説明

情報処理装置および制御方法

【課題】 表示部の角度に応じてスイッチやデバイスへの電源の供給を段階的にオン・オフすることができる情報処理装置および制御方法を提供する。
【解決手段】 ディスプレイ11に開閉自在に接続され、ディスプレイ11が閉じたときにディスプレイ11と少なくとも一部が重なる本体16には、キーボード13、タッチパッド14、指紋認証デバイス17、各種ショートカットボタン18が配置され、ディスプレイ11が本体16に対して閉じる方向に動いたとき、ディスプレイ11と本体16とが10度以下になると、エリアA1、A2に配置されている指紋認証デバイス17、各種ショートカットボタン18への電源の供給をオフする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノート型コンピュータの省電力技術に係り、特にディスプレイの開閉の状態に応じて各操作機器への電源の供給を制御できる情報処理装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型のパーソナルコンピュータにおいて、本体部表示部との角度を検出し、角度によって内部電源、外部電源、システム電源のオン・オフを切り替える技術が開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−338575号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述した技術では、表示部の角度に応じて、操作が不能となる各種スイッチやデバイスへの電源の供給をオフすることはなく、無駄な電力消費が行われる。
【0004】
本発明の目的は、表示部の角度に応じてあらかじめ定めた本体部に設けられた各種スイッチやデバイスの操作の可能・不能に基づき、各種スイッチやデバイスの電源供給をその角度に応じて段階的にオン・オフすることができる情報処理装置および制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本願発明の一態様によれば、表示装置と、前記表示装置と回動自在に接続され、前記表示装置を所定方向に回転したときに当該表示装置と少なくとも一部が対面するように重なる本体と、前記本体の前記対面する側に配置された、前記表示装置を重ねたときにこの表示装置により覆い隠される複数の操作手段と、前記表示装置が前記本体に対して重なる方向に回転したとき、前記表示装置と前記本体との角度に応じて、複数の前記操作手段への電源の供給を、あらかじめ設定した順序で段階的にオフする手段と、を具備することを特徴とする情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明を用いることにより、表示部の角度に応じてあらかじめ定めた本体部に設けられた各種スイッチやデバイスの操作の可能・不能に基づき、各種スイッチやデバイスの電源供給をその角度に応じて段階的にオン・オフすることができる情報処理装置および制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(第1実施形態)
以下図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0008】
図1には、本発明の第1実施形態に係る情報処理装置の斜視図が示されている。この情報処理装置は、バッテリ駆動可能なノートブック型コンピュータ10として実現されている。
【0009】
図1に示すように、コンピュータ10は、本体16と、ディスプレイ11とから構成されている。ディスプレイ11にはLCD(Liquid Crystal Display)からなる表示装置が組み込まれており、そのLCDの表示画面12はディスプレイ11のほぼ中央に位置されている。
【0010】
ディスプレイ11は、コンピュータ10に対して解放位置と閉塞位置との間を開閉自在に取り付けられている。コンピュータ10の本体側は薄い箱形の筐体を有しており、その上面には、キーボード13、パームレスト上にはタッチパッド14、および左右2つのボタン14a、14b、メール等の各種ショートカットボタン18等が配置されている。また、本体16の側面には、光学ドライブ15等が設けられている。さらに、ディスプレイ11の下部には、指紋認証デバイス17が配置されている。
【0011】
図2は、コンピュータの構成を示したブロック図である。
【0012】
コンピュータ10は、CPU(Central Processing Unit)20、Root Complex21、主メモリ24、グラフィクスコントローラ(End Point)23、Root Complex21とグラフィクスコントローラ23とを接続するPCI Express Link22、ディスプレイ11、エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)27、ハードディスクドライブ(HDD)25、BIOS−ROM26、EC/KBC27に接続された入力デバイスである、指紋認証デバイス17、キーボード13、タッチパッド14、各種ショートカットボタン18、本体16とディスプレイ11との角度を検出する角度検出装置19などを備えている。
【0013】
Root Complex21、グラフィクスコントローラ23等は、PCI EXPRESS規格に準拠したデバイス(デバイス)である。Root Complex21とグラフィクスコントローラ23との間の通信は、Root Complex21とグラフィクスコントローラ23との間に配設されたPCI Express Link22を介して実行される。
【0014】
CPU20は、本コンピュータ10の動作を制御するプロセッサであり、HDD25から主メモリ24にロードされる各種プログラム(オペレーティングシステム、アプリケーションプログラム)を実行する。また、CPU20は、BIOS−ROM26に格納されたBIOS(Basic Input Output System)も実行する。BIOSはハードウェアを制御するためのプログラムである。
【0015】
Root Complex21は、CPU20のローカルバスとグラフィクスコントローラ23との間を接続するブリッジデバイスである。また、Root Complex21は、PCI Express Link22を介してグラフィクスコントローラ23との通信を実行する機能も有している。
【0016】
グラフィクスコントローラ23は、本コンピュータのディスプレイモニタとして使用されるディスプレイ11を制御する表示コントローラである。
【0017】
EC/KBC27は、電力管理のためのエンベデッドコントローラと、キーボード13およびタッチパッド14等を制御するためのキーボードコントローラとが集積された1チップマイクロコンピュータである。このEC/KBC27は、ユーザによるパワーボタンの操作に応じて、電源コントローラと共同して、本コンピュータ10をパワーオン/パワーオフする機能を有している。
【0018】
次に本発明の第1実施形態に係る情報処理装置の制御方法について、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0019】
なお、本実施形態では、ディスプレイ(以下、パネルと称す)11を開けた状態から、パネルを閉める動作について、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0020】
コンピュータ10のCPU20は、角度検出装置19からの情報に基づいて、パネル11の角度が、本体16に対して、例えば10度に達したか否かを判別する(ステップS101:図4参照)。ステップS101で、CPU20によってパネル11の角度が本体16に対して10度に達したと判別されると(ステップS101のYES)、パネル11の角度が本体16に対して5度に達したか否かを判別する(ステップS102)。CPU20によってパネル11の角度が本体16に対して5度に達していないと判別されると(ステップS102のNO)、図5に示したエリアA1、A2の領域に配置されている指紋認証デバイス17、各種ショートカットボタン18、キーボード13の上部の一部への電源の供給をオフする(ステップS103)。なお、これらのデバイスへの電源の供給をオフする場合、1つの電源回路内に複数のスイッチ部を備えてもよいし、複数の電源回路を備えていてもよい。
【0021】
一方、CPU20によってパネル11の角度が本体16に対して5度に達していると判別されると(ステップS102のYES)、図5に示したエリアB1、B2の領域に配置されているLCD12、キーボード13、タッチパッド14への電源の供給をオフする(ステップS104)。
【0022】
なお、電源の供給をオフするエリアの設定は、上述した内容に限らず、様々に設定することができる。また、本実施形態に示したタッチパッド14等のデバイス以外にも、パネル11と本体16の角度により操作が制限されるデバイスが搭載されている場合には、そのデバイスに対しても同様に適用することで本発明の効果を享受できる。
【0023】
次に、パネル11を閉じた状態から、パネルを開ける動作について図6のフローチャートを参照して説明する。
【0024】
コンピュータ10のCPU20は、角度検出装置19からの情報に基づいて、パネル11の角度が、本体16に対して、例えば5度に達したか否かを判別する(ステップS111:図4参照)。ステップS111で、CPU20によってパネル11の角度が本体16に対して5度に達したと判別されると(ステップS111のYES)、図5に示したエリアB1、B2の領域に配置されているLCD12、キーボード13、タッチパッド14への電源の供給をオンする(ステップS112)。
【0025】
さらに、CPU20は、パネル11の角度が本体16に対して10度に達したか否かを判別する(ステップS113)。CPU20によってパネル11の角度が本体16に対して10度に達したと判別されると(ステップS113のYES)、図5に示したエリアA1、A2の領域に配置されている指紋認証デバイス17、各種ショートカットボタン18、キーボード13の上部の一部への電源の供給をオンする(ステップS114)。
【0026】
以上の実施形態により、表示部の角度に応じて、本体部に設けられた各種スイッチやデバイスが隠されたことにより操作できなくなった各種スイッチやデバイスへの電源供給を段階的にオフし、一方、本体部に設けられた各種スイッチやデバイスが操作できるようになったときには各種スイッチやデバイスへの電源供給を段階的にオンすることができる。
【0027】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図7、8を参照して説明する。
【0028】
図7は、本発明の第2実施形態に係る情報処理装置であるノート型タブレットPCを示した斜視図である。
【0029】
タブレットPC100は、キーボード130、タッチパッド140、および液晶方式の可動式ディスプレイ120との接続部であるヒンジ部60等を備える本体160と、各種ボタン180を備えたヒンジ部60に可動可能に接続されたディスプレイ120とから構成される。タブレットPC100は、ディスプレイ120がタッチパネルとなっており、スタイライズ80等によってディスプレイ120に対して直接的に操作できる。
【0030】
ディスプレイ120は、ヒンジ部60を軸として、Y軸を中心に回転可能である。また、X軸を中心として、可倒可能である。例えば、ディスプレイ120の表示面を上側にして可倒した場合は、図8に示すようなタブレットスタイルとなる。このようにタブレットスタイルとした場合においては、例えば、2人の利用者がディスプレイ120を見て利用する形態が考えられる。
【0031】
このようなタブレットPC100を用いた場合においても、第1実施形態で説明したエリアA1、A2、B1、B2等を設け、これらのエリア毎に、ディスプレイ120と本体160との角度に応じて電源の供給をオン・オフする設定とすることができ、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0032】
同様に、本実施形態に示したデバイス以外にも、ディスプレイ120と本体との角度により操作が制限されるデバイスが搭載されている場合には、そのデバイスに対しても同様に適用することで本発明の効果を享受できる。
【0033】
また、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施形態に係る情報処理装置であるノートブック型コンピュータを示した斜視図。
【図2】本発明の第1実施形態に係る情報処理装置であるノートブック型コンピュータの構成を示したブロック図。
【図3】本発明の第1実施形態に係る情報処理装置の制御方法について説明したフローチャート。
【図4】本体に対するパネルの角度を示した模式図。
【図5】本発明の第1実施形態に係るコンピュータの本体およびパネルに配置された各種スイッチやデバイスの設定エリアを示す模式図。
【図6】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置の制御方法について説明したフローチャート。
【図7】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置であるノート型タブレットPCを示した斜視図。
【図8】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置であるノート型タブレットPCのタブレットスタイルを示した斜視図。
【符号の説明】
【0035】
10…コンピュータ、11…ディスプレイ、12…LCD、13…キーボード、14…タッチパッド、14a.14b…ボタン、15…光学ドライブ、16…本体、17…指紋認証デバイス、18…各種ショートカットボタン、19…角度検出装置、20…CPU、23…グラフィクスコントローラ、24…主メモリ、25…HDD、26.EC…ROM、26…ROM、27…EC/KBC、60…ヒンジ部、80…スタイライズ、100…タブレットPC、120…ディスプレイ、130…キーボード、140…タッチパッド、160…本体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置と、
前記表示装置と回動自在に接続され、前記表示装置を所定方向に回転したときに当該表示装置と少なくとも一部が対面するように重なる本体と、
前記本体の前記対面する側に配置された、前記表示装置を重ねたときにこの表示装置により覆い隠される複数の操作手段と、
前記表示装置が前記本体に対して重なる方向に回転したとき、前記表示装置と前記本体との角度に応じて、複数の前記操作手段への電源の供給を、あらかじめ設定した順序で段階的にオフする手段と、
を具備することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記順序は、前記表示装置が前記本体に重なる方向に回転するに連れて、この表示装置により覆い隠されることにより操作不能となる操作手段の順に設定されていることを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記操作手段は、キーボード、タッチパッド、ショートカットボタン、指紋認証装置の少なくともいずれかであることを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記表示装置はさらに、前記本体と重ねた状態における前記本体に対する表裏を反転できるよう回動自在に接続されていることを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
表示装置と、
前記表示装置と回動自在に接続され、前記表示装置を所定方向に回転したときに当該表示装置と少なくとも一部が対面するように重なる本体と、
前記本体の前記対面する側に配置された、前記表示装置を重ねたときにこの表示装置により覆い隠される複数の操作手段と、
前記表示装置が前記本体に対して離れる方向に回転したとき、前記表示装置と前記本体との角度に応じて、複数の前記操作手段への電源の供給を、あらかじめ設定した順序で段階的にオンする手段と、
を具備することを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理装置において、
前記順序は、前記表示装置が前記本体から離れる方向に回転するに連れて、この表示装置とこの本体との間に生じる空間により操作可能となる操作手段の順に設定されていることを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
請求項5に記載の情報処理装置において、
前記操作手段は、キーボード、タッチパッド、ショートカットボタン、指紋認証装置の少なくともいずれかであることを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
請求項5に記載の情報処理装置において、
前記表示装置はさらに、前記本体と重ねた状態における前記本体に対する表裏を反転できるよう回動自在に接続されていることを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
表示装置と、前記表示装置と回動自在に接続され、前記表示装置を所定方向に回転したときに当該表示装置と少なくとも一部が対面するように重なる本体と、前記本体の前記対面する側に配置された、前記表示装置を重ねたときにこの表示装置により覆い隠される複数の操作手段とを備えた情報処理装置の制御方法であって、
前記表示装置が前記本体に対して重なる方向に回転したとき、前記表示装置と前記本体との角度を求め、
複数の前記操作手段のうち、前記角度に対応する前記操作手段を求め、
この求めた操作手段から段階的に電源の供給をオフすることを特徴とする制御方法。
【請求項10】
表示装置と、前記表示装置と回動自在に接続され、前記表示装置を所定方向に回転したときに当該表示装置と少なくとも一部が対面するように重なる本体と、前記本体の前記対面する側に配置された、前記表示装置を重ねたときにこの表示装置により覆い隠される複数の操作手段とを備えた情報処理装置の制御方法であって、
前記表示装置が前記本体に対して離れる方向に回転したとき、前記表示装置と前記本体との角度を求め、
複数の前記操作手段のうち、前記角度に対応する前記操作手段を求め、
この求められた操作手段から段階的に電源の供給をオンすることを特徴とする制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−233505(P2007−233505A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−51526(P2006−51526)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】