説明

情報処理装置、その音声設定方法、およびコンピュータが実行するためのプログラム

【課題】マイクおよびスピーカを含むオーディオデバイスを備えた情報処理装置において、アプリケーションでマイクを使用する場合に、スピーカから出力される音声の特性を自動的に設定することを目的とする。
【解決手段】ネットワークを介して通信可能に構成され、マイクおよびスピーカを含むオーディオデバイスを備えた情報処理装置であって、前記マイクの使用を検出する検出手段と、前記検出手段で前記マイクの使用を検出した場合に、前記スピーカから出力される音声が通話に適した音声となるように、前記スピーカの音声特性を設定する音声特性設定手段と、前記音声特性設定手段で設定された前記スピーカの音声特性に基づいて、前記スピーカに出力する音声を処理する音声処理手段と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、その音声設定方法、およびコンピュータが実行するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近時のパーソナルコンピュータでは、Skype(登録商標)等のVOIP(Voice over Internet Protocol)アプリケーションを用いて音声データを送受信する人が増えている。VOIPは、インターネットやイントラネットなどのTCP/IPネットワークを使って音声データを送受信する技術であり、社内LANを使った内線電話や、インターネット電話などに応用されている。
【0003】
また、パーソナルコンピュータはオーディオデバイスを備えており、一般に、スピーカで音声を出力する場合に、ユーザが手動によりオーディオ設定画面でイコライザーの特性を設定可能となっている。ユーザが手動でイコライザーを設定することは煩わしく、また、元の特性に戻すことを忘れる場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−256041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、マイクおよびスピーカを含むオーディオデバイスを備えた情報処理装置において、アプリケーションでマイクを使用する場合に、スピーカから出力される音声の特性を自動的に設定することが可能な情報処理装置、その音声設定方法、およびコンピュータが実行するためのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ネットワークを介して通信可能に構成され、マイクおよびスピーカを含むオーディオデバイスを備えた情報処理装置であって、前記マイクの使用を検出する検出手段と、前記検出手段で前記マイクの使用を検出した場合に、前記スピーカから出力される音声が通話に適した音声となるように、前記スピーカの音声特性を設定する音声特性設定手段と、前記音声特性設定手段で設定された前記スピーカの音声特性に基づいて、前記スピーカに出力する音声を処理する音声処理手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記音声特性設定手段は、前記検出手段で前記マイクの使用を検出した場合に、さらに、前記マイクを使用するアプリケーション・プログラムがVOIPアプリケーション・プログラムである場合に、前記スピーカから出力される音声が通話に適した音声となるように、前記スピーカの音声特性を設定することが望ましい。
【0008】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記音声特性設定手段は、前記マイクの使用を検出した後に前記マイクの使用の終了を検出した場合は、前記スピーカの音声特性を前の設定またはノーマル設定に戻すことが望ましい。
【0009】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記音声特性設定手段は、前記検出手段で前記マイクの使用を検出した場合に、さらに、前記マイクから出力される音声が通話に適した音声となるように、前記マイクの音声特性を設定し、前記音声処理手段は、前記音声特性設定手段で設定されたマイクの音声特性に基づいて、前記マイクから出力される音声を処理することが望ましい。
【0010】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記音声特性は、イコライジング特性を含むことが望ましい。
【0011】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ネットワークを介して通信可能に構成され、マイクおよびスピーカを含むオーディオデバイスを備えた情報処理装置の音声設定方法であって、前記マイクの使用を検出する検出工程と、前記検出工程で前記マイクの使用を検出した場合に、前記スピーカから出力される音声が通話に適した音声となるように、前記スピーカの音声特性を設定する音声特性設定工程と、前記音質設定工程で設定された前記スピーカの音声特性に基づいて、前記スピーカに出力する音声を処理する音声処理工程と、を含むことを特徴とする。
【0012】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ネットワークを介して通信可能に構成され、マイクおよびスピーカを含むオーディオデバイスを備えた情報処理装置に搭載されるプログラムであって、前記マイクの使用を検出する検出工程と、前記検出工程で前記マイクの使用を検出した場合に、前記スピーカから出力される音声が通話に適した音声となるように、前記スピーカの音声特性を設定する音声特性設定工程と、前記音質設定工程で設定された前記スピーカの音声特性に基づいて、前記スピーカに出力する音声を処理する音声処理工程と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、マイクおよびスピーカを含むオーディオデバイスを備えた情報処理装置において、アプリケーションでマイクを使用する場合に、スピーカから出力される音声の特性を自動的に設定することが可能な情報処理装置を提供することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明に係る情報処理装置を適用したノートPC1の概略の外観図である。
【図2】図2は、図1のノートPC1の概略のハードウェア構成例を示す図である。
【図3】図3は、図2のノートPCの音声出力に関連する概略の機能構成図である。
【図4】図4は、音声モード設定画面の一例を示す図である。
【図5】図5は、VOIPモード自動設定画面の一例を示す図である。
【図6】図6は、音声特性設定用ユーティリティ・プログラムが音声特性を設定する処理を説明するためのフローである。
【図7】図7は、実施の形態2に係る音声特性設定用ユーティリティ・プログラムが音声特性を設定する処理を説明するためのフローである。
【図8】図8は、実施の形態3に係る音声特性設定用ユーティリティ・プログラムが音声特性を設定する処理を説明するためのフローである。
【図9】図9は、マイクが使用された場合に変更する音声特性の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施の形態に係る情報処理装置、その音声設定方法、およびコンピュータが実行するためのプログラムを適用したコンピュータシステムの実施の形態について説明する。本発明の構成要素は、本明細書の図面に一般に示してあるが、様々な構成で広く多様に配置し設計してもよいことは容易に理解できる。したがって、本発明の装置、方法、およびプログラムの実施の形態についての以下のより詳細な説明は、特許請求の範囲に示す本発明の範囲を限定するものではなく、単に本発明の選択した実施の形態の一例を示すものであって、本明細書の特許請求の範囲に示す本発明と矛盾無く装置、システムおよび方法についての選択した実施の形態を単に示すものである。当業者は、特定の細目の1つ以上が無くても、または他の方法、部品、材料でも本発明を実現できることが理解できる。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明に係る情報処理装置を適用したノートPC1の概略の外観図である。ノートPC1は、同図に示すように、いずれも略直方体である本体側筐体2およびディスプレイ側筐体3を備える。本体側筐体2は、キーボードおよびタッチパッド等を有する入力部4と、マイク5と、スピーカ6a、6bとを備える。ディスプレイ側筐体3は、LCD(液晶ディスプレイ)7と、LCD7の表示面側にその上方の略中央に配置され、前方の被写体を撮像可能なカメラ8とを備える。
【0017】
本体側筐体2およびディスプレイ側筐体3は、それぞれの端部で左右の一対の連結部(ヒンジ部)9a、9bによって連結されており、連結部9a、9bは、これらの筐体を開閉自在に支持している。
【0018】
図2は、図1のノートPC1の概略のハードウェア構成例を示す図である。ノートPC1は、同図に示すように、CPU11、ROM12、メモリ13、HDD(Hard Disk Device)14、LCD7、入力部4、カメラデバイス15、オーディオデバイス17、通信デバイス19、バッテリ21、DC−DCコンバータ22,ACアダプタ23を備えており、各部はバスを介して直接または間接的に接続されている。
【0019】
CPU11は、バスを介して接続されたHDD14に格納されたOS30によりノートPC1全体の制御を行うとともに、HDD14に格納された各種のプログラムに基づいて処理を実行する機能を司る。ROM12は、BIOS(Basic Input/Output System:基本入出力システム)12aやデータ等を格納している。
【0020】
メモリ13は、キャッシュメモリやRAMで構成されており、CPU11の実行プログラムの読み込み領域として、実行プログラムの処理データを書き込む作業領域として利用される書き込み可能メモリである。
【0021】
HDD(ハードディスク)14は、例えば、Windows(登録商標) XP、Vista、7等のノートPC1全体の制御を行うためのOS30と、周辺機器類をハードウェア操作するための各種ドライバ31と、音声特性設定用ユーティリティ・プログラム32と、VOIPアプリケーション・プログラム33と、VOIPアプリケーション・プログラム以外のマイクを使用するアプリケーション・プログラム34と、他のアプリケーション・プログラム35等を記憶する機能を有する。
【0022】
LCD7は、CPU11の制御に従って、表示情報をビデオ信号に変換し、変換したビデオ信号に応じた各種情報を表示画面に表示する。
【0023】
なお、本実施の形態では、ディスプレイとしてLCDを使用することにしているが、本発明はこれに限られるものではなく、有機ELディスプレイやCRT等の他のディスプレイを使用することにしてもよい。
【0024】
入力部4は、ユーザが入力操作を行うためのユーザインターフェースであり、文字、コマンド等を入力する各種キーより構成されるキーボードや、画面上のカーソルを移動させたり、各種メニューを選択するタッチパッド等を備えている。
【0025】
カメラデバイス15は、カメラ8と、カメラ処理回路16とを備えている。カメラ8は、レンズや撮像部(CCDやCMOS)を備えており、レンズは被写体光を結像し、撮像部は結像された被写体光をR,G,Bの画像信号として出力する。カメラ処理回路16は、A/D変換器、画像処理用LSI、メモリ等を備え、撮像部の駆動タイミングや露出制御等を行うと共に、撮像部で得られたRGBの画像信号をデータ処理(A/D変換等)して、CPU11に出力する。
【0026】
オーディオデバイス17は、マイク5と、スピーカ6a、6bと、音声処理回路18とを備えている。マイク5は、音声を集音して音声データを音声データ処理部18に出力する。スピーカ6a、6bは、音声処理回路18から出力される音声データに応じた音声を出力する。音声処理回路18は、A/D変換器、D/A変換器、音声処理用LSI、メモリ等を備えており、マイク5から入力される音声データをA/D変換した後に音声処理し、音声処理後の音声データ(デジタルデータ)をCPU11に出力したり、CPU11から入力される音声データ(デジタル)を、A/D変換した後に音声処理し、音声処理後の音声データをD/A変換して、スピーカ6a、6bから出力させる。
【0027】
通信デバイス19は、ネットワークを介してデータの送受信を行うためのものであり、画像データおよび音声データをネットワークに送信し、また、ネットワークを介して送信されてくる画像データおよび音声データを受信する。なお、通信デバイス19は、画像データおよび音声データをコード化して送信することにしてもよく、また、コード化された画像データおよび音声データを受信した場合には、デコードすることにしてもよい。
【0028】
ACアダプタ23は、商用電源に接続して、AC電圧をDC電圧に変換してDC−DCコンバータ22に出力する。DC−DCコンバータ22は、ACアダプタ23から供給されるDC電圧を所定の電圧に変換して各部に電力を供給し、また、バッテリ21の充電を行う。バッテリ21は、DC−DCコンバータ22により充電され、充電した電圧を各部に供給する。バッテリ21は、ACアダプタ23が商用電源に接続されていない場合に使用される。
【0029】
図3は、図2のノートPC1の音声出力に関連する概略の機能構成図である。図3において、HDD14にインストールされたOS30、音声特性設定用ユーティリティ・プログラム32、VOIPアプリケーション・プログラム33(Skype(登録商標)33a, Windows(登録商標)Live messenger33b等)、VOIPアプリケーション・プログラム以外のマイクを使用するアプリケーション・プログラム34(Windows(登録商標) media Player34a、Sound Recorder34b等)他のアプリケーション・プログラム35、表示ドライバ31a、カメラドライバ31b、オーディオドライバ31c、通信ドライバ31dは、メモリ13に読み込まれ、CPU21によって実行される。各アプリケーション・プログラム、ユーティリティ・プログラム、および各ドライバの間のデータ又はコマンドの送受信には、OS30が介在する。
【0030】
OS30は、ノートPC1の基本的な動作を制御しているものであり、各種資源を管理し、例えば、アプリケーション・プログラムが発生した命令を、ドライバ31やBIOS12aに伝える。OS30は、マルチタスク機能およびマルチウィンドウ機能を有し、アプリケーション・プログラムの実行コンテキスト(あるアプリケーション・プログラムが利用しているレジスタセットやメインメモリイメージ、ファイルハンドルなど)やGUIの部品などのソフトウェア資源の管理も行うようになされている。
【0031】
表示ドライバ31aは、OS30の指示に従ってLCD7を制御する。カメラドライバ31bは、OS30の指示に従ってカメラデバイス15を制御する。オーディオドライバ31bは、音声処理手段として機能し、OS30の指示に従ってオーディオデバイス17を制御する。通信ドライバ31dは、OS30の指示に従って通信デバイス19を制御する。
【0032】
VOIPアプリケーション・プログラム33は、OS30上で実行されるアプリケーション・プログラムであり、相手方端末と画像と音声で通話を行うためのものである。また、VOIPアプリケーション・プログラム33は、OS30を介して、通信デバイス19に相手方端末とリンクを確立させ、カメラ8で撮影した画像やマイク5で集音した音声を送信させたり、相手方端末から送出されてくる画像や音声をLCD7への表示・スピーカ6a、6bからの出力を行わせる。
【0033】
VOIPアプリケーション・プログラム33は、その使用用途では双方向の音声通話を行うため、必ずマイク5を使用する。マイク5を使用する場合は、ユーザがマイク5で声を入力し、スピーカ6a,6bからは通話相手の音声が出力される。そこで、本実施の形態では、マイク5の使用を検出した場合に、スピーカ6a,6bから出力される音声を自動的に人間の通話に適した音声特性とすることで、ユーザがスピーカ6a、6bの音声特性を設定する手間を省略することを可能にしている。
【0034】
音声特性設定用ユーティリティ・プログラム32は、検出手段および音声特性設定手段として機能する。音声特性設定用ユーティリティ・プログラム32は、各音声モード(ノーマルモード、ジャズモード、ダンスモード、ロックモード、クラッシックモード、VOIPモード、ユーザ設定モード)と各音声モードに適したスピーカ6a、6bのイコライジング特性を関連づけて記憶している。ユーザ設定モードでは、ユーザがイコライジング特性を設定可能となっている。音声特性設定用ユーティリティ・プログラム32は、自動またはユーザが音声モード設定画面で選択した音声モードを選択し、選択されたスピーカ6a、6bのイコライジング特性をオーディオドライバ31cに設定する。
【0035】
図4は、音声モード設定画面50を示す図である。図4に示す音声モード設定画面50は、ユーザ操作に応じて、音声特性設定用ユーティリティ・プログラム32により表示される。ユーザは、この音声モード設定画面50でボタン(ノーマルモード51、ジャズモード52、ダンスモード53、ロックモード54、クラッシックモード55、VOIPモード56、ユーザ設定モード57)を選択することで音声モードを設定可能となっている。また、ユーザ設定モード57の場合は、ユーザがスピーカ6a、6bのイコライジング特性のインジケータを操作することでイコライジング特性を設定可能となっている。
【0036】
図4(A)は、ノーマルモードのスピーカ6a、6bのイコライジング特性の一例を示しており、各周波数帯でフラットな特性となっている。図4(B)は、VOIPモードのスピーカ6a、6bのイコライジング特性の一例を示しており、2つの山のある人間の音声帯域に最適化した特性となっている。
【0037】
図5は、VOIPモード自動設定画面40の一例を示す図である。図5に示すVOIPモード自動設定画面40は、ユーザ操作に応じて、音声特性設定用ユーティリティ・プログラム32により表示される。このVOIPモード自動音声画面40では、ユーザが、スピーカボリュームおよびマイクボリュームの設定と、VOIPモードの自動実行を設定可能となっている。音声特性設定用ユーティリティ・プログラム32は、VOIPモードの自動実行が設定されている場合には、マイク5の使用を検出した場合に、VOIPモードを自動設定し、オーディオドライバ31cのスピーカ6a、6bのイコライジング特性を図4(A)に示すような特性に設定して、人間の音声に最適化した特性とする。オーディオドライバ31cは、受信した音声を設定されたイコライジング特性で音声処理し、音声処理された音声がスピーカ6a、6bから出力される。
【0038】
上記構成において、VOIPアプリケーション・プログラム33が起動した場合の処理を説明する。VOIPアプリケーション・プログラム33が起動されると、カメラデバイス15,オーディオデバイス16、通信デバイス19の使用を開始する。音声特性設定用ユーティリティ・プログラム32は、オーディオデバイス16のマイク5の使用を検出すると、VOIPモードの自動実行が設定されている場合は、VOIPモードのスピーカ6a、6bのイコライジング特性をオーディオドライバ31cに設定する。
【0039】
カメラデバイス15のカメラ8で撮像された画像は、カメラドライバ31b、OS30、通信ドライバ31dを介して、通信デバイス19から相手方端末に送信される。また、オーディオデバイス17のマイク5で集音した音声は、オーディオドライバ31c、OS30、通信ドライバ31dを介して、通信デバイス19から相手方端末に送信される。他方、相手方端末から送信されてくる画像は、通信デバイス19、通信ドライバ31d、OS30、表示ドライバ31aを介して、LCD7に表示される。また、他方、相手方端末から送信されてくる音声は、通信デバイス19、通信ドライバ31d、およびOS30を介して、オーディオドライバ31cに入力する。オーディオドライバ31cでは、設定されたスピーカ6a、6bのイコライジング特性で音声処理され、音声処理された音声はオーディオデバイス17のスピーカ6a、6bから出力される。
【0040】
図6は、上記図3の音声特性設定用アプリケーション・プログラム32が音声特性を設定する処理を説明するためのフローである。同図に示すフローは、音声特性設定用ユーティリティ・プログラム32により所定周期で繰り返し実行される。図5において、音声特性設定用ユーティリティ・プログラム32は、VOIPモードの自動実行が設定されているか否かを判断する(ステップS1)。音声特性設定用ユーティリティ・プログラム32は、VOIPモード自動実行が設定されていない場合には(ステップS1の「No」)、当該フローを終了する。他方、音声特性設定用ユーティリティ・プログラム32は、VOIPモード自動実行が設定されている場合には(ステップS1の「Yes」)、オーディオデバイス17のマイク5が使用されているか否かを検出する(ステップS2)。音声特性設定用ユーティリティ・プログラム32は、マイク5の使用を検出した場合には(ステップS2の「Yes」)、スピーカ6a、6bのイコライジング特性をVOIPモードに設定する(ステップS3)。他方、音声特性設定用ユーティリティ・プログラム32は、マイク5の使用を検出しなかった場合には(ステップS2の「No」)、スピーカ6a、6bのイコライジング特性をノーマルモードに設定する(ステップS4)。
【0041】
なお、ここでは、スピーカ6a、6bのイコライジング特性をノーマルモードに設定することとしたが、元の音声モードに戻すことにしてもよい。例えば、ユーザが音声モード設定画面50でクラッシックモードを選択していた場合に、VOIPモード自動設定画面40でVOIPモード自動実行が選択されていると、音声特性設定用ユーティリティ・プログラム32は、マイク5の使用を検出すると、VOIPモードを設定し、この後、マイク5の使用の終了を検出すると、元のクラッシックモードに戻す。
【0042】
以上説明したように、実施の形態1によれば、音声特性設定用ユーティリティ・プログラム32は、マイク5の使用を検出した場合に、スピーカ6a、6bから出力される音声を通話に適したイコライジング特性に設定し、オーディオドライバ31cは、設定されたイコライジング特性になるように、音声を処理することとしたので、アプリケーションでマイク5を使用する場合に、スピーカ6a、6bーから出力される音声の特性を自動的に設定することが可能となる。
【0043】
また、音声特性設定用プログラムは、VOIPモードを含む複数の音声モードと、各音声モードに適したイコライジング特性とを関連づけて記憶しており、マイク5の使用を検出された場合には、VOIPモードを設定して、スピーカ6a,6bから出力される音声を通話に適したイコライジング特性に設定し、マイク5の使用の終了を検出した場合には、ノーマルモードまたは元の音声モードに戻すこととしたので、ユーザは、ノーマルモードまたは元の音声モードに戻す必要がなくなり、ユーザの使い勝手を向上させることが可能となる。
【0044】
(実施の形態2)
図7は、実施の形態2に係る音声特性設定用ユーティリティ・プログラム32が音声特性を設定する処理を説明するためのフローである。図7において、図6と同様の処理を行うステップは同一のステップ番号を付し、共通するステップの説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0045】
図7において、音声特性設定用プログラムは、マイク5の使用を検出した場合には(ステップS2の「Yes」)、マイク5を使用しているアプリケーション・プログラムは、VOIPアプリケーション・プログラム33であるか否かを判断する(ステップS11)。具体的には、音声特性設定用ユーティリティ・プログラム32は、予めVOIPアプリケーション・プログラム33のリスト(Skype(登録商標)33a, Windows(登録商標) Live messenger33b等)を作成しておき、マイクを使用しているアプリケーション・プログラムがVOIPアプリケーション・プログラム33のリストに含まれているか否かを判断することにより、マイク5を使用しているアプリケーション・プログラムがVOIPアプリケーション・プログラム33であるか否かを判断することができる。また、音声特性設定用ユーティリティ・プログラム32は、予め、VOIPアプリケーション・プログラム33以外のマイクを使用するアプリケーション・プログラム34のリスト(Windows(登録商標)Media Player34a、Sound Recorder34b等)を作成しておき、マイク5を使用しているアプリケーション・プログラムがこのリストに含まれていない場合に、マイク5を使用しているアプリケーション・プログラムがVOIPアプリケーション・プログラム33であると判断することにしてもよい。
【0046】
音声特性設定用ユーティリティ・プログラム32は、マイク5を使用しているアプリケーション・プログラムがVOIPアプリケーション・プログラム33である場合には(ステップS11の「Yes」)、スピーカ6a、6bのイコライジング特性をVOIPモードに設定する(ステップS3)。他方、音声特性設定用ユーティリティ・プログラム32は、マイク5を使用しているアプリケーション・プログラムがVOIPアプリケーション・プログラム33でない場合には(ステップS11の「No」)、スピーカ6a、6bのイコライジング特性をノーマルモードに設定する(ステップS4)。
【0047】
実施の形態2によれば、音声特性設定用ユーティリティ・プログラム32は、マイク5の使用を検出した場合に、さらに、マイク5を使用するアプリケーション・プログラムがVOIPアプリケーション・プログラム33である場合に、スピーカ6a、6bから出力される音声を通話に適した音声特性に設定することとしたので、マイク5を使用するが相手方と通話して相手方の音声をスピーカ6a、6bから出力するタイプのアプリケーション・プログラムでない場合に、スピーカ6a、6bの音声が通話に適した音声特性となることを防止することができる。
【0048】
(実施の形態3)
図8は、実施の形態3に係る音声特性設定用ユーティリティ・プログラム32が音声特性を設定する処理を説明するためのフローである。図8において、図6と同様の処理を行うステップは同一のステップ番号を付し、共通するステップの説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0049】
音声特性設定用ユーティリティ・プログラム32は、さらに、VOIPモードと、ノーマルモードのマイク5のイコライジング特性を記憶している。VOIPモードは通話に適したマイク5のイコライジング特性となっており、ノーマルモードは、全周波数帯でフラットなイコライジング特性となっている。音声特性設定用ユーティリティ・プログラム32は、マイク5のイコライジング特性をオーディオドライバ31cに設定する。オーディオドライバ31cは、マイク5から入力される音声を設定されたイコライジング特性で音声処理する。
【0050】
図8において、音声特性設定用ユーティリティ・プログラム32は、マイク5の使用を検出した場合には(ステップS2の「Yes」)、マイク5のイコライジング特性をVOIPモードに設定すると共に(ステップS21)、スピーカ6a、6bのイコライジング特性をVOIPモードに設定する(ステップS3)。他方、音声特性設定用ユーティリティ・プログラム32は、マイク5の使用を検出しなかった場合には(ステップS2の「No」)、マイク5のイコライジング特性をノーマルモードに設定すると共に(ステップS22)、スピーカ6a、6bのイコライジング特性をノーマルモードに設定する(ステップS4)。
【0051】
実施の形態3によれば、音声特性設定用ユーティリティ・プログラム32は、マイク5の使用を検出した場合に、さらに、マイク5から入力される音声を通話に適したイコライジング特性に設定することとしたので、通信相手に通話に適した音声を出力することが可能となる。
【0052】
上記した実施の形態1〜3は、単独または組み合わせて実施可能である。なお、上記した実施の形態1〜3では、マイク5が使用された場合に、音声特性として、スピーカ6a、6bおよびマイク5のイコライジング特性を変更することとしたが、変更する音声特性はこれに限られるものではなく、図9に示すように、例えば、マイクボリューム、スピーカボリューム、スピーカミュート、マイクミュート、エコーキャンセル機能等を変更することにしてもよい。
【0053】
具体的には、マイクボリュームを、マイク5を使用するアプリケーション・プログラムがVOIPアプリケーション・プログラム33の場合は、「通話に適したボリューム(最適化適合)」に設定し、VOIPアプリケーション・プログラム33以外のマイクを使用するアプリケーション・プログラム34の場合は、「固定」に設定する。また、スピーカボリュームを、マイク5を使用するアプリケーション・プログラムがVOIPアプリケーション・プログラム33の場合は、「通話に適したボリューム(最適化適合)」に設定し、VOIPアプリケーション・プログラム33以外のマイクを使用するアプリケーション・プログラム34の場合は、「固定」に設定する。また、スピーカミュートを、マイク5を使用するアプリケーション・プログラムがVOIPアプリケーション・プログラム33の場合は、「解除」に設定し、VOIPアプリケーション・プログラム33以外のマイク5を使用するアプリケーション・プログラム34の場合は、「実行」に設定する。また、マイクミュートを、マイク5を使用するアプリケーション・プログラムがVOIPアプリケーション・プログラム33の場合は、「解除」に設定し、VOIPアプリケーション・プログラム33以外のマイク5を使用するアプリケーション・プログラム34の場合は、「実行」に設定する。また、エコーキャンセル機能を、マイク5を使用するアプリケーション・プログラムがVOIPアプリケーション・プログラム33の場合は、「実行」に設定し、VOIPアプリケーション・プログラム33以外のマイク5を使用するアプリケーション・プログラム34の場合は、「解除」に設定する。
【0054】
なお、上記実施の形態では、本発明をノートPCに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、デスクトップPC、PDA、携帯電話等の他の情報処理装置にも適用可能である。また、上記実施の形態では、設定される音声特性に基づく音声処理をソフトウェア(オーディオドライバ31c)で行うこととしたが、ハードウェア(オーディオデバイス17)で行うことにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の情報処理装置、その音声設定方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムは、ネットワークを介して通信可能に構成され、マイクおよびスピーカを含むオーディオデバイスを備えた情報処理装置でテレビ電話機能を使用する場合に有用である。
【符号の説明】
【0056】
1 ノートPC
2 本体側筐体
3 ディスプレイ側筐体
4 入力部
5 マイク
6a、6b スピーカ
7 LCD(液晶ディスプレイ)
8 カメラ
9a,9b 連結部(ヒンジ部)
11 CPU
12 ROM
13 メモリ
14 HDD
15 カメラデバイス
16 カメラ処理回路
17 オーディオデバイス
18 音声処理回路
19 通信デバイス
21 バッテリ
22 DC−DCコンバータ
23 ACアダプタ
30 OS
31 ドライバ
31c オーディオドライバ
32 音声特性設定用ユーティリティ・プログラム
33 VOIPアプリケーション・プログラム
34 VOIPアプリケーション・プログラム以外のマイクを使用するアプリケーション・プログラム
35 他のアプリケーション・プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して通信可能に構成され、マイクおよびスピーカを含むオーディオデバイスを備えた情報処理装置であって、
前記マイクの使用を検出する検出手段と、
前記検出手段で前記マイクの使用を検出した場合に、前記スピーカから出力される音声が通話に適した音声となるように、前記スピーカの音声特性を設定する音声特性設定手段と、
前記音声特性設定手段で設定された前記スピーカの音声特性に基づいて、前記スピーカに出力する音声を処理する音声処理手段と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記音声特性設定手段は、前記検出手段で前記マイクの使用を検出した場合に、さらに、前記マイクを使用するアプリケーション・プログラムがVOIPアプリケーション・プログラムである場合に、前記スピーカから出力される音声が通話に適した音声となるように、前記スピーカの音声特性を設定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記音声特性設定手段は、前記マイクの使用を検出した後に前記マイクの使用の終了を検出した場合は、前記スピーカの音声特性を前の設定またはノーマル設定に戻すことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記音声特性設定手段は、前記検出手段で前記マイクの使用を検出した場合に、さらに、前記マイクから出力される音声が通話に適した音声となるように、前記マイクの音声特性を設定し、
前記音声処理手段は、前記音声特性設定手段で設定されたマイクの音声特性に基づいて、前記マイクから出力される音声を処理することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記音声特性は、イコライジング特性を含むことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項6】
ネットワークを介して通信可能に構成され、マイクおよびスピーカを含むオーディオデバイスを備えた情報処理装置の音声設定方法であって、
前記マイクの使用を検出する検出工程と、
前記検出工程で前記マイクの使用を検出した場合に、前記スピーカから出力される音声が通話に適した音声となるように、前記スピーカの音声特性を設定する音声特性設定工程と、
前記音声特性設定工程で設定された前記スピーカの音声特性に基づいて、前記スピーカに出力する音声を処理する音声処理工程と、
を含むことを特徴とする情報処理装置の音声設定方法。
【請求項7】
ネットワークを介して通信可能に構成され、マイクおよびスピーカを含むオーディオデバイスを備えた情報処理装置に搭載されるプログラムであって、
前記マイクの使用を検出する検出工程と、
前記検出工程で前記マイクの使用を検出した場合に、前記スピーカから出力される音声が通話に適した音声となるように、前記スピーカの音声特性を設定する音声特性設定工程と、
前記音性特性設定工程で設定された前記スピーカの音声特性に基づいて、前記スピーカに出力する音声を処理する音声処理工程と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータが実行可能なプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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