説明

情報処理装置および操作部の機能切替方法

【課題】情報処理装置を開閉したときに、カーソルスティック等の操作部に割り当てられている機能を意識することなく、また煩雑な操作を行う必要のない使い勝手の向上が図られた情報処理装置等を提供すること。
【解決手段】PCリモーター10は、開いている状態の時には、第2の筐体200側のカーソルキー40が露出し、第1の筐体100側に、サーバ側の表示を分割表示する表示部30が設けられ、表示部30の近傍にユーザの操作により複数の機能が切替え可能なカーソルスティック20が設けら、自装置の開閉状態の遷移を検知すると、カーソルスティック20に所定の機能を割り当てる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーソルスティック等の操作部の機能を切り替える技術に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理を実際に実行するサーバ側の画面データをネットワーク経由で表示させる情報処理装置としてPCリモーターがある。
【0003】
PCリモーター等のポケットタイプの情報処理装置のなかには第1の筐体と第2の筐体とを備え、第1の筐体は表示画面を有し上下等にスライド可能であり、第2の筐体はキーボード等のキー入力部を有するものがある。
【0004】
PCリモーター等のポケットタイプの情報処理装置は画面サイズが小さいため、サーバ側の全画面を表示できない。そのためサーバ側の画面の一部を切り出して表示している。
【0005】
そのため、PCリモーターの画面表示内容を、第1の筐体の表示画面近傍に設けられた所定の操作部に対するユーザのスクロール操作により、所望の領域、例えば、アプリケーションの画面等を表示させている。
【0006】
ここで、第1の筐体がスライドし、PCリモーターが開いている状態の時には、キーボード等が露出しており、ユーザはキーボード等の操作が可能である。従って、ユーザにとっては、カーソルスティック等の操作部を、カーソル機能以外の機能として利用することが合理的である。
これまでは、このような場合に、わざわざ、ユーザのカーソルスティック等の操作部の機能を切り替える操作が必要であり、煩わしかった。
【0007】
また、PCリモーターが開いている状態から第1の筐体がスライドし、筐体が閉じている状態では、カーソルスティックのみが露出しており、ユーザはキーボード等の操作ができず、カーソルスティック等の操作部のみ操作可能となる。そして、ユーザはキーボード等による細かい操作が不要で、主に表示されたものを閲覧するアプリケーションを使用している場合にこの筐体が閉じている状態に変更して利用することが多く、この際、ユーザにとっては、カーソルスティック等の操作部を、主に表示されたものを閲覧するアプリケーションにおいて一般的な操作体系である上下左右のカーソル機能として利用することが合理的である。
【0008】
関連技術として、フリップ機構を有する携帯電話機において、フリップの開閉状態を検出し、フリップが開いている状態と、閉じている状態では主機能キーが操作された場合に入力される入力機能を各状態で必要な機能に変換することで、キー数を減少させ小型化する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−321839号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の関連技術は、画面サイズが小さいため、サーバ側の全画面を表示できないので必ずサーバ側の画面の一部を切り出して表示する必要がある端末に関するものでない。したがって、その構成から必然的に導かれるカーソルスティック等の操作部の機能について、開いている状態でも、閉じている状態でも、切替操作によっていずれの入力機能も利用できるが、開いている状態あるいは閉じている状態を検出した時に、どの機能を割り当てるかという制御がなされるものではない。
【0010】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、ユーザは、PCリモーター等のポケットタイプの情報処理装置を開閉したときに、カーソルスティック等の操作部に割り当てられている機能を意識することなく、また煩雑な操作を行う必要のない使い勝手の向上が図られた情報処理装置および操作部の機能切替方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の情報処理装置は、第1の筐体と第2の筐体とを備え、該第1の筐体がスライドして自装置が開いている状態の時には、前記第2の筐体側の入力部が露出し、
前記第1の筐体側に、サーバ側の表示を分割表示する表示部が設けられ、該表示部の近傍にユーザの操作により複数の機能が切替え可能な操作部が設けられた情報処理装置であって、
自装置の閉じている状態から開いている状態への遷移を検知すると、前記操作部に所定の機能を割り当てることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の操作部の機能切替方法は、第1の筐体と第2の筐体とを備え、該第1の筐体がスライドして自装置が開いている状態の時には、前記第2の筐体側の入力部が露出し、
前記第1の筐体側に、サーバ側の表示を分割表示する表示部が設けられ、該表示部の近傍にユーザの操作により複数の機能が切替え可能な操作部が設けられた情報処理装置の操作部の機能切替方法であって、
自装置の閉じている状態から開いている状態への遷移を検知するステップと、前記カーソル操作部に所定の機能を割り当てるステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、情報処理装置を開閉したときに、カーソルスティック等の操作部に割り当てられている機能を意識することなく、また煩雑な操作を行う必要のない使い勝手の向上が図られた情報処理装置および操作部の機能切替方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の第一の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施の形態に係る情報処理装置の一例としてのPCリモーターの概観図である。図1に示す本実施の形態におけるPCリモーター10は、第1の筐体100側に、カーソルスティック20と、表示部30とを備え、第2の筐体200側に、カーソルキー40を備えて構成されている。
【0015】
第1の筐体100は上下にスライド可能であり第1の筐体がスライドし、PCリモーター10が開いている状態の時には、第2の筐体200側のキーボード等が露出しており、ユーザはカーソルキー40の操作が可能である。
【0016】
第1の筐体100側に、表示部30の近傍にカーソルスティック20が設けられている。カーソルスティック20には、例えば、以下の2つの機能が割り当てられ、ユーザの操作によって切り替えることができる。
(1)画面表示領域の位置変更キー + ウィンドウフィットキー
(2)カーソルキー + Enterキー
なお、ウィンドウフィットキー機能とは、ウィンドウフィットボタンを押下すると、サーバ側で実行されているアプリケーションのウィンドウを、PCリモーターに表示されている領域内に納めるものである。
【0017】
画面表示領域の位置変更キー機能は、PCリモーター等のポケットタイプの情報処理装置は画面サイズが小さいため、サーバ側の全画面を表示できないのでサーバ側の画面の一部を切り出して表示していることにより必要とされるものであり、画面表示のスクロールによりユーザの所望の領域、例えば、アプリケーションの画面等を表示させる。
【0018】
カーソルキー機能は、PCリモーター10が閉じられている状態では、表示部30には、例えば、TVのHDD録画用の番組予約画面等のカーソル操作および決定操作のみでユーザが利用できるアプリケーションが表示されることを主に想定している。
【0019】
カーソルスティック20の機能について、PCリモーター10が開いている状態でも、閉じている状態でも、ユーザの切替操作によっていずれの入力機能も利用できることであってもよい。
【0020】
図2は、本発明の実施の形態に係るPCリモーター10の機能ブロック図である。図2に示す本実施の形態におけるPCリモーター10は、CPU等からなる制御部11と、所定のテーブル等を有する記憶部12と、開閉検知部13と、機能切替部14とから構成されている。
【0021】
記憶部12は、PCリモーター10の開閉状態に応じて切り替えるカーソルスティック20の機能の一覧データ等を所定のテーブル等に保持している。
【0022】
開閉検知部13は、PCリモーター10の第1の筐体100がスライドして開いている状態であるか、閉じている状態であるかを判定する機能を有している。第1の筐体100の所定の位置に設けられた位置センサ等からの情報に基づいて開閉を判定することであってもよい。
【0023】
機能切替部14は、上記の(1)画面表示領域の位置変更キー + ウィンドウフィットキー、(2)カーソルキー + Enterキーの切替を行う機能を有している。なお、その他の種々の機能が組み合わされてもよく、また、機能をブロックする無機能化を含む。
【0024】
以下に、図3のフローチャートを参照して本実施の形態の閉じている状態から開いている状態へ遷移する場合の処理動作を詳細に説明する。
前提として、PCリモーター10が閉じている状態では、カーソルスティック20の機能は、ユーザの長押し操作等により、(1)画面表示領域の位置変更キー + ウィンドウフィットキーと、(2)カーソルキー + Enterキーとの機能の切替が可能とされている。そして、この(1)および(2)のいずれの機能が設定されている状態であってもよい。
【0025】
まず、PCリモーター10の開閉検知部13は、PCリモーター10の第1の筐体100が、ユーザの操作により、スライドして閉じている状態から開いている状態へ遷移したことを検知する(S301)。
【0026】
次に、機能切替部14は、上記のステップS301でPCリモーター10が開いている状態となった場合、記憶部12の所定のテーブルを参照して(S302)、PCリモーター10の開閉状態に応じて切り替える機能の一覧データに基づいて、PCリモーター10が開いている状態となった場合にカーソルスティック20に割り当てる機能を決定する。ここでは、カーソルスティック20の機能を(1)画面表示領域の位置変更キー + ウィンドウフィットキー、(2)カーソルキー + Enterキーのいずれの機能が選択されている状態であっても、(1)画面表示領域の位置変更 + ウィンドウフィットの機能を自動的に割り当てることとする(S303)。すなわち、PCリモーター10が開状態・閉状態いずれの場合においても、排他的に切り替えることによって複数の機能(2つに限定にされるものではない)が割り当てられる操作ボタンに、PCリモーター10の開状態が検出されると、複数の機能のうちの所定の1つを自動的に割り当てるのである。
【0027】
上記の本実施の形態によれば、PCリモーター10を開いたときに、ユーザは、カーソルスティック等の操作部に割り当てられている機能を意識する必要がない。また機能の切替のためにわざわざスライドさせて遠くなった第1の筐体100に設けられている操作部を操作することに伴う煩雑な操作を行う必要がない。これは手のひらサイズで親指の移動による操作で足りる携帯電話機等とは大きくことなる本装置における使い勝手の向上に大きく寄与することを意味する。
【0028】
以下に、図4のフローチャートを参照して本実施の形態の開いている状態から閉じている状態へ遷移する場合の処理動作を詳細に説明する。
前提として、PCリモーター10が開いている状態では、カーソルスティック20の機能は、複数の機能のうちの所定の1つを自動的に割り当てられていることであってもよい。
【0029】
まず、PCリモーター10の開閉検知部13は、PCリモーター10の第1の筐体100が、ユーザの操作により、スライドして開いている状態から閉じている状態へ遷移したことを検知する(S401)。
【0030】
次に、機能切替部14は、上記のステップS401でPCリモーター10が閉じている状態となった場合、記憶部12の所定のテーブルを参照して(S402)、PCリモーター10の開閉状態に応じて切り替える機能の一覧データに基づいて、PCリモーター10が閉じている状態となった場合にカーソルスティック20に割り当てる機能を決定する。ここでは、カーソルスティック20の機能を、カーソルキー + Enterキーの機能を自動的に割り当てることとする(S403)。すなわち、PCリモーター10が開状態・閉状態いずれの場合においても、排他的に切り替えることによって複数の機能(2つに限定にされるものではない)が割り当てられる操作ボタンに、PCリモーター10の閉状態が検出されると、複数の機能のうちの所定の1つを自動的に割り当てるのである。
【0031】
上記の本実施の形態によれば、PCリモーター10を閉じたときに、ユーザは、カーソルスティック等の操作部に割り当てられている機能を意識する必要がない。PCリモーター10が開いている状態から第1の筐体がスライドし、筐体が閉じている状態では、カーソルスティック20のみが露出しており、ユーザはキーボード等の操作ができず、カーソルスティック20のみ操作可能となる。そして、ユーザはキーボード等による細かい操作が不要で、主に表示されたものを閲覧するアプリケーションを使用している場合にこの筐体が閉じている状態に変更して利用することが多く、この際、ユーザにとっては、カーソルスティック20を、主に表示されたものを閲覧するアプリケーションにおいて一般的な操作体系である上下左右のカーソル機能として利用することができ、本装置における使い勝手の向上に大きく寄与することを意味する。
【0032】
なお、上述する実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更実施が可能である。例えば、PCリモーター10の機能を実現するためのプログラムを装置に読込ませて実行することにより装置の機能を実現する処理を行ってもよい。さらに、そのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であるCD−ROMまたは光磁気ディスクなどを介して、または伝送媒体であるインターネット、電話回線などを介して伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。また、各装置の機能が他の装置によりまとめて実現されたり、追加の装置により機能が分散されて実現される形態も本発明の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態に係るPCリモーターの概観図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るPCリモーターの機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る閉じている状態から開いている状態へ遷移する場合の処理動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態に係る開いている状態から閉じている状態へ遷移する場合の処理動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0034】
10 PCリモーター
20 カーソルスティック
30 表示部
40 カーソルキー
100 第1の筐体
200 第2の筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体と第2の筐体とを備え、該第1の筐体がスライドして自装置が開いている状態の時には、前記第2の筐体側の入力部が露出し、
前記第1の筐体側に、サーバ側の表示を分割表示する表示部が設けられ、該表示部の近傍にユーザの操作により複数の機能が切替え可能な操作部が設けられた情報処理装置であって、
自装置の開閉状態の遷移を検知すると、前記操作部に所定の機能を割り当てることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記操作部への所定の機能の割当ては、記憶部に格納されたテーブルを参照して割り当てる機能を決定することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記操作部への所定の機能の割当ては、閉じている状態から開いている状態への遷移を検知した場合には、画面表示領域の位置変更機能を割り当てることを特徴とする請求項1または2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記操作部への所定の機能の割当ては、開いている状態から閉じている状態への遷移を検知した場合には、カーソルキー機能を割り当てることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
第1の筐体と第2の筐体とを備え、該第1の筐体がスライドして自装置が開いている状態の時には、前記第2の筐体側の入力部が露出し、
前記第1の筐体側に、サーバ側の表示を分割表示する表示部が設けられ、該表示部の近傍にユーザの操作により複数の機能が切替え可能な操作部が設けられた情報処理装置の操作部の機能切替方法であって、
自装置の開閉状態の遷移を検知するステップと、前記カーソル操作部に所定の機能を割り当てるステップとを有することを特徴とする操作部の機能切替方法。
【請求項6】
前記操作部への所定の機能の割当ては、記憶部に格納されたテーブルを参照して割り当てる機能を決定することを特徴とする請求項5記載の操作部の機能切替方法。
【請求項7】
前記操作部への所定の機能の割当ては、閉じている状態から開いている状態への遷移を検知した場合には、画面表示領域の位置変更機能を割り当てることを特徴とする請求項5または6記載の操作部の機能切替方法。
【請求項8】
前記操作部への所定の機能の割当ては、開いている状態から閉じている状態への遷移を検知した場合には、カーソルキー機能を割り当てることを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の操作部の機能切替方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−73068(P2010−73068A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−241740(P2008−241740)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(302069930)NECパーソナルプロダクツ株式会社 (738)
【Fターム(参考)】