説明

情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び記録媒体

【課題】制御部を省電力状態に移行させて省電力化を図る情報処理装置において、ネットワークから管理する情報を受信して処理する際、制御部が省電力状態から復帰する頻度を低減して省電力効果を高める。
【解決手段】情報処理装置は、ネットワークに接続された情報処理装置とのデータ通信を行う通信手段と、通信手段が受信したデータの内容に応じて各種処理を施す制御手段と、通信手段が受信した自装置で管理すべきネットワーク情報を記憶する記憶手段と、情報処理装置全体への電力供給を制御し、該装置の動作状態を切り替える電力制御手段と、通信手段の通信状態、通信手段が受信したデータの内容及び自装置の操作状態に基づいて、電力制御手段に対する動作状態の切り替え指示と制御手段に対する情報通知を行う動作状態判定手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像処理装置、ネットワークに接続されるプリンタ、スキャナ、ファクシミリ、コピー機、それらの複合機(MFP)を含む情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び記録媒体に関し、特に、IPv6環境における装置の消費電力低減に好ましく適用される技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、IPv4環境における省エネ技術として、制御手段であるCPUが省エネモード中に印刷に不要なパケットを復帰させずに処理する技術が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
他方で、IPv6環境においては、IPv4環境とは異なり、近隣探索(Neighbor Discovery)等の端末が管理すべき情報を通知するパケットがネットワーク上に送出されている。具体的には、ルータ広告(Router Advertisement)や近隣広告(Neighbor Advertisement)があり、ルータ広告においては、そのネットワークのプレフィックスやその寿命等のパラメータが含まれている。また、その送出間隔は比較的短い場合が多い。
【0004】
そして、受信したときに端末が管理する必要のあるこのような情報は、CPUを使用しないで処理することは困難であるため、このような情報を受信した場合、CPUでこの情報を処理して管理する必要がある。ところが、CPUを低電力状態あるいは省電力状態(CPUへの給電を遮断した状態)にして消費電力を低減する省エネルギーモードを備えた端末においては、ネットワーク上に送出されたルータ広告等の情報を受信すると、CPUが省エネルギーモードから復帰してしまうこととなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような端末が管理すべき情報は比較的頻繁にネットワーク上に送出されているため、CPUが低電力状態あるいは省電力状態に移行したとしても短時間で通常動作状態に復帰してしまう。また、通常動作状態からある一定時間経過後に省エネ状態に移行するような端末で、この情報の受信間隔が省エネ移行時間より短い場合には、省エネ状態へ移行することができないため、消費電力を抑えることができなかった。
【0006】
そこで、本発明は、制御部を省電力状態に移行させて省電力化を図る情報処理装置において、ネットワークから管理する情報を受信して処理する際、制御部が省電力状態から復帰する頻度を低減して省電力効果を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面である情報処理装置は、ネットワークに接続された情報処理装置とのデータ通信を行う通信手段と、通信手段が受信したデータの内容に応じて各種処理を施す制御手段と、通信手段が受信した自装置で管理すべきネットワーク情報を記憶する記憶手段と、情報処理装置全体への電力供給を制御し、該装置の動作状態を切り替える電力制御手段と、通信手段の通信状態、通信手段が受信したデータの内容及び自装置の操作状態に基づいて、電力制御手段に対する動作状態の切り替え指示と制御手段に対する情報通知を行う動作状態判定手段と、を有する。
【0008】
本発明の一側面である情報処理方法は、ネットワークに接続された情報処理装置とのデータ通信を行う通信ステップと、通信ステップで受信した自装置で管理すべきネットワーク情報を記憶手段に記憶する記憶ステップと、データ通信の通信状態、通信ステップで受信したデータの内容及び自装置の操作状態に基づいて、自装置の動作状態の切り替え要否を判定し、動作休止状態から動作可能状態への切り替えが必要と判定したとき、動作状態の切り替え指示と記憶手段に記憶したネットワーク情報の通知を行う判定ステップと、判定ステップでの切り替え指示に基づいて、情報処理装置全体への電力供給を制御し、自装置の動作状態を切り替える切り替えステップと、切り替えステップで動作可能状態となった後、判定ステップで通知されたネットワーク情報に関するデータ処理を行う処理ステップと、を有する。
【0009】
本発明の一側面であるプログラムは、コンピュータに、ネットワークに接続された情報処理装置とのデータ通信を行う通信ステップと、通信ステップで受信した自装置で管理すべきネットワーク情報を記憶手段に記憶する記憶ステップと、データ通信の通信状態、通信ステップで受信したデータの内容及び自装置の操作状態に基づいて、自装置の動作状態の切り替え要否を判定し、動作休止状態から動作可能状態への切り替えが必要と判定したとき、動作状態の切り替え指示と記憶手段に記憶したネットワーク情報の通知を行う判定ステップと、判定ステップでの切り替え指示に基づいて、情報処理装置全体への電力供給を制御し、自装置の動作状態を切り替える切り替えステップと、切り替えステップで動作可能状態となった後、判定ステップで通知されたネットワーク情報に関するデータ処理を行う処理ステップと、を実行させる。
【0010】
本発明の一側面である記録媒体は、上記のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、制御部は、管理すべき情報を受信した場合でも休止状態から復帰せず、その他の復帰すべき要因(プリントデータの受信、操作指示情報の受信等)が発生した場合に休止状態から復帰して、受信した管理すべき情報を処理するように構成したため、ネットワークから管理する情報を受信して処理する際、制御部が省電力状態から復帰する頻度を低減して省電力効果を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るプリンタの全体構成を示した図である。
【図2】本発明の実施形態に係るプリンタの要部構成を示した図である。
【図3】本発明の実施形態に係るプリンタの省エネモード遷移を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明では、ルータ広告(Router Advertisement)や近隣広告(Neighbor Advertisement)等、IPv6環境においてCPUが管理すべきパケットを省エネ状態で受信したとしても破棄せずに蓄積しておき、CPUは管理すべきパケットの受信で省エネ状態から復帰しない。そして、印刷パケット受信や操作パネルの操作といったCPUが復帰すべき要因が発生したとき、CPUが省エネ状態から復帰するとともに、蓄積しておいた管理すべきパケットをCPUへ通知することで、消費電力を低く抑えたまま、管理すべき情報を正常に処理する。
【0014】
このように、ルータ広告等を頻繁に受信したとしても、CPU復帰条件が成立しない限りは、CPUを省エネ状態のまま維持することにより、IPv6環境において、情報処理装置が省エネ状態から復帰する頻度を低減し、消費電力を低減することができる。すなわち、CPUが休止状態の時、管理すべき情報を受信した場合でもCPUは復帰せず、その他の復帰すべき要因(例えばプリントデータの受信、操作パネルの操作等)にて復帰したときに、管理すべき情報をCPUへ通知することで、管理すべき情報が正常に処理することが可能なため、消費電力を低く抑えたまま、管理すべき情報を正常に処理することができ、消費電力低減の効果が高い。
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態としてのプリンタの全体構成を示した図である。コントローラボード30はプリンタの制御を司る制御部である。コントローラボード30にはASIC20、ASICクロック生成部41、ワークメモリであるSDRAM43、プログラムメモリ格納用のROM44、Ethernet(登録商標)物理層のPHY45、PHYクロック生成部42、操作部46、HDD47、ボード電力制御部48、外部電力制御部49が搭載されている。
【0017】
ASIC20には、コントローラボード30全体を制御するCPU1、SDRAMコントローラ4、外部ネットワークと通信するためのネットワークコントローラ3、操作部46と接続するためのOPE I/F7、HDD47と接続するためのHDD I/F8、外部I/Oを制御するためのI/O I/F9、プロッタ100を接続するためのPCI I/F6、装置の電力制御を行うパワー・マネージメント・コントローラ2を備えており、全ての制御、データ転送はInternet BUS10を介して行われる。
【0018】
SDRAMコントローラ4は、SDRAM43のデータの読み書き、SDRAM43のセルフリフレッシュモードへの移行、SDRAM43の通常モードへの復帰等の制御を行う。また、SDRAM43の動作モードについてセルフリフレッシュモードが通常モードであるかを示す信号をネットワークコントローラ3へ出力している。
【0019】
パワー・マネージメント・コントローラ2は、入力信号D、H、及びInternet BUS10を介したCPU1からの制御により、ASIC20の内部及び外部の電力制御を行う。入力信号Dは、ネットワークコントローラ3から出力される複数の信号である。例えば、特定のパケットを受信した場合等に出力される。また、入力信号HはASIC外部からの入力される複数の信号である。例えば、省エネ復帰/移行キーを押下された場合等に出力される。この信号により、省エネ状態にあるプリンタの復帰を行う。
【0020】
本実施形態では、装置全体として4つの消費電力モードを備える。以下、4つの消費電力モードについて説明する。
【0021】
1.通常モード
図1の全ての領域が通電しているモードである。
2.コントローラモード
プロッタ100のみ電源が遮断され、コントローラボード30が通電されている省電力モードである。
3.ネットワークモード
プロッタ100、コントローラボード30の点線で囲まれた部分ASIC20内部の点線で囲まれた部分の電力を遮断し、コントローラボード30のその他の部分及びASIC20内部のその他の部分は通電され、CPU1及びSDRAM43が省電力状態ではなく通常状態となっている省電力モードである。
4.待機モード
プロッタ100、コントローラボード30の点線で囲まれた部分及びASIC20内部の点線で囲まれた部分の電力を遮断し、コントローラボード30のその他の部分及びASIC20内部のその他の部分は通電され、CPU1はクロックを停止したスリープモードであり、SDRAM43はセルフリフレッシュモードとなっている省電力モードである。
【0022】
各省エネモードへの移行/復帰は、CPU1がInternet BUS10を介し、パワー・マネージメント・コントローラ2へ省エネモードの設定をするか又はパワー・マネージメント・コントローラ2への入力信号により行われる。また、各省エネモードへの移行/復帰を行う際は、パワー・マネージメント・コントローラ2より、各デバイス、各ブロックへ信号を出力する。
【0023】
出力信号Aは、CPU1に割り込みを発生させ、CPU1を可動状態又はスリープ状態へと遷移させる信号である。出力信号Bは、SDRAMコントローラ4を介して、SDRAM43を省電力モードであるセルフリフレッシュモード又は通常モードへと遷移させるための信号である。出力信号Cは、ASIC20内部の点線で囲んだ領域、PCI I/F6、OPE I/F7、HDD I/F8、I/O I/F9の電力を遮断又は復帰させるための信号である。
【0024】
出力信号Eは、コントローラボード30内の点線で囲んだ領域、操作部46、HDD47の電力を遮断又は復帰させるための信号である。出力信号Fは、コントローラボード30内のその他の電力を制御するための信号である。例えばプルアップ用の電源等を遮断又は復帰するのに使われる。出力信号Gは、コントローラ外部の電力を制御するための信号である。例えばプロッタ100の電力を制御するために使用される。
【0025】
図2にネットワークコントローラ3の詳細を示す。MAC201は、PHY45を介して外部ネットワーク装置と通信を行うためのメディアアクセスコントローラである。アドレス・フィルタ202は、MAC201にて受信したパケットに含まれる宛先MACアドレス、及び宛先IPアドレスから自局当て、ブロードキャスト、マルチキャストを判別し、処理する必要のないパケットを破棄するためのものである。通過可能なアドレスはレジスタ内に設定可能である。
【0026】
パターン・フィルタ203は、アドレス・フィルタ202を通過したパケットに含まれる特定パターンを走査し、処理する必要のないパケットは破棄し、処理する必要のあるパケットを選別する。処理する必要のあるパケットとしては、MIB(SNMP)、蓄積画像の読み出し要求、印刷要求、近隣探索(ルータ広告も含む)、ARP要求、PING要求、その他プロトコル等がある。なお、印刷要求パケットは印刷データであっても構わない。
【0027】
アドレス・フィルタ202を通過したパケットがARP要求、PING要求パケットであった場合は、パケット・エンジン205へパケットを転送し、パケット・エンジン205からのパケットを選択するように、セレクタ206への信号をアクティブにする。通常時はInternet BUS10を介した送信パケットを選択している。その他の処理すべきパケットは、バッファ204へ転送する。
【0028】
処理する必要のあるパケットとして例えば印刷要求を受信した場合は、プロッタ復帰要求の信号をアクティブにし、パワー・マネージメント・コントローラ2へ通知する。この信号Dによりパワー・マネージメント・コントローラ2は、現在の消費電力モードに応じて信号を出力する。ここで、消費電力モードが例えばコントローラモードであったとき、外部電力制御部49へ信号を出力し、信号Gをアクティブにすることでプロッタ100を省エネ状態から復帰する。
【0029】
また、例えば蓄積画像の読み出し要求を受信した場合は、コントローラ復帰要求の信号をアクティブにし、パワー・マネージメント・コントローラ2へ通知する。ここで、消費電力モードが例えばネットワークモードであったとき、パワー・マネージメント・コントローラ2は、信号C及びボード電力制御部48を介して信号Eをアクティブにし、プロッタ100を省電力状態のまま点線部を可動状態へ復帰することで、HDD I/F8及びHDD47を省電力状態から復帰する。
【0030】
その他、例えばMIB要求を受信した場合は、CPU復帰要求の信号をアクティブにし、パワー・マネージメント・コントローラ2へ通知する。ここで、消費電力モードが例えば待機モードであったとき、パワー・マネージメント・コントローラ2は信号A及び信号Bをアクティブにし、プロッタ100、コントローラボード30の一部及びASIC20の一部を省電力状態のまま、CPU1及びSDRAM43を省電力状態から復帰する。
【0031】
そして、例えばルータ広告を受信した場合は、各復帰要求信号をOFFにしたまま、バッファ204へパケットを転送する。
【0032】
バッファ204は、受信したパケットを一時的に蓄えるものである。SDRAMコントローラ4から、SDRAM43が通常モードであることを通知されている間は、蓄えたパケットを即座にSDRAMコントローラ4を介し、SDRAM43へパケットを蓄積する。SDRAMコントローラ4よりSDRAM43がセルフリフレッシュモードであると通知されている場合は、SDRAM43が通常モードであることを通知されるまで、蓄えたパケットを蓄積したままの状態とする。
【0033】
パケット・エンジン205は、受信パケットがARP要求の場合はARP応答パケットを生成し、PING要求パケットの場合はPING応答パケットを生成する。そして、生成したパケットは、セレクタ206、MAC201、PHY45を介してネットワーク上へ送出される。これにより、高頻度のパケットであるARP要求やPING要求に対してCPU1を介さず自動応答することで、CPU1が低消費電力状態であるスリープ状態においても、CPU1を復帰させることなく、応答が可能となる。
【0034】
セレクタ206は、パケット・エンジン205にて生成した自動応答パケットとInternet BUS10を介した送信パケットを選択するためのものである。パターン・フィルタ203により、通常時はInternet BUS10を介した送信パケットを選択されており、ARP要求パケット、PING要求パケットを受信したときにパケット・エンジン205からのパケットを選択するようになっている。
【0035】
なお、図示してはいないが、MAC201、アドレス・フィルタ202、パターン・フィルタ203、パケット・エンジン205は、CPU1より設定値を設定可能となっている。
【0036】
本実施形態における、具体的な消費電力モード間の移行について説明する。図3に省エネモード遷移図を示す。
【0037】
1.通常モード−コントローラモード間
1−1.通常モードからコントローラモードへの移行要因は、一定時間、プロッタ100の動作がない場合、省エネ復帰/移行キーを押された場合等が挙げられる。例えば一定時間プロッタ100の動作がない場合であれば、CPU1がそれを検知し、パワー・マネージメント・コントローラ2へプロッタ100の電源を遮断するように伝える。そして、パワー・マネージメント・コントローラ2は、外部電力制御部49を介して信号Gにより、プロッタ100の電源を遮断し、プリンタをコントローラモードへ移行する。
【0038】
1−2.コントローラモードへから通常モードへの移行要因は、外部装置からの印刷データ、印刷要求の受信、省エネ復帰/移行キーを押された場合等が挙げられる。例えば外部装置より印刷データを受信した場合は、ネットワークコントローラ3のパターン・フィルタ203より、プロッタ復帰要求信号がアクティブとなり、パワー・マネージメント・コントローラ2へ通知される。そして、パワー・マネージメント・コントローラ2は、外部電力制御部49を介してプロッタ100の電源を復帰し、プロッタ100を通常動作状態へ復帰して、プリンタを通常モードへ移行する。また、印刷データは、バッファ204に蓄積され、SDRAM43へ転送される。CPU1が印刷データを加工してプロッタ100へ転送し、プロッタ100が印刷データを印字した用紙を出力する。また、コントローラモード時にルータ広告を受信した場合は、通常モードへは復帰せず、受信パケットをバッファ204に蓄積し、上述した復帰要因により復帰したとき、受信したルータ広告はSDRAM43へ転送される。
【0039】
2.コントローラモード−待機モード間
2−1.コントローラモードから待機モードへの移行要因は、一定時間、CPU1にて処理すべきネットワークデータの受信がなく、一定時間、省エネ復帰/移行キーも押されず、一定時間、操作部46の操作がない等、ある一定時間イベントが発生しなかった場合が挙げられる。このように、一定時間イベントがないことをCPU1が確認すると、パワー・マネージメント・コントローラ2へCPU1をスリープ状態へ、SDRAM43をセルフリフレッシュモードへ、コントローラボード30の一部及びASIC20の一部を省電力状態へ移行するように伝える。そして、パワー・マネージメント・コントローラ2は、信号A、信号B、信号C、ボード電力制御部48を介した信号E及び信号Fにより、CPU1をスリープモードへ、SDRAM43をセルフリフレッシュモードへ移行し、コントローラボード30の一部及びASIC20の一部を省電力状態へ移行することで、プリンタを待機モードへ移行する。
【0040】
2−2.待機モードへからコントローラモードへの移行要因は、例えばHDD47へ格納されている画像データの外部機器による取得、蓄積画像読み出し要求パケットの受信等が挙げられる。ここでは、ネットワークコントローラ3のパターン・フィルタ203より、コントローラ復帰要求信号がアクティブとなり、パワー・マネージメント・コントローラ2へ通知される。そして、パワー・マネージメント・コントローラ2は、信号A、信号B、信号C、ボード電力制御部48を介した信号E及び信号Fにより、CPU1をスリープモードから通常状態へ、SDRAM43をセルフリフレッシュモードから通常状態へ移行し、コントローラボード30の一部及びASIC20の一部を省電力状態から通常状態へ移行して、プリンタをコントローラモードへ移行する。また、蓄積画像読み出し要求は、バッファ204に蓄積され、SDRAM43へ転送される。CPU1は、HDD47から指定された画像データをネットワーク上の要求元の外部機器へ転送することで、外部装置はHDD47中の蓄積画像を取得することができる。また、待機モード時にルータ広告を受信した場合は、コントローラモードへは復帰せず、受信パケットをバッファ204に蓄積し、上述した復帰要因により復帰したとき、受信したルータ広告はSDRAM43へ転送される。
【0041】
3.待機モード-ネットワークモード間
3−1.待機モードからネットワークモードへの移行要因は、MIB要求データの受信した場合等が挙げられる。例えば上記MIB要求データを受信した場合は、ネットワークコントローラ3のパターン・フィルタ203より、CPU復帰要求信号がアクティブとなり、パワー・マネージメント・コントローラ2へ通知される。そして、パワー・マネージメント・コントローラ2は、信号A及び信号Bにより、CPU1をスリープモードから通常状態へ、SDRAM43をセルフリフレッシュモードから通常状態へ移行し、プリンタをネットワークモードへ移行する。また、待機モード時にルータ広告を受信した場合は、ネットワークモードへは復帰せず、受信パケットをバッファ204に蓄積し、上述した復帰要因により復帰したとき、受信したルータ広告はSDRAM43へ転送される。
【0042】
3−2.ネットワークモードから待機モードへの移行要因は、待機モードからネットワークモードへ移行した際に処理するネットワークデータの処理が完了した場合等が挙げられる。このように、CPU1がネットワークデータの処理の完了を確認すると、パワー・マネージメント・コントローラ2へCPU1をスリープ状態へ、SDRAM43をセルフリフレッシュモードへ、移行するように伝える。そして、パワー・マネージメント・コントローラ2は、信号A及び信号Bにより、CPU1をスリープモードへ、SDRAM43をセルフリフレッシュモードへ移行することで、プリンタを待機モードへ移行する。
【0043】
4.待機モード-通常モード間
4−1.待機モードから通常モードへの移行要因は、外部装置からの印刷データ、印刷要求の受信、省エネ復帰/移行キーを押された場合等が挙げられる。例えば外部装置より印刷データを受信した場合は、ネットワークコントローラ3のパターン・フィルタ203より、プロッタ復帰要求信号がアクティブとなり、パワー・マネージメント・コントローラ2へ通知される。そして、パワー・マネージメント・コントローラ2は、信号Aにより、CPU1をスリープモードから通常状態へ移行し、信号Bにより、SDRAM43をセルフリフレッシュモードから通常状態へ移行し、信号C、ボード電力制御部48を介した信号E及び信号Fにより、コントローラボード30の一部及びASIC20の一部を省電力状態から通常状態へ移行し、さらに外部電力制御部49を介した信号Gにより、プロッタ100の電源を復帰し、プロッタ100を通常動作状態へ復帰する。こうして、プリンタは通常モードへ移行する。また、印刷データは、バッファ204に蓄積され、SDRAM43へ転送される。CPU1は印刷データを加工し、プロッタ100へ転送することで、プロッタ100より、印刷データを印字した用紙を出力する。また、待機モード時にルータ広告を受信した場合は、通常モードへは復帰せず、受信パケットをバッファ204に蓄積し、上述した復帰要因により復帰したとき、受信したルータ広告はSDRAM43へ転送される。
【0044】
上述した本実施形態によれば、CPUが休止状態の時、管理すべき情報を受信した場合でもCPUは復帰せず、その他の復帰すべき要因(例えばプリントデータの受信、操作パネルの操作等)にて復帰したときに、管理すべき情報をCPUへ通知することで、消費電力を低く抑えたまま、管理すべき情報を正常に処理することができるため、消費電力低減の効果が高い。
【0045】
上述した本実施形態によれば、CPUの電源を遮断しているため、消費電力を低減できる。また、CPUのクロックを停止しているため、消費電力を低減でき、省エネ状態から通常状態への復帰にかかる時間をさらに短縮化できる。また、CPUスリープ状態にしているため、消費電力を低減でき、省エネ状態から通常状態への復帰にかかる時間をさらに短縮化できる。
【0046】
上述した本実施形態によれば、CPUが復帰する際、管理すべきネットワークパケットに含まれる時間(例えばルータ広告におけるそのネットワークのプレフィックスやその寿命を示す時間情報)をCPUへ通知するとともに、このパケットの受信時刻を通知することで、CPUは、復帰した際に正確な寿命認識することができる。
【0047】
上述した本実施形態によれば、管理すべきネットワークパケットを受信したときからCPUを復帰させるまでの時間を、該ネットワークパケットに含まれる時間(例えばルータ広告におけるそのネットワークのプレフィックスやその寿命を示す時間情報)から差し引き、CPUが復帰する際に、CPUへ通知することで、CPUは、復帰した際に正確な寿命認識することができる。さらに、通常のパケット受信処理でよいため、制御を単純化することができる。
【0048】
上述した本実施形態によれば、管理すべきネットワークパケットを受信してからの経過時間が一定時間となったとき、CPUを復帰させ、パケット情報をCPUへ通知するため、CPUが復帰しないまま、例えばルータ広告におけるそのネットワークのプレフィックスやその寿命を示す時間が経過するといった不整合を防ぐことが可能である。
【0049】
上述した本実施形態によれば、ネットワークパケットに含まれる寿命等の時間が、どれだけの残り時間になったらCPUを復帰させるかの情報を設定する記憶手段を設けることで、各ネットワークで最適な残り時間を設定可能となり、消費電力を抑えつつ、正常なネットワーク動作を行うことができる。
【0050】
上述した本実施形態によれば、更新するための復帰状態は最低限ネットワークデータ処理を行える状態であるため、印刷動作等のように様々な部位で電力消費することがなく、低消費電力のままネットワークデータの処理を行うことが可能となる。
【0051】
上述した本実施形態によれば、ネットワークデータの処理を行える状態からデータ処理が完了した後、省エネ状態へ移行するため、消費電力を削減できる。
【0052】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0053】
すなわち、ネットワークコントローラ3の機能を例えば回路等のハードウェアで実現してもよいし、ソフトウェアで実現してもよい。後者の場合、本実施形態のプリンタで実行されるプログラムは、パワー・マネジメント・コントローラ2に対して動作モード切り替えを指示する手段、CPU1にバッファ204内のネットワーク情報を通知する手段(動作状態判定手段)を含むモジュール構成となっており、コンピュータ(CPU)が所定の記録媒体からプログラムを読み出して実行することにより上記手段が主記憶装置上にロードされて生成される。
【0054】
本実施形態におけるプリンタで実行されるプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供されるように構成してもよい。また、上記プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供あるいは配布するように構成してもよい。
【0055】
また、上記プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、フロッピーディスク(登録商標)、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、DVD、不揮発性のメモリカード等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されるように構成してもよい。また、上記プログラムは、ROM等にあらかじめ組み込んで提供するように構成してもよい。
【0056】
この場合、上記記録媒体から読み出された又は通信回線を通じてロードし実行されたプログラムコード自体が前述の実施形態の機能を実現することになる。そして、そのプログラムコードを記録した記録媒体は本発明を構成する。
【符号の説明】
【0057】
1 CPU
2 パワー・マネージメント・コントローラ
3 ネットワークコントローラ
4 SDRAMコントローラ
5 クロック・ジェネレータ
6 PCI I/F
7 OPE I/F
8 HDD I/F
9 I/O I/F
10 Internal BUS
20 ASIC
30 コントローラボード
41 ASICクロック生成部
42 PHYクロック生成部
43 SDRAM
44 ROM
45 PHY
46 操作部
47 HDD
48 ボード電力制御部
49 外部電力制御部
100 プロッタ
201 MAC
202 アドレス・フィルタ
203 パターン・フィルタ
204 バッファ
205 パケット・エンジン
206 セレクタ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【特許文献1】特開2001−180083号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続された情報処理装置とのデータ通信を行う通信手段と、
前記通信手段が受信したデータの内容に応じて各種処理を施す制御手段と、
前記通信手段が受信した自装置で管理すべきネットワーク情報を記憶する記憶手段と、
情報処理装置全体への電力供給を制御し、該装置の動作状態を切り替える電力制御手段と、
前記通信手段の通信状態、前記通信手段が受信したデータの内容及び自装置の操作状態に基づいて、前記電力制御手段に対する動作状態の切り替え指示と前記制御手段に対する情報通知を行う動作状態判定手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記動作状態判定手段は、前記通信手段が受信したデータが前記ネットワーク情報であった場合、前記電力制御手段への指示及び前記制御手段への通知を行わないことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記動作状態判定手段は、前記通信手段が受信したデータが、動作休止状態から動作可能状態への移行を必要とする移行要因に該当する場合、前記電力制御手段に自装置の動作状態を動作休止状態から動作可能状態へ移行させ、前記記憶手段に記憶された前記ネットワーク情報を前記制御手段に通知することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記動作休止状態は、前記制御手段への給電が遮断された状態、前記制御手段がクロックを停止している状態、前記制御手段がスリープ状態の少なくとも1つを含み、前記動作可能状態は、前記制御手段が動作し、少なくともネットワークのデータ処理を行える状態であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記動作状態判定手段は、前記制御手段に通知しようとする前記ネットワーク情報に含まれる時間情報から、前記ネットワーク情報の受信時からの経過時間を減算した結果を、該ネットワーク情報に含めて前記制御手段に通知することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記動作状態判定手段は、前記ネットワーク情報を受信してからの経過時間と前記記憶手段に記憶された前記ネットワーク情報に含まれる時間情報が示す時間とを比較し、その差分が所定値より小さい場合、前記電力制御手段に自装置の動作状態を動作休止状態から動作可能状態へ移行させ、前記記憶手段に記憶された前記ネットワーク情報を前記制御手段に通知することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記動作状態判定手段は、前記制御手段が前記通信手段の受信したデータの内容に応じた処理を行った後、他に前記制御手段が処理すべきデータが存在しない場合、前記電力制御手段に自装置の動作状態を動作可能状態から動作休止状態へ移行させることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
ネットワークに接続された情報処理装置とのデータ通信を行う通信ステップと、
前記通信ステップで受信した自装置で管理すべきネットワーク情報を記憶手段に記憶する記憶ステップと、
前記データ通信の通信状態、前記通信ステップで受信したデータの内容及び自装置の操作状態に基づいて、自装置の動作状態の切り替え要否を判定し、動作休止状態から動作可能状態への切り替えが必要と判定したとき、動作状態の切り替え指示と前記記憶手段に記憶した前記ネットワーク情報の通知を行う判定ステップと、
前記判定ステップでの切り替え指示に基づいて、情報処理装置全体への電力供給を制御し、自装置の動作状態を切り替える切り替えステップと、
前記切り替えステップで動作可能状態となった後、前記判定ステップで通知された前記ネットワーク情報に関するデータ処理を行う処理ステップと、
を有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
ネットワークに接続された情報処理装置とのデータ通信を行う通信ステップと、
前記通信ステップで受信した自装置で管理すべきネットワーク情報を記憶手段に記憶する記憶ステップと、
前記データ通信の通信状態、前記通信ステップで受信したデータの内容及び自装置の操作状態に基づいて、自装置の動作状態の切り替え要否を判定し、動作休止状態から動作可能状態への切り替えが必要と判定したとき、動作状態の切り替え指示と前記記憶手段に記憶した前記ネットワーク情報の通知を行う判定ステップと、
前記判定ステップでの切り替え指示に基づいて、情報処理装置全体への電力供給を制御し、自装置の動作状態を切り替える切り替えステップと、
前記切り替えステップで動作可能状態となった後、前記判定ステップで通知された前記ネットワーク情報に関するデータ処理を行う処理ステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムを記録しコンピュータ読み取り可能なことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−113202(P2011−113202A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267704(P2009−267704)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】