説明

情報処理装置、その処理方法及びプログラム

【課題】血管の断層画像内における所定領域の分布角度を計測する際の操作性を向上させるようにした情報処理装置、その処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置は、角度の計測の開始指示に際して、血管の断層画像における血管の内壁領域が検出されている場合には、当該検出された内壁領域の中心を第1の点として検出し、血管の内壁領域が検出されていない場合には、血管の断層画像内におけるカテーテルの中心を前記第1の点として検出する。そして、オペレータの指示に基づいて指定された第2の点群の座標を検出し、第1の点と第2の点群との間の角度を計測する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、その処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動脈硬化の診断、バルーンカテーテル又はステント等の高機能カテーテルによる血管内治療時の術前診断、或いは、術後の結果確認のために、光干渉断層画像診断装置(OCT)や、その改良型である波長掃引を利用した光干渉断層画像診断装置(OFDI)が利用されている(例えば、特許文献1)。以下、光干渉断層画像診断装置(OCT)と、波長掃引を利用した光干渉断層画像診断装置(OFDI)とを総称して画像診断装置と呼ぶ。
【0003】
このような画像診断装置には、血管等の体腔内に挿入されるカテーテルが取り付けられる。カテーテルの内部には、体腔内組織(例えば、血管)に向けて測定光を送信するとともに、体腔内組織からの反射光を受信する送受信部が設けられる。測定(例えば、診断)に際しては、カテーテルが血管内に挿入される。送受信部は、回転させられた状態で血管内に測定光を出射するとともに、その反射光を受光する。これにより、血管内におけるラジアル走査を行なう。そして、画像診断装置は、当該受光した反射光と参照光とを干渉させることで干渉光を生成し、当該干渉光に基づいて血管の断層画像を撮影する。
【0004】
さて、プラークの中でもリピッド・プラーク(Lipid Plaque)と呼ばれる血球成分の多いプラークが知られている。リピッド・プラーク(以下、単にプラークと呼ぶ)の測定に際しては、送受信部からの測定光(近赤外光)が血球成分で減衰してしまう。そのため、血管の壁面方向に向けた測定光の深達度が低い。その結果得られる断層画像においては、図8(a)に示すように、プラークの部分の表層付近は見えるが、それ以降は暗く抜けてしまう。血球成分の多いプラークは、動脈硬化性プラーク(VP:Vulnerable Plaque)の発生頻度と因果関係が認められており、診断において重要な値となる。
【0005】
ここで、医用画像を表示する装置が知られている。例えば、特許文献2には、医師による診断を支援するために、管腔臓器領域の中心を求める技術について言及されている。特許文献2の技術では、処理対象領域(管腔臓器領域)の設定操作をオペレータから受け、当該受け付けた領域の重心位置を求める。より具体的には、処理対象領域における全ての画素の座標を加算し、それを総画素数で除算する。これにより、重心位置を求めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−128074号公報
【特許文献2】国際公開第2006/118100号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、プラークの量は、プラークの分布角度と相関があることが報告されている。プラークの分布角度とは、図8(b)に示すように、血管内壁の中心と、プラークの両端との間の角度である。つまり、プラークの分布角度を計測する際には、その中心位置を決めなければならない。なお、このような分布角度は、プラークのみならず、種々の医用分野で利用される。例えば、石灰化病変についても、ロータの使用の是非を病変部の角度で決定する場合がある。
【0008】
ここで、上述した特許文献2の技術では、ある領域の重心(中心)位置を求めることはできるが、この処理に先立って、オペレータは、対象領域を指示しなければならない。そのため、この技術を用いて上述した角度の計測を行なう場合には、オペレータは、その都度、対象領域を指示しなければならず、オペレータにとってはこの操作が煩雑であり、また、操作性も悪い。
【0009】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、断層画像内における所定領域の分布角度を計測する際の操作性を向上させるようにした情報処理装置、その処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の一態様による情報処理装置は、血管内にカテーテルを挿入して撮影された血管の断層画像を取得する取得手段と、前記断層画像内の第1の点と第2の点群との間の角度の計測開始を指示する指示手段と、オペレータの指示に基づいて指定された前記血管の内壁領域を検出する領域検出手段と、前記指示手段による前記角度の計測の開始指示に際して、前記領域検出手段により前記血管の内壁領域が検出されている場合には、当該検出された内壁領域の中心を前記第1の点として検出し、前記領域検出手段により前記血管の内壁領域が検出されていない場合には、前記血管の断層画像内における前記カテーテルの中心を前記第1の点として検出する中心検出手段と、オペレータの指示に基づいて指定された前記第2の点群の座標を検出する計測点検出手段と、前記第1の点と前記第2の点群との間の角度を計測する計測手段とを具備する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、断層画像内における所定領域の分布角度を計測する際の操作性を向上させられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる情報処理装置の構成の一例を示す図である。
【図2】血管の断層画像の撮影の概要の一例を説明する図である。
【図3】UI画面(角度計測画面)のレイアウトの一例を示す図である。
【図4】オペレータにより血管の内壁領域が指示された場合の角度計測処理の一例を示す図である。
【図5】オペレータにより血管の内壁領域が指示されなかった場合の角度計測処理の一例を示す図である。
【図6】図1に示す情報処理装置10における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図7】変形例の一例を説明するための図である。
【図8】従来技術の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
(実施形態1)
図1は、本発明の一実施の形態に係わる情報処理装置の構成の一例を示す図である。
【0015】
情報処理装置10は、その機能構成として、入力部11と、表示部12と、制御部13と、記憶部14と、通信部15とを具備して構成される。
【0016】
入力部11は、例えば、キーボードやポインティングデバイス(例えば、マウス)等により実現され、オペレータからの各種指示を装置内に入力する。表示部12は、例えば、ディスプレイ等により実現され、オペレータに向けて各種情報を出力する。
【0017】
制御部13は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリ等により実現される。制御部13は、情報処理装置10における処理を統括制御する。すなわち、情報処理装置10における各種処理は、CPUがメモリをワーク領域として記憶部14に記憶されたプログラムを読み込み実行することで行なわれる。
【0018】
記憶部14は、HDD(Hard Disk Drive)等により実現され、各種データを記憶する。記憶部14には、例えば、オペレーティングシステムやアプリケーション等の各種プログラムが記憶される。また、記憶部14には、例えば、画像診断装置により撮影された血管の断層画像等も格納される。
【0019】
通信部15は、ネットワークカード、USB(Universal Serial Bus)カード等により実現され、情報処理装置10とその他装置(例えば、画像診断装置)との通信を制御する。以上が、情報処理装置10を構成する各種処理機能の説明である。なお、情報処理装置10は、ネットワーク等に接続された環境にあってもよいし、単体で動作する環境(スタンドアローン)にあってもよい。
【0020】
次に、制御部13において実現される機能的な構成の一例について説明する。
【0021】
制御部13には、その機能構成として、画像取得部21と、内壁領域検出部22と、判定部23と、中心検出部24と、計測点検出部25と、角度計測部26と、表示処理部27とを具備して構成される。これら処理機能は、例えば、CPUがメモリをワーク領域として記憶部14に記憶された中心点検出プログラムを読み込み実行することで実現される。
【0022】
画像取得部21は、カテーテル81内の送受信部82からの照射に基づいて撮影された血管の断層画像を取得する。画像取得部21による画像の取得先は、例えば、記憶部14や画像診断装置等が挙げられる。ここで、図2を用いて、血管の断層画像の撮影の概要について説明する。本実施形態においては、血管の断層画像は、上述した画像診断装置(光干渉断層画像診断装置(OCT)、光干渉断層画像診断装置(OFDI))により撮影される。
【0023】
ここで、カテーテル81は、血管等の体腔内に挿入される。カテーテル81の内部には、送受信部82が設けられる。送受信部82は、体腔内組織(本実施形態においては血管)に向けて測定光を送信するとともに、体腔内組織からの反射光を受信する。測定(例えば、診断)に際しては、カテーテル81が血管内に挿入される。そして、送受信部82は、回転させられた状態で血管内に測定光を出射するとともに、その反射光を受光する。これにより、血管内におけるラジアル走査を行なう。そして、画像診断装置は、当該受光した反射光と参照光とを干渉させることで干渉光を生成し、当該干渉光に基づいて血管の断層画像を撮影する。
【0024】
図2(a)は、血管断面の中心にカテーテル81が位置しているが、カテーテル81が血管内に挿入された際には、このような位置に必ずしも位置付けられるとは限られない。例えば、図2(b)に示すように、血管断面の中心からずれた位置にカテーテル81が位置付けられる場合もある。
【0025】
図1に戻り、内壁領域検出部22は、画像取得部21により取得された断層画像から血管の内壁領域を検出する。血管の内壁領域の検出は、入力部11を介したオペレータからの指示に基づいて行なわれる。オペレータによる領域の指定の仕方としては、例えば、内壁領域を示す座標を複数指定(例えば、3点)する方法が挙げられる。この場合、内壁領域検出部22においては、当該指定された複数の座標を通過し、且つ当該指定された座標の画素と輝度等の色情報が近い画素をトレースして線で結び、それにより内壁領域を検出する。なお、内壁領域の指定の仕方は、これに限られず、例えば、ドラッグ操作で断層画像における血管の内壁を丸枠等で囲うことにより、血管の内壁領域を指定するように構成しても良い。
【0026】
判定部23は、オペレータにより内壁領域が指示されたか否かを判定する。この判定は、内壁領域検出部22により内壁領域が検出されているか否かに基づいて行なわれる。
【0027】
中心検出部24は、判定部23の判定結果に基づいて所定領域(本実施形態においては、プラーク)の分布角度を計測する際の中心点を検出する。より具体的には、判定部23によりオペレータにより内壁領域が指示されたと判定された場合には、中心検出部24は、内壁領域検出部22により検出された血管の内壁領域の中心を中心点として検出する。
【0028】
一方、オペレータにより内壁領域が指示されていないと判定された場合には、中心検出部24は、カテーテルの中心を中心点として検出する。例えば、断層画像内における高輝度成分(一般に、断層画像におけるカテーテル部分は高輝度となるため)をトレースすることによりカテーテルを識別し、その中心を検出すれば良い。なお、カテーテルの中心の検出の仕方は、これに限られず、例えば、カテーテルの撮像パターンを予め保持しておき、そのパターンを用いてパターン認識することにより、撮像画像からカテーテルを識別し、その中心を検出するようにしても良い。
【0029】
計測点検出部25は、入力部11を介したオペレータからの指示(マウス等を用いた指示)に基づいて複数の計測点(座標情報)を検出する。オペレータが、例えば、マウス等を操作して計測点(2つ)をクリック等して指示すると、計測点検出部25は、当該クリックされた位置の座標を計測点として検出する。
【0030】
角度計測部26は、中心検出部24により検出された中心点と、計測点検出部25により検出された計測点(2点)との3点を用いて、中心点に対する当該2点間の角度を計測(算出)する。
【0031】
表示処理部27は、各種画面を表示部12に表示させる。例えば、角度計測に際しては、後述する図3に示すUI画面を表示部12に表示させる。
【0032】
次に、図3を用いて、角度計測時に用いるUI画面(角度計測画面)の一例について説明する。
【0033】
角度計測画面は、画像表示領域30と、操作領域40とに大きく分けられる。操作領域40には、患者情報が表示される患者情報領域41と、角度情報が表示される角度情報領域42と、画像表示領域30に表示される画像に対して操作を行なうボタンが配された表示コントロール領域43とが設けられる。
【0034】
角度情報領域42には、計測された角度が表示される出力フィールド51と、角度計測を指示するボタン52とが設けられる。オペレータにより血管の内壁領域が指示された後、ボタン52が押下された場合には、血管内壁の中心が検出され、また、オペレータにより当該指示が行なわれずにボタン52が押下された場合には、カテーテルの中心が検出される。
【0035】
表示コントロール領域43には、表示中の画像のズーム(拡大又は縮小)を指定するリスト54や、表示中の画像を切り替えるための表示切替ボタン53が複数設けられる。
【0036】
画像表示領域30には、測定画像が表示される。測定画像は、画像診断装置により撮影された血管の断層画像である。図3に示す断層画像内には、プラーク61やカテーテル62が含まれている。ここで、点71は、断層画像における血管の中心位置を示しており、点72は、断層画像におけるカテーテルの中心位置を示している。上述した通り、オペレータにより血管の内壁が指示された場合には、血管内壁の中心として中心点71が検出され、オペレータにより当該指示が行なわれなかった場合には、カテーテルの中心が中心点72として検出される。
【0037】
ここで、図4及び図5を用いて、オペレータにより血管の内壁領域が指示された場合の角度計測処理について説明する。図4には、図3で説明した画像表示領域30に表示される血管の断層画像を抜粋した図が示される。
【0038】
図4(a)においては、血管の断層画像60が示されている。この断層画像60には、プラーク61と、カテーテル62とが含まれている。ここで、オペレータは、入力部11を介した操作により血管の内壁を指示する。この指示により、図4(b)に示すように、血管の内壁が、例えば、点線枠73で囲われる。
【0039】
ここで、オペレータは、入力部11を介して図3に示すボタン52を押下する。すると、情報処理装置10は、当該点線枠73の中心位置を算出する。これにより、断層画像には、図4(c)に示すように、中心点71が設定される。
【0040】
次に、オペレータは、入力部11を介して、血管内壁の円周に沿ったプラークの両端を指し示す座標を指示する。より具体的には、オペレータは、例えば、中心点71とプラーク61の一端とを通過する線分上における点を第1の計測点(例えば、点74)として指示するとともに、中心点71とプラーク61の他端とを通過する線分上における点を第2の計測点(例えば、点75)として指示する。
【0041】
ここで、断層画像には、図4(d)に示すように、中心点71からプラーク61の端部にかけた線分上に2つの座標(74、75)がそれぞれ指定されている。そして、情報処理装置10は、中心点71に対する当該2点間の角度を算出し、図3に示すフィールド51に当該算出した角度を表示する。
【0042】
次に、図5を用いて、オペレータにより血管の内壁領域が指示されなかった場合の角度計測処理について説明する。図5には、図3で説明した画像表示領域30に表示される血管の断層画像を抜粋した図が示される。
【0043】
図5(a)においては、血管の断層画像60が示されている。この断層画像60には、プラーク61と、カテーテル62とが含まれている。オペレータは、血管の内壁領域を指示せずに、入力部11を介して図3に示すボタン52を押下する。その後、オペレータは、入力部11を介して、プラークの両端を指し示す座標を指示する。断層画像には、図5(b)に示すように、カテーテル62の中心部に中心点72が設定されるとともに、当該中心点72からプラーク61の端部にかけた線分上に座標(74、75)がそれぞれ指定される。そして、情報処理装置10は、中心点72に対する当該2点間の角度を算出し、図3に示すフィールド51に当該算出した角度を表示する。
【0044】
断層画像によっては、上述した図2(a)に示すように、カテーテル62の中心と、血管内壁の中心とが一致又は略一致している場合がある。このような場合には、カテーテル62の中心を中心点72とする図5に示す処理は非常に有効であるといえる。
【0045】
ここで、図6を用いて、図1に示す情報処理装置10における処理の流れの一例について説明する。ここでは、角度計測処理の流れについて説明する。なお、角度計測処理は、図3に示すボタン52の押下をトリガーとして開始される。
【0046】
角度計測処理が開始すると、情報処理装置10は、判定部23において、血管の内壁領域がオペレータにより指示されたか否かを判定する。判定の結果、オペレータにより内壁領域が指示されていれば(S102でYES)、情報処理装置10は、中心検出部24において、当該指示された内壁領域の中心位置を算出し、その位置を中心点に設定する(S103)。
【0047】
一方、SS101における判定の結果、オペレータにより内壁領域が指示されていなければ(S102でNO)、情報処理装置10は、中心検出部24において、カテーテルを識別し(S104)、当該識別したカテーテルの中心位置に中心点を設定する(S105)。
【0048】
ここで、情報処理装置10は、オペレータにより計測点が入力されるまで待ち状態となる(S106でNO)。ここで、オペレータが、入力部11を介して、プラーク等の端部を指示する入力を行なう。すると、情報処理装置10は、計測点検出部25において、当該入力された計測点を検出する(S106でYESの後、S107)。そして、角度計測部26において、S103又はS105のいずれかで検出された中心点と、当該計測点(2点)との間の角度を算出する(S108)。その後、情報処理装置10は、表示処理部27において、当該算出した角度を表示した後、この処理は終了する。
【0049】
以上説明したように本実施形態によれば、オペレータにより血管の内壁領域が指示された場合には当該領域の中心を中心点(第1の点)とし、当該指示が行なわれなかった場合には、カテーテルの中心を中心点(第1の点)とし、オペレータにより指示されたプラーク端部を示す計測点群(第2の点群)と当該中心点(第1の点)との間の角度を計測する。
【0050】
これにより、オペレータは、角度計測に際して、血管の内壁領域を必ずしも指定する必要がなくなるため、オペレータの負荷を軽減できるとともに、また、操作性も向上する。
【0051】
以上が本発明の代表的な実施形態の例であるが、本発明は、上記及び図面に示す実施形態に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【0052】
例えば、上述した実施形態においては、複数の断層画像を対象にした場合の処理については言及していないが、この場合、ある特定の断層画像から検出した中心点を用いてその他の断層画像に対して中心点を設定するように構成しても良い。ここで、この一例として、撮影順に時系列に並んだ複数の断層画像に対して上述した角度計測を行なう際の処理について簡単に説明する。
【0053】
撮影順に時系列に並んだ複数の断層画像の場合、第1の時点の断層画像(例えば、時間的に最初に撮影された断層画像)及び第2の時点(第1の時点よりも時間的に後)の断層画像(時間的に最後に撮影された断層画像)に対してのみオペレータにより血管の内壁領域を指示させ、その他の断層画像における血管の内壁領域は、情報処理装置10側で推測するようにしても良い。ここで、図7には、撮影順に時系列に並んだ複数の断層画像が示される。最初の断層画像101においては、血管の内壁領域90が画像内の右下にあるが、最後の断層画像102おいては、血管の内壁領域93が画像内の左上にある。この場合、時間的にその間に位置する断層画像における内壁領域は、内壁領域検出部22において、当該最初と最後の断層画像に対して指定された血管の内壁領域から推測して検出する。すなわち、図7の場合であれば、最初の画像101から最後の画像102にかけて徐々に内壁領域の位置を右下から左上に移動させるようにして検出する。そして、この検出結果に基づいて、情報処理装置10側(中心検出部24)で全ての断層画像に対して中心点を設定する。この場合にも、オペレータの負荷を軽減し、操作性の向上を図れる。
【0054】
また、上述した実施形態においては、血管の内壁領域がオペレータにより指示されなかった場合には、カテーテルの中心に中心点を設定していたが、これに限られない。例えば、断層画像内における所定位置を示すデフォルトの座標を予め決めておき、その位置を中心点として設定しても良い。
【0055】
また、上述した実施形態においては、角度の中心として、血管の内壁に中心を設定する場合を例に挙げて説明したが、これに限られない。例えば、血管の外壁領域やステント領域の中心を設定するようにしても良い。
【0056】
また、上述した実施形態においては、情報処理装置10において上述した角度計測処理を行なう場合について説明したが、これに限れらない。例えば、上述した情報処理装置10を画像診断装置に組み込み、画像診断装置において角度計測処理を行なっても良い。この場合、画像診断装置においては、例えば、血管の断層画像を撮影しつつ、上述した角度の計測を実施できる。
【0057】
また、上述した実施形態においては、光を利用した画像診断装置により撮影された血管の断層画像に対して上述した角度計測処理を行なう場合について説明したが、これに限られない。例えば、画像診断装置は、超音波を利用して血管の断層画像を撮影するタイプの装置であっても良い。超音波を利用して撮影された断層画像に対しても上記同様に角度計測を行なえる。
【0058】
また、上述した実施形態において説明した情報処理装置10における処理を、コンピュータにインストールされたプログラムにより実施しても良い。なお、このプログラムは、ネットワーク等の通信手段により提供することは勿論、CD−ROM、DVD等の記録媒体に格納して提供することも可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内にカテーテルを挿入して撮影された血管の断層画像を取得する取得手段と、
前記断層画像内の第1の点と第2の点群との間の角度の計測開始を指示する指示手段と、
オペレータの指示に基づいて指定された前記血管の内壁領域を検出する領域検出手段と、
前記指示手段による前記角度の計測の開始指示に際して、前記領域検出手段により前記血管の内壁領域が検出されている場合には、当該検出された内壁領域の中心を前記第1の点として検出し、前記領域検出手段により前記血管の内壁領域が検出されていない場合には、前記血管の断層画像内における前記カテーテルの中心を前記第1の点として検出する中心検出手段と、
オペレータの指示に基づいて指定された前記第2の点群の座標を検出する計測点検出手段と、
前記第1の点と前記第2の点群との間の角度を計測する計測手段と
を具備することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記血管の断層画像には、プラークの画像が含まれており、
前記計測点検出手段は、
オペレータの指示に基づいて、前記第1の点と前記プラークの一端とを通過する線分上に位置する点と、前記第1の点と前記プラークの他端とを通過する線分上に位置する点とを前記第2の点群の座標として検出する
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記取得手段は、
撮影順に時系列に並んだ複数の断層画像を取得し、
前記領域検出手段は、
前記複数の断層画像の内の所定の画像に対してオペレータにより指定された前記血管の内壁領域と、前記複数の断層画像の内の該所定の画像よりも時間的に後に撮影された画像に対してオペレータにより指定された前記血管の内壁領域とに基づいて、時間的にその間に撮影された断層画像における前記血管の内壁領域を推定して検出する
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記中心検出手段は、
前記領域検出手段により前記血管の内壁領域が検出されていない場合には、前記血管の断層画像内における高輝度成分をトレースすることにより前記カテーテルを識別し、その中心を前記第1の点として検出する
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項5】
情報処理装置における処理方法であって、
血管内にカテーテルを挿入して撮影された血管の断層画像を取得する取得工程と、
前記断層画像内の第1の点と第2の点群との間の角度の計測開始を指示する指示工程と、
オペレータの指示に基づいて指定された前記血管の内壁領域を検出する領域検出工程と、
前記角度の計測の開始指示に際して、前記血管の内壁領域が検出されている場合には、当該検出された内壁領域の中心を前記第1の点として検出し、前記血管の内壁領域が検出されていない場合には、前記血管の断層画像内における前記カテーテルの中心を前記第1の点として検出する中心検出工程と、
オペレータの指示に基づいて指定された前記第2の点群の座標を検出する計測点検出工程と、
前記第1の点と前記第2の点群との間の角度を計測する計測工程と
を含むことを特徴とする処理方法。
【請求項6】
コンピュータを、
血管内にカテーテルを挿入して撮影された血管の断層画像を取得する取得手段、
前記断層画像内の第1の点と第2の点群との間の角度の計測開始を指示する指示手段、
オペレータの指示に基づいて指定された前記血管の内壁領域を検出する領域検出手段、
前記指示手段による前記角度の計測の開始指示に際して、前記領域検出手段により前記血管の内壁領域が検出されている場合には、当該検出された内壁領域の中心を前記第1の点として検出し、前記領域検出手段により前記血管の内壁領域が検出されていない場合には、前記血管の断層画像内における前記カテーテルの中心を前記第1の点として検出する中心検出手段、
オペレータの指示に基づいて指定された前記第2の点群の座標を検出する計測点検出手段、
前記第1の点と前記第2の点群との間の角度を計測する計測手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−193995(P2011−193995A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63210(P2010−63210)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】