説明

情報処理装置

【課題】操作者の操作器具による入力操作を可能とするモードと、操作者の指による入力操作を可能とするモードとで動作モードを切り替え、それぞれの動作モードで、タッチパネルを駆動する駆動電圧、操作位置を検出する際のサンプリング周波数をそれぞれのモードに応じたものとすることができ、これにより情報処理装置の低消費電力化および使用者への操作感向上を達成することができる。
【解決手段】タッチパネルを備えた情報処理装置100において、ペン形状の操作器具を情報処理装置の筐体に装着した装着状態、あるいは該操作器具を該情報処理装置の筐体から取り外した取外状態を検出する脱着検出部130を備え、該脱着検出部により検出された該操作器具の脱着状態に応じて、該指または該操作器具による該タッチパネルの操作位置を検出する操作位置検出条件を切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関し、特に、タッチパネルを有する携帯電話やタブレット端末などの携帯型のタッチパネル方式の情報処理装置における消費電力の低減手法を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なパーソナルコンピュータが表示装置としてディスプレイ、入力装置としてキーボードやマウスを備えており、一般的なパーソナルコンピュータでは両者(つまり表示装置と入力装置)とは別々に存在するのに対し、タッチパネル方式の情報処理装置は、液晶表示パネルなどの表示装置の上に入力装置としてタッチパネルを重ねて配置した構造を有している。
【0003】
このようなタッチパネル方式の情報処理装置では、インターフェイスは、例えば表示されたボタンをマウスでクリックするかわりに、指でそのボタンにタッチするという非常に直感的な操作が可能なものであるため、タッチパネルを搭載した情報処理装置は近年急速に市場が拡大している。
【0004】
例えば、携帯電話も電話番号を入力するボタンを配置したボタン部分と、情報を表示する液晶表示部があるのが一般的であったが、2010年ごろよりスマートフォンと呼ばれるキーパッド部分のない、液晶表示パネルなどの表示装置に入力装置としてのタッチパネルを重ねて配置しているものが急速に増加している。
【0005】
それに呼応するかのように10インチ程度のサイズの携帯型タブレットも急速に増加している。
【0006】
また、特許文献1に示されるような光学式タッチパネルもあるが、一般には、タッチパネル技術は大きくわけて2種類あり、1つは抵抗膜方式と呼ばれ、もう一方は静電容量方式と呼ばれる。
【0007】
抵抗膜方式は古くから存在する技術で、タッチパネルを押さえる圧力で抵抗膜の抵抗が変化することを利用して、抵抗膜の抵抗変化を示す情報からタッチパネルを操作した位置を割り出す方式である。この抵抗膜方式では、抵抗膜に圧力がかかれば抵抗膜に圧力がかかった位置を検出できるので、ペンでも指でも検知することは可能であるが、抵抗膜方式では、後述する静電容量方式に比べて表示装置の表示画面上に抵抗膜があるために透過性が低くなり、静電容量方式のタッチパネルを用いたものと同等の輝度を確保しようとすると液晶表示装置のバックライトの消費電力が増加することとなり、抵抗膜方式のタッチパネルは携帯機器に向かない。
【0008】
もう一方の静電容量方式のタッチパネルは、コスト面では抵抗膜方式のものに比べて不利なものの、透過性の高さや表示品位を下げない(色が抵抗膜によって変化しない)などの面で好まれ、携帯端末分野においては、抵抗膜方式のものに置き換わりつつある。
【0009】
静電容量方式は、タッチパネルにおける容量を検出するセンサ部に電圧を印加し、タッチパネルを指などの導電体で操作したときに生じる、センサ部で生ずる電荷量の変動を検出し、タッチパネルにおける電荷量が変動した部位(つまり静電容量が変動した部位)を操作位置として検出するものである(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010−182071号公報
【特許文献2】特許第4275865号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、静電容量方式のタッチパネルでは、導電体の近接によって生じる静電容量の変動が検出できれば、タッチ位置検出が可能となることは上述のとおりであるが、例えば、タッチパネルにタッチしたときにタッチ部位で生じる静電容量の変化の大小は、そのタッチする物体によって大きく異なる。
【0012】
具体的には、例えば、指のような比較的大きい静電容量の変化を生じさせる物体は容易に検出できるが、例えばペンのような接触面積が指先に比べて小さいものは、そのタッチ位置を検出するには高いSN比が必要となり、タッチ位置の検出が困難である。
【0013】
この問題に対する対策としては、例えば、タッチパネルの各部位での静電容量(つまり、蓄積される電荷の量)の検出を行なう際に、タッチパネルを構成する電極に高い電圧をかけることが有効である。
【0014】
図6は、通常タッチパネルに用いる電極の配置を示している。
【0015】
図6に示すように、センスラインと呼ばれる第1の帯状電極11a〜11dが第1の方向と平行に複数配置されて第1の電極群11を構成しており、また、ドライブラインと呼ばれる第2の帯状電極12a〜12dが第1の方向と直交する第2の方向と平行にかつ該第1の電極と立体的に交差するよう複数配置されて第2の電極群12を構成している。なお、ここでは説明の都合上、第1および第2の帯状電極を4本のみ示している。
【0016】
このようなタッチパネルでは、ドライブライン(第2の帯状電極)12a〜12dにより高い電圧を印加することで、結果としてセンスライン(第1の帯状電極)11a〜11dから出力される電荷量をより大きくすることで、ペンのようなこれがタッチパネルに近接したときに生ずる電荷量の変動の小さい物体でも検出可能となるのである。
【0017】
また、ペンによる入力操作は、指による入力操作に比べてより操作経路に沿った移動速度が速い入力操作である点を考慮すべきである。
【0018】
指で文字を書くときにはどうしても文字が大きくなるため移動経路に沿った速度が遅く、タッチパネル上での各部位での蓄積電荷量の変化を検出する動作は、粗いサンプリングレート(通常60Hz〜120Hz程度)に基づいて行ってよいが、ペンで筆記する場合には最高で240Hz程度のサンプリングレートがないと正しく文字の形状を再現できないという課題がある。
【0019】
ペンによる入力操作時に必要な上述の2点の対策、つまり検出感度向上のためのドライブラインに印加する電圧の上昇や、書き味を良くするためのサンプリングレートの上昇は、いずれも消費電力の増大を招くものであり、電池駆動される携帯機器の使用可能時間が大幅に影響を受ける。もちろんこれらはペンによる入力操作にはかかすことのできない電力であり、ペンでしか使用しない場合には削減の余地がない。
【0020】
しかしながら、たいていの場合は指で入力操作を行なうが、一部の期間はペンによる入力操作(ペン書き)をしたいという状況が多く、この場合には、消費電力の低減のために指による入力操作を行う指モード(つまり、指での入力操作を前提にしたドライブ電圧やサンプリングレートといった低消費電力を考慮したモード)にしておき、ペンで操作される時点で、ペンモード(ドライブ電圧やサンプリングレートを指モードの場合に比べて高めるモード)とすることが好ましい。
【0021】
しかしながら、指モードでは、ペンによる入力操作が検出できないから、ドライブ電圧をペンモードにおける電圧に上げておく必要があり、いつもドライブ電圧を上げておきペンの検出可能な状態にしておくのでは低消費電力にならない。
【0022】
このため、例えば、通常は指モードにしておき、ユーザに「これからペンモードへの切り替え」という操作を指のタッチにより操作してもらった上でペンモードに移行し、ペンモードでこれ以上入力操作を行わないというタイミングで、また「指モード」への移行をしてもらう手間を、ユーザにかけさせれば、上記のモード遷移は可能となるが、このような方法はユーザの操作性の著しい悪化につながる。
【0023】
入力操作にペンを使おうと思ってペンを持った状態で、指モードからペンモードへの移行を行なおうとしても、その移行操作がペンではできないという不便さもある。つまりペンによる入力操作はペンモードでしないといけないからである。
【0024】
また、ユーザが指モードへの復帰を忘れると、ペン操作の必要がないのにペンモードで動作しつづけることになり、無駄な消費電力の増大を招く。
【0025】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、操作者の操作器具による入力操作を可能とするモードと、操作者の指による入力操作を可能とするモードとの間で動作モードを切り替え、タッチパネルを駆動する駆動電圧、およびタッチパネルの複数部位での静電容量をサンプリングする周波数をそれぞれのモードに応じたものとすることができ、これにより低消費電力化および操作者の操作感向上を実現することができる情報処理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明に係る情報処理装置は、タッチパネルあるいはタブレットを備え、該タッチパネルに対する操作者の指あるいはペン形状の操作器具を用いた操作により情報が入力される情報処理装置であって、該操作器具を該情報処理装置の筐体に脱着可能に保持する器具保持部と、該操作器具が該情報処理装置の筐体に装着された装着状態、あるいは該操作器具が該情報処理装置の筐体から取り外された取外状態を検出する脱着検出部と、該脱着検出部により検出された該操作器具の脱着状態に応じて、該タッチパネルあるいは該タブレットの動作モードを、該指により情報の入力操作を行う指操作モードと該操作器具により情報の入力操作を行う器具操作モードとの間で切り替える動作モード切替部とを備えており、そのことにより上記目的が達成される。
【0027】
本発明は、上記情報処理装置において、前記動作モード切替部は、前記指操作モードと前記器具操作モードとで、前記タッチパネルあるいは前記タブレットに対する前記操作者の操作位置を検出する操作位置検出条件を切り替える検出条件切替部を有することが好ましい。
【0028】
本発明は、上記情報処理装置において、前記タッチパネルあるいは前記タブレットは、前記指または前記操作器具による該タッチパネルあるいは該タブレットの操作位置を、該操作位置での静電容量の変化により検出する静電容量方式のものであることが好ましい。
【0029】
本発明は、上記情報処理装置において、前記検出条件切換部は、前記指操作モードでは、前記器具操作モードに比べて、前記タッチパネルあるいは前記タブレットにおける複数の位置で静電容量をサンプリングするサンプリング周波数、および該静電容量のサンプリング時の該タッチパネルあるいは該タブレットの駆動電圧を低下させることが好ましい。
【0030】
本発明は、上記情報処理装置において、前記タッチパネルあるいは前記タブレットは、第1の帯状電極を第1の方向と平行に複数配列してなる第1の電極群と、第2の帯状電極を第1の方向と直交する第2の方向と平行にかつ該第1の電極と立体的に交差するよう複数配列してなる第2の電極群とを備え、前記動作モード切替部は、該タッチパネルあるいは該タブレットの該第2の帯状電極に前記駆動電圧を印加し、該第2の帯状電極に該駆動電圧を印加したときに該タッチパネルあるいは該タブレットの該第1の帯状電極から出力される電荷量に基づいて該タッチパネルあるいは該タブレット上での操作位置を検出する制御部を有することが好ましい。
【0031】
本発明は、上記情報処理装置において、前記制御部は、前記第2の電極群の複数の第2の帯状電極に順次駆動電圧を印加して、該第2の電極群の各第2の帯状電極毎に、該第2の帯状電極と交差する複数の第1の帯状電極から出力される電荷量を検出し、該電荷量に基づいて前記タッチパネルあるいは前記タブレットにおける第1の帯状電極と第2の帯状電極との交差部での静電容量を求めることが好ましい。
【0032】
本発明は、上記情報処理装置において、前記制御部は、前記第2の電極群を構成する複数の第2の帯状電極に同時に、それぞれ直交する波形の駆動電圧を印加し、該複数の第2の帯状電極に同時に駆動電圧を印加したときに前記第1の電極群の複数の第1の帯状電極から出力される電荷量を検出し、印加した駆動電圧と検出した電荷量との演算処理により、前記タッチパネルあるいは前記タブレットにおける第1の帯状電極と第2の帯状電極との交差部での静電容量を求めることが好ましい。
【0033】
本発明は、上記情報処理装置において、前記脱着検出部は、前記情報処理装置の筐体の一部に形成され、前記操作器具を収納する収納部と、該操作器具が該収納部内に収納されたとき、該操作器具と当接して第1の位置から第2の位置に移動し、該操作器具が該収納部内から取り出されたとき、該操作器具との当接が解除されて第2の位置から第1の位置に戻るカム部材と、スイッチ片を有し、該カム部材の第1の位置から第2の位置への移動により該スイッチ片が押圧されてオン状態となり、該カム部材の第2の位置から第1の位置への移動によりスイッチ片の押圧が解除されてオフ状態となる機械的スイッチとを含み、該機械的スイッチがオン状態のとき、該操作器具が該情報処理装置の筐体に装着された装着状態を検出し、該機械的スイッチがオフ状態のとき、該操作器具が該情報処理装置の筐体から取り外された取外状態を検出することが好ましい。
【0034】
本発明は、上記情報処理装置において、前記操作器具は、磁石を取り付けたものであり、前記脱着検出部は、前記情報処理装置の筐体に設けられ、前記操作器具を保持する保持部と、前記情報処理装置の筐体に設けられ、該操作器具が該保持部に保持されたとき、該操作器具の磁石による磁気を検出する磁気検出器とを有し、該操作器具の磁石による磁気を検出したとき、該操作器具が該情報処理装置の筐体に装着された装着状態を検出し、該操作器具の磁石による磁気が検出されないとき、該操作器具が該情報処理装置の筐体から取り外された取外状態を検出することが好ましい。
【0035】
本発明は、上記情報処理装置において、前記脱着検出部は、前記情報処理装置の筐体に設けられ、前記操作器具を保持する保持部と、前記情報処理装置の筐体に設けられ、該操作器具が該保持部に保持されたとき、該操作器具の近接による容量の変化を容量検出器とを有し、該容量検出器が該操作器具の近接による容量の変化を検出したとき、該操作器具が該情報処理装置の筐体に装着された装着状態を検出し、該容量検出器にて容量変化が検出されないとき、該操作器具が該情報処理装置の筐体から取り外された取外状態を検出することが好ましい。
【0036】
次に作用について説明する。
【0037】
本発明においては、タッチパネルあるいはタブレットを備えた情報処理装置において、ペン形状の操作器具を情報処理装置の筐体に装着した装着状態、あるいは該操作器具を該情報処理装置の筐体から取り外した取外状態を検出する脱着検出部を備え、該脱着検出部により検出された該操作器具の脱着状態に応じて、該指または該操作器具による該タッチパネルあるいは該タブレットの操作位置を検出する操作位置検出条件を切り替えるので、指モードでは、タッチパネルあるいはタブレットの駆動電圧およびサンプリング周波数を低下させて省電力化を実現でき、一方、ペンモードでは、タッチパネルあるいはタブレットの駆動電圧およびサンプリング周波数を、タッチペンによる入力操作に適したものとなるように設定して快適な入力操作を実現することができ、これにより情報処理装置の低消費電力化および使用者への操作感向上を達成できる。
【発明の効果】
【0038】
以上のように、本発明によれば、タッチパネルあるいはタブレットを備えた情報処理装置において、ペン形状の操作器具を情報処理装置の筐体に装着した装着状態、あるいは該操作器具を該情報処理装置の筐体から取り外した取外状態を検出する脱着検出部を備え、該脱着検出部により検出された該操作器具の脱着状態に応じて、該指または該操作器具による該タッチパネルあるいは該タブレットの操作位置を検出する操作位置検出条件を切り替えるので、操作者の操作器具による入力操作を可能とするモードと、操作者の指による入力操作を可能とするモードとで動作モードを切り替え、タッチパネルあるいはタブレットを駆動する駆動電圧、およびタッチパネルあるいはタブレットの複数部位での静電容量をサンプリングする周波数をそれぞれのモードに応じたものとすることができ、これにより低消費電力化および操作者の操作感向上を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は本発明の実施形態1による情報処理装置を説明する図であり、図1(a)は本実施形態1の情報処理装置の外観を示し、図1(b)はこの情報処理装置のタッチパネルを構成する電極の配置を示している。
【図2】図2は本発明の実施形態1による情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図3は本発明の実施形態1による情報処理装置を説明する図であり、図3(a)は、タッチペンをこの情報処理装置の筐体から取り出した状態を示し、図3(b)は、タッチペンをこの情報処理装置の筐体に収納した状態を示している。
【図4】図4は本発明の実施形態1による情報処理装置を説明する図であり、図4(a)〜図4(c)は、この情報処理装置におけるタッチペンの脱着を検知する脱着検出部にてタッチペンが収納される様子を示している。
【図5】図5は本発明の実施形態1による情報処理装置を説明する図であり、タッチペンの脱着を検知してタッチパネルの動作モードを切り替える処理フローを示している。
【図6】図6は、一般的な静電容量方式のタッチパネルを説明する図であり、このタッチパネルを構成する電極の配置を示している。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0041】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1による情報処理装置を説明する図であり、図1(a)はこの情報処理装置の外観を示し、図1(b)はこの情報処理装置のタッチパネルを構成する電極の配置を示している。
【0042】
この情報処理装置100は、タッチパネル110を備え、該タッチパネル110に対する操作者の指あるいはペン形状の操作器具を用いた操作により情報が入力される情報処理装置である。ここで、ペン形状の操作器具としてはタッチパネル用ペン(以下タッチペンという。)100bを用いる。また、タッチパネル110は、上記情報処理装置100の筐体100aに取り付けられた液晶パネルなどの液晶表示装置(図示せず)の上に該液晶表示装置に重ねて配置されており、液晶表示装置の表示画面が見えるよう透明部材により構成されている。
【0043】
上記情報処理装置100は、タッチペン100bを情報処理装置100の筐体100aに脱着可能に保持する器具保持部120と、タッチペン100bが情報処理装置100の筐体100aに装着された装着状態、あるいはタッチペン100bが情報処理装置100の筐体100aから取り外された取外状態を検出する脱着検出部130と、この脱着検出部130により検出されたタッチペン100bの脱着状態に応じて、タッチパネル110の動作モードを指操作モード(以下、指モードという。)と器具操作モード(以下、ペンモードという。)のいずれかに切り替える動作モード切替部140とを有している。
【0044】
ここで、指モードとペンモードとでは、タッチパネルに対する操作者の操作位置を検出する条件が異なっている。
【0045】
つまり、この実施形態の情報処理装置100に搭載しているタッチパネル110は、指またはタッチペン100bによるタッチパネルの操作位置を、この操作位置での静電容量の変化により検出する静電容量方式のタッチパネルであり、このタッチパネル110は、図1(b)に示すように、第1の帯状電極(センスライン)111a〜111dを第1の方向(紙面横方向)と平行に複数配列してなる第1の電極群111と、第2の帯状電極(ドライブライン)112a〜112dを第1の方向と直交する第2の方向(紙面縦方向)と平行にかつ該第1の電極111a〜111dと立体的に交差するよう複数配列してなる第2の電極群112とを備えている。
【0046】
そして、操作位置検出条件には、複数の第2の帯状電極112a〜112dに順次駆動電圧を印加する周期と、この第2の帯状電極112a〜112dに印加する駆動電圧の大きさとが含まれており、タッチペンが情報処理装置100の筐体100aから取り外された取外状態(図3(a))では、タッチペンが情報処理装置の筐体100aに装着された装着状態(図3(b))に比べて、静電容量のサンプリング周波数および静電容量のサンプリング時のタッチパネルの駆動電圧を高めるようにしている。逆に、装着状態(図3(b))では、取外状態(図3(a))に比べて、静電容量のサンプリング周波数および静電容量のサンプリング時のタッチパネルの駆動電圧を低下させるようにしている。
【0047】
上記脱着検出部130は、図4(a)〜図4(c)に示すように、該情報処理装置100の筐体100aの一部に形成されたスペース132a内に配置され、タッチペン100bが該器具保持部120内に収納されたとき、該タッチペン100bと当接して第1の位置P1から第2の位置P2に移動し、該タッチペン100bが該器具保持部120内から取り出されたとき、該タッチペン100bとの当接が解除されて第2の位置P2から第1の位置P1に戻る三角形形状のカム部材132を有している。
【0048】
ここで、情報処理装置100の筐体100aの一部に形成された器具保持部120は、例えば、タッチペンの外形形状の応じた形状を有する孔部であり、この孔部の内面131aが、収納されるタッチペン100bをガイドするようになっている。
【0049】
この孔部内でタッチペン110bを一定方向にスライドさせてタッチペンを情報処理装置100の筐体100aから出し入れすることができる。さらに、三角形形状のカム部材132は、情報処理装置100の筐体100a内に形成されたカム部材の摺動スペース132a内に、紙面左右方向にスライド可能に配置され、該摺動スペース132aの紙面上下の内壁面が該カム部材の摺動面132bとなっている。
【0050】
また、上記脱着検出部130は、スイッチ片133aを有し、該カム部材132の第1の位置P1から第2の位置P2への移動により該スイッチ片132aが押圧されてオン状態となり、該カム部材132の第2の位置P2から第1の位置P1への移動によりスイッチ片133aの押圧が解除されてオフ状態となる機械的スイッチ133を含む。この機械的スイッチ133は、スイッチ片133aの押圧により動作するプッシュスイッチであり、このスイッチ片133aをスプリングなどによりスイッチ133の本体から突出する方向に付勢しておくことで、タッチペン100bがその器具保持部120から引き抜かれたときは、プッシュスイッチは自動的にオフ状態となる。
【0051】
この機械的スイッチ133は、オン状態のとき、該タッチペン100bが情報処理装置100の筐体100aに装着された装着状態を検出し、オフ状態のとき、該タッチペン100bが該情報処理装置100の筐体100aから取り外された取外状態を検出するものである。
【0052】
図2は、本実施形態1の情報処理装置の回路の一例を示すブロック図である。
【0053】
上記情報処理装置100は、スイッチ133からの信号Wsを受けるCPU141と、CPU141の出力信号Dsにより制御されるTP(タッチパネル)制御回路142とを有している。スイッチ133は、上述のとおり、このスイッチのオンオフにより、タッチペンが情報処理装置100の筐体100aから取り外されているのか、情報処理装置100の筐体100aから収納されているのかを検知するものである。
【0054】
ここで、例えば、スイッチ133の出力WsはCPU141の外部入力ポートに接続するとよい。CPU141はこのスイッチ133の出力Wsの状態をポーリングもしくは割込みにより監視し、変化があった場合には、図5に示すフローにより「ペンモード」か「指モード」かを決定する。そのモードが決定できれば、該CPU141は、例えばサンプリングレート(つまり、上記サンプリング周波数)やドライブ電圧などを、決定したモードに最適な条件になるように、TP(タッチパネル)制御回路142を制御する。一般的には、この種の条件はレジスタパラメータなどで与えられることが多い。
【0055】
なお、CPU141とTP制御回路142は上記動作モード切替部140を構成するものであり、同一半導体ダイに搭載されていてもよく、あるいは、別チップ、または別パッケージとして実装してもよい。CPU141とTP制御回路142とは適切な方法で、操作位置の検出条件(つまり、指モードかペンモードか)によってタッチパネルの動作パラメータを設定可能であればよい。
【0056】
TP制御回路142は、タッチパネルの第2の帯状電極112a〜112dに駆動電圧を印加し、該第2の帯状電極に該駆動電圧を印加したときに該タッチパネルの第1の帯状電極111a〜111dから出力される電荷量に基づいて前記タッチパネル上での操作位置を検出する制御部となっている。
【0057】
具体的には、TP制御回路142は、前記第2の電極群の複数の第2の帯状電極112a〜112dに順次駆動電圧を印加して、該第2の電極群の各第2の帯状電極毎に、該第2の帯状電極と交差する複数の第1の帯状電極111a〜111dから出力される電荷量を検出し、該電荷量に基づいてタッチパネルにおける第1の帯状電極と第2の帯状電極との交差部での静電容量を求めるものである。
【0058】
なお、上記図2に示す回路の構成では、CPU141を介してスイッチ133の値(出力)WsをTP制御回路142に渡しているが、スイッチ133の出力WsをTP制御回路142が直接受け取り、チャタリング除去などの一般的な処理をした後、指またはペンのモード判定を行ない、外部から与えられる、もしくは内部で保持している、各モードの動作パラメータに対してTP制御回路142自身により設定変更を行ってもよい。
【0059】
タッチパネル110は、TP制御回路142より駆動電圧Drを与えられるとともに、指やペンでの操作時には、その影響がセンシングされるようTP制御回路142へ電荷Seを出力するようになっている。
【0060】
例えば、静電容量方式であれば、TP制御回路142から出てタッチパネル110に入る矢印はドライブ信号(駆動電圧)Dr、タッチパネル110から出る矢印(TP制御回路へ入る矢印)はセンス信号(電荷)Seを示す。ホストCPU143はこのTP制御回路142より操作位置として得られたタッチパネル110上の座標情報を取得するCPUである。このホストCPU143としてはタブレットやスマートフォンの全体を制御するCPUが想定され、このホストCPU143はTP制御回路142より得られた座標情報を定期的に受けとって、制御信号Cnにより表示装置(図示せず)にカーソルなどを表示画面上(ブロック図には図示せず)に表示させる処理などを行なう。
【0061】
図3は、情報処理装置100に対するタッチペンの脱着を説明する図であり、図3(a)は、タッチペン100bをこの情報処理装置100の筐体100aから取り出した状態を示し、図3(b)は、タッチペンをこの情報処理装置100の筐体100aに収納した状態を示している。これらの図において、図1(a)と同一符号は同一のものを示す。
【0062】
なお、タッチパネル110は、普段指で操作することも可能であるが、タッチペン110bを情報処理装置100の筐体110aから抜いて使用する場合には、タッチパネル110の動作モードは指モードからペンモードにかわり、サンプリング周波数や駆動電圧は、タッチペンによる入力に適したサンプリング周波数および駆動電圧となり、ペンによる操作位置が検出されるようタッチパネルの各部での静電容量を検出するスキャン動作が行われる。
【0063】
もちろん、タッチペンによる操作位置を検知可能な条件の場合には、指による操作位置は容易に検知できるので、ペンモードであるからといって指による操作位置が検知できないわけではない。タッチペンまたは指による操作位置が検知できるのがペンモードであり、指による操作位置しか検知できないのが指モードとなる。
【0064】
図3(b)は、図3(a)で使用していたタッチペン100bを情報処理装置100の筐体100a内の収納部120に収納した状態を示している。
【0065】
このときには図3(a)で説明した場合と異なり、タッチペンは使用されないので、消費電力を減らすことが可能な指による操作位置のみを検知するパラメータ(タッチパネルにおけるサンプリング周波数と駆動電圧)で、タッチパネルの各部位での静電容量の検出を行なう。この場合には、附属するタッチペンと同程度の特性を持つペンを使用しても、ペンモードよりも消費電力を削減可能な指モードとなっているので、ペンモードと同様な操作性を得ることはできない。
【0066】
また、図3(b)ではタッチペンは完全に収納されているが、必ずしも完全に収納される必要がない。情報処理装置の筐体のサイズとタッチペンの長さの関係で、タッチペンを情報処理装置の筐体に半分だけしか挿入できない場合であっても、タッチペンがタッチパネル上でペン入力するために使用可能な状態であるのかないのかを検知できればよい。
【0067】
次に動作について説明する。
【0068】
例えば、情報処理装置100の電源を投入して情報処理装置100を起動する。このとき、図3(b)に示すように、タッチペン110bを情報処理装置100の筐体100a内に収納した状態となっている場合は、図4(c)に示すように、脱着検出部130のカム部材132は第2の位置P2にあり、スイッチ133のスイッチ片133aはカム部材132により押圧されて該スイッチ133はオン状態となっている。
【0069】
CPU141は、スイッチ133の出力信号Wsに基づいて動作モードの判定を行う。この場合、スイッチ133はオン状態であるため、スイッチ133の出力はタッチペン100bが情報処理装置100の筐体100aに収納されていることを示しており、CPU141はこの状態ではタッチペン100bを使用しないと判定し、TP制御回路142を制御してタッチパネル110の動作モードを指モードに設定する。
【0070】
一方、情報処理装置100を起動したときに、図3(a)に示すように、タッチペン100bを情報処理装置100の筐体100aから取り外した状態となっている場合は、図4(a)に示すように、脱着検出部130のカム部材132は第1の位置P1にあり、スイッチ133のスイッチ片133aはカム部材132により押圧されておらず、該スイッチ133はオフ状態となっている。この場合、スイッチ133はオフ状態であるため、スイッチ133の出力はタッチペン100bが情報処理装置100の筐体100aに収納されていないことを示しており、CPU141はこの状態ではタッチペンを使用する可能性ありと判定し、TP制御回路142を制御してタッチパネル110の動作モードをタッチペンの検知も可能なペンモードに設定する。
【0071】
その後、CPU141は、情報処理装置100の筐体100aに対するタッチペン110bの脱着を検知すると、図5に示すフローチャートに従って動作モードを切り替える。
【0072】
図5に示すフローチャートは、情報処理装置100がタッチペン110bの脱着を検知した場合、どのようにペンモードあるいは指モードへ移行するかを示したフローチャートである。この処理はハードウエアにより実現してもソフトにより実現してもよい。ここでは以下に手順を示す。
【0073】
図5に示す処理ルーチンは、CPU141がスイッチ133の出力Wsによりペンの脱着を検知したら呼び出される。
【0074】
例えば、図5にフローチャートで示される処理ルーチンをソフトウェアで実現する場合には、CPU141はスイッチ133の出力Wsの変化を割込み検出し、図5に示す処理ルーチンがCPU141によりコールされる。
【0075】
CPU141は、スイッチ133の出力Wsに基づいて、タッチペン110bが情報処理装置100の筐体100aから外されたのか、情報処理装置100の筐体100aに収納されたのかを検出する(ステップS1)。
【0076】
CPU141が、タッチペン100bが筐体100aに収納されたことを検出した場合には、CPU141はタッチパネル110の動作モードを指モードへ遷移させる処理を行う。
【0077】
具体的には、このモードの遷移は、駆動電圧を下げて低感度化したり、サンプリングレート(サンプリング周波数)を例えば60Hz程度の、指で操作するにあたって必要十分な速度に落としたりすることを意味する。これによって低消費電力化がはかれる。
【0078】
逆に、CPU141が、タッチペン100bが筐体100aから外されたことを検出した場合には、CPU141はタッチパネル110の動作モードをペンモードへ遷移させる処理を行う(ステップS3)。
【0079】
ペンモードへの遷移により、TP制御回路142は、駆動電圧を上げて高感度化したり、ペンでの文字入力が可能なように例えばサンプリングレート(サンプリング周波数)を240Hz程度に上げたりするといった処理を行なう。
【0080】
ペンモードでは、指による操作位置の検知も可能であるが、タッチペンによる操作位置が検知可能でさらにはタッチペンにとって最適なパラメータ(サンプリング周波数)にしてスキャンする。このときはタッチペンにより快適なタッチ操作を実現できる。
【0081】
ステップ502または503の処理がおわれば、CPU141は図5に示す処理ルーチンから出て、スイッチ133の出力の変化を割込み検出できる状態に戻る。
【0082】
次に、情報処理装置100の筐体100aに対するタッチペン110bの脱着操作について説明する。
【0083】
図3(a)に示すように、タッチペン100bが情報処理装置100の筐体100aの器具保持部120に収納されていない状態では、図4(a)に示すように、プッシュスイッチ133のスイッチ片133aがカム部材132とは当接しておらず、スイッチ片133aは押圧されておらず、スイッチ133はオフ状態となっている。この状態は、スイッチ133の出力Wsはタッチペン100bが筐体100aから取り外されている状態を示しており、タッチペンにより入力操作が行われ得る状態である。
【0084】
この状態で、図4(b)に示すように、器具保持部(孔部)120の一端側からタッチペン100bが収納されると、タッチペン100bの筐体内部側端がカム部材132と当接して該カム部材132は第1の位置P1から第2の位置P2に移動する。図4(c)に示すように、タッチペン100bが完全に情報処理装置100の筐体100a内に収納された状態では、カム部材132は第2の位置P2に位置しており、これによりカム部材132はスイッチ133のスイッチ片133aを押圧してスイッチ133をオン状態にさせる。この状態は、スイッチ133の出力Wsはタッチペン100bが筐体内に収納されている状態を示しており、指による入力操作が行われる状態である。
【0085】
なお、ここでは、プッシュスイッチ133のスイッチ片133aはスプリングなどにより突出する方向に付勢されているので、タッチペンが収納部120から引き抜かれたときには、自動的にスイッチ片133aが突出してスイッチ133はオフ状態となり、タッチペンが引き抜かれた状態を示す信号を出力する。
【0086】
このように本実施形態1による情報処理装置100では、タッチペン100bの筐体100aへの脱着に応じてオンオフするスイッチ133を設け、該スイッチ133の出力Wsに基づいて、タッチペン100bをこの情報処理装置100の筐体100aに収納した状態あるいは筐体100aから取り外した状態を検出し、この検出結果に応じて、タッチパネル110の動作モードを指モードあるいはペンモードに切り替えるようにしたので、指モードでは、タッチパネル110bの駆動電圧およびサンプリング周波数を低下させて省電力化を実現でき、一方、ペンモードでは、タッチパネル110の駆動電圧およびサンプリング周波数を、タッチペン100bによる入力操作に適したものとなるように設定して快適な入力操作を実現することができ、これにより情報処理装置100の低消費電力化および使用者への操作感向上を達成できる効果がある。
【0087】
また、本実施形態1の情報処理装置では、上記スイッチ133として、突出する方向に付勢されたスイッチ片133aを有し、該スイッチ片133aの押圧によりオンし、押圧解除によりオフするプッシュスイッチを用い、タッチペン100bの筐体100aへの挿入により該スイッチ133のスイッチ片133aが押圧され、タッチペン100bの筐体100aからの引き抜きにより該スイッチ133のスイッチ片133aが押圧解除されるようにしたので、タッチペン100bが抜かれたときには、スイッチ133は自動的にオフ状態となり、タッチペン100bが抜けた状態を示す信号を容易に出力することができる。
【0088】
なお、上記実施形態では、タッチペンの筐体への脱着に応じてオンオフするスイッチ133として機械的に動作するスイッチを用いたが、タッチペンの筐体への脱着に応じてオンオフするスイッチは、スイッチ片の押圧および押圧解除によりオンオフする機械的なものに限らず、磁気を検出してオンオフする磁気センサを含むスイッチや、容量の変化を検出してオンオフする容量センサを含むスイッチでもよい。
【0089】
例えば、情報処理装置の筐体の側面に磁気センサを含むスイッチを取り付けけるとともに、情報処理装置の筐体の側面にタッチペンを着脱可能に保持するタッチペンの保持部を設け、一部に磁石を取り付けたタッチペンをその保持部に装着したり取外すしたりすることで、磁気センサを含むスイッチが、タッチペンの磁石の磁力を検出してタッチペンの装着あるいは取り外しを検出するようにすることができる。
【0090】
また、上記磁気センサを含むスイッチに代えて、容量センサを含むスイッチを用いることで、タッチペンがこのスイッチに近接した状態をスイッチにより検出可能となり、タッチペンとしては通常のものを用いつつ、タッチペンの装着あるいは取り外しを検出するようにすることができる。
【0091】
このようにタッチペンの脱着を検知する方法としては種々の方法を考えることができるが、タッチペンの情報処理装置の筐体に対する脱着が検出できるという目的を達成できれば、どのような方法でもよい。
【0092】
また、上記実施形態1では、TP制御回路142として、第2の電極群の複数の第2の帯状電極に順次駆動電圧を印加して、該第2の電極群の各第2の帯状電極毎に、該第2の帯状電極と交差する複数の第1の帯状電極から出力される電荷量を検出し、該電荷量に基づいて前記タッチパネルにおける第1の帯状電極と第2の帯状電極との交差部での静電容量を求めるものを示したが、TP制御回路142は、前記第2の電極群を構成する複数の第2の帯状電極に同時に、それぞれ直交する波形の駆動電圧を印加し、該複数の第2の帯状電極に同時に駆動電圧を印加したときに前記第1の電極群の複数の第1の帯状電極から出力される電荷量を検出し、印加した駆動電圧と検出した電荷量との演算処理により、前記タッチパネルにおける第1の帯状電極と第2の帯状電極との交差部での静電容量を求めるものでもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、タッチパネルを有する情報処理装置について説明したが、本発明は、タッチパネルに代えてタブレットを有する情報処理装置にも適用可能である。
【0094】
つまり、タブレットは、一般に信号を出力するアクティブペンを用いて操作し、アクティブペンから出力される信号をタブレット側で検出してアクティブペンによる操作位置をタブレット側で検出するものであるが、タブレットには、本発明の実施形態1で説明したタッチパネルのように、第1の帯状電極を第1の方向と平行に複数配列してなる第1の電極群と、第2の帯状電極を第1の方向と直交する第2の方向と平行にかつ該第1の電極と立体的に交差するよう複数配列してなる第2の電極群とを備え、該タブレットの該第2の帯状電極に駆動電圧を印加し、該第2の帯状電極に該駆動電圧を印加したときに該タブレットの該第1の帯状電極から出力される電荷量に基づいて該タブレット上での操作位置を検出する静電容量方式のものもあり、このようなタブレットは、上記実施形態1で示したタッチパネルと同様、本発明の対象となる。
【0095】
このような静電容量方式のタブレットでは、上記実施形態1で説明したタッチパネルと同様、第2の電極群の複数の第2の帯状電極に順次駆動電圧を印加して、第2の電極群の各第2の帯状電極毎に、第2の帯状電極と交差する複数の第1の帯状電極から出力される電荷量を検出し、この電荷量に基づいてタブレットにおける第1の帯状電極と第2の帯状電極との交差部での静電容量を求めることができる。
【0096】
あるいは、静電容量方式のタブレットでは、第2の電極群を構成する複数の第2の帯状電極に同時に、それぞれ直交する波形の駆動電圧を印加し、複数の第2の帯状電極に同時に駆動電圧を印加したときに第1の電極群の複数の第1の帯状電極から出力される電荷量を検出し、印加した駆動電圧と検出した電荷量との演算処理により、タブレットにおける第1の帯状電極と第2の帯状電極との交差部での静電容量を求めることができる。
【0097】
例えば、タブレット搭載したコンピュータ(タブレットコンピュータ)などの筐体に、使用するタッチペンを収納する収納部を設け、該筐体の部分にペンの脱着を検知するセンサを取付け、このセンサによってペンが収納されているか、取り外されているかを検知するようにする。
【0098】
そして、タッチペンがタブレットコンピュータなどの筐体から取り外されている場合にはタッチペンによる入力操作を想定したペンモード、タッチペンが収納されているときにはタッチペンの使用を想定しない指による入力操作を行う指モードでタブレットを動作させ、これにより消費電力の必要最小化とタッチペンの使用を両立することが可能である。
【0099】
またユーザ(操作者)もタッチペンの使用に伴う特別な操作は不要となり、ただタッチペンをタブレットコンピュータなどの筐体から取出す、あるいは収納するだけで動作モードの切り替えが可能となり、省電力化のために特別な操作をする必要がないという効果が得られる。
【0100】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、タッチパネルあるいはタブレットを有する情報処理装置の分野において、操作者の指による入力操作を可能とする指モードでは、タッチパネルあるいはタブレットの駆動電圧およびサンプリング周波数を低下させて省電力化を実現でき、一方、操作者のタッチペンを用いた入力操作を可能とするペンモードでは、タッチパネルあるいはタブレットの駆動電圧およびサンプリング周波数を、タッチペンによる入力操作に適したものとなるように設定して快適な入力操作を実現することができ、これにより情報処理装置の低消費電力化および使用者への操作感向上を達成できる情報処理装置を実現できる。
【符号の説明】
【0102】
100 情報処理装置
100a 筐体
100b タッチパネル用ペン(タッチペン)
110 タッチパネル
111 第1の電極群
111a 第1の帯状電極(センスライン)
112 第2の電極群
112a 第2の帯状電極(ドライブライン)
120 収納部
130 脱着検出部
132 カム部材
132a 摺動スペース
132b 摺動面
133 機械的スイッチ
133a スイッチ片
140 動作モード切替部
141 CPU
142 TP(タッチパネル)制御回路
143 ホストCPU
P1 第1の位置
P2 第2の位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルあるいはタブレットを備え、該タッチパネルあるいは該タブレットに対する操作者の指あるいはペン形状の操作器具を用いた操作により情報が入力される情報処理装置であって、
該操作器具を該情報処理装置の筐体に脱着可能に保持する器具保持部と、
該操作器具が該情報処理装置の筐体に装着された装着状態、あるいは該操作器具が該情報処理装置の筐体から取り外された取外状態を検出する脱着検出部と、
該脱着検出部により検出された該操作器具の脱着状態に応じて、該タッチパネルあるいは該タブレットの動作モードを、該指により情報の入力操作を行う指操作モードと該操作器具により情報の入力操作を行う器具操作モードとの間で切り替える動作モード切替部とを備えた情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記動作モード切替部は、
前記指操作モードと前記器具操作モードとで、前記タッチパネルあるいは前記タブレットに対する前記操作者の操作位置を検出する操作位置検出条件を切り替える検出条件切替部を有する情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理装置において、
前記タッチパネルあるいは前記タブレットは、前記指または前記操作器具による該タッチパネルあるいは前記タブレットの操作位置を、該操作位置での静電容量の変化により検出する静電容量方式のものである情報処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理装置において、
前記検出条件切換部は、
前記指操作モードでは、前記器具操作モードに比べて、前記タッチパネルあるいは前記タブレットにおける複数の位置で静電容量をサンプリングするサンプリング周波数、および該静電容量のサンプリング時の該タッチパネルあるいは該タブレットの駆動電圧を低下させる情報処理装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の情報処理装置において、
前記タッチパネルあるいは前記タブレットは、
第1の帯状電極を第1の方向と平行に複数配列してなる第1の電極群と、
第2の帯状電極を第1の方向と直交する第2の方向と平行にかつ該第1の電極と立体的に交差するよう複数配列してなる第2の電極群とを備え、
前記動作モード切替部は、該タッチパネルあるいは該タブレットの該第2の帯状電極に前記駆動電圧を印加し、該第2の帯状電極に該駆動電圧を印加したときに該タッチパネルあるいは該タブレットの該第1の帯状電極から出力される電荷量に基づいて該タッチパネルあるいは該タブレット上での操作位置を検出する制御部を有する情報処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、前記第2の電極群の複数の第2の帯状電極に順次駆動電圧を印加して、該第2の電極群の各第2の帯状電極毎に、該第2の帯状電極と交差する複数の第1の帯状電極から出力される電荷量を検出し、該電荷量に基づいて前記タッチパネルあるいは前記タブレットにおける第1の帯状電極と第2の帯状電極との交差部での静電容量を求める情報処理装置。
【請求項7】
請求項5に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、前記第2の電極群を構成する複数の第2の帯状電極に同時に、それぞれ直交する波形の駆動電圧を印加し、該複数の第2の帯状電極に同時に駆動電圧を印加したときに前記第1の電極群の複数の第1の帯状電極から出力される電荷量を検出し、印加した駆動電圧と検出した電荷量との演算処理により、前記タッチパネルあるいは前記タブレットにおける第1の帯状電極と第2の帯状電極との交差部での静電容量を求める情報処理装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の情報処理装置において、
前記脱着検出部は、
前記情報処理装置の筐体の一部に形成され、前記操作器具を収納する収納部と、
該操作器具が該収納部内に収納されたとき、該操作器具と当接して第1の位置から第2の位置に移動し、該操作器具が該収納部内から取り出されたとき、該操作器具との当接が解除されて第2の位置から第1の位置に戻るカム部材と、
スイッチ片を有し、該カム部材の第1の位置から第2の位置への移動により該スイッチ片が押圧されてオン状態となり、該カム部材の第2の位置から第1の位置への移動によりスイッチ片の押圧が解除されてオフ状態となる機械的スイッチとを含み、
該機械的スイッチがオン状態のとき、該操作器具が該情報処理装置の筐体に装着された装着状態を検出し、該機械的スイッチがオフ状態のとき、該操作器具が該情報処理装置の筐体から取り外された取外状態を検出する情報処理装置。
【請求項9】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の情報処理装置において、
前記操作器具は、磁石を取り付けたものであり、
前記脱着検出部は、
前記情報処理装置の筐体に設けられ、前記操作器具を保持する保持部と、
前記情報処理装置の筐体に設けられ、該操作器具が該保持部に保持されたとき、該操作器具の磁石による磁気を検出する磁気検出器とを有し、
該操作器具の磁石による磁気を検出したとき、該操作器具が該情報処理装置の筐体に装着された装着状態を検出し、該操作器具の磁石による磁気が検出されないとき、該操作器具が該情報処理装置の筐体から取り外された取外状態を検出する情報処理装置。
【請求項10】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の情報処理装置において、
前記脱着検出部は、
前記情報処理装置の筐体に設けられ、前記操作器具を保持する保持部と、
前記情報処理装置の筐体に設けられ、該操作器具が該保持部に保持されたとき、該操作器具の近接による容量の変化を容量検出器とを有し、
該容量検出器が該操作器具の近接による容量の変化を検出したとき、該操作器具が該情報処理装置の筐体に装着された装着状態を検出し、該容量検出器にて容量変化が検出されないとき、該操作器具が該情報処理装置の筐体から取り外された取外状態を検出する情報処理装置。

【図2】
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【図5】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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