説明

情報処理装置

【課題】読み取りに失敗したバーコードの読取精度の向上と、読取時間の短縮と、操作者の操作負担を軽減することを課題とする。
【解決手段】バーコードを読み取り、第1の光学データを生成する読取部と、第1の光学データを解析し、第1の光学データが所定のバーコード規格に対応する正規データであるか否かを判定する解析部と、過去に読み取られた1または複数のバーコードから生成された第2の光学データと第2の光学データに対応づけられた正規コード情報とからなる補正データを記憶した照合記憶部と、生成された第1の光学データが正規データでないと判定された場合、補正データを検索し、第1の光学データに一致可能な第2の光学データが検出されたとき、第2の光学データに対応づけられた正規コード情報を読み出し、読み取られたバーコードに含まれるコード情報が、読み出された正規コード情報であると判断するデータ照合部とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報処理装置に関し、特に、商品等に付されたバーコードの読取機能を有する情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、コンビニエンスストア等の多くの店舗では、いわゆるPOS端末を利用し、商品に付されたバーコードをスキャナで読み取ることにより、商品の売上処理や、商品管理等を行っている。
バーコードの読み取りは、一般的に、商品に付されたバーコードに向けて光を照射し、その反射光を受光することにより行われ、読み取ったバーコードの情報が、所定の規格に一致したデータであるか否かの照合が行われる。その照合が成功した場合、そのバーコードに含まれている情報(たとえば商品コード,商品名など)が取得され、記憶される。
【0003】
しかし、バーコードが付される商品の形状や、バーコードの印刷状態,印刷素材,スキャナを操作する者の読取操作方法など種々の原因のために、バーコードの読み取りに時間がかかる場合や、読取ができない場合がある。
このようにバーコードの読み取りがうまくできない場合は、POS端末の操作者が、商品コードや商品の情報を、キーボードやタッチパネルを用いて直接入力していた。
【0004】
また、バーコードの読み取りができないことが頻繁に生じる場合は、バーコード自体を改善することや、スキャナの調整や、読み取り判定のロジックの変更(プログラムの変更)をすることが考えられる。
【0005】
さらに、予め想定されている規格とは異なる規格外のバーコードが商品に付されていることもあるので、そのような規格外のバーコードへの対処が可能なPOS端末も提案されている(特許文献1参照)。
たとえば、特許文献1では、バーコードが読み取れない場合、POS端末において、一覧表示キーを操作することにより、規格外バーコードに対応する商品情報の一覧表示をさせ、この一覧表示された商品情報の中から、現在読み取れないでいる商品の商品情報を店員に選択させ、その選択された商品情報を、バーコード入力しようとしていた商品の商品情報とみなして処理を続行するPOS端末が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−162246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、バーコードの読み取りができない場合に、その都度操作者による商品コードの入力をするのは、その操作者の操作負担が大きく、その入力に時間がかかるため、POS端末の利便性が失われ、さらに入力ミスもあり得るという問題があった。
また、バーコード自体を改善したとしても、その改善に時間とコストがかかり、全く新規のバーコードに置換したとすると既存のバーコードが読めなくなるので、既存のバーコードの読取との互換性等にも配慮する必要があった。
さらに、読み取り判定のロジックを変更するためには、相当の時間とコストがかかり、さらに判定基準を変更することにより誤読が生じることもあり得るので、これは容易な対応策ではない。
【0008】
また、規格外のバーコードが付されている商品がどれであるかが予めわかっている場合は、その商品の商品情報を予め記憶しておけば、その規格外のバーコードが読み取れなくても、POS端末での選択入力により業務の効率化を図ることが可能となる。しかし、選択入力は操作者の目視による操作が必要となるので、規格外のバーコードが付されている商品が大量に存在する場合は、時間がかかり、操作者の操作負担は大きくなる。
【0009】
そこで、この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであり、読み取りに失敗する可能性の高いバーコード等の読取時間の短縮と、読取精度を向上させることが可能な情報処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、バーコードを読み取り、第1の光学データを生成する読取部と、前記第1の光学データを解析し、前記第1の光学データが所定のバーコード規格に対応する正規データであるか否かを判定する解析部と、過去に読み取られた1または複数のバーコードから生成された第2の光学データと、前記第2の光学データに対応づけられた正規コード情報とからなる補正データを記憶した照合記憶部と、前記解析部によって、読み取られたバーコードから生成された前記第1の光学データが正規データでないと判定された場合、前記照合記憶部に記憶された補正データを検索し、前記補正データの中に、前記第1の光学データに一致可能な第2の光学データが検出されたとき、その第2の光学データに対応づけられた正規コード情報を読み出し、前記読み取られたバーコードに含まれるコード情報が、前記読み出された正規コード情報であると判断するデータ照合部とを備えたことを特徴とする情報処理装置を提供するものである。
【0011】
これによれば、読み取りに失敗しても、その読み取りに失敗したバーコードの光学データに対応づけることが可能な正規コード情報が記憶されていれば、その正規コード情報をそのバーコードに含まれるコード情報と判断するので、読み取りが困難なバーコードや、規格外のバーコードの読み取りをする場合に、その読取時間の短縮と、操作者の操作負担を軽減することができる。
【0012】
また、前記第1の光学データと、前記第1の光学データが正規データであるか否かを判定するための基準を示した規格判定情報とを記憶する読取記憶部をさらに備え、前記解析部は、前記第1の光学データが前記規格判定情報の基準に一致するものであるとき、その第1の光学データを正規データであると判定することを特徴とする。
【0013】
さらに、バーコードに含まれるコード情報を入力する入力部と、前記解析部によって、読み取られたバーコードから生成された前記第1の光学データが正規データでないと判定された場合に、前記入力部によって、前記読み取られたバーコードのコード情報を入力させ、入力されたコード情報と、前記第1の光学データとを対応づけて1つの補正データとして、前記照合記憶部に追加記憶させる登録部とをさらに備えたことを特徴とする。
これによれば、正規データでないと判定された光学データと入力されたコード情報とを対応づけて、1つの補正データとして追加記憶するので、将来のバーコードの読取において、その読取精度を向上させることができる。
【0014】
また、前記データ照合部は、前記第1の光学データと前記補正データに含まれる第2の光学データとの一致の程度を示す近接度を算出し、前記第2の光学データの中に、前記算出された近接度が所定値以上のものが検出されたとき、その検出された第2の光学データを前記第1の光学データと一致可能であると判断することを特徴とする。
【0015】
また、前記照合記憶部に記憶された第2の光学データは、前記解析部によって正規データでないと判定された前記第1の光学データであることを特徴とする。
ここで、前記第1の光学データと第2の光学データは、前記読取部によって読み取られたバーコードを構成する画像パターン情報から生成された数値データである。
【0016】
また、この発明は、ネットワークを介して接続された読取装置とサーバとからなり、前記読取装置が、バーコードを読み取り、第1の光学データを生成する読取部と、前記第1の光学データを解析し、前記第1の光学データが所定のバーコード規格に対応する正規データであるか否かを判定する解析部と、前記解析部が、読み取られたバーコードから生成された前記第1の光学データを正規データでないと判定した場合に、その第1の光学データをサーバに送信する第1の通信部とを備え、前記サーバが、過去に読み取られた1または複数のバーコードから生成された第2の光学データと、前記第2の光学データに対応づけられた正規コード情報とからなる補正データを記憶した照合記憶部と、前記照合記憶部に記憶された補正データを検索し、前記補正データの中に、前記読取装置から送信されてきた第1の光学データに一致可能な第2の光学データが検出されたとき、その第2の光学データに対応づけられた正規コード情報を読み出し、前記読み取られたバーコードに含まれるコード情報が、前記読み出された正規コード情報であると判断するデータ照合部と、前記データ照合部によって読み出された正規コード情報を、前記第1の光学データを送信してきた読取装置に送信する第2の通信部とを備えたことを特徴とする情報処理システムを提供するものである。
これによれば、読取装置から送信されてきた正規データでないと判定された第1の光学データと対応づけることが可能な正規コード情報が、サーバに記憶された補正データの中にあれば、その正規コード情報を、読み取られたバーコードに含まれるコード情報と判断するので、読み取りが困難なバーコード等の読取時間の短縮と、操作者の操作負担を軽減することができる。
【0017】
また、前記読取装置が、バーコードに含まれるコード情報を入力する入力部をさらに備え、前記解析部によって、読み取られたバーコードから生成された前記第1の光学データが正規データでないと判定された場合、前記入力部によって、前記読み取られたバーコードのコード情報を入力させ、前記第1の通信部が、前記第1の光学データと前記入力されたコード情報とをサーバへ送信し、前記サーバが、前記第2の通信部によって、読取装置から送信されてきた第1の光学データと前記入力されたコード情報を受信した後、その受信した入力されたコード情報と、受信した第1の光学データとを対応づけて1つの補正データとして、前記照合記憶部に追加記憶させる登録部をさらに備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、読み取られたバーコードから生成された第1の光学データが正規データでないと判定された場合、照合記憶部に記憶された補正データを検索して、第1の光学データに一致可能な第2の光学データに対応づけられた正規コード情報を読み出し、読み取られたバーコードに含まれるコード情報が、この読み出された正規コード情報であると判断しているので、読み取りが困難なバーコードや規格外のバーコードの読み取りをする場合に、その読取時間の短縮と、操作者の操作負担を軽減することができる。
【0019】
また、解析部によって正規データでないと判定された第1の光学データを、入力されたコード情報に対応づけて1つの補正データとして照合記憶部に追加記憶しているので、将来読み取りに失敗したバーコードの照合をする場合に、この追加記憶された補正データも使用され、バーコードの読取精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の情報処理システムの一実施例の構成ブロック図である。
【図2】この発明の読取装置の一実施例の構成ブロック図である。
【図3】この発明の読取装置における読取処理の一実施例のフローチャートである。
【図4】この発明のサーバにおける照合処理およびデータ登録処理の一実施例のフローチャートである。
【図5】この発明の情報処理システムの他の実施例の構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を使用して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の実施例の記載によって、この発明が限定されるものではない。
<この発明の情報処理システムの構成>
図1に、この発明の情報処理システムの一実施例の構成ブロック図を示す。
図1では、情報処理システムが、読取装置10と、サーバ30とから構成されるものを示す。
読取装置10は、バーコード1を読み取るための装置であり、一般的に店舗で使用されているPOS端末に相当する。
サーバ30は、ネットワーク5を介して、複数の読取装置10と接続され、読取装置から送られてくる受信データと、商品情報と、バーコード情報と、この発明で用いる補正データ43などを格納し、読取装置で読み取れなかったバーコードの照合を行う装置である。
【0022】
ネットワーク5としては、現在用いられているあらゆるネットワークを利用することができ、読取装置10やサーバ30との通信形態は、有線通信あるいは無線通信どちらの通信形態でもよい。
たとえば、読取装置10と、サーバ30とが同一店舗内にある場合は、LANを用いればよい。
サーバ30が、多数の店舗の読取装置を管理しているような場合は、ネットワークとしては、インターネットなどのWANや専用回線を用いてもよい。
以下の実施例では、上記した第1の光学データは、図1などの読取装置10で読み取られたバーコードから生成された光学データ21に相当する。
また、上記した第2の光学データは、図1などに示した補正データ43の一部分として記憶されている光学データ43aに相当する。
また、上記した第1の通信部は、図1の読取装置の通信部14に対応し、第2の通信部は、図1のサーバの通信部31に対応する。
【0023】
<読取装置の構成>
この発明の読取装置10は、図1に示すように、主として、入力部11,解析部12,読取部13,通信部14,表示部15,読取記憶部20とを備えている。
入力部11は、操作者が、指示入力や,データ入力をする部分であり、キーボード,タッチパネル,マウスなどのあらゆる入力デバイスを用いることができる。
入力部11によって、たとえば、バーコードの読取開始を意味するキー入力、バーコードに含まれるコード情報の入力などが行われる。
【0024】
解析部12は、読み取られたバーコードのデータ(以下、光学データと呼ぶ)を解析する部分である。すなわち、読取部13によって生成された光学データを解析し、その光学データが所定のバーコード規格に対応する正規データであるか否かを判定する。
また、読取部13によって生成された光学データが、バーコードの所定の規格に適合したもの(正規データ)かどうかの判定は、その規格について予め定められた規格判定情報23に基づいて行われ、光学データ21が、規格判定情報23の基準に一致するものであるとき、その光学データを正規データであると判定する。また、読み取られたデータの内容も解析され、バーコードに含まれている商品コードなどを取得する。
【0025】
この解析部12は、主として、CPU,ROM,RAM,I/Oコントローラ,タイマー等からなるマイクロコンピュータにより実現される。また、RAMやROM等に予め格納されている制御プログラムに基づいて、CPUが各種ハードウェアを有機的に動作させることにより、読取装置10の解析部12をはじめ、図示しない他の機能が実行される。
制御プログラムは、図示しないRAM,ROMなどの記憶素子の他に、ハードディスク等の記憶装置や記憶媒体に記憶される。また、制御プログラムは、FD,CD−ROM,DVDなどの記憶媒体に格納されて提供してもよく、あるいは、ネットワークを介して、外部のサーバ等からダウンロードすることにより提供してもよい。
【0026】
読取部13は、バーコードを読み取り、光学データを生成する部分である。これは、いわゆるスキャナであり、バーコード1を光学的に読み取る部分であり、主として、光を照射する発光部(レーザ)と、バーコードに反射された反射光を受光する受光部(フォトダイオード,CCDなど)とから構成される。
スキャナとしては、特に限定するものではなく、POS端末等で従来から用いられているものを使用すればよい。
読み取られたバーコードのデータは、光学データ21として読取記憶部20に記憶される。この記憶された光学データ21が、第1の光学データに相当する。
【0027】
通信部14は、ネットワーク5と通信を行う部分であり、通信形態は有線か無線であるかを問わず、通信プロトコルも特に限定するものではない。
サーバ30と通信ができるように予め定められた通信規格に基づいて情報通信ができればよい。
【0028】
表示部15は、読取装置を利用する際に必要な情報を表示する部分であり、LCD,有機EL,PDP,CRTなど、いずれの表示装置を用いてもよい。
この発明では、たとえば、読み取ったバーコードを解析した後の商品情報(商品コードや商品名など)、読取結果の成否、読み取れなかった場合にコード情報の入力を要求する旨の表示、サーバでの照合結果などを表示するものである。
【0029】
読取記憶部20は、主として、読取部13によって読み取られた情報(光学データ21)や、入力部11によって入力された情報(コード情報22)、バーコードの規格を判定し解析するための情報(規格判定情報23)を記憶する部分であり、ROM,RAM,ハードディスクなどが用いられる。予め設定され変更されることのない情報は読み出し専用のROMに記憶され、解析などの処理で利用される情報や入力された情報は、書きかえ可能なメモリであるRAMあるいはハードディスク等に記憶される。
【0030】
読取記憶部20に記憶されるデータとしては、たとえば、図1に示した光学データ21,入力されたコード情報22,規格判定情報23があるが、これに限るものではない。
光学データ21は、読取部13によって読み取られたバーコードを構成する画像パターン情報から生成された数値データであり、商品コードや商品名などの情報を含むデータである。
入力されたコード情報22は、入力部11を用いて、操作者が自ら入力した情報であり、たとえば商品コードである。特に、この発明では、バーコードの読み取りに失敗した場合に、本来バーコードから読み取るべき商品コード等を操作者が直接入力した情報である。
【0031】
規格判定情報23は、読み取られた光学データがバーコードの所定の規格に適合した正規データであるか否かを判定するための基準を示した情報であり、読取記憶部20に予め記憶される。
バーコードは、一般的に、一定の幅をもった黒色の線分部分と、一定の幅を持ったスペース部分とから構成されるが、所定の規格で定められたその黒色部分の幅とスペース部分の幅の組合せからなるいくつかのパターンから構成される。規格判定情報23は、このような複数個の基準となるパターンからなるものである。
読み取られた光学データの黒色部分とスペース部分の組合せが、この規格判定情報23に記憶されたパターンと合致するものであれば、読み取られた光学データは正規のバーコードと認識され、さらにその光学データの黒色部分とスペース部分の並びから、バーコードに含まれている情報(商品コード等)が取得される。
【0032】
<サーバの構成>
サーバ30は、図1に示すように、主として、通信部31,データ照合部32,登録部34,照合記憶部33とを備える。
通信部31は、ネットワーク5と通信を行う部分であり、読取装置10の通信部14と同一の機能を有するものである。
データ照合部32は、主として、読取装置10から送られてきた光学データ41と、予め照合記憶部33に格納されている補正データ43との照合を行う部分である。
【0033】
より具体的には、データ照合部32は、照合記憶部33に記憶された補正データを検索し、光学データ41に一致可能な光学データ43aが検出されたとき、その光学データ43aに対応づけられた正規コード情報43bを読み出し、読み取られたバーコードに含まれるコード情報が、この読み出された正規コード情報43bであると判断するものである。
また、補正データを検索するとき、光学データ41と補正データの光学データ43aとを比較するが、データ照合部32は、光学データ41と、補正データに含まれる光学データ43aとの一致の程度を示す近接度を算出し、この補正データの光学データ43aの中に、算出された近接度が所定値以上のものが検出されたとき、その検出された光学データ43aを、光学データ41と一致可能であると判断する。
【0034】
補正データ43とは、受信された光学データと一致するか、あるいは完全に一致はしないがほぼ一致するとみなしてもよい過去に実際に読み取られた光学データ43aを格納したものであり、後述する登録部34により照合記憶部33に記憶されたデータである。
また、補正データ43の光学データ43aは、過去に読み取りに失敗したことのあるデータであり、解析部12によって正規データでないと判定された光学データ21である。たとえば、難読バーコードや、規格外バーコードに対応する光学データが含まれる。
【0035】
登録部34は、新たな補正データ43を、照合記憶部33に記憶させる部分である。
後述するように、特に、解析部12によって、読み取られたバーコードから生成された光学データ21が正規データでないと判定された場合に、読取装置10から送信されてくる光学データ41とコード情報42とを対応づけて、1つの補正データ43として照合記憶部33に追加記憶させる。補正データ43に記憶されるコード情報を、正規コード情報43bと呼ぶことにする。
また、読取装置10から送信されてくるコード情報42は、読み取られたバーコードのコード情報であるが、入力部11によって入力されたコード情報22に相当する。
【0036】
データ照合部32と登録部34は、主として、CPU,ROM,RAM,I/Oコントローラ,タイマー等からなるマイクロコンピュータによって実現される。また、ROM等に格納された制御プログラムに基づいて、CPUが各種ハードウェアを動作させることにより、このデータ照合部32と登録部34の機能が実現される。
【0037】
照合記憶部33は、データ照合部32と登録部34の処理に用いられるデータを記憶した部分であり、主として、受信データ40と、補正データ43を記憶する部分である。ただし、記憶される情報は、これに限られるものではなく、データ照合処理などに必要な他の情報も記憶される。
照合記憶部33としては、RAM,ROMなどの記憶素子の他、ハードディスクなどの記憶装置やその他の記憶媒体が用いられる。
【0038】
受信データ40とは、ネットワーク5を介して、読取装置10からサーバ30に送信されてきたデータであり、たとえば、光学データ41と、コード情報42がある。
光学データ41は、読取装置10の読取部13によって読み取られたバーコードの光学データ21に相当する。
また、この発明では、特に、読取部13によって読み取られた光学データ21のうち、解析部12の解析の結果、正規のバーコードに一致するものとは判定されず、読取に失敗した光学データが、受信した光学データ41に相当する。
【0039】
コード情報42とは、読取装置10の入力部11を用いて、操作者によって入力されたコード情報22に相当する。
たとえば、ある商品に付されたバーコードBAR1に、その商品コードを示すコード情報Aが含まれており、そのバーコードBAR1が正しく読み取られたとすると正規の光学データaが取得されるものとする。
この場合において、このバーコードBAR1の読み取りをした場合に、読み取りに成功したとすると、正規の光学データaと同一の光学データ21が取得され、この光学データ21を解析することによりコード情報Aが抽出される。
【0040】
しかし、バーコードBAR1の読み取りに失敗した場合、実際に読み取られた光学データ21としては、正規の光学データaとは異なるもの(光学データbと呼ぶ)が取得される。
このとき、操作者は、バーコードBAR1の読み取りができないので、そのバーコードBAR1が正しく読み取られたときに抽出されるべきコード情報Aを、キーボード等を用いて直接入力する。
この入力されたコード情報A(22)は、実際に取得された光学データb(21)と対応づけられて、サーバ30へ送信される。この送信は、後述するデータ登録依頼送信に相当する。
すなわち、読取部13によってバーコードの読み取りに失敗したときに読み取られた光学データ21と、操作者によって入力されたコード情報22とが、サーバ30へ送信される。
この場合、送信された光学データ21が受信データ40の光学データ41であり、送信されたコード情報22が受信データ40のコード情報42に相当する。
【0041】
補正データ43は、登録部34によって記憶されるデータであり、データ照合部32が、受信した光学データ41の照合に用いるデータである。すなわち、受信したバーコードの光学データ41と照合し、近似する正規のコード情報(正規コード情報43b)を抽出するために使用するデータである。
【0042】
1つの補正データ43は、光学データ43aと、この光学データ43aに対応づけられた正規コード情報43bとから構成される。この光学データ43aは、過去に読み取られた1または複数のバーコードから生成された第2の光学データに相当する。
ここで、データ登録依頼送信によって送信されてきた光学データ41とコード情報42とが、それぞれ1つの補正データ43の中の光学データ43aと正規コード情報43bとして記憶される。
受信した光学データ41と照合されるデータが、補正データ43の光学データ43aである。
また、正規コード情報43bは、バーコードの規格に基づいて定められた形式を持つコード情報であり、たとえば、JANコードやQRコードのような情報である。
【0043】
以上のように、この発明は、ネットワーク5に接続された読取装置10とサーバ30とからなるシステムによって構成される。
この場合、多数の読取装置10がネットワークに接続され、各読取装置10から光学データ等がサーバ30へ送信される。
また、サーバ30では、各読取装置10から送信されてくる光学データの照合処理が行われ、さらに各読取装置10からのデータ登録依頼によって受信されたデータ40から、補正データ43が生成され記憶される。
【0044】
この場合、サーバ30に蓄積された補正データ43は、すべての読取装置10に対する共有情報として使用される。たとえば、第1の読取装置から送信されてきた光学データによって生成され記憶された補正データ43は、第1の読取装置だけでなく他の読取装置10から送信されてくる光学データ41の照合にも用いられ、逆に、他の読取装置10から送信されてきた光学データによって生成された補正データ43は、第1の読取装置から送信されてくる光学データ41の照合にも用いられる。
【0045】
これにより、各読取装置10で読み取りができなかったバーコードの光学データが、1つのサーバ30にすべて集積され、将来の光学データの照合に利用されるので、読み取りできないバーコード(規格外のバーコード)や、読み取りに失敗する可能性が高いバーコード(難読バーコード)などを読み取るときに、読み取りに失敗したとしても読取不可となる確率を低下させることができ、これらのバーコードについての実質的な読取精度を向上させることができる。
【0046】
また、初めて読み取りに失敗したバーコードは、従来と同様に、その光学データに対応づけるコード情報22を操作者が入力する必要があるが、その後同じように読み取りに失敗しても、読み取られた光学データに照合可能な補正データ43がすでに登録されている場合は、操作者によるコード情報の入力をせずに読み取りを完了させることができるので、読み取りに失敗した場合に一律にコード情報を入力する場合に比べて、操作者の操作負担を減らすことができ、その結果、システム全体としてバーコードの読み取りにかかる時間を短縮することができる。
【0047】
図1では、複数の読取装置10とサーバ30とがネットワーク5で接続された実施形態を示したが、これに限るものではない。
<この発明の他の実施形態の構成の説明>
図2に、1つの情報処理装置によって、この発明の機能を実現できる構成を示す。
図2は、この発明の読取装置10の一実施例の構成ブロック図を示している。
この読取装置10は、パソコン,POS端末など、現在利用されているあらゆる情報処理装置によって実現できる。
図2の読取装置10は、図1の読取装置10の構成ブロックのうち、入力部11,解析部12,読取部13,表示部15,読取記憶部20を含み、さらに図1のサーバ30に備えられていたデータ照合部32と、登録部34と、照合記憶部33とを備える。
言いかえれば、図2の読取装置10は、図1の構成のうち、ネットワークに接続するための通信部(14,31)を除いた構成を持つものであり、独立した1台の装置のみで、バーコードの読取処理と照合処理を行うものである。
【0048】
なお、読取記憶部20と照合記憶部33とは、別々の記憶装置に設ける必要はなく、同じハードディスク内に設けてもよい。また、受信データ40は、読取記憶部20の読み取られた光学データ21と、入力されたコード情報22に相当するので、受信データとして別に記憶する必要はなく、照合処理では、光学データ21等をそのまま利用してもよい。すなわち、図2では、図1との対比のために受信データを記載しているが、実際には記憶しなくてもよい。
このように、1台の読取装置10を構成すれば、この読取装置10がネットワークに接続する環境にない場合でも、図1と同様にバーコード読取処理の時間短縮と、読取精度の向上が可能となる。
【0049】
図5に、この発明の情報処理システムの他の実施例の構成ブロック図を示す。
このシステムは、図1に示したサーバ30と、図2に示したような読取装置とを備えたシステムである。
したがって、データ照合部と登録部は、読取装置10と、サーバ30のどちらにも備えられている。ただし、読取装置10は、図1のように、データ照合部16および登録部17を有さないものであってもよい。
また、図1の読取装置10と、図2の読取装置10とが、混在して、ネットワークに接続されていてもよい。
【0050】
図5のシステム構成において、ある読取装置10で読み取りに失敗したバーコードの光学データ21は、その登録部17によって、その読取装置内部の読取記憶部20に、補正データ24の光学データ24aとして記憶される。
この補正データ24は、その読取装置10において、将来読み取りに失敗した光学データがあった場合に、データ照合部16がその光学データの照合を行うときに用いられる。
もし、読取装置10がネットワークに接続できないような状態の場合でも、その読取装置10そのものだけで、自己の補正データ24を用いて照合処理を行うことができる。
【0051】
また、この補正データ24は、ネットワークを介して、サーバ30に送信され、サーバ30の照合記憶部33の補正データ43に追加してもよい。
これによれば、ある読取装置10に記憶されていた補正データ24が、他の読取装置10の照合処理でも用いることができるようになるので、バーコードの読取精度の向上を図ることができる。
【0052】
また、ある読取装置10において、読取のできなかったバーコードの光学データ21があった場合、まず始めに自己の読取記憶部20に記憶された補正データ24の光学データ24aとの照合処理を行い、その装置内での照合処理ができなかった場合に、上記光学データ21をサーバ30へ送信し、サーバ30において、サーバ30に記憶されている補正データ43の光学データ43aとの照合処理を行うようにしてもよい。このように2段階の照合処理を行うことにより、バーコード読取について、システム全体としての処理時間の短縮と、読取精度の向上を図ることができる。
【0053】
さらに、自己の装置内に補正データ24を記憶している読取装置10が、ネットワークを介して複数台接続されている場合は、サーバ30を介することなく、複数台の読取装置10の相互間で、互いの補正データ24を交換してもよく、また、読み取りに失敗した光学データ21を他の読取装置10へ転送し、他の読取装置10に、データ照合要求を依頼してもよい。
このように、サーバ30のみで補正データを集中管理するのではなく、他の読取装置相互間でそれぞれの補正データを用いた照合処理をすることにより、より効率的なバーコード読取処理をすることができる場合もある。
【0054】
<バーコードの読取処理および照合処理>
以下に、この発明で行われるバーコードの読取処理と照合処理の一実施例について説明する。ここでは、図1の構成における処理を示す。
図3に、この発明の読取装置で行われる読取処理の一実施例のフローチャートを示す。
図3において、まず、ステップS1において、読取開始を意味する入力があったか否か、チェックする。
たとえば、キーボードの中に、読取開始を意味する専用キーがある場合、そのキーが入力されたかどうかをチェックする。
その入力がなければ、ステップS1をループし、その入力があれば、ステップS2へ進む。
【0055】
ステップS2において、以後の処理で用いる変数を初期化する。
ここでは、読取回数を示す変数Nと、照合回数を示す変数Mを、どちらもゼロに初期化する。
また、読取回数Nの最大値(Nmax)を、100に設定し、照合回数Mの最大値(Mmax)を、10に設定する。
読取回数Nは、同一のバーコードを連続的に読み取った回数を意味する。
一般に、操作者の読取操作等が原因で、一回の読取処理によって正常に読み取られる場合は少なく、何度か読取処理を繰り返すことにより読取が成功する場合が多い。
そこで、連続して読み取りに失敗した後読取処理を終了するための最大読取回数Nmaxを設定する。ここでは、Nmaxを100に設定するが、これに限るものではない。
【0056】
照合回数Mは、サーバ30に対して連続的に照合を要求する回数を意味する。
照合に関しても、バーコードの読取と同様に一回の照合処理で成功するとは限らないので、精度を向上させるために、何度か繰り返すことが好ましい。
そこで、照合回数とともに、サーバに対して照合を要求する最大照合回数Mmaxも設定する。ここでは、Mmaxを10に設定するが、これに限るものではない。
【0057】
ステップS3において、バーコードの読取処理を開始させる。
ここでは、解析部12が、読取部13に対して一定時間光を出射させる指示を出す。
また、フォトダイオードによって検出された反射光を取得し、反射光の明暗の変化を解析する。具体的には、ステップS4,S5,S6の処理をすることにより、光学データ21を取得し、正しくバーコードが読み取られたか否かを判定する。
ステップS4において、検出された反射光の明暗の変化パターンからバーコードの先頭を示すスタートビットを検出する。スタートビットを検出できなかった場合は、再度ステップS3へ戻り、光を出射して、同様にスタートビットを探す。
【0058】
ステップS4において、スタートビットが検出された場合、ステップS5へ進む。
ステップS5において、スタートビットに続く部分のバーコードのデータを取得して光学データを生成し、読取記憶部20に記憶する。
これが読み取った光学データ21であり、正規のコード情報に変換可能な光学データもあれば、正規のコード情報に変換できない光学データもある。
ここで、バーコードは、一般的に、黒色の線分である「バー」部分と、バーのない「スペース」部分の繰り返しから構成されるが、光学データとは、スタートビットに続いて明暗の情報として検出された「バー」と「スペース」の幅と、その繰り返しパターンとを数値化したデータである。光学データは、スキャン反射率波形とよばれ、連続的な明暗情報で読み取られる。
【0059】
ステップS6において、この光学データ21から、読み取ったバーコードの解析を行う。すなわち、光学データの数値化データと、読取記憶部20に予め記憶されている規格判定情報23とを比較し、チェックサム等を用いて、光学データ21が所定のバーコードの規格に対応したものであるか否かをチェックする。
光学データ21が、規格判定情報23に含まれるバーコード規格に対応したものであると認識された場合、その光学データの数値化データから、バーコードに含まれていたコード情報を生成する。この場合のコード情報は、正規のコード情報である。
生成されたコード情報は、その後の売上処理などで使用するため、記憶部20に記憶される。
このように、正規コード情報が生成できた場合は、バーコードの読取に成功したことになる。
一方、上記解析処理により、読み取った光学データに一致可能な情報が、規格判定情報23の中にない場合、あるいはチェックサムの照合でエラーとなったような場合は、バーコードの読取に失敗したことになる。
【0060】
ステップS7において、ステップS6のバーコードの解析が成功したか否か、チェックする。
成功した場合はステップS8へ進み、失敗した場合はステップS9へ進む。
ステップS8において、読み取りに成功した場合に実行すべき処理(成功時処理)を実行して、このフローの処理を終了する。
ここで、成功時処理とは、たとえば、生成されたコード情報から購入された商品情報を取得し、その商品の商品名や売上金額等を算出して売上伝票やレシートを発行する処理を行うことを意味する。
【0061】
ステップS9において、バーコードの読み取りに失敗したので、読取回数Nに1を加算し次の読み取りに備える。
ステップS10において、現在の読取回数Nが、最大読取回数Nmax(=100)よりも大きくなったか否かチェックする。
N>Nmaxの場合は、ステップS11へ進み、そうでない場合は、再度バーコードの読取処理を実行するためにステップS3へ戻る。
N>Nmax(=100)の場合は、すでに100回連続してバーコードの読み取りに失敗したことを示しており、ここで一旦読取処理を中断して、サーバ30にデータ照合を要求するために、以下の処理(ステップS11〜S14)を実行する。
【0062】
ステップS11において、読み取りに失敗した光学データ21を、サーバ30へ送信し、データ照合を要求する。
ここで、データ照合の要求とは、サーバ30に格納されている補正データ43の中に、読み取りに失敗した光学データ21と一致可能なものが存在するか否かを問い合わせることを意味する。
【0063】
後述するように、このデータ照合要求を受け取ったサーバ30では、受信した光学データ41と、補正データ43とを用いて、照合処理を実行する。
この照合処理が成功した場合、補正データ43の中に、受信した光学データ41と一致可能な光学データ43aが存在し、過去にも、同じように読取に失敗した光学データ21がサーバ30に送信されてきたことを意味する。
このとき、一致可能な光学データ43aと対応づけて記憶されていた正規コード情報43bが読み出され、照合に成功したことを示す照合結果情報とともに、この正規コード情報43bが、ステップS11でデータ照合要求を送信してきた読取装置10に送信される。
一方、サーバにおいて照合に失敗した場合、すなわち一致可能な光学データ43aが存在しなかった場合は、失敗したことを示す照合結果情報を、読取装置10に送信する。
【0064】
ステップS12において、サーバからの照合結果情報が受信されるか否かチェックする。 照合結果が受信された場合、ステップS13へ進む。
ステップS13において照合結果情報の内容を確認し、バーコードの照合に成功したか否か、チェックする。
照合に成功した場合は、ステップS14へ進み、失敗した場合はステップS15へ進む。
ステップS14において、照合に成功したので、所定の照合成功時処理を実行し、このフローを終了する。
ここでは、たとえば、照合結果とともに送信されてきた正規コード情報43bを、読み取りに失敗したバーコードのコード情報とみなして、以後の売上処理等を実行する。
【0065】
ステップS15において、サーバでの照合も失敗したので、再度バーコードの読取処理を実行するために、照合回数Mに、1を加算する。
ステップS16において、現在の照合回数Mが、最大照合回数Mmax(=10)よりも大きいか否か、チェックする。
M>Mmaxの場合、ステップS17へ進み、そうでない場合、再度読取処理をするために、ステップS3へ戻る。
M>Mmax(=10)の場合は、今読み取ろうとしているバーコードについて、すでに10回連続してサーバでの照合処理に失敗していることを意味する。
この場合、これ以上バーコードの読取および照合を続けてもバーコードの読取に成功することはないと判断し、操作者にはじめて今読み取ろうとしているバーコードのコード情報を、キーボード等を用いて直接入力することを要求する。
すなわち、ステップS17において、表示部15に、コード情報の入力を要求するための表示を行う。
【0066】
操作者は、この表示を見ることにより、コード情報を直接入力しなければならないことを認識する。
表示内容は、操作者がコード情報の入力が必要であることを理解できるものであれば何でもよく、また、入力が必要なことを操作者に注意喚起するために、警告音や音声メッセージの出力や点滅表示をしてもよい。
ステップS18において、操作者により、コード情報が入力されるのを待つ。
コード情報が入力された場合、ステップS19へ進む。
入力されたコード情報22は、読取記憶部20に記憶される。
この入力されたコード情報22は、後に、サーバ30において登録される補正データ43の正規コード情報43bとなるものである。
【0067】
ステップS19において、サーバ30に対して、データ登録依頼情報を送信する。
ここでは、入力されたコード情報22と、すでに記憶されている光学データ21とを含むデータ登録依頼情報が、サーバ30に送信される。
サーバ30では、後述するように、このデータ登録依頼情報を受信すると、受信データ40に含まれる光学データ41と、コード情報42とを、新たな補正データ43として記憶する。
【0068】
ステップS20において、読取装置10では、コード情報が入力されたことに対して、予め設定されている処理(入力受理時処理)を実行し、フローを終了する。
入力受理時処理としては、たとえば、入力されたコード情報22そのものを、読み取りに失敗したバーコードのコード情報とみなして、以後の売上処理等を実行する。
以上が、読取装置10における詳細な処理の一実施例である。
【0069】
これによれば、ステップS7で、バーコードの読み取りに失敗しても、ステップS11からS13における一連の照合処理をすることにより、バーコードの認識が可能な場合があり、操作者がコード情報を直接入力することはなく、読取が困難なバーコードの読取にかかる時間の短縮と、操作者の操作負担を軽減できる。
【0070】
また、ステップS17,S18において、操作者がコード情報を直接入力した場合には、ステップS19において、読み取りに失敗したバーコードの情報がサーバで登録されるので、将来その読み取りに失敗したバーコードと同じバーコードの読み取りが要求された場合は、照合処理が実行されることにより、そのバーコードの照合、すなわちバーコードの読取が正常に可能となり、過去に読取が困難であったバーコードの読取精度を実質的に向上させることが可能となる。
【0071】
なお、ステップS13において、バーコードの照合に成功した場合、受信した照合結果情報に含まれる正規コード情報43bを、表示部15に表示させ、この照合結果が正しいか否かを、操作者に確認してもらうようにしてもよい。操作者によって正しいことが確認されれば、所定の操作が入力された後に、ステップS14へ進むようにすればよい。
あるいは、サーバのデータ照合部32によって算出された近接度も、照合結果情報に含めて送信し、一応バーコードの照合に成功したと判断できる基準を満たしているものの、近接度がそれほど高くない場合に、照合結果と近接度の表示をして、操作者の確認をしてもらうようにしてもよい。これによれば、操作者の確認負担がやや増加するが、より確実にバーコードの読取が可能となる。
【0072】
図4に、この発明のサーバで行われる照合処理および補正データ登録処理の一実施例のフローチャートを示す。
ステップS31において、まずサーバの通信部31が、読取装置10から何らかのデータが受信されるか否か、チェックする。
何らかのデータが受信された場合、ステップS32へ進み、そうでない場合、ステップS31をループする。
ステップS32において、その受信データが、データ登録依頼情報か否かチェックする。
データ登録依頼情報であった場合、ステップS33へ進み、そうでない場合ステップS34へ進む。
ここで、そうでない場合とは、ステップS11のデータ照合要求を受信した場合であるものとする。ただし、設計仕様により、この他のデータの受信をしてもよい。
【0073】
ステップS33において、補正データの登録処理をする。
すなわち、ステップS19のデータ登録依頼の送信によってサーバへ送られてきたコード情報42と、光学データ41とを、新たな補正データ43として、照合記憶部33に記憶させる。
ここで、コード情報42は、入力されたコード情報22に相当し、正規コード情報43bとして記憶され、光学データ41は、そのまま光学データ43aとして記憶される。
これにより、記憶された新たな補正データ43は、将来、任意の読取装置10からデータ照合要求があった場合に、光学データの照合処理に用いられる。
ステップS33の後、ステップS31へ戻り、以後、上記のような処理を繰り返す。
【0074】
ステップS34において、データ照合要求が受信されたので、受信データの照合処理が実行される。
受信したデータ照合要求は、ステップS11で送信されたものであり、上記したように、読み取りに失敗した光学データ41が含まれる。
ここでは、補正データ43を検索し、受信した光学データ41と一致可能な光学データ43aが補正データ43の中にないかチェックする。具体的には、近接度を算出し、両光学データの一致の程度をチェックする。
ここで、2つの光学データ(41,43a)が完全に一致する場合もあるが、完全に一致するものではないがほとんど一致しているとみなしてもよい程、近接度が高い場合がある。近接度とは、受信した光学データ41と、補正データ43の中の1つの光学データ43aとの一致の程度を示すものであり、たとえば、スキャナ反射率波形状態で差分を比較するか、一旦、シンボルパラメータを計算し、各バーとスペースの幅と補正データ(43a)を比較することで測定する。
【0075】
この近接度が所定の基準(たとえば、80%)よりも高い場合、照合に成功したと判断し、補正データ43に記憶されたその光学データ43aは、受信した光学データ41と一致するとみなすものとする。
この所定の基準を満たさない場合は、一致しないと判断し、補正データ43の中の別の光学データ43aとの照合を行う。
ステップS35において、上記照合処理によって、補正データ43の中に、受信した光学データ41と一致する光学データ43aがあったか否か判断する。
一致する光学データ43aがあった場合、すなわち照合に成功した場合は、ステップS36に進み、照合に成功したことを示す照合結果を、照合要求をしてきた読取装置10に送信する。
このとき、送信する照合結果には、一致する光学データ43aと対応づけて記憶されている正規コード情報43bを含める。
【0076】
一方、S35において、一致する光学データ43aがなかった場合、ステップS37へ進み、照合に失敗したことを示す照合結果を、照合要求をしてきた読取装置10に送信する。
なお、ステップS34の照合処理で用いる近接度の所定の基準は、予め一意的に設定しておいてもよいが、実際の運用状況、たとえばバーコードの読取精度などの状況に基づいて、操作者が設定変更できるようにしてもよい。また、近接度の高い物から順に候補を表示するような使用方法も可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 バーコード
5 ネットワーク
10 読取装置
11 入力部
12 解析部
13 読取部
14 通信部
15 表示部
16 データ照合部
17 登録部
20 読取記憶部
21 光学データ
22 入力されたコード情報
23 規格判定情報
30 サーバ
31 通信部
32 データ照合部
33 総合記憶部
34 登録部
40 受信データ
41 光学データ
42 コード情報
43 補正データ
43a 光学データ
43b 正規コード情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーコードを読み取り、第1の光学データを生成する読取部と、
前記第1の光学データを解析し、前記第1の光学データが所定のバーコード規格に対応する正規データであるか否かを判定する解析部と、
過去に読み取られた1または複数のバーコードから生成された第2の光学データと、前記第2の光学データに対応づけられた正規コード情報とからなる補正データを記憶した照合記憶部と、
前記解析部によって、読み取られたバーコードから生成された前記第1の光学データが正規データでないと判定された場合、
前記照合記憶部に記憶された補正データを検索し、前記補正データの中に、前記第1の光学データに一致可能な第2の光学データが検出されたとき、その第2の光学データに対応づけられた正規コード情報を読み出し、前記読み取られたバーコードに含まれるコード情報が、前記読み出された正規コード情報であると判断するデータ照合部とを備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第1の光学データと、前記第1の光学データが正規データであるか否かを判定するための基準を示した規格判定情報とを記憶する読取記憶部をさらに備え、前記解析部は、前記第1の光学データが前記規格判定情報の基準に一致するものであるとき、その第1の光学データを正規データであると判定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
バーコードに含まれるコード情報を入力する入力部と、
前記解析部によって、読み取られたバーコードから生成された前記第1の光学データが正規データでないと判定された場合に、前記入力部によって、前記読み取られたバーコードのコード情報を入力させ、入力されたコード情報と、前記第1の光学データとを対応づけて1つの補正データとして、前記照合記憶部に追加記憶させる登録部とをさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記データ照合部は、前記第1の光学データと前記補正データに含まれる第2の光学データとの一致の程度を示す近接度を算出し、前記第2の光学データの中に、前記算出された近接度が所定値以上のものが検出されたとき、その検出された第2の光学データを前記第1の光学データと一致可能であると判断することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記照合記憶部に記憶された第2の光学データは、前記解析部によって正規データでないと判定された前記第1の光学データであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1の光学データおよび第2の光学データは、前記読取部によって読み取られたバーコードを構成する画像パターン情報から生成された数値データであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
ネットワークを介して接続された読取装置とサーバとからなり、
前記読取装置が、バーコードを読み取り、第1の光学データを生成する読取部と、
前記第1の光学データを解析し、前記第1の光学データが所定のバーコード規格に対応する正規データであるか否かを判定する解析部と、
前記解析部が、読み取られたバーコードから生成された前記第1の光学データを正規データでないと判定した場合に、その第1の光学データをサーバに送信する第1の通信部とを備え、
前記サーバが、過去に読み取られた1または複数のバーコードから生成された第2の光学データと、前記第2の光学データに対応づけられた正規コード情報とからなる補正データを記憶した照合記憶部と、
前記照合記憶部に記憶された補正データを検索し、前記補正データの中に、前記読取装置から送信されてきた第1の光学データに一致可能な第2の光学データが検出されたとき、その第2の光学データに対応づけられた正規コード情報を読み出し、前記読み取られたバーコードに含まれるコード情報が、前記読み出された正規コード情報であると判断するデータ照合部と、
前記データ照合部によって読み出された正規コード情報を、前記第1の光学データを送信してきた読取装置に送信する第2の通信部とを備えたことを特徴とする情報処理システム。
【請求項8】
前記読取装置が、バーコードに含まれるコード情報を入力する入力部をさらに備え、
前記解析部によって、読み取られたバーコードから生成された前記第1の光学データが正規データでないと判定された場合、
前記入力部によって、前記読み取られたバーコードのコード情報を入力させ、前記第1の通信部が、前記第1の光学データと前記入力されたコード情報とをサーバへ送信し、
前記サーバが、前記第2の通信部によって、読取装置から送信されてきた第1の光学データと前記入力されたコード情報を受信した後、その受信した入力されたコード情報と、受信した第1の光学データとを対応づけて1つの補正データとして、前記照合記憶部に追加記憶させる登録部をさらに備えたことを特徴とする請求項7に記載の情報処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−118695(P2012−118695A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266893(P2010−266893)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】