説明

情報処理装置および情報入力方法

【課題】 多機能、高機能な機器の操作誤りが多く発生している。本発明はこのような問題に鑑み、誤った操作であっても所望の正しい操作が行われるようにすることにより操作誤りを低減することを目的とする。
【解決手段】 ある機能の実行に続けてこれを取り消したときは、この入力に対応して実行されるべき他の機能を特定するとともにこの機能を割当機能として記憶し、以降この入力があったときであって、その指示が誤った操作指示であると判断される場合には割当機能の方を実行するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが操作する情報処理装置に関し、特に操作指示に関する情報の入力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今のPC(Personal Computer)や携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)などは多機能、高機能になりつつある。処理できる操作が増えるということは、これにともなってキー操作等も多岐に及ぶこととなり、所望の機能ではない操作をしてしまうという操作誤りが発生し易くなっている。
【0003】
操作誤りを低減するため、たとえばユーザの操作を正しい操作手順と比較し、操作誤りと判断した場合に警告するというマンマシンインターフェース装置が提案されている(特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開平6−59846号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多機能、高機能な機器の操作誤りが多く発生している。本発明はこのような問題に鑑み、誤った操作であっても所望の正しい操作が行われるようにすることにより操作誤りを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にかかる情報処理装置とすれば、入力された第1の入力に割り当てられた第1の機能が操作誤りか否かを判断する入力判断手段と、第1の機能とは別の第2の機能を、第1の入力の割当機能として割り当てる機能割当手段と、第1の入力の情報と前記割当機能の情報を記憶する割当機能記憶手段と、第1の入力に対し前記割当機能記憶手段に記憶された割当機能を実行する割当機能実行手段と、前記割当機能実行手段が実行した機能を取り消す旨の指示があった場合、実行結果を取り消す機能取消手段を具備し、前記機能割当手段は、前記機能取消手段が第1の機能の実行結果を取り消した後、次に入力された第2の入力に割り当てられた第2の機能を、第1の入力の割当機能として割り当てるとともに、当該情報を前記割当機能記憶手段に記憶し、前記入力判断手段で操作誤りと判断された場合、前記割当機能実行手段は第1の機能の代わりに前記割当機能を実行することを特徴とする情報処理装置が提供される。
【0006】
また本発明にかかる情報入力方法は、ある情報を情報機器に入力する方法であって、第1の入力がされたことを受けて、あらかじめ第1の入力に割り当てられた第1の機能を実行した場合、第1の機能の実行に続けて当該機能を取り消す旨の入力がされたときは、前記機能の実行結果を取り消すとともに、第1の入力に対応して実行されるべき第2の機能を求め、この第2の機能を第1の入力があったときに実行する割当機能として記憶し、以降第1の入力があったとき、実行すべき機能が第1の機能と異なる誤った操作指示であると判断される場合には、第1の機能の代わりに第2の機能を実行することを特徴とする。
【0007】
さらに本発明にかかる情報入力方法は、ある情報を情報機器に入力する方法であって、第1の入力がされたことを受けて、あらかじめ第1の入力に割り当てられた第1の機能を実行した場合、第1の機能の実行に続けて当該機能を取り消す旨の入力がされたときは、前記機能の実行結果が取り消される度に、第1の入力に対応して実行されるべき第2の機能を求め、この第2の機能を第1の入力があったときに実行する割当機能として複数記憶し、以降第1の入力があったとき、複数記憶された割当機能のうちの1つを実行し、さらに続けて第1の入力がされ、かつ前記割当機能が複数記憶されている場合には、先に実行した割当機能を取り消すとともに次の割当機能を順に実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の効果として、操作誤りを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態にかかる情報処理システムの一例を示す図である。図1には、CPU100、メインメモリ101、バスコントローラ102、HDD103、入出力コントローラ104、キーボード105およびディスプレイ106が示されている。
【0010】
CPU100は、情報処理システム全体の処理を司る中央演算処理装置(Central Processing Unit)である。このCPU用に設計されたプログラムコードを与えることで所定の処理を実行させることができる。
【0011】
メインメモリ101は、揮発性の半導体メモリから構成され、CPU100がプログラムを処理する際のコードや一時的に処理データを記憶する目的で利用される。揮発性のため、このメモリへの電源供給が停止すると記憶した情報は消去される。システムがスタンバイモードにあるときは電源が供給され続け、擬似的に不揮発メモリのように扱う場合もある。
【0012】
バスコントローラ102は、CPU100と、メインメモリ101などの他のコンポーネントとの間の情報伝達を制御する機能を有する。このようなコンポーネント間の共通の情報伝達手段をバスと呼ぶ。
【0013】
HDD103は、磁気ディスク装置(Hard Disk Drive)から構成され、比較的高速に入出力可能で大容量の情報を記憶することができる記憶装置である。情報処理システムが処理するアプリケーションや処理に必要なデータが記憶、格納されており、適宜メインメモリ101読み出してCPU100が実行する。
【0014】
入出力コントローラ104は、HDD103、光ディスクドライブ104およびその他の入出力装置との間のデータ授受を制御する機能を有する。入出力装置から受信した入力情報は、バスコントローラ102を介してCPU100に伝達される。逆にCPU100から各入出力装置への指示およびデータはバスコントローラ102を介して入出力コントローラ106に伝達され、各入出力装置が処理する。
【0015】
キーボード105は、ユーザが情報処理システムに指示をする際に使用されるキーボードである。
【0016】
ディスプレイ106は、情報処理システムが出力する画面や情報を表示する機能を有する。ユーザは表示された画面を見ながら、その時々の所望の操作をするためにキーボード105を打鍵する。
【0017】
図2は、本実施形態にかかる情報処理システムの機能ブロック図の一例を示す図である。図2では、入力キー記憶部200、入力キー判断部201、機能割当部202、割当機能記憶部203、割当機能実行部204および機能取消部205が示されている。これらの機能ブロックはHDD103に記憶されたアプリケーションがCPU100によって処理され、必要に応じて情報処理システムに含まれる各コンポーネントとデータのやり取りをすることにより実現される。
【0018】
入力キー記憶部200は、ユーザがキーボード105を打鍵して入力したキー操作を記憶する機能を有する。
【0019】
入力キー判断部201は、ユーザが入力したキー操作が正しいか否かを判断する機能を有する。判断に際しては、あらかじめ想定した一連のキー操作の流れや以前に行ったキー操作の内容を考慮する方法が考えられる。
【0020】
機能割当部202は、ユーザが入力したキーに、そのキーが本来割り当てられている機能以外の機能を割り当てる機能を有する。機能割当部202により機能が割り当てられると、そのキーが打鍵されたときあたかも後から割り当てた機能のキーが打鍵されたように機能する。ここでいう入力キーは打鍵した1つのキーの情報でも良いし、複数のキーの組み合わせ、あるいは所定の順に複数のキーを打鍵する操作の情報も含んでも良い。
【0021】
割当機能記憶部203は、あるキーに対し機能割当部202が割り当てた機能を記憶しておき、必要に応じて読み出せる機能を有する。これらの情報はHDD103内あるいはメインメモリ101上に記憶される。
【0022】
割当機能実行部204は、入力キー判断部201による判断結果と割当機能記憶部203に記憶された割当情報に基づいて、ユーザが打鍵したキーに対応する機能を実行する。
【0023】
機能取消部205は、割当機能実行部204が実行した操作を取り消して、情報処理システムをその処理の実行前の状態に復帰させる機能を有する。
【0024】
図3は、本実施形態にかかるキー操作の処理フローの一例を示す図である。
【0025】
キーボード105が打鍵されると、入力キー記憶部200はその情報を第1のキー情報として記憶する(ステップS01)。
【0026】
次に、第1のキー情報のキー操作がユーザの操作誤りか否かを判定する(ステップS02)。操作誤りか否かは、たとえば次のように判定できる。一つは以前ユーザがなしたキー操作が直後にユーザ自身に取り消された場合が考えられる。このときは、ユーザ自身が誤った操作をしたと認識してその操作を取り消した可能性が高いからである。具体的には、入力した文字を直後にバックスペースキーを押して削除した場合や、Ctrl+Xを押して切り取り操作をした直後にCtrl+Zを押してキャンセルした場合などである。ユーザにキャンセルされた回数を記録しておくなど取り消す頻度も考慮して操作誤りか否かを判定するようにしても良い。
【0027】
もう一つは、あらかじめ処理順序が決まっている場合に、それとはおよそ関係のない操作が行われた場合が考えられる。たとえばアプリケーションを起動中に更新したデータの保存先のファイルを選択し、その後の保存操作をするはずがアプリケーションの終了操作を指示されたような場合である。具体的には、終了操作をするとたいていは確認のためのダイアログが表示されるが、そこで終了操作をキャンセルするような場合が考えられる。
【0028】
ステップS02で正しい操作であると判定されると(No)、第1のキー情報に本来割り当てられているキー情報をアプリケーションに渡し本来の機能を実行する(ステップS03)。
【0029】
一方、ステップS02で操作誤りであると判定されると(Yes)、アプリケーションは機能割当部202で割り当てられた本来の機能とは別の機能を実行する(ステップS04)。
【0030】
次に、直前に実行した処理が取り消されたか否かを判定する(ステップS05)。ユーザにより取り消されなければ(No)、その機能の処理がユーザの所望の処理であると判断できるため一連の処理フローを終了する。
【0031】
一方、直前に実行した処理取り消された場合(Yes)、その次に指示された第2のキーの機能が、ユーザが所望していた機能であるとみなしこれを第1のキーの割当機能として記憶する(ステップS06)。
【0032】
次にアプリケーションは第2のキーの機能を実行(ステップS07)して一連の処理フローを終了する。
【0033】
このように構成すると、誤ったキー操作をしてもユーザの意図する正しい操作がされるようになり、結果的に操作誤りを低減することができる。
【0034】
(第2の実施形態)
図1は、本実施形態にかかる情報処理システムの一例を示す図である。各コンポーネントの説明は第1の実施形態の場合と同様である。
【0035】
また、図2は、本実施形態にかかる情報処理システムの機能ブロック図の一例を示す図である。これについても第1の実施形態の場合と同様である。
【0036】
図4は、本実施形態にかかるキー操作の処理フローの一例を示す図である。
【0037】
キーボード105が打鍵されると、入力キー記憶部200はその情報を第1のキー情報として記憶する(ステップS10)。
【0038】
次に、第1のキー情報のキー操作がユーザの操作誤りか否かを判定する(ステップS11)。操作誤りか否かは、たとえば次のように判定できる。一つは以前ユーザがなしたキー操作が直後にユーザ自身に取り消された場合が考えられる。このときは、ユーザ自身が誤った操作をしたと認識してその操作を取り消した可能性が高いからである。具体的には、入力した文字を直後にバックスペースキーを押して削除した場合や、Ctrl+Xを押して切り取り操作をした直後にCtrl+Zを押してキャンセルした場合などである。
【0039】
もう一つは、あらかじめ処理順序が決まっている場合に、それとはおよそ関係のない操作が行われた場合が考えられる。たとえばアプリケーションを起動中に更新したデータの保存先のファイルを選択し、その後の保存操作をするはずがアプリケーションの終了操作を指示されたような場合である。具体的には、終了操作をするとたいていは確認のためのダイアログが表示されるが、そこで終了操作をキャンセルするような場合が考えられる。
【0040】
ステップS11で正しい操作であると判定されると(No)、第1のキー情報に本来割り当てられているキー情報をアプリケーションに渡し本来の機能を実行する(ステップS12)。
【0041】
一方、ステップS11で操作誤りであると判定されると(Yes)、アプリケーションは機能割当部202で割り当てられた本来の機能とは別の機能を実行する(ステップS13)。このとき、割当機能記憶部203には第1のキー情報に対し複数の割当機能が記憶できるようになっている。さらに記憶しているそれぞれの割当機能に優先順位が付与されている。複数の割当機能が記憶されている場合、ステップS11ではそのうちの最も優先順位の高い割当機能を実行するように構成されている。ここでいう優先順位は、たとえば割当られた日付順、割当機能として選択された回数などを考慮して順位付けられる。また、複数の割当機能の中に第1のキー操作に本来割り当てられている機能を含めても良い。この場合にはステップS11で操作誤りと判定されても、従来の機能も選択候補として含めることができる。
【0042】
次に、第1のキー操作の直後、ユーザが再び第1のキー操作をしたか否かを判定する(ステップS14)。第1のキー操作がされた場合(Yes)、アプリケーションは第1のキー操作として直前に実行した機能の処理を取り消し(ステップS18)、第1のキー情報に割り当てられた次に優先順位の高い割当機能を実行する(ステップS19)。実行後はステップS14に戻り再び第1のキー操作がされたか否かを判定する。
【0043】
このように構成すると、すでに割り当てられた複数の割当機能をユーザの意思で選択して実行することができる。
【0044】
次に、直前に実行した処理が取り消されたか否かを判定する(ステップS15)。ユーザにより取り消されなければ(No)、その機能の処理がユーザの所望の処理であると判断できるため一連の処理フローを終了する。
【0045】
一方、直前に実行した処理取り消された場合(Yes)、その次に指示された第2のキーの機能が、ユーザが所望していた機能であるとみなしこれを第1のキーの割当機能として記憶する(ステップS16)。
【0046】
次にアプリケーションは第2のキーの機能を実行(ステップS17)して一連の処理フローを終了する。
【0047】
このように構成すると、誤ったキー操作をしてもユーザの意図する正しい操作がされるようになり、結果的に操作誤りを低減することができる。
【0048】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】第1の実施形態にかかる情報処理システムの一例を示す図である。
【図2】第1の実施形態にかかる情報処理システムの機能ブロック図の一例を示す図である。
【図3】第1の実施形態にかかるキー操作の処理フローの一例を示す図である。
【図4】第2の実施形態にかかるキー操作の処理フローの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
100・・・CPU、101・・・メインメモリ、102・・・バスコントローラ、103・・・HDD、104・・・入出力コントローラ、105・・・キーボード、106・・・ディスプレイ、200・・・キー入力記憶部、201・・・入力キー判断部、202・・・機能割当部、203・・・割当機能記憶部、204・・・割当機能実行部、205・・・機能取消部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された第1の入力に割り当てられた第1の機能が操作誤りか否かを判断する入力判断手段と、
第1の機能とは別の第2の機能を、第1の入力の割当機能として割り当てる機能割当手段と、
第1の入力の情報と前記割当機能の情報を記憶する割当機能記憶手段と、
第1の入力に対し前記割当機能記憶手段に記憶された割当機能を実行する割当機能実行手段と、
前記割当機能実行手段が実行した機能を取り消す旨の指示があった場合、実行結果を取り消す機能取消手段と
を具備し、
前記機能割当手段は、前記機能取消手段が第1の機能の実行結果を取り消した後、次に入力された第2の入力に割り当てられた第2の機能を、第1の入力の割当機能として割り当てるとともに、当該情報を前記割当機能記憶手段に記憶し、
前記入力判断手段で操作誤りと判断された場合、前記割当機能実行手段は第1の機能の代わりに前記割当機能を実行する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記入力判断手段が操作誤りと判断する入力は、少なくとも前記機能取消手段が取り消したことがある実行結果に対応する機能が割り当てられた入力であることを特徴とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
ある情報を情報機器に入力する方法であって、
第1の入力がされたことを受けて、あらかじめ第1の入力に割り当てられた第1の機能を実行した場合、
第1の機能の実行に続けて当該機能を取り消す旨の入力がされたときは、
前記機能の実行結果を取り消すとともに、第1の入力に対応して実行されるべき第2の機能を求め、この第2の機能を第1の入力があったときに実行する割当機能として記憶し、
以降第1の入力があったとき、実行すべき機能が第1の機能と異なる誤った操作指示であると判断される場合には、第1の機能の代わりに第2の機能を実行する
ことを特徴とする情報入力方法。
【請求項4】
前記第1の機能を取り消す旨の入力があったとき、それに続いて情報機器に入力された情報に割り当てられている機能を、前記第2の機能とすることを特徴とする請求項3に記載の情報入力方法。
【請求項5】
誤った操作指示であると判断される操作指示は、少なくとも取り消す旨の入力により取り消したことがある前記第1の機能に対応する入力の操作指示であることを特徴とする、請求項3に記載の情報入力方法。
【請求項6】
ある情報を情報機器に入力する方法であって、
第1の入力がされたことを受けて、あらかじめ第1の入力に割り当てられた第1の機能を実行した場合、
第1の機能の実行に続けて当該機能を取り消す旨の入力がされたときは、
前記機能の実行結果が取り消される度に、第1の入力に対応して実行されるべき第2の機能を求め、この第2の機能を第1の入力があったときに実行する割当機能として複数記憶し、
以降第1の入力があったとき、複数記憶された割当機能のうちの1つを実行し、さらに続けて第1の入力がされ、かつ前記割当機能が複数記憶されている場合には、先に実行した割当機能を取り消すとともに次の割当機能を順に実行する
ことを特徴とする情報入力方法。
【請求項7】
割当機能は優先順位を持ち、この優先順位に基づいて次ぎに実行される機能が選択されることを特徴とする請求項6に記載の情報入力方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate