説明

情報処理装置、放送素材記録装置及び放送素材記録制御方法

【課題】適切なタイミングで安定した書込みが行えるようにし、必要なタイミングで収録が行えない状況を防止し得る放送素材記録装置を提供する。
【解決手段】収録装置12において、外部メモリ2の論理ブロックのブロックアドレスと論理ブロックに映像データ及び音声データが書き込まれているか否かを表す状態情報と不揮発性メモリ媒体213の物理ブロックとを対応付けた管理テーブル125を用いて、外部メモリ2に対する映像データ及び音声データの書き込みに先立ち、外部メモリ2へ安定した書き込みができるか否かを判定し、さらに外部メモリ2の不揮発性メモリ媒体213に対するウェアレベリング処理を任意のタイミングで実行し、これに伴い管理テーブル125中のブロックアドレスのマッピング更新を随時行い、不揮発性メモリ媒体213のブロックへの映像データ及び音声データの記録状態から外部メモリ2のアクセス能力の判定を行うようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば放送素材収録装置、放送素材蓄積装置、編集装置及び送出装置といった放送システムで使用される情報処理装置、放送素材記録装置及び放送素材記録制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放送局が映像の放送を行うまでには、素材映像の収録から編集・効果編集、番組編成に合わせた編集、放送送出のための制御など、様々な加工が加えられた後オンエアされる手順を踏んでいる。
【0003】
従来、映像素材収録に磁気テープを媒体として用いたシステムでは、それぞれの段階の編集が終了するまで、次の編集に取り掛かれず、また編集を繰り返す度に、大容量の映像データを変換し次段へコピーするか、テープそのものを作業機材の設置場所まで運搬しなければならず、大きな時間のロスがある。
【0004】
また、映像に問題や修正の必要が発生した場合、前段まで戻る必要のある修正では、再度前段の作業からやり直すことになり、後戻りに対する時間のロスも大きい。これにより、ニュースやスポーツなど、リアルタイムに情報を伝えなければならない番組のワークフローにおいては、品質が高くかつ即時性を上げた対応が難しい。
【0005】
そこで、近年では、素材のデジタル化に伴い、不揮発性メモリを用いた収録システムが検討されている(例えば、特許文献1及び特許文献2)。これにより、これまでのテープを用いたシステムではできなかった様々な機能を実現することが可能となった。さらに、テープレス化に伴い、ネットワーク化も進みつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−9594公報
【特許文献2】特開2004−178067公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、不揮発性メモリを使用したシステムでは、データの書換えや、データの消去の際に時間がかかり、運用も含め、適切なタイミングや適切な状況においてこうした処理を人手を介して行う必要がある。
【0008】
そこで、この発明の目的は、適切なタイミングで安定した書込みが行えるようにし、必要なタイミングで収録が行えない状況を防止し得る情報処理装置、放送素材記録装置及び放送素材記録制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、この発明に係る放送素材記録装置は、オンエア用の素材データを、ブロック単位で情報の書き込み及び消去が可能な不揮発性メモリに記録する放送素材記録装置において、不揮発性メモリが着脱自在に装着される装着部と、素材データを入力する素材データ入力手段と、この素材データ入力手段により入力された素材データまたは不揮発性メモリに記録された素材データを装着部を介して読み出して処理し、この処理した素材データを装着部を介して不揮発性メモリに記憶させる記憶制御手段と、装着部に設けられ、不揮発性メモリの書き込み可能なブロックを判別し、この判別結果に基づいて記憶制御手段に対し不揮発性メモリへの素材データの書き込みの実行・停止を制御する実行・停止制御手段とを備えるようにしたものである。
【0010】
不揮発性メモリの複数ブロックをそれぞれ特定するブロックアドレスと、ブロックに素材データが書き込まれているか否かを表す状態情報とを対応付けた管理テーブルを記憶する記憶手段をさらに備え、実行・停止制御手段は、ランダムに不要となったブロックを別ブロックに統合し新たな消去可能なブロックを生成するウェアレベリング処理を任意のタイミングで実行し、これに伴い管理テーブル中のブロックアドレスのマッピング更新を随時行い、ブロックへの素材データの記録状態から不揮発性メモリのアクセス能力の判定を行う。
【0011】
この構成によれば、不揮発性メモリのブロックアドレスとブロックに素材データが書き込まれているか否かを表す状態情報とを対応付けた管理テーブルを用いて、不揮発性メモリに対する素材データの書き込みに先立ち、不揮発性メモリへ安定した書き込みができるか否かを判定でき、さらにウェアレベリング処理を任意のタイミングで実行し、これに伴い管理テーブル中のブロックアドレスのマッピング更新を随時行い、ブロックへの素材データの記録状態から不揮発性メモリのアクセス能力の判定を行うようにしているので、簡単な手順により人手を介することなく不揮発性メモリのデータ消去の適切なタイミングを図ることができ、他の作業に待ちを発生させることなく、処理を継続することができる。
【0012】
この発明の放送素材記録装置に係る実行・停止制御手段は、不揮発性メモリのアクセス能力の判定条件を不揮発性メモリの媒体管理アルゴリズムにより変化させる。これにより、アクセス能力は使用する不揮発性メモリの構造や容量等により変化するものであり、必ずしも同様の操作で安定した状態を引き出せるものではないので、使用する不揮発性メモリの媒体管理アルゴリズムを用いることで、不揮発性メモリ毎に適切なアクセス能力の判定を行うことができる。
【0013】
この発明の放送素材記録装置に係る実行・停止制御手段は、不揮発性メモリが装着部に装着されたタイミング及び起動タイミングの少なくとも1つで不揮発性メモリのアクセス能力の判定を行う。これにより、不揮発性メモリが装着部に装着されたときに、即座に不揮発性メモリのアクセス能力の判定を行うことができ、不揮発性メモリの適切な状態を把握できる。
【0014】
この発明の放送素材記録装置に係る実行・停止制御手段は、空きブロックの連続状態に関連し、不揮発性メモリ内に存在する一定数以下の連続空きブロックの個数、不揮発性メモリ内の連続空きブロックの存在率の少なくとも1つによりブロックへの素材データの記録状態の判定を行う。これにより、不揮発性メモリの適切な状態を把握することができ、収録前に安定した不揮発性メモリを準備することができる。
【0015】
この発明の放送素材記録装置に係る実行・停止制御手段は、記憶制御手段により不揮発性メモリへの安定した記録が行えない旨のメッセージを表示するメッセージ表示手段を備える。これにより、ユーザは表示器を見て不揮発性メモリへの安定した記録が行えない旨を視認することができ、これにより素材データの収録前に新らしい不揮発性メモリに交換することができる。
【0016】
この発明の放送素材記録装置に係る実行・停止制御手段は、不揮発性メモリのアクセス能力の判定に先立ち、記憶制御手段により不揮発性メモリに対する素材データの書き込み応答時間を測定する測定手段と、この測定手段による測定結果に基づいて、不揮発性メモリのアクセス能力の判定に至るまでの予測情報を表示する予測情報表示手段とを備える。予測情報表示手段は、測定手段により測定された応答時間の最大値、最小値、平均値、発生分布、及び発生パターン情報の少なくとも1つを用いて予測情報を表示する。
【0017】
この構成によれば、不揮発性メモリのアクセス能力の判定に至るまでの状況を事前に把握することによりさらに効率的な運用を行うことができる。また、不揮発性メモリの書き込みが不安定の場合、書き込みに対する応答時間は長くなるため、応答時間の最小値、最大値、平均値、発生分布、発生パターンにより、不揮発性メモリが不安定に至る事前情報を得ることができる。
【0018】
この発明の放送素材記録装置に係る記憶制御手段は、不揮発性メモリに対しブロックアドレスを連続させて素材データを書き込む。これにより、論理ブロックの連続的なアクセスにより、不揮発性メモリ内の再構築を抑えることができる。
【0019】
この発明の放送素材記録装置は、不揮発性メモリの複数のブロックのうち不要ブロックを提示する不要ブロック提示インタフェースをさらに備え、実行・停止制御手段は、不要ブロック提示インタフェースにより不要ブロックの提示が行われるタイミングで、ウェアレベリング処理及び管理テーブル中のブロックアドレスのマッピング更新を実行する。
【0020】
この構成によれば、不要ブロックの提示時のみ不揮発性メモリ内の再構築を実施することにより、不揮発性メモリのデータ消去といった時間を要する処理のタイミングを図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
上記発明によれば、適切なタイミングで安定した書込みが行えるようにし、必要なタイミングで収録が行えない状況を防止し得る情報処理装置、放送素材記録装置及び放送素材記録制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の一実施形態に係る放送システムの構成を示す概略構成図。
【図2】上記図1に示した収録装置の具体的構成を示す回路ブロック図。
【図3】上記図2に示した論理ブロック管理テーブルの記憶内容の一例を示す図。
【図4】上記図2に示した状態表示部の表示内容の一例を示す図。
【図5】上記図2に示した媒体アルゴリズムテーブルの記憶内容の一例を示す図。
【図6】上記図2に示したインタフェースによる不要ブロックの提示例を示す図。
【図7】同実施形態における収録装置による外部メモリ2への映像情報書き込み制御手順及びその内容を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
図1は、この発明の一実施形態に係る放送システムの構成を示している。本実施形態の放送システムは、カメラ11と、収録装置12と、編集装置13と、蓄積装置14と、ビデオサーバ15とから構成されている。このうち編集装置13、蓄積装置14及びビデオサーバ15は、ネットワークにより接続されている。カメラ11及び収録装置12には、それぞれ記憶媒体スロット111,121が設けてあり、外部メモリ2が着脱自在に装着可能になっている。外部メモリ2は、随時書き込み読み出しが可能な不揮発性メモリであり、例えば103Mバイトの記憶容量を有する。この外部メモリ2は、カメラ11においてユーザが撮影した放送番組の素材データを記憶し、この素材データを収録装置12に読み込ませるために使用する。
【0025】
収録装置12は、カメラ11で撮影した映像のうち、必要部分だけをカットする簡易編集を行う。こうした簡易編集が終了すると、作成された映像は収録装置12に対し着脱自在に接続される編集装置13に転送される。
【0026】
編集装置13では、収録装置12で作成された複数の素材映像を編集し、放送可能な番組の映像情報として編集を行う。ここで作成された映像情報は、番組映像として蓄積装置14に登録され、しかる後にビデオサーバ15に転送される。ビデオサーバ15では、コマーシャルや放送時間の設定・調整を行うと共に、部分的な最終修正を行い、放送用の映像情報を作成する。作成された最終映像情報は、予め設定されたプログラム情報により、オンエア出力される。
【0027】
図2は、上記収録装置12の具体的構成を示す回路ブロック図である。
同図において、映像音声データは、入力端子122を介して収録装置12に入力される。入力された映像音声データは、映像音声処理部123により記録が行えるよう映像音声のコーデック処理、及びファイル化を行うための変換処理が施される。変換されたデータは、論理ブロック管理部124に転送される。
【0028】
記録すべき映像データを取得した論理ブロック管理部124では、外部メモリ2内の論理ブロック・物理ブロック対応管理部211に対し、データの書込み要求を発行する。これに対し論理ブロック・物理ブロック対応管理部211は、書込みが可能であれば応答を返し、負荷であればエラーを返す。書込みが可能である場合、論理ブロック・物理ブロック管理部211は、論理ブロック・物理ブロック対応テーブル212の情報から、実際に不揮発性メモリ媒体213に書き込む物理ブロックを決定する。
【0029】
論理ブロック管理部124は、書込み要求が受け付けられると、論理ブロック管理テーブル125に書込みを行った論理ブロックの情報の書込みを行う。論理ブロック管理テーブル125は、図3に示すように、論理ブロックとなるブロックアドレスと、不揮発性メモリ媒体213の各ブロックへの情報の書き込み状態を示す情報と、不揮発性メモリ媒体213の物理ブロックとの対応関係を表すデータである。
【0030】
以上が一連の映像音声データが入力され、記録媒体に記録されるまでの基本フローであるが、記録媒体が不揮発性メモリ媒体213等の上書きが行えない媒体の場合、記録媒体が安定して書込みを継続するためには、何らかのタイミングで不揮発性メモリ媒体213の消去を行う必要がある。この方法として、いわゆるウェアレベリング処理を論理ブロック・物理ブロック管理部211が実行する。しかしながら、この処理には一定の時間が消費されるため、書込み速度への影響が発生する。この影響を監視しているのが、記録媒体安定度判定部126である。
【0031】
記録媒体安定度判定部126は、論理ブロック管理テーブル124の状態を監視し、ブロックの利用状態から媒体の書込みパフォーマンスを判定する。不揮発性メモリ媒体213では、ランダムに不要となったブロックを別ブロックに統合し、新たな消去可能なブロックを生成するといったウェアレベリング処理を行うため、論理ブロックの記録状態からも書込みに対する安定度を予想することが可能である。
【0032】
記録媒体安定度判定部126では、論理ブロック内の空きブロックの状態から安定度を判定する。論理ブロック内の空きブロックの連続数が一定数以下である空きブロックの連続箇所をカウントし、一定数以上あるいは、媒体容量との比率が一定値以上であった場合、媒体の書込み状態は不安定であると判定する。このような不安定の状況が判断された場合、記録媒体安定度判定部126は、外部メモリ2が不安定である旨のメッセージを状態表示部127に表示する。
【0033】
また、記録媒体安定度判定部126は、外部メモリ2が不安定である旨の判定を行なった場合、論理ブロック管理部124に対して収録の停止を指示し、該当する媒体には記録を行わないようにする。この安定度判定は、外部メモリ2が収録装置12のスロット121に装着され、編集装置13が収録装置12に装着された際、あるいは装着後起動された際に実施するものである。以上のような判定により、媒体の適切な状態を把握することが出来、収録前に安定した媒体を準備することが可能となる。
【0034】
また、これらの判定は、判定条件が揃って始めて表示されるが、判定に至る状況を事前に把握することによりさらに効率的な運用を行うことが可能となる。論理ブロック管理部124は、論理ブロック・物理ブロック管理部211に書込み要求を行った際、応答までの時間を計測する。この時間の計測により媒体の不安定の判定前に、そういった状況に至る情報を得ることが可能となる。
【0035】
媒体の書込みが不安定の場合、書込みに対する応答時間は長くなるため、応答時間の最小値、最大値、平均値、発生分布、発生パターンにより、媒体が不安定に至る事前情報を得ることができる。記録媒体安定度判定部204は、このような事前情報を状態表示部127に表示する。すると、状態表示部127には、図4に示すように、スロット121に装着される外部メモリ2のメモリID(メモリ識別情報)と、その書き込み応答時間の最大値、最小値、平均値と、書き込み応答時間が最大値に相当するブロック番号と、メッセージとが表示される。
【0036】
以上のように、外部メモリ2の不安定度を判定し、安定な状態を選んで運用を行う一方で、論理ブロック管理部124は、外部めもり2に対して書込みの要求を行う際、媒体の応答性能を安定したものとするため、論理ブロック・物理ブロック管理部211による媒体内のブロック再構築(ウェアレベリング)といった時間のかかる処理が行われる頻度の低いアクセス方式をとるように構成する。一般に論理ブロックの連続的なアクセスにより、こうした再構築を抑える効果があるため、連続アドレスによるアクセスを行う。
【0037】
しかしながら、媒体内の再構築アルゴリズムは、外部メモリ2の構造や容量等により変化するものであり、かならずしも同様の操作により安定した状態を引き出せるものではない。そこで、論理ブロック管理部124は、外部メモリ2をスロット121に装着する際に、媒体アルゴリズムテーブル1241を参照してその種別を判定し、それぞれに適したアクセスを行えるよう、複数の処理アルゴリズムを実行できるよう構成されている。媒体アルゴリズムテーブル1241は、図5に示すように、外部メモリ2のメモリ名と、書き込み応答時間の判定結果との対応関係を表すデータである。
【0038】
さらに効果的にアクセスの安定度を確保する方式として、論理ブロック管理部124より、論理ブロック・物理ブロック管理部211に対して、図6に示すように、論理ブロック内の不要ブロックを明示できるインタフェース1242を準備する方式がある。なお、図6において、斜線部分は不要ブロックを示している。これら複数の論ブロックには、不要なブロックが含まれていることもある。この場合、論理ブロック管理部124は、不要なブロックを特定のアドレスに集中させてフラグを立て、次回から再生の際に、このフラグのアドレスにはアクセスしないように論理ブロック・物理ブロック管理部211に対し指示することができる。
【0039】
この方式では、論理ブロック・物理ブロック管理部211は、基本的に媒体内の再構築を任意のタイミングで実施せず、論理ブロック管理部124からの不要ブロックの提示時のみ実施するようにする。これにより、不揮発性メモリ媒体213のデータ消去といった時間をようする処理のタイミングをはかることが可能となる。
【0040】
編集装置13は、使用者操作により発生した制御信号により編集操作を行うが、編集が完了したブロックを、収録装置12に伝達する。これにより、不揮発性メモリ媒体213のデータ消去の適切なタイミングをはかることができ、他の作業に待ちを発生させることなく、処理を行うことが可能である。
【0041】
次に、上記構成における動作について説明する。
図7は、収録装置12による外部メモリ2への映像情報書き込み制御手順及びその内容を示すフローチャートである。
【0042】
収録装置12は、まず外部メモリ2の装着の有無を判定する(ステップST7a)。そして、外部メモリ2がスロット121に装着されていなければ(No)、他の制御処理を実行する。
【0043】
さて、いま例えばユーザがカメラ11で撮影され外部メモリ2に記録された映像に他の映像データ及び音声データを加えるべく、スロット121に外部メモリ2を装着したとする。そうすると、収録装置12の論理ブロック管理部124は、ステップST7aからステップST7bに移行し、ここで映像音声処理部123で処理された映像データ及び音声データの入力を受け付け、入力された映像データ及び音声データをバッファ1243に保持する(ステップST7c)。それと共に、入力された映像データ及び音声データを状態表示部127に表示する。この状態でユーザが入力部(図示せず)において確定操作を行なうと、収録装置12はステップST7dからステップST7eに移行し、記録媒体安定度判定部126により外部メモリ2への書き込みの安定度を判定し、この判定結果により外部メモリ2への書き込みが可能であるか否かの判定を行なう(ステップST7f)。
【0044】
ここで、外部メモリ2への書き込みが可能であるならば、論理ブロック管理部124はバッファ1243から上記映像データ及び音声データを読み出して外部メモリ2の不揮発性メモリ媒体213に書き込む(ステップST7g)。一方、外部メモリ2への書き込みが可能でないならば(No)、収録装置12は不安定の旨のメッセージと外部メモリ2のメモリIDを記録媒体安定度判定部126から状態表示部127に供給して表示させる。従って、この表示によりユーザは外部メモリ2が不安定の旨をリアルタイムに知ることができ、即座に新らしい外部メモリへの交換を行うことができる。
【0045】
以上のように上記実施形態では、収録装置12において、外部メモリ2の論理ブロックのブロックアドレスと論理ブロックに映像データ及び音声データが書き込まれているか否かを表す状態情報と不揮発性メモリ媒体213の物理ブロックとを対応付けた管理テーブル125を用いて、外部メモリ2に対する映像データ及び音声データの書き込みに先立ち、外部メモリ2へ安定した書き込みができるか否かを判定し、さらに外部メモリ2の不揮発性メモリ媒体213に対するウェアレベリング処理を任意のタイミングで実行し、これに伴い管理テーブル125中のブロックアドレスのマッピング更新を随時行い、不揮発性メモリ媒体213のブロックへの映像データ及び音声データの記録状態から外部メモリ2のアクセス能力の判定を行うようにしている。
【0046】
従って、簡単な手順により人手を介することなく外部メモリ2のデータ消去の適切なタイミングを図ることができ、他の作業に待ちを発生させることなく、処理を継続することができる。
【0047】
また、上記実施形態では、収録装置12において、外部メモリ2のアクセス能力の判定条件を外部メモリ2の媒体管理アルゴリズムにより変化させるようにしているので、使用する外部メモリ2毎に適切なアクセス能力の判定を行うことができる。
【0048】
また、上記実施形態では、外部メモリ2が収録装置12のスロット121に装着されたタイミング及び起動タイミングで、即座に外部メモリ2のアクセス能力の判定を行うことができ、これにより外部メモリ2の適切な状態を把握できる。
【0049】
また、上記実施形態では、収録装置12の記録媒体安定度判定部126において、空きブロックの連続状態に関連し、外部メモリ2内に存在する一定数以下の連続空きブロックの個数、外部メモリ2内の連続空きブロックの存在率の少なくとも1つによりブロックへの映像データの記録状態の判定を行うようにしているので、外部メモリ2の適切な状態を把握することができ、これにより収録前に安定した外部メモリ2を準備することができる。
【0050】
また、上記実施形態では、外部メモリ2への安定した記録が行えない旨のメッセージを状態表示部127に表示するようにしているので、ユーザは状態表示部127を見て外部メモリ2への安定した記録が行えない旨を視認することができ、これにより映像データの収録前に新らしい外部メモリ2に交換することができる。
【0051】
また、上記実施形態によれば、外部メモリ2のアクセス能力の判定に至るまでの状況を事前に把握することによりさらに効率的な運用を行うことができる。また、外部メモリ2の書き込みが不安定の場合、書き込みに対する応答時間は長くなるため、応答時間の最小値、最大値、平均値、発生分布、発生パターンにより、外部メモリ2が不安定に至る事前情報を得ることができる。
【0052】
さらに、上記実施形態によれば、不要ブロックの提示時のみ外部メモリ2内の再構築を実施することにより、外部メモリ2のデータ消去といった時間を要する処理のタイミングを図ることが可能となる。
【0053】
なお、上記実施形態では、収録装置12を例に説明したが、編集装置13や蓄積装置14、ビデオサーバ15等の他の情報処理装置にも適用可能である。
【0054】
また、上記実施形態では、入力端子122を介して入力された映像データ及び音声データを外部メモリ2に書き込む例について説明したが、外部メモリ2に記録された映像データ及び音声データを読み出して処理を加え、再度外部メモリ2に書き込むようにしてもよい。
【0055】
以上、上記述べた例の種々の組み合わせにより、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の情報処理装置、放送素材記録装置及び放送素材記録制御方法を実現することが可能である。
【符号の説明】
【0056】
2…外部メモリ、11…カメラ、12…収録装置、13…編集装置、14…蓄積装置、15…ビデオサーバ、121…スロット、123…映像音声処理部、124…論理ブロック管理部、125…論理ブロック管理テーブル、126…記録媒体安定度判定部、127…状態表示部、1241…媒体アルゴリズムテーブル、1242…インタフェース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロック単位で情報の書き込み及び消去が可能な不揮発性メモリが着脱自在に装着される装着部と、
前記情報を入力する情報入力手段と、
この情報入力手段により入力された情報または前記不揮発性メモリに記録された情報を前記装着部を介して読み出して処理し、この処理した情報を前記装着部を介して前記不揮発性メモリに記憶させる記憶制御手段と、
前記装着部に設けられ、前記不揮発性メモリの書き込み可能なブロックを判別し、この判別結果に基づいて前記記憶制御手段に対し前記不揮発性メモリへの情報の書き込みの実行・停止を制御する実行・停止制御手段とを具備したことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
オンエア用の素材データを、ブロック単位で情報の書き込み及び消去が可能な不揮発性メモリに記録する放送素材記録装置において、
前記不揮発性メモリが着脱自在に装着される装着部と、
前記素材データを入力する素材データ入力手段と、
この素材データ入力手段により入力された素材データまたは前記不揮発性メモリに記録された素材データを前記装着部を介して読み出して処理し、この処理した素材データを前記装着部を介して前記不揮発性メモリに記憶させる記憶制御手段と、
前記装着部に設けられ、前記不揮発性メモリの書き込み可能なブロックを判別し、この判別結果に基づいて前記記憶制御手段に対し前記不揮発性メモリへの素材データの書き込みの実行・停止を制御する実行・停止制御手段とを具備したことを特徴とする放送素材記録装置。
【請求項3】
前記不揮発性メモリの複数ブロックをそれぞれ特定するブロックアドレスと、ブロックに前記素材データが書き込まれているか否かを表す状態情報とを対応付けた管理テーブルを記憶する記憶手段をさらに備え、
前記実行・停止制御手段は、ランダムに不要となったブロックを別ブロックに統合し新たな消去可能なブロックを生成するウェアレベリング処理を任意のタイミングで実行し、これに伴い前記管理テーブル中のブロックアドレスのマッピング更新を随時行い、前記ブロックへの素材データの記録状態から不揮発性メモリのアクセス能力の判定を行うことを特徴とする請求項2記載の放送素材記録装置。
【請求項4】
前記実行・停止制御手段は、前記不揮発性メモリのアクセス能力の判定条件を前記不揮発性メモリの媒体管理アルゴリズムにより変化させることを特徴とする請求項3記載の放送素材記録装置。
【請求項5】
前記実行・停止制御手段は、前記不揮発性メモリが前記装着部に装着されたタイミング及び起動タイミングの少なくとも1つで不揮発性メモリのアクセス能力の判定を行うことを特徴とする請求項3記載の放送素材記録装置。
【請求項6】
前記実行・停止制御手段は、空きブロックの連続状態に関連し、前記不揮発性メモリ内に存在する一定数以下の連続空きブロックの個数、前記不揮発性メモリ内の連続空きブロックの存在率の少なくとも1つにより前記ブロックへの素材データの記録状態の判定を行うことを特徴とする請求項3記載の放送素材記録装置。
【請求項7】
前記実行・停止制御手段は、前記ブロックへの素材データの記録状態の判定条件を前記不揮発性メモリの媒体管理アルゴリズムにより変化させることを特徴とする請求項3記載の放送素材記録装置。
【請求項8】
前記実行・停止制御手段は、前記不揮発性メモリのアクセス能力の判定結果により、前記記憶制御手段に対し前記不揮発性メモリへの素材データの書き込みの停止制御を行うことを特徴とする請求項3記載の放送素材記録装置。
【請求項9】
前記実行・停止制御手段は、前記記憶制御手段により前記不揮発性メモリへの安定した記録が行えない旨のメッセージを表示するメッセージ表示手段を備えたことを特徴とする請求項3記載の放送素材記録装置。
【請求項10】
前記実行・停止制御手段は、不揮発性メモリのアクセス能力の判定に先立ち、前記記憶制御手段により前記不揮発性メモリに対する素材データの書き込み応答時間を測定する測定手段と、この測定手段による測定結果に基づいて、前記不揮発性メモリのアクセス能力の判定に至るまでの予測情報を表示する予測情報表示手段とを備えたことを特徴とする請求項3記載の放送素材記録装置。
【請求項11】
前記予測情報表示手段は、前記測定手段により測定された応答時間の最大値、最小値、平均値、発生分布、及び発生パターン情報の少なくとも1つを用いて前記予測情報を表示することを特徴とする請求項10記載の放送素材記録装置。
【請求項12】
前記記憶制御手段は、前記不揮発性メモリに対しブロックアドレスを連続させて前記素材データを書き込むことを特徴とする請求項2記載の放送素材記録装置。
【請求項13】
前記測定手段は、測定条件を前記不揮発性メモリの媒体管理アルゴリズムにより変化させることを特徴とする請求項10記載の放送素材記録装置。
【請求項14】
前記不揮発性メモリの複数のブロックのうち不要ブロックを提示する不要ブロック提示インタフェースをさらに備えたことを特徴とする請求項2記載の放送素材記録装置。
【請求項15】
前記不揮発性メモリの複数のブロックのうち不要ブロックを提示する不要ブロック提示インタフェースをさらに備え、
前記実行・停止制御手段は、前記不要ブロック提示インタフェースにより不要ブロックの提示が行われるタイミングで、前記ウェアレベリング処理及び前記管理テーブル中のブロックアドレスのマッピング更新を実行することを特徴とする請求項3記載の放送素材記録装置。
【請求項16】
前記不要ブロック提示インタフェースは、前記記憶制御手段の指示に応じて、編集処理が完了した複数のブロックの中の不要ブロックを提示することを特徴とする請求項14または15記載の放送素材記録装置。
【請求項17】
オンエア用の素材データを、ブロック単位で情報の書き込み及び消去が可能な不揮発性メモリに記録する放送素材記録装置に用いられ、
前記素材データを入力し、
この入力された素材データまたは前記不揮発性メモリに記録された素材データを読み出して処理し、
前記不揮発性メモリの書き込み可能なブロックを判別し、
この判別結果に基づいて、前記不揮発性メモリに対し前記素材データの書き込みの実行・停止を制御することを特徴とする放送素材記録制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−61720(P2011−61720A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212186(P2009−212186)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】