説明

情報処理装置、情報処理方法及びプログラム

【課題】画像データの共有に際し、利用者に対して発生するプライバシー問題を低減することが可能な情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】利用者の情報と関連付けられた利用者の顔画像データを保持する記憶部104と、顔画像データに基づいて、取得した画像データに利用者の顔が含まれているかを解析する解析部112,114と、取得した画像データに利用者の顔が含まれている場合、取得した画像データの共有の許可を利用者に確認する確認部124と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信ネットワークを介して、複数の利用者がサーバーに接続するシステムにおいて、サーバーが保持する各種データ、例えば写真や動画等の画像データ、楽曲等の音声データなどを複数の利用者が共有することがある。
【0003】
例えば、特許文献1では、サーバーが受信した画像データをカテゴリー別に保存し、利用者が希望の画像データを効率的に利用できる技術が開示されている。また、特許文献2では、位置情報、時刻情報を利用して、共通のイベントに参画した複数の利用者間でコンテンツを共有する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−334696号公報
【特許文献2】特開2007−249821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の画像データ共有システムは、自分が写っている写真や動画を取得したり、あるいは自分の子供が写っている写真や動画を取得したりする場合に非常に便利である。しかし、画像データ共有システムでは、自分のプライバシーに関わる写真が、自己の意思に反して他人に共有される可能性がある。
【0006】
例えば、共有を受ける利用者が共有を受けたい画像データの共有条件を設定し、設定された共有条件に合致する画像データが利用者に共有されるというシステムの場合について説明する。画像データはサーバーに保持されている。このシステムの場合、画像を取得したい利用者が共有条件として他人の顔画像を設定し、他人が写っている画像データの共有を要求した場合に問題となる。
【0007】
一例として、利用者Aが、共有条件として自分以外の利用者Bの顔画像を設定し、利用者Bが写っている画像データの共有を要求した場合を説明する。この場合、撮影者が誰であるか、誰が誰と一緒に写っているかによって状況が変わるため、代表的なケースを図2に図示した。
【0008】
Case1:利用者Bが、自分(利用者B)と利用者Cが写っている写真を撮影した場合
この場合、利用者Bが写真の撮影者でありオーナである。そのため、利用者Aが利用者Bに対して共有を要求することになる。そのため、利用者Bは、画像データが共有される被共有者であり、利用者Bは共有されることを認識できる。したがって、利用者Bに対するプライバシー問題は発生しない。一方、オーナである利用者Bが共有条件として設定されているが、利用者Bと利用者Cが写っている写真であるため、利用者Cの知らないところで利用者Cが写っている写真が利用者Aに配信される。その結果、写真のオーナ以外の利用者Cのプライバシー問題が発生する可能性がある。
【0009】
Case2:利用者Cが、自分(利用者C)と利用者Bが写っている写真を撮影した場合
この場合、利用者Cが写真の撮影者でありオーナである。そのため、利用者Aが利用者Cに対して共有を要求することになる。そのため、利用者Cは、画像データが共有される被共有者であり、利用者Cは共有されることを認識できる。したがって、利用者Cに対するプライバシー問題は発生しない。一方、利用者Bが共有条件として設定されており、利用者Bと利用者Cが写っている写真であるため、利用者Bの知らないところで利用者Bが写っている写真が利用者Aに配信される。その結果、共有条件として設定されている利用者Bのプライバシー問題が発生する可能性がある。
【0010】
Cace3:利用者Cが、利用者Bと利用者Dの写っている写真を撮影した場合
この場合、利用者Bが共有条件として設定されており、利用者Bと利用者Dが写っている写真であるため、利用者Bと利用者D両者の知らないところで利用者Bと利用者Dが写っている写真が利用者Aに配信される。その結果、共有条件として設定されている利用者Bと、写真のオーナ以外の利用者Dのプライバシー問題が発生する可能性がある。
【0011】
Cace4:利用者Dが、利用者Bと利用者Cと利用者Dの写っている写真を撮影した場合
この場合のように、3人以上の人物が写っている場合も、Case1〜3と同様に考えることができ、利用者の顔画像が共有条件として設定されている場合、写真のオーナ以外の利用者のプライバシー問題が発生する可能性がある。
【0012】
以上より、プライバシー問題は、共有条件として設定されている利用者と、共有条件として設定されている利用者と一緒に写真に写っていた他の利用者に対して発生する可能性があることが分かる。
【0013】
ところで、利用者Aが、共有条件として自分以外の利用者Bの顔画像を設定し、利用者Bが写っている画像データの共有を要求する場合には、利用者Aが祖父母であり、利用者Bが孫である場合がある。このように、祖父母が、孫の顔画像を共有条件として設定し、孫が写っている画像データの共有を要求する場合など、画像データ共有システムは非常に有用である。しかし、上述の通り、プライバシー問題が発生するため、大きなリスクがあり十分な配慮が必要となる。
【0014】
なお、今まで説明してきた例は、利用者Aが他の利用者Bの顔画像が写っている写真の共有を共有条件として設定した場合であるが、利用者Aが自分自身の顔を共有条件として設定した場合も、同じ様に共有条件として設定されている利用者Aと一緒に写真に写っていた他の利用者プライバシー問題が発生する。
【0015】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、画像データの共有に際し、利用者に対して発生するプライバシー問題を低減することが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、利用者の情報と関連付けられた利用者の顔画像データを保持する記憶部と、顔画像データに基づいて、取得した画像データに利用者の顔が含まれているかを解析する解析部と、取得した画像データに利用者の顔が含まれている場合、取得した画像データの共有の許可を利用者に確認する確認部と、を備える、情報処理装置が提供される。
【0017】
上記取得した画像データの利用者の顔部分に対してマスキング処理する、又はアバター画像を挿入する画像処理部を更に備えてもよい。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、第一の利用者の情報と関連付けられた第一の利用者の顔画像データと、第一の利用者の顔画像データに基づく第一の利用者の顔が含まれる画像データを第二の利用者に対して共有を許可するか否かに関する共有情報とを保持する記憶部と、顔画像データに基づいて、取得した画像データに第一の利用者の顔が含まれているかを解析する解析部と、取得した画像データに第一の利用者の顔が含まれている場合、共有情報に基づいて第二の利用者に対して取得した画像データを共有させるか否かを決定する共有決定部と、を備える、情報処理装置が提供される。
【0019】
上記共有情報は、第二の利用者に対して共有を許可するか否かを第一の利用者に確認して得られた情報でもよい。
【0020】
上記記憶部は、第三の利用者の情報と関連付けられた第三の利用者の顔画像データを保持し、解析部は、顔画像データに基づいて、取得した画像データに第三の利用者の顔が含まれているかを解析し、取得した画像データに第三の利用者の顔が含まれている場合、第三の利用者へ取得した画像データの共有の許可を確認する確認部を更に備えてもよい。
【0021】
上記取得した画像データの所有者によって設定された、取得された画像の共有を許可する範囲又は共有を禁止する範囲に基づいて、取得した画像を共有させるか否かを決定する第二の共有決定部を更に備えてもよい。
【0022】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、利用者の情報と関連付けられた利用者の顔画像データを記憶部に保持するステップと、顔画像データに基づいて、取得した画像データに利用者の顔が含まれているかを解析するステップと、取得した画像データに利用者の顔が含まれている場合、取得した画像データの共有の許可を利用者に確認するステップと、を備える、情報処理方法が提供される。
【0023】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、第一の利用者の情報と関連付けられた第一の利用者の顔画像データと、第一の利用者の顔画像データに基づく第一の利用者の顔が含まれる画像データを第二の利用者に対して共有を許可するか否かに関する共有情報とを記憶部に保持するステップと、顔画像データに基づいて、取得した画像データに第一の利用者の顔が含まれているかを解析するステップと、取得した画像データに第一の利用者の顔が含まれている場合、共有情報に基づいて第二の利用者に対して取得した画像データを共有させるか否かを決定するステップと、を備える、情報処理方法が提供される。
【0024】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、利用者の情報と関連付けられた利用者の顔画像データを記憶部に保持する手段、顔画像データに基づいて、取得した画像データに利用者の顔が含まれているかを解析する手段、取得した画像データに利用者の顔が含まれている場合、取得した画像データの共有の許可を利用者に確認する手段、としてコンピュータを機能させるためのプログラムが提供される。
【0025】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、第一の利用者の情報と関連付けられた第一の利用者の顔画像データと、第一の利用者の顔画像データに基づく第一の利用者の顔が含まれる画像データを第二の利用者に対して共有を許可するか否かに関する共有情報とを記憶部に保持する手段、顔画像データに基づいて、取得した画像データに第一の利用者の顔が含まれているかを解析する手段、取得した画像データに第一の利用者の顔が含まれている場合、共有情報に基づいて第二の利用者に対して取得した画像データを共有させるか否かを決定する手段、としてコンピュータを機能させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように本発明によれば、画像データの共有に際し、利用者に対して発生するプライバシー問題を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像共有システムを示す概念図である。
【図2】プライバシー問題が発生する配信のケースを示す説明図である。
【図3】各利用者が誰の顔画像を共有したいか、更にその当事者から許可が得られているかを示すテーブルである。
【図4】誰に対して配信を許可するか又は許可しないかを示すテーブルである。
【図5】クライアント装置200の構成要素を示すブロック図である。
【図6】サーバー装置100の構成要素を示すブロック図である。
【図7】共有条件設定時の処理を示すフローチャートである。
【図8A】画像データ配信時の処理を示すフローチャートである。
【図8B】画像データ配信時の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0029】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.一実施形態の構成
2.一実施形態の動作
【0030】
<1.一実施形態の構成>
図1に、本実施形態の画像共有システムの概念図を示す。ネットワーク10を介して、サーバー装置100と複数のクライアント装置200を接続するシステムとなっている。回線に関しては、WiFi、W−CDMA、LTE、WiMAXのような無線通信と、光ファイバー、ADSLのような有線通信のどちらでもよい。無線通信では基地局20などが利用される。
【0031】
クライアント装置200は、例えばPC、PDA、携帯端末などである。なお、クライアント装置200は、画像データの取得や表示のうち利用者が必要とする機能と能力があればよく、形態は問わない。
【0032】
サーバー装置100は、全利用者のデータが保持されている。サーバー装置100に保持されているデータには、例えば撮影場所や撮影時刻などのメタデータが付加されている。
【0033】
利用者は、サーバー装置100に、IDや家族情報、自分の顔画像データ、共有条件として子供や孫の顔画像データ、友人情報、会社情報、趣味等の個人の属性、パスワード等の認証情報を予め必要に応じてサーバー装置100に登録しておく。利用者は、サーバー装置100に保持されたデータにアクセスする際は、ログインIDを用いて必要に応じて認証を受けながらログインする。
【0034】
図5は、クライアント装置200の構成要素を示すブロック図である。
このクライアント装置200は撮像部204を備えており、撮像部204が撮影した画像データを内部のデータ記憶部206に取り込める仕組みとなっている。また、データ表示部226は、サーバー装置100又はクライアント装置200に保持された画像データに基づく写真や動画を画面に表示する。
【0035】
また、クライアント装置200は、利用者とのインターフェース機能や、サーバーとの送受信が可能なデータ送信部/データ受信部208、制御ブロック202などを持っている。クライアント装置200は、プログラミングによりそれぞれの機能を自由に使うことが可能である。制御ブロック202は、例えばCPU等からなり、演算処理や各構成要素の制御をする。
【0036】
クライアント装置200は、インターフェース機能としては、配信承諾部212と、共有条件設定承諾部214と、共有範囲設定部222と、共有条件設定部224があり、次の様な機能を持っている。
【0037】
配信承諾部212は、自分が一緒に写っている写真が、他の利用者への配信が要求されたとき、その要求を受け付け、要求に対する承諾又は拒否を送る。
【0038】
他の利用者によって自分又は自分以外の顔画像が共有条件として設定され、その共有条件によれば、自分が一緒に写っている写真が他の利用者への配信される場合、自分のプライバシーが将来侵害される可能性がある。配信承諾部212が要求を受け付けて、その要求に対する承諾又は拒否を送ることで、自分写っている写真が自分の知らないところで配信されることを避けることができる。
【0039】
共有条件設定承諾部214は、他の利用者によって自分の顔画像に対する共有が要求されたとき、その要求を受け付け、要求に対する承諾又は拒否を送る。
【0040】
他の利用者によって自分の顔画像が共有条件として設定された場合、自分のプライバシーが将来侵害される可能性がある。そのため、サーバー装置100が、共有条件として設定された利用者にその旨を通知し、その本人に共有条件として設定されることを確認する。クライアント装置200は、その確認をサーバー装置100から受け付け、回答をサーバー装置100に返す。
【0041】
図3は、複数の利用者がそれぞれ所有するクライアント装置200によって、共有条件が設定され、共有条件設定に対して承諾又は拒否されるというプロセスを経て作られるテーブルである。図3のテーブルは、各利用者が誰の顔画像を条件に共有を希望したか、共有を希望してその当事者から許可が得られているかなどが分かる。例えば、利用者Aは、利用者Bの顔画像Bの共有を希望し、利用者Bから許可が得られ、利用者Dの顔画像Dの共有を希望し、利用者Dから許可が得られなかったことを示している。
【0042】
共有範囲設定部222は、自分が所有しサーバー装置100に保持している画像をどの範囲で共有するか、または誰には共有したくないかを設定する。
【0043】
図4は、共有範囲を設定するプロセスを経て作成されるテーブルである。図4のテーブルは、各利用者が誰に対して配信を許可するか、あるいは配信を許可しないかという共有範囲が分かる。例えば、利用者Aは、利用者Bに対して配信を許可し、利用者Dに対して配信を許可していない。
【0044】
共有条件設定部224は、他の利用者に共有してもらいたい自分の顔画像や条件を設定する。また、共有条件設定部224は、共有したい他の利用者の顔画像や条件を設定する。
【0045】
図6は、サーバー装置100の構成要素を示すブロック図である。
サーバー装置100は、制御ブロック102と、画像データデータベース104と、共有条件データベース105と、データ記憶部106と、データ送信部/データ受信部108と、顔画像解析エンジン112と、相互相関値解析エンジン114と、配信者決定部116と、被共有者承諾確認部122と、被写体共有承諾確認部124と、配信許諾・ネガリスト確認部126等を有する。制御ブロック102は、例えばCPU等からなり、演算処理や各構成要素の制御をする。
【0046】
画像データデータベース104は、利用者によってアップロードされた画像データや顔画像を保持する。共有条件データベース105は、クライアント装置200によって設定された共有条件、顔画像の解析結果による認識ベクター、図3及び図4のテーブルなどを保持する。
【0047】
データ送信部/データ受信部108は、クライアント装置200との間で制御コマンドやデータの送受信を行う。
【0048】
顔画像解析エンジン112は、顔画像を解析する。相互相関値解析エンジン114は、解析された顔画像に基づいて、特徴量同士の相関を算出し、複数の顔の相互の類似度を算出する。
【0049】
配信者決定部116は、顔画像の相関値解析によって算出された、共有条件として設定された顔画像とサーバー装置100に保持されている画像との類似度に基づいて、画像の配信先となる利用者や、共有によって影響を受ける者(写真に一緒に写っている者)を決定する。これによって、サーバー装置100に保持されている画像が誰に共有されるべきか、サーバー装置100に保持されている画像に関して誰が共有されることになるかが決定される。
【0050】
被共有者承諾確認部122は、ある利用者の顔画像に基づく共有を要求するクライアント装置200から、共有条件の設定を要求した旨を受け付ける。また、被共有者承諾確認部122は、共有条件に該当する利用者(被共有者)のクライアント装置200へ、共有条件設定の要求がされたことを通知する。被共有者承諾確認部122は、共有条件設定の要求に対する承諾又は拒否を、共有条件に該当する利用者(被共有者)のクライアント装置200から受け取る。その結果、図3に示したテーブルが作成される。被共有者承諾確認部122は、承諾又は拒否の結果を、共有条件の設定を要求したクライアント装置200へ送る。
【0051】
被写体共有承諾確認部124は、顔画像が共有条件として設定され、その共有条件によれば、利用者が一緒に写っている写真が配信されるとき、写真が配信される可能性がある旨を利用者のクライアント装置200へ通知する。被写体共有承諾確認部124は、利用者が一緒に写っている写真の配信に対する承諾又は拒否を、利用者のクライアント装置200から受け取る。
【0052】
配信許諾・ネガリスト確認部126は、サーバー装置100に保持している画像をどの範囲で共有するか、または誰には共有したくないかという設定を、画像を所有している利用者のクライアント装置200から受け取る。その結果、図4に示すテーブルが作成される。
【0053】
画像処理部128は、被写体共有承諾確認部124において写真の配信の許可が利用者から得られなかったとき、写真中の利用者の顔部分に対してぼかし等のマスキング処理をする。又は、画像処理部は写真中の利用者の顔部分に対してアバター画像を挿入してもよい。アバター画像とは、利用者の代わりとなるキャラクター等の画像である。なお、マスキング処理及びアバター画像の挿入処理は、写真の配信の許可が利用者から得られなかったときに処理する場合に限定されない。例えば、許可の有無に関わらず、写真中に所定の利用者の顔部分があるとき、その所定の利用者の顔部分に対してマスキング処理及びアバター画像の挿入処理をするようにしてもよい。
【0054】
<2.一実施形態の動作>
次に、本実施形態に係る画像共有システムの動作について説明する。
【0055】
本実施形態によれば、1)利用者のクライアント装置200が、他の利用者(例えばある友人)の顔画像を共有条件として登録した場合、サーバー装置100がその友人のクライアント装置200に対して、顔画像を共有の条件として利用して良いかを確認する。その結果、共有条件として設定された利用者に対して、共有条件を設定した利用者の設定が妥当であるか否かを確認でき、プライバシー問題を回避できる。
【0056】
また、2)画像データの所有者である利用者のクライアント装置200が、共有の許可や禁止を設定することで共有範囲を設定できる。その結果、画像データの所有者が、画像の共有を許可するか否かを設定でき、不必要に画像が共有されることを防止できるため、プライバシー問題を回避できる。なお、共有範囲の設定は、利用者単位でも良いし、画像がある条件でまとめられたアルバム単位でも良いし、画像データ一枚一枚でも良い。共有範囲の設定は、必要に応じて実装すれば良い。
【0057】
更に、3)サーバー装置100に保持されており、共有条件に合致した画像データに、他の利用者(ある友人)の顔画像が写っている場合、その友人のクライアント装置200に共有の許可を打診する。または、その友人の顔画像領域については、意図的にその領域をぼやかしたり、或は、アバターを挿入したりするなどして配信を行ってもよい。その結果、一つの画像に同時に複数の利用者が写っているとき、同時に画像に写っている利用者の許可が得られるため、プライバシー問題を回避できる。
【0058】
図7は共有条件を設定する時のフローチャートである。
この例は、利用者Aが利用者Bの顔画像を使って共有条件を設定するという例である。このフローチャートを用いて共有条件の設定フローを説明する。
【0059】
クライアントA(利用者Aのクライアント装置200)は、共有条件を設定するか否かを判断し(ステップS101)、設定しない場合はそのまま終了する。一方、共有条件を設定する場合は、まず、利用者Aによって、共有条件に設定する顔画像が撮影され選択されるか、共有条件の設定メニューが選択され、今までの画像から共有条件に設定する顔画像が選択される(ステップS102)。ここで選択される顔画像は、友人の顔画像や孫の顔画像等である。
【0060】
その結果、選択された顔画像の画像データがサーバー装置100へアップロードされる。また、利用者Aが共有条件を設定したという登録メッセージがサーバーに通知される(ステップS103)。
【0061】
サーバー装置100は、顔画像をクライアント装置200から受信し、受信した顔画像をデータ記憶部206へ格納する(ステップS111)。そして、受信した画像データは、顔画像解析エンジン112を用いて解析され、顔のメタ情報(例えば画像における顔の位置等)と、顔認識用のベクター情報が抽出される(ステップS112)。
【0062】
次に、顔認識用のベクター情報を用いて、相互相関値解析エンジン114が、クライアントAによって共有条件として選択された顔画像と、各利用者の登録画像との間で類似度を計算し、クライアントAによって共有条件に設定された利用者を特定する(ステップS113)。各利用者の登録画像は、各利用者によって予めサーバー装置100に登録された画像である。
【0063】
そして、利用者Bが特定された場合、クライアントB(利用者Bのクライアント装置200)へ、利用者Aによって共有条件に設定されることを通知する。クライアントBは、利用者Bに対して利用者Aが利用者Bの顔画像を共有条件として設定しようとしていることを通知し許可を仰ぐ(ステップS121)。
【0064】
クライアントBは、サーバー装置100からの打診に対して、利用者Bによる自分の顔画像が共有条件として設定されることに対する承認状況をサーバー装置100やクライアントAへ通知する。クライアントAは、共有条件を設定しようとしたこと(利用者Bの顔画像の被共有)に対する結果を利用者Aに通知する(ステップS104)。
【0065】
なお、ステップS113によって、利用者Bではなく誤って他の利用者が特定された場合、他の利用者に利用者Aによって共有条件に設定されることが通知されてしまう。しかし、画像データの所有者である利用者が、共有の許可や禁止を設定して共有範囲を設定しておけば、誤配信を回避できる。
【0066】
サーバー装置100は、共有条件(利用者Bの顔画像の被共有)の設定が利用者Bによって許可された場合、クライアントAが設定した共有条件(被共有者情報)とクライアントBによる承諾情報(許可)を共有条件データベース105に書き込む(ステップS115)。反対に利用者Bによって拒否された場合、被共有者情報とクライアントBによる承諾情報(拒否)を共有条件データベース105に書き込む(ステップS116)。その結果、図3のようなテーブルが作成される。
【0067】
利用者Bによって許可が得られた場合、利用者Aは、サーバー装置100に保持された利用者Bの顔画像が含まれる様々な画像を共有できる。一方、利用者Bによって、許可が得られなかった場合は、サーバー装置100に保持された利用者Bの顔画像が含まれる画像を共有できない。また、利用者Bによって許可が得られていない場合は、共有条件は無視されることになる。
【0068】
図8は画像配信時のフローチャートである。
この例は図2のCase3に相当するケースである。つまり、利用者Cが利用者Bと利用者Dが一緒に写っている画像データを撮影し、利用者Bの顔画像が利用者Aによって共有条件として設定された場合の画像配信時のフローチャートとなっている。
【0069】
このフローチャートを用いて画像データの配信フローを説明する。
【0070】
まず、利用者Cによって画像データが撮影される。撮影された画像データには、利用者Bと利用者Dが写っているものとする。そして、画像データがクライアントCによってサーバー装置100にアップロードされる(ステップS201)。
【0071】
サーバー装置100は、撮影された画像データをクライアント装置200から受信し、受信した画像をデータ記憶部206へ格納する(ステップS211)。そして、受信した画像データは、顔画像解析エンジン112を用いて解析され、顔のメタ情報(例えば画像における顔の位置等)と、顔認識用のベクター情報が抽出される(ステップS212)。
【0072】
次に、画像内に顔が存在すると判断された場合(ステップS213)、顔認識用のベクター情報を用いて、相互相関値解析エンジン114が、共有条件データベース105に格納されており、共有条件として設定が許可されている各利用者の顔画像と、受信した撮影された画像との間で類似度を計算して照合を行う(ステップS214)。照合には、例えば図3に示したテーブルが用いられる。これによって、撮影された画像に、共有条件として設定されている顔画像が写っているかを確認できる。この例の場合、撮影された画像は、利用者Aが設定した共有条件(利用者B)の顔とマッチングする。従って、撮影された画像は、利用者Aによって共有される可能性がある。
【0073】
次に、画像の所有者である利用者Cが、利用者Aへの配信を予め許可しているかを、例えば図4のテーブルに基づいて確認する(ステップS215)。利用者Cが許可している場合は、ステップS216へ進む。
【0074】
その後、撮影された画像に利用者C以外の利用者が一緒に写っているかを確認する。すなわち、サーバー装置100は、複数の利用者の登録情報と比較して、利用者C以外の顔画像が撮影された画像に存在するかが確認される(ステップS216)。この例では利用者Dが一緒に写っているので、クライアントD(利用者Dのクライアント装置200)に対して配信の許可を打診する(ステップS221)。
【0075】
クライアントDは、サーバー装置100から問いかけを受けて、利用者Dに被共有を打診し、利用者Dから被共有の意向を取得する(ステップS221)。
【0076】
サーバー装置100は、利用者Dによって許可が得られた場合は(ステップS217)、撮影された画像をそのまま維持する。一方、利用者Dによって許可が得られなかった場合は(ステップS217)、利用者Dの顔画像データエリアをマスキングするか、利用者Dの顔画像データエリアにアバターを挿入する(ステップS218)。
【0077】
その後、サーバー装置100は、利用者Bを共有条件として設定しているクライアントA(利用者Aのクライアント装置200)に対して、撮影された画像を配信する。その結果、クライアントAは、配信された利用者Cによって撮影された画像を表示することができる。
【0078】
上述したフローチャートに基づき画像配信の確認を行うことで、プライバシーに配慮した画像データ共有が実現可能である。
【0079】
以上、本実施形態によれば、通信ネットワーク10を介して複数の利用者のクライアント装置200がサーバー装置100に接続するシステムにおいて、サーバー装置100が保持する画像データに対して情報の共有の受け手となる利用者が共有条件を設定するときのプライバシー問題を低減できる。
【0080】
例えば、画像データの共有に際してはプライバシーの問題が発生しないように、画像データの所有者が共有範囲を設定する。また、利用者に対して予め共有条件として設定されることの意思確認を行ったり、一緒に画像に写っている他の利用者に対して共有されることの意思確認を行ったりする。その結果、各利用者が他人に共有されることを前提としてアップロードした画像について、個人のプライバシーに配慮した画像データの共有が可能となる。更に、共有の許可が得られない場合は、その顔部分をマスキングしたり、顔部分にアバターを挿入したりすることで、プライバシーを保護できる。
【0081】
なお、本実施形態のシステムは、いかなる画像データに対しても常に必要になるとは限らない。例えば結婚式会場等で撮影した写真を自分の友人範囲で配信する場合、通常プライバシー問題は発生しない。したがって、本実施形態のシステムは、必要に応じて実装するとか、又はオンオフできるようにしてもよい。
【0082】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0083】
100 サーバー装置
102,202 制御ブロック
104 画像データデータベース
105 共有条件データベース
106,206 データ記憶部
108,208 データ送信部/データ受信部
112 顔画像解析エンジン
114 相互相関値解析エンジン
116 配信者決定部
122 被共有者承諾確認部
124 被写体共有承諾確認部
126 配信許諾・ネガリスト確認部
128 画像処理部
200 クライアント装置
204 撮像部
212 配信承諾部
214 共有条件設定承諾部
222 共有範囲設定部
224 共有条件設定部
226 データ表示部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の情報と関連付けられた前記利用者の顔画像データを保持する記憶部と、
前記顔画像データに基づいて、取得した画像データに前記利用者の顔が含まれているかを解析する解析部と、
前記取得した画像データに前記利用者の顔が含まれている場合、前記取得した画像データの共有の許可を前記利用者に確認する確認部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記取得した画像データの前記利用者の顔部分に対してマスキング処理する、又はアバター画像を挿入する画像処理部を更に備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
第一の利用者の情報と関連付けられた前記第一の利用者の顔画像データと、前記第一の利用者の顔画像データに基づく前記第一の利用者の顔が含まれる画像データを第二の利用者に対して共有を許可するか否かに関する共有情報とを保持する記憶部と、
前記顔画像データに基づいて、取得した画像データに第一の利用者の顔が含まれているかを解析する解析部と、
前記取得した画像データに前記第一の利用者の顔が含まれている場合、前記共有情報に基づいて前記第二の利用者に対して前記取得した画像データを共有させるか否かを決定する共有決定部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項4】
前記共有情報は、前記第二の利用者に対して共有を許可するか否かを前記第一の利用者に確認して得られた情報である、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記記憶部は、第三の利用者の情報と関連付けられた前記第三の利用者の顔画像データを保持し、
前記解析部は、前記顔画像データに基づいて、前記取得した画像データに前記第三の利用者の顔が含まれているかを解析し、
前記取得した画像データに前記第三の利用者の顔が含まれている場合、前記第三の利用者へ前記取得した画像データの共有の許可を確認する確認部を更に備える、請求項3又は4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記取得した画像データの所有者によって設定された、前記取得された画像の共有を許可する範囲又は共有を禁止する範囲に基づいて、前記取得した画像を共有させるか否かを決定する第二の共有決定部を更に備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
利用者の情報と関連付けられた前記利用者の顔画像データを記憶部に保持するステップと、
前記顔画像データに基づいて、取得した画像データに前記利用者の顔が含まれているかを解析するステップと、
前記取得した画像データに前記利用者の顔が含まれている場合、前記取得した画像データの共有の許可を前記利用者に確認するステップと、
を備える、情報処理方法。
【請求項8】
第一の利用者の情報と関連付けられた前記第一の利用者の顔画像データと、前記第一の利用者の顔画像データに基づく前記第一の利用者の顔が含まれる画像データを第二の利用者に対して共有を許可するか否かに関する共有情報とを記憶部に保持するステップと、
前記顔画像データに基づいて、取得した画像データに第一の利用者の顔が含まれているかを解析するステップと、
前記取得した画像データに前記第一の利用者の顔が含まれている場合、前記共有情報に基づいて前記第二の利用者に対して前記取得した画像データを共有させるか否かを決定するステップと、
を備える、情報処理方法。
【請求項9】
利用者の情報と関連付けられた前記利用者の顔画像データを記憶部に保持する手段、
前記顔画像データに基づいて、取得した画像データに前記利用者の顔が含まれているかを解析する手段、
前記取得した画像データに前記利用者の顔が含まれている場合、前記取得した画像データの共有の許可を前記利用者に確認する手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項10】
第一の利用者の情報と関連付けられた前記第一の利用者の顔画像データと、前記第一の利用者の顔画像データに基づく前記第一の利用者の顔が含まれる画像データを第二の利用者に対して共有を許可するか否かに関する共有情報とを記憶部に保持する手段、
前記顔画像データに基づいて、取得した画像データに第一の利用者の顔が含まれているかを解析する手段、
前記取得した画像データに前記第一の利用者の顔が含まれている場合、前記共有情報に基づいて前記第二の利用者に対して前記取得した画像データを共有させるか否かを決定する手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【公開番号】特開2012−18557(P2012−18557A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155598(P2010−155598)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】