情報処理装置、方法およびプログラム
【課題】本発明は、VDP文書でオブジェクト同士が重なる部分に対して、レイアウトを変更せずにユーザの所望の見えを提供することを課題とする。
【解決手段】VDP文書を作成及び編集する情報処理装置において、固定領域および可変領域のオブジェクトの重なり方の組み合わせ情報を取得し、オブジェクトの重なり方の組み合わせごとに、適したソフトマスクを重なり部分に設定する。また、PPMLデータ作成・編集時に、重なり部分に対して前記設定したソフトマスクを作成し、前記ソフトマスクを適用する記述を追加する。
【解決手段】VDP文書を作成及び編集する情報処理装置において、固定領域および可変領域のオブジェクトの重なり方の組み合わせ情報を取得し、オブジェクトの重なり方の組み合わせごとに、適したソフトマスクを重なり部分に設定する。また、PPMLデータ作成・編集時に、重なり部分に対して前記設定したソフトマスクを作成し、前記ソフトマスクを適用する記述を追加する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テキストやイメージで構成されたドキュメントの生成および編集に関し、特に、バリアブルデータ印刷文書の生成および編集に関する。
【背景技術】
【0002】
プリントオンデマンド(Print On Demand、以下「POD」と表記する)は、デジタル複写機やデジタル複合機等のデジタル画像形成装置を最大限に活用した、デジタル印刷技術である。PODのメリットとして、小ロット印刷、短納期に有利であることや、顧客ごとにカスタマイズした印刷を実現するバリアブルデータ印刷(Variable Data Print、以下「VDP」と表記する)が可能であることが挙げられる。VDPを実現するための印刷システムを一般的にVDPシステムと呼ぶ。また、VDPシステムにおける印刷データを一般的にVDPデータと呼び、VDPデータを生成する元となる文書をVDP文書と呼ぶ。
【0003】
VDPで使用するVDPデータでは、固定部分と可変部分を分け、可変部分のデータをRDB(Relational Database)やCSV(Comma Separated Values)ファイルなどのデータベースデータから供給する。以下、データベースデータを「DBデータ」と表記する。また、以降、可変部分を「可変領域」、固定部分を「固定領域」と呼ぶ。ここで、DBデータは、例えば、顧客の姓名、性別、住所などの文字列情報、年齢などの数値情報、等の各種情報を持つ。
【0004】
VDP文書の作成は、VDP文書の編集機能を持つVDPアプリケーションで行う。VDPアプリケーションは、可変領域や固定領域の位置やレイアウトを指定するためのユーザインタフェースを有する。また、VDPアプリケーションは、DBデータの情報に基づいて各可変領域に印刷するオブジェクトを決定するための条件等を指定するためのユーザインタフェースを有する。オブジェクトとは、テキストやイメージなど印刷文書を構成するオブジェクトであり、以降、テキスト、イメージなどの、オブジェクトの属性の種類をオブジェクト種別と呼ぶ。また、イメージはグラフィックを含むものとする。オブジェクトは、例えば、幅や高さといった大きさに関する情報や、当該オブジェクトの色に関する情報などを有する。
【0005】
さらに、VDPアプリケーションは、指定事項に基づいて、VDPデータを生成する機能を有する。VDPデータの多くは、VDP用の構造化PDL(Structured Page Description Language)を使って記述される。構造化PDLとは、PDLのドキュメント構造が、マークアップ言語を用いて表現されているPDLのことである。構造化PDLは、例えばXML(Extensible Markup Language)をベースとしたマークアップ言語で記述される。PPML(Personalized Print Markup Language)は、VDP印刷を効率的に行うためのVDP言語フォーマットの一つである。PPMLはXML形式をベースとした階層構造となっている。PPMLは、VDPアプリケーションから印刷ジョブとして出力される。以下、PPMLで記述されるVDPの印刷ジョブを「PPMLデータ」と呼ぶ。
【0006】
一般的に、VDPアプリケーションでは、可変領域と固定領域の位置やレイアウトは、ユーザによるフレームの配置によって指定される。また、フレームを配置する際、テキストやイメージなどのオブジェクト種別も一緒に指定される。このとき、顧客毎にカスタマイズされる可変領域のオブジェクトのサイズは全て同じサイズとは限らない。そのため、実際に可変領域にオブジェクトを配置して描画した際に、可変領域のオブジェクトが近傍のオブジェクトと一部または全部重なって、可変領域のオブジェクトや近傍のオブジェクトの重なり部分が見えにくくなるといった問題が発生し得る。また、背景のようにフレームと最初から重なるように配置されているオブジェクトがある場合にも、可変領域にオブジェクトを配置して描画した際、可変領域が見えにくくなる問題が発生する。以降、先に描画されるオブジェクトを「背面」、後に描画されるオブジェクトを「前面」と呼ぶ。
【0007】
重なり部分の見えの問題は、オブジェクト種別の組み合わせと、オブジェクトが持つ透明度およびフレームの背景色の有無によって現象が異なる。たとえば、重なり部分のオブジェクト種別の組み合わせが、背面がテキストで前面がイメージであるとき、イメージが完全に不透明である場合は、テキストは完全に見えなくなり、イメージが透明度を持つ場合は、テキストは透過して見える。また、背面がイメージで、前面がテキストであるとき、テキストのフレームが背景色を持つ場合は、イメージは完全に見えなくなり、フレームが背景色を持たない場合は、イメージはテキストと重なる部分以外は完全に見える。しかし、このときイメージの濃度などによってはテキストが見えにくくなる可能性がある。背面も前面もテキストである場合、前面のテキストのフレームが背景色を持つ場合は、背面のテキストは完全に見えなくなる。一方、背景色を持たない場合は、背面のテキストは前面のテキストと重なる部分以外は完全に見える。しかし、このとき背面と前面のテキストが重なって見えにくくなる可能性がある。背面も前面もイメージである場合、前面のイメージが透明度を持つ場合は、背面のイメージは透過して見え、前面のイメージが完全不透明の場合は、背面のイメージは完全に見えない。以降、透明度の有無およびフレームの背景色の有無を「透明度情報」と呼ぶ。
【0008】
従来技術としては、特許文献1のように、ドキュメントテンプレート上に配置されるフレームが重なることのないように、予め重なりを防止するためのリンクを枠同士に設定するという技術が存在する。リンク付けされたフレーム同士が重ならないように、可変領域に流し込まれる画像やテキストに従って、リンク付けされたフレーム同士の大きさを調整するか、または画像やテキストがフレーム内に収まるように調整する。
【0009】
しかし、従来技術のように近傍のフレームが重ならないようにフレームの大きさが変更されてしまうと、レイアウトが変わってしまい、ユーザの意図した仕上がりにならない可能性がある。また、フレームに収まるサイズにテキストやイメージがサイズ変換される場合も、オリジナルのテキストやイメージが変更されてしまい、イメージが小さすぎて見えなくなったり、字がつぶれて読めなくなったりするという問題が生じる。また、背景の上に可変領域が配置されている場合は、フレームのリンク付けによる重なりの回避はできないため、見えにくさに対する問題は解決できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−244276
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記の通り、従来のフレーム間のリンク付けにより重なり部分の発生を防ぐ方法では、レイアウトやオブジェクトの大きさが勝手に変更されてしまうため、ユーザの意図しない仕上がりになってしまう可能性がある。本発明は、VDP文書作成において、オブジェクト同士が重なる部分に対して、レイアウトを変更せずにユーザの所望の見えを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明は、
オブジェクトの重なり部分に対して、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報ごとにソフトマスクを設定し、設定されたソフトマスクを、バリアブルデータ印刷文書に適用し、ソフトマスクを適用されたバリアブルデータ印刷文書を出力する情報処理装置を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、オブジェクトの重なり方の組み合わせごとに、ソフトマスクを設定し、設定したソフトマスクを該当するオブジェクトに適用した印刷ジョブデータを生成できる。ユーザが所望する見えの優先度に基づいて最適なソフトマスクを設定することができる。VDP文書全体、または個別のフレームまたはオブジェクト間に対してソフトマスクの設定行うことができる。印刷ジョブ作成時、または出力済みの印刷ジョブデータに対してソフトマスクの設定を行うことができる。テキストフレームが近傍にあるオブジェクトに対してソフトマスクを適用し、テキストのオブジェクトが近傍する部分を見やすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】VDPシステムの構成の一例を示すブロック図
【図2】クライアントPC及びDBサーバの構成の一例を示すブロック図
【図3】VDPシステムが動作する構成を示すブロック図の一例の図
【図4】本実施形態のVDPアプリケーションのモジュール構成を説明する図
【図5】ソフトマスクを説明する一例の図
【図6】オブジェクトの重なり方の組み合わせと見えの状態に対する、ソフトマスクの適用例の表
【図7】一定値マスクとグラデーションマスクの適用を説明する一例の図
【図8】(a)テンプレート編集画面の一例の図(b)プレビュー画面の一例の図
【図9】(a)ソフトマスク設定画面の一例の図(b)フレームの選択を受け付けた後、ソフトマスク設定画面を表示する一例の図
【図10】ソフトマスク設定情報の一例の図
【図11】ソフトマスク設定の流れを説明するフローチャート
【図12】重なり部分へのソフトマスク適用を説明するフローチャート
【図13】ソフトマスク個別設定の流れを説明するフローチャート
【図14】ソフトマスク適用の記述をPPMLデータに追加した一例の図
【図15】PPMLデータを読み込んでレコードごとの仕上がりイメージをユーザに表示するソフトマスク設定プレビュー画面
【図16】前面背面のオブジェクトの入れ替えを含むソフトマスク適用の流れを説明するフローチャート
【図17】選択したフレームに対してグラデーションマスクを適用した一例の図
【図18】1フレームの選択を受け付け後、ソフトマスク設定画面を表示する一例の図
【図19】作成済みのPPMLデータに対するソフトマスク設定の流れを説明するフローチャート
【図20】VDP文書作成からVDPデータ出力までの流れを説明するフローチャート
【図21】オブジェクトの重なり方の組みあわせ情報により表現可能なオブジェクトの重なり状態について説明する一例の図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
[実施例1]
<基本構成>
図1は、本実施例に係る情報処理装置を備えるバリアブルデータ印刷(Variable Data Print、以下「VDP」と表記する)システムの構成の一例を示すブロック図である。本バリアブルデータ印刷システムは、クライアントPC(パーソナル・コンピュータ)101、プリントサーバ102、プリンタ103、DB(データベース)サーバ105を有する。プリンタ103、プリントサーバ102、及びクライアントPC101は、ネットワーク(以下「NW」)104を介して接続され、お互いに通信可能である。またクライアントPC101は、プリントサーバ102にVDPデータを送信可能である。プリントサーバ102は、NW104経由でプリンタ103に印刷指示を送信可能である。プリンタ103は、NW104経由で印刷指示を受け付ける。DBサーバ105は、VDPアプリケーションで使用するDBデータなどを格納する。
【0017】
<コンピュータ装置の構成>
図2は、クライアントPC101及びプリントサーバ102の構成の一例を示すブロック図である。図2において、CPU201はRAM204に格納されている制御プログラムに従って本装置全体の制御を行う。ROM207は、CPU201によって実行されるコンピュータプログラムを記憶する。RAM204は、不揮発性のメモリであり、ROM207やHDD205からロードされた各種プログラムや、データファイルを記憶する。RAM204に格納されているプログラムは、RAM204に記憶するデータの内容を読み書きしたり、入力コントローラー202からの入力を受け取ったり、ビデオコントローラー203により画像の表示を行ったりする。CPU201は、各種処理の実行に際して必要なプログラムや必要なデータ等をRAM204にロードして、プログラムを実行することで各種処理を実現する。
【0018】
入力コントローラー202は、キーボードやマウス等のポインティングデバイスからの入力を制御する。ビデオコントローラー203は、CRTディスプレイ(以下「CRT」と表記する)等の表示器への表示を制御する。表示器はCRTだけでなく、液晶ディスプレイ等でもよい。HDD205は、大容量の記憶装置であり、CPU201により実行される各種ソフトウェアが格納されている。また、HDD205は、処理されるデータの一時的な記憶領域としても利用される。HDD205に記憶されている各種ソフトウェアは、必要に応じてRAM204に読み込まれ、同じくRAM204に読み込まれているオペレーティングシステムの機能を必要に応じて使用し、CPU201の制御のもと実行される。
【0019】
通信IF206は、NWを介して、外部機器と接続及び通信するものであり、コンピュータの通信制御処理を実行する。例えば、TCP/IPを用いたインターネット通信やプリンタとの間でデータの送受信等を実行する。CPU201は、例えば、RAM204の表示情報用領域でラスタライズ処理を実行することにより、CRTの表示を可能とする。また、CPU201は、CRT上のマウスカーソル等でのユーザ指示を可能とする。
【0020】
図3は、VDPシステムが動作する構成を示すブロック図の一例である。301はクライアントPCであり、図1のクライアントPC101にあたり、本発明を実現するための情報処理装置を含むVDPアプリケーション311が動作する。302はDBサーバであり、DB312が管理される。DB312は、バリアブルデータ印刷文書(以下「VDP文書」と表記する)の可変領域にデータを供給するためのDBデータ315を有する。303はプリンタであり、RIP(ラスターイメージプロセス)プログラム(以下「RIP」と表記する)313が動作し、プリンタエンジン316にて印刷処理を実行する。304はプリントサーバであり、クライアントPC301からPPMLデータを受け取り、NW経由でプリンタ303に送信する。
【0021】
VDPアプリケーション311は、可変領域のデータとして指定されたデータに対する取得要求を、NW321を介してDBサーバ302のDB312に送信し、NW321を介してDBデータ315を取得する。そして、VDPアプリケーション311は取得したDBデータ315を使用し、PPML(Personalized Print Markup Language)データ314を作成する。VDPアプリケーション311は作成したPPMLデータ314を、NW322を介してプリントサーバ304に送信する。次に、PPMLデータ314を受信したプリントサーバ304は、前記PPMLデータ314に印刷指示と共にプリンタ303に送信する。RIP313がPPMLデータ314に対するRIP処理を行い、RIP処理の結果をプリンタエンジン316に送信して印刷処理を行う。
【0022】
<モジュール構成>
本実施例では、本発明の情報処理モジュールが、VDPアプリケーションのモジュールの一部として実装されているものとして説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、VDPアプリケーションとは独立したアプリケーションであってもよい。
【0023】
図4は、本実施例のVDPアプリケーション40のモジュール構成を説明する図である。VDPアプリケーション40は、UI部401、テンプレート編集部402、重なり部分情報取得部403、ソフトマスク設定部404、DB接続部405、およびVDPジョブ出力部406で構成される。VDPアプリケーション40は、クライアントPC301上で動作し、各モジュールは図2のCPU201にて実行処理を制御される。
【0024】
UI部401は、ユーザに対してテンプレート編集画面、ソフトマスク設定画面を表示し、ユーザからの操作を受け付けるモジュールである。テンプレート編集画面については、図8を用いて後述する。ソフトマスク設定画面については、図9を用いて後述する。
【0025】
テンプレート編集部402は、VDP文書のテンプレートを編集するモジュールである。UI部401が受け付けたユーザの編集指示に応じて、紙面の編集、可変領域・固定領域の指定をテンプレートに反映する。また、DBから取得したDBデータ315をテンプレートの可変領域に適用させる。テンプレート編集部402は、一般的なVDPアプリケーション311が備えている機能であるため、詳細な処理は省略する。
【0026】
重なり部分情報取得部403は、重なり部分の描画領域に関する情報と、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報とを取得するモジュールである。重なり部分の描画領域に関する情報とは、重なり部分の形状、サイズ、位置など印刷データの描画に関わる情報をさす。
【0027】
オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報とは、重なり部分を構成する各オブジェクトのオブジェクト種別と透明度情報の組み合わせである。背面のオブジェクトと前面のオブジェクトのオブジェクト種別と透明度情報を使って、次のように表記する。「背面のオブジェクトのオブジェクト種別(透明度の有無)+前面のオブジェクトのオブジェクト種別(透明度の有無)」。図21を用いて、オブジェクトの重なり方の組みあわせ情報により表現可能なオブジェクトの重なり状態の一例について説明する。図21で、2101は前面のオブジェクト、2102は背面のオブジェクトである。2103はオブジェクト2101のオブジェクト2102との重なり部分を構成する部分であり、2104はオブジェクト2102のオブジェクト2101との重なり部分を構成する部分である。ここで、オブジェクト2101とオブジェクト2102のオブジェクト種別がどちらも完全不透明なイメージの場合、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報は「イメージ(不透明)+イメージ(不透明)」となる。また、オブジェクト2101、2102のオブジェクト種別がそれぞれ、背景色を持たないフレームのテキスト、および完全不透明なイメージの場合、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報は「イメージ(不透明)+テキスト(背景色無)」となる。ここで、説明の簡単のために、背面のオブジェクトの透明度の有無は、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報に対して設定されるソフトマスクの種類に大きな影響を与えないものとし、以降の説明では、背面のオブジェクトの透明度の有無の記述を省略する。背面のオブジェクトの透明度の有無の記述を省略した場合、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報は「背面のオブジェクトのオブジェクト種別+前面のオブジェクトのオブジェクト種別(透明度の有無)」となる。重なり部分情報取得部403については、後述する。
【0028】
ソフトマスク設定部404は、UI部401が受け付けたユーザからの編集指示に従って、ソフトマスク設定情報を作成・編集するモジュールである。ソフトマスク設定情報については、後述する。DB接続部405は、DB312に接続し、DBデータ315を取得するモジュールである。VDPジョブ出力部406は、DB312に格納され、DB接続部405により取得されたDBデータ315を可変領域に適用したVDPデータを出力するモジュールである。本実施例では、VDPジョブはPPMLデータであるとして説明する。また、後に説明する指示に従って、VDPデータ内にソフトマスクを記述する。
【0029】
<ソフトマスク>
ソフトマスクについて説明する。ソフトマスクは、オブジェクトの一部を半透明にするオブジェクトとして定義され、ビットマップを用いて作成する。前記ビットマップの画素値に応じて透明度が設定されるため、オブジェクトに適用されたソフトマスクの画素値を持つ部分が半透明になり、背面のオブジェクトが透過して見えるようになる。このとき、ソフトマスクとして定義されるビットマップは、どんな色空間を持っていても作成可能であるが、グレースケール以外の色空間を持つ場合は、RIP処理時にグレースケールに変換される。そのため、RIPによって値が変化してしまい、ユーザの意図したソフトマスクとならない可能性がある。したがって、本実施例では、ソフトマスクはグレースケールのビットマップで作成するものとして説明する。
【0030】
図5はソフトマスクを説明する一例の図である。図5の501、502は共に透明度を持たない完全不透明なオブジェクトであり、重なり部分を構成する。501は前面のオブジェクト、502は背面のオブジェクト、503はオブジェクト501の重なり部分、504はオブジェクト502の重なり部分である。501は502よりも後に描画されるため、重なり部分504は503に完全に隠れて見えない状態である。以降、「見える」「見えない」「透過して見える」などの、見えを「見えの状態」と呼ぶ。505は、重なり部分504が透過して見えるようにするためにオブジェクト501を一部半透明にするソフトマスクである。ソフトマスク505は、オブジェクト501と同じサイズを持ち、オブジェクト501の重なり部分503の部分だけ画素値を有するグレースケールのビットマップである。ソフトマスク505により、オブジェクト501の重なり部分503の部分だけ透明度を与えられ、重なり部分504が透過して見えるようになる。以降、ソフトマスクにより重なり部分が半透明になることを、「ソフトマスクを適用する」と表現する。
【0031】
<見えの状態とソフトマスク適用>
重なり部分はオブジェクトの重なり方の組み合わせ情報によって見えの状態が異なるため、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報と見えの状態がソフトマスクを適用するか否かの判断材料となる。図6は、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報と見えの状態に対する、ソフトマスクの適用例の表である。図6の601は、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報、602は、重なり部分の前面、背面のオブジェクトの見えの状態、603は、ソフトマスクの適用例である。たとえば、行604は、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報がテキスト+イメージ(不透明)の場合の見えの状態は、前面は見える、背面は見えないであるということを意味する。このとき、テキストの見えの状態を「見えない」から「透過して見える」に変更することをユーザによって所望されるとき、前面のイメージにソフトマスクを適用することにより、ユーザが所望する背面のテキストの見えを提供できる。この表は、推奨ソフトマスク設定の時に、ソフトマスク選択の判断材料として使用する。推奨ソフトマスク設定については後述する。
【0032】
<ソフトマスクの種類>
ソフトマスクの種類について説明する。本実施例では、ソフトマスクの種類として、(1)一定値マスク、(2)グラデーションマスク、(3)マスク無し、の3種類を取り上げる。(1)の一定値マスクは、不透明度が適用領域内で均一なソフトマスクである。(2)のグラデーションマスクは、縦、横、斜めなど指定した方向へのグラデーションになるように、適用領域内で色の濃淡を滑らかに連続して変化させるソフトマスクである。グラデーションマスクは、たとえば、ソフトマスクの適用領域と適用領域外との境界を目立たないようにする場合や、見えの状態を良好にしたい部分が適用領域内で偏っている場合などに用いる。(3)のマスク無しは、重なり部分に対して、ソフトマスクの適用を行わないことを意味する。
【0033】
図7を用いて一定値マスクおよびグラデーションマスクの適用を説明する。図7(a)の701はオブジェクトの重なり方の組み合わせ情報が「イメージ+テキスト(透明)」である重なり部分であり、背面のオブジェクトの重なり部分に対してソフトマスクを適用するように設定されている。
【0034】
図7(b)を用いて、(a)のオブジェクトの重なり部分への一定値マスクの適用について説明する。702は一定値マスクである。一定値マスク702は、背面のオブジェクトと同じサイズを持ち、画素値を持つグレーの部分703は、(a)の重なり部分701と同じサイズを持つ。一定値マスク702は、背面のオブジェクトの重なり部分のみ、均一な画素値を持つような、グレースケールのビットマップである。グレーの部分の画素値に応じて透明度が設定されるため、(a)の前面のオブジェクトにソフトマスク702を適用すると、ソフトマスク702のグレーの部分703のみ半透明となり、背面のオブジェクトが透過して見えるようになる(704)。
【0035】
図7(c)を用いて(a)のオブジェクトの重なり部分へのグラデーションマスクの適用について説明する。705はグラデーションマスクである。グラデーションマスク705は、(a)の背面のオブジェクトと同じサイズを持ち、画素値を持つグレーの部分706は、(a)の重なり部分701と同じサイズを持つ。グラデーションマスク705は、背面のオブジェクトの重なり部分の領域内がグラデーションになるように、グレーの部分706の画素値を連続して変化させるグレースケールのビットマップである。(a)の前面のオブジェクトにソフトマスク705を適用すると、ソフトマスク705のグラデーションの画素値に応じて透明度が滑らかに変化することにより、背面のオブジェクトが透過して見えるようになる(707)。
【0036】
<テンプレート編集画面>
図8(a)は、VDPアプリケーションのテンプレート編集画面80の一例の図である。テンプレート編集画面80上で行われるユーザからの編集指示は、UI部401が受け付けたユーザの編集指示に応じて、テンプレート編集部402が処理する。80はVDP文書のレイアウトを行うためのウィンドウである。802はVDP文書にオブジェクトを配置するテンプレート、803、804は可変領域を配置するフレームを表す。そして、入力コントローラー202を介してクライアントPC101に接続されるキーボードやポインティングデバイスの入力信号を受け取り、作成・移動・選択といった操作を行う。805は固定領域を表す。固定領域に描画されるオブジェクトは、DBデータ315の情報に応じて変化することはないため、実際に描画されるオブジェクトを表示する。図8において、可変領域803、804にDBデータ315に基づいて配置されるオブジェクトはそれぞれイメージ、テキストである。なお、可変領域804は可変領域803より先に描画される。また、可変領域803と804は、DBデータ315の指定に基づいて配置されるオブジェクトのサイズによって拡縮可能であるとする。806は、ソフトマスク設定ボタンであり、UI部401がソフトマスク設定ボタン806の選択を受け付けることによりソフトマスク設定画面を表示する。801はプレビューボタンであり、UI部401がプレビュー画面ボタンの選択を受け付けることにより、前記受け付けたソフトマスク設定を適用した印刷の仕上がりイメージを、プレビュー画面に表示する。
【0037】
図8(b)は、プレビュー画面81の一例の図である。811は可変領域であり、812は固定領域である。811、812はどちらも完全不透明のイメージであり、811と812が重なり部分を持っている。プレビュー画面には、DBデータ315を可変領域811に適用し、RIP処理した結果の印刷イメージに対して、ソフトマスク設定を適用した印刷の仕上がりイメージが表示される。
【0038】
<重なり部分情報取得>
重なり部分情報取得について説明する。重なり部分情報取得に関する一連の処理は重なり部分情報取得部403が行う。重なり部分情報は、重なり部分描画領域情報と、重なり部分を構成するオブジェクトのオブジェクト種別と透明度情報から成る。重なり部分描画領域情報は、オブジェクト同士の重なりを検出し、各オブジェクトのサイズと描画位置から、重なり部分のサイズと描画位置を算出することにより取得できる。
【0039】
次に、重なり部分のオブジェクト種別の取得について説明する。固定領域のオブジェクトの場合は、DBデータ315の情報に応じて変化することはないため、テンプレートに配置されたオブジェクトから、オブジェクト種別を取得する。可変領域の場合は、一般的にフレームが配置されるときにオブジェクト種別が決定するため、配置されたフレームからオブジェクト種別を取得する。フレームが配置されるときにオブジェクト種別が決定しない場合は、DBデータ315の情報に基づいて配置されるオブジェクトの情報からオブジェクト種別を取得する。
【0040】
透明度情報は、透明度の有無の情報である。テキストのフレームの場合は、VDP文書作成時に配置されたフレームが背景色を持っているか否かで判定する。イメージの透明度の有無は、オブジェクトがアルファ値(アルファチャネルともいう)を持っているか否かで判定する。
【0041】
<ソフトマスク設定画面>
図9(a)は、ソフトマスク設定画面90の一例の図である。90はソフトマスク設定を行うためのウィンドウである。ソフトマスク設定画面90上で行われるユーザからのソフトマスク設定指示は、UI部401が受け付けたユーザのソフトマスク設定指示に応じて、ソフトマスク設定部404が処理する。901はソフトマスクの設定方法を選択するためのソフトマスク設定方法選択ラジオボタン、904は、ソフトマスク適用対象のオブジェクトを指定するためのオブジェクト選択プルダウンである。また、905は、ソフトマスクの種類を選択するためのソフトマスク種類選択プルダウン、907は、推奨ソフトマスク設定の優先度の項目を選択するための優先度選択プルダウンを表す。908はOKボタンであり、ソフトマスク設定画面で設定した結果をHDD205に一時格納する。901、904、905、907、908は、入力コントローラー202が、キーボードやマウス等のポインティングデバイスからの入力を制御することにより、選択の操作を行う。
【0042】
ここで、ソフトマスク設定画面90は、ソフトマスク設定方法として、ソフトマスク詳細設定902と、推奨ソフトマスク設定906を有する。ソフトマスク詳細設定902は、オブジェクトの重なり方の組み合わせごとに前面・背面のどちらのオブジェクトにどの種類のソフトマスクを適用するかの選択をユーザから受け付け、前記ソフトマスク設定結果を取得する。以降、ソフトマスク設定画面にて設定されたソフトマスクの設定結果を「ソフトマスク設定情報」と呼ぶ。ソフトマスク設定情報は、UI部401がソフトマスク設定画面のOKボタン908の選択をユーザから受け付けることにより、HDD205に格納可能である。格納されたソフトマスク設定情報100は、他のVDP文書に対して再利用することができる。ソフトマスク設定情報100の再利用については、後述する。
【0043】
推奨ソフトマスク設定906は、ユーザから見えの優先度を受け付け、優先度に基づいて各オブジェクトの重なり方の組み合わせに適したソフトマスクを自動的に設定する。見えの優先度とは、たとえば「テキストよりイメージの見えを優先する」といったオブジェクト種別に基づいた優先順位付けや、「固定領域より可変領域のオブジェクトの見えを優先する」といった固定領域、可変領域の違いに従った優先順位付けなどをさす。ここでは、見えの優先度として、「テキスト優先」、「イメージ優先」、「固定領域優先」、「可変領域優先」が選択可能であるとする。「テキスト優先」の場合を例にとって説明する。たとえば、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報「イメージ+テキスト(透明)」に対しては、テキストがよく見えるように背面のイメージに対して透明度の高い一定値マスクが設定される。また、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報「テキスト+イメージ(不透明)」に対しては、背面のテキストがよく見えるように、前面のイメージの重なり部分に対して、透明度の高い一定値マスクが設定される。前記見えの優先度に関連付けられたソフトマスク設定情報は、HDD205に格納されており、ユーザから優先度の選択を受け付けた際に、選択された見えの優先度に関連付けられたソフトマスク設定情報を呼び出す。
【0044】
<ソフトマスク設定情報>
図10はソフトマスク設定情報100の一例の図である。1001はオブジェクトの重なり方の組み合わせ情報、1002はソフトマスク適用対象のオブジェクト、1003はソフトマスクの種類である。ソフトマスク設定情報は、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報1001に対して、ソフトマスク適用対象のオブジェクト1002とソフトマスクの種類1003を紐付ける。
【0045】
<全体のフローチャート>
図20は、本情報処理装置による、VDP文書作成からVDPデータ出力までの流れを説明するフローチャートである。まず、ステップS2001で、VDP文書の作成開始を受け付ける。次に、ステップS2002で、ソフトマスク設定を受け付ける。次に、ステップS2003で、ソフトマスク適用を受け付ける。最後に、ステップS2004で、前記作成されたVDP文書をVDPデータとして出力する。ステップS2002のソフトマスク設定とステップS2003のソフトマスク適用については、後述する。
【0046】
<ソフトマスク設定フロー>
図20ステップS2002の、ソフトマスク設定の流れを説明する。図11はソフトマスク設定の流れを説明するフローチャートである。図8、図9を用いてソフトマスク設定の流れを説明する。まず、ステップS1101で、UI部401が、テンプレート編集画面80のソフトマスク設定ボタン806の選択を受け付けることにより、図9のソフトマスク設定画面90を表示する。このとき、ソフトマスク詳細設定902の初期表示は、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報903に応じた、ソフトマスク適用対象のオブジェクト904とソフトマスクの種類905とのデフォルト値を表示する。デフォルト値は、背面のオブジェクトと前面のオブジェクトがどちらも均等に見え、且つ不自然とならないようなソフトマスク設定情報であるとする。たとえば、「イメージ+イメージ(不透明)」の場合は、背面のオブジェクトと前面のオブジェクトがどちらも見え、且つ不自然にならないように、前面のイメージの重なり部分にグラデーションマスクを適用するように設定される。次に、ステップS1102で、UI部401が、ユーザからラジオボタン901の選択を受け付けることにより、ソフトマスク設定方法を指定する。次に、ステップS1103で、設定方法がソフトマスク詳細設定の場合は、ステップS1104で、各オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報903に対してソフトマスク適用対象オブジェクト904、ソフトマスクの種類905の選択を受け付ける。一方、ステップS1103で、設定方法が推奨ソフトマスク設定の場合は、ステップS1105で、
プルダウン907にて見えの優先度の選択を受け付け、ステップS1106で、見えの優先度に関連付けられたソフトマスク設定情報をHDD205より取得する。最後に、ステップS1107でステップS1104またはステップS1106のソフトマスク設定情報を保存して、ソフトマスク設定を終了する。
【0047】
以上は、ソフトマスク設定画面90によるソフトマスクの設定をVDP文書全体に適用する場合の説明である。個別のフレームまたはオブジェクト間にソフトマスクを適用する場合は、フレームまたはオブジェクトの選択を受け付けた後、ソフトマスク設定画面にて適用対象のオブジェクトの、オブジェクト種別の組み合わせに対してソフトマスクを設定する。これを「ソフトマスク個別設定」とよぶ。
【0048】
図13は、ソフトマスク個別設定の流れを説明するフローチャートである。図8、図9(b)を用いてソフトマスク個別設定を説明する。まず、ステップS1300で、ユーザから図8のフレーム803、804の選択を受け付ける。次に、ステップS1301で、ユーザからソフトマスク設定ボタン806の選択を受け付けて、ソフトマスク設定画面を表示する。図9(b)は、ソフトマスク個別設定におけるソフトマスク設定画面の一例の図である。図9(b)は、UI部401がフレーム804、803の選択を受け付けた後、ソフトマスク設定画面ボタン806の選択を受け付けたときのソフトマスク設定画面である。911はソフトマスク詳細設定を行う領域であり、912はオブジェクトの重なり方の組み合わせ情報である。このとき、フレーム選択時に、可変領域804と803のオブジェクト種別がそれぞれテキスト、イメージであることが既知である場合は、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報912のうち、ソフトマスクの種類を設定できない組み合わせは表示されない。ステップS1302〜ステップS1306までは図11のステップ1102〜ステップ1106までと同じである。最後に、ステップS1307で、前記選択を受け付けたフレームと関連付けてソフトマスク設定情報をHDD205に保存する。
【0049】
なお、上記説明において、ソフトマスク個別設定は可変領域を用いたが、いずれかが固定領域の場合も同じであり、固定領域の場合はフレームではなくオブジェクトを選択する。
【0050】
<ソフトマスク適用フロー>
次に、図20ステップS2003の、重なり部分へのソフトマスク適用の流れとPPML出力を説明する。図12は、重なり部分へのソフトマスク適用を説明するフローチャートである。まず、ステップS1201で、重なり部分情報取得部403により、VDPアプリケーションで編集中のドキュメントテンプレートにDBデータ315の情報に基づいてオブジェクトが配置されるとき、オブジェクト同士が一部重なる部分を検出する。ステップS1201で重なり部分が検出された場合は、ステップS1202で、重なり部分情報取得部403により、重なり部分描画領域情報を取得する。そして、重なり部分描画領域情報から、ソフトマスクの描画サイズ、描画位置などの重なり部分の描画に関わる情報を取得する。ステップS1203で、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報を取得する。次に、ステップ1204で、図20のステップS2002で設定されたソフトマスク設定情報をHDD205から取得する。次に、ステップS1205で、取得したソフトマスク設定情報に基づいて、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報に対応するソフトマスクの種類を決定する。次に、ステップS1206で、決定したソフトマスクの種類が“ソフトマスク無し”であるか否かを判定する。ステップS1206で、ソフトマスクの種類が“ソフトマスク無し“であると判定された場合は、ソフトマスクを作成する必要がないため、そのまま終了する。ステップS1206でソフトマスクを作ると判定された場合は、ステップS1207で、描画領域情報と、ソフトマスクの種類から、ソフトマスクをグレースケールのビットマップで作成する。
最後にステップS1208で、作成したソフトマスクのオブジェクトを、ソフトマスク適用対象オブジェクトに適用する記述をPPMLデータに追加する。
【0051】
<ソフトマスクの記述>
図14は、ソフトマスク適用の記述をPPMLデータに追加した一例の図である。図14は、PPMLのVersion3.0の記述であり、SOFTMASK要素によりソフトマスクの定義が可能である。PPMLデータは、階層構造を持ち、階層構造はPPML要素を最上位の階層とし、PAGE要素は論理ページを定義する。MARK要素はページ内におけるオブジェクトの配置を指定し、OBJECT要素はページに描画されるオブジェクトを定義する。MARK、OBJECT要素は、子要素としてSOFTAMSK要素を持つことが出来、SOFTMASK要素は、他のオブジェクトを部分的に透明にするオブジェクトとして、ソフトマスクを定義する。SOFTMASK要素は子要素にSOURCE要素を持ち、SOURCE要素は、ソフトマスクに変換されるオブジェクを定義する。図14の1401は、SOFMASK要素を用いたソフトマスク定義の記述であり、ソフトマスクのビットマップ“softmask”を、SOFTMASK要素にてソフトマスクとして定義する。図14のPPMLデータは、背面のオブジェクト“background_object
”と前面のオブジェクト“foreground_object”の配置を定義しており、前記2つのオブジェクトは重なり部分を持つ。前記2つのオブジェクトはいずれもイメージであり、前面のオブジェクト“foreground_object”がソフトマスク適用対象オブジェクトである。このとき、前記ソフトマスク定義の記述を、前面のオブジェクト“foreground_object”の前に追加すると、前面のオブジェクト“foreground_object”の重なり部分に対してソフトマスクが適用される。
【0052】
<PPML作成後のソフトマスク適用>
以上、VDPアプリケーションでテンプレート編集時にソフトマスクを設定し、PPMLデータ出力時にソフトマスクを適用する方法について述べた。以降、PPMLデータの出力時ではなく、PPMLデータを作成した後にソフトマスクの設定・適用を実施する方法について述べる。
【0053】
図15は、作成済のPPMLデータを読み込んでレコードごとの仕上がりイメージをユーザに表示するソフトマスク設定プレビュー画面150である。図15の1501は、図10で説明したソフトマスク設定情報を読み込むソフトマスク設定情報読み込みボタンであり、1506は、PPMLデータを外部から読み込むPPMLデータ読み込みボタンである。1502は読み込んだPPMLデータのプレビュー結果表示領域、1503、1504は可変領域、1505は固定領域である。また、1509はプレビューするレコード番号を指定するレコード指定ボックス、1510はプレビュー対象のページ番号を指定するページ指定ボックスである。1507は、ソフトマスク設定画面を表示するソフトマスク設定ボタンであり、1508はプレビューボタンである。UI部401がプレビューボタン1508の選択を受け付けると、プレビュー結果表示領域1502に、PPMLデータへの変更を反映したVDP文書のプレビュー結果を表示する。図15では、読み込んだPPMLデータの5レコード目の22ページ目を表示している。
【0054】
図15を用いて、作成済みのPPMLデータに対するソフトマスク設定について説明する。図19は、作成済みのPPMLデータに対するソフトマスク設定の流れを説明するフローチャートである。まず、ステップS1901で、UI部401がPPMLデータ読込ボタン1506の選択により、PPMLデータの選択を受け付け、PPMLデータを読み込む。そして、ステップS1902で、読み込んだPPMLデータの印刷イメージをプレビュー結果表示画面1502に表示する。次に、ステップS1903で、ソフトマスク設定情報がすでにHDD205にあり、再利用する場合は、UI部401がユーザからソフトマスク設定情報ボタン1501の選択を受け付け、ソフトマスク設定情報を取得する。次に、ステップS1904で、ソフトマスク設定情報が取得されてない場合は、ステップS1905で、UI部401がユーザから、ソフトマスク設定ボタン1507の選択を受け付け、ソフトマスク設定画面を表示し、ソフトマスクを設定する。ソフトマスク設定情報が取得済みでない場合は、デフォルト値が表示される。ステップS1904で、ソフトマスク設定情報が取得済みの場合は、ステップS1906で、前記取得したソフトマスク設定情報がソフトマスク設定画面に表示され、ステップS1907で、ソフトマスク設定情報を編集する。ソフトマスク設定画面は図9と同じ画面であるとする。最後に、ステップS1908で、UI部401がユーザからプレビューボタン1508の選択を受け付け、ソフトマスク設定結果を反映した印刷イメージをプレビュー結果表示画面に表示する。指定されたレコードの指定されたページの選択したフレームにのみソフトマスクを適用する場合は、テンプレート編集時のソフトマスク個別設定と同様に、フレームの選択を受け付けた後、ソフトマスク設定ボタンの選択を受け付けて、ソフトマスクを設定する。
【0055】
[実施例2]
実施例1においては、重なり合うオブジェクトに対して、ソフトマスクを用いて見えを補正する例を説明した。実施例2においては、実施例1に加えて、重なり合うオブジェクトの前面背面の入れ替えを加えた例について説明する。なお、実施例2では実施例1と同一となる説明は省略し、差分のみ説明を行う。よって、特別な記載無き場合は実施例1もあわせて参照されたい。
【0056】
<背面前面の入れ替え>
重なり部分で、ソフトマスク設定前に前面背面を入れ替えると、必要以上に重なり部分に適用するマスクを複雑にせずに、見えをよくすることが出来る場合がある。例えば、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報604に対してイメージの重なり部分にソフトマスクを適用した場合、前面のイメージによっては背面のテキストが見えにくいままとなり、さらに見えをよくするために複雑なソフトマスクを適用する可能性がある。このとき、背面にあるテキストと前面のイメージとを入れ替えた後、イメージ(不透明)+テキストに対する処理を行うと、必要以上に複雑なソフトマスクをかけずにテキストの見えをよくすることができる場合がある。前面背面の入れ替えの際には、背面のオブジェクトの透明度情報がソフトマスクの選択に影響を与えるため、背面のオブジェクトの透明度情報を取得する。
【0057】
図16は、本実施形態における重なり部分の前面背面のオブジェクトの入れ替えを含むソフトマスク適用の流れを説明するフローチャートである。ステップS1601〜S1605までは、図12のステップS1201〜S1205と同じであるため、説明は省略する。ステップS1606で、ステップS1604でオブジェクトの前面背面入れ替えの指示を取得した場合、ステップS1607で、指定されたオブジェクトの重なり方の組み合わせ情報を持つオブジェクトの描画順序を変更する。ステップS1607でオブジェクトの前面背面の入れ替えを行った後は、ステップS1608〜ステップS1610までの処理は、図12のステップS1206〜S1208と同じである。
【0058】
[実施例3]
実施例1においては、重なり合うオブジェクトに対して、ソフトマスクを用いて見えを補正する例を説明した。実施例3においては、実施例1に加えて、重ならない場合のソフトマスク適用を加えた例について説明する。なお、実施例3では実施例1と同一となる説明は省略し、差分のみ説明を行う。よって、特別な記載無き場合は実施例1もあわせて参照されたい。尚、オブジェクトが以下の図17のように左右もしくは上下に重ならず接しているものもしくは、不図示の距離設定用の操作部上でユーザにより設定される距離内にあるオブジェクトが「近接」しているオブジェクトである。
【0059】
<重ならない場合のソフトマスク適用>
テキストにイメージが近接している場合、イメージに近いテキストの文字が見えにくいケースがある。このように、重なっていない場合でも、テキストに近接するイメージに対して、テキストに近い部分の不透明度が小さくなるように、イメージにソフトマスクを適用することで、テキストを見えやすくすることができる。たとえば、イメージの周囲、例えば右にテキストのフレームが存在するときは、テキストに近い右の不透明度が小さく、イメージの左の不透明度が大きい縦方向のグラデーションマスクをビットマップとして作成し、イメージに適用する。図17は、選択したフレームに対してグラデーションマスクを適用するイメージ図の一例である。(a)の1701は、グラデーションマスク、1702はテキストフレームである。(b)の1703は、テキストのフレームが近接するイメージに、グラデーションマスク1701を適用した結果のイメージ図である。
【0060】
図8を用いて、フレームまたはオブジェクト同士が重なっていない場合に、ソフトマスクを適用する方法について説明する。図18は、図8のテンプレート編集画面で1オブジェクトの選択を受け付けた後、ソフトマスク設定ボタンの選択を受け付けることにより表示される、ソフトマスク設定画面180である。前記選択を受け付ける1オブジェクトは、オブジェクト種別がイメージである固定領域のオブジェクトであるとする。1801はソフトマスク適用結果であり、テキストのフレームとイメージとの位置関係において、どのようなソフトマスクを適用するかのイメージを視覚的に表現している。1802は一定値マスクの指定またはグラデーションの方向の指定を受け付けるラジオボタンである。「縦」、「横」などの方向を指定した場合は、その方向にグラデーションマスクが指定され、「均一」を選択した場合は、一定値マスクが指定される。ラジオボタン1802の指定を受け付けることにより、前記指定されたソフトマスクを前記選択されたイメージに対して適用した適用結果1801が更新される。OKボタン1803の選択を受け付けることにより、前記指定されたオブジェクトに対してソフトマスクの設定を行う。以上の設定により、PPMLデータ出力時に、指定されたオブジェクトの近傍にテキストがある場合、前記指定されたオブジェクト全体に適用するソフトマスクを作成し、PPMLデータにソフトマスクの記述を追加する。
【0061】
以上、固定領域のオブジェクトにソフトマスクを適用する方法について述べたが、可変領域についても同じである。可変領域の場合は、1フレームの選択を受け付ける。
【0062】
[その他の実施例]
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0063】
403 重なり部分情報取得部
404 ソフトマスク設定部
405 データベース接続部
406 VDPジョブ出力部
【技術分野】
【0001】
本発明は、テキストやイメージで構成されたドキュメントの生成および編集に関し、特に、バリアブルデータ印刷文書の生成および編集に関する。
【背景技術】
【0002】
プリントオンデマンド(Print On Demand、以下「POD」と表記する)は、デジタル複写機やデジタル複合機等のデジタル画像形成装置を最大限に活用した、デジタル印刷技術である。PODのメリットとして、小ロット印刷、短納期に有利であることや、顧客ごとにカスタマイズした印刷を実現するバリアブルデータ印刷(Variable Data Print、以下「VDP」と表記する)が可能であることが挙げられる。VDPを実現するための印刷システムを一般的にVDPシステムと呼ぶ。また、VDPシステムにおける印刷データを一般的にVDPデータと呼び、VDPデータを生成する元となる文書をVDP文書と呼ぶ。
【0003】
VDPで使用するVDPデータでは、固定部分と可変部分を分け、可変部分のデータをRDB(Relational Database)やCSV(Comma Separated Values)ファイルなどのデータベースデータから供給する。以下、データベースデータを「DBデータ」と表記する。また、以降、可変部分を「可変領域」、固定部分を「固定領域」と呼ぶ。ここで、DBデータは、例えば、顧客の姓名、性別、住所などの文字列情報、年齢などの数値情報、等の各種情報を持つ。
【0004】
VDP文書の作成は、VDP文書の編集機能を持つVDPアプリケーションで行う。VDPアプリケーションは、可変領域や固定領域の位置やレイアウトを指定するためのユーザインタフェースを有する。また、VDPアプリケーションは、DBデータの情報に基づいて各可変領域に印刷するオブジェクトを決定するための条件等を指定するためのユーザインタフェースを有する。オブジェクトとは、テキストやイメージなど印刷文書を構成するオブジェクトであり、以降、テキスト、イメージなどの、オブジェクトの属性の種類をオブジェクト種別と呼ぶ。また、イメージはグラフィックを含むものとする。オブジェクトは、例えば、幅や高さといった大きさに関する情報や、当該オブジェクトの色に関する情報などを有する。
【0005】
さらに、VDPアプリケーションは、指定事項に基づいて、VDPデータを生成する機能を有する。VDPデータの多くは、VDP用の構造化PDL(Structured Page Description Language)を使って記述される。構造化PDLとは、PDLのドキュメント構造が、マークアップ言語を用いて表現されているPDLのことである。構造化PDLは、例えばXML(Extensible Markup Language)をベースとしたマークアップ言語で記述される。PPML(Personalized Print Markup Language)は、VDP印刷を効率的に行うためのVDP言語フォーマットの一つである。PPMLはXML形式をベースとした階層構造となっている。PPMLは、VDPアプリケーションから印刷ジョブとして出力される。以下、PPMLで記述されるVDPの印刷ジョブを「PPMLデータ」と呼ぶ。
【0006】
一般的に、VDPアプリケーションでは、可変領域と固定領域の位置やレイアウトは、ユーザによるフレームの配置によって指定される。また、フレームを配置する際、テキストやイメージなどのオブジェクト種別も一緒に指定される。このとき、顧客毎にカスタマイズされる可変領域のオブジェクトのサイズは全て同じサイズとは限らない。そのため、実際に可変領域にオブジェクトを配置して描画した際に、可変領域のオブジェクトが近傍のオブジェクトと一部または全部重なって、可変領域のオブジェクトや近傍のオブジェクトの重なり部分が見えにくくなるといった問題が発生し得る。また、背景のようにフレームと最初から重なるように配置されているオブジェクトがある場合にも、可変領域にオブジェクトを配置して描画した際、可変領域が見えにくくなる問題が発生する。以降、先に描画されるオブジェクトを「背面」、後に描画されるオブジェクトを「前面」と呼ぶ。
【0007】
重なり部分の見えの問題は、オブジェクト種別の組み合わせと、オブジェクトが持つ透明度およびフレームの背景色の有無によって現象が異なる。たとえば、重なり部分のオブジェクト種別の組み合わせが、背面がテキストで前面がイメージであるとき、イメージが完全に不透明である場合は、テキストは完全に見えなくなり、イメージが透明度を持つ場合は、テキストは透過して見える。また、背面がイメージで、前面がテキストであるとき、テキストのフレームが背景色を持つ場合は、イメージは完全に見えなくなり、フレームが背景色を持たない場合は、イメージはテキストと重なる部分以外は完全に見える。しかし、このときイメージの濃度などによってはテキストが見えにくくなる可能性がある。背面も前面もテキストである場合、前面のテキストのフレームが背景色を持つ場合は、背面のテキストは完全に見えなくなる。一方、背景色を持たない場合は、背面のテキストは前面のテキストと重なる部分以外は完全に見える。しかし、このとき背面と前面のテキストが重なって見えにくくなる可能性がある。背面も前面もイメージである場合、前面のイメージが透明度を持つ場合は、背面のイメージは透過して見え、前面のイメージが完全不透明の場合は、背面のイメージは完全に見えない。以降、透明度の有無およびフレームの背景色の有無を「透明度情報」と呼ぶ。
【0008】
従来技術としては、特許文献1のように、ドキュメントテンプレート上に配置されるフレームが重なることのないように、予め重なりを防止するためのリンクを枠同士に設定するという技術が存在する。リンク付けされたフレーム同士が重ならないように、可変領域に流し込まれる画像やテキストに従って、リンク付けされたフレーム同士の大きさを調整するか、または画像やテキストがフレーム内に収まるように調整する。
【0009】
しかし、従来技術のように近傍のフレームが重ならないようにフレームの大きさが変更されてしまうと、レイアウトが変わってしまい、ユーザの意図した仕上がりにならない可能性がある。また、フレームに収まるサイズにテキストやイメージがサイズ変換される場合も、オリジナルのテキストやイメージが変更されてしまい、イメージが小さすぎて見えなくなったり、字がつぶれて読めなくなったりするという問題が生じる。また、背景の上に可変領域が配置されている場合は、フレームのリンク付けによる重なりの回避はできないため、見えにくさに対する問題は解決できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−244276
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記の通り、従来のフレーム間のリンク付けにより重なり部分の発生を防ぐ方法では、レイアウトやオブジェクトの大きさが勝手に変更されてしまうため、ユーザの意図しない仕上がりになってしまう可能性がある。本発明は、VDP文書作成において、オブジェクト同士が重なる部分に対して、レイアウトを変更せずにユーザの所望の見えを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明は、
オブジェクトの重なり部分に対して、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報ごとにソフトマスクを設定し、設定されたソフトマスクを、バリアブルデータ印刷文書に適用し、ソフトマスクを適用されたバリアブルデータ印刷文書を出力する情報処理装置を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、オブジェクトの重なり方の組み合わせごとに、ソフトマスクを設定し、設定したソフトマスクを該当するオブジェクトに適用した印刷ジョブデータを生成できる。ユーザが所望する見えの優先度に基づいて最適なソフトマスクを設定することができる。VDP文書全体、または個別のフレームまたはオブジェクト間に対してソフトマスクの設定行うことができる。印刷ジョブ作成時、または出力済みの印刷ジョブデータに対してソフトマスクの設定を行うことができる。テキストフレームが近傍にあるオブジェクトに対してソフトマスクを適用し、テキストのオブジェクトが近傍する部分を見やすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】VDPシステムの構成の一例を示すブロック図
【図2】クライアントPC及びDBサーバの構成の一例を示すブロック図
【図3】VDPシステムが動作する構成を示すブロック図の一例の図
【図4】本実施形態のVDPアプリケーションのモジュール構成を説明する図
【図5】ソフトマスクを説明する一例の図
【図6】オブジェクトの重なり方の組み合わせと見えの状態に対する、ソフトマスクの適用例の表
【図7】一定値マスクとグラデーションマスクの適用を説明する一例の図
【図8】(a)テンプレート編集画面の一例の図(b)プレビュー画面の一例の図
【図9】(a)ソフトマスク設定画面の一例の図(b)フレームの選択を受け付けた後、ソフトマスク設定画面を表示する一例の図
【図10】ソフトマスク設定情報の一例の図
【図11】ソフトマスク設定の流れを説明するフローチャート
【図12】重なり部分へのソフトマスク適用を説明するフローチャート
【図13】ソフトマスク個別設定の流れを説明するフローチャート
【図14】ソフトマスク適用の記述をPPMLデータに追加した一例の図
【図15】PPMLデータを読み込んでレコードごとの仕上がりイメージをユーザに表示するソフトマスク設定プレビュー画面
【図16】前面背面のオブジェクトの入れ替えを含むソフトマスク適用の流れを説明するフローチャート
【図17】選択したフレームに対してグラデーションマスクを適用した一例の図
【図18】1フレームの選択を受け付け後、ソフトマスク設定画面を表示する一例の図
【図19】作成済みのPPMLデータに対するソフトマスク設定の流れを説明するフローチャート
【図20】VDP文書作成からVDPデータ出力までの流れを説明するフローチャート
【図21】オブジェクトの重なり方の組みあわせ情報により表現可能なオブジェクトの重なり状態について説明する一例の図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
[実施例1]
<基本構成>
図1は、本実施例に係る情報処理装置を備えるバリアブルデータ印刷(Variable Data Print、以下「VDP」と表記する)システムの構成の一例を示すブロック図である。本バリアブルデータ印刷システムは、クライアントPC(パーソナル・コンピュータ)101、プリントサーバ102、プリンタ103、DB(データベース)サーバ105を有する。プリンタ103、プリントサーバ102、及びクライアントPC101は、ネットワーク(以下「NW」)104を介して接続され、お互いに通信可能である。またクライアントPC101は、プリントサーバ102にVDPデータを送信可能である。プリントサーバ102は、NW104経由でプリンタ103に印刷指示を送信可能である。プリンタ103は、NW104経由で印刷指示を受け付ける。DBサーバ105は、VDPアプリケーションで使用するDBデータなどを格納する。
【0017】
<コンピュータ装置の構成>
図2は、クライアントPC101及びプリントサーバ102の構成の一例を示すブロック図である。図2において、CPU201はRAM204に格納されている制御プログラムに従って本装置全体の制御を行う。ROM207は、CPU201によって実行されるコンピュータプログラムを記憶する。RAM204は、不揮発性のメモリであり、ROM207やHDD205からロードされた各種プログラムや、データファイルを記憶する。RAM204に格納されているプログラムは、RAM204に記憶するデータの内容を読み書きしたり、入力コントローラー202からの入力を受け取ったり、ビデオコントローラー203により画像の表示を行ったりする。CPU201は、各種処理の実行に際して必要なプログラムや必要なデータ等をRAM204にロードして、プログラムを実行することで各種処理を実現する。
【0018】
入力コントローラー202は、キーボードやマウス等のポインティングデバイスからの入力を制御する。ビデオコントローラー203は、CRTディスプレイ(以下「CRT」と表記する)等の表示器への表示を制御する。表示器はCRTだけでなく、液晶ディスプレイ等でもよい。HDD205は、大容量の記憶装置であり、CPU201により実行される各種ソフトウェアが格納されている。また、HDD205は、処理されるデータの一時的な記憶領域としても利用される。HDD205に記憶されている各種ソフトウェアは、必要に応じてRAM204に読み込まれ、同じくRAM204に読み込まれているオペレーティングシステムの機能を必要に応じて使用し、CPU201の制御のもと実行される。
【0019】
通信IF206は、NWを介して、外部機器と接続及び通信するものであり、コンピュータの通信制御処理を実行する。例えば、TCP/IPを用いたインターネット通信やプリンタとの間でデータの送受信等を実行する。CPU201は、例えば、RAM204の表示情報用領域でラスタライズ処理を実行することにより、CRTの表示を可能とする。また、CPU201は、CRT上のマウスカーソル等でのユーザ指示を可能とする。
【0020】
図3は、VDPシステムが動作する構成を示すブロック図の一例である。301はクライアントPCであり、図1のクライアントPC101にあたり、本発明を実現するための情報処理装置を含むVDPアプリケーション311が動作する。302はDBサーバであり、DB312が管理される。DB312は、バリアブルデータ印刷文書(以下「VDP文書」と表記する)の可変領域にデータを供給するためのDBデータ315を有する。303はプリンタであり、RIP(ラスターイメージプロセス)プログラム(以下「RIP」と表記する)313が動作し、プリンタエンジン316にて印刷処理を実行する。304はプリントサーバであり、クライアントPC301からPPMLデータを受け取り、NW経由でプリンタ303に送信する。
【0021】
VDPアプリケーション311は、可変領域のデータとして指定されたデータに対する取得要求を、NW321を介してDBサーバ302のDB312に送信し、NW321を介してDBデータ315を取得する。そして、VDPアプリケーション311は取得したDBデータ315を使用し、PPML(Personalized Print Markup Language)データ314を作成する。VDPアプリケーション311は作成したPPMLデータ314を、NW322を介してプリントサーバ304に送信する。次に、PPMLデータ314を受信したプリントサーバ304は、前記PPMLデータ314に印刷指示と共にプリンタ303に送信する。RIP313がPPMLデータ314に対するRIP処理を行い、RIP処理の結果をプリンタエンジン316に送信して印刷処理を行う。
【0022】
<モジュール構成>
本実施例では、本発明の情報処理モジュールが、VDPアプリケーションのモジュールの一部として実装されているものとして説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、VDPアプリケーションとは独立したアプリケーションであってもよい。
【0023】
図4は、本実施例のVDPアプリケーション40のモジュール構成を説明する図である。VDPアプリケーション40は、UI部401、テンプレート編集部402、重なり部分情報取得部403、ソフトマスク設定部404、DB接続部405、およびVDPジョブ出力部406で構成される。VDPアプリケーション40は、クライアントPC301上で動作し、各モジュールは図2のCPU201にて実行処理を制御される。
【0024】
UI部401は、ユーザに対してテンプレート編集画面、ソフトマスク設定画面を表示し、ユーザからの操作を受け付けるモジュールである。テンプレート編集画面については、図8を用いて後述する。ソフトマスク設定画面については、図9を用いて後述する。
【0025】
テンプレート編集部402は、VDP文書のテンプレートを編集するモジュールである。UI部401が受け付けたユーザの編集指示に応じて、紙面の編集、可変領域・固定領域の指定をテンプレートに反映する。また、DBから取得したDBデータ315をテンプレートの可変領域に適用させる。テンプレート編集部402は、一般的なVDPアプリケーション311が備えている機能であるため、詳細な処理は省略する。
【0026】
重なり部分情報取得部403は、重なり部分の描画領域に関する情報と、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報とを取得するモジュールである。重なり部分の描画領域に関する情報とは、重なり部分の形状、サイズ、位置など印刷データの描画に関わる情報をさす。
【0027】
オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報とは、重なり部分を構成する各オブジェクトのオブジェクト種別と透明度情報の組み合わせである。背面のオブジェクトと前面のオブジェクトのオブジェクト種別と透明度情報を使って、次のように表記する。「背面のオブジェクトのオブジェクト種別(透明度の有無)+前面のオブジェクトのオブジェクト種別(透明度の有無)」。図21を用いて、オブジェクトの重なり方の組みあわせ情報により表現可能なオブジェクトの重なり状態の一例について説明する。図21で、2101は前面のオブジェクト、2102は背面のオブジェクトである。2103はオブジェクト2101のオブジェクト2102との重なり部分を構成する部分であり、2104はオブジェクト2102のオブジェクト2101との重なり部分を構成する部分である。ここで、オブジェクト2101とオブジェクト2102のオブジェクト種別がどちらも完全不透明なイメージの場合、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報は「イメージ(不透明)+イメージ(不透明)」となる。また、オブジェクト2101、2102のオブジェクト種別がそれぞれ、背景色を持たないフレームのテキスト、および完全不透明なイメージの場合、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報は「イメージ(不透明)+テキスト(背景色無)」となる。ここで、説明の簡単のために、背面のオブジェクトの透明度の有無は、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報に対して設定されるソフトマスクの種類に大きな影響を与えないものとし、以降の説明では、背面のオブジェクトの透明度の有無の記述を省略する。背面のオブジェクトの透明度の有無の記述を省略した場合、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報は「背面のオブジェクトのオブジェクト種別+前面のオブジェクトのオブジェクト種別(透明度の有無)」となる。重なり部分情報取得部403については、後述する。
【0028】
ソフトマスク設定部404は、UI部401が受け付けたユーザからの編集指示に従って、ソフトマスク設定情報を作成・編集するモジュールである。ソフトマスク設定情報については、後述する。DB接続部405は、DB312に接続し、DBデータ315を取得するモジュールである。VDPジョブ出力部406は、DB312に格納され、DB接続部405により取得されたDBデータ315を可変領域に適用したVDPデータを出力するモジュールである。本実施例では、VDPジョブはPPMLデータであるとして説明する。また、後に説明する指示に従って、VDPデータ内にソフトマスクを記述する。
【0029】
<ソフトマスク>
ソフトマスクについて説明する。ソフトマスクは、オブジェクトの一部を半透明にするオブジェクトとして定義され、ビットマップを用いて作成する。前記ビットマップの画素値に応じて透明度が設定されるため、オブジェクトに適用されたソフトマスクの画素値を持つ部分が半透明になり、背面のオブジェクトが透過して見えるようになる。このとき、ソフトマスクとして定義されるビットマップは、どんな色空間を持っていても作成可能であるが、グレースケール以外の色空間を持つ場合は、RIP処理時にグレースケールに変換される。そのため、RIPによって値が変化してしまい、ユーザの意図したソフトマスクとならない可能性がある。したがって、本実施例では、ソフトマスクはグレースケールのビットマップで作成するものとして説明する。
【0030】
図5はソフトマスクを説明する一例の図である。図5の501、502は共に透明度を持たない完全不透明なオブジェクトであり、重なり部分を構成する。501は前面のオブジェクト、502は背面のオブジェクト、503はオブジェクト501の重なり部分、504はオブジェクト502の重なり部分である。501は502よりも後に描画されるため、重なり部分504は503に完全に隠れて見えない状態である。以降、「見える」「見えない」「透過して見える」などの、見えを「見えの状態」と呼ぶ。505は、重なり部分504が透過して見えるようにするためにオブジェクト501を一部半透明にするソフトマスクである。ソフトマスク505は、オブジェクト501と同じサイズを持ち、オブジェクト501の重なり部分503の部分だけ画素値を有するグレースケールのビットマップである。ソフトマスク505により、オブジェクト501の重なり部分503の部分だけ透明度を与えられ、重なり部分504が透過して見えるようになる。以降、ソフトマスクにより重なり部分が半透明になることを、「ソフトマスクを適用する」と表現する。
【0031】
<見えの状態とソフトマスク適用>
重なり部分はオブジェクトの重なり方の組み合わせ情報によって見えの状態が異なるため、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報と見えの状態がソフトマスクを適用するか否かの判断材料となる。図6は、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報と見えの状態に対する、ソフトマスクの適用例の表である。図6の601は、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報、602は、重なり部分の前面、背面のオブジェクトの見えの状態、603は、ソフトマスクの適用例である。たとえば、行604は、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報がテキスト+イメージ(不透明)の場合の見えの状態は、前面は見える、背面は見えないであるということを意味する。このとき、テキストの見えの状態を「見えない」から「透過して見える」に変更することをユーザによって所望されるとき、前面のイメージにソフトマスクを適用することにより、ユーザが所望する背面のテキストの見えを提供できる。この表は、推奨ソフトマスク設定の時に、ソフトマスク選択の判断材料として使用する。推奨ソフトマスク設定については後述する。
【0032】
<ソフトマスクの種類>
ソフトマスクの種類について説明する。本実施例では、ソフトマスクの種類として、(1)一定値マスク、(2)グラデーションマスク、(3)マスク無し、の3種類を取り上げる。(1)の一定値マスクは、不透明度が適用領域内で均一なソフトマスクである。(2)のグラデーションマスクは、縦、横、斜めなど指定した方向へのグラデーションになるように、適用領域内で色の濃淡を滑らかに連続して変化させるソフトマスクである。グラデーションマスクは、たとえば、ソフトマスクの適用領域と適用領域外との境界を目立たないようにする場合や、見えの状態を良好にしたい部分が適用領域内で偏っている場合などに用いる。(3)のマスク無しは、重なり部分に対して、ソフトマスクの適用を行わないことを意味する。
【0033】
図7を用いて一定値マスクおよびグラデーションマスクの適用を説明する。図7(a)の701はオブジェクトの重なり方の組み合わせ情報が「イメージ+テキスト(透明)」である重なり部分であり、背面のオブジェクトの重なり部分に対してソフトマスクを適用するように設定されている。
【0034】
図7(b)を用いて、(a)のオブジェクトの重なり部分への一定値マスクの適用について説明する。702は一定値マスクである。一定値マスク702は、背面のオブジェクトと同じサイズを持ち、画素値を持つグレーの部分703は、(a)の重なり部分701と同じサイズを持つ。一定値マスク702は、背面のオブジェクトの重なり部分のみ、均一な画素値を持つような、グレースケールのビットマップである。グレーの部分の画素値に応じて透明度が設定されるため、(a)の前面のオブジェクトにソフトマスク702を適用すると、ソフトマスク702のグレーの部分703のみ半透明となり、背面のオブジェクトが透過して見えるようになる(704)。
【0035】
図7(c)を用いて(a)のオブジェクトの重なり部分へのグラデーションマスクの適用について説明する。705はグラデーションマスクである。グラデーションマスク705は、(a)の背面のオブジェクトと同じサイズを持ち、画素値を持つグレーの部分706は、(a)の重なり部分701と同じサイズを持つ。グラデーションマスク705は、背面のオブジェクトの重なり部分の領域内がグラデーションになるように、グレーの部分706の画素値を連続して変化させるグレースケールのビットマップである。(a)の前面のオブジェクトにソフトマスク705を適用すると、ソフトマスク705のグラデーションの画素値に応じて透明度が滑らかに変化することにより、背面のオブジェクトが透過して見えるようになる(707)。
【0036】
<テンプレート編集画面>
図8(a)は、VDPアプリケーションのテンプレート編集画面80の一例の図である。テンプレート編集画面80上で行われるユーザからの編集指示は、UI部401が受け付けたユーザの編集指示に応じて、テンプレート編集部402が処理する。80はVDP文書のレイアウトを行うためのウィンドウである。802はVDP文書にオブジェクトを配置するテンプレート、803、804は可変領域を配置するフレームを表す。そして、入力コントローラー202を介してクライアントPC101に接続されるキーボードやポインティングデバイスの入力信号を受け取り、作成・移動・選択といった操作を行う。805は固定領域を表す。固定領域に描画されるオブジェクトは、DBデータ315の情報に応じて変化することはないため、実際に描画されるオブジェクトを表示する。図8において、可変領域803、804にDBデータ315に基づいて配置されるオブジェクトはそれぞれイメージ、テキストである。なお、可変領域804は可変領域803より先に描画される。また、可変領域803と804は、DBデータ315の指定に基づいて配置されるオブジェクトのサイズによって拡縮可能であるとする。806は、ソフトマスク設定ボタンであり、UI部401がソフトマスク設定ボタン806の選択を受け付けることによりソフトマスク設定画面を表示する。801はプレビューボタンであり、UI部401がプレビュー画面ボタンの選択を受け付けることにより、前記受け付けたソフトマスク設定を適用した印刷の仕上がりイメージを、プレビュー画面に表示する。
【0037】
図8(b)は、プレビュー画面81の一例の図である。811は可変領域であり、812は固定領域である。811、812はどちらも完全不透明のイメージであり、811と812が重なり部分を持っている。プレビュー画面には、DBデータ315を可変領域811に適用し、RIP処理した結果の印刷イメージに対して、ソフトマスク設定を適用した印刷の仕上がりイメージが表示される。
【0038】
<重なり部分情報取得>
重なり部分情報取得について説明する。重なり部分情報取得に関する一連の処理は重なり部分情報取得部403が行う。重なり部分情報は、重なり部分描画領域情報と、重なり部分を構成するオブジェクトのオブジェクト種別と透明度情報から成る。重なり部分描画領域情報は、オブジェクト同士の重なりを検出し、各オブジェクトのサイズと描画位置から、重なり部分のサイズと描画位置を算出することにより取得できる。
【0039】
次に、重なり部分のオブジェクト種別の取得について説明する。固定領域のオブジェクトの場合は、DBデータ315の情報に応じて変化することはないため、テンプレートに配置されたオブジェクトから、オブジェクト種別を取得する。可変領域の場合は、一般的にフレームが配置されるときにオブジェクト種別が決定するため、配置されたフレームからオブジェクト種別を取得する。フレームが配置されるときにオブジェクト種別が決定しない場合は、DBデータ315の情報に基づいて配置されるオブジェクトの情報からオブジェクト種別を取得する。
【0040】
透明度情報は、透明度の有無の情報である。テキストのフレームの場合は、VDP文書作成時に配置されたフレームが背景色を持っているか否かで判定する。イメージの透明度の有無は、オブジェクトがアルファ値(アルファチャネルともいう)を持っているか否かで判定する。
【0041】
<ソフトマスク設定画面>
図9(a)は、ソフトマスク設定画面90の一例の図である。90はソフトマスク設定を行うためのウィンドウである。ソフトマスク設定画面90上で行われるユーザからのソフトマスク設定指示は、UI部401が受け付けたユーザのソフトマスク設定指示に応じて、ソフトマスク設定部404が処理する。901はソフトマスクの設定方法を選択するためのソフトマスク設定方法選択ラジオボタン、904は、ソフトマスク適用対象のオブジェクトを指定するためのオブジェクト選択プルダウンである。また、905は、ソフトマスクの種類を選択するためのソフトマスク種類選択プルダウン、907は、推奨ソフトマスク設定の優先度の項目を選択するための優先度選択プルダウンを表す。908はOKボタンであり、ソフトマスク設定画面で設定した結果をHDD205に一時格納する。901、904、905、907、908は、入力コントローラー202が、キーボードやマウス等のポインティングデバイスからの入力を制御することにより、選択の操作を行う。
【0042】
ここで、ソフトマスク設定画面90は、ソフトマスク設定方法として、ソフトマスク詳細設定902と、推奨ソフトマスク設定906を有する。ソフトマスク詳細設定902は、オブジェクトの重なり方の組み合わせごとに前面・背面のどちらのオブジェクトにどの種類のソフトマスクを適用するかの選択をユーザから受け付け、前記ソフトマスク設定結果を取得する。以降、ソフトマスク設定画面にて設定されたソフトマスクの設定結果を「ソフトマスク設定情報」と呼ぶ。ソフトマスク設定情報は、UI部401がソフトマスク設定画面のOKボタン908の選択をユーザから受け付けることにより、HDD205に格納可能である。格納されたソフトマスク設定情報100は、他のVDP文書に対して再利用することができる。ソフトマスク設定情報100の再利用については、後述する。
【0043】
推奨ソフトマスク設定906は、ユーザから見えの優先度を受け付け、優先度に基づいて各オブジェクトの重なり方の組み合わせに適したソフトマスクを自動的に設定する。見えの優先度とは、たとえば「テキストよりイメージの見えを優先する」といったオブジェクト種別に基づいた優先順位付けや、「固定領域より可変領域のオブジェクトの見えを優先する」といった固定領域、可変領域の違いに従った優先順位付けなどをさす。ここでは、見えの優先度として、「テキスト優先」、「イメージ優先」、「固定領域優先」、「可変領域優先」が選択可能であるとする。「テキスト優先」の場合を例にとって説明する。たとえば、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報「イメージ+テキスト(透明)」に対しては、テキストがよく見えるように背面のイメージに対して透明度の高い一定値マスクが設定される。また、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報「テキスト+イメージ(不透明)」に対しては、背面のテキストがよく見えるように、前面のイメージの重なり部分に対して、透明度の高い一定値マスクが設定される。前記見えの優先度に関連付けられたソフトマスク設定情報は、HDD205に格納されており、ユーザから優先度の選択を受け付けた際に、選択された見えの優先度に関連付けられたソフトマスク設定情報を呼び出す。
【0044】
<ソフトマスク設定情報>
図10はソフトマスク設定情報100の一例の図である。1001はオブジェクトの重なり方の組み合わせ情報、1002はソフトマスク適用対象のオブジェクト、1003はソフトマスクの種類である。ソフトマスク設定情報は、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報1001に対して、ソフトマスク適用対象のオブジェクト1002とソフトマスクの種類1003を紐付ける。
【0045】
<全体のフローチャート>
図20は、本情報処理装置による、VDP文書作成からVDPデータ出力までの流れを説明するフローチャートである。まず、ステップS2001で、VDP文書の作成開始を受け付ける。次に、ステップS2002で、ソフトマスク設定を受け付ける。次に、ステップS2003で、ソフトマスク適用を受け付ける。最後に、ステップS2004で、前記作成されたVDP文書をVDPデータとして出力する。ステップS2002のソフトマスク設定とステップS2003のソフトマスク適用については、後述する。
【0046】
<ソフトマスク設定フロー>
図20ステップS2002の、ソフトマスク設定の流れを説明する。図11はソフトマスク設定の流れを説明するフローチャートである。図8、図9を用いてソフトマスク設定の流れを説明する。まず、ステップS1101で、UI部401が、テンプレート編集画面80のソフトマスク設定ボタン806の選択を受け付けることにより、図9のソフトマスク設定画面90を表示する。このとき、ソフトマスク詳細設定902の初期表示は、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報903に応じた、ソフトマスク適用対象のオブジェクト904とソフトマスクの種類905とのデフォルト値を表示する。デフォルト値は、背面のオブジェクトと前面のオブジェクトがどちらも均等に見え、且つ不自然とならないようなソフトマスク設定情報であるとする。たとえば、「イメージ+イメージ(不透明)」の場合は、背面のオブジェクトと前面のオブジェクトがどちらも見え、且つ不自然にならないように、前面のイメージの重なり部分にグラデーションマスクを適用するように設定される。次に、ステップS1102で、UI部401が、ユーザからラジオボタン901の選択を受け付けることにより、ソフトマスク設定方法を指定する。次に、ステップS1103で、設定方法がソフトマスク詳細設定の場合は、ステップS1104で、各オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報903に対してソフトマスク適用対象オブジェクト904、ソフトマスクの種類905の選択を受け付ける。一方、ステップS1103で、設定方法が推奨ソフトマスク設定の場合は、ステップS1105で、
プルダウン907にて見えの優先度の選択を受け付け、ステップS1106で、見えの優先度に関連付けられたソフトマスク設定情報をHDD205より取得する。最後に、ステップS1107でステップS1104またはステップS1106のソフトマスク設定情報を保存して、ソフトマスク設定を終了する。
【0047】
以上は、ソフトマスク設定画面90によるソフトマスクの設定をVDP文書全体に適用する場合の説明である。個別のフレームまたはオブジェクト間にソフトマスクを適用する場合は、フレームまたはオブジェクトの選択を受け付けた後、ソフトマスク設定画面にて適用対象のオブジェクトの、オブジェクト種別の組み合わせに対してソフトマスクを設定する。これを「ソフトマスク個別設定」とよぶ。
【0048】
図13は、ソフトマスク個別設定の流れを説明するフローチャートである。図8、図9(b)を用いてソフトマスク個別設定を説明する。まず、ステップS1300で、ユーザから図8のフレーム803、804の選択を受け付ける。次に、ステップS1301で、ユーザからソフトマスク設定ボタン806の選択を受け付けて、ソフトマスク設定画面を表示する。図9(b)は、ソフトマスク個別設定におけるソフトマスク設定画面の一例の図である。図9(b)は、UI部401がフレーム804、803の選択を受け付けた後、ソフトマスク設定画面ボタン806の選択を受け付けたときのソフトマスク設定画面である。911はソフトマスク詳細設定を行う領域であり、912はオブジェクトの重なり方の組み合わせ情報である。このとき、フレーム選択時に、可変領域804と803のオブジェクト種別がそれぞれテキスト、イメージであることが既知である場合は、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報912のうち、ソフトマスクの種類を設定できない組み合わせは表示されない。ステップS1302〜ステップS1306までは図11のステップ1102〜ステップ1106までと同じである。最後に、ステップS1307で、前記選択を受け付けたフレームと関連付けてソフトマスク設定情報をHDD205に保存する。
【0049】
なお、上記説明において、ソフトマスク個別設定は可変領域を用いたが、いずれかが固定領域の場合も同じであり、固定領域の場合はフレームではなくオブジェクトを選択する。
【0050】
<ソフトマスク適用フロー>
次に、図20ステップS2003の、重なり部分へのソフトマスク適用の流れとPPML出力を説明する。図12は、重なり部分へのソフトマスク適用を説明するフローチャートである。まず、ステップS1201で、重なり部分情報取得部403により、VDPアプリケーションで編集中のドキュメントテンプレートにDBデータ315の情報に基づいてオブジェクトが配置されるとき、オブジェクト同士が一部重なる部分を検出する。ステップS1201で重なり部分が検出された場合は、ステップS1202で、重なり部分情報取得部403により、重なり部分描画領域情報を取得する。そして、重なり部分描画領域情報から、ソフトマスクの描画サイズ、描画位置などの重なり部分の描画に関わる情報を取得する。ステップS1203で、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報を取得する。次に、ステップ1204で、図20のステップS2002で設定されたソフトマスク設定情報をHDD205から取得する。次に、ステップS1205で、取得したソフトマスク設定情報に基づいて、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報に対応するソフトマスクの種類を決定する。次に、ステップS1206で、決定したソフトマスクの種類が“ソフトマスク無し”であるか否かを判定する。ステップS1206で、ソフトマスクの種類が“ソフトマスク無し“であると判定された場合は、ソフトマスクを作成する必要がないため、そのまま終了する。ステップS1206でソフトマスクを作ると判定された場合は、ステップS1207で、描画領域情報と、ソフトマスクの種類から、ソフトマスクをグレースケールのビットマップで作成する。
最後にステップS1208で、作成したソフトマスクのオブジェクトを、ソフトマスク適用対象オブジェクトに適用する記述をPPMLデータに追加する。
【0051】
<ソフトマスクの記述>
図14は、ソフトマスク適用の記述をPPMLデータに追加した一例の図である。図14は、PPMLのVersion3.0の記述であり、SOFTMASK要素によりソフトマスクの定義が可能である。PPMLデータは、階層構造を持ち、階層構造はPPML要素を最上位の階層とし、PAGE要素は論理ページを定義する。MARK要素はページ内におけるオブジェクトの配置を指定し、OBJECT要素はページに描画されるオブジェクトを定義する。MARK、OBJECT要素は、子要素としてSOFTAMSK要素を持つことが出来、SOFTMASK要素は、他のオブジェクトを部分的に透明にするオブジェクトとして、ソフトマスクを定義する。SOFTMASK要素は子要素にSOURCE要素を持ち、SOURCE要素は、ソフトマスクに変換されるオブジェクを定義する。図14の1401は、SOFMASK要素を用いたソフトマスク定義の記述であり、ソフトマスクのビットマップ“softmask”を、SOFTMASK要素にてソフトマスクとして定義する。図14のPPMLデータは、背面のオブジェクト“background_object
”と前面のオブジェクト“foreground_object”の配置を定義しており、前記2つのオブジェクトは重なり部分を持つ。前記2つのオブジェクトはいずれもイメージであり、前面のオブジェクト“foreground_object”がソフトマスク適用対象オブジェクトである。このとき、前記ソフトマスク定義の記述を、前面のオブジェクト“foreground_object”の前に追加すると、前面のオブジェクト“foreground_object”の重なり部分に対してソフトマスクが適用される。
【0052】
<PPML作成後のソフトマスク適用>
以上、VDPアプリケーションでテンプレート編集時にソフトマスクを設定し、PPMLデータ出力時にソフトマスクを適用する方法について述べた。以降、PPMLデータの出力時ではなく、PPMLデータを作成した後にソフトマスクの設定・適用を実施する方法について述べる。
【0053】
図15は、作成済のPPMLデータを読み込んでレコードごとの仕上がりイメージをユーザに表示するソフトマスク設定プレビュー画面150である。図15の1501は、図10で説明したソフトマスク設定情報を読み込むソフトマスク設定情報読み込みボタンであり、1506は、PPMLデータを外部から読み込むPPMLデータ読み込みボタンである。1502は読み込んだPPMLデータのプレビュー結果表示領域、1503、1504は可変領域、1505は固定領域である。また、1509はプレビューするレコード番号を指定するレコード指定ボックス、1510はプレビュー対象のページ番号を指定するページ指定ボックスである。1507は、ソフトマスク設定画面を表示するソフトマスク設定ボタンであり、1508はプレビューボタンである。UI部401がプレビューボタン1508の選択を受け付けると、プレビュー結果表示領域1502に、PPMLデータへの変更を反映したVDP文書のプレビュー結果を表示する。図15では、読み込んだPPMLデータの5レコード目の22ページ目を表示している。
【0054】
図15を用いて、作成済みのPPMLデータに対するソフトマスク設定について説明する。図19は、作成済みのPPMLデータに対するソフトマスク設定の流れを説明するフローチャートである。まず、ステップS1901で、UI部401がPPMLデータ読込ボタン1506の選択により、PPMLデータの選択を受け付け、PPMLデータを読み込む。そして、ステップS1902で、読み込んだPPMLデータの印刷イメージをプレビュー結果表示画面1502に表示する。次に、ステップS1903で、ソフトマスク設定情報がすでにHDD205にあり、再利用する場合は、UI部401がユーザからソフトマスク設定情報ボタン1501の選択を受け付け、ソフトマスク設定情報を取得する。次に、ステップS1904で、ソフトマスク設定情報が取得されてない場合は、ステップS1905で、UI部401がユーザから、ソフトマスク設定ボタン1507の選択を受け付け、ソフトマスク設定画面を表示し、ソフトマスクを設定する。ソフトマスク設定情報が取得済みでない場合は、デフォルト値が表示される。ステップS1904で、ソフトマスク設定情報が取得済みの場合は、ステップS1906で、前記取得したソフトマスク設定情報がソフトマスク設定画面に表示され、ステップS1907で、ソフトマスク設定情報を編集する。ソフトマスク設定画面は図9と同じ画面であるとする。最後に、ステップS1908で、UI部401がユーザからプレビューボタン1508の選択を受け付け、ソフトマスク設定結果を反映した印刷イメージをプレビュー結果表示画面に表示する。指定されたレコードの指定されたページの選択したフレームにのみソフトマスクを適用する場合は、テンプレート編集時のソフトマスク個別設定と同様に、フレームの選択を受け付けた後、ソフトマスク設定ボタンの選択を受け付けて、ソフトマスクを設定する。
【0055】
[実施例2]
実施例1においては、重なり合うオブジェクトに対して、ソフトマスクを用いて見えを補正する例を説明した。実施例2においては、実施例1に加えて、重なり合うオブジェクトの前面背面の入れ替えを加えた例について説明する。なお、実施例2では実施例1と同一となる説明は省略し、差分のみ説明を行う。よって、特別な記載無き場合は実施例1もあわせて参照されたい。
【0056】
<背面前面の入れ替え>
重なり部分で、ソフトマスク設定前に前面背面を入れ替えると、必要以上に重なり部分に適用するマスクを複雑にせずに、見えをよくすることが出来る場合がある。例えば、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報604に対してイメージの重なり部分にソフトマスクを適用した場合、前面のイメージによっては背面のテキストが見えにくいままとなり、さらに見えをよくするために複雑なソフトマスクを適用する可能性がある。このとき、背面にあるテキストと前面のイメージとを入れ替えた後、イメージ(不透明)+テキストに対する処理を行うと、必要以上に複雑なソフトマスクをかけずにテキストの見えをよくすることができる場合がある。前面背面の入れ替えの際には、背面のオブジェクトの透明度情報がソフトマスクの選択に影響を与えるため、背面のオブジェクトの透明度情報を取得する。
【0057】
図16は、本実施形態における重なり部分の前面背面のオブジェクトの入れ替えを含むソフトマスク適用の流れを説明するフローチャートである。ステップS1601〜S1605までは、図12のステップS1201〜S1205と同じであるため、説明は省略する。ステップS1606で、ステップS1604でオブジェクトの前面背面入れ替えの指示を取得した場合、ステップS1607で、指定されたオブジェクトの重なり方の組み合わせ情報を持つオブジェクトの描画順序を変更する。ステップS1607でオブジェクトの前面背面の入れ替えを行った後は、ステップS1608〜ステップS1610までの処理は、図12のステップS1206〜S1208と同じである。
【0058】
[実施例3]
実施例1においては、重なり合うオブジェクトに対して、ソフトマスクを用いて見えを補正する例を説明した。実施例3においては、実施例1に加えて、重ならない場合のソフトマスク適用を加えた例について説明する。なお、実施例3では実施例1と同一となる説明は省略し、差分のみ説明を行う。よって、特別な記載無き場合は実施例1もあわせて参照されたい。尚、オブジェクトが以下の図17のように左右もしくは上下に重ならず接しているものもしくは、不図示の距離設定用の操作部上でユーザにより設定される距離内にあるオブジェクトが「近接」しているオブジェクトである。
【0059】
<重ならない場合のソフトマスク適用>
テキストにイメージが近接している場合、イメージに近いテキストの文字が見えにくいケースがある。このように、重なっていない場合でも、テキストに近接するイメージに対して、テキストに近い部分の不透明度が小さくなるように、イメージにソフトマスクを適用することで、テキストを見えやすくすることができる。たとえば、イメージの周囲、例えば右にテキストのフレームが存在するときは、テキストに近い右の不透明度が小さく、イメージの左の不透明度が大きい縦方向のグラデーションマスクをビットマップとして作成し、イメージに適用する。図17は、選択したフレームに対してグラデーションマスクを適用するイメージ図の一例である。(a)の1701は、グラデーションマスク、1702はテキストフレームである。(b)の1703は、テキストのフレームが近接するイメージに、グラデーションマスク1701を適用した結果のイメージ図である。
【0060】
図8を用いて、フレームまたはオブジェクト同士が重なっていない場合に、ソフトマスクを適用する方法について説明する。図18は、図8のテンプレート編集画面で1オブジェクトの選択を受け付けた後、ソフトマスク設定ボタンの選択を受け付けることにより表示される、ソフトマスク設定画面180である。前記選択を受け付ける1オブジェクトは、オブジェクト種別がイメージである固定領域のオブジェクトであるとする。1801はソフトマスク適用結果であり、テキストのフレームとイメージとの位置関係において、どのようなソフトマスクを適用するかのイメージを視覚的に表現している。1802は一定値マスクの指定またはグラデーションの方向の指定を受け付けるラジオボタンである。「縦」、「横」などの方向を指定した場合は、その方向にグラデーションマスクが指定され、「均一」を選択した場合は、一定値マスクが指定される。ラジオボタン1802の指定を受け付けることにより、前記指定されたソフトマスクを前記選択されたイメージに対して適用した適用結果1801が更新される。OKボタン1803の選択を受け付けることにより、前記指定されたオブジェクトに対してソフトマスクの設定を行う。以上の設定により、PPMLデータ出力時に、指定されたオブジェクトの近傍にテキストがある場合、前記指定されたオブジェクト全体に適用するソフトマスクを作成し、PPMLデータにソフトマスクの記述を追加する。
【0061】
以上、固定領域のオブジェクトにソフトマスクを適用する方法について述べたが、可変領域についても同じである。可変領域の場合は、1フレームの選択を受け付ける。
【0062】
[その他の実施例]
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0063】
403 重なり部分情報取得部
404 ソフトマスク設定部
405 データベース接続部
406 VDPジョブ出力部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オブジェクトの重なり部分に対して、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報ごとにソフトマスクを設定するソフトマスク設定手段と、前記ソフトマスク設定手段により設定されたソフトマスクを、バリアブルデータ印刷文書に適用するソフトマスク適用手段と、前記ソフトマスク適用手段でソフトマスクを適用されたバリアブルデータ印刷文書を出力する出力手段とを備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報は、重なり部分を構成するオブジェクト種別を含むことを特徴とする、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報は、重なり部分を構成する各オブジェクトの透明度の有無を含むことを特徴とする、請求項1または2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報は、重なり部分を構成するオブジェクトが配置されるテキストフレームの背景色の有無を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記ソフトマスク設定手段は、見えの状態の優先度に基づいて、対応する推奨のソフトマスクを設定することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記ソフトマスク設定手段は、ソフトマスクを文書全体に対して設定することを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記ソフトマスク設定手段は、2つ以上のフレームの間に個別のソフトマスクを設定することを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記ソフトマスク設定手段は、重ならないが近接するテキストフレームが周囲に存在するフレームまたはオブジェクトに対して、ソフトマスクを設定することを特徴とする、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記ソフトマスク設定手段は、ソフトマスク設定情報を保存することを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記ソフトマスク適用手段は、固定領域および可変領域のオブジェクトの重なり部分を検出する手段と、前記重なり部分のオブジェクトの描画領域を取得する手段と、前記重なり部分を構成するオブジェクトの重なり方の組み合わせ情報を取得する手段と、ソフトマスク設定結果を取得する手段と、前記オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報と関連付けて、前記ソフトマスク設定結果に基づくソフトマスクの種類を取得する手段と、前記ソフトマスク設定手段により設定されたソフトマスクを、前記取得された描画領域を基に作成する手段と、前記作成したソフトマスクを適用対象のオブジェクトに適用する手段とを備えることを特徴とする、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記ソフトマスクをオブジェクトに適用する手段は、PPMLデータを作成する時に適用することを特徴とする、請求項10記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記ソフトマスクをオブジェクトに適用する手段は、作成済みのバリアブルデータ印刷文書に対して適用することを特徴とする、請求項10記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記バリアブルデータ印刷文書は、PPMLで記述されることを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記ソフトマスク設定手段は、PPMLデータを読み込んで、前記読み込んだPPMLデータに対してソフトマスクを設定することを特徴とする、請求項1から13のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項15】
オブジェクトの重なり部分に対して、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報ごとにソフトマスクを設定する工程と、前記設定されたソフトマスクを、バリアブルデータ印刷文書に適用する工程と、前記ソフトマスクを適用されたバリアブルデータ印刷文書を出力する工程とを備えることを特徴とする情報処理方法。
【請求項16】
コンピュータを、請求項1から14のいずれか1項に記載の情報処理装置の各手段として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項1】
オブジェクトの重なり部分に対して、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報ごとにソフトマスクを設定するソフトマスク設定手段と、前記ソフトマスク設定手段により設定されたソフトマスクを、バリアブルデータ印刷文書に適用するソフトマスク適用手段と、前記ソフトマスク適用手段でソフトマスクを適用されたバリアブルデータ印刷文書を出力する出力手段とを備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報は、重なり部分を構成するオブジェクト種別を含むことを特徴とする、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報は、重なり部分を構成する各オブジェクトの透明度の有無を含むことを特徴とする、請求項1または2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報は、重なり部分を構成するオブジェクトが配置されるテキストフレームの背景色の有無を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記ソフトマスク設定手段は、見えの状態の優先度に基づいて、対応する推奨のソフトマスクを設定することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記ソフトマスク設定手段は、ソフトマスクを文書全体に対して設定することを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記ソフトマスク設定手段は、2つ以上のフレームの間に個別のソフトマスクを設定することを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記ソフトマスク設定手段は、重ならないが近接するテキストフレームが周囲に存在するフレームまたはオブジェクトに対して、ソフトマスクを設定することを特徴とする、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記ソフトマスク設定手段は、ソフトマスク設定情報を保存することを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記ソフトマスク適用手段は、固定領域および可変領域のオブジェクトの重なり部分を検出する手段と、前記重なり部分のオブジェクトの描画領域を取得する手段と、前記重なり部分を構成するオブジェクトの重なり方の組み合わせ情報を取得する手段と、ソフトマスク設定結果を取得する手段と、前記オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報と関連付けて、前記ソフトマスク設定結果に基づくソフトマスクの種類を取得する手段と、前記ソフトマスク設定手段により設定されたソフトマスクを、前記取得された描画領域を基に作成する手段と、前記作成したソフトマスクを適用対象のオブジェクトに適用する手段とを備えることを特徴とする、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記ソフトマスクをオブジェクトに適用する手段は、PPMLデータを作成する時に適用することを特徴とする、請求項10記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記ソフトマスクをオブジェクトに適用する手段は、作成済みのバリアブルデータ印刷文書に対して適用することを特徴とする、請求項10記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記バリアブルデータ印刷文書は、PPMLで記述されることを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記ソフトマスク設定手段は、PPMLデータを読み込んで、前記読み込んだPPMLデータに対してソフトマスクを設定することを特徴とする、請求項1から13のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項15】
オブジェクトの重なり部分に対して、オブジェクトの重なり方の組み合わせ情報ごとにソフトマスクを設定する工程と、前記設定されたソフトマスクを、バリアブルデータ印刷文書に適用する工程と、前記ソフトマスクを適用されたバリアブルデータ印刷文書を出力する工程とを備えることを特徴とする情報処理方法。
【請求項16】
コンピュータを、請求項1から14のいずれか1項に記載の情報処理装置の各手段として機能させるためのコンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−12115(P2013−12115A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145385(P2011−145385)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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