説明

情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、プログラム、及び記録媒体

【課題】各ユーザ持つ端末装置により検出された情報から列車内の人数分布を知ることができる情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、プログラム、及び記録媒体を提供する。
【解決手段】情報処理装置100aは、各ユーザの端末装置により取得された位置情報及び揺れ検出データを含む検出情報の中から、特定の列車に乗車するユーザの上記検出情報を上記位置情報に基づいて抽出する抽出部103と、上記抽出部により抽出された検出情報に含まれる上記揺れ検出データに基づいて、上記列車内におけるユーザの人数分布を推定する推定部105と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、プログラム、及び記録媒体に関し、特に、列車内の乗客の人数分布を推定することのできる情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、プログラム、及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特に都心部においては、通勤通学時間帯に電車に乗車する人が集中する傾向がある。このため、当該時間帯における電車の混雑は、社会問題となっている。複数の車両が連結された列車においては、その車両位置によって混雑度に差ができることが多い。例えば特許文献1には、車両に設置されたセンサーにより取得した混雑度の情報を乗客に提供するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−193102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のシステムは、少なくとも各車両にセンサを設置しなければならず、混雑状況を提供する提供者側の初期投資が大きかった。
上記事情に鑑みれば、各ユーザ持つ端末装置により検出された情報から列車内の人数分布を知ることができることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示によれば、各ユーザの端末装置により取得された位置情報及び揺れ検出データを含む検出情報の中から、特定の列車に乗車するユーザの上記検出情報を上記位置情報に基づいて抽出する抽出部と、上記抽出部により抽出された検出情報に含まれる上記揺れ検出データに基づいて、上記列車内におけるユーザの人数分布を推定する推定部と、を有する情報処理装置が提供される。
【0006】
また、本開示によれば、現在の位置情報を取得する位置情報取得部と、揺れを検出する揺れ検出部と、上記位置情報取得部により取得された位置情報と、上記揺れ検知部により取得された揺れ検出データとを含む検出情報を送信する送信部と、を有する複数の第1の端末装置と、上記第1の端末装置により取得された上記検出情報の中から、特定の列車に乗車するユーザの上記検出情報を上記位置情報に基づいて抽出する抽出部と、上記抽出部により抽出された検出情報に含まれる上記揺れ検出データに基づいて、上記列車内におけるユーザの人数分布を推定する推定部と、を有するサーバ装置と、を有する情報処理システムが提供される。
【0007】
また、本開示によれば、各ユーザの端末装置により取得された位置情報及び揺れ検出データを含む検出情報の中から、特定の列車に乗車するユーザの上記検出情報を上記位置情報に基づいて抽出することと、抽出された検出情報に含まれる上記揺れ検出データに基づいて、上記列車内におけるユーザの人数分布を推定することと、を含む情報処理方法が提供される。
【0008】
また、本開示によれば、コンピュータを、各ユーザの端末装置により取得された位置情報及び揺れ検出データを含む検出情報の中から、特定の列車に乗車するユーザの上記検出情報を上記位置情報に基づいて抽出する抽出部と、上記抽出部により抽出された検出情報に含まれる上記揺れ検出データに基づいて、上記列車内におけるユーザの人数分布を推定する推定部と、を備える情報処理装置として機能させるためのプログラムが提供される。
【0009】
また、本開示によれば、コンピュータを、各ユーザの端末装置により取得された位置情報及び揺れ検出データを含む検出情報の中から、特定の列車に乗車するユーザの上記検出情報を上記位置情報に基づいて抽出する抽出部と、上記抽出部により抽出された検出情報に含まれる上記揺れ検出データに基づいて、上記列車内におけるユーザの人数分布を推定する推定部と、を備える情報処理装置として機能させるためのプログラムを記録した、コンピュータに読み取り可能な記録媒体が提供される。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本開示によれば、各ユーザ持つ端末装置により検出された情報から列車内の人数分布を知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本開示の第1及び第2の実施形態に係る混雑情報提供システムの概要を示す説明図である。
【図2】同実施形態に係る混雑情報提供システムの構成を示す構成図である。
【図3】本開示の第1の実施形態に係る混雑情報提供サーバの機能構成を示すブロック図である。
【図4】同実施形態に係る端末装置の機能構成を示すブロック図である。
【図5】本開示の第1及び第2の実施形態に係る端末装置のハードウェア構成の一例を示す構成図である。
【図6】同実施形態に係る混雑情報提供方法の流れを示すフローチャートである。
【図7】検出情報の一例を説明するための説明図である。
【図8】同じ列車に乗車するユーザの移動速度の一例を示すグラフである。
【図9】同じ列車の別車両に乗車するユーザの揺れ検出データの一例を示すグラフである。
【図10】本開示の第2の実施形態に係る混雑情報提供サーバの機能構成を示すブロック図である。
【図11】同実施形態に係る端末装置の機能構成を示すブロック図である。
【図12】同実施形態に係る混雑情報提供方法の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.システム概要
2.第1の実施形態
2−1.サーバ構成
2−2.端末構成
2−3.動作
3.第2の実施形態
3−1.サーバ構成
3−2.端末構成
3−3.動作
【0014】
<1.システム概要>
まず、図1及び図2を参照しながら、本開示の第1及び第2の実施形態に係る混雑情報提供システムの概要について説明する。図1は、本開示の第1及び第2の実施形態に係る混雑情報提供システムの概要を示す説明図である。図2は、同実施形態に係る混雑情報提供システムの構成を示す構成図である。
【0015】
これまで、列車の車両内等にセンサを設置することにより、列車の混雑状況を把握することのできるシステムが開示されていた。このようにインフラを必要とするシステムは、システム提供者の初期投資が大きくなり、負担が大きかった。
【0016】
ところで、現在スマートフォン等の普及により、各ユーザが各種のセンサを有する端末装置を携帯することが一般的になってきている。このような端末装置は、現在の位置情報、地磁気、端末装置の揺れ、及び方向など、端末装置とそのユーザに関する各種の情報を検出することができる。そして、検出された情報をユーザのライフログとして記録することも今後さらに一般的になっていくだろう。そこで本願発明者は、ユーザの携帯する端末装置により取得された検出情報に基づいて、列車内の混雑状況(ユーザの人数分布)を推定することに想到した。
【0017】
本開示の第1及び第2の実施形態に係る混雑情報提供システムは、列車内に乗車するユーザの位置情報及び揺れ検出データを少なくとも含む検出情報に基づいて特定の列車内の混雑情報を生成する。
【0018】
例えば、検出情報DB(DataBase)300は、複数の端末装置が検出する検出情報を定期的に蓄積している。例えばホームにいるユーザが端末装置200から混雑情報生成サーバ100に混雑情報リクエストを送信する場合について考えると、混雑情報生成サーバ100は、検出情報DB300の中から、混雑情報リクエストに指定される特定の列車に乗車しているユーザの検出情報を抽出する。そして、混雑情報生成サーバ100は、抽出した検出情報に基づいて列車内の混雑情報を生成し、混雑情報リクエストを送信してきた端末装置200に生成した混雑情報を送信する。
【0019】
このとき、生成した混雑情報は、例えば混雑度マップ20に示されるように提供されてもよい。ここでは、列車の車両毎の混雑度が○△×の3段階で表示されている。混雑度が低いと○、混雑度が高いと×、そしてその間が△で示される。
【0020】
図1で示された混雑情報提供システムのシステム構成について図2を参照しながら説明する。混雑情報提供システム10は、混雑情報生成サーバ100と、端末装置200と、検出情報DB300とを有する。
【0021】
なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後にハイフンを介して異なる番号を付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成を、必要に応じて端末装置200−1、端末装置200−2のように区別する。ここでは、端末装置200のうち、検出情報をアップロードしている端末装置を端末装置200−1と称し、混雑情報リクエストを送信する端末装置を端末装置200−2と称する。ただし、これは単に混雑情報の提供が行われる時点における役割に応じて区別するものであって、混雑情報リクエストを送信している端末装置200−2が、他の時点においては、端末装置200−1の役割を担うこともできる。また、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、端末装置200−1、端末装置200−2などを特に区別する必要が無い場合には、単に端末装置200と称する。
【0022】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成を、必要に応じて混雑情報生成サーバ100a、及び混雑情報生成サーバ100bのように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、混雑情報生成サーバ100a、及び混雑情報生成サーバ100bなどを特に区別する必要が無い場合には、単に混雑情報生成サーバ100と称する。
【0023】
混雑情報生成サーバ100は、混雑情報を生成する情報処理装置の一例であり、端末装置200−2から特定の列車についての混雑情報リクエストを受けると、検出情報DB300から、上記特定の列車に乗車しているユーザの検出情報を抽出する。そして、混雑情報生成サーバ100は、抽出した検出情報に基づいて上記特定の列車の混雑情報を生成して端末装置200−2に送信する。
【0024】
端末装置200−1は、ユーザが携帯する情報処理装置であり、定期的に検出情報を検出情報DB300にアップロードしている。また、端末装置200−2は、混雑情報生成サーバ100に混雑情報リクエストを送信して、生成された混雑情報を取得する。この端末装置200は、例えば携帯電話、ノートPC(Personal Computer)、PND(Personal Navigation Device)、携帯用音楽再生装置、携帯用映像処理装置、携帯用ゲーム機器などの情報処理装置であってもよい。なお、検出情報DB300は、混雑情報生成サーバ100と別体のサーバが有していてもよいし、混雑情報生成サーバ100内に有されていてもよい。このような混雑情報提供システム10の機能を実現するための各装置の具体的な構成について次に説明される。
【0025】
<2.第1の実施形態>
(2−1.サーバ構成)
まず、本開示の第1の実施形態に係る混雑情報生成サーバ100aは、列車特定部101と、検出情報抽出部103と、混雑度推定部105と、混雑度マップ生成部107と、送信部109とを主に有する。
【0026】
列車特定部101は、端末装置200−2からの混雑情報リクエストに基づいて列車を特定する機能を有する。列車特定部101は、所定のダイヤ中のいずれかの列車を特定し、特定した列車を識別するための情報と、特定した列車の現在の位置情報を特定して検出情報抽出部103に供給する。列車特定部101は、例えば混雑情報リクエストに特定の列車の識別情報が含まれる場合には、かかる識別情報に基づいて列車を特定してもよい。あるいは、列車特定部101は、混雑情報リクエストにユーザの位置情報と、列車の路線及び進行方向の情報が含まれている場合には、かかる路線の指定された進行方向の列車の中から、ユーザの位置情報に基づいて選択された列車を特定してもよい。
【0027】
検出情報抽出部103は、各ユーザの端末装置200により取得された位置情報及び揺れ検出データを含む検出情報の中から、列車特定部101により特定された列車に乗車するユーザの検出情報を抽出する抽出部の一例である。検出情報抽出部103は、少なくとも位置情報に基づいて、特定の列車に乗車するユーザの検出情報を抽出することができる。このとき検出情報抽出部103は、列車特定部101から供給された、特定の列車の現在の位置情報の近辺の位置情報を示しているユーザの検出情報を抽出することができる。また検出情報抽出部103は、さらに各ユーザの移動速度に基づいて特定の列車に乗車するユーザの検出情報を抽出してもよい。
【0028】
混雑度推定部105は、検出情報抽出部103により抽出されたユーザの揺れ検出データに基づいて、列車内におけるユーザの人数分布を推定する推定部の一例である。混雑度推定部105は、抽出された揺れ検出データに表れる特徴点間の時間差に基づいて、それぞれのユーザの列車内の位置(列車の全長に対する相対位置)を特定することにより、列車内におけるユーザの人数分布を推定することができる。さらに、混雑度推定部105は、特定された列車に含まれる車両の数と、車両それぞれの長さとの情報を用いることによって、各ユーザがどの車両にいるかを推定することもできる。この場合、混雑度推定部105は、車両毎の混雑度を推定してもよい。なお、混雑度推定部105が用いる揺れ検出データは、列車の進行方向と直交する水平方向の成分であることが望ましい。混雑度推定の詳細については、後述される。
【0029】
混雑度マップ生成部107は、混雑度推定部105により推定された人数分布に基づいて、列車特定部101により特定された列車の混雑状況を示す混雑情報を生成する混雑情報生成部の一例である。混雑度マップ生成部107は、例えば図1に示す混雑度マップ20を生成することができる。なお、ここでは混雑度が視覚的に表現された混雑度マップがユーザに提供されることとしたが、本技術はかかる例に限定されない。指定された列車の混雑の状況を示す混雑情報は、あらゆる形態で提供されてよい。混雑度マップ生成部107は、生成した混雑情報を送信部109に供給する。
【0030】
送信部109は、外部の装置と通信する機能を有する。送信部109は、混雑度マップ生成部107により生成された混雑情報を端末装置200−2に送信することができる。
【0031】
(2−2.端末構成)
次に、本実施形態に係る端末装置200aの構成について、図4及び図5を参照しながら説明する。図4は、同実施形態に係る端末装置の機能構成を示すブロック図である。図5は、本開示の第1及び第2の実施形態に係る端末装置のハードウェア構成の一例を示す構成図である。
【0032】
まず図4を参照すると、本実施形態に係る端末装置200aは、揺れ検出部201と、位置情報取得部203と、通信部205と、混雑情報取得部207とを主に有する。なお、この端末装置200aは、検出情報を送信する端末装置200−1と、混雑情報リクエストを送信する端末装置200−2の機能を併せ持つことができる。しかし、本技術はかかる構成に限定されない。例えば、端末装置200aが検出情報を送信する端末装置200−1として機能するときには、混雑情報取得部207の機能は省略されてもよい。或いは、端末装置200aが混雑情報リクエストを送信する端末装置200−2として機能するときには、揺れ検知部201の機能は省略されてもよい。
【0033】
揺れ検知部201は、端末装置200の揺れを検知する機能を有する。例えば揺れ検知部201は、加速度センサ、又はジャイロセンサのような慣性センサであってよい。或いは、揺れ検知部201は、気圧センサであってもよい。揺れ検知部201は、端末装置200の揺れを検知した揺れ検出データを出力する。
【0034】
位置情報取得部203は、現在の位置情報を取得する機能を有する。位置情報取得部203は、例えばGPS(Global Positioning System)アンテナとGPS受信信号から位置情報を算出するGPS処理部とにより実現されてもよい。或いは、位置情報取得部203は、各種のセンサによる相対位置測定機能を有していてもよい。また、位置情報取得部203は、複数の基地局から受信するWi−Fi電波の受信強度から各基地局と端末装置200との距離を推定し、推定した距離と各基地局の位置情報とを利用して、三角測量の原理に基づいて現在の位置情報を算出してもよい。或いは位置情報取得部203は、Wi−Fi電波を受信することのできる基地局の組合せに基づいて現在の位置情報を取得してもよい。
【0035】
通信部205は、例えば、インターネットなどのネットワークに接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。ここでは、通信部205は無線通信機能を有し、通信に係る信号を送受信するための通信アンテナと、通信に係る各種の信号処理を行う処理回路などを含んでよい。
【0036】
混雑情報取得部207は、混雑情報生成サーバ100の生成した混雑情報を取得する機能を有する。混雑情報取得部207は、通信部205を介して混雑情報生成サーバ100に混雑情報リクエストを送信する。この混雑情報リクエストには、例えば取得する混雑情報を識別するための情報が含まれる。例えば、取得する混雑情報を識別するための情報は、対象の列車を識別するための情報、対象の列車がどの位置にいる時点における混雑情報であるかを識別するための情報を含んでよい。例えば取得する混雑情報を識別するための情報は、列車の路線、駅の名前、及び列車が駅を発車する予定時刻の情報であってよい。混雑情報取得部207は、混雑情報リクエストを送信すると、この混雑情報リクエストに応じて混雑情報生成サーバ100が生成した混雑情報を取得する。
【0037】
以上、本実施形態に係る混雑情報生成サーバ100a及び端末装置200aの機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置がこれらの機能を実現する処理手順を記述した制御プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体から制御プログラムを読出し、そのプログラムを解釈して実行することにより行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0038】
なお、上述のような本実施形態に係る混雑情報生成サーバ100a及び端末装置200aの各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作成し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0039】
ここで、本開示の第1の実施形態及び第2の実施形態に係る端末装置200のハードウェア構成の一例について、図5を参照しながら説明する。端末装置200は、GPSアンテナ221と、GPS処理部223と、通信アンテナ225と、通信処理部227と、地磁気センサ229と、加速度センサ231と、ジャイロセンサ233と、気圧センサ235と、A/D(Analog/Digital)変換部237と、CPU(Central Processing Unit)239と、ROM(Read Only Memory)241と、RAM(Random Access Memory)243と、操作部247と、表示部249と、デコーダ251と、スピーカ253と、エンコーダ255と、マイク257と、記憶部259とを有する。
【0040】
GPSアンテナ221は、測位衛星からの信号を受信するアンテナの一例である。GPSアンテナ221は、複数のGPS衛星からのGPS信号を受信することができ、受信したGPS信号をGPS処理部223に入力する。なお、ここで受信されるGPS信号には、GPS衛星の軌道を示す軌道データと、信号の送信時刻などの情報が含まれている。
【0041】
GPS処理部223は、測位衛星から受信された信号に基づいて位置情報を算出する算出部の一例である。GPS処理部223は、GPSアンテナ221から入力された複数のGPS信号に基づいて当該端末装置200の現在の位置情報を算出し、算出した位置情報を出力する。具体的には、GPS処理部223は、複数のGPS信号をそれぞれ復調することにより得られる軌道データから各GPS衛星の位置を算出し、GPS信号の送信時刻と受信時刻との差分時間に基づいて、各GPS衛星から当該端末装置200の距離をそれぞれ算出する。そして、算出された各GPS衛星の位置と、各GPS衛星から当該PND10までの距離とに基づいて、現在の3次元位置を算出する。また、ここではGPS信号に含まれる軌道データを用いて各GPS衛星の位置を算出することとしたが、本技術はかかる例に限定されない。例えば、GPS処理部223は、通信アンテナ225を介して外部のサーバから取得した軌道データを用いて各GPS衛星の位置を算出することもできる。
【0042】
通信アンテナ225は、例えば携帯通信網や無線LAN(Local Area Network)通信網を介して通信信号を受信する機能を有するアンテナである。通信アンテナ225は、受信した信号を通信処理部227に供給することができる。
【0043】
通信処理部227は、通信アンテナ225から供給された信号に各種の信号処理を行う機能を有する。通信処理部227は、供給されたアナログ信号から生成したデジタル信号をCPU239に供給することができる。
【0044】
地磁気センサ229は、地磁気を電圧値として検出するセンサである。地磁気センサ229は、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の地磁気をそれぞれ検出する3軸地磁気センサであってよい。ここで例えばX軸は端末装置200の表示画面の長手方向、Y軸は上記表示画面の短手方向、Z軸はX軸及びY軸と直交する方向とすることができる。地磁気センサ229は、検出した地磁気データをA/D変換部237に入力する。
【0045】
加速度センサ231は、加速度を電圧値として検出するセンサである。加速度センサ231は、X軸方向に沿った加速度、Y軸方向に沿った加速度、及びZ軸方向に沿った加速度をそれぞれ検出する3軸加速度センサであってよい。加速度センサ231は、検出した加速度データをA/D変換部237に入力する。
【0046】
ジャイロセンサ233は、物体の角度や角速度を検出する計測器の一種である。このジャイロセンサ233は、X軸、Y軸、及びZ軸周りの回転角の変化する速度(角速度)を電圧値として検出する3軸ジャイロセンサであることが望ましい。ジャイロセンサ233は、検出した角速度データをA/D変換部237に入力する。
【0047】
気圧センサ235は、周囲の気圧を電圧値として検出するセンサである。気圧センサ235は、気圧を所定のサンプリング周波数で検出し、検出した気圧データをA/D変換部237に入力する。
【0048】
A/D変換部237は、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して出力する機能を有する。A/D変換部237は、例えばアナログ信号をデジタル信号に変換する変換回路である。なお、このA/D変換部237は、各センサがA/D変換機能を有する場合には省略することができる。
【0049】
CPU239は、演算処理装置及び制御装置として機能し、各種プログラムに従って端末装置200内の動作全般を制御する。またCPU239は、マイクロプロセッサであってもよい。このCPU239は、各種プログラムに従って様々な機能を実現することができる。例えば、CPU239は、加速度センサ231により検出された加速度データに基づいて姿勢角を検出し、この姿勢角と地磁気センサ229により検出された地磁気データとを用いることによって方位を算出する方位算出部として機能することができる。またCPU239は、加速度センサ231により検出された加速度データとジャイロセンサ233により検出された角速度データとに基づいて端末装置200の移動の速度を算出する速度算出部として機能することができる。また、CPU239は、気圧センサ235により検出される気圧データに基づいて端末装置200の高度を算出する高度算出部として機能することもできる。
【0050】
ROM241は、CPU239が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶することができる。RAM243は、CPU239の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶することができる。
【0051】
操作部247は、ユーザが所望の操作をするための入力信号を生成する機能を有する。操作部247は、例えばタッチパネル、マウス、キーボード、ボタン、マイク、スイッチ及びレバーなどユーザが情報を入力するための入力部と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU239に出力する入力制御回路などから構成されてよい。
【0052】
表示部249は、出力装置の一例であり、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)装置、有機EL(OLED:Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ装置などの表示装置であってよい。表示部249は、ユーザに対して画面を表示することにより情報を提供することができる。
【0053】
デコーダ251は、CPU239の制御に従い、入力されたデータのデコード及びアナログ変換などを行う機能を有する。デコーダ251は、例えば通信アンテナ225及び通信処理部227を介して入力された音声データのデコード及びアナログ変換などを行い、音声信号をスピーカ253に出力する。スピーカ253は、デコーダ251から供給される音声信号に基づいて音声を出力することができる。
【0054】
エンコーダ255は、CPU239の制御に従い、入力されたデータのデジタル変換及びエンコードなどを行う機能を有する。エンコーダ255は、マイク257から入力される音声信号のデジタル変換及びエンコードなどを行い、音声データを出力することができる。マイク257は、音声を集音し、音声信号として出力することができる。
【0055】
記憶部259は、データ格納用の装置であり、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置、および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含むことができる。ここで記憶媒体としては、例えばフラッシュメモリ、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、PRAM(Phase change Random Access Memory)、及びEEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)などの不揮発性メモリや、HDD(Hard Disk Drive)などの磁気記録媒体などが用いられてよい。この記憶部259は、例えば地図DB261を記憶することができる。この地図DB261には、POI(Point Of Interest)の情報や、高度情報、道路情報など位置情報と対応づけられた各種の情報を含むことができる。なお、この地図DB261は、ここでは端末装置200が有することとしたが本技術はかかる例に限定されない。地図DB261は、外部の装置が有していてもよい。端末装置200は、外部装置の有する地図DB261に適宜アクセスすることによって位置情報と対応づけられた各種の情報を取得することができる構成であってもよい。
【0056】
(2−3.動作)
次に、以上説明してきた機能構成により実現される、混雑情報生成サーバ100aの動作について図6〜図9を参照しながら説明する。図6は、本実施形態に係る混雑情報提供方法の流れを示すフローチャートである。図7は、検出情報の一例を説明するための説明図である。図8は、同じ列車に乗車するユーザの移動速度の一例を示すグラフである。図9は、同じ列車の別車両に乗車するユーザの揺れ検出データの一例を示すグラフである。
【0057】
まず、端末装置200−2から混雑情報リクエストを受信すると、混雑情報生成サーバ100aの列車特定部101は、受信した混雑情報リクエストに含まれる情報に基づいて、対象となる列車を特定する(S101)。ここで列車特定部101は、例えば混雑情報リクエストに含まれる、路線、駅名、駅を発車する予定時刻の情報から対象となる列車を特定する。
【0058】
次に検出情報抽出部103は、検出情報DB300に集められた検出情報の中から列車特定部101により特定された列車に乗車するユーザの検出情報を抽出する(S103)。このとき検出情報抽出部103は、少なくとも位置情報に基づいて、検出情報を抽出することができる。具体的には、検出情報抽出部103は、列車特定部101により特定された列車の現在の位置情報を取得し、この列車の位置と近い位置情報を有する検出情報を抽出してよい。また検出情報抽出部103は、検出情報に含まれる移動速度の情報を用いることもできる。例えば図7に示されるように、列車の先頭車両に乗車するユーザAと、ユーザAの乗車する列車と同じ列車の先頭から6両目に乗車するユーザBとの移動速度のデータが図8に示される。ここで示されるように、同じ列車に乗車するユーザの持つ端末装置200により取得される移動速度の情報は、乗車する車両に関わらず類似した情報となる。このため、検出情報抽出部103は、位置情報に基づいて抽出された検出情報の中から移動速度が近い検出情報を抽出してもよい。かかる構成により、近い場所に位置しているけれども列車には乗車していないユーザを誤って抽出することを防ぐことができる。なお、この移動速度の情報は、例えば位置情報の推移から算出された情報であってもよい。あるいは、移動速度の情報は、端末装置200の有するセンサの検出値に基づいて算出された情報であってもよい。なお、ここで用いられる揺れ検出データは、線路の形状等による揺れの影響を検出しやすいデータであることが望ましく、例えば列車の進行方向と直交する水平方向(図7のy軸方向)のデータであってよい。
【0059】
次に混雑度推定部105は、検出情報抽出部103により抽出された検出情報に含まれる揺れ検出データに基づいて、対象の列車の混雑度を推定する(S105)。ここで混雑度推定部105の推定する混雑度は、少なくとも列車内におけるユーザの人数分布を示す情報であってよい。また、混雑度推定部105は、さらに列車の車両毎の人数分布を推定してもよい。
【0060】
ここで混雑度推定部105の混雑度の推定の詳細について具体例を挙げて説明する。図9には、図7に示されたユーザA及びユーザBの揺れ検出データとGPS速度の推移が示される。同じ列車に乗車するユーザの有する端末装置200によりそれぞれ取得される揺れ検出データには、線路の形状(例えばカーブ)等により引き起こされる揺れの影響を示す特徴点が含まれる。このような特徴点は、原因となる線路上の箇所を通過するときに検出される。このため、特徴点間の時間差は、各端末装置200が上記箇所を通過する時点の差である。従って、この時間差とこのときの移動速度を用いることにより、混雑度推定部105は、各端末装置200間の距離を算出することができる。
【0061】
例えば図9の特徴点P1−A,P1−B,P2−A,及びP2−Bに注目してみよう。P1−A及びP1−B、並びにP2−A及びP2−Bは、ユーザAとユーザBとが同じ箇所を通過する時点において検出された特徴点であると考えられる。この特徴点P1−A及びP1−B間の時間差は、約4.5秒である。この間の移動速度が23m/sであるとすると、ユーザAとユーザBとの間の距離は、約104mであると算出される。また、特徴点P2−A及びP2−B間の時間差は、約5.9秒である。この間の移動速度が20m/sであるとすると、ユーザAとユーザBとの間の距離は、約118mであると算出される。
【0062】
このように、特徴点間の時間差と移動速度とを用いることによって、混雑度推定部105は、各端末装置200間の距離を算出することができる。例えば前提として、列車に乗車している乗客のうちの一定の割合の乗客が検出情報を検出情報DB300にアップロードしている状況を考える。このとき、混雑度推定部105は、検出情報抽出部103により抽出された検出情報の中から、基準となる検出情報を決定することができる。この基準となる検出情報は、例えば列車の中で最も先頭に近い位置にいるユーザの検出情報とすることができる。例えば混雑度推定部105は、揺れの影響を最も早く検知している揺れ検出データを基準としてよい。そして、混雑度推定部105は、それぞれの揺れ検出データの特徴点の検出時刻と、基準となる揺れ検出データの特徴点の検出時刻との時間差から各端末間の距離を算出する。このとき混雑度推定部105は、複数の特徴点について同様の処理を行うことにより、2つの端末装置200間の距離を複数算出して平均化処理を行ってもよい。なお、この時間差は、例えば2つの揺れ検出データの相関をとることにより検出することができる。或いは、時間差は、大きな揺れによる特徴点を抽出した後に相関を取ることによって検出することもできる。
【0063】
複数の揺れ検出データについて同様の処理を繰り返すことによって、混雑度推定部105は、基準となる検出情報を検出した端末装置200と比較した各端末装置200の位置(すなわち、ユーザの人数分布)を示す情報が取得される。ここで、混雑度推定部105は、列車に含まれる車両の数、及び車両それぞれの長さの情報を用いることによって、車両毎の人数分布を推定することができる。例えば、基準となる端末装置200が先頭車両の先頭側に位置していると仮定する。このとき、混雑度推定部105は、各車両の長さが20mである場合には、基準となる端末装置200からの距離が0〜20mである端末装置200は先頭車両、基準となる端末装置200からの距離が20〜40mである端末装置200は2両目、基準となる端末装置200からの距離が40〜60mである端末装置200は3両目、基準となる端末装置200からの距離が60〜80mである端末装置200は4両目、基準となる端末装置200からの距離が80〜100mである端末装置200は5両目、基準となる端末装置200からの距離が100〜120mである端末装置200は6両目、基準となる端末装置200からの距離が120〜140mである端末装置200は7両目に位置すると推定してよい。
【0064】
なお、ここでは加速度センサ231による揺れ検出データを用いた場合について説明したが、本技術はかかる例に限定されない。例えばジャイロセンサ233、気圧センサ235など揺れを検出することのできる様々なセンサによる検出データが用いられてよい。また、端末装置200の向きを特定することにより、揺れ検出データのうち、列車の進行方向と直交する水平方向の成分のスカラー量が用いられることが好ましい。同じ列車に乗車しているユーザについて列車の進行方向の加速度は同じとなるはずである。そこで、例えば端末装置200の向きは、加速度センサ231の検出値から重力方向と列車の進行方向を特定することにより特定されてもよい。或いは、端末装置200の向きは、地磁気センサ229と加速度センサ231とにより実現される電子コンパス機能により特定されてもよい。また、各種のフィルタを用いて、揺れ検出データのうち、揺れの影響による検出値を含む帯域を抽出することにより、検出精度を向上させることができる。
【0065】
再び図6に戻ると、混雑度マップ生成部107は、混雑度推定部105により推定された混雑度の情報を用いて、ステップS101により特定された列車の混雑度情報を生成する(S107)。この混雑度情報は、混雑度マップであってもよい。混雑度マップは、人数分布が視覚的に表現される。例えば混雑度マップは、人数分布を示すグラフが含まれてもよい。或いは、混雑度マップは、図1に示されるように○△×の記号で混雑度が示されてもよい。
【0066】
混雑度マップ生成部107が混雑度マップを生成すると、送信部109は、生成された混雑度マップを、混雑情報リクエストを送信した端末装置200−1に送信する(S109)。
【0067】
以上説明した第1の実施形態に係る混雑情報生成サーバ100によれば、列車に乗車する乗客が持っている端末装置200−1により取得された揺れ検出データに基づいて、列車内の混雑度の情報(ユーザの人数分布)を生成することができる。
【0068】
<3.第2の実施形態>
次に、本開示の第2の実施形態について説明する。以下、第1の実施形態との差異点について主に説明し、共通する箇所については説明を省略する。
【0069】
(3−1.サーバ構成)
本開示の第2の実施形態に係る混雑情報生成サーバ100bの構成について図10を参照しながら説明する。図10は、本開示の第2の実施形態に係る混雑情報提供サーバの機能構成を示すブロック図である。混雑情報生成サーバ100bは、列車特定部101と、検出情報抽出部103と、混雑度推定部105と、混雑度マップ生成部107と、送信部109と、混雑度予測部111とを有する。
【0070】
検出情報抽出部103は、各ユーザの端末装置200により取得された位置情報及び揺れ検出データを含む検出情報の中から、列車特定部101により特定された列車に乗車するユーザの検出情報を抽出する抽出部の一例である。検出情報抽出部103は、検出情報を抽出すると、抽出した検出情報の数をカウントする。そして検出情報抽出部103は、抽出した検出情報の数が十分である場合には、抽出した検出情報を混雑度推定部105に供給することができる。一方、抽出した検出情報の数が十分でない場合には、検出情報抽出部103は、混雑度予測部111に混雑度を予測するよう指示することができる。
【0071】
混雑度予測部111は、過去に、揺れ検出データから推定された人数分布の情報を用いて、列車特定部101により特定された列車内におけるユーザの人数分布を予測することができる。この混雑度予測部111は、列車特定部101により特定された列車と同じダイヤに従って運行する列車について過去の抽出された検出情報や、過去に推定された混雑度の情報から、現時点の混雑度を予測する。
【0072】
混雑度マップ生成部107は、混雑度推定部105又は混雑度予測部111から供給された混雑度の情報に基づいて混雑度マップを生成する。
【0073】
(3−2.端末構成)
また、端末装置200は、図11に示される端末装置200bの構成を有してもよい。図11は、同実施形態に係る端末装置の機能構成を示すブロック図である。第2の実施形態に係る端末装置200bは、第1の実施形態に係る端末装置200aの構成に加えて、ナビゲーション部207を有する。
【0074】
ナビゲーション部209は、位置情報取得部203により取得された位置情報を用いて、例えば現在位置から目的地までの経路を案内する機能を有する。ナビゲーション部207は、混雑情報取得部207により取得された混雑情報に基づいて経路を案内することもできる。例えばナビゲーション部209は、混雑情報に基づいて、空いている車両に乗車するための経路を案内することができる。また、ナビゲーション部209は、目的地までの経路において、複数の路線を利用することができる場合に、混雑に巻き込まれないように利用する路線を選択し、選択した路線を利用する経路をユーザに提供してもよい。
【0075】
なお、この端末装置200bが圏外の場所にいるとき(例えば地下)にも混雑情報を用いるために、混雑情報取得部207は、予測結果である混雑情報を予め取得して端末装置200b内部の記憶部259に記憶させておいてもよい。
【0076】
以上、本実施形態に係る混雑情報生成サーバ100a及び端末装置200aの機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置がこれらの機能を実現する処理手順を記述した制御プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体から制御プログラムを読出し、そのプログラムを解釈して実行することにより行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0077】
なお、上述のような本実施形態に係る混雑情報生成サーバ100a及び端末装置200aの各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作成し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0078】
(3−3.動作)
次に、図12を参照しながら本開示の第2の実施形態に係る混雑情報提供方法について説明する。図12は、同実施形態に係る混雑情報提供方法の流れを示すフローチャートである。
【0079】
まず、端末装置200−2から混雑情報リクエストを受信すると、混雑情報生成サーバ100bの列車特定部101は、受信した混雑情報リクエストに含まれる情報に基づいて、対象となる列車を特定する(S201)。
【0080】
次に、検出情報抽出部103は、検出情報DB300に集められた検出情報の中から列車特定部101により特定された列車に乗車するユーザの検出情報を抽出する(S203)。そして検出情報抽出部103は、該当する現時点の検出情報が十分な量存在するか否かを判断する(S204)。ここで現時点の検出情報が十分存在する場合には、混雑度推定部105が、抽出された検出情報から混雑度を推定する(S205)。一方、該当する現時点の検出情報が十分存在しない場合には、混雑度予測部111が、過去の抽出された検出情報や、過去に推定された混雑情報から混雑度を予測する(S206)。
【0081】
そして、混雑度マップ生成部107は、ステップS205又はステップS206において生成された混雑度の情報に基づいて混雑度マップを作成する(S207)。混雑度マップ生成部107が混雑度マップを生成すると、送信部109は、生成された混雑度マップを、混雑情報リクエストを送信した端末装置200−1に送信する(S209)。
【0082】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本技術はかかる例に限定されない。本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0083】
例えば、上記実施形態では、図9において揺れ検出データの一例として加速度の検出値を用いたが、本技術はかかる例に限定されない。例えば、揺れ検出データは、ジャイロセンサ、又は気圧センサなどにより取得された検出データであってもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、端末装置200−2からの混雑情報リクエストに応じて混雑度マップを作成する構成としたが、本技術はかかる例に限定されない。任意のトリガに応じて混雑度の情報は生成されてよい。例えば、混雑情報生成サーバ100は、全ての列車について、列車が駅を出発する度にリクエストの有無に関わらず混雑情報を生成してもよい。混雑情報生成サーバ100は、予め生成した混雑情報を端末装置200−2からのリクエストに応じて送信することができる。
【0085】
また、上記実施形態では、検出情報DB300は、混雑情報生成サーバ100と別体の装置が有することとしたが、本技術はかかる例に限定されない。混雑情報生成サーバ100が検出情報DB300を有してもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、検出情報DB300に集められる情報は、揺れ検出データと位置情報と速度情報が例示されたが、かかる例に限定されない。検出情報DB300は、端末装置200が取得することのできるあらゆる情報を時刻情報と対応づけてユーザのライフログとして記憶することができる。また、上記実施形態では、検出情報DB300に集められた情報は、混雑情報の生成に用いられた。しかし、上記実施形態で混雑度推定部105が測定する時間差の情報は、列車内の揺れの伝達を示す情報として利用することができる。例えば、上記時間差の情報は、揺れの到達予測に用いられてもよい。この到達予測の情報は、例えば列車の各車両に対して「大きく揺れます。つり革や手すりにおつかまりください。」といったアナウンスをするために用いられてもよい。事前にユーザに注意喚起することにより、列車内の転倒事故が予防される。また、検出情報DB300には、乗客が感じる揺れについてのデータが集められる。このデータを解析することによって、揺れの大きい位置の情報、揺れ具合の経年変化の情報を得ることができる。例えばこれらの情報は、鉄道会社がメンテナンスを行う際に参照することもできる。
【0087】
また、上記実施形態では、ナビゲーション部209を有する端末装置200bは、混雑度を予測する機能を有する混雑情報生成サーバ100bと組合せて用いられたが、本技術はかかる例に限定されない。例えば、端末装置200bは、混雑情報生成サーバ100aに対して混雑情報リクエストを送信してもよい。ただし、混雑度を予測する機能を有する混雑情報生成サーバ100bと、ナビゲーション機能を有する端末装置200bとを組合せて用いることによって、端末装置200bは、予測する混雑度を用いて経路を案内することができる。このため、現在の時刻と列車に乗車する時刻とが離れている場合にも適用することができるという効果がある。
【0088】
また、上記実施形態では、測位衛星の一例として、GPSが挙げられたが、もちろん測位衛星はGPSに限られない。測位衛星は、ガリレオ、GLONASS、北斗、みちびきなど各種の測位衛星であってよい。このとき、測位衛星は、1つの種類の衛星が用いられてもよいし、複数の種類の衛星による測位信号が組合わせて用いられてもよい。実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、位置情報取得のために利用する構成を変更することが可能である。
【0089】
尚、本明細書において、フローチャートに記述されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的に又は個別的に実行される処理をも含む。また時系列的に処理されるステップでも、場合によっては適宜順序を変更することが可能であることは言うまでもない。
【0090】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)各ユーザの端末装置により取得された位置情報及び揺れ検出データを含む検出情報の中から、特定の列車に乗車するユーザの前記検出情報を前記位置情報に基づいて抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された検出情報に含まれる前記揺れ検出データに基づいて、前記列車内におけるユーザの人数分布を推定する推定部と、
を備える、情報処理装置。
(2)前記推定部は、前記抽出部により抽出された複数の揺れ検出データの位相差に基づいて、それぞれのユーザの前記列車内の位置を推定することにより、前記列車内におけるユーザの人数分布を推定する、前記(1)に記載の情報処理装置。
(3)前記推定部は、基準となるユーザを決定し、当該基準となるユーザの揺れ検出データと、それぞれの揺れ検出データとの間の位相差、及び移動速度から各端末間の距離をそれぞれ算出することにより、それぞれのユーザの前記列車内の位置を推定する、前記(2)に記載の情報処理装置。
(4)前記推定部は、前記抽出部により抽出された複数の揺れ検出データに表れる特徴点間の時間差に基づいて、それぞれのユーザの前記列車内の位置を推定することにより、前記列車内におけるユーザの人数分布を推定する、前記(1)に記載の情報処理装置。
(5)前記推定部は、基準となるユーザを決定し、当該基準となるユーザの揺れ検出データに表れる特徴点と、それぞれの揺れ検出データに表れる特徴点との間の時間差、及び、移動速度に基づいて各端末間の距離をそれぞれ算出することにより、それぞれのユーザの前記列車内の位置を推定する、前記(4)に記載の情報処理装置。
(6)前記推定部は、前記列車に含まれる車両の数、及び前記車両それぞれの長さの情報を用いて、前記車両毎の人数分布を推定する、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の情報処理装置。
(7)前記推定部は、前記揺れ検出データのうち前記列車の進行方向と直交する水平方向のデータに基づいて、前記列車内におけるユーザの人数分布を推定する、前記(1)〜(6)のいずれかに記載の情報処理装置。
(8)前記特定の列車と同じダイヤに従って運行する列車について過去に前記揺れ検出データから推定された前記人数分布に基づいて、前記特定の列車内におけるユーザの人数分布を推測する推測部、
をさらに備える、前記(1)〜(7)のいずれかに記載の情報処理装置。
(9)前記推定部により推定された人数分布に基づいて、前記特定の列車の混雑情報を生成する混雑情報生成部、
をさらに備える、前記(1)〜(8)のいずれかに記載の情報処理装置。
(10)前記特定の列車を決定するための情報を含む混雑情報リクエストを受信し、前記特定の列車を決定する列車決定部と、
前記混雑情報生成部により生成された混雑情報を、前記混雑情報リクエストを送信した端末装置に送信する送信部と、
をさらに備える、前記(9)に記載の情報処理装置。
(11)前記抽出部は、さらに各ユーザの移動速度の情報に基づいて前記特定の列車に乗車するユーザの検出情報を抽出する、前記(1)〜(10)のいずれかに記載の情報処理装置。
(12)現在の位置情報を取得する位置情報取得部と、
揺れを検出する揺れ検出部と、
前記位置情報取得部により取得された位置情報と、前記揺れ検知部により取得された揺れ検出データとを含む検出情報を送信する送信部と、
を有する複数の第1の端末装置と、
前記第1の端末装置により取得された前記検出情報の中から、特定の列車に乗車するユーザの前記検出情報を前記位置情報に基づいて抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された検出情報に含まれる前記揺れ検出データに基づいて、前記列車内におけるユーザの人数分布を推定する推定部と、
を有するサーバ装置と、
を備える、情報処理システム。
(13)前記特定の列車を決定するための情報を含む混雑情報リクエストを前記サーバ装置に送信し、前記混雑情報リクエストに応じて生成される混雑情報を取得する混雑情報取得部、
を有する第2の端末装置をさらに備え、
前記抽出部は、前記混雑情報リクエストに応じて前記特定の列車に乗車するユーザの前記検出情報を抽出し、
前記サーバ装置は、
前記推定部により推定された人数分布に基づいて、前記混雑情報を生成する混雑情報生成部と、
前記混雑情報生成部により生成された混雑情報を前記第2の端末装置に送信する送信部と、
をさらに有する、前記(12)に記載の情報処理システム。
(14)前記第2の端末装置は、
前記混雑情報取得部により取得された混雑情報に基づいて経路を案内するナビゲーション部をさらに有する、前記(13)に記載の情報処理システム。
(15)各ユーザの端末装置により取得された位置情報及び揺れ検出データを含む検出情報の中から、特定の列車に乗車するユーザの前記検出情報を前記位置情報に基づいて抽出することと、
抽出された検出情報に含まれる前記揺れ検出データに基づいて、前記列車内におけるユーザの人数分布を推定することと、
を含む、情報処理方法。
(16)コンピュータを、
各ユーザの端末装置により取得された位置情報及び揺れ検出データを含む検出情報の中から、特定の列車に乗車するユーザの前記検出情報を前記位置情報に基づいて抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された検出情報に含まれる前記揺れ検出データに基づいて、前記列車内におけるユーザの人数分布を推定する推定部と、
を備える、情報処理装置として機能させるためのプログラム。
(17)コンピュータを、
各ユーザの端末装置により取得された位置情報及び揺れ検出データを含む検出情報の中から、特定の列車に乗車するユーザの前記検出情報を前記位置情報に基づいて抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された検出情報に含まれる前記揺れ検出データに基づいて、前記列車内におけるユーザの人数分布を推定する推定部と、
を備える、情報処理装置として機能させるためのプログラムを記録した、コンピュータに読み取り可能な記録媒体。
【符号の説明】
【0091】
100 混雑情報生成サーバ
101 列車特定部
103 検出情報抽出部
105 混雑度推定部
107 混雑度マップ生成部(混雑度情報生成部)
109 送信部
111 混雑度予測部
200 端末装置
201 揺れ検知部
203 位置情報取得部
205 通信部
207 混雑情報取得部
209 ナビゲーション部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
各ユーザの端末装置により取得された位置情報及び揺れ検出データを含む検出情報の中から、特定の列車に乗車するユーザの前記検出情報を前記位置情報に基づいて抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された検出情報に含まれる前記揺れ検出データに基づいて、前記列車内におけるユーザの人数分布を推定する推定部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記推定部は、前記抽出部により抽出された複数の揺れ検出データの位相差に基づいて、それぞれのユーザの前記列車内の位置を推定することにより、前記列車内におけるユーザの人数分布を推定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記推定部は、基準となるユーザを決定し、当該基準となるユーザの揺れ検出データと、それぞれの揺れ検出データとの間の位相差、及び移動速度から各端末間の距離をそれぞれ算出することにより、それぞれのユーザの前記列車内の位置を推定する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記推定部は、前記抽出部により抽出された複数の揺れ検出データに表れる特徴点間の時間差に基づいて、それぞれのユーザの前記列車内の位置を推定することにより、前記列車内におけるユーザの人数分布を推定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記推定部は、基準となるユーザを決定し、当該基準となるユーザの揺れ検出データに表れる特徴点と、それぞれの揺れ検出データに表れる特徴点との間の時間差、及び、移動速度に基づいて各端末間の距離をそれぞれ算出することにより、それぞれのユーザの前記列車内の位置を推定する、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記推定部は、前記列車に含まれる車両の数、及び前記車両それぞれの長さの情報を用いて、前記車両毎の人数分布を推定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記推定部は、前記揺れ検出データのうち前記列車の進行方向と直交する水平方向のデータに基づいて、前記列車内におけるユーザの人数分布を推定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記特定の列車と同じダイヤに従って運行する列車について過去に前記揺れ検出データから推定された前記人数分布に基づいて、前記特定の列車内におけるユーザの人数分布を推測する推測部、
をさらに備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記推定部により推定された人数分布に基づいて、前記特定の列車の混雑情報を生成する混雑情報生成部、
をさらに備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記特定の列車を決定するための情報を含む混雑情報リクエストを受信し、前記特定の列車を決定する列車決定部と、
前記混雑情報生成部により生成された混雑情報を、前記混雑情報リクエストを送信した端末装置に送信する送信部と、
をさらに備える、請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記抽出部は、さらに各ユーザの移動速度の情報に基づいて前記特定の列車に乗車するユーザの検出情報を抽出する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
現在の位置情報を取得する位置情報取得部と、
揺れを検出する揺れ検出部と、
前記位置情報取得部により取得された位置情報と、前記揺れ検知部により取得された揺れ検出データとを含む検出情報を送信する送信部と、
を有する複数の第1の端末装置と、
前記第1の端末装置により取得された前記検出情報の中から、特定の列車に乗車するユーザの前記検出情報を前記位置情報に基づいて抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された検出情報に含まれる前記揺れ検出データに基づいて、前記列車内におけるユーザの人数分布を推定する推定部と、
を有するサーバ装置と、
を備える、情報処理システム。
【請求項13】
前記特定の列車を決定するための情報を含む混雑情報リクエストを前記サーバ装置に送信し、前記混雑情報リクエストに応じて生成される混雑情報を取得する混雑情報取得部、
を有する第2の端末装置をさらに備え、
前記抽出部は、前記混雑情報リクエストに応じて前記特定の列車に乗車するユーザの前記検出情報を抽出し、
前記サーバ装置は、
前記推定部により推定された人数分布に基づいて、前記混雑情報を生成する混雑情報生成部と、
前記混雑情報生成部により生成された混雑情報を前記第2の端末装置に送信する送信部と、
をさらに有する、請求項12に記載の情報処理システム。
【請求項14】
前記第2の端末装置は、
前記混雑情報取得部により取得された混雑情報に基づいて経路を案内するナビゲーション部をさらに有する、請求項13に記載の情報処理システム。
【請求項15】
各ユーザの端末装置により取得された位置情報及び揺れ検出データを含む検出情報の中から、特定の列車に乗車するユーザの前記検出情報を前記位置情報に基づいて抽出することと、
抽出された検出情報に含まれる前記揺れ検出データに基づいて、前記列車内におけるユーザの人数分布を推定することと、
を含む、情報処理方法。
【請求項16】
コンピュータを、
各ユーザの端末装置により取得された位置情報及び揺れ検出データを含む検出情報の中から、特定の列車に乗車するユーザの前記検出情報を前記位置情報に基づいて抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された検出情報に含まれる前記揺れ検出データに基づいて、前記列車内におけるユーザの人数分布を推定する推定部と、
を備える、情報処理装置として機能させるためのプログラム。
【請求項17】
コンピュータを、
各ユーザの端末装置により取得された位置情報及び揺れ検出データを含む検出情報の中から、特定の列車に乗車するユーザの前記検出情報を前記位置情報に基づいて抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された検出情報に含まれる前記揺れ検出データに基づいて、前記列車内におけるユーザの人数分布を推定する推定部と、
を備える、情報処理装置として機能させるためのプログラムを記録した、コンピュータに読み取り可能な記録媒体。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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