説明

情報処理装置

【課題】予め定められた機能に関する機器群を容易に分離可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】予め定められた機能として、例えば、複写機能を実現するために用いられるスキャナ12、画像形成部14を、アドレス空間の割り当て及びデータの転送を制御するルートコンプレックス32に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、PCIバス(Peripheral Components Interconnect bus)に代わるデータ転送インターフェースとしてPCI Expressが知られている。このPCI Expressは、データの伝送を行なうデバイス間を一対のシリアルな伝送路(所謂レーン)によりポイントツーポイントで接続しており、データ通信網としてルートコンプレックス(Root Complex)を頂点とした木構造を構成する。
【0003】
特許文献1には、木構造における下流側のエンドポイントに位置する複数のデバイス中、相関の強いデバイス同士を同一のスイッチに接続した構成が開示されている。
【特許文献1】特開2007−122714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、予め定められた機能に関する機器群を容易に分離可能な情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明の情報処理装置は、予め定められた通信規格によって通信が可能とされ、少なくとも1つの機能を実現するために用いられ、かつ本体に設けられた複数の第1機器と、前記複数の第1機器に接続されて当該第1機器の各々へのアドレス空間の割り当て及び当該第1機器の各々へのデータの転送を制御し、かつ前記本体に設けられた第1制御装置と、前記通信規格によって通信が可能とされ、前記少なくとも1つの機能とは異なる予め定められた機能を実現するために用いられる複数の第2機器、並びに前記複数の第2機器に接続されて当該第2機器の各々へのアドレス空間の割り当て及び当該第2機器の各々へのデータの転送を制御すると共に前記第1制御装置に接続された状態で当該第1制御装置との間で互いにデータの転送が可能な第2制御装置を有し、前記本体に対して着脱可能に設けられた機器群と、を備えている。
【0006】
また、請求項2に記載の発明は、本発明において、前記通信規格を、PCI Expressとし、前記第1制御装置及び前記第2制御装置を、ルートコンプレックスとしている。
【0007】
また、請求項3に記載の発明は、本発明において、前記第1機器と前記第1制御装置及び前記第2機器と前記第2制御装置を、直接又はデータを中継する中継装置を介して接続している。
【0008】
また、請求項4に記載の発明は、本発明において、前記第2制御装置が、前記第1制御装置と接続された場合、データを中継する中継装置として機能する。
【0009】
また、請求項5に記載の発明は、本発明において、前記予め定められた機能を、複写機能とし、前記第2制御装置に、前記第2機器として、記録媒体から画像を読み取る画像読取装置及び記録媒体に画像を形成する画像形成装置を接続している。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、予め定められた機能を実現するために用いられる複数の第2機器を、アドレス空間の割り当て及びデータの転送を制御する第2制御装置に接続しているので、予め定められた機能に関する機器群を容易に分離することができる、という優れた効果を有する。
【0011】
また、請求項2に記載の発明によれば、PCI Expressでは予め定められた機能を実現するために用いられる複数の第2機器をルートコンプレックスに接続することにより、機器群を容易に分離することができる、という優れた効果を有する。
【0012】
また、請求項3に記載の発明によれば、中継装置を介して接続することにより接続ポート数以上の機器を接続することができる、という優れた効果を有する。
【0013】
また、請求項4に記載の発明によれば、第1制御装置で第1機器及び第2機器へのアドレス空間の割り当て及びデータの転送を制御させることができる、という優れた効果を有する。
【0014】
また、請求項5に記載の発明によれば、複写機能に関する機器群を容易に分離することができる、という優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下では、本発明を印刷(プリント)機能やファクシミリ機能、複写(コピー)機能を備えた複合機に適用した場合について説明する。
【0016】
[第1の実施の形態]
図1には、本実施の形態に係る複合機10の概略構成が示されている。
【0017】
同図に示すように、複合機10は、原稿から画像を読み込み、当該画像を示す画像データを取得するスキャナ12と、電子写真方式を用いて記録用紙上への画像の印刷を行う画像形成部14と、操作メニューやメッセージ等を表示すると共にユーザからの各種の操作指示が入力される操作パネル16と、を備えている。
【0018】
なお、画像形成部14は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーを用いてフルカラーの画像を印刷することができる。また、ブラックのトナーのみを用いて白黒の濃淡画像を印刷することもできる。
【0019】
また、複合機10は、画像データの圧縮・伸張処理を行なうアクセラレータ18と、各種のデータを記憶して保持するハード・ディスク・ドライブ(以下「HDD」という。)20と、画像データに対して拡大、縮小を含む各種画像処理を行う画像処理部22と、一般通信回線24に接続され、当該一般通信回線24に接続されたファクシミリ装置との間でファクシミリ電文の送受信を行うファクシミリI/F(インタフェース)26と、ネットワーク28に接続され、当該ネットワーク28に接続された図示しない外部端末と画像データ等の各種データの送受信を行う通信I/F(インタフェース)30と、を備えている。
【0020】
本実施の形態に係る複合機10は、上記各機器を接続するデータ転送インターフェースとしてPCI Expressを用いている。PCI Expressは、データの伝送を行なうデバイス間を2.5Gbpsや5.0Gbpsでデータを伝送可能な一対のシリアルな伝送路によりポイントツーポイントで接続しており、データ通信網としてルートコンプレックスを頂点とした木構造を構成する。また、PCI Expressでは、レーンを複数並列化することによりデバイス間のデータ伝送の高速化を図ることが可能とされている。
【0021】
本実施の形態に係る複合機10では、複写(コピー)機能を実現するために用いられるスキャナ12、画像形成部14、操作パネル16がルートコンプレックス32に接続されている。ルートコンプレックス32は、接続された各機器のコンフィギュレーション空間から各機器の設定情報を読み出し、各機器の各々へのアドレス空間の割り当て及び当該各機器の各々へのデータの転送を制御しており、スキャナ12、画像形成部14、操作パネル16へのアドレス空間の割り当て及びデータの転送を制御する。
【0022】
また、本実施の形態に係る複合機10では、ルートコンプレックス32、スキャナ12、画像形成部14、操作パネル16部分を複写ユニット34としてユニット化しており、複写ユニット34を本体に対して着脱可能に設けている。
【0023】
また、本実施の形態に係る複合機10では、印刷機能やファクシミリ機能を実現するために用いられるアクセラレータ18、HDD20、画像処理部22、ファクシミリI/F26がデータを中継するスイッチ36を介してルートコンプレックス38に接続されている。ルートコンプレックス38も接続された各機器のコンフィギュレーション空間から各機器の設定情報を読み出し、各機器の各々へのアドレス空間の割り当て及び当該各機器の各々へのデータの転送を制御しており、アクセラレータ18、HDD20、画像処理部22、ファクシミリI/F26へのアドレス空間の割り当て及びデータの転送を制御する。
【0024】
ルートコンプレックス38には、装置全体の動作を司るCPU(中央処理装置)40と、ROM及びRAMを含むメモリ42が接続されている。また、本実施の形態に係る複合機10では、複写ユニット34が本体に装着された状態でルートコンプレックス32とルートコンプレックス38が接続される。
【0025】
本実施の形態に係るルートコンプレックス32とルートコンプレックス38は、接続された状態で互いのアドレス空間に関する情報を交換するネゴシエーションを行なって互いの接続された機器に対してもアドレス空間を割り当てを行う。これにより、ルートコンプレックス32はルートコンプレックス38に接続された機器へのデータをルートコンプレックス38へ転送し、ルートコンプレックス38はルートコンプレックス32に接続された機器へのデータをルートコンプレックス32へ転送する。
【0026】
従って、CPU40は、メモリ42及びHDD20へのアクセスと、スキャナ12の作動の制御と、画像形成部14の作動の制御と、画像処理部22による画像データに対する画像処理の制御と、ファクシミリI/F26を介したファクシミリ電文の送受信の制御と、通信I/F30を介した外部端末との間の各種データの送受信の制御と、を各々行うことができる。また、CPU40は、操作パネル16に対する操作内容を把握することができる。
【0027】
次に、本実施の形態に係る複合機10の作用について説明する。
【0028】
本実施の形態係る複合機10は、ユーザが操作パネル16を用いて実行する機能としてファクシミリ機能及び複写機能を指定することが可能とされている。また、複合機10は、ネットワーク28を介して画像データが受信されると、当該画像データにより示される画像を印刷する印刷機能を実行する。さらに、複合機10は、一般通信回線24を介してファクシミリ装置からファクシミリ電文が入力されるとファクシミリ機能を実行する。すなわち、本実施の形態に係る複合機10は、印刷機能やファクシミリ機能、複写機能が各々並行して実行可能とされている。
【0029】
ユーザは、ファクシミリ機能を使用する場合、操作パネル16によりファクシミリ機能を指定すると共に送信先の指定操作を行なってファクシミリ送信開始を指示する。一方、ユーザは、複写機能を使用する場合、スキャナ12に複写しようとする原稿を載せて、操作パネル16によって複写枚数設定や倍率を指定すると共に、複写開始を指示する。
【0030】
CPU40は、操作パネル16に対してファクシミリ機能の実行が指示された場合に、スキャナ12を制御して画像を読み取らせ、スキャナ12で読み取られた画像データをアクセラレータ18でファクシミリ通信規格に対応した圧縮方式で圧縮させ、ファクシミリI/F26から一般通信回線24を介して指定された送信先へファクシミリ電文を送信する。
【0031】
また、CPU40は、操作パネル16に対して複写機能の実行が指示された場合に、スキャナ12を制御して画像を読み取らせ、スキャナ12で読み取られた画像データに対して画像処理部22で指定された倍率に拡大又は縮小する画像処理を行ない、画像形成部14を制御して画像処理後の画像データを記録用紙に印刷する。
【0032】
また、CPU40は、ネットワーク28を介して画像データが入力されると、画像形成部14を制御して入力された画像データを記録用紙に印刷する。
【0033】
ところで、本実施の形態に係る複合機10では、複写機能を実現するために用いられるスキャナ12、画像形成部14、操作パネル16をルートコンプレックス32に接続し、複写ユニット34としてユニット化している。PCI Expressでは、規格上必ずルートコンプレックスを必要である。このため、本実施の形態のようにスキャナ12、画像形成部14、操作パネル16をルートコンプレックス32に接続してグルーピングした場合、コピー機として本体から切り離すことが可能となる。
【0034】
また、複合機10では、複写ユニット34が本体に装着された状態でルートコンプレックス32とルートコンプレックス38が接続されると、互いのアドレス空間に関する情報を交換するネゴシエーションを行なって互いの接続された機器に対してもアドレス空間を割り当てを行い、スキャナ12、画像形成部14、操作パネル16がCPU40から制御可能となる。これにより、複写ユニット34を本体にセットして複合機10として用いることが可能となっている。
【0035】
[第2の実施の形態]
図2には、本実施の形態に係る複合機10の概略構成が示されている。なお、図2における図1と同一部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0036】
本実施の形態に係る複合機10では、スキャナ12、画像形成部14、操作パネル16がRC(ルートコンプレックス)−SW(スイッチ)切換装置50に接続されている。
【0037】
図3には、RC−SW切換装置50の詳細な機能構成が示されれている。
【0038】
RC−SW切換装置50は、ルートコンプレックス認識部52と、動作モード切換スイッチ54と、ルートコンプレックス56と、スイッチ58と、を備えている。
【0039】
ルートコンプレックス認識部52は、PCI Expressのバス上に別のルートコンプレックスが接続されているか否かを判定している。動作モード切換スイッチ54は、ルートコンプレックス認識部52により別のルートコンプレックスが接続されていないと判定された場合、ルートコンプレックス56側に切り替わってRC−SW切換装置50をルートコンプレックスとして機能させ、ルートコンプレックス認識部52により別のルートコンプレックスが接続されていると判定された場合、スイッチ58側に切り替わってRC−SW切換装置50をスイッチとして機能させる。
【0040】
これにより、本実施の形態に係る複合機10では、複写ユニット34を本体から切り離した場合、RC−SW切換装置50がルートコンプレックスとして機能するため、別途ルートコンプレックスを接続することなく、コピー機として本体から切り離すことが可能となる。
【0041】
また、本実施の形態に係る複合機10では、複写ユニット34を本体にセットした場合、RC−SW切換装置50がスイッチとして機能するため、本体側にルートコンプレックス38でスキャナ12、画像形成部14、操作パネル16に対するアドレス空間を管理でき、複合機10として用いることが可能となる。
【0042】
なお、上記第1の実施の形態では、ルートコンプレックス32とルートコンプレックス38がネゴシエーションを行なって互いの接続された機器に対してもアドレス空間を割り当てる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、一方のルートコンプレックスがアドレス空間を割り当てを行い、他方のルートコンプレックスが一方のルートコンプレックスから割り当てたアドレス空間に関する情報を取得するようにしてもよい。
【0043】
また、上記各実施の形態では、予め定められた機能として複写機能を実現するために用いられるスキャナ12、画像形成部14、操作パネル16をルートコンプレックス32に接続した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0044】
また、上記各実施の形態では、画像形成部14を電子写真方式を用いたものとした場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、インクジェット方式を用いたものであってもよい。
【0045】
また、上記実施の形態では、複数のデバイスをPCI Expressによって接続した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、制御装置を1つ設けて接続された機器の各々へのアドレス空間の割り当て及びデータの転送を制御するデータ転送インターフェースであればいずれであっても適用可能である。
【0046】
その他、上記実施の形態で説明した複合機10の構成(図1、図2参照。)及びRC−SW切換装置50の構成(図3参照。)は、一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】第1の実施の形態に係る複合機の概略構成を示すブロック図である。
【図2】第2の実施の形態に係る複合機の概略構成を示すブロック図である。
【図3】第2の実施の形態に係るRC−SW切換装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0048】
10 複合機
12 スキャナ(第2機器)
14 画像形成部(第2機器)
16 操作パネル(第2機器)
18 アクセラレータ(第1機器)
20 HDD(第1機器)
22 画像処理部(第1機器)
26 ファクシミリI/F(第1機器)
30 通信I/F(第1機器)
32 ルートコンプレックス(第2制御装置)
34 複写ユニット
36 スイッチ(中継装置)
38 ルートコンプレックス(第1制御装置)
50 RC−SW切換装置(第2制御装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた通信規格によって通信が可能とされ、少なくとも1つの機能を実現するために用いられ、かつ本体に設けられた複数の第1機器と、
前記複数の第1機器に接続されて当該第1機器の各々へのアドレス空間の割り当て及び当該第1機器の各々へのデータの転送を制御し、かつ前記本体に設けられた第1制御装置と、
前記通信規格によって通信が可能とされ、前記少なくとも1つの機能とは異なる予め定められた機能を実現するために用いられる複数の第2機器、並びに前記複数の第2機器に接続されて当該第2機器の各々へのアドレス空間の割り当て及び当該第2機器の各々へのデータの転送を制御すると共に前記第1制御装置に接続された状態で当該第1制御装置との間で互いにデータの転送が可能な第2制御装置を有し、前記本体に対して着脱可能に設けられた機器群と、
を備えた情報処理装置。
【請求項2】
前記通信規格を、PCI Expressとし、
前記第1制御装置及び前記第2制御装置を、ルートコンプレックスとした
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1機器と前記第1制御装置及び前記第2機器と前記第2制御装置を、直接又はデータを中継する中継装置を介して接続した
請求項1又は請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第2制御装置は、前記第1制御装置と接続された場合、データを中継する中継装置として機能する
請求項1〜請求項3の何れか1項記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記予め定められた機能を、複写機能とし、
前記第2制御装置に、前記第2機器として、記録媒体から画像を読み取る画像読取装置及び記録媒体に画像を形成する画像形成装置を接続した
請求項1〜請求項4の何れか1項記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−113582(P2010−113582A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−286492(P2008−286492)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】