説明

情報処理装置および方法、並びにプログラム

【課題】より利便性の高いユーザインタフェースを提供することができるようにする。
【解決手段】サーバ111は、クライアント112とパケットの授受を行い、RTTを計測する。サーバ111は、RTT計測結果に基づいてサーバ111とクライアント112との距離を判定し、その距離がDTCP-IPの制限内であれば、GUIにデジタルコンテンツを埋め込み、その距離がDTCP-IPの制限を越える場合、クライアント112に提供するGUI画像にデジタルコンテンツを埋め込まないようにする。本発明は、例えば、リモートユーザインタフェース機能を実現するシステムの情報処理装置に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および方法、並びにプログラムに関し、特に、より利便性の高いユーザインタフェースを提供することができるようにした情報処理装置および方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サーバにネットワークを介して接続されるクライアントが、サーバを操作するためのGUI(Graphical User Interface)をそのサーバから取得して表示し、そのGUIに基づくユーザ操作を受け付けるリモートユーザインタフェース(Remote UI)という技術があった。クライアントにおいて受け付けられたユーザ操作は、サーバに転送されてサーバにより処理される。つまり、ユーザは、直接サーバを操作するときと同様の方法でクライアントを操作することでサーバを制御することができる。これにより、ユーザは、離れた場所にあるサーバを容易に制御することができる。
【0003】
このような機器を制御するためのGUIに、動画や静止画等のコンテンツをPinP(Picture in Picture)で挿入する場合がある。例えば、サーバがテレビジョン放送番組の受信機能を有している場合、その受信チャンネル制御用のGUIに、現在選局されているチャンネルにて放送中の番組の画像を表示することが考えられる。このような表示にすることにより、ユーザが現在選局されているチャンネルをより容易に把握することができるので、GUIの利便性(操作性)が向上する。
【0004】
ところで、近年においては、情報処理技術の向上とともにデジタルデータのコンテンツ(デジタルコンテンツ)の普及が促進し、テレビジョン放送等においてもコンテンツのデジタル化が急速に進んでいる。デジタルコンテンツの場合、その利用には著作権保護が不可避であり、上述したようなリモートユーザインタフェースでの利用においても例外ではない。
【0005】
デジタルコンテンツの著作権保護技術には様々な方法が提案されている。例えば、IPインタフェースで利用可能なDTCP-IP(Digital Transmission Content Protection over Internet Protocol)がある(例えば特許文献1および特許文献2参照)。
【0006】
このDTCP-IPでは、基本的にインターネットを介したコンテンツ伝送を禁止しており、コンテンツ伝送は、ローカライズな伝送のみに制限されている。例えばRTT(Round Trip Time)やTTL(Time to Live)等によって伝送距離を計測・推定し、RTTが7ms以内、TTLが3以下等、所定の範囲内での伝送のみを許可するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−283691号公報
【特許文献2】特開2007−67905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、リモートユーザインタフェースにはそのような距離的制限は存在しない。例えば、ユーザが出先からクライアントを、インターネットを介して自宅のサーバに接続し、リモートユーザインタフェースを利用してサーバを制御することができるシステムも実現可能である。
【0009】
このように、例えばインターネット等を介して長距離に接続されるクライアントとサーバにおいて、デジタルコンテンツが埋め込まれたGUIを授受しようとすると、著作権保護技術により鍵交換に失敗し、クライアントがサーバからGUIを受け取ることができない恐れがあった。すなわち、ユーザがクライアントを介してサーバを操作することができない恐れがあった。
【0010】
つまり、デジタルコンテンツが埋め込まれたGUIを用いる場合、デジタルコンテンツの著作権保護技術により、リモートユーザインタフェース機能に距離的制限が発生する恐れがあった。この制限により、サーバとクライアントがDTCP-IP等の著作権保護技術においてコンテンツ伝送が許可されない程離れている場合、リモートユーザインタフェース機能を実現できない恐れがあった。
【0011】
本発明は、このような状況に鑑みて提案されたものであり、上述したような距離的制限を越えて利用可能な、より利便性の高いユーザインタフェースを提供することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一側面は、他の情報処理装置から送信されるユーザ指示を受信する第1の受信手段と、前記他の情報処理装置とパケットを送受信することにより、自分自身と前記他の情報処理装置との距離を計測する計測手段と、前記計測手段により計測された距離が所定の著作権保護機能による距離制限より近い場合のみ、自分自身を制御するためのGUIと、前記著作権保護機能により保護されるデジタルコンテンツの画像とを前記他の情報処理装置に送信する送信手段とを備える情報処理装置である。
【0013】
前記送信手段は、前記計測手段により計測された距離が、所定の著作権保護機能による距離制限より遠い場合、自分自身を制御するためのGUIと、予め用意された所定の画像とを前記他の情報処理装置に送信することができる。
【0014】
前記所定の画像は、黒画像であることができる。
【0015】
前記所定の画像は、所定のメッセージが表示されるメッセージ画像であることができる。
【0016】
前記GUIの画像の所定の位置に、前記デジタルコンテンツの画像または前記所定の画像を埋め込む埋め込み手段をさらに備え、前記送信手段は、前記埋め込み手段により前記デジタルコンテンツの画像または前記所定の画像が埋め込まれた前記GUIを前記他の情報処理装置に送信することができる。
【0017】
前記デジタルコンテンツのコードストリームを受信する第2の受信手段と、前記第2の受信手段により受信された前記コードストリームを復号する復号手段と、前記埋め込み手段により前記デジタルコンテンツの画像または前記所定の画像が埋め込まれた前記GUIを符号化する符号化手段とをさらに備え、前記埋め込み手段は、前記GUIの画像の所定の位置に、前記復号手段により前記コードストリームが復号されて得られた前記デジタルコンテンツの画像、または、前記所定の画像を埋め込み、前記送信手段は、前記符号化手段により、前記デジタルコンテンツの画像または前記所定の画像が埋め込まれた前記GUIが符号化されて得られたコードストリームを前記他の情報処理装置に送信することができる。
【0018】
前記計測手段は、前記パケットの往復遅延時間を計測することができる。
【0019】
前記計測手段は、前記パケットの有効期間を計測することができる。
【0020】
本発明の一側面は、また、情報処理装置の受信手段が、他の情報処理装置から送信されるユーザ指示を受信し、前記情報処理装置の計測手段が、前記他の情報処理装置とパケットを送受信することにより、自分自身と前記他の情報処理装置との距離を計測し、前記情報処理装置の送信手段が、計測された距離が所定の著作権保護機能による距離制限より近い場合のみ、自分自身を制御するためのGUIと、前記著作権保護機能により保護されるデジタルコンテンツの画像とを前記他の情報処理装置に送信する情報処理方法である。
【0021】
本発明の一側面は、さらに、コンピュータを、他の情報処理装置から送信されるユーザ指示を受信する第1の受信手段と、前記他の情報処理装置とパケットを送受信することにより、自分自身と前記他の情報処理装置との距離を計測する計測手段と、前記計測手段により計測された距離が所定の著作権保護機能による距離制限より近い場合のみ、自分自身を制御するためのGUIと、前記著作権保護機能により保護されるデジタルコンテンツの画像とを前記他の情報処理装置に送信する送信手段として機能させるためのプログラムである。
【0022】
本発明の他の側面は、他の情報処理装置とパケットを送受信することにより、自分自身と前記他の情報処理装置との距離を計測する計測手段と、前記計測手段により計測された前記距離を示す情報を前記他の情報処理装置に送信する送信手段と、前記他の情報処理装置から送信される前記他の情報処理装置を制御するためのGUIと、前記計測手段により計測された距離が所定の著作権保護機能による距離制限より近い場合にのみ前記他の情報処理装置から送信される、前記著作権保護機能により保護されるデジタルコンテンツの画像とを受信する受信手段と、前記受信手段により受信された前記GUIの画像と前記デジタルコンテンツの画像とを表示する表示手段とを備える情報処理装置である。
【0023】
前記受信手段は、前記計測手段により計測された距離が所定の著作権保護機能による距離制限より遠い場合、前記他の情報処理装置から送信される、前記GUIと、予め用意された所定の画像とを受信することができる。
【0024】
前記所定の画像は、黒画像であることができる。
【0025】
前記所定の画像は、所定のメッセージが表示されるメッセージ画像であることができる。
【0026】
前記受信手段により受信された前記GUIの画像の所定の位置に、前記受信手段により受信された前記デジタルコンテンツの画像または前記所定の画像を埋め込む埋め込み手段をさらに備え、前記表示手段は、前記埋め込み手段により前記デジタルコンテンツの画像または前記所定の画像が埋め込まれた前記GUIの画像を表示することができる。
【0027】
前記計測手段は、前記パケットの往復遅延時間を計測することができる。
【0028】
前記計測手段は、前記パケットの有効期間を計測することができる。
【0029】
本発明の他の側面は、また、情報処理装置の計測手段が、他の情報処理装置とパケットを送受信することにより、自分自身と前記他の情報処理装置との距離を計測し、前記情報処理装置の送信手段が、計測された前記距離を示す情報を前記他の情報処理装置に送信し、前記情報処理装置の受信手段が、前記他の情報処理装置から送信される前記他の情報処理装置を制御するためのGUIと、計測された距離が所定の著作権保護機能による距離制限より近い場合にのみ前記他の情報処理装置から送信される、前記著作権保護機能により保護されるデジタルコンテンツの画像とを受信し、前記情報処理装置の表示手段が、受信された前記GUIの画像と前記デジタルコンテンツの画像とを表示する情報処理方法である。
【0030】
本発明の他の側面は、さらに、コンピュータを、他の情報処理装置とパケットを送受信することにより、自分自身と前記他の情報処理装置との距離を計測する計測手段と、前記計測手段により計測された前記距離を示す情報を前記他の情報処理装置に送信する送信手段と、前記他の情報処理装置から送信される前記他の情報処理装置を制御するためのGUIと、前記計測手段により計測された距離が所定の著作権保護機能による距離制限より近い場合にのみ前記他の情報処理装置から送信される、前記著作権保護機能により保護されるデジタルコンテンツの画像とを受信する受信手段と、前記受信手段により受信された前記GUIの画像と前記デジタルコンテンツの画像とを表示する表示手段として機能させるためのプログラムである。
【0031】
本発明の一側面においては、他の情報処理装置から送信されるユーザ指示が受信され、他の情報処理装置とパケットを送受信することにより、自分自身と他の情報処理装置との距離が計測され、計測された距離が所定の著作権保護機能による距離制限より近い場合のみ、自分自身を制御するためのGUIと、著作権保護機能により保護されるデジタルコンテンツの画像とが他の情報処理装置に送信される。
【0032】
本発明の他の側面においては、他の情報処理装置とパケットを送受信することにより、自分自身と他の情報処理装置との距離が計測され、計測された距離を示す情報が他の情報処理装置に送信され、他の情報処理装置から送信される他の情報処理装置を制御するためのGUIと、計測された距離が所定の著作権保護機能による距離制限より近い場合にのみ他の情報処理装置から送信される、著作権保護機能により保護されるデジタルコンテンツの画像とが受信され、受信されたGUIの画像とデジタルコンテンツの画像とが表示される。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、情報を処理することができる。特に、より利便性の高いユーザインタフェースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明を適用したネットワークシステムの主な構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用したネットワークシステムの設置例を示すブロック図である。
【図3】サーバの構成例を示すブロック図である。
【図4】クライアントの構成例を示すブロック図である。
【図5】リモートユーザインタフェース処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図6】画像表示制御処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図7】モニタに表示されるGUI画像の表示例を示す図である。
【図8】モニタに表示されるGUI画像の他の表示例を示す図である。
【図9】モニタに表示されるGUI画像のさらに他の表示例を示す図である。
【図10】本発明を提供したネットワークシステムの他の構成例を示すブロック図である。
【図11】サーバの他の構成例を示すブロック図である。
【図12】クライアントの他の構成例を示すブロック図である。
【図13】リモートユーザインタフェース処理の流れの他の例を説明するフローチャートである。
【図14】画像表示制御処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図15】本発明を適用したパーソナルコンピュータの主な構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について 説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(ネットワークシステム)
2.第2の実施の形態(ネットワークシステム)
【0036】
<1.第1の実施の形態>
[ネットワークシステムの構成]
図1は、本発明を適用したネットワークシステムの主な構成例を示すブロック図である。
【0037】
図1に示される、ネットワークシステム100は、サーバに接続されたクライアントにおいて、サーバのGUI(Graphical User Interface)の画像を表示し、ユーザ操作を受け付けるリモートユーザインタフェース機能を実現するシステムである。ネットワークシステム100は、サーバ111、クライアント112、およびモニタ113を有する。
【0038】
サーバ111は、所謂セットトップボックス(STB)であり、有線または無線の伝送媒体121を介して伝送される放送波(RF信号)の受信を行う。サーバ111は、その放送波を受信可能な同調回路(チューナ)を有しており、そのチューナにより選局されたチャンネルの放送波を受信して復調し、放送されたデジタルデータのコンテンツ(デジタルコンテンツ)を得る。
【0039】
一般的にこのデジタルコンテンツは所定の方法で符号化されている。サーバ111は、所定の方法で符号化されたコードストリームを復号する復号部(デコーダ)を有しており、そのデコーダを用いて、コードストリームを復号し、ベースバンドのデジタルデータを得る。
【0040】
サーバ111は、得られたベースバンドのデジタルデータを例えば他の装置に供給する。例えば、サーバ111は、得られたベースバンドのデジタルデータを、モニタ等に出力してその画像を表示させる。また、例えば、サーバ111は、得られたベースバンドの画像データを、レコーダに供給して記録媒体に記録させたりする。
【0041】
また、サーバ111は、例えばハードディスクやフラッシュメモリ等の記憶媒体、または、光ディスク等のリムーバブルメディアに対して情報の読み書きを行うドライブを有しており、受信したデジタルコンテンツ(コードストリーム)を記憶する(録画する)。もちろん、サーバ111は、その録画したデジタルコンテンツを記憶媒体より読み出し、再生したり、他の装置に供給したりすることもできる。
【0042】
もちろん、サーバ111が上述した以外の機能をさらに有するようにしてもよい。
【0043】
また、サーバ111は、放送波受信だけでなく、例えばインターネット等で配信されるデジタルコンテンツ(パケット)を受信することができるようにしてもよい。つまり、サーバ111がデジタルコンテンツをどのような入手先から入手するようにしてもよい。
【0044】
クライアント112は、ネットワーク122を介してサーバ111と接続され、サーバ111と通信を行う。また、クライアント112は、有線又は無線の伝送媒体123を介してクライアント112に接続されるモニタ113に画像を供給して表示させる。
【0045】
クライアント112は、サーバ111と連携して動作し、サーバ111のリモートユーザインタフェース機能を実現する。クライアント112は、サーバ111を制御するためのGUIをサーバ111から取得し、その画像をモニタ113に表示させる。
【0046】
クライアント112は、例えばリモートコントローラ124を介してユーザ操作を受け付ける。リモートコントローラ124は、例えばボタンやつまみ等の入力デバイスを有しており、その入力デバイスに対するユーザ操作を受け付ける。
【0047】
リモートコントローラ124は、また、例えば赤外線送信機能を有する。クライアント112も、このリモートコントローラ124が有する赤外線送信機能に対応する赤外線受信機能を有している。リモートコントローラ124は、受け付けたユーザ操作の情報を赤外線信号としてクライアント112に供給する。
【0048】
例えば、サーバ111に放送予定のデジタルコンテンツの記録の設定(所謂、録画予約)を行うためのGUI画像がモニタ113に表示される。ユーザは、そのモニタ113に表示されるこのGUI画像を参照してリモートコントローラ124を操作し、録画予約を行う。この操作は、赤外線信号によってリモートコントローラ124からクライアント112に伝送され、パケット化されてネットワーク122を介してサーバ111に転送される。サーバ111は、そのユーザ操作に基づいて処理を行い、GUI画像の更新や録画に関する設定等の処理を行う。クライアント112は、サーバ111から最新の状態のGUI画像を取得し、モニタ113に表示させる。
【0049】
なお、リモートコントローラ124とクライアント112との間の通信は、どのようなものであってもよく、赤外線通信以外の通信方法であってもよい。リモートコントローラ124およびクライアント112の両方がその通信機能を有していればよい。例えば赤外線信号の代わりに電磁波の無線信号を用いるようにしてもよい。また、無線通信でなく有線通信であってもよい。
【0050】
もちろん、クライアント112、モニタ113、およびリモートコントローラ124が、それぞれ、上述した以外の機能をさらに有するようにしてもよい。例えば、リモートコントローラ124は、キーボードやマウス等の入力デバイスであってもよいし、携帯型ゲーム機、携帯型電話機、PDA(Personal Digital Assistants)、UMPC(Ultra Mobile Personal Computer)、ネットブック、またはノート型パーソナルコンピュータ等の情報処理装置であってもよい。また、例えば、クライアント112も、パーソナルコンピュータ、AVプレーヤ、ハードディスクレコーダ、またはブルーレイレコーダ等のような据置型の情報処理装置であってもよいし、ノート型パーソナルコンピュータ、ネットブック、UMPC、PDA、携帯型電話機、または携帯型ゲーム機等の携帯型の情報処理装置であってもよい。
【0051】
ユーザが、リモートコントローラ124を介さずに、クライアント112を操作するようにしてもよい。また、クライアント112とモニタ113とが一つの装置として形成されるようにしてもよい。
【0052】
以上のように、ネットワークシステム100のユーザは、クライアント112(リモートコントローラ124)を操作して、サーバ111の動作を制御(遠隔操作)することができる。
【0053】
このネットワークシステム100のネットワーク122は、どのようなものであってもよく、例えば、インターネットや公衆電話回線網等であってもよい。また、例えばLAN(Local Area Network)とWAN(Wide Area Network)等のように、複数種類のネットワークにより構成されるようにしてもよい。
【0054】
図2は、本発明を適用したネットワークシステム100の設置例を示すブロック図である。
【0055】
図2の例においては、図1のネットワークシステム100のネットワーク122にインターネット131が含まれる。つまり、サーバ111とクライアント112がインターネット131を介して接続される。
【0056】
一般的にデジタルコンテンツ(特に放送されたり、配信されたりするデジタルコンテンツ)には、DTCP-IP(Digital Transmission Content Protection over Internet Protocol)等の著作権保護技術により保護されている。例えば、DTCP-IPの場合、デジタルコンテンツの伝送は、機器間の往復遅延時間RTT(Round Trip Time)が7mS以内である場合に制限される。また、TTL(Time to Live)は3以下に制限される。
【0057】
従って、図2の例のように各装置が接続される場合において、単純に、リモートユーザインタフェースのGUIにデジタルコンテンツがPinP(Picture in Picture)で表示されるようにすると、DTCP-IPの制限により、デジタルコンテンツの授受に必要な鍵交換に失敗し、クライアント112がサーバ111からGUIを取得できなくなってしまう恐れがある。つまり、リモートユーザインタフェース機能を実現出来なくなる恐れがある。
【0058】
そこで、サーバ111は、そのような不具合が発生しないように、サーバ111とクライアント112との間の距離を計測する。そして、サーバ111は、その距離が所定の閾値(例えばDTCP-IPの制限)を越える場合、クライアント112に提供するGUI画像にデジタルコンテンツを埋め込まないようにする。デジタルコンテンツを削除することによりGUI画像は、DTCP-IPの対象外となるので、クライアント112は、サーバ111から供給される、デジタルコンテンツが埋め込まれていないGUI画像を取得し、モニタ113に表示させることができるようになる。
【0059】
なお、デジタルコンテンツはあくまでもユーザが参照するだけの参考情報であり、ユーザ操作に直接関係するものではない。したがって、このデジタルコンテンツを省略しても、ユーザは、デジタルコンテンツが埋め込まれている状態の時と同様の操作を行うことができる。
【0060】
このようにすることにより、ネットワークシステム100は、デジタルコンテンツの著作権保護を維持しながら、著作権保護機能による距離的制限を受けないリモートユーザインタフェース機能を提供することができる。つまり、ネットワークシステム100は、より利便性の高いユーザインタフェースを提供することができる。
【0061】
[デバイスの構成]
次に、ネットワークシステム100を構成するデバイスの詳細について説明する。図3は、サーバ111の、リモートユーザインタフェースに関する主な構成例を示すブロック図である。
【0062】
図3に示されるように、サーバ111は、制御部201、制御バス210、チューナ211、記憶部212、デコーダ213、OSD(On Screen Display)処理部214、エンコーダ215、およびIP(Internet Protocol)インタフェース216を有する。
【0063】
制御部201は、例えば、演算処理部、制御回路、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)等を有する。制御部201は、各種演算やプログラムの実行等、制御バス210を介して接続されるチューナ211乃至IPインタフェース216の動作の制御に関する処理を行う。
【0064】
制御バス210は、制御部201とチューナ211乃至IPインタフェース216とを接続する伝送路である。制御バス210は、制御部201からチューナ211乃至IPインタフェース216に供給される制御命令やデータ等を伝送したり、チューナ211乃至IPインタフェース216から制御部201に供給される応答情報を伝送したりする。
【0065】
チューナ211は、同調機能や復調機能を有する。チューナ211は、制御部201に制御され、伝送媒体121を介して送信される所定のチャンネルの放送波を受信し、受信した放送波を復調してデジタルコンテンツを取得する。所謂録画を行う場合、チューナ211は、制御部201に制御され、受信したデジタルコンテンツを記憶部212供給する。
【0066】
また、デジタルコンテンツをGUIに埋め込む場合、チューナ211は、制御部201に制御され、受信したデジタルコンテンツをデコーダ213に供給する。
【0067】
記憶部212は、何らかの記憶媒体を有し、各種情報を記憶する。例えば記憶部212は、ハードディスクやフラッシュメモリ等の記憶媒体を有する。また例えば、記憶部212は、光ディスク等のリムーバブルメディアが装着された、そのリムーバブルメディアに対してデータの読み書きが可能なドライブを有する。
【0068】
記憶部212は、制御部201に制御されて、例えばチューナ211より供給されるデジタルコンテンツを記憶媒体に記憶する。この記憶媒体に記憶されたデジタルコンテンツは、他の機会に読み出され、編集が施されたり、他の装置に送信されたり、デコーダ213に供給されて復号されたりする。
【0069】
なお、記憶部212は、例えばプログラムやデータ等、デジタルコンテンツ以外の情報を記憶してもよい。
【0070】
デコーダ213は、制御部201に制御されて、チューナ211等より供給される、所定の方法で符号化されているデジタルコンテンツを適切な方法で復号し、ベースバンドのデジタルデータを得る。デコーダ213は、ベースバンドのデジタルコンテンツをOSD処理部214に供給する。
【0071】
OSD処理部214は、制御部201に制御されて、GUIの画像生成に関する処理を行う。IPインタフェース216を介して取得されたユーザ指示は、制御部201に供給される。制御部201は、そのユーザ指示に基づいて録画予約等の各種制御を行う。例えば、ユーザ指示に基づいてGUI画像の生成や更新を行う場合、制御部201は、画像生成に必要な制御情報を含むOSDデータを生成し、それをOSD処理部214に供給する。
【0072】
例えば、GUIの表示を指示するユーザ指示が供給された場合、制御部201は、画像生成するのに必要なOSDデータをOSD処理部214に供給する。また、例えば、ユーザがそのモニタ113に表示されているGUI画像を参照し、アンカーを動かす等のユーザ操作を行った場合、制御部201は、そのユーザ指示に基づいてGUI画像の更新に必要なOSDデータを生成し、それをOSD処理部214に供給する。
【0073】
OSD処理部214は、このように供給されるOSDデータに基づいて、GUI画像を生成(更新)する。
【0074】
また、OSD処理部214は、制御部201に制御されて、GUI画像への画像の埋め込み(PinP)も行う。例えば、OSD処理部214は、GUI画像に、デジタルコンテンツのフレーム画像を挿入したり、予め用意された黒画像等を挿入したりする。OSD処理部214は、制御部201に制御されて、生成したGUIをエンコーダ215に供給する。
【0075】
エンコーダ215は、制御部201に制御されて、OSD処理部214より供給されたGUIの画像データを所定の方法で符号化する。エンコーダ215は、制御部201に制御されて、符号化した画像データ(コードストリーム)をIPインタフェース216に供給する。
【0076】
IPインタフェース216は、制御部201に制御されて、ネットワーク122を介して、クライアント112と通信を行う。
【0077】
例えば、IPインタフェース216は、制御部201に制御されて、エンコーダ215より供給されるコードストリームをパケット化し、生成したパケットを、ネットワーク122を介してクライアント112に送信する。また、例えば、IPインタフェース216は、制御部201に制御されて、ネットワーク122を介してクライアント112より供給された、ユーザ指示等の情報を含むパケットを受信し、デパケタイズを行って情報を抽出し、その抽出した情報を制御部201に供給する。
【0078】
さらに、例えば、IPインタフェース216は、制御部201に制御されて、クライアント112とパケットの授受を行い、パケットの往復遅延時間(RTT)の計測を行う。IPインタフェース216は、その計測結果を制御部201に供給する。
【0079】
図4は、クライアント112の構成例を示すブロック図である。
【0080】
図4に示されるように、クライアント112は、制御部301、赤外線受信部302、制御バス310、IPインタフェース311、およびデコーダ312を有する。
【0081】
制御部301は、例えば、演算処理部、制御回路、RAM、およびROM等を有する。制御部301は、各種演算やプログラムの実行等、制御バス310を介して接続されるIPインタフェース311およびデコーダ312の動作の制御に関する処理を行う。
【0082】
赤外線受信部302は、赤外線信号を受光する受光部を有し、リモートコントローラ124より送信される赤外線信号をその受光部において受信する。赤外線受信部302は、受信した赤外線信号に含まれる、ユーザ操作等の情報お抽出し、その情報を制御部301に供給する。
【0083】
制御部301は、例えば、赤外線受信部302より供給されるユーザ操作等の情報に基づいて、IPインタフェース311およびデコーダ312の動作を制御する。
【0084】
制御バス310は、制御部301とIPインタフェース311およびデコーダ312とを接続する伝送路である。制御バス310は、制御部301からIPインタフェース311およびデコーダ312に供給される制御命令やデータ等を伝送したり、IPインタフェース311およびデコーダ312から制御部301に供給される応答情報を伝送したりする。
【0085】
IPインタフェース311は、制御部301に制御されて、ネットワーク122を介して、サーバ111と通信を行う。
【0086】
例えば、IPインタフェース311は、制御部301に制御されて、サーバ111からネットワーク122を介して供給されるパケットを受信し、そのパケットに含まれるコードストリーム(サーバ111のGUIの画像データを符号化したもの)を抽出し、それをデコーダ312に供給する。
【0087】
また、例えば、IPインタフェース311は、制御部301に制御されて、制御部301から供給されるユーザ指示等の情報をパケット化し、そのパケットを、ネットワーク122を介してサーバ111に送信する。
【0088】
さらに、IPインタフェース311は、制御部301に制御されて、サーバ111とパケットの授受を行い、サーバ111が行うパケットの往復遅延時間(RTT)の計測についての応答処理を行う。
【0089】
デコーダ312は、IPインタフェース311より供給されるコードストリームを、適切な方法(符号化方法に対応する復号方法)で復号し、ベースバンドの画像データや音声データを得る。デコーダ312は、ベースバンドの画像データを、画像出力端子等を介して装置外部(例えばモニタ113)に出力する。また、デコーダ312は、ベースバンドの音声データを、音声出力端子等を介して装置外部(例えばモニタ113のスピーカ)に出力する。
【0090】
[処理の流れ]
次に、このような各装置がリモートユーザインタフェース機能を実現するために行う各種処理の流れの例について説明する。最初に、図5のフローチャートを参照し、サーバ111およびクライアント112により実行されるリモートユーザインタフェース処理の流れの例を説明する。
【0091】
最初に、ステップS31において、クライアント112の制御部301は、赤外線受信部302を介して、ユーザがリモートコントローラ124を操作して入力したユーザ指示を受け付ける。
【0092】
制御部301は、ステップS31において受け付けたユーザ指示を、制御バス310を介してIPインタフェース311に供給する。このとき制御部301は、赤外線受信部302より供給されるユーザ指示の情報を、必要に応じて解析したり変換したりし、適切な形式にする。
【0093】
ステップS32において、IPインタフェース311は、制御部301に制御されて、制御部301より供給されたユーザ指示の情報を、パケット化し、そのパケットを、ネットワーク122を介してサーバ111に送信する。
【0094】
この処理に対してサーバ111のIPインタフェース216は、ステップS11において、制御部201に制御されて、そのパケットを受信し、ユーザ指示の情報を抽出し、それを制御部201に供給する。
【0095】
ステップS12において、制御部201は、IPインタフェース216より供給されたユーザ指示の情報を解析し、そのユーザ指示が、デジタルコンテンツが埋め込まれたGUI画像を表示させるものであるか否かを判定する。
【0096】
ユーザ指示が、デジタルコンテンツが埋め込まれたGUI画像を表示させるものである場合、制御部201は、ステップS13において、IPインタフェース216を制御し、例えばDTCP-IP等の所定の著作権保護技術の規格に基づく方法でクライアント112と所定のパケットの授受を行わせ、その往復遅延時間(RTT)の計測を行う。
【0097】
この処理に対してクライアント112の制御部301は、ステップS33において、IPインタフェース311を制御し、例えばDTCP-IP等の所定の著作権保護技術の規格に基づく方法で、パケットの受信や返信等、サーバ111によるRTT計測(ステップS13の処理)に対して応答を行う。
【0098】
ステップS14において、サーバ111の制御部201は、IPインタフェース216からRTTの計測結果を取得すると、その計測結果に基づいて、サーバ111とクライアント112との距離を判定する。つまり、制御部201は、サーバ111とクライアント112とが、デジタルコンテンツの著作権保護技術(DTCP-IP等)の制限を越える程遠く離れているか否かを判定する。
【0099】
この判定において、サーバ111とクライアント112との距離がデジタルコンテンツの著作権保護技術(DTCP-IP等)により制限される距離よりも遠いと判定された場合、OSD処理部214は、ステップS15において、制御部201に制御されて、所定の位置に黒画像を挿入した、ユーザ指示に対応するGUI画像を生成する。逆に、サーバ111とクライアント112との距離がデジタルコンテンツの著作権保護技術(DTCP-IP等)により制限される距離よりも近いと判定された場合、OSD処理部214は、ステップS15において、制御部201に制御されて、チューナ211により受信されたデジタルコンテンツのフレーム画像を挿入した、ユーザ指示に対応するGUI画像を生成する。
【0100】
ステップS16において、エンコーダ215は、ステップS15の処理により生成されたGUI画像(黒画像またはデジタルコンテンツのフレーム画像が埋め込まれたGUI画像)を所定の方法で符号化し、コードストリームを生成する。ステップS17において、IPインタフェース216は、制御部201に制御され、ステップS16の処理により生成されたコードストリームをパケット化し、ネットワーク122を介してクライアント112に送信する。
【0101】
この処理に対してクライアント112のIPインタフェース311は、ステップS34において、制御部301に制御されて、そのパケットを受信し、コードストリームを抽出し、それをデコーダ312に供給する。
【0102】
ステップS35において、デコーダ312は、ステップS34の処理により受信されたコードストリームを符号化方式に対応する適切な方法で復号する。
【0103】
ステップS36において、制御部301は、デコーダ312を制御し、復号して得られたベースバンドの画像データや音声データをモニタ113に供給させ、黒画像やデジタルコンテンツのフレーム画像が埋め込まれたGUI画像をモニタ113に表示させる。
【0104】
このように、サーバ111およびクライアント112が連携して各処理を実行する。なお、実際には、GUI画像は動画像としてモニタ113に表示される。つまり、GUI画像は、サーバ111からクライアント112へ、その動画像のフレーム画像として、最新の状態の画像が繰り返し供給される。したがって、実際には、ステップS15乃至ステップS17の各処理、並びに、ステップS34乃至ステップS36の各処理は、繰り返し実行される。
【0105】
このときGUI画像は常に最新の状態となる。例えば、ユーザがGUI画像上のアンカーの移動を指示すると、その指示に従ってアンカーの位置が更新されたGUI画像がサーバ111からクライアント112に伝送される。つまり、モニタ113に表示されるGUI画像上においてユーザ指示(アンカーの移動)が反映される。
【0106】
また、ステップS15においてGUIにデジタルコンテンツのフレーム画像が埋め込まれる場合、常に最新のフレーム画像が埋め込まれる。したがって、モニタ113に表示されるGUI画像上において、GUIに埋め込まれたデジタルコンテンツは動画として表示される。
【0107】
次に、図6のフローチャートを参照して、このリモートユーザインタフェース処理の際にサーバ111の制御部201が実行するGUI表示制御処理の流れの例を説明する。この処理は、ユーザ指示に基づいてGUI画像の情報をクライアント112側に提供する処理である。この処理は、図5のステップS13乃至ステップS17に対応する。
【0108】
ユーザ指示の解析の結果、デジタルコンテンツを含むGUI画像をリモートユーザインタフェースとしてクライアント112側で表示させることが決定された場合、制御部201は、図6に示されるようなGUI表示制御処理を開始する。
【0109】
GUI表示制御処理が開始されると、制御部201は、ステップS101において、IPインタフェース216を制御し、クライアント112とパケットの送受信を行わせ、RTTを計測する。このRTTの計測は、GUI画像に埋め込むデジタルコンテンツの著作権保護技術に基づく方法で行われる。
【0110】
ステップS102において、制御部201は、そのRTT計測結果に基づいて、サーバ111とクライアント112との距離が、デジタルコンテンツの著作権保護技術の制限より近いか否かを判定する。サーバ111とクライアント112との距離が近く、デジタルコンテンツの著作権保護技術の制限範囲内であると判定された場合、デジタルコンテンツの伝送が可能であるので、処理はステップS103に進む。
【0111】
ステップS103において、制御部201は、OSD処理部214を制御し、ユーザ指示等に基づいて最新のGUI画像を生成する。ステップS104において、制御部201は、デコーダ213を制御し、チューナ211において受信されるデジタルコンテンツのコードストリームを復号する。
【0112】
ステップS105において、制御部201は、OSD処理部214を制御し、デジタルコンテンツのフレーム画像をGUI画像の所定の位置に挿入する。ステップS106において、制御部201は、エンコーダ215を制御し、GUI画像を符号化する。ステップS107において、制御部201は、IPインタフェース216を制御し、GUI画像のコードストリームを要求元のクライアント112に供給する。
【0113】
ステップS108において、制御部201は、クライアント112に表示させているGUI画像を消去するか否かを判定する。GUI画像消去のユーザ指示が得られておらず、GUI画像の表示を継続すると判定された場合、処理はステップS103に戻り、それ以降の処理が繰り返される。つまり、デジタルコンテンツが挿入されたGUI画像が動画像としてクライアントに提供される。
【0114】
また、ステップS108において、GUI画像消去のユーザ指示が取得される等して、GUI画像を消去すると判定された場合、GUI表示制御処理が終了され、クライアント112へのGUI画像の提供が終了される。
【0115】
ステップS102において、サーバ111とクライアント112との距離が遠く、デジタルコンテンツの著作権保護技術の制限範囲外であると判定された場合、デジタルコンテンツの伝送が不可能であるので、処理はステップS109に進む。
【0116】
ステップS109において、制御部201は、OSD処理部214を制御し、ユーザ指示等に基づいて最新のGUI画像を生成する。ステップS110において、制御部201は、OSD処理部214を制御し、予め用意された、全体が黒色の黒画像をGUI画像の所定の位置に挿入する。ステップS111において、制御部201は、エンコーダ215を制御し、GUI画像を符号化する。ステップS112において、制御部201は、IPインタフェース216を制御し、GUI画像のコードストリームを要求元のクライアント112に供給する。
【0117】
ステップS113において、制御部201は、クライアント112に表示させているGUI画像を消去するか否かを判定する。GUI画像消去のユーザ指示が得られておらず、GUI画像の表示を継続すると判定された場合、処理はステップS109に戻り、それ以降の処理が繰り返される。つまり、黒画像が挿入されたGUI画像が動画像としてクライアントに提供される。
【0118】
また、ステップS113において、GUI画像消去のユーザ指示が取得される等して、GUI画像を消去すると判定された場合、GUI表示制御処理が終了され、クライアント112へのGUI画像の提供が終了される。
【0119】
以上のようにGUI画像表示が制御される。
【0120】
[画面例]
以上のような制御により表示されるGUI画像の表示例について説明する。図7は、サーバ111およびクライアント112とが、デジタルコンテンツの制限距離より近い場合の、モニタ113に表示されるGUIの表示例を示す図である。
【0121】
つまり、サーバ111において、図6のステップS103乃至ステップS108が実行された場合、モニタ113に表示されるGUI画像401は、図7に示されるように、GUI411の所定の位置に著作権保護されたデジタルコンテンツのフレーム画像412が埋め込まれた構成となる。
【0122】
このGUI411に埋め込まれたデジタルコンテンツのフレーム画像412は、最新のフレーム画像である。つまり、GUI画像401には、デジタルコンテンツが動画像として表示される。
【0123】
図7の例では、GUI411は、録画予約を行うためのGUIである。GUI411には、EPG(Electronic Program Guide)のように、放送予定の番組情報が、放送チャンネル(例えば、チャンネル番号101乃至106)ごと、並びに、放送予定時刻ごとに並べられて表示される。図7の例の場合、各番組は、縦方向に放送チャンネル順に整列され、横方向に放送予定時刻順に整列されている。
【0124】
ユーザは、そのGUI411上でアンカーを移動させて録画予約する番組を選択する。例えば、ユーザがアンカーを縦方向に移動させると、指定する放送チャンネルが切り替えられる。また、例えば、ユーザがアンカーを横方向に移動させると、指定する時刻が変化する。ユーザは、アンカーを移動させて放送チャンネルと時刻を指定することにより、録画予約する番組を選択する。
【0125】
このようなGUI411の所定の位置には、ユーザが選択中の放送チャンネル(アンカーが位置する放送チャンネル)において現在放送中のデジタルコンテンツのフレーム画像412が表示される。このようにすることにより、ユーザは、その画像を参照することができ、現在選択中の放送チャンネルをより容易に把握することができる。
【0126】
ただし、上述したようにデジタルコンテンツは著作権保護機能により距離的制限を受けるので、このような表示は、サーバ111およびクライアント112の距離が、デジタルコンテンツの制限距離より近い場合に限定される。
【0127】
これに対して、サーバ111およびクライアント112の距離がデジタルコンテンツの制限距離より遠い場合、例えば図8に示されるように黒画像が挿入されたGUI画像401がモニタ113に表示されるようにする。
【0128】
つまり、サーバ111において、図6のステップS109乃至ステップS113が実行された場合、モニタ113に表示されるGUI411の所定の位置には、図7のフレーム画像412の代わりに、図8に示されるような予め用意された著作権保護を受けない黒画像413が表示される。
【0129】
このように、サーバ111は、サーバ111およびクライアントとの距離を計測する。そして、サーバ111は、その距離が著作権保護機能による距離的制限より近いか遠いかによって、デジタルコンテンツが埋め込まれたGUI画像(図7)を生成するか、黒画像が埋め込まれたGUI画像(図8)を生成するかを切り替える。
【0130】
つまり、制御部201は、サーバ111とクライアント112との距離が、所定の閾値(著作権保護機能による距離的制限)より近い場合のみ、その著作権保護機能により保護されるデジタルコンテンツをGUI画像に埋め込むように制御する。
【0131】
このように制御することにより、ネットワークシステム100(サーバ111およびクライアント112)は、デジタルコンテンツの著作権保護機能による距離的制限を受けずにリモートユーザインタフェース機能をユーザに提供することができる。つまり、ネットワークシステム100(サーバ111およびクライアント112)は、より利便性の高いユーザインタフェースをユーザに提供することができる。
【0132】
なお、デジタルコンテンツのフレーム画像412の代わりにGUI411に挿入する画像は、著作権保護機能等の距離的制限を受けない画像であればどのような画像であっても良い。動画像であっても良いし、静止画像であってもよい。
【0133】
また、例えば、図9に示される例のように、所定のメッセージが記述されたメッセージ画像であってもよい。図9の例の場合、GUI411には、「この動画はコピープロテクトされています。」(This motion video is copy protected.)のメッセージが記述されたメッセージ画像414が埋め込まれている。
【0134】
このように、デジタルコンテンツの画像が表示されない旨や、表示されない理由等のメッセージが表示されるようにすることにより、ユーザは、GUIが正常に動作していることを容易に把握することができる。つまり、ユーザは安心してGUIを操作することができる。
【0135】
なお、以上においては、図7乃至図9に示されるように、デジタルコンテンツの画像が埋め込まれる場合も埋め込まれない場合も、埋め込まれる画像が異なる以外、GUI401の構成が同一であるように説明したが、GUIの構成は任意である。例えば、GUIの構成が、デジタルコンテンツの画像が埋め込まれる場合と埋め込まれない場合とで互いに異なるようにしてもよい。
【0136】
例えば、サーバ111およびクライアント112の距離がデジタルコンテンツの制限距離より遠い場合、GUI411に画像が埋め込まれないようにしてもよい。もちろんサーバ111およびクライアント112の距離に応じて、GUI411の構成が変化するようにしてもよい。ただし、一般的には、上述した図7乃至図9のように、サーバ111およびクライアント112の距離によらず、GUIの構成が同一または近似する方が、ユーザにとってGUIの構成がより分かり易いものになり、ユーザの利便性は向上する。
【0137】
もちろん、GUI411の内容は任意であり、GUI411が、上述したような録画予約を行うためのものでなくてもよい。
【0138】
また、サーバ111およびクライアント112の距離判定は、RTT以外の条件に基づいて行われるようにしてもよい。例えば、TTL(Time to Live)を用いても良い。TTLは、パケットの有効期間を0乃至255の整数値で表すパラメータである。このTTLは、例えばルータを1回経由されるたびに値が1減少するようになされている。例えば、DTCP-IPでは、このTTLが3以上減少することが禁止されている。つまり、ルータを3台以上通した認証が禁止されている。
【0139】
サーバ111は、このようなTTLの制限に基づいて、サーバ111およびクライアント112の距離が近いか遠いかを判定するようにしてもよい。デジタルコンテンツのフレーム画像の埋め込み制御は、上述したRTTの場合と同様であるので、その説明は省略する。つまり、ステップS13およびステップS33においてRTT計測の代わりに、TTLの計測を行い、ステップS14においてそのTTLの計測結果に基づいて距離判定を行うこと以外は、図5のフローチャートを参照して説明した場合と同様に各処理が実行される。
【0140】
同様に、ステップS101においてRTTを計測する代わりに、TTLの計測を行い、ステップS102においてそのTTLの計測結果に基づいて距離判定を行うこと以外は、図6のフローチャートを参照して説明した場合と同様に各処理が実行される。
【0141】
もちろん、サーバ111が、RTTとTTLの両方の計測結果に基づいて距離判定を行うようにしてもよい。また、デジタルコンテンツの著作権保護機能が他の指標を用いて距離的制限を設ける場合、その指標を用いてサーバ111とクライアント112との距離を計測するようにしてもよい。
【0142】
すなわち、ここで計測されるサーバ111とクライアント112との距離は、サーバ111とクライアント112との通信上の近接度を示すものであり、実際の物理的な距離であってもよいし、サーバ111とクライアント112との間のネットワークや中継機器等の多さを示す電気的接続関係上の距離であってもよいし、その近接度を概略的に示すその他の擬似的な距離であってもよい。デジタルコンテンツの著作権保護機能における「距離的制限」に対応するものであればなんでもよい。
【0143】
以上において距離的制限に対して近いか遠いかを判定するように説明したが、この距離的制限が「近い」または「遠い」のいずれに含まれるようにしてもよい。例えば、DTCP-IPにおいては、RTTが7msに制限されている。このような場合に、RTT=7msを「近い」としてもよいし「遠い」としてもよい。
【0144】
なお、GUIに埋め込まれるデジタルコンテンツは任意であり、放送局より放送される放送コンテンツでなくてもよい。
【0145】
また、上述したサーバ111とクライアント112との距離計測(RTT計測)は、クライアント主導で行うようにしてもよい。その場合、図5のステップS12乃至ステップS14の処理をクライアント112が行うようにし、図5のステップS33の処理をサーバ111が行うようにし。さらに、クライアント112がその距離判定結果をサーバ111に供給するようにすればよい。サーバ111は、クライアント112から供給された距離判定結果に基づいて、ステップS15以降の処理(図6のステップS102以降の処理)を行う。
【0146】
このようにすることにより、上述したよりもサーバ111の負荷を軽減させることができる。ただし、クライアント112の負荷がその分増大する。サーバ111およびクライアント112の性能に応じて適切に選択するのが望ましい。また、サーバ111およびクライアント112が事前に各自の性能を示す情報を交換し、どちらがRTT計測を主導的に行うかを決めるようにしてもよい。
【0147】
<2.第2の実施の形態>
[ネットワークシステムの構成]
なお、以上においては、サーバ111においてGUIにデジタルコンテンツ等の画像を埋め込むように説明したが、これに限らず、クライアント112がGUIと画像の合成を行うようにしてもよい。
【0148】
図10は、本発明を提供したネットワークシステムの他の構成例を示すブロック図である。
図10に示されるようネットワークシステム500は、基本的に第1の実施の形態のネットワークシステム100と同様の構成を有する、リモートユーザインタフェース機能を実現するシステムである。ただし、ネットワークシステム500は、サーバ111の代わりにサーバ511を有し、クライアント112の代わりにクライアント512を有する。
【0149】
サーバ511は、リモートインタフェース機能として自身のGUIをクライアントに提供する際に、図1のサーバ111と異なり、GUIと画像を合成せずに供給する。つまり、サーバ511は、GUI生成用のOSDデータ521と、デジタルコンテンツまたは黒画像等が符号化されたAVストリーム522とを合成しないまま、互いに異なるデータとしてクライアント512に供給する。例えば、サーバ511は、OSDデータ521とAVストリーム522を、ネットワーク122の互いに異なるチャンネルを介してクライアント512に供給する。
【0150】
同様に、クライアント512は、図1のクライアント112と異なり、サーバ511より供給されるOSDデータ521とAVストリーム522を取得し、OSDデータよりGUIを生成し、そのGUIにAVストリームを復号して得られる画像データを合成する。クライアント512は、合成して生成されたGUI画像を、クライアント112の場合と同様に、モニタ113に供給し、表示させる。
【0151】
なお、このようにOSDデータをクライアント側に供給し、クライアント側でGUIを生成する手法は、例えば、全米家電協会(CEA(Consumer Electronics Association))において標準化されている(CEA2014)。
【0152】
本実施の携帯の方法においても、サーバ511およびクライアント512は、サーバ111およびクライアント112と同様に、RTTを計測し、その結果にしたがって、距離判定を行い、その距離に応じてGUIに埋め込む画像の選択を行う。
【0153】
つまり、ネットワークシステム500も、第1の実施の形態の場合と同様に、より利便性の高いユーザインタフェースをユーザに提供することができる。
【0154】
[デバイスの構成]
図11は、サーバ511の構成例を示すブロック図である。図11に示されるように、サーバ511の構成は、図3のサーバ111の構成と比較して、デコーダ213、OSD処理部214、およびエンコーダ215が省略されている点が異なり、それ以外は同様である。
【0155】
デコーダ213乃至エンコーダ215が省略されているので、デジタルコンテンツのフレーム画像がGUI画像に合成される場合、チューナ211より出力されるデジタルコンテンツのデータは、符号化されたAVストリームのままIPインタフェース216に供給される。
【0156】
なお、制御部201は、IPインタフェース216を介して取得したユーザ指示に基づいて、GUIを生成するためのOSDデータを生成し、それをIPインタフェース216に供給する。また、黒画像がGUI画像に合成される場合、制御部201は、予め用意された黒画像を符号化し、AVストリームとしてIPインタフェース216に供給する。
【0157】
IPインタフェース216は、OSDデータとAVストリームを互いに異なるデータとして、互いに異なるチャンネルでクライアント512に送信する。
【0158】
番組録画、RTT計測、または距離判定等のその他の処理は、基本的にサーバ111の場合と同様に実行される。
【0159】
なお、黒画像は、予め符号化されたAVストリームとして用意されるようにしてもよい。つまり、この場合、制御部201は、予め用意されたAVストリーム(黒画像)をIPインタフェース216に供給する。
【0160】
図12は、クライアント512の構成例を示すブロック図である。図12に示されるように、クライアント512は、図4のクライアント112の構成に加え、さらに、OSD処理部541を有する。
【0161】
このOSD処理部541は、クライアント512の構成であること以外、基本的に、図3のサーバ111のOSD処理部214と同様の構成を有し、同様の処理を行う。
【0162】
クライアント512のIPインタフェース311は、制御部301に制御され、サーバ511から互いに異なるチャンネルで送信されたOSDデータとAVストリームを受信し、それらをデコーダ312に供給する。デコーダ312は、AVストリームを、符号化方法に対応する復号方法により復号し、得られる音声データを出力すると共に、画像データおよびOSDデータをOSD処理部541に供給する。
【0163】
OSD処理部541は、制御部301に制御されて、デコーダ312より出力されるOSDデータを用いてGUI画像を生成する。さらにOSD処理部541は、制御部301に制御されて、そのGUI画像の所定の位置に、デコーダ312より出力される画像データを埋め込み、それをモニタ113に供給して表示させる。
【0164】
その他の処理はクライアント112の場合と同様に実行される。
【0165】
[処理の流れ]
図13は、ネットワークシステム500によるリモートユーザインタフェース処理の流れの例を説明するフローチャートである。このフローチャートは、図5のフローチャートに対応するものである。
【0166】
この場合も、基本的に図5の場合と同様に各処理が実行される。
【0167】
すなわち、クライアント112の制御部301は、ステップS231において、ステップS31の場合と同様にユーザ指示を受け付け、制御バス310を介してIPインタフェース311に供給する。ステップS232において、IPインタフェース311は、制御部301に制御されて、ステップS32の場合と同様にユーザ指示の情報をサーバ111に送信する。この処理に対してサーバ111のIPインタフェース216は、ステップS211において、制御部201に制御されて、ステップS11の場合と同様に、ユーザ指示の情報を取得し、それを制御部201に供給する。ステップS212において、制御部201は、ステップS12の場合と同様に、ユーザ指示の情報を解析する。
【0168】
ユーザ指示が、デジタルコンテンツが埋め込まれたGUI画像を表示させるものである場合、制御部201は、ステップS213において、ステップS13の場合と同様にIPインタフェース216を制御し、クライアント512と連携してRTTの計測を行う。
【0169】
この処理に対してクライアント512の制御部301は、ステップS233において、ステップS33の場合と同様にIPインタフェース311を制御し、RTT計測(ステップS213の処理)に対する応答処理を行う。
【0170】
ステップS214において、サーバ511の制御部201は、ステップS14の場合と同様にRTT計測結果に基づいて、サーバ511とクライアント512とが、デジタルコンテンツの著作権保護技術(DTCP-IP等)の制限を越える程遠く離れているか否かを判定する。
【0171】
制御部201は、ステップS215において、サーバ511とクライアント512との距離がデジタルコンテンツの著作権保護技術により制限される距離よりも遠いと判定された場合、黒画像を生成して符号化し、コードストリームとしてIPインタフェース216に供給する。逆に、サーバ511とクライアント512との距離がデジタルコンテンツの著作権保護技術により制限される距離よりも近いと判定された場合、制御部201は、チューナ211を制御し、デジタルコンテンツのコードストリームを取得させ、IPインタフェース216に供給させる。
【0172】
ステップS216において、制御部201は、ステップS211の処理により取得したユーザ指示に基づいてOSDデータを生成し、IPインタフェース216に供給する。
【0173】
ステップS217において、IPインタフェース216は、制御部201に制御され、黒画像またはデジタルコンテンツのコードストリームとOSDデータとをそれぞれパケット化し、互いに異なるチャンネルでクライアント512に送信する。
【0174】
この処理に対してクライアント512のIPインタフェース311は、ステップS234において、ステップS34の場合と同様に、制御部301に制御されて、そのパケットを受信し、コードストリームやOSDデータを抽出し、それらをデコーダ312に供給する。
【0175】
ステップS235において、デコーダ312は、制御部301に制御され、ステップS35の場合と同様にコードストリームを復号する。ステップS236において、OSD処理部541は、制御部301に制御されて、OSDデータからGUI画像を生成する。さらに、ステップS237において、OSD処理部541は、制御部301に制御されて、GUI画像の所定の位置に、OSDデータとともにサーバ511から供給されたデジタルコンテンツのフレーム画像または黒画像を挿入する。
【0176】
ステップS238において、制御部301は、デコーダ312やOSD処理部541を制御し、GUI画像の画像データや音声データをモニタ113に供給させ、黒画像やデジタルコンテンツのフレーム画像が埋め込まれたGUI画像をモニタ113に表示させる。
【0177】
このように、サーバ511およびクライアント512が連携して各処理を実行する。なお、本実施の形態の場合も、第1の実施の形態の場合と同様に、実際には、GUI画像は動画像としてモニタ113に表示される。
【0178】
この場合のGUI表示制御処理の流れの例を図14のフローチャートを参照して説明する。このフローチャートは、図6の処理に対応する。すなわち、この処理は、ユーザ指示に基づいてGUI画像の情報をクライアント512側に提供する処理であり、図13のステップS213乃至ステップS217に対応する。
【0179】
第1の実施の形態の場合と同様にGUI表示制御処理が開始されると、制御部201は、ステップS301において、ステップS101の場合と同様に、IPインタフェース216を制御し、クライアント512とパケットの送受信を行わせ、RTTを計測する。
【0180】
ステップS302において、制御部201は、ステップS102の場合と同様に、そのRTT計測結果に基づいて、サーバ511とクライアント512との距離が、デジタルコンテンツの著作権保護技術の制限より近いか否かを判定する。サーバ511とクライアント512との距離が近く、デジタルコンテンツの著作権保護技術の制限範囲内であると判定された場合、デジタルコンテンツの伝送が可能であるので、処理はステップS303に進む。
【0181】
ステップS303において、制御部201は、ユーザ指示等に基づいて最新のOSDデータを生成し、それをIPインタフェース216に供給する。ステップS304において、制御部201は、チューナ211を制御し、ユーザに指定されたチャンネルにおいて放送されているデジタルコンテンツのコードストリームを取得させ、それをIPインタフェース216に供給させる。
【0182】
ステップS305において、制御部201は、IPインタフェース216を制御し、ステップS304の処理により取得されたコードストリームと、ステップS303の処理により生成されたOSDデータとを、互いに異なるチャンネルで要求元であるクライアント512へ送信させる。
【0183】
ステップS306において、制御部201は、クライアント512に表示させているGUI画像を消去するか否かを判定する。GUI画像消去のユーザ指示が得られておらず、GUI画像の表示を継続すると判定された場合、処理はステップS303に戻り、それ以降の処理が繰り返される。つまり、デジタルコンテンツが挿入されたGUI画像が動画像としてクライアント512に提供される。
【0184】
また、ステップS306において、GUI画像消去のユーザ指示が取得される等して、GUI画像を消去すると判定された場合、GUI表示制御処理が終了され、クライアント512へのGUI画像の提供が終了される。
【0185】
また、ステップS302において、サーバ511とクライアント512との距離が遠く、デジタルコンテンツの著作権保護技術の制限範囲外であると判定された場合、デジタルコンテンツの伝送が不可能であるので、処理はステップS307に進む。
【0186】
ステップS307において、制御部201は、ユーザ指示等に基づいて最新のOSDデータを生成し、それをIPインタフェース216に供給する。また、ステップS308において、制御部201は、黒画像を生成して符号化し、そのコードストリームをIPインタフェース216に供給する。
【0187】
ステップS309において、制御部201は、IPインタフェース216を制御し、黒画像のコードストリームとOSDデータとを、互いに異なるチャンネルで要求元のクライアント512に供給する。
【0188】
ステップS310において、制御部201は、クライアント512に表示させているGUI画像を消去するか否かを判定する。GUI画像消去のユーザ指示が得られておらず、GUI画像の表示を継続すると判定された場合、処理はステップS307に戻り、それ以降の処理が繰り返される。つまり、黒画像が挿入されたGUI画像が動画像としてクライアント512に提供される。
【0189】
また、ステップS310において、GUI画像消去のユーザ指示が取得される等して、GUI画像を消去すると判定された場合、GUI表示制御処理が終了され、クライアント512へのGUI画像の提供が終了される。
【0190】
以上のようにGUI画像表示が制御される。したがって、本実施の形態の場合も、第1の実施の形態の場合と同様に、モニタには、図7乃至図9に示されるようなGUI画像が表示される。つまり、サーバ511とクライアント512との距離が遠い場合、GUI画像には、図8や図9に示されるように、黒画像やメッセージ画像等の、著作権保護されていない画像が挿入される。また、サーバ511とクライアント512との距離が近い場合、GUI画像には、図7に示されるように、デジタルコンテンツのフレーム画像等の、著作権保護された画像が挿入される。
【0191】
つまり、制御部201は、サーバ511およびクライアント512との距離が、著作権保護機能による距離的制限より近い場合のみ、その著作権保護機能により保護されるデジタルコンテンツをGUI画像に埋め込むように制御する。
【0192】
このように制御することにより、ネットワークシステム500(サーバ511およびクライアント512)は、デジタルコンテンツの著作権保護機能による距離的制限を受けずにリモートユーザインタフェース機能をユーザに提供することができる。つまり、ネットワークシステム500(サーバ511およびクライアント512)は、より利便性の高いユーザインタフェースをユーザに提供することができる。
【0193】
なお、本実施の形態の場合も、デジタルコンテンツのフレーム画像412の代わりにGUI411に挿入する画像は、著作権保護機能等の距離的制限を受けない画像であればどのような画像であっても良い。動画像であっても良いし、静止画像であってもよい。GUIに埋め込まれるデジタルコンテンツも任意であり、放送局より放送される放送コンテンツでなくてもよい。
【0194】
また、デジタルコンテンツのフレーム画像をGUI画像に挿入する場合と挿入しない場合とでGUIのレイアウトを変更するようにしてもよい。また、GUIの内容は任意である。さらに、サーバ511およびクライアント512の距離判定は、例えばTTL等、RTT以外の条件に基づいて行われるようにしてもよい。もちろん、サーバ511とクライアント512との距離計測(RTT計測)を、クライアント512主導で行うようにしてもよい。
[パーソナルコンピュータの構成]
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるし、ソフトウエアにより実行させることもできる。この場合、例えば、図15に示されるようなパーソナルコンピュータとして構成されるようにしてもよい。
【0195】
図15において、パーソナルコンピュータ600のCPU(Central Processing Unit)601は、ROM(Read Only Memory)602に記憶されているプログラム、または記憶部613からRAM(Random Access Memory)603にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM603にはまた、CPU601が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0196】
CPU601、ROM602、およびRAM603は、バス604を介して相互に接続されている。このバス604にはまた、入出力インタフェース610も接続されている。
【0197】
入出力インタフェース610には、キーボード、マウスなどよりなる入力部611、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)などよりなるディスプレイ、並びにスピーカなどよりなる出力部612、ハードディスクなどより構成される記憶部613、モデムなどより構成される通信部614が接続されている。通信部614は、インターネットを含むネットワークを介しての通信処理を行う。
【0198】
入出力インタフェース610にはまた、必要に応じてドライブ615が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア621が適宜装着され、それらから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部613にインストールされる。
【0199】
上述した一連の処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
【0200】
この記録媒体は、例えば、図15に示されるように、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを配信するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc - Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini Disc)を含む)、もしくは半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディア621により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに配信される、プログラムが記録されているROM602や、記憶部613に含まれるハードディスクなどで構成される。
【0201】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0202】
また、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0203】
また、本明細書において、システムとは、複数のデバイス(装置)により構成される装置全体を表わすものである。
【0204】
また、以上において、1つの装置(または処理部)として説明した構成を分割し、複数の装置(または処理部)として構成するようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置(または処理部)として説明した構成をまとめて1つの装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。また、各装置(または各処理部)の構成に上述した以外の構成を付加するようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置(または処理部)の構成の一部を他の装置(または他の処理部)の構成に含めるようにしてもよい。つまり、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0205】
100 ネットワークシステム, 111 サーバ, 112 クライアント, 201 制御部, 211 チューナ, 212 記憶部, 213 デコーダ, 214 OSD処理部, 215 エンコーダ, 216 IPインタフェース, 301 制御部, 302 赤外線受信部, 311 IPインタフェース, 312 デコーダ, 500 ネットワークシステム, 511 サーバ, 512 クライアント, 541 OSD処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の情報処理装置から送信されるユーザ指示を受信する第1の受信手段と、
前記他の情報処理装置とパケットを送受信することにより、自分自身と前記他の情報処理装置との距離を計測する計測手段と、
前記計測手段により計測された距離が所定の著作権保護機能による距離制限より近い場合のみ、自分自身を制御するためのGUIと、前記著作権保護機能により保護されるデジタルコンテンツの画像とを前記他の情報処理装置に送信する送信手段と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記送信手段は、前記計測手段により計測された距離が、所定の著作権保護機能による距離制限より遠い場合、自分自身を制御するためのGUIと、予め用意された所定の画像とを前記他の情報処理装置に送信する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記所定の画像は、黒画像である
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記所定の画像は、所定のメッセージが表示されるメッセージ画像である
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記GUIの画像の所定の位置に、前記デジタルコンテンツの画像または前記所定の画像を埋め込む埋め込み手段をさらに備え、
前記送信手段は、前記埋め込み手段により前記デジタルコンテンツの画像または前記所定の画像が埋め込まれた前記GUIを前記他の情報処理装置に送信する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記デジタルコンテンツのコードストリームを受信する第2の受信手段と、
前記第2の受信手段により受信された前記コードストリームを復号する復号手段と、
前記埋め込み手段により前記デジタルコンテンツの画像または前記所定の画像が埋め込まれた前記GUIを符号化する符号化手段と
をさらに備え、
前記埋め込み手段は、前記GUIの画像の所定の位置に、前記復号手段により前記コードストリームが復号されて得られた前記デジタルコンテンツの画像、または、前記所定の画像を埋め込み、
前記送信手段は、前記符号化手段により、前記デジタルコンテンツの画像または前記所定の画像が埋め込まれた前記GUIが符号化されて得られたコードストリームを前記他の情報処理装置に送信する
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記計測手段は、前記パケットの往復遅延時間を計測する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記計測手段は、前記パケットの有効期間を計測する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
情報処理装置の受信手段が、他の情報処理装置から送信されるユーザ指示を受信し、
前記情報処理装置の計測手段が、前記他の情報処理装置とパケットを送受信することにより、自分自身と前記他の情報処理装置との距離を計測し、
前記情報処理装置の送信手段が、計測された距離が所定の著作権保護機能による距離制限より近い場合のみ、自分自身を制御するためのGUIと、前記著作権保護機能により保護されるデジタルコンテンツの画像とを前記他の情報処理装置に送信する
情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータを、
他の情報処理装置から送信されるユーザ指示を受信する第1の受信手段と、
前記他の情報処理装置とパケットを送受信することにより、自分自身と前記他の情報処理装置との距離を計測する計測手段と、
前記計測手段により計測された距離が所定の著作権保護機能による距離制限より近い場合のみ、自分自身を制御するためのGUIと、前記著作権保護機能により保護されるデジタルコンテンツの画像とを前記他の情報処理装置に送信する送信手段
として機能させるためのプログラム。
【請求項11】
他の情報処理装置とパケットを送受信することにより、自分自身と前記他の情報処理装置との距離を計測する計測手段と、
前記計測手段により計測された前記距離を示す情報を前記他の情報処理装置に送信する送信手段と、
前記他の情報処理装置から送信される前記他の情報処理装置を制御するためのGUIと、前記計測手段により計測された距離が所定の著作権保護機能による距離制限より近い場合にのみ前記他の情報処理装置から送信される、前記著作権保護機能により保護されるデジタルコンテンツの画像とを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された前記GUIの画像と前記デジタルコンテンツの画像とを表示する表示手段と
を備える情報処理装置。
【請求項12】
前記受信手段は、前記計測手段により計測された距離が所定の著作権保護機能による距離制限より遠い場合、前記他の情報処理装置から送信される、前記GUIと、予め用意された所定の画像とを受信する
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記所定の画像は、黒画像である
請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記所定の画像は、所定のメッセージが表示されるメッセージ画像である
請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記受信手段により受信された前記GUIの画像の所定の位置に、前記受信手段により受信された前記デジタルコンテンツの画像または前記所定の画像を埋め込む埋め込み手段をさらに備え、
前記表示手段は、前記埋め込み手段により前記デジタルコンテンツの画像または前記所定の画像が埋め込まれた前記GUIの画像を表示する
請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記計測手段は、前記パケットの往復遅延時間を計測する
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記計測手段は、前記パケットの有効期間を計測する
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項18】
情報処理装置の計測手段が、他の情報処理装置とパケットを送受信することにより、自分自身と前記他の情報処理装置との距離を計測し、
前記情報処理装置の送信手段が、計測された前記距離を示す情報を前記他の情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置の受信手段が、前記他の情報処理装置から送信される前記他の情報処理装置を制御するためのGUIと、計測された距離が所定の著作権保護機能による距離制限より近い場合にのみ前記他の情報処理装置から送信される、前記著作権保護機能により保護されるデジタルコンテンツの画像とを受信し、
前記情報処理装置の表示手段が、受信された前記GUIの画像と前記デジタルコンテンツの画像とを表示する
情報処理方法。
【請求項19】
コンピュータを、
他の情報処理装置とパケットを送受信することにより、自分自身と前記他の情報処理装置との距離を計測する計測手段と、
前記計測手段により計測された前記距離を示す情報を前記他の情報処理装置に送信する送信手段と、
前記他の情報処理装置から送信される前記他の情報処理装置を制御するためのGUIと、前記計測手段により計測された距離が所定の著作権保護機能による距離制限より近い場合にのみ前記他の情報処理装置から送信される、前記著作権保護機能により保護されるデジタルコンテンツの画像とを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された前記GUIの画像と前記デジタルコンテンツの画像とを表示する表示手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−273024(P2010−273024A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−122113(P2009−122113)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】