説明

情報処理装置および情報処理装置のホルダ操作方法

【課題】温度を調整する電気部品の交換の際に電気部品を収容したホルダが2つに分かれている場合にこれらの取り出しを1つの取り出し口から行えるようにした情報処理装置および情報処理装置のホルダ操作方法を得ること。
【解決手段】第2のホルダ13は第1のホルダ12の収容位置と筐体11の開口部の間の移動経路と共通の移動経路を有する。第2のホルダ13が開口部の方向に移動すると第1のホルダ12がこれに後押しされる形で移動し、回転部材14に固定されて筐体11の上方に退避し、第2のホルダ13を筐体11の外に排出後、元の位置に戻る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置に内蔵されているホルダを一時的に外部に取り出して、このホルダに収容されている電気部品の交換や修理、点検を行って元の位置に戻す場合に好適な情報処理装置および情報処理装置のホルダ操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信機器やサーバ等の情報処理装置は小型化、高性能化が進んでおり、装置の体積当たりの発熱量が増大している。このため、情報処理装置によっては冷却ファンで内部を空冷する必要性が高まっている。冷却ファンは他の電子部品と同様に故障の可能性が皆無ではない。情報処理装置によっては冷却ファンが故障したときであっても、装置を作動させた状態で冷却ファンの交換を行う場合がある。
【0003】
図14は、本発明の第1の関連技術による冷却ファンの冗長構成を示したものである。この第1の関連技術では、情報処理装置の筐体1001の内部における一方の側部に配置された1個のホルダ102に複数個の冷却ファン1011、1012が配置されている。したがって、第1の関連技術では、冷却ファン1011、1012のいずれか1つでも故障した場合には、矢印103で示すように情報処理装置の筐体1001の前面からホルダ102を引き出して冷却ファン1011、1012のうちの故障したものを交換する。
【0004】
図14に示した例では、冷却ファン1011、1012が1個のホルダ102内に固定されている。このため、冷却ファン1011、1012のうちの一部が故障した場合であってもホルダ102ごとに冷却ファン1011、1012の全部が取り出される。
【0005】
一般に冷却ファン101の取り外しから新たな冷却ファンの装着までに最低でも数分を要する。したがって、冷却ファンの交換作業中に放熱のための風量確保が必須となるが、第1の関連技術ではこれが不可能になる。すなわち、冷却ファン1011、1012のうちの故障したものが交換され、ホルダ102が筐体1001に装着されるまでの間に筐体1001内部の温度が上昇し、情報処理装置の運用に異常が生じる危険性がある。
【0006】
図15は、本発明の第2の関連技術による冷却ファンの冗長構成を示したものである。この第2の関連技術では、情報処理装置の筐体1002の内部における一方の側部の手前側と奥側とにそれぞれ1個ずつのホルダ1121、1122を配置しており、それぞれに冷却ファン1111、1112を収容している。
【0007】
したがって、たとえば冷却ファン1111が故障したときには、これを固定したホルダ1121のみを矢印103で示すように情報処理装置の筐体1002の前面側から引き出す。そして、ホルダ1121内の冷却ファン1111を交換する。このとき、他方のホルダ1122は情報処理装置の筐体1002内に存置される。したがって、この場合には冷却ファン1111の交換が終了するまで、冷却ファン1112が最低限の冷却を行うことができる。
【0008】
冷却ファン1112の方が故障したときには、この冷却ファン1112を収容したホルダ1122のみを矢印113で示すように情報処理装置の筐体1002の後側から引き出すことになる。このときホルダ1121は情報処理装置の筐体1001内に存置される。したがって、この場合には冷却ファン1112の交換が終了するまで、冷却ファン1111が最低限の冷却を行うことができる。
【0009】
図16は、本発明の第3の関連技術による冷却ファンの冗長構成を示したものである。この第3の関連技術では、情報処理装置の筐体1003の両方の側部にそれぞれ1個ずつのホルダ1221、1222を配置している。一方のホルダ1221には冷却ファン12111、12112を収容している。他方のホルダ1222には冷却ファン12121、12122を収容している。
【0010】
この第3の関連技術で、一方のホルダ1221の冷却ファン12111、12112のいずれかあるいは双方が故障したとする。この場合には、冷却ファン12111、12112を収容したホルダ1221のみを矢印1031で示すように情報処理装置の筐体1003の前面側から引き出して冷却ファン12111、12112の該当するものを交換する。このとき、他方のホルダ1222は情報処理装置の筐体1003内に存置される。したがって、冷却ファン12111、12112の該当するものの交換が終了するまで、冷却ファン12121、12122が筐体1003内部の最低限の冷却を行うことができる。
【0011】
同様に第3の関連技術で、他方のホルダ1222の冷却ファン12121、12122のいずれかあるいは双方が故障したとする。この場合には、冷却ファン12121、12122を収容したホルダ1222のみを矢印1032で示すように情報処理装置の筐体1003の前面から引き出して冷却ファン12121、12122の該当するものを交換する。このとき、前記した一方のホルダ1221は情報処理装置の筐体1003内に存置される。したがって、冷却ファン12121、12122の該当するものの交換が終了するまで、冷却ファン12111、12112が筐体1003内部の最低限の冷却を行うことができる。
【0012】
サーバ等の情報処理装置の多くは、障害の発生のしにくさや、障害発生時の修復速度の迅速さといった可用性(availability)が特に求められている。このため、障害による交換の可能性が皆無ではない冷却ファンは、これらの一部が故障した際にも交換が完了するまで冷却ファンによる放熱のための風量確保が必須となる。この意味で、第2および第3の関連技術では、冷却ファンについて冗長構成をとっており、故障した冷却ファンの交換作業時にも最低限の風量を確保することができる。実際の運用では冷却ファンの交換作業は手順ごとに逐次異常の有無の確認を行いながら行う。
【0013】
このように第2および第3の関連技術は、第1の関連技術を採用した情報処理装置と異なり、冷却ファンの交換作業時に最低限の風量を確保できるものの、次のような問題があった。
【0014】
まず、第2の関連技術の場合には、冷却ファン1111、1112の交換時に2個のホルダ1121、1122の引き出し方向が、矢印103、113で示すように筐体1002の前面側からと背面側の2方向となる。このため情報処理装置の設置の自由度が低下する。近年は情報処理装置の設置密度が高まっており、前面側あるいは背面側からの引き出し操作しかできない場合も多い。したがって、設置の自由度の低下は情報処理装置の導入に大きな障害となる。
【0015】
第3の関連技術の場合には、2個のホルダ1221、1222を同一方向から引き出すことができる。しかしながら、第3の関連技術では筐体1003の左右に1個ずつのホルダ1221、1222を配置している。このため、仮に2個のホルダ1221、1222の体積の合計が第2の関連技術による2個のホルダ1121、1122の体積の合計と等しいものとすると、個々の冷却ファン12111、12112、12121、12122の回転軸方向の長さは冷却ファン1111、1112の対応する長さの半分となる。
【0016】
一般に、冷却ファンを筐体の片側だけに設置してプルで使用する場合と、幅が2分の1の冷却ファン2個を筐体の両側に設置してプッシュプルで使用した場合を比較すると、後者の風量の方が小さくなる。また、両者の風量を等しくするには後者の冷却ファン2個により大きな電力を供給する必要がある。したがって、第3の関連技術を使用すると、通常運用時の冷却効率が低下するという問題がある。
【0017】
そこで、以上のような問題を解決するために筐体の開口部に対して一回り小さいサイズのスリーブを設け、このスリーブの内部に出し入れ自在に冷却ファンのホルダを配置することが、第4の関連技術として提案されている(たとえば特許文献1参照)。この第4の関連技術では、複数個の冷却ファンを収容したホルダを筐体から引き出す方向に引っ張ると、スリーブが手前に引き出され、また、このスリーブから脱落しない範囲でホルダが引き出される。
【0018】
ホルダ内にはそれぞれの冷却ファンがユニットとして各セルに個別に収容されており、スリーブからホルダを限界位置まで引き出した状態でこれらのユニットの中で交換の対象とする任意のユニットを上方に持ち上げるようにして引き抜くことができる。これにより、故障した冷却ファンを交換することができる。この交換作業中も他の冷却ファンを動作させることができ、スリーブの存在により筐体内部の空冷は通常通り行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2009−117629号公報(第0043段落〜第0046段落、図3、図4、図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
この第4の関連技術では、スリーブからホルダを限界位置まで引き出したとき、ホルダ内ではそれぞれの冷却ファンのユニットの取り出し口が上方に開放するような構造となっている。冷却ファンの各ユニットには、その上部に2つの透孔が開けられている。作業者は、透孔に指を差し込んで該当するユニットを取り出すことになる。
【0021】
このように第4の関連技術ではホルダを筐体の外の所望の位置に取り出すことができない。このため冷却ファンのユニットとして2つの透孔を備えた特別のものを用意する必要があり、コストが高くなるという問題があった。また、ユニットに設けられた2つの透孔に指を差し込んだとき指が冷却ファンの羽根の部分に接触してはならない。このため、透孔の開けられた部位を冷却ファン本体からある程度間隔を置いて配置する必要がある。この結果、第4の関連技術を用いた場合には冷却ファンを収容する筐体自体が大型化するか、冷却ファンとして小さなサイズのものしか使用することができないという問題があった。
【0022】
以上、空冷用の冷却ファンを取り付けた情報処理装置についてその交換の際の問題を説明した。ペルチェ素子を使用して同様の冷却を行う場合や加熱素子を使用して温度を一定に加熱する情報処理装置についても、これらの電気部品をホルダに収容し、必要に応じて交換する場合に同様の問題が発生する。
【0023】
そこで本発明の目的は、温度を調整する電気部品の交換の際に電気部品を収容したホルダが2つに分かれている場合にこれらの取り出しを1つの取り出し口から行えるようにした情報処理装置および情報処理装置のホルダ操作方法を提供することにある。
【0024】
本発明の他の目的は、装置に対するホルダの設置の自由度を確保したまま、交換作業による筐体内の温度変化を十分抑制することができる情報処理装置および情報処理装置のホルダ操作方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明では、(イ)直方体を構成する6面のうちの上面、底面および互いに対向する2つの側面を除いた特定の1面に開口部を設けた筐体と、(ロ)前記した筐体内部の第1の収容位置に配置され、この第1の収容位置と前記した開口部を結ぶ第1の移動経路を往復動自在とされた所定の電気部品を保持する第1のホルダと、(ハ)前記した筐体内部で前記した第1の移動経路を含み、かつ前記した第1の収容位置よりも前記した開口部から見たとき奥側に位置する第2の収容位置に配置され、この第2の収容位置と前記した開口部を結ぶ第2の移動経路を往復動自在とされた所定の電気部品を保持する第2のホルダと、(ニ)前記した開口部の上端部の特定点を回転中心として前記した2つの側面のうちの一方の側面としての特定側面と平行な面内で、その全体を前記した筐体内部に収容される第1の回転位置から90度以上の所定の角度まで回転したとき到達する第2の回転位置まで回動自在とされた回転部材と、(ホ)この回転部材が第1の回転位置に静止している状態で前記した第1のホルダがその第1の収容位置から前記した開口部を通過途中の所定位置まで移動したとき、この第1のホルダを前記した回転部材に固定する第1のホルダ・回転部材間固定手段と、(へ)この第1のホルダ・回転部材間固定手段による第1のホルダと前記した回転部材との固定を所定の条件で解除する固定解除手段とを情報処理装置が具備する。
【0026】
また、本発明では、(イ) 直方体を構成する6面のうちの上面、底面および互いに対向する2つの側面を除いた特定の1面に開口部を設けた筐体内部の第1の収容位置に配置され、この第1の収容位置と前記した開口部を結ぶ第1の移動経路を往復動自在とされた所定の電気部品を保持する第1のホルダと、前記した第1の収容位置よりも前記した開口部から見たとき奥側に位置する第2の収容位置に配置され、この第2の収容位置と前記した開口部を結ぶ第2の移動経路を往復動自在とされた所定の電気部品を保持する第2のホルダのうちの第2のホルダに取り付けられている取っ手を用いて前記した開口部へとこの第2のホルダを引き出す第2のホルダ引き出しステップと、(ロ)この第2のホルダ引き出しステップで第2のホルダが第1のホルダを背後から押しながら前記した開口部へ向かって移動することで、第1のホルダが前記した第1の収容位置から前記した開口部を通過途中の所定位置まで移動したとき、前記した開口部の上端部の特定点を回転中心として前記した2つの側面のうちの一方の側面としての特定側面と平行な面内で、その全体を前記した筐体内部に収容される第1の回転位置から90度以上の所定の角度まで回転したとき到達する第2の回転位置まで回動自在とされた回転部材が第1の回転位置に静止している状態で、この第1のホルダを前記した回転部材に固定する第1のホルダ・回転部材間固定ステップと、(ハ)この第1のホルダ・回転部材間固定ステップで固定した状態で、前記した取っ手を用いて前記した開口部へとこの第2のホルダを引き出す動作が継続したとき、これによる第1のホルダを背後から押す力で前記した回転部材を回転させ、これに固定された第1のホルダを前記した開口部を通過させた後に前記した筐体の上部に回転移動させることで開口部を解放させる開口部開放ステップと、(ニ)前記した取っ手を用いて第2のホルダを引き出す動作が継続したとき、この開口部開放ステップで開口した前記した開口部を第2のホルダが通過して筐体の外に排出される第2のホルダ排出ステップと、(ホ)この第2のホルダ排出ステップで第2のホルダが前記した筐体の外部に排出され、これにより第1のホルダを背後から押す力がなくなったとき、第1のホルダの自重による前記した回転部材の逆方向の回転によって第1のホルダを前記した第1の収容位置の方向に移動させる第1の収容位置復帰ステップとを情報処理装置のホルダ操作方法が具備する。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように本発明によれば、筐体内での第2のホルダの移動経路が第1のホルダの移動経路を含むようにこれらの配置を行った。このため第1のホルダを単独で筐体外に取り出すことができるだけでなく、第2のホルダを取り出すときに第1のホルダを連動して取り出すことができ、作業時間を短縮することができる。しかも第2のホルダを筐体外に取り出すときに第1のホルダは回転部材に固定されて、第2のホルダから押し出される形で筐体の上方に回転しながら退避する。したがって、第2のホルダを取り出したとき第1のホルダは自重で回転部材を逆回転させて筐体内の元の位置の方向に移動させることができ、双方のホルダが筐体内に存在しない時間を最小限とすることができる。
【0028】
このように本発明によれば、第1のホルダだけでなく第2のホルダも筐体外に取り出すことができるので、筐体から一部引き出した状態で電気部品を交換する場合と比べると、電気部品の形状に特別の制約が生じない。また、一方のホルダを筐体外に取り出した状態で他方のホルダを筐体内に実装することができるので、電気部品の交換だけでなく、短時間の修理や点検にも十分対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の情報処理装置のクレーム対応図である。
【図2】本発明の情報処理装置のホルダ操作方法のクレーム対応図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態による複数の冷却ファンを使用した情報処理装置の要部側面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態による回転板のスライドレールと第1の冷却ファンホルダの関係を具体的に表わした側面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態によるスライドレールと突起の係合状態を示した断面図である。
【図6】第1の実施の形態における第1の冷却ファンホルダを情報処理装置から取り外した状態を示した情報処理装置の要部側面図である。
【図7】図3の状態から第2の冷却ファンホルダを筐体の外部に向けてある程度引き出した状態を表わした情報処理装置の要部側面図である。
【図8】図7の状態から更に第2の冷却ファンホルダが筐体の外部に向けて移動している状態を表わした情報処理装置の要部側面図である。
【図9】第1の実施の形態における第1の冷却ファンを収容した第1の冷却ファンホルダが筐体の元の位置に戻った状態を示した情報処理装置の要部側面図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態として4個の冷却ファンを搭載した情報処理装置を示した要部側面図である。
【図11】図10の状態から第2の冷却ファンホルダを筐体の外部に向けてある程度引き出した状態を表わした情報処理装置の要部側面図である。
【図12】図11の状態から更に第2の冷却ファンホルダが筐体の外部に向けて移動している状態を表わした情報処理装置の要部側面図である。
【図13】第2の実施の形態における第1および第2の冷却ファンを収容した第1の冷却ファンホルダが筐体の元の位置に戻った状態を示した情報処理装置の要部側面図である。
【図14】本発明の第1の関連技術による冷却ファンの冗長構成を示した情報処理装置の要部斜視図である。
【図15】本発明の第2の関連技術による冷却ファンの冗長構成を示した情報処理装置の要部斜視図である。
【図16】本発明の第3の関連技術による冷却ファンの冗長構成を示した情報処理装置の要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明の情報処理装置のクレーム対応図を示したものである。本発明の情報処理装置10は、筐体11と、第1のホルダ12と、第2のホルダ13と、回転部材14と、第1のホルダ・回転部材間固定手段15と、固定解除手段16を備えている。ここで、筐体11は、直方体を構成する6面のうちの上面、底面および互いに対向する2つの側面を除いた特定の1面に開口部を設けたものである。第1のホルダ12は、筐体11内部の第1の収容位置に配置され、この第1の収容位置と前記した開口部を結ぶ第1の移動経路を往復動自在とされた所定の電気部品を保持する。第2のホルダ13は、筐体11内部で前記した第1の移動経路を含み、かつ前記した第1の収容位置よりも前記した開口部から見たとき奥側に位置する第2の収容位置に配置され、この第2の収容位置と前記した開口部を結ぶ第2の移動経路を往復動自在とされた所定の電気部品を保持するものである。回転部材14は、前記した開口部の上端部の特定点を回転中心として前記した2つの側面のうちの一方の側面としての特定側面と平行な面内で、回動する。この回転部材14は、その全体を筐体11内部に収容される第1の回転位置から90度以上の所定の角度まで回転したとき到達する第2の回転位置まで回動自在とされている。第1のホルダ・回転部材間固定手段15は、回転部材14が第1の回転位置に静止している状態で前記した第1のホルダがその第1の収容位置から前記した開口部を通過途中の所定位置まで移動したとき、この第1のホルダを前記した回転部材に固定する。固定解除手段16は、第1のホルダ・回転部材間固定手段15による第1のホルダと前記した回転部材との固定を所定の条件で解除する。
【0031】
図2は、本発明の情報処理装置のホルダ操作方法のクレーム対応図を示したものである。本発明の情報処理装置のホルダ操作方法20は、第2のホルダ引き出しステップ21と、第1のホルダ・回転部材間固定ステップ22と、開口部開放ステップ23と、第2のホルダ排出ステップ24と、第1の収容位置復帰ステップ25を備えている。ここで、第2のホルダ引き出しステップ21では、第2のホルダに取り付けられている取っ手を用いて筐体の開口部へとこの第2のホルダを引き出す。ここで筐体は直方体を構成する6面のうちの上面、底面および互いに対向する2つの側面を除いた特定の1面に開口部を設けた構造となっている。この筐体内には、所定の電気部品を保持する第1のホルダが、第1の収容位置に配置され、この第1の収容位置と前記した開口部を結ぶ第1の移動経路を往復動自在とされている。また、同じく所定の電気部品を保持する第2のホルダが第1の収容位置よりも前記した開口部から見たとき奥側に位置する第2の収容位置に配置されており、この第2の収容位置と前記した開口部を結ぶ第2の移動経路を往復動自在とされている。第1のホルダ・回転部材間固定ステップ22では、この第2のホルダ引き出しステップ21で第2のホルダが第1のホルダを背後から押しながら前記した開口部へ向かって移動することで、第1のホルダが前記した第1の収容位置から前記した開口部を通過途中の所定位置まで移動したとき、この第1のホルダを回転部材に固定する。ここで回転部材は、前記した開口部の上端部の特定点を回転中心として前記した2つの側面のうちの一方の側面としての特定側面と平行な面内で、その全体を前記した筐体内部に収容される第1の回転位置から90度以上の所定の角度まで回転したとき到達する第2の回転位置まで回動自在とされている。開口部開放ステップ23では、第1のホルダ・回転部材間固定ステップ22で固定した状態で、前記した取っ手を用いて前記した開口部へとこの第2のホルダを引き出す動作が継続したとき、これによる第1のホルダを背後から押す力で前記した回転部材を回転させる。そして、回転部材に固定された第1のホルダを前記した開口部を通過させた後に前記した筐体の上部に回転移動させることで開口部を解放させる。第2のホルダ排出ステップ24では、前記した取っ手を用いて第2のホルダを引き出す動作が継続したとき、開口部開放ステップ23で開口した前記した開口部を第2のホルダが通過して筐体の外に排出される。第1の収容位置復帰ステップ25では、第2のホルダ排出ステップ24で第2のホルダが前記した筐体の外部に排出され、これにより第1のホルダを背後から押す力がなくなったとき、第1のホルダの自重による前記した回転部材の逆方向の回転によって第1のホルダを前記した第1の収容位置の方向に移動させる。
【0032】
<発明の第1の実施の形態>
【0033】
次に本発明の第1の実施の形態を説明する。
【0034】
図3は、本発明の第1の実施の形態による複数の冷却ファンを使用した情報処理装置の構成の概要を表わしたものである。本実施の形態の情報処理装置200を構成する筐体(シャーシ)201には、第1および第2の冷却ファン202、203が内蔵されている。筐体201の図で左端部は開口部204を構成している。この開口部204は、第1および第2の冷却ファン202、203の取り出し口となるもので、情報処理装置200の使用状態で前面パネル205を着脱自在に取り付けることができるようになっている。
【0035】
もちろん、情報処理装置200の構成によっては開口部204が装置の背面側となっていてもよい。この後者の場合には、開口部204に図示しない背面パネルを着脱自在に挿着することになる。
【0036】
筐体201を構成する図で手前側の側板201Aの内面側には、回転板206が配置されている。この回転板206は、開口部204の高さよりもわずかに短い長さの半径を有する円板を4分の1に切断した形状となっており、側板201Aにおける開口部204近傍の上部隅に配置された回転軸207によって回動自在となっている。回転板206は、図示しないロック機構によって常時は図3に示した配置状態で静止している。また、開口部204近傍の上部隅は、回転板206が回転軸207を中心に180度近く回転するのに障害とならないように開口している。もちろん、この開口した箇所は、前面パネル205を取り付けた状態で外部からは遮蔽されている。
【0037】
回転板206における筐体201の内部側の面には、1本のスライドレール208が固定されている。前記したロック機構によって回転板206が図3に示した配置状態で静止しているとき、図3に示したようにスライドレール208は、水平になるように配置されている。
【0038】
第1の冷却ファン202は第1の冷却ファンホルダ211によって保持されており、第2の冷却ファン203は第2の冷却ファンホルダ212によって保持されている。第1および第2の冷却ファンホルダ211、212は、それぞれこれらを開口部204から引き出すための第1あるいは第2の取っ手211A、212Aを備えている。第1および第2の取っ手211A、212Aは、開口部204からわずかに突出した位置にこれらの端部を配置している。情報処理装置によっては第1および第2の取っ手211A、212Aが存在せずに、特別の工具を使用して第1および第2の冷却ファンホルダ211、212を筐体201の外部に引き出せるような構成となっていてもよい。
【0039】
図4は、本実施の形態における回転板のスライドレールと第1の冷却ファンホルダの関係を具体的に表わしたものである。回転板206に取り付けられたスライドレール208には、これを往復動自在に移動可能なように突起221が係合している。
【0040】
図5は、スライドレールと突起の係合状態を示したものである。この図ではスライドレール208と突起221の係合箇所を、スライドレール208の長手方向と直交する方向に切断している。スライドレール208は、C字の4隅が直角に折れ曲がった形状の断面構造をしている。突起221は、小径の円柱221Aの両端に大径の円板221Bと中径の円板221Cをこれらの中心軸を一致させて取り付けたような形状の金属部品であり、その中径の円板221Cがスライドレール208の窪み222に遊嵌している。
【0041】
スライドレール208は、その長手方向の全長にわたって窪み222が存在する。そこで突起221を装着した後のスライドレール208は、その両端部の窪み222を図示しない部材で塞いでおり、突起221がこれら両端部から抜け落ちないようにしている。
【0042】
図4に戻って説明を続ける。第1の冷却ファン202を取り付けた第1の冷却ファンホルダ211は、1対のバネ部材223、224と、これら1対のバネ部材223、224によって互いに圧接する方向の力を受ける1対の圧接部材225、226を配置している。1対の圧接部材225、226は、スライドレール208から突出した突起221の円板221B(図5)を挟持している。
【0043】
したがって、第1の冷却ファンホルダ211は、1対の圧接部材225、226によって突起221を挟持した状態で、回転板206上に配置されたスライドレール208を往復動することができる。図4で示した回転板206におけるスライドレール208の左端部には磁石228が取り付けられている。
【0044】
したがって、突起221はスライドレール208の左端部にまで到達すると、この磁石228に吸引される。このため、突起221が磁石228によって吸引された状態で、第1の冷却ファンホルダ211はこの突起221を1対の圧接部材225、226で挟持した位置で回転板206との位置関係を保つことになる。
【0045】
この一方で、第1の冷却ファンホルダ211に磁石228の配置された側と反対方向に移動する力が加わると、第1の冷却ファンホルダ211はスライドレール208に沿ってその方向に移動することができる。また、突起221が磁石228によって吸引された状態であっても、図3における矢印214方向に所定以上の力が第1の冷却ファンホルダ211に加わると、1対の圧接部材225、226が突起221を挟持できなくなる。この場合、第1の冷却ファンホルダ211はスライドレール208に突起221を残した状態で、図3に示す筐体201の外部に取り出されることになる。
【0046】
この第1の実施の形態でこれ以降に示す図は、図面の煩雑さを避けるため、図3に示した図と同様の簡略化されたもので表わすことにし、必要に応じて図4を参照することにする。
【0047】
<第1の冷却ファン202の交換>
【0048】
図3および図4と共に説明したように、第1の冷却ファンホルダ211は、第1の冷却ファン202を保持した状態で、その1対の圧接部材225、226によってスライドレール208に対して往復動自在に係合している。この結果、第1の取っ手211Aを図で矢印214方向に引っ張ると第1の冷却ファンホルダ211は、第2の冷却ファンホルダ212が静止した状態で単独にこの矢印214方向に移動することができる。
【0049】
図6は、第1の冷却ファンホルダを情報処理装置から取り外した状態を示したものである。図4と共に説明する。
【0050】
図3に示した状態から第1の取っ手211Aを図で矢印214方向に更に引っ張ると、第1の冷却ファンホルダ211は、最初はスライドレール208に沿って移動する。そして、図4に示した突起221はスライドレール208の図で左端位置まで到達すると、その移動を阻止される。このとき、作業者が第1の取っ手211Aを矢印214方向にやや強く引っ張ると、図4に示す1対の圧接部材225、226が1対のバネ部材223、224の押圧力に抗して突起221を開放する。これにより第1の冷却ファンホルダ211は、スライドレール208による拘束から開放され矢印214方向に移動して、情報処理装置200の外部に取り出すことができる。
【0051】
この間、第2の冷却ファンホルダ212は筐体201の内部に今までと同様の状態で存置されている。したがって、第1の冷却ファンホルダ211に取り付けられた第1の冷却ファン202の交換を行っている間、第2の冷却ファン203は冷却動作を継続することができる。
【0052】
第1の冷却ファン202の交換が終了したら、作業者は第1の冷却ファンホルダ211を開口部204から筐体201に差し込んで、矢印214方向と反対方向に押し込めばよい。
【0053】
すると、まず第1の冷却ファンホルダ211に取り付けられた1対の圧接部材225、226がスライドレール208の左端部に配置されている磁石228に吸引されている突起221に突き当たる。このとき、作業者がやや強い力で第1の冷却ファンホルダ211を筐体201の内部方向に押し付けると、1対の圧接部材225、226が1対のバネ部材223、224の押圧力に抗してこれらの隙間を開き、突起221を挟持する。そして、これ以後は第1の冷却ファンホルダ211がスライドレール208によって案内されて、図3に示すそのホームポジションに戻ることになる。
【0054】
第1の冷却ファン202を駆動する図示しない電源コードのコネクタは、第1の冷却ファンホルダ211が図3に示す位置に戻された時点で情報処理装置200側の図示しないコネクタと接続される。したがって、この時点から第1の冷却ファン202の回転も開始する。
【0055】
もちろん、情報処理装置によっては、第1の冷却ファンホルダ211を情報処理装置200の外部に取り出した状態で一緒に電源コードが引き出されるようになっていてもよい。この後者の場合には、コネクタを接続し、第1の冷却ファン202の回転を開始させた状態で第1の冷却ファンホルダ211を図3に示した位置に戻すことができる。したがって、この後に図3に示した前面パネル205を取り付ければ、第1の冷却ファン202の交換の作業が完全に終了する。
【0056】
<第2の冷却ファン203の交換>
【0057】
次に、本実施の形態で第2の冷却ファン203の交換を行う場合を説明する。この場合、作業者は図3に示した第2の取っ手212Aを矢印214方向に引っ張るだけで第2の冷却ファンホルダ212を筐体201から引き出して第2の冷却ファン203の交換作業を行うことができる。これを次に詳しく説明する。
【0058】
図7は、図3の状態から第2の冷却ファンホルダを筐体の外部に向けてある程度引き出した状態を表わしたものである。作業者が第2の取っ手212Aを矢印214方向に引っ張ると、第2の冷却ファンホルダ212が第1の冷却ファンホルダ211を後ろから押す形で第1の冷却ファンホルダ211も矢印214方向に移動する。このとき、第1の冷却ファンホルダ211はスライドレール208と係合しており、このスライドレール208に沿って矢印214方向に移動することになる。
【0059】
既に説明したように第1の冷却ファンホルダ211が図7に示す位置まで移動すると、突起221がスライドレール208の左端位置まで移動している。これにより、突起221は磁石228によって吸引されている。この状態で作業者が第2の取っ手212Aを矢印214方向にゆるやかに引っ張ったとする。すると、1対の圧接部材225、226が突起221を挟持した状態で第1の冷却ファンホルダ211の後端部が第2の冷却ファンホルダ212の前端部によって押される。
【0060】
図8は、図7の状態から更に第2の冷却ファンホルダが筐体の外部に向けて移動している状態を表わしたものである。図4と共に説明する。
【0061】
作業者が第2の取っ手212Aを矢印214方向になおも引っ張ると、第2の冷却ファンホルダ212および第1の冷却ファンホルダ211を介してこの力が回転板206に加わる。これにより、回転板206は回転軸207を中心に矢印229方向に回転を開始する。
【0062】
回転板206が回転すると、スライドレール208は水平位置から傾斜する。しかしながら、第1の冷却ファンホルダ211の1対の圧接部材225、226は、突起221の円板221Bを挟持しており、突起221は磁石228によってその位置を固定されている。このため、第1の冷却ファンホルダ211は回転板206に固定された状態で回転板206と共に回転する。この結果、第1の冷却ファンホルダ211は筐体201の上部方向に移動していって、開口部204が第2の冷却ファンホルダ212の排出のために次第に大きく開口していく。
【0063】
なお、図では第2の冷却ファンホルダ212の形状を簡略化して描いている。このため、第2の冷却ファンホルダ212のわずかな移動で開口部204が大きく回転するようになるが、実際には第2の冷却ファンホルダ212の形状の工夫によってその水平方向の移動量当たりの第1の冷却ファンホルダ211の回転角を適宜調整することができる。後の第2の実施の形態についても同様である。
【0064】
このようにして、第1の冷却ファンホルダ211がその回転開始位置から180度近くまで回転すると、扇形の形状をした回転板206における図3で上を向いて水平に配置されていた端面が、下を向いてほぼ水平に配置される。このとき、図3に示した開口部204が矢印214方向に十分開放されることになり、第2の冷却ファンホルダ212がこの開口部204から筐体201の外に引き出される。
【0065】
すると、今まで下から突き上げる状態で存在していた第2の冷却ファンホルダ212が第1の冷却ファンホルダ211の下からなくなる。この結果、第1の冷却ファンホルダ211は自重によって回転板206と共に矢印229方向と逆方向に回転を開始する。そして、回転板206が図3に示した回転前の配置状態に戻ると共に、その遠心力によって磁石228に吸引されていた突起221がこの吸引力から解放される。これ以後、第1の冷却ファンホルダ211はスライドレール208に沿って矢印214方向と反対方向に移動して、筐体201内の元の位置に自動的に戻ることになる。
【0066】
もし何らかの原因で筐体201内の元の位置に戻る前に第1の冷却ファンホルダ211の移動が停止するようなことがあれば、作業者がこれを手で押せばよい。また、第1の冷却ファンホルダ211が矢印229方向に回転するときに、たとえばスプリングを用いてこれに抗する力を蓄えておき、第1の冷却ファンホルダ211が元に戻るときの、その力を補助するようにしてもよい。
【0067】
図9は、第1の冷却ファンを収容した第1の冷却ファンホルダが筐体の元の位置に戻った状態を示したものである。第1の冷却ファンホルダ211および第1の冷却ファン202は、きわめて短時間だけ筐体201の外部に退避したことになり、第1の冷却ファン202が筐体201内で再び空冷を開始することになる。また、第2の冷却ファンホルダ212は第1の冷却ファンホルダ211が筐体201外に退避する直前まで筐体201内に存在し、第2の冷却ファン203が故障によって完全に回転を停止していない限りは空冷を行っている。したがって、第1の冷却ファンホルダ211が筐体201外に退避を開始してから元の位置に戻るまで、筐体201内の温度上昇は事実上無視することができる。
【0068】
一方、作業者は、第2の冷却ファンホルダ212を筐体201から完全に引き出した後、第2の冷却ファン203の交換を行う。第2の冷却ファン203の交換が終了したら、作業者は第1の取っ手211Aを矢印214方向に引っ張って筐体201内から第1の冷却ファンホルダ211を引き出し、次に矢印229方向にほぼ180度回転させて筐体201上部に退避させるように下から手で支える。
【0069】
この退避状態で作業者は第2の冷却ファンホルダ212を筐体201内に少しだけ押し込む。これにより、第2の冷却ファン203による筐体201内の換気が再開することになる。次に作業者は筐体201上部に退避させた状態の第1の冷却ファンホルダ211から手を放す。すると、第1の冷却ファンホルダ211は自重で矢印229方向と逆方向に回転を開始し、第2の冷却ファンホルダ212を筐体201内に押し込んでいく。必要に応じて作業者がスライドレール208に沿って第1の冷却ファンホルダ211を筐体201内に押し込むことで、第1の冷却ファンホルダ211と第2の冷却ファンホルダ212が共に図3に示す元の位置に戻る。このとき、第1の冷却ファン202も筐体201内で冷却動作を再開することになる。この後に図3に示した前面パネル205を取り付ければ、第2の冷却ファン203の交換の作業が完全に終了する。
【0070】
もちろん、作業者によっては第1の冷却ファンホルダ211を筐体201上部に退避させた状態で静止させ、この状態で開口部204から第2の冷却ファンホルダ212を押し込んでこれを筐体201内の元の位置に戻し、続いて第1の冷却ファンホルダ211を元の位置に戻すようにしてもよい。このようにしても第1の冷却ファンホルダ211と第2の冷却ファンホルダ212が共に筐体201内で空冷を行わない時間は、事実上無視することができる。
【0071】
以上説明したように本発明の第1の実施の形態によれば、図3に示した情報処理装置200の開口部204を筐体201の前面または背面のうちの一方に配置することで、その前面または背面のうちの所望の面からの操作のみで冷却ファン202、203を交換することができる。すなわち、図14あるいは図16に示した第1あるいは第3の関連技術の利点を実現し、情報処理装置200の自由度を高めることができる。
【0072】
しかも本実施の形態によれば、図15に示した第2の関連技術による冷却ファン交換の際に片方の冷却ファンが装置内に留まり冷却を続行できるという利点も実質的に満足することができる。もちろん、図16に示した第3の関連技術による冷却ファンの体積増加あるいは通常運用時の冷却効率が低下するという問題を解決することができる。しかも本実施の形態による機構は単純であり、作業時間の短縮によって機構の追加による軽微なコスト上昇を実質的に抑えることができる。
【0073】
<本発明の第2の実施の形態>
【0074】
以上説明した第1の実施の形態では1個の冷却ファンホルダ当たり1個の冷却ファンが収容されている場合について説明した。本発明は1個の冷却ファンホルダ当たり複数個の冷却ファンが収容されるものであってもよい。
【0075】
図10は、本発明の第2の実施の形態として4個の冷却ファンを搭載した情報処理装置を示したものである。この第2の実施の形態の情報処理装置200Aを構成する筐体201Aの図で左端部は開口部204Aを構成している。開口部204Aには前面パネル205Aが着脱自在に取り付けられるようになっている。筐体201Aの図で手前側の側板201AAの内面側には、回転板206Aが配置されている。この回転板206Aは、開口部204Aの高さよりもわずかに短い長さの半径を有する円板を4分の1に切断した形状となっており、側板201AAにおける開口部204A近傍の上部隅に配置された回転軸207Aによって回動自在となっている。回転板206Aは、図示しないロック機構によって常時は図10に示した配置状態で静止している。
【0076】
筐体201A内には第1の冷却ファンホルダ2111と第2の冷却ファンホルダ2112がそれぞれの予め定めた位置に配置される。ただし、筐体201A内における第2の冷却ファンホルダ2112の移動経路は、第1の冷却ファンホルダ2111の移動経路の全部を含むようになっている。簡単に言えば、第2の冷却ファンホルダ2112は、第1の冷却ファンホルダ2111の移動経路の奥側に配置されている。
【0077】
第1の冷却ファンホルダ2111は第1および第2の冷却ファン2021、2022を保持している。第2の冷却ファンホルダ2112は、第3および第4の冷却ファン2023、2024を保持している。この第2の実施の形態でも1本のスライドレール208Aが存在するが、これは回転板206Aに固定されているのではなく、第1の冷却ファンホルダ2111に固定されている。また、スライドレール208Aは、第2の冷却ファン2022の位置から第2の冷却ファンホルダ2112の方向に所定長だけ突出している。
【0078】
スライドレール208Aは、第1の実施の形態におけるスライドレール208とその断面構造は同一であるが、その両端部は開放されている。また、スライドレール208Aの窪み222(図5参照)に嵌合する突起221(図5参照)はスライドレール208Aの延長線上における回転板206Aの所定位置に固設されている。スライドレール208Aは、前記したロック機構によって回転板206Aが図10に示した配置状態で静止しているとき、水平に配置されている。
【0079】
第1および第2の冷却ファンホルダ2111、2121は、それぞれこれらを開口部204Aから引き出すための第1あるいは第2の取っ手2111A、2121Aを備えている。第1および第2の取っ手2111A、2121Aは、開口部204Aからわずかに突出した位置にこれらの端部を配置している。情報処理装置によっては第1および第2の取っ手2111A、2121Aが存在せずに、特別の工具を使用して第1の冷却ファンホルダ2111および第2の冷却ファンホルダ2121を筐体201Aの外部に引き出せるような構成となっていてもよい。
【0080】
<第1あるいは第2の冷却ファン2021、2022の交換>
【0081】
第1の冷却ファンホルダ2111は、その第1の取っ手2111Aを図で矢印214方向に引っ張ると、第2の冷却ファンホルダ2121が静止した状態で単独に矢印214方向に移動することができる。そして、所定の位置で回転板206Aに取り付けられた突起221(図4参照)がスライドレール208Aに嵌入する。これ以後、第1の冷却ファンホルダ2111は、スライドレール208Aを移動させながら矢印214方向に移動し、スライドレール208Aの図で右端近傍に取り付けられた図示しない磁石によってその移動を停止される。このとき、作業者が第1の取っ手2111Aを矢印214方向にやや強く引っ張ると、スライドレール208Aに取り付けられた磁石は突起221との間の吸着力を振り切って第1の冷却ファンホルダ2111と共に矢印214方向に移動する。これにより第1の冷却ファンホルダ2111を情報処理装置200Aの外部に取り出すことができる。
【0082】
この間、第2の冷却ファンホルダ2121は筐体201Aの内部に今までと同様の状態で存置されている。したがって、第1の冷却ファンホルダ2111に取り付けられた第1あるいは第2の冷却ファン2021、2022の交換を行っている間、第3および第4の冷却ファン2023、2024は冷却動作を継続することができる。
【0083】
第1あるいは第2の冷却ファン2021、2022の交換が終了したら、作業者は第1の冷却ファンホルダ2111を開口部204Aから筐体201Aに差し込んで、矢印214方向と反対方向に押し込めばよい。
【0084】
すると、まず第1の冷却ファンホルダ2111に取り付けられたスライドレール208Aが突起221(図4参照)と遊嵌し、これ以後はスライドレール208Aが突起221に案内される形で矢印214方向と反対方向に移動する。これにより、第1の冷却ファンホルダ2111は図10に示すそのホームポジションに戻る。
【0085】
第1および第2の冷却ファン2021、2022を駆動する図示しない電源コードのコネクタは、第1の冷却ファンホルダ2111が図10に示す位置に戻された時点で情報処理装置200A側の図示しないコネクタと接続される。したがって、この時点から第1および第2の冷却ファン2021、2022の回転も開始する。
【0086】
もちろん、情報処理装置によっては、第1の冷却ファンホルダ2111を情報処理装置200Aの外部に取り出した状態で一緒に電源コードが引き出されるようになっていてもよい。この後者の場合には、コネクタを接続し、第1および第2の冷却ファン2021、2022の回転を開始させた状態で第1の冷却ファンホルダ2111を図10に示した位置に戻すことができる。したがって、この後に図10に示した前面パネル205Aを取り付ければ、第1あるいは第2の冷却ファン2021、2022の交換の作業が完全に終了する。
【0087】
<第3あるいは第4の冷却ファン2023、2024の交換>
【0088】
次に、この第2の実施の形態で第3あるいは第4の冷却ファン2023、2024の交換を行う場合を説明する。この場合、作業者は図10に示した第2の取っ手2121Aを矢印214方向に引っ張るだけで第2の冷却ファンホルダ2121を筐体201Aから引き出して第3あるいは第4の冷却ファン2023、2024の交換作業を行うことができる。これを次に詳しく説明する。
【0089】
図11は、図10の状態から第2の冷却ファンホルダを筐体の外部に向けてある程度引き出した状態を表わしたものである。作業者が第2の取っ手2121Aを矢印214方向に引っ張ると、第2の冷却ファンホルダ2121が第1の冷却ファンホルダ2111を後ろから押す形で第1の冷却ファンホルダ2111も矢印214方向に移動する。第1の冷却ファンホルダ2111が所定の箇所まで移動すると、そのスライドレール208Aが突起221(図4参照)と嵌合する。そして、第1の冷却ファンホルダ2111が移動するのに応じて、突起221がスライドレール208Aの左端から右端方向に移動することになる。
【0090】
既に説明したように第1の冷却ファンホルダ2111が図11に示す位置まで移動すると、図4に示した突起221がスライドレール208Aの左端位置まで移動している。このとき、突起221は磁石228(図4参照)によって吸引されている。この状態で作業者が第2の取っ手2121Aを矢印214方向にゆるやかに引っ張ったとする。すると、スライドレール208Aが突起221との位置関係を固定した状態で、第1の冷却ファンホルダ2111の後端部が第2の冷却ファンホルダ2121の前端部によって押される。
【0091】
図12は、図11の状態から更に第2の冷却ファンホルダが筐体の外部に向けて移動している状態を表わしたものである。図4と共に説明する。
【0092】
作業者が第2の取っ手2121Aを矢印214方向になおも引っ張ると、第2の冷却ファンホルダ2121の前端部が第1の冷却ファンホルダ2111の図示しない部位を後押しする。これにより、回転板206Aは回転軸207Aを中心に矢印229方向に回転を開始する。
【0093】
回転板206Aが回転すると、これと固定関係を保ったスライドレール208Aと共に第1の冷却ファンホルダ2111がこれと共に回転する。この結果、第1の冷却ファンホルダ2111は筐体201Aの上部方向に移動していって、開口部204A(図10)が第2の冷却ファンホルダ2121の排出のために次第に大きく開口していく。
【0094】
このようにして、第1の冷却ファンホルダ2111がその回転開始位置から90度近くまで回転すると、図10に示した開口部204Aが矢印214方向に十分開放されることになり、第2の冷却ファンホルダ2121がこの開口部204Aから筐体201Aの外に引き出される。
【0095】
すると、今まで下から突き上げる状態で存在していた第2の冷却ファンホルダ2121が第1の冷却ファンホルダ2111の下からなくなる。この結果、第1の冷却ファンホルダ2111は自重によって回転板206Aと共に矢印229方向と逆方向に回転を開始する。そして、回転板206Aが回転前の配置状態に戻ると共に、その遠心力によって磁石228に吸引されていた突起221がこの吸引力から解放される。これ以後、第1の冷却ファンホルダ2111は突起221がスライドレール208A内を移動する形で矢印214A方向と反対方向に移動して、筐体201A内の元の位置に自動的に戻ることになる。
【0096】
もし何らかの原因で筐体201A内の元の位置に戻る前に第1の冷却ファンホルダ2111の移動が停止するようなことがあれば、作業者がこれを手で押せばよい。また、第1の冷却ファンホルダ2111が矢印229方向に回転するときに、たとえばスプリングを用いてこれに抗する力を蓄えておき、第1の冷却ファンホルダ2111が元に戻るときの、その力を補助するようにしてもよい。
【0097】
図13は、第1および第2の冷却ファンを収容した第1の冷却ファンホルダが筐体の元の位置に戻った状態を示したものである。第1の冷却ファンホルダ2111およびこれに収容された第1および第2の冷却ファン2021、2022は、きわめて短時間だけ筐体201Aの外部に退避したことになり、第1および第2の冷却ファン2021、2022が筐体201A内で再び空冷を開始することになる。また、第2の冷却ファンホルダ2121は第1の冷却ファンホルダ2111が筐体201A外に退避する直前まで筐体201A内に存在し、第3および第4の冷却ファン2023、2024が故障によって完全に回転を停止していない限りは空冷を行っている。したがって、第1の冷却ファンホルダ2111が筐体201A外に退避を開始してから元の位置に戻るまで、筐体201A内の温度上昇は事実上無視することができる。
【0098】
一方、作業者は、第2の冷却ファンホルダ2121を筐体201Aから完全に引き出した後、第3あるいは第4の冷却ファン2023、2024の交換を行う。第3あるいは第4の冷却ファン2023、2024の交換が終了したら、作業者は第1の取っ手2111Aを矢印214方向に引っ張って筐体201A内から第1の冷却ファンホルダ2111を引き出し、次に矢印229方向にほぼ180度回転させて筐体201A上部に退避させるように下から手で支える。
【0099】
この退避状態で作業者は第2の冷却ファンホルダ2121を筐体201A内に押し込む。これにより、第1および第2の冷却ファン2021、2022による筐体201A内の換気が再開することになる。次に作業者は筐体201A上部に退避させた状態の第1の冷却ファンホルダ2111から手を放す。すると、第1の冷却ファンホルダ2111は自重で矢印229方向と逆方向に回転を開始し、第2の冷却ファンホルダ2121を筐体201A内に押し込んでいく。必要に応じて作業者がスライドレール208Aを用いて第1の冷却ファンホルダ2111を筐体201A内に押し込むことで、第1の冷却ファンホルダ2111と第2の冷却ファンホルダ2121が共に図10に示す元の位置に戻る。このとき、第1および第2の冷却ファン2021、2022も筐体201A内で冷却動作を再開することになる。この後に図10に示した前面パネル205Aを取り付ければ、第3あるいは第4の冷却ファン2023、2024の交換の作業が完全に終了する。
【0100】
もちろん、作業者によっては第1の冷却ファンホルダ2111を筐体201A上部に退避させた状態で静止させ、この状態で開口部204Aから第2の冷却ファンホルダ2121を押し込んでこれを筐体201A内の元の位置に戻し、続いて第1の冷却ファンホルダ2111を元の位置に戻すようにしてもよい。このようにしても第1の冷却ファンホルダ2111と第2の冷却ファンホルダ2121が共に筐体201A内で空冷を行わない時間は、事実上無視することができる。
【0101】
以上説明したように本発明の第2の実施の形態によれば、1個の冷却ファンホルダに2個の冷却ファンを収容した場合にも、第1の実施の形態と同様に冷却ファンの交換時における情報処理装置の冷却を確保することができる。したがって、情報処理装置を継続して使用する状態における冷却ファンの交換が可能になる。
【0102】
本発明の第2の実施の形態では1個の冷却ファンホルダに2個の冷却ファンを収容したが、3個の冷却ファンを収容してもよいし、これ以上収容するものであっても構わない。また、冷却ファンホルダは筐体の片側に配置される必要はなく、場合によっては筐体の両側面や内部側に配置されるものであってもよい。
【0103】
また、冷却ファンホルダが複数の冷却ファンを収容する等の理由でその移動方向の長さが長くなる場合には、スライドレールの長さを適宜調整してもよい。また、スライドレールには、スプリング等の機構によって復元力を持たせる構造としてもよい。
【0104】
もちろん、冷却ファンホルダが筐体内部をその底部と平行に移動する部分ではレールを省略することができる。すなわち、開口部の手前側に収容されていた冷却ファンホルダが筐体の開口部の近くまで移動したとき、回転板の所定位置の保持部材に保持されて、回転版の回転と共に開口部から退避する機構が実現すればよい。もちろん、開口部の手前側に収容されていた冷却ファンホルダはこれに収容されている冷却ファンを交換する際に、前記した保持部材の保持を解除されて筐体外に移動できることが必要である。
【0105】
更に第1および第2の実施の形態では回転板を、円板を4等分した形状の扇形としたが、これに限定されるものではない。すなわち第2の冷却ファンホルダが筐体から開口部を経て外部に取り出されるとき、第1の冷却ファンホルダに収容された冷却ファンに第2の冷却ファンホルダが邪魔されないように第1の冷却ファンホルダを退避させるための形状となっていればよい。
【0106】
また、以上説明した第1および第2の実施の形態では、図4および図5を用いて回転板に設けられたスライドレールと第1の冷却ファンホルダの関係の具体的な構成を説明したが、これに関しては各種の変形が可能である。たとえば電磁石を使用して回転板と第1の冷却ファンホルダを固定したり、手動による回転板と第1の冷却ファンホルダのラッチ機構を設けてもよい。
【0107】
更に本発明の第1および第2の実施の形態では、冷却ファンの交換について説明したが、点検や簡単な修理を現場で行う場合にも本発明を適用することができる。更に、冷却ファンだけでなくペルチェ素子等の他の温度調整のための電気部品や他の電気部品の交換や修理、保守点検に対しても本発明を同様に適用可能である。
【0108】
以上説明した実施の形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されるが、以下の記載に限定されるものではない。
【0109】
(付記1)
直方体を構成する6面のうちの上面、底面および互いに対向する2つの側面を除いた特定の1面に開口部を設けた筐体と、
前記筐体内部の第1の収容位置に配置され、この第1の収容位置と前記開口部を結ぶ第1の移動経路を往復動自在とされた所定の電気部品を保持する第1のホルダと、
前記筐体内部で前記第1の移動経路を含み、かつ前記第1の収容位置よりも前記開口部から見たとき奥側に位置する第2の収容位置に配置され、この第2の収容位置と前記開口部を結ぶ第2の移動経路を往復動自在とされた所定の電気部品を保持する第2のホルダと、
前記開口部の上端部の特定点を回転中心として前記2つの側面のうちの一方の側面としての特定側面と平行な面内で、その全体を前記筐体内部に収容される第1の回転位置から90度以上の所定の角度まで回転したとき到達する第2の回転位置まで回動自在とされた回転部材と、
この回転部材が第1の回転位置に静止している状態で前記第1のホルダがその第1の収容位置から前記開口部を通過途中の所定位置まで移動したとき、この第1のホルダを前記回転部材に固定する第1のホルダ・回転部材間固定手段と、
この第1のホルダ・回転部材間固定手段による第1のホルダと前記回転部材との固定を所定の条件で解除する固定解除手段とを具備することを特徴とする情報処理装置。
【0110】
(付記2)
前記第1のホルダ・回転部材間固定手段は、前記回転部材上に配置され前記第1の移動経路に沿って前記第1のホルダが移動するときこの移動経路に沿って移動経路と平行に配置されたスライドレールと、このスライドレール上を移動自在に配置された移動案内部材と、前記第1のホルダ側に設けられ前記移動案内部材を予め設定した圧力で挟持する挟持手段と、前記移動案内部材がスライドレールの所定位置に来たときこれを固定する移動案内部材固定手段とを具備することを特徴とする付記1記載の情報処理装置。
【0111】
(付記3)
前記固定解除手段は、前記挟持手段に前記予め設定した圧力以上の圧力を加えることで前記移動案内部材の挟持を解除することを特徴とする付記2記載の情報処理装置。
【0112】
(付記4)
前記第1のホルダ・回転部材間固定手段は、前記第1のホルダがその第1の収容位置から前記開口部を通過途中の所定位置まで移動したとき前記移動案内部材をこの所定位置に固定する磁石であることを特徴とする付記2記載の情報処理装置。
【0113】
(付記5)
前記第1のホルダおよび第2のホルダには、前記電気部品として空冷用の所定数のファンが保持されていることを特徴とする付記1記載の情報処理装置。
【0114】
(付記6)
前記第1のホルダおよび第2のホルダには、それぞれを前記開口部から外部に引き出すための取っ手が取り付けられていることを特徴とする付記1記載の情報処理装置。
【0115】
(付記7)
直方体を構成する6面のうちの上面、底面および互いに対向する2つの側面を除いた特定の1面に開口部を設けた筐体内部の第1の収容位置に配置され、この第1の収容位置と前記開口部を結ぶ第1の移動経路を往復動自在とされた所定の電気部品を保持する第1のホルダと、前記第1の収容位置よりも前記開口部から見たとき奥側に位置する第2の収容位置に配置され、この第2の収容位置と前記開口部を結ぶ第2の移動経路を往復動自在とされた所定の電気部品を保持する第2のホルダのうちの第2のホルダに取り付けられている取っ手を用いて前記開口部へとこの第2のホルダを引き出す第2のホルダ引き出しステップと、
この第2のホルダ引き出しステップで第2のホルダが第1のホルダを背後から押しながら前記開口部へ向かって移動することで、第1のホルダが前記第1の収容位置から前記開口部を通過途中の所定位置まで移動したとき、前記開口部の上端部の特定点を回転中心として前記2つの側面のうちの一方の側面としての特定側面と平行な面内で、その全体を前記筐体内部に収容される第1の回転位置から90度以上の所定の角度まで回転したとき到達する第2の回転位置まで回動自在とされた回転部材が第1の回転位置に静止している状態で、この第1のホルダを前記回転部材に固定する第1のホルダ・回転部材間固定ステップと、
この第1のホルダ・回転部材間固定ステップで固定した状態で、前記取っ手を用いて前記開口部へとこの第2のホルダを引き出す動作が継続したとき、これによる第1のホルダを背後から押す力で前記回転部材を回転させ、これに固定された第1のホルダを前記開口部を通過させた後に前記筐体の上部に回転移動させることで開口部を解放させる開口部開放ステップと、
前記取っ手を用いて第2のホルダを引き出す動作が継続したとき、この開口部開放ステップで開口した前記開口部を第2のホルダが通過して筐体の外に排出される第2のホルダ排出ステップと、
この第2のホルダ排出ステップで第2のホルダが前記筐体の外部に排出され、これにより第1のホルダを背後から押す力がなくなったとき、第1のホルダの自重による前記回転部材の逆方向の回転によって第1のホルダを前記第1の収容位置の方向に移動させる第1の収容位置復帰ステップ
とを具備することを特徴とする情報処理装置のホルダ操作方法。
【0116】
(付記8)
前記第1の収容位置復帰ステップでは、第1のホルダが前記所定位置まで移動したとき、第1のホルダと前記回転部材との固定を解除する固定解除ステップを更に具備することを特徴とする付記7記載の情報処理装置のホルダ操作方法。
【0117】
(付記9)
直方体を構成する6面のうちの上面、底面および互いに対向する2つの側面を除いた特定の1面に開口部を設けた筐体内部の第1の収容位置に配置され、この第1の収容位置と前記開口部を結ぶ第1の移動経路を往復動自在とされた第1のホルダと、前記第1の収容位置よりも前記開口部から見たとき奥側に位置する第2の収容位置に配置され、この第2の収容位置と前記開口部を結ぶ第2の移動経路を往復動自在とされた第2のホルダのうちの第1のホルダに取り付けられている取っ手を用いて前記開口部へとこの第2のホルダを引き出す第1のホルダ引き出しステップを具備することを特徴とする付記7記載の情報処理装置のホルダ操作方法。
【0118】
(付記10)
第1のホルダおよび第2のホルダにはそれぞれ所定数の空冷用のファンが収容されており、これらは前記筐体内で少なくとも通電状態となっていることを特徴とする付記7記載の情報処理装置のホルダ操作方法。
【産業上の利用可能性】
【0119】
以上説明したように本発明はホルダに冷却ファンを収容している場合に好適である点が、これに限るものではない。たとえば各種の電気部品を保持するホルダを備えた情報処理装置および情報処理装置のホルダ操作方法に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0120】
10、200、200A 情報処理装置
11、201、201A 筐体
12 第1のホルダ
13 第2のホルダ
14 回転部材
15 第1のホルダ・回転部材間固定手段
16 固定解除手段
20 情報処理装置のホルダ操作方法
21 第2のホルダ引き出しステップ
22 第1のホルダ・回転部材間固定ステップ
23 開口部開放ステップ
24 第2のホルダ排出ステップ
25 第1の収容位置復帰ステップ
202、2021 第1の冷却ファン
2022、203 第2の冷却ファン
2023 第3の冷却ファン
2024 第4の冷却ファン
206、206A 回転板
207、207A 回転軸
208、208A スライドレール
211、2111 第1の冷却ファンホルダ
211A、2111A 第1の取っ手
212、2121 第2の冷却ファンホルダ
212A、2122A 第2の取っ手
221 突起
223、224 バネ部材
225、226 圧接部材
228 磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体を構成する6面のうちの上面、底面および互いに対向する2つの側面を除いた特定の1面に開口部を設けた筐体と、
前記筐体内部の第1の収容位置に配置され、この第1の収容位置と前記開口部を結ぶ第1の移動経路を往復動自在とされた所定の電気部品を保持する第1のホルダと、
前記筐体内部で前記第1の移動経路を含み、かつ前記第1の収容位置よりも前記開口部から見たとき奥側に位置する第2の収容位置に配置され、この第2の収容位置と前記開口部を結ぶ第2の移動経路を往復動自在とされた所定の電気部品を保持する第2のホルダと、
前記開口部の上端部の特定点を回転中心として前記2つの側面のうちの一方の側面としての特定側面と平行な面内で、その全体を前記筐体内部に収容される第1の回転位置から90度以上の所定の角度まで回転したとき到達する第2の回転位置まで回動自在とされた回転部材と、
この回転部材が第1の回転位置に静止している状態で前記第1のホルダがその第1の収容位置から前記開口部を通過途中の所定位置まで移動したとき、この第1のホルダを前記回転部材に固定する第1のホルダ・回転部材間固定手段と、
この第1のホルダ・回転部材間固定手段による第1のホルダと前記回転部材との固定を所定の条件で解除する固定解除手段とを具備することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第1のホルダ・回転部材間固定手段は、前記回転部材上に配置され前記第1の移動経路に沿って前記第1のホルダが移動するときこの移動経路に沿って移動経路と平行に配置されたスライドレールと、このスライドレール上を移動自在に配置された移動案内部材と、前記第1のホルダ側に設けられ前記移動案内部材を予め設定した圧力で挟持する挟持手段と、前記移動案内部材がスライドレールの所定位置に来たときこれを固定する移動案内部材固定手段とを具備することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記固定解除手段は、前記挟持手段に前記予め設定した圧力以上の圧力を加えることで前記移動案内部材の挟持を解除することを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1のホルダ・回転部材間固定手段は、前記第1のホルダがその第1の収容位置から前記開口部を通過途中の所定位置まで移動したとき前記移動案内部材をこの所定位置に固定する磁石であることを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1のホルダおよび第2のホルダには、前記電気部品として空冷用の所定数のファンが保持されていることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1のホルダおよび第2のホルダには、それぞれを前記開口部から外部に引き出すための取っ手が取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項7】
直方体を構成する6面のうちの上面、底面および互いに対向する2つの側面を除いた特定の1面に開口部を設けた筐体内部の第1の収容位置に配置され、この第1の収容位置と前記開口部を結ぶ第1の移動経路を往復動自在とされた所定の電気部品を保持する第1のホルダと、前記第1の収容位置よりも前記開口部から見たとき奥側に位置する第2の収容位置に配置され、この第2の収容位置と前記開口部を結ぶ第2の移動経路を往復動自在とされた所定の電気部品を保持する第2のホルダのうちの第2のホルダに取り付けられている取っ手を用いて前記開口部へとこの第2のホルダを引き出す第2のホルダ引き出しステップと、
この第2のホルダ引き出しステップで第2のホルダが第1のホルダを背後から押しながら前記開口部へ向かって移動することで、第1のホルダが前記第1の収容位置から前記開口部を通過途中の所定位置まで移動したとき、前記開口部の上端部の特定点を回転中心として前記2つの側面のうちの一方の側面としての特定側面と平行な面内で、その全体を前記筐体内部に収容される第1の回転位置から90度以上の所定の角度まで回転したとき到達する第2の回転位置まで回動自在とされた回転部材が第1の回転位置に静止している状態で、この第1のホルダを前記回転部材に固定する第1のホルダ・回転部材間固定ステップと、
この第1のホルダ・回転部材間固定ステップで固定した状態で、前記取っ手を用いて前記開口部へとこの第2のホルダを引き出す動作が継続したとき、これによる第1のホルダを背後から押す力で前記回転部材を回転させ、これに固定された第1のホルダを前記開口部を通過させた後に前記筐体の上部に回転移動させることで開口部を解放させる開口部開放ステップと、
前記取っ手を用いて第2のホルダを引き出す動作が継続したとき、この開口部開放ステップで開口した前記開口部を第2のホルダが通過して筐体の外に排出される第2のホルダ排出ステップと、
この第2のホルダ排出ステップで第2のホルダが前記筐体の外部に排出され、これにより第1のホルダを背後から押す力がなくなったとき、第1のホルダの自重による前記回転部材の逆方向の回転によって第1のホルダを前記第1の収容位置の方向に移動させる第1の収容位置復帰ステップ
とを具備することを特徴とする情報処理装置のホルダ操作方法。
【請求項8】
前記第1の収容位置復帰ステップでは、第1のホルダが前記所定位置まで移動したとき、第1のホルダと前記回転部材との固定を解除する固定解除ステップを更に具備することを特徴とする請求項7記載の情報処理装置のホルダ操作方法。
【請求項9】
直方体を構成する6面のうちの上面、底面および互いに対向する2つの側面を除いた特定の1面に開口部を設けた筐体内部の第1の収容位置に配置され、この第1の収容位置と前記開口部を結ぶ第1の移動経路を往復動自在とされた第1のホルダと、前記第1の収容位置よりも前記開口部から見たとき奥側に位置する第2の収容位置に配置され、この第2の収容位置と前記開口部を結ぶ第2の移動経路を往復動自在とされた第2のホルダのうちの第1のホルダに取り付けられている取っ手を用いて前記開口部へとこの第2のホルダを引き出す第1のホルダ引き出しステップを具備することを特徴とする請求項7記載の情報処理装置のホルダ操作方法。
【請求項10】
第1のホルダおよび第2のホルダにはそれぞれ所定数の空冷用のファンが収容されており、これらは前記筐体内で少なくとも通電状態となっていることを特徴とする請求項7記載の情報処理装置のホルダ操作方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−222702(P2011−222702A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89537(P2010−89537)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】