説明

情報処理装置および同装置の制御方法

【課題】デバイス同士を近づけたり離したりといった直感的な操作のみによって、複数の工程(機能ステップ)からなる一連の処理の進行(実行)を制御することのできる情報処理装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、情報処理装置は、通信モジュールと、検出手段と、制御手段とを具備する。通信モジュールは、近接無線通信を実行する。検出手段は、前記通信モジュールとの間で近接無線通信を実行可能な外部デバイスが近接状態にあるか否かを検出する。そして、制御手段は、前記検出手段による近接状態の検出および当該近接状態の解除の検出に応じて、複数の工程からなる一連の処理の実行を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、近接無線通信を実行する情報処理装置および同装置に適用される制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、NFC(Near Field Communication)のような無線通信が広く利用されている。この無線通信の普及により、ユーザは、IC(Integrated Circuit)カードや携帯電話機などをホスト装置のリーダ/ライタ部にかざすといった操作を行うだけで、認証処理、課金等のための通信を容易に行えるようになっている。
【0003】
また、最近では、より高速の通信が可能な新たな近接無線通信技術の開発が進められている。この新たな近接無線通信技術は、デバイス同士を近づけるだけで、認証、課金サービスのみならず、文書データ、画像データ、オーディオデータといった所望のデータをそれらデバイス間で送受信することを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−11417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、近接無線通信機能を各々が有するデバイスAとデバイスBとが近接状態(近接無線通信を実行可能な状態)となったことを契機に、当該デバイスAとデバイスBが協働して、機能1と機能2とが時系列に行われる場合を想定する。また、この機能1,2のうちの機能1のみを行いたいケースも存在するものとする。この場合、(a)デバイスA,B同士を近づける前に、機能1のみを実行対象とする設定を受け付けるための仕組みや、(b)機能1の完了後から機能2の着手前までの間に、「”機能2”を実行しますか?」などといった問い合わせおよびその回答を受け付けるための仕組み等が別途必要となる。即ち、デバイス同士を近づけるといった直感的な操作以外の操作をユーザに強いることとなってしまう。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、デバイス同士を近づけたり離したりといった直感的な操作のみによって、複数の工程(機能ステップ)からなる一連の処理の進行(実行)を制御することのできる情報処理装置および同装置に適用される制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、情報処理装置は、通信モジュールと、検出手段と、制御手段とを具備する。通信モジュールは、近接無線通信を実行する。検出手段は、前記通信モジュールとの間で近接無線通信を実行可能な外部デバイスが近接状態にあるか否かを検出する。そして、制御手段は、前記検出手段による近接状態の検出および当該近接状態の解除の検出に応じて、複数の工程からなる一連の処理の実行を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態の情報処理装置を適用して構成される近接無線通信システムで実行される近接無線通信の一例を示す図。
【図2】実施形態の情報処理装置のシステム構成を示す図。
【図3】実施形態の情報処理装置の動作原理を説明するための概念図。
【図4】実施形態の情報処理装置の動作手順を示すフローチャート。
【図5】実施形態の情報処理装置を適用して構成される近接無線通信システムで実行可能な処理の第1の応用例を説明するための図。
【図6】実施形態の情報処理装置を適用して構成される近接無線通信システムで実行可能な処理の第2の応用例を説明するための第1の図。
【図7】実施形態の情報処理装置を適用して構成される近接無線通信システムで実行可能な処理の第2の応用例を説明するための第2の図。
【図8】実施形態の情報処理装置を適用して構成される近接無線通信システムで実行可能な処理の第2の応用例の変形例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、実施形態の情報処理装置を適用して構成される近接無線通信システムで実行される近接無線通信の一例を示す図である。
【0011】
図1に示すように、ここでは、近接無線通信システムが、ノートブックタイプのパーソナルコンピュータ(PC)1と携帯電話機2とによって構成されている。PC1および携帯電話機2は、いずれも近接無線通信機能を有しており、PC1には近接無線通信用のアンテナ(カプラ)15a、携帯電話機2には近接無線通信用のアンテナ(カプラ)25aがそれぞれ設けられている。よって、このカプラ15aとカプラ25aとを接触させるように、携帯電話機2をPC1にかざすタッチ操作を行うだけで、PC1と携帯電話機2との間のデータ伝送を実行させることができる。
【0012】
即ち、PC1および携帯電話機2のいずれもが、実施形態の情報処理装置であって、これらPC1および携帯電話機2が協働することによって、互いが近接状態となったことを契機に、(データ転送を伴う)所定の処理の実行を開始する。ここでは、この「所定の処理」が、複数の工程(機能ステップ)からなるものとする。つまり、携帯電話機2をPC1にかざすと、まず、機能ステップ[1]が開始され、これが完了すると、後続の機能ステップ[2]が開始される。そして、最終工程の機能ステップ[N]が完了したことをもって、当該複数の工程からなる一連の「所定の処理」の実行は終了する。
【0013】
また、ここでは、当該「所定の処理」について、機能ステップ[1]のみを実行したい等、機能ステップ[M](M<N)までを実行したいケースが存在し得るものとする。そこで、実施形態の情報処理装置は、デバイス同士を近づけたり離したりといった直感的な操作のみによって、当該複数の工程からなる一連の「所定の処理」の進行(実行)を制御できるようにしたものであり、以下、この点について詳述する。
【0014】
図2は、実施形態の情報処理装置(PC1)のシステム構成を示す図である。なお、前述したように、図1に示したPC1および携帯電話機2のいずれもが、実施形態の情報処理装置であるので、ここでは、システム構成を説明するにあたり、PC1を取り上げ、携帯電話機2については、PC1と略同様であることから、その説明を省略する。
【0015】
図2に示すように、PC1は、システム制御部11、RAM12、ROM13、近接検出部14および無線通信デバイス15を有している。
【0016】
システム制御部11は、CPU11aや(図示しない)システムバスから構成され、RAM12を作業領域として用いて、CPU11aにより、ROM13に格納された各種プログラムを実行する。RAM12は、処理中のデータやスタックを格納するためのメモリ装置である。また、ROM13は、様々なアプリケーションプログラムや図中の各コンポーネントを制御するためのドライバが格納されるメモリ装置である。様々なアプリケーションプログラムとは、例えば、文書作成ソフトウェア、表計算ソフトウェア、ブラウザ、メーラ、コンテンツ再生ソフトウェア等である。実施形態の情報処理装置では、当該様々なアプリケーションプログラムの1つとして、後述する近接無線通信アプリケーションプログラム100がさらに存在する。
【0017】
また、近接検出部14は、自装置(PC1)と外部デバイス(携帯電話機2)の近接検出部同士が向かい合わせて近づけられた場合に、互いが近接状態となったことを検出するためのセンサである。実施形態の情報処理装置は、この近接検出部14からの情報に基づいて、後述する近接無線通信アプリケーションプログラム100内の各機能ステップ102の進行(実行)を制御する。この制御を実現するための手段としては、例えば、TransferJet(登録商標)やFeliCa(登録商標)、ICチップ、非接触充電デバイスなどが考えられる。アライメントがシビアなデバイスは、無線通信デバイスの通信可能範囲を制限してしまうため好適ではない。
【0018】
そして、無線通信デバイス15は、前述のアンテナ(カプラ)15aを介して、近接状態にある外部デバイス(携帯電話機2)との間で無線データ通信を実行するモジュールである。TransferJet(登録商標)やFeliCa(登録商標)、ICチップは、前記近接検出部14の機能と共に当該無線通信デバイス15の機能を併せ持っている。この中でもTransferJet(登録商標)は大きなサイズのデータを扱う事ができるため好適である。
【0019】
このような構成を持つ実施形態の情報処理装置(PC1)上で動作する近接無線通信アプリケーションプログラム100は、制御モジュール101と、複数の機能ステップ処理モジュール102とからなる。システム制御部11は、外部デバイス(携帯電話機2)側の近接検出部と近接状態になったことを近接検出部14が検出すると、この近接無線通信アプリケーションプログラム100の実行を開始する。この近接状態の検出を契機に実行が開始される近接無線通信アプリケーションプログラム100は、制御モジュール101の制御下において、複数の機能ステップ処理モジュール102が時系列に沿ってシーケンシャルに実行されていく。
【0020】
図3は、実施形態の情報処理装置の動作原理を説明するための概念図である。図3中、機能ステップ[1]は、近接無線通信アプリケーションプログラム100の機能ステップ[1]処理モジュール102によって実行される工程(機能ステップ)を表している。つまり、図3は、各機能ステップ[1]〜[N]が、時系列に沿ってシーケンシャルに実行されることを示している。
【0021】
いま、時刻t0において、携帯電話機2をPC1にかざすタッチ操作が行われ(図3の(1))、近接無線通信アプリケーションプログラム100の実行が開始されたと想定する。そうすると、制御モジュール101は、まず、機能ステップ[1]を実行するための機能ステップ[1]処理モジュール102を起動する(時刻t0)。機能ステップ[1]は、時刻t1で完了するものとする。本来、この機能ステップ[1]が完了すると、後続の機能ステップ[2]を実行するための機能ステップ[2]処理モジュール102を速やかに起動するのが一般的であるが、制御モジュール101は、前工程の完了から後工程の着手までの間に所定のインターバル(時間tm)を設ける。つまり、制御モジュール101は、時刻t1+tmまで待機してから機能ステップ[2]処理モジュール102を起動する。
【0022】
同様に、制御モジュール101は、機能ステップ[2]が時刻t2で完了すると、時刻t2+tmまで待機してから機能ステップ[3]を実行するための機能ステップ[3]処理モジュール102を起動し、機能ステップ[3]が時刻t3で完了すると、時刻t3+tmまで待機してから機能ステップ[4]を実行するための機能ステップ[4]処理モジュール102を起動する。このように、制御モジュール101は、各機能ステップ間に所定のインターバルを設けながら、最終工程の機能ステップ[N]を実行するための機能ステップ[N]処理モジュール102の起動までを制御する。また、制御モジュール101は、各機能ステップの完了毎に、(情報処理装置ならば当然に装備されるスピーカや表示装置等を介して)音や光、メッセージなどを出力することによって、その旨をユーザに報知する。
【0023】
ここで、あるユーザが、機能ステップ[1]から途中の機能ステップ[3]までを実行させたいと考えているものと想定する。制御モジュール101は、前述した各機能ステップ間のインターバルを、このようなユーザのために設けている。また、システム制御部11は、外部デバイス(携帯電話機2)側の近接検出部との近接状態が解除されたことを近接検出部14が検出すると、その旨を近接無線通信アプリケーションプログラム100の制御モジュール101に通知する。もし、この通知を、ある機能ステップの完了後、所定のインターバル(時間tm)間に受けた場合、制御モジュール101は、後続の機能ステップに着手せずに、近接無線通信アプリケーションプログラム100を終了させる。
【0024】
上記(機能ステップ[1]〜[3]までを実行したい)ユーザは、前述したように、携帯電話機2をPC1にかざすタッチ操作を行うことで、近接無線通信アプリケーションプログラム100の実行を開始させる。そうすると、機能ステップ[1]から順次に処理されていき、かつ、各機能ステップの完了毎に、その旨を報知する音や光、メッセージ等が出力される。従って、当該ユーザは、この音や光、メッセージが3回目に出力されたとき(時刻t3)、時間tmが経過するまでに、携帯電話機2をPC1から離すセパレート操作を行うことにより(図2の(2))、近接無線通信アプリケーションプログラム100の実行を終了させて、当該近接無線通信アプリケーションプログラム100の実行を目的の機能ステップ[1]〜[3]までとすることができる。なお、所定のインターバルである時間tmは、ユーザが、ある機能ステップの完了を認識してから余裕を持って携帯電話機2をPC1から離す事のできる時間を設定することが好ましい。
【0025】
つまり、実施形態の情報処理装置は、(a)携帯電話機2をPC1に近づける前に、どの機能ステップまでを実行対象とする設定を受け付けるための仕組みや、(b)前工程の機能ステップの完了後から後工程の機能ステップの着手までの間に、「次の機能ステップを実行しますか?」などといった問い合わせおよびその回答を受け付けるための仕組み等を全く必要とすることなく、携帯電話機2とPC1とを近づけたり離したりといった直感的な操作のみによって、複数の機能ステップからなる一連の処理の進行(実行)を制御することを実現する。
【0026】
図4は、実施形態の情報処理装置の動作手順を示すフローチャートである。
【0027】
近接無線通信機能を有する情報処理装置同士を近接させると、情報処理装置は、実行する機能ステップ番号(i)を初期値の0にリセットする(ステップA1)。続いて、情報処理装置は、実行する機能ステップ番号(i)を1インクリメントし(ステップA2)、機能ステップ[i]の実行を開始する(ステップA3)。
【0028】
この機能ステップ[i]が完了すると(ステップA4のYES)、情報処理装置は、機能ステップ間のインターバルタイマを開始する(ステップA6)。そして、この機能ステップ間のインターバルタイマが満了すると(ステップA7のYES)、情報処理装置は、次に実行するべき機能ステップがあるか否かを調べる(ステップA9)。次に実行するべき機能があれば(ステップA9のNO)、情報処理装置は、ステップA2からの処理を繰り返し、一方、なければ(ステップA9のYES)、"case a"(全ての機能ステップが実行されたケース)としてこの処理を終了する。
【0029】
また、この一連のフローにおいて、機能ステップ[i]を実行中(ステップA4)、または、機能ステップ間インターバルタイマが経過中(ステップA7)、情報処理装置は、それぞれ、情報処理装置同士が離されたかどうかを監視する(ステップA5,ステップA8)。この時、情報処理装置同士が離されていなければ(ステップA5のNO,ステップA8のNO)、それぞれ、機能ステップ[i]が完了(ステップA4のYES)、機能ステップ間インターバルタイマが満了(ステップA7のYES)となり、情報処理装置は、ステップA9に進むが、情報処理装置同士が離されていれば、(ステップA5のYES,ステップA8のYES)、それぞれ、"case b"(機能ステップ[i-1]まで実行されたケース)、"case c"(機能ステップ[i]まで実行されたケース)としてこの処理を終了する。
【0030】
次に、図5乃至図8を参照して、実施形態の情報処理装置を適用して構成される近接無線通信システムで実現可能な処理の種々の応用例を説明する。
【0031】
(第1応用例)
まず、図5を参照して、第1応用例について説明する。
【0032】
この第1応用例においては、PC1は、予め録画予約されたテレビジョン放送番組データを受信して記録する機能を含むテレビ機能を有しているものとする。また、携帯電話機2は、テレビジョン放送番組データを含む動画像、静止画像、音声等の各種コンテンツを再生するコンテンツ再生ソフトウェアを有しているものとする。つまり、ユーザは、PC1上で録画されたテレビジョン放送番組データを携帯電話機2に取り込むことで、当該テレビジョン放送番組データを携帯電話機2によって観賞することができる状況下にあるものとする。そこで、この第1応用例では、携帯電話機2をPC1にかざすタッチ操作を行うことでテレビジョン放送番組データの取り込みを実行することのできる近接無線通信システムが構築されているものとする。図5では、テレビジョン放送番組データを保有しているPC1をコンテンツ・サーバ1、テレビジョン放送番組データを取り込む携帯電話機2を持ち出し・クライアント2と表記している。
【0033】
あるユーザ(ユーザA)は、その日の早朝に放送されたニュース番組を通勤中に携帯電話機2で視聴したいと考えている。また、あるユーザ(ユーザB)は、毎週放送されるいくつかのドラマ番組の最新回を外出先で携帯電話機2で視聴したいと考えている。このような場合、ユーザAは、同日に録画されたテレビジョン放送番組データのみを携帯電話機2に取り込みたいと考え、一方、ユーザBは、直近一週間に録画されたテレビジョン放送番組データを携帯電話機2に取り込みたいと考えることになる。
【0034】
そこで、この第1応用例においては、機能ステップ[1]として、同日に録画されたテレビジョン放送番組データを送受信するための機能ステップ[1]処理モジュール102が作成され、また、機能ステップ[2]として、(機能ステップ[1]で送受信済みとなる)同日を除く直近1週間に録画されたテレビジョン放送番組データを送受信するための機能ステップ[2]処理モジュール102が作成される。なお、ここでは、(機能ステップ[1],[2]で送受信済みとなる)直近1週間を除く直近1ヶ月に録画されたテレビジョン放送番組データを送受信するための機能ステップ[3]処理モジュール102も作成されているものとする。さらに、残りすべてのテレビジョン放送番組データを送受信するための機能ステップ[N]処理モジュール102等が作成されていても良い。
【0035】
つまり、ユーザA、ユーザBのいずれも、事前の設定操作等を何ら行う必要なく、ユーザAは,出勤時、携帯電話機2をPC1にかざすタッチ操作を行い、機能ステップ[1]の完了を報知する1回目の音や光、メッセージの出力後、携帯電話機2をPC1から離すセパレート操作を行えば良く、ユーザBは,外出前の空き時間に、携帯電話機2をPC1にかざすタッチ操作を行い、機能ステップ[2]の完了を報知する2回目の音や光、メッセージが出力されたら、携帯電話機2をPC1から離すセパレート操作を行えば良いこととなる。
【0036】
即ち、デバイス同士を近づけたり離したりといった直感的な操作のみによって、処理の進行(実行)を制御することが実現される。
【0037】
なお、PC1上で録画されたテレビジョン放送番組データを携帯電話機2に取り込む当該第1応用例では、各機能ステップの完了毎の報知は、持ち出し・クライアント2である携帯電話機2側で実施することが好ましい。
【0038】
また、ここでは、録画日時を基準として、テレビジョン放送番組データを段階的に送受信する例を示したが、これに限らず、例えば、データサイズを基準として、データサイズの小さい順に、テレビジョン放送番組データを段階的に送受信することもできる。より具体的には、例えば、30分間までのテレビジョン放送番組データを携帯電話機2に取り込みたいユーザや、1時間までのテレビジョン放送番組データを携帯電話機2に取り込みたいユーザが、それぞれ、デバイス同士を近づけたり離したりといった直感的な操作のみによって、所期の目的通りに、テレビジョン放送番組データを携帯電話機2に取り込むこと等を可能とする。
【0039】
(第2応用例)
次に、図6および図7を参照して、第2応用例について説明する。
【0040】
この第2応用例においては、PC1には、例えばインターネット経由で音楽データを入手して管理するコンテンツ管理機能を有しているものとする。また、携帯電話機2は、音声データを含む各種コンテンツを再生するコンテンツ再生ソフトウェアを有しているものとする。つまり、ユーザは、PC1上で管理された音楽データを携帯電話機2に取り込むことで、当該音楽データを携帯電話機2によって視聴することができる状況下にあるものとする。そこで、この第2応用例では、携帯電話機2をPC1にかざすタッチ操作を行うことで音楽データの取り込みを実行することのできる近接無線通信システムが構築されているものとする。図6および図7では、音楽データを管理しているPC1をコンテンツ・サーバ1、音楽データを取り込む携帯電話機2を持ち出し・クライアント2と表記している。
【0041】
あるユーザ(ユーザC)は、PC1上でどのような音楽データが管理されているかを把握し切れておらず、まず、どのような音楽データが存在するのかを確認し、その上で、所望の音楽データを選択して携帯電話機2に取り込みたいと考えている。また、あるユーザ(ユーザD)は、PC1から携帯電話機2に取り込む音楽データを既に決めている。
【0042】
そこで、この第2応用例においては、機能ステップ[1]として、PC1上で管理されている音楽データの一覧(コンテンツ情報)を取得/更新するための機能ステップ[1]処理モジュール102が作成され、また、機能ステップ[2]として、リストアップされた音楽データを送受信するための機能ステップ[2]処理モジュール102が作成されるものとする。
【0043】
ユーザCは、図6に示すように、携帯電話機2をPC1にかざすタッチ操作を行い、機能ステップ[1]の完了を報知する1回目の音や光、メッセージの出力後、携帯電話機2をPC1から離すセパレート操作を行う。これにより、コンテンツ情報の取得/更新のみを行い、後続のコンテンツの取得に進んでしまうことを適切なタイミングで停止させることができる。
【0044】
一方、ユーザDは、取得済みのコンテンツ情報から取り込みたい音楽データをリストアップしてから、図7に示すように、携帯電話機2をPC1にかざすタッチ操作を行う。なお、図6においてコンテンツ情報を取得/更新し、取り込みたい音楽データをリストアップしたユーザCも、このユーザDと同一視することができる。
【0045】
タッチ操作が行われると、まず、機能ステップ[1]が開始され、コンテンツ情報の取得/更新が行われる。この機能ステップ[1]が完了すると、機能ステップ[1]の完了を報知する1回目の音や光、メッセージが出力されるが、ユーザDは、セパレート操作を行わず、デバイス同士の近接状態を維持する。そうすると、所定のインターバル(時間tm)が経過した時点で機能ステップ[2]が開始され、リストアップされた音楽データの送受信が実行される。そして、ユーザDは、機能ステップ[2]の完了を報知する2回目の音や光、メッセージが出力された際に、携帯電話機2をPC1から離すセパレート操作を行えば良い。
【0046】
即ち、デバイス同士を近づけたり離したりといった直感的な操作のみによって、処理の進行(実行)を制御することが実現される。
【0047】
なお、前述の第1応用例と同様、PC1上で管理された音楽データを携帯電話機2に取り込む当該第2応用例でも、各機能ステップの完了毎の報知は、持ち出し・クライアント2である携帯電話機2側で実施することが好ましい。
【0048】
ところで、ユーザCは、まず、図6に示すように、携帯電話機2をPC1にかざすタッチ操作を行った後、機能ステップ[1]の完了を報知する1回目の音や光、メッセージの出力時に、携帯電話機2をPC1から離すセパレート操作を行うことで、コンテンツ情報の取得/更新を実行する。そして、ユーザCは、取り込みたい音楽データをリストアップした上で、再度、図7に示すように、携帯電話機2をPC1にかざすタッチ操作を行った後、(機能ステップ[1]の完了を報知する1回目の音や光、メッセージの出力を経て)機能ステップ[2]の完了を報知する2回目の音や光、メッセージの出力時に、携帯電話機2をPC1から離すセパレート操作を行うことで、リストアップされた音楽データの送受信を実行する。
【0049】
つまり、コンテンツ情報の取得/更新を実行した後、取り込みたい音楽データのリストアップを速やかに行い、当該リストアップした音楽データの送受信を実行する場合であっても、ユーザCは、機能ステップ[1]を2回実行することになる。
【0050】
そこで、このような事情を考慮して、デバイス同士の近接状態が解除されてから一定期間内に近接状態に復帰した場合には後続の機能ステップに着手するようにした、当該第2応用例の変形例を図8を参照して説明する。
【0051】
図8に示すように、ユーザCは、まず、携帯電話機2をPC1にかざす1回目のタッチ操作を行う(図8のa1)。これにより、機能ステップ[1]であるコンテンツ情報の取得/更新が開始される。そして、当該機能ステップ[1]の完了を報知する1回目の音や光、メッセージが出力され、コンテンツ情報の取得/更新が完了したことを知ったユーザCは、取り込みたい音楽データをリストアップするために、携帯電話機2をPC1から離す1回目のセパレート操作を行う(図8のa2)。
【0052】
ユーザCは、一定期間内に、取り込みたい音楽データをリストアップし、携帯電話機2をPC1にかざす2回目のタッチ操作を行う(図8のa3)。デバイス同士の近接状態の解除期間が一定時間内であった場合、機能ステップ[1]の完了後、所定のインターバル(時間tm)経過した時点で、機能ステップ[2]が開始される。即ち、ユーザCは、機能ステップ[1]に続けて、機能ステップ[2]であるリストアップされた音楽データの送受信を実行させることができる。
【0053】
以上のように、実施形態の情報処理装置によれば、デバイス同士を近づけたり離したりといった直感的な操作のみによって、複数の工程(機能ステップ)からなる一連の処理の進行(実行)を制御することを実現する。
【0054】
なお、これまでの説明では、デバイス間で何らかのデータ送受信を伴う処理を段階的に行う例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、複数の機能ステップを時系列に沿ってシーケンシャルに実行するデバイスAの動作制御をデバイスBを使って行うことなどにも適用することができる。より具体的には、デバイスAに対してデバイスBを近づけたり離したりすることで、デバイスAにおける複数の工程(機能ステップ)からなる一連の処理の進行(実行)を制御することなどにも適用することができる。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1…パーソナルコンピュータ(PC)、2…携帯電話機、11…システム制御部、11a…CPU、12…RAM、13…ROM、14…近接検出部、15…無線通信デバイス、15a,25a…アンテナ(カプラ)、100…近接無線通信アプリケーションプログラム、101…制御モジュール、102…機能ステップ処理モジュール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近接無線通信を実行する通信モジュールと、
前記通信モジュールとの間で近接無線通信を実行可能な外部デバイスが近接状態にあるか否かを検出する検出手段と、
前記検出手段による近接状態の検出および当該近接状態の解除の検出に応じて、複数の工程からなる一連の処理の実行を制御する制御手段と、
を具備する情報処理装置。
【請求項2】
前記複数の工程中の連続する2つの工程間には、それぞれ所定のインターバル期間が予め定義され、
前記制御手段は、前記検出手段によって近接状態が検出されたことを契機に、前記一連の処理の実行を先頭の工程から開始し、いずれかの工程の完了後、前記所定のインターバル期間が経過するまでの間に、前記検出手段によって当該近接状態の解除が検出された場合には、後続の工程に着手することなく、前記一連の処理の実行を終了する、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記検出手段によって近接状態の解除が検出された後、所定の時間内に再び近接状態が検出された場合には、前記一連の処理の実行を継続する請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、各工程が完了する毎に、その旨を報知する報知手段を有する請求項1記載の情報処理装置。
【請求項5】
スピーカを具備し、
前記制御手段は、前記スピーカを介して各工程の完了を報知する
請求項4記載の情報処理装置。
【請求項6】
表示装置を具備し、
前記制御手段は、前記表示装置を介して各工程の完了を報知する
請求項4記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記一連の処理は、前記外部デバイスとの間でデータを送信または受信するための処理である請求項1記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記一連の処理は、サイズの小さい順にデータが送信または受信されるように前記複数の工程それぞれが構成されて配列される請求項7記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記一連の処理は、作成日時または更新日時の新しい順にデータが送信または受信されるように前記複数の工程それぞれが構成されて配列される請求項7記載の情報処理装置。
【請求項10】
通信モジュールによって実行される近接無線通信が用いられる複数の工程からなる一連の処理の実行を制御する情報処理装置の制御方法であって、
前記通信モジュールとの間で近接無線通信を実行可能な外部デバイスが近接状態にあるか否かを検出し、
前記近接状態の検出および当該近接状態の解除の検出に応じて、前記一連の処理の実行を制御する、
制御方法。
【請求項11】
前記複数の工程中の連続する2つの工程間には、それぞれ所定のインターバル期間が予め定義され、
前記一連の処理の実行を制御することは、前記近接状態が検出されたことを契機に、前記一連の処理の実行を先頭の工程から開始し、いずれかの工程の完了後、前記所定のインターバル期間が経過するまでの間に、前記検出手段によって当該近接状態の解除が検出された場合には、後続の工程に着手することなく、前記一連の処理の実行を終了する、
請求項10記載の制御方法。
【請求項12】
前記一連の処理の実行を制御することは、前記近接状態の解除が検出された後、所定の時間内に再び近接状態が検出された場合には、前記一連の処理の実行を継続する請求項11記載の制御方法。
【請求項13】
前記一連の処理の実行を制御することは、各工程が完了する毎に、その旨を報知する請求項10記載の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−85064(P2012−85064A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228958(P2010−228958)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】