説明

情報処理装置、無線LAN接続制御方法及びプログラム

【課題】それぞれ無線LAN機能を備える情報処理装置とデバイスとをつなげた場合に、該デバイスを通じてインターネット接続した該情報処理装置以外の端末が引き続きインターネットに接続できるようにする。
【解決手段】情報処理装置は、少なくとも無線LAN機能を備え無線LAN設定情報を保持するデバイスの自端末との接続状態を検出する接続検出手段と、自装置の無線LAN機能の状態を検出する無線LAN状態検出手段と、接続検出手段により検出されたデバイスの接続状態及び無線LAN状態検出手段により検出された自装置の無線LAN機能の状態に基づいて、自装置の無線LAN設定を行う無線LAN設定手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、無線LAN接続制御方法及びプログラムに関し、特に、例えばモバイルルータといったWAN通信機能や無線通信LAN機能を備えた着脱可能なデバイスとPC等の情報処理装置とにおける無線LANの接続制御に好ましく適用される技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ルータは、WAN通信機能(例えば3Gネットワークへの通信等)や無線LAN通信機能といった複数のネットワーク接続機能を有するものが知られてきている。例えば携帯電話やPDA等、PC以外の携帯端末をユーザが使う場合、通常はルータを単体で動作させ、ルータのWAN通信機能を用いてインターネットに接続したり、無線通信LAN機能を利用したりすることができる。また、ユーザがPCを使う場合には、ルータの通信WAN機能を用いて3Gネットワークを介した通信を行うこともできる。この場合、ルータとPCを接続してアダプタとして機能させる。
【0003】
ルータを単体で使用する場合、ユーザはバッテリーライフを気にする必要があるが、PCと接続して使用する場合には、PCから電源供給を受けられるためバッテリーライフの面でメリットがある。また、PC本体に格納できるくらい小型化したルータであれば、USBケーブルを用いて接続するのではなく、PCに装着することで接続できるが、このようにルータをPCに装着してPCと一体化した場合、双方を持ち歩いてもかさばらないという携帯上のメリットがある。
【0004】
一方、ルータとPCをケーブル接続あるいはルータをPCに格納した場合、以下のような問題がある。すなわち、ルータとPCをケーブル接続あるいはルータをPCに格納すると、ルータのWAN通信機能がPCのローカルデバイスと認識されてしまうため、ルータのルーティング機能が停止し、上述したようなPC以外の携帯端末はルータを通じてインターネットへ接続できなくなってしまう。
【0005】
なお、ケーブル接続時あるいは格納時にルータのWAN通信機能がPCのローカルデバイスと認識されてしまうのは必然ではないが、背景として以下の2点があり、このようなルータ製品が一般的である。
1.WAN通信機能が内蔵されたPCとWAN通信機能を持ったルータを両方所有すると、2端末分の通信契約をする(通信料金がかさむ)か、SIMカード等の契約情報を2端末で共有する(SIMカードの入れ替え作業が発生)必要があるため、WAN通信モジュール自体をパソコンとルータで兼用する。
2.ルータとパソコンを物理的に接続した後も、ルーティング機能を継続して動作させることは物理的に可能だが、物理的に接続されたパソコンとルータが、わざわざ無線LANで通信することになり、トータルでバッテリーを無駄に消費してしまう。
【0006】
例えば特許文献1には、1つのIPルータに障害が発生しても、端末のルーティング設定を変更することなくLAN−WAN−LANの端末間の通信を補償する技術が開示されている。当該技術では、LAN−WAN−LAN接続IPルータを二重化し、セカンダリIPルータがプライマリIPルータを状態監視し、プライマリIPルータが故障した場合、セカンダリIPルータがプライマリIPルータのルーティング情報とアドレスを引き継ぐようにして、IPルータの自動二重化を実現し、端末間の通信を補償している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−154429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1で開示された技術は、IPルータを二重化したLAN−WAN−LAN接続で一方のIPルータが故障した場合の、ユーザ側(端末)にルーティング設定を行わせずに通信を補償するための対応方法であり、ルータとPCのケーブル接続時あるいは合体時において生じるインターネット接続上の問題(PC以外の携帯端末等がルータを通じてインターネット接続できなくなること)の解決策としては適用できない。
【0009】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みて、それぞれ無線LAN機能を備える情報処理装置とデバイスとをつなげた場合に、該デバイスを通じてインターネット接続した該情報処理装置以外の端末が引き続きインターネットに接続できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面である情報処理装置は、少なくとも無線LAN機能を備え無線LAN設定情報を保持するデバイスの自端末との接続状態を検出する接続検出手段と、自装置の無線LAN機能の状態を検出する無線LAN状態検出手段と、接続検出手段により検出されたデバイスの接続状態及び無線LAN状態検出手段により検出された自装置の無線LAN機能の状態に基づいて、自装置の無線LAN設定を行う無線LAN設定手段と、を有する。
【0011】
また、上記の情報処理装置において、無線LAN設定手段が、接続検出手段によりデバイスの接続が検出され、かつ、無線LAN状態検出手段により無線LAN機能のオン状態が検出された場合、デバイスから無線LAN設定情報を取得し、無線LAN設定情報を用いて無線LAN設定を行うものであってもよい。
【0012】
また、上記の情報処理装置において、デバイスの無線LAN設定を行い、設定された無線LAN設定情報を保持するデバイス設定手段を有し、無線LAN設定手段が、接続検出手段によりデバイスの接続が検出され、かつ、無線LAN状態検出手段により無線LAN機能のオン状態が検出された場合、デバイス設定手段で保持されたデバイスの無線LAN設定情報を用いて無線LAN設定を行うものであってもよい。
【0013】
また、上記の情報処理装置において、無線LAN設定手段が、デバイスの無線LAN設定情報を用いて無線LAN設定を行った後、接続検出手段によりデバイスの分離が検出され、又は、無線LAN状態検出手段により無線LAN機能のオフ状態が検出された場合、自装置の無線LAN設定情報を用いて無線LAN設定を行うものであってもよい。
【0014】
また、上記の情報処理装置において、無線LAN状態検出手段が、接続検出手段によりデバイスの接続が検出された場合、自装置の無線LAN機能の状態を検出し、デバイスが自装置に接続中に自装置の無線LAN機能の状態が変化した場合、変化後の無線LAN機能の状態を検出するものであってもよい。
【0015】
また、上記の情報処理装置において、無線LAN状態検出手段が、検出した自装置の無線LAN機能の状態に関する情報をデバイスに通知し、無線LAN設定手段が、該情報が無線LAN機能のオン状態に関するものであった場合、通知を受けたデバイスから無線LAN設定情報を取得し、無線LAN設定情報を用いて自装置の無線LAN設定を行うものであってもよい。
【0016】
また、上記の情報処理装置において、無線LAN状態検出手段が、検出した自装置の無線LAN機能の状態に関する情報をデバイスに通知し、無線LAN設定手段が、自装置の無線LAN機能のオン状態に関する情報の通知を受けてデバイスが無線LAN機能を停止した後、デバイスから無線LAN設定情報を取得し、無線LAN設定情報を用いて自装置の無線LAN設定を行うものであってもよい。
【0017】
本発明の一側面である無線LAN接続制御方法は、少なくとも無線LAN機能を備え無線LAN設定情報を保持するデバイスの自端末との接続状態を検出する接続検出ステップと、自装置の無線LAN機能の状態を検出する無線LAN状態検出ステップと、接続検出ステップで検出されたデバイスの接続状態及び無線LAN状態検出ステップで検出された自装置の無線LAN機能の状態に基づいて、自装置の無線LAN設定を行う無線LAN設定ステップと、を有する。
【0018】
本発明の一側面であるプログラムは、コンピュータに、少なくとも無線LAN機能を備え無線LAN設定情報を保持するデバイスの自端末との接続状態を検出する接続検出処理と、自装置の無線LAN機能の状態を検出する無線LAN状態検出処理と、接続検出処理で検出されたデバイスの接続状態及び無線LAN状態検出処理で検出された自装置の無線LAN機能の状態に基づいて、自装置の無線LAN設定を行う無線LAN設定処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、それぞれ無線LAN機能を備える情報処理装置とデバイスとをつなげた場合に、該デバイスを通じてインターネット接続した該情報処理装置以外の端末が引き続きインターネットに接続することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係るPC及びモバイルルータの外観図である。
【図2】本発明の実施形態に係るPCのハードウェア構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係るPCの機能構成図である。
【図4】本発明の実施形態に係るモバイルルータのハードウェア構成図である。
【図5】本発明の実施形態におけるルーティング動作の説明図である。
【図6】本発明の実施形態(第1)に係る無線LAN通信機能切り替え処理及び無線LAN設定処理の説明図である。
【図7】本発明の実施形態(第1)に係る無線LAN通信機能切り替え処理及び無線LAN設定処理の説明図である。
【図8】本発明の原理を応用した実施形態(第3)の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0022】
[第1実施形態]
図1は、本発明の実施形態に係るPC及びモバイルルータの外観図である。PC10は一般的なノート型PCであり、DVD−ROMドライブとは別個に、モバイルルータ20を内部に格納可能なスペースが設けられた装着部を有する。モバイルルータ20は、3G機能及び無線LAN通信機能を備え、無線LAN設定情報を保持し、単体あるいはPC10と接続した状態でルーティング動作を行う。
【0023】
図2は、本発明の実施形態に係るPCのハードウェア構成図である。本実施形態のPC10は、一般的なハードウェア構成を持つPCであり、CPU11、メモリ12、HDD13、入力装置14、出力装置15、USB IF16を備える。
【0024】
CPU11は、メモリ12に格納されたOSや本実施形態特有のプログラムに従って、PC10の全体動作制御を行うとともに、モバイルルータ20の接続状態及び自装置の無線LAN通信機能状態に基づく無線LAN設定処理を行う。メモリ12は、OSや本実施形態特有のプログラムを格納する記憶領域(ROM)、CPU11の各種処理等で用いる作業用の記憶領域(RAM)を持つ。HDD13は、各種データを保持する外部記憶装置である。入力装置14は、ユーザによる入力操作を受け付ける装置で、マウス、キーボード等である。出力装置15は、各種データの画面出力や音声出力を行う装置で、ディスプレイ、スピーカ等である。USB IF16は、モバイルルータ20とUSB接続するためのインタフェースである。
【0025】
図3は、本実施形態に係るPCの機能構成図である。本実施形態のPC10は、CPU11がメモリ12に格納された本実施形態特有のプログラムを読み込んで、モバイルルータ20の接続状態及び自装置の無線LAN通信機能の状態に基づく無線LAN設定処理を行うための機能部である制御部100を構成する。制御部100は、接続検出手段110、無線LAN状態検出手段120、無線LAN設定手段130を論理的に有する。なお、各手段は、上記のようにソフト的に実現するほか、回路等を用いてハード的に実現してもよい。
【0026】
接続検出手段110は、モバイルルータ20とPC10との接続状態を検出する。すなわち、OSが検出する周辺機器の接続状況の情報を監視し、モバイルルータ20がUSB IF16を介してPC10に接続されたこと、モバイルルータ20がPC10から分離されたことを検出する。
【0027】
無線LAN状態検出手段120は、PC10の無線LAN通信機能の状態を検出する。すなわち、OSが検出する無線LAN通信機能の動作状況の情報を監視し、PC10の無線LAN通信機能が動作可能状態にあるか、動作不能状態にあるかを検出する。
【0028】
無線LAN設定手段130は、接続検出手段110が検出したモバイルルータ20の接続状態及び無線LAN状態検出手段120が検出したPC10の無線LAN通信機能の状態に基づいて、PC10の無線LAN設定を行う。
【0029】
図4は、本実施形態に係るモバイルルータの機能構成図である。本実施形態のモバイルルータ20は、電源制御回路21、信号切替回路22、無線LAN設定記憶部23、ルータ用バッテリー24、ルータ制御部25、無線LANモジュール26、3G通信モジュール27を有する。
【0030】
電源制御回路21は、モバイルルータ20の電源制御を行う回路で、モバイルルータ20の接続状態に応じて電源の切り替えを行う。PC10と接続されている場合はPC10の電源(USB電源)をモバイルルータ20に供給し、PCと接続していない場合はルータ用バッテリー24から電源供給を行う。
【0031】
信号切替回路22は、モバイルルータ20内を伝達する信号を切り替える回路で、PC10の無線LAN通信機能の状態(PCへの接続が前提)に応じて信号の切り替えを行う。PC10の無線LAN通信機能が動作可能状態(無線LANオン状態)の場合はPC10からのUSB信号がモバイルルータ20内を伝達するようにし、PC10の無線LAN通信機能が動作不能状態(無線LANオフ状態)の場合はモバイルルータ20内でのみ信号が伝達するようにする。信号切替回路22による信号切替の結果、PC10が無線LANオン状態の場合ルーティング制御はPC10が行い(図4の左図)、PC10が無線LANオフ状態の場合はルータ制御部25が行うことになる(図4の右図)。なお、無線LANオフ状態には、PC電源がオンで無線LAN通信機能がオフの場合とPC電源がオフの場合がある。
【0032】
無線LAN設定記憶部23は、モバイルルータ20の無線LAN設定情報を記憶する。ルータ用バッテリー24は、モバイルルータ20が単体で動作する際に用いるためのバッテリーである。
【0033】
ルータ制御部25は、無線LANモジュール26及び3G通信モジュール27を用いてルーティングを行い、無線LANや3Gネットワークを介した通信を行う。無線LANモジュール26は、無線LANを介した通信でルーティングを行うためのモジュールである。3G通信モジュール27は、3Gネットワークを介した通信でルーティングを行うためのモジュールである。
【0034】
図5は、本発明の実施形態におけるルーティング動作の説明図である。左図がモバイルルータ20の取り出し時の動作、中央図が格納時かつPC10の無線LANオフ状態時の動作、右図が格納時かつPC10の無線LANオン状態時の動作をそれぞれ示している。
【0035】
取り出し時には、モバイルルータ20は単体でルーティング動作を行うため、自身のバッテリーから電源を供給し、ルーティング制御も自身が行う。モバイルルータ20は、携帯端末30に対して3G機能あるいは無線LAN通信機能による通信を可能にし、無線LAN通信機能を持つPC10に対しては3G機能による通信を可能にする。
【0036】
格納時かつPC10の無線LANオフ状態時には、電源の供給はPC10から受け、ルーティング制御は自身が行う。つまり、モバイルルータ20はPC10を拡張バッテリーとして利用し、ルーティング動作としては単体での動作時と同様である。
【0037】
格納時かつPC10の無線LANオン状態時には、モバイルルータ20はPC10から電源の供給及びルーティング制御を受ける。モバイルルータ20は、無線LAN通信機能及びルーティング制御を停止し、PC10に3G機能を用いたルーティング制御を委ねる(図4左図を参照)。つまり、PC10は、モバイルルータ20を3Gアダプタとして利用し、ルータとして機能する。この結果、携帯端末30は、モバイルルータ20の3G機能を用いて3G通信を行い、PC10の無線LAN通信機能を用いて無線LAN通信を行う。
【0038】
図6は、本発明の実施形態に係る無線LAN通信機能切り替え処理及び無線LAN設定処理の説明図である。本実施形態では、PC10がモバイルルータ20の接続状態及び自装置の無線LAN通信機能の状態に応じて無線LAN設定を行うが、図6は該無線LAN設定を行う際の各処理をブロックで表し、各処理間の関係を矢印でつなぐことで処理の流れを示している。
【0039】
PC10の側では、ルータ格納検出(処理(1))は図3の接続検出手段110が行い、PC側無線LAN状態通知(処理(2))は無線LAN状態検出手段120が行い、無線LAN設定取得(処理(3))及び無線LAN設定変更(処理(4))は無線LAN設定手段130が行う。モバイルルータ20の側では、ルータ格納検出(処理(5))及び電源制御(処理(7))は図4の電源制御回路21が行い、PC側無線LAN状態取得(処理(6))はルータ制御部25が行い、モジュールIF制御(処理(8))は信号切替回路22が行う。無線LAN設定通知(処理(9))は、ルーティング制御がモバイルルータ20からPC10に切り替わった後、PC10の無線LAN設定手段130により行われる。
【0040】
なお、無線LAN設定通知(処理(9))で通知される無線LAN設定情報は、ネットワーク識別情報、セキュリティ設定情報、SoftAPの設定情報等である。これらは、一般ユーザにとって馴染みがなく平易に感じられにくい情報であり、ユーザが無線LANの設定を行うことを煩雑にしている要因の一つといえる。
【0041】
図7は、本発明の実施形態に係る無線LAN通信機能切り替え処理及び無線LAN設定処理の説明図で、モバイルルータ20の接続状態及びPC10の無線LAN通信機能の状態に基づく処理について、場合分けをして表したものである。図6で記載した各処理を用いて説明している。
【0042】
<PC側無線LANオフ状態で装着した場合(ケース(A))>
PC電源オフ状態で装着した場合とPC電源がオンでPC側の無線LAN通信機能がオフの状態で装着した場合とに分けて述べる。PC電源オフ状態で装着した場合、モバイルルータ20は、電源制御回路21がPC10への装着とPC電源オフ状態にあることを検出し(処理(5))、PC10から電源供給を受けてルータ用バッテリー24の充電を開始するとともにPC10の電源により動作を行う(処理(7))。
【0043】
PC電源がオンでPC側の無線LAN通信機能がオフの状態で装着した場合、図7には示していないが以下のとおりとなる。モバイルルータ20では電源制御回路21がPC10への装着を検出し(処理(5))、PC10では接続検出手段110がモバイルルータ20の装着を検出する(処理(1))。そして、PC10は無線LAN状態検出手段120がPC側無線LANオフ状態を検出してこの情報モバイルルータ20に通知する(処理(2))。モバイルルータ20はルータ制御部25がPC側無線LANオフ状態の情報を取得し(処理(6))、この情報を受けて、電源制御回路21がPC10から電源を用いてルータ用バッテリー24の充電を開始する(処理(7))。
【0044】
<PC側無線LANオフ状態で取り外した場合(ケース(B))>
PC電源オフ状態で取り外した場合、モバイルルータ20は、電源制御回路21がPC10から取り外されたことを検出し(処理(5))、PC10の電源を用いた充電及びルーティング動作からルータ用バッテリーの電源を用いた駆動に切り替える(処理(7))。
【0045】
<PC側無線LANオン状態で装着した場合(ケース(C))>
PC側無線LANオン状態で装着した場合、モバイルルータ20では電源制御回路21がPC10への装着を検出し(処理(5))、PC10では接続検出手段110がモバイルルータ20の装着を検出する(処理(1))。そして、PC10は無線LAN状態検出手段120がPC側無線LANオン状態を検出してこの情報モバイルルータ20に通知する(処理(2))。
【0046】
モバイルルータ20はルータ制御部25がPC側無線LANオン状態の情報を取得し(処理(6))、この情報を受けて、電源制御回路21がPC10から電源を用いてルータ用バッテリー24の充電を開始するとともにPC10の電源を用いて動作を行うが、ルータ制御部25及び無線LANモジュール26への電源供給を停止する(処理(7))。ルータ制御部25がオフとなった後、信号切替回路22は、ルーティング制御をPC10に行わせるべく、PC10のUSB信号が各構成(回路、モジュール等)に伝達するように切り替える。これにより、3G通信モジュール27の制御がモバイルルータ20からPC10に切り替わる(処理(8))。
【0047】
PC10は無線LAN設定手段130が信号切替回路22を介して無線LAN設定記憶部23にアクセスし、モバイルルータ20の無線LAN設定情報を読み出す(処理(9)、処理(3))。そして、読み出したモバイルルータ20の無線LAN設定情報を用いて、PC10の無線LAN設定を行う(処理(4))。すなわち、PC10とモバイルルータ20との間で無線LAN設定情報の継承が行われ、無線LAN設定が切り替わり、これによって、モバイルルータ20に接続して無線LAN通信を行っていた携帯端末等はシームレスにPC10を介して無線LAN通信を継続することができる。
【0048】
<PC側無線LANオン状態で取り外した場合(ケース(D))>
PC側無線LANオン状態で取り外した場合、モバイルルータ20は、電源制御回路21がPC10から取り外されたことを検出し(処理(5))、PC10の電源を用いた充電及びルーティング動作からルータ用バッテリーの電源を用いた駆動に切り替えるとともに、ルータ制御部25及び無線LANモジュール26への電源供給を開始する(処理(7))。すなわち、モバイルルータ20単体での動作を行える状態にする。
【0049】
ルータ制御部25がオンとなった後、信号切替回路22は、ルーティング制御をルータ制御部25に行わせるべく、PC10のUSB信号を遮断して各構成(回路、モジュール等)に伝達しないように切り替える。これにより、3G通信モジュール27の制御をPC10からモバイルルータ20(ルータ制御部25)に切り替え、携帯端末等による接続をPC10の無線LAN通信機能からモバイルルータ20の無線LAN通信機能に切り替える(処理(8))。
【0050】
一方、PC10は、接続検出手段110がモバイルルータ20が取り外されたことを検出する(処理(1))。そして、無線LAN設定手段130は、この検出結果を受けて、無線LAN設定をモバイルルータ20の設定内容からPC10の設定内容に戻す(処理(4))。すなわち、PC10の無線LAN設定情報を用いて無線LAN設定を行う。これは、モバイルルータ20が取り外された後には、PC10は自身に接続してくる携帯端末等に対して自身の無線LAN通信機能を用いて無線LAN通信を行うためである。
【0051】
<ルータ装着状態でPC側無線LAN通信機能をオフからオンにした場合(ケース(E))>
PC10は、無線LAN状態検出手段120がPC側無線LAN通信機能の状態のオフからオンへの変化を検出し、PC側無線LAN通信機能がオン状態であることを情報モバイルルータ20に通知する(処理(2))。モバイルルータ20はルータ制御部25がPC側無線LANオン状態の情報を取得し(処理(6))、この情報を受けて、電源制御回路21がルータ制御部25及び無線LANモジュール26への電源供給を停止する(処理(7))。
【0052】
ルータ制御部25がオフとなった後、信号切替回路22は、ルーティング制御をPC10に行わせるべく、PC10のUSB信号が各構成(回路、モジュール等)に伝達するように切り替える。これにより、3G通信モジュール27の制御がモバイルルータ20からPC10に切り替わる(処理(8))。
【0053】
PC10は無線LAN設定手段130が信号切替回路22を介して無線LAN設定記憶部23にアクセスし、モバイルルータ20の無線LAN設定情報を読み出す(処理(9)、処理(3))。そして、読み出したモバイルルータ20の無線LAN設定情報を用いて、PC10の無線LAN設定を行う(処理(4))。すなわち、PC10とモバイルルータ20との間で無線LAN設定情報の継承が行われ、無線LAN設定の変更を行う。
【0054】
<ルータ装着状態でPC側無線LAN通信機能をオンからオフにした場合(ケース(F))>
PC10は、無線LAN状態検出手段120がPC側無線LAN通信機能の状態のオンからオフへの変化を検出し、PC側無線LAN通信機能がオフ状態であることを情報モバイルルータ20に通知する(処理(2))。モバイルルータ20では、PC側無線LANオフ状態の情報を受け(処理(6))、電源制御回路21がルータ制御部25及び無線LANモジュール26への電源供給を開始する(処理(7))。
【0055】
ルータ制御部25がオンとなった後、信号切替回路22は、ルーティング制御をルータ制御部25に行わせるべく、PC10のUSB信号を遮断して各構成(回路、モジュール等)に伝達しないように切り替える。これにより、3G通信モジュール27の制御をPC10からモバイルルータ20(ルータ制御部25)に切り替え、携帯端末等による接続をPC10の無線LAN通信機能からモバイルルータ20の無線LAN通信機能に切り替える(処理(8))。
【0056】
一方、PC10は、無線LAN設定手段130は、無線LAN状態検出手段120による検出結果(PC側無線LANオフ状態にあること)を受けて、無線LAN設定をモバイルルータ20の設定内容からPC10の設定内容に戻す(処理(4))。すなわち、PC10の無線LAN設定情報を用いて無線LAN設定を行う。
【0057】
無線LAN設定情報の引き継ぎ(無線LAN設定通知(処理(9))、無線LAN設定取得(処理(3))は、いくつかの方法が考えられる。1つ目の方法は、上記の説明で示したもので、無線LAN設定情報を記憶する機能部を独立して設け(上記無線LAN設定記憶部23)、無線LAN設定情報の書き込みはルータ側で行い、読み出しはPC側で行うようにする方法である。
【0058】
2つ目の方法は、ルータ制御部25に無線LAN設定情報を保持させ、ルータ制御をUSBホストからUSBデバイスに切り替えたうえで、PC側から無線LAN設定情報を読み出し、読み出した後にルータ制御部25への電源供給を停止する方法である。この方法では、無線LAN設定情報を記憶するための独立した機能部を設ける必要がなくなる。
【0059】
3つ目の方法は、無線LAN設定情報のやり取りにUSB信号ではなく無線を用いるもので、ルータ制御部25の電源供給を停止する前に、モバイルルータ20とPC10が無線LANで接続し、無線LAN設定情報を転送した後でルータ制御部25の電源をオフにする方法である。この方法でも、2つ目の方法と同様に、無線LAN設定情報を記憶するための独立した機能部を設ける必要がなくなる。
【0060】
[第2実施形態]
第2実施形態では、モバイルルータ20の無線LAN設定を行うためのツールをPC10にインストールしておき、PC10はツールを用いてモバイルルータ20の無線LAN設定や設定の変更を行うと同時に、この設定内容(無線LAN設定情報)を保持する。無線LAN設定や設定の変更は、PC10とモバイルルータ20を接続してツールを実行することで行う。この場合の両端末の接続は、ケーブル接続や装着でもよいし、無線LANによるものでもよい。
【0061】
このようにして、モバイルルータ20の無線LAN設定を行った後は、PC10とモバイルルータ20がケーブル接続あるいは装着される度に、PC10が保持したモバイルルータ20の無線LAN設定内容を自装置の無線LAN通信機能に適用し、またモバイルルータ20が取り外される度に、自装置の無線LAN設定内容を適用することで、PC10の無線LAN設定を行う。
【0062】
第1実施形態では、PC10の無線LAN通信機能の状態及びモバイルルータ20の装着状態に応じて、ルータ側の無線LAN設定情報をPC側に送ってこれを用いてPC側で無線LAN設定を行ったり、PC側の無線LAN設定を元に戻したりしていたが、第2実施形態では、モバイルルータ20の装着時等におけるPCの無線LAN設定で、その都度モバイルルータ20の無線LAN設定内容をPC10へ移す必要がなくなる。
【0063】
[第3実施形態]
図8は、本発明の原理を応用した実施形態の説明図である。本発明の原理を広範囲に解釈した場合、図8に示すようなスター型ネットワーク同士の結合が可能となる。すなわち、グループAのノードが、グループBのハブの設定を引き継ぐことで、それまでグループBのハブに接続していたノードは、継続してインターネット接続を維持することができる。
【0064】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0065】
すなわち、本実施形態におけるPC10で実行されるプログラムは、先に述べた各手段(接続検出手段110、無線LAN状態検出手段120、無線LAN設定手段130)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアを用いて具体的手段を実現する。すなわち、コンピュータ(CPU11)が所定の記録媒体(メモリ12)からプログラムを読み出して実行することにより上記各手段が主記憶装置上にロードされて生成される。
【0066】
本実施形態におけるPC10で実行されるプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供されるように構成してもよい。また、上記プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供あるいは配布するように構成してもよい。
【0067】
また、上記プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、DVD、不揮発性のメモリカード等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されるように構成してもよい。また、上記プログラムは、ROM等にあらかじめ組み込んで提供するように構成してもよい。
【0068】
この場合、上記記録媒体から読み出された又は通信回線を通じてロードし実行されたプログラムコード自体が前述の実施形態の機能を実現することになる。そして、そのプログラムコードを記録した記録媒体は本発明を構成する。
【符号の説明】
【0069】
10 PC
11 CPU
12 メモリ
13 HDD
14 入力装置
15 出力装置
16 USB IF
20 モバイルルータ
21 電源制御回路
22 信号切替回路
23 無線LAN設定記憶部
24 ルータ用バッテリー
25 ルータ制御部
26 無線LANモジュール
27 3G通信モジュール
30 携帯端末
40 AP
100 制御部
110 接続検出手段
120 無線LAN状態検出手段
130 無線LAN設定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも無線LAN機能を備え無線LAN設定情報を保持するデバイスの自端末との接続状態を検出する接続検出手段と、
自装置の無線LAN機能の状態を検出する無線LAN状態検出手段と、
前記接続検出手段により検出された前記デバイスの接続状態及び前記無線LAN状態検出手段により検出された自装置の無線LAN機能の状態に基づいて、自装置の無線LAN設定を行う無線LAN設定手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記無線LAN設定手段は、前記接続検出手段により前記デバイスの接続が検出され、かつ、前記無線LAN状態検出手段により無線LAN機能のオン状態が検出された場合、前記デバイスから無線LAN設定情報を取得し、前記無線LAN設定情報を用いて無線LAN設定を行うことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記デバイスの無線LAN設定を行い、前記設定された無線LAN設定情報を保持するデバイス設定手段を有し、
前記無線LAN設定手段は、前記接続検出手段により前記デバイスの接続が検出され、かつ、前記無線LAN状態検出手段により無線LAN機能のオン状態が検出された場合、前記デバイス設定手段で保持された前記デバイスの無線LAN設定情報を用いて無線LAN設定を行うことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記無線LAN設定手段は、前記デバイスの無線LAN設定情報を用いて無線LAN設定を行った後、前記接続検出手段により前記デバイスの分離が検出され、又は、前記無線LAN状態検出手段により無線LAN機能のオフ状態が検出された場合、自装置の無線LAN設定情報を用いて無線LAN設定を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記無線LAN状態検出手段は、前記接続検出手段により前記デバイスの接続が検出された場合、自装置の無線LAN機能の状態を検出し、前記デバイスが自装置に接続中に自装置の無線LAN機能の状態が変化した場合、変化後の無線LAN機能の状態を検出することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記無線LAN状態検出手段は、検出した自装置の無線LAN機能の状態に関する情報を前記デバイスに通知し、
前記無線LAN設定手段は、前記情報が前記無線LAN機能のオン状態に関するものであった場合、前記通知を受けた前記デバイスから無線LAN設定情報を取得し、前記無線LAN設定情報を用いて自装置の無線LAN設定を行うことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記無線LAN状態検出手段は、検出した自装置の無線LAN機能の状態に関する情報を前記デバイスに通知し、
前記無線LAN設定手段は、自装置の無線LAN機能のオン状態に関する情報の通知を受けて前記デバイスが無線LAN機能を停止した後、前記デバイスから無線LAN設定情報を取得し、前記無線LAN設定情報を用いて自装置の無線LAN設定を行うことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
少なくとも無線LAN機能を備え無線LAN設定情報を保持するデバイスの自端末との接続状態を検出する接続検出ステップと、
自装置の無線LAN機能の状態を検出する無線LAN状態検出ステップと、
前記接続検出ステップで検出された前記デバイスの接続状態及び前記無線LAN状態検出ステップで検出された自装置の無線LAN機能の状態に基づいて、自装置の無線LAN設定を行う無線LAN設定ステップと、
を有することを特徴とする無線LAN接続制御方法。
【請求項9】
コンピュータに、
少なくとも無線LAN機能を備え無線LAN設定情報を保持するデバイスの自端末との接続状態を検出する接続検出処理と、
自装置の無線LAN機能の状態を検出する無線LAN状態検出処理と、
前記接続検出処理で検出された前記デバイスの接続状態及び前記無線LAN状態検出処理で検出された自装置の無線LAN機能の状態に基づいて、自装置の無線LAN設定を行う無線LAN設定処理と、
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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