説明

情報処理装置とプログラムとコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】 ネットワーク上の複数の印刷装置について、印刷時に、ユーザに対してインクを吐出するノズルが乾燥してしまいそうな印刷装置を優先的に利用することを促すことにより、ノズルのクリーニングによる無駄なインクの消費を抑える。
【解決手段】 ネットワークプリンタ設定管理部17は、印刷時に、ネットワーク3上の複数のプリンタの最終印刷日時を検出し、その最終印刷日時から印刷時までの経過日時が、予め設定された経過日時の範囲内に含まれるプリンタを選択し、その選択したプリンタについて、予め設定された優先度の最も高いプリンタを印刷先として決定し、その決定したプリンタに印刷先を切り替えても良いか否かを確認し、切り替えても良いことを確認した場合、印刷時に指定されたプリンタから上記決定したプリンタへ印刷先を切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パーソナルコンピュータを含む情報処理装置と、ネットワーク上の印刷装置に印刷をさせる手順をコンピュータに実行させるためのプログラムと、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズル(「インクノズル」とも呼ぶ)からインクを吐出して印刷する印刷装置(プリンタ)において、印刷が一定期間行われなかった場合、ノズルの残留インクが乾燥して詰まるのを防止するため、ノズルからインクを吐出させてクリーニングするプリンタがある。
このようなプリンタでは、ノズルのクリーニングのためにインクが無駄に消費されてしまう。
【0003】
そこで従来、ノズルのクリーニング処理予定時刻の前にアラームを鳴動し、ユーザにまもなくノズルのクリーニング処理が行われることを報知し、ユーザにノズルのクリーニング処理を兼ねて何らかの印刷を行うように促して、インクをできるだけクリーニングではなく本来の目的である印刷に利用すると共に、ノズルのつまりを防止するようにしたプリンタ(例えば、特許文献1参照)があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来のプリンタでは、印刷が必要でないときに印刷を促されたユーザは、本来必要でない印刷をしてしまうことになり、結果としてインクを無駄遣いしてしまうという問題があった。
この発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、ネットワーク上の複数の印刷装置について、印刷時に、ユーザに対してインクを吐出するノズルが乾燥してしまいそうな印刷装置を優先的に利用することを促すことにより、ノズルのクリーニングによる無駄なインクの消費を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上記の目的を達成するため、ネットワーク上に接続された複数の印刷装置について、印刷先として選択する際の優先度を設定する優先度設定手段と、印刷先の候補にする印刷装置の最終印刷日時から印刷時までの経過日時の範囲を設定する経過日時範囲設定手段と、印刷時に、上記各印刷装置の最終印刷日時を検出する検出手段と、上記検出手段によって検出した最終印刷日時から印刷時までの経過日時が、上記経過日時範囲設定手段によって設定された経過日時の範囲内に含まれる印刷装置を選択する選択手段と、上記選択手段によって選択した印刷装置について、上記優先度設定手段によって設定された優先度の最も高い印刷装置を印刷先として決定する決定手段と、上記決定手段によって決定した印刷装置に印刷先を切り替えても良いか否かを確認する確認手段と、上記確認手段によって印刷先を切り替えても良いことを確認した場合、印刷時に指定された印刷装置から上記決定手段によって決定した印刷装置へ印刷先を切り替える切替手段を備えた情報処理装置を提供する。
【0006】
また、上記のような情報処理装置において、上記印刷装置がモノクロ印刷およびカラー印刷の両方が可能な印刷装置の場合、上記最終印刷日時はモノクロ印刷時には更新されない日時であるようにするとよい。
さらに、上記のような情報処理装置において、上記最終印刷日時は印刷装置においてインクを吐出するノズルのクリーニングが実施されたときにも更新された日時であるようにするとよい。
【0007】
また、上記のような情報処理装置において、上記ネットワーク上に接続された各印刷装置から選択した印刷装置についてグループを作成する作成手段と、上記作成手段によって作成されたグループ内の印刷装置についてのみ、上記選択手段による選択対象とする手段を設けるとよい。
さらに、上記のような情報処理装置において、上記検出手段を、上記ネットワーク上に接続されたサーバ装置から上記ネットワーク上に接続された各印刷装置の最終印刷日時を検出する手段にするとよい。
【0008】
また、コンピュータに、ネットワーク上に接続された複数の印刷装置について、印刷先として選択する際の優先度を設定する優先度設定手順と、印刷先の候補にする印刷装置の最終印刷日時から印刷時までの経過日時の範囲を設定する経過日時範囲設定手順と、印刷時に、上記各印刷装置の最終印刷日時を検出する検出手順と、上記検出手順によって検出した最終印刷日時から印刷時までの経過日時が、上記経過日時範囲設定手順によって設定された経過日時の範囲内に含まれる印刷装置を選択する選択手順と、上記選択手順によって選択した印刷装置について、上記優先度設定手順によって設定された優先度の最も高い印刷装置を印刷先として決定する決定手順と、上記決定手順によって決定した印刷装置に印刷先を切り替えても良いか否かを確認する確認手順と、上記確認手順によって印刷先を切り替えても良いことを確認した場合、印刷時に指定された印刷装置から上記決定手順によって決定した印刷装置へ印刷先を切り替える切替手順を実行させるためのプログラムを提供する。
【0009】
さらに、上記のようなプログラムにおいて、上記印刷装置がモノクロ印刷およびカラー印刷の両方が可能な印刷装置の場合、上記最終印刷日時はモノクロ印刷時には更新されない日時であるようにするとよい。
また、上記のようなプログラムにおいて、上記最終印刷日時は印刷装置においてインクを吐出するノズルのクリーニングが実施されたときにも更新された日時であるようにするとよい。
【0010】
さらに、上記のようなプログラムにおいて、上記ネットワーク上に接続された各印刷装置から選択した印刷装置についてグループを作成する作成手順と、上記作成手順によって作成されたグループ内の印刷装置についてのみ、上記選択手順による選択対象とする手順とを含むようにするとよい。
また、上記のようなプログラムにおいて、上記検出手順は、上記ネットワーク上に接続されたサーバ装置から上記ネットワーク上に接続された各印刷装置の最終印刷日時を検出する手順であるようにするとよい。
さらに、上記いずれかのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。
【発明の効果】
【0011】
この発明による情報処理装置は、ネットワーク上の複数の印刷装置について、印刷時に、ユーザに対してインクを吐出するノズルが乾燥してしまいそうな印刷装置を優先的に利用することを促すことにより、ノズルのクリーニングによる無駄なインクの消費を抑えることができる。
また、この発明によるプログラムは、コンピュータに、ネットワーク上の複数の印刷装置について、印刷時に、ユーザに対してインクを吐出するノズルが乾燥してしまいそうな印刷装置を優先的に利用することを促すことにより、ノズルのクリーニングによる無駄なインクの消費を抑えるようにするための機能を実現させることができる。
さらに、この発明のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、コンピュータに上記プログラムを容易に導入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図3に示すPCの構成を示す機能ブロック図である。
【図2】図3に示すプリンタの構成を示す機能ブロック図である。
【図3】この発明の一実施例であるPCを含む印刷システムの構成を示すブロック図である。
【0013】
【図4】図1に示すPCで設定された印刷先のプリンタ2として選択する際の優先度の一例を示す説明図である。
【図5】図1に示すPCで設定された印刷先の候補にするプリンタ2の最終印刷日時から印刷時までの経過日時の範囲の一例を示す説明図である。
【0014】
【図6】図1に示すPCで検出されたネットワーク上の各プリンタから検出した最終印刷日時の一例を示す説明図である。
【図7】プリントサーバを介して印刷をする印刷システムの構成例を示す図である。
【図8】図7に示すプリントサーバの構成を示す機能ブロック図である。
【0015】
【図9】図1に示すPCにおける印刷時のネットワークプリンタ設定管理部の処理を示すフローチャート図である。
【図10】印刷先変更の確認をするための作業画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図3は、この発明の一実施例であるパーソナルコンピュータ(PC)を含む印刷システムの構成を示すブロック図である。
この印刷システムは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネットを含むネットワーク3を介して通信可能に接続された複数の情報処理装置であるPC1と、そのPC1によって印刷先として利用される複数の印刷装置であるプリンタ2とが接続されている。
【0017】
図1は、図3に示したPC1の構成を示す機能ブロック図である。
PC1は、入力部10、表示部11、記憶部12、および制御部13からなる。
入力部10は、ポインティングデバイス、キーボードを含む入力装置であり、ユーザがPC1に対して、優先度の設定時の入力、経過日時の範囲の設定時の入力、印刷先のプリンタを切り替える了承の入力、およびプリンタのグループを作成する際の入力を含む各種の操作情報を入力する。
【0018】
表示部11は、LCDを含む表示装置であり、ユーザに対して、優先度の設定時の作業画面、経過日時の範囲の設定時の作業画面、印刷先のプリンタを切り替える了承の入力時の作業画面、プリンタのグループを作成する際の作業画面を含む各種の作業画面およびメッセージを表示する。
【0019】
記憶部12は、ハードディスク装置(HDD)を含むコンピュータ読み取り可能に記録媒体である記憶装置であり、PC1上で実行される各種のプログラム、PC1上で作成された各種のデータおよびネットワーク3を介して外部から入力したデータを含む各種の情報を読み出し可能に記憶する。
【0020】
制御部13は、CPU、ROMおよびRAMを含むマイクロコンピュータによって実現され、CPUがRAMを作業領域としてROMに記憶された制御プログラムを実行し、記憶部12に記憶された各種のプログラムを読み出して、同じくRAMを作業領域として実行し、PC1の全体の制御を司る。
【0021】
この制御部13は、予めインストールされたアプリケーション14、プリンタドライバ15、およびプリンタポート16の各プログラムを実行し、アプリケーション14は、文書データ、画像データを含む各種のデータを作成し、印刷時、印刷対象のデータの印刷情報をプリンタドライバ15へ送り、プリンタドライバ15は、アプリケーション14から受け取った印刷情報から印刷データを作成し、プリンタポート16へ送り、プリンタポート16は、ネットワーク3に接続されたプリンタ2へ印刷データを送信する。
【0022】
また、制御部13は、予めインストールされた発明に係るプログラムの優先度設定手順、経過日時範囲設定手順、検出手順、選択手順、決定手順、確認手順、切替手順、作成手順、その選択手順による選択対象とする手順を含む各手順を実行することによって実現されるネットワークプリンタ設定管理部17も備えている。
【0023】
このネットワークプリンタ設定管理部17は、予めネットワーク3上に接続された複数のプリンタ2について、印刷先として選択する際の優先度と、印刷先の候補にするプリンタ2の最終印刷日時(「最終利用日時」とも呼ぶ)から印刷時までの経過日時の範囲を記憶部12に記憶し、その優先度と経過日時の範囲を必要に応じて参照する。
【0024】
上記優先度と上記経過日時の範囲の設定は、それらの設定作業が選択された場合、制御部13が、表示部11に優先度の設定画面、または経過日時の範囲の設定画面を表示し、それらの設定画面に対して入力部10から入力された優先度または経過日時の範囲を記憶部12に記憶し、ネットワークプリンタ設定管理部17が参照可能に設定する。
【0025】
また、ネットワークプリンタ設定管理部17は、印刷時に、プリンタポート16を介してネットワーク3上の各プリンタ2の最終印刷日時を検出する検出手段と、その検出した最終印刷日時から印刷時までの経過日時が、上記設定された経過日時の範囲内に含まれるプリンタ2を選択する選択手段と、その選択したプリンタ2について、上記設定された優先度の最も高いプリンタ2を印刷先として決定する決定手段の機能を果たす。
【0026】
さらに、ネットワークプリンタ設定管理部17は、上記決定したプリンタ2に印刷先を切り替えても良いか否かを確認する確認手段の機能を果たす。
この確認については、ネットワークプリンタ設定管理部17が、表示部11に確認画面を表示し、その確認画面に対して入力部10からユーザによる了承の入力があった場合に、印刷先を切り替えても良いことを確認する。
また、ネットワークプリンタ設定管理部17は、印刷先を切り替えても良いことを確認した場合、プリンタポート16に対して印刷時に指定されたプリンタ2から上記決定したプリンタ2へ印刷先を切り替える切替手段の機能を果たす。
【0027】
さらに、ネットワークプリンタ設定管理部17が、ネットワーク3上に接続された各プリンタ2から選択したプリンタ2についてグループを作成する作成手段と、その作成されたグループ内のプリンタ2についてのみ、上記選択手段による選択対象とする手段の機能を果たすようにすれば、印刷先に切り替える対象となるプリンタ2を制限でき、搭載されたオプション機能の種類が少ないプリンタ2や、印刷の際によく使用する機能が搭載されていないプリンタ2や、印刷を実行したPC1から遠距離にあって印刷された用紙を取りに行くには不便なプリンタ2を切り替え先から除外することができ、ユーザの利便性を高めることができる。
【0028】
上記発明に係るプログラムは、CD、DVDを含む記録媒体に記録されたプログラムを、PC1に内蔵又は接続された図示を省略したドライブ装置によって読み出してインストールするようにしても良いし、ネットワーク3を介して接続された図示を省略したサーバ装置の記録媒体からダウンロードしてインストールするようにしても良い。
【0029】
図2は、図3に示したプリンタ2の構成を示す機能ブロック図である。
プリンタ2は、用紙にノズルからインクを吐出してモノクロ印刷およびカラー印刷を行うプリンタであり、操作部20、表示部21、記憶部22、印刷エンジン部23、ネットワークインタフェース(I/F)部24、最終印刷日時記憶部25、およびコントローラ部26からなる。
【0030】
操作部20は、ユーザがプリンタ2に対して印刷に係る各種の操作情報を入力する操作パネルであり、表示部21は、ユーザに対して印刷に係る各種の情報を表示する表示パネルであり、記憶部22は、印刷データを含む各種のデータを記憶するHDDを含む記憶部22である。
【0031】
印刷エンジン部23は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、およびブラック(K)用のノズルを備え、その各ノズルからそれぞれC、M、Y、およびKのインクを用紙に吐出することにより、モノクロ印刷およびカラー印刷をするため、公知の画像形成、用紙搬送を含む各部であり、ネットワークI/F部24は、ネットワーク3を介してPC1から印刷データを含む各種のデータを受信すると共に、PC1を含む外部の装置に対して最終印刷日時を含む各種の制御データを送信する通信制御を司り、最終印刷日時記憶部25は、プリンタ2において印刷が行われた直近の時間を示す最終印刷日時を記憶するメモリである。この最終印刷日時記憶部25はコントローラ部26の不揮発性メモリに記憶するようにしても良いし、記憶部22に記憶するようにしても良い。
【0032】
コントローラ部26は、CPU、ROMおよびRAMを含むマイクロコンピュータによって実現され、CPUがRAMを作業領域としてROMに記憶された制御プログラムを実行し、プリンタ2の全体の制御を司る。
このコントローラ部26は、ネットワーク3を介して印刷要求のあった場合、印刷エンジン部23を制御し、PC1からの印刷データに基づく印刷を実行する。また、印刷毎に印刷日時を確認し、その印刷日時を最終印刷日時として、最終印刷日時記憶部25に記憶する。そして、ネットワーク3を介してPC1からの要求に基いて最終印刷日時記憶部25に記憶されている最終印刷日時をPC1へ送信する。
【0033】
上記印刷日時の確認は、コントローラ部26の図示を省略する公知のクロック部によってカウントされた日時を用いると良い。
また、最終印刷日時記憶部25に記憶された最終印刷日時は、印刷が実行される度に更新されるが、モノクロ印刷時には更新しないようにする。
このように、モノクロ印刷では他の色のノズルは使用されないため、全ノズルを使用するカラー印刷の場合にのみ更新することにより、ノズルの次のクリーニングまでにかかる日時を正確に見積もることができる。
【0034】
また、最終印刷日時記憶部25に記憶された最終印刷日時は、インクを吐出するノズルのクリーニングが実施されたときにも更新するようにするとよい。
このように、ノズルのクリーニングを実施した日時でも、最終印刷日時を更新することにより、ノズルの次のクリーニングまでにかかる日時を正確に見積もることができる。
【0035】
図4は、図1に示したPC1で設定された印刷先のプリンタ2として選択する際の優先度の一例を示す説明図である。
図4の(a)と(b)は、それぞれネットワーク3上の異なるPC1上で設定された優先度の一例を示す図であり、プリンタ2の優先度は各PC1毎に異なった優先度を設定することができ、例えば、各PC1において、自PC1から設置位置の距離が最も短いプリンタ2を最高位の優先度に設定し、距離が長くなるほど優先順位を下げるように優先度付けを行うことができる。
【0036】
図4の(a)では、ネットワーク3上で使用されるプリンタ名を用いて、印刷先のプリンタ2に決定する優先度が最も高い優先度1として第2プリンタが、2番目の優先度2として第1プリンタが、3番目の優先度3として第3プリンタが設定されている例を示している。
図4の(a)に示した優先度が設定されているPC1では、印刷先として選択されたプリンタ2が、第1プリンタから第3プリンタの場合、優先度1の第2プリンタを、ノズルの乾燥を防止するために優先的に印刷させる印刷先のプリンタに決定する。
【0037】
図4の(b)では、印刷先のプリンタに決定する優先度が最も高い優先度1として第3プリンタ2が、2番目の優先度2として第2プリンタが、3番目の優先度3として第1プリンタが設定されている例を示している。
図4の(b)に示した優先度が設定されているPC1では、印刷先として選択されたプリンタ2が、第1プリンタから第3プリンタの場合、優先度1の第3プリンタを、ノズルの乾燥を防止するために優先的に印刷させる印刷先のプリンタに決定する。
【0038】
図5は、図1に示したPC1で設定された印刷先の候補にするプリンタ2の最終印刷日時から印刷時までの経過日時の範囲の一例を示す説明図である。
この実施例では、経過日時の範囲を時間(hour)単位で、3つの範囲(時間帯)を設定した場合を示している。
【0039】
1つ目の範囲は、プリンタ2の最終印刷日時から印刷時までの経過日時の範囲が、0時間以上〜240時間未満(hour)であり、2つ目の範囲は、プリンタ2の最終印刷日時から印刷時までの経過日時の範囲が、240時間以上〜720時間未満(hour)であり、3つ目の範囲は、プリンタ2の最終印刷日時から印刷時までの経過日時の範囲が、720時間以上(hour)である。
【0040】
上記選択手順では、検出した各プリンタ2の最終印刷日時から印刷時までの経過日時が、同じ範囲内に含まれるプリンタ2については、経過時間が同じものとして扱い、その範囲内に属する各プリンタ2のなかで優先度の最も高いプリンタ2を、印刷先のプリンタに決定する。
【0041】
図6は、図1に示したPC1で検出されたネットワーク3上の各プリンタ2から検出した最終印刷日時の一例を示す説明図である。
この各プリンタ2の最終印刷日時は、ネットワークプリンタ設定管理部17が、印刷時にプリンタポート16を介して各ネットワーク3上のプリンタ2に対してそれぞれ要求して、各プリンタ2から返送される最終印刷日時を取得することによって検出する。
図6に示した例では、最終印刷日時として、西暦年月日と時刻の情報が含まれている。
【0042】
上記ネットワーク3上の各プリンタ2の最終印刷日時については、プリンタ2の電源が切れていて必要なときに取得できない場合を考慮し、プリンタ2の外で管理するようにしてもよい。例えば、ネットワーク3上の各PC1がプリントサーバを経由して所望のプリンタ2に印刷を行わせる場合、そのプリントサーバで管理すると良い。
【0043】
図7は、プリントサーバを介して印刷をする印刷システムの構成例を示す図であり、図3と共通する部分は、同一符号を付している。
この印刷システムには、プリントサーバ4を設けており、各PC1はプリントサーバ4へ印刷先のプリンタ2の情報と共に印刷データを送り、プリントサーバ4が、各PC1から受信した印刷データを指定された印刷先のプリンタ2へ送信して印刷を実行させる。
【0044】
図8は、図7に示したプリントサーバ4の構成を示す機能ブロック図である。
プリントサーバ4は、入力部30、表示部31、記憶部32、および制御部33からなる。
入力部30は、ポインティングデバイス、キーボードを含む入力装置であり、ユーザがプリントサーバ4に対して、各種の操作情報を入力する。
【0045】
表示部31は、LCDを含む表示装置であり、ユーザに対して、各種の作業画面を含む各種の作業画面およびメッセージを表示する。
記憶部32は、ハードディスク装置(HDD)を含むコンピュータ読み取り可能に記録媒体である記憶装置であり、各PC1から受信した印刷データを含む情報を読み出し可能に記憶する。
【0046】
制御部33は、CPU、ROMおよびRAMを含むマイクロコンピュータによって実現され、CPUがRAMを作業領域としてROMに記憶された制御プログラムを実行し、記憶部32に記憶された各種のプログラムを読み出して、同じくRAMを作業領域として実行し、プリントサーバ4の全体の制御を司る。
【0047】
この制御部33は、予めインストールされたプリンタドライバ34、およびプリンタポート35の各プログラムを実行し、各PC1からの印刷依頼時、プリンタドライバ34が、PC1からプリンタポート35を介して受信した印刷データを一旦記憶部32に蓄積した後に読み出して、その印刷データに対して指定された印刷先のプリンタ2へプリンタポート35を介して送信し、印刷先のプリンタ2で印刷させる。
【0048】
また、制御部33は、予めインストールされたプログラムの手順を実行することによって実現されるネットワークプリンタ設定管理部36も備えている。
このネットワークプリンタ設定管理部36は、ネットワーク3上の各プリンタ2から最終印刷日時を収集して保持(例えば、図示を省略した不揮発性メモリ又は記憶部32に記憶して保持)し、各PC1からの要求に応じて保持している時点の各プリンタ2の最終印刷日時を、プリンタポート35を介して要求元のPC1へ送信する。
【0049】
上記収集については、例えば、ネットワーク3上の各プリンタ2が自装置の最終印刷日時の更新の際に、プリントサーバ4へ逐次通知するようにするとよい。
その場合、各プリンタ2のコントローラ部26が、最終印刷日時記憶部25に記憶されている最終印刷日時をネットワークI/F部24を介してプリントサーバ4へ送信し、プリントサーバ4では、ネットワークプリンタ設定管理部36が、プリンタポート35を介して受信した最終印刷日時を、そのプリンタ名を対応させて記憶して保持する。
【0050】
また、ネットワークプリンタ設定管理部36が予め設定された定期時刻にネットワーク3上の各プリンタ2に問い合せて取得するようにしても良い。
その場合、プリントサーバ4のネットワークプリンタ設定管理部36が、定期時刻になると、プリンタポート35を切り替えて各プリンタ2にアクセスして最終印刷日時を要求し、各プリンタ2のコントローラ部26は、最終印刷日時記憶部25に記憶されている最終印刷日時をネットワークI/F部24を介してプリントサーバ4へ返送し、プリントサーバ4では、ネットワークプリンタ設定管理部36が、プリンタポート35を介して受信した最終印刷日時を、そのプリンタ名を対応させて記憶して保持する。
【0051】
また、プリントサーバ4で、各プリンタ2の最終印刷日時を管理する場合、各PC1のネットワークプリンタ設定管理部17は、印刷時にプリントサーバ4に各プリンタ2の最終印刷日時を要求し、プリントサーバ4は、PC1からの要求に応じて保持している時点の各プリンタ2の最終印刷日時を、プリンタポート16を介して要求元のPC1へ送信する。
【0052】
このように、プリントサーバ4で、各プリンタ2の最終印刷日時を管理するようにすれば、PC1側では、最終印刷日時を取得したいプリンタ2が起動していないときでも適切なプリンタ2を推奨することができる。
【0053】
次に、上記PC1における印刷時のネットワークプリンタ設定管理部17の処理について説明する。
図9は、図1に示したPC1における印刷時のネットワークプリンタ設定管理部17の処理を示すフローチャート図である。
【0054】
図1のネットワークプリンタ設定管理部17は、アプリケーション14から印刷先のプリンタ2の指定と、印刷対象の情報が選択され、印刷要求があったときの印刷時、ステップ(図中「S」で示す)1〜10の処理を実行する。
ステップ1で、図3のネットワーク3上の各プリンタ2から、あるいは、図7のプリントサーバ4から、プリンタ2の最終印刷日時を検出し、ステップ2へ進む。
ステップ2では、時間帯(経過日時の範囲)Tnのn=3を設定し、ステップ3へ進む。
【0055】
ステップ3では、まず、既に検出した各プリンタ2の経過日時について、時間帯(経過日時の範囲)T3(図5のT3の経過日時の範囲)に該当する(検出した最終印刷日時から印刷時までの経過日時が、上記設定された経過日時の範囲T3内に含まれる)プリンタがあるか否かを判断し、あればステップ4へ進み、なければステップ10へ進む。
【0056】
ステップ10では、あらたに時間帯(経過日時の範囲)T3からT2(図5のT2の経過日時の範囲)を設定し、ステップ3へ戻り、時間帯T2(図5のT2の経過日時の範囲)に該当する(検出した最終印刷日時から印刷時までの経過日時が、上記設定された経過日時の範囲T2内に含まれる)プリンタがあるか否かを判断し、あればステップ4へ進み、なければステップ10へ進む。
【0057】
さらに、ステップ3の判断で時間帯T2でも該当するプリンタがなければ、ステップ10であらたに時間帯T1を設定し、ステップ3へ戻り、時間帯T2(図5のT2の経過日時の範囲)に該当する(検出した最終印刷日時から印刷時までの経過日時が、上記設定された経過日時の範囲T2内に含まれる)プリンタがあるか否かを判断し、この場合、ネットワーク3上のいずれかのプリンタが該当するので、ステップ4へ進む。
【0058】
上記ステップ1〜3、10の処理において、ネットワークプリンタ設定管理部17に、予めネットワーク3上に接続された各プリンタ2から選択されたグループが作成されている場合、そのグループ内のプリンタ2についてのみ、上記選択手順による選択対象とする。このグループとしては、例えば、PC1から距離が遠くない各プリンタ2を含めると、印刷先として変更を推奨されるプリンタ2について、PC1から遠いものは含まれないようにすることができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0059】
ステップ4では、検出した最終印刷日時から印刷時までの経過日時が、上記設定された時間帯(経過日時の範囲)内に含まれるプリンタ2を選択し、ステップ5へ進む。
ステップ5では、選択したプリンタ2について、予め設定された優先度の最も高いプリンタ2を印刷先として決定し、ステップ6へ進む。
例えば、図4の(a)の優先度が設定されており、上記選択されたプリンタ2が第1プリンタ〜第3プリンタの場合、印刷先として第2プリンタを決定する。
【0060】
ステップ6では、ユーザに対して印刷先の切り替えの確認をし、ステップ7へ進む。
ステップ7では、ユーザに対して印刷先の切り替えの確認で、印刷先の切り替えを了承する切り替えOKか否かを判断し、切り替えOKならステップ8へ進み、切り替えOKでなければステップ9へ進む。
【0061】
ステップ8では、プリンタポート16に対して印刷時に指定された印刷先のプリンタ2から上記決定したプリンタ2が接続されたポートに切り替え、あるいは、印刷先のプリンタ2を切り替え、ステップ9へ進む。
ステップ9では、プリンタポート16のポートに接続されたプリンタ2へ印刷データを、あるいは、プリントサーバ4へ印刷先のプリンタ2を指定する情報と共に印刷データを送信し、この処理を終了する。
【0062】
上記ステップ6では、ネットワークプリンタ設定管理部17は、表示部11に、印刷先変更の確認をするための作業画面を表示する。
図10は、印刷先変更の確認をするための作業画面の一例を示す図である。
例えば、図10に示す作業画面には、「第2プリンタが選択されていますが、第1プリンタが最終印刷日時より240時間以上経過しているため、インクノズルのクリーニングも兼ねて、プリント先を第1プリンタに切り替えます。」のメッセージが表示される。
【0063】
ここで、ネットワーク3上の印刷先のプリンタ2へ直接印刷データを送信する場合は、ユーザによって作業画面中のボタン40が押下され、ネットワークプリンタ設定管理部17に、ユーザから印刷先を変更することについて了承する意志が入力されると、ネットワークプリンタ設定管理部17は、プリンタポート16に対して印刷時に選択された第2プリンタへの接続から、第1プリンタへの接続に切り替え、第1プリンタへ印刷データを送信する。
【0064】
また、プリントサーバ4を介して印刷する場合は、ユーザが作業画面中のボタン40を押下することにより、ネットワークプリンタ設定管理部17に、ユーザから印刷先を変更することについて了承する意志が入力されると、ネットワークプリンタ設定管理部17は、プリンタポート16に対して印刷時に選択された印刷先を第2プリンタから第1プリンタへ変更し、プリントサーバ4へ印刷先を第1プリンタにした印刷データを送信する。
【0065】
また、作業画面中のボタン42が押下されると、印刷先として次の優先度のプリンタ2を印刷先として切り替える候補に表示する。また、ボタン41が押下されると、前の候補を表示する。
さらに、図示を省略するが、印刷先の変更を了承しない意志がユーザから入力された場合、ネットワークプリンタ設定管理部17は、印刷時にユーザによって最初に指定された印刷先のプリンタ2で印刷されるように印刷データを送信する。
【0066】
このようにして、この実施例のPC1によれば、ネットワーク3上の複数のプリンタ2について、印刷時に、ユーザに対してインクを吐出するノズルが乾燥してしまいそうなプリンタ2を優先的に利用することを促すことにより、ノズルのクリーニングによる無駄なインクの消費を抑えることができる。
また、ユーザにとって、ノズルのクリーニングのために無用な印刷が要求されることもなくなり、印刷の利便性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
この発明による情報処理装置とプログラムと記録媒体は、パーソナルコンピュータを含むプリンタに印刷を行わせる装置全般において適用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1:PC 2:プリンタ 3:ネットワーク 4:プリントサーバ 10、30:入力部 11、21、31:表示部 12、22、32:記憶部 13、33:制御部 14:アプリケーション 15、34:プリンタドライバ 16、35:プリンタポート 17、36:ネットワークプリンタ設定管理部 20:操作部 23:印刷エンジン部 24:ネットワークI/F部 25:最終印刷日時記憶部 26:コントローラ部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0069】
【特許文献1】特開2007−290357号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク上に接続された複数の印刷装置について、印刷先として選択する際の優先度を設定する優先度設定手段と、
印刷先の候補にする印刷装置の最終印刷日時から印刷時までの経過日時の範囲を設定する経過日時範囲設定手段と、
印刷時に、前記各印刷装置の最終印刷日時を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出した最終印刷日時から印刷時までの経過日時が、前記経過日時範囲設定手段によって設定された経過日時の範囲内に含まれる印刷装置を選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択した印刷装置について、前記優先度設定手段によって設定された優先度の最も高い印刷装置を印刷先として決定する決定手段と、
前記決定手段によって決定した印刷装置に印刷先を切り替えても良いか否かを確認する確認手段と、
前記確認手段によって印刷先を切り替えても良いことを確認した場合、印刷時に指定された印刷装置から前記決定手段によって決定した印刷装置へ印刷先を切り替える切替手段とを備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記印刷装置がモノクロ印刷およびカラー印刷の両方が可能な印刷装置の場合、前記最終印刷日時はモノクロ印刷時には更新されない日時であることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記最終印刷日時は印刷装置においてインクを吐出するノズルのクリーニングが実施されたときにも更新された日時であることを特徴とする請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記ネットワーク上に接続された各印刷装置から選択した印刷装置についてグループを作成する作成手段と、
前記作成手段によって作成されたグループ内の印刷装置についてのみ、前記選択手段による選択対象とする手段とを設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記検出手段は、前記ネットワーク上に接続されたサーバ装置から前記ネットワーク上に接続された各印刷装置の最終印刷日時を検出する手段であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
コンピュータに、ネットワーク上に接続された複数の印刷装置について、印刷先として選択する際の優先度を設定する優先度設定手順と、印刷先の候補にする印刷装置の最終印刷日時から印刷時までの経過日時の範囲を設定する経過日時範囲設定手順と、印刷時に、前記各印刷装置の最終印刷日時を検出する検出手順と、前記検出手順によって検出した最終印刷日時から印刷時までの経過日時が、前記経過日時範囲設定手順によって設定された経過日時の範囲内に含まれる印刷装置を選択する選択手順と、前記選択手順によって選択した印刷装置について、前記優先度設定手順によって設定された優先度の最も高い印刷装置を印刷先として決定する決定手順と、前記決定手順によって決定した印刷装置に印刷先を切り替えても良いか否かを確認する確認手順と、前記確認手順によって印刷先を切り替えても良いことを確認した場合、印刷時に指定された印刷装置から前記決定手順によって決定した印刷装置へ印刷先を切り替える切替手順とを実行させるためのプログラム。
【請求項7】
前記印刷装置がモノクロ印刷およびカラー印刷の両方が可能な印刷装置の場合、前記最終印刷日時はモノクロ印刷時には更新されない日時である請求項6記載のプログラム。
【請求項8】
前記最終印刷日時は印刷装置においてインクを吐出するノズルのクリーニングが実施されたときにも更新された日時である請求項6又は7記載のプログラム。
【請求項9】
前記ネットワーク上に接続された各印刷装置から選択した印刷装置についてグループを作成する作成手順と、前記作成手順によって作成されたグループ内の印刷装置についてのみ、前記選択手順による選択対象とする手順とを含む請求項6乃至8のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項10】
前記検出手順は、前記ネットワーク上に接続されたサーバ装置から前記ネットワーク上に接続された各印刷装置の最終印刷日時を検出する手順である請求項6乃至9のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項11】
請求項6乃至10のいずれか一項に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−103777(P2012−103777A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249684(P2010−249684)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】