説明

情報処理装置、制御プログラム、記録媒体、及び、表示制御装置

【課題】パーソナルコンピュータ用に開発されたアプリケーションやソフトウェア、WEBコンテンツを、タッチパネルでも視認性よく操作することのできる情報処理装置等を提供する。
【解決手段】本発明の情報処理装置は、タッチパネルを制御することができる制御手段と、表示されるリソースの解析を行うユーザーインターフェース解析手段と、リソースの書き換えを変更する第1のユーザーインターフェース変更手段とを備えた情報処理装置であって、制御手段が、ユーザーインターフェース解析手段により解析されたユーザーインターフェースの中からタッチしにくい箇所を判別し、第1のユーザーインターフェース変更手段を用いてタッチしやすいユーザーインターフェースへ変更を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザーインターフェース表示の処理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルにより、ディスプレイを直接指で操作するデバイスが普及し始めている。デバイスとしては、モバイル端末であったり、パーソナルコンピュータ(以下、PCと略す)であったり、様々なデバイスが存在している。タッチパネルを前提に作成されたアプリケーションやソフトウェア、WEBコンテンツなども存在している。
【0003】
従来のPC用に作られたアプリケーションやソフトウェア、WEBコンテンツを表示させることができるが、そのレイアウトは指で操作することを前提に作られておらず、マウス操作が前提であるため、ピクセル単位の操作が要求される。そのため、レイアウトによっては、操作が非常にしづらいため、小さなユーザーインターフェース(以下、UIと略す)の表示を全体的に大きく拡大してUIを表示する技術は既に知られている。
【0004】
特許文献1には、指でタッチする部分を拡大する目的で、タッチした部分全体をズームインして拡大され、タッチしやすいUIを提供するという技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、デバイス上に、UIを拡大表示する技術は、コントロールを含めたページ全体を拡大しているため、全体的に視認性が悪くなるという問題が生じる。そこで、本発明は、PC用に開発されたアプリケーションやソフトウェア、WEBコンテンツを、タッチパネルでも視認性よく操作することのできる情報処理装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報処理装置は、タッチパネルを制御することができる制御手段と、表示されるリソースの解析を行うユーザーインターフェース解析手段と、リソースの書き換えを変更する第1のユーザーインターフェース変更手段とを備えた情報処理装置であって、制御手段は、ユーザーインターフェース解析手段により解析されたユーザーインターフェースの中からタッチしにくい箇所を判別し、第1のユーザーインターフェース変更手段を用いてタッチしやすいユーザーインターフェースへ変更を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、PC用のアプリケーションやソフトウェア、WEBコンテンツの中身を解析し、タッチパネルをしやすいようにコントロール類を、指の大きさで触れる充分な大きさに変更したUIを提供することができるので、指での操作がしやすくなるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係るデバイスのモジュール構成について示した図である。
【図2】本発明の実施形態に係るUIを解析してUIを変更する際のフローチャート図である。
【図3】本発明の実施形態に係るタッチパネル上のUI変更方法(その1)について説明した図である。
【図4】本発明の実施形態に係るタッチパネル上のUI変更方法(その2)について説明した図である。
【図5】本発明の実施形態に係るタッチパネル上のUI変更方法(その3)について説明した図である。
【図6】本発明の実施形態に係る指の大きさ登録画面を示した図である。
【図7】本発明の実施形態に係る自動スクロールをする場合の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態を説明する。本発明は、UI表示の処理に際して、以下の特徴を有する。即ち、PC用のアプリケーションやソフトウェア、WEBコンテンツの中身を解析し、タッチパネルをしやすいようにコントロール類を、指の大きさで触れる充分な大きさに変更したUIを提供することが特徴になっている。
【0010】
図1は、デバイスのモジュール構成について示した図である。挙動制御部1は、内部で値を保持/計算し、様々な制御を行う部分である。例えば、タッチされた長さによって、挙動を変えるなどするとき、各挙動の制御を行うことなどである。
【0011】
感圧検知部2は、タッチされた座標や距離などを検知する部分である。タッチされた座標などを計算して、その値を利用する各モジュールに対してデータを送信する役割を持つ。
【0012】
UI表示部3は、各挙動やデータ、検知された内容に応じてタッチパネル上へのUI表示を制御する部分である。色の変更やオブジェクトの移動、メニューの表示など、様々な表示を司るモジュールである。
【0013】
UI解析部4は、表示しようとするUIの中身を解析して変更を加えるモジュールである。WEBコンテンツであれば、WEBデータの解析、アプリケーションであれば、アプリケーションUIを解析し、必要があれば変更を加える部分である。
【0014】
データ格納部5は、UI解析部4にて解析されたUI表示させるデータを格納しておくモジュールである。キャッシュを行うことで、より高速な表示をユーザーに提示することができるようになる。
【0015】
ネットワーク通信部6は、ネットワークと通信して各WEBコンテンツからデータを取得するなどを司るモジュールである。
【0016】
図2は、UIを解析してUIを変更する際のフローについて説明したフローチャート図である。
【0017】
処理をスタートすると、まずデータの取得を行う。これは、WEBデータであればネットワークから、アプリケーションであればアプリケーションからデータを読み込み、展開しておく(ステップS201)。
【0018】
次にデータの解析を行う。中身を見て、表示領域や大きさを変更するかどうかがわかり易いように、また、UIを変更しやすいように、データの中身をばらばらにしておく(ステップS202)。
【0019】
次に、表示領域や大きさを変更したいUIがデータ中に存在したら、そこをリプレイスしたUIに書き換える(ステップS203のY、及び、S204)。変更しないUIであれば変更せずにそのままにしておく(ステップS203のN)。書き換えは、テキストベースであれば、テキストファイルを書き換え、バイナリベースのリソースであれば、専用のアプリケーションなどを用いる。例えば、HTMLであれば、テキストを書き換えればいいし、Windows(登録商標)であれば、専用アプリケーションが存在するためそれを用いる。
【0020】
これを各UI領域すべての対象に置き換えるかどうかを判断し、すべての対象が終了するまで続ける(ステップS205)。すべての対象が置き換えられたら、UI表示を行って処理を終了する(ステップS206)。
【0021】
こうすることで、今まで発表されてきたコンテンツのすべてを作り変えることなく、ローカルで表示を変更することが可能になるため、ユーザーは視認性の高い画面でタッチしやすく、ベンダーはコンテンツを作り変える手間を省くことが可能となる。
【0022】
図3〜図5は、具体的なタッチパネル上のUI変更方法について説明した図である。図3は、通常のUIであり、普通にPCなどで表示した場合、このUIが表示されることとなる。図4は、図3のUIを縦横等倍で斜めに広げたUIである。図5は、縦横が異なる倍率で伸ばした場合の図である。
【0023】
図3の場合、指の大きさに対してコンボボックスの大きさ(ここでは主に縦幅)が短く、実施例のように縦に二つ並んでいるとどちらが押されてもおかしくない(間違える可能性がある)状態になる。例えば「都道府県」の方のコンボボックスを押そうと思っても、指が若干寝た形でタッチすると、「市町村」が反応してしまう可能性がある。
【0024】
上記の問題を解決するため、図4には、UIを縦横等倍で斜めに広げた技術が示されている。あるいは、最初から大きめなUIを作成して提供することもできる。この場合、コンボボックスの大きさが指でタッチする面積と同等以上となるため、タッチされた座標から正確にコンボボックスをタップすることが可能となる。ただし、横幅が広がることで視認性が悪くなり、横幅全部を表示することができなくなっている。そのため、横スクロールをして全体を見る必要があり、不便である。
【0025】
図5が本発明の実施例である。横幅を変えず、縦幅のみを変更して、コンボボックスのタッチのしやすさを向上している。これにより、図4の方法で問題があった横幅の視認性低下をなくし、タッチのしやすさを向上することが可能となる。ただし、この実施例の場合は縦幅が伸びてしまい、図3の場合より視認性が落ちてしまう。
【0026】
常時タッチが必要になるわけではないため、どこかにスイッチを設け、タッチが必要な場合にスイッチを切り替えることで、表示を変更できるようにする。こうすることで、普段は視認性を損なわず、必要なときにタッチしやすくなるという技術ができる。
【0027】
入力が終了したら自動的にコントロールの大きさを元に戻すということも考えられる。いちいち入力終了後にスイッチ切り替えを行わなくても、自動的にコントロールの大きさを元に戻すことで、1ステップの作業が減るため効率が高くなる。
【0028】
図6は、具体的な指の大きさ登録画面を示した図である。
【0029】
指の大きさをあらかじめ登録しておくことで、どれくらいの大きさのUIならタッチがしやすいかということをあらかじめ登録しておくことができる。こうすることで、無駄に大きくUIを設定することなく、適切な大きさのUIをユーザーに提供することができるようになる。つまり、無駄に大きなスペースをユーザーに与えることがないため、表示領域を正規化して視認性アップを行うことができる。
【0030】
これ以外にも、例えば表示領域の解像度によって大きくするという方法が考えられる。横幅の解像度が大きければ、全体的に大きくしてもよいが、解像度が小さい場合は無暗に大きくすると視認性が悪くなってしまう。したがって、解像度を取得してその解像度に応じた大きさへ変更するという方法を適用して、視認性が悪くなることなくタッチしやすい環境を提供することができるようになる。
【0031】
指の大きさと解像度両方からウィンドウの大きさを決定してもよい。解像度が大きいからといって、無暗に大きくすることはやはり視認性低下の一因となるためである。また、タッチした瞬間、指の大きさを判別してUIが大きくなるようにしてもよい。こうすることで、指の大きさを事前に登録しなくても、指の大きさに応じたUIへ変更することができるため、無駄なスペースを使わず視認性低下をなくすことができる。
【0032】
図7は、入力終了後、コントロールの大きさと位置を検知して、自動スクロールをする場合の図である。
【0033】
画面Aで都道府県を入力し終わったあと、自動的にコントロールの大きさと位置を検知し(ステップS701)、UI解析を行い(ステップS702)、1画面内に収まりそうであればスクロールをする(ステップS703のY、及び、S704)。こうすることで、ユーザーは入力終了後次のUIまでスクロールする手間が省けるため、1ステップ操作を省略することができるようになる。次のコントロールまで1画面以上スクロールする場合は、スクロールしてしまうと、ユーザーが今どこを見ているのかを認識できなくなってしまう可能性が高いため、スクロールしないようにする(ステップS703のN)。
【0034】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範囲な趣旨及びその範囲から逸脱することなく、これらの実施形態や具体例に様々な修正及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 挙動制御部
2 感圧検知部
3 UI表示部
4 UI解析部
5 データ格納部
6 ネットワーク通信部
10 デバイス
【先行技術文献】
【特許文献】
【0036】
【特許文献1】特表2008−508601号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルを制御することができる制御手段と、
表示されるリソースの解析を行うユーザーインターフェース解析手段と、
前記リソースの書き換えを変更する第1のユーザーインターフェース変更手段と、
を備えた情報処理装置であって、
前記制御手段は、前記ユーザーインターフェース解析手段により解析されたユーザーインターフェースの中からタッチしにくい箇所を判別し、前記第1のユーザーインターフェース変更手段を用いてタッチしやすいユーザーインターフェースへ変更を行う
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
あらかじめユーザーインターフェースを変更するサイズを、タッチする面積として保存しておくことのできる登録手段を
更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
表示領域の解像度を読み取る解像度取得手段と、
前記解像度取得手段を用いて得られた解像度に応じて、広い場合と狭い場合双方でもっとも効率よく、元の画面のレイアウトを崩さないようにユーザーインターフェースを変更する判断手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
ユーザーインターフェースの変更を反映するか否かを判断させる入力手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
タッチされた大きさを自動検知する第1の検知手段と、
前記第1の検知手段によって求められた大きさにマッチする大きさにユーザーインターフェースを変更する第2のユーザーインターフェース変更手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
コントロール入力が終了したことを検知する第2の検知手段と、
コントロールを解析して次のコントロールまでの距離を計算する計算手段と、
前記第2の検知手段によってコントロール入力が終了したとき、前記計算手段によって求められた距離に応じてユーザーインターフェースのスクロール量を算出する算出手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
タッチパネルを制御することができる制御手段と、
表示されるリソースの解析を行うユーザーインターフェース解析手段と、
前記リソースの書き換えを変更する第1のユーザーインターフェース変更手段と、
を備えた情報処理装置を制御するプログラムであって、
前記ユーザーインターフェース解析手段により解析されたユーザーインターフェースの中から、タッチしにくい箇所を判別する第1の処理と、
前記第1のユーザーインターフェース変更手段を用いてタッチしやすいユーザーインターフェースへ変更を行う第2の処理と、
を前記情報処理装置上で実行させる制御プログラム。
【請求項8】
前記情報処理装置に、
あらかじめユーザーインターフェースを変更するサイズを、タッチする面積として保存しておくことのできる登録手段
を更に備え、
前記登録手段によって、あらかじめユーザーインターフェースを変更するサイズを、タッチする面積として保存しておく第3の処理
を前記情報処理装置上で実行させることを特徴とする請求項7に記載の制御プログラム。
【請求項9】
前記情報処理装置に、
表示領域の解像度を読み取る解像度取得手段と、
前記解像度取得手段を用いて得られた解像度に応じて、広い場合と狭い場合双方でもっとも効率よく、元の画面のレイアウトを崩さないようにユーザーインターフェースを変更する判断手段と、
を備え、
前記解像度取得手段によって、表示領域の解像度を読み取る第4の処理と、
前記判断手段によって、前記解像度取得手段を用いて得られた解像度に応じて、広い場合と狭い場合双方でもっとも効率よく、元の画面のレイアウトを崩さないようにユーザーインターフェースを変更する第5の処理と、
を前記情報処理装置上で実行させることを特徴とする請求項7に記載の制御プログラム。
【請求項10】
前記情報処理装置に、
ユーザーインターフェースの変更を反映するか否かを判断させる入力手段
を備え、
前記入力手段によって、ユーザーインターフェースの変更を反映するか否かを判断させる第6の処理
を前記情報処理装置上で実行させることを特徴とする請求項7に記載の制御プログラム。
【請求項11】
前記情報処理装置に、
タッチされた大きさを自動検知する第1の検知手段と、
前記第1の検知手段によって求められた大きさにマッチする大きさにユーザーインターフェースを変更する第2のユーザーインターフェース変更手段と、
を備え、
前記第1の検知手段によって、タッチされた大きさを自動検知する第7の処理と、
前記第2のユーザーインターフェース変更手段によって、前記第1の検知手段で求められた大きさにマッチする大きさにユーザーインターフェースを変更する第8の処理と、
を前記情報処理装置上で実行させることを特徴とする請求項7に記載の制御プログラム。
【請求項12】
前記情報処理装置に、
コントロール入力が終了したことを検知する第2の検知手段と、
コントロールを解析して次のコントロールまでの距離を計算する計算手段と、
前記第2の検知手段によってコントロール入力が終了したとき、前記計算手段によって求められた距離に応じてユーザーインターフェースのスクロール量を算出する算出手段と、を備え、
前記第2の検知手段によって、コントロール入力が終了したことを検知する第9の処理と、
前記計算手段によって、コントロールを解析して次のコントロールまでの距離を計算する第10の処理と、
前記算出手段によって、前記第2の検知手段によってコントロール入力が終了したとき、前記計算手段によって求められた距離に応じてユーザーインターフェースのスクロール量を算出する第11の処理と、
を前記情報処理装置上で実行させることを特徴とする請求項7に記載の制御プログラム。
【請求項13】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載された情報処理装置の機能を有する表示制御装置。
【請求項14】
請求項7乃至12のいずれか1項に記載された制御プログラムを記録した記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−8805(P2012−8805A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144192(P2010−144192)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】