情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び情報処理システム
【課題】血管の拡張や収縮、血流の増加や減少という血管や血流の状態を判定することが可能な情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び情報処理システムを提供すること。
【解決手段】本開示に係る情報処理装置は、被測定者の生体表面に所定波長の光を照射することで得られた当該光の反射率に関する測定データを利用し、前記光の反射率に対応する色相に応じて前記生体における血管の状態及び/又は血流の状態を判定する判定部を備える。
【解決手段】本開示に係る情報処理装置は、被測定者の生体表面に所定波長の光を照射することで得られた当該光の反射率に関する測定データを利用し、前記光の反射率に対応する色相に応じて前記生体における血管の状態及び/又は血流の状態を判定する判定部を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被測定者の体表面に光を照射し、体表面からの反射光を測定することによって、生体内の特定成分(例えば、血管中を流れる成分等)の濃度を非侵襲的に測定する装置が提案されている。
【0003】
例えば以下の特許文献1には、光学センサや分光光度計等を利用して、被測定者の血液中に存在するグルコースの濃度(すなわち、血糖値)を測定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2010−526646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような体表面からの反射光に基づいて例えば血管中を流れる特定成分の濃度を測定する場合を考える。この場合、「光の照射域に存在する特定成分の絶対量=血管中の特定成分の濃度×照射光が血管を透過する距離」というランベルト・ベールの法則に則して、特定成分の濃度が算出されることとなる。この際、「光の照射域に存在する特定成分の絶対量」が反射光の量に基づいて算出される値に対応するものであるが、「照射光が血管を透過する距離」が大きく変化しないことを暗に仮定して、血管中の特定成分の濃度が算出されることが多い。
【0006】
しかしながら、「光の照射域に存在する特定成分の絶対量」は、血管の拡張や収縮、血流の増加や減少といった被測定者の状態に応じて変化するものである。そのため、血管や血流の状態を考慮せずに濃度の算出処理を実施した場合には、特定成分の濃度を過大評価したり、過小評価したりすることとなる。従って、血管の拡張や収縮、血流の増加や減少といった被測定者の状態を容易に特定することが可能となれば、着目する特定成分の濃度をより正確に測定することが可能となる。
【0007】
そこで、本開示では、血管の拡張や収縮、血流の増加や減少という血管や血流の状態を判定することが可能な情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び情報処理システムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示によれば、被測定者の生体表面に所定波長の光を照射することで得られた当該光の反射率に関する測定データを利用し、前記光の反射率に対応する色相に応じて前記生体における血管の状態及び/又は血流の状態を判定する判定部を備える情報処理装置が提供される。
【0009】
また、本開示によれば、被測定者の生体表面に所定波長の光を照射することで得られた当該光の反射率に関する測定データを利用し、前記光の反射率に対応する色相に応じて前記生体における血管の状態及び/又は血流の状態を判定することを含む情報処理方法が提供される。
【0010】
また、本開示によれば、コンピュータに、被測定者の生体表面に所定波長の光を照射することで得られた当該光の反射率に関する測定データを利用し、前記光の反射率に対応する色相に応じて前記生体における血管の状態及び/又は血流の状態を判定する判定機能を実現させるためのプログラムが提供される。
【0011】
また、本開示によれば、被測定者の生体表面に所定波長の光を照射し、生体によって反射された光を検知することで前記光の反射率に関する測定データを生成する測定ユニットと、前記測定ユニットにより生成された前記光の反射率に関する測定データを利用し、当該光の反射率に対応する色相に応じて前記生体における血管の状態及び/又は血流の状態を判定する判定部を有する情報処理装置と、を備え、前記測定ユニットは、前記生体表面が載置された測定対象領域からの光が結像する受光素子と、前記受光素子の周囲に環状に配設され、前記測定対象領域に対して所定波長の光を放射する複数の発光素子と、を有し、前記複数の発光素子は、それぞれの前記発光素子からの放射発光の中心線が、前記測定対象領域の略中心を通過するように、前記測定対象領域の法線に対して傾けて配設される、情報処理システムが提供される。
【0012】
本開示によれば、被測定者の生体表面に所定波長の光を照射することで得られた当該光の反射率に関する測定データに基づいて、当該光の反射率に対応する色相が特定され、特定された色相に応じて、生体における血管の状態及び/又は血流の状態が判定される。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本開示によれば、血管の拡張や収縮、血流の増加や減少という血管や血流の状態を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】反射率に基づき特定した血中成分の濃度に関する知見について説明するためのグラフ図である。
【図2】本開示の第1の実施形態に係る情報処理システムについて示した説明図である。
【図3】同実施形態に係る情報処理装置の構成を示したブロック図である。
【図4】皮膚の反射率の波長特性について示したグラフ図である。
【図5】皮膚の反射率の波長特性について示したグラフ図である。
【図6】同実施形態に係る情報処理装置で実施される判定処理について説明するための説明図である。
【図7】同実施形態に係る情報処理装置で実施される判定処理について説明するための説明図である。
【図8】同実施形態に係る情報処理装置で実施される判定処理について説明するための説明図である。
【図9A】同実施形態に係る測定ユニットの一例を模式的に示した説明図である。
【図9B】同実施形態に係る測定ユニットの一例を模式的に示した説明図である。
【図10】同実施形態に係る測定ユニットの一例を模式的に示した説明図である。
【図11】同実施形態に係る測定ユニットの一例を模式的に示した説明図である。
【図12】同実施形態に係る測定ユニットの一例を模式的に示した説明図である。
【図13】同実施形態に係る情報処理方法の流れの一例を示した流れ図である。
【図14】本開示の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0016】
なお、説明は、以下の順序で行うものとする。
(1)反射率に基づき特定した血中成分の濃度に関する知見
(2)第1の実施形態
(2−1)情報処理システムについて
(2−2)情報処理装置について
(2−3)情報処理方法について
(2−4)測定ユニットの一例について
(3)本開示の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成について
【0017】
(反射率に基づき特定した血中成分の濃度に関する知見)
本開示の実施形態に係る情報処理システム、情報処理装置及び情報処理方法について説明するに先立ち、本発明者らによって得られた、反射率に基づき特定した血中成分の濃度に関する知見について、図1を参照しながら簡単に説明する。図1は、反射率に基づき特定した血中成分の濃度に関する知見について説明するためのグラフ図である。
【0018】
本発明者らは、被測定者の皮膚に対して可視光帯域の光を照射し、皮膚からの反射光に基づいて血中成分の濃度(以下の例では、血中のヘモグロビン濃度)を測定する技術の測定精度について検証するために、以下のような検討を行った。
【0019】
すなわち、統計学的に有意な人数の被測定者に対して、可視光帯域に属する光を体表面の一部に照射して反射率を測定するとともに、測定後直ちに採血を行うことで、反射率に基づいて算出したヘモグロビンの濃度と、採取した血液を分析することで得られたヘモグロビンの濃度と、をそれぞれ特定した。
【0020】
採血の分析により特定した濃度を横軸にとり、反射率に基づいて特定した濃度を縦軸にとった座標軸を考え、特定した2種類の濃度に対応する位置にプロットを行うことで、2種類の方法により特定した濃度の相関関係を示した散布図を得ることができる。
【0021】
実際に得られた濃度のデータに基づいて作成した散布図を模式的に示したものが、図1である。図1において、直線L1は、Y=Xという式で表される直線であり、直線L2及び直線L3は、それぞれ許容誤差を表した直線である。実際に得られた2種類の濃度の大きさをプロットしたところ、散布図上にプロットされた点は、図1に模式的に示したように、グループG1〜グループG3のいずれかに区分されることが明らかとなった。
【0022】
図1において、グループG1に属するプロットは、採血により特定した濃度と反射率から算出した濃度とがほぼ等しい値となり、両者の差分が誤差範囲内となったプロットに対応する。得られたデータのうち大部分のデータは、このグループG1に属するものとなった。しかしながら、得られたデータの中には、グループG2又はグループG3に属するデータが存在した。このうち、グループG2に属するプロットは、反射率から算出した濃度が、採血により特定した濃度よりも大きかった場合、換言すれば、反射率に基づく濃度算出方法により濃度が過大評価された場合に対応するものである。また、グループG3に属するプロットは、反射率から算出した濃度が、採血により特定した濃度よりも小さかった場合、換言すれば、反射率に基づく濃度算出方法により濃度が過小評価された場合に対応するものである。
【0023】
ここで、本発明者らは、測定結果がグループG2又はグループG3に属することとなった被測定者について検討を行ったところ、グループG2に属することとなった被測定者は、反射率の測定時に別途行った血圧検査にて高血圧であった人であり、グループG3に属することとなった被測定者は、反射率の測定時に別途行った血圧検査にて低血圧であった人であることが明らかとなった。高血圧である人は、血管が拡張し、血流が増大する傾向にある人であり、低血圧である人は、血管が収縮し、血流が減少する傾向にある人である。
【0024】
本発明者らは、このような知見に基づいて、グループG2又はグループG3に属することとなったデータに対応する反射率のスペクトルに着目したところ、以下で説明するように、これら2つのグループに特徴的な反射率の傾向が存在することに想到した。そこで、本発明者らは、得られた知見に基づいて更なる検討を行った結果、以下で説明するような、測定により得られた反射率を利用して血管の拡張・縮小や血流の増加・減少を判定する方法に想到することとなった。
【0025】
(第1の実施形態)
<情報処理システムについて>
以下では、まず、図2を参照しながら、本開示の第1の実施形態に係る情報処理システムについて説明する。図2は、本実施形態に係る情報処理システムについて示した説明図である。
【0026】
本実施形態に係る情報処理システム1は、図2に例示したように、情報処理装置10と、測定ユニット20と、を含む。
【0027】
情報処理装置10は、後述する測定ユニット20により測定された、生体Bの体表面(皮膚)からの反射率に関する測定データを利用して、生体の体表面近傍に位置する血管や血流の状態を判定する。また、情報処理装置10は、測定ユニット20により測定された反射率に関する測定データを利用して、生体の内部に存在する特定成分の濃度を算出することも可能である。この際、情報処理装置10は、血管や血流の状態に関する判定結果に応じて、算出した特定成分の濃度を補正する。
【0028】
更に、情報処理装置10は、各種のアプリケーションを実行することで、情報処理装置10の利用者に対して各種のサービスを提供することが可能であるが、情報処理装置10は、アプリケーションの実行に際して、血管や血流の状態の判定結果を、アプリケーション実行時の実行パラメータとして利用することができる。
【0029】
情報処理装置10の詳細な構成については、以下で改めて説明することとする。
【0030】
測定ユニット20は、生体Bの体表面に対して所定の波長帯域の光を照射し、体表面(皮膚)からの反射光を検知することで、体表面での光の反射率を測定する。この測定ユニット20としては、生体の体表面での光の反射率を測定可能なものであれば、公知のものを利用することが可能である。このような測定ユニットの例としては、体表面に対して例えば白色光を照射して、体表面からの反射光を分光することで、波長毎に反射率の大きさを測定する分光計を挙げることができる。また、このような測定ユニット20として、以下で具体例を挙げて説明するように、体表面に対して、皮膚の特性に特化した所定波長の光を適切な光量で選択的に照射して、侵襲の度合いをより低くした測定装置を利用することも可能である。
【0031】
測定ユニット20は、照射した光の皮膚での反射率に関する測定データを生成すると、生成したデータを情報処理装置10に出力する。
【0032】
なお、図2に示した例では、情報処理装置10と測定ユニット20とが互いに独立したものとして記載されているが、本実施形態に係る情報処理装置10の機能は、測定ユニット20の動作を制御するための制御装置の一機能として実現されていてもよく、測定ユニット20の筐体内に設けられた任意のコンピュータに実装されていてもよい。
【0033】
<情報処理装置について>
次に、図3〜図8を参照しながら、本実施形態に係る情報処理装置について、詳細に説明する。
図3は、本実施形態に係る情報処理装置10の構成を示したブロック図である。図3に示したように、情報処理装置10は、測定データ取得部101と、判定部103と、濃度算出部105と、結果出力部107と、表示制御部109と、記憶部111と、を備える。また、情報処理装置10は、これらの処理部に加えて、アプリケーション実行部113を更に備えていてもよい。
【0034】
測定データ取得部101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、通信装置等により実現される。測定データ取得部101は、測定ユニット20により測定された皮膚での光の反射率に関する測定データを、測定ユニット20から取得する。
【0035】
測定データ取得部101は、測定ユニット20から反射率に関する測定データを取得すると、取得した測定データを、後述する判定部103及び濃度算出部105に出力する。また、測定データ取得部101は、取得した測定データを、当該データを取得した日時に関する時刻情報と関連付けたうえで、履歴情報として記憶部111に格納してもよい。
【0036】
判定部103は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。判定部103は、測定データ取得部101から出力された、皮膚での光の反射率に関する測定データを利用し、当該光の反射率に対応する色相に応じて生体における血管の状態及び/又は血流の状態を判定する。
【0037】
以下、本実施形態に係る判定部103で実施される判定処理について、図4〜図8を参照しながら、具体的に説明する。
【0038】
図4は、可視光帯域(400nm〜700nm)における人間の皮膚の反射率を測定した測定結果を示したグラフ図である。図4から明らかなように、人間の皮膚は、400nm〜500nm近傍の帯域では反射率がなだらかに増加する。その後、波長約580nmまでは反射率がわずかに減少し、波長約580nmから650nm近傍までは反射率が急激に増加する。人間の皮膚は、図4に示したような特徴的な反射特性を有するものである。ここで、反射率が急激に増加する波長580nm超過〜650nm近傍までの波長帯域Bは、赤色の色相に対応する帯域である。
【0039】
本実施形態に係る判定部103は、図4に示したような人間の皮膚の特徴的な反射特性に着目し、赤色に対応する帯域である帯域B(例えば、波長580nm超過の帯域)での反射率と、帯域Bよりも短波長側に位置する帯域A(例えば、波長580nm以下の帯域)での反射率とを用いて、血管の拡張もしくは収縮、及び/又は、血流の増加もしくは減少を判定する。
【0040】
ここで、本実施形態に係る判定部103は、図4に示したような、反射率が波長毎に連続して推移する様子を測定した測定データ(換言すれば、人間の皮膚の反射スペクトル)を用いても良いし、連続的な測定データではなく特定の波長における反射率の値(換言すれば、離散的に測定された測定データ)を利用してもよい。離散的に測定された測定データを利用する場合に、どの波長での反射率に着目するかは適宜設定することが可能であるが、図4に示したスペクトルのうち、特徴的な波長位置での反射率を利用することが好ましい。
【0041】
図4に示したスペクトルのうち特徴的な波長位置は、反射率が急激に立ち上がる580nmの位置と、400nm〜500nmまでの反射率がなだらかに増加する部分の波長位置と、反射率が急激に増加している部分の波長位置である。このような特徴的な波長位置の一例として、例えば図5に示したような5点(500nm、540nm、580nm、620nm、660nm)を挙げることができる。ここで、波長500nmは青色に対応し、波長540nmは緑色に対応し、波長580nmは黄色に対応する。また、波長620nm及び660nmは赤色に対応している。このうち、波長500nm、540nm、580nmの3つの波長位置が、図4及び図5に示した帯域Aに属し、波長620nm及び660nmという2つの波長位置が、図4及び図5に示した帯域Bに属する。
【0042】
本発明者らは、図1に示したグループG2及びグループG3に該当する被測定者の皮膚の反射率に着目したところ、これらのグループに属する皮膚の反射率は概ね図4に示したような形状を有しているものの、反射率の値に特徴的な点があることに想到した。すなわち、図6に示したように、グループG2に属する被測定者は、血管拡張状態や血流増加状態に対応しているが、これらの被測定者の反射率は、「赤黒色」という色相に対応するような反射率特性を有していることが判明した。また、グループG3に属する被測定者は、血管収縮状態や血流減少状態に対応しているが、これらの被測定者の反射率は、「青白色」という色相に対応するような反射率特性を有していることが判明した。
【0043】
ここで、色相が「赤黒色」であるということは、帯域Aに属する反射率の大きさが、400nm〜700nmの可視光帯域において相対的に小さく、かつ、帯域Bに属する反射率の大きさが、帯域Aの反射率に比べて相対的に大きいという状態に対応する。また、色相が「青白色」であるということは、帯域Aに属する反射率の大きさが、400nm〜700nmの可視光帯域において相対的に大きく、かつ、帯域Bに属する反射率の大きさが、帯域Aの反射率に比べて、さほど乖離していないという状態に対応する。
【0044】
従って、図6に示した関係から、判定部103は、測定データ取得部101から出力された測定データの色相が「赤黒色」に対応するものであれば、着目している測定データに対応する被測定者の血管が拡張状態にあり、血流が増加している状態であると判定することができる。また、判定部103は、測定データ取得部101から出力された測定データの色相が「青白色」に対応するものであれば、着目している測定データに対応する被測定者の血管が収縮状態にあり、血流が減少している状態であると判定することができる。
【0045】
ここで、色相が「赤黒色」である状態、及び、色相が「青白色」である状態を具体的に規定すると、図7に示したようになる。
すなわち、判定部103は、測定データを参照して、以下の2つの条件(a)及び(b)が共に成立している場合に、反射率の色相が「赤黒色」であると特定し、着目している測定データに対応する被測定者の血管が拡張し、血流が増加していると判定する。また、判定部103は、測定データを参照して、以下の2つの条件(c)及び(d)が共に成立している場合に、反射率の色相が「青白色」であると特定し、着目している測定データに対応する被測定者の血管が収縮し、血流が減少していると判定する。また、判定部103は、測定データが、下記のいずれにも該当しない場合には、血管や血流の状態は通常の状態にあると判断する。
【0046】
・赤黒色:血管拡張/血流増加状態
(a)帯域Aの反射率が閾値TH1以下
(b)(帯域Bの反射率−帯域Aの反射率)の値が閾値TH2以上
・青白色:血管収縮/血流減少状態
(c)帯域Aの反射率が閾値TH3以上
(d)(帯域Bの反射率−帯域Aの反射率)の値が閾値TH4以下
【0047】
ここで、判定部103は、上記の条件が成立するか否かを判定する際に利用する反射率の値として、該当する帯域に属する全波長の反射率の最大値、最小値、平均値等を利用してもよい。また、判定部103は、上記の条件が成立するか否かを判定する際に利用する反射率の値として、図5に示したような特徴的な波長での反射率の最大値、最小値、平均値等を利用してもよい。
【0048】
例えば、判定部103が図8に示したような5つの波長における反射率R1〜R5を利用して判定を行う場合を考える。この場合において、波長500nm、波長540nm及び波長580nmが帯域Aに属し、波長620nm及び波長660nmが帯域Bに属するのは、前述の通りである。判定部103は、帯域Aに属する波長の反射率として、平均値(R1+R2+R3)×(1/3)を利用してもよいし、最大値R3を利用してもよいし、最小値R2を利用してもよい。同様に、判定部103は、帯域Bに属する波長の反射率として、平均値0.5×(R4+R5)を利用してもよいし、最大値R5を利用してもよいし、最小値R4を利用してもよい。
【0049】
ここで、上記4種類の閾値TH1〜TH4は、図1に示したグループG2及びグループG3に属する統計学的に有意な数の被測定者集団について反射率の測定を行い、得られた反射率の測定結果を解析することで、それぞれ決定することができる。
【0050】
また、上記4種類の閾値TH1〜TH4の設定値は、生体の構造の違いなどといった理由により、被測定者の性別によっても変化すると考えられるため、被測定者が男性であるか女性であるかに応じて、これらの閾値TH1〜TH4の設定値を変化させてもよい。
【0051】
本発明者らが、ある被測定者の集団に対して解析を行って上記閾値等を決定したところ、例えば以下のような値を得ることができた。なお、以下の具体的な条件は、あくまでも一具体例であって、条件判定に用いられる反射率の組み合わせや閾値の設定値は、下記の例に限定されるわけではない。
【0052】
[男性]
・赤黒色:血管拡張/血流増加状態
(a)波長540nmの反射率R2≦26%
(b)(波長620nmの反射率R4−波長580nmの反射率R3)≧16%
・青白色:血管収縮/血流減少状態
(c)波長540nmの反射率R2≧27%
(d)(波長620nmの反射率R4−波長580nmの反射率R3)≧15.5%
【0053】
[女性]
・赤黒色:血管拡張/血流増加状態
(a)波長540nmの反射率R2≦28%
(b)(波長660nmの反射率R5−波長540nmの反射率R2)≧23.5%
・青白色:血管収縮/血流減少状態
(c)波長620nmの反射率R3≧50%
(d)(波長620nmの反射率R4−波長580nmの反射率R3)≧14%
【0054】
本実施形態に係る判定部103は、上記のような条件判定により、測定データに対応する被測定者の血管状態や血流状態を判定すると、得られた判定結果を後述する濃度算出部105、結果出力部107及びアプリケーション実行部113に出力する。また、判定部103は、得られた判定結果を、当該判定結果を生成した日時に関する時刻情報と関連付けたうえで、履歴情報として記憶部111に格納してもよい。
【0055】
再び図3に戻って、本実施形態に係る濃度算出部105について説明する。
本実施形態に係る濃度算出部105は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。濃度算出部105は、測定データ取得部101から出力された、光の反射率に関する測定データを利用して、測定部位での測定対象成分の濃度を算出する。濃度算出部105が濃度を算出する測定対象成分としては、例えば、糖化ヘモグロビン、酸化ヘモグロビン、還元ヘモグロビン等といったヘモグロビン類のような各種の血中成分や、皮膚中のメラニン等を挙げることができる。濃度算出部105は、これらの測定対象成分以外にも、皮膚での光の反射率から算出できる成分であれば、任意の成分の濃度を算出することができる。
【0056】
濃度算出部105が測定対象成分の濃度を算出する際には、公知のあらゆる濃度算出方法を利用することが可能であるが、例えば、以下のような方法を利用することができる。
【0057】
なお、以下では、濃度算出部105が、測定データ取得部101が取得した測定データを利用して、メラニン、還元ヘモグロビン、酸化ヘモグロビン、糖化ヘモグロビンの4種類の測定対象成分の濃度を算出する場合を例にとって、具体的に説明する。
【0058】
ランベルト・ベールの法則より、測定された反射率をtとし、単位光路長あたりの濃度をcl(単位:mol/L・cm)とし、モル吸光係数をεとすると、以下の式101が成立する。
【0059】
log(1/t)=ε・cl ・・・(式101)
【0060】
また、メラニン、還元ヘモグロビン、酸化ヘモグロビン、糖化ヘモグロビンのモル吸光係数及び単位光路長あたりの濃度を以下のように表記するものとする。
【0061】
・メラニン
モル吸光係数:ε1、単位光路長あたりの濃度:Mn
・還元ヘモグロビン
モル吸光係数:ε2、単位光路長あたりの濃度:Hb
・酸化ヘモグロビン
モル吸光係数:ε3、単位光路長あたりの濃度:HbO2
・糖化ヘモグロビン
モル吸光係数:ε4、単位光路長あたりの濃度:HbAlc
【0062】
測定データにおけるある波長での反射率をSと表すこととし、人体内界面反射率をDと表すこととすると、上記式101より、着目している波長毎に以下の式102が成立することとなる。
【0063】
Mn・ε1+Hb・ε2+HbO2・ε3+HbAlc・ε4+D=−logS
・・・(式102)
【0064】
従って、濃度算出部105は、後述する記憶部111等から測定対象成分のモル吸光係数を取得するとともに、着目している波長(例えば、図5に示した5波長)についてそれぞれ上記式102を考慮することにより、一連の連立方程式を得ることができる。濃度算出部105は、この連立方程式を解くことにより、測定対象成分の濃度(すなわち、単位光路長あたりの濃度)を算出することができる。
【0065】
ここで、判定部103により被測定者が血管拡張・血流増加状態にあると判定された場合を考える。この場合、図1におけるグループG2の知見から明らかなように、上述のようにして算出された測定対象成分の濃度は、血管拡張・血流増加の影響が反映され、算出された濃度は、過大評価されたものとなっている。
【0066】
逆に、判定部103により被測定者が血管収縮・血流減少状態にあると判定された場合を考える。この場合、図1におけるグループG3の知見から明らかなように、上述のようにして算出された測定対象成分の濃度は、血管収縮・血流減少の影響が反映され、算出された濃度は、過小評価されたものとなっている。
【0067】
従って、濃度算出部105は、判定部103により被測定者が血管拡張・血流増加状態にあると判定された場合には、上述のようにして算出した濃度を所定の補正係数α1で除することで血管拡張・血流増加の影響を取り除き、補正後の濃度を算出する。また、濃度算出部105は、判定部103により被測定者が血管収縮・血流減少状態にあると判定された場合には、上述のようにして算出した濃度に対して所定の補正係数α2を乗ずることで血管収縮・血流減少の影響を取り除き、補正後の濃度を算出する。
【0068】
ここで、濃度算出部105が濃度補正に利用する補正係数は、以下のようにして決定することが可能である。
すなわち、図1に示したような散布図において、グループG3に属する各プロットを特定し、各プロットについて、反射率に基づいて算出された濃度cを許容誤差範囲内の値とするために、濃度cに掛けるべき値kを算出する。グループG3に属する各プロットについて掛けるべき値kをそれぞれ特定した後、これらの値を利用して、グループG3に属する各プロットがグループG1に属するようにするために用いられる尤もらしい補正係数を推定する。このような推定を行うことにより、血管収縮・血流減少の影響を取り除くための補正係数α2を決定することができる。同様の処理をグループG2に属する各プロットに対しても実施することで、血管拡張・血流増加の影響を取り除くための補正係数α1を決定することができる。
【0069】
本発明者らが、ある被測定者の集団に対して解析を行って上記補正係数等を決定したところ、例えばα1=α2=1.3という値を得ることができた。なお、この補正係数はあくまでも一具体例であって、濃度補正処理に用いられる係数が上記の値に限定されるわけではない。
【0070】
濃度算出部105は、以上説明したようにして測定対象成分の濃度を算出し、必要に応じて濃度補正処理を行うと、得られた濃度の算出結果を、後述する結果出力部107に出力する。また、濃度算出部105は、得られた濃度算出結果を、当該濃度を算出した日時に関する時刻情報と関連付けたうえで、履歴情報として記憶部111に格納してもよい。
【0071】
結果出力部107は、例えば、CPU、ROM、RAM、出力装置、通信装置等により実現される。結果出力部107は、判定部103から出力された血管や血流の状態に関する判定結果や、濃度算出部105から出力された測定対象成分の濃度の算出結果を、情報処理装置10のユーザに出力する。
【0072】
例えば、結果出力部107は、判定部103による判定結果や、濃度算出部105による濃度算出結果を、後述する表示制御部109を介してディスプレイ等の表示装置に出力する。また、結果出力部107は、判定部103による判定結果や、濃度算出部105による濃度算出結果を、情報処理装置10の外部に設けられた他の装置に、各種のネットワーク等を介して出力してもよい。また、結果出力部107は、判定部103による判定結果や、濃度算出部105による濃度算出結果を、プリンタ等の出力装置を介して印刷物として出力してもよい。
【0073】
表示制御部109は、例えば、CPU、ROM、RAM、出力装置、通信装置等により実現される、表示制御部109は、情報処理装置10が備えるディスプレイ等の表示装置や、情報処理装置10の外部に設けられたディスプレイ等の表示装置における表示画面の表示制御を行う。より詳細には、表示制御部109は、判定部103から出力された判定結果や濃度算出部105から出力された濃度算出結果に関する情報に基づいて、表示画面の表示制御を実施する。表示制御部109がこれらの処理結果の表示画面への表示制御を行うことで、情報処理装置10のユーザは、判定部103による判定結果や濃度算出部105による濃度算出結果を把握することが可能となる。
【0074】
記憶部111は、例えば本実施形態に係る情報処理装置10が備えるRAMやストレージ装置等により実現される。この記憶部111には、濃度算出部105が濃度算出処理に利用する測定対象成分のモル吸光係数や色パターンといった各種の情報や、後述するアプリケーション実行部113が実施する各種のアプリケーションに対応する実行データが格納されている。また、記憶部111には、情報処理装置10が何らかの処理を行う際に保存する必要が生じた様々なパラメータや処理の途中経過等、又は、各種のデータベース等が適宜格納される。この記憶部111は、本実施形態に係る情報処理装置10が備える各処理部が、自由に読み書きできるように構成されている。
【0075】
アプリケーション実行部113は、例えば、CPU、ROM、RAM、通信装置等により実現される。アプリケーション実行部113は、判定部103による判定結果や、濃度算出部105による濃度算出結果を利用するアプリケーションを実行して、情報処理装置10のユーザに各種のサービスを提供する。
【0076】
具体的には、アプリケーション実行部113は、例えば判定部103による判定結果や、濃度算出部105による濃度算出結果の時間的な推移を表示画面に表示させることで、情報処理装置10のユーザの健康管理を補助するアプリケーションを実施する。本実施形態に係る情報処理装置10では、血管状態や血流状態を測定した反射率に基づいて容易に判定することが可能となるため、このような判定結果自体を、ユーザの健康管理等に寄与する指標として用いることが可能となる。また、血管状態や血流状態の影響を取り除いた成分濃度を算出することができるため、より正確な値を利用した体調管理の補助サービスを提供することが可能となる。
【0077】
また、アプリケーション実行部113は、判定部103による判定結果や、濃度算出部105による濃度算出結果を利用して、被測定者の首、肩、腰などのコリの有無を判定するアプリケーションを実行することができる。すなわち、本実施形態に係る情報処理装置10では、血流の状態及びヘモグロビン濃度の多少を特定することが可能となる。ここで、血流が少なく、ヘモグロビン濃度も小さい場合には、被測定者は新陳代謝が悪く、筋肉に老廃物が蓄積しやすい状態にあると判断することが可能となる。従って、かかる場合には、情報処理装置10のユーザに対して、体にコリが発生しつつある旨を通知することが可能となる。また、血流が多く、ヘモグロビン濃度も大きい場合には、被測定者は新陳代謝が良いと考えられるため、その旨をユーザに通知することができる。
【0078】
また、アプリケーション実行部113は、判定部103による判定結果や、濃度算出部105による濃度算出結果を利用して、ユーザの興奮度を特定し、特定した興奮度をアプリケーションの実行パラメータに反映させることができる。すなわち、本実施形態に係る情報処理装置10では、血流の急激な増加・減少を把握することが可能となるため、このような血流の変化を定期的に測定することで、ユーザが興奮状態にあるか否かを判断することができる。このような判断結果を、例えばゲームのようなアプリケーションの実行パラメータとして利用したりユーザに提示したりすることができる。
【0079】
なお、以上のようなアプリケーションの具体例は、あくまでも一例であって、本実施形態に係るアプリケーション実行部113が実行するアプリケーションは、上記例に限定されるわけではない。
【0080】
また、上記測定データ取得部101、判定部103、濃度算出部105、結果出力部107、表示制御部109、記憶部111及びアプリケーション実行部113の機能は、それぞれのハードウェアがネットワークを介して互いに情報を送受信できるならば、いずれのハードウェアに実装されてもよい。また、ある処理部により実施される処理が、1つのハードウェアにより実現されてもよいし、複数のハードウェアによる分散処理により実現されてもよい。
【0081】
以上、本実施形態に係る情報処理装置10の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU等が全て行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0082】
なお、上述のような本実施形態に係る情報処理装置の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0083】
<測定ユニットの一例について>
続いて、図9A及び図9Bを参照しながら、本実施形態に係る測定ユニット20の一例について説明する。図9A及び図9Bは、本実施形態に係る測定ユニット20の全体構成を模式的に示した説明図である。
【0084】
[測定ユニットの全体構成]
本実施形態に係る測定ユニット20は、図9Aに示したように、任意の材質からなる筺体21を有しており、筺体21の一部には、開口部23が設けられている。図9Aにおいて、開口部23の形状は円形状であるが、開口部23の形状は円形状に限定されるわけではなく、多角形形状であっても、楕円形状であってもよい。この開口部23の部分に測定対象物(例えば、人体の皮膚面等)が載置され、本実施形態に係る測定ユニット20は、載置された測定対象物に対して、測定を実施する。なお、開口部23の貫通孔の大きさであるが、後述する光学系200が有する受光素子の大きさに応じて、適宜決定すればよい。
【0085】
図9Bは、図9AをA−A切断線で切断した断面を示した断面図である。
図9Bに示したように、筺体21の内部は中空となっており、筺体21の内部に、本実施形態に係る測定ユニット20の光学系200が実装されている。また、筺体21の内壁は、光学系200からの漏れ光の反射を抑制するために、黒、又は、黒に準ずる暗い色調の色とすることが好ましい。
【0086】
ここで、筺体21の内部に実装されている光学系200については、以下で改めて詳細に説明する。また、図9Bでは、筺体21の内部に光学系200のみが存在するように図示されているが、筺体21の内部には、光学系200での測定処理に影響を与えない範囲で、光学系200以外にも任意のユニットが実装されていてもよい。
【0087】
[光学系の構成について]
続いて、図10を参照しながら、本実施形態に係る測定ユニット20が備える光学系について、詳細に説明する。図10は、本実施形態に係る測定装置が備える光学系の一例を示した説明図である。
【0088】
図10上段は、本実施形態に係る光学系200を、開口部23の側から見た場合の平面図であり、図10下段は、本実施形態に係る光学系200を、図10上段の中心線で切断した場合の断面図である。なお、図10に示した例では、開口部23に人体の皮膚面が載置され、開口部23に載置された皮膚面Bが測定対象領域となっている場合について説明する。
【0089】
図10に示したように、本実施形態に係る光学系200は、基板等の任意の形状を有する収容ユニットに配置された受光素子201と、基板等の任意の形状を有する収容ユニットに配置された複数の発光素子203と、を有している。
【0090】
受光素子201には、測定対象物の載置された測定対象領域からの光(反射光)が結像する。受光素子201は、受光面に結像した光の光量等に応じて、結像した光の光量を表すデータ等を生成する。このような受光素子201として、例えばフォトダイオードを挙げることができるが、本実施形態に係る受光素子201は、上記のものに限定されるわけではなく、他の光センサを利用することも可能である。また、受光素子201は、受光面に結像した光の光量ではなく、結像した光の輝度値など他の物理量を計測するものであってもよい。
【0091】
この受光素子201は、図10に示したように、測定ユニット20の筺体21に設けられた開口部23と対向するように配設される。換言すれば、受光素子201は、開口部23と略平行に対向するように配設される。また、受光素子201の大きさは、開口部23として設けられた貫通孔に応じて適宜決定すればよく、例えば、10mm×10mm等の小型の光センサを利用することも可能である。このような小型のサイズの光センサを利用する場合には、開口部23の大きさは、例えば10mmφとすることが好ましい。
【0092】
図10上段に示したように、受光素子201の周囲には、複数の発光素子203が環状に配設されている。発光素子203として、例えば、発光ダイオード(LED)を利用することが可能である。
【0093】
これらの発光素子203は、開口部23の中心205を中心として、等間隔で均等に配置される。例えば、発光素子203は、開口部23の中心205を中心として、(90/N)°間隔で4N個(Nは、1以上の整数)配設される。受光素子201の周囲に配置する発光素子203の個数は、受光素子201の大きさや測定ユニット20自体の大きさ等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、18°間隔で20個配置することが好ましい。
【0094】
また、発光素子203が放射する光の波長は、測定対象物のどのような特徴を測定するのかに応じて適宜選択すればよいが、例えば、可視光帯域(400nm〜700nm程度)の光を放射可能な発光素子を用いることが好ましい。
【0095】
これら複数の発光素子203は、図10下段に示したように、各発光素子203からの放射発光の中心線Lが測定対象領域の中心205を通過するように、測定対象領域の法線に対して傾けて配置される。また、各発光素子203からの放射発光の測定対象領域におけるスポットの大きさは、図10下段に示したように、開口部23の大きさと略同一となる(ほぼ重なる)ことが好ましい。なお、図10下段では、放射発光の中心線Lと測定対象領域の法線とのなす角度をθと表記している。以下では、この角度θを、発光素子203の設置角度と称することとする。
【0096】
発光素子203の設置角度は、測定対象領域と受光素子201との離隔距離(図10下段における距離d)に応じて設定される。すなわち、上記離隔距離dが所定の閾値(例えば、20mm)以下である場合、設置角度θを45°とし、離隔距離が所定の閾値(例えば、20mm)超過である場合、設置角度θを45°未満(好ましくは、20°〜30°)とすることができる。この設置角度θは、着目する波長それぞれについて、積分球を用いて測定した場合の反射率に基づき、積分球を用いた場合とほぼ同等の反射率を得ることが可能な角度を特定することで、決定することができる。
【0097】
なお、測定ユニットの小型化を目的としないのであれば、測定対象領域と受光素子201との離隔距離は、いくらでも大きな値に設定することが可能であるが、本実施形態に係る測定ユニット20の場合、離隔距離dの上限を40mm程度とすることが好ましい。
【0098】
また、本実施形態に係る測定ユニット20の発光素子203は、低い開口数の光を放射可能であることが好ましい。低い開口数の光は、発光素子203の発光自体により実現されていてもよく、発光素子に所定の集光レンズを組み合わせることで実現されていてもよい。この発光素子203の放射発光の開口数NAは、反射率の設置角度依存性を示すグラフを作成し、設置角度依存性を示す曲線が積分球を用いて測定した反射率の測定結果と交差するように設定することができる。このような開口数NAを決定することで、反射率の設置角度依存性を示す曲線は、積分球を用いて測定した反射率の測定結果と交差することとなり、適切な設置角度θを決定することが可能となる。なお、開口数NAの具体的な値は、測定ユニット20の大きさ等に応じて適宜設定することとなるが、例えば、0.2〜0.3程度とすることが好ましい。
【0099】
ここで、本実施形態に係る測定ユニット20では、例えば図5に示した5種類の波長の光を照射することで、人間の皮膚を効率良く測定する。なお、図5に示した5種類の波長は、人間の血中に存在する酸化ヘモグロビン、糖化ヘモグロビン、還元ヘモグロビン等の各種のヘモグロビンを測定対象とする場合にも有用な波長である。
【0100】
以上説明したように、本実施形態に係る測定ユニット20の光学系200では、4N個の発光素子203から測定対象領域に向かってN種類の波長の光が放射されるが、N種類の波長の照射タイミングをずらして、測定対象領域に対して光が照射されることが好ましい。1つのパルス波形が発光素子203に入力されることで発光素子203が所定波長の光を放射する場合に、N種類の波長を、時分割により、N個のパルス波形を用いて発光させることが好ましい。この際に、1回の照射で測定に十分な光量を確保するために、各波長λNでは、パルス波形の幅を例えば1ミリ秒(ms)以上とすることが好ましい。また、異なる波長の光同士の混色を防止するために、t番目の波長λtに関するパルス波形の時間的位置と、t+1番目の波長λt+1に関するパルス波形の時間的位置とは、例えば2ミリ秒以上とすることが好ましい。
【0101】
以上説明したような時分割による発光制御を行うことで、N種類の波長の光が測定対象領域に対して順に照射され、各波長に対応する反射光が、受光素子201に結像することとなる。その結果、受光素子201では、各波長に対応する反射光の光量を正確に測定することが可能となる。
【0102】
このように、本実施形態に係る測定ユニット20では、N種類の波長の光を測定対象領域に対して順に照射し、各波長に対応する反射光を受光素子で測定することで、測定対象領域に載置された測定対象物の光学的な情報を取得することができる。また、測定対象とする現象や物体に特徴的な波長を予め選択しておいた上で測定を実施するため、本実施形態に係る測定ユニット20では、積分球や回折格子などといった光学ユニットが不要となり、装置の小型化を実現することができる。また、N種類の波長の光の光源として発光ダイオードを利用することが可能であるため、4N個の発光素子を実装する場合であっても、省電力化及び低コスト化を図ることが可能である。
【0103】
なお、図9A〜図10に示した測定ユニット20は、N種類の波長の光を互いに異なるタイミングで測定対象領域に対して照射し、測定対象領域に載置された測定対象物の測定を行うものであった。以下で説明する測定ユニット20の第1変形例は、4N個の発光素子が同時に同一の波長を有する光を測定対象領域に対して照射し、測定対象領域に載置された測定対象物の測定を行うものである。この際、測定ユニット20では、受光素子201の直前に光学フィルタを配設することで、着目するN種類の波長の選択を行っている。
【0104】
以下では、まず、図11を参照しながら、本変形例に係る測定ユニット20が備える光学系200の構成について、詳細に説明する。図11は、本変形例に係る測定ユニットが備える光学系の一例を示した説明図である。
【0105】
図11上段は、本変形例に係る光学系200を、開口部23の側から見た場合の平面図であり、図11下段は、本変形例に係る光学系200を、図11上段の中心線で切断した場合の断面図である。なお、図11に示した例においても、開口部23に人体の皮膚面が載置され、開口部23に載置された皮膚面が測定対象領域となっている場合について説明する。
【0106】
本変形例に係る光学系200は、図11に示したように、基板等の任意の形状を有する収容ユニットに配置された受光素子201と、基板等の任意の形状を有する収容ユニットに配置された複数の発光素子203と、を有している。また、受光素子201の受光面の上部(図11下段におけるz軸正方向)には、光学フィルタ211及びコリメートレンズ213が設けられている。
【0107】
受光素子201には、測定対象領域に載置された測定対象物からの反射光のうちコリメートレンズ213及び光学フィルタ211を透過した光が結像する。受光素子201は、受光面に結像した光の光量等に応じて、結像した光の光量を表すデータ等を生成する。このような受光素子201として、例えばフォトダイオードを挙げることができるが、本変形例に係る受光素子201は、上記のものに限定されるわけではなく、他の光センサを利用することも可能である。
【0108】
この受光素子201は、上述の場合と同様にして、測定ユニット20の筺体21に設けられた開口部23と対向するように配設される。
【0109】
図11上段に示したように、受光素子201の周囲には、互いに同一の発光特性を有する複数の発光素子203が、環状に配設されている。かかる発光素子203として、上述の場合と同様に、例えば発光ダイオードを利用することができる。
【0110】
これらの発光素子203は、開口部23の中心205を中心として、等間隔で均等に配置される。例えば、発光素子203は、開口部23の中心205を中心として、(90/N)°間隔で4N個(Nは、1以上の整数)配設される。受光素子201の周囲に配置する発光素子203の個数は、受光素子201の大きさや測定ユニット20自体の大きさ等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、18°間隔で20個配置することが好ましい。
【0111】
また、発光素子203が放射する光の波長は、測定対象物のどのような特徴を測定するのかに応じて適宜選択すればよいが、測定対象に特徴的な波長を包括する波長帯域の光を放射可能な発光素子203を用いることが好ましい。本変形例に係る発光素子203として、例えば白色発光素子を利用することで、測定対象に特徴的な波長が可視光帯域(400nm〜700nm程度)内に存在するものを測定することができる。
【0112】
これら複数の発光素子203は、図11下段に示したように、各発光素子203からの放射発光の中心線Lが測定対象領域の中心205を通過するように、測定対象領域の法線に対して傾けて配置される。また、各発光素子203からの放射発光の測定対象領域におけるスポットの大きさは、図11下段に示したように、開口部23の大きさと略同一となる(ほぼ重なる)ことが好ましい。
【0113】
また、発光素子203の設置角度θ及び開口数NAについては、上述の場合と同様の数値範囲とすることが好ましい。
【0114】
これら複数の発光素子203は、上述のように同一の波長特性を有する光を放射するものであり、複数の発光素子203は同時に発光することが好ましい。そのため、1つのパルス波形が発光素子203に入力されることで発光素子203が白色光を放射する場合に、N個のパルス波形を複数の発光素子203に同時に入力することで、複数の発光素子203を同時に発光させる。この際に、1回の照射で測定に十分な光量を確保するために、パルス波形の幅を例えば1ミリ秒(ms)以上とすることが好ましい。
【0115】
ここで、本変形例に係る測定ユニット20においても、測定対象とするもの(例えば、人間の皮膚面)に特徴的な波長に着目して測定処理を実施するわけであるが、以下の説明では、測定対象に特徴的な波長が、N個存在するものとする。かかる場合において、本変形例に係る測定ユニット20の光学系200は、同一の波長特性を有する(例えば、白色発光する)発光素子203からの発光が測定対象面により反射された反射光を利用して、N個の特徴的な波長について、光量等を測定する。
【0116】
本変形例に係る光学系200では、白色光源を利用した反射光から、着目している波長の光を選択するために、図11下段に示したように、光学フィルタ211を利用する。この光学フィルタ211は、着目している波長の個数の分だけ、受光素子201の受光面の上部に設けられる。本変形例では、N種類の特徴的な波長に着目しているので、N種類の光学フィルタ211が用いられることとなる。
【0117】
光学フィルタ211は、上記説明のように、特定の波長帯域の光を透過させる光学素子(例えば、バンドパスフィルタ)である。本変形例に係る光学系200では、測定対象に特徴的な波長として着目している波長帯域に応じて、光学フィルタ211を適宜選択することが可能である。本変形例ではN種類の波長に着目しているため、N種類の波長それぞれを個別に透過させるN種類の光学フィルタ211が選択されることとなる。
【0118】
ここで、各光学フィルタ211について、フィルタを透過する光の波長帯域の広さは、着目している波長の特性に応じて、適宜設定すればよい。
【0119】
光学フィルタ211を透過した反射光は、受光素子201の特定の領域に結像することとなる。従って、本変形例に係る測定ユニット20は、受光素子201と複数の光学フィルタ211のそれぞれとの位置関係を把握しておくことで、受光素子201のどの領域に結像した光が、どの波長帯域に該当する光であるのかを特定することができる。
【0120】
また、測定対象面からの反射光(拡散反射光)を効率良く光学フィルタ211に入射させるために、光学フィルタ211の上流側(図11下段においてz軸正方向側)に、ロッドレンズ等のコリメートレンズ213を配置してもよい。コリメートレンズ213に入射した拡散反射光は、コリメートレンズ213により平行光線となり、光学フィルタ211に入射することとなる。
【0121】
次に、上述の場合と同様に人間の皮膚面を測定対象とした場合を例に挙げて、本変形例に係る光学系200、特に、受光素子201及び光学フィルタ211、について、具体的に説明する。
【0122】
図4及び図5等で説明したように、人間の皮膚面からの反射光で特徴的な波長は、500nm、540nm、580nm、620nm及び660nmの5種類である。そこで、かかる5種類の波長の光の光量等を測定するために、図12の上段に示したように、受光素子201を5つの領域201A〜201Eに区分する。これら5つの領域は、受光素子201において物理的に区分されていてもよく、仮想的に(処理の都合として)5つの領域に区分されているものであってもよい。受光素子201の5つの領域のうち、例えば領域201Aが波長Aの光が結像する領域となり、領域201Bが波長Bの光が結像する領域となる。ここで、受光素子201として10mm×10mmの大きさのフォトダイオードを利用する場合には、このフォトダイオードを、2×10mmごとに5つの領域に区分することができる。
【0123】
なお、図12上段では、受光素子201として利用されるフォトダイオードが、短冊状に5つの領域に均等に区分された場合について図示しているが、領域の形状は、図12に示したような矩形形状に限定されるわけではない。
【0124】
このような5種類の受光領域に該当する波長の光が結像するように、図12に示したように、光学フィルタ211として5種類のバンドパスフィルタが使用される。以下の説明では、波長Aが中心波長500nmに対応するものとし、順に、波長Bが中心波長540nmに対応し、波長Cが中心波長580nmに対応し、波長Dが中心波長620nmに対応し、波長Eが中心波長660nmに対応するものとする。なお、この並び順は便宜的なものであって、どの領域がどの中心波長に対応するかは、適宜決定することができる。
【0125】
これら5種類の光学フィルタ211は、図11及び図12の下段に示したように、受光面対応する領域の上部(例えば、直上)に配置される。これにより、例えば、領域201Aの直上に設けられた光学フィルタ211に入射した白色反射光は、500nmを中心波長とした所定幅の光のみが光学フィルタ211を透過することとなり、領域201Aには、500nmを中心波長とした所定幅の光が結像することとなる。なお、図12では、図示の関係上、便宜的に受光素子201と光学フィルタ211との間に間隙を設けて図示しているが、光学フィルタ211は、受光素子201の直上に設けられてもよく、図示のように所定の間隙を空けて設けられてもよい。
【0126】
また、光学フィルタ211の上部には、先に説明したように、拡散反射光をコリメートするためのコリメートレンズ213が適宜設けられる。
【0127】
以上、図11及び図12を参照しながら、本変形例に係る測定ユニット20について、詳細に説明した。本変形例に係る測定ユニット20では、同一の波長特性を有する光を測定対象領域に対して同時に照射し、受光素子の前段に設けられた光学フィルタにより波長を選択することで、測定対象領域に載置された測定対象物の光学的な情報を取得することができる。また、測定対象とする現象や物体に特徴的な波長を予め選択しておいた上で測定を実施するため、本実施形態に係る測定装置1では、積分球や回折格子などといった光学ユニットが不要となり、装置の小型化を実現することができる。また、発光素子として発光ダイオードを利用することが可能であるため、4N個の発光素子を実装する場合であっても、省電力化及び低コスト化を図ることが可能である。
【0128】
<情報処理方法について>
続いて、図13を参照しながら、本実施形態に係る情報処理装置10で実施される情報処理方法の流れの一例について説明する。図13は、本実施形態に係る情報処理方法の流れの一例を示した流れ図である。
【0129】
本実施形態に係る情報処理装置10の測定データ取得部101は、測定ユニット20から、測定ユニット20が測定した生体での光の反射率に関する測定データを取得する(ステップS101)。その後、測定データ取得部101は、取得した測定データを、判定部103に出力する。
【0130】
判定部103は、測定データ取得部101から出力された測定データを参照して、所定の波長帯域(例えば、400nm〜700nm全体の帯域や、図5に示した5種類の波長)での反射率を特定する(ステップS103)。その後、判定部103は、特定した反射率を利用して、上記条件が成立するか否かを判定することで、血管状態や血流状態を判定する(ステップS105)。
【0131】
判定部103は、血管状態や血流状態に関する判定結果を、濃度算出部105やアプリケーション実行部113に出力する。濃度算出部105やアプリケーション実行部113は、判定部103により得られた判定結果を利用して、各種の処理を実施する(ステップS107)。
【0132】
例えば、濃度算出部105は、測定データ取得部101が取得した測定データを利用して、各種ヘモグロビンやメラニン等の測定対象成分の濃度を算出する。この際、判定部103による判定結果が、血管の拡張や血流の増加を示すものであった場合、又は、血管の収縮や血流の減少を示すものであった場合に、濃度算出部105は、算出した測定対象成分の濃度を補正して、得られた補正後の濃度を、測定対象成分の推定濃度とする。
【0133】
また、アプリケーション実行部113は、判定部103による判定結果を利用して、首、肩、腰等のコリを判定したり、判定部103による判定結果を利用してユーザの興奮度を特定してゲームに適用したりする。
【0134】
このように、本実施形態に係る情報処理方法では、皮膚での光の反射率の測定結果に基づいて、被測定者の血管状態や血流状態を容易に判定することが可能となり、得られた判定結果を各種の処理に利用することが可能となる。
【0135】
(ハードウェア構成について)
次に、図14を参照しながら、本開示の実施形態に係る情報処理装置10のハードウェア構成について、詳細に説明する。図14は、本開示の実施形態に係る情報処理装置10のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。
【0136】
情報処理装置10は、主に、CPU901と、ROM903と、RAM905と、を備える。また、情報処理装置10は、更に、ホストバス907と、ブリッジ909と、外部バス911と、インターフェース913と、入力装置915と、出力装置917と、ストレージ装置919と、ドライブ921と、接続ポート923と、通信装置925とを備える。
【0137】
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、ROM903、RAM905、ストレージ装置919、又はリムーバブル記録媒体927に記録された各種プログラムに従って、情報処理装置10内の動作全般またはその一部を制御する。ROM903は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM905は、CPU901が使用するプログラムや、プログラムの実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバス等の内部バスにより構成されるホストバス907により相互に接続されている。
【0138】
ホストバス907は、ブリッジ909を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス911に接続されている。
【0139】
入力装置915は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ及びレバーなどユーザが操作する操作手段である。また、入力装置915は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール手段(いわゆる、リモコン)であってもよいし、情報処理装置10の操作に対応した携帯電話やPDA等の外部接続機器929であってもよい。さらに、入力装置915は、例えば、上記の操作手段を用いてユーザにより入力された情報に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などから構成されている。情報処理装置10のユーザは、この入力装置915を操作することにより、情報処理装置10に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0140】
出力装置917は、取得した情報をユーザに対して視覚的または聴覚的に通知することが可能な装置で構成される。このような装置として、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置およびランプなどの表示装置や、スピーカ及びヘッドホンなどの音声出力装置や、プリンタ装置、携帯電話、ファクシミリなどがある。出力装置917は、例えば、情報処理装置10が行った各種処理により得られた結果を出力する。具体的には、表示装置は、情報処理装置10が行った各種処理により得られた結果を、テキスト又はイメージで表示する。他方、音声出力装置は、再生された音声データや音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して出力する。
【0141】
ストレージ装置919は、情報処理装置10の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置919は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイス等により構成される。このストレージ装置919は、CPU901が実行するプログラムや各種データ、及び外部から取得した各種のデータなどを格納する。
【0142】
ドライブ921は、記録媒体用リーダライタであり、情報処理装置10に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ921は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体927に記録されている情報を読み出して、RAM905に出力する。また、ドライブ921は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体927に記録を書き込むことも可能である。リムーバブル記録媒体927は、例えば、DVDメディア、HD−DVDメディア、Blu−rayメディア等である。また、リムーバブル記録媒体927は、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CompactFlash:CF)、フラッシュメモリ、または、SDメモリカード(Secure Digital memory card)等であってもよい。また、リムーバブル記録媒体927は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード(Integrated Circuit card)または電子機器等であってもよい。
【0143】
接続ポート923は、機器を情報処理装置10に直接接続するためのポートである。接続ポート923の一例として、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポート等がある。接続ポート923の別の例として、RS−232Cポート、光オーディオ端子、HDMI(High−Definition Multimedia Interface)ポート等がある。この接続ポート923に外部接続機器929を接続することで、情報処理装置10は、外部接続機器929から直接各種のデータを取得したり、外部接続機器929に各種のデータを提供したりする。
【0144】
通信装置925は、例えば、通信網931に接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。通信装置925は、例えば、有線または無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、またはWUSB(Wireless USB)用の通信カード等である。また、通信装置925は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、または、各種通信用のモデム等であってもよい。この通信装置925は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、例えばTCP/IP等の所定のプロトコルに則して信号等を送受信することができる。また、通信装置925に接続される通信網931は、有線または無線によって接続されたネットワーク等により構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信または衛星通信等であってもよい。
【0145】
以上、本開示の実施形態に係る情報処理装置10の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。
【0146】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0147】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
被測定者の生体表面に所定波長の光を照射することで得られた当該光の反射率に関する測定データを利用し、前記光の反射率に対応する色相に応じて前記生体における血管の状態及び/又は血流の状態を判定する判定部
を備える、情報処理装置。
(2)
前記判定部は、可視光帯域に属する光を照射することで得られた前記光の反射率のうち、赤色に対応する帯域である第1の帯域での反射率と、当該第1の帯域よりも短波長側の帯域である第2の帯域での反射率とを用いて、血管の拡張もしくは収縮、及び/又は、血流の増加もしくは減少を判定する、(1)に記載の情報処理装置。
(3)
前記判定部は、
前記第2の帯域に属する波長での前記反射率が第1の閾値以下であり、かつ、前記第1の帯域に属する波長での前記反射率と前記第2の帯域に属する波長での反射率との差が第2の閾値以上である場合、前記生体の測定部位では血管が拡張し、血流が増加した状態にあると判定し、
前記第2の帯域に属する波長での反射率が第3の閾値以上であり、かつ、前記第1の帯域に属する波長での反射率と第2の帯域に属する波長での反射率との差が第3の閾値以下である場合、前記生体の測定部位では血管が収縮し、血流が減少した状態にあると判定する、(1)又は(2)に記載の情報処理装置。
(4)
前記判定部は、
前記被測定者の性別に応じて、前記第1の閾値、前記第2の閾値、前記第3の閾値及び前記第4の閾値の設定値をそれぞれ変更する、(3)に記載の情報処理装置。
(5)
前記判定部は、
前記第1の帯域での反射率として、波長620nmでの反射率及び波長660nmでの反射率の少なくとも何れかを利用し、
前記第2の帯域での反射率として、波長500nmでの反射率、波長540nmでの反射率及び波長580nmでの反射率の少なくとも何れかを利用する、(1)〜(4)のいずれか1つに記載の情報処理装置。
(6)
前記光の反射率に関する測定データを利用して、測定部位での測定対象成分の濃度を算出する濃度算出部を更に備え、
前記濃度算出部は、前記判定部による判別結果に応じて、算出した前記測定対象成分の濃度を補正する、(2)〜(5)のいずれか1つに記載の情報処理装置。
(7)
前記濃度算出部は、
前記判定部により血管が拡張し血流が増加した状態にあると判定された場合、算出した前記測定対象成分の濃度を所定の補正係数で除することで補正を行い、
前記判定部により血管が収縮し血流が減少した状態にあると判定された場合、算出した前記測定対象成分の濃度に所定の補正係数を乗じることで補正を行う、(6)に記載の情報処理装置。
(8)
前記判定部による判定結果を利用するアプリケーションを実行するアプリケーション実行部を更に備える、(1)〜(7)のいずれか1つに記載の情報処理装置。
(9)
前記アプリケーション実行部は、前記判定部による判定結果を利用して、体のコリの有無を判定する、(8)に記載の情報処理装置。
(10)
前記アプリケーション実行部は、前記判定部による判定結果を利用して前記被測定者の興奮度を特定し、特定した当該興奮度をアプリケーションのパラメータに反映させる、(8)に記載の情報処理装置。
(11)
被測定者の生体表面に所定波長の光を照射することで得られた当該光の反射率に関する測定データを利用し、前記光の反射率に対応する色相に応じて前記生体における血管の状態及び/又は血流の状態を判定すること
を含む、情報処理方法。
(12)
コンピュータに、
被測定者の生体表面に所定波長の光を照射することで得られた当該光の反射率に関する測定データを利用し、前記光の反射率に対応する色相に応じて前記生体における血管の状態及び/又は血流の状態を判定する判定機能
を実現させるためのプログラム。
(13)
被測定者の生体表面に所定波長の光を照射し、生体によって反射された光を検知することで前記光の反射率に関する測定データを生成する測定ユニットと、
前記測定ユニットにより生成された前記光の反射率に関する測定データを利用し、当該光の反射率に対応する色相に応じて前記生体における血管の状態及び/又は血流の状態を判定する判定部を有する情報処理装置と、
を備え、
前記測定ユニットは、
前記生体表面が載置された測定対象領域からの光が結像する受光素子と、
前記受光素子の周囲に環状に配設され、前記測定対象領域に対して所定波長の光を放射する複数の発光素子と、
を有し、
前記複数の発光素子は、それぞれの前記発光素子からの放射発光の中心線が、前記測定対象領域の略中心を通過するように、前記測定対象領域の法線に対して傾けて配設される、情報処理システム。
【符号の説明】
【0148】
1 情報処理システム
10 情報処理装置
20 測定ユニット
101 測定データ取得部
103 判定部
105 濃度算出部
107 結果出力部
109 表示制御部
111 アプリケーション実行部
113 記憶部
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被測定者の体表面に光を照射し、体表面からの反射光を測定することによって、生体内の特定成分(例えば、血管中を流れる成分等)の濃度を非侵襲的に測定する装置が提案されている。
【0003】
例えば以下の特許文献1には、光学センサや分光光度計等を利用して、被測定者の血液中に存在するグルコースの濃度(すなわち、血糖値)を測定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2010−526646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような体表面からの反射光に基づいて例えば血管中を流れる特定成分の濃度を測定する場合を考える。この場合、「光の照射域に存在する特定成分の絶対量=血管中の特定成分の濃度×照射光が血管を透過する距離」というランベルト・ベールの法則に則して、特定成分の濃度が算出されることとなる。この際、「光の照射域に存在する特定成分の絶対量」が反射光の量に基づいて算出される値に対応するものであるが、「照射光が血管を透過する距離」が大きく変化しないことを暗に仮定して、血管中の特定成分の濃度が算出されることが多い。
【0006】
しかしながら、「光の照射域に存在する特定成分の絶対量」は、血管の拡張や収縮、血流の増加や減少といった被測定者の状態に応じて変化するものである。そのため、血管や血流の状態を考慮せずに濃度の算出処理を実施した場合には、特定成分の濃度を過大評価したり、過小評価したりすることとなる。従って、血管の拡張や収縮、血流の増加や減少といった被測定者の状態を容易に特定することが可能となれば、着目する特定成分の濃度をより正確に測定することが可能となる。
【0007】
そこで、本開示では、血管の拡張や収縮、血流の増加や減少という血管や血流の状態を判定することが可能な情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び情報処理システムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示によれば、被測定者の生体表面に所定波長の光を照射することで得られた当該光の反射率に関する測定データを利用し、前記光の反射率に対応する色相に応じて前記生体における血管の状態及び/又は血流の状態を判定する判定部を備える情報処理装置が提供される。
【0009】
また、本開示によれば、被測定者の生体表面に所定波長の光を照射することで得られた当該光の反射率に関する測定データを利用し、前記光の反射率に対応する色相に応じて前記生体における血管の状態及び/又は血流の状態を判定することを含む情報処理方法が提供される。
【0010】
また、本開示によれば、コンピュータに、被測定者の生体表面に所定波長の光を照射することで得られた当該光の反射率に関する測定データを利用し、前記光の反射率に対応する色相に応じて前記生体における血管の状態及び/又は血流の状態を判定する判定機能を実現させるためのプログラムが提供される。
【0011】
また、本開示によれば、被測定者の生体表面に所定波長の光を照射し、生体によって反射された光を検知することで前記光の反射率に関する測定データを生成する測定ユニットと、前記測定ユニットにより生成された前記光の反射率に関する測定データを利用し、当該光の反射率に対応する色相に応じて前記生体における血管の状態及び/又は血流の状態を判定する判定部を有する情報処理装置と、を備え、前記測定ユニットは、前記生体表面が載置された測定対象領域からの光が結像する受光素子と、前記受光素子の周囲に環状に配設され、前記測定対象領域に対して所定波長の光を放射する複数の発光素子と、を有し、前記複数の発光素子は、それぞれの前記発光素子からの放射発光の中心線が、前記測定対象領域の略中心を通過するように、前記測定対象領域の法線に対して傾けて配設される、情報処理システムが提供される。
【0012】
本開示によれば、被測定者の生体表面に所定波長の光を照射することで得られた当該光の反射率に関する測定データに基づいて、当該光の反射率に対応する色相が特定され、特定された色相に応じて、生体における血管の状態及び/又は血流の状態が判定される。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本開示によれば、血管の拡張や収縮、血流の増加や減少という血管や血流の状態を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】反射率に基づき特定した血中成分の濃度に関する知見について説明するためのグラフ図である。
【図2】本開示の第1の実施形態に係る情報処理システムについて示した説明図である。
【図3】同実施形態に係る情報処理装置の構成を示したブロック図である。
【図4】皮膚の反射率の波長特性について示したグラフ図である。
【図5】皮膚の反射率の波長特性について示したグラフ図である。
【図6】同実施形態に係る情報処理装置で実施される判定処理について説明するための説明図である。
【図7】同実施形態に係る情報処理装置で実施される判定処理について説明するための説明図である。
【図8】同実施形態に係る情報処理装置で実施される判定処理について説明するための説明図である。
【図9A】同実施形態に係る測定ユニットの一例を模式的に示した説明図である。
【図9B】同実施形態に係る測定ユニットの一例を模式的に示した説明図である。
【図10】同実施形態に係る測定ユニットの一例を模式的に示した説明図である。
【図11】同実施形態に係る測定ユニットの一例を模式的に示した説明図である。
【図12】同実施形態に係る測定ユニットの一例を模式的に示した説明図である。
【図13】同実施形態に係る情報処理方法の流れの一例を示した流れ図である。
【図14】本開示の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0016】
なお、説明は、以下の順序で行うものとする。
(1)反射率に基づき特定した血中成分の濃度に関する知見
(2)第1の実施形態
(2−1)情報処理システムについて
(2−2)情報処理装置について
(2−3)情報処理方法について
(2−4)測定ユニットの一例について
(3)本開示の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成について
【0017】
(反射率に基づき特定した血中成分の濃度に関する知見)
本開示の実施形態に係る情報処理システム、情報処理装置及び情報処理方法について説明するに先立ち、本発明者らによって得られた、反射率に基づき特定した血中成分の濃度に関する知見について、図1を参照しながら簡単に説明する。図1は、反射率に基づき特定した血中成分の濃度に関する知見について説明するためのグラフ図である。
【0018】
本発明者らは、被測定者の皮膚に対して可視光帯域の光を照射し、皮膚からの反射光に基づいて血中成分の濃度(以下の例では、血中のヘモグロビン濃度)を測定する技術の測定精度について検証するために、以下のような検討を行った。
【0019】
すなわち、統計学的に有意な人数の被測定者に対して、可視光帯域に属する光を体表面の一部に照射して反射率を測定するとともに、測定後直ちに採血を行うことで、反射率に基づいて算出したヘモグロビンの濃度と、採取した血液を分析することで得られたヘモグロビンの濃度と、をそれぞれ特定した。
【0020】
採血の分析により特定した濃度を横軸にとり、反射率に基づいて特定した濃度を縦軸にとった座標軸を考え、特定した2種類の濃度に対応する位置にプロットを行うことで、2種類の方法により特定した濃度の相関関係を示した散布図を得ることができる。
【0021】
実際に得られた濃度のデータに基づいて作成した散布図を模式的に示したものが、図1である。図1において、直線L1は、Y=Xという式で表される直線であり、直線L2及び直線L3は、それぞれ許容誤差を表した直線である。実際に得られた2種類の濃度の大きさをプロットしたところ、散布図上にプロットされた点は、図1に模式的に示したように、グループG1〜グループG3のいずれかに区分されることが明らかとなった。
【0022】
図1において、グループG1に属するプロットは、採血により特定した濃度と反射率から算出した濃度とがほぼ等しい値となり、両者の差分が誤差範囲内となったプロットに対応する。得られたデータのうち大部分のデータは、このグループG1に属するものとなった。しかしながら、得られたデータの中には、グループG2又はグループG3に属するデータが存在した。このうち、グループG2に属するプロットは、反射率から算出した濃度が、採血により特定した濃度よりも大きかった場合、換言すれば、反射率に基づく濃度算出方法により濃度が過大評価された場合に対応するものである。また、グループG3に属するプロットは、反射率から算出した濃度が、採血により特定した濃度よりも小さかった場合、換言すれば、反射率に基づく濃度算出方法により濃度が過小評価された場合に対応するものである。
【0023】
ここで、本発明者らは、測定結果がグループG2又はグループG3に属することとなった被測定者について検討を行ったところ、グループG2に属することとなった被測定者は、反射率の測定時に別途行った血圧検査にて高血圧であった人であり、グループG3に属することとなった被測定者は、反射率の測定時に別途行った血圧検査にて低血圧であった人であることが明らかとなった。高血圧である人は、血管が拡張し、血流が増大する傾向にある人であり、低血圧である人は、血管が収縮し、血流が減少する傾向にある人である。
【0024】
本発明者らは、このような知見に基づいて、グループG2又はグループG3に属することとなったデータに対応する反射率のスペクトルに着目したところ、以下で説明するように、これら2つのグループに特徴的な反射率の傾向が存在することに想到した。そこで、本発明者らは、得られた知見に基づいて更なる検討を行った結果、以下で説明するような、測定により得られた反射率を利用して血管の拡張・縮小や血流の増加・減少を判定する方法に想到することとなった。
【0025】
(第1の実施形態)
<情報処理システムについて>
以下では、まず、図2を参照しながら、本開示の第1の実施形態に係る情報処理システムについて説明する。図2は、本実施形態に係る情報処理システムについて示した説明図である。
【0026】
本実施形態に係る情報処理システム1は、図2に例示したように、情報処理装置10と、測定ユニット20と、を含む。
【0027】
情報処理装置10は、後述する測定ユニット20により測定された、生体Bの体表面(皮膚)からの反射率に関する測定データを利用して、生体の体表面近傍に位置する血管や血流の状態を判定する。また、情報処理装置10は、測定ユニット20により測定された反射率に関する測定データを利用して、生体の内部に存在する特定成分の濃度を算出することも可能である。この際、情報処理装置10は、血管や血流の状態に関する判定結果に応じて、算出した特定成分の濃度を補正する。
【0028】
更に、情報処理装置10は、各種のアプリケーションを実行することで、情報処理装置10の利用者に対して各種のサービスを提供することが可能であるが、情報処理装置10は、アプリケーションの実行に際して、血管や血流の状態の判定結果を、アプリケーション実行時の実行パラメータとして利用することができる。
【0029】
情報処理装置10の詳細な構成については、以下で改めて説明することとする。
【0030】
測定ユニット20は、生体Bの体表面に対して所定の波長帯域の光を照射し、体表面(皮膚)からの反射光を検知することで、体表面での光の反射率を測定する。この測定ユニット20としては、生体の体表面での光の反射率を測定可能なものであれば、公知のものを利用することが可能である。このような測定ユニットの例としては、体表面に対して例えば白色光を照射して、体表面からの反射光を分光することで、波長毎に反射率の大きさを測定する分光計を挙げることができる。また、このような測定ユニット20として、以下で具体例を挙げて説明するように、体表面に対して、皮膚の特性に特化した所定波長の光を適切な光量で選択的に照射して、侵襲の度合いをより低くした測定装置を利用することも可能である。
【0031】
測定ユニット20は、照射した光の皮膚での反射率に関する測定データを生成すると、生成したデータを情報処理装置10に出力する。
【0032】
なお、図2に示した例では、情報処理装置10と測定ユニット20とが互いに独立したものとして記載されているが、本実施形態に係る情報処理装置10の機能は、測定ユニット20の動作を制御するための制御装置の一機能として実現されていてもよく、測定ユニット20の筐体内に設けられた任意のコンピュータに実装されていてもよい。
【0033】
<情報処理装置について>
次に、図3〜図8を参照しながら、本実施形態に係る情報処理装置について、詳細に説明する。
図3は、本実施形態に係る情報処理装置10の構成を示したブロック図である。図3に示したように、情報処理装置10は、測定データ取得部101と、判定部103と、濃度算出部105と、結果出力部107と、表示制御部109と、記憶部111と、を備える。また、情報処理装置10は、これらの処理部に加えて、アプリケーション実行部113を更に備えていてもよい。
【0034】
測定データ取得部101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、通信装置等により実現される。測定データ取得部101は、測定ユニット20により測定された皮膚での光の反射率に関する測定データを、測定ユニット20から取得する。
【0035】
測定データ取得部101は、測定ユニット20から反射率に関する測定データを取得すると、取得した測定データを、後述する判定部103及び濃度算出部105に出力する。また、測定データ取得部101は、取得した測定データを、当該データを取得した日時に関する時刻情報と関連付けたうえで、履歴情報として記憶部111に格納してもよい。
【0036】
判定部103は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。判定部103は、測定データ取得部101から出力された、皮膚での光の反射率に関する測定データを利用し、当該光の反射率に対応する色相に応じて生体における血管の状態及び/又は血流の状態を判定する。
【0037】
以下、本実施形態に係る判定部103で実施される判定処理について、図4〜図8を参照しながら、具体的に説明する。
【0038】
図4は、可視光帯域(400nm〜700nm)における人間の皮膚の反射率を測定した測定結果を示したグラフ図である。図4から明らかなように、人間の皮膚は、400nm〜500nm近傍の帯域では反射率がなだらかに増加する。その後、波長約580nmまでは反射率がわずかに減少し、波長約580nmから650nm近傍までは反射率が急激に増加する。人間の皮膚は、図4に示したような特徴的な反射特性を有するものである。ここで、反射率が急激に増加する波長580nm超過〜650nm近傍までの波長帯域Bは、赤色の色相に対応する帯域である。
【0039】
本実施形態に係る判定部103は、図4に示したような人間の皮膚の特徴的な反射特性に着目し、赤色に対応する帯域である帯域B(例えば、波長580nm超過の帯域)での反射率と、帯域Bよりも短波長側に位置する帯域A(例えば、波長580nm以下の帯域)での反射率とを用いて、血管の拡張もしくは収縮、及び/又は、血流の増加もしくは減少を判定する。
【0040】
ここで、本実施形態に係る判定部103は、図4に示したような、反射率が波長毎に連続して推移する様子を測定した測定データ(換言すれば、人間の皮膚の反射スペクトル)を用いても良いし、連続的な測定データではなく特定の波長における反射率の値(換言すれば、離散的に測定された測定データ)を利用してもよい。離散的に測定された測定データを利用する場合に、どの波長での反射率に着目するかは適宜設定することが可能であるが、図4に示したスペクトルのうち、特徴的な波長位置での反射率を利用することが好ましい。
【0041】
図4に示したスペクトルのうち特徴的な波長位置は、反射率が急激に立ち上がる580nmの位置と、400nm〜500nmまでの反射率がなだらかに増加する部分の波長位置と、反射率が急激に増加している部分の波長位置である。このような特徴的な波長位置の一例として、例えば図5に示したような5点(500nm、540nm、580nm、620nm、660nm)を挙げることができる。ここで、波長500nmは青色に対応し、波長540nmは緑色に対応し、波長580nmは黄色に対応する。また、波長620nm及び660nmは赤色に対応している。このうち、波長500nm、540nm、580nmの3つの波長位置が、図4及び図5に示した帯域Aに属し、波長620nm及び660nmという2つの波長位置が、図4及び図5に示した帯域Bに属する。
【0042】
本発明者らは、図1に示したグループG2及びグループG3に該当する被測定者の皮膚の反射率に着目したところ、これらのグループに属する皮膚の反射率は概ね図4に示したような形状を有しているものの、反射率の値に特徴的な点があることに想到した。すなわち、図6に示したように、グループG2に属する被測定者は、血管拡張状態や血流増加状態に対応しているが、これらの被測定者の反射率は、「赤黒色」という色相に対応するような反射率特性を有していることが判明した。また、グループG3に属する被測定者は、血管収縮状態や血流減少状態に対応しているが、これらの被測定者の反射率は、「青白色」という色相に対応するような反射率特性を有していることが判明した。
【0043】
ここで、色相が「赤黒色」であるということは、帯域Aに属する反射率の大きさが、400nm〜700nmの可視光帯域において相対的に小さく、かつ、帯域Bに属する反射率の大きさが、帯域Aの反射率に比べて相対的に大きいという状態に対応する。また、色相が「青白色」であるということは、帯域Aに属する反射率の大きさが、400nm〜700nmの可視光帯域において相対的に大きく、かつ、帯域Bに属する反射率の大きさが、帯域Aの反射率に比べて、さほど乖離していないという状態に対応する。
【0044】
従って、図6に示した関係から、判定部103は、測定データ取得部101から出力された測定データの色相が「赤黒色」に対応するものであれば、着目している測定データに対応する被測定者の血管が拡張状態にあり、血流が増加している状態であると判定することができる。また、判定部103は、測定データ取得部101から出力された測定データの色相が「青白色」に対応するものであれば、着目している測定データに対応する被測定者の血管が収縮状態にあり、血流が減少している状態であると判定することができる。
【0045】
ここで、色相が「赤黒色」である状態、及び、色相が「青白色」である状態を具体的に規定すると、図7に示したようになる。
すなわち、判定部103は、測定データを参照して、以下の2つの条件(a)及び(b)が共に成立している場合に、反射率の色相が「赤黒色」であると特定し、着目している測定データに対応する被測定者の血管が拡張し、血流が増加していると判定する。また、判定部103は、測定データを参照して、以下の2つの条件(c)及び(d)が共に成立している場合に、反射率の色相が「青白色」であると特定し、着目している測定データに対応する被測定者の血管が収縮し、血流が減少していると判定する。また、判定部103は、測定データが、下記のいずれにも該当しない場合には、血管や血流の状態は通常の状態にあると判断する。
【0046】
・赤黒色:血管拡張/血流増加状態
(a)帯域Aの反射率が閾値TH1以下
(b)(帯域Bの反射率−帯域Aの反射率)の値が閾値TH2以上
・青白色:血管収縮/血流減少状態
(c)帯域Aの反射率が閾値TH3以上
(d)(帯域Bの反射率−帯域Aの反射率)の値が閾値TH4以下
【0047】
ここで、判定部103は、上記の条件が成立するか否かを判定する際に利用する反射率の値として、該当する帯域に属する全波長の反射率の最大値、最小値、平均値等を利用してもよい。また、判定部103は、上記の条件が成立するか否かを判定する際に利用する反射率の値として、図5に示したような特徴的な波長での反射率の最大値、最小値、平均値等を利用してもよい。
【0048】
例えば、判定部103が図8に示したような5つの波長における反射率R1〜R5を利用して判定を行う場合を考える。この場合において、波長500nm、波長540nm及び波長580nmが帯域Aに属し、波長620nm及び波長660nmが帯域Bに属するのは、前述の通りである。判定部103は、帯域Aに属する波長の反射率として、平均値(R1+R2+R3)×(1/3)を利用してもよいし、最大値R3を利用してもよいし、最小値R2を利用してもよい。同様に、判定部103は、帯域Bに属する波長の反射率として、平均値0.5×(R4+R5)を利用してもよいし、最大値R5を利用してもよいし、最小値R4を利用してもよい。
【0049】
ここで、上記4種類の閾値TH1〜TH4は、図1に示したグループG2及びグループG3に属する統計学的に有意な数の被測定者集団について反射率の測定を行い、得られた反射率の測定結果を解析することで、それぞれ決定することができる。
【0050】
また、上記4種類の閾値TH1〜TH4の設定値は、生体の構造の違いなどといった理由により、被測定者の性別によっても変化すると考えられるため、被測定者が男性であるか女性であるかに応じて、これらの閾値TH1〜TH4の設定値を変化させてもよい。
【0051】
本発明者らが、ある被測定者の集団に対して解析を行って上記閾値等を決定したところ、例えば以下のような値を得ることができた。なお、以下の具体的な条件は、あくまでも一具体例であって、条件判定に用いられる反射率の組み合わせや閾値の設定値は、下記の例に限定されるわけではない。
【0052】
[男性]
・赤黒色:血管拡張/血流増加状態
(a)波長540nmの反射率R2≦26%
(b)(波長620nmの反射率R4−波長580nmの反射率R3)≧16%
・青白色:血管収縮/血流減少状態
(c)波長540nmの反射率R2≧27%
(d)(波長620nmの反射率R4−波長580nmの反射率R3)≧15.5%
【0053】
[女性]
・赤黒色:血管拡張/血流増加状態
(a)波長540nmの反射率R2≦28%
(b)(波長660nmの反射率R5−波長540nmの反射率R2)≧23.5%
・青白色:血管収縮/血流減少状態
(c)波長620nmの反射率R3≧50%
(d)(波長620nmの反射率R4−波長580nmの反射率R3)≧14%
【0054】
本実施形態に係る判定部103は、上記のような条件判定により、測定データに対応する被測定者の血管状態や血流状態を判定すると、得られた判定結果を後述する濃度算出部105、結果出力部107及びアプリケーション実行部113に出力する。また、判定部103は、得られた判定結果を、当該判定結果を生成した日時に関する時刻情報と関連付けたうえで、履歴情報として記憶部111に格納してもよい。
【0055】
再び図3に戻って、本実施形態に係る濃度算出部105について説明する。
本実施形態に係る濃度算出部105は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。濃度算出部105は、測定データ取得部101から出力された、光の反射率に関する測定データを利用して、測定部位での測定対象成分の濃度を算出する。濃度算出部105が濃度を算出する測定対象成分としては、例えば、糖化ヘモグロビン、酸化ヘモグロビン、還元ヘモグロビン等といったヘモグロビン類のような各種の血中成分や、皮膚中のメラニン等を挙げることができる。濃度算出部105は、これらの測定対象成分以外にも、皮膚での光の反射率から算出できる成分であれば、任意の成分の濃度を算出することができる。
【0056】
濃度算出部105が測定対象成分の濃度を算出する際には、公知のあらゆる濃度算出方法を利用することが可能であるが、例えば、以下のような方法を利用することができる。
【0057】
なお、以下では、濃度算出部105が、測定データ取得部101が取得した測定データを利用して、メラニン、還元ヘモグロビン、酸化ヘモグロビン、糖化ヘモグロビンの4種類の測定対象成分の濃度を算出する場合を例にとって、具体的に説明する。
【0058】
ランベルト・ベールの法則より、測定された反射率をtとし、単位光路長あたりの濃度をcl(単位:mol/L・cm)とし、モル吸光係数をεとすると、以下の式101が成立する。
【0059】
log(1/t)=ε・cl ・・・(式101)
【0060】
また、メラニン、還元ヘモグロビン、酸化ヘモグロビン、糖化ヘモグロビンのモル吸光係数及び単位光路長あたりの濃度を以下のように表記するものとする。
【0061】
・メラニン
モル吸光係数:ε1、単位光路長あたりの濃度:Mn
・還元ヘモグロビン
モル吸光係数:ε2、単位光路長あたりの濃度:Hb
・酸化ヘモグロビン
モル吸光係数:ε3、単位光路長あたりの濃度:HbO2
・糖化ヘモグロビン
モル吸光係数:ε4、単位光路長あたりの濃度:HbAlc
【0062】
測定データにおけるある波長での反射率をSと表すこととし、人体内界面反射率をDと表すこととすると、上記式101より、着目している波長毎に以下の式102が成立することとなる。
【0063】
Mn・ε1+Hb・ε2+HbO2・ε3+HbAlc・ε4+D=−logS
・・・(式102)
【0064】
従って、濃度算出部105は、後述する記憶部111等から測定対象成分のモル吸光係数を取得するとともに、着目している波長(例えば、図5に示した5波長)についてそれぞれ上記式102を考慮することにより、一連の連立方程式を得ることができる。濃度算出部105は、この連立方程式を解くことにより、測定対象成分の濃度(すなわち、単位光路長あたりの濃度)を算出することができる。
【0065】
ここで、判定部103により被測定者が血管拡張・血流増加状態にあると判定された場合を考える。この場合、図1におけるグループG2の知見から明らかなように、上述のようにして算出された測定対象成分の濃度は、血管拡張・血流増加の影響が反映され、算出された濃度は、過大評価されたものとなっている。
【0066】
逆に、判定部103により被測定者が血管収縮・血流減少状態にあると判定された場合を考える。この場合、図1におけるグループG3の知見から明らかなように、上述のようにして算出された測定対象成分の濃度は、血管収縮・血流減少の影響が反映され、算出された濃度は、過小評価されたものとなっている。
【0067】
従って、濃度算出部105は、判定部103により被測定者が血管拡張・血流増加状態にあると判定された場合には、上述のようにして算出した濃度を所定の補正係数α1で除することで血管拡張・血流増加の影響を取り除き、補正後の濃度を算出する。また、濃度算出部105は、判定部103により被測定者が血管収縮・血流減少状態にあると判定された場合には、上述のようにして算出した濃度に対して所定の補正係数α2を乗ずることで血管収縮・血流減少の影響を取り除き、補正後の濃度を算出する。
【0068】
ここで、濃度算出部105が濃度補正に利用する補正係数は、以下のようにして決定することが可能である。
すなわち、図1に示したような散布図において、グループG3に属する各プロットを特定し、各プロットについて、反射率に基づいて算出された濃度cを許容誤差範囲内の値とするために、濃度cに掛けるべき値kを算出する。グループG3に属する各プロットについて掛けるべき値kをそれぞれ特定した後、これらの値を利用して、グループG3に属する各プロットがグループG1に属するようにするために用いられる尤もらしい補正係数を推定する。このような推定を行うことにより、血管収縮・血流減少の影響を取り除くための補正係数α2を決定することができる。同様の処理をグループG2に属する各プロットに対しても実施することで、血管拡張・血流増加の影響を取り除くための補正係数α1を決定することができる。
【0069】
本発明者らが、ある被測定者の集団に対して解析を行って上記補正係数等を決定したところ、例えばα1=α2=1.3という値を得ることができた。なお、この補正係数はあくまでも一具体例であって、濃度補正処理に用いられる係数が上記の値に限定されるわけではない。
【0070】
濃度算出部105は、以上説明したようにして測定対象成分の濃度を算出し、必要に応じて濃度補正処理を行うと、得られた濃度の算出結果を、後述する結果出力部107に出力する。また、濃度算出部105は、得られた濃度算出結果を、当該濃度を算出した日時に関する時刻情報と関連付けたうえで、履歴情報として記憶部111に格納してもよい。
【0071】
結果出力部107は、例えば、CPU、ROM、RAM、出力装置、通信装置等により実現される。結果出力部107は、判定部103から出力された血管や血流の状態に関する判定結果や、濃度算出部105から出力された測定対象成分の濃度の算出結果を、情報処理装置10のユーザに出力する。
【0072】
例えば、結果出力部107は、判定部103による判定結果や、濃度算出部105による濃度算出結果を、後述する表示制御部109を介してディスプレイ等の表示装置に出力する。また、結果出力部107は、判定部103による判定結果や、濃度算出部105による濃度算出結果を、情報処理装置10の外部に設けられた他の装置に、各種のネットワーク等を介して出力してもよい。また、結果出力部107は、判定部103による判定結果や、濃度算出部105による濃度算出結果を、プリンタ等の出力装置を介して印刷物として出力してもよい。
【0073】
表示制御部109は、例えば、CPU、ROM、RAM、出力装置、通信装置等により実現される、表示制御部109は、情報処理装置10が備えるディスプレイ等の表示装置や、情報処理装置10の外部に設けられたディスプレイ等の表示装置における表示画面の表示制御を行う。より詳細には、表示制御部109は、判定部103から出力された判定結果や濃度算出部105から出力された濃度算出結果に関する情報に基づいて、表示画面の表示制御を実施する。表示制御部109がこれらの処理結果の表示画面への表示制御を行うことで、情報処理装置10のユーザは、判定部103による判定結果や濃度算出部105による濃度算出結果を把握することが可能となる。
【0074】
記憶部111は、例えば本実施形態に係る情報処理装置10が備えるRAMやストレージ装置等により実現される。この記憶部111には、濃度算出部105が濃度算出処理に利用する測定対象成分のモル吸光係数や色パターンといった各種の情報や、後述するアプリケーション実行部113が実施する各種のアプリケーションに対応する実行データが格納されている。また、記憶部111には、情報処理装置10が何らかの処理を行う際に保存する必要が生じた様々なパラメータや処理の途中経過等、又は、各種のデータベース等が適宜格納される。この記憶部111は、本実施形態に係る情報処理装置10が備える各処理部が、自由に読み書きできるように構成されている。
【0075】
アプリケーション実行部113は、例えば、CPU、ROM、RAM、通信装置等により実現される。アプリケーション実行部113は、判定部103による判定結果や、濃度算出部105による濃度算出結果を利用するアプリケーションを実行して、情報処理装置10のユーザに各種のサービスを提供する。
【0076】
具体的には、アプリケーション実行部113は、例えば判定部103による判定結果や、濃度算出部105による濃度算出結果の時間的な推移を表示画面に表示させることで、情報処理装置10のユーザの健康管理を補助するアプリケーションを実施する。本実施形態に係る情報処理装置10では、血管状態や血流状態を測定した反射率に基づいて容易に判定することが可能となるため、このような判定結果自体を、ユーザの健康管理等に寄与する指標として用いることが可能となる。また、血管状態や血流状態の影響を取り除いた成分濃度を算出することができるため、より正確な値を利用した体調管理の補助サービスを提供することが可能となる。
【0077】
また、アプリケーション実行部113は、判定部103による判定結果や、濃度算出部105による濃度算出結果を利用して、被測定者の首、肩、腰などのコリの有無を判定するアプリケーションを実行することができる。すなわち、本実施形態に係る情報処理装置10では、血流の状態及びヘモグロビン濃度の多少を特定することが可能となる。ここで、血流が少なく、ヘモグロビン濃度も小さい場合には、被測定者は新陳代謝が悪く、筋肉に老廃物が蓄積しやすい状態にあると判断することが可能となる。従って、かかる場合には、情報処理装置10のユーザに対して、体にコリが発生しつつある旨を通知することが可能となる。また、血流が多く、ヘモグロビン濃度も大きい場合には、被測定者は新陳代謝が良いと考えられるため、その旨をユーザに通知することができる。
【0078】
また、アプリケーション実行部113は、判定部103による判定結果や、濃度算出部105による濃度算出結果を利用して、ユーザの興奮度を特定し、特定した興奮度をアプリケーションの実行パラメータに反映させることができる。すなわち、本実施形態に係る情報処理装置10では、血流の急激な増加・減少を把握することが可能となるため、このような血流の変化を定期的に測定することで、ユーザが興奮状態にあるか否かを判断することができる。このような判断結果を、例えばゲームのようなアプリケーションの実行パラメータとして利用したりユーザに提示したりすることができる。
【0079】
なお、以上のようなアプリケーションの具体例は、あくまでも一例であって、本実施形態に係るアプリケーション実行部113が実行するアプリケーションは、上記例に限定されるわけではない。
【0080】
また、上記測定データ取得部101、判定部103、濃度算出部105、結果出力部107、表示制御部109、記憶部111及びアプリケーション実行部113の機能は、それぞれのハードウェアがネットワークを介して互いに情報を送受信できるならば、いずれのハードウェアに実装されてもよい。また、ある処理部により実施される処理が、1つのハードウェアにより実現されてもよいし、複数のハードウェアによる分散処理により実現されてもよい。
【0081】
以上、本実施形態に係る情報処理装置10の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU等が全て行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0082】
なお、上述のような本実施形態に係る情報処理装置の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0083】
<測定ユニットの一例について>
続いて、図9A及び図9Bを参照しながら、本実施形態に係る測定ユニット20の一例について説明する。図9A及び図9Bは、本実施形態に係る測定ユニット20の全体構成を模式的に示した説明図である。
【0084】
[測定ユニットの全体構成]
本実施形態に係る測定ユニット20は、図9Aに示したように、任意の材質からなる筺体21を有しており、筺体21の一部には、開口部23が設けられている。図9Aにおいて、開口部23の形状は円形状であるが、開口部23の形状は円形状に限定されるわけではなく、多角形形状であっても、楕円形状であってもよい。この開口部23の部分に測定対象物(例えば、人体の皮膚面等)が載置され、本実施形態に係る測定ユニット20は、載置された測定対象物に対して、測定を実施する。なお、開口部23の貫通孔の大きさであるが、後述する光学系200が有する受光素子の大きさに応じて、適宜決定すればよい。
【0085】
図9Bは、図9AをA−A切断線で切断した断面を示した断面図である。
図9Bに示したように、筺体21の内部は中空となっており、筺体21の内部に、本実施形態に係る測定ユニット20の光学系200が実装されている。また、筺体21の内壁は、光学系200からの漏れ光の反射を抑制するために、黒、又は、黒に準ずる暗い色調の色とすることが好ましい。
【0086】
ここで、筺体21の内部に実装されている光学系200については、以下で改めて詳細に説明する。また、図9Bでは、筺体21の内部に光学系200のみが存在するように図示されているが、筺体21の内部には、光学系200での測定処理に影響を与えない範囲で、光学系200以外にも任意のユニットが実装されていてもよい。
【0087】
[光学系の構成について]
続いて、図10を参照しながら、本実施形態に係る測定ユニット20が備える光学系について、詳細に説明する。図10は、本実施形態に係る測定装置が備える光学系の一例を示した説明図である。
【0088】
図10上段は、本実施形態に係る光学系200を、開口部23の側から見た場合の平面図であり、図10下段は、本実施形態に係る光学系200を、図10上段の中心線で切断した場合の断面図である。なお、図10に示した例では、開口部23に人体の皮膚面が載置され、開口部23に載置された皮膚面Bが測定対象領域となっている場合について説明する。
【0089】
図10に示したように、本実施形態に係る光学系200は、基板等の任意の形状を有する収容ユニットに配置された受光素子201と、基板等の任意の形状を有する収容ユニットに配置された複数の発光素子203と、を有している。
【0090】
受光素子201には、測定対象物の載置された測定対象領域からの光(反射光)が結像する。受光素子201は、受光面に結像した光の光量等に応じて、結像した光の光量を表すデータ等を生成する。このような受光素子201として、例えばフォトダイオードを挙げることができるが、本実施形態に係る受光素子201は、上記のものに限定されるわけではなく、他の光センサを利用することも可能である。また、受光素子201は、受光面に結像した光の光量ではなく、結像した光の輝度値など他の物理量を計測するものであってもよい。
【0091】
この受光素子201は、図10に示したように、測定ユニット20の筺体21に設けられた開口部23と対向するように配設される。換言すれば、受光素子201は、開口部23と略平行に対向するように配設される。また、受光素子201の大きさは、開口部23として設けられた貫通孔に応じて適宜決定すればよく、例えば、10mm×10mm等の小型の光センサを利用することも可能である。このような小型のサイズの光センサを利用する場合には、開口部23の大きさは、例えば10mmφとすることが好ましい。
【0092】
図10上段に示したように、受光素子201の周囲には、複数の発光素子203が環状に配設されている。発光素子203として、例えば、発光ダイオード(LED)を利用することが可能である。
【0093】
これらの発光素子203は、開口部23の中心205を中心として、等間隔で均等に配置される。例えば、発光素子203は、開口部23の中心205を中心として、(90/N)°間隔で4N個(Nは、1以上の整数)配設される。受光素子201の周囲に配置する発光素子203の個数は、受光素子201の大きさや測定ユニット20自体の大きさ等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、18°間隔で20個配置することが好ましい。
【0094】
また、発光素子203が放射する光の波長は、測定対象物のどのような特徴を測定するのかに応じて適宜選択すればよいが、例えば、可視光帯域(400nm〜700nm程度)の光を放射可能な発光素子を用いることが好ましい。
【0095】
これら複数の発光素子203は、図10下段に示したように、各発光素子203からの放射発光の中心線Lが測定対象領域の中心205を通過するように、測定対象領域の法線に対して傾けて配置される。また、各発光素子203からの放射発光の測定対象領域におけるスポットの大きさは、図10下段に示したように、開口部23の大きさと略同一となる(ほぼ重なる)ことが好ましい。なお、図10下段では、放射発光の中心線Lと測定対象領域の法線とのなす角度をθと表記している。以下では、この角度θを、発光素子203の設置角度と称することとする。
【0096】
発光素子203の設置角度は、測定対象領域と受光素子201との離隔距離(図10下段における距離d)に応じて設定される。すなわち、上記離隔距離dが所定の閾値(例えば、20mm)以下である場合、設置角度θを45°とし、離隔距離が所定の閾値(例えば、20mm)超過である場合、設置角度θを45°未満(好ましくは、20°〜30°)とすることができる。この設置角度θは、着目する波長それぞれについて、積分球を用いて測定した場合の反射率に基づき、積分球を用いた場合とほぼ同等の反射率を得ることが可能な角度を特定することで、決定することができる。
【0097】
なお、測定ユニットの小型化を目的としないのであれば、測定対象領域と受光素子201との離隔距離は、いくらでも大きな値に設定することが可能であるが、本実施形態に係る測定ユニット20の場合、離隔距離dの上限を40mm程度とすることが好ましい。
【0098】
また、本実施形態に係る測定ユニット20の発光素子203は、低い開口数の光を放射可能であることが好ましい。低い開口数の光は、発光素子203の発光自体により実現されていてもよく、発光素子に所定の集光レンズを組み合わせることで実現されていてもよい。この発光素子203の放射発光の開口数NAは、反射率の設置角度依存性を示すグラフを作成し、設置角度依存性を示す曲線が積分球を用いて測定した反射率の測定結果と交差するように設定することができる。このような開口数NAを決定することで、反射率の設置角度依存性を示す曲線は、積分球を用いて測定した反射率の測定結果と交差することとなり、適切な設置角度θを決定することが可能となる。なお、開口数NAの具体的な値は、測定ユニット20の大きさ等に応じて適宜設定することとなるが、例えば、0.2〜0.3程度とすることが好ましい。
【0099】
ここで、本実施形態に係る測定ユニット20では、例えば図5に示した5種類の波長の光を照射することで、人間の皮膚を効率良く測定する。なお、図5に示した5種類の波長は、人間の血中に存在する酸化ヘモグロビン、糖化ヘモグロビン、還元ヘモグロビン等の各種のヘモグロビンを測定対象とする場合にも有用な波長である。
【0100】
以上説明したように、本実施形態に係る測定ユニット20の光学系200では、4N個の発光素子203から測定対象領域に向かってN種類の波長の光が放射されるが、N種類の波長の照射タイミングをずらして、測定対象領域に対して光が照射されることが好ましい。1つのパルス波形が発光素子203に入力されることで発光素子203が所定波長の光を放射する場合に、N種類の波長を、時分割により、N個のパルス波形を用いて発光させることが好ましい。この際に、1回の照射で測定に十分な光量を確保するために、各波長λNでは、パルス波形の幅を例えば1ミリ秒(ms)以上とすることが好ましい。また、異なる波長の光同士の混色を防止するために、t番目の波長λtに関するパルス波形の時間的位置と、t+1番目の波長λt+1に関するパルス波形の時間的位置とは、例えば2ミリ秒以上とすることが好ましい。
【0101】
以上説明したような時分割による発光制御を行うことで、N種類の波長の光が測定対象領域に対して順に照射され、各波長に対応する反射光が、受光素子201に結像することとなる。その結果、受光素子201では、各波長に対応する反射光の光量を正確に測定することが可能となる。
【0102】
このように、本実施形態に係る測定ユニット20では、N種類の波長の光を測定対象領域に対して順に照射し、各波長に対応する反射光を受光素子で測定することで、測定対象領域に載置された測定対象物の光学的な情報を取得することができる。また、測定対象とする現象や物体に特徴的な波長を予め選択しておいた上で測定を実施するため、本実施形態に係る測定ユニット20では、積分球や回折格子などといった光学ユニットが不要となり、装置の小型化を実現することができる。また、N種類の波長の光の光源として発光ダイオードを利用することが可能であるため、4N個の発光素子を実装する場合であっても、省電力化及び低コスト化を図ることが可能である。
【0103】
なお、図9A〜図10に示した測定ユニット20は、N種類の波長の光を互いに異なるタイミングで測定対象領域に対して照射し、測定対象領域に載置された測定対象物の測定を行うものであった。以下で説明する測定ユニット20の第1変形例は、4N個の発光素子が同時に同一の波長を有する光を測定対象領域に対して照射し、測定対象領域に載置された測定対象物の測定を行うものである。この際、測定ユニット20では、受光素子201の直前に光学フィルタを配設することで、着目するN種類の波長の選択を行っている。
【0104】
以下では、まず、図11を参照しながら、本変形例に係る測定ユニット20が備える光学系200の構成について、詳細に説明する。図11は、本変形例に係る測定ユニットが備える光学系の一例を示した説明図である。
【0105】
図11上段は、本変形例に係る光学系200を、開口部23の側から見た場合の平面図であり、図11下段は、本変形例に係る光学系200を、図11上段の中心線で切断した場合の断面図である。なお、図11に示した例においても、開口部23に人体の皮膚面が載置され、開口部23に載置された皮膚面が測定対象領域となっている場合について説明する。
【0106】
本変形例に係る光学系200は、図11に示したように、基板等の任意の形状を有する収容ユニットに配置された受光素子201と、基板等の任意の形状を有する収容ユニットに配置された複数の発光素子203と、を有している。また、受光素子201の受光面の上部(図11下段におけるz軸正方向)には、光学フィルタ211及びコリメートレンズ213が設けられている。
【0107】
受光素子201には、測定対象領域に載置された測定対象物からの反射光のうちコリメートレンズ213及び光学フィルタ211を透過した光が結像する。受光素子201は、受光面に結像した光の光量等に応じて、結像した光の光量を表すデータ等を生成する。このような受光素子201として、例えばフォトダイオードを挙げることができるが、本変形例に係る受光素子201は、上記のものに限定されるわけではなく、他の光センサを利用することも可能である。
【0108】
この受光素子201は、上述の場合と同様にして、測定ユニット20の筺体21に設けられた開口部23と対向するように配設される。
【0109】
図11上段に示したように、受光素子201の周囲には、互いに同一の発光特性を有する複数の発光素子203が、環状に配設されている。かかる発光素子203として、上述の場合と同様に、例えば発光ダイオードを利用することができる。
【0110】
これらの発光素子203は、開口部23の中心205を中心として、等間隔で均等に配置される。例えば、発光素子203は、開口部23の中心205を中心として、(90/N)°間隔で4N個(Nは、1以上の整数)配設される。受光素子201の周囲に配置する発光素子203の個数は、受光素子201の大きさや測定ユニット20自体の大きさ等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、18°間隔で20個配置することが好ましい。
【0111】
また、発光素子203が放射する光の波長は、測定対象物のどのような特徴を測定するのかに応じて適宜選択すればよいが、測定対象に特徴的な波長を包括する波長帯域の光を放射可能な発光素子203を用いることが好ましい。本変形例に係る発光素子203として、例えば白色発光素子を利用することで、測定対象に特徴的な波長が可視光帯域(400nm〜700nm程度)内に存在するものを測定することができる。
【0112】
これら複数の発光素子203は、図11下段に示したように、各発光素子203からの放射発光の中心線Lが測定対象領域の中心205を通過するように、測定対象領域の法線に対して傾けて配置される。また、各発光素子203からの放射発光の測定対象領域におけるスポットの大きさは、図11下段に示したように、開口部23の大きさと略同一となる(ほぼ重なる)ことが好ましい。
【0113】
また、発光素子203の設置角度θ及び開口数NAについては、上述の場合と同様の数値範囲とすることが好ましい。
【0114】
これら複数の発光素子203は、上述のように同一の波長特性を有する光を放射するものであり、複数の発光素子203は同時に発光することが好ましい。そのため、1つのパルス波形が発光素子203に入力されることで発光素子203が白色光を放射する場合に、N個のパルス波形を複数の発光素子203に同時に入力することで、複数の発光素子203を同時に発光させる。この際に、1回の照射で測定に十分な光量を確保するために、パルス波形の幅を例えば1ミリ秒(ms)以上とすることが好ましい。
【0115】
ここで、本変形例に係る測定ユニット20においても、測定対象とするもの(例えば、人間の皮膚面)に特徴的な波長に着目して測定処理を実施するわけであるが、以下の説明では、測定対象に特徴的な波長が、N個存在するものとする。かかる場合において、本変形例に係る測定ユニット20の光学系200は、同一の波長特性を有する(例えば、白色発光する)発光素子203からの発光が測定対象面により反射された反射光を利用して、N個の特徴的な波長について、光量等を測定する。
【0116】
本変形例に係る光学系200では、白色光源を利用した反射光から、着目している波長の光を選択するために、図11下段に示したように、光学フィルタ211を利用する。この光学フィルタ211は、着目している波長の個数の分だけ、受光素子201の受光面の上部に設けられる。本変形例では、N種類の特徴的な波長に着目しているので、N種類の光学フィルタ211が用いられることとなる。
【0117】
光学フィルタ211は、上記説明のように、特定の波長帯域の光を透過させる光学素子(例えば、バンドパスフィルタ)である。本変形例に係る光学系200では、測定対象に特徴的な波長として着目している波長帯域に応じて、光学フィルタ211を適宜選択することが可能である。本変形例ではN種類の波長に着目しているため、N種類の波長それぞれを個別に透過させるN種類の光学フィルタ211が選択されることとなる。
【0118】
ここで、各光学フィルタ211について、フィルタを透過する光の波長帯域の広さは、着目している波長の特性に応じて、適宜設定すればよい。
【0119】
光学フィルタ211を透過した反射光は、受光素子201の特定の領域に結像することとなる。従って、本変形例に係る測定ユニット20は、受光素子201と複数の光学フィルタ211のそれぞれとの位置関係を把握しておくことで、受光素子201のどの領域に結像した光が、どの波長帯域に該当する光であるのかを特定することができる。
【0120】
また、測定対象面からの反射光(拡散反射光)を効率良く光学フィルタ211に入射させるために、光学フィルタ211の上流側(図11下段においてz軸正方向側)に、ロッドレンズ等のコリメートレンズ213を配置してもよい。コリメートレンズ213に入射した拡散反射光は、コリメートレンズ213により平行光線となり、光学フィルタ211に入射することとなる。
【0121】
次に、上述の場合と同様に人間の皮膚面を測定対象とした場合を例に挙げて、本変形例に係る光学系200、特に、受光素子201及び光学フィルタ211、について、具体的に説明する。
【0122】
図4及び図5等で説明したように、人間の皮膚面からの反射光で特徴的な波長は、500nm、540nm、580nm、620nm及び660nmの5種類である。そこで、かかる5種類の波長の光の光量等を測定するために、図12の上段に示したように、受光素子201を5つの領域201A〜201Eに区分する。これら5つの領域は、受光素子201において物理的に区分されていてもよく、仮想的に(処理の都合として)5つの領域に区分されているものであってもよい。受光素子201の5つの領域のうち、例えば領域201Aが波長Aの光が結像する領域となり、領域201Bが波長Bの光が結像する領域となる。ここで、受光素子201として10mm×10mmの大きさのフォトダイオードを利用する場合には、このフォトダイオードを、2×10mmごとに5つの領域に区分することができる。
【0123】
なお、図12上段では、受光素子201として利用されるフォトダイオードが、短冊状に5つの領域に均等に区分された場合について図示しているが、領域の形状は、図12に示したような矩形形状に限定されるわけではない。
【0124】
このような5種類の受光領域に該当する波長の光が結像するように、図12に示したように、光学フィルタ211として5種類のバンドパスフィルタが使用される。以下の説明では、波長Aが中心波長500nmに対応するものとし、順に、波長Bが中心波長540nmに対応し、波長Cが中心波長580nmに対応し、波長Dが中心波長620nmに対応し、波長Eが中心波長660nmに対応するものとする。なお、この並び順は便宜的なものであって、どの領域がどの中心波長に対応するかは、適宜決定することができる。
【0125】
これら5種類の光学フィルタ211は、図11及び図12の下段に示したように、受光面対応する領域の上部(例えば、直上)に配置される。これにより、例えば、領域201Aの直上に設けられた光学フィルタ211に入射した白色反射光は、500nmを中心波長とした所定幅の光のみが光学フィルタ211を透過することとなり、領域201Aには、500nmを中心波長とした所定幅の光が結像することとなる。なお、図12では、図示の関係上、便宜的に受光素子201と光学フィルタ211との間に間隙を設けて図示しているが、光学フィルタ211は、受光素子201の直上に設けられてもよく、図示のように所定の間隙を空けて設けられてもよい。
【0126】
また、光学フィルタ211の上部には、先に説明したように、拡散反射光をコリメートするためのコリメートレンズ213が適宜設けられる。
【0127】
以上、図11及び図12を参照しながら、本変形例に係る測定ユニット20について、詳細に説明した。本変形例に係る測定ユニット20では、同一の波長特性を有する光を測定対象領域に対して同時に照射し、受光素子の前段に設けられた光学フィルタにより波長を選択することで、測定対象領域に載置された測定対象物の光学的な情報を取得することができる。また、測定対象とする現象や物体に特徴的な波長を予め選択しておいた上で測定を実施するため、本実施形態に係る測定装置1では、積分球や回折格子などといった光学ユニットが不要となり、装置の小型化を実現することができる。また、発光素子として発光ダイオードを利用することが可能であるため、4N個の発光素子を実装する場合であっても、省電力化及び低コスト化を図ることが可能である。
【0128】
<情報処理方法について>
続いて、図13を参照しながら、本実施形態に係る情報処理装置10で実施される情報処理方法の流れの一例について説明する。図13は、本実施形態に係る情報処理方法の流れの一例を示した流れ図である。
【0129】
本実施形態に係る情報処理装置10の測定データ取得部101は、測定ユニット20から、測定ユニット20が測定した生体での光の反射率に関する測定データを取得する(ステップS101)。その後、測定データ取得部101は、取得した測定データを、判定部103に出力する。
【0130】
判定部103は、測定データ取得部101から出力された測定データを参照して、所定の波長帯域(例えば、400nm〜700nm全体の帯域や、図5に示した5種類の波長)での反射率を特定する(ステップS103)。その後、判定部103は、特定した反射率を利用して、上記条件が成立するか否かを判定することで、血管状態や血流状態を判定する(ステップS105)。
【0131】
判定部103は、血管状態や血流状態に関する判定結果を、濃度算出部105やアプリケーション実行部113に出力する。濃度算出部105やアプリケーション実行部113は、判定部103により得られた判定結果を利用して、各種の処理を実施する(ステップS107)。
【0132】
例えば、濃度算出部105は、測定データ取得部101が取得した測定データを利用して、各種ヘモグロビンやメラニン等の測定対象成分の濃度を算出する。この際、判定部103による判定結果が、血管の拡張や血流の増加を示すものであった場合、又は、血管の収縮や血流の減少を示すものであった場合に、濃度算出部105は、算出した測定対象成分の濃度を補正して、得られた補正後の濃度を、測定対象成分の推定濃度とする。
【0133】
また、アプリケーション実行部113は、判定部103による判定結果を利用して、首、肩、腰等のコリを判定したり、判定部103による判定結果を利用してユーザの興奮度を特定してゲームに適用したりする。
【0134】
このように、本実施形態に係る情報処理方法では、皮膚での光の反射率の測定結果に基づいて、被測定者の血管状態や血流状態を容易に判定することが可能となり、得られた判定結果を各種の処理に利用することが可能となる。
【0135】
(ハードウェア構成について)
次に、図14を参照しながら、本開示の実施形態に係る情報処理装置10のハードウェア構成について、詳細に説明する。図14は、本開示の実施形態に係る情報処理装置10のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。
【0136】
情報処理装置10は、主に、CPU901と、ROM903と、RAM905と、を備える。また、情報処理装置10は、更に、ホストバス907と、ブリッジ909と、外部バス911と、インターフェース913と、入力装置915と、出力装置917と、ストレージ装置919と、ドライブ921と、接続ポート923と、通信装置925とを備える。
【0137】
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、ROM903、RAM905、ストレージ装置919、又はリムーバブル記録媒体927に記録された各種プログラムに従って、情報処理装置10内の動作全般またはその一部を制御する。ROM903は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM905は、CPU901が使用するプログラムや、プログラムの実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバス等の内部バスにより構成されるホストバス907により相互に接続されている。
【0138】
ホストバス907は、ブリッジ909を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス911に接続されている。
【0139】
入力装置915は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ及びレバーなどユーザが操作する操作手段である。また、入力装置915は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール手段(いわゆる、リモコン)であってもよいし、情報処理装置10の操作に対応した携帯電話やPDA等の外部接続機器929であってもよい。さらに、入力装置915は、例えば、上記の操作手段を用いてユーザにより入力された情報に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などから構成されている。情報処理装置10のユーザは、この入力装置915を操作することにより、情報処理装置10に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0140】
出力装置917は、取得した情報をユーザに対して視覚的または聴覚的に通知することが可能な装置で構成される。このような装置として、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置およびランプなどの表示装置や、スピーカ及びヘッドホンなどの音声出力装置や、プリンタ装置、携帯電話、ファクシミリなどがある。出力装置917は、例えば、情報処理装置10が行った各種処理により得られた結果を出力する。具体的には、表示装置は、情報処理装置10が行った各種処理により得られた結果を、テキスト又はイメージで表示する。他方、音声出力装置は、再生された音声データや音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して出力する。
【0141】
ストレージ装置919は、情報処理装置10の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置919は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイス等により構成される。このストレージ装置919は、CPU901が実行するプログラムや各種データ、及び外部から取得した各種のデータなどを格納する。
【0142】
ドライブ921は、記録媒体用リーダライタであり、情報処理装置10に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ921は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体927に記録されている情報を読み出して、RAM905に出力する。また、ドライブ921は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体927に記録を書き込むことも可能である。リムーバブル記録媒体927は、例えば、DVDメディア、HD−DVDメディア、Blu−rayメディア等である。また、リムーバブル記録媒体927は、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CompactFlash:CF)、フラッシュメモリ、または、SDメモリカード(Secure Digital memory card)等であってもよい。また、リムーバブル記録媒体927は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード(Integrated Circuit card)または電子機器等であってもよい。
【0143】
接続ポート923は、機器を情報処理装置10に直接接続するためのポートである。接続ポート923の一例として、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポート等がある。接続ポート923の別の例として、RS−232Cポート、光オーディオ端子、HDMI(High−Definition Multimedia Interface)ポート等がある。この接続ポート923に外部接続機器929を接続することで、情報処理装置10は、外部接続機器929から直接各種のデータを取得したり、外部接続機器929に各種のデータを提供したりする。
【0144】
通信装置925は、例えば、通信網931に接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。通信装置925は、例えば、有線または無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、またはWUSB(Wireless USB)用の通信カード等である。また、通信装置925は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、または、各種通信用のモデム等であってもよい。この通信装置925は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、例えばTCP/IP等の所定のプロトコルに則して信号等を送受信することができる。また、通信装置925に接続される通信網931は、有線または無線によって接続されたネットワーク等により構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信または衛星通信等であってもよい。
【0145】
以上、本開示の実施形態に係る情報処理装置10の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。
【0146】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0147】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
被測定者の生体表面に所定波長の光を照射することで得られた当該光の反射率に関する測定データを利用し、前記光の反射率に対応する色相に応じて前記生体における血管の状態及び/又は血流の状態を判定する判定部
を備える、情報処理装置。
(2)
前記判定部は、可視光帯域に属する光を照射することで得られた前記光の反射率のうち、赤色に対応する帯域である第1の帯域での反射率と、当該第1の帯域よりも短波長側の帯域である第2の帯域での反射率とを用いて、血管の拡張もしくは収縮、及び/又は、血流の増加もしくは減少を判定する、(1)に記載の情報処理装置。
(3)
前記判定部は、
前記第2の帯域に属する波長での前記反射率が第1の閾値以下であり、かつ、前記第1の帯域に属する波長での前記反射率と前記第2の帯域に属する波長での反射率との差が第2の閾値以上である場合、前記生体の測定部位では血管が拡張し、血流が増加した状態にあると判定し、
前記第2の帯域に属する波長での反射率が第3の閾値以上であり、かつ、前記第1の帯域に属する波長での反射率と第2の帯域に属する波長での反射率との差が第3の閾値以下である場合、前記生体の測定部位では血管が収縮し、血流が減少した状態にあると判定する、(1)又は(2)に記載の情報処理装置。
(4)
前記判定部は、
前記被測定者の性別に応じて、前記第1の閾値、前記第2の閾値、前記第3の閾値及び前記第4の閾値の設定値をそれぞれ変更する、(3)に記載の情報処理装置。
(5)
前記判定部は、
前記第1の帯域での反射率として、波長620nmでの反射率及び波長660nmでの反射率の少なくとも何れかを利用し、
前記第2の帯域での反射率として、波長500nmでの反射率、波長540nmでの反射率及び波長580nmでの反射率の少なくとも何れかを利用する、(1)〜(4)のいずれか1つに記載の情報処理装置。
(6)
前記光の反射率に関する測定データを利用して、測定部位での測定対象成分の濃度を算出する濃度算出部を更に備え、
前記濃度算出部は、前記判定部による判別結果に応じて、算出した前記測定対象成分の濃度を補正する、(2)〜(5)のいずれか1つに記載の情報処理装置。
(7)
前記濃度算出部は、
前記判定部により血管が拡張し血流が増加した状態にあると判定された場合、算出した前記測定対象成分の濃度を所定の補正係数で除することで補正を行い、
前記判定部により血管が収縮し血流が減少した状態にあると判定された場合、算出した前記測定対象成分の濃度に所定の補正係数を乗じることで補正を行う、(6)に記載の情報処理装置。
(8)
前記判定部による判定結果を利用するアプリケーションを実行するアプリケーション実行部を更に備える、(1)〜(7)のいずれか1つに記載の情報処理装置。
(9)
前記アプリケーション実行部は、前記判定部による判定結果を利用して、体のコリの有無を判定する、(8)に記載の情報処理装置。
(10)
前記アプリケーション実行部は、前記判定部による判定結果を利用して前記被測定者の興奮度を特定し、特定した当該興奮度をアプリケーションのパラメータに反映させる、(8)に記載の情報処理装置。
(11)
被測定者の生体表面に所定波長の光を照射することで得られた当該光の反射率に関する測定データを利用し、前記光の反射率に対応する色相に応じて前記生体における血管の状態及び/又は血流の状態を判定すること
を含む、情報処理方法。
(12)
コンピュータに、
被測定者の生体表面に所定波長の光を照射することで得られた当該光の反射率に関する測定データを利用し、前記光の反射率に対応する色相に応じて前記生体における血管の状態及び/又は血流の状態を判定する判定機能
を実現させるためのプログラム。
(13)
被測定者の生体表面に所定波長の光を照射し、生体によって反射された光を検知することで前記光の反射率に関する測定データを生成する測定ユニットと、
前記測定ユニットにより生成された前記光の反射率に関する測定データを利用し、当該光の反射率に対応する色相に応じて前記生体における血管の状態及び/又は血流の状態を判定する判定部を有する情報処理装置と、
を備え、
前記測定ユニットは、
前記生体表面が載置された測定対象領域からの光が結像する受光素子と、
前記受光素子の周囲に環状に配設され、前記測定対象領域に対して所定波長の光を放射する複数の発光素子と、
を有し、
前記複数の発光素子は、それぞれの前記発光素子からの放射発光の中心線が、前記測定対象領域の略中心を通過するように、前記測定対象領域の法線に対して傾けて配設される、情報処理システム。
【符号の説明】
【0148】
1 情報処理システム
10 情報処理装置
20 測定ユニット
101 測定データ取得部
103 判定部
105 濃度算出部
107 結果出力部
109 表示制御部
111 アプリケーション実行部
113 記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者の生体表面に所定波長の光を照射することで得られた当該光の反射率に関する測定データを利用し、前記光の反射率に対応する色相に応じて前記生体における血管の状態及び/又は血流の状態を判定する判定部
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記判定部は、可視光帯域に属する光を照射することで得られた前記光の反射率のうち、赤色に対応する帯域である第1の帯域での反射率と、当該第1の帯域よりも短波長側の帯域である第2の帯域での反射率とを用いて、血管の拡張もしくは収縮、及び/又は、血流の増加もしくは減少を判定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記判定部は、
前記第2の帯域に属する波長での前記反射率が第1の閾値以下であり、かつ、前記第1の帯域に属する波長での前記反射率と前記第2の帯域に属する波長での反射率との差が第2の閾値以上である場合、前記生体の測定部位では血管が拡張し、血流が増加した状態にあると判定し、
前記第2の帯域に属する波長での反射率が第3の閾値以上であり、かつ、前記第1の帯域に属する波長での反射率と第2の帯域に属する波長での反射率との差が第3の閾値以下である場合、前記生体の測定部位では血管が収縮し、血流が減少した状態にあると判定する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記判定部は、
前記被測定者の性別に応じて、前記第1の閾値、前記第2の閾値、前記第3の閾値及び前記第4の閾値の設定値をそれぞれ変更する、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記判定部は、
前記第1の帯域での反射率として、波長620nmでの反射率及び波長660nmでの反射率の少なくとも何れかを利用し、
前記第2の帯域での反射率として、波長500nmでの反射率、波長540nmでの反射率及び波長580nmでの反射率の少なくとも何れかを利用する、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記光の反射率に関する測定データを利用して、測定部位での測定対象成分の濃度を算出する濃度算出部を更に備え、
前記濃度算出部は、前記判定部による判別結果に応じて、算出した前記測定対象成分の濃度を補正する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記濃度算出部は、
前記判定部により血管が拡張し血流が増加した状態にあると判定された場合、算出した前記測定対象成分の濃度を所定の補正係数で除することで補正を行い、
前記判定部により血管が収縮し血流が減少した状態にあると判定された場合、算出した前記測定対象成分の濃度に所定の補正係数を乗じることで補正を行う、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記判定部による判定結果を利用するアプリケーションを実行するアプリケーション実行部を更に備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記アプリケーション実行部は、前記判定部による判定結果を利用して、体のコリの有無を判定する、請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記アプリケーション実行部は、前記判定部による判定結果を利用して前記被測定者の興奮度を特定し、特定した当該興奮度をアプリケーションのパラメータに反映させる、請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項11】
被測定者の生体表面に所定波長の光を照射することで得られた当該光の反射率に関する測定データを利用し、前記光の反射率に対応する色相に応じて前記生体における血管の状態及び/又は血流の状態を判定すること
を含む、情報処理方法。
【請求項12】
コンピュータに、
被測定者の生体表面に所定波長の光を照射することで得られた当該光の反射率に関する測定データを利用し、前記光の反射率に対応する色相に応じて前記生体における血管の状態及び/又は血流の状態を判定する判定機能
を実現させるためのプログラム。
【請求項13】
被測定者の生体表面に所定波長の光を照射し、生体によって反射された光を検知することで前記光の反射率に関する測定データを生成する測定ユニットと、
前記測定ユニットにより生成された前記光の反射率に関する測定データを利用し、当該光の反射率に対応する色相に応じて前記生体における血管の状態及び/又は血流の状態を判定する判定部を有する情報処理装置と、
を備え、
前記測定ユニットは、
前記生体表面が載置された測定対象領域からの光が結像する受光素子と、
前記受光素子の周囲に環状に配設され、前記測定対象領域に対して所定波長の光を放射する複数の発光素子と、
を有し、
前記複数の発光素子は、それぞれの前記発光素子からの放射発光の中心線が、前記測定対象領域の略中心を通過するように、前記測定対象領域の法線に対して傾けて配設される、情報処理システム。
【請求項1】
被測定者の生体表面に所定波長の光を照射することで得られた当該光の反射率に関する測定データを利用し、前記光の反射率に対応する色相に応じて前記生体における血管の状態及び/又は血流の状態を判定する判定部
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記判定部は、可視光帯域に属する光を照射することで得られた前記光の反射率のうち、赤色に対応する帯域である第1の帯域での反射率と、当該第1の帯域よりも短波長側の帯域である第2の帯域での反射率とを用いて、血管の拡張もしくは収縮、及び/又は、血流の増加もしくは減少を判定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記判定部は、
前記第2の帯域に属する波長での前記反射率が第1の閾値以下であり、かつ、前記第1の帯域に属する波長での前記反射率と前記第2の帯域に属する波長での反射率との差が第2の閾値以上である場合、前記生体の測定部位では血管が拡張し、血流が増加した状態にあると判定し、
前記第2の帯域に属する波長での反射率が第3の閾値以上であり、かつ、前記第1の帯域に属する波長での反射率と第2の帯域に属する波長での反射率との差が第3の閾値以下である場合、前記生体の測定部位では血管が収縮し、血流が減少した状態にあると判定する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記判定部は、
前記被測定者の性別に応じて、前記第1の閾値、前記第2の閾値、前記第3の閾値及び前記第4の閾値の設定値をそれぞれ変更する、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記判定部は、
前記第1の帯域での反射率として、波長620nmでの反射率及び波長660nmでの反射率の少なくとも何れかを利用し、
前記第2の帯域での反射率として、波長500nmでの反射率、波長540nmでの反射率及び波長580nmでの反射率の少なくとも何れかを利用する、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記光の反射率に関する測定データを利用して、測定部位での測定対象成分の濃度を算出する濃度算出部を更に備え、
前記濃度算出部は、前記判定部による判別結果に応じて、算出した前記測定対象成分の濃度を補正する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記濃度算出部は、
前記判定部により血管が拡張し血流が増加した状態にあると判定された場合、算出した前記測定対象成分の濃度を所定の補正係数で除することで補正を行い、
前記判定部により血管が収縮し血流が減少した状態にあると判定された場合、算出した前記測定対象成分の濃度に所定の補正係数を乗じることで補正を行う、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記判定部による判定結果を利用するアプリケーションを実行するアプリケーション実行部を更に備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記アプリケーション実行部は、前記判定部による判定結果を利用して、体のコリの有無を判定する、請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記アプリケーション実行部は、前記判定部による判定結果を利用して前記被測定者の興奮度を特定し、特定した当該興奮度をアプリケーションのパラメータに反映させる、請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項11】
被測定者の生体表面に所定波長の光を照射することで得られた当該光の反射率に関する測定データを利用し、前記光の反射率に対応する色相に応じて前記生体における血管の状態及び/又は血流の状態を判定すること
を含む、情報処理方法。
【請求項12】
コンピュータに、
被測定者の生体表面に所定波長の光を照射することで得られた当該光の反射率に関する測定データを利用し、前記光の反射率に対応する色相に応じて前記生体における血管の状態及び/又は血流の状態を判定する判定機能
を実現させるためのプログラム。
【請求項13】
被測定者の生体表面に所定波長の光を照射し、生体によって反射された光を検知することで前記光の反射率に関する測定データを生成する測定ユニットと、
前記測定ユニットにより生成された前記光の反射率に関する測定データを利用し、当該光の反射率に対応する色相に応じて前記生体における血管の状態及び/又は血流の状態を判定する判定部を有する情報処理装置と、
を備え、
前記測定ユニットは、
前記生体表面が載置された測定対象領域からの光が結像する受光素子と、
前記受光素子の周囲に環状に配設され、前記測定対象領域に対して所定波長の光を放射する複数の発光素子と、
を有し、
前記複数の発光素子は、それぞれの前記発光素子からの放射発光の中心線が、前記測定対象領域の略中心を通過するように、前記測定対象領域の法線に対して傾けて配設される、情報処理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−31502(P2013−31502A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168191(P2011−168191)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.COMPACTFLASH
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.COMPACTFLASH
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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