における該当デバイスとの接続設定を行わせることができる。よって、請求項1記載の情報処理プログラムによれば、外部装置が、IPアドレスの入力などの煩雑な作業を行わなくても、ネットワーク上のデバイスとの接続設定を容易に行わせ得るという効果がある。
【0009】
請求項2記載の情報処理プログラムによれば、請求項1記載の情報処理プログラムの奏する効果に加え、次の効果を奏する。判断手段が、デバイスに対する処理要求の状態を判断手段によって判断する。デバイス情報取得手段は、デバイスに送信されたと判断された処理要求から、デバイス情報を取得する。よって、確実に通信可能(接続可能)なデバイスについて、接続データが作成されるので、接続データを用いてデバイスとの接続設定を行った外部装置において、そのデバイスに接続できないという不具合が生じることを防止できるという効果がある。
【0010】
請求項3記載の情報処理プログラムによれば、請求項1又は2に記載の情報処理プログラムの奏する効果に加え、第1受信手段が、デバイスに対する処理要求を管理する管理部から、処理要求の存在を示す処理要求情報を受信した場合に、デバイス情報取得手段がデバイス情報を取得するので、存在する処理要求から、デバイス情報を取得することができる。よって、その時点で処理要求がされているデバイスのデバイス情報を取得できるという効果がある。
【0011】
請求項4記載の情報処理プログラムによれば、請求項3記載の情報処理プログラムの奏する効果に加え、次の効果を奏する。問い合わせ手段が、管理部へ処理要求の存在を問い合わせ、第1受信手段が、その問い合わせの返信として、前記管理部から、処理要求の存在を示す処理要求情報を受信する。よって、問い合わせたタイミングに存在する処理要求から、デバイス情報を取得できるので、リアルタイムでデバイス情報を取得できるという効果がある。
【0012】
請求項5記載の情報処理プログラムによれば、請求項3又は4に記載の情報処理プログラムの奏する効果に加え、受信手段が処理要求情報を受信した後に、ネットワーク情報手段が、ネットワーク情報を取得するので、その時点で処理要求がされているデバイスが接続されているネットワークを示すネットワーク情報を取得できるという効果がある。
【0013】
請求項6記載の情報処理プログラムによれば、請求項1から5のいずれかに記載の情報処理プログラムの奏する効果に加え、第2問い合わせ手段が、管理部へ、処理要求の状態を繰り返し問い合わせ、第2受信手段が、その問い合わせの返信として、前記管理部から、処理要求の状態を受信する。そして、判断手段は、第2受信手段が受信した処理要求の状態を判断する。よって、処理要求の状態を随時判断できるので、確実に通信可能なデバイスであるか否かを随時判断できるという効果がある。
【0014】
請求項7記載の情報処理プログラムによれば、請求項1から6のいずれかに記載の情報処理プログラムの奏する効果に加え、作成手段は、所定の固有情報をさらに含む、接続データを作成するので、この所定の固有情報の存在によって、接続データであることを識別させることができるという効果がある。
【0015】
請求項8記載の情報処理プログラムによれば、請求項1から7のいずれかに記載の情報処理プログラムの奏する効果に加え、接続データ出力手段が、作成手段が作成した接続データを、外部装置が取得可能に出力するので、外部装置に接続データを取得させることができ、それにより、外部装置において、ネットワーク上における該当デバイスとの接続設定を容易に行わせることができるという効果がある。
【0016】
請求項9記載の情報処理プログラムによれば、請求項1から8のいずれかに記載の情報処理プログラムの奏する効果に加え、次の効果を奏する、ネットワーク情報取得手段は、ネットワーク情報として、接続されている無線ネットワークを識別するネットワーク情報を取得する。よって、異なる無線ネットワークを使用する機会のあるモバイル端末において、無線ネットワーク上のデバイスとの接続設定を容易に行わせ得るので有用であるという効果がある。
【0017】
請求項10記載の情報処理装置によれば、請求項1記載の情報処理プログラムを実行するコンピュータを備えた情報処理装置と同様の効果を奏する。
【0018】
請求項11記載の情報処理方法によれば、請求項1記載の情報処理プログラムを実行するコンピュータを備えた情報処理装置と同様の効果を奏する。
【0019】
請求項12記載の情報処理システムによれば、請求項1記載の情報処理プログラムを実行するコンピュータを備えた情報処理装置と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の情報処理システムの一実施形態である情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は、デバイス情報テーブルの内容の一例を模式的に示す図であり、(b)は、デバイス管理テーブルの内容の一例を模式的に示す図である。
【図3】PCが実行するデバイス情報記憶処理を示すフローチャートである。
【図4】PCが実行するデバイス情報出力処理を示すフローチャートである。
【図5】携帯端末が実行するデバイス情報取得処理を示すフローチャートである。
【図6】携帯端末が実行する印刷処理を示すフローチャートである。
【図7】(a)〜(c)は、それぞれ、印刷画面、プリンタ選択画面、IPアドレス入力画面の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の情報処理システムの一実施形態である情報処理システム1の構成を示すブロック図である。情報処理システム1は、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」と称す)10と、携帯端末100とを含んで構成される。なお、PC10が、本発明の情報処理装置の一実施形態である。本実施形態の情報処理システム1は、PC10が、デバイス(本実施形態では、プリンタP)に対するジョブ(処理要求)から、対象とするデバイスを識別する情報(以下、この情報を「デバイス情報」と称す)を取得するとともに、対象デバイスが接続されるネットワークを識別する情報(以下、この情報を「ネットワーク情報」と称す)を取得し、これらの情報をテキストデータのファイルとして携帯端末100へ送信することにより、携帯端末100が、無線ネットワーク上のデバイスとの接続設定を容易に行い得るようにしたものである。
【0022】
PC10には、CPU11、ROM12、RAM13、ハードディスクドライブ(以下、「HDD」と称す)14、キーボードやマウスなどの入力装置15、LCD16、無線LAN送受信部17が設けられている。これらの各部は、バスライン18を介して互いに接続されている。
【0023】
CPU11は、ROM12やHDD14に記憶される固定値やプログラム、RAM13に記憶されているデータに従って、PC10が有している各部の制御を行う。ROM12は、PC10の動作を制御するためのプログラムなどが格納された書換不能な不揮発性のメモリである。RAM13は、CPU11の処理に必要な情報を一時的に記憶する書換可能な揮発性のメモリである。RAM13は、後述するスプーラ14a1の作業領域(スプーラ用作業領域)13aと、後述する常駐アプリケーション14bの作業領域(アプリケーション用作業領域)13bとを有する。
【0024】
HDD14には、書換可能な不揮発性の記憶装置であり、OS14aと、常駐アプリケーション14bと、デバイス情報テーブル14cとが格納される。なお、HDD14には、常駐アプリケーション14b以外にも、プリンタPやスキャナSを動作させるドライバや、その他のアプリケーションなど、必要に応じてインストールされた各種プログラムが格納される。なお、本明細書では、アプリケーションやオペレーティングシステムなどのプログラムを実行するCPU(CPU11,111)のことを、単にプログラム名で記載する場合もある。例えば「アプリケーション」という記載が、「アプリケーションを実行するCPU」を意味する場合もある。
【0025】
OS14aは、PC10にインストールされた各種プログラム(常駐アプリケーション14bなど)と協同してPC10の各種機能を実現させるための基本ソフトウェアである。本実施形態では、OS14aとして、Windows(登録商標)系のOSがインストールされているものとする。OS14aは、プリンタPへ出力する印刷データを印刷ジョブとして管理するスプーラ14a1を含む。
【0026】
常駐アプリケーション14bは、PC10の電源が投入されると、OS14aと共に起動されるプログラムである。なお、常駐アプリケーション14bが、本発明の情報処理プログラムの一実施形態である。常駐アプリケーション14bは、後述する図3及び図4のフローチャートに示す各処理を、CPU11に実行させる。
【0027】
デバイス情報テーブル14cは、PC10が印刷データを出力した場合に、その出力先であるプリンタPのデバイス情報と、そのプリンタPが接続される無線ネットワークのネットワーク情報とを対応付けて記憶するテーブルである。なお、デバイス情報テーブル14cについては、図2(a)を参照して後述する。
【0028】
無線LAN送受信部17は、IEEE802.11b/gの規格に準拠した無線LANにより、PC10と他の装置とをWi−Fi(登録商標)接続する回路である。この無線LAN送受信部17により、アクセスポイント(以下、「AP」と称す)50を介して、PC10と、プリンタPやスキャナSなどのデバイスとの間が無線接続される。また、無線LAN送受信部17は、AP50(AP50a,50b、図示されないAP50)を介して、インターネット(図示せず)に接続することができ、それにより、PC10と、インターネット上の装置(例えば、メールサーバなど)との接続を可能にする。
【0029】
携帯端末100は、携帯電話網(図示せず)を介して、他の装置との間で音声通話を行い得る携帯電話機である。また、携帯端末100は、AP50を介したインフラストラクチャモードにより、プリンタPやスキャナSなどのデバイスとの間で無線通信を行う。
【0030】
携帯端末100には、CPU111、フラッシュメモリ112、RAM113、無線LAN送受信部115、操作キー116、タッチパネル117、LCD118、メモリカードインターフェース(以下、「メモリカードI/F」と称す)119、音声入出力部121、電話網通信部122が主に設けられている。これらの各部は、バスライン123を介して互いに接続されている。
【0031】
CPU111は、フラッシュメモリ112等に記憶される固定値やプログラム等に従って、携帯端末100が有する各部を制御する。フラッシュメモリ112は、書換可能な不揮発性のメモリであって、OS112aと、デバイス制御アプリケーション112bと、メールアプリケーション112cと、デバイス管理テーブル112dとが格納される。なお、フラッシュメモリ112には、上記アプリケーション112b,112c以外にも、その他のアプリケーションなど、必要に応じてインストールされた各種プログラムが格納される。
【0032】
OS112aは、携帯端末100の標準機能を実現するための基本ソフトウェアである。本実施形態では、OS112aとして、Windows(登録商標)_PhoneのOSがインストールされているものとする。OS112aは、プリンタPへ出力する印刷データを印刷ジョブとして管理するスプーラ112a1を含む。また、OS112aのAPIをアプリケーションが用いることにより、アプリケーション間でデータを受け渡す共有機能が実現される。なお、「共有機能」とは、共有元となるアプリケーションで処理したデータを、共有先となるアプリケーションへ渡し、その共有先のアプリケーションで処理させる機能である。
【0033】
デバイス制御アプリケーション112bは、デバイス(本実施形態では、プリンタP)のベンダによって提供されるアプリケーションである。デバイス制御アプリケーション112bは、ユーザによって携帯端末100にインストールされ、携帯端末100からのデバイスの利用を可能とする。例えば、パーソナルコンピュータなどを経由せずに、携帯端末100から直接、デバイスであるプリンタPを利用することを可能にする。デバイス制御アプリケーション112bは、後述する図5及び図6のフローチャートに示す各処理を、CPU111に実行させる。
【0034】
デバイス管理テーブル112dは、携帯端末100が利用可能なプリンタPを管理するためのテーブルであり、プリンタP毎に、デバイス情報とネットワーク情報とが接続設定情報として記憶される。なお、デバイス管理テーブル112dについては、図2(b)を参照して後述する。
【0035】
RAM113は、CPU111の処理に必要な情報を一時的に記憶する書換可能な揮発性のメモリである。RAM113は、デバイス設定メモリ113aを有する。デバイス設定メモリ113aは、ユーザが、印刷に使用するプリンタPを選択した場合に、選択されたプリンタPの接続設定情報(デバイス管理テーブル112dに記憶されている情報)と、印刷設定の値とを格納するためのメモリ領域である。
【0036】
無線LAN送受信部115は、IEEE802.11b/gの規格に準拠した無線LANにより、携帯端末100と他の装置とをWi−Fi(登録商標)接続する回路である。この無線LAN送受信部115により、AP50を介して、携帯端末100と、プリンタPやスキャナSなどのデバイスとの間が無線接続される。また、無線LAN送受信部115は、AP50(AP50a,50b、図示されないAP50)を介して、インターネット(図示せず)に接続することができ、それにより、携帯端末100と、インターネット上の装置(例えば、メールサーバなど)との接続を可能にする。
【0037】
操作キー116は、携帯端末100の筺体(図示せず)の正面や側面などに設けられたハードウェアキーであり、携帯端末100に各種の値や指示を入力する。タッチパネル117は、LCD118に重ねて設けられ、携帯端末100に各種の値や指示を入力する。LCD118は、各種の操作画面や、選択されたデータに基づく画像を表示する。メモリカードI/F119は、不揮発性のメモリカード120が装着されるインターフェースであって、メモリカード120に対するデータの書き込み又は読み出しを制御する。なお、メモリカード120は、一例として、SDカード(登録商標)である。
【0038】
音声入出力部121は、マイクやスピーカなどで構成された音声入出力用デバイスであり、電話網通信部122は、携帯電話網(図示せず)を介した通信を行うための回路である。携帯電話網は、IMT−2000(International Mobile Telecommunication-2000)方式の通信網であり、携帯端末10による音声通話の利用を可能にする。
【0039】
AP50は、Wi−Fi端末(Wi−Fi通信可能な端末)間の無線通信を中継する中継装置である。AP50には、1台毎に、ネットワーク情報としてのSSID(Service Set ID)が設定される。AP50は、同じSSIDが設定されているWi−Fi端末間の無線通信を中継する。図1では、AP50として、SSIDとして「ABCD」が設定されているAP50aと、SSIDとして「EFGH」が設定されているAP50bとが設置された例が図示される。
【0040】
AP50aは、SSIDとして「ABCD」が設定されているデバイスと無線接続して、第1の無線ネットワークG1を形成する。図1に示す例では、設定されたSSIDが「ABCD」であるデバイスとして、2台のプリンタPと、1台のスキャナSとが設置されている。なお、この例において、AP50aとの無線接続が可能な2台のプリンタPのうち、プリンタ名が「printer1」であるプリンタPをプリンタP1と称し、プリンタ名が「printer3」であるプリンタPをプリンタP3と称する。第1の無線ネットワークG1内の各デバイスは、SSIDとして「ABCD」が設定された端末(PC10や、携帯端末100など)と、AP50aを介して無線接続(無線通信)できる。
【0041】
一方、AP50bは、SSIDとして「EFGH」が設定されているデバイスと無線接続して、第2の無線ネットワークG2を形成する。図1に示す例では、設定されたSSIDが「EFGH」であるデバイスとして、2台のプリンタPが設置されている。なお、この例において、AP50bとの無線接続が可能な2台のプリンタPのうち、プリンタ名が「printer2」であるプリンタPをプリンタP2と称し、プリンタ名が「printer4」であるプリンタPをプリンタP4と称する。第2の無線ネットワークG2内の各デバイスは、SSIDとして「EFGH」が設定された端末(PC10や、携帯端末100など)と、AP50bを介して無線接続(無線通信)できる。
【0042】
詳細は後述するが、本実施形態では、PC10は、印刷に使用したプリンタPのデバイス情報と、中継装置として経由したAP50のネットワーク情報(SSID)とを取得し、デバイス情報とネットワーク情報とを含むテキストファイルを作成し、作成したテキストファイルを電子メールとして、携帯端末100へ送信する。一方で、携帯端末100は、受信したテキストファイル(より具体的には、デバイス情報及びネットワーク情報を用いることによって、無線ネットワーク上のプリンタPの接続設定を容易に行い得る。
【0043】
図2(a)は、上述したデバイス情報テーブル14cの内容の一例を模式的に示す図である。図2(a)に示すように、デバイス情報テーブル14cには、記憶領域14c1〜14c4が設けられ、PC10が印刷データを出力したプリンタP毎に、値が記憶領域14c1〜14c4に記憶される。
【0044】
記憶領域14c1には、プリンタPが接続されるAP50のSSIDが記憶される。記憶領域14c2には、プリンタPのプリンタ名が記憶される。記憶領域14c3には、プリンタPのIPアドレスが記憶される。記憶領域14c4には、プリンタPのノード名が記憶される。記憶領域14c1に記憶されるSSIDが、プリンタPが接続された無線ネットワークを示す「ネットワーク情報」である。また、記憶領域14c2〜14c4に記憶される各情報(プリンタ名、IPアドレス、ノード名)が、プリンタPを示す「デバイス情報」である。
【0045】
例えば、図2(a)のデバイス情報テーブル14cには、2つのプリンタPに対するネットワーク情報とプリンタ情報とが記憶されている。一方のプリンタPに対し、記憶領域14c1〜14c4には、それぞれ、ABCD、printer1、333.333.345.345、dklpが記憶されている。また、他方のプリンタPに対し、記憶領域14c1〜14c4に、それぞれ、EFGH、printer2、100.100.100.101、linnndlが記憶されている。即ち、図2(a)に示す例では、AP50aを中継装置とする第1の無線ネットワークG1上のプリンタP1に関する情報と、AP50bを中継装置とする第2の無線ネットワークG2上のプリンタP2に関する情報とが、デバイス情報テーブル14cに記憶されている。
【0046】
図2(b)は、上述したデバイス管理テーブル112dの内容の一例を模式的に示す図である。図2(b)に示すように、デバイス管理テーブル112dには、記憶領域112d1〜112d4が設けられ、携帯端末100が管理するプリンタP毎に、値が記憶領域112d1〜112d4に記憶される。
【0047】
記憶領域112d1には、プリンタPが接続されるAP50のSSIDが記憶される。記憶領域112d2には、プリンタPのプリンタ名が記憶される。記憶領域112d3には、プリンタPのIPアドレスが記憶される。記憶領域112d4には、プリンタPのノード名が記憶される。記憶領域112d1に記憶されるSSIDが、プリンタPが接続された無線ネットワークを示す「ネットワーク情報」である。また、記憶領域112d2〜112d4に記憶される各情報(プリンタ名、IPアドレス、ノード名)が、プリンタPを示す「デバイス情報」である。
【0048】
例えば、図2(b)のデバイス管理テーブル112dには、4つのプリンタPに対するネットワーク情報とプリンタ情報とが記憶されている。具体的に、デバイス管理テーブル112dには、AP50aを中継装置とする第1の無線ネットワークG1上のプリンタP1及びプリンタP3に関する情報と、AP50bを中継装置とする第2の無線ネットワークG2上のプリンタP2及びプリンタP4に関する情報とが記憶されている。
【0049】
図3は、PC10のCPU11が実行するデバイス情報記憶処理を示すフローチャートである。デバイス情報記憶処理は、印刷ジョブから、その印刷ジョブが対象とするプリンタPのデバイス情報と、そのプリンタPが接続される無線ネットワークを示すネットワーク情報とを取得して、デバイス情報テーブル14cに記憶させる処理である。この処理は、PC10に電源が投入され、常駐アプリケーション14bが起動されると、その常駐アプリケーション14bによって繰り返し実行される。
【0050】
まず、ステップS301(以下、ステップを省略)において、CPU11は、ジョブ(印刷ジョブ)の存在をスプーラ14a1に問い合わせる(S301)。ジョブがなければ(S302:No)、CPU11は、処理をS301に戻し、ジョブの存在をスプーラ14a1に問い合わせる。一方で、ジョブが存在する場合には(S302:Yes)、CPU11は、RAM13(スプーラ用作業領域13a)から、ジョブの対象とするプリンタPのデバイス情報として、プリンタ名と、IPアドレスと、ノード名とを読み出す(S303)。
【0051】
CPU11は、S303の処理後、CPU11に内蔵されるタイマ(図示せず)による計時を開始する(S304)。次に、CPU11は、ジョブのステータスをスプーラ14a1に問い合わせる(S305)。このとき、プリンタPへ、ジョブが送信されていれば(S306:Yes)、CPU11は、現在接続中のAP50のSSIDをAPIに問い合わせて、ネットワーク情報として取得し(S310)、取得したネットワーク情報(SSID)と、S303において取得したデバイス情報(プリンタ名、IPアドレス、ノード名)とを、デバイス情報テーブル14cの記憶領域14c1〜14c4に記憶する(S311)。CPU11は、S311の実行後、処理をS301に戻す。なお、S306で、CPU11が、プリンタPへ、ジョブ送信されていると判断するには、ジョブのステータスが送信中であることで足りる。即ち、必ずしもジョブの送信が完了していることを要しない。一般に、ジョブが送信中になるためには、PC10とプリンタPとの接続が確立されることが必要である。そのため、ジョブのステータスが送信中となっている時点で、プリンタPが、ネットワークに存在していることが、確認できる。
【0052】
一方、プリンタPへのジョブの送信が未だ実行されておらず(S306:No)、かつ、タイマ(図示せず)による計時を開始してから所定時間(例えば、30秒)が経過してタイムアウトするか、エラーが発生したか、ユーザがジョブを強制消去(キャンセル)したかのいずれかである場合には(S307:Yes,S308:Yes,S309:Yes)、CPU11は、処理をS301に戻す。また、対象となるプリンタPへのジョブの送信が未だ完了していないが(S306:No)、タイムアウトになっておらず、エラーも発生しておらず、ユーザによるジョブの強制消去もされていない場合には(S307:No,S308:No,S309:No)、CPU11は、処理をS305に戻す。なお、S309で、ジョブが強制消去されたとCPU11が判断するには、ジョブのステータスが、“消去中”であるか、ジョブが消去されていることのいずれかであることを要する。
【0053】
図4は、PC10のCPU11が実行するデバイス情報出力処理を示すフローチャートである。デバイス情報出力処理は、デバイス情報テーブル14cに記憶されているデバイス情報及びネットワーク情報を含むテキストファイルを作成し、そのテキストファイルの電子メールを、所定の宛先(本実施形態では、携帯端末100)へ送信する処理である。この処理は、ユーザが、LCD16に表示されたユーザインターフェイス(図示せず)に対し、「デバイス情報の出力」を指示する入力を行った場合に、CPU11が当該指示の入力を受け付けると実行される。
【0054】
まず、デバイス情報テーブル14cに情報が記憶されていない場合には(S401:No)、CPU11は、デバイス情報が存在しない旨を示す所定のエラーメッセージをLCD16に表示させ(S406)、本処理を終了する。
【0055】
一方、デバイス情報テーブル14cに情報が記憶されている場合には(S401:Yes)、CPU11は、デバイス情報テーブル14cの内容をテキスト出力し、そのテキストの最初に、所定のGUID(Globally Unique Identifier)を付加して、テキストファイルを作成する(S402)。なお、以下では、S402において、デバイス情報テーブル14cから出力されたテキスト(即ち、作成されたテキストファイルにおけるGUIDを除くテキスト)を、「デバイス情報テキスト」と称す。また、S402において付加する「所定のGUID」は、テキストファイルに、デバイス情報及びネットワーク情報が含まれることを示すものとして予め指定されている一意の識別子である。携帯端末100などの他の装置は、前記「所定のGUID」が最初に付加されているテキストを、デバイス情報及びネットワーク情報を含むテキストとして識別する。
【0056】
次に、CPU11は、LCD16にメールアドレス受付画面(図示せず)を表示させる(S403)。そのメールアドレス受付画面において、メールアドレスが入力されなければ(S404:No)、CPU11は、処理をS404に戻し、メールアドレスが入力されるのを待機する。一方で、メールアドレス受付画面において、メールアドレスが入力されたことをCPU11が受け付けた場合には(S404:Yes)、CPU11は、S402において作成したテキストファイルを、受け付けたメールアドレスを宛先とする電子メールとして、無線LAN送受信部17から送信させ(S405)、本処理を終了する。
【0057】
S405において無線LAN送受信部17から送信された電子メールは、AP50から、インターネット上のメールサーバを介して、メールアドレスの宛先の装置へと配信される。このとき、メールアドレスの宛先が、携帯端末100のものであれば、S405において送信された電子メールは、携帯端末100へと配信される。
【0058】
図5は、携帯端末100のCPU111が実行するデバイス情報取得処理を示すフローチャートである。デバイス情報取得処理は、PC10から受信した電子メールのテキストファイルから、デバイス情報とネットワーク情報とを読み出し、読み出した情報をデバイス管理テーブル112dに記憶する処理である。この処理は、ユーザが、メールアプリケーション112cにより受信した電子メールの共有先として、デバイス制御アプリケーション112bを指定する入力を行った場合に、メールアプリケーション112cから共有されて起動される。
【0059】
まず、CPU111は、メールアプリケーション112cから共有機能によって渡された電子メールのデータに含まれるテキストファイルを、RAM113の所定領域(図示せず)に展開する(S501)。このとき、テキストの最初に「所定のGUID」、即ち、デバイス情報出力処理(図4)のS402において付加したGUIDと同じGUIDがなければ(S502:No)、本処理を終了する。
【0060】
一方で、テキストの最初に「所定のGUID」がある場合には(S502:Yes)、このテキストは、デバイス情報テキスト、即ち、デバイス情報及びネットワーク情報を含むテキストである。よって、かかる場合には、CPU111は、テキストから、デバイス情報と、ネットワーク情報とを読み出す(S503)。次に、CPU111は、読み出したデバイス情報と、ネットワーク情報とを、接続設定情報として、デバイス管理テーブル112dに記憶し(S504)、本処理を終了する。S504の処理により、無線ネットワーク上のプリンタPであって、デバイス情報テキストにより特定されるプリンタPが、利用可能なプリンタPとして登録される。
【0061】
図6は、携帯端末100のCPU111が実行する印刷処理を示すフローチャートである。印刷処理は、携帯端末100が、PCなどを経由することなく直接プリンタPに印刷を実行させる処理である。この処理は、ユーザが、LCD118に表示されたユーザインターフェイス(図示せず)に対し、「印刷機能」の選択を指示する入力を行った場合に、CPU111が当該指示の入力を受け付けると実行される。
【0062】
まず、印刷対象(画像データ、テキストデータなど)の指定がなければ(S601:No)、CPU111は、処理をS601に戻し、印刷対象が指定されるのを待機する。一方、印刷対象の指定をCPU111が受け付けた場合には(S601:Yes)、CPU111は、LCD118に印刷画面201(図7(a)参照)を表示させる(S602)。なお、印刷画面201の具体例については、図7(a)を参照して後述する。
【0063】
印刷画面201において、ユーザによるプリンタ設定の指示がされていなければ(S603:No)、CPU111は、処理をS603に戻し、プリンタ設定が指示されるのを待機する。一方、印刷画面201において、ユーザによるプリンタ設定の指示を、CPU111が受け付けた場合には(S603:Yes)、CPU111は、現在接続中のAP50のSSID(即ち、現在設定されているSSID)を取得する(S604)。
【0064】
次に、現在接続中のAP50のSSIDが、デバイス管理テーブル112dに記憶されている場合には(S605:Yes)、CPU111は、LCD118にプリンタ選択画面202(図7(b)参照)を表示させる(S606)。なお、プリンタ選択画面202の具体例については、図7(b)を参照して後述する。プリンタ選択画面202において、ユーザが、IPアドレスの入力を指示しておらず、かつ、プリンタPの選択も行っていない場合には(S607:No,S608:No)、CPU111は、処理をS607に戻す。
【0065】
一方、プリンタ選択画面202において、ユーザによるプリンタPの選択をCPU111が受け付けた場合には(S607:No,S608:Yes)、CPU111は、選択されたプリンタPのデバイス情報及びネットワーク情報をデバイス管理テーブル112dから読み出し、読み出したデバイス情報及びネットワーク情報と、印刷設定のデフォルト設定とを、RAM113(デバイス設定メモリ113a)に記憶する(S609)。次に、CPU111は、LCD118に印刷画面201(図7(a)参照)を再度表示させる(S610)。
【0066】
印刷画面201において、印刷設定の変更をCPU111が受け付けた場合には(S611:Yes)、CPU111は、変更された印刷設定を、RAM113におけるデバイス設定メモリ113aの該当箇所に上書きし(S612)、処理をS613へ移行する。一方、印刷画面201において、印刷設定が変更されていない場合には(S611:No)、CPU111は、処理をS613へ移行する。このとき、CPU111は、印刷画面201において、ユーザによるプリンタ設定の指示を、CPU111が受け付けた場合には(S613:Yes)、CPU111は、処理をS606へ移行する。
【0067】
印刷画面201において、ユーザによるプリンタ設定の指示がなく、かつ、印刷指示もない場合には(S613:No,S614:No)、CPU111は、処理をS611に戻す。一方、印刷画面201において、ユーザによる印刷指示をCPU111が受け付けた場合には(S614:Yes)、CPU111は、デバイス設定メモリ113aに記憶されているデバイス情報及びネットワーク情報により特定されるプリンタPへ、デバイス設定メモリ113aに記憶されている印刷設定と、印刷対象のデータとを出力する処理(印刷処理)を実行し(S615)、本処理を終了する。
【0068】
一方、現在接続中のAP50のSSIDが、デバイス管理テーブル112dに記憶されていない場合(S605:No)、あるいは、プリンタ選択画面202(図7(b)参照)において、ユーザによるIPアドレスの入力の指示をCPU111が受け付けた場合には(S607:Yes)、CPU111は、LCD118にIPアドレス入力画面203(図7(c)参照)を表示させる(S616)。なお、IPアドレス入力画面203の具体例については、図7(c)を参照して後述する。
【0069】
IPアドレス入力画面203において、ユーザによるIPアドレスの入力がされていなければ(S617:No)、CPU111は、処理をS617に戻し、IPアドレスが入力されるのを待機する。一方、IPアドレス入力画面203において、ユーザによるIPアドレスの入力を、CPU111が受け付けた場合には(S617:Yes)、CPU111は、現在接続中のAP50のSSID(ネットワーク情報)と、入力されたIPアドレスに対応するプリンタPのデバイス情報とを、デバイス管理テーブル112dに記憶し(S618)、処理をS609へ移行する。なお、S618において、CPU111は、入力されたIPアドレスに対応するプリンタPに、プリンタ名及びノード名を問い合わせ、プリンタPから返信されたプリンタ名及びノード名を、入力されたIPアドレスとともに、デバイス情報として、デバイス管理テーブル112dに記憶する。
【0070】
図7は、上述した図6の印刷処理において、LCD118に表示される画面の遷移について説明する。まず、図7(a)は、印刷画面201の一例を示す模式図である。印刷画面201は、プリンタ設定ボタン201aと、印刷設定領域201bと、印刷ボタン201cとを含む。
【0071】
プリンタ設定ボタン201aは、ユーザが、印刷に用いるプリンタPの設定を行うことを指示するためのボタンである。ユーザが、プリンタ設定ボタン201aを操作(タッチ)した場合には、LCD118に表示される表示画面が、プリンタ選択画面202に遷移する。なお、上述した印刷処理における(S603:Yes)及び(S613:Yes)は、プリンタ設定ボタン201aが操作されたことをCPU111が受け付けた場合に相当する。
【0072】
印刷設定領域201bは、印刷に関する各種設定を行うための領域である。印刷設定領域201bは、印刷の用紙サイズを設定する領域201b1と、印刷のカラーを設定する領域201b2と、印刷の部数を設定する領域201b3とを含む。各領域201b1〜201b3には、現在の設定(設定値)が表示される。ユーザが、設定の変更を所望する領域201b1〜201b3をタッチすると、LCD118に表示される画面が、設定変更画面(図示せず)に遷移する。ユーザは、その設定変更画面において、設定の変更を行うことができる。なお、上述した印刷処理における(S611:Yes)は、図示されない設定変更画面において、設定の承認を行う操作が入力された場合に相当する。
【0073】
印刷ボタン201cは、ユーザが印刷指示を行うためのボタンである。なお、上述した印刷処理における(S614:Yes)、印刷ボタン201cが操作(タッチ)されたことをCPU111が受け付けた場合に相当する。
【0074】
図7(b)は、プリンタ選択画面202の一例を示す模式図である。プリンタ選択画面202は、利用可能プリンタ表示領域202aと、IPアドレス入力ボタン202bとを含む。
【0075】
利用可能プリンタ表示領域202aは、印刷に利用可能なプリンタPを表示し、ユーザに選択させるための領域である。利用可能プリンタ表示領域202aは、プリンタ選択ボタン202a1を含む。このプリンタ選択ボタン202a1は、デバイス管理テーブル112dに情報が記憶されているプリンタPのうち、現在接続中のAP50のSSIDが示す無線ネットワークにおいて利用可能なプリンタPの数だけ形成される。そして、個々のプリンタ選択ボタン202a1には、現在接続中のAP50のSSIDが示す無線ネットワークにおいて利用可能なプリンタPのプリンタ名が表示される。ユーザが、所望するプリンタ名が表示されたプリンタ選択ボタン202a1を操作すると、操作したプリンタ選択ボタン202a1に対応するプリンタPが、印刷に使用するプリンタPとして選択される。なお、上述した印刷処理における(S608:Yes)は、プリンタ選択ボタン202a1が操作されたことをCPU111が受け付けた場合に相当する。
【0076】
IPアドレス入力ボタン202bは、ユーザが、印刷に用いるプリンタPをIPアドレスの入力によって指定することを指示するためのボタンである。ユーザが、IPアドレス入力ボタン202bを操作した場合には、LCD118に表示される表示画面が、IPアドレス入力画面203に遷移する。なお、上述した印刷処理における(S607:Yes)は、IPアドレス入力ボタン202bが操作されたことをCPU111が受け付けた場合に相当する。
【0077】
図7(c)は、IPアドレス入力画面203の一例を示す模式図である。IPアドレス入力画面203は、IPアドレスの入力を促すメッセージ表示領域203aと、IPアドレスをユーザに入力させるための入力ウィンドウ203bと、確定ボタン203cとを含む。ユーザが、入力ウィンドウ203bに所望のIPアドレスを入力し、確定ボタン203cをタッチした場合に、入力ウィンドウ203bに入力されたIPアドレスが確定される。なお、上述した印刷処理における(S617:Yes)は、入力ウィンドウ203bにIPアドレスが入力された状態で、確定ボタン203cが操作されたことをCPU111が受け付けた場合に相当する。
【0078】
以上、説明した通り、本実施形態の情報処理システム1によれば、PC10は、常駐アプリケーション14bにより実行される処理によって、印刷ジョブから、その印刷ジョブが対象とするプリンタPのデバイス情報と、そのプリンタPが接続される無線ネットワークを示すネットワーク情報とを取得して、デバイス情報テーブル14cに記憶させる。そして、PC10は、常駐アプリケーション14bにより実行される処理によって、デバイス情報テーブル14cに記憶されているデバイス情報とネットワーク情報とを含むテキストファイルを作成する。PC10は、作成したテキストファイルを電子メールによって携帯端末へ送信し、これにより、携帯端末100は、PC100で作成された、デバイス情報とネットワーク情報とを含むテキストファイルを取得することができる。一方で、携帯端末100は、PC100で作成されたテキストファイルから、デバイス情報及びネットワーク情報を読み出し、デバイス管理テーブル112dに記憶させることにより、無線ネットワーク上における該当プリンタPとの接続設定を行うことができる。よって、携帯端末100では、IPアドレスの入力などの煩雑な作業を行うことなく、無線ネットワーク上におけるプリンタPとの接続設定を容易に行うことができる。
【0079】
また、本実施形態によれば、PC10は、ジョブのステータスを監視し、プリンタに送信されたジョブについて、デバイス情報とネットワーク情報とをデバイス情報テーブル14cに記憶させる。つまり、PC10は、確実に通信可能なプリンタPについて、テキストファイルを作成する。よって、携帯端末100は、PC10から取得したテキストファイルを用いて、プリンタPとの接続設定を行ったが、プリンタPに接続できないという不具合を防ぐことができる。また、PC10は、ジョブのステータスを繰り返し監視するので、確実に通信可能なプリンタPであるか否かを随時判断できる。
【0080】
また、本実施形態によれば、S302においてジョブが存在すると確認された場合に、デバイス情報を取得するので、その時点での印刷ジョブから、デバイス情報を取得できる。また、スプーラ14a1に問い合わせることによってジョブの存在を確認するので、リアルタイムでデバイス情報を取得できる。また、本実施形態によれば、S302においてジョブが存在すると確認された後に、その時に接続されているAP50のSSID(ネットワーク情報)を取得する。つまり、実際に印刷データを送信する際に使用したネットワークを示すネットワーク情報を取得する。よって、携帯端末100に、確実に接続できる接続設定を行わせることができる。
【0081】
また、本実施形態によれば、AP50のSSIDをネットワーク情報として取得するので、携帯端末100は、PC100で作成されたテキストファイルから、無線ネットワーク上のプリンタPとの接続設定を行うことができる。携帯端末100は、ユーザによって適宜持ち運ばれるので、異なる無線ネットワークを利用する機会が多いが、プリンタPが接続されるAP50(無線ネットワーク)を気にすることなく、プリンタPとの接続設定を容易に行うことができる。
【0082】
上記実施形態において、常駐アプリケーション14bが、情報処理プログラムの一例である。プリンタPが、デバイスの一例である。AP50が、ネットワークの一例である。PC10が、情報処理装置、第1情報処理装置の一例である。携帯端末100が、第2情報処理装置の一例である。情報処理システム1が、情報処理システムの一例である。GUIDが、所定の固有情報の一例である。デバイス管理テーブル112dが、記憶部の一例である。S303を実行するCPU11が、デバイス情報取得手段又はデバイス情報取得ステップの一例である。S310を実行するCPU11が、ネットワーク情報取得手段又はネットワーク情報取得ステップの一例である。S402を実行するCPU11が、作成手段又は作成ステップの一例である。S306を実行するCPU11が、判断手段又は判断ステップの一例である。S302を実行するCPU11が、第1受信手段又は第1受信ステップの一例である。S301を実行するCPU11が、問い合わせ手段又は問い合わせステップの一例である。S305を実行するCPU11が、第2問い合わせ手段又は第2問い合わせステップの一例である。S305を実行するCPU11が、第2受信手段又は第2受信ステップの一例である。S405を実行するCPU11が、接続データ出力手段又は接続データ出力ステップの一例である。S501を実行するCPU111が、接続データ受信手段の一例である。S504を実行するCPU111が、記憶制御手段の一例である。S604を実行するCPU111が、第2ネットワーク情報取得手段の一例である。S605を実行するCPU111が、特定手段の一例である。S606を実行するCPU111が、表示手段の一例である。
【0083】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0084】
例えば、上記実施形態では、情報処理装置及び第1情報処理装置として、PC10を例示したが、携帯電話、スマートフォン、PDA、タブレット端末など各種の装置も、情報処理装置及び第1情報処理装置の一例となり得る。即ち、ジョブから、デバイス情報及びネットワーク情報を取得可能な装置であれば、本発明を適用可能である。また、上記実施形態では、第2情報処理装置として、携帯端末100を例示したが、スマートフォン、PDA、タブレット端末など各種の装置も、第2情報処理装置の一例となり得る。また、上記実施形態では、デバイスとして、プリンタPを例示したが、プリンタ機能を有する複合機なども、デバイスの一例となり得る。即ち、OSによってジョブが管理される機能を有する装置であれば、本発明を適用可能である。
【0085】
また、上記実施形態では、PC10のOS14aとして、Windows(登録商標)系のOSを例示したが、OSによってジョブを管理できるものであれば、Windows(登録商標)系以外のOSを採用してもよい。また、上記実施形態では、携帯端末100のOS112aとして、Windows(登録商標)_PhoneのOSを例示したが、Android(登録商標)など、携帯端末用の他のOSを採用してもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、無線ネットワーク上のデバイス(プリンタP)を、設定対象のデバイスとして例示したが、設定対象のデバイスは、有線ネットワーク上のプリンタであってもよい。かかる場合には、PC10は、S310において、現在接続中のAP50のSSIDを取得する代わりに、現在接続中のルータ又はDNS(Domain Name System)サーバを示す情報を、ネットワーク情報として取得すればよい。これにより、有線ネットワークを介してデバイスに接続可能な端末であっても、デバイスの設定を容易に行わせることができる。
【0087】
また、上記実施形態では、無線ネットワークを識別するネットワーク情報として、AP50のSSIDを用いる構成としたが、AP50のBSSIDをネットワーク情報として用いてもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、デバイス情報及びネットワーク情報を含むテキストの最初にGUIDを付加する構成としたが、予め決められた位置であれば、GUIDを付加する位置はテキストの最初でなくてもよい。例えば、テキストの最後にGUIDを付加してもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、S303において、スプーラ用作業領域13aから読み出すデバイス情報を、プリンタ名と、IPアドレスと、ノード名との3つから構成される情報としたが、スプーラ用作業領域13aから読み出すデバイス情報としては、少なくとも、IPアドレス又はノード名を含むものであればよい。例えば、IPアドレスのみをデバイス情報として読み出す構成としてもよいし、IPアドレス及びノード名の2つをデバイス情報として読み出す構成としてもよいし、ノード名とプリンタ名の2つをデバイス情報として読み出す構成としてもよい。IPアドレス又はノード名を読み出すことができれば、IPアドレス又はノード名が示すデバイスに問い合わせれば、残りの情報は取得できる。
【0090】
また、上記実施形態では、PC10が、デバイス情報及びネットワーク情報を含むテキストデータのファイル(テキストファイル)を、電子メールによって携帯端末に出力(送信)する構成としたが、デバイス情報及びネットワーク情報を含むテキストデータを出力する態様としては、電子メールに限定されない。例えば、PC10は、デバイス情報及びネットワーク情報を含むテキストデータのファイルを、サーバやクラウドにアップロードする構成としてもよい。かかる場合には、携帯端末100は、サーバやクラウドから、そのテキストファイルをダウンロードすれば、デバイス情報及びネットワーク情報を取得することができる。
【0091】
あるいは、PC10は、デバイス情報及びネットワーク情報を含むテキストデータをコード化し、そのコードをLCD16に表示させる構成としてもよい。また、PC10は、生成したコードを、表示画面を有する他の装置(例えば、複合機など)に出力し、出力先の装置の表示画面に表示させてもよい。かかる場合には、撮像機能(カメラ)を有する携帯端末を用い、LCD16に表示されたコードを、カメラで撮像し、撮像したコードをテキストデータに変換することにより、デバイス情報及びネットワーク情報を取得することができる。なお、コードの一例は、QRコード(登録商標)である。
【0092】
あるいは、携帯端末100がPC10に接続された場合に、PC100が、携帯端末100に、デバイス情報及びネットワーク情報を含むテキストデータを記憶させる(書き込む)構成としてもよい。また、PC10は、デバイス情報及びネットワーク情報を含むテキストデータを、メモリカード120に記憶し、そのメモリカード120をメモリカードI/F119に装着することにより、携帯端末100が、メモリカード120に記憶されたテキストデータを読み込む構成としてもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、PC10は、常駐アプリケーション14bのメール機能を用いて、デバイス情報及びネットワーク情報を含むテキストファイルを作成し、そのテキストファイルの電子メールを出力する構成としたが、常駐アプリケーション14bは、デバイス情報及びネットワーク情報を含むテキストファイルの作成までを行い、メール機能を有する別のアプリケーションで、作成されたテキストファイルの電子メールを出力する構成としてもよい。また、上記実施形態では、携帯端末100は、メールアプリケーション112cによって電子メールを受信し、受信した電子メールに含まれるテキストファイルを共有機能によってデバイス制御アプリケーション112bに渡す構成とした。これに換えて、デバイス制御アプリケーション112bにメール機能を持たせ、デバイス制御アプリケーション112bが、電子メールを受信して、受信した電子メールのテキストファイルから、デバイス情報及びネットワーク情報を取得する構成としてもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、PC10は、デバイス情報及びネットワーク情報を含むテキストデータのファイルを作成し、そのテキストファイルを携帯端末100に取得させる構成とした。これに換えて、デバイス情報及びネットワーク情報を含むバイナリデータのファイルを作成し、そのファイルを携帯端末100に取得させる構成としてもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、PC10は、ジョブ(印刷ジョブ)から、デバイス(プリンタP)のデバイス情報及びネットワーク情報を取得して、デバイス情報テーブル14cに記憶する構成としたが、デバイスのドライバをPC10にインストールする際に、入力又は取得されたデバイス情報及びネットワーク情報をデバイス情報テーブル14cに記憶する構成としてもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、携帯端末100は、電子メールを、無線LAN送受信部115により、インターネットを介して受信する構成としたが、電話網通信部122により、IMT−2000方式の通信網(携帯電話網)に接続されるインターネットを介して受信する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 情報処理システム
10 PC
14b デバイス制御プログラム
100 携帯端末




【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスが接続されたネットワークに接続されている情報処理装置のコンピュータが実行する情報処理プログラムであって、
前記デバイスに対する処理要求から、前記デバイスを識別するデバイス情報を取得するデバイス情報取得手段と、
接続されているネットワークを識別するネットワーク情報を取得するネットワーク情報取得手段と、
取得した前記デバイス情報及び前記ネットワーク情報を、少なくとも含む接続データを作成する作成手段として、前記情報処理装置を機能させることを特徴とする、情報処理プログラム。
【請求項2】
前記デバイスに対する処理要求の状態を判断する判断手段として、前記情報処理装置を機能させ、
前記作成手段は、
前記デバイスに送信されたと前記判断手段が判断する前記処理要求から、前記デバイス情報取得手段が取得した前記デバイス情報と、前記ネットワーク情報取得手段が取得した前記ネットワーク情報とを、少なくとも含む接続データを作成することを特徴とする、請求項1記載の情報処理プログラム。
【請求項3】
デバイスに対する処理要求を管理する管理部から、処理要求の存在を示す処理要求情報を受信する第1受信手段として、前記情報処理装置を機能させ、
前記デバイス情報取得手段は、
前記第1受信手段が前記処理要求情報を受信すると、前記デバイス情報を取得することを特徴とする、請求項1又は2に記載の情報処理プログラム。
【請求項4】
前記管理部へ、処理要求の存在を問い合わせる問い合わせ手段として、前記情報処理を機能させ、
前記第1受信手段は、
前記問い合わせの返信として、前記管理部から前記処理要求情報を受信することを特徴とする、請求項3記載の情報処理プログラム。
【請求項5】
前記ネットワーク情報取得手段は、
前記受信手段が前記処理要求情報を受信した後に、前記ネットワーク情報を取得することを特徴とする、請求項3又は4に記載の情報処理プログラム。
【請求項6】
前記デバイスに対する処理要求の状態を判断する判断手段と、
前記管理部へ、処理要求の状態を繰り返し問い合わせる第2問い合わせ手段と、
前記第2問い合わせ手段による問い合わせの返信として、前記管理部から、前記処理要求の状態を受信する第2受信手段として、前記情報処理装置を機能させ、
前記判断手段は、前記第2受信手段が受信した前記処理要求の状態を判断することを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の情報処理プログラム。
【請求項7】
前記作成手段は、所定の固有情報をさらに含む、前記接続データを作成することを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の情報処理プログラム。
【請求項8】
前記作成手段が作成した接続データを、外部装置が取得可能に出力する接続データ出力手段として、前記情報処理装置を機能させることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の情報処理プログラム。
【請求項9】
前記ネットワーク情報取得手段は、前記ネットワーク情報として、接続されている無線ネットワークを識別するネットワーク情報を取得することを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の情報処理プログラム。
【請求項10】
デバイスが接続されたネットワークに接続されている情報処理装置であって、
前記デバイスに対する処理要求から、前記デバイスを識別するデバイス情報を取得するデバイス情報取得手段と、
接続されているネットワークを識別するネットワーク情報を取得するネットワーク情報取得手段と、
取得した前記デバイス情報及び前記ネットワーク情報を、少なくとも含む接続データを作成する作成手段と、
前記作成手段が作成した接続データを、外部装置が取得可能に出力する接続データ出力手段と、を備えていることを特徴とする、情報処理装置。
【請求項11】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
ネットワークを介して接続されるデバイスに対する処理要求から、前記デバイスを識別するデバイス情報を取得するデバイス情報取得ステップと、
接続されているネットワークを識別するネットワーク情報を取得するネットワーク情報取得ステップと、
取得した前記デバイス情報及び前記ネットワーク情報を、少なくとも含む接続データを作成する作成ステップと、
前記作成ステップで作成した接続データを、外部装置が取得可能に出力する接続データ出力ステップと、を含むことを特徴とする、情報処理方法。
【請求項12】
デバイスが接続されたネットワークに接続されている第1情報処理装置と、前記ネットワークに接続されている第2情報処理装置と、含む情報処理システムであって、
前記第1情報処理装置は、
前記デバイスに対する処理要求から、前記デバイスを識別するデバイス情報を取得するデバイス情報取得手段と、
前記第1情報処理装置が接続されているネットワークを識別するネットワーク情報を取得する第1ネットワーク情報取得手段と、
取得した前記デバイス情報及び前記ネットワーク情報を、少なくとも含む接続データを作成する作成手段と、
前記接続データを出力する接続データ出力手段と、を備え、
前記第2情報処理装置は、
前記出力手段が出力した前記接続データを受信する接続データ受信手段と、
前記受信手段が受信した前記接続データを記憶部に記憶させる記憶制御手段と、
前記第2情報処理装置が接続されているネットワークを識別するネットワーク情報を取得する第2ネットワーク情報取得手段と、
前記記憶手段に記憶されている接続データであって、前記第2ネットワーク情報取得手段が取得した前記ネットワーク情報を含む接続データを、特定する特定手段と、
前記特定手段が特定した前記接続データに含まれる前記デバイス情報が示すデバイスを、特定可能に表示する表示手段と、を備えていることを特徴とする、情報処理システム。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−73469(P2013−73469A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212882(P2011−212882)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】