説明

情報処理装置およびドライブ制御方法

【課題】安全且つ容易に光ディスクドライブの使用を再開することができる情報処理装置を実現する。
【解決手段】実施形態によれば、情報処理装置は、本体と、前記本体に設けられ、イジェクトボタンの操作に応答してイジェクト信号を外部に出力する光ディスクドライブと、前記本体内に設けられた加速度センサと、前記本体内に設けられたドライブ管理手段とを含む。ドライブ管理手段は、電源オフ状態の前記光ディスクドライブからイジェクト信号を受信した場合、前記加速度センサを用いて前記本体が揺れているか否かを判定し、前記本体が揺れていない場合、前記光ディスクドライブに電力を供給すると共に前記光ディスクドライブのトレーを開くことを指示する信号を前記光ディスクドライブに送出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置および同情報処理装置内の光ディスクドライブを制御するドライブ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノートブック型またはラップトップ型の種々のポータブルパーソナルコンピュータが開発されている。このようなポータブルパーソナルコンピュータの中には、DVD(Digital Versatile Disc)、CD(Compact Disc)のようなメディアを駆動するための光ディスクドライブを内蔵したコンピュータも存在する。光ディスクドライブの筐体には、メディアをイジェクトするためのイジェクトボタンが設けられている。このイジェクトボタンがユーザによって操作された時、光ディスクドライブ内のコントローラは、光ディスクドライブのトレーを開く。これにより、ユーザは、メディアの装着、取り出し、または交換を行うことができる。
【0003】
ポータブルパーソナルコンピュータの分野では、そのコンピュータの省電力化を図ることが要求されている。このため、最近では、光ディスクドライブを必要に応じて電源オフする機能を有するコンピュータも開発されている。一旦電源オフされた光ディスクドライブの使用を再開する場合には、ユーザは、光ディスクドライブを電源オンするために、例えば、専用のソフトウェアを操作することが必要となる。しかし、このような専用のソフトウェアの操作はユーザにとっては煩わしいかもしれない。
【0004】
また、最近では、電源オフ状態の光ディスクドライブのイジェクトボタンの操作に応答して光ディスクドライブのトレーを自動的に開くための新たなトレー排出技術も開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−187606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、例えば、ユーザがコンピュータを持って移動している最中等においては、ユーザの腕等がイジェクトボタンに誤って接触してしまう可能性がある。この場合、ユーザがコンピュータを持って移動している最中に光ディスクドライブのトレーが突然開いてしまうという不具合が発生するかもしれない。
【0007】
本発明の目的は、安全且つ容易に光ディスクドライブの使用を再開することができる情報処理装置およびドライブ制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、情報処理装置は、本体と、前記本体に設けられ、イジェクトボタンの操作に応答してイジェクト信号を外部に出力する光ディスクドライブと、前記本体内に設けられた加速度センサと、前記本体内に設けられたドライブ管理手段とを具備する。ドライブ管理手段は、電源オフ状態の前記光ディスクドライブからイジェクト信号を受信した場合、前記加速度センサを用いて前記本体が揺れているか否かを判定し、前記本体が揺れていない場合、前記光ディスクドライブに電力を供給すると共に前記光ディスクドライブのトレーを開くことを指示する信号を前記光ディスクドライブに送出する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係る情報処理装置の外観を示す斜視図。
【図2】同実施形態の情報処理装置のシステム構成を示すブロック図。
【図3】同実施形態の情報処理装置に設けられる光ディスクドライブの構成例を示すブロック図。
【図4】同実施形態の情報処理装置によって実行されるドライブ制御処理の手順の概要を示すフローチャート。
【図5】同実施形態の情報処理装置によって実行されるドライブ制御処理の手順の例を示すフローチャート。
【図6】同実施形態の情報処理装置によって実行されるドライブ状態チェック処理の手順の例を示すフローチャート。
【図7】同実施形態の情報処理装置によって実行されるドライブ電源管理処理全体を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施形態を説明する。
まず、図1を参照して、実施形態に係る情報処理装置の構成について説明する。この情報処理装置は、例えば、バッテリ駆動可能な携帯型のノートブック型パーソナルコンピュータ10として実現されている。
【0011】
図1は、ディスプレイユニットを開いた状態におけるコンピュータ10を正面側から見た斜視図である。本コンピュータ10は、コンピュータ本体(単に本体とも云う)11と、ディスプレイユニット12とから構成される。ディスプレイユニット12には、LCD16(Liquid Crystal Display)から構成される表示装置が組み込まれている。
【0012】
ディスプレイユニット12は、コンピュータ本体11に支持され、そのコンピュータ本体11に対してコンピュータ本体11の上面が露出される開放位置とコンピュータ本体11の上面がディスプレイユニット12によって覆れる閉塞位置との間を回動自由に取り付けられている。コンピュータ10は、ディスプレイユニット12が閉じられているか開かれているかにかかわらず、動作することができる。換言すれば、ディスプレイユニット12が閉状態である期間中においても、コンピュータ10は稼働し続けることが出来る。
【0013】
コンピュータ本体11は薄い箱形の筐体を有しており、その上面にはキーボード13、本コンピュータ10をパワーオン/パワーオフするためのパワーボタン14、タッチパッド15、指紋センサ17が配置されている。
【0014】
さらに、コンピュータ本体11内には、メディア(光ディスクメディア)を駆動するための光ディスクドライブ117が設けられている。光ディスクドライブ117は、例えば、DVD、CD、又は他の各種光ディスクメディアをアクセスできるように構成されている。光ディスクドライブ117は、例えば、メディアが取り外し自在に装填されるトレー301、イジェクトボタン302、スピンドルモータ303、および光ピックアップヘッド304等を備えている。
【0015】
トレー301は、トレー301が本体11内に収容される収容位置とトレー301が本体11から外部に突出される突出位置との間を移動するように光ディスクドライブ117の筐体に取り付けられている。イジェクトボタン302は光ディスクドライブ117の筐体に、例えばトレー301の外壁に、設けられている。イジェクトボタン302はイジェクト信号を発生するためのスイッチである。光ディスクドライブ117が電源オン状態であるか否かにかかわらず、イジェクト信号はイジェクトボタン302の操作に応答して発生される。
【0016】
トレー301が本体11内に収容されている状態でイジェクトボタン302がユーザによって操作された時、トレー301は開かれる。換言すれば、イジェクトボタン302がユーザによって操作された時、トレー301は、本体11内から外部に排出されて突出位置に移動される。すなわち、光ディスクドライブ117が電源オン状態の期間においては、イジェクトボタン302の操作に応答して発生するイジェクト信号が光ディスクドライブ117内のコントローラによって検出され、そしてコントローラがトレー301を開く。
【0017】
光ディスクドライブ117は、光ディスクドライブ117が電源オン状態であるか否かにかかわらず、イジェクトボタン302の操作によって発生されるイジェクト信号を外部に出力する。例えば、イジェクト信号を運ぶイジェクト信号線は光ディスクドライブ117内のコントローラに接続されるだけでなく、光ディスクドライブ117の外部にも導出されている。これにより、光ディスクドライブ117が電源オフ状態(電源断状態とも云う)の場合であっても、イジェクト信号を外部に出力することができる。
【0018】
コンピュータ10のシステムは、電源オフ状態の光ディスクドライブ117からのイジェクト信号の受信に応答して、光ディスクドライブ117の使用を再開するための処理(例えば、光ディスクドライブ117に電力を供給する処理、トレー301を開くことを指示する信号を光ディスクドライブ117に送出する処理等)を行うことが出来る。
【0019】
スピンドルモータ302は、光ディスクドライブ117に装填されたメディア(光ディスクメディア)を回転するためのモータである。光ピックアップヘッド304は、メディアに光ビーム(レーザビーム)を照射し、メディアからの反射光に対応する検出信号を出力する。光ピックアップヘッド304はトレー301内に設けられたスレッド機構(光ピックアップヘッド移動機構)によってメディアの半径方向に沿って移動される。
【0020】
図2は、本コンピュータ10のシステム構成を示している。
【0021】
本コンピュータ10は、CPU111、ノースブリッジ112、主メモリ113、グラフィクスコントローラ114、サウスブリッジ115、ハードディスクドライブ(HDD)116、光ディスクドライブ(ODD)117、BIOS−ROM118、不揮発性メモリ119、エンベデッドコントローラ(EC)120、電源回路121、加速度センサ124等を備えている。
【0022】
CPU111は、本コンピュータ10の各コンポーネントの動作を制御するプロセッサである。このCPU111は、HDD116から主メモリ113にロードされる、オペレーティングシステム(OS)201および各種アプリケーションプログラムを実行する。アプリケーションプログラムには、ドライブ管理アプリケーションプログラム202も含まれている。
【0023】
このドライブ管理アプリケーションプログラム202は、本コンピュータ10が稼働している期間中に光ディスクドライブ(ODD)117を必要に応じて電源オフすることができる。ドライブ管理アプリケーションプログラム202は、例えば、光ディスクドライブ(ODD)117の非使用状態が所定時間継続した場合、または光ディスクドライブ(ODD)117の電源オフを要求するイベントが発生した場合、光ディスクドライブ(ODD)117を電源オフする。
【0024】
ドライブ管理アプリケーションプログラム202が電源オフ状態の光ディスクドライブ(ODD)117からイジェクト信号を受信した時、ドライブ管理アプリケーションプログラム202は、光ディスクドライブ(ODD)117の使用を再開するために、光ディスクドライブ(ODD)117に電力を供給して光ディスクドライブ(ODD)117を自動的に電源オンする処理、および光ディスクドライブ(ODD)117にトレー301を開くことを指示する信号を送出する処理を実行する。
【0025】
さらに、ドライブ管理アプリケーションプログラム202は、ユーザがコンピュータを持って移動している最中に光ディスクドライブ(ODD)117の使用が再開されることを禁止する機能も有している。より詳しくは、ドライブ管理アプリケーションプログラム202は、電源断状態の光ディスクドライブ(ODD)117からイジェクト信号を受信した時、加速度センサ124を用いて、本体11つまりコンピュータ10が揺れているか否かを判定する。本体11が揺れている(例えば、本体11が前後、上下、または左右に動いている)ならば、ドライブ管理アプリケーションプログラム202は、ユーザがコンピュータ10を持って移動している最中であると認識する。この場合、ドライブ管理アプリケーションプログラム202は、光ディスクドライブ(ODD)117を電源オンする処理、および光ディスクドライブ(ODD)117にトレー301を開くことを指示する信号を送出する処理の双方を実行しない。
【0026】
ユーザは、例えば、光ディスクドライブ(ODD)117が電源オフ状態に設定されているコンピュータ10を電源オンしたままそのディスプレイユニット12を閉じ、そしてそのコンピュータ10を例えば手に持ってまたは腕に抱えて移動するかもしれない。この場合、ユーザの腕等がイジェクトボタン302に誤って接触してしまう可能性がある。通常、ユーザがコンピュータ10を持って移動している間においては、本体11つまりコンピュータ10が揺れていることが加速度センサ124によって検出される。コンピュータ10が揺れているならば、たとえイジェクト信号が検出されても、ドライブ管理アプリケーションプログラム202は、光ディスクドライブ(ODD)117を電源オンする処理、および光ディスクドライブ(ODD)117にトレー301を開くことを指示する信号を送出する処理の双方を実行しない。したがって、ユーザがコンピュータ10を持って移動している最中に、光ディスクドライブ(ODD)117が誤って電源オンされること、およびトレー301が突然開いてしまうこと、を防止することが出来る。
【0027】
また、CPU111は、BIOS−ROM118に格納されたBIOS(基本入出力システム:Basic Input Output System)も実行する。BIOSはハードウェア制御のためのプログラムである。
【0028】
ノースブリッジ112は、CPU111のローカルバスとサウスブリッジ115との間を接続するブリッジデバイスである。また、ノースブリッジ112はグラフィクスコントローラ114との通信を実行する機能も有している。さらに、ノースブリッジ112には、主メモリ113を制御するメモリコントローラも内蔵されている。
【0029】
グラフィクスコントローラ114は、本コンピュータ10のディスプレイモニタとして使用されるLCD16を制御する表示コントローラである。サウスブリッジ115は、PCI(Peripheral Component Interconnect)バスおよびLPC(Low Pin Count)バスにそれぞれ接続されている。
【0030】
また、サウスブリッジ115には、シリアルATA(SATA)バス等をそれぞれ介してHDD116およびODD117が接続されている。サウスブリッジ115はSATAコントローラ115Aを備えている。SATAコントローラ115AはHDD116およびODD117それぞれを制御するためのコントローラである。
【0031】
エンベデッドコントローラ(EC)120は、電源管理のためのコントローラである。エンベデッドコントローラ(EC)120には、キーボード(KB)13およびタッチパッド15などを制御するキーボードコントローラを内蔵してもよい。EC120は、電源回路121と協働して、ユーザによるパワーボタンスイッチ14の操作に応じて本コンピュータ10を電源オン/電源オフする。電源回路121は、コンピュータ本体11に内蔵されたバッテリ122、又はACアダプタ123を介して供給される外部電源を用いて、本コンピュータ10の各コンポーネントに供給すべきシステム電源を生成する。さらに、EC120は、BIOSの制御の下、電源回路121と協働して、光ディスクドライブ(ODD)117のみを電源オン/電源オフすることができる。さらに、EC120は、光ディスクドライブ(ODD)117から出力される上述のイジェクト信号を検出する機能と、光ディスクドライブ(ODD)117へイジェクト信号(疑似イジェクト信号)を送出する機能とを有している。
【0032】
加速度センサ124は、例えば、3次元加速度センサによって実現されている。加速度センサ124は、本体11が揺れているか否か、つまり本体11の前後、上下、左右方向の動きを検出することができる。より詳しくは、加速度センサ124は、X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向それぞれに対応する本体11の加速度を検出し、その検出結果を示す加速度データを出力する。
【0033】
次に、図3を参照して、光ディスクドライブ(ODD)117の構成例を説明する。
【0034】
光ディスクドライブ(ODD)117は、上述のスピンドルモータ303、および光ピックアップヘッド304に加え、コントローラ401、トレーイジェクト機構402等を備えている。ユーザによってイジェクトボタン302が押下された時、例えばパルス状のイジェクト信号が発生する。光ディスクドライブ(ODD)117が電源オン状態であるか電源オフ状態であるかにかかわらず、このイジェクト信号はコントローラ401のイジェクト信号入力端子に送出されると共に、イジェクト信号入出力端子403およびイジェクト信号線404を介して光ディスクドライブ(ODD)117の外部にも出力される。イジェクト信号入出力端子403は光ディスクドライブ(ODD)117に設けられた入出力端子である。イジェクト信号入出力端子403は光ディスクドライブ(ODD)117とホストシステムとの間を双方向で接続することができる。
【0035】
光ディスクドライブ(ODD)117が電源オン状態である期間中においては、コントローラ401はこのイジェクト信号を検出することができる。コントローラ401は、イジェクト信号の受信に応答して、イジェクト機構402を制御することによってトレー301を開く。
【0036】
EC120はイジェクト信号入出力端子403およびイジェクト信号線404を介して光ディスクドライブ(ODD)117に双方向接続されている。EC120はイジェクト信号線404を介して光ディスクドライブ(ODD)117からイジェクト信号を受信することができる。EC120はイジェクト信号の受信を例えばBIOSに通知する。BIOSは、イジェクト信号の受信をドライブ管理アプリケーションプログラム202に通知する。これにより、ドライブ管理アプリケーションプログラム202は、イジェクトボタン302の押下操作を検出することができる。また、EC120は、イジェクト信号線403を介して光ディスクドライブ(ODD)117にイジェクト信号(疑似イジェクト信号とも云う)を送信することもできる。
【0037】
なお、光ディスクドライブ(ODD)117は、光ディスクドライブ(ODD)117が電源オフ状態の期間中にイジェクトボタン302が押下操作された時にのみイジェクト信号を外部に出力するように構成されていてもよい。この場合、光ディスクドライブ(ODD)117が電源オン状態であるか電源オフ状態であるかに関係なくイジェクトボタン302押下操作に応答してイジェクト信号は発生されるが、このイジェクト信号が外部に出力されるのは、光ディスクドライブ(ODD)117が電源オフ状態である場合のみとなる。
【0038】
次に、図4のフローチャートを参照して、ドライブ管理アプリケーションプログラム202によって実行されるドライブ制御処理の概要について説明する。
【0039】
ドライブ管理アプリケーションプログラム202は、例えば、EC120およびBIOSと共同して、イジェクトボタン302が押下されたかどうかを検出することが出来る。ドライブ管理アプリケーションプログラム202がイジェクトボタン302が押下されたことを検出した時、換言すれば、ドライブ管理アプリケーションプログラム202がEC120およびBIOSを通じて光ディスクドライブ(ODD)117からイジェクト信号を受信した場合(ステップS11)、ドライブ管理アプリケーションプログラム202は、光ディスクドライブ(ODD)117が電源オン状態であるか否かを判定する(ステップS12)。光ディスクドライブ(ODD)117が電源オン状態であるならば(ステップS12のYES)、ドライブ管理アプリケーションプログラム202は、何もせずに処理を終了する。
【0040】
一方、光ディスクドライブ(ODD)117が電源オフ状態であるならば(ステップS12のNO)、ドライブ管理アプリケーションプログラム202は、加速度センサ124から加速度データをリードし、その加速度データに基づいて本体11が揺れているか否かを判定する(ステップS13)。
【0041】
本体11が揺れていないならば(ステップS13のNO)、ドライブ管理アプリケーションプログラム202は、EC120と共同して、光ディスクドライブ(ODD)117に電力を供給して光ディスクドライブ(ODD)117の電源状態を電源オフ状態から電源オン状態に切り換える(ステップS14)。光ディスクドライブ(ODD)117に電力を供給した後、ドライブ管理アプリケーションプログラム202は、光ディスクドライブ(ODD)117がレディ状態になったか否かを判定する(ステップS15)。光ディスクドライブ(ODD)117がレディ状態であるか否かは、例えば、ドライブ管理アプリケーションプログラム202がSATAコントローラ115Aをポーリングすることによって判定することができる。光ディスクドライブ(ODD)117がレディ状態になるまで、ドライブ管理アプリケーションプログラム202は待機する。光ディスクドライブ(ODD)117がレディ状態であることが判定された時(ステップS15のYES)、ドライブ管理アプリケーションプログラム202は、光ディスクドライブ(ODD)117にトレー301を開くことを指示する(ステップS16)。このステップS16では、ドライブ管理アプリケーションプログラム202は、例えば、EC120に対して疑似イジェクト信号を光ディスクドライブ(ODD)117に送出すべきことを指示する。なお、疑似イジェクト信号を光ディスクドライブ(ODD)117に送出する代わりに、イジェクトコマンドをSATAコントローラ115Aを介して光ディスクドライブ(ODD)117に送出してもよい。
【0042】
光ディスクドライブ(ODD)117が電源オンされてからコントローラ401が動作可能状態になるまでには、ある一定の時間が必要となる。もしコントローラ401が動作可能状態になる前、つまり光ディスクドライブ(ODD)117がレディ状態になる前に疑似イジェクト信号またはイジェクトコマンドが光ディスクドライブ(ODD)117が送出されたならば、トレー301は開かない。光ディスクドライブ(ODD)117を電源オンしてからの経過時間が所定の待機時間に達した時に疑似イジェクト信号またはイジェクトコマンドを送出するようにしてもよい。しかし、通常、光ディスクドライブ(ODD)が電源オンされてからコントローラ401が動作可能状態になるまでに要する時間はコンピュータ10に搭載される光ディスクドライブ(ODD)の種類によって異なる。このため、様々な光ディスクドライブ(ODD)の種類に対応できるようにするためには、上述の待機時間を比較的長い時間に設定することが必要となる。しかし、待機時間を比較的長い時間に設定すると、トレー301の開くタイミングが遅れる。
【0043】
本実施形態では、光ディスクドライブ(ODD)117がレディ状態であるか否かを実際に判定しているので、最適なタイミングで疑似イジェクト信号またはイジェクトコマンドを光ディスクドライブ(ODD)117に送出することができる。
【0044】
もしステップS13において、本体11が揺れていることが判定されたならば(ステップS13のYES)、ドライブ管理アプリケーションプログラム202は、何もせずに処理を終了する。
【0045】
なお、図4のフローチャートでは、イジェクトボタン302の押下操作が検出された時に光ディスクドライブ(ODD)117の現在の電源状態が電源オフ状態であるか否かを判定する例を説明したが、代わりに、光ディスクドライブ(ODD)117が電源オフ状態である期間中にイジェクトボタン302の押下操作が検出されたことを条件に、図4のステップS13以降の処理を開始するようにしてもよい。換言すれば、光ディスクドライブ(ODD)117が電源オフ状態である期間中に発生するイジェクト信号のみをトリガに、光ディスクドライブ(ODD)117の使用を再開するためのドライブ制御処理を実行してもよい。
【0046】
次に、図5のフローチャートを参照して、ドライブ制御処理の手順の例について説明する。ここでは、光ディスクドライブ(ODD)117が既に電源オフ状態に設定されている場合を想定する。
【0047】
ユーザによってイジェクトボタン302が押下操作された時(ステップS101)、光ディスクドライブ(ODD)117は、イジェクト信号を外部に出力する(ステップS102)。EC120は光ディスクドライブ(ODD)117からイジェクト信号を受信し、そして、例えばCPU111に割り込み信号を供給することよって、イジェクト信号の発生をBIOSへ通知する(ステップS103)。BIOSは、イジェクト信号の発生をドライブ管理アプリケーションプログラム202へ通知する(ステップS104)。
【0048】
ドライブ管理アプリケーションプログラム202は、イジェクト信号の発生の通知を受信すると、本体11が揺れているか否かを判定する(ステップS105)。本体11が揺れていないならば、ドライブ管理アプリケーションプログラム202は、光ディスクドライブ(ODD)117の電源投入を要求するメッセージ(ODD ON要求)をBIOSに送る(ステップS106)。BIOSはメッセージ(ODD ON要求)を受信すると、EC120に光ディスクドライブ(ODD)117の電源投入を要求する(ステップS107)。EC120は、BIOSからの電源投入要求の受信に応答して、光ディスクドライブ(ODD)117に電力を供給して光ディスクドライブ(ODD)117を電源オンする(ステップS108)。光ディスクドライブ(ODD)117は電源オン状態に入る(ステップS109)。
【0049】
BIOSは、EC120に光ディスクドライブ(ODD)117の電源投入を要求した後、光ディスクドライブ(ODD)117が電源オンされたこと(または光ディスクドライブ(ODD)117が検出されたこと)を、OS201に通知する(ステップS110)。OS201は、OS201によって管理されているデバイスのリストに光ディスクドライブ(ODD)117を追加し(ステップS111)、光ディスクドライブ(ODD)117をコンピュータ10内のデバイスとして認識する(ステップS112)。
【0050】
メッセージ(ODD ON要求)をBIOSに送った後、ドライブ管理アプリケーションプログラム202は、光ディスクドライブ(ODD)117の状態をチェックして光ディスクドライブ(ODD)117がレディー状態であるか否かを判定する(ステップS122)。光ディスクドライブ(ODD)117がレディー状態であることが判定されると、ドライブ管理アプリケーションプログラム202は、イジェクト要求メッセージをBIOSに送信する(ステップS123)。BIOSは、疑似イジェクト信号の送信をEC120に要求する(ステップS124)。EC120は、疑似イジェクト信号を光ディスクドライブ(ODD)117に送信する(ステップS1225)。光ディスクドライブ(ODD)117内のコントローラ401は、トレー301を外部に突出させるためのトレーオープン動作を実行し、トレー301を開く(ステップS216)。
【0051】
なお、ドライブ管理アプリケーションプログラム202は、ステップS105において揺れチェックを行う前に、光ディスクドライブ(ODD)117が電源オフ状態であるか否かを判定してもよい。光ディスクドライブ(ODD)117が電源オフ状態であることが判定された場合にのみ、ステップS105の揺れチェックを行えばよい。なお、EC120が光ディスクドライブ(ODD)117が電源オフ状態であるか否かを判定し、光ディスクドライブ(ODD)117が電源オフ状態である場合にのみ、イジェクト信号の発生をBIOSへ通知するようにしてもよい。
【0052】
次に、図6を参照して、図5のステップS122において実行されるODD状態チェック処理の手順の例について説明する。
【0053】
ドライブ管理アプリケーションプログラム202は、光ディスクドライブ(ODD)117がレディー状態であるか否かを判定するために、光ディスクドライブ(ODD)117のステートをチェックすべきことをBIOSに要求する(ステップS201)。BIOSは、SATAコントローラ115A内のステータスレジスタをリードして光ディスクドライブ(ODD)117のステートをチェックし、光ディスクドライブ(ODD)117の現在の状態(レディー状態または非レディー状態)を示す情報をドライブ管理アプリケーションプログラム202に戻す。
【0054】
SATAコントローラ115A内のステータスレジスタは、例えば、光ディスクドライブ(ODD)117がレディー状態であるか否かを示すデバイスレディーデータを含んでいる。デバイスレディーデータをリードすることにより、光ディスクドライブ(ODD)117の現在の状態(レディー状態または非レディー状態)を判定することが出来る。
【0055】
ドライブ管理アプリケーションプログラム202は、光ディスクドライブ(ODD)117がレディー状態であることが判別されるまで、光ディスクドライブ(ODD)117のステートをチェックすべきことをBIOSに繰り返し要求する(ステップS202)。
【0056】
次に、図7のフローチャートを参照して、本コンピュータ10によって実行されるドライブ電源管理処理を説明する。
【0057】
本コンピュータ10がパワーオンされた時、EC120は、本コンピュータ10内の各種デバイスを電源オンする(ステップS301)。ステップS301では、光ディスクドライブ(ODD)117も電源オンされる。CPU111はBIOSを実行する。BIOSはパワーオンセルフテスト処理(POST)を実行する(ステップS302)。次いで、BIOSは、OS201をブートする(ステップS303)。OS201がブートされた後、ドライブ管理アプリケーションプログラム202が自動的に起動される(ステップS304)。ドライブ管理アプリケーションプログラム202は以下の処理を実行する。
【0058】
ドライブ管理アプリケーションプログラム202は、光ディスクドライブ(ODD)117の非使用状態が所定期間継続した時(ステップS305のYES)、またはユーザ操作によって光ディスクドライブ(ODD)117の電源オフを要求するイベントが発生された時(ステップS306のYES)、光ディスクドライブ(ODD)117を電源断する(ステップS307)。
【0059】
ドライブ管理アプリケーションプログラム202は、例えば、光ディスクドライブ(ODD)117にメディアが装着されておらず且つトレー301が閉じられている状態を、光ディスクドライブ(ODD)117の非使用状態として認識する。メディアが装着されておらず且つトレー301が閉じられている状態が所定期間(例えば1分)続いたならば、ドライブ管理アプリケーションプログラム202は、BIOSおよびEC120と共同して、光ディスクドライブ(ODD)117への電力の供給を停止して光ディスクドライブ(ODD)117を電源断する。
【0060】
光ディスクドライブ(ODD)117の電源断を要求するイベントを発生するためのユーザ操作としては、例えば、ホットキー操作を使用することが出来る。例えば、ユーザは、キーボード13内の予め決められた所定の複数のキーを同時に操作することによって、光ディスクドライブ(ODD)117の電源断を要求することができる。また、ユーザは、別のホットキーを操作することによって、光ディスクドライブ(ODD)117の電源投入を指示することもできる。
【0061】
光ディスクドライブ(ODD)117が電源断された後は、ドライブ管理アプリケーションプログラム202は、イジェクトボタン302が操作されたこと、ユーザ操作によって光ディスクドライブ(ODD)117の電源投入を要求するイベントが発生されたこと、または光ディスクドライブ(ODD)117に関連付けられた所定のアプリケーションプログラムが起動されたこと等をトリガに、光ディスクドライブ(ODD)117を電源投入状態に戻す。
【0062】
すなわち、ドライブ管理アプリケーションプログラム202は、まず、イジェクトボタン302が押下操作されたか否かを判定する(ステップS308)。イジェクトボタン302が押下操作された場合には(ステップS308のYES)、ドライブ管理アプリケーションプログラム202は、加速度センサ124を用いて、本体11が揺れているか否かを判定する(ステップS309)。本体11が揺れていないならば(ステップS309のNO)、ドライブ管理アプリケーションプログラム202は、EC120と共同して、光ディスクドライブ(ODD)117に電力を供給する処理、および光ディスクドライブ(ODD)117にトレー301を開くことを指示する処理を実行する(ステップS310)。一方、本体11が揺れているならば(ステップS309のNO)、ドライブ管理アプリケーションプログラム202は、ステップS310の処理を実行しない。
【0063】
光ディスクドライブ(ODD)117が電源オフされている状態で、ユーザによるホットキー操作等によって光ディスクドライブ(ODD)117の電源オンを要求するイベントが発生した場合には(ステップS311のYES)、ドライブ管理アプリケーションプログラム202は、EC120と共同して、光ディスクドライブ(ODD)117に電力を供給する処理を実行する(ステップS313)。また、光ディスクドライブ(ODD)117が電源オフされている状態で、光ディスクドライブ(ODD)117に関連付けられた所定のアプリケーションプログラムが実行された時も(ステップS312のYES)、ドライブ管理アプリケーションプログラム202は、EC120と共同して、光ディスクドライブ(ODD)117に電力を供給する処理を実行する(ステップS313)。所定のアプリケーションプログラムは、光ディスクドライブ(ODD)117を使用することによって動作するように構成されたアプリケーションプログラムである。
【0064】
以上説明したように、本実施形態によれば、イジェクトボタン302の操作によって光ディスクドライブ(ODD)117を容易に電源断状態から電源投入状態に容易に復元することができる。また、本体が揺れている場合には、光ディスクドライブ(ODD)117の電源投入およびトレイを開くことは禁止されるので、ユーザがコンピュータ10を持って移動している最中に、光ディスクドライブ(ODD)117が誤って電源オンされること、およびトレー301が突然開いてしまうこと、を防止することが出来る。
【0065】
なお、本実施形態では、イジェクトボタン302の操作に応答して光ディスクドライブ(ODD)117を電源断状態から電源投入状態に復元するドライブ制御処理をドライブ管理アプリケーションプログラム202によって実行する例を説明したが、このドライブ制御処理はBIOSまたはOSによって実行しても良い。また、ドライブ制御処理はハードウェア、例えばEC120、によって実行してもよい。
【0066】
また、EC120が電源断状態の光ディスクドライブ(ODD)117からイジェクト信号を受信した時に揺れの有無を判定し、本体11が揺れていない場合にのみイジェクト信号の発生を、ドライブ制御処理を実行するソフトウェア(例えば、BIOS、OSまたはドライブ管理アプリケーションプログラム202等)に通知するようにしても良い。
【0067】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
11…本体、111…CPU、117…光ディスクドライブ(ODD)、202…ドライブ管理アプリケーションプログラム、301…トレー301…イジェクトボタン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体に設けられ、イジェクトボタンの操作に応答してイジェクト信号を外部に出力する光ディスクドライブと、
前記本体内に設けられた加速度センサと、
前記本体内に設けられ、電源オフ状態の前記光ディスクドライブからイジェクト信号を受信した場合、前記加速度センサを用いて前記本体が揺れているか否かを判定し、前記本体が揺れていない場合、前記光ディスクドライブに電力を供給すると共に前記光ディスクドライブのトレーを開くことを指示する信号を前記光ディスクドライブに送出するドライブ管理手段とを具備する情報処理装置。
【請求項2】
前記ドライブ管理手段は、前記光ディスクドライブに電力を供給した後、前記光ディスクドライブがレディー状態であるか否かを判定し、前記光ディスクドライブがレディー状態であることが判定された場合、前記トレーを開くことを指示する信号を前記光ディスクドライブに送出する請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ドライブ管理手段は、前記光ディスクドライブの非使用状態が所定時間継続した場合、前記光ディスクドライブを電源オフする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記ドライブ管理手段は、前記光ディスクドライブの電源オフを要求するイベントが発生した場合、前記光ディスクドライブを電源オフする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項5】
本体と、
前記本体に設けられた光ディスクドライブであって、前記光ディスクドライブが電源オン状態であるか否かにかかわらずイジェクトボタンの操作によって発生されるイジェクト信号を外部に出力する光ディスクドライブと、
前記本体内に設けられた加速度センサと、
前記本体内に設けられ、前記光ディスクドライブを電源オフし、電源オフ状態の前記光ディスクドライブから前記イジェクト信号を受信した場合、前記加速度センサを用いて前記本体が揺れているか否かを判定し、前記本体が揺れていない場合、前記光ディスクドライブに電力を供給すると共に前記光ディスクドライブのトレーを開くことを指示する信号を前記光ディスクドライブに送出するドライブ管理手段とを具備する情報処理装置。
【請求項6】
前記ドライブ管理手段は、前記光ディスクドライブに電力を供給した後、前記光ディスクドライブがレディー状態であるか否かを判定し、前記光ディスクドライブがレディー状態であることが判定された場合、前記トレーを開くことを指示する信号を前記光ディスクドライブに送出する請求項5記載の情報処理装置。
【請求項7】
情報処理装置内の光ディスクドライブを制御するドライブ制御方法であって、
イジェクトボタンの操作に応答してイジェクト信号を外部に出力するように構成された光ディスクドライブを電源オフし、
電源オフ状態の前記光ディスクドライブから前記イジェクト信号を受信した場合、前記加速度センサを用いて前記本体が揺れているか否かを判定し、
前記本体が揺れていない場合、前記光ディスクドライブに電力を供給すると共に前記光ディスクドライブのトレーを開くことを指示する信号を前記光ディスクドライブに送出するドライブ制御方法。
【請求項8】
前記光ディスクドライブに電力を供給した後、前記光ディスクドライブがレディー状態であるか否かを判定することをさらに具備し、
前記光ディスクドライブがレディー状態であることが判定された場合に、前記光ディスクドライブのトレーを開くことを指示する信号を前記光ディスクドライブに送出する請求項7記載のドライブ制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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