説明

情報処理装置およびその処理実行方法

【課題】特定の処理を容易に起動することが可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、複数の接続ポート、直接接続検出手段、および処理実行手段を有している。直接接続検出手段は、接続ポート同士がケーブルにより直接接続されたことを検出する。処理実行手段は、接続ポート同士が直接接続されたことが接続検出手段により検出されると、予め定められた処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は外部接続用のポートを備えた情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、企業等の情報処理システムはサーバやストレージなど複数の情報処理装置を通信回線で接続して構成される(特許文献1、2参照)。
【0003】
そのような情報処理装置では何らかの理由でリセットや初期化といった特定の処理が必要になることがある。そのため一部にはハードウェア的に押ボタンスイッチやディップスイッチを備え、それらに対する簡単な操作に応じてリセットや初期化などの処理を実行するような情報処理装置がある。この構成によれば、操作者が情報処理装置に関する深い知識を有していなくても簡単なスイッチ操作により初期化などの処理を実施することができる。
【0004】
しかしながら、汎用の情報処理装置をサーバとして利用してシステムを構築する場合やアプライアンス製品を開発する場合、専用のハードウェアを新規に開発することはない。そして、そのような汎用の情報処理装置にはハードウェア的なスイッチが無いものもある。また、誤操作のリスクを考えるとハードウェア的なスイッチを備えない方がよい場合もある。
【0005】
そこで特定の処理を実行させるためのハードウェア的なスイッチが情報処理装置に無い場合に、ソフトウェアによってそのような処理の起動を実現しているものがある。
【0006】
例えば、専用の端末を接続し、特定の処理を起動するコマンドを端末から投入するという構成の情報処理装置がある。また、特定の処理を起動するソフトウェアを格納したレスキュー用の記録媒体を備えておき、必要なときにその記録媒体を挿入することで特定の処理を起動する構成の情報処理装置もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−124556号公報
【特許文献2】特開2009−146106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した特定の処理の例として、初期化のように、情報処理装置がユーザの意図しない設定や状態になってしまったときに正常な設定や状態に戻すための処理が想定される。そして、そのような場合には特定の処理を迅速に実施することが望まれる。
【0009】
しかし、データセンターなど情報処理装置の設置場所によってはセキュリティ上の規制により端末や記録媒体を持ち込むことが容易に許可されなかったり、情報処理装置の用途によっては端末を接続したり記録媒体を挿入することが容易に許可されなかったりする。また、端末からコマンドを投入するような操作には一定の専門知識が必要であり、そのような専門知識を持った者にしか特定の処理を起動することができない場合もある。
【0010】
したがって、特定の処理は専用の端末など他の装置を必要とせず、また専門知識が無くても容易に起動できるのが望ましい。
【0011】
本発明の目的は、特定の処理を容易に起動することが可能な情報処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、
複数の接続ポートと、
前記接続ポート同士がケーブルにより直接接続されたことを検出する直接接続検出手段と、
前記接続ポート同士が直接接続されたことが前記接続検出手段により検出されると、予め定められた処理を実行する処理実行手段と、
を有している。
【0013】
本発明の処理実行方法は、複数の接続ポートを備えた情報処理装置における処理実行方法であって、
前記接続ポート同士がケーブルにより直接接続されたことを検出し、
前記接続ポート同士が直接接続されたことが検出されると、予め定められた処理を実行するものである。
【0014】
本発明のプログラムは、複数の接続ポートを備えた情報処理装置における処理実行方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記接続ポート同士がケーブルにより直接接続されたことを検出する手順と、
前記接続ポート同士が直接接続されたことが検出されると、予め定められた処理を実行する手順と、
をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、情報処理装置に特定の処理を容易に実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態による情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】情報処理装置をスイッチと接続したときの様子を示す図である。
【図3】情報処理装置のポート同士を直接接続したときの様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態による情報処理装置の構成を示すブロック図である。図1を参照すると、情報処理装置10はポート11,12、直接接続検出部13、および処理実行部14を有している。情報処理装置10は、具体例として、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ、サーバ、プリンタ等である。
【0019】
ポート11,12は、情報処理装置10が他装置(不図示)と接続して通信を行うための外部接続用のポートである。
【0020】
通常であればケーブルはポート11,12と他装置の間に接続される。しかし、本実施形態の情報処理装置10においては、ユーザは予め定められた特定の処理を実施するときポート11とポート12をケーブルで直接接続する。
【0021】
図2は、情報処理装置をスイッチと接続したときの様子を示す図である。図2には、ポート11,12の通常の利用状態の一例が示されている。情報処理装置10のポート11はケーブル23によってスイッチ20のポート21に接続されている。スイッチ20は上述した他装置の例である。また情報処理装置10のポート12はケーブル24によってスイッチ20のポート22に接続されている。
【0022】
図3は、情報処理装置のポート同士を直接接続したときの様子を示す図である。図3には、ポート11とポート12が直接接続された状態が示されている。情報処理装置10のポート11とポート12がケーブル23によって直接接続されている。情報処理装置10の通常の利用ではポート11とポート12が直接接続されることはない。
【0023】
直接接続検出部13は、図3に示したようにポート11とポート12がケーブル23により直接接続されると、それを検出して処理実行部14に通知する。
【0024】
処理実行部14は、予め定められた特定の処理を実行するソフトウェアプログラムを記録媒体に格納しており、ポート11とポート12が直接接続されたことを直接接続検出部13から通知されると、ソフトウェアプログラムを起動して特定の処理を実行する。
【0025】
特定の処理の例としては、情報処理装置10の各種設定を工場出荷時の初期値に戻す処理、所定のソフトウェアプログラムを再インストールする処理、メモリ内をクリアする処理、旧バージョンなど他のソフトウェアプログラムによって再起動する処理などが考えられる。ただし、特定の処理は、予め設定された処理であればどのような内容の処理であってもよい。
【0026】
また処理実行部14が実行する処理は、システムのユーザあるいは設計者が任意に設定および変更が可能であってもよい。具体的には、処理実行部14は、任意の処理を実行するためのソフトウェアプログラムを入力するユーザインタフェースを有し、入力されたソフトウェアプログラムを登録し、直接接続検出部13からの通知でそのソフトウェアプログラムを起動することにすればよい。
【0027】
以上説明したように、本実施形態によれば、直接接続検出部13がポート11とポート12の直接接続を検出すると、処理実行部14が、予め定められた処理を実行するので、ユーザは専用の端末や専用の記録媒体を用いなくてもケーブルでポート11とポート12をケーブル23で接続するだけで特定の処理を容易に起動することができる。
【0028】
また、本実施形態によれば、外部接続用のポートを利用して特定の処理を起動するので、ハードウェア的に専用のスイッチを設ける必要が無く、設計および開発が簡易化され、また誤操作の恐れも低減される。
【0029】
以下、より具体的な実施例について説明する。
【0030】
情報処理装置10はハードウェアについては汎用的なコンピュータを利用した装置であり、少なくとも2つのポート11,12を備えている。情報処理装置10ではオペレーティングシステムが動作し、その上でソフトウェアプログラムを動作させることができる。ポート11とポート12は同一規格の通信ポートであり、ケーブル23によって直接接続が可能であるものとする。
【0031】
ポート11,12の種類によって直接接続されたことを検出する方法が異なるので、以下、ポート11,12がEthernetポートである場合例を幾つか示す(Ethernetは登録商標)。ただし、本発明のポート11,12がEthernetポートに限定されるものではない。他の例としてUSB(Universal Serial Bus)ポートやFC(Fibre Channel)ポート等にも適用可能である。
【0032】
(第1の実施例)
まず、直接接続検出部13は、crcエラーが起こるようにしたポート12宛ての特定のメッセージを含むEthernetフレーム(以下「特定フレーム」という)をポート11から定期的に送出する。
【0033】
ポート11,12が例えば図2のようにスイッチ20に接続されていれば、そのcrcエラーが起こる特定フレームはスイッチ20により破棄され、ポート2へは到達しない。
【0034】
一方、ポート11とポート12が図3のようの直接接続されていれば特定フレームはポート12に到達する。直接接続検出部13は、ポート11から定期的に送出する特定フレームがポート12にて受信されたら、ポート11とポート12が直接接続されていると判断する。
【0035】
(第2の実施例)
ポート11とポート12が直接接続されていれば、ポート11がリンクダウンしたりアップしたりするのと連動して、ポート2もリンクダウンしたりアップしたりする。
【0036】
まず、直接接続検出部13は、ポート11のリンクを強制的にダウンさせ、すぐにアップさせることを何度か繰り返す。また、直接接続検出部13は、ポート12のリンクの状態を監視しており、ポート11のリンクの状態に連動してポート12のリンクの状態が変化したら、ポート11とポート12が直接接続されていると判断する。
【0037】
(第3の実施例)
直接接続検出部13は、ICMPエコーを用いて、ポート11とスイッチ20あるいはスイッチ20に接続された他の装置との間の通信の到達性を確認する。具体的には、直接接続検出部13は、ポート11からスイッチ20あるいはスイッチ20に接続された他の装置へICMPエコーの要求を送出し、その応答を監視する。
【0038】
また、それと共に、直接接続検出部13は、同様の方法で、情報処理装置10自身のポート11とポート12の間の通信の到達性を確認する。具体的には、直接接続検出部13は、ポート11から、情報処理装置10自身のポート12にICMPエコーの要求を送出し、ポート12からの応答を監視する。
【0039】
そして、直接接続検出部13は、情報処理装置10自身とスイッチ20あるいはスイッチ20に接続された他の装置との間の通信が途切れ、かつポート11とポート12の間の通信が到達していたら、ポート11とポート12が直接接続されていると判断する。
【0040】
(第4の実施例)
第4の実施例は第1の実施例に類似する。
第4の実施例では、通常であればスイッチ20が他のポートへ転送することが無いようなフォーマットのダミーのフレームを利用する。ダミーとして利用できるフレームの例として、tagged vlan用フレーム、スパニングツリープロトコル用フレーム等がある。
【0041】
直接接続検出部13は、ポート11からダミーのフレームを定期的に送信し、そのダミーのフレームがポート12にて受信されるか監視する。
【0042】
ダミーのフレームはスイッチ20によって転送されないので、情報処理装置10が図3のように利用されていれば、ダミーのフレームがポート12にて受信されることはない。一方、図2のように、ポート11とポート12が直接接続されていればダミーのフレームはポート12にて受信される。
【0043】
直接接続検出部13は、ポート12にてダミーのフレームが受信されたら、ポート11とポート12が直接接続されていると判断する。
【0044】
なお、上述した本実施形態の情報処理装置は、直接接続検出部13および処理実行部14の処理手順を規定したソフトウェアプログラムをコンピュータに実行させることにより実現することもできる。
【0045】
以上、本発明の実施形態および実施例について述べてきたが、本発明は、これらだけに限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内において、これらを組み合わせて使用したり、一部の構成を変更したりしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
10 情報処理装置
11、12、21、22 ポート
13 直接接続検出部
14 処理実行部
20 スイッチ
23、24 ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の接続ポートと、
前記接続ポート同士がケーブルにより直接接続されたことを検出する直接接続検出手段と、
前記接続ポート同士が直接接続されたことが前記接続検出手段により検出されると、予め定められた処理を実行する処理実行手段と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記直接接続検出手段は、対向装置にて転送されないようなフレームを第1の接続ポートから送出し、第2の接続ポートにて前記フレームが受信されたら、該第1の接続ポートと該第2の接続ポートが直接接続されていると判断する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記フレームは、前記対向装置にて受信時にエラーが発生するフレームである、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記フレームは、前記対向装置が転送することが無いフォーマットのダミーのフレームである、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記直接接続検出手段は、第1の接続ポートのリンク状態を変化させ、第2の接続ポートの状態が該第1の接続ポートのリンク状態の変化に応じて変化したら、該第1の接続ポートと該第2の接続ポートが直接接続されていると判断する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記直接接続検出手段は、第1の接続ポートと該第1の接続ポートに直接的あるいは間接的に接続される他装置との間の到達性を確認する第1の到達性確認と、該第1の接続ポートと第2の接続ポートとの間の到達性を確認する第2の到達性確認とを並行して行い、前記第1の到達性確認にて到達性が確認できず、前記第2の到達性確認にて到達性が確認できれば、前記第1の接続ポートと前記第2の接続ポートが直接接続されていると判断する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記処理実行手段が実行する前記特定の処理は予め任意に設定するこが可能である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
複数の接続ポートを備えた情報処理装置における処理実行方法であって、
前記接続ポート同士がケーブルにより直接接続されたことを検出し、
前記接続ポート同士が直接接続されたことが検出されると、予め定められた処理を実行する、
処理実行方法。
【請求項9】
複数の接続ポートを備えた情報処理装置における処理実行方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記接続ポート同士がケーブルにより直接接続されたことを検出する手順と、
前記接続ポート同士が直接接続されたことが検出されると、予め定められた処理を実行する手順と、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−164895(P2011−164895A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26519(P2010−26519)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】