説明

情報処理端末とその画面制御装置および方法

【課題】周囲の明るさを正確に計測することが可能な、二画面を有する情報処理端末を提供する。
【解決手段】情報処理端末は、それぞれに画面を有する矩形板状の2つの表示装置が接続辺で互いに接続され、2つの画面を横に並べて使用される場合と、2つの画面を縦に並べて使用される場合とがある。そして、いずれかの表示装置の接続辺の対辺の近傍で、前記対辺の中央から、2つの画面を横に並べて使用した場合の上方に寄った位置に照度センサが配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像や文字情報を表示する2つの画面を有する情報処理端末に関する。
【背景技術】
【0002】
電子書籍のブックリーダとしての利用を想定して紙の書籍の形態を模擬した、2つの画面を見開きで表示することが可能な情報処理端末が考えられている(特許文献1参照)。二画面の情報処理端末では、ブックリーダとしての使用の他に、二画面を様々なアプリケーションで利用することが考えられる。そのため、2つの画面が横に並ぶように使用したり、2つの画面が縦に並ぶように使用したりといった様々な利用形態がある。また、この種の情報処理端末では屋内や屋外など様々な場所や様々な状況での使用が想定されるので、状況に応じて適切な明るさで画面を表示することが望ましい。
【0003】
特許文献2には、照度センサを備え、照度センサの出力信号に基づいてバックライトの輝度を制御する折り畳み式の携帯端末装置が開示されている。これにより、状況に応じて適切な明るさで画面を表示することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−113501号公報
【特許文献2】特開2009−177457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に開示されているのは1画面の折り畳み式携帯端末装置であり、開閉する2つの筐体の接続部分の近傍に照度センサが配置されている。しかし、2つの画面を有する情報処理端末において、特許文献2に開示されたように2つの筐体の接続部分の近傍に照度センサを配置すると、例えば電子書籍を読むように2つの筐体をある角度をもって開いた状態で使用すると、照度センサが搭載されていない側の筐体の画面からの光が照度センサに入射する可能性がある。このように自装置からの光が照度センサに入射してしまうと、周囲の明るさを正確に計測することができなくなってしまう。
【0006】
本発明の目的は、周囲の明るさを正確に計測することが可能な、二画面を有する情報処理端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の情報処理端末は、それぞれに画面を有する矩形板状の2つの表示装置が接続辺で互いに接続され、2つの前記画面を横に並べて使用される場合と、2つの前記画面を縦に並べて使用される場合とがある情報処理端末において、いずれかの表示装置の前記接続辺の対辺の近傍で、前記対辺の中央から、2つの前記画面を横に並べて使用した場合の上方に寄った位置に照度センサが配置されたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、周囲の明るさを正確に計測することが可能な、二画面を有する情報処理端末を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態による情報処理端末の開いた状態の外観を表す斜視図である。
【図2】本実施形態による情報処理端末の閉じた状態の外観を表す斜視図である。
【図3】情報処理端末10が、2つの表示装置11、12が横方向に並ぶようにして、使用されたときの様子を説明するための図である。
【図4】情報処理端末10が、2つの表示装置11、12が縦方向に並ぶようにして使用されたときの様子を説明するための図である。
【図5】図5は、2つの表示装置11、12を縦方向に並べて情報処理端末10を両手あるいは片手で把持したときと、2つの表示装置11、12を横方向に並べて情報処理端末10を両手あるいは片手で把持したときの両方を想定した全ての把持領域を重ね合わせた図である。
【図6】照度センサ13と他の部分との配置関係を説明するための図である。
【図7】本実施形態の情報処理端末10の機能的な構成を示すブロック図である。
【図8】本実施形態の変形例による情報処理端末10の外観を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1は、本実施形態による情報処理端末の開いた状態の外観を表す斜視図である。図2は、本実施形態による情報処理端末の閉じた状態の外観を表す斜視図である。
【0012】
本実施形態による情報処理端末10は、一例として通信機能を備えた携帯情報端末であり、それぞれに画面を有する矩形板状の2つの表示装置11、12が1つの長辺(接続辺)でヒンジによって互いに開閉可能に接続された構成を有している。
【0013】
図1に示すように、表示装置11と表示装置12を開いた状態では、2つの表示装置11、12の画面が同じ方向を向き、ユーザの視界に同時に入る。図2に示すように、表示装置11と表示装置12を閉じた状態では、2つの表示装置11、12の画面が向かい合い、表示装置11、12の筐体によって画面が保護される。
【0014】
本実施形態の情報処理端末10は、2つの表示装置11、12の画面を横に並べて使用される場合と、2つの表示装置11、12の画面を縦に並べて使用される場合とがある。
そして、一方の表示装置11の接続辺の対辺の近傍で、対辺の中央から、2つの表示装置11、12の画面を横に並べて使用した場合の上方に寄った位置に照度センサ13が配置されている。照度センサ13は、入射光の光量を検知するセンサであり、光量に応じたレベルのレベル信号を出力する。照度センサ13から出力されたレベル信号は不図示の制御部に入力され、制御部による装置制御に利用される。例えば、制御部は照度センサ13で検知された光量に応じて表示装置11、12の画面の輝度を制御する。具体的には、光量が大きいときには周囲が明るいので、それに合わせて画面の輝度が上げられ、光量が小さいときには周囲が暗いので、それに合わせて画面の輝度が下げられる。
【0015】
上述した照度センサ13の位置は、表示装置12からの光が入射し難いように表示装置11の接続辺の対辺の近傍となっている。そして更に、照度センサ13の位置は、情報処理端末10が2つの表示装置11、12を横に並べて使用されても、2つの表示装置11、12を縦に並べて使用されても、情報処理端末10を把持する手指によって隠れ難い位置となっている。そのため、開閉可能な2つの表示装置11、12を有する情報処理端末10において周囲の明るさを正確に計測することが可能となっている。
【0016】
図3は、情報処理端末10が、2つの表示装置11、12が横方向に並ぶようにして、使用されたときの様子を説明するための図である。2つの表示装置11、12が横方向に並ぶようにして情報処理端末10を使用する場合、ユーザは両手あるいは片手で情報処理端末10を把持する。
【0017】
両手で情報処理端末10を把持するとき、通常、ユーザは右手で右手把持領域21内を把持し、左手で左手把持領域22内を把持する。また、片手で情報処理端末10を把持するとき、通常、ユーザは片手把持領域23内を把持する。
【0018】
図4は、情報処理端末10が、2つの表示装置11、12が縦方向に並ぶようにして使用されたときの様子を説明するための図である。2つの表示装置11、12が縦方向に並ぶようにして情報処理端末10を使用する場合、ユーザは両手あるいは片手で情報処理端末10を把持する。
【0019】
両手で情報処理端末10を把持するとき、通常、ユーザは右手で右手把持領域31内を把持し、左手で左手把持領域32内を把持する。また、片手で情報処理端末10を把持するとき、通常、ユーザは片手把持領域33内を把持する。
【0020】
図5は、2つの表示装置11、12を縦方向に並べて情報処理端末10を両手あるいは片手で把持したときと、2つの表示装置11、12を横方向に並べて情報処理端末10を両手あるいは片手で把持したときの両方を想定した全ての把持領域を重ね合わせた図である。ここでは一例として2つの表示装置11、12が横に並べられている。図5を見て分かるように、照度センサ13は、接続辺の対辺の近傍で把持領域41を避けた位置に配置されている。
【0021】
図6は、照度センサ13と他の部分との配置関係を説明するための図である。
【0022】
図6を参照すると、表示装置11、12を横に並べた場合の下辺の近傍に操作スイッチ52が配置されている。また、操作スイッチ52と同じ位置の表示装置11の内部にメイン基板51が内蔵されている。メイン基板51は、照度センサ13の出力信号を利用する制御部を構成する回路が搭載された基板である。
【0023】
メイン基板51と照度センサ13を同じ表示装置11に配置したことで、照度センサ13とメイン基板51の間の配線長を短くすることが可能となっている。また、照度センサ13とメイン基板51の間の配線を表示装置11、12間で渡す必要が無いものとなっている。
【0024】
また、操作スイッチ52が下辺に配置された表示装置11の上方に照度センサ13を配置したことで、照度センサ13が手指で隠れる可能性がより低減されている。
【0025】
また、本実施形態では、一例として、照度センサ13は、表示装置11の接続辺の対辺の近傍において、対辺の中央から対辺の1/4だけ、2つの表示装置11,12を横に並べて使用した場合の上方に寄った位置に配置されている。
【0026】
図7は、本実施形態の情報処理端末10の機能的な構成を示すブロック図である。ここでは、より具体的な実施例が示されている。図7を参照すると、情報処理端末10は、表示入力装置11A、12Aおよび画面制御装置60を有している。画面制御装置60は制御部61と照度センサ62を有している。
【0027】
表示入力装置11A、12Aは、図1等に示した表示装置11、12に対応するものであるが、ここではタッチパネル式の表示ディスプレイで構成され、画面を表示する機能と、画面へのタッチ操作を受け付ける機能を備えているものとする。表示入力装置11A、12Aは外観は、図1等に示した表示装置11、12と同様である。
【0028】
照度センサ62は、図1等に示した照度センサ13と同様のものである。照度センサ62の位置は、図1等に示した照度センサ13と同様、表示入力装置11Aの接続辺の対辺の近傍で、対辺の中央から、2つの表示入力装置11A、12Aを横に並べて使用した場合の上方に寄った位置である。
【0029】
制御部61は、表示入力装置11A、12Aへの画像の表示、表示入力装置11A、12Aへのタッチ操作に基づく処理、表示入力装置11A、12Aの輝度の制御など装置全体の制御を行う。制御部61は、図6に示したメイン基板51に搭載された回路によって実現されている。
【0030】
そして、制御部61は、照度センサ62が配置された表示入力装置11Aに特定のタッチ操作用画像を表示しているときに、照度センサ62で検知される照度の情報に所定の処理を行ってから、その照度の情報に基づいて表示入力装置11A、12Aの画面の輝度を制御する。ここでいう特定のタッチ操作用画像は、照度センサ62が手指で隠れる可能性があるタッチ操作を行うときのタッチ操作用画像であり、例えば、QWERTY配列のキーボードの画像である。また、照度の情報に対する所定の処理は、照度センサ62が手指で隠れることで表示入力装置11A、12Aの画面の輝度が変化するのを抑制するための処理であり、例えば、タッチ操作用画像の表示を開始したときの照度を示す情報に固定する処理である。
【0031】
QWERTY配列のキーボードが表示されているとき、一般にユーザは表示入力装置11A、12Aを縦に並べて、両手で表示入力装置11Aをタッチ操作する。このとき、ユーザの手で照度センサ62が隠れてしまう可能性がある。照度センサ62に光が入射したりしなかったりという状態が発生すると、表示入力装置11A、12Aの輝度が不安定となる。
【0032】
そのため、制御部61は、照度センサ62が配置された表示入力装置11AにQWETY配列のキーボードを表示しているとき、照度センサ62で検知される照度の情報をタッチ操作用画像の表示を開始したときの照度を示す値に固定する。これにより、表示入力装置11A、12Aの輝度を安定させることができる。
【0033】
なお、本実施形態では、メイン基板51と照度センサ13の間の配線長を短くし、また配線を表示装置11、12の間を渡す必要が無くなるよう、メイン基板51を内蔵し、表示装置11、12を縦に並べたときに下側となる表示装置11に照度センサ13を配置する例を示した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0034】
他の例として、図8に示すように、メイン基板51が内蔵されておらず、表示装置11、12を縦に並べたときに上側となる表示装置12の同等の位置に照度センサ13を配置することにしてもよい。あるいは、表示装置11と表示装置12の両方の同等の位置に照度センサ13を配置することにしてもよい。その場合、制御部61は、例えば、2つの照度センサ13で検知された照度のうち高い方の値に基づいて、表示装置11、12の画像の輝度を制御することにしてもよい。
【0035】
以上、本発明の実施形態について述べてきたが、本発明は、これらの実施形態だけに限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内において、これらの実施形態を組み合わせて使用したり、一部の構成を変更したりしてもよい。
【符号の説明】
【0036】
10 情報処理端末
11、12 表示装置
11A、12A 表示入力装置
13 照度センサ
21、31 右手把持領域
22、32 左手把持領域
23、33 片手把持領域
41 把持領域
51 メイン基板
52 操作スイッチ
60 画面制御装置
61 制御部
62 照度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれに画面を有する矩形板状の2つの表示装置が接続辺で互いに接続され、2つの前記画面を横に並ぶ状態で使用される場合と、2つの前記画面を縦に並ぶ状態で使用される場合とがある情報処理端末において、
いずれかの表示装置の前記接続辺の対辺の近傍で、前記対辺の中央から、2つの前記画面を横に並べて使用した場合の上方に寄った位置に照度センサが配置されていることを特徴とする情報処理端末。
【請求項2】
前記照度センサの出力信号を利用するメイン基板が、前記照度センサが配置されている前記表示装置に内蔵されていることを特徴とする、請求項1に記載の情報処理端末。
【請求項3】
いずれかの表示装置の、前記2つの画面を横に並べて使用した場合の下辺の近傍に操作スイッチが配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の情報処理端末。
【請求項4】
前記照度センサの出力信号を利用するメイン基板がいずれか表示装置に内蔵され、前記メイン基板が内蔵された表示装置の、前記2つの画面を横に並べて使用した場合の下辺の近傍に操作スイッチが配置されており、前記メイン基板が内蔵された前記表示装置に前記照度センサが配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記照度センサが、前記対辺の中央から該対辺の1/4だけ、前記2つの画面を横に並べて使用した場合の上方に寄った位置に配置されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
それぞれにタッチパネル式の画面を有する矩形板状の2つの表示入力装置が接続辺で互いに接続され、2つの前記画面を横に並べて使用される場合と、2つの前記画面を縦に並べて使用される場合とがある情報処理端末における画面制御装置であって、
いずれかの表示入力装置の前記接続辺の対辺の近傍で、前記対辺の中央から、2つの前記画面を横に並べて使用した場合の上方に寄った位置に配置された照度センサと、
前記照度センサが配置された表示入力装置に特定タッチ操作用画像を表示していないとき、前記照度センサで検知される照度の情報を用いて前記表示入力装置の画面の輝度を制御し、前記照度センサが配置された表示入力装置に前記特定タッチ操作用画像を表示しているとき、前記照度の情報に所定の処理を行い、該照度の情報を用いて前記表示入力装置の画面の輝度を制御する制御部と、を有する画面制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記照度センサが配置された前記表示入力装置に前記タッチ操作用画像を表示しているとき、前記照度の情報を、前記タッチ操作用画像の表示を開始したときの照度を示す値に固定する、請求項6に記載の画面制御装置。
【請求項8】
それぞれにタッチパネル式の画面を有する矩形板状の2つの表示入力装置が接続辺で互いに接続され、2つの前記画面を横に並べて使用される場合と、2つの前記画面を縦に並べて使用される場合とがある情報処理端末における画面制御方法であって、
いずれかの表示入力装置の前記接続辺の対辺の近傍で、前記対辺の中央から、2つの前記画面を横に並べて使用した場合の上方に寄った位置に配置された照度センサで検知される照度の情報を取得し、
前記照度センサが配置された表示入力装置に所定のタッチ操作用画像を表示しているときに前記照度センサで検知される照度の情報に所定の処理を行い、前記照度の情報を用いて、前記表示入力装置の画面の輝度を制御する、画面制御方法。
【請求項9】
前記照度センサが配置された前記表示入力装置に前記タッチ操作用画像を表示しているとき、前記照度の情報を、前記タッチ操作用画像の表示を開始したときの照度を示す値に固定する、請求項8に記載の画面制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−58674(P2012−58674A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204486(P2010−204486)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】