情報処理装置及びその制御方法、並びにプログラム
【課題】プラグインを必要とする動的オブジェクトの印刷において、それぞれ印刷したい所望の瞬間を容易に指示することのできる情報処理装置を提供する。
【解決手段】Webブラウザ10は、ディスプレイ表示レイアウト時、動的オブジェクトの近傍にキャプチャボタンを配置し、キャプチャボタンが押下されると、OSの画面キャプチャ機能を使用して自身の画面キャプチャ画像を取得する。そして、Webブラウザ10は、取得された画面キャプチャ画像から動的オブジェクトの描画領域矩形をクリップし、得られた画像を記憶し、印刷実行時に動的オブジェクトの印刷画像を記憶している各画像に置き換えて印刷データを生成する。
【解決手段】Webブラウザ10は、ディスプレイ表示レイアウト時、動的オブジェクトの近傍にキャプチャボタンを配置し、キャプチャボタンが押下されると、OSの画面キャプチャ機能を使用して自身の画面キャプチャ画像を取得する。そして、Webブラウザ10は、取得された画面キャプチャ画像から動的オブジェクトの描画領域矩形をクリップし、得られた画像を記憶し、印刷実行時に動的オブジェクトの印刷画像を記憶している各画像に置き換えて印刷データを生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びその制御方法、並びにプログラムに関する。特に、動画やFLASH(登録商標)やJAVA(登録商標)等のインタラクティブなコンテンツで構成されるWebページを閲覧する機能に特徴のある情報処理装置及びその制御方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
Webページは日々進化しており、動画やFLASH(登録商標)やJava(登録商標)等によって提供される、動的オブジェクトを含むWebページが増えてきている。多くの場合、これら動的オブジェクトは「プラグイン」と呼ばれるWebブラウザとは別のプログラム上で動作するように作成されている。
【0003】
プラグインとは、Webブラウザに対する機能を動的に追加したり更新したりすることのできるモジュールのことで、プラグインを追加することで、Webブラウザ自体のソースを改変することなく、オブジェクトに対する新たな挙動を定義することが可能となる。プラグイン作成のためのインターフェースが一般に公開されているWebブラウザでは、Webブラウザメーカー以外の非純正のプラグインも広く利用されている。
【0004】
図11は、一般的なWebブラウザの構成図である。
【0005】
Webブラウザ10は、戻るボタン1001、進むボタン1002、読み込み中止ボタン1003、再読み込みボタン1004、印刷ボタン1005等が配置されたツールバー領域1006を備えている。また、実際のWebコンテンツはビュー領域1007に展開されて表示される。
【0006】
ビュー領域1007にはスクロールバー1008が備わっており、ビュー領域1007に収まりきらないオブジェクトは、スクロールバー1008をマウス操作によりスクロールすることで閲覧可能となる。
【0007】
また、図11では、Webブラウザ10のビュー領域1007に3つの動的オブジェクト1010、1011、1012が配置されている例を示している。これらの領域内は全て上記で示したようなプラグインによって画像表示やマウスイベントの処理等が管理されている。
【0008】
一方、これらの動的オブジェクトは、主にディスプレイ上での閲覧を前提に設計されているため、印刷する際には思い通りの結果とならないことが多い。
【0009】
図11における印刷ボタン1005を使用して紙に印刷した例を図12に示す。
【0010】
動的オブジェクト1010は、印刷結果1110に示すように、白抜き印刷されている。また、動的オブジェクト1011は、印刷結果1111に示すように、黒べたで印刷されている。更に、動的オブジェクト1012は、印刷結果1112に示すように、ユーザーの求めない中途半端なタイミングで印刷されている。
【0011】
このように、プラグインで表示されている領域の印刷結果は、プラグインの実装に依存しており、ユーザーの意図した瞬間の画像を印刷結果とすることは難しい。ユーザーの意図した瞬間を印刷するために、ユーザーが画面のキャプチャを取り、それを印刷する手法を取ることも考えられる。
【0012】
しかしながら、図13に示すように、一度にディスプレイに収まる部分のキャプチャしか取得することができないため、印刷結果はウィンドウの大きさに依存してしまい利便性が悪い。
【0013】
これらの課題を解決するために、コンテンツに含まれる動画からユーザーの指定したいくつかのタイミングでの静止画を提示し、選択した静止画を印刷できるようにする技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2000−181924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上記特許文献1で提案されている手段では、動画から印刷したい静止画像を取得するために、予め取得用パラメータを設定する必要がある。このため、ユーザーの応答に応じて動作するインタラクティブなコンテンツや、リアルタイミングで変化するオンラインゲーム等のコンテンツにおいて、ユーザーの求める瞬間の画像を印刷対象としたい場合、実現が困難である。
【0016】
また、図11のように、複数のプラグインを必要とするコンテンツの印刷ではそれぞれに対して求める瞬間の画像を印刷対象としたいが、それぞれに対して設定を行うのは非常に煩雑な操作を要する。
【0017】
本発明の目的は、プラグインを必要とする動的オブジェクトの印刷において、それぞれ印刷したい所望の瞬間を容易に指示することのできる情報処理装置及びその制御方法、並びにプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、請求項1記載の情報処理装置は、動的コンテンツの所定のタイミングにおける画像を特定するための指示を、表示されるWebページに含まれる複数の動的オブジェクトそれぞれに対して行う指示手段と、前記複数の動的オブジェクト毎に、前記指示手段によって指示されたタイミングにおける画像を記憶する記憶手段と、前記Webページの印刷実行時に、前記複数の動的オブジェクトに対応する印刷画像として前記記憶手段が記憶している各画像を用いて印刷データを生成する生成手段と、を備えることを特徴とする。
【0019】
請求項4記載の情報処理装置の制御方法は、動的コンテンツの所定のタイミングにおける画像を特定するための指示を、表示されるWebページに含まれる複数の動的オブジェクトそれぞれに対して行う指示ステップと、前記複数の動的オブジェクト毎に、前記指示ステップで指示されたタイミングにおける画像を記憶する記憶ステップと、前記Webページの印刷実行時に、前記複数の動的オブジェクトに対応する印刷画像として前記記憶ステップで記憶されている各画像を用いて印刷データを生成する生成ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0020】
請求項5記載のプログラムは、動的コンテンツの所定のタイミングにおける画像を特定するための指示を、表示されるWebページに含まれる複数の動的オブジェクトそれぞれに対して行う指示ステップと、前記複数の動的オブジェクト毎に、前記指示ステップで指示されたタイミングにおける画像を記憶する記憶ステップと、前記Webページの印刷実行時に、前記複数の動的オブジェクトに対応する印刷画像として前記記憶ステップで記憶されている各画像を用いて印刷データを生成する生成ステップと、を備えることを特徴とする情報処理装置の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、プラグインを必要とする動的オブジェクトの印刷において、それぞれ印刷したい所望の瞬間を容易に指示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態に係る情報処理装置の外部環境を含めたシステム全体の構成図である。
【図2】図1のコンピュータ1の内部システムを示すブロック構成図である。
【図3】図1におけるページ表示部103がWebブラウザ10のビュー領域1007に対して行うオブジェクト配置処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】図3のフローによりページ表示部103がビュー領域1007に対してオブジェクト配置を行ったときの一例を示す図である。
【図5】図3のステップS105で使用するプラグイン管理DBの一例を示す図である。
【図6】図1における入力制御部104が動作するイベント処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】図3のステップS106で使用するキャプチャオブジェクトDBの一例を示す図である。
【図8】図1のコンピュータ1によって実行される印刷処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】図8のステップS307で実行されるページ内描画処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】図1におけるWebブラウザ10からの印刷結果の一例を示す図である。
【図11】一般的なWebブラウザの構成図である。
【図12】Webページの印刷失敗例を示す図である(その1)。
【図13】Webページの印刷失敗例である(その2)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施の形態に係る情報処理装置の外部環境を含めたシステム全体の構成図である。
【0025】
図1において、情報処理装置としてのコンピュータ1は、イーサネット(登録商標)等のネットワークインターフェースでインターネット2及びプリンタ3と接続されている。
【0026】
コンピュータ1において、Webブラウザ10は、コンピュータ1のオペレーティングシステム上でアプリケーションとして動作する。Webブラウザ10を構成するコンポーネントであるネットワーク制御部101は、インターネット2からWebコンテンツ取得等の処理を行う。
【0027】
同じくWebブラウザ10の内部コンポーネントであるページ保存部102は、ネットワーク制御部101によって取得されたWebコンテンツをメモリやハードディスク等の記憶装置に保存し、あるいは外部コンポーネントの要求に応じて取り出す。ページ表示部103は、ページ保存部102によって保存されたWebページを取り出して、HTML言語の記述を解釈して画面に表示する処理を行う。
【0028】
次に、入力制御部104は、Webブラウザ10のメニューコマンドや、Webページ中に表示されているリンクやボタンに対する入力を検知して対応する処理を行う。例えば、Webページ中のリンクをクリックする操作が入力されたら、そのリンク先のWebページの取得をネットワーク制御部101に指示する。
【0029】
印刷制御部105は、Webページの印刷プレビュー表示やレイアウト変更、印刷等の処理を行うコンポーネントである。
【0030】
グラフィックエンジン11は、オペレーティングシステムの描画処理を制御するコンポーネントで、印刷制御部105からの描画命令を仲介する役割をする。プリンタドライバ12は、グラフィックエンジン11によって仲介される描画命令を入力として受け、プリンタ3が解釈可能なPDLデータに変換して出力するソフトウェアである。
【0031】
プリンタ3は、プリンタドライバ12によって出力されたPDLデータをネットワーク経由で受信し、印刷出力する。尚、プリンタ3は、ここではコンピュータ1とイーサネット(登録商標)等で接続されたデジタル複合機の例で示しているが、本発明は、これに限定されず、USBインターフェースで接続されたインクジェットプリンタ等でもよい。
【0032】
図2は、図1のコンピュータ1の内部システムを示すブロック構成図である。
【0033】
CPU201は、ROM202あるいはRAM203あるいは外部記憶装置205に格納されたプログラムに従って装置全体の制御を行う。RAM203は、CPU201が各種処理を行う際のワークエリアとして使用される。
【0034】
外部記憶装置205は、オペレーティングシステム(OS)やアプリケーションソフト、プリンタドライバソフト等を記録する。キーボード204もしくは図示していないマウス等の入力機器は、ユーザーが各種指示を与えるためのデバイスである。
【0035】
ネットワークI/F206及びプリンタI/F207は、イーサネット(登録商標)または専用インターフェースを介してプリンタ3と接続し、データの授受を行うためのインターフェースである。モニタI/F208は、モニタに接続し、表示データの転送を行うためのインターフェースである。また、システムバス209は共通データバスである。
【0036】
図3は、図1におけるページ表示部103がWebブラウザ10のビュー領域1007に対して行うオブジェクト配置処理の手順を示すフローチャートである。
【0037】
まず、ステップS101の処理開始後、ステップS102において、CPU201(Webブラウザ10)は、ページ保存部102から取り出したHTMLの解析を行う。ここではHTMLの文法を解釈し、存在する全ての描画オブジェクト(ボタン)をページ表示部103の管理する形式に変換してRAM203に格納する。
【0038】
全ての描画オブジェクトに対してHTMLの解析を繰り返すと(ステップS103)、ステップS104では、CPU201は、オブジェクトの判別を行い、ステップS105にて、CPU201は、それがプラグインを必要とするオブジェクトかどうかを判断する。
【0039】
この判断のために、例えば、後述する図5に示すようなプラグイン管理DBを使用する。プラグインを必要としないオブジェクトであった場合には、ステップS108において、CPU201は、レイアウトを行い、オブジェクト配置を行う。
【0040】
一方、プラグインを必要とするオブジェクトである場合、ステップS106において、CPU201は、キャプチャオブジェクトDBへの登録を行う。キャプチャオブジェクトDBに関しては、図7を用いて後述する。
【0041】
次に、ステップS107において、CPU201は、ディスプレイ表示レイアウト時、動的オブジェクトの近傍へのトグルボタン領域の確保とトグルボタン(キャプチャボタン)のレイアウト配置を行う(配置手段)。そして、CPU201は、ステップS108において、プラグインを必要とするオブジェクトの配置を行う。
【0042】
ステップS107とステップS108の処理を行うことで、Webブラウザ10の中のビュー領域1007には、プラグインを必要とするオブジェクトの近傍にそれぞれトグルボタンが配置されることになる。全てのオブジェクトの配置が終わったら(ステップS109)終了となる。
【0043】
図4は、図3のフローによりページ表示部103がビュー領域1007に対してオブジェクト配置を行ったときの一例を示す図である。
【0044】
HTML解釈によりプラグインを必要とすると判断された動的オブジェクト1010〜1012の近傍にそれぞれトグルボタン410〜412が配置されている。これによりユーザーは、時間と共に刻々と変わるそれぞれのオブジェクトに対して、印刷を行いたいと思う瞬間にトグルボタンを押下することが可能である。トグルボタンを押下したときの処理に関しては図6を用いて後述する。
【0045】
図5は、図3のステップS105で使用するプラグイン管理DBの一例を示す図である。
【0046】
プラグイン管理DBは、Webコンテンツとしてリンクされているファイルの拡張子502毎にプラグイン名503が対応付けられたDBであり、外部記憶装置205内に保存されている。各拡張子502は拡張子ID501で管理される。
【0047】
プラグインは、前述の通り、Webブラウザ10に対して動的に追加が可能なモジュールである。新たなプラグインが追加されたときには、本プラグイン管理DBに拡張子IDを一つ追加してプラグイン管理DBを更新する。
【0048】
尚、プラグイン管理DBでは、ビュー領域1007への表示とイベント管理を行うことのできるプラグインのみを管理対象とする。ここでは簡単のため、拡張子とプラグインを対応付けて管理する例を示しているが、HTMLのタグから取得した別の情報を元に、プラグインの特定を行っている場合も本発明は適応できる。
【0049】
図6は、図1における入力制御部104が動作するイベント処理の手順を示すフローチャートである。
【0050】
本発明に関係するところとして、図4で配置したトグルボタン410〜412をユーザーがマウス押下した際の動作を中心に記載してある。
【0051】
ステップS201の処理開始の後に、ステップS202において、CPU201は、マウスイベントを感知すると、まず、ステップS203において、対象が先述のトグルボタンであるかどうかを確認する。トグルボタンでない場合は、それぞれのイベントに対する該当処理を行う(ステップS206)。他のマウスイベントに対する挙動はここでは説明を割愛する。
【0052】
トグルボタンである場合には、ステップS204において、CPU201は、OSの提供するキーボードイベントAPIをコールし、自身のウィンドウに対するウィンドウキャプチャをクリップボードに対して保存する。ステップS204は、配置されたトグルボタンが押下されると、OSの画面キャプチャ機能を使用して自身の画面キャプチャ画像を取得するキャプチャ手段として機能する。
【0053】
前記動的オブジェクト毎に、前記クリップ手段により得られた画像を記憶する記憶手段
ここで、クリップボードとは、OSが管理するRAM203上のメモリ領域であり、コピーアンドペースト等の一時的なデータ保持のために用いられる。Webブラウザ10自身のウィンドウのキャプチャ情報がクリップボードに保存されると、次に、ステップS205において、CPU201は、ブラウザレイアウト情報を参照する。
【0054】
ブラウザレイアウト情報とは、即ち、ページ表示部103が、図3のフローにおいてレイアウトを行った結果の配置情報を指している。ブラウザレイアウト情報を参照したら、ステップS207において、CPU201は、現在クリップボードに保存されているイメージ画像のどこの矩形に該当オブジェクトが存在するかを算出する。ここで、該当オブジェクトとは、押下されたトグルボタンに対応するオブジェクト(プラグインを必要とする)を指している。
【0055】
次に、ステップS208において、CPU201は、クリップボードに保存されたウィンドウキャプチャから該当矩形のクリップ(切り出し)処理を行う。これにより、プラグインが表示している領域のボタン押下時の画像イメージをRAM203に格納することができる(ステップS209)。
【0056】
ステップS208は、キャプチャ手段により取得された画面キャプチャ画像から動的オブジェクトの描画領域矩形をクリップするクリップ手段として機能する。ステップS209は、動的オブジェクト毎に、クリップ手段により得られた画像を記憶する記憶手段として機能する。記憶手段は、同一の前記動的オブジェクトに対して複数の画像を記憶する。
【0057】
RAM203に格納された画像は、前述のキャプチャオブジェクトDBにポインタとして保存され、Webブラウザ10によって管理される。以上の処理が終わったらトグルイベントに対する処理は終了であるため(ステップS210)、再度マウスイベントを待ち受ける処理に戻る。
【0058】
図7は、図3のステップS106で使用するキャプチャオブジェクトDBの一例を示す図である。
【0059】
現在閲覧中のWebページにおいてプラグインを必要とするオブジェクトは、ステップS106の繰り返しにより全てこのキャプチャオブジェクトDBに登録されている。キャプチャオブジェクトDBは、オブジェクトID701、オブジェクトURL702、キャンバス内矩形703、拡張子ID704、キャプチャ画像ポインタ705とで構成されている。オブジェクトURL702はそれぞれのオブジェクトが存在するURLを示している。
【0060】
図7は、httpプロトコルの絶対パスで管理している例であるが、相対パスで管理されていてもよい。キャンバス内矩形703は、現在のWebブラウザ10のビュー領域1007において左上を原点とした時にオブジェクトが占有する領域の矩形を示している。
【0061】
本矩形情報は、スクロールバー1008を操作したときやウィンドウサイズを変更したとき等、レイアウトし直しによる再描画が行われるたびに更新されることになる。また、本矩形情報は、図6のステップS207において、クリップボード上のウィンドウキャプチャ画像から該当オブジェクトの矩形情報を算出する際に使用される。算出には他にWebブラウザ10上のメニューバーやツールバー領域1006の高さも考慮される。
【0062】
拡張子ID704は、図5における拡張子ID501のどの拡張子が使用されているかを示すものであり、これにより使用しているプラグインを特定することができる。キャプチャ画像ポインタ705は、図6におけるステップS209で保存した画像のポインタが格納されている。
【0063】
トグルボタンの押下されたオブジェクトでは、このキャプチャ画像ポインタ705にポインタが格納され、まだトグルボタンの押下されていないオブジェクトでは、このキャプチャ画像ポインタ705にはNullが格納されている。これらの情報は、全てオブジェクトID701で管理されている。
【0064】
図8は、図1のコンピュータ1によって実行される印刷処理の手順を示すフローチャートである。実際の印刷動作は、プリンタドライバ12によってプリンタ3で実行される。
【0065】
Webブラウザ10における印刷は、例えば、ツールバー領域1006上の印刷ボタン1005がユーザーによって押下されたときに実行される。印刷時には(ステップS301)、まず、CPU201は、HTMLを解析して(ステップS302)、印刷レイアウトの決定を行う(ステップS303)。レイアウト作業は、HTMLの中で印刷対象となるオブジェクトを全て矩形情報として扱い、各用紙のページ毎にそれらの矩形を敷き詰めていく作業である。
【0066】
尚、HTMLに印刷専用のタグが記載されているときは、それを参照してレイアウト決定を行う。次に、ステップS304において、CPU201は、OSのAPIを使用して印刷ジョブ開始コマンドを発行する。
【0067】
更に、ステップS306において、CPU201は、ページ開始コマンドを発行する。その後、ステップS307において、CPU201は、先ほどレイアウト決定を行ったオブジェクトの実際の描画処理を行う。描画処理の詳細は図9にて後述する。
【0068】
ページ内の全てのオブジェクトに対して描画処理が終了すると、ステップS308で、CPU201は、ページ終了コマンドを発行する。全てのページで描画処理が終了したら(ステップS309)、ステップS310において、CPU201は、印刷ジョブ終了コマンドを発行して印刷を終了する。
【0069】
尚、以上の処理は、全てWebブラウザ10がOSのAPIを通して行い、OSはそれを受けてグラフィックエンジン11を使用してプリンタドライバ12への印刷指示を行う。
【0070】
図9は、図8のステップS307で実行されるページ内描画処理の手順を示すフローチャートである。
【0071】
処理を開始し(ステップS401)、CPU201は、ページ内の全オブジェクトを描画したとき(ステップS402)、ステップS403において、印刷対象となるオブジェクトの種類を判別する。次に、ステップS404で、CPU201は、上記オブジェクトがプラグインを使用しているオブジェクトかどうかによって処理を切り替える。
【0072】
この判断においても、図5に示すようなプラグイン管理DBを使用することができる。プラグインを必要としないオブジェクトの場合は、通常通り該当するオブジェクトから描画オブジェクトを作成する(ステップS413)。描画オブジェクトとは、例えば、イメージやグラフィック、テキスト等のグラフィックエンジン11が理解できる形式のオブジェクトを指している。
【0073】
一方、オブジェクトがプラグインを必要とするオブジェクトである場合には、ステップS405において、CPU201は、まず前述のキャプチャオブジェクトDBを参照する。次に、CPU201は、オブジェクトの内容からオブジェクトIDを特定し(ステップS406)、キャプチャ画像ポインタ705を参照することで、キャプチャ画像の有り無しを判断する(ステップS407)。
【0074】
キャプチャ画像が存在する場合には、ステップS408において、CPU201は、キャプチャオブジェクトDBのキャプチャ画像ポインタからキャプチャ画像を取得し、キャプチャ画像を描画オブジェクトとする(ステップS409)。ステップS409は、印刷実行時に動的オブジェクトの印刷画像を記憶手段が記憶している各画像に置き換えて印刷データを生成する生成手段として機能する。
【0075】
尚、この場合、描画オブジェクトの属性はイメージ属性であり、解像度はディスプレイの解像度と等しくなる。また、キャプチャ画像が存在しない場合には、ステップS412において該当するプラグインから描画オブジェクトを取得する。
【0076】
この場合の描画オブジェクトはプラグインの実装に依存し、テキスト、グラフィックス、イメージ等さまざまな属性での描画オブジェクトが考えられる。CPU201は、以上のフローにより得られた描画オブジェクトをステップS410において、描画コマンドの形でOSに対して発行する。ページ内の全てのオブジェクトに対して描画コマンドを発行したら(ステップS411)、ページ内描画処理は終了となる。
【0077】
図10は、図1におけるWebブラウザ10からの印刷結果の一例を示す図である。
【0078】
全ての動的オブジェクト1310、1311、1312に対してそれぞれユーザーの求める所定のタイミングを指定することができるため、よりユーザーの求める印刷結果を得ることができる。また、OSのキャプチャ機能を使用するため、プラグインの実装によらずに見たままの印刷結果を得ることができる。
【0079】
尚、本実施の形態では、キャプチャボタンとしてトグルボタンを採用しているが、オンかオフにこだわる必要はなく、複数回数キャプチャを可能にするようなボタンの配置を行っても本発明は実施することができる。
【0080】
複数回数キャプチャを行った場合は、印刷時にどの画像を使用するかをユーザーに入力させてもよいし、与えられた矩形の中に縮小して複数はめ込んで印刷するようにしてもよい。縮小して複数はめ込む場合、図9におけるステップS406において矩形内への再配置を行うことで実現可能である。
【0081】
また、本実施の形態では、簡単のためレイアウトやオブジェクト画像の取得をWebブラウザ自身が行う例を示している。別のレイアウトエンジンやレンダリングエンジンを使用している場合には、それらのエンジンが行った結果に対して、後から差し替えてユーザーに提供することでも本発明は実施可能である。上記エンジンがオーバーライド可能なインターフェースを有している場合は、それらを活用して本発明を実施してもよい。
【0082】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0083】
1 コンピュータ
2 インターネット
3 プリンタ
10 Webブラウザ
11 グラフィックエンジン
12 プリンタドライバ
101 ネットワーク制御部
102 ページ保存部
103 ページ表示部
104 入力制御部
105 印刷制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びその制御方法、並びにプログラムに関する。特に、動画やFLASH(登録商標)やJAVA(登録商標)等のインタラクティブなコンテンツで構成されるWebページを閲覧する機能に特徴のある情報処理装置及びその制御方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
Webページは日々進化しており、動画やFLASH(登録商標)やJava(登録商標)等によって提供される、動的オブジェクトを含むWebページが増えてきている。多くの場合、これら動的オブジェクトは「プラグイン」と呼ばれるWebブラウザとは別のプログラム上で動作するように作成されている。
【0003】
プラグインとは、Webブラウザに対する機能を動的に追加したり更新したりすることのできるモジュールのことで、プラグインを追加することで、Webブラウザ自体のソースを改変することなく、オブジェクトに対する新たな挙動を定義することが可能となる。プラグイン作成のためのインターフェースが一般に公開されているWebブラウザでは、Webブラウザメーカー以外の非純正のプラグインも広く利用されている。
【0004】
図11は、一般的なWebブラウザの構成図である。
【0005】
Webブラウザ10は、戻るボタン1001、進むボタン1002、読み込み中止ボタン1003、再読み込みボタン1004、印刷ボタン1005等が配置されたツールバー領域1006を備えている。また、実際のWebコンテンツはビュー領域1007に展開されて表示される。
【0006】
ビュー領域1007にはスクロールバー1008が備わっており、ビュー領域1007に収まりきらないオブジェクトは、スクロールバー1008をマウス操作によりスクロールすることで閲覧可能となる。
【0007】
また、図11では、Webブラウザ10のビュー領域1007に3つの動的オブジェクト1010、1011、1012が配置されている例を示している。これらの領域内は全て上記で示したようなプラグインによって画像表示やマウスイベントの処理等が管理されている。
【0008】
一方、これらの動的オブジェクトは、主にディスプレイ上での閲覧を前提に設計されているため、印刷する際には思い通りの結果とならないことが多い。
【0009】
図11における印刷ボタン1005を使用して紙に印刷した例を図12に示す。
【0010】
動的オブジェクト1010は、印刷結果1110に示すように、白抜き印刷されている。また、動的オブジェクト1011は、印刷結果1111に示すように、黒べたで印刷されている。更に、動的オブジェクト1012は、印刷結果1112に示すように、ユーザーの求めない中途半端なタイミングで印刷されている。
【0011】
このように、プラグインで表示されている領域の印刷結果は、プラグインの実装に依存しており、ユーザーの意図した瞬間の画像を印刷結果とすることは難しい。ユーザーの意図した瞬間を印刷するために、ユーザーが画面のキャプチャを取り、それを印刷する手法を取ることも考えられる。
【0012】
しかしながら、図13に示すように、一度にディスプレイに収まる部分のキャプチャしか取得することができないため、印刷結果はウィンドウの大きさに依存してしまい利便性が悪い。
【0013】
これらの課題を解決するために、コンテンツに含まれる動画からユーザーの指定したいくつかのタイミングでの静止画を提示し、選択した静止画を印刷できるようにする技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2000−181924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上記特許文献1で提案されている手段では、動画から印刷したい静止画像を取得するために、予め取得用パラメータを設定する必要がある。このため、ユーザーの応答に応じて動作するインタラクティブなコンテンツや、リアルタイミングで変化するオンラインゲーム等のコンテンツにおいて、ユーザーの求める瞬間の画像を印刷対象としたい場合、実現が困難である。
【0016】
また、図11のように、複数のプラグインを必要とするコンテンツの印刷ではそれぞれに対して求める瞬間の画像を印刷対象としたいが、それぞれに対して設定を行うのは非常に煩雑な操作を要する。
【0017】
本発明の目的は、プラグインを必要とする動的オブジェクトの印刷において、それぞれ印刷したい所望の瞬間を容易に指示することのできる情報処理装置及びその制御方法、並びにプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、請求項1記載の情報処理装置は、動的コンテンツの所定のタイミングにおける画像を特定するための指示を、表示されるWebページに含まれる複数の動的オブジェクトそれぞれに対して行う指示手段と、前記複数の動的オブジェクト毎に、前記指示手段によって指示されたタイミングにおける画像を記憶する記憶手段と、前記Webページの印刷実行時に、前記複数の動的オブジェクトに対応する印刷画像として前記記憶手段が記憶している各画像を用いて印刷データを生成する生成手段と、を備えることを特徴とする。
【0019】
請求項4記載の情報処理装置の制御方法は、動的コンテンツの所定のタイミングにおける画像を特定するための指示を、表示されるWebページに含まれる複数の動的オブジェクトそれぞれに対して行う指示ステップと、前記複数の動的オブジェクト毎に、前記指示ステップで指示されたタイミングにおける画像を記憶する記憶ステップと、前記Webページの印刷実行時に、前記複数の動的オブジェクトに対応する印刷画像として前記記憶ステップで記憶されている各画像を用いて印刷データを生成する生成ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0020】
請求項5記載のプログラムは、動的コンテンツの所定のタイミングにおける画像を特定するための指示を、表示されるWebページに含まれる複数の動的オブジェクトそれぞれに対して行う指示ステップと、前記複数の動的オブジェクト毎に、前記指示ステップで指示されたタイミングにおける画像を記憶する記憶ステップと、前記Webページの印刷実行時に、前記複数の動的オブジェクトに対応する印刷画像として前記記憶ステップで記憶されている各画像を用いて印刷データを生成する生成ステップと、を備えることを特徴とする情報処理装置の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、プラグインを必要とする動的オブジェクトの印刷において、それぞれ印刷したい所望の瞬間を容易に指示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態に係る情報処理装置の外部環境を含めたシステム全体の構成図である。
【図2】図1のコンピュータ1の内部システムを示すブロック構成図である。
【図3】図1におけるページ表示部103がWebブラウザ10のビュー領域1007に対して行うオブジェクト配置処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】図3のフローによりページ表示部103がビュー領域1007に対してオブジェクト配置を行ったときの一例を示す図である。
【図5】図3のステップS105で使用するプラグイン管理DBの一例を示す図である。
【図6】図1における入力制御部104が動作するイベント処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】図3のステップS106で使用するキャプチャオブジェクトDBの一例を示す図である。
【図8】図1のコンピュータ1によって実行される印刷処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】図8のステップS307で実行されるページ内描画処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】図1におけるWebブラウザ10からの印刷結果の一例を示す図である。
【図11】一般的なWebブラウザの構成図である。
【図12】Webページの印刷失敗例を示す図である(その1)。
【図13】Webページの印刷失敗例である(その2)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施の形態に係る情報処理装置の外部環境を含めたシステム全体の構成図である。
【0025】
図1において、情報処理装置としてのコンピュータ1は、イーサネット(登録商標)等のネットワークインターフェースでインターネット2及びプリンタ3と接続されている。
【0026】
コンピュータ1において、Webブラウザ10は、コンピュータ1のオペレーティングシステム上でアプリケーションとして動作する。Webブラウザ10を構成するコンポーネントであるネットワーク制御部101は、インターネット2からWebコンテンツ取得等の処理を行う。
【0027】
同じくWebブラウザ10の内部コンポーネントであるページ保存部102は、ネットワーク制御部101によって取得されたWebコンテンツをメモリやハードディスク等の記憶装置に保存し、あるいは外部コンポーネントの要求に応じて取り出す。ページ表示部103は、ページ保存部102によって保存されたWebページを取り出して、HTML言語の記述を解釈して画面に表示する処理を行う。
【0028】
次に、入力制御部104は、Webブラウザ10のメニューコマンドや、Webページ中に表示されているリンクやボタンに対する入力を検知して対応する処理を行う。例えば、Webページ中のリンクをクリックする操作が入力されたら、そのリンク先のWebページの取得をネットワーク制御部101に指示する。
【0029】
印刷制御部105は、Webページの印刷プレビュー表示やレイアウト変更、印刷等の処理を行うコンポーネントである。
【0030】
グラフィックエンジン11は、オペレーティングシステムの描画処理を制御するコンポーネントで、印刷制御部105からの描画命令を仲介する役割をする。プリンタドライバ12は、グラフィックエンジン11によって仲介される描画命令を入力として受け、プリンタ3が解釈可能なPDLデータに変換して出力するソフトウェアである。
【0031】
プリンタ3は、プリンタドライバ12によって出力されたPDLデータをネットワーク経由で受信し、印刷出力する。尚、プリンタ3は、ここではコンピュータ1とイーサネット(登録商標)等で接続されたデジタル複合機の例で示しているが、本発明は、これに限定されず、USBインターフェースで接続されたインクジェットプリンタ等でもよい。
【0032】
図2は、図1のコンピュータ1の内部システムを示すブロック構成図である。
【0033】
CPU201は、ROM202あるいはRAM203あるいは外部記憶装置205に格納されたプログラムに従って装置全体の制御を行う。RAM203は、CPU201が各種処理を行う際のワークエリアとして使用される。
【0034】
外部記憶装置205は、オペレーティングシステム(OS)やアプリケーションソフト、プリンタドライバソフト等を記録する。キーボード204もしくは図示していないマウス等の入力機器は、ユーザーが各種指示を与えるためのデバイスである。
【0035】
ネットワークI/F206及びプリンタI/F207は、イーサネット(登録商標)または専用インターフェースを介してプリンタ3と接続し、データの授受を行うためのインターフェースである。モニタI/F208は、モニタに接続し、表示データの転送を行うためのインターフェースである。また、システムバス209は共通データバスである。
【0036】
図3は、図1におけるページ表示部103がWebブラウザ10のビュー領域1007に対して行うオブジェクト配置処理の手順を示すフローチャートである。
【0037】
まず、ステップS101の処理開始後、ステップS102において、CPU201(Webブラウザ10)は、ページ保存部102から取り出したHTMLの解析を行う。ここではHTMLの文法を解釈し、存在する全ての描画オブジェクト(ボタン)をページ表示部103の管理する形式に変換してRAM203に格納する。
【0038】
全ての描画オブジェクトに対してHTMLの解析を繰り返すと(ステップS103)、ステップS104では、CPU201は、オブジェクトの判別を行い、ステップS105にて、CPU201は、それがプラグインを必要とするオブジェクトかどうかを判断する。
【0039】
この判断のために、例えば、後述する図5に示すようなプラグイン管理DBを使用する。プラグインを必要としないオブジェクトであった場合には、ステップS108において、CPU201は、レイアウトを行い、オブジェクト配置を行う。
【0040】
一方、プラグインを必要とするオブジェクトである場合、ステップS106において、CPU201は、キャプチャオブジェクトDBへの登録を行う。キャプチャオブジェクトDBに関しては、図7を用いて後述する。
【0041】
次に、ステップS107において、CPU201は、ディスプレイ表示レイアウト時、動的オブジェクトの近傍へのトグルボタン領域の確保とトグルボタン(キャプチャボタン)のレイアウト配置を行う(配置手段)。そして、CPU201は、ステップS108において、プラグインを必要とするオブジェクトの配置を行う。
【0042】
ステップS107とステップS108の処理を行うことで、Webブラウザ10の中のビュー領域1007には、プラグインを必要とするオブジェクトの近傍にそれぞれトグルボタンが配置されることになる。全てのオブジェクトの配置が終わったら(ステップS109)終了となる。
【0043】
図4は、図3のフローによりページ表示部103がビュー領域1007に対してオブジェクト配置を行ったときの一例を示す図である。
【0044】
HTML解釈によりプラグインを必要とすると判断された動的オブジェクト1010〜1012の近傍にそれぞれトグルボタン410〜412が配置されている。これによりユーザーは、時間と共に刻々と変わるそれぞれのオブジェクトに対して、印刷を行いたいと思う瞬間にトグルボタンを押下することが可能である。トグルボタンを押下したときの処理に関しては図6を用いて後述する。
【0045】
図5は、図3のステップS105で使用するプラグイン管理DBの一例を示す図である。
【0046】
プラグイン管理DBは、Webコンテンツとしてリンクされているファイルの拡張子502毎にプラグイン名503が対応付けられたDBであり、外部記憶装置205内に保存されている。各拡張子502は拡張子ID501で管理される。
【0047】
プラグインは、前述の通り、Webブラウザ10に対して動的に追加が可能なモジュールである。新たなプラグインが追加されたときには、本プラグイン管理DBに拡張子IDを一つ追加してプラグイン管理DBを更新する。
【0048】
尚、プラグイン管理DBでは、ビュー領域1007への表示とイベント管理を行うことのできるプラグインのみを管理対象とする。ここでは簡単のため、拡張子とプラグインを対応付けて管理する例を示しているが、HTMLのタグから取得した別の情報を元に、プラグインの特定を行っている場合も本発明は適応できる。
【0049】
図6は、図1における入力制御部104が動作するイベント処理の手順を示すフローチャートである。
【0050】
本発明に関係するところとして、図4で配置したトグルボタン410〜412をユーザーがマウス押下した際の動作を中心に記載してある。
【0051】
ステップS201の処理開始の後に、ステップS202において、CPU201は、マウスイベントを感知すると、まず、ステップS203において、対象が先述のトグルボタンであるかどうかを確認する。トグルボタンでない場合は、それぞれのイベントに対する該当処理を行う(ステップS206)。他のマウスイベントに対する挙動はここでは説明を割愛する。
【0052】
トグルボタンである場合には、ステップS204において、CPU201は、OSの提供するキーボードイベントAPIをコールし、自身のウィンドウに対するウィンドウキャプチャをクリップボードに対して保存する。ステップS204は、配置されたトグルボタンが押下されると、OSの画面キャプチャ機能を使用して自身の画面キャプチャ画像を取得するキャプチャ手段として機能する。
【0053】
前記動的オブジェクト毎に、前記クリップ手段により得られた画像を記憶する記憶手段
ここで、クリップボードとは、OSが管理するRAM203上のメモリ領域であり、コピーアンドペースト等の一時的なデータ保持のために用いられる。Webブラウザ10自身のウィンドウのキャプチャ情報がクリップボードに保存されると、次に、ステップS205において、CPU201は、ブラウザレイアウト情報を参照する。
【0054】
ブラウザレイアウト情報とは、即ち、ページ表示部103が、図3のフローにおいてレイアウトを行った結果の配置情報を指している。ブラウザレイアウト情報を参照したら、ステップS207において、CPU201は、現在クリップボードに保存されているイメージ画像のどこの矩形に該当オブジェクトが存在するかを算出する。ここで、該当オブジェクトとは、押下されたトグルボタンに対応するオブジェクト(プラグインを必要とする)を指している。
【0055】
次に、ステップS208において、CPU201は、クリップボードに保存されたウィンドウキャプチャから該当矩形のクリップ(切り出し)処理を行う。これにより、プラグインが表示している領域のボタン押下時の画像イメージをRAM203に格納することができる(ステップS209)。
【0056】
ステップS208は、キャプチャ手段により取得された画面キャプチャ画像から動的オブジェクトの描画領域矩形をクリップするクリップ手段として機能する。ステップS209は、動的オブジェクト毎に、クリップ手段により得られた画像を記憶する記憶手段として機能する。記憶手段は、同一の前記動的オブジェクトに対して複数の画像を記憶する。
【0057】
RAM203に格納された画像は、前述のキャプチャオブジェクトDBにポインタとして保存され、Webブラウザ10によって管理される。以上の処理が終わったらトグルイベントに対する処理は終了であるため(ステップS210)、再度マウスイベントを待ち受ける処理に戻る。
【0058】
図7は、図3のステップS106で使用するキャプチャオブジェクトDBの一例を示す図である。
【0059】
現在閲覧中のWebページにおいてプラグインを必要とするオブジェクトは、ステップS106の繰り返しにより全てこのキャプチャオブジェクトDBに登録されている。キャプチャオブジェクトDBは、オブジェクトID701、オブジェクトURL702、キャンバス内矩形703、拡張子ID704、キャプチャ画像ポインタ705とで構成されている。オブジェクトURL702はそれぞれのオブジェクトが存在するURLを示している。
【0060】
図7は、httpプロトコルの絶対パスで管理している例であるが、相対パスで管理されていてもよい。キャンバス内矩形703は、現在のWebブラウザ10のビュー領域1007において左上を原点とした時にオブジェクトが占有する領域の矩形を示している。
【0061】
本矩形情報は、スクロールバー1008を操作したときやウィンドウサイズを変更したとき等、レイアウトし直しによる再描画が行われるたびに更新されることになる。また、本矩形情報は、図6のステップS207において、クリップボード上のウィンドウキャプチャ画像から該当オブジェクトの矩形情報を算出する際に使用される。算出には他にWebブラウザ10上のメニューバーやツールバー領域1006の高さも考慮される。
【0062】
拡張子ID704は、図5における拡張子ID501のどの拡張子が使用されているかを示すものであり、これにより使用しているプラグインを特定することができる。キャプチャ画像ポインタ705は、図6におけるステップS209で保存した画像のポインタが格納されている。
【0063】
トグルボタンの押下されたオブジェクトでは、このキャプチャ画像ポインタ705にポインタが格納され、まだトグルボタンの押下されていないオブジェクトでは、このキャプチャ画像ポインタ705にはNullが格納されている。これらの情報は、全てオブジェクトID701で管理されている。
【0064】
図8は、図1のコンピュータ1によって実行される印刷処理の手順を示すフローチャートである。実際の印刷動作は、プリンタドライバ12によってプリンタ3で実行される。
【0065】
Webブラウザ10における印刷は、例えば、ツールバー領域1006上の印刷ボタン1005がユーザーによって押下されたときに実行される。印刷時には(ステップS301)、まず、CPU201は、HTMLを解析して(ステップS302)、印刷レイアウトの決定を行う(ステップS303)。レイアウト作業は、HTMLの中で印刷対象となるオブジェクトを全て矩形情報として扱い、各用紙のページ毎にそれらの矩形を敷き詰めていく作業である。
【0066】
尚、HTMLに印刷専用のタグが記載されているときは、それを参照してレイアウト決定を行う。次に、ステップS304において、CPU201は、OSのAPIを使用して印刷ジョブ開始コマンドを発行する。
【0067】
更に、ステップS306において、CPU201は、ページ開始コマンドを発行する。その後、ステップS307において、CPU201は、先ほどレイアウト決定を行ったオブジェクトの実際の描画処理を行う。描画処理の詳細は図9にて後述する。
【0068】
ページ内の全てのオブジェクトに対して描画処理が終了すると、ステップS308で、CPU201は、ページ終了コマンドを発行する。全てのページで描画処理が終了したら(ステップS309)、ステップS310において、CPU201は、印刷ジョブ終了コマンドを発行して印刷を終了する。
【0069】
尚、以上の処理は、全てWebブラウザ10がOSのAPIを通して行い、OSはそれを受けてグラフィックエンジン11を使用してプリンタドライバ12への印刷指示を行う。
【0070】
図9は、図8のステップS307で実行されるページ内描画処理の手順を示すフローチャートである。
【0071】
処理を開始し(ステップS401)、CPU201は、ページ内の全オブジェクトを描画したとき(ステップS402)、ステップS403において、印刷対象となるオブジェクトの種類を判別する。次に、ステップS404で、CPU201は、上記オブジェクトがプラグインを使用しているオブジェクトかどうかによって処理を切り替える。
【0072】
この判断においても、図5に示すようなプラグイン管理DBを使用することができる。プラグインを必要としないオブジェクトの場合は、通常通り該当するオブジェクトから描画オブジェクトを作成する(ステップS413)。描画オブジェクトとは、例えば、イメージやグラフィック、テキスト等のグラフィックエンジン11が理解できる形式のオブジェクトを指している。
【0073】
一方、オブジェクトがプラグインを必要とするオブジェクトである場合には、ステップS405において、CPU201は、まず前述のキャプチャオブジェクトDBを参照する。次に、CPU201は、オブジェクトの内容からオブジェクトIDを特定し(ステップS406)、キャプチャ画像ポインタ705を参照することで、キャプチャ画像の有り無しを判断する(ステップS407)。
【0074】
キャプチャ画像が存在する場合には、ステップS408において、CPU201は、キャプチャオブジェクトDBのキャプチャ画像ポインタからキャプチャ画像を取得し、キャプチャ画像を描画オブジェクトとする(ステップS409)。ステップS409は、印刷実行時に動的オブジェクトの印刷画像を記憶手段が記憶している各画像に置き換えて印刷データを生成する生成手段として機能する。
【0075】
尚、この場合、描画オブジェクトの属性はイメージ属性であり、解像度はディスプレイの解像度と等しくなる。また、キャプチャ画像が存在しない場合には、ステップS412において該当するプラグインから描画オブジェクトを取得する。
【0076】
この場合の描画オブジェクトはプラグインの実装に依存し、テキスト、グラフィックス、イメージ等さまざまな属性での描画オブジェクトが考えられる。CPU201は、以上のフローにより得られた描画オブジェクトをステップS410において、描画コマンドの形でOSに対して発行する。ページ内の全てのオブジェクトに対して描画コマンドを発行したら(ステップS411)、ページ内描画処理は終了となる。
【0077】
図10は、図1におけるWebブラウザ10からの印刷結果の一例を示す図である。
【0078】
全ての動的オブジェクト1310、1311、1312に対してそれぞれユーザーの求める所定のタイミングを指定することができるため、よりユーザーの求める印刷結果を得ることができる。また、OSのキャプチャ機能を使用するため、プラグインの実装によらずに見たままの印刷結果を得ることができる。
【0079】
尚、本実施の形態では、キャプチャボタンとしてトグルボタンを採用しているが、オンかオフにこだわる必要はなく、複数回数キャプチャを可能にするようなボタンの配置を行っても本発明は実施することができる。
【0080】
複数回数キャプチャを行った場合は、印刷時にどの画像を使用するかをユーザーに入力させてもよいし、与えられた矩形の中に縮小して複数はめ込んで印刷するようにしてもよい。縮小して複数はめ込む場合、図9におけるステップS406において矩形内への再配置を行うことで実現可能である。
【0081】
また、本実施の形態では、簡単のためレイアウトやオブジェクト画像の取得をWebブラウザ自身が行う例を示している。別のレイアウトエンジンやレンダリングエンジンを使用している場合には、それらのエンジンが行った結果に対して、後から差し替えてユーザーに提供することでも本発明は実施可能である。上記エンジンがオーバーライド可能なインターフェースを有している場合は、それらを活用して本発明を実施してもよい。
【0082】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0083】
1 コンピュータ
2 インターネット
3 プリンタ
10 Webブラウザ
11 グラフィックエンジン
12 プリンタドライバ
101 ネットワーク制御部
102 ページ保存部
103 ページ表示部
104 入力制御部
105 印刷制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動的オブジェクトの所定のタイミングにおける画像を特定するための指示を、表示されるWebページに含まれる複数の動的オブジェクトそれぞれに対して行う指示手段と、
前記複数の動的オブジェクト毎に、前記指示手段によって指示されたタイミングにおける画像を記憶する記憶手段と、
前記Webページの印刷実行時に、前記複数の動的オブジェクトに対応する印刷画像として前記記憶手段が記憶している各画像を用いて印刷データを生成する生成手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記複数の動的オブジェクトのうちの1つの動的オブジェクトに対して複数の画像を記憶することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記生成手段は、前記記憶した複数の画像をそれぞれ縮小して組み合わせた画像を前記動的オブジェクトに対応する印刷画像として用いて印刷データを生成することを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
動的オブジェクトの所定のタイミングにおける画像を特定するための指示を、表示されるWebページに含まれる複数の動的オブジェクトそれぞれに対して行う指示ステップと、
前記複数の動的オブジェクト毎に、前記指示ステップで指示されたタイミングにおける画像を記憶する記憶ステップと、
前記Webページの印刷実行時に、前記複数の動的オブジェクトに対応する印刷画像として前記記憶ステップで記憶されている各画像を用いて印刷データを生成する生成ステップと、
を備えることを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項5】
動的オブジェクトの所定のタイミングにおける画像を特定するための指示を、表示されるWebページに含まれる複数の動的オブジェクトそれぞれに対して行う指示ステップと、
前記複数の動的オブジェクト毎に、前記指示ステップで指示されたタイミングにおける画像を記憶する記憶ステップと、
前記Webページの印刷実行時に、前記複数の動的オブジェクトに対応する印刷画像として前記記憶ステップで記憶されている各画像を用いて印刷データを生成する生成ステップと、
を備えることを特徴とする情報処理装置の制御方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項1】
動的オブジェクトの所定のタイミングにおける画像を特定するための指示を、表示されるWebページに含まれる複数の動的オブジェクトそれぞれに対して行う指示手段と、
前記複数の動的オブジェクト毎に、前記指示手段によって指示されたタイミングにおける画像を記憶する記憶手段と、
前記Webページの印刷実行時に、前記複数の動的オブジェクトに対応する印刷画像として前記記憶手段が記憶している各画像を用いて印刷データを生成する生成手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記複数の動的オブジェクトのうちの1つの動的オブジェクトに対して複数の画像を記憶することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記生成手段は、前記記憶した複数の画像をそれぞれ縮小して組み合わせた画像を前記動的オブジェクトに対応する印刷画像として用いて印刷データを生成することを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
動的オブジェクトの所定のタイミングにおける画像を特定するための指示を、表示されるWebページに含まれる複数の動的オブジェクトそれぞれに対して行う指示ステップと、
前記複数の動的オブジェクト毎に、前記指示ステップで指示されたタイミングにおける画像を記憶する記憶ステップと、
前記Webページの印刷実行時に、前記複数の動的オブジェクトに対応する印刷画像として前記記憶ステップで記憶されている各画像を用いて印刷データを生成する生成ステップと、
を備えることを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項5】
動的オブジェクトの所定のタイミングにおける画像を特定するための指示を、表示されるWebページに含まれる複数の動的オブジェクトそれぞれに対して行う指示ステップと、
前記複数の動的オブジェクト毎に、前記指示ステップで指示されたタイミングにおける画像を記憶する記憶ステップと、
前記Webページの印刷実行時に、前記複数の動的オブジェクトに対応する印刷画像として前記記憶ステップで記憶されている各画像を用いて印刷データを生成する生成ステップと、
を備えることを特徴とする情報処理装置の制御方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−76368(P2011−76368A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−227129(P2009−227129)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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