説明

情報処理装置および用紙属性設定プログラム

【課題】用紙属性を設定する権限のない利用者に対して自由な用紙属性の設定を提供することができる情報処理装置および用紙属性設定プログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置1は、印刷用の用紙を収容するトレイ20A〜20Dに対応付けて設定され、特定の者のみが設定可能な第1の用紙属性と特定の者を含む利用者が設定可能な第2の用紙属性とを有する用紙属性情報11Bを記憶する記憶部11と、利用者が前記特定の者か否かを認証する管理者認証手段10Aと、管理者認証手段10Aが利用者を特定の者でないと認証したとき、特定の者でないと認証された利用者から受け付けた新たな用紙属性で第2の用紙属性を書き換えて設定する用紙属性設定手段10Bとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および用紙属性設定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
利用者が指定した用紙の属性に基づいて可能な限りその指定に沿った用紙を有するトレイを選択する情報処理装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1の情報処理装置は、それぞれ異なる用紙が用意された複数のトレイに対応して、それぞれの用紙の属性を記憶するとともに、利用者が用紙の属性として、例えば、トレイ、用紙名称、用紙サイズ、用紙タイプ等を設定したとき、用紙の属性の各項目を予め定めた優先順位に基づいてトレイに用意された用紙の属性と照合していき、属性が一致したトレイの用紙を選択する。また、属性が一致しないとき、優先順位に基づいて属性が多く一致するトレイの用紙を選択するため、利用者が指定した用紙の属性に可能な限りその指定に沿った用紙を選択することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−48580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、用紙属性を設定する権限のない利用者に対して自由な用紙属性の設定を提供することができる情報処理装置および用紙属性設定プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]印刷用の用紙を収容するトレイに対応付けて設定され、特定の者のみが設定可能な第1の用紙属性と前記特定の者を含む利用者が設定可能な第2の用紙属性とを有する用紙属性を記憶する記憶手段と、前記利用者が前記特定の者か否かを認証する管理者認証手段と、前記管理者認証手段が前記利用者を前記特定の者でないと認証したとき、前記特定の者でないと認証された前記利用者から受け付けた新たな用紙属性で前記第2の用紙属性を書き換えて設定する用紙属性設定手段とを有する情報処理装置。
【0007】
[2]前記記憶手段は、前記第2の用紙属性を単数記憶する前記[1]に記載の情報処理装置。
【0008】
[3]前記第2の用紙属性を用いて印刷が実行されたか否かを監視する印刷監視手段と、前記印刷監視手段が印刷が実行されたことを検出すると前記第2の用紙属性に設定された内容を削除する一時用紙属性削除手段とをさらに有する前記[2]に記載の情報処理装置。
【0009】
[4]印刷用の用紙を収容するトレイに対応付けて設定され、特定の者のみが設定可能な第1の用紙属性と前記特定の者を含む利用者が設定可能な第2の用紙属性とを有する用紙属性を参照可能なコンピュータに、前記利用者が前記特定の者か否かを認証する管理者認証機能と、前記管理者認証機能が前記利用者を前記特定の者でないと認証したとき、前記特定の者でないと認証された前記利用者から受け付けた新たな用紙属性で前記第2の用紙属性を書き換えて設定する用紙属性設定機能とを実現させるための用紙属性設定プログラム。
【発明の効果】
【0010】
請求項1及び4に係る発明によれば、用紙属性を設定する権限のない利用者に対して自由な用紙属性の設定を提供することができる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、用紙属性を設定する権限のない利用者が設定できる用紙属性を限定されたものにできる。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、用紙属性を設定する権限のない利用者が設定できる用紙属性を一時的なものに限定できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成システムの構成例を示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る情報処理装置の構成例を示す概略図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る用紙属性情報の構成例を示す概略図である。
【図4A】本発明の実施の形態に係る情報処理装置の表示部において表示される表示例を示す概略図である。
【図4B】本発明の実施の形態に係る情報処理装置の表示部において表示される表示例を示す概略図である。
【図4C】本発明の実施の形態に係る情報処理装置の表示部において表示される表示例を示す概略図である。
【図4D】本発明の実施の形態に係る情報処理装置の表示部において表示される表示例を示す概略図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る画像形成システムの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(画像形成システムの構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成システムの構成例を示す概略図である。
【0015】
画像形成システム100は、後述する画像形成装置2を制御する情報処理装置1と、用紙に対して印刷を実行する画像形成装置2とをネットワーク3によって接続して構成される。
【0016】
情報処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)やHDD(Hard Disc Drive)等の電子部品により構成されて情報を処理する本体1Aと、LCD(Liquid Crystal Display)パネル等により構成されて画像を表示する表示部1Bとを有する。
【0017】
画像形成装置2は、それぞれ異なる用紙を装置内に供給する複数のトレイ20A〜20Dを有し、装置内の印刷機構を使用することで印刷を実行し印刷物200を出力する。
【0018】
なお、情報処理装置1は、ネットワーク3を介さずに画像形成装置2に内蔵される構成であってもよい。
【0019】
図2は、本発明の実施の形態に係る情報処理装置の構成例を示す概略図である。
【0020】
情報処理装置1は、CPU等から構成され各部を制御するとともに各種のプログラムを実行する制御部10と、HDDやフラッシュメモリ等の記憶装置から構成され情報を記憶する記憶部11と、ネットワーク3を介して外部と通信する通信部12とを有する。また、情報処理装置1は、表示部1Bに接続されて映像を表示する。
【0021】
制御部10は、後述する用紙属性設定プログラム11Aを実行することで、管理者認証手段10Aと、用紙属性設定手段10Bと、印刷ジョブ監視手段10Cと、一時用紙属性削除手段10Dと、表示手段10Eとを動作させる。
【0022】
管理者認証手段10Aは、情報処理装置1を利用する利用者が後述する用紙属性情報11Bを編集する権限を有する管理者であるか認証する。用紙属性設定手段10Bは、用紙属性情報11Bから既存の用紙属性を選択、及び用紙属性情報11Bに対して新規の用紙属性を追加作成する。印刷ジョブ監視手段10Cは、画像形成装置2において処理される印刷ジョブの進行を監視する。一時用紙属性削除手段10Dは、後述する条件に基づいて一時的に作成された用紙属性を用紙属性情報11Bから削除する。表示手段10Eは、上記各種手段の動作に応じて表示部1Bに画像を表示する。
【0023】
記憶部11は、制御部10を上述した各手段として動作させる用紙属性設定プログラム11Aと、トレイ20A〜20Dに収容される用紙にそれぞれ対応付けて設定された用紙の属性情報、例えば、用紙サイズや用紙カラー、坪量、コーティング種類等を示す用紙属性情報11Bとを記憶する。
【0024】
通信部12は、画像形成装置2と通信するとともに、図示しない情報処理装置等と通信して印刷ジョブを受信する。
【0025】
図3は、本発明の実施の形態に係る用紙属性情報の構成例を示す概略図である。
【0026】
用紙属性情報11Bは、トレイ20A〜20Dのうちのいずれかのトレイを示すトレイと、各トレイに収容されることを想定された用紙の属性名と用紙属性名と、各属性名ごとに設定された用紙の属性を示す用紙属性とを有する。
【0027】
各トレイに対して設定される用紙属性、例えば、トレイAに関しては「Stock A1」〜「Stock A3」は、複数でも単数でもよく、画像形成システム100の管理者によってのみ設定が可能である。また、各トレイに対して設定される一時的な用紙属性、例えば、トレイAに関しては「Temporary Stock A」は、各トレイに対して1つだけ用意され、管理者以外の利用者であっても設定が可能である。
【0028】
図4Aは、本発明の実施の形態に係る情報処理装置の表示部において表示される表示例を示す概略図である。
【0029】
管理者認証ウインドウ30は、情報処理装置1を介して画像形成装置2に対して用紙の属性を設定する際に表示部1Bに表示される最初の画面であり、管理者の認証に用いるパスワードを入力するためのパスワード入力枠30Dと、パスワード入力枠30Dに入力した内容で認証開始を要求するOKボタン30Aと、認証をキャンセルするキャンセルボタン30Bと、管理者ではない他の利用者として用紙の属性を設定するゲストで設定ボタン30Cとを有する。
【0030】
図4Bは、本発明の実施の形態に係る情報処理装置の表示部において表示される表示例を示す概略図である。
【0031】
トレイ選択ウインドウ31は、図4Aに示す管理者認証ウインドウ30において認証後、又はゲストとして認証後に表示される画面であり、用紙属性を設定するトレイを選択するトレイ選択ボタン31A〜31Dを有する。用紙属性設定ウインドウ32は、トレイ選択ボタン31A〜31Dのいずれかを選択したときに表示される画面であり、選択したトレイに対して新たな用紙属性を設定する新規用紙属性設定ボタン32Aと、選択したトレイに対して予め設定登録された用紙属性を選択する用紙属性選択メニュー32Bとを有する。
【0032】
図4Cは、本発明の実施の形態に係る情報処理装置の表示部において表示される表示例を示す概略図である。
【0033】
用紙属性選択メニュー32Bは、図4Bに示す用紙属性設定ウインドウ32において選択されることで表示されるメニューであり、用紙属性情報11Bの内容を示す用紙属性表示32a〜32cを有する。
【0034】
図4Dは、本発明の実施の形態に係る情報処理装置の表示部において表示される表示例を示す概略図である。
【0035】
一時用紙属性設定ウインドウ33は、図4Aに示す管理者認証ウインドウ30においてゲストで設定ボタン30Cを選択するとともに、図4Bに示す用紙属性設定ウインドウ32において新規用紙属性設定ボタン32Aが選択されることで表示されるメニューであり、用紙属性情報11Bの一時的な用紙属性、例えば、トレイAであれば「Temporary Stock A」を設定するための用紙属性の項目を示す用紙属性項目メニュー33A〜33Dを有する。
【0036】
(動作)
以下に、本発明の一実施の形態における画像形成システムの動作を各図を参照しつつ説明する。
【0037】
まず、利用者は情報処理装置1に接続された図示しない外部のパーソナルコンピュータ等から印刷を所望する文書を印刷処理する。印刷処理の結果、情報処理装置1に対して印刷ジョブが入力され、印刷ジョブは、画像形成装置2において処理される。
【0038】
また、利用者は、以下に説明する動作のように、情報処理装置1において用紙属性に関する設定を行い、その設定により用紙属性情報11Bを書き換える。画像形成装置2において使用されるトレイ20A〜20Dの用紙属性は、用紙属性情報11Bから選択される。
【0039】
図5は、本発明の実施の形態に係る画像形成システムの動作例を示すフローチャートである。
【0040】
まず、利用者が用紙属性の設定を要求すると、管理者認証手段10Aは、図4Aに示す管理者認証ウインドウ30を表示し、用紙属性の設定を要求している利用者が管理者か否かを認証する(S1)。次に、用紙属性設定手段10Bは、図4Bに示すように、トレイ選択ウインドウ31を表示するとともに、トレイ選択ウインドウ31において選択されたトレイの用紙属性を用紙属性設定ウインドウ32によって表示する(S2)。
【0041】
次に、用紙属性設定ウインドウ32において、利用者が既に設定済みの他の用紙属性を選択するため、用紙属性選択メニュー32Bを選択すると(S3;Yes)、用紙属性設定手段10Bは、図4Cに示すように、用紙属性表示32a〜32cを表示し(S4)、用紙属性表示32a〜32cから選択された用紙属性を使用する用紙属性情報として設定する(S5)。また、ステップS3において、用紙属性選択メニュー32Bが選択されないときは(S3;No)、ステップS6へと進む。
【0042】
次に、用紙属性設定ウインドウ32において、利用者が新しい用紙属性を設定するため、新規用紙属性設定ボタン32Aを選択すると(S6;Yes)、ステップS1において認証された利用者が管理者でないか確認し、管理者でないとき(S7;Yes)、用紙属性設定手段10Bは、図4Dに示すように、一時用紙属性設定ウインドウ33を表示し(S8)、用紙属性項目メニュー33A〜33Dにおいて選択された用紙属性を一時用紙属性情報として用紙属性情報11Bに保存する(S9)。
【0043】
次に、印刷ジョブ監視手段10Cは、画像形成装置2において印刷ジョブの進行を監視し、印刷ジョブが実行されて完了すると(S10;Yes)、ステップS9で作成された一時用紙属性を削除する(S11)。
【0044】
また、ステップS7において利用者が管理者であるとき(S7;No)、用紙属性設定手段10Bは、図4Dに示す一時用紙属性設定ウインドウ33と同内容の用紙属性設定ウインドウ(図示せず)を表示し(S12)、作成された用紙属性を新たな用紙属性情報として用紙属性情報11Bに追加して保存する(S13)。
【0045】
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々な変形が可能である。例えば、管理者が一時用紙属性設定を設定できる構成にしてもよい。
【0046】
また、上記実施の形態で使用される管理者認証手段10Aと、用紙属性設定手段10Bと、印刷ジョブ監視手段10Cと、一時用紙属性削除手段10Dと、表示手段10Eとは、CD−ROM等の記憶媒体から装置内の記憶部に読み込んでも良く、インターネット等のネットワークに接続されているサーバ装置等から装置内の記憶部にダウンロードしてもよい。また、上記実施の形態で使用される手段の一部または全部をASIC等のハードウェアによって実現してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…情報処理装置、1A…本体、1B…表示部、2…画像形成装置、3…ネットワーク、10…制御部、10A…管理者認証手段、10B…用紙属性設定手段、10C…印刷ジョブ監視手段、10D…一時用紙属性削除手段、10E…表示手段、11…記憶部、11A…用紙属性設定プログラム、11B…用紙属性情報、12…通信部、20A-20D…トレイ、30…管理者認証ウインドウ、30A…OKボタン、30B…キャンセルボタン、30Cゲストで設定ボタン、30D…パスワード入力枠、31…トレイ選択ウインドウ、31A-31D…トレイ選択ボタン、32…用紙属性設定ウインドウ、32A…新規用紙属性設定ボタン、32B…用紙属性選択メニュー、32a-32c…用紙属性表示、33…一時用紙属性設定ウインドウ、33A-33D…用紙属性項目メニュー、100…画像形成システム、200…印刷物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷用の用紙を収容するトレイに対応付けて設定され、特定の者のみが設定可能な第1の用紙属性と前記特定の者を含む利用者が設定可能な第2の用紙属性とを有する用紙属性を記憶する記憶手段と、
前記利用者が前記特定の者か否かを認証する管理者認証手段と、
前記管理者認証手段が前記利用者を前記特定の者でないと認証したとき、前記特定の者でないと認証された前記利用者から受け付けた新たな用紙属性で前記第2の用紙属性を書き換えて設定する用紙属性設定手段とを有する情報処理装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記第2の用紙属性を単数記憶する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第2の用紙属性を用いて印刷が実行されたか否かを監視する印刷監視手段と、
前記印刷監視手段が印刷が実行されたことを検出すると前記第2の用紙属性に設定された内容を削除する一時用紙属性削除手段とをさらに有する請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
印刷用の用紙を収容するトレイに対応付けて設定され、特定の者のみが設定可能な第1の用紙属性と前記特定の者を含む利用者が設定可能な第2の用紙属性とを有する用紙属性を参照可能なコンピュータに、
前記利用者が前記特定の者か否かを認証する管理者認証機能と、
前記管理者認証機能が前記利用者を前記特定の者でないと認証したとき、前記特定の者でないと認証された前記利用者から受け付けた新たな用紙属性で前記第2の用紙属性を書き換えて設定する用紙属性設定機能とを実現させるための用紙属性設定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−198541(P2010−198541A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−45434(P2009−45434)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】