説明

情報処理装置、制御方法、及び、制御プログラム

【課題】情報処理装置が、備え付けの一種類のセンサから取得した値に基づいた簡潔な制御で、きめ細かく無駄な電力消費を抑える。
【解決手段】ユーザからの入力を受ける入力手段と、ユーザの存在を検知する検知手段と、ユーザの存在を判断するために、検知手段の検知結果から閾値を決定する閾値決定手段と、閾値に基づき、省電力を実行する制御手段とを備えた情報処理装置であって、閾値決定手段は、入力手段によってユーザの入力があった際、検知手段が検知した検知結果を、第1の閾値に決定し、更に、第1の閾値に基づき、第2の閾値を決定し、制御手段は、第1の閾値、及び、第2の閾値に基づき、省電力を実行することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省電力動作可能な情報処理装置と、その情報処理装置を省電力動作させるための制御方法、及び、制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
これまで情報処理装置に関する無駄な電力消費をなくすための様々な技術が提案されている。情報処理装置に関しては、起動したままユーザが使用しない状態で放置してしまう場合があり、情報処理装置でこれを検知し、省電力モードに移行することが提案されている。例えば、特許文献1では、人物検知センサと撮像カメラによる人物の検知に基づいて画面を表示することにより、消費電力を低減させる表示装置が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の表示装置によれば、人物検知センサと撮像カメラにより検知可能な近傍に人物が接近した場合に画面を表示するようにできるので、それ以外の場合に画面を消すことができ、電力消費の低減が可能となる。これは、人物検知センサのみでは、表示装置を操作する意思のない人が通り過ぎたり、近づいたりするだけでも操作画面が表示されてしまうことで、無駄な電力消費を抑えることができないという問題を解決するための技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−255922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の表示装置は、無駄な電力消費を抑えるために、人物検知センサと撮像カメラを両方備えなければならず、以下の課題が生じる。その課題とは、従来に比べ、きめ細かく無駄な電力消費を抑えるため、2つの別々なセンサ(人物検知センサと撮像カメラ)から、それぞれ別個に取得したセンサ値に基づき、人物の存在を判定しなければならないので、複雑な制御が必要になるということである。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記の課題を解決すると共に、無駄な電力消費を抑える情報処理装置、制御方法、及び、制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ユーザからの入力を受ける入力手段と、ユーザの存在を検知する検知手段と、ユーザの存在を判断するために、検知手段の検知結果から閾値を決定する閾値決定手段と、閾値に基づき、省電力を実行する制御手段とを備えた情報処理装置であって、閾値決定手段は、入力手段によってユーザの入力があった際、検知手段が検知した検知結果を、第1の閾値に決定し、更に、第1の閾値に基づき、第2の閾値を決定し、制御手段は、第1の閾値、及び、第2の閾値に基づき、省電力を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、情報処理装置が、備え付けの一種類のセンサから取得した値に基づいた簡潔な制御で、きめ細かく無駄な電力消費を抑えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る情報処理装置のブロック図の一例である。
【図2】本発明の実施形態に係る閾値管理テーブルの一例である。
【図3】本発明の実施形態に係る情報処理装置の省電力モードのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の情報処理装置の実施形態について、図面を参考にして詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る情報処理装置のブロック図の一例である。情報処理装置10は、制御部100と、検知部200と、入力部300と、表示部400を備えている。なお、情報処理装置10の一例としては、パーソナルコンピュータ等が挙げられる。また、画面等を見ながら操作を行い、その操作によって情報処理が行われる装置であれば、情報処理装置10の一例に含めてかまわない。
【0012】
制御部100は、閾値決定部110と、閾値管理テーブル120と、閾値記録部130と、画面制御部140を備えている。
【0013】
閾値決定部110は、情報処理装置10を操作する者(以下、ユーザと略す)が入力部300で操作したときの検知部200が検知した値を、情報処理装置10の前にユーザが在席しているとみなし、在席閾値とする。在席閾値とは、その値以上であれば、情報処理装置10の前にユーザが必ず存在する(在席)とみなす値である。また、閾値決定部110は、在席閾値を決定した際、閾値管理テーブル120を参照し、離席閾値を決定する。
【0014】
閾値管理テーブル120は、図2に示したようになっており、在席閾値と離席閾値は、ある一定の相関関係を持っている。この図2では、検知部200が検知した値を0〜250までに区分し、それらの値のうち、在席閾値として検知された値に対して対応する値(即ち、離席閾値)を0、8、16、30としている。なお、図2におけるこれらの値は、一例であって、様々な条件によって適宜変更される。上記に示したように、閾値決定部110は、この閾値管理テーブル120を参照して、在席閾値に対応する離席閾値を決定する。離席閾値とは、この値未満では、情報処理装置10の前にユーザが必ず存在しない(離席)とみなす値である。ここで、閾値が在席閾値未満で離席閾値以上の場合は、情報処理装置10前のユーザの存在が曖昧な場合を示している。即ち、ユーザが必ず存在しているとも、存在していないとも、断定できない状態である。なお、この曖昧な場合に対する対応は、後述の図3にて説明してある。
【0015】
閾値記録部130には、閾値決定部110により決定された在席閾値と離席閾値が記録される。
【0016】
画面制御部140は、閾値記録部130に記録された在席閾値及び離席閾値と検知部200で取得したセンサ値とを比較して、表示部400の輝度調整や画面電源のON/OFFを行う。
【0017】
検知部200は、情報処理装置10のユーザが存在するか否かを検知するセンサである。センサの種類としては、人物を検知できる赤外線センサ等が挙げられる。これらのセンサに関しては、安価で小型のものが多く流通している。またその他に、人物を検知できるものであれば、特に限定はしない。なお、この検知部200は、ある一定の周期で、情報処理装置10の前にユーザが存在するか否かを検知し、そのセンサの値を制御部100へ送信している。
【0018】
入力部300は、情報処理装置10に入力を行うための部分であって、具体的にはキーボードやマウス等がそれに該当する。また、ボタンやタッチパッドのようなその他の入力手段も含まれる。なお、入力部300での操作は、入力信号に変換され、制御部100に送信される。
【0019】
表示部400は、情報処理装置10で処理された内容を表示する画面であり、画面制御部140によって在席閾値と離席閾値に基づいた輝度調整や画面電源のON/OFFが行われる。
【0020】
図3は、本発明の実施形態に係る情報処理装置の省電力モードのフローチャートである。
なお、本フローチャートは、情報処理装置10の前にユーザが存在するか否かを検知し、ユーザの存在に応じて、表示部の輝度調整や画面電源のON/OFFを実行し、情報処理装置10の省電力化を実現することを示してある。
【0021】
まず、ステップS100において、検知部200は、センサの値を取得し、制御部100の閾値決定部110、及び、画面制御部140へ送信する。
【0022】
次に、ステップS110において、入力部300にて、何らかの操作があったか否かを判定する。判定の結果、操作があった場合は、ステップS120に進む。一方、操作がなかった場合は、ステップS140に進む。
【0023】
次に、ステップS120において、閾値決定部110は、そのときの検知部200のセンサ値を、情報処理装置10の前にユーザが在席しているとみなし、在席閾値とする。そして、この在席閾値は、閾値記録部130に記録される。なお、ステップS110において、入力部300に何らかの操作があるまでは、上記の在席閾値の決定が行われないので、閾値記録部130には、在席閾値として適切な初期設定値が記録されている。この初期設定値に代えて、上記の在席閾値が、閾値記録部130に記録される。
【0024】
次に、ステップS130において、閾値決定部110は、閾値記録部130に記録された在席閾値に基づき、閾値管理テーブル120を参照して、在席閾値に対応する離席閾値を決定する。なお、ステップS110において、入力部300に何らかの操作があるまでは、上記の在席閾値の決定が行われないので、離席閾値も決定することができない。そこで、上記と同様に、離席閾値として適切な初期設定値が閾値記録部130に記録されている。
【0025】
次は、ステップS190に進み、1ループが完了する。ここで、ステップS190に達すると、また、ステップS100に戻り、一連のフローを繰り返すことになる。ここでは、この1ループを約0.5秒で行っている。即ち、約0.5秒毎に、検知部200はセンサ値を取得し、制御部100へ送信している。但し、この1ループの設定時間は、適宜変更することができる。
【0026】
一方、ステップS110において、入力部300での操作がなかった場合は、ステップS140に進む。画面制御部140は、検知部200のセンサ値に変化があるか否かを判定する。検知部200は、情報処理装置10の前にユーザが存在するか否かを検知するため、ある一定の周期でそのセンサの値を制御部100へ送信している。そこで、毎回取得したセンサ値を制御部100内の記録部(不図示)に保存しておき、センサ値の変化を判定することができる。センサ値に変化があるということは、ユーザが情報処理装置10の操作等で動いているということなので、情報処理装置10の前にユーザが存在すると判断できる。センサ値に変化がある場合は、ステップS190に進み、1ループが完了する。
【0027】
また、センサ値に変化がない場合は、ステップS150に進む。センサ値に変化がない場合は、情報処理装置10の前にユーザが存在するか否か、疑わしい場合である。そこで、画面制御部140は、閾値記録部130に記録された在席閾値とセンサ値とを比較して、センサ値が在席閾値以上であれば、ステップS190に進み、1ループを完了する。センサ値が在席閾値以上ということであれば、確実に情報処理装置10の前にユーザが存在すると判断できるからである。
【0028】
一方、閾値記録部130に記録された在席閾値とセンサ値とを比較して、センサ値が在席閾値未満であれば、ステップS160に進む。そこで、画面制御部140は、閾値記録部130に記録された離席閾値とセンサ値とを比較して、センサ値が離席閾値以上であれば、ステップS170に進む。
【0029】
ステップS170では、センサ値が在席閾値と離席閾値の間にあるということから、情報処理装置10の前にユーザが存在するのかが疑わしい状態であると判断し、表示部400の輝度を調整(段々暗くする等)して、ユーザに通知を行う。このステップS170に入る前、表示部400の状態は、ある程度の輝度に設定された状態である。もし、ユーザがそこに存在すれば、この通知(輝度の調整)に気づき、何らかのアクション(キーボードやマウスの操作等)を起こすことが予想される。また、ユーザが存在しなければ、輝度の調整は、情報処理装置10の省電力化に貢献することとなる。ステップS170の次は、ステップS190に進み、1ループが完了する。なお、ステップS190に達すると、また、ステップS100に戻り、一連のフローを繰り返すことになるので、輝度の調整は、ステップS140(センサ値の変化あり)、及び、ステップS150(在席閾値との比較で以上)でリセットされる。
【0030】
更に、ステップS160で、画面制御部140が、閾値記録部130に記録された離席閾値とセンサ値とを比較して、センサ値が離席閾値未満であれば、ステップS180に進む。ステップS180では、表示部400の画面電源をOFFする。ここで、センサ値が離席閾値未満であるということは、確実に情報処理装置10の前にユーザが存在しないと判断できるからである。なお、ステップS180の次は、ステップS190に進み、1ループが完了する。
【0031】
以上、本フローチャートで説明したように、情報処理装置10は、絶えず、その前にユーザが存在するか否かを検知し、ユーザによって入力部300から入力が行われる度に、最適な在席閾値、及び、離席閾値を設定するようになっている。
【0032】
上記の実施形態によれば、ある一種類のセンサを備えた情報処理装置において、在席閾値と離席閾値を用いて、情報処理装置の前にユーザが存在するか否かを判断するので、きめの細かい省電力動作を実行することができるという効果がある。
【0033】
また、上記の2つの閾値は、センサから得られた値(在席閾値)と、その値に基づいて閾値管理テーブルから対応する値(離席閾値)を抽出することで構成されているので、複雑な制御をすることなく、確実に省電力動作を実行することが可能になった。更に、それらの閾値をそれぞれ独立に取得したような場合に生じる問題を回避できるという効果がある。その問題とは、取得した在席閾値と離席閾値が、数値的に逆転してしまうような場合等である。
【0034】
以上、実施形態を説明してきたが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範囲な趣旨、及び、その範囲から逸脱することなく、これらの実施形態や具体例に様々な修正、及び、変更が可能である。
【符号の説明】
【0035】
10 情報処理装置
100 制御部
110 閾値決定部
120 閾値管理テーブル
130 閾値記録部
140 画面制御部
200 検知部
300 入力部
400 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザからの入力を受ける入力手段と、
前記ユーザの存在を検知する検知手段と、
前記ユーザの存在を判断するために、前記検知手段の検知結果から閾値を決定する閾値決定手段と、
前記閾値に基づき、省電力を実行する制御手段と、
を備えた情報処理装置において、
前記閾値決定手段は、前記入力手段によって前記ユーザの入力があった際、前記検知手段が検知した検知結果を、第1の閾値に決定し、更に、前記第1の閾値に基づき、第2の閾値を決定し、
前記制御手段は、前記第1の閾値、及び、前記第2の閾値に基づき、省電力を実行する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記情報処理装置は、前記ユーザの存在を判断するための閾値を管理する閾値管理テーブルを備え、
前記閾値決定手段が、前記第2の閾値を決定する際、前記閾値管理テーブルにおいて前記第1の閾値に対応する閾値を前記第2の閾値とする
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記情報処理装置は、表示手段を備え、
前記制御手段は、省電力を実行するため、前記表示手段への電源供給を制御する
ことを特徴とする請求項1または2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記検知手段が検知した検知結果が前記第1の閾値に達せず、省電力を実行できない場合、前記検知結果を前記第2の閾値と比較して省電力を実行する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第1の閾値、及び、前記第2の閾値に基づき、前記ユーザが存在するか否かを判断できない場合、前記表示手段の輝度を調整する
ことを特徴とする請求項3または4記載の情報処理装置。
【請求項6】
ユーザからの入力を受ける入力手段と、
前記ユーザの存在を検知する検知手段と、
前記ユーザの存在を判断するために、前記検知手段の検知結果から閾値を決定する閾値決定手段と、
前記閾値に基づき、省電力を実行する制御手段と、
を備えた情報処理装置の制御方法において、
前記閾値決定手段によって、前記入力手段において前記ユーザの入力があった際、前記検知手段が検知した検知結果を、第1の閾値に決定し、更に、前記第1の閾値に基づき、第2の閾値を決定する第1のステップと、
前記制御手段によって、前記第1の閾値、及び、前記第2の閾値に基づき、省電力を実行する第2のステップと、
を備えることを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項7】
ユーザからの入力を受ける入力手段と、
前記ユーザの存在を検知する検知手段と、
前記ユーザの存在を判断するために、前記検知手段の検知結果から閾値を決定する閾値決定手段と、
前記閾値に基づき、省電力を実行する制御手段と、
を備えた情報処理装置を制御する制御プログラムにおいて、
前記閾値決定手段によって、前記入力手段において前記ユーザの入力があった際、前記検知手段が検知した検知結果を、第1の閾値に決定し、更に、前記第1の閾値に基づき、第2の閾値を決定する第1の処理と、
前記制御手段によって、前記第1の閾値、及び、前記第2の閾値に基づき、省電力を実行する第2の処理と、
を情報処理装置上で実行させることを特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−78959(P2012−78959A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221815(P2010−221815)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(311012169)NECパーソナルコンピュータ株式会社 (116)
【Fターム(参考)】