情報処理装置、方法、及び、プログラム
【課題】プロファイル作成時等に必要となるカラーパッチの測定作業において測定ミスが発生した場合に、高精度に検知することができる情報処理装置を提供する。
【解決手段】チャート上に配置された複数のパッチの色特性を測定する際の測定ミスの有無を判定する情報処理装置101であって、複数のパッチの測定値を取得する測定値取得手段と、測定値取得手段によって取得された複数のパッチの測定値と予め定められた複数のパッチの基準値とをそれぞれ比較し、色差を取得する色差取得手段と、色差取得手段によって取得された色差を用いて、パッチの測定ミスの有無を判定する判定手段110とを備える。
【解決手段】チャート上に配置された複数のパッチの色特性を測定する際の測定ミスの有無を判定する情報処理装置101であって、複数のパッチの測定値を取得する測定値取得手段と、測定値取得手段によって取得された複数のパッチの測定値と予め定められた複数のパッチの基準値とをそれぞれ比較し、色差を取得する色差取得手段と、色差取得手段によって取得された色差を用いて、パッチの測定ミスの有無を判定する判定手段110とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッチの色測定を行う情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータの普及に加え、周辺機器であるカラープリンタ、デジタルカメラ、デジタルビデオ、さらにはモニタやプロジェクタといった画像デジタル機器の普及が著しい。殊に、プリンタにおいては、プリンタ本体の高性能化に伴い、ユーザのカラーマッチングに対する要求レベルも高まっている。例えば、企業のポスタやカタログを印刷するといった商業印刷、また、一般ユーザがスナップ写真などを家庭で印刷するといった写真印刷など、印刷の用途も多岐に渡っている。その中でも商業印刷の場面においては、ポスタやカタログといった実際の印刷物が商品となるビジネスにおいては、より高精度なカラーマッチング技術が求められている。
【0003】
高精度なカラーマッチングを実現するためには、再現するデジタル機器の特性が安定している必要がある。また、理想的な色再現を実現するためICC(International Color Consortium)プロファイルに代表されるデータを用いて印刷を行うことも知られている。しかしながら、温度、湿度といった環境変動、又は、トナーや用紙の交換等のプロセス変動によって印刷特性が一定にならないといった問題がある。また、プリンタプロファイルにおいてはプリンタメーカなどから提供されるプロファイルを用いても、ターゲットとする色再現が個々のユーザによって異なるので、所望する色再現が得られないといった問題がある。そのような問題に対して、近年、各メーカよりユーザ自ら所望のプロファイルが作成可能となるプロファイル作成ツールが提供されている。
【0004】
プロファイル作成ツールを用いる際には、まず、ターゲットとする色空間ならびに再現する色空間を取得するために、実際にプリンタからカラーパッチを印刷し、そのカラーパッチを測定機を用いて測定する必要がある。現在、各測定機メーカより小型かつ高精度な測定機が多く提供されている。しかしながら、その測定方法は、カラーパッチを1個単位で測定したり、1行単位で測定したり、また、スキャナタイプの測定機においては、1枚単位で自動読み込みを行ったりと各測定機によって様々に異なっている。
【0005】
そのような測定機を用いた測定作業においては、ユーザを介した測定が行われる。従って、人為的な測定ミスが多く発生してしまう。例えば、1行単位で測定を行う測定機において、本来の測定行とは異なる行を誤測定してしまったり、誤操作により測定中に印刷物と測定機が離れてしまったり、測定開始位置を誤ってしまう場合がある。そのような場合に代表されるように、ユーザを介した測定においては、妥当な測定値が取得されないという測定ミスが発生してしまう頻度が非常に高い。
【0006】
また、それらの測定値を用いてプロファイルが作成されると、そのプロファイルの精度は著しく低下し、また、そのプロファイルを用いて印刷した結果は、想定からはるかに異なった結果となってしまう。以上に加えて、プロファイルを作成し、実際に印刷が終了するまで、測定に失敗したことをユーザが認識できないといった問題もある。
【0007】
そのような問題を解決する方法として、様々な技術が開発されている。特許文献1においては、1つのパッチ列について複数回の測定を行ってデータ数を確認し、想定していたデータ数に対して増減が発生した場合に、測定ミスが発生したと判断する。また、複数の測定データ同士を比較し、所定の閾値以上になった場合に、複数回の測定において測定ミスが発生したと判断する。また、特許文献2においては、パッチのターゲットデータを内部で保持し、測定データとの比較を行う。その結果がある閾値以上になったパッチに対して、測定ミスが発生したことをユーザに警告する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−61926号公報(段落0010)
【特許文献2】特開2002−94820号公報(段落0007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1においては、同一のパッチを複数回測定するので、ユーザの時間的コストが増大してしまい、実用性に欠ける。また、特許文献2においては、判定に用いる閾値を一意に定めることが難しく、検出精度が低い。例えば、閾値が小さいと、面内むらといった一紙面内でのデバイス変動やメディアの相違による色再現の違いなどの微妙な誤差にも敏感に反応してしまうので、正しく測定できたパッチに対してもエラー検出されてしまう。一方、閾値が大きいと、測定に失敗したパッチに対してエラー検出がされない場合が生じる。
【0010】
以上のような従来技術においては、1行単位で測定を行う測定機を用いた場合において、面内むらといった一紙面内に発生する測定値のばらつき等のデバイス変動要因や印刷を行うメディアの種類による測定値の違いを特に考慮していない。従って、1パッチ単位での誤差に敏感であるので、ロバスト性が低くなってしまう。
【0011】
従って、本発明は、プロファイル作成時等に必要となるカラーパッチの測定作業において測定ミスが発生した場合に、高精度に検知することができる情報処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る情報処理装置は、チャート上に配置された複数のパッチの色特性を測定する際の測定ミスの有無を判定する情報処理装置であって、複数のパッチの測定値を取得する測定値取得手段と、前記測定値取得手段によって取得された複数のパッチの測定値と予め定められた複数のパッチの基準値とをそれぞれ比較し、色差を取得する色差取得手段と、前記色差取得手段によって取得された色差の列の統計値を算出する統計値算出手段と、前記統計値算出手段によって算出された統計値と、前記色差取得手段によって取得された色差との差分を算出する差分算出手段と、前記差分算出手段によって算出された差分を用いて、パッチの測定ミスの有無を判定する判定手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、プロファイル作成時等に必要となるカラーパッチの測定作業において測定ミスが発生した場合に、高精度に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態における情報処理装置を含むシステム構成を示す図である。
【図2】カラーパッチ測定ミスの判定の処理の手順について示すフローチャートである。
【図3】プロファイル作成アプリケーションのユーザ設定画面の一例を示す図である。
【図4】警告を示すユーザインタフェースの一例を示す図である。
【図5】第1の実施形態における測定ミス判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】各パッチにおけるパッチデータ、ターゲット測定値、測定値、色差の対応を示す図である。
【図7】本実施形態におけるパッチの配置の一例を示す図である。
【図8】第2の実施形態における測定ミス判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】第3の実施形態における測定ミス判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】カラーパッチ測定の際の画面の一例を示す図である。
【図11】本発明に適用される情報処理装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
【0016】
<構成>
図1は、本実施形態における情報処理装置を含むシステム構成を示す図である。図1に示すように、本システムは、情報処理装置101、アプリケーション格納部102、パッチデータ格納部103、パッチターゲット測定値格納部104、閾値格納部105、パッチ測定値格納部106、プロファイル作成部107を含んでいる。また、本システムは、プロファイル格納部108、測定ミス判定情報格納部109、測定ミス判定部110、測定ミス警告部111、パーソナルコンピュータに直接接続されたモニタ112、測色機113を含んでいる。情報処理装置101としては、例えば、一般的なパーソナルコンピュータ(PC)が用いられる。
【0017】
図11は、本発明に適用される情報処理装置の構成を示す図である。CPU1101は、ROM1103に記憶された、あるいはハードディスク(HD)1112からRAM1102にロードされたOSや一般アプリケーション、本発明にかかるプログラムを実行する。RAM1102は、CPU1101の主メモリ、ワークエリア等として機能する。キーボードコントローラ(KBC)1105は、キーボード11110や不図示のポインティングデバイスからのキー入力を制御する。モニタコントローラ1106は、モニタ1111の表示を制御する。ディスクコントローラ(DKC)1107は、ブートプログラム、種々のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、電子原稿ファイル等を記憶するハードディスク(HD)1112等とのアクセスを制御する。プリンタコントローラ(PRTC)1108は、接続されたプリンタとの間の信号の交換を制御する。ネットワークコントローラ(NC)1109はネットワークに接続されて、ネットワークに接続された他の機器との通信制御処理を実行する。また、CPU1101は、システムバス1104を介して、以上の各部を制御する。
【0018】
上記構成における、カラーパッチ測定ミス判定方法に関して、以下に述べる。まず、アプリケーション格納部102に格納されたアプリケーションが、ユーザの指示を受けたOSプログラムに基づき、起動され、モニタ112に表示される。本実施形態では便宜上、アプリケーションの一例を示して説明を行うが、アプリケーションの形式は任意であってよいものとし、また、アプリケーションを介さず、予め設定されたファイルやパラメータ等の各項目がプログラム内に記述されていても良い。
【0019】
起動されたアプリケーション上で以下の操作が行われる。最初に、ユーザはこれから測定を行うパッチデータを指定する。指定されたパッチデータは、パッチデータ格納部103に格納される。いま、プロファイル作成に用いるパッチデータは、CMYKデータの1000パッチ分として説明を行う。
【0020】
次に、ユーザは、上記パッチデータに対するターゲット測定値(基準値ともいう)を指定する。ターゲット測定値は、予め規定されたものを内部で1種類又は複数種類保持している。もしくは、ユーザ所望のターゲットデータを外部から指定するようにしても良い。本実施形態におけるパッチのターゲット測定値として、ユーザ所望のメディアで印刷を行ない、妥当に測定されたパッチ測定値が用いられて良い。又は、一般的に用いられる印刷基準値がターゲット測定値として用いられても良い。上記方法より取得されたパッチのターゲット測定値はパッチターゲット測定値格納部104に格納される。
【0021】
続いて、ユーザは、測定ミスが発生したか否かの判定に用いる閾値を設定する。閾値は1種類又は判定のレベルに応じて内部で複数種類保持している。もしくは、ユーザ所望の閾値を外部から指定するようにしても良い。上記方法より取得された閾値は、閾値格納部105に格納される。
【0022】
ユーザによる設定の後、カラーパッチの測定を行う。アプリケーション上で測定したパッチデータもしくは予め測定されたパッチデータを取得し、パッチ測定値格納部106に格納する。次に、パッチデータ格納部、パッチターゲット測定値格納部、閾値格納部、パッチ測定値格納部に格納されたデータを用いて測定ミスが発生したか否かの判定に用いる情報を作成し、測定ミス判定情報格納部109に格納する。実際に測定ミスが発生したか否かの判定は測定ミス判定部110で行う。また、ユーザによって、判定を行うか否かを選択することができる。
【0023】
判定の結果、測定ミスが発生したと判定された場合には、測定ミス警告部111よりユーザに警告が表示される。警告が表示された場合に、ユーザは測定に失敗した箇所のみ再測定を行う。再測定を行うのは必要最低限のパッチ数とし、パッチ1個もしくは1行単位のパッチ数とする。再測定が行われた場合には、パッチ測定値格納部106に格納されたパッチ測定値が上書きされ、測定ミス判定部110において、上述と同様の方法によって測定ミスの判定が再び行われる。一方、判定の結果、全測定データに対して測定ミスが発生していないと判断された場合には、上記のパッチ測定値を用いてプロファイル作成部107においてプリンタプロファイルが作成され、プロファイル格納部108に格納される。
【0024】
以下、カラーパッチ測定ミス判定について、図2、図3、及び、図10を用いて詳細に説明する。図2は、カラーパッチ測定ミスの判定の処理の手順について示すフローチャートである。また、図3は、プロファイル作成アプリケーションのユーザ設定画面の一例を示す図である。また、図10は、カラーパッチ測定の際の画面の一例を示す図である。なお、上述したようにアプリケーションはあくまでも本実施形態を説明するための便宜的なものであり、実施形態の一例である。
【0025】
まず、図2に示すステップS201において、アプリケーション格納部102に記憶されたプロファイル作成アプリケーションが起動する。アプリケーションが起動すると、モニタ112に図3に示す画面が表示される。
【0026】
ステップS202において、ユーザは、これからプロファイル作成を行う際に印刷するカラーパッチデータを図3に示す表示301に指定する。本実施形態において、指定されたパッチデータは、CMYKデータで1000パッチ分であり、パッチデータ格納部103に格納される。
【0027】
ステップS203において、ユーザは、ステップS202で指定されたパッチデータに対するターゲット測定値を表示303に指定する。もしくは、表示302においてメディアの種類を選択することによってターゲット測定値を指定しても良い。その場合に、予めメディアの種類とターゲット測定値とが対応付けられている。ここで、メディアの種類ではなく、プリンタ機種やインク特性等に対応付けられて、ターゲット測定値を複数、内部で保持していても良い。あるいは、JapanColor、JMPAといった一般的に用いられている印刷業界の基準値を一意に定めて、ターゲット測定値として設定されてもよい。
【0028】
以下、ターゲット測定値として、表示302において「普通紙」が選択されたとする。その場合には、普通紙にステップS202において指定されたCMYKデータから構成されたパッチが配置されて印刷され、そのパッチに対して妥当に測定が行われた際の測定値をターゲット測定値として設定される。
【0029】
パッチ測定値は、パッチデータのCMYKに対応する「L*a*b*」データとして説明する。ターゲット測定値は「L*a*b*」だけでなく、Lch、XYZ、Jch等、デバイスの色特性を表記可能な値であれば良い。上記の方法によって取得されたターゲット測定値は、パッチターゲット測定値格納部104に格納される。
【0030】
ステップS204において、ユーザは、測定ミスが発生したか否かの判定に用いられる閾値を設定する。表示304に示すように、判定レベルの高低によって、それぞれ閾値が内部で対応づけられ、選択できるように構成されている。もしくは、表示305において任意の閾値が記述されたファイルを読み込むように構成しても良い。閾値に関する具体的な説明は後述する。上記の方法によって取得された閾値情報は、閾値格納部105に格納される。
【0031】
ステップS205において、情報処理装置101は、プリンタから出力され測定されたカラーパッチの測定値を取得する。ここで、図3に示すボタン306が押下されると、図10に示すウィンドウが起ち上がり、測色機113と情報処理装置101間で通信が開始され、カラーパッチの測定制御が可能となる。もしくは予め測定されたカラーパッチ測定値を表示307から読み込むように構成しても良い。本実施形態で用いられる測色機113は、ユーザの操作によって1行単位で繰返し測定を行うハンディタイプの測定機(又は、側色機ともいう)を想定し説明する。しかしながら、測定機は上記形態に限られず、1行単位で測定値の取得が可能な機種であれば、自動測定タイプ等、機種は問わないものとする。上記の方法にて取得されたパッチの測定値は、パッチ測定値格納部106に格納される。
【0032】
ステップS206において、カラーパッチの測定値を取得する過程において測定ミスが発生したか否かの判定が、測定ミス判定情報格納部109に格納された情報を用いて測定ミス判定部110において行われる。ここで、測定ミスが発生していた場合に、ステップS207に進む。一方、測定ミスが発生していなかった場合に、ステップS208に進む。測定ミス判定方法に関する詳細な説明は後述する。以下、測定ミスの判定方法に関する説明を行う。また、判定を行うか否かは、ユーザによって表示308の指定により切り替えることができる。表示308でパッチ測定ミス判定機能をOFFに設定した場合には、表示302〜305が選択不可となる。
【0033】
ステップS207において、ステップS206において測定ミスが発生したと判定されたパッチに対して、ユーザによって再測定を行うか否かが判断される。測定ミスの判定は、所定の単位で測定が終了した時点で行われる。例えば、パッチの再測定は、必要最小限のパッチ個数に対して行われるものとする。本実施形態では、1行単位で測定を行うため、1行の測定中に測定ミスが発生した1パッチ毎もしくは1行すべてのパッチの再測定を行うものとする。図4の(a)のウィンドウを測定ミス警告部111によってモニタ112に表示し、再測定を行うか否かがユーザにより決定される。図4の(a)のウィンドウ上で「はい」が選択され、再測定を行うと決定された場合には、図4の(a)に示す測定方法が選択された後に、ステップS205に進み、同パッチの再測定を行う。
【0034】
一方、図4の(a)で「いいえ」が選択され、再測定を行わないと決定された場合には、ユーザに図4の(b)に示すウィンドウを測定ミス警告部111によってモニタ112に表示し、アプリケーションを終了する。なお、上記の説明においては、ユーザの意志によりパッチの再測定を行うか否かの判断をさせるウィンドウ表示を用いている。本実施形態においては、測定ミスが発生した回数をプログラム内でカウントし、そのカウント数が、所定の回数以下の場合に自動的に再測定フローに進むようにしても良い。反対に、所定の回数以上測定ミスが発生したと判断された場合には、ユーザの人為的な測定ミスが原因ではなく、何らかのデバイス不具合によるパッチの印字ミス等が原因と判断し、測定フローを終了するようにしても良い。
【0035】
ステップS208において、全パッチの測定が終了したか否かの判定を行う。全パッチの測定が終了していた場合は、ステップS210へ進む。全パッチの測定が終了していなかった場合は、ステップS209へ進む。
【0036】
ステップS209において、測定カウンタを1つ進める。本実施形態では、測定カウンタを「行」単位として説明を行う。よって、測定カウンタが1つ進むと、ステップS205において、次の行の測定値取得フローに進む。
【0037】
ステップS210において、ステップS208までの処理を経て取得された妥当な測定値を用いて、ボタン309を押下することによって、プロファイル作成部107においてプロファイルの作成が行われる。作成されたプロファイルは、プロファイル格納部108に格納される。プロファイル作成に関して、プロファイル形式や作成方法は、任意の形式、方法で良いので詳細な説明は省略する。本実施形態において、プロファイルは、例えば、パッチデータ格納部103に格納されたCMYKデータ、及び、パッチ測定値格納部106に格納されたパッチ測定値が対応しており、順に列挙された形式にて記述され保存される。
【0038】
ステップS211において、ボタン310を押下することによって、カラーパッチ測定ミス判定処理、及び、プロファイル作成フローを終了する。
【0039】
<第1の実施形態>
以下、図2に示すステップS206の測定ミス判定方法に関する第1の実施形態を図5及び図6を参照しながら説明する。図5は、本発明に係る第1の実施形態における測定ミス判定処理の手順を示すフローチャートである。また、図6は、各パッチにおけるパッチデータ、ターゲット測定値、測定値、色差の対応を示す図である。
【0040】
本実施形態において、プロファイル作成に必要なパッチ数は便宜上1000パッチおよびフォーマットはCMYKデータとして説明を行う。また、1枚のメディア内には、図7に示すように、カラーチャート上に25行、20列の計500個のパッチが配置されており、2枚のメディアで、色測定を行うカラーチャートとされている。また、本実施形態において、測定ミスの判定処理は、ユーザによる1行単位の測定が終了した時点で、リアルタイムに行うとする。
【0041】
まず、図5に示すステップS501において、パッチデータ格納部103に格納されたパッチデータ、パッチターゲット測定値格納部104に格納されたターゲット測定値およびパッチ測定値格納部106に格納された測定値を用いる。それらのデータを用いて、各パッチデータに対するターゲット測定値と実際の測定値間の色差を算出する。ユーザ作業によるパッチ1行分の測定が終了すると、その時点でパッチ測定値格納部106には1行分、計20個のパッチ測定値が格納される。上記の測定値を用いて、各パッチについて色差の算出を行う。
【0042】
パッチターゲット測定値格納部104に格納されたターゲット測定値とパッチ測定値格納部106に格納された実測値との色差を算出する。算出方法は、1パッチ目のターゲット測定値を「Lt1*at1*bt1*」、実測値を「Lm1*am1*bm1*」とすると、色差ΔE1は、式(1)によって求められる(色差取得の一例)。
ΔE1=((Lt1*−Lm1*)2+(at1*−am1*)2+(bt1*−bm1*)2)1/2・・・(1)
同様の手順によって、各パッチの色差を1行分、計20個算出する。算出された情報は図6に示す形式で、測定ミス判定情報格納部109に格納される。
【0043】
ステップS502において、ステップS501で算出された1行分のパッチの色差の累積を算出する。本実施形態において、1行分のパッチは計20個なので、1行目の累積色差R1は、式(2)によって求められる。
R1= ΔE1+ΔE2+・・・+ΔE20 ・・・(2)
算出された累積色差R1は、測定ミス判定情報格納部109に格納される。
【0044】
ステップS503において、ステップS502で算出された累積色差がある閾値Aより大きいか否かを判定する。上記閾値は、ユーザの測定ミスに対する判定要求レベルに応じて、任意に決定することができる。本実施形態において、上記のユーザの要求レベルは、表示304において指定することができる。図3に示すように、要求レベルは、「高い」「普通」「低い」の3種類から選択される。上記の設定値には、予め関連付けられた閾値が閾値格納部105に格納されている。
【0045】
測定ミスを高精度に検知したい場合には、表示304において「高い」が選択される。その設定により、1パッチ毎の平均色差許容値をΔE=1に設定されたとする。すると、1行分の累積色差は「1×20=20」となる。よって、「高い」に設定された閾値Aは20となる。
【0046】
同様に、「標準」が選択された場合には、デバイス変動や面内むらといったデバイス変動も考慮し、標準的な色差として1パッチ毎の平均色差許容値をΔE=3に設定されたとする。すると、1行分の累積色差は「3×20=60」となる。よって、「標準」に設定された閾値Aは60となる。
【0047】
上記2種の設定と異なり、測定ミスが検知されることをあまり考慮しない場合には、「低い」が選択される。その設定により、1パッチ毎の平均色差許容値をΔE=5とかなり大きめに設定されたとする。すると、1行分の累積色差は「5×20=100」となる。よって、「低い」に設定された閾値Aは100となる。
【0048】
また、予め定められた閾値以外にも、ユーザが任意の閾値を設定することができる。表示304で「その他」が選択されると、表示305が表示され、任意の閾値設定ファイルが指定可能となる。
【0049】
以上のいずれかの方法において定められた閾値を用いて、測定ミスの判定を行う。1行分の累積色差が閾値Aを超えた場合は、何らかの原因で測定ミスが発生したと判断し、ステップS504に進む。1行分の累積色差が閾値Aを超えなかった場合(即ち、閾値以下)、測定ミスは発生していないと判断し、ステップS505に進む。
【0050】
ステップS504において、測定ミスが発生したと判定された場合に、ステップS207に進む。再測定を行うか否かユーザが判断した後、再測定を行うと決定された場合には、測定ミスが発生したパッチを1個もしくは1行単位で再度測定する。その後の処理については、上述したとおりである。
【0051】
ステップS505において、測定ミスが発生していなかったと判定された場合に、ステップS208に進む。全パッチの測定が終了していなかった場合は、測定が終了した次の行の測定に進む。全パッチの測定が終了するまで、全パッチ行数分の測定作業と測定ミス判定が繰り返される。累積色差R1からR50と計50行分について、各行の測定が終了した時点で算出されて測定ミス判定に用いられる。その後の説明は上述したとおりである。
【0052】
以上で、測定ミス判定処理に関して、累積色差を用いた第1の実施形態の説明を終了する。第1の実施形態においては、1パッチ毎に閾値を決めて判定する方法に比べて、1行内にターゲットとの色差が大きい箇所と小さい箇所があった場合でも互いにキャンセルされた上で、測定ミスの有無の判定が行われる。そのため、累積色差を用いて測定ミスの判定を行った場合には、面内むら等のデバイス変動による1パッチ毎の変動要因に対してロバスト性が高くなる。
【0053】
<第2の実施形態>
以下では、ステップS206の測定ミス判定方法に関する第2の実施形態を図8のフローチャートを用いて行う。
【0054】
ステップS801において、第1の実施形態と同様に各パッチデータに対するターゲット測定値と実測値との色差を算出する。算出された1行分の色差情報は、図6に示す形式で、測定ミス判定情報格納部109に格納される。
【0055】
次に、ステップS802において、ステップS801で算出された1行分の色差の中央値(Median)を算出する。中央値とは、ある所定の数のデータをソートしたときに、中央に位置する値のことをいう。ここで、1行分のパッチ個数を20個として説明を行う。1行20個分のターゲット測定値と実測値との色差が、それぞれ1パッチ目から順番に20パッチ目まで、{3,3,3,4,4,10,2,3,3,3,4,2,1,3,4、2,1,1,3,4}であるとする。上記のデータを小さい順にソートすると{1,1,1,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,10}となる。ここで、データ個数が偶数であるので、中央に位置する2つの数値の平均が中央値となる。つまり、上記データ列に対する中央値は、「(3+3)/2=3」となる(中央値算出の一例)。
【0056】
ステップS803において、ステップS802で算出された1行のデータ列に対する中央値と各パッチ色差との差分を算出する。現在、1行の各ターゲットと実測値の色差がそれぞれ1パッチ目から順番に20パッチ目まで{3,3,3,4,4,10,2,3,3,3,4,2,1,3,4、2,1,1,3,4}であるとする。その場合、ステップS802で算出した中央値(即ち、3)と上記各パッチ色差の差の絶対値は、それぞれ{0,0,0,1,1,7,1,0,0,0,1,1,2,0,1,1,2,2,0,1}となる(差分算出の一例)。
【0057】
ステップS804において、ステップS803で算出された各パッチ色差と中央値との差分結果から測定ミスが発生しているか否かの判定を行う。ここで、閾値Bが5と設定されていたとする。閾値の決定方法は、第1の実施形態と同様に、ユーザのミス検知要求レベルに関連付けられた値もしくは任意に設定可能なものとする。ステップS803で算出された下記1パッチ目から順番に20パッチ目までのパッチ色差と中央値との差の絶対値{0,0,0,1,1,7,1,0,0,0,1,1,2,0,1,1,2,2,0,1}を用いて説明する。その場合、閾値B(即ち、5)を越えている箇所は、差が7と出ている6パッチ目となる。よって、6パッチ目は他のパッチと異なり、何らかのユーザ操作不具合により測定ミスが発生したと判断され、ステップS805に進む。一方、閾値Bを超えている箇所がなかった場合は、測定ミスが発生しなかったと判断されて、ステップS806に進む。
【0058】
ステップS805において、測定ミスが発生した場合であるので、図2に示すステップS207に進む。ここで、再測定を行うか否かをユーザが判断し、再測定を行うと決定された場合には、測定ミスが発生したパッチを1個もしくは1行単位で再度測定することになる。その後の処理に関しては上述したとおりである。
【0059】
ステップS806において、測定ミスが発生していなかった場合であるので、図2に示すステップS208に進む。全パッチの測定が終了していなかった場合は、測定が終了した行から次の行の測定へと進む。全パッチの測定が終了するまで、全パッチ行数分の測定作業、測定ミス判定が繰り返される。その後の説明は上述したとおりであるため、省略する。
【0060】
なお、本実施形態においては、判定に使用する値として中央値(Median)を用いたが、その他、統計値に代表される、平均値、分散、標準偏差、最頻値(Mode)など任意の統計値を用いても良い。なお、上記統計値の算出方法は公知の方法であるため、詳細な説明は省略する。
【0061】
以上で、測定ミス判定処理に関して、中央値(Median)に代表される統計値を用いた第2の実施形態の説明を終了する。上記方法を用いて測定ミスの判定を行う大きな利点は以下の通りである。第1の実施形態では1行単位での測定ミスを判定する方法であったが、その方法では検出されない1行のパッチ測定中のいずれかの箇所でパッチと測定機が離れてしまったなどというケースにおける1パッチ単位での測定ミスを検知することが可能となる。
【0062】
<第3の実施形態>
第1の実施形態、第2の実施形態と組み合わせて測定ミスを高精度に検知する第3の実施形態について、図9を用いて説明する。
【0063】
ステップS901において、ステップS205と同様にパッチ測定値を取得する。
【0064】
ステップS902において、測定ミスが発生しているか否かの判定を第1の実施形態の方法にて行う。ここで、測定ミスが発生していると判定された場合には、ステップS901に戻り、同パッチの再測定を行う。一方、測定ミスが発生していないと判断された場合においては、ステップS903に進む。なお、第1の実施形態における詳細な測定ミス判定方法は前述のとおりである。
【0065】
ステップS903において、ステップS902で測定ミスが発生していなかった場合には、第2の測定ミス判定処理を行う。測定ミスが発生しているか否かの判定は第2の実施形態の方法にて行う。ここで、測定ミスが発生していると判定された場合には、ステップS901に戻り、同パッチの再測定を行う。一方、測定ミスが発生していないと判断された場合には、ステップS904に進む。なお、第2の実施形態における詳細な測定ミス判定方法は前述のとおりである。
【0066】
ステップS904において、全パッチの測定が終了しているか否かの判定を行う。ここで、全パッチの測定が終了していた場合には、ステップS905に進み、第3の測定ミス判定フローに進む。一方、全パッチの測定が終了していなかった場合には、ステップS209において、測定カウンタを1つ進め、ステップS901において次の行の測定に移行する。
【0067】
ステップS905において、全パッチの測定が終了した段階で、ステップS902及びS903でも検知できなかった測定ミスについて、最終的な測定ミス判定処理を行う。
【0068】
本実施形態における測定は、同じCMYKデータであり、印刷するメディア内の相異なる箇所に配置されているパッチを含んだチャートに対して行われる。同じ色特性のデータを有するパッチを、印刷するメディア内の相異なる箇所に配置している理由は、デバイスの面内むら等の不具合から1種類のパッチデータに対して1回の測定では、妥当なパッチ測定値が取得されない場合を考慮するためである。計2回の測定結果は、最終的には平均化された後、プロファイル作成データに使用される。
【0069】
全パッチの測定データをパッチ測定値格納部106より取得し(第2の測定値取得の一例)、同じCMYKデータの2枚のパッチを用いて、そのCMYKデータに対して1回目に測定した結果と2回目に測定した結果を比較する。測定ミスが発生していなかった場合は、デバイス変動分を除けば、ほぼ同じ値で測定されていることが予想される。しかし、どちらか一方が測定に失敗していた場合には、上記2種のデータ間の色差が大きくなることが予想される。
【0070】
そこで、1回目の測定結果と2回目の測定結果の差分を算出し、予め定められた閾値Cより大きいか否かの判定を全パッチについて行う。ここで、閾値Cより大きかった場合には、2回の測定中、どちらか一方が測定に失敗していると判断し、ステップS901に進む。一方、閾値Cより小さかった場合には、2回の測定において、どちらも妥当な測定ができたと判断し、測定ミス判定処理を終了する(第2の判定の一例)。
【0071】
但し、2回測定を行った場合に、どちらのパッチの測定中に測定ミスが発生したのか判断できないので、上記パッチデータが含まれている2箇所の計2パッチ、又は、計2行のみ、ステップS901において再測定を行うことになる。
【0072】
以上で第3の実施形態の説明を終了する。第1の実施形態においては、1行単位での測定ミスを検知し、第2の実施形態においては、1パッチ単位での測定ミスを検知する。また、第3の実施形態においては、上記2つの実施形態に加え、最終的に全パッチデータがそろった段階で、同じCMYKデータ同士を比較することで測定ミスが発生していないか最終チェックを行う。その結果、より高精度なパッチ測定ミスの検知を行うことが可能となる。
【0073】
また、本実施形態においては、同様のパッチが2回繰返して配置された場合において説明を行ったが、より高精度にパッチ測定値を取得したい場合においては、3回、4回と配置する回数を増やしても同様の処理が可能なものとする。もしくは、パッチの配置される回数が1回の場合には、ステップS905の処理において、比較に用いる他方のデータを、予め内部で保持されたターゲット測定値と比較するようにしても良い。上記ターゲット測定値は、ある条件下で理想的に測定されたパッチデータを指定する方法であっても良い。もしくは、前回のプロファイル作成時に測定した結果を用いれば、使用デバイスに関して、時間経過による色変動が発生したか否かの判断材料にすることも可能となる。そのような場合には、プリンタのキャリブレーション等を実施してプロファイル作成に適したデバイス状態に改めて調整し直した上で、パッチの再度印刷、測定を行い、プロファイルの再作成を行うことが望ましい。
【0074】
前述した実施形態の機能を実現するソフトウエアのプログラム(情報処理プログラム)コードを記録した記録媒体をシステム又は装置に供給するように構成されても良い。また、そのような構成において、そのシステム又は装置のコンピュータ(CPU又はMPU)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行するようにしても良い。本発明の目的は、そのような構成によっても達成される。その場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することとなり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0075】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVDなどを用いることができる。
【0076】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけではない。プログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現されるようにしても良い。
【0077】
更に、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれるようにしても良い。その場合、書きこまれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【符号の説明】
【0078】
301、302、303、304、305、307、308 表示
306、309、310 ボタン
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッチの色測定を行う情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータの普及に加え、周辺機器であるカラープリンタ、デジタルカメラ、デジタルビデオ、さらにはモニタやプロジェクタといった画像デジタル機器の普及が著しい。殊に、プリンタにおいては、プリンタ本体の高性能化に伴い、ユーザのカラーマッチングに対する要求レベルも高まっている。例えば、企業のポスタやカタログを印刷するといった商業印刷、また、一般ユーザがスナップ写真などを家庭で印刷するといった写真印刷など、印刷の用途も多岐に渡っている。その中でも商業印刷の場面においては、ポスタやカタログといった実際の印刷物が商品となるビジネスにおいては、より高精度なカラーマッチング技術が求められている。
【0003】
高精度なカラーマッチングを実現するためには、再現するデジタル機器の特性が安定している必要がある。また、理想的な色再現を実現するためICC(International Color Consortium)プロファイルに代表されるデータを用いて印刷を行うことも知られている。しかしながら、温度、湿度といった環境変動、又は、トナーや用紙の交換等のプロセス変動によって印刷特性が一定にならないといった問題がある。また、プリンタプロファイルにおいてはプリンタメーカなどから提供されるプロファイルを用いても、ターゲットとする色再現が個々のユーザによって異なるので、所望する色再現が得られないといった問題がある。そのような問題に対して、近年、各メーカよりユーザ自ら所望のプロファイルが作成可能となるプロファイル作成ツールが提供されている。
【0004】
プロファイル作成ツールを用いる際には、まず、ターゲットとする色空間ならびに再現する色空間を取得するために、実際にプリンタからカラーパッチを印刷し、そのカラーパッチを測定機を用いて測定する必要がある。現在、各測定機メーカより小型かつ高精度な測定機が多く提供されている。しかしながら、その測定方法は、カラーパッチを1個単位で測定したり、1行単位で測定したり、また、スキャナタイプの測定機においては、1枚単位で自動読み込みを行ったりと各測定機によって様々に異なっている。
【0005】
そのような測定機を用いた測定作業においては、ユーザを介した測定が行われる。従って、人為的な測定ミスが多く発生してしまう。例えば、1行単位で測定を行う測定機において、本来の測定行とは異なる行を誤測定してしまったり、誤操作により測定中に印刷物と測定機が離れてしまったり、測定開始位置を誤ってしまう場合がある。そのような場合に代表されるように、ユーザを介した測定においては、妥当な測定値が取得されないという測定ミスが発生してしまう頻度が非常に高い。
【0006】
また、それらの測定値を用いてプロファイルが作成されると、そのプロファイルの精度は著しく低下し、また、そのプロファイルを用いて印刷した結果は、想定からはるかに異なった結果となってしまう。以上に加えて、プロファイルを作成し、実際に印刷が終了するまで、測定に失敗したことをユーザが認識できないといった問題もある。
【0007】
そのような問題を解決する方法として、様々な技術が開発されている。特許文献1においては、1つのパッチ列について複数回の測定を行ってデータ数を確認し、想定していたデータ数に対して増減が発生した場合に、測定ミスが発生したと判断する。また、複数の測定データ同士を比較し、所定の閾値以上になった場合に、複数回の測定において測定ミスが発生したと判断する。また、特許文献2においては、パッチのターゲットデータを内部で保持し、測定データとの比較を行う。その結果がある閾値以上になったパッチに対して、測定ミスが発生したことをユーザに警告する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−61926号公報(段落0010)
【特許文献2】特開2002−94820号公報(段落0007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1においては、同一のパッチを複数回測定するので、ユーザの時間的コストが増大してしまい、実用性に欠ける。また、特許文献2においては、判定に用いる閾値を一意に定めることが難しく、検出精度が低い。例えば、閾値が小さいと、面内むらといった一紙面内でのデバイス変動やメディアの相違による色再現の違いなどの微妙な誤差にも敏感に反応してしまうので、正しく測定できたパッチに対してもエラー検出されてしまう。一方、閾値が大きいと、測定に失敗したパッチに対してエラー検出がされない場合が生じる。
【0010】
以上のような従来技術においては、1行単位で測定を行う測定機を用いた場合において、面内むらといった一紙面内に発生する測定値のばらつき等のデバイス変動要因や印刷を行うメディアの種類による測定値の違いを特に考慮していない。従って、1パッチ単位での誤差に敏感であるので、ロバスト性が低くなってしまう。
【0011】
従って、本発明は、プロファイル作成時等に必要となるカラーパッチの測定作業において測定ミスが発生した場合に、高精度に検知することができる情報処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る情報処理装置は、チャート上に配置された複数のパッチの色特性を測定する際の測定ミスの有無を判定する情報処理装置であって、複数のパッチの測定値を取得する測定値取得手段と、前記測定値取得手段によって取得された複数のパッチの測定値と予め定められた複数のパッチの基準値とをそれぞれ比較し、色差を取得する色差取得手段と、前記色差取得手段によって取得された色差の列の統計値を算出する統計値算出手段と、前記統計値算出手段によって算出された統計値と、前記色差取得手段によって取得された色差との差分を算出する差分算出手段と、前記差分算出手段によって算出された差分を用いて、パッチの測定ミスの有無を判定する判定手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、プロファイル作成時等に必要となるカラーパッチの測定作業において測定ミスが発生した場合に、高精度に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態における情報処理装置を含むシステム構成を示す図である。
【図2】カラーパッチ測定ミスの判定の処理の手順について示すフローチャートである。
【図3】プロファイル作成アプリケーションのユーザ設定画面の一例を示す図である。
【図4】警告を示すユーザインタフェースの一例を示す図である。
【図5】第1の実施形態における測定ミス判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】各パッチにおけるパッチデータ、ターゲット測定値、測定値、色差の対応を示す図である。
【図7】本実施形態におけるパッチの配置の一例を示す図である。
【図8】第2の実施形態における測定ミス判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】第3の実施形態における測定ミス判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】カラーパッチ測定の際の画面の一例を示す図である。
【図11】本発明に適用される情報処理装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
【0016】
<構成>
図1は、本実施形態における情報処理装置を含むシステム構成を示す図である。図1に示すように、本システムは、情報処理装置101、アプリケーション格納部102、パッチデータ格納部103、パッチターゲット測定値格納部104、閾値格納部105、パッチ測定値格納部106、プロファイル作成部107を含んでいる。また、本システムは、プロファイル格納部108、測定ミス判定情報格納部109、測定ミス判定部110、測定ミス警告部111、パーソナルコンピュータに直接接続されたモニタ112、測色機113を含んでいる。情報処理装置101としては、例えば、一般的なパーソナルコンピュータ(PC)が用いられる。
【0017】
図11は、本発明に適用される情報処理装置の構成を示す図である。CPU1101は、ROM1103に記憶された、あるいはハードディスク(HD)1112からRAM1102にロードされたOSや一般アプリケーション、本発明にかかるプログラムを実行する。RAM1102は、CPU1101の主メモリ、ワークエリア等として機能する。キーボードコントローラ(KBC)1105は、キーボード11110や不図示のポインティングデバイスからのキー入力を制御する。モニタコントローラ1106は、モニタ1111の表示を制御する。ディスクコントローラ(DKC)1107は、ブートプログラム、種々のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、電子原稿ファイル等を記憶するハードディスク(HD)1112等とのアクセスを制御する。プリンタコントローラ(PRTC)1108は、接続されたプリンタとの間の信号の交換を制御する。ネットワークコントローラ(NC)1109はネットワークに接続されて、ネットワークに接続された他の機器との通信制御処理を実行する。また、CPU1101は、システムバス1104を介して、以上の各部を制御する。
【0018】
上記構成における、カラーパッチ測定ミス判定方法に関して、以下に述べる。まず、アプリケーション格納部102に格納されたアプリケーションが、ユーザの指示を受けたOSプログラムに基づき、起動され、モニタ112に表示される。本実施形態では便宜上、アプリケーションの一例を示して説明を行うが、アプリケーションの形式は任意であってよいものとし、また、アプリケーションを介さず、予め設定されたファイルやパラメータ等の各項目がプログラム内に記述されていても良い。
【0019】
起動されたアプリケーション上で以下の操作が行われる。最初に、ユーザはこれから測定を行うパッチデータを指定する。指定されたパッチデータは、パッチデータ格納部103に格納される。いま、プロファイル作成に用いるパッチデータは、CMYKデータの1000パッチ分として説明を行う。
【0020】
次に、ユーザは、上記パッチデータに対するターゲット測定値(基準値ともいう)を指定する。ターゲット測定値は、予め規定されたものを内部で1種類又は複数種類保持している。もしくは、ユーザ所望のターゲットデータを外部から指定するようにしても良い。本実施形態におけるパッチのターゲット測定値として、ユーザ所望のメディアで印刷を行ない、妥当に測定されたパッチ測定値が用いられて良い。又は、一般的に用いられる印刷基準値がターゲット測定値として用いられても良い。上記方法より取得されたパッチのターゲット測定値はパッチターゲット測定値格納部104に格納される。
【0021】
続いて、ユーザは、測定ミスが発生したか否かの判定に用いる閾値を設定する。閾値は1種類又は判定のレベルに応じて内部で複数種類保持している。もしくは、ユーザ所望の閾値を外部から指定するようにしても良い。上記方法より取得された閾値は、閾値格納部105に格納される。
【0022】
ユーザによる設定の後、カラーパッチの測定を行う。アプリケーション上で測定したパッチデータもしくは予め測定されたパッチデータを取得し、パッチ測定値格納部106に格納する。次に、パッチデータ格納部、パッチターゲット測定値格納部、閾値格納部、パッチ測定値格納部に格納されたデータを用いて測定ミスが発生したか否かの判定に用いる情報を作成し、測定ミス判定情報格納部109に格納する。実際に測定ミスが発生したか否かの判定は測定ミス判定部110で行う。また、ユーザによって、判定を行うか否かを選択することができる。
【0023】
判定の結果、測定ミスが発生したと判定された場合には、測定ミス警告部111よりユーザに警告が表示される。警告が表示された場合に、ユーザは測定に失敗した箇所のみ再測定を行う。再測定を行うのは必要最低限のパッチ数とし、パッチ1個もしくは1行単位のパッチ数とする。再測定が行われた場合には、パッチ測定値格納部106に格納されたパッチ測定値が上書きされ、測定ミス判定部110において、上述と同様の方法によって測定ミスの判定が再び行われる。一方、判定の結果、全測定データに対して測定ミスが発生していないと判断された場合には、上記のパッチ測定値を用いてプロファイル作成部107においてプリンタプロファイルが作成され、プロファイル格納部108に格納される。
【0024】
以下、カラーパッチ測定ミス判定について、図2、図3、及び、図10を用いて詳細に説明する。図2は、カラーパッチ測定ミスの判定の処理の手順について示すフローチャートである。また、図3は、プロファイル作成アプリケーションのユーザ設定画面の一例を示す図である。また、図10は、カラーパッチ測定の際の画面の一例を示す図である。なお、上述したようにアプリケーションはあくまでも本実施形態を説明するための便宜的なものであり、実施形態の一例である。
【0025】
まず、図2に示すステップS201において、アプリケーション格納部102に記憶されたプロファイル作成アプリケーションが起動する。アプリケーションが起動すると、モニタ112に図3に示す画面が表示される。
【0026】
ステップS202において、ユーザは、これからプロファイル作成を行う際に印刷するカラーパッチデータを図3に示す表示301に指定する。本実施形態において、指定されたパッチデータは、CMYKデータで1000パッチ分であり、パッチデータ格納部103に格納される。
【0027】
ステップS203において、ユーザは、ステップS202で指定されたパッチデータに対するターゲット測定値を表示303に指定する。もしくは、表示302においてメディアの種類を選択することによってターゲット測定値を指定しても良い。その場合に、予めメディアの種類とターゲット測定値とが対応付けられている。ここで、メディアの種類ではなく、プリンタ機種やインク特性等に対応付けられて、ターゲット測定値を複数、内部で保持していても良い。あるいは、JapanColor、JMPAといった一般的に用いられている印刷業界の基準値を一意に定めて、ターゲット測定値として設定されてもよい。
【0028】
以下、ターゲット測定値として、表示302において「普通紙」が選択されたとする。その場合には、普通紙にステップS202において指定されたCMYKデータから構成されたパッチが配置されて印刷され、そのパッチに対して妥当に測定が行われた際の測定値をターゲット測定値として設定される。
【0029】
パッチ測定値は、パッチデータのCMYKに対応する「L*a*b*」データとして説明する。ターゲット測定値は「L*a*b*」だけでなく、Lch、XYZ、Jch等、デバイスの色特性を表記可能な値であれば良い。上記の方法によって取得されたターゲット測定値は、パッチターゲット測定値格納部104に格納される。
【0030】
ステップS204において、ユーザは、測定ミスが発生したか否かの判定に用いられる閾値を設定する。表示304に示すように、判定レベルの高低によって、それぞれ閾値が内部で対応づけられ、選択できるように構成されている。もしくは、表示305において任意の閾値が記述されたファイルを読み込むように構成しても良い。閾値に関する具体的な説明は後述する。上記の方法によって取得された閾値情報は、閾値格納部105に格納される。
【0031】
ステップS205において、情報処理装置101は、プリンタから出力され測定されたカラーパッチの測定値を取得する。ここで、図3に示すボタン306が押下されると、図10に示すウィンドウが起ち上がり、測色機113と情報処理装置101間で通信が開始され、カラーパッチの測定制御が可能となる。もしくは予め測定されたカラーパッチ測定値を表示307から読み込むように構成しても良い。本実施形態で用いられる測色機113は、ユーザの操作によって1行単位で繰返し測定を行うハンディタイプの測定機(又は、側色機ともいう)を想定し説明する。しかしながら、測定機は上記形態に限られず、1行単位で測定値の取得が可能な機種であれば、自動測定タイプ等、機種は問わないものとする。上記の方法にて取得されたパッチの測定値は、パッチ測定値格納部106に格納される。
【0032】
ステップS206において、カラーパッチの測定値を取得する過程において測定ミスが発生したか否かの判定が、測定ミス判定情報格納部109に格納された情報を用いて測定ミス判定部110において行われる。ここで、測定ミスが発生していた場合に、ステップS207に進む。一方、測定ミスが発生していなかった場合に、ステップS208に進む。測定ミス判定方法に関する詳細な説明は後述する。以下、測定ミスの判定方法に関する説明を行う。また、判定を行うか否かは、ユーザによって表示308の指定により切り替えることができる。表示308でパッチ測定ミス判定機能をOFFに設定した場合には、表示302〜305が選択不可となる。
【0033】
ステップS207において、ステップS206において測定ミスが発生したと判定されたパッチに対して、ユーザによって再測定を行うか否かが判断される。測定ミスの判定は、所定の単位で測定が終了した時点で行われる。例えば、パッチの再測定は、必要最小限のパッチ個数に対して行われるものとする。本実施形態では、1行単位で測定を行うため、1行の測定中に測定ミスが発生した1パッチ毎もしくは1行すべてのパッチの再測定を行うものとする。図4の(a)のウィンドウを測定ミス警告部111によってモニタ112に表示し、再測定を行うか否かがユーザにより決定される。図4の(a)のウィンドウ上で「はい」が選択され、再測定を行うと決定された場合には、図4の(a)に示す測定方法が選択された後に、ステップS205に進み、同パッチの再測定を行う。
【0034】
一方、図4の(a)で「いいえ」が選択され、再測定を行わないと決定された場合には、ユーザに図4の(b)に示すウィンドウを測定ミス警告部111によってモニタ112に表示し、アプリケーションを終了する。なお、上記の説明においては、ユーザの意志によりパッチの再測定を行うか否かの判断をさせるウィンドウ表示を用いている。本実施形態においては、測定ミスが発生した回数をプログラム内でカウントし、そのカウント数が、所定の回数以下の場合に自動的に再測定フローに進むようにしても良い。反対に、所定の回数以上測定ミスが発生したと判断された場合には、ユーザの人為的な測定ミスが原因ではなく、何らかのデバイス不具合によるパッチの印字ミス等が原因と判断し、測定フローを終了するようにしても良い。
【0035】
ステップS208において、全パッチの測定が終了したか否かの判定を行う。全パッチの測定が終了していた場合は、ステップS210へ進む。全パッチの測定が終了していなかった場合は、ステップS209へ進む。
【0036】
ステップS209において、測定カウンタを1つ進める。本実施形態では、測定カウンタを「行」単位として説明を行う。よって、測定カウンタが1つ進むと、ステップS205において、次の行の測定値取得フローに進む。
【0037】
ステップS210において、ステップS208までの処理を経て取得された妥当な測定値を用いて、ボタン309を押下することによって、プロファイル作成部107においてプロファイルの作成が行われる。作成されたプロファイルは、プロファイル格納部108に格納される。プロファイル作成に関して、プロファイル形式や作成方法は、任意の形式、方法で良いので詳細な説明は省略する。本実施形態において、プロファイルは、例えば、パッチデータ格納部103に格納されたCMYKデータ、及び、パッチ測定値格納部106に格納されたパッチ測定値が対応しており、順に列挙された形式にて記述され保存される。
【0038】
ステップS211において、ボタン310を押下することによって、カラーパッチ測定ミス判定処理、及び、プロファイル作成フローを終了する。
【0039】
<第1の実施形態>
以下、図2に示すステップS206の測定ミス判定方法に関する第1の実施形態を図5及び図6を参照しながら説明する。図5は、本発明に係る第1の実施形態における測定ミス判定処理の手順を示すフローチャートである。また、図6は、各パッチにおけるパッチデータ、ターゲット測定値、測定値、色差の対応を示す図である。
【0040】
本実施形態において、プロファイル作成に必要なパッチ数は便宜上1000パッチおよびフォーマットはCMYKデータとして説明を行う。また、1枚のメディア内には、図7に示すように、カラーチャート上に25行、20列の計500個のパッチが配置されており、2枚のメディアで、色測定を行うカラーチャートとされている。また、本実施形態において、測定ミスの判定処理は、ユーザによる1行単位の測定が終了した時点で、リアルタイムに行うとする。
【0041】
まず、図5に示すステップS501において、パッチデータ格納部103に格納されたパッチデータ、パッチターゲット測定値格納部104に格納されたターゲット測定値およびパッチ測定値格納部106に格納された測定値を用いる。それらのデータを用いて、各パッチデータに対するターゲット測定値と実際の測定値間の色差を算出する。ユーザ作業によるパッチ1行分の測定が終了すると、その時点でパッチ測定値格納部106には1行分、計20個のパッチ測定値が格納される。上記の測定値を用いて、各パッチについて色差の算出を行う。
【0042】
パッチターゲット測定値格納部104に格納されたターゲット測定値とパッチ測定値格納部106に格納された実測値との色差を算出する。算出方法は、1パッチ目のターゲット測定値を「Lt1*at1*bt1*」、実測値を「Lm1*am1*bm1*」とすると、色差ΔE1は、式(1)によって求められる(色差取得の一例)。
ΔE1=((Lt1*−Lm1*)2+(at1*−am1*)2+(bt1*−bm1*)2)1/2・・・(1)
同様の手順によって、各パッチの色差を1行分、計20個算出する。算出された情報は図6に示す形式で、測定ミス判定情報格納部109に格納される。
【0043】
ステップS502において、ステップS501で算出された1行分のパッチの色差の累積を算出する。本実施形態において、1行分のパッチは計20個なので、1行目の累積色差R1は、式(2)によって求められる。
R1= ΔE1+ΔE2+・・・+ΔE20 ・・・(2)
算出された累積色差R1は、測定ミス判定情報格納部109に格納される。
【0044】
ステップS503において、ステップS502で算出された累積色差がある閾値Aより大きいか否かを判定する。上記閾値は、ユーザの測定ミスに対する判定要求レベルに応じて、任意に決定することができる。本実施形態において、上記のユーザの要求レベルは、表示304において指定することができる。図3に示すように、要求レベルは、「高い」「普通」「低い」の3種類から選択される。上記の設定値には、予め関連付けられた閾値が閾値格納部105に格納されている。
【0045】
測定ミスを高精度に検知したい場合には、表示304において「高い」が選択される。その設定により、1パッチ毎の平均色差許容値をΔE=1に設定されたとする。すると、1行分の累積色差は「1×20=20」となる。よって、「高い」に設定された閾値Aは20となる。
【0046】
同様に、「標準」が選択された場合には、デバイス変動や面内むらといったデバイス変動も考慮し、標準的な色差として1パッチ毎の平均色差許容値をΔE=3に設定されたとする。すると、1行分の累積色差は「3×20=60」となる。よって、「標準」に設定された閾値Aは60となる。
【0047】
上記2種の設定と異なり、測定ミスが検知されることをあまり考慮しない場合には、「低い」が選択される。その設定により、1パッチ毎の平均色差許容値をΔE=5とかなり大きめに設定されたとする。すると、1行分の累積色差は「5×20=100」となる。よって、「低い」に設定された閾値Aは100となる。
【0048】
また、予め定められた閾値以外にも、ユーザが任意の閾値を設定することができる。表示304で「その他」が選択されると、表示305が表示され、任意の閾値設定ファイルが指定可能となる。
【0049】
以上のいずれかの方法において定められた閾値を用いて、測定ミスの判定を行う。1行分の累積色差が閾値Aを超えた場合は、何らかの原因で測定ミスが発生したと判断し、ステップS504に進む。1行分の累積色差が閾値Aを超えなかった場合(即ち、閾値以下)、測定ミスは発生していないと判断し、ステップS505に進む。
【0050】
ステップS504において、測定ミスが発生したと判定された場合に、ステップS207に進む。再測定を行うか否かユーザが判断した後、再測定を行うと決定された場合には、測定ミスが発生したパッチを1個もしくは1行単位で再度測定する。その後の処理については、上述したとおりである。
【0051】
ステップS505において、測定ミスが発生していなかったと判定された場合に、ステップS208に進む。全パッチの測定が終了していなかった場合は、測定が終了した次の行の測定に進む。全パッチの測定が終了するまで、全パッチ行数分の測定作業と測定ミス判定が繰り返される。累積色差R1からR50と計50行分について、各行の測定が終了した時点で算出されて測定ミス判定に用いられる。その後の説明は上述したとおりである。
【0052】
以上で、測定ミス判定処理に関して、累積色差を用いた第1の実施形態の説明を終了する。第1の実施形態においては、1パッチ毎に閾値を決めて判定する方法に比べて、1行内にターゲットとの色差が大きい箇所と小さい箇所があった場合でも互いにキャンセルされた上で、測定ミスの有無の判定が行われる。そのため、累積色差を用いて測定ミスの判定を行った場合には、面内むら等のデバイス変動による1パッチ毎の変動要因に対してロバスト性が高くなる。
【0053】
<第2の実施形態>
以下では、ステップS206の測定ミス判定方法に関する第2の実施形態を図8のフローチャートを用いて行う。
【0054】
ステップS801において、第1の実施形態と同様に各パッチデータに対するターゲット測定値と実測値との色差を算出する。算出された1行分の色差情報は、図6に示す形式で、測定ミス判定情報格納部109に格納される。
【0055】
次に、ステップS802において、ステップS801で算出された1行分の色差の中央値(Median)を算出する。中央値とは、ある所定の数のデータをソートしたときに、中央に位置する値のことをいう。ここで、1行分のパッチ個数を20個として説明を行う。1行20個分のターゲット測定値と実測値との色差が、それぞれ1パッチ目から順番に20パッチ目まで、{3,3,3,4,4,10,2,3,3,3,4,2,1,3,4、2,1,1,3,4}であるとする。上記のデータを小さい順にソートすると{1,1,1,2,2,2,3,3,3,3,3,3,3,3,4,4,4,4,4,10}となる。ここで、データ個数が偶数であるので、中央に位置する2つの数値の平均が中央値となる。つまり、上記データ列に対する中央値は、「(3+3)/2=3」となる(中央値算出の一例)。
【0056】
ステップS803において、ステップS802で算出された1行のデータ列に対する中央値と各パッチ色差との差分を算出する。現在、1行の各ターゲットと実測値の色差がそれぞれ1パッチ目から順番に20パッチ目まで{3,3,3,4,4,10,2,3,3,3,4,2,1,3,4、2,1,1,3,4}であるとする。その場合、ステップS802で算出した中央値(即ち、3)と上記各パッチ色差の差の絶対値は、それぞれ{0,0,0,1,1,7,1,0,0,0,1,1,2,0,1,1,2,2,0,1}となる(差分算出の一例)。
【0057】
ステップS804において、ステップS803で算出された各パッチ色差と中央値との差分結果から測定ミスが発生しているか否かの判定を行う。ここで、閾値Bが5と設定されていたとする。閾値の決定方法は、第1の実施形態と同様に、ユーザのミス検知要求レベルに関連付けられた値もしくは任意に設定可能なものとする。ステップS803で算出された下記1パッチ目から順番に20パッチ目までのパッチ色差と中央値との差の絶対値{0,0,0,1,1,7,1,0,0,0,1,1,2,0,1,1,2,2,0,1}を用いて説明する。その場合、閾値B(即ち、5)を越えている箇所は、差が7と出ている6パッチ目となる。よって、6パッチ目は他のパッチと異なり、何らかのユーザ操作不具合により測定ミスが発生したと判断され、ステップS805に進む。一方、閾値Bを超えている箇所がなかった場合は、測定ミスが発生しなかったと判断されて、ステップS806に進む。
【0058】
ステップS805において、測定ミスが発生した場合であるので、図2に示すステップS207に進む。ここで、再測定を行うか否かをユーザが判断し、再測定を行うと決定された場合には、測定ミスが発生したパッチを1個もしくは1行単位で再度測定することになる。その後の処理に関しては上述したとおりである。
【0059】
ステップS806において、測定ミスが発生していなかった場合であるので、図2に示すステップS208に進む。全パッチの測定が終了していなかった場合は、測定が終了した行から次の行の測定へと進む。全パッチの測定が終了するまで、全パッチ行数分の測定作業、測定ミス判定が繰り返される。その後の説明は上述したとおりであるため、省略する。
【0060】
なお、本実施形態においては、判定に使用する値として中央値(Median)を用いたが、その他、統計値に代表される、平均値、分散、標準偏差、最頻値(Mode)など任意の統計値を用いても良い。なお、上記統計値の算出方法は公知の方法であるため、詳細な説明は省略する。
【0061】
以上で、測定ミス判定処理に関して、中央値(Median)に代表される統計値を用いた第2の実施形態の説明を終了する。上記方法を用いて測定ミスの判定を行う大きな利点は以下の通りである。第1の実施形態では1行単位での測定ミスを判定する方法であったが、その方法では検出されない1行のパッチ測定中のいずれかの箇所でパッチと測定機が離れてしまったなどというケースにおける1パッチ単位での測定ミスを検知することが可能となる。
【0062】
<第3の実施形態>
第1の実施形態、第2の実施形態と組み合わせて測定ミスを高精度に検知する第3の実施形態について、図9を用いて説明する。
【0063】
ステップS901において、ステップS205と同様にパッチ測定値を取得する。
【0064】
ステップS902において、測定ミスが発生しているか否かの判定を第1の実施形態の方法にて行う。ここで、測定ミスが発生していると判定された場合には、ステップS901に戻り、同パッチの再測定を行う。一方、測定ミスが発生していないと判断された場合においては、ステップS903に進む。なお、第1の実施形態における詳細な測定ミス判定方法は前述のとおりである。
【0065】
ステップS903において、ステップS902で測定ミスが発生していなかった場合には、第2の測定ミス判定処理を行う。測定ミスが発生しているか否かの判定は第2の実施形態の方法にて行う。ここで、測定ミスが発生していると判定された場合には、ステップS901に戻り、同パッチの再測定を行う。一方、測定ミスが発生していないと判断された場合には、ステップS904に進む。なお、第2の実施形態における詳細な測定ミス判定方法は前述のとおりである。
【0066】
ステップS904において、全パッチの測定が終了しているか否かの判定を行う。ここで、全パッチの測定が終了していた場合には、ステップS905に進み、第3の測定ミス判定フローに進む。一方、全パッチの測定が終了していなかった場合には、ステップS209において、測定カウンタを1つ進め、ステップS901において次の行の測定に移行する。
【0067】
ステップS905において、全パッチの測定が終了した段階で、ステップS902及びS903でも検知できなかった測定ミスについて、最終的な測定ミス判定処理を行う。
【0068】
本実施形態における測定は、同じCMYKデータであり、印刷するメディア内の相異なる箇所に配置されているパッチを含んだチャートに対して行われる。同じ色特性のデータを有するパッチを、印刷するメディア内の相異なる箇所に配置している理由は、デバイスの面内むら等の不具合から1種類のパッチデータに対して1回の測定では、妥当なパッチ測定値が取得されない場合を考慮するためである。計2回の測定結果は、最終的には平均化された後、プロファイル作成データに使用される。
【0069】
全パッチの測定データをパッチ測定値格納部106より取得し(第2の測定値取得の一例)、同じCMYKデータの2枚のパッチを用いて、そのCMYKデータに対して1回目に測定した結果と2回目に測定した結果を比較する。測定ミスが発生していなかった場合は、デバイス変動分を除けば、ほぼ同じ値で測定されていることが予想される。しかし、どちらか一方が測定に失敗していた場合には、上記2種のデータ間の色差が大きくなることが予想される。
【0070】
そこで、1回目の測定結果と2回目の測定結果の差分を算出し、予め定められた閾値Cより大きいか否かの判定を全パッチについて行う。ここで、閾値Cより大きかった場合には、2回の測定中、どちらか一方が測定に失敗していると判断し、ステップS901に進む。一方、閾値Cより小さかった場合には、2回の測定において、どちらも妥当な測定ができたと判断し、測定ミス判定処理を終了する(第2の判定の一例)。
【0071】
但し、2回測定を行った場合に、どちらのパッチの測定中に測定ミスが発生したのか判断できないので、上記パッチデータが含まれている2箇所の計2パッチ、又は、計2行のみ、ステップS901において再測定を行うことになる。
【0072】
以上で第3の実施形態の説明を終了する。第1の実施形態においては、1行単位での測定ミスを検知し、第2の実施形態においては、1パッチ単位での測定ミスを検知する。また、第3の実施形態においては、上記2つの実施形態に加え、最終的に全パッチデータがそろった段階で、同じCMYKデータ同士を比較することで測定ミスが発生していないか最終チェックを行う。その結果、より高精度なパッチ測定ミスの検知を行うことが可能となる。
【0073】
また、本実施形態においては、同様のパッチが2回繰返して配置された場合において説明を行ったが、より高精度にパッチ測定値を取得したい場合においては、3回、4回と配置する回数を増やしても同様の処理が可能なものとする。もしくは、パッチの配置される回数が1回の場合には、ステップS905の処理において、比較に用いる他方のデータを、予め内部で保持されたターゲット測定値と比較するようにしても良い。上記ターゲット測定値は、ある条件下で理想的に測定されたパッチデータを指定する方法であっても良い。もしくは、前回のプロファイル作成時に測定した結果を用いれば、使用デバイスに関して、時間経過による色変動が発生したか否かの判断材料にすることも可能となる。そのような場合には、プリンタのキャリブレーション等を実施してプロファイル作成に適したデバイス状態に改めて調整し直した上で、パッチの再度印刷、測定を行い、プロファイルの再作成を行うことが望ましい。
【0074】
前述した実施形態の機能を実現するソフトウエアのプログラム(情報処理プログラム)コードを記録した記録媒体をシステム又は装置に供給するように構成されても良い。また、そのような構成において、そのシステム又は装置のコンピュータ(CPU又はMPU)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行するようにしても良い。本発明の目的は、そのような構成によっても達成される。その場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することとなり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0075】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVDなどを用いることができる。
【0076】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけではない。プログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現されるようにしても良い。
【0077】
更に、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれるようにしても良い。その場合、書きこまれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【符号の説明】
【0078】
301、302、303、304、305、307、308 表示
306、309、310 ボタン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャート上に配置された複数のパッチの色特性を測定する際の測定ミスの有無を判定する情報処理装置であって、
複数のパッチの測定値を取得する測定値取得手段と、
前記測定値取得手段によって取得された複数のパッチの測定値と予め定められた複数のパッチの基準値とをそれぞれ比較し、色差を取得する色差取得手段と、
前記色差取得手段によって取得された色差の列の統計値を算出する統計値算出手段と、
前記統計値算出手段によって算出された統計値と、前記色差取得手段によって取得された色差との差分を算出する差分算出手段と、
前記差分算出手段によって算出された差分を用いて、パッチの測定ミスの有無を判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記差分と予め定められた閾値とを比較し、前記差分が閾値を超えている場合に、前記差分が算出されたパッチにおいて測定ミスが有ると判定し、一方、前記差分が閾値以下である場合に、前記差分が算出されたパッチにおいて測定ミスがないと判定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記チャート上の相異なる位置に配置された同一の色特性を有するパッチの測定値を取得する第2の測定値取得手段と、
前記第2の測定値取得手段によって取得された測定値を用いてパッチの測定ミスの有無を判定する第2の判定手段とを更に備え、
前記判定手段が、前記色差取得手段によって取得された色差を累積した累積色差と予め定められた閾値とを比較した結果、前記累積色差が閾値以下であり、パッチの測定ミスがないと判定した後、
前記色差取得手段によって取得された色差の列の統計値と前記色差との差分を算出し、前記差分と予め定められた閾値とを比較した結果、前記差分が閾値以下であり、前記差分が算出されたパッチにおいて測定ミスがないと判定した場合に、
前記第2の判定手段は、前記第2の測定値取得手段によって取得された測定値の差分を算出し、算出された差分を予め定められた閾値と比較し、前記差分が閾値を超えている場合に、前記差分が算出された同一の色特性を有するパッチにおいて測定ミスが有ると判定し、一方、前記差分が閾値以下である場合に、前記差分が算出された同一の色特性を有するパッチにおいて測定ミスがないと判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記統計値は、中央値であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
チャート上に配置された複数のパッチの色特性を測定する際の測定ミスの有無を判定する情報処理装置において実行される情報処理方法であって、
前記情報処理装置の測定値取得手段が、複数のパッチの測定値を取得する測定値取得工程と、
前記情報処理装置の色差取得手段が、前記測定値取得工程において取得された複数のパッチの測定値と予め定められた複数のパッチの基準値とをそれぞれ比較し、色差を取得する色差取得工程と、
前記情報処理装置の統計値算出手段が、前記色差取得工程において取得された色差の列の統計値を算出する統計値算出工程と、
前記情報処理装置の差分算出手段が、前記統計値算出工程において算出された統計値と、前記色差取得工程において取得された色差との差分を算出する差分算出工程と、
前記情報処理装置の判定手段が、前記差分算出工程において算出された差分を用いて、パッチの測定ミスの有無を判定する判定工程と、
を有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
チャート上に配置された複数のパッチの色特性を測定する際の測定ミスの有無を判定するための情報処理プログラムであって、
複数のパッチの測定値を取得する測定値取得手段と、
前記測定値取得手段によって取得された複数のパッチの測定値と予め定められた複数のパッチの基準値とをそれぞれ比較し、色差を取得する色差取得手段と、
前記色差取得手段によって取得された色差の列の統計値を算出する統計値算出手段と、
前記統計値算出手段によって算出された統計値と、前記色差取得手段によって取得された色差との差分を算出する差分算出手段と、
前記差分算出手段によって算出された差分を用いて、パッチの測定ミスの有無を判定する判定手段と、
してコンピュータを機能させることを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項1】
チャート上に配置された複数のパッチの色特性を測定する際の測定ミスの有無を判定する情報処理装置であって、
複数のパッチの測定値を取得する測定値取得手段と、
前記測定値取得手段によって取得された複数のパッチの測定値と予め定められた複数のパッチの基準値とをそれぞれ比較し、色差を取得する色差取得手段と、
前記色差取得手段によって取得された色差の列の統計値を算出する統計値算出手段と、
前記統計値算出手段によって算出された統計値と、前記色差取得手段によって取得された色差との差分を算出する差分算出手段と、
前記差分算出手段によって算出された差分を用いて、パッチの測定ミスの有無を判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記差分と予め定められた閾値とを比較し、前記差分が閾値を超えている場合に、前記差分が算出されたパッチにおいて測定ミスが有ると判定し、一方、前記差分が閾値以下である場合に、前記差分が算出されたパッチにおいて測定ミスがないと判定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記チャート上の相異なる位置に配置された同一の色特性を有するパッチの測定値を取得する第2の測定値取得手段と、
前記第2の測定値取得手段によって取得された測定値を用いてパッチの測定ミスの有無を判定する第2の判定手段とを更に備え、
前記判定手段が、前記色差取得手段によって取得された色差を累積した累積色差と予め定められた閾値とを比較した結果、前記累積色差が閾値以下であり、パッチの測定ミスがないと判定した後、
前記色差取得手段によって取得された色差の列の統計値と前記色差との差分を算出し、前記差分と予め定められた閾値とを比較した結果、前記差分が閾値以下であり、前記差分が算出されたパッチにおいて測定ミスがないと判定した場合に、
前記第2の判定手段は、前記第2の測定値取得手段によって取得された測定値の差分を算出し、算出された差分を予め定められた閾値と比較し、前記差分が閾値を超えている場合に、前記差分が算出された同一の色特性を有するパッチにおいて測定ミスが有ると判定し、一方、前記差分が閾値以下である場合に、前記差分が算出された同一の色特性を有するパッチにおいて測定ミスがないと判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記統計値は、中央値であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
チャート上に配置された複数のパッチの色特性を測定する際の測定ミスの有無を判定する情報処理装置において実行される情報処理方法であって、
前記情報処理装置の測定値取得手段が、複数のパッチの測定値を取得する測定値取得工程と、
前記情報処理装置の色差取得手段が、前記測定値取得工程において取得された複数のパッチの測定値と予め定められた複数のパッチの基準値とをそれぞれ比較し、色差を取得する色差取得工程と、
前記情報処理装置の統計値算出手段が、前記色差取得工程において取得された色差の列の統計値を算出する統計値算出工程と、
前記情報処理装置の差分算出手段が、前記統計値算出工程において算出された統計値と、前記色差取得工程において取得された色差との差分を算出する差分算出工程と、
前記情報処理装置の判定手段が、前記差分算出工程において算出された差分を用いて、パッチの測定ミスの有無を判定する判定工程と、
を有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
チャート上に配置された複数のパッチの色特性を測定する際の測定ミスの有無を判定するための情報処理プログラムであって、
複数のパッチの測定値を取得する測定値取得手段と、
前記測定値取得手段によって取得された複数のパッチの測定値と予め定められた複数のパッチの基準値とをそれぞれ比較し、色差を取得する色差取得手段と、
前記色差取得手段によって取得された色差の列の統計値を算出する統計値算出手段と、
前記統計値算出手段によって算出された統計値と、前記色差取得手段によって取得された色差との差分を算出する差分算出手段と、
前記差分算出手段によって算出された差分を用いて、パッチの測定ミスの有無を判定する判定手段と、
してコンピュータを機能させることを特徴とする情報処理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−57667(P2013−57667A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−207513(P2012−207513)
【出願日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【分割の表示】特願2008−140036(P2008−140036)の分割
【原出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【分割の表示】特願2008−140036(P2008−140036)の分割
【原出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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