説明

情報処理装置、インクジェット記録装置、および、濃度補正値の取得方法

【課題】濃度補正の処理を高速化する仕組みを提供する。
【解決手段】複数色のうちの基準色によってテストパターンを記録媒体に記録し、その記録されたテストパターンの濃度を読み取る。読み取られた濃度と基準となる濃度とに基づき、基準色についての濃度補正値を算出すると、その算出された濃度補正値を、基準色以外の複数色それぞれについての濃度補正値に変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濃度むらを補正する情報処理装置、インクジェット記録装置、および、濃度補正値の取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
所望される文字や画像等の情報を用紙やフィルム等のシート状の記録媒体に記録を行うための様々な記録装置が知られている。インクジェット記録装置は、用紙等の記録媒体に非接触記録が可能であり、ランニングコストが安く、カラー化が容易であり、ノンインパクト方式であるため静粛性に富む等の利点を有し、広く用いられている。特に、記録領域に対応したノズル列を備えたライン記録ヘッドを有した、記録媒体を搬送させつつ記録を行うインクジェット記録装置は、記録の一層の高速化を可能とする。
【0003】
インクジェット記録装置は、記録ヘッドに形成された複数のノズルから記録剤であるインクを吐出する。ここで、記録ヘッドの製造過程において、ノズル形状や連通するインク流路の形状に微妙なばらつきが生じることが知られている。そのようなばらつきにより、ノズル毎のインクの吐出量は微妙に異なり、その結果、記録に用いられるノズルに依存した濃度むらが発生してしまう。そのようなノズル毎のばらつきにより生じる濃度むらを補正するために、例えば、記録ヘッドの製造時に、記録ヘッド個々の濃度に関する情報が測定される。そして、記録ヘッドの駆動条件や画像処理の条件に応じて、その濃度を補正するための濃度補正情報を記録ヘッドの記億領域に格納し、記憶ヘッドの使用の際に、格納された濃度補正情報を用いて濃度補正を行い濃度むらを解消する。
【0004】
読み取った濃度レベルが色ごとに異なることが一般的に知られている。従って、ある色について読み取った濃度結果に基づいて各色について同一の濃度補正を行うと、色ごとに補正の程度が異なってしまい、一部の色については濃度むらが解消しきれなくなってしまう。
【0005】
そのような問題を防ぐために、特許文献1においては、記録された各色のテストパターンの濃度を読み取る際に、濃度の読み取り強度を各色に応じて変更することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−042685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のように、各色毎にテストパターンを読み取って濃度補正を行うと、全ての色について濃度補正が終わるまでの工数が極めて大きくなってしまう。さらには、特許文献1では、テストパターンを読み取る際に、その読み取る色に応じたA/D変換回路のリファレンス電圧の設定若しくは読み取る色に応じた黒補正処理を必要とする。従って、各色ごとに回路の構成の変更が必要となってしまう。
【0008】
本発明の目的は、このような従来の問題点を解決することにある。上記の点に鑑み、本発明は、濃度補正の処理を高速化する情報処理装置、インクジェット記録装置、および、濃度補正値の取得方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る情報処理装置は、インクを吐出するための複数の記録ヘッドと、前記複数の記録ヘッドの各々に設けられ、複数色のうち基準となる基準色に対応した濃度情報及び当該記録ヘッドが吐出するインクの色に対応する情報を記憶する記憶手段と、を有する、複数色で記録媒体に記録するインクジェット記録装置に対して記録データを送信する情報処理装置であって、前記記憶手段から取得した、前記記録ヘッドが吐出するインクの色に対応する情報と、前記濃度情報と、に基づいて、当該記録ヘッドが吐出するインクの色に対応した濃度補正値を取得する取得手段、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るインクジェット記録装置は、複数色で記録媒体に記録するインクジェット記録装置であって、インクを吐出するための複数の記録ヘッドと、前記複数の記録ヘッドの各々に設けられ、前記複数色のうち基準となる基準色に対応した濃度情報を記憶する記憶手段と、記録ヘッドが吐出するインクの色に対応する情報と、前記記憶手段に記憶された前記濃度情報と、に基づいて、当該記録ヘッドが吐出するインクの色に対応した濃度補正値を取得する取得手段、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る濃度補正値の取得方法は、複数色で記録媒体に記録するインクジェット記録装置において実行される濃度補正値の取得方法であって、前記インクジェット記録装置のテスト記録手段が、前記複数色のうちの基準色によってテストパターンを前記記録媒体に記録するテスト記録工程と、前記インクジェット記録装置の読取手段が、前記テスト記録工程において記録された前記テストパターンの濃度を読み取る読取工程と、前記インクジェット記録装置の設定手段が、前記読取工程において読み取られた濃度と基準となる濃度とに基づき、前記基準色についての濃度補正値を設定する設定工程と、前記インクジェット記録装置の取得手段が、前記設定工程において設定された濃度補正値を、前記記録ヘッドが吐出するインクの色に対応する情報に基づいて、前記インクの色に対応した濃度補正値に変換する変換工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、濃度補正の処理を高速化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】インクジェット記録装置の構成の概要を示す図である。
【図2】インクジェット記録装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図3】濃度むらを説明するための図である。
【図4】濃度情報の取得処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】テストパターンの一例を示す図である。
【図6】濃度補正値の算出処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】各色についての濃度差を示す図である。
【図8】の濃度に対応した、Bkを基準とした場合の各色の色変換比率を示す図である。
【図9】各色用の濃度補正値に変換するための変換比率の一覧を示すテーブルである。
【図10】記録データの取得から印刷までの処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施例を詳しく説明する。尚、以下の実施例は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施例で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
【0015】
[実施例1]
[インクジェット記録装置の構成]
図1は、本実施例におけるインクジェット記録装置の構成の概要を示す図である。インクジェット記録装置10は情報処理装置としてのホストコンピュータ12と接続されており、ホストコンピュータ12から送信される記録データに基づいて、記録ヘッド22K、22C、22M、22Yから記録媒体Pにインクを吐出して記録を行う。4つの複数色それぞれに対応した記録ヘッド22K、22C、22M、22Yは、記録媒体Pの搬送方向(矢印A方向)に沿って順に配置されている。各記録ヘッドは、搬送方向に対して、ブラックインク用記録ヘッド22K、シアンインク用記録ヘッド22C、マゼンタインク用記録ヘッド22M、イエローインク用記録ヘッド22Yの順で配置されている。記録ヘッド22K、22C、22M、22Yは、所謂、フルライン記録ヘッドであり、記録媒体の搬送方向に対して記録幅全域に亘ってそれぞれを平行に並べて構成されている。インクジェット記録装置10は、記録を行う際に、各記録ヘッドを移動させることなく、各記録ヘッドに設けられたヒータを駆動することによりインク吐出口(ノズル)からインクを吐出して記録を行う。
【0016】
記録ヘッドによる記録に伴って記録ヘッド22K、22C、22M、22Yのノズルを有する面(ノズル面)にゴミやインク滴等の異物が付着して吐出状態が変わり、記録に影響を与えることがある。そのため、各記録ヘッド22K、22C、22M、22Yから安定してインクを吐出できるように、インクジェット記録装置10には回復ユニット40が構成されている。回復ユニット40によるノズル面のクリーニングを定期的に行うことによって、記録ヘッド22K、22C、22M、22Yのノズルからのインク吐出状態を良好なインク吐出状態を維持、若しくは、回復することができる。また、回復ユニット40には、クリ−ニング動作のときに4つの記録ヘッド22K、22C、22M、22Yそれぞれのインク吐出口面からインクを除去するためのキャップ50が構成されている。キャップ50は、各記録ヘッド22K、22C、22M、22Yそれぞれに対して構成されており、ブレード、インク除去部材、ブレード保持部材、キャップ等を含んで構成されている。
【0017】
ロール紙である記録媒体Pは、ロール紙供給ユニット24から供給され、インクジェット記録装置10に構成された搬送機構26により矢印A方向に搬送される。搬送機構26は、記録媒体Pを載置して搬送する搬送ベルト26a、搬送ベルト26aを回転させる搬送モータ26b、搬送ベルト26aに張力を与えるためのローラ26c等を含んで構成されている。記録を行う際には、搬送中の記録媒体Pが記録ヘッド22Kの下に到達すると、ホストコンピュータ12から送られた記録データに基づいて、記録ヘッド22Kからブラックインクが吐出される。同様に、記録ヘッド22C、22M、22Yの順に、各色のインクが吐出されて記録媒体Pにカラー記録が行われる。さらに、インクジェット記録装置10には、各記録ヘッドに供給されるインクを貯めておくインクタンク28K、28C、28M、28Yや、各記録ヘッドにインクを補充可能なポンプや、クリーニング動作を行うためのポンプ等が構成されている。
【0018】
図2は、本実施例におけるインクジェット記録装置10の制御系の構成を示すブロック図である。図2において、コントローラ200はインクジェット記録装置全体の制御を行う主制御部であり、例えば、マイクロコンピュータ形態のCPU201、プログラムや所要のテーブルその他の固定データを格納したROM202、記録データを展開する領域や作業用の領域等を設けたRAM105等を有する。又、ホストコンピュータ12は、記録データの供給減として機能を有するものとなっており、記録に係る画像等のデータの作成、処理等を行うコンピュータ等の形態を採るものの他、画像読取装置のリーダ部等の形態を採るものも適用可能であり、ここから送信される記録データ、その他コマンド等はインターフェイス(I/F)を介してコントローラ200との間で送受信される。また、コントローラ200の出力側には、ヘッドドライバ204とモータドライバ205Dとが接続されている。ヘッドドライバ204は、記録データに応じて記録ヘッド22K〜22Yの吐出ヒータを駆動するドライバである。ヘッドドライバ204は、記録データを吐出ヒータの位置に対応させて配列させるシフトレジスタ、シフトレジスタから出力される記録データをラッチするラッチ回路、及びこのラッチ回路から出力された駆動タイミング信号に同期して吐出ヒータを作動させる理論回路素子等の他、ドット形成位置合わせの為に駆動タイミングを適切に設定するタイミング設定部等を有する。モータドライバ205Dは走査モータ205を駆動するためのドライバである。
【0019】
[濃度むらの発生の原理]
次に、本実施例の理解を容易にするために、濃度むらの発生の基本的要因について説明する。図3は、濃度むらを説明するための図である。図3(a)は、理想的な記録ヘッドによる記録状態を示している。図3(a)に示す記録ヘッドで記録した場合には、均一な直径のインクドットが記録媒体上に形成される。図3(a)に示すような場合には、濃度むらは発生しない。しかしながら、一般的には、記録ヘッドの製造過程において、インク吐出用ノズルやインク路の形状等のばらつき、電気熱変換体の発熱特性のばらつきが生じてしまう。例えば、図3(b)に示すように、2番目ノズルのドット径は平均より小さく、他の領域よりも薄い筋となって現れる。このような発生する濃度むらは、各ノズルについての濃度情報を濃度補正値によって補正することにより解消する。
【0020】
[濃度情報の取得]
図4は、本実施例における濃度情報の取得処理の手順を示すフローチャートである。記録ヘッド製造後の検査段階において、図5に示すような濃度むら測定用のテストパターンを検査用インクジェット記録装置10の4本の記録ヘッド各々で1枚の記録媒体に印刷する。以下、検査用インクジェット記録装置も、実際にユーザが所望の画像を記録媒体に印刷する際に用いるインクジェット記録装置も、図1及び図2に示すようなインクジェット記録装置10の構成を有するとする。1枚の記録媒体には、4本の記録ヘッドそれぞれが印刷した4種類のテストパターンが印刷される(図5)。記録ヘッドを接続する検査用インクジェット記録装置10は記録ヘッド22K(図5におけるHEAD(1st))、22C(HEAD(2nd))、22M(HEAD(3rd))及び22Y(HEAD(4th)を4本一組で印刷を行う。又テストパターンの幅方向(横)はノズル配列方向の全ノズルのドット数、ノズル配列方向と交差する方向(縦)は100ドット以上で構成される。ドット配置は例えば図5で記されているように、4×4ドットの幅の中で縦横ラインに2ドット以上印刷しないように配置するパターンを繰り返すなど、ノズル配列方向における記録ドット数が記録ヘッド22の記録に使用する全ノズル数(1ラインに対応するノズルの数)の25%(打ち込み量25%)になるようにする。S401においては、ホストコンピュータ12は、テストパターン用画像データを検査用インクジェット記録装置10に送信し、基準色としてブラックインクを用いたテストパターンを検査用インクジェット記録装置10により印刷させる(テスト記録)。この際、検査用インクジェット記録装置10に設置された記録ヘッド22K、22C、22M及び22Yには基準色としてのブラックインクが供給される。次に、印刷されたテストパターンをスキャナ等の画像読取装置207により読取る(S402)。読取りの解像度は少なくとも記録密度以上あることが必要である。次に、画像読取装置で読取った画像データをホストコンピュータ12が取得することによって、ホストコンピュータ12は、記録ヘッドの各ノズルに対応した濃度情報を取得する(S403)。その後、ホストコンピュータ12は、取得した各ノズルの濃度情報をコントローラ200を通して、各記録ヘッド22が有する記憶領域(記憶手段の一例)に格納させる(S404)。このような、各ノズルの濃度情報の格納が、検査段階で行われる。
【0021】
[濃度補正値の算出]
図6は、本実施例における濃度補正値の算出処理の手順を示すフローチャートである。図6に示す処理は、例えばCPU201によって実行される。記録ヘッド22がインクジェット記録装置10に接続された際に(S601)、コントローラ200は、記録ヘッド22の記憶領域に格納された各ノズルに関して、基準色となるブラックについての濃度情報を取得する(S602)。ここで取得される濃度情報とは、図4における各処理において記録ヘッドの記憶領域に格納された濃度情報である。次に、コントローラ200は、各ノズル位置に対応した濃度情報を、ホストコンピュータ12に転送する。次に、ホストコンピュータ12は、各ノズルの濃度情報Mnが予め定められたインク基準吐出量による基準濃度Msとなるような第一濃度補正値を算出する(S603)。ここで、本実施形態では、S603の工程で第一濃度補正値を算出するようにしているが、本発明はこれに限られない。つまり、S603の工程で、各ノズル位置に対応した濃度情報に基づいて、予め用意された設定テーブルを用いてホストコンピュータ12が第一濃度補正値を設定するようにしてもよい。また、第一濃度補正値の算出や設定をインクジェット記録装置10のコントローラ200が行うようにしてもよい。
【0022】
図7及び図8は、各色で吐出量差における濃度差(色差)と各色との関係を示す図である。図7及び図8は、実験等により予め本図のようなデータを取得することができる。実験では、例えば1200dpiの解像度で、インク基準吐出量を6.0ngと設定し、インク最大吐出量を8.0ngとし、それぞれテストパターンを印刷した。そして、図7はテストパターンを吐出量8.0ngと6.0ngとし、ノズル配列方向における記録ドット数が記録ヘッド22の全ノズル数の25%(打ち込み量25%であり、記録データの濃度としては濃度が25%に対応するもの)になるように印刷した際の各色での濃度差(色差)について示している。また、図8(a)は各色の濃度差をBkで再現する際該当する濃度を示している。図8(b)は各色の濃度差の大きさを、Bkを基準に定数化したものである。この図7及び図8に示すように、インクの吐出量に起因する濃度差はインク色によって異なることが分かる。
【0023】
通常、濃度補正値を用いてノズルごとにインク打ち込み量を変更させて濃度を補正する。インク打ち込み量を変更するとは、所定範囲においてインクを吐出する回数を変更すること、あるいは、ノズルから吐出する吐出量を変更することである。なお、インク打ち込み量の変更として、上述の両方の変更を並行して行っても良い。しかしながら、上述のように色ごとに吐出量差が同じでも濃度差が異なるので、例えば図8に示されるように、シアン濃度25%の画像に、基準色とされたブラックについて取得された第一濃度補正値をそのまま用いた場合、インクを打ち込みすぎて他のノズルより色が濃くなり、濃度むらを補正できない。そこで、ホストコンピュータ12は、対象記録ヘッドの接続位置に基づいて接続位置に対応する、基準色以外のインク色(シアン、イエロー、マゼンタ)の色情報をインクジェット記録装置10のコントローラ200の所定記憶領域から取得すると(S604)(記録ヘッドが吐出するインクの色に対応する情報(記録ヘッドの接続位置、あるいは記録ヘッドに供給されるインク色の情報)を取得するようにしてもよい)、ブラックについて算出された第一濃度補正値に、各色に対応付けられた色変換比率を乗じる(S605)。この色変換比率は、例えば、シアンで濃度が25%の場合、図8により19(シアン)/25(ブラック)として求められる。同様に、マゼンタで濃度が25%の場合、図8により22(マゼンタ)/25(ブラック)として求められる。イエローで濃度が25%の場合、図8により27(イエロー)/25(ブラック)として求められる。また図9に示すように、記録データの濃度によって、各色の変換比率は一致しない。そのため、濃度ごとの色変換比率テーブルを持つ必要がある。また、この色変換比率テーブルは濃度に対する補正式で表してもよい。このテーブルを用いて、各色に対応した第二濃度補正値を算出する。つまり、本実施例においては、各色について最適化された第二濃度補正値は、次式(1)により算出されて設定される。
【0024】
各色について濃度に対応した第二濃度補正値(H)=色変換比率×第一濃度補正値 ・・・(1)
各色について濃度に対応した第二濃度補正値(H)を用いて各ノズルの濃度補正を行うことにより、全ての色について濃度補正の程度が同じとなり、インク色間の色むらを防ぐことができる。濃度に対応した第二濃度補正値は製品形態におけるホストコンピュータ12もしくは製品としてのインクジェット記録装置10の記憶領域に格納される(S607)。
【0025】
[記録データに基づく記録処理]
図10は、記録データの取得から印刷までの処理の手順を示すフローチャート図である。図において、ホストコンピュータ12の色処理部(S1001)は記録データを取得してから、この記録データに対して色補正処理を実行する。色処理部の輝度濃度変換部(S1002)は、RGB輝度データを、濃度を表すCMY濃度データに変換する。次に、色処理部のマスキング部(S1003)は、マスキング処理を実行し、所望の画像処理対象の画像データに変換する。色処理部のマスキング部(S1003)は、CMY濃度データを、CMYK濃度データへ変換するものである。次に、マスキング処理を行った記録データを、色処理部の印刷濃度制御部(S1004)は、記録媒体の種類に応じてCMYK濃度データの制御を行う。例えばマットコート紙や光沢紙など白色度やインク受容量が異なるため、記録媒体の種類に連動させ、記録データのCMYK濃度データを制御する必要がある。次に、印刷濃度制御部で制御された記録データに対し、色処理部の出力階調補正部(S1005)が出力階調補正を実行する。出力階調補正は、インクの種類、駆動等のインクジェット記録装置の出力特性を逆補正することにより、記録データを記録媒体上で再現させるための処理である。次に、ホストコンピュータ12の色処理部(S1001)によって変換された各CMYKデータに対応するノズルの特性により発生する濃度むらを補正するため、ホストコンピュータ12は、濃度補正(上記第二濃度補正値を用いて行われる補正)を行う(S1006)。これは、ホストコンピュータ12が、記録データの濃度に対応した色変換比率を設定し、それに基づいて第二濃度補正値を設定する処理である。なお、ホストコンピュータ12が記録データの濃度を判断する方法としては、1ラインあたりの濃度を判断し、1ライン毎に第二濃度補正値を設定するようにしてもよいし、所定領域(例えばページ毎)にその領域の濃度を判断しその領域毎に第二濃度補正値を設定するようにしてもよい。最後に、ホストコンピュータ12は、濃度補正を行った記録データを公知のディザ法や誤差拡散法などの疑似中間調処理を用い、二値化処理を行う(S1007)。また、出力画像の用途によって単純二値化を用いることもできる。ホストコンピュータ12は、S1007の処理で二値化された画像データをインクジェット記録装置10のコントローラ200に送信し、二値化された画像データに基づきコントローラ200は各記録ヘッドによりインクを記録媒体上に吐出して印刷を実行させる(S1008)。色補正処理、濃度補正(S1006における濃度補正)及び二値化処理(S1007)は、本実施形態においてはホストコンピュータ12が実行しているが、本発明はこれに限らない。ホストコンピュータ12から補正前の記録データを取得し、色補正処理、濃度補正(S1006における濃度補正)及び二値化処理(S1007)をインクジェット記録装置10のコントローラ200が実行するように構成してもよい。
【0026】
以上のように、本実施例においては、ブラックにおける濃度補正値を基に各色の濃度補正値を算出するので、テストチャートを印刷して濃度情報を取得して濃度補正値を算出するといった手順を各色ごとに行う必要がない。その結果、濃度補正の処理を高速化することができる。また、本実施例においては、濃度の読み取りの際のA/D変換回路のリファレンス電圧を変更する等、回路の変更の必要はないので、濃度補正の処理における工数を低減しさらに高速化を実現することができる。
【0027】
また、本実施例ではブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色に適用した場合について説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。即ち、本発明は6色機に搭載されているライトシアン、ライトマゼンタや、レッド、金、銀等の特殊色に対しても適用する。
【符号の説明】
【0028】
10 インクジェット記録装置
12 ホストコンピュータ
22K、22C、22M、22Y 記録ヘッド
24 ロール紙供給ユニット
26 搬送機構
26a 搬送ベルト
26b 搬送モータ
26c ローラ
28K、28C、28M、28Y インクタンク
40 回復ユニット
50 キャップ
200 メインコントローラ
201 メモリ
202、203 モータ
202D、203D モータドライバ
204K、204C、204M、204Y イメージメモリ
205 記録ヘッド駆動回路
206 メモリコントローラ
207 読取部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出するための複数の記録ヘッドと、前記複数の記録ヘッドの各々に設けられ、複数色のうち基準となる基準色に対応した濃度情報及び当該記録ヘッドが吐出するインクの色に対応する情報を記憶する記憶手段と、を有する、複数色で記録媒体に記録するインクジェット記録装置に対して記録データを送信する情報処理装置であって、
前記記憶手段から取得した、前記記録ヘッドが吐出するインクの色に対応する情報と、前記濃度情報と、に基づいて、当該記録ヘッドが吐出するインクの色に対応した濃度補正値を取得する取得手段、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
複数色で記録媒体に記録するインクジェット記録装置であって、
インクを吐出するための複数の記録ヘッドと、
前記複数の記録ヘッドの各々に設けられ、前記複数色のうち基準となる基準色に対応した濃度情報を記憶する記憶手段と、
記録ヘッドが吐出するインクの色に対応する情報と、前記記憶手段に記憶された前記濃度情報と、に基づいて、当該記録ヘッドが吐出するインクの色に対応した濃度補正値を取得する取得手段、
を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記取得手段は、前記記録ヘッドが吐出するインクの色に対応する情報に基づいて、前記基準色に対する変換比率を前記記憶手段より取得し、前記変換比率と前記濃度情報とに基づいて当該記録ヘッドが吐出するインクの色に対応した濃度補正値を取得する請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記取得手段により取得された前記濃度補正値を用いて記録データの濃度補正を実行する補正手段と、
前記補正手段により濃度補正された記録データに基づき、前記記録媒体に記録する記録手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項2又は3に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記複数色はシアンとマゼンタとブラックとイエローを含み、前記基準色はブラックである、ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記記録ヘッドはフルライン記録ヘッドであり、
前記フルライン記録ヘッドの各ノズルについて濃度を読み取る読取手段、をさらに備えることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
複数色で記録媒体に記録するインクジェット記録装置において実行される濃度補正値の取得方法であって、
前記インクジェット記録装置のテスト記録手段が、前記複数色のうちの基準色によってテストパターンを前記記録媒体に記録するテスト記録工程と、
前記インクジェット記録装置の読取手段が、前記テスト記録工程において記録された前記テストパターンの濃度を読み取る読取工程と、
前記インクジェット記録装置の設定手段が、前記読取工程において読み取られた濃度と基準となる濃度とに基づき、前記基準色についての濃度補正値を設定する設定工程と、
前記インクジェット記録装置の取得手段が、前記設定工程において設定された濃度補正値を、記録ヘッドが吐出するインクの色に対応する情報に基づいて、前記インクの色に対応した濃度補正値に変換する変換工程と、
を有することを特徴とする濃度補正値の取得方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図5】
image rotate