説明

情報削除システム、情報削除方法および情報削除プログラム

【課題】受信側の装置に記憶された送信者の識別情報を、送信側からの削除要求に基づいて削除することができる情報削除システムを提供する。
【解決手段】送信装置80は、送信者を識別する送信者識別情報を送信情報に含めて送信し、受信装置90は、送信情報を受信する。削除要求情報生成手段81は、受信装置90に記憶された送信者識別情報の削除を要求する削除要求情報を生成する。第1送信手段82は、受信装置90に対して削除要求情報を送信する。記憶手段91は、受信した送信情報とは別に送信者識別情報を記憶する。削除手段92は、送信者識別情報の削除を指示する削除指示情報を受信したときに、記憶手段91に記憶された送信者識別情報を削除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信装置に記憶された送信者の識別情報を削除する情報削除システム、およびその情報削除システムに適用される受信装置、送信装置、中継装置、情報削除方法、受信装置用プログラム、送信装置用プログラム、中継装置用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電話を発信した時の電話番号や、電子メールを送信した時のメールアドレスなどの送信者を識別するための情報は、受信側の電話機やメーラなどに通知され、記憶されることが多い。そのため、誤った対象者に電話を発信してしまった場合や、誤ったメールアドレスを指定してメールを送信してしまった場合でも、これらの情報が受信側の電話機やメーラに記憶されてしまうことがある。
【0003】
上記のような誤った発信や送信(以下、誤送信という。)によって記憶された情報は、受信側にとっては不要な情報であり、送信側にとっては個人情報の漏洩の観点からも削除したい情報である。
【0004】
そこで、すでに送信してしまった情報を受信側から削除するための方法が各種提案されている。
【0005】
特許文献1には、誤って送信してしまったメールを削除するメールサーバプログラムが記載されている。特許文献1記載のメールサーバプログラムは、受信側端末が受信したメールのタイトルの先頭に削除メールの識別子「削除」があるかを受信側端末にチェックさせる。受信側端末が、削除メールであると判断すると、メール受信処理プログラムは、受信側端末に、受信側メールサーバにおいて添付された添付ファイルのうち、受信端末用メールプログラムに対応した削除プログラムIDを持った削除プログラムを起動させ、該当のメールを削除させる。
【0006】
特許文献2には、すでに送信されている通常のメールを削除するメール削除機能付き電子メールシステムが記載されている。特許文献2記載のメール削除機能付き電子メールシステムは、受信側端末で削除要求メールを受信すると、メール受信手段がヘッダ部中のメール種別に基づいて受信したメールが削除要求メールであるか判断する。受信側端末の削除モードがオンの場合、メール受信手段は、削除要求メールに含まれるキーと同一キーの通常メールを検索する。同一キーのメールが存在した場合、受信ファイル内からその通常メールを削除し、削除要求メールを破棄する。
【0007】
【特許文献1】特開2003−174481号公報(段落0036〜0040、図6)
【特許文献2】特開平11−252165号公報(段落0056、図11〜12)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1記載のメールサーバプログラムでは、受信側端末のメール受信プログラムが受信メールに添付された削除プログラムの中から適当な削除プログラムを選択するため、受信側メールサーバは、受信側端末のメール受信プログラムで使用することが想定される削除プログラムをすべて送信する必要がある。そのため、不要なプログラムが大量に送信されることになり、回線を圧迫してしまうという課題がある。
【0009】
また、特許文献2記載のメール削除機能付き電子メールシステムでは、メール送信手段が付加した「メール種別」をメール受信手段が参照してメールの削除を行うか判断するため、「メール種別」を付加しないメール送信手段(例えば、既存のメーラなど)によってメールが送信された場合には、メールを削除することが出来ないという課題がある。
【0010】
また、特許文献1記載のメールサーバプログラム、および、特許文献2記載のメール削除機能付き電子メールシステムのいずれも、送信したメール自体を削除するためのものであり、メール自体とは別にメールアドレスや電話番号といった送信者の識別情報が記憶された場合に、その識別情報を削除することはできない。また、特許文献1記載のメールサーバプログラム、および、特許文献2記載のメール削除機能付き電子メールシステムのいずれも、電話の誤送信によって通知された送信側の電話番号を削除することはできない。
【0011】
そこで、本発明は、受信側の装置に記憶された送信者の識別情報を、送信側からの削除要求に基づいて削除することができる情報削除システム、およびその情報削除システムに適用される受信装置、送信装置、中継装置、情報削除方法、受信装置用プログラム、送信装置用プログラム、中継装置用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による情報削除システムは、送信者を識別する送信者識別情報を送信情報に含めて送信する送信装置と、送信情報を受信する受信装置とを備え、受信装置が、受信した送信情報とは別に送信者識別情報を記憶する記憶手段と、送信者識別情報の削除を指示する削除指示情報を受信したときに、記憶手段に記憶された送信者識別情報を削除する削除手段とを備え、送信装置が、受信装置に記憶された送信者識別情報の削除を要求する削除要求情報を生成する削除要求情報生成手段と、削除要求情報を受信装置に対して送信する第1送信手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明による受信装置は、送信者を識別する送信者識別情報を含む送信情報に含めて送信する送信装置から、送信情報を受信する受信装置であって、送信情報とは別に送信者識別情報を記憶する記憶手段と、送信者識別情報の削除を指示する削除指示情報を受信したときに、記憶手段に記憶された送信者識別情報を削除する削除手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明による送信装置は、送信者を識別する送信者識別情報を送信情報に含めて送信する送信装置であって、送信情報とは別に送信者識別情報を記憶する受信装置に対し、送信者識別情報の削除を要求する削除要求情報を生成する削除要求情報生成手段と、削除要求情報を受信装置に対して送信する送信手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明による中継装置は、送信者を識別する送信者識別情報を送信情報に含めて送信する送信装置から、送信情報を受信する受信装置に送信情報を中継する中継装置であって、送信装置から送信者識別情報の削除を要求する削除要求情報を受信したときに、受信した送信情報とは別に送信者識別情報を記憶する受信装置に記憶された送信者識別情報の削除を指示する削除指示情報を生成する削除指示情報生成手段と、削除指示情報を受信装置に送信する送信手段とを備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明による情報削除方法は、送信者を識別する送信者識別情報を送信情報に含めて送信する送信装置が、送信情報とは別に送信者識別情報を記憶する受信装置に対し、送信者識別情報の削除を要求する削除要求情報を生成し、削除要求情報を送信し、受信装置が、送信者識別情報の削除を指示する削除指示情報を受信したときに、記憶する送信者識別情報を削除することを特徴とする。
【0017】
本発明による送信装置用プログラムは、送信者を識別する送信者識別情報を送信情報に含めて送信するコンピュータに搭載される送信装置用プログラムであって、コンピュータに、送信情報とは別に送信者を識別する送信者識別情報を記憶する受信装置に対し、送信者識別情報の削除を要求する削除要求情報を作成する削除要求情報生成処理、および、削除要求情報を送信する送信処理を実行させることを特徴とする。
【0018】
本発明による受信装置用プログラムは、送信者を識別する送信者識別情報を含む送信情報を受信するコンピュータに搭載される受信装置用プログラムであって、コンピュータに、送信者を識別する送信者識別情報の削除を指示する削除指示情報を受信したときに、送信情報とは別に送信者識別情報を記憶する記憶手段から、送信者識別情報を削除する削除処理を実行させることを特徴とする。
【0019】
本発明による中継装置用プログラムは、送信者を識別する送信者識別情報を送信情報に含めて送信する送信装置から、送信情報を受信する受信装置に送信情報を中継するコンピュータに搭載される中継装置用プログラムであって、コンピュータに、送信装置から送信者識別情報の削除を要求する削除要求情報を受信したときに、受信した送信情報とは別に送信者識別情報を記憶する受信装置に記憶された送信者識別情報の削除を指示する削除指示情報を生成する削除指示情報生成処理、および、削除指示情報を受信装置に送信する送信処理を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、受信側の装置に記憶された送信者の識別情報を、送信側からの削除要求に基づいて削除することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、本発明による情報削除システムの一実施形態を示すブロック図である。本実施形態における情報削除システムは、端末1と、基地局2とを備えている。端末1と、基地局2とは通信ネットワーク100を介して接続される。図1に示す例では2台の端末1を示しているが、端末1の台数は2台に限定されず、3台以上であってもよい。
【0023】
以下の説明では、電話で発信される情報や電子メールで送信される情報などを送信情報と記す。また、送信情報に含まれる情報のうち、電話の発信者電話番号や、電子メールの送信元メールアドレスなど、送信元を識別するための情報を送信元情報と記す。また、送信情報を送信する端末1を送信側の端末1、送信情報を受信する端末を受信側の端末1と記す。
【0024】
例えば、端末1が電話機である場合には、通信ネットワーク100は電話回線網等であり、例えば、端末1が携帯端末である場合には、通信ネットワーク100は公衆無線ネットワークや携帯電話網等であるが、通信ネットワーク100の形態は特に限定されない。
【0025】
端末1は、上りリンク削除要求信号生成部10および下りリンク削除要求信号判定部11として動作するCPU13と、アンテナ12と、記憶装置14とを備えている。端末1として使用される装置の例として電話機や携帯端末などがあげられるが、端末1は電話機や携帯端末に限定されない。また、電話機は、固定電話や携帯電話などであってもよい。
【0026】
アンテナ12は、通信ネットワーク100を介して、他の装置と制御信号や送信情報を送受信する。
【0027】
記憶装置14は、他の端末1から送信された送信元情報や送信情報、プログラム等を記憶する記憶装置である。例えば、端末1が、アンテナ12を介して、他の端末1から送信情報を受信したときに、CPU13は、受信した送信情報や送信情報から抽出した送信元情報を記憶装置14に記憶させる。
【0028】
上りリンク削除要求信号生成部10は、送信側の端末1から送信され、受信側の端末1に記憶された送信元情報の削除を要求するための上りリンク用制御信号を作成する。上りリンク用制御信号とは、他の装置とのコネクションの設定、および、コネクションの開放、また、下記に説明する下りリンク用制御信号に対するACK(ACKnowledgement )情報の送信に使用される信号のことを示す。
【0029】
上りリンク用制御信号は、削除要求であるかどうかを示す信号(以下、削除要求種別と記す。)を含んでいる。以下の説明では、削除要求種別を「オン」に設定することが削除を要求することを意味するが、削除要求種別の設定内容は、端末1および基地局2が削除要求であることを判定できれば、この内容に限定されない。
【0030】
また、上りリンク削除要求信号生成部10は、削除対象を識別するための情報を上りリンク用制御信号に付加する。削除対象を識別する情報は、例えば、電話を使用した通信の場合には、発信者の電話番号であってもよいし、例えば、電子メールを利用した通信の場合には、送信者のメールアドレスであってもよいが、削除対象を識別する情報は、これらの内容に限定されない。以下、制御信号以外で、削除対象を識別するための情報等を含む部分を、誤送信情報と記す。
【0031】
下りリンク削除要求信号判定部11は、受信した制御信号の内容をもとに、削除指示が行われているかどうか判定し、記憶装置14に記憶された送信者情報を削除する。以下の説明では、端末1が基地局2から下りリンク用制御信号を受信する場合について説明する。なお、下りリンク用制御信号とは、端末1の制御やフレーム同期等に利用される信号であり、基地局2から端末1に向けてマルチキャストに送信される。
【0032】
下りリンク用制御信号は、削除が指示されているかどうかを示す信号(以下、削除指示種別と記す。)を含んでいる。以下の説明では、削除指示種別に「オン」に設定することが削除を指示することを意味するが、削除指示種別の設定内容は、端末1が削除指示であることを判定できれば、この内容に限定されない。
【0033】
図2は、下りリンク用制御信号の例を示す説明図である。図2に示す例では、制御信号の先頭ビットに、削除指示種別として「Delete Type」を含んでいる。端末1の下りリンク削除要求信号判定部11は、この「Delete Type」に設定された信号をもとに、削除が指示されたかどうか判定する。すなわち、「Delete Type」の設定がオンであるか否かにより、削除が指示されたかどうかを判定する。
【0034】
なお、上記説明では、下りリンク用制御信号の先頭ビットに削除指示を示す信号(削除指示種別)を設定している場合を例に説明したが、受信側の端末1が、送信側の端末1からの削除指示であることを判断できれば、下りリンク用制御信号の形式は図2に示す内容に限定されない。
【0035】
例えば、下りリンク削除要求信号判定部11は、削除指示種別に「オン」が設定されている制御信号を受信したときに、他の端末1から削除指示があったと判定し、送信元情報を削除する。
【0036】
また、下りリンク削除要求信号判定部11は、記憶装置14に記憶された送信元情報を削除したときに、削除結果を示す削除結果情報を送信側の端末1に対して送信する。削除結果情報は、例えば、ACK情報であってもよいが、削除結果情報の内容はACK情報に限定されない。
【0037】
上りリンク削除要求信号生成部10と、下りリンク削除要求信号判定部11とは、本実施形態では、プログラムに従って動作する端末1のCPU13によって実現される。プログラムは、記憶装置14に記憶され、CPU13は、そのプログラムを読み込み、プログラムに従って、上りリンク削除要求信号生成部10、下りリンク削除要求信号判定部11としての動作を行う。ただし、端末1の構成は、このような構成に限定されず、上りリンク削除要求信号生成部10と、下りリンク削除要求信号判定部11とがそれぞれ別個の装置で実現されていてもよい。
【0038】
基地局2は、下りリンク削除要求信号生成部20および上りリンク削除要求信号判定部21として動作するCPU23と、アンテナ22と、記憶装置24とを備えている。基地局2は、送信側の端末1から受信した送信情報を、受信側の端末1へ送信する中継装置として動作する。
【0039】
上りリンク削除要求信号判定部21は、端末1から送信される上りリンク用制御信号の内容が削除要求であるかどうか判定する。例えば、上りリンク削除要求信号が削除要求を示す削除要求種別を含んでいる場合、管理端末2が、その上りリンク削除要求信号を端末1から受信すると、上りリンク削除要求信号判定部21は、削除要求種別を確認し、削除要求種別に「オン」が設定されている場合には削除要求と判定する。また、削除要求種別に「オン」が設定されていない場合には、削除要求でないと判定する。
【0040】
下りリンク削除要求信号生成部20は、端末1に記憶された送信元情報を削除するための下りリンク用制御信号を作成する。例えば、上りリンク削除要求信号判定部21が、他の端末1からの削除要求を受信したと判定すると、下りリンク削除要求信号生成部20は、削除指示種別に「オン」を設定した下りリンク用制御信号を作成する。
【0041】
なお、上りリンク用制御信号と下りリンク用制御信号とで、データの構成が異なる場合には、下りリンク削除要求信号生成部20は、上りリンク用制御信号に含まれる情報(例えば、削除対象を識別する情報など)をもとに、下りリンク用制御信号を生成すればよい。
【0042】
アンテナ22は、通信ネットワーク100を介して、他の装置と制御信号や送信情報を送受信する。
【0043】
記憶装置24は、端末1から送信された送信情報やプログラム等を記憶する記憶装置である。基地局2が、アンテナ22を介して、端末1から送信情報を受信したときに、CPU23は、受信した送信情報を記憶装置24に記憶させてもよい。
【0044】
下りリンク削除要求信号生成部20と、上りリンク削除要求信号判定部21とは、本実施形態では、プログラムに従って動作する基地局2のCPU23によって実現される。プログラムは、記憶装置24に記憶され、CPU23は、そのプログラムを読み込み、プログラムに従って、下りリンク削除要求信号生成部20、上りリンク削除要求信号判定部21としての動作を行う。ただし、基地局2の構成は、このような構成に限定されず、下りリンク削除要求信号生成部20と、上りリンク削除要求信号判定部21とがそれぞれ別個の装置で実現されていてもよい。
【0045】
なお、受信側の端末1が、送信側の端末1から直接制御信号を受信し、下りリンク削除要求信号判定部11が、その制御信号をもとに削除指示が行われたことを判断してもよい。この場合、基地局2は備えていなくてもよい。
【0046】
図3は、送信側の端末1が削除要求を出してから、削除完了の通知を受けるまでの処理の例を示す説明図である。送信側の端末1(MS1と記す。)が、基地局2(APと記す。)を経由し、受信側の端末1(MS2と記す。)に対して削除指示を行い、受信側の端末1が、基地局2を経由して、送信側の端末1に削除完了の通知を行う。
【0047】
次に、動作について説明する。図4は、削除処理を開始するまでの例を示すフローチャートである。また、図5は、送信側の端末1が、削除指示を検知してから、削除完了の通知を受けるまでの処理の例を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、上りリンク削除要求信号には、削除要求を示す信号として削除要求種別を含み、削除要求が行われるときには、この削除要求種別に「オン」が設定される場合を例に説明する。また、下りリンク削除要求信号には、削除指示を示す信号として削除指示種別を含み、削除指示が行われる時には、この削除指示種別に「オン」が設定される場合を例に説明する。
【0048】
以下、図4の例に示すように、送信側の端末1の使用者の指示に応じて、受信側の端末1に送信元情報が通知された後(ステップS11)、端末1の使用者が、誤送信であったと判断した場合(ステップS12)の処理について説明する。
【0049】
図5の例に示すように、例えば、送信側の端末1の使用者の指示に応じ、端末1が削除要求の操作を検知すると(ステップS13におけるYES)、上りリンク削除要求信号生成部10は、上りリンク用制御信号の削除要求種別に「オン」を設定した上りリンク用制御信号を生成する。上りリンク削除要求信号生成部10は、生成した上りリンク用制御信号に削除対象を識別する情報を誤送信情報に付加して基地局2に送信する(ステップS14)。なお、使用者からの削除要求の操作を検知しなかった場合には(ステップS13におけるNO)、送信側の端末1は、受信側の端末1に対する削除要求は行わない。
【0050】
基地局2が上りリンク用制御信号を受信すると、上りリンク削除要求信号判定部21は、通常の上りリンク用制御信号であるか、削除要求用の上りリンク用制御信号であるか判定する(ステップS15)。上りリンク削除要求信号判定部21が、上りリンク用制御信号の削除要求種別に「オン」が設定されていると判定した場合(ステップS15におけるYES)、下りリンク削除要求信号生成部20は、削除指示種別に「オン」を設定した下りリンク用制御信号を作成する。また、下りリンク削除要求信号生成部20は、上りリンク用制御信号の誤送信情報に含まれる削除対象を識別する情報を、作成した下りリンク用制御信号の誤送信情報に付加する。下りリンク削除要求信号生成部20は、受信側の端末1に対して下りリンク用制御信号を送信する(ステップS16)。なお、上りリンク用制御信号の削除要求種別に「オン」が設定されていない場合には(ステップS15におけるNO)、下りリンク削除要求信号生成部20は、下りリンク用制御信号を作成しない。例えば、基地局2が削除要求以外の制御信号を受信した場合には、下りリンク削除要求信号生成部20は、下りリンク用制御信号を作成せずに、処理を終了する。
【0051】
受信側の端末1が、下りリンク用制御信号を受信すると、下りリンク削除要求信号判定部11は、通常の下りリンク用制御信号であるか、削除指示用の下りリンク用制御信号であるか判定する(ステップS17)。下りリンク削除要求信号判定部11が、下りリンク用制御信号の削除指示種別に「オン」が設定されていると判定した場合(ステップS17におけるYES)、下りリンク削除要求信号判定部11は、削除対象を識別する情報をもとに、記憶装置14に記憶されている送信元情報を削除する(ステップS18)。なお、下りリンク用制御信号の削除指示種別に「オン」が設定されていない場合には、(ステップS17におけるNO)、下りリンク削除要求信号判定部11は、処理を終了する。例えば、受信側の端末1が削除要求以外の制御信号を受信した場合には、下りリンク削除要求信号判定部11は、送信元情報を削除することなく処理を終了する。
【0052】
下りリンク削除要求信号判定部11が送信元情報を削除すると、下りリンク削除要求信号判定部11は、削除が完了したことを示すACK情報を基地局2に対して送信する(ステップS19)。基地局2がACK情報を受信すると、上りリンク削除要求信号判定部21は、削除が完了したことを示すACK情報を送信側の端末1に送信する(ステップS20)。
【0053】
本発明によれば、送信側の端末1が、受信側の端末1に対し、送信元情報の削除を要求する上りリンク用制御信号を生成し、送信側の端末1が、上りリンク用制御信号を送信し、受信側の端末1が、送信元情報の削除を指示する下りリンク用制御信号を受信したときに、記憶装置14に記憶する送信元情報を削除する。そのため、受信側の装置に記憶された送信者の識別情報情報を、送信側からの削除要求に基づいて削除することができる。
【0054】
また、例えば、受信側の端末1が電話網には接続されているが、インターネットには接続されていない電話機等である場合、その電話機に電子メールを利用して削除要求を行うことはできない。
【0055】
しかし、本発明によれば、送信側の端末1が、制御信号を利用して送信元情報の削除を要求し、受信側の端末1が、その制御信号を検知して送信元情報を削除する。そのため、送信側の端末1が、送信元情報の削除を要求する制御信号を電話網を介してその電話機に送信することにより、受信側の端末1は、その制御信号を検知でき、受信側の端末1に記憶された送信元情報を削除することができる。
【0056】
すなわち、制御信号を利用して削除要求を送信することにより、電子メールを利用して削除要求を送信するよりも、より多くの端末に対して削除要求を伝えることができる。
【0057】
次に、本発明による情報削除システムの変形例について説明する。上記実施形態では、下りリンク削除要求信号判定部11が、記憶装置14に記憶された送信者情報を削除する場合について説明したが、下りリンク削除要求信号判定部11は、送信者情報をもとに記憶装置14に記憶された送信情報を削除してもよい。
【0058】
例えば、記憶装置14が送信情報として電子メールを記憶している場合であれば、下りリンク削除要求信号判定部11は、削除指示とともに送信者のメールアドレスを受信したときに、そのメールアドレスから送信された電子メールを記憶装置14から削除してもよい。
【0059】
また、電子メールを識別する情報は、送信者のメールアドレスに限られない。例えば、上りリンク削除要求信号生成部10が、送信者のメールアドレス以外の識別情報を誤送信情報に付加して削除要求を行った時に、下りリンク削除要求信号判定部11は、その識別情報をもとに電子メールを削除してもよい。
【0060】
図6は、本発明における情報削除システムの概要を示すブロック図である。本発明による情報削除システムは、送信者を識別する送信者識別情報(例えば、送信元情報)を送信情報に含めて送信する送信装置80(例えば、送信側の端末1)と、送信情報を受信する受信装置90(例えば、受信側の端末1)とを備えている。
【0061】
受信装置90は、受信した送信情報とは別に送信者識別情報を記憶する記憶手段91(例えば、記憶装置14)と、送信者識別情報の削除を指示する削除指示情報(例えば、下りリンク用制御信号の削除指示種別)を受信したときに、記憶手段91に記憶された送信者識別情報を削除する削除手段92(例えば、下りリンク削除要求信号判定部11)とを備えている。
【0062】
送信装置80は、受信装置90に記憶された送信者識別情報の削除を要求する削除要求情報(例えば、上りリンク用制御信号の削除要求種別)を生成する削除要求情報生成手段81(例えば、上りリンク削除要求信号生成部10)と、削除要求情報を受信装置に対して送信する第1送信手段82(例えば、上りリンク削除要求信号生成部10)とを備えている。
【0063】
そのような構成により、受信側の装置に記憶された送信者の識別情報を、送信側からの削除要求に基づいて削除することができる。
【0064】
また、上記実施形態には、受信装置90が、記憶手段91に記憶された送信者識別情報を削除したときに、削除結果を示す削除結果情報(例えば、ACK情報)を送信装置に対して送信する第2送信手段を備えた構成が開示されている。
【0065】
そのような構成により、送信側の装置は、受信側の装置に記憶された送信者の識別情報が削除されたことを検知することができる。
【0066】
また、上記実施形態には、送信装置80から受信した送信情報を受信装置90に送信する中継装置(例えば、基地局2)を備え、中継装置が、送信情報に削除要求情報が含まれているときに、削除指示情報(例えば、下りリンク用制御信号)を生成する削除指示情報生成手段(例えば、下りリンク削除要求信号生成部20)と、削除指示情報を受信装置に対して送信する第3送信手段(例えば、下りリンク削除要求信号生成部20)とを備えた構成が開示されている。
【0067】
また、削除要求情報および削除指示情報は制御信号であってもよい。そのような場合、電子メールを利用して削除要求を送信するよりも、より多くの端末に対して削除要求を伝えることができる。
【0068】
また、送信装置および受信装置は電話機であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、受信装置に記憶された送信者の識別情報を削除する情報削除システムに好適に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明による情報削除システムの一実施形態を示すブロック図である。
【図2】下りリンク用制御信号の例を示す説明図である。
【図3】削除要求が出されてから、削除完了の通知があるまでの処理の例を示す説明図である。
【図4】削除処理を開始するまでの例を示すフローチャートである。
【図5】本発明による削除処理の例を示すフローチャートである。
【図6】本発明における情報削除システムの概要を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0071】
1 端末
2 基地局
10 上りリンク削除要求生成部
11 下りリンク削除要求判定部
12、22 アンテナ
13、23 CPU
14、24 記憶装置
20 下りリンク削除要求生成部
21 上りリンク削除要求判定部
100 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信者を識別する送信者識別情報を送信情報に含めて送信する送信装置と、
前記送信情報を受信する受信装置とを備え、
前記受信装置は、
受信した送信情報とは別に前記送信者識別情報を記憶する記憶手段と、
前記送信者識別情報の削除を指示する削除指示情報を受信したときに、前記記憶手段に記憶された当該送信者識別情報を削除する削除手段とを備え、
前記送信装置は、
前記受信装置に記憶された送信者識別情報の削除を要求する削除要求情報を生成する削除要求情報生成手段と、
前記削除要求情報を受信装置に対して送信する第1送信手段とを備えた
ことを特徴とする情報削除システム。
【請求項2】
受信装置は、
記憶手段に記憶された送信者識別情報を削除したときに、削除結果を示す削除結果情報を送信装置に対して送信する第2送信手段を備えた
請求項1記載の情報削除システム。
【請求項3】
送信装置から受信した送信情報を受信装置に送信する中継装置を備え、
前記中継装置は、
送信情報に削除要求情報が含まれているときに、削除指示情報を生成する削除指示情報生成手段と、
前記削除指示情報を受信装置に対して送信する第3送信手段とを備えた
請求項1または請求項2に記載の情報削除システム。
【請求項4】
削除要求情報および削除指示情報は制御信号である
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報削除システム。
【請求項5】
送信装置および受信装置は電話機である
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の情報削除システム。
【請求項6】
送信者を識別する送信者識別情報を送信情報に含めて送信する送信装置から、送信情報を受信する受信装置であって、
前記送信情報とは別に前記送信者識別情報を記憶する記憶手段と、
前記送信者識別情報の削除を指示する削除指示情報を受信したときに、前記記憶手段に記憶された当該送信者識別情報を削除する削除手段とを備えた
ことを特徴とする受信装置。
【請求項7】
記憶手段に記憶された送信者識別情報を削除したときに、削除結果を示す削除結果情報を送信装置に対して送信する送信手段を備えた
請求項6記載の受信装置。
【請求項8】
送信者を識別する送信者識別情報を送信情報に含めて送信する送信装置であって、
前記送信情報とは別に当該送信者識別情報を記憶する受信装置に対し、当該送信者識別情報の削除を要求する削除要求情報を生成する削除要求情報生成手段と、
前記削除要求情報を受信装置に対して送信する送信手段とを備えた
ことを特徴とする送信装置。
【請求項9】
送信者を識別する送信者識別情報を送信情報に含めて送信する送信装置から、送信情報を受信する受信装置に送信情報を中継する中継装置であって、
前記送信装置から送信者識別情報の削除を要求する削除要求情報を受信したときに、受信した送信情報とは別に送信者識別情報を記憶する前記受信装置に記憶された当該送信者識別情報の削除を指示する削除指示情報を生成する削除指示情報生成手段と、
前記削除指示情報を前記受信装置に送信する送信手段とを備えた
ことを特徴とする中継装置。
【請求項10】
送信者を識別する送信者識別情報を送信情報に含めて送信する送信装置が、
送信情報とは別に送信者識別情報を記憶する受信装置に対し、送信者識別情報の削除を要求する削除要求情報を生成し、
前記削除要求情報を送信し、
前記受信装置が、
前記送信者識別情報の削除を指示する削除指示情報を受信したときに、記憶する当該送信者識別情報を削除する
ことを特徴とする情報削除方法。
【請求項11】
受信装置が、
記憶する送信者識別情報を削除したときに、削除結果を示す削除結果情報を送信装置に対して送信する
請求項10記載の情報削除方法。
【請求項12】
送信者を識別する送信者識別情報を含む送信情報を受信するコンピュータに搭載される受信装置用プログラムであって、
前記コンピュータに、
送信者を識別する送信者識別情報の削除を指示する削除指示情報を受信したときに、送信情報とは別に前記送信者識別情報を記憶する記憶手段から、当該送信者識別情報を削除する削除処理
を実行させるための受信装置用プログラム。
【請求項13】
コンピュータに、
送信者識別情報を削除したときに、削除結果を示す削除結果情報を送信する送信処理を実行させる
請求項12記載の受信装置用プログラム。
【請求項14】
送信者を識別する送信者識別情報を送信情報に含めて送信するコンピュータに搭載される送信装置用プログラムであって、
前記コンピュータに、
送信情報とは別に送信者を識別する送信者識別情報を記憶する受信装置に対し、当該送信者識別情報の削除を要求する削除要求情報を作成する削除要求情報生成処理、および、
前記削除要求情報を送信する送信処理
を実行させるための送信装置用プログラム。
【請求項15】
送信者を識別する送信者識別情報を送信情報に含めて送信する送信装置から、送信情報を受信する受信装置に送信情報を中継するコンピュータに搭載される中継装置用プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記送信装置から送信者識別情報の削除を要求する削除要求情報を受信したときに、受信した送信情報とは別に送信者識別情報を記憶する前記受信装置に記憶された当該送信者識別情報の削除を指示する削除指示情報を生成する削除指示情報生成処理、および、
前記削除指示情報を前記受信装置に送信する送信処理
を実行させるための中継装置用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−49617(P2010−49617A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−215194(P2008−215194)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】