情報処理装置およびその制御方法、プログラム
【課題】電子メールの誤送信を低減可能な電子メール送信システムを提供する。
【解決手段】端末装置から電子メールを受信する受信手段と、電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアに対応した該電子メールへの送出制御内容が設定された制御テーブルを記憶する記憶手段と、受信手段により受信した電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアが制御テーブルに含まれるか否かを判定する判定手段と、ペアが制御テーブルに含まれ、かつ、当該ペアに対応する送出制御情報が該電子メールの保留であった場合、該電子メールのメール配送装置への送出を保留し、ペアが制御テーブルに含まれ、かつ、当該ペアに対応する送出制御情報が該電子メールの送出であった場合、該電子メールをメール配送装置へ即時に送出し、ペアが制御テーブルに含まれないと判定された場合、所定の初期設定動作に従って電子メールの処理を実行する、制御手段と、を備える。
【解決手段】端末装置から電子メールを受信する受信手段と、電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアに対応した該電子メールへの送出制御内容が設定された制御テーブルを記憶する記憶手段と、受信手段により受信した電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアが制御テーブルに含まれるか否かを判定する判定手段と、ペアが制御テーブルに含まれ、かつ、当該ペアに対応する送出制御情報が該電子メールの保留であった場合、該電子メールのメール配送装置への送出を保留し、ペアが制御テーブルに含まれ、かつ、当該ペアに対応する送出制御情報が該電子メールの送出であった場合、該電子メールをメール配送装置へ即時に送出し、ペアが制御テーブルに含まれないと判定された場合、所定の初期設定動作に従って電子メールの処理を実行する、制御手段と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子メールの送信制御技術、特に、端末から受信した電子メールの送出制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電子メールの送受信システムにおいては、送信者が電子メールの送信を行った後、送信先アドレスの間違いや、添付ファイルの付け忘れ、添付ファイルの付け間違いなどに気付いても、送信を取り消すための手段が用意されていない。また、電子メールは、送信者と受信者がエンドツーエンドで電子メッセージを交換するものであり、途中で第三者が送信内容を確認する手段がない。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1では、メール送受信端末とメール配送装置との間に配される送信メール保留装置において、電子メールを保留する技術が提案されている。具体的には、送信メール保留装置は、保留すると設定されている送信先アドレスをもつ電子メールを受信した場合には、受信した電子メールを送信者へ送信して内容を確認させる。そして、送信者が当該電子メールを誤送と判断した場合、特定アドレスへ電子メールを送ることで前述の電子メールの外部への送信を取り消すことを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−277976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、送信メール保留装置は受信したメッセージ単位でしか保留の可否を判断することができない。そのため、複数の送信先が記載された電子メールに対しては、誤送信の可能性がある送信先が1つでも含まれていれば、その他の送信先に対するメール送信までもが保留、取り消しがされることとなる。また、誤送信の可能性がある電子メールの確認や削除等の管理操作は、当該電子メールの送信者のみに限定されている。さらに、保留されたメールを確認したのち、修正する必要がないと判断された場合であっても、設定された送信遅延時間が経過するまで送出することができない。
【0006】
本発明は上述の問題点に鑑みなされたものであり、ユーザによる電子メールの誤送信を低減可能とすると共に、宛先に応じた電子メールの送出制御を行うことにより効率よく電子メールを送出させる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の1以上の問題点を解決するため本発明の情報処理装置は以下の構成を備える。すなわち、端末装置から電子メールを受信し、該電子メールのメール配送装置への送出を制御する情報処理装置において、前記端末装置から電子メールを受信する受信手段と、電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアに対応した該電子メールへの送出制御内容が設定された制御テーブルを記憶する記憶手段と、前記受信手段により受信した前記電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアが前記制御テーブルに含まれるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により、前記電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアが前記制御テーブルに含まれると判定され、かつ、当該ペアに対応する送出制御情報が該電子メールの保留であった場合、該電子メールの前記メール配送装置への送出を保留し保留電子メール記憶部に格納し、前記判定手段により、前記電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアが前記制御テーブルに含まれると判定され、かつ、当該ペアに対応する送出制御情報が該電子メールの送出であった場合、該電子メールを前記メール配送装置へ即時に送出し、前記判定手段により、前記電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアが前記制御テーブルに含まれないと判定された場合、所定の初期設定動作に従って前記電子メールの処理を実行する、制御手段と、を備える。
【0008】
上述の1以上の問題点を解決するため本発明の情報処理装置の制御方法は以下の工程を備える。すなわち、端末装置から電子メールを受信し、該電子メールのメール配送装置への送出を制御する情報処理装置の制御方法において、前記端末装置から電子メールを受信する受信工程と、電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアに対応した該電子メールへの送出制御内容が設定された制御テーブルをテーブル記憶部に記憶する記憶工程と、前記受信工程により受信した前記電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアが前記制御テーブルに含まれるか否かを判定する判定工程と、前記判定工程により、前記電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアが前記制御テーブルに含まれると判定され、かつ、当該ペアに対応する送出制御情報が該電子メールの保留であった場合、該電子メールの前記メール配送装置への送出を保留し保留電子メール記憶部に格納し、前記判定工程により、前記電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアが前記制御テーブルに含まれると判定され、かつ、当該ペアに対応する送出制御情報が該電子メールの送出であった場合、該電子メールを前記メール配送装置へ即時に送出し、前記判定工程により、前記電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアが前記制御テーブルに含まれないと判定された場合、所定の初期設定動作に従って前記電子メールの処理を実行する、制御工程と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザによる電子メールの誤送信を低減可能とすると共に、宛先に応じた電子メールの送出制御を行うことにより効率よく電子メールを送出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態に係る電子メール送信システムの全体構成を示す図である。
【図2】メール送受信端末およびメール中継装置のハードウエア構成を示す図である。
【図3】第1実施形態に係るメール中継装置の処理を示すフローチャートである。
【図4】第1実施形態に係るルール適用処理の詳細を示すフローチャートである。
【図5】制御ルールテーブルの一例を示す図である。
【図6】ルール設定画面の一例を示す図である。
【図7】ルール一覧画面の一例を示す図である。
【図8】発信者、管理者への通知メールの一例を示す図である。
【図9】同報受信者へ送信されるメールの一例を示す図である。
【図10】保留メールの管理画面の一例を示す図である。
【図11】送信された電子メールが保留され削除される場合の一例を示すフローチャートである。
【図12】電子メールをエンベロープ受信者毎に分割する様子を例示的に示す図である。
【図13】アクション適用エントリバッファに格納される情報の一例を示す図である。
【図14】第1実施形態に係るアクション実行処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を詳しく説明する。なお、以下の実施の形態はあくまで例示であり、本発明の範囲を限定する趣旨のものではない。
【0012】
(第1実施形態)
本発明に係る情報処理装置の第1実施形態として、メール中継装置を例に挙げて以下に説明する。
【0013】
<システムの全体構成>
図1は、第1実施形態に係るメール中継装置を含む電子メール送信システムの全体構成を示す図である。
【0014】
メールシステムは、メール送受信端末(端末装置)110とメール中継装置150とメール配送装置190とから構成される。メール送受信端末110とメール中継装置150とメール配送装置190とはそれぞれネットワークを介して相互に通信可能に接続されている。
【0015】
メール送受信端末110から送信された電子メールは、該電子メールの宛先に設定されたメールアドレスに従って、メール中継装置150とメール配送装置190とを介して、該宛先である不図示の他のメール送受信端末に送信される。
【0016】
電子メールの送受信を行うメール送受信端末110は、ユーザが各種操作指示を行う情報処理装置である。メール送受信端末110は、ネットワークを介して、メール中継装置150とデータの送受信が可能である。メール送受信端末110は、メール送受信部111と管理操作部112とを備えている。
【0017】
メール送受信部111は、メール中継装置150に電子メールを送信する機能と、メール中継装置150から電子メールを受信する機能とを備えている。
【0018】
管理操作部112は、メール中継装置150の制御ルール設定部154に対して、メール中継装置150の記憶手段に記憶された制御ルールに対する変更などの操作指示を行う機能を備えている。なお、制御ルールについては図5を参照して後述する。すなわち、管理操作部112は、メール送受信端末110から送信(発信)される電子メールを、直ちに送信することなく一時保留するか、又は、中継(宛先に向けて直ちに送出)するか等が設定された制御ルールの登録、編集、削除、閲覧などを、制御ルール設定部154に対して指示する機能を備えている。
【0019】
また、管理操作部112は、メール中継装置150の記憶手段(保留メール保存部158)に保留された電子メールの閲覧、削除、送信(中継)などの操作指示を保留メール管理処理部155に対して実行する機能を備えている。
【0020】
なお、メール送受信部111は、一般に知られているSMTP、POP、IMAP等のプロトコルに対応したメールクライアント(メールユーザエージェント:MUA)に対応する機能部である。また、管理操作部112は、例えばHTTP又はHTTPSに対応したWebブラウザの機能を利用して実現される。
【0021】
メール中継装置150は、メール送受信端末110から送信された電子メールをメール配信装置に中継するか、一時保留するか等を判定し、判定結果に基づいて、メール配送装置190にメールを転送する。メール中継装置150は、メール受信処理部151、ルール適用処理部152、メール送信処理部153、制御ルール設定部154、保留メール管理処理部155を備えている。
【0022】
メール中継装置150は、外部メモリ211などの記憶手段に、制御ルール保存部156、ユーザアカウントデータベース157、保留メール保存部158の記憶領域を備えている。
【0023】
メール受信処理部151は、メール送受信端末110が送信した電子メールを取得する機能を備える。
【0024】
ルール適用処理部152は、メール受信処理部151で取得した電子メールが、制御ルール保存部156に記憶された制御ルールに示される各種条件に一致するか否かを判定し、一致する制御ルールがあると判定された場合は、当該制御ルールに設定されたアクション(電子メールの中継又は保留)を当該電子メールに対して適用する機能を備える。
【0025】
メール送信処理部153は、電子メールをメール配送装置190へ送信する機能を備える。つまり、ルール適用処理部152において中継すると判定された電子メール、または、所定の保留時間が経過した保留電子メールを送信する機能部である。
【0026】
制御ルール設定部154は、メール送受信端末110の管理操作部112から、制御ルール保存部156に記憶された制御ルールの登録、編集、削除、閲覧など操作指示を受け付ける機能、及び、当該操作指示に従って、制御ルール保存部156に記憶された制御ルールの登録、編集、削除、閲覧などの処理を実行する機能を備える。また、制御ルール設定部154は、例えばHTTP又はHTTPSに対応したWebサーバの機能を利用して実現される。
【0027】
また、制御ルール設定部154は、ユーザアカウントデータベース157に記憶されたユーザ情報(利用者(ユーザ)を識別するユーザ識別子(例えば、利用者のユーザ名など)と、パスワード)を用いて、メール送受信端末110を操作する利用者を認証する機能を備える。
【0028】
保留メール管理処理部155は、メール送受信端末110から受け付けた指示に従い、保留メール保存部158に保留されている電子メールの送出、又は削除、又は保留延長を行う機能を備える。
【0029】
制御ルール保存部156は、ルール適用処理部152で用いられる制御ルールが記憶されている記憶領域である。ユーザアカウントデータベース157は、外部メモリ211などの記憶手段に記憶されており、利用者(ユーザ)を識別するユーザ識別子(例えば、利用者のユーザ名など)と、パスワードと、該ユーザの電子メールアドレスとがそれぞれ互いに紐付いて記憶されている。保留メール保存部158は、ルール適用処理部152で保留すると判定された電子メールを保留する記憶領域である。
【0030】
図2は、メール送受信端末110およびメール中継装置150として動作する情報処理装置200のハードウエア構成を示す図である。
【0031】
CPU201は、システムバス204に接続される各デバイスやコントローラを統括的に制御する。また、ROM202あるいは外部メモリ211には、CPU201の制御プログラムであるBIOS(Basic Input / Output System)やオペレーティングシステムプログラム(以下、OS)や、各サーバ或いは各PCの実行する機能を実現するために必要な後述する各種プログラム等が記憶されている。RAM203は、CPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。CPU201は、処理の実行に際して必要なプログラム等をRAM203にロードして、プログラムを実行することで各種動作を実現するものである。
【0032】
また、入力コントローラ(入力C)205は、キーボード209や不図示のマウス等のポインティングデバイスからの入力を制御する。ビデオコントローラ(VC)206は、CRTディスプレイ(CRT)210等の表示器への表示を制御する。表示器はCRTだけでなく、液晶ディスプレイでも構わない。これらは必要に応じて管理者が使用するものである。メモリコントローラ(MC)207は、ブートプログラム、ブラウザソフトウエア、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル、各種データ等を記憶するハードディスク(HD)やフロッピー(登録商標)ディスク(FD)或いはPCMCIAカードスロットにアダプタを介して接続されるコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリ等の外部メモリ211へのアクセスを制御する。
【0033】
通信I/Fコントローラ(通信I/FC)208は、ネットワークを介して、外部機器と接続・通信するものであり、ネットワークでの通信制御処理を実行する。例えば、TCP/IPを用いたインターネット通信等が可能である。
【0034】
なお、CPU201は、例えばRAM203内の表示情報用領域へアウトラインフォントの展開(ラスタライズ)処理を実行することにより、CRT210上での表示を可能としている。また、CPU201は、CRT210上に各種操作画面およびマウスカーソル等(不図示)を表示しユーザ指示を可能とする。
【0035】
なお、後述する各処理を実現するためのプログラムは、例えば外部メモリ211に記録されており、必要に応じてRAM203にロードされることによりCPU201によって実行されるものである。さらに、前述の制御ルール保存部156、ユーザアカウントデータベース157、保留メール保存部158、および、各種情報テーブル214は、例えば外部メモリ211に格納されるよう構成される。
【0036】
<メール中継装置の動作>
図3は、メール中継装置150のCPU201が実行する電子メールの送信制御処理を示すフローチャートである。なお、以下のステップは、メール中継装置150のCPU201が各種制御プログラムを実行することにより実現される。
【0037】
ステップS301では、メール送受信端末110が送信した電子メールを、メール中継装置150のメール受信処理部151が受信する。メール受信処理部151は受信した電子メールをルール適用処理部152に渡し、ルール適用処理部152がステップS302以降の処理を実行する。
【0038】
ステップS302では、ルール適用処理部152は、制御ルール保存部156に記憶された全ての制御ルール(制御ルールリスト)をRAMなどのメモリに読み込む。そして、全ての制御ルールのリストをメモリに読み込んだ後、アクション適用エントリバッファを初期化する。
【0039】
図5は、制御ルールのリストの一例を示す図である。ここでは、ルールとは、「ID」、「ユーザID」、「条件定義部」、「分割評価」、「アクション定義部」、「管理者」から構成された1レコードの情報である。
【0040】
ここで読み込まれた制御ルールは、図5に示すように、「ID」をキーに降順にソートされたリスト形式で記憶保持される。この「ID」に設定された番号は、後述する[S303〜S306で実行されるルール適用処理]を実行する際に用いられる制御ルールの順番を示している。すなわち、制御ルール内の「ID」は、ルール適用処理(S303〜S306)で、制御ルールを適用する優先度(順番)を示している。
【0041】
・「ユーザID」は、該ユーザIDが含まれる制御ルールを登録した利用者のユーザ識別子である。
【0042】
・「条件定義部」は、「発信者(送信元)」、「受信者(宛先)」、「その他条件」から構成される。「発信者(送信元)」には、メール送受信端末110から取得する電子メールの送信元の電子メールアドレス(発信者情報)が設定されている。「受信者(宛先)」には、メール送受信端末110から取得する電子メールの宛先(To,Cc,Bcc)の電子メールアドレス(受信者情報)が設定されている。「その他条件」には、メール送受信端末110から取得する電子メールから得られる電子メールアドレス以外の電子メールを特定するための条件(情報)が設定されている。例えば、「その他条件」には、通常電子メールの送受信をフィルタリングするシステムで電子メールを特定するために使用される情報が設定できるものとする。具体的には、添付ファイルの有無や添付ファイルのファイル名、ファイルタイプ(ファイルの拡張子など)やファイルサイズや電子メール全体のデータサイズなどが設定可能である。
【0043】
なお、「発信者(送信元)」、「受信者(宛先)」には、それぞれ電子メールアドレスを複数設定することができ、アスタリスクなどのメタ文字(ワイルドカード)を使うことによって任意の文字列を表すこともできる。
【0044】
・「分割評価」には、メール送受信端末110から取得した電子メールに設定された複数の宛先毎のそれぞれを宛先とした電子メールを生成するか否かを示す真偽値(True,False)が設定される。すなわち、後述するステップS402の処理を実行するのか、それともステップS403の処理を実行するのかを判定するための条件が設定されている。
【0045】
・「アクション定義部」(送出制御情報)は、「アクション」および「遅延時間」から構成される。「アクション」には、条件定義部に設定された各条件に合致する電子メールに対する処理を示す情報(送出制御内容)が設定されている。図5の例では、「中継」と設定されている場合、電子メールを即時に中継(送出)するが、「保留」と設定されている場合は、電子メールを保留することを示している。「遅延時間」には、「アクション」に「保留」と設定され、電子メールの送信が保留された場合の保留限度時間(送出制御内容)が設定されている。例えば、メール送受信端末110から取得した電子メールが、制御ルールの条件定義部に設定された条件を満たし、その条件に対応した「アクション」が「保留」で「遅延時間」が「10m」と制御ルールに設定されている場合、当該電子メールを直ぐに送信せず、10分間、当該電子メールを保留メール保存部158に記憶する。即ち、当該電子メールを10分間遅らせて送信する。
【0046】
つまり、「遅延時間」に設定された時間の間、電子メールの送出が保留されることとなる。なお、「アクション」欄が「中継」のときは、「遅延時間」に設定された値は無効とする。また、「アクション」欄が「保留」で、かつ「遅延時間」に値が設定されていない場合、電子メールの保留が無期限に行われる。この場合、外部装置(他のメール送受信端末など)から送出指示がなされるまで電子メールが保留される。
【0047】
・「管理者」には、電子メールがその制御ルールの条件定義部に合致し、該電子メールが保留される場合に、該電子メールが保留された旨を通知する通知先(通知先受信者情報)と、その通知先のユーザの権限情報とが設定されている。さらに、メール送受信端末110から受信した電子メールの宛先に設定された同報者宛ての電子メールに、後述する「保留制御に関する情報」を挿入するか否かを示す同報者識別子が設定されている。なお、図5の例では、同報者識別子は<rcpt>で示されている。同報者識別子が設定されている場合は、「保留制御に関する情報」を同報者宛ての電子メールに挿入することを示している。
【0048】
ここで、通知先としては、管理者識別子(ユーザ識別子)、発信者識別子などが設定可能である。管理者識別子(管理者のユーザ識別子)とは、管理者を識別する管理者名(管理者のユーザ名)である。また、発信者識別子とは、保留された電子メールを送信した送信元(発信者)を示す情報である。なお、図5の例では、発信者識別子は<from>で示されている。
【0049】
次に、権限情報とは、図5に示す「管理者」欄の通知先の右に設定されている3つの値(真偽値(1または0))であって、各桁は、送出権限、削除権限、保留時間変更(延長)権限の有無を示している。値「1」は権限があることを示し、値「0」は権限が無いことを示している。
【0050】
例えば、図5の「ID」が1の制御ルールにおいては、「管理者」欄に「Admin:111」が設定されている。これは、通知先として「Admin(システム管理者)」が設定されており、システム管理者の権限は、権限情報「111」として設定されていることを示している。この権限情報「111」は、それぞれ、「送出権限が有る」(1)、「削除権限が有る」(1)、「保留時間変更(延長)権限が有る」(1)ことを示している。即ち、通知先であるシステム管理者は、IDが1の制御ルールにより保留された電子メールについて、送出権限と削除権限と保留時間変更(延長)権限を有することを示している。
【0051】
また、図5の「ID」が4の制御ルールにおいては、「管理者」欄に「nakamura:001」が設定されている。これは、通知先として「nakamura」が設定されており、通知先(nakamura)の権限は、権限情報「001」として設定されていることを示している。この権限情報「001」は、それぞれ、「送出権限が無い」(0)、「削除権限が無い」(0)、「保留時間変更(延長)権限が有る」(1)ことを示している。即ち、通知先である「nakamura」には、IDが4の制御ルールにより保留された電子メールについて、保留時間変更(延長)権限のみがあることを示している。
【0052】
ステップS303では、ルール適用処理部152は、制御ルールリストの中から、最も優先度が高い(IDの値が最小の)制御ルールを1つ(1レコード)選択する。
【0053】
ステップS304では、ルール適用処理部152は、ステップS301で取得した電子メールに対して、ステップS303で選択した制御ルールの適用処理を実行する。なお、ステップS304の処理の詳細については図4を用いて後述する。
【0054】
ステップS305では、ルール適用処理部152は、未適用メールがあるか否かを判定し、未適用メールがあると判定された場合(ステップS305:NO)、ステップS303へ戻り、前回適用した制御ルールの次に優先度が高い(前回適用した制御ルールのIDよりも値が次に大きい)制御ルールを選択し、同様にステップS304の処理を実行する。そして、ルール適用処理部152は、全ての制御ルールに対してステップS304の処理を実行すると、ステップS307に処理を移行する。一方、ルール適用処理部152は、ステップS305で未適用メールが無いと判定された場合は(ステップS305:YES)、ステップS303からステップS306のループ処理を終了し、ステップS308のアクション実行処理に移行する。
【0055】
ステップS307では、どの制御ルールの条件(条件定義部に示された条件)にも合致しなかった未適用メールに対して、予め設定されたアクション(中継又は保留)を適用して、ステップS308の処理へ移行する。
【0056】
ステップS308では、アクション適用エントリバッファに記憶されている情報に基づいてメールの送出処理又は保留処理を行う。なお、ステップS308の処理の詳細は図14を用いて後述する。
【0057】
図13は、アクション適用エントリバッファに記憶されるデータを示す図である。
【0058】
具体的には、アクション適用エントリバッファには、ステップS407又はステップS408で実行した中継(送出)処理又は保留処理の処理単位である電子メールのデータ(メールメッセージ(宛先))に対し、当該電子メールの送出予定日時と、当該電子メールに合致した制御ルールのIDとがそれぞれ対応付けられて記憶されている。
【0059】
以降では、アクション適用エントリバッファに記憶されるデータをアクション適用エントリリストと言い、アクション適用エントリリスト内の各レコードのデータをアクション適用エントリデータと言う。図13に示すアクション適用エントリリスト内のメールメッセージ(宛先)には、上述した通り、ステップS407又はステップS408で実行した中継(即時送出)処理又は保留処理の処理単位である電子メールが記憶されている。なお、図13に示す各アクション適用エントリデータは、後述する図4のステップS407又はステップS408において記憶される。
【0060】
<ルール適用処理(S304)の詳細動作>
図4は、ステップS304の電子メールのルール適用処理の詳細処理を示すフローチャートである。以下の動作は、メール中継装置150のCPU201が各種制御プログラムを実行することにより実現される。
【0061】
ステップS401では、ルール適用処理部152は、ステップS303で選択された制御ルールの「分割評価」が「true」(真)か、それとも「false」(偽)か、を判定する。すなわち、制御ルールの「分割評価」が「true」(真)か否かを判定することにより、電子メールに設定された複数の宛先のそれぞれを単一の宛先としたエンベロープをそれぞれ生成するか否かを判定する。
【0062】
そして、電子メールに設定された複数の宛先のそれぞれを単一の宛先としたエンベロープをそれぞれ生成すると判定した場合(制御ルールの「分割評価」が「true」(真)と設定されている場合)は(ステップS401:YES)、ステップS402に処理を移行する。一方、電子メールに設定された複数の宛先のそれぞれを単一の宛先としたエンベロープをそれぞれ生成しないと判定した場合(制御ルールの「分割評価」が「false」(偽)と設定されている場合)は(ステップS401:NO)、ステップS403に処理を移行する。
【0063】
ステップS402では、制御ルールの「分割評価」が「true」(真)と設定されている場合、ルール適用処理部152は、ステップS301で取得した電子メールのエンベロープに含まれる各宛先(受信者)のそれぞれを単一の宛先としたエンベロープをそれぞれ生成する。
【0064】
図12は、電子メールの各宛先(受信者)のそれぞれを宛先としたエンベロープの生成(ステップS402)を説明する図である。1201は、ステップS301で取得した電子メールのデータを示している。
【0065】
図12の電子メールのデータ1201は、エンベロープ部の情報(エンベロープとも言う)とヘッダ部の情報(ヘッダともいう)と本文とから構成されることを示している。1201には、エンベロープ部の情報とヘッダ部の情報と本文とを示したが、添付ファイルなどを含めてもよい。
【0066】
なお、”エンベロープ”は、メール送受信端末110のメールクライアント等では通常表示はされないが、実際の電子メールの配送に使われる送信元(発信者)の電子メールアドレスと送信先(受信者)の電子メールアドレスとを含む情報である。
【0067】
1201では、エンベロープに、送信元(発信者)の電子メールアドレスとして「X」が設定され、送信先(受信者)の電子メールアドレスとして、「A」、「B」、「C」が設定されている。
【0068】
ステップS402では、このエンベロープに送信先(受信者)の電子メールアドレスとして設定されている「A」、「B」、「C」のそれぞれを単一の宛先とするエンベロープ情報をそれぞれ生成する。
【0069】
すなわち、送信元(発信者)が「X」で送信先(受信者)が「A」のエンベロープ情報1202と、送信元(発信者)が「X」で送信先(受信者)が「B」のエンベロープ情報1203と、送信元(発信者)が「X」で送信先(受信者)が「C」のエンベロープ情報1204とを生成する。
【0070】
このように、ステップS402では、ステップS301で取得した1通の電子メールのエンベロープ情報に複数の送信先の電子メールアドレスがある場合、その送信先の電子メールアドレスのそれぞれが単独に送信先に設定されたエンベロープをそれぞれ生成し、複数の電子メールの集合(エンベロープの集合)を生成する。なお、ステップS301で取得した1通の電子メールのエンベロープの送信先の電子メールアドレスが1つのみの場合であっても、ステップS402では、その1つの電子メールアドレス(1つのエンベロープ)のみの電子メールの集合(エンベロープの集合)を生成する。ルール適用処理部152は、ステップS402でエンベロープを生成すると、処理をステップS404に移行する。
【0071】
ステップS403では、電子メールに設定された各宛先のそれぞれを単一の宛先としたエンベロープをそれぞれ生成しないと判定し、ステップS301で受信した1つの電子メール(1つのエンベロープ)からなる電子メールの集合を生成する。つまり、ステップS403の処理は、これ以降の各処理に対してステップS402の結果と同様に処理できるようにするための処理である。
【0072】
ステップS404では、ルール適用処理部152は、未適用メールを蓄積するための未適用メール用バッファを初期化する。そして、ルール適用処理部152は、ステップS402又はステップS403で生成されたエンベロープ(電子メール)の集合の中から、1つのエンベロープを取得してステップS405へ進む。なお、ステップS404〜ステップS410の処理は、メール集合の要素毎に繰り返し実行される。
【0073】
ステップS405では、ルール適用処理部152は、ステップS303で選択された制御ルールの条件定義部の条件とステップS404で取得したエンベローブを含む電子メールのデータとを照合し、該条件定義部の条件に合致するかどうかを判定する。なお、ここでは、制御ルールの「条件定義部」に設定された「発信者(送信元)」、「受信者(宛先)」、「その他条件」に示す条件を全て満たすか否かを判定する。
【0074】
そして、ルール適用処理部152は、ステップS405で合致すると判定された場合(ステップS405:YES)、ステップS406に処理を移行し、合致しないと判定された場合は(ステップS405:NO)、ステップS409に処理を移行する。
【0075】
ステップS406では、ルール適用処理部152は、制御ルールを参照し、合致した条件定義部の条件に対応した「アクション」の値が「中継」か、それとも「保留」か、を判定する。ステップS406で、「アクション」の値が「中継」と判定した場合は(ステップS406:中継)、ステップS407に処理を移行し、一方、アクション」の値が「保留」と判定した場合は(ステップS406:保留)、ステップS408に処理を移行する。
【0076】
ステップS407では、ルール適用処理部152は、ステップS404で取得したエンベローブの情報を含む電子メールのデータ(ヘッダや本文など)と、電子メールの送出予定日時が即時であることを示す情報と、ステップS405で判定した制御ルールのIDとをアクション適用エントリバッファ内のアクション適用エントリリストに記憶する。
【0077】
具体的には、アクション適用エントリリストの「メールメッセージ(宛先)」にステップS404で取得したエンベローブの情報を含む電子メールのデータが記憶され、アクション適用エントリリストの「送出予定日時」に、電子メールの送出予定日時が即時であることを示す情報(図13の例では「即時」)が記憶され、アクション適用エントリリストの「適用ルールID」には、ステップS405で用いた制御ルールのID(図13の例では「3」)が記憶される。
【0078】
ステップS408では、ルール適用処理部152は、まず、ステップS406でアクション」の値が「保留」と判定された制御ルールの「遅延時間」を制御ルールリスト(図5)から取得する。そして、ステップS301で電子メールを受信した「受信日時」と、ここで取得した「遅延時間」とから「送出予定時間」を算出する。例えば、受信日時が「2008月10月01日12時40分10秒」で、遅延時間が「10分」の場合は、その和を算出し「送出予定時間」を「2008月10月01日12時50分10秒」とする。
【0079】
そして、ルール適用処理部152は、ステップS404で取得したエンベローブの情報を含む電子メールのデータと、ここで算出された送出予定時間と、ステップS405で判定した制御ルールのIDとをアクション適用エントリバッファ内のアクション適用エントリリストに記憶する。
【0080】
具体的には、ステップS407の中継処理と同様に、図13に示すアクション適用エントリリストの「メールメッセージ(宛先)」にステップS404で取得したエンベローブの情報を含む電子メールのデータが記憶され、アクション適用エントリリストの「送出予定日時」に、算出された送出予定時間(図13の例では、「2008/10/1 12:50:10」)が記憶され、「適用ルールID」にステップS405で判定した制御ルールのID(図13の例では「21」)が記憶される。
【0081】
なお、ステップS406で「アクション」の値が「保留」と判定された制御ルールの「遅延時間」に値が設定されていない場合、これは無期限に保留することを示しているので、この場合は、アクション適用エントリリストの「送出予定日時」に期限が無いことを示す情報が記憶される(図13の例では「期限なし」が記憶される)。
【0082】
ステップS409では、ステップS404で取得したエンベローブを含む電子メールのデータを、ステップS404で初期化された未適用メール用バッファに記憶する。
【0083】
ステップS411では、ルール適用処理部152は、未適用メール用バッファの中に電子メールのデータがあるか否かを判定する。そして、未適用メール用バッファの中に電子メールのデータがあると判定された場合は(ステップS411:YES)、未適用メール用バッファに記憶された1又は複数のエンベロープの送信先の電子メールアドレス全てを1つのエンベロープの送信先に設定した電子メールを生成する。これはステップS402で実行した処理の逆の処理に相当する。一方、未適用メール用バッファの中に電子メールのデータが無いと判定された場合は(ステップS411:NO)、処理をステップS305に移行する。
【0084】
<アクション実行処理(S308)の詳細動作>
図14は、ステップS308の電子メールへのアクション実行処理の詳細処理を示すフローチャートである。以下の動作は、メール中継装置150のCPU201が各種制御プログラムを実行することにより実現される。
【0085】
ステップS1401では、ルール適用処理部152は、同報者向けメッセージバッファを初期化し、記憶されているデータをクリアする。
【0086】
ステップS1402では、ルール適用処理部152は、アクション適用エントリリスト内の各アクション適用エントリデータを送出予定日時の遅い順にソート(並び替え)する。このソート処理により、アクション適用エントリデータは、上位のレコードから、アクションが保留で遅延時間が指定されていない(無期限に保留される)電子メール、遅延時間が長い電子メール(所定時間よりも遅延時間が長い電子メール)、遅延時間が短い電子メール(所定時間よりも遅延時間が短い電子メール)、アクションが中継(送出)の電子メール(送出予定日時が即時である電子メール)という順に並べられる。ソート(整列)されたアクション適用エントリリスト内のアクション適用エントリデータ全てを実行するまで、後述するステップS1403からステップS1412までの繰り返し処理を実行する。
【0087】
ステップS1404では、ルール適用処理部152は、ソートされたアクション適用エントリリストの先頭から(送出予定日時の遅いアクション適用エントリデータから)アクション適用エントリデータを取得する。
【0088】
ステップS1405では、ルール適用処理部152は、取得したアクション適用エントリデータのメールメッセージに記憶されている電子メールのヘッダに、同報者向けメッセージバッファに記憶されたデータ(保留制御に関する情報)を挿入する。そして、データ(保留制御に関する情報)が挿入された電子メールを、ステップS1404で取得したアクション適用エントリデータのメールメッセージ(宛先)に記憶する。なお、同報者向けメッセージバッファに該データが記憶されていない場合は、電子メールのヘッダに該データを挿入しない。
【0089】
ここで、「保留制御に関する情報」とは、「保留された電子メールの送信者(発信者)名」又は「保留された電子メールの送信元の電子メールアドレス」、ステップS301で電子メールを取得した「日時(受信日時)」、「送出予定日時」、誰宛の電子メールが保留されたのかを示す「送信状況」、通知先(宛先)又は同報者の権限情報に対応した管理画面へのリンク先(URLなど)を示す「リンク情報」などのそれぞれの情報を指す。なお、管理画面の詳細については図10を参照して後述する。
【0090】
ステップS1406では、ルール適用処理部152は、ステップS1404で取得したアクション適用エントリデータの送出予定日時が「即時」(中継)であるか否かを判定する。即ち、取得したアクション適用エントリデータが保留する電子メールであるか否かを判定する。そして、保留する電子メールではないと判定された場合は(ステップS1406:NO)、メール送信処理部153は、ステップS1405で記憶されたアクション適用エントリデータ内の、データ(保留制御に関する情報)が挿入された電子メールの送出を直ちに実行する(ステップS1413)。一方、保留する電子メールと判定された場合は(ステップS1406:YES)、ステップS1407に進む。
【0091】
図9は、ステップS1413で送出、又は後述するステップS1411で保存(送出を保留)される電子メールの一例を示す図である。図9に示すように、電子メールのヘッダの一部703に、同報者向けメッセージバッファに記憶されたデータ(保留制御に関する情報)が表示されている。つまり、この電子メールを受け取った受信者(同報者の一部)は、当該電子メールを受信していない同報者が存在することを確認することができる。
【0092】
ステップS1407では、取得したアクション適用エントリデータの適用ルールID(適用ルールIDは、制御ルールリスト(図5)の「ID」に対応している(同じ値である))と同一のID(値)の制御ルールの「管理者」欄に含まれる通知先(管理者識別子、又は発信者識別子)、又は同報者(同報者識別子)を特定する。ステップS1407からステップS1410までの処理を、ここで特定された通知先および同報者の全てに対して実行するまで繰り返し行う。
【0093】
ステップS1408では、ルール適用処理部152は、ステップS1407で同報者識別子(RCPT)が特定されたか否かを判定する。そして、同報者識別子(RCPT)が特定されたと判定された場合は(ステップS1408:YES)、ステップS1409に進む。一方、同報者識別子(RCPT)が特定されなかったと判定された場合は(ステップS1408:NO)、即ち、通知先(管理者識別子又は発信者識別子(from))が特定された場合は、ステップS1414に進む。
【0094】
ステップS1409では、「保留制御に関する情報」を同報者向けメッセージバッファに記憶する。同報者向けメッセージバッファに記憶する「保留制御に関する情報」の取得方法については、後で説明する。
【0095】
ステップS1414では、特定された通知先に対して電子メール(通知メールとも言う)を生成し送出する。ここで、ステップS1407で特定された、現在処理対象の通知先(管理者識別子)に紐付いた電子メールアドレスをユーザアカウントデータベース157から取得し、取得した電子メールアドレスを宛先として通知メールを生成し送出する。
【0096】
なお、現在処理対象の通知先が発信者識別子(from)の場合は、ステップS1404で取得したアクション適用エントリデータのメールメッセージ(宛先)に含まれる電子メールのヘッダから送信元(発信者)の電子メールアドレスを取得し、当該電子メールアドレスを宛先とした通知メールを生成し送出する。
【0097】
図8は、通知メールの一例を示す図である。ここでは、ステップS301で取得した電子メールのデータ702が添付され、保留された電子メールの「保留制御に関する情報」(同報者向けメッセージバッファに記憶されたデータ)が本文701に挿入された通知メールを生成した例を示している。
【0098】
より具体的には、メール本文701には、保留された電子メールの「保留制御に関する情報」(発信者、受信日時、保留理由、送信状況、管理画面へのURL(リンク情報))が挿入され、ステップS301で取得した電子メールのデータが添付された電子メール(通知メール)を生成下例を示している。
【0099】
なお、通知先(管理者識別子又は発信者識別子)の権限情報に対応した管理画面へのリンク先(URL)を生成し挿入するよう構成すると好適である。その場合には、ステップS1408で判定した通知先(管理者識別子又は発信者識別子)の権限情報を制御ルールの「管理者」欄から取得する。そして、取得した同報者の権限情報に、保留された電子メールの送出権限、保留された電子メールの削除権限、保留された電子メールの保留時間変更(延長)権限のいずれかの権限が設定されている場合は、その設定されている権限の実行に対応した管理画面へのリンク先を示すリンク情報を生成する。なお、管理画面の詳細については図10を参照して後述する。一方、何れの権限もない場合は、リンク情報は生成せず通知メールにリンク情報を挿入しない。
【0100】
また、ステップS1409で記憶される「保留制御に関する情報」には、上述した、「保留された電子メールの送信者(発信者)名」又は「保留された電子メールの送信元の電子メールアドレス」、ステップS301で電子メールを取得した「日時(受信日時)」、「送出予定日時」、誰宛の電子メールが保留されたのかを示す「送信状況」、通知先の権限情報に対応した管理画面へのリンク先(URL)などの情報が含まれる。以下に、「保留制御に関する情報」の取得方法について説明する。
【0101】
「保留された電子メールの送信者(発信者)名」は、ステップS1404で取得したアクション適用エントリデータのメールメッセージ(宛先)に記憶された電子メールのヘッダの中から発信者(送信元)の電子メールアドレスを特定し、当該特定した電子メールアドレスに紐付いたユーザ名(発信者名)をユーザアカウントデータベースから取得することで得られる。「送信元の電子メールアドレス」は、ステップS1404で取得したアクション適用エントリデータのメールメッセージ(宛先)に記憶された電子メールのヘッダの中から取得される。
【0102】
また、「受信日時」は、ステップS301で電子メールを受信した際の日時を「受信日時」として取得される。「送出予定日時」は、ステップS1404で取得したアクション適用エントリデータから取得される。「送信状況」に示される宛先のユーザ名は、ステップS1404で取得したアクション適用エントリデータのメールメッセージ(宛先)に含まれる電子メールのヘッダ部の宛先アドレス部(宛先)に含まれるユーザ名から取得される。または、「送信状況」に示される宛先のユーザ名は、ステップS1404で取得したアクション適用エントリデータのメールメッセージ(宛先)に含まれる電子メールのヘッダ部の宛先アドレス部(宛先)に含まれる電子メールアドレスに紐付いたユーザ名をユーザアカウントデータベース157から取得される。
【0103】
「リンク先」は、例えば、ステップS1408で判定した同報者の権限情報を制御ルールの「管理者」欄から取得し、取得した同報者の権限情報に基づいて生成される。つまり、保留された電子メールの送出権限、削除権限、保留時間変更(延長)権限のいずれかの権限が設定されている場合、その設定されている権限を実行し得る画面(例えば、図10)へのリンク先を示すリンク情報を生成しステップS1409で記憶する。なお、各権限に対するリンク情報は予め記憶保持しておいても良い。一方、権限がない場合は、リンク情報は記憶しない。
【0104】
ステップS1411では、以上の処理を、ステップS1407で特定された通知先及び/又は同報者の全てに対して実行すると、ステップS1405で記憶したアクション適用エントリデータを保留メール保存部158に記憶する。
【0105】
ステップS1412では、アクション適用エントリリスト内に未処理のアクション適用エントリデータが存在する場合は、ステップS1404に処理を移行し、前回ステップS1404で取得したアクション適用エントリデータの次のアクション適用エントリデータを取得する。一方、アクション適用エントリリスト内の全てのアクション適用エントリデータに対して処理が完了した場合は、処理を終了する。
【0106】
なお、ステップS1404で取得したアクション適用エントリデータに含まれる電子メールのエンベロープに設定されている送信先の電子メールアドレスが、宛先としてTOやCc(カーボンコピー、Carbon Copy)のフィールドに設定されている場合は、それ以降のステップS1405からステップS1410までの処理を実行するが、Bcc(ブラインドカーボンコピー、Blind Carbon Copy)のフィールドに設定されている場合、つまりToもしくはCcのフィールドに電子メールアドレスが設定されていない場合は、それ以降のステップS1405からステップS1410までの処理を実行せず、ステップS1411の処理へ移行するよう構成するとよい。
【0107】
このように構成することにより、宛先の電子メールアドレスがBccに設定されている場合は、「保留制御に関する情報」及びステップS301で取得した電子メールのデータを含まない電子メール(通常の電子メール)が送信されることになる。すなわち、エンベロープの宛先の全ての電子メールアドレスが、送信される電子メールのヘッダなどに表示されないようにすることで、セキュリティ(Bccを使用した意図)を保持することが可能である。
【0108】
<各種変更(送出、削除、延長)処理>
図10は、保留された電子メールの送出権限、削除権限、保留時間変更(延長)権限の全ての権限を有するユーザ(通知先又は同報者)の利用するメール送受信端末の表示部に表示される管理画面の一例を示す図である。この画面は、メール送受信端末で動作するWebブラウザにより、ユーザ(通知先又は同報者)が受信した電子メールに記載された管理画面へのリンク先(URL)へアクセスすることにより表示される。なお、第1実施形態に置いては、リンク先(URL)のサーバはメール中継装置150である。
【0109】
図10の管理画面の例においては、保留されている電子メールに関するデータ(送信元の電子メールアドレス、送信先の電子メールアドレス、メール本文、受信日時、送出予定日時、操作履歴など)1001が表示されている。また、メール中継装置150内の保留メール管理処理部155に、保留されている電子メールの即時送出を指示する送出ボタン1002、削除を指示する削除ボタン1003、保留延長を指示する保留延長ボタン1005とが表示されている。また、保留延長の時間を指定するための設定部1004も併せて表示されている。
【0110】
つまり、送出ボタン1002が通知先のユーザ又は同報者により押下することにより、保留された電子メールの送出指示を行うことができる。また、削除ボタン1003が通知先のユーザ又は同報者により押下することにより、保留された電子メールの削除指示を行うことができる。また、通知先のユーザ又は同報者が設定部1004に保留延長時間を入力し、保留延長ボタン1005を押下することにより、保留された電子メールの保留延長時間の設定指示を行うことができる。
【0111】
なお、設定部1004には、保留時間を延長する時間を入力することができるが、保留時間を短縮する時間を入力するようにしてもよい。たとえば、設定部1004に「正の数」を入力した場合は、保留時間の延長指示を行い、設定部1004に「負の数」を入力した場合は、保留時間の短縮指示を行うことができる。このように、設定部1004に入力される値に応じて、保留された電子メールの保留時間を変更させることが可能となる。
【0112】
送出ボタン1002が通知先のユーザ又は同報者により押下されると、メール送受信端末のCPUは、メール中継装置150に対して、表示された電子メールを送出するための指示を送信する。当該指示を受けたメール中継装置150のCPUは、アクション適用エントリリストを参照し、当該電子メールが含まれる「メッセージメール(宛先)」のアクション適用エントリデータの「送出予定日時」を「即時」に変更する。
【0113】
また、削除ボタン1003が通知先のユーザ又は同報者により押下されると、メール送受信端末のCPUは、メール中継装置150に対して、表示された電子メールを削除するための指示を送信する。当該指示を受けたメール中継装置150のCPUは、アクション適用エントリリストを参照し、当該電子メールが含まれる「メッセージメール(宛先)」のアクション適用エントリデータを削除する。
【0114】
また、通知先のユーザ又は同報者が設定部1004に保留延長時間を入力し、保留延長ボタン1005が押下されると、メール送受信端末のCPUは、メール中継装置150に対して、表示された電子メールを保留延長時間、保留する保留延長指示を行う。当該保留延長指示を受けたメール中継装置150のCPUは、アクション適用エントリリストを参照し、当該電子メールが含まれる「メッセージメール(宛先)」のアクション適用エントリデータの「送出予定日時」を、保留延長指示された保留延長時間足した時間に変更する。
【0115】
なお、通知先又は同報者が有する権限情報が保留された電子メールの送出権限のみの場合は、電子メールのデータ1001と送出ボタン1002のみが表示される。また、通知先が有する権限情報が保留された電子メールの削除権限のみの場合は、電子メールのデータ1001と削除ボタン1003のみが表示される。
【0116】
このように、通知先又は同報者の権限情報に応じて、ステップS1405で挿入するリンク情報を変更することにより、保留された電子メールに対する各種変更(送出、削除、延長)処理を、所定の権限を有するユーザに限定することが可能となる。そのため、保留された電子メールの送出制御に関するセキュリティを向上させることができる。
【0117】
<保留された電子メールの処理フロー>
ここでは、ステップS1411で保留メール保存部158に記憶されたアクション適用エントリデータ内の電子メール(送出を保留された電子メール)の送出処理について説明する。
【0118】
ルール適用処理部152は、保留メール保存部に蓄積されているアクション適用エントリデータを定期的に1つ(1レコード)ずつ取り出し、アクション適用エントリデータの送出予定日時と現在日時を比較し、送出予定日時が現在日時を越えていれば、当該アクション適用エントリに含まれる電子メールをメール送信処理部153へ送り、メール配送装置190へ送信する。そして、メール配送装置190に送出された電子メールを含むアクション適用エントリデータを保留メール保存部158から削除する。
【0119】
また、送出予定日時が「期限無し」に設定されたアクション適用エントリデータの電子メールは、ここに示した、メール配送装置190に送出する処理は実行しない。また、ここに示した、メール配送装置190に送出する処理は保留時間の長さに適した時間毎(1分、5分、10分など)に実行される。
【0120】
<制御ルールの登録処理フロー>
次に利用者または管理者が電子メールの制御ルールを登録する処理を説明する。なお、この登録処理は、一般に図3を参照して説明したメール中継装置の処理に先立って実行される。ただし、運用中における制御ルールの変更(追加・削除など)の際にも実行されうる。
【0121】
利用者のメール送受信端末110の管理操作部112は、Webブラウザなどを用いて、メール中継装置150の制御ルール設定部154にアクセスする。
【0122】
そして、管理操作部112は、不図示の画面を介して入力されたユーザ情報(ユーザ名、パスワード)をメール中継装置150の制御ルール設定部154に送信する。そして、制御ルール設定部154は、メール中継装置150内のユーザアカウントデータベース157のユーザ情報を用いて利用者を認証する。
【0123】
ここで認証された場合は、メール中継装置150の制御ルール設定部154は、利用者のメール送受信端末110に、当該利用者に管理権限がある制御ルールのリスト画面が表示されるためのデータを送信する。一方、認証されなかった場合は、メール中継装置150へのアクセスは出来ない旨の応答を行う。
【0124】
図7は、ルール一覧画面の一例を示し、認証されたユーザが権限を有する制御ルールの各項目が表示されている。
【0125】
制御ルールの優先順位(優先度)(図5に示す「ID」に対応している)については、ルール一覧画面700の「操作」欄で示されるような矢印を押下されることにより変更することができる。例えば、矢印ボタン705a「↑」が押下されると当該押下されたレコードの制御ルールを適用する優先度が上がり、矢印ボタン705b「↓」が押下されると当該押下されたレコードの制御ルールを適用する優先度が下がる。
【0126】
優先度は制御ルール保存部に登録される全ての制御ルールに関して一意になる必要があるが、システム管理者は例えばユーザアカウントデータベース157のユーザごとに利用可能な優先度の値の範囲を設定しておくことで制御ルール全体の適用順序を制御することができる。
【0127】
図6は、制御ルールを新規に作成する場合に表示されるルール設定画面を示している。ルール設定画面600は、例えば、図7に示す新規作成ボタン710を押すことにより表示される。
【0128】
ルール設定画面では、図5で示す制御ルールリストの1行に相当する情報を入力し登録することができる。なお、ここで制御ルールを登録した利用者のユーザ識別子が図5の制御ルールリストのユーザID欄に記録されることになる。このとき一般の利用者が登録する制御ルールの発信者条件欄は利用者本人の電子メールアドレスに固定されるものとする。ただし、利用者がほかの利用者の電子メールを管理できるような権限をもつ場合は、管理権限の範囲内の発信者の電子メールアドレスを設定できるよう構成するとよい。
【0129】
<動作シナリオ>
図11は、ある電子メールに対するメール中継装置150の実際の動作シナリオを例示的に示すフローチャートである。ここでは、利用者から送信された電子メールがメール中継装置150で保留された後、同報者が保留された電子メールの保留時間を延長し、その後で発信者が保留メールを削除することで特定の宛先向けの電子メールの送信をキャンセルするシナリオを示している。
【0130】
ステップS901では、メール送受信端末110から発信者アドレスがA、受信アドレスがB,Cの電子メールが送信される。
【0131】
ステップS902では、メール中継装置150が電子メールを受信する。
【0132】
ステップS903では、ルール適用処理が実行される。ここでは、制御ルール保存部156の中の制御ルールと優先度順に比較され、”発信者条件がA、受信者条件がB、分割評価がtrue、アクションが保留、遅延時間が5分、管理者が発信者識別子、同報者識別子”と設定されている制御ルールZが適用されるものとする。受信者C宛のメールには全ての制御ルールが適用されず、所定の初期設定動作(デフォルト動作)が行われ、ここでは中継動作(即時送信)がなされるものとする。ここで、所定の初期設定動作とは図5の制御ルールリストの何れにも当てはまらないメールに対する処理動作を意味する。
【0133】
制御ルールZのメール適用処理ステップS304において、まずステップS402でエンベロープ受信者アドレスがB,Cであった電子メールが、エンベロープ受信者Bの電子メールとエンベロープ受信者Cの電子メールに分割される。次に最初にエンベロープ受信者Bの電子メールがステップS405で条件定義部と照合され、合致するためステップS408へ進む。ステップS408では、対象電子メールメッセージとメール受信時刻と制御ルールZに設定された遅延時間5分を足した送出予定日時と制御ルールZのIDからなるアクション適用エントリNを作成し、アクション適用エントリバッファへ保存される。
【0134】
次に分割された残りの受信者C宛の電子メールは、制御ルールZの条件定義部に合致しないためステップS409へ進む。分割メールはこれ以上ないためステップS410、ステップS411、ステップS412へ進み、受信者C宛の電子メールのみが未適用メールとして以降の制御ルール適用処理へ進む。
【0135】
受信者C宛の電子メールは残りの全ての制御ルールの条件定義部に合致しないためステップS307のデフォルト動作適用処理において、デフォルトの中継動作が適用され、送出予定日時が即時で制御ルールIDが未定義のアクション適用エントリMとしてアクション適用エントリバッファへ追加される。
【0136】
次にステップS308へ進み、アクション適用エントリバッファ内のエントリが送出予定日時の遅い順に整列されたあと、まずアクション適用エントリNが取り出される。アクション適用エントリNの送出予定日時は保留を表すため制御ルールIDを用いて制御ルールZを取り出し、管理者欄に発信者識別子があることから、電子メールの発信者のアドレス宛に図8で示したような通知メールを送信する。このとき発信者の管理権限情報には、送出、削除、保留延長の全ての権限があるため、これら全ての操作が行える保留メール管理画面のURLを通知メールに記載する。次にこのアクション適用エントリNを保留メール保存部158へ保存する(S904)。
【0137】
制御ルールZの管理者欄には同報者識別子もあることから、同報者向けメッセージバッファへ、この受信者B宛のメールは受信時刻から5分後の時刻まで送信が保留されている旨のメッセージを追加する。また、同時に同報者の管理権限情報に保留延長の権限が設定されていることから、このメールの保留延長が実施できる保留メール管理画面のURLを同報者向けメッセージバッファへ追加する。
【0138】
次に、アクション適用エントリMを取り出し、送出予定日時が即時であることから、同報者向けメッセージバッファの内容を取り出し、図9で示したような電子メールをメール送信処理部153へ渡し送出する(S911)。
【0139】
ステップS912では、電子メールアドレスCのユーザの使用するメール送受信端末が電子メールを受信する。電子メールアドレスCをもつ利用者は、受信したメールの付加ヘッダ部(図9の703)を確認する。このとき、例えば、電子メールアドレスCをもつ利用者が、受信者B宛のメール送信の遅延時間をさらに1時間に延長しておきたいとする。その場合、電子メールに記載されているURLをクリックし、図10で例示されているような管理画面をWebブラウザ等で表示する。そして、管理画面の延長時間設定部1004に1時間と入力した後、保留延長ボタン1005を押して保留延長要求をメール中継装置150へ送信する(ステップS915)。
【0140】
中継装置150ではステップS916において保留メール保存部に保存されたアクション適用エントリNの送出予定日時を1時間延長する。
【0141】
ステップS906では、電子メール発信したメール送受信端末が、ステップS905で送信された保留通知メールを受け取る。そこで、S901で送信した電子メールの宛先として電子メールアドレスBが不適切であったとすると、電子メールアドレスAの利用者は、保留通知メールに記載されている管理画面のURLをクリックする(S907)。そうすると、図10で例示されているような管理画面がWebブラウザ等により表示される(S908)。ユーザは内容を確認し、管理画面の削除ボタンをクリックする(ステップS909)。
【0142】
ステップS910では、メール中継装置150はS904で保留した電子メールの削除要求を受け取り、アクション適用エントリNを保留メール保存部から削除する。
【0143】
以上、詳細に説明したように、第1実施形態に係るメール中継装置150を含む電子メール送信システムによれば、ユーザによる電子メールの誤送信を低減可能とすると共に、様々な利用場面に適用可能な電子メール送信システムを提供することができる。特に、予め設定された権限を有するユーザにより、保留されたメールに対して各種の変更(送出、削除、延長)処理が可能となる。
【0144】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0145】
なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するプログラムを、システム或いは装置に直接或いは遠隔から供給し、そのシステム或いは装置が、供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される。従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0146】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
【0147】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどがある。
【0148】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される。その他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0149】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【符号の説明】
【0150】
110 メール送受信端末
150 メール中継装置
111 メール送受信部
112 管理操作部
151 メール受信処理部
152 ルール適用処理部
153 メール送信処理部
154 制御ルール設定部
155 保留メール管理処理部
156 制御ルール保存部
157 ユーザアカウントデータベース
158 保留メール保存部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子メールの送信制御技術、特に、端末から受信した電子メールの送出制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電子メールの送受信システムにおいては、送信者が電子メールの送信を行った後、送信先アドレスの間違いや、添付ファイルの付け忘れ、添付ファイルの付け間違いなどに気付いても、送信を取り消すための手段が用意されていない。また、電子メールは、送信者と受信者がエンドツーエンドで電子メッセージを交換するものであり、途中で第三者が送信内容を確認する手段がない。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1では、メール送受信端末とメール配送装置との間に配される送信メール保留装置において、電子メールを保留する技術が提案されている。具体的には、送信メール保留装置は、保留すると設定されている送信先アドレスをもつ電子メールを受信した場合には、受信した電子メールを送信者へ送信して内容を確認させる。そして、送信者が当該電子メールを誤送と判断した場合、特定アドレスへ電子メールを送ることで前述の電子メールの外部への送信を取り消すことを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−277976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、送信メール保留装置は受信したメッセージ単位でしか保留の可否を判断することができない。そのため、複数の送信先が記載された電子メールに対しては、誤送信の可能性がある送信先が1つでも含まれていれば、その他の送信先に対するメール送信までもが保留、取り消しがされることとなる。また、誤送信の可能性がある電子メールの確認や削除等の管理操作は、当該電子メールの送信者のみに限定されている。さらに、保留されたメールを確認したのち、修正する必要がないと判断された場合であっても、設定された送信遅延時間が経過するまで送出することができない。
【0006】
本発明は上述の問題点に鑑みなされたものであり、ユーザによる電子メールの誤送信を低減可能とすると共に、宛先に応じた電子メールの送出制御を行うことにより効率よく電子メールを送出させる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の1以上の問題点を解決するため本発明の情報処理装置は以下の構成を備える。すなわち、端末装置から電子メールを受信し、該電子メールのメール配送装置への送出を制御する情報処理装置において、前記端末装置から電子メールを受信する受信手段と、電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアに対応した該電子メールへの送出制御内容が設定された制御テーブルを記憶する記憶手段と、前記受信手段により受信した前記電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアが前記制御テーブルに含まれるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により、前記電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアが前記制御テーブルに含まれると判定され、かつ、当該ペアに対応する送出制御情報が該電子メールの保留であった場合、該電子メールの前記メール配送装置への送出を保留し保留電子メール記憶部に格納し、前記判定手段により、前記電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアが前記制御テーブルに含まれると判定され、かつ、当該ペアに対応する送出制御情報が該電子メールの送出であった場合、該電子メールを前記メール配送装置へ即時に送出し、前記判定手段により、前記電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアが前記制御テーブルに含まれないと判定された場合、所定の初期設定動作に従って前記電子メールの処理を実行する、制御手段と、を備える。
【0008】
上述の1以上の問題点を解決するため本発明の情報処理装置の制御方法は以下の工程を備える。すなわち、端末装置から電子メールを受信し、該電子メールのメール配送装置への送出を制御する情報処理装置の制御方法において、前記端末装置から電子メールを受信する受信工程と、電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアに対応した該電子メールへの送出制御内容が設定された制御テーブルをテーブル記憶部に記憶する記憶工程と、前記受信工程により受信した前記電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアが前記制御テーブルに含まれるか否かを判定する判定工程と、前記判定工程により、前記電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアが前記制御テーブルに含まれると判定され、かつ、当該ペアに対応する送出制御情報が該電子メールの保留であった場合、該電子メールの前記メール配送装置への送出を保留し保留電子メール記憶部に格納し、前記判定工程により、前記電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアが前記制御テーブルに含まれると判定され、かつ、当該ペアに対応する送出制御情報が該電子メールの送出であった場合、該電子メールを前記メール配送装置へ即時に送出し、前記判定工程により、前記電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアが前記制御テーブルに含まれないと判定された場合、所定の初期設定動作に従って前記電子メールの処理を実行する、制御工程と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザによる電子メールの誤送信を低減可能とすると共に、宛先に応じた電子メールの送出制御を行うことにより効率よく電子メールを送出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態に係る電子メール送信システムの全体構成を示す図である。
【図2】メール送受信端末およびメール中継装置のハードウエア構成を示す図である。
【図3】第1実施形態に係るメール中継装置の処理を示すフローチャートである。
【図4】第1実施形態に係るルール適用処理の詳細を示すフローチャートである。
【図5】制御ルールテーブルの一例を示す図である。
【図6】ルール設定画面の一例を示す図である。
【図7】ルール一覧画面の一例を示す図である。
【図8】発信者、管理者への通知メールの一例を示す図である。
【図9】同報受信者へ送信されるメールの一例を示す図である。
【図10】保留メールの管理画面の一例を示す図である。
【図11】送信された電子メールが保留され削除される場合の一例を示すフローチャートである。
【図12】電子メールをエンベロープ受信者毎に分割する様子を例示的に示す図である。
【図13】アクション適用エントリバッファに格納される情報の一例を示す図である。
【図14】第1実施形態に係るアクション実行処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を詳しく説明する。なお、以下の実施の形態はあくまで例示であり、本発明の範囲を限定する趣旨のものではない。
【0012】
(第1実施形態)
本発明に係る情報処理装置の第1実施形態として、メール中継装置を例に挙げて以下に説明する。
【0013】
<システムの全体構成>
図1は、第1実施形態に係るメール中継装置を含む電子メール送信システムの全体構成を示す図である。
【0014】
メールシステムは、メール送受信端末(端末装置)110とメール中継装置150とメール配送装置190とから構成される。メール送受信端末110とメール中継装置150とメール配送装置190とはそれぞれネットワークを介して相互に通信可能に接続されている。
【0015】
メール送受信端末110から送信された電子メールは、該電子メールの宛先に設定されたメールアドレスに従って、メール中継装置150とメール配送装置190とを介して、該宛先である不図示の他のメール送受信端末に送信される。
【0016】
電子メールの送受信を行うメール送受信端末110は、ユーザが各種操作指示を行う情報処理装置である。メール送受信端末110は、ネットワークを介して、メール中継装置150とデータの送受信が可能である。メール送受信端末110は、メール送受信部111と管理操作部112とを備えている。
【0017】
メール送受信部111は、メール中継装置150に電子メールを送信する機能と、メール中継装置150から電子メールを受信する機能とを備えている。
【0018】
管理操作部112は、メール中継装置150の制御ルール設定部154に対して、メール中継装置150の記憶手段に記憶された制御ルールに対する変更などの操作指示を行う機能を備えている。なお、制御ルールについては図5を参照して後述する。すなわち、管理操作部112は、メール送受信端末110から送信(発信)される電子メールを、直ちに送信することなく一時保留するか、又は、中継(宛先に向けて直ちに送出)するか等が設定された制御ルールの登録、編集、削除、閲覧などを、制御ルール設定部154に対して指示する機能を備えている。
【0019】
また、管理操作部112は、メール中継装置150の記憶手段(保留メール保存部158)に保留された電子メールの閲覧、削除、送信(中継)などの操作指示を保留メール管理処理部155に対して実行する機能を備えている。
【0020】
なお、メール送受信部111は、一般に知られているSMTP、POP、IMAP等のプロトコルに対応したメールクライアント(メールユーザエージェント:MUA)に対応する機能部である。また、管理操作部112は、例えばHTTP又はHTTPSに対応したWebブラウザの機能を利用して実現される。
【0021】
メール中継装置150は、メール送受信端末110から送信された電子メールをメール配信装置に中継するか、一時保留するか等を判定し、判定結果に基づいて、メール配送装置190にメールを転送する。メール中継装置150は、メール受信処理部151、ルール適用処理部152、メール送信処理部153、制御ルール設定部154、保留メール管理処理部155を備えている。
【0022】
メール中継装置150は、外部メモリ211などの記憶手段に、制御ルール保存部156、ユーザアカウントデータベース157、保留メール保存部158の記憶領域を備えている。
【0023】
メール受信処理部151は、メール送受信端末110が送信した電子メールを取得する機能を備える。
【0024】
ルール適用処理部152は、メール受信処理部151で取得した電子メールが、制御ルール保存部156に記憶された制御ルールに示される各種条件に一致するか否かを判定し、一致する制御ルールがあると判定された場合は、当該制御ルールに設定されたアクション(電子メールの中継又は保留)を当該電子メールに対して適用する機能を備える。
【0025】
メール送信処理部153は、電子メールをメール配送装置190へ送信する機能を備える。つまり、ルール適用処理部152において中継すると判定された電子メール、または、所定の保留時間が経過した保留電子メールを送信する機能部である。
【0026】
制御ルール設定部154は、メール送受信端末110の管理操作部112から、制御ルール保存部156に記憶された制御ルールの登録、編集、削除、閲覧など操作指示を受け付ける機能、及び、当該操作指示に従って、制御ルール保存部156に記憶された制御ルールの登録、編集、削除、閲覧などの処理を実行する機能を備える。また、制御ルール設定部154は、例えばHTTP又はHTTPSに対応したWebサーバの機能を利用して実現される。
【0027】
また、制御ルール設定部154は、ユーザアカウントデータベース157に記憶されたユーザ情報(利用者(ユーザ)を識別するユーザ識別子(例えば、利用者のユーザ名など)と、パスワード)を用いて、メール送受信端末110を操作する利用者を認証する機能を備える。
【0028】
保留メール管理処理部155は、メール送受信端末110から受け付けた指示に従い、保留メール保存部158に保留されている電子メールの送出、又は削除、又は保留延長を行う機能を備える。
【0029】
制御ルール保存部156は、ルール適用処理部152で用いられる制御ルールが記憶されている記憶領域である。ユーザアカウントデータベース157は、外部メモリ211などの記憶手段に記憶されており、利用者(ユーザ)を識別するユーザ識別子(例えば、利用者のユーザ名など)と、パスワードと、該ユーザの電子メールアドレスとがそれぞれ互いに紐付いて記憶されている。保留メール保存部158は、ルール適用処理部152で保留すると判定された電子メールを保留する記憶領域である。
【0030】
図2は、メール送受信端末110およびメール中継装置150として動作する情報処理装置200のハードウエア構成を示す図である。
【0031】
CPU201は、システムバス204に接続される各デバイスやコントローラを統括的に制御する。また、ROM202あるいは外部メモリ211には、CPU201の制御プログラムであるBIOS(Basic Input / Output System)やオペレーティングシステムプログラム(以下、OS)や、各サーバ或いは各PCの実行する機能を実現するために必要な後述する各種プログラム等が記憶されている。RAM203は、CPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。CPU201は、処理の実行に際して必要なプログラム等をRAM203にロードして、プログラムを実行することで各種動作を実現するものである。
【0032】
また、入力コントローラ(入力C)205は、キーボード209や不図示のマウス等のポインティングデバイスからの入力を制御する。ビデオコントローラ(VC)206は、CRTディスプレイ(CRT)210等の表示器への表示を制御する。表示器はCRTだけでなく、液晶ディスプレイでも構わない。これらは必要に応じて管理者が使用するものである。メモリコントローラ(MC)207は、ブートプログラム、ブラウザソフトウエア、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル、各種データ等を記憶するハードディスク(HD)やフロッピー(登録商標)ディスク(FD)或いはPCMCIAカードスロットにアダプタを介して接続されるコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリ等の外部メモリ211へのアクセスを制御する。
【0033】
通信I/Fコントローラ(通信I/FC)208は、ネットワークを介して、外部機器と接続・通信するものであり、ネットワークでの通信制御処理を実行する。例えば、TCP/IPを用いたインターネット通信等が可能である。
【0034】
なお、CPU201は、例えばRAM203内の表示情報用領域へアウトラインフォントの展開(ラスタライズ)処理を実行することにより、CRT210上での表示を可能としている。また、CPU201は、CRT210上に各種操作画面およびマウスカーソル等(不図示)を表示しユーザ指示を可能とする。
【0035】
なお、後述する各処理を実現するためのプログラムは、例えば外部メモリ211に記録されており、必要に応じてRAM203にロードされることによりCPU201によって実行されるものである。さらに、前述の制御ルール保存部156、ユーザアカウントデータベース157、保留メール保存部158、および、各種情報テーブル214は、例えば外部メモリ211に格納されるよう構成される。
【0036】
<メール中継装置の動作>
図3は、メール中継装置150のCPU201が実行する電子メールの送信制御処理を示すフローチャートである。なお、以下のステップは、メール中継装置150のCPU201が各種制御プログラムを実行することにより実現される。
【0037】
ステップS301では、メール送受信端末110が送信した電子メールを、メール中継装置150のメール受信処理部151が受信する。メール受信処理部151は受信した電子メールをルール適用処理部152に渡し、ルール適用処理部152がステップS302以降の処理を実行する。
【0038】
ステップS302では、ルール適用処理部152は、制御ルール保存部156に記憶された全ての制御ルール(制御ルールリスト)をRAMなどのメモリに読み込む。そして、全ての制御ルールのリストをメモリに読み込んだ後、アクション適用エントリバッファを初期化する。
【0039】
図5は、制御ルールのリストの一例を示す図である。ここでは、ルールとは、「ID」、「ユーザID」、「条件定義部」、「分割評価」、「アクション定義部」、「管理者」から構成された1レコードの情報である。
【0040】
ここで読み込まれた制御ルールは、図5に示すように、「ID」をキーに降順にソートされたリスト形式で記憶保持される。この「ID」に設定された番号は、後述する[S303〜S306で実行されるルール適用処理]を実行する際に用いられる制御ルールの順番を示している。すなわち、制御ルール内の「ID」は、ルール適用処理(S303〜S306)で、制御ルールを適用する優先度(順番)を示している。
【0041】
・「ユーザID」は、該ユーザIDが含まれる制御ルールを登録した利用者のユーザ識別子である。
【0042】
・「条件定義部」は、「発信者(送信元)」、「受信者(宛先)」、「その他条件」から構成される。「発信者(送信元)」には、メール送受信端末110から取得する電子メールの送信元の電子メールアドレス(発信者情報)が設定されている。「受信者(宛先)」には、メール送受信端末110から取得する電子メールの宛先(To,Cc,Bcc)の電子メールアドレス(受信者情報)が設定されている。「その他条件」には、メール送受信端末110から取得する電子メールから得られる電子メールアドレス以外の電子メールを特定するための条件(情報)が設定されている。例えば、「その他条件」には、通常電子メールの送受信をフィルタリングするシステムで電子メールを特定するために使用される情報が設定できるものとする。具体的には、添付ファイルの有無や添付ファイルのファイル名、ファイルタイプ(ファイルの拡張子など)やファイルサイズや電子メール全体のデータサイズなどが設定可能である。
【0043】
なお、「発信者(送信元)」、「受信者(宛先)」には、それぞれ電子メールアドレスを複数設定することができ、アスタリスクなどのメタ文字(ワイルドカード)を使うことによって任意の文字列を表すこともできる。
【0044】
・「分割評価」には、メール送受信端末110から取得した電子メールに設定された複数の宛先毎のそれぞれを宛先とした電子メールを生成するか否かを示す真偽値(True,False)が設定される。すなわち、後述するステップS402の処理を実行するのか、それともステップS403の処理を実行するのかを判定するための条件が設定されている。
【0045】
・「アクション定義部」(送出制御情報)は、「アクション」および「遅延時間」から構成される。「アクション」には、条件定義部に設定された各条件に合致する電子メールに対する処理を示す情報(送出制御内容)が設定されている。図5の例では、「中継」と設定されている場合、電子メールを即時に中継(送出)するが、「保留」と設定されている場合は、電子メールを保留することを示している。「遅延時間」には、「アクション」に「保留」と設定され、電子メールの送信が保留された場合の保留限度時間(送出制御内容)が設定されている。例えば、メール送受信端末110から取得した電子メールが、制御ルールの条件定義部に設定された条件を満たし、その条件に対応した「アクション」が「保留」で「遅延時間」が「10m」と制御ルールに設定されている場合、当該電子メールを直ぐに送信せず、10分間、当該電子メールを保留メール保存部158に記憶する。即ち、当該電子メールを10分間遅らせて送信する。
【0046】
つまり、「遅延時間」に設定された時間の間、電子メールの送出が保留されることとなる。なお、「アクション」欄が「中継」のときは、「遅延時間」に設定された値は無効とする。また、「アクション」欄が「保留」で、かつ「遅延時間」に値が設定されていない場合、電子メールの保留が無期限に行われる。この場合、外部装置(他のメール送受信端末など)から送出指示がなされるまで電子メールが保留される。
【0047】
・「管理者」には、電子メールがその制御ルールの条件定義部に合致し、該電子メールが保留される場合に、該電子メールが保留された旨を通知する通知先(通知先受信者情報)と、その通知先のユーザの権限情報とが設定されている。さらに、メール送受信端末110から受信した電子メールの宛先に設定された同報者宛ての電子メールに、後述する「保留制御に関する情報」を挿入するか否かを示す同報者識別子が設定されている。なお、図5の例では、同報者識別子は<rcpt>で示されている。同報者識別子が設定されている場合は、「保留制御に関する情報」を同報者宛ての電子メールに挿入することを示している。
【0048】
ここで、通知先としては、管理者識別子(ユーザ識別子)、発信者識別子などが設定可能である。管理者識別子(管理者のユーザ識別子)とは、管理者を識別する管理者名(管理者のユーザ名)である。また、発信者識別子とは、保留された電子メールを送信した送信元(発信者)を示す情報である。なお、図5の例では、発信者識別子は<from>で示されている。
【0049】
次に、権限情報とは、図5に示す「管理者」欄の通知先の右に設定されている3つの値(真偽値(1または0))であって、各桁は、送出権限、削除権限、保留時間変更(延長)権限の有無を示している。値「1」は権限があることを示し、値「0」は権限が無いことを示している。
【0050】
例えば、図5の「ID」が1の制御ルールにおいては、「管理者」欄に「Admin:111」が設定されている。これは、通知先として「Admin(システム管理者)」が設定されており、システム管理者の権限は、権限情報「111」として設定されていることを示している。この権限情報「111」は、それぞれ、「送出権限が有る」(1)、「削除権限が有る」(1)、「保留時間変更(延長)権限が有る」(1)ことを示している。即ち、通知先であるシステム管理者は、IDが1の制御ルールにより保留された電子メールについて、送出権限と削除権限と保留時間変更(延長)権限を有することを示している。
【0051】
また、図5の「ID」が4の制御ルールにおいては、「管理者」欄に「nakamura:001」が設定されている。これは、通知先として「nakamura」が設定されており、通知先(nakamura)の権限は、権限情報「001」として設定されていることを示している。この権限情報「001」は、それぞれ、「送出権限が無い」(0)、「削除権限が無い」(0)、「保留時間変更(延長)権限が有る」(1)ことを示している。即ち、通知先である「nakamura」には、IDが4の制御ルールにより保留された電子メールについて、保留時間変更(延長)権限のみがあることを示している。
【0052】
ステップS303では、ルール適用処理部152は、制御ルールリストの中から、最も優先度が高い(IDの値が最小の)制御ルールを1つ(1レコード)選択する。
【0053】
ステップS304では、ルール適用処理部152は、ステップS301で取得した電子メールに対して、ステップS303で選択した制御ルールの適用処理を実行する。なお、ステップS304の処理の詳細については図4を用いて後述する。
【0054】
ステップS305では、ルール適用処理部152は、未適用メールがあるか否かを判定し、未適用メールがあると判定された場合(ステップS305:NO)、ステップS303へ戻り、前回適用した制御ルールの次に優先度が高い(前回適用した制御ルールのIDよりも値が次に大きい)制御ルールを選択し、同様にステップS304の処理を実行する。そして、ルール適用処理部152は、全ての制御ルールに対してステップS304の処理を実行すると、ステップS307に処理を移行する。一方、ルール適用処理部152は、ステップS305で未適用メールが無いと判定された場合は(ステップS305:YES)、ステップS303からステップS306のループ処理を終了し、ステップS308のアクション実行処理に移行する。
【0055】
ステップS307では、どの制御ルールの条件(条件定義部に示された条件)にも合致しなかった未適用メールに対して、予め設定されたアクション(中継又は保留)を適用して、ステップS308の処理へ移行する。
【0056】
ステップS308では、アクション適用エントリバッファに記憶されている情報に基づいてメールの送出処理又は保留処理を行う。なお、ステップS308の処理の詳細は図14を用いて後述する。
【0057】
図13は、アクション適用エントリバッファに記憶されるデータを示す図である。
【0058】
具体的には、アクション適用エントリバッファには、ステップS407又はステップS408で実行した中継(送出)処理又は保留処理の処理単位である電子メールのデータ(メールメッセージ(宛先))に対し、当該電子メールの送出予定日時と、当該電子メールに合致した制御ルールのIDとがそれぞれ対応付けられて記憶されている。
【0059】
以降では、アクション適用エントリバッファに記憶されるデータをアクション適用エントリリストと言い、アクション適用エントリリスト内の各レコードのデータをアクション適用エントリデータと言う。図13に示すアクション適用エントリリスト内のメールメッセージ(宛先)には、上述した通り、ステップS407又はステップS408で実行した中継(即時送出)処理又は保留処理の処理単位である電子メールが記憶されている。なお、図13に示す各アクション適用エントリデータは、後述する図4のステップS407又はステップS408において記憶される。
【0060】
<ルール適用処理(S304)の詳細動作>
図4は、ステップS304の電子メールのルール適用処理の詳細処理を示すフローチャートである。以下の動作は、メール中継装置150のCPU201が各種制御プログラムを実行することにより実現される。
【0061】
ステップS401では、ルール適用処理部152は、ステップS303で選択された制御ルールの「分割評価」が「true」(真)か、それとも「false」(偽)か、を判定する。すなわち、制御ルールの「分割評価」が「true」(真)か否かを判定することにより、電子メールに設定された複数の宛先のそれぞれを単一の宛先としたエンベロープをそれぞれ生成するか否かを判定する。
【0062】
そして、電子メールに設定された複数の宛先のそれぞれを単一の宛先としたエンベロープをそれぞれ生成すると判定した場合(制御ルールの「分割評価」が「true」(真)と設定されている場合)は(ステップS401:YES)、ステップS402に処理を移行する。一方、電子メールに設定された複数の宛先のそれぞれを単一の宛先としたエンベロープをそれぞれ生成しないと判定した場合(制御ルールの「分割評価」が「false」(偽)と設定されている場合)は(ステップS401:NO)、ステップS403に処理を移行する。
【0063】
ステップS402では、制御ルールの「分割評価」が「true」(真)と設定されている場合、ルール適用処理部152は、ステップS301で取得した電子メールのエンベロープに含まれる各宛先(受信者)のそれぞれを単一の宛先としたエンベロープをそれぞれ生成する。
【0064】
図12は、電子メールの各宛先(受信者)のそれぞれを宛先としたエンベロープの生成(ステップS402)を説明する図である。1201は、ステップS301で取得した電子メールのデータを示している。
【0065】
図12の電子メールのデータ1201は、エンベロープ部の情報(エンベロープとも言う)とヘッダ部の情報(ヘッダともいう)と本文とから構成されることを示している。1201には、エンベロープ部の情報とヘッダ部の情報と本文とを示したが、添付ファイルなどを含めてもよい。
【0066】
なお、”エンベロープ”は、メール送受信端末110のメールクライアント等では通常表示はされないが、実際の電子メールの配送に使われる送信元(発信者)の電子メールアドレスと送信先(受信者)の電子メールアドレスとを含む情報である。
【0067】
1201では、エンベロープに、送信元(発信者)の電子メールアドレスとして「X」が設定され、送信先(受信者)の電子メールアドレスとして、「A」、「B」、「C」が設定されている。
【0068】
ステップS402では、このエンベロープに送信先(受信者)の電子メールアドレスとして設定されている「A」、「B」、「C」のそれぞれを単一の宛先とするエンベロープ情報をそれぞれ生成する。
【0069】
すなわち、送信元(発信者)が「X」で送信先(受信者)が「A」のエンベロープ情報1202と、送信元(発信者)が「X」で送信先(受信者)が「B」のエンベロープ情報1203と、送信元(発信者)が「X」で送信先(受信者)が「C」のエンベロープ情報1204とを生成する。
【0070】
このように、ステップS402では、ステップS301で取得した1通の電子メールのエンベロープ情報に複数の送信先の電子メールアドレスがある場合、その送信先の電子メールアドレスのそれぞれが単独に送信先に設定されたエンベロープをそれぞれ生成し、複数の電子メールの集合(エンベロープの集合)を生成する。なお、ステップS301で取得した1通の電子メールのエンベロープの送信先の電子メールアドレスが1つのみの場合であっても、ステップS402では、その1つの電子メールアドレス(1つのエンベロープ)のみの電子メールの集合(エンベロープの集合)を生成する。ルール適用処理部152は、ステップS402でエンベロープを生成すると、処理をステップS404に移行する。
【0071】
ステップS403では、電子メールに設定された各宛先のそれぞれを単一の宛先としたエンベロープをそれぞれ生成しないと判定し、ステップS301で受信した1つの電子メール(1つのエンベロープ)からなる電子メールの集合を生成する。つまり、ステップS403の処理は、これ以降の各処理に対してステップS402の結果と同様に処理できるようにするための処理である。
【0072】
ステップS404では、ルール適用処理部152は、未適用メールを蓄積するための未適用メール用バッファを初期化する。そして、ルール適用処理部152は、ステップS402又はステップS403で生成されたエンベロープ(電子メール)の集合の中から、1つのエンベロープを取得してステップS405へ進む。なお、ステップS404〜ステップS410の処理は、メール集合の要素毎に繰り返し実行される。
【0073】
ステップS405では、ルール適用処理部152は、ステップS303で選択された制御ルールの条件定義部の条件とステップS404で取得したエンベローブを含む電子メールのデータとを照合し、該条件定義部の条件に合致するかどうかを判定する。なお、ここでは、制御ルールの「条件定義部」に設定された「発信者(送信元)」、「受信者(宛先)」、「その他条件」に示す条件を全て満たすか否かを判定する。
【0074】
そして、ルール適用処理部152は、ステップS405で合致すると判定された場合(ステップS405:YES)、ステップS406に処理を移行し、合致しないと判定された場合は(ステップS405:NO)、ステップS409に処理を移行する。
【0075】
ステップS406では、ルール適用処理部152は、制御ルールを参照し、合致した条件定義部の条件に対応した「アクション」の値が「中継」か、それとも「保留」か、を判定する。ステップS406で、「アクション」の値が「中継」と判定した場合は(ステップS406:中継)、ステップS407に処理を移行し、一方、アクション」の値が「保留」と判定した場合は(ステップS406:保留)、ステップS408に処理を移行する。
【0076】
ステップS407では、ルール適用処理部152は、ステップS404で取得したエンベローブの情報を含む電子メールのデータ(ヘッダや本文など)と、電子メールの送出予定日時が即時であることを示す情報と、ステップS405で判定した制御ルールのIDとをアクション適用エントリバッファ内のアクション適用エントリリストに記憶する。
【0077】
具体的には、アクション適用エントリリストの「メールメッセージ(宛先)」にステップS404で取得したエンベローブの情報を含む電子メールのデータが記憶され、アクション適用エントリリストの「送出予定日時」に、電子メールの送出予定日時が即時であることを示す情報(図13の例では「即時」)が記憶され、アクション適用エントリリストの「適用ルールID」には、ステップS405で用いた制御ルールのID(図13の例では「3」)が記憶される。
【0078】
ステップS408では、ルール適用処理部152は、まず、ステップS406でアクション」の値が「保留」と判定された制御ルールの「遅延時間」を制御ルールリスト(図5)から取得する。そして、ステップS301で電子メールを受信した「受信日時」と、ここで取得した「遅延時間」とから「送出予定時間」を算出する。例えば、受信日時が「2008月10月01日12時40分10秒」で、遅延時間が「10分」の場合は、その和を算出し「送出予定時間」を「2008月10月01日12時50分10秒」とする。
【0079】
そして、ルール適用処理部152は、ステップS404で取得したエンベローブの情報を含む電子メールのデータと、ここで算出された送出予定時間と、ステップS405で判定した制御ルールのIDとをアクション適用エントリバッファ内のアクション適用エントリリストに記憶する。
【0080】
具体的には、ステップS407の中継処理と同様に、図13に示すアクション適用エントリリストの「メールメッセージ(宛先)」にステップS404で取得したエンベローブの情報を含む電子メールのデータが記憶され、アクション適用エントリリストの「送出予定日時」に、算出された送出予定時間(図13の例では、「2008/10/1 12:50:10」)が記憶され、「適用ルールID」にステップS405で判定した制御ルールのID(図13の例では「21」)が記憶される。
【0081】
なお、ステップS406で「アクション」の値が「保留」と判定された制御ルールの「遅延時間」に値が設定されていない場合、これは無期限に保留することを示しているので、この場合は、アクション適用エントリリストの「送出予定日時」に期限が無いことを示す情報が記憶される(図13の例では「期限なし」が記憶される)。
【0082】
ステップS409では、ステップS404で取得したエンベローブを含む電子メールのデータを、ステップS404で初期化された未適用メール用バッファに記憶する。
【0083】
ステップS411では、ルール適用処理部152は、未適用メール用バッファの中に電子メールのデータがあるか否かを判定する。そして、未適用メール用バッファの中に電子メールのデータがあると判定された場合は(ステップS411:YES)、未適用メール用バッファに記憶された1又は複数のエンベロープの送信先の電子メールアドレス全てを1つのエンベロープの送信先に設定した電子メールを生成する。これはステップS402で実行した処理の逆の処理に相当する。一方、未適用メール用バッファの中に電子メールのデータが無いと判定された場合は(ステップS411:NO)、処理をステップS305に移行する。
【0084】
<アクション実行処理(S308)の詳細動作>
図14は、ステップS308の電子メールへのアクション実行処理の詳細処理を示すフローチャートである。以下の動作は、メール中継装置150のCPU201が各種制御プログラムを実行することにより実現される。
【0085】
ステップS1401では、ルール適用処理部152は、同報者向けメッセージバッファを初期化し、記憶されているデータをクリアする。
【0086】
ステップS1402では、ルール適用処理部152は、アクション適用エントリリスト内の各アクション適用エントリデータを送出予定日時の遅い順にソート(並び替え)する。このソート処理により、アクション適用エントリデータは、上位のレコードから、アクションが保留で遅延時間が指定されていない(無期限に保留される)電子メール、遅延時間が長い電子メール(所定時間よりも遅延時間が長い電子メール)、遅延時間が短い電子メール(所定時間よりも遅延時間が短い電子メール)、アクションが中継(送出)の電子メール(送出予定日時が即時である電子メール)という順に並べられる。ソート(整列)されたアクション適用エントリリスト内のアクション適用エントリデータ全てを実行するまで、後述するステップS1403からステップS1412までの繰り返し処理を実行する。
【0087】
ステップS1404では、ルール適用処理部152は、ソートされたアクション適用エントリリストの先頭から(送出予定日時の遅いアクション適用エントリデータから)アクション適用エントリデータを取得する。
【0088】
ステップS1405では、ルール適用処理部152は、取得したアクション適用エントリデータのメールメッセージに記憶されている電子メールのヘッダに、同報者向けメッセージバッファに記憶されたデータ(保留制御に関する情報)を挿入する。そして、データ(保留制御に関する情報)が挿入された電子メールを、ステップS1404で取得したアクション適用エントリデータのメールメッセージ(宛先)に記憶する。なお、同報者向けメッセージバッファに該データが記憶されていない場合は、電子メールのヘッダに該データを挿入しない。
【0089】
ここで、「保留制御に関する情報」とは、「保留された電子メールの送信者(発信者)名」又は「保留された電子メールの送信元の電子メールアドレス」、ステップS301で電子メールを取得した「日時(受信日時)」、「送出予定日時」、誰宛の電子メールが保留されたのかを示す「送信状況」、通知先(宛先)又は同報者の権限情報に対応した管理画面へのリンク先(URLなど)を示す「リンク情報」などのそれぞれの情報を指す。なお、管理画面の詳細については図10を参照して後述する。
【0090】
ステップS1406では、ルール適用処理部152は、ステップS1404で取得したアクション適用エントリデータの送出予定日時が「即時」(中継)であるか否かを判定する。即ち、取得したアクション適用エントリデータが保留する電子メールであるか否かを判定する。そして、保留する電子メールではないと判定された場合は(ステップS1406:NO)、メール送信処理部153は、ステップS1405で記憶されたアクション適用エントリデータ内の、データ(保留制御に関する情報)が挿入された電子メールの送出を直ちに実行する(ステップS1413)。一方、保留する電子メールと判定された場合は(ステップS1406:YES)、ステップS1407に進む。
【0091】
図9は、ステップS1413で送出、又は後述するステップS1411で保存(送出を保留)される電子メールの一例を示す図である。図9に示すように、電子メールのヘッダの一部703に、同報者向けメッセージバッファに記憶されたデータ(保留制御に関する情報)が表示されている。つまり、この電子メールを受け取った受信者(同報者の一部)は、当該電子メールを受信していない同報者が存在することを確認することができる。
【0092】
ステップS1407では、取得したアクション適用エントリデータの適用ルールID(適用ルールIDは、制御ルールリスト(図5)の「ID」に対応している(同じ値である))と同一のID(値)の制御ルールの「管理者」欄に含まれる通知先(管理者識別子、又は発信者識別子)、又は同報者(同報者識別子)を特定する。ステップS1407からステップS1410までの処理を、ここで特定された通知先および同報者の全てに対して実行するまで繰り返し行う。
【0093】
ステップS1408では、ルール適用処理部152は、ステップS1407で同報者識別子(RCPT)が特定されたか否かを判定する。そして、同報者識別子(RCPT)が特定されたと判定された場合は(ステップS1408:YES)、ステップS1409に進む。一方、同報者識別子(RCPT)が特定されなかったと判定された場合は(ステップS1408:NO)、即ち、通知先(管理者識別子又は発信者識別子(from))が特定された場合は、ステップS1414に進む。
【0094】
ステップS1409では、「保留制御に関する情報」を同報者向けメッセージバッファに記憶する。同報者向けメッセージバッファに記憶する「保留制御に関する情報」の取得方法については、後で説明する。
【0095】
ステップS1414では、特定された通知先に対して電子メール(通知メールとも言う)を生成し送出する。ここで、ステップS1407で特定された、現在処理対象の通知先(管理者識別子)に紐付いた電子メールアドレスをユーザアカウントデータベース157から取得し、取得した電子メールアドレスを宛先として通知メールを生成し送出する。
【0096】
なお、現在処理対象の通知先が発信者識別子(from)の場合は、ステップS1404で取得したアクション適用エントリデータのメールメッセージ(宛先)に含まれる電子メールのヘッダから送信元(発信者)の電子メールアドレスを取得し、当該電子メールアドレスを宛先とした通知メールを生成し送出する。
【0097】
図8は、通知メールの一例を示す図である。ここでは、ステップS301で取得した電子メールのデータ702が添付され、保留された電子メールの「保留制御に関する情報」(同報者向けメッセージバッファに記憶されたデータ)が本文701に挿入された通知メールを生成した例を示している。
【0098】
より具体的には、メール本文701には、保留された電子メールの「保留制御に関する情報」(発信者、受信日時、保留理由、送信状況、管理画面へのURL(リンク情報))が挿入され、ステップS301で取得した電子メールのデータが添付された電子メール(通知メール)を生成下例を示している。
【0099】
なお、通知先(管理者識別子又は発信者識別子)の権限情報に対応した管理画面へのリンク先(URL)を生成し挿入するよう構成すると好適である。その場合には、ステップS1408で判定した通知先(管理者識別子又は発信者識別子)の権限情報を制御ルールの「管理者」欄から取得する。そして、取得した同報者の権限情報に、保留された電子メールの送出権限、保留された電子メールの削除権限、保留された電子メールの保留時間変更(延長)権限のいずれかの権限が設定されている場合は、その設定されている権限の実行に対応した管理画面へのリンク先を示すリンク情報を生成する。なお、管理画面の詳細については図10を参照して後述する。一方、何れの権限もない場合は、リンク情報は生成せず通知メールにリンク情報を挿入しない。
【0100】
また、ステップS1409で記憶される「保留制御に関する情報」には、上述した、「保留された電子メールの送信者(発信者)名」又は「保留された電子メールの送信元の電子メールアドレス」、ステップS301で電子メールを取得した「日時(受信日時)」、「送出予定日時」、誰宛の電子メールが保留されたのかを示す「送信状況」、通知先の権限情報に対応した管理画面へのリンク先(URL)などの情報が含まれる。以下に、「保留制御に関する情報」の取得方法について説明する。
【0101】
「保留された電子メールの送信者(発信者)名」は、ステップS1404で取得したアクション適用エントリデータのメールメッセージ(宛先)に記憶された電子メールのヘッダの中から発信者(送信元)の電子メールアドレスを特定し、当該特定した電子メールアドレスに紐付いたユーザ名(発信者名)をユーザアカウントデータベースから取得することで得られる。「送信元の電子メールアドレス」は、ステップS1404で取得したアクション適用エントリデータのメールメッセージ(宛先)に記憶された電子メールのヘッダの中から取得される。
【0102】
また、「受信日時」は、ステップS301で電子メールを受信した際の日時を「受信日時」として取得される。「送出予定日時」は、ステップS1404で取得したアクション適用エントリデータから取得される。「送信状況」に示される宛先のユーザ名は、ステップS1404で取得したアクション適用エントリデータのメールメッセージ(宛先)に含まれる電子メールのヘッダ部の宛先アドレス部(宛先)に含まれるユーザ名から取得される。または、「送信状況」に示される宛先のユーザ名は、ステップS1404で取得したアクション適用エントリデータのメールメッセージ(宛先)に含まれる電子メールのヘッダ部の宛先アドレス部(宛先)に含まれる電子メールアドレスに紐付いたユーザ名をユーザアカウントデータベース157から取得される。
【0103】
「リンク先」は、例えば、ステップS1408で判定した同報者の権限情報を制御ルールの「管理者」欄から取得し、取得した同報者の権限情報に基づいて生成される。つまり、保留された電子メールの送出権限、削除権限、保留時間変更(延長)権限のいずれかの権限が設定されている場合、その設定されている権限を実行し得る画面(例えば、図10)へのリンク先を示すリンク情報を生成しステップS1409で記憶する。なお、各権限に対するリンク情報は予め記憶保持しておいても良い。一方、権限がない場合は、リンク情報は記憶しない。
【0104】
ステップS1411では、以上の処理を、ステップS1407で特定された通知先及び/又は同報者の全てに対して実行すると、ステップS1405で記憶したアクション適用エントリデータを保留メール保存部158に記憶する。
【0105】
ステップS1412では、アクション適用エントリリスト内に未処理のアクション適用エントリデータが存在する場合は、ステップS1404に処理を移行し、前回ステップS1404で取得したアクション適用エントリデータの次のアクション適用エントリデータを取得する。一方、アクション適用エントリリスト内の全てのアクション適用エントリデータに対して処理が完了した場合は、処理を終了する。
【0106】
なお、ステップS1404で取得したアクション適用エントリデータに含まれる電子メールのエンベロープに設定されている送信先の電子メールアドレスが、宛先としてTOやCc(カーボンコピー、Carbon Copy)のフィールドに設定されている場合は、それ以降のステップS1405からステップS1410までの処理を実行するが、Bcc(ブラインドカーボンコピー、Blind Carbon Copy)のフィールドに設定されている場合、つまりToもしくはCcのフィールドに電子メールアドレスが設定されていない場合は、それ以降のステップS1405からステップS1410までの処理を実行せず、ステップS1411の処理へ移行するよう構成するとよい。
【0107】
このように構成することにより、宛先の電子メールアドレスがBccに設定されている場合は、「保留制御に関する情報」及びステップS301で取得した電子メールのデータを含まない電子メール(通常の電子メール)が送信されることになる。すなわち、エンベロープの宛先の全ての電子メールアドレスが、送信される電子メールのヘッダなどに表示されないようにすることで、セキュリティ(Bccを使用した意図)を保持することが可能である。
【0108】
<各種変更(送出、削除、延長)処理>
図10は、保留された電子メールの送出権限、削除権限、保留時間変更(延長)権限の全ての権限を有するユーザ(通知先又は同報者)の利用するメール送受信端末の表示部に表示される管理画面の一例を示す図である。この画面は、メール送受信端末で動作するWebブラウザにより、ユーザ(通知先又は同報者)が受信した電子メールに記載された管理画面へのリンク先(URL)へアクセスすることにより表示される。なお、第1実施形態に置いては、リンク先(URL)のサーバはメール中継装置150である。
【0109】
図10の管理画面の例においては、保留されている電子メールに関するデータ(送信元の電子メールアドレス、送信先の電子メールアドレス、メール本文、受信日時、送出予定日時、操作履歴など)1001が表示されている。また、メール中継装置150内の保留メール管理処理部155に、保留されている電子メールの即時送出を指示する送出ボタン1002、削除を指示する削除ボタン1003、保留延長を指示する保留延長ボタン1005とが表示されている。また、保留延長の時間を指定するための設定部1004も併せて表示されている。
【0110】
つまり、送出ボタン1002が通知先のユーザ又は同報者により押下することにより、保留された電子メールの送出指示を行うことができる。また、削除ボタン1003が通知先のユーザ又は同報者により押下することにより、保留された電子メールの削除指示を行うことができる。また、通知先のユーザ又は同報者が設定部1004に保留延長時間を入力し、保留延長ボタン1005を押下することにより、保留された電子メールの保留延長時間の設定指示を行うことができる。
【0111】
なお、設定部1004には、保留時間を延長する時間を入力することができるが、保留時間を短縮する時間を入力するようにしてもよい。たとえば、設定部1004に「正の数」を入力した場合は、保留時間の延長指示を行い、設定部1004に「負の数」を入力した場合は、保留時間の短縮指示を行うことができる。このように、設定部1004に入力される値に応じて、保留された電子メールの保留時間を変更させることが可能となる。
【0112】
送出ボタン1002が通知先のユーザ又は同報者により押下されると、メール送受信端末のCPUは、メール中継装置150に対して、表示された電子メールを送出するための指示を送信する。当該指示を受けたメール中継装置150のCPUは、アクション適用エントリリストを参照し、当該電子メールが含まれる「メッセージメール(宛先)」のアクション適用エントリデータの「送出予定日時」を「即時」に変更する。
【0113】
また、削除ボタン1003が通知先のユーザ又は同報者により押下されると、メール送受信端末のCPUは、メール中継装置150に対して、表示された電子メールを削除するための指示を送信する。当該指示を受けたメール中継装置150のCPUは、アクション適用エントリリストを参照し、当該電子メールが含まれる「メッセージメール(宛先)」のアクション適用エントリデータを削除する。
【0114】
また、通知先のユーザ又は同報者が設定部1004に保留延長時間を入力し、保留延長ボタン1005が押下されると、メール送受信端末のCPUは、メール中継装置150に対して、表示された電子メールを保留延長時間、保留する保留延長指示を行う。当該保留延長指示を受けたメール中継装置150のCPUは、アクション適用エントリリストを参照し、当該電子メールが含まれる「メッセージメール(宛先)」のアクション適用エントリデータの「送出予定日時」を、保留延長指示された保留延長時間足した時間に変更する。
【0115】
なお、通知先又は同報者が有する権限情報が保留された電子メールの送出権限のみの場合は、電子メールのデータ1001と送出ボタン1002のみが表示される。また、通知先が有する権限情報が保留された電子メールの削除権限のみの場合は、電子メールのデータ1001と削除ボタン1003のみが表示される。
【0116】
このように、通知先又は同報者の権限情報に応じて、ステップS1405で挿入するリンク情報を変更することにより、保留された電子メールに対する各種変更(送出、削除、延長)処理を、所定の権限を有するユーザに限定することが可能となる。そのため、保留された電子メールの送出制御に関するセキュリティを向上させることができる。
【0117】
<保留された電子メールの処理フロー>
ここでは、ステップS1411で保留メール保存部158に記憶されたアクション適用エントリデータ内の電子メール(送出を保留された電子メール)の送出処理について説明する。
【0118】
ルール適用処理部152は、保留メール保存部に蓄積されているアクション適用エントリデータを定期的に1つ(1レコード)ずつ取り出し、アクション適用エントリデータの送出予定日時と現在日時を比較し、送出予定日時が現在日時を越えていれば、当該アクション適用エントリに含まれる電子メールをメール送信処理部153へ送り、メール配送装置190へ送信する。そして、メール配送装置190に送出された電子メールを含むアクション適用エントリデータを保留メール保存部158から削除する。
【0119】
また、送出予定日時が「期限無し」に設定されたアクション適用エントリデータの電子メールは、ここに示した、メール配送装置190に送出する処理は実行しない。また、ここに示した、メール配送装置190に送出する処理は保留時間の長さに適した時間毎(1分、5分、10分など)に実行される。
【0120】
<制御ルールの登録処理フロー>
次に利用者または管理者が電子メールの制御ルールを登録する処理を説明する。なお、この登録処理は、一般に図3を参照して説明したメール中継装置の処理に先立って実行される。ただし、運用中における制御ルールの変更(追加・削除など)の際にも実行されうる。
【0121】
利用者のメール送受信端末110の管理操作部112は、Webブラウザなどを用いて、メール中継装置150の制御ルール設定部154にアクセスする。
【0122】
そして、管理操作部112は、不図示の画面を介して入力されたユーザ情報(ユーザ名、パスワード)をメール中継装置150の制御ルール設定部154に送信する。そして、制御ルール設定部154は、メール中継装置150内のユーザアカウントデータベース157のユーザ情報を用いて利用者を認証する。
【0123】
ここで認証された場合は、メール中継装置150の制御ルール設定部154は、利用者のメール送受信端末110に、当該利用者に管理権限がある制御ルールのリスト画面が表示されるためのデータを送信する。一方、認証されなかった場合は、メール中継装置150へのアクセスは出来ない旨の応答を行う。
【0124】
図7は、ルール一覧画面の一例を示し、認証されたユーザが権限を有する制御ルールの各項目が表示されている。
【0125】
制御ルールの優先順位(優先度)(図5に示す「ID」に対応している)については、ルール一覧画面700の「操作」欄で示されるような矢印を押下されることにより変更することができる。例えば、矢印ボタン705a「↑」が押下されると当該押下されたレコードの制御ルールを適用する優先度が上がり、矢印ボタン705b「↓」が押下されると当該押下されたレコードの制御ルールを適用する優先度が下がる。
【0126】
優先度は制御ルール保存部に登録される全ての制御ルールに関して一意になる必要があるが、システム管理者は例えばユーザアカウントデータベース157のユーザごとに利用可能な優先度の値の範囲を設定しておくことで制御ルール全体の適用順序を制御することができる。
【0127】
図6は、制御ルールを新規に作成する場合に表示されるルール設定画面を示している。ルール設定画面600は、例えば、図7に示す新規作成ボタン710を押すことにより表示される。
【0128】
ルール設定画面では、図5で示す制御ルールリストの1行に相当する情報を入力し登録することができる。なお、ここで制御ルールを登録した利用者のユーザ識別子が図5の制御ルールリストのユーザID欄に記録されることになる。このとき一般の利用者が登録する制御ルールの発信者条件欄は利用者本人の電子メールアドレスに固定されるものとする。ただし、利用者がほかの利用者の電子メールを管理できるような権限をもつ場合は、管理権限の範囲内の発信者の電子メールアドレスを設定できるよう構成するとよい。
【0129】
<動作シナリオ>
図11は、ある電子メールに対するメール中継装置150の実際の動作シナリオを例示的に示すフローチャートである。ここでは、利用者から送信された電子メールがメール中継装置150で保留された後、同報者が保留された電子メールの保留時間を延長し、その後で発信者が保留メールを削除することで特定の宛先向けの電子メールの送信をキャンセルするシナリオを示している。
【0130】
ステップS901では、メール送受信端末110から発信者アドレスがA、受信アドレスがB,Cの電子メールが送信される。
【0131】
ステップS902では、メール中継装置150が電子メールを受信する。
【0132】
ステップS903では、ルール適用処理が実行される。ここでは、制御ルール保存部156の中の制御ルールと優先度順に比較され、”発信者条件がA、受信者条件がB、分割評価がtrue、アクションが保留、遅延時間が5分、管理者が発信者識別子、同報者識別子”と設定されている制御ルールZが適用されるものとする。受信者C宛のメールには全ての制御ルールが適用されず、所定の初期設定動作(デフォルト動作)が行われ、ここでは中継動作(即時送信)がなされるものとする。ここで、所定の初期設定動作とは図5の制御ルールリストの何れにも当てはまらないメールに対する処理動作を意味する。
【0133】
制御ルールZのメール適用処理ステップS304において、まずステップS402でエンベロープ受信者アドレスがB,Cであった電子メールが、エンベロープ受信者Bの電子メールとエンベロープ受信者Cの電子メールに分割される。次に最初にエンベロープ受信者Bの電子メールがステップS405で条件定義部と照合され、合致するためステップS408へ進む。ステップS408では、対象電子メールメッセージとメール受信時刻と制御ルールZに設定された遅延時間5分を足した送出予定日時と制御ルールZのIDからなるアクション適用エントリNを作成し、アクション適用エントリバッファへ保存される。
【0134】
次に分割された残りの受信者C宛の電子メールは、制御ルールZの条件定義部に合致しないためステップS409へ進む。分割メールはこれ以上ないためステップS410、ステップS411、ステップS412へ進み、受信者C宛の電子メールのみが未適用メールとして以降の制御ルール適用処理へ進む。
【0135】
受信者C宛の電子メールは残りの全ての制御ルールの条件定義部に合致しないためステップS307のデフォルト動作適用処理において、デフォルトの中継動作が適用され、送出予定日時が即時で制御ルールIDが未定義のアクション適用エントリMとしてアクション適用エントリバッファへ追加される。
【0136】
次にステップS308へ進み、アクション適用エントリバッファ内のエントリが送出予定日時の遅い順に整列されたあと、まずアクション適用エントリNが取り出される。アクション適用エントリNの送出予定日時は保留を表すため制御ルールIDを用いて制御ルールZを取り出し、管理者欄に発信者識別子があることから、電子メールの発信者のアドレス宛に図8で示したような通知メールを送信する。このとき発信者の管理権限情報には、送出、削除、保留延長の全ての権限があるため、これら全ての操作が行える保留メール管理画面のURLを通知メールに記載する。次にこのアクション適用エントリNを保留メール保存部158へ保存する(S904)。
【0137】
制御ルールZの管理者欄には同報者識別子もあることから、同報者向けメッセージバッファへ、この受信者B宛のメールは受信時刻から5分後の時刻まで送信が保留されている旨のメッセージを追加する。また、同時に同報者の管理権限情報に保留延長の権限が設定されていることから、このメールの保留延長が実施できる保留メール管理画面のURLを同報者向けメッセージバッファへ追加する。
【0138】
次に、アクション適用エントリMを取り出し、送出予定日時が即時であることから、同報者向けメッセージバッファの内容を取り出し、図9で示したような電子メールをメール送信処理部153へ渡し送出する(S911)。
【0139】
ステップS912では、電子メールアドレスCのユーザの使用するメール送受信端末が電子メールを受信する。電子メールアドレスCをもつ利用者は、受信したメールの付加ヘッダ部(図9の703)を確認する。このとき、例えば、電子メールアドレスCをもつ利用者が、受信者B宛のメール送信の遅延時間をさらに1時間に延長しておきたいとする。その場合、電子メールに記載されているURLをクリックし、図10で例示されているような管理画面をWebブラウザ等で表示する。そして、管理画面の延長時間設定部1004に1時間と入力した後、保留延長ボタン1005を押して保留延長要求をメール中継装置150へ送信する(ステップS915)。
【0140】
中継装置150ではステップS916において保留メール保存部に保存されたアクション適用エントリNの送出予定日時を1時間延長する。
【0141】
ステップS906では、電子メール発信したメール送受信端末が、ステップS905で送信された保留通知メールを受け取る。そこで、S901で送信した電子メールの宛先として電子メールアドレスBが不適切であったとすると、電子メールアドレスAの利用者は、保留通知メールに記載されている管理画面のURLをクリックする(S907)。そうすると、図10で例示されているような管理画面がWebブラウザ等により表示される(S908)。ユーザは内容を確認し、管理画面の削除ボタンをクリックする(ステップS909)。
【0142】
ステップS910では、メール中継装置150はS904で保留した電子メールの削除要求を受け取り、アクション適用エントリNを保留メール保存部から削除する。
【0143】
以上、詳細に説明したように、第1実施形態に係るメール中継装置150を含む電子メール送信システムによれば、ユーザによる電子メールの誤送信を低減可能とすると共に、様々な利用場面に適用可能な電子メール送信システムを提供することができる。特に、予め設定された権限を有するユーザにより、保留されたメールに対して各種の変更(送出、削除、延長)処理が可能となる。
【0144】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0145】
なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するプログラムを、システム或いは装置に直接或いは遠隔から供給し、そのシステム或いは装置が、供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される。従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0146】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
【0147】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどがある。
【0148】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される。その他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0149】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【符号の説明】
【0150】
110 メール送受信端末
150 メール中継装置
111 メール送受信部
112 管理操作部
151 メール受信処理部
152 ルール適用処理部
153 メール送信処理部
154 制御ルール設定部
155 保留メール管理処理部
156 制御ルール保存部
157 ユーザアカウントデータベース
158 保留メール保存部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置から電子メールを受信し、該電子メールのメール配送装置への送出を制御する情報処理装置であって、
前記端末装置から電子メールを受信する受信手段と、
電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアに対応した該電子メールへの送出制御内容が設定された制御テーブルを記憶する記憶手段と、
前記受信手段により受信した前記電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアが前記制御テーブルに含まれるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により、前記電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアが前記制御テーブルに含まれると判定され、かつ、当該ペアに対応する送出制御情報が該電子メールの保留であった場合、該電子メールの前記メール配送装置への送出を保留し保留電子メール記憶部に格納し、
前記判定手段により、前記電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアが前記制御テーブルに含まれると判定され、かつ、当該ペアに対応する送出制御情報が該電子メールの送出であった場合、該電子メールを前記メール配送装置へ即時に送出し、
前記判定手段により、前記電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアが前記制御テーブルに含まれないと判定された場合、所定の初期設定動作に従って前記電子メールの処理を実行する、制御手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記受信手段で受信した電子メールには複数の受信者情報が含まれており、
前記判定手段により、少なくとも1つの受信者に対して前記電子メールの前記メール配送装置への送出が保留され、かつ、少なくとも1つの受信者に対して前記電子メールの前記メール配送装置への即時送出が行なわれた場合、該即時送出される電子メールに対して、前記保留がなされた受信者が存在することを示す情報を挿入する挿入手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御テーブルには、前記保留を行なう時間を示す情報が設定されており、
前記制御手段は、保留を行う電子メールに対して、前記制御テーブルに設定された時間だけ前記保留を行なうことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記受信手段で受信した電子メールに複数の受信者情報が含まれる場合、該複数の受信者情報の各々を個別の受信者情報として有するエンベロープ情報を生成する生成手段を更に備え、
前記判定手段は、前記生成手段で生成したエンベロープ情報の発信者情報と受信者情報とのペアを対象として前記制御テーブルに含まれるか否かを判定することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御手段により前記メール配送装置へ即時に送出された前記電子メールを受信したユーザから、前記保留された電子メールの保留時間の延長指示を受け付ける延長受付手段と、
前記制御手段で保留された電子メールの保留時間を、前記延長受付手段で延長指示された時間だけ延長する保留延長手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御手段により前記メール配送装置へ即時に送出された前記電子メールを受信したユーザから、前記保留された電子メールの削除を受け付ける削除受付手段と、
前記削除受付手段で受け付けた前記制御手段で保留された電子メールを削除する削除手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御手段により前記メール配送装置へ即時に送出された前記電子メールを受信したユーザから、前記保留された電子メールの即時送出を受け付ける即時送出受付手段と、
前記即時送出受付手段で受け付けた前記制御手段で保留された電子メールを前記メール配送装置へ即時送出する即時送出手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御テーブルには、電子メールに対し前記保留が行われる場合に、該保留が行なわれた旨を示す電子メールの通知先受信者情報が設定されており、
前記制御手段は、電子メールに対し前記保留が行われる場合に、前記制御テーブルに設定された通知先受信者情報を宛先として該保留が行なわれた旨を示す新規の電子メールを送信し、
前記新規の電子メールを受信したユーザから、前記保留された電子メールの保留時間の延長指示を受け付ける延長受付手段と、
前記制御手段で保留された電子メールの保留時間を、前記延長受付手段で延長指示された時間だけ延長する保留延長手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記制御テーブルには、電子メールに対し前記保留が行われる場合に、該保留が行なわれた旨を示す電子メールの通知先受信者情報が設定されており、
前記制御手段は、電子メールに対し前記保留が行われる場合に、前記制御テーブルに設定された通知先受信者情報を宛先として該保留が行なわれた旨を示す新規の電子メールを送信し、
前記新規の電子メールを受信したユーザから、前記保留された電子メールの削除を受け付ける削除受付手段と、
前記削除受付手段で受け付けた前記制御手段で保留された電子メールを削除する削除手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記制御テーブルには、電子メールに対し前記保留が行われる場合に、該保留が行なわれた旨を示す電子メールの通知先受信者情報が設定されており、
前記制御手段は、電子メールに対し前記保留が行われる場合に、前記制御テーブルに設定された通知先受信者情報を宛先として該保留が行なわれた旨を示す新規の電子メールを送信し、
前記新規の電子メールを受信したユーザから、前記保留された電子メールの即時送出を受け付ける即時送出受付手段と、
前記即時送出受付手段で受け付けた前記制御手段で保留された電子メールを前記メール配送装置へ即時送出する即時送出手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
端末装置から電子メールを受信し、該電子メールのメール配送装置への送出を制御する情報処理装置の制御方法であって、
前記端末装置から電子メールを受信する受信工程と、
電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアに対応した該電子メールへの送出制御内容が設定された制御テーブルをテーブル記憶部に記憶する記憶工程と、
前記受信工程により受信した前記電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアが前記制御テーブルに含まれるか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程により、前記電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアが前記制御テーブルに含まれると判定され、かつ、当該ペアに対応する送出制御情報が該電子メールの保留であった場合、該電子メールの前記メール配送装置への送出を保留し保留電子メール記憶部に格納し、
前記判定工程により、前記電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアが前記制御テーブルに含まれると判定され、かつ、当該ペアに対応する送出制御情報が該電子メールの送出であった場合、該電子メールを前記メール配送装置へ即時に送出し、
前記判定工程により、前記電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアが前記制御テーブルに含まれないと判定された場合、所定の初期設定動作に従って前記電子メールの処理を実行する、制御工程と、
を備えることを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項12】
コンピュータを、請求項1乃至10の何れか一項に記載の情報処理装置の各手段として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラムを格納した、コンピュータ可読の記憶媒体。
【請求項1】
端末装置から電子メールを受信し、該電子メールのメール配送装置への送出を制御する情報処理装置であって、
前記端末装置から電子メールを受信する受信手段と、
電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアに対応した該電子メールへの送出制御内容が設定された制御テーブルを記憶する記憶手段と、
前記受信手段により受信した前記電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアが前記制御テーブルに含まれるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により、前記電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアが前記制御テーブルに含まれると判定され、かつ、当該ペアに対応する送出制御情報が該電子メールの保留であった場合、該電子メールの前記メール配送装置への送出を保留し保留電子メール記憶部に格納し、
前記判定手段により、前記電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアが前記制御テーブルに含まれると判定され、かつ、当該ペアに対応する送出制御情報が該電子メールの送出であった場合、該電子メールを前記メール配送装置へ即時に送出し、
前記判定手段により、前記電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアが前記制御テーブルに含まれないと判定された場合、所定の初期設定動作に従って前記電子メールの処理を実行する、制御手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記受信手段で受信した電子メールには複数の受信者情報が含まれており、
前記判定手段により、少なくとも1つの受信者に対して前記電子メールの前記メール配送装置への送出が保留され、かつ、少なくとも1つの受信者に対して前記電子メールの前記メール配送装置への即時送出が行なわれた場合、該即時送出される電子メールに対して、前記保留がなされた受信者が存在することを示す情報を挿入する挿入手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御テーブルには、前記保留を行なう時間を示す情報が設定されており、
前記制御手段は、保留を行う電子メールに対して、前記制御テーブルに設定された時間だけ前記保留を行なうことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記受信手段で受信した電子メールに複数の受信者情報が含まれる場合、該複数の受信者情報の各々を個別の受信者情報として有するエンベロープ情報を生成する生成手段を更に備え、
前記判定手段は、前記生成手段で生成したエンベロープ情報の発信者情報と受信者情報とのペアを対象として前記制御テーブルに含まれるか否かを判定することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御手段により前記メール配送装置へ即時に送出された前記電子メールを受信したユーザから、前記保留された電子メールの保留時間の延長指示を受け付ける延長受付手段と、
前記制御手段で保留された電子メールの保留時間を、前記延長受付手段で延長指示された時間だけ延長する保留延長手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御手段により前記メール配送装置へ即時に送出された前記電子メールを受信したユーザから、前記保留された電子メールの削除を受け付ける削除受付手段と、
前記削除受付手段で受け付けた前記制御手段で保留された電子メールを削除する削除手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御手段により前記メール配送装置へ即時に送出された前記電子メールを受信したユーザから、前記保留された電子メールの即時送出を受け付ける即時送出受付手段と、
前記即時送出受付手段で受け付けた前記制御手段で保留された電子メールを前記メール配送装置へ即時送出する即時送出手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御テーブルには、電子メールに対し前記保留が行われる場合に、該保留が行なわれた旨を示す電子メールの通知先受信者情報が設定されており、
前記制御手段は、電子メールに対し前記保留が行われる場合に、前記制御テーブルに設定された通知先受信者情報を宛先として該保留が行なわれた旨を示す新規の電子メールを送信し、
前記新規の電子メールを受信したユーザから、前記保留された電子メールの保留時間の延長指示を受け付ける延長受付手段と、
前記制御手段で保留された電子メールの保留時間を、前記延長受付手段で延長指示された時間だけ延長する保留延長手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記制御テーブルには、電子メールに対し前記保留が行われる場合に、該保留が行なわれた旨を示す電子メールの通知先受信者情報が設定されており、
前記制御手段は、電子メールに対し前記保留が行われる場合に、前記制御テーブルに設定された通知先受信者情報を宛先として該保留が行なわれた旨を示す新規の電子メールを送信し、
前記新規の電子メールを受信したユーザから、前記保留された電子メールの削除を受け付ける削除受付手段と、
前記削除受付手段で受け付けた前記制御手段で保留された電子メールを削除する削除手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記制御テーブルには、電子メールに対し前記保留が行われる場合に、該保留が行なわれた旨を示す電子メールの通知先受信者情報が設定されており、
前記制御手段は、電子メールに対し前記保留が行われる場合に、前記制御テーブルに設定された通知先受信者情報を宛先として該保留が行なわれた旨を示す新規の電子メールを送信し、
前記新規の電子メールを受信したユーザから、前記保留された電子メールの即時送出を受け付ける即時送出受付手段と、
前記即時送出受付手段で受け付けた前記制御手段で保留された電子メールを前記メール配送装置へ即時送出する即時送出手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
端末装置から電子メールを受信し、該電子メールのメール配送装置への送出を制御する情報処理装置の制御方法であって、
前記端末装置から電子メールを受信する受信工程と、
電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアに対応した該電子メールへの送出制御内容が設定された制御テーブルをテーブル記憶部に記憶する記憶工程と、
前記受信工程により受信した前記電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアが前記制御テーブルに含まれるか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程により、前記電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアが前記制御テーブルに含まれると判定され、かつ、当該ペアに対応する送出制御情報が該電子メールの保留であった場合、該電子メールの前記メール配送装置への送出を保留し保留電子メール記憶部に格納し、
前記判定工程により、前記電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアが前記制御テーブルに含まれると判定され、かつ、当該ペアに対応する送出制御情報が該電子メールの送出であった場合、該電子メールを前記メール配送装置へ即時に送出し、
前記判定工程により、前記電子メールの発信者情報と受信者情報とのペアが前記制御テーブルに含まれないと判定された場合、所定の初期設定動作に従って前記電子メールの処理を実行する、制御工程と、
を備えることを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項12】
コンピュータを、請求項1乃至10の何れか一項に記載の情報処理装置の各手段として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラムを格納した、コンピュータ可読の記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−12228(P2013−12228A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−191305(P2012−191305)
【出願日】平成24年8月31日(2012.8.31)
【分割の表示】特願2010−232053(P2010−232053)の分割
【原出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(592135203)キヤノンITソリューションズ株式会社 (528)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月31日(2012.8.31)
【分割の表示】特願2010−232053(P2010−232053)の分割
【原出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(592135203)キヤノンITソリューションズ株式会社 (528)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]