説明

情報取得システム、情報取得装置、および情報取得方法

【課題】取得したデータの再生時間軸上の位置に関わらず、楽曲の検索処理を適切に行う。
【解決手段】楽曲照合データベースを備える楽曲照合サーバ2、外部(オーディオ再生記録装置3、外付けHDD5)からデータを取得するデータ取得部、データ取得部で取得したデータが無音データ、音声データ、楽曲データのいずれであるかを検出する検出部、データ取得部で取得したデータを一定期間サンプリングし、無音データ、音声データ、楽曲データのいずれの状態であるかを監視する状態監視部(PC4)、データ取得部で取得したデータの一部、状態監視部によりデータが楽曲データであると判定されている状態が継続した楽曲データ継続時間情報に基づいて楽曲照合データベースを参照し、データ取得部で取得したデータの楽曲メタデータを取得する楽曲メタデータ取得部(PC4)を備える情報取得システム1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報取得システム、情報取得装置、および情報取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CD(Compact Disc)アルバムなどに記録された楽音信号をMP3(MPEG-1 Audio Layer−3)やWMA(Windows(登録商標) Media Audio)などといったオーディオデータファイルに変換する機器の多くは、CDに収録された楽曲のアーティスト名、アルバム名、トラック名、ジャンル情報、発売日などを示す楽曲メタデータをネットワーク上のデータベースから取得し、そのメタデータをID3v1(ID3 Tag Version 1)、ID3v2(ID3 Tag Version 2)などの所定フォーマットのタグデータとしてオーディオデータファイルへ埋め込むことができる(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の楽曲メタデータを取り纏めたデータベースの1つに、CDDB(Compact Disc Data Base:登録商標)がある。例えば、グレースノート(登録商標)社の運営に係るCDDBは、各CDに収録された楽曲のメタデータとそれらのCDのTOC(Table Of Contents)データとを対応付けている。TOCデータは、CDに収録される楽曲の各々の再生開始までの時間長を示すバイナリデータであり、PCM(Pulse Code Modulation)オーディオデータを記録するプログラム領域の内側に確保されたリードイン領域に記録される。楽曲の各々の再生開始までの時間長の組み合わせはアルバム毎に固有である。よって、CDアルバムからTOCデータを読み出した機器は、TOCデータを含むリクエストの送信と引き換えに、そのCDアルバムに収録された各楽曲の楽曲メタデータをCDDBから取得することができる。そして、それらの楽曲メタデータをCDアルバムから得たオーディオデータファイルへタグデータとしてそれぞれ埋め込んでおくと、後の再生時に参照したり、あるいは所望のオーディオデータファイルを検索するキーとして利用したりすることができる。
【0004】
ところで、TVやラジオの放送中に流れている楽曲を認識して当該楽曲の楽曲メタデータを取得する方法として、当該楽曲のPCMデータのオーディオ波形から得られるサウンド指紋(以下、当該サウンド指紋のことを「フィンガープリント情報」という)を取り込んで、様々な楽曲のフィンガープリント情報が予め大量に蓄積された楽曲照合データベースと照合して、当該楽曲メタデータを取得する方法が知られている(たとえば特許文献2参照)。
【0005】
特許文献2に開示される音楽認識装置では、放送波の受信信号にPCMデータ変換処理およびノーマライズ処理をした後に、対象データの振幅ピーク出現率に基づき比較処理部分を設定し、楽曲照合データベースに蓄積されているデータと当該処理部分のデータとを比較し、当該比較処理によって求められた一致度にしたがって検索対象の楽曲を特定し、楽曲名を出力している。なお、出力される楽曲名以外の楽曲メタデータは、装置のディスプレイに表示する、装置内に格納されているコンテンツ管理データベースのパラメータとして設定する、取り込んだ楽曲にタグデータとして埋め込んでおくなどの様々な用途に応用することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−122863号公報
【特許文献2】特開2002−258873号公報(図2、段落[0017]、要約など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に記載される音楽認識装置で用いられる方法において、フィンガープリント情報と共に付加される情報は、楽曲のサビ部分(聞き手に曲を強く印象付け、曲の特徴が表れる部分)の継続時間情報、振幅波形のピーク出現率情報、平均レベル値情報である。これらの情報を算出するためには、ある程度のオーディオデータが装置内に蓄積しなければならない。また、楽曲照合データベースに予め蓄積されている楽曲のサビ部分がフィンガープリント情報として登録されており、振幅波形のピーク出現率の高い部分として特定された比較処理部分が楽曲のサビ部分でない場合には、楽曲の認識率が極端に低下し、その結果、間違った楽曲メタデータを出力してしまう可能性がある。
【0008】
また、ラジオ放送やTVから流れてくる楽曲は、楽曲途中部分のデータ(たとえば3秒分、10秒分のPCMデータ)であったり、またはDJ(Disc Jockey)の音声と重畳してフェードインされたりすることも想定される。楽曲照合データベースを備えるサーバ側では、たとえば、スペクトラム変換などによりPCMデータの曲調を絞込むと共に、更に楽曲の認識精度を向上させるために、楽曲照合データベース内に予め蓄積されている各楽曲のフィンガープリント情報に対して、再生時間軸に沿って判定処理を行う。つまり、楽曲照合データベースに対しては、取得したPCMデータが楽曲全体のどの部分に該当するかを判断できる情報が与えられていないため、蓄積されている楽曲の曲頭のフィンガープリント情報から判定処理を順次行うことになる。
【0009】
このような判定処理方法では、曲調によってある程度絞込みができたとしても、取得したPCMデータが楽曲の後方部分であった場合には、比較するフィンガープリント情報数が増大し、検索時間も必然的に長くなってしまう。また、仮に楽曲照合データベース側の検索アルゴリズムが、楽曲の再生時間軸と逆から判定処理を行うように設定されていた場合であっても、今度は取得したPCMデータが曲頭に近い場合には、比較するフィンガープリント情報数が増大し、検索時間も必然的に長くなってしまう。なお、特許文献2に示す音楽認識装置のように、取得したPCMデータが曲途中の部分であっても検出できるように繰り返し波形認識処理を行うことも考えられるが、繰り返し波形認識処理を行うとサーバへの付加が増大し、やはり検索時間も長くなってしまう。
【0010】
そこで、本発明は、上述した課題に鑑み、取得したデータの再生時間軸上の位置に関わらず、楽曲の検索処理を適切に行うことができる情報取得システム、情報取得装置、および情報取得方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面である情報取得システムは、楽曲から取り込んだ取り込みデータと、取り込みデータの楽曲での再生位置を示す情報と、楽曲のメタデータとが少なくとも関連付けられて記憶されている楽曲照合データベースと、外部からデータを取得するデータ取得部と、データ取得部で取得したデータが無音データ、音声データ、楽曲データのいずれであるかを検出する検出部と、データ取得部で取得したデータを一定期間サンプリングし、無音データ、音声データ、楽曲データのいずれの状態であるかを監視する状態監視部と、データ取得部で取得したデータの一部と、状態監視部によりデータが楽曲データであると判定されている状態が継続した楽曲データ継続時間情報に基づいて楽曲照合データベースを参照し、データ取得部で取得したデータの楽曲メタデータを取得する楽曲メタデータ取得部と、を備えるものである。
【0012】
また、本発明の一側面である情報取得システムは、上述した情報取得システムの構成に加えて、状態監視部の判定に基づいて無音データであると判定されている状態が継続した無音データ継続時間、楽曲データであると判定されている状態が継続した楽曲データ継続時間、音声データであると判定されている状態が継続した音声データ継続時間を算出する経過時間算出部と、楽曲データ継続時間を示す情報から楽曲再生位置情報を生成する楽曲再生位置情報生成部と、状態監視部によりデータが楽曲データであると判定されている状態において、検索照合対象データを決定する検索照合対象決定部と、を備えることが好ましい。
【0013】
また、本発明の一側面である情報取得システムは、上述した情報取得システムの構成に加えて、経過時間算出部で算出した各継続時間を示す情報を一時的に記憶する一時記憶部と、楽曲照合データベースに対して、検索照合対象データおよび検索照合対象データの楽曲再生位置情報を、一時記憶部から読み出して出力する検索照合リクエスト部と、を備えることが好ましい。
【0014】
また、本発明の一側面である情報取得システムは、上述した情報取得システムの構成に加えて、検索照合リクエスト部は、楽曲照合データベースに対して楽曲再生位置情報と共に音声データ継続時間を示す情報を一時記憶部から読み出して出力することが好ましい。
【0015】
また、本発明の一側面である情報取得システムは、上述した情報取得システムの構成に加えて、検索照合リクエスト部は、楽曲照合データベースに対して楽曲再生位置情報と共に無音データ継続時間を示す情報を一時記憶部から読み出して出力することが好ましい。
【0016】
また、本発明の一側面である情報取得システムは、上述した情報取得システムの構成に加えて、検索照合リクエスト部から取得した情報に基づいて楽曲照合データベースを参照し、楽曲メタデータを特定する楽曲メタデータ特定部を備えることが好ましい。
【0017】
また、本発明の一側面である情報取得システムは、上述した情報取得システムの構成に加えて、楽曲メタデータ特定部は、楽曲照合データベースに記憶されている取り込みデータの検索対象の範囲を、検索照合リクエスト部から取得した楽曲再生位置情報の示す値に、音声データ継続時間の示す値を加算した値と一致する再生位置情報に限定し、限定した再生位置情報に関連付けられて記憶されている取り込みデータを検索して楽曲メタデータを特定することが好ましい。
【0018】
また、本発明の一側面である情報取得システムは、上述した情報取得システムの構成に加えて、楽曲メタデータ特定部は、楽曲照合データベースに記憶されている取り込みデータの検索対象の範囲を、検索照合リクエスト部から取得した楽曲再生位置情報の示す値に、無音データ継続時間の示す値とを加算した値と一致する楽曲再生位置情報に限定し、限定した再生位置情報に関連付けられて記憶されている取り込みデータを検索して楽曲メタデータを特定することが好ましい。
【0019】
また、本発明の一側面である情報取得システムは、上述した情報取得システムの構成に加えて、楽曲メタデータ特定部は、楽曲照合データベースに記憶されている取り込みデータの検索対象の範囲を、検索照合リクエスト部から取得した楽曲再生位置情報の示す値に、音声データ継続時間の示す値と無音データ継続時間の示す値とを加算した値と一致する楽曲再生位置情報に限定し、限定した再生位置情報に関連付けられて記憶されている取り込みデータを検索して楽曲メタデータを特定することが好ましい。
【0020】
また、本発明の一側面である情報取得システムは、上述した情報取得システムの構成に加えて、楽曲メタデータ特定部は、楽曲照合データベースに記憶されている取り込みデータの検索対象の範囲を、検索照合リクエスト部から取得した音声データ継続時間または無音データ継続時間の示す値から楽曲再生位置情報の示す値までの範囲にある再生位置情報に限定し、限定した範囲内にある再生位置情報に関連付けられて記憶されている取り込みデータを検索して楽曲メタデータを特定することが好ましい。
【0021】
また、本発明の一側面である情報取得システムは、上述した情報取得システムの構成に加えて、楽曲メタデータ特定部により特定した楽曲メタデータを出力する楽曲メタデータ出力部を備えることが好ましい。
【0022】
また、本発明の一側面である情報取得装置は、楽曲から取り込んだ取り込みデータと、取り込みデータの楽曲での再生位置を示す情報と、楽曲のメタデータとが少なくとも関連付けられて記憶されている楽曲照合データベースと接続可能な情報取得装置であって、外部からデータを取得するデータ取得部と、データ取得部で取得したデータが無音データ、音声データ、楽曲データのいずれであるかを検出する検出部と、データ取得部で取得したデータを一定期間サンプリングし、無音データ、音声データ、楽曲データのいずれの状態であるかを監視する状態監視部と、データ取得部で取得したデータの一部と、状態監視部によりデータが楽曲データであると判定されている状態が継続した楽曲データ継続時間情報に基づいて楽曲照合データベースを参照し、データ取得部で取得したデータの楽曲メタデータを取得する楽曲メタデータ取得部と、を備えるものである。
【0023】
また、本発明の一側面である情報取得方法は、データ取得部、検出部、状態監視部、楽曲メタデータ取得部を備え、楽曲から取り込んだ取り込みデータと、取り込みデータの楽曲での再生位置を示す情報と、楽曲のメタデータとが少なくとも関連付けられて記憶されている楽曲照合データベースと接続可能な情報取得装置に用いられる情報取得方法であって、データ取得部が、外部からデータを取得するデータ取得ステップと、検出部が、データ取得ステップで取得したデータが無音データ、音声データ、楽曲データのいずれであるかを検出する検出ステップと、状態監視部が、データ取得ステップで取得したデータを一定期間サンプリングし、無音データ、音声データ、楽曲データのいずれの状態であるかを監視する状態監視ステップと、楽曲メタデータ取得部が、データ取得ステップで取得したデータの一部と、状態監視ステップによりデータが楽曲データであると判定されている状態が継続した楽曲データ継続時間情報に基づいて楽曲照合データベースを参照し、データ取得ステップで取得したデータの楽曲メタデータを取得する楽曲メタデータ取得ステップと、を有するものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、取得したデータの再生時間軸上の位置に関わらず、楽曲の検索処理を適切に行うことができる情報取得システム、情報取得装置、および情報取得方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例1に係る情報取得システムの全体構成を示す図である。
【図2】図1に示す楽曲照合サーバの構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示す楽曲照合DBのデータ構造図の一例を示す図である。
【図4】図2に示す楽曲照合DBのデータ構造図の一例を示す図である。
【図5】図1に示すオーディオ再生記録装置の構成を示すブロック図である。
【図6】図1に示すPCの構成を示すブロック図である。
【図7】図1に示す実施例1に係る情報取得システムの特徴的な処理を示すフローチャートである。
【図8】図7のステップS2の処理を説明するための図である。
【図9】本発明の実施例2に係る情報取得システムの特徴的な処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施例3に係る情報取得システムの特徴的な処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0026】
本発明の実施例について、以下、図面を参照しながら説明する。
【0027】
本発明の実施例1に係る情報取得システム1は、CDに収録されている楽曲のアーティスト名、アルバム名、トラック名、ジャンル情報、発売日などを示すデータ(以下、これらのデータを「楽曲メタデータ」と呼ぶ)とそれらのCDに記録されたPCMデータから得られるフィンガープリント情報、当該フィンガープリント情報の再生時間情報とが関連付けられた楽曲照合DB(Data Base)2f(図2参照、楽曲照合データベースに相当)を有している。そして、この楽曲照合DB2fを有する楽曲照合サーバ2は、デジタルデータおよび当該デジタルデータに対応する再生時間情報がPC4から送信されると、楽曲照合DB2fから読み出した当該CDの各楽曲メタデータをPC4へ配信するようになっている。この情報取得システム1の特徴は、入力されたデジタルデータの再生時間情報を付加して楽曲照合処理を行うようにした点である。なお、楽曲照合DB2fに登録される楽曲は、CDに収録されている楽曲に限らず、インターネット上にのみ公開されている楽曲や、プロ、アマチュア問わずに製作されたCD以外の記憶媒体に収録されている楽曲を含んでいてもよい。
【0028】
図1は、本発明の実施例1に係る情報取得システム1の全体構成を示す図である。図1に示すように、この情報取得システム1は、楽曲照合サーバ2、オーディオ再生記録装置3、PC(Personal Computer)4、外付けHDD(Hard Disc Drive)5などを有する。PC4は、LAN(Local Area Network)ケーブルによりモデム内蔵ルータ6と接続され、モデム内蔵ルータ6からIP(Internet Protocol)通信網7を介して楽曲照合サーバ2に接続される。また、PC4は、USB(Universal Serial Bus)端子(不図示)などによりオーディオ再生記録装置3や外付けHDD5などと接続可能に構成されている。
【0029】
図2は、図1に示す楽曲照合サーバ2の構成を示すブロック図である。図2に示すように、楽曲照合サーバ2は、CPU(Central Processing Unit)2a(楽曲メタデータ特定部、楽曲メタデータ出力部の一部に相当)、RAM(Randam Acesss Memory)2b、ROM(Read Only Memory)2c、HDD2d、通信コントローラ2Eを有している。CPU2aは、RAM2bをワークエリアとして利用しつつ、ROM2cやHDD2dに記憶された各種プログラムを実行する。HDD2dには、OS(Operating System)等の基本ソフトウェアの他、楽曲照合DB2fと楽曲メタデータ配信プログラム2g(楽曲メタデータ特定部、楽曲メタデータ出力部の一部に相当)とが記憶されている。なお、楽曲メタデータ配信プログラム2gは、ROM2cに記憶されていてもよい。
【0030】
図3および図4は、図2に示す楽曲照合DB2fのデータ構造図の一例を示す図である。この楽曲照合DB2fは、各レーベルからリリースされているCDと対応する複数のレコードの集合体である。これらのCDは、1曲から4曲程度の楽曲が収録されているシングルCDと、5曲以上の楽曲が収録されたアルバムCDの双方を含んでいる。この楽曲照合DB2fを構成する各レコードは、図3に示すように「TOC」、「タイトル」、「トラック」、「曲名」、「アーティスト」の5つのフィールドを少なくとも有している。そして、1つのCDと対応するレコードの「トラック」、「曲名」、「アーティスト」のフィールドは、そのCDに収録された楽曲と同じ数に分かれている。また、図4に示すように楽曲照合DB2fには、「曲名」レコードをキーとして「フィンガープリント情報」、「再生時間位置情報」のフィールドを有している。この「フィンガープリント情報」、「再生時間位置情報」のフィールドのレコードは、「曲名」レコード毎に複数記録されている。
【0031】
「TOC」のフィールドには、各CDのTOCデータが記憶される。TOCデータは、CDに収録される各楽曲の再生開始までの時間長を示すバイナリデータであり、CDのリードイン領域に記録される。CDに収録される楽曲の各々の再生開始までの時間長の組み合わせは固有であるため、このTOCデータをキーとして検索を行うことにより、対応する唯一のCDのレコードを特定することが可能である。「タイトル」のフィールドには、CDのタイトルを示すタイトルデータが記憶される。
【0032】
「トラック」、「曲名」、「アーティスト」のフィールドには、楽曲メタデータをなす、トラックデータ、曲名データ、およびアーティスト名データがそれぞれ記憶される。トラックデータは、CDに収録された各楽曲のトラック番号を示すデータである。また、曲名データは、CDに収録された各楽曲の曲名を示すデータであり、アーティスト名データは、それらの各楽曲の収録にかかわった一又は複数のアーティストの名称を示すデータである。「フィンガープリント情報」、「再生時間位置情報」は、当該楽曲の一部のPCMデータとその再生位置情報である。
【0033】
図2に戻って、楽曲メタデータ配信プログラム2gは、「フィンガープリント情報」、「再生時間位置情報」に相当する情報を含むHTTPリクエストをPC4から受信し、当該HTTPリクエストに含まれる情報をキーとして楽曲を検索して特定し、特定された楽曲の楽曲メタデータをその発信元へ配信するプログラムである。
【0034】
図5は、図1に示すオーディオ再生記録装置3の構成を示すブロック図である。図5に示すように、オーディオ再生記録装置3は、CPU3a、ADC(Analog Digital Converter)3b、DAC(Digital Analog Converter)3c、DSP(Digital Signal Processor)3d、チューナ3e、USBコントローラ3f、操作部3g、表示部3h、CDドライブ3i、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)3j、フラッシュメモリ3k、SDRAM( Synchronous Dynamic Random Access Memory)3l、HDD3mを有する。
【0035】
CPU3aは、SDRAM3lをワークエリアとして利用しつつ、EEPROM3j、フラッシュメモリ3k、HDD3mに記憶された各種プログラムを実行する。それらのプログラムを実行するCPU3aは、DAC3cを介してCDドライブ3iやチューナ3eから供給されるデジタル信号を放音機器へ供給して放音させたり、そのデジタル信号から得たオーディオデータファイルをHDD3mに記憶させたりといった処理を行う、また、HDD3mに記憶させたオーディオデータファイルを、USBコントローラ3fから外部の端末やPC4へ伝送させるなどといった処理も行う。
【0036】
ADC3bは、マイクロホンなどの収音機器(図示せず)や、アナログ入力される外部オーディオ装置と接続され、それらの機器から供給されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。ADC3bにて変換された信号は、DSP3dを経由してCPU3aへ供給される。
【0037】
DAC3cは、スピーカやヘッドフォンなどの放音機器(図示せず)と接続され、CPU3aからDAC3cを経由して供給されるデジタル信号をアナログ信号に変換する。DAC3cにて変換された信号は、放音機器へ供給される。
【0038】
DSP3dは、CPU3aによる制御の下、自らを経由するデジタル信号へ所定の信号処理を施す。
【0039】
チューナ3eは、CPU3aによる制御の下、アンテナAにより受信される搬送波を復調して得た信号をCPU3aに供給し、そのアンテナの最大感度の周波数を特定の放送局の周波数へ同調させるなどといった処理を行う。
【0040】
USBコントローラ3fは、ポータブルメモリプレーヤなどの各種音楽再生端末(図示せず)やPC4とUSBケーブル(図示せず)を介して接続され、所定のプロトコルに従ってそれらの端末との間でデータの送受信を行う。
【0041】
操作部3gは、タッチパネルやつまみなどの操作子を有し、それらの操作子による操作を示す信号をCPU3aへ供給する。
【0042】
表示部3hは、例えば、液晶ディスプレイを有し、CPU3aから供給される信号を基にその液晶ディスプレイへ各種情報を表示させる。
【0043】
CDドライブ3iは、CD載置トレイ、光学ヘッド、デコーダ(いずれも不図示)などを有する。このCDドライブ3iは、CPU3aによる制御の下、CDのプログラム領域から読み取ったPCMデータの信号、およびそのリードイン領域から読み取ったTOCデータの信号をCPU3aへ供給する。
【0044】
図6は、図1に示すPC4の構成を示すブロック図である。図6に示すように、PC4(情報取得装置に相当)は、CPU4a(データ取得部、検出部、状態監視部、経過時間算出部、楽曲再生位置情報生成部、検索照合対象決定部、検索照合リクエスト部の一部に相当)、RAM4b(一時記憶部に相当)、ROM4c、HDD4d、操作部4e、表示部4f、通信コントローラ4g、USBコントローラ4hを有している。CPU4aは、RAM4bをワークエリアとして利用しつつ、ROM4cやHDD4dに記憶された各種プログラムを実行する。
【0045】
HDD4dには、デジタルデータ検出プログラム4i(検出部の一部に相当)、デジタルデータ監視プログラム4j(状態監視部の一部に相当)、経過時間算出プログラム4k(経過時間算出部の一部に相当)、楽曲再生位置情報生成プログラム4l(楽曲再生位置情報生成部の一部に相当)、検索照合対象決定プログラム4m(検索照合対象決定部の一部に相当)、検索照合リクエストプログラム4n(検索照合リクエスト部の一部に相当)とが記憶されている。なお、デジタルデータ検出プログラム4i、デジタルデータ監視プログラム4j、経過時間算出プログラム4k、楽曲再生位置情報生成プログラム4l、検索照合対象決定プログラム4m、検索照合リクエストプログラム4nの各プログラムは、ROM4cに記憶されてもよい。これらのプログラムの動作については、後述する情報取得システム1の特徴的な処理において説明する。
【0046】
PC4は、操作部4eを通してオーディオ再生記録装置3を操作するためのコマンドをUSBコントローラ4hからオーディオ再生記録装置3へ供給することができる。また、PC4は、USBコントローラ4hを介してオーディオ再生記録装置3がCDから生成したオーディオデータファイルやチューナ3eで復調したデジタルデータを取得し、HDD4dまたはRAM4bに記憶することができる。なお、PC4にオーディオ再生記録装置3のハードウェア構成を持たせ、上述のオーディオ再生記録装置3と同様の処理および機能を備えさせてもよい。
【0047】
実施例1の情報取得システム1の動作を説明する。図7は、図1に示す実施例1に係る情報取得システム1の特徴的な処理を示すフローチャートである。この図7に示すフローチャートに示す一連の処理は、PC4の操作部4eの操作を通じてオーディオ再生記録装置3へラジオ放送の受信指示がなされると開始される(START)。
【0048】
ラジオ放送の受信指示がなされると、CPU4aは、オーディオ再生記録装置3から供給されたデジタルデータを取得すると共に取得したデジタルデータの状態の検出を開始する(ステップS1)。すなわち、CPU4aは、HDD4eに記憶されているデジタルデータ検出プログラム4iをRAM4bに読み出してデジタルデータの状態の検出を開始する。具体的には、取得したデジタルデータに所定の周波数スペクトラム変換処理を施し、無音データを取得している状態、音声データを取得している状態、楽曲データを取得している状態であるのかを検出する。なお、所定の周波数スペクトラム変換処理とは、たとえば音楽の場合には、スペクトルのピーク値が特定周波数に安定したまま時間方向に持続するといった特徴などがあることから、縦軸に周波数、横軸に時間軸として周波数スペクトラム変換処理を行った結果を解析し、周波数の変動量や当該変動量の解析(倍音解析など)から特徴を検出し、判別することを想定している。
【0049】
CPU4aは、取得したデジタルデータを一定期間サンプリングし、現在の状態を監視しつつ、経過時間を算出する(ステップS2)。すなわち、CPU4aは、HDD4eに記憶されているデジタルデータ監視プログラム4jをRAM4bに読み出して、デジタルデータの状態を監視しつつ、当該状態の経過時間を算出する。
【0050】
図8は、図7のステップS2の処理を説明するための図である。CPU4aは、デジタルデータの状態変化の時間を算出する。図8の上方に示す図では、数秒の無音に続いてDJなどのトークがあり、そのDJのトークに重畳するように楽曲がフェードインされる様子を示している。CPU4aは、このデジタルデータの状態の変化を検出して、無音データと判定されている状態から音声データと判定されている状態に変化するまでの無音データ継続時間(ΔA)、音声データのみと判定されている状態から楽曲データと判定されている状態に変化するまでの音声データ継続時間(ΔC)を計測する。また、CPU4aは、楽曲データと判定されている状態の継続時間(ΔD)を計測する。また、図8の下方に示す図では、たとえばCDなどから直接取得した楽曲を想定した例であり、数秒の無音の後に楽曲が再生される様子を示している。この場合、CPU4aは、デジタルデータの状態の変化を検出し、無音データと判定されている状態から楽曲データと判定されている状態に変化するまでの無音データ継続時間(ΔB)、楽曲データと判定されている状態の継続時間(ΔD)を計測する。なお、CPU4aは、デジタルデータ検出プログラム4iの検出結果を定期的に受け取って監視するようにしてもよい。
【0051】
CPU4aは、上記ΔA、ΔB、ΔC、ΔDそれぞれの継続時間および取得したデジタルデータを一時的にRAM4bに保存する(ステップS3)。なお、CPU4aは、一定期間経過後にRAM4bのこれらの記憶内容をクリアしてもよい。
【0052】
CPU4aは、ステップS1で楽曲データと判定されている状態において、操作部4eの操作を通じて楽曲の認識指示処理がなされると、RAM4bに保存されている楽曲のPCMデータと、ΔDの継続時間とを読み出す(ステップS4)。すなわち、CPU4aは、HDD4eに記憶されている検索照合対象決定プログラム4mおよび楽曲再生位置情報生成プログラム4lをRAM4bに読み出して、以下の処理を行う。
【0053】
検索照合対象決定プログラム4mは、図8に示すように楽曲の認識指示処理があった時点から所定時間(たとえば10秒間)のPCMデータ(ΔE)だけをRAM4bから読み出して取得する。楽曲再生位置情報生成プログラム4lは、楽曲データの状態になったと判定された時から上述した認識処理指示があった時点までの秒数(ΔD)を求めて楽曲再生位置情報として生成する。
【0054】
CPU4aは、ステップS4で取得したPCMデータと楽曲再生位置情報を含むHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)リクエストを生成し、通信コントローラ4gから楽曲照合サーバ2に宛てて送信する(ステップS5)。すなわち、CPU4aは、HDD4eに記憶されている検索照合リクエストプログラム4nをRAM4に読み出して、ステップS4で取得したPCMデータと楽曲再生位置情報とを含むHTTPリクエストを生成して送信する。
【0055】
楽曲照合サーバ2は、モデム内蔵ルータ6、およびIP通信網7をなす一または複数のネットワーク機器を経由してステップS5で送信されたHTTPリクエストを受信する(ステップS6)。
【0056】
楽曲照合サーバ2のCPU2aは、PC4からのHTTPリクエストを受信すると当該リクエストに含まれるPCMデータおよびΔDの経過時間をRAM2bに記憶した後、そのΔDの経過時間に対応する「フィンガープリント情報」のフィールドに記憶したレコードが楽曲照合DB2fにあるか否か判断する(ステップS7)。
【0057】
CPU2aは、ステップS7にてレコードがないと判断したとき(ステップS7:No)、その旨を示すメッセージを含むHTTPレスポンスをリクエストの発信元であるPC4に宛てて送信する(ステップS8)。
【0058】
PC4のCPU4aは、レコードがない旨を示すメッセージを含むHTTPレスポンスを受信し、楽曲メタデータが存在しないことを示す文字列を表示部4fに表示させた後(ステップS9)、処理を終了する(END)。
【0059】
楽曲照合サーバ2のCPU2aは、ステップS7にてレコードがあると判断したとき(ステップS7:Yes)、そのレコードの「トラック」、「曲名」、「アーティスト」などのフィールドに記憶されたデータの纏まりである楽曲メタデータを、楽曲ごとに読み出す(ステップS10)。
【0060】
楽曲照合サーバ2のCPU2aは、ステップS10で読み出した楽曲メタデータを含むHTTPレスポンスを生成後、発信元であるPC4へ送信する(ステップS11)。
【0061】
PC4のCPU4aは、送信されたHTTPレスポンスを取得し、楽曲メタデータを表示部4fに表示させた後(ステップS12)、処理を終了する(END)。
【0062】
なお、HTTPレスポンスを受信したPC4のCPU4aは、受信したHTTPレスポンスに含まれる楽曲メタデータを、ステップS1で取得したオーディオデータファイルのタグデータとして埋め込んでもよい。なお、MP3などのオーディオデータファイルに埋め込み得るタグデータのデータ形式としては、ID3v1やID3v2などがある。よって、各楽曲メタデータをこれらのデータ形式に変換した上でオーディオデータへ埋め込むようにすることが好ましい。
【0063】
以上説明した実施例1では、ラジオ放送を視聴中に流れる楽曲が再生されてからの経過時間を算出し、当該楽曲のPCMデータと共に当該PCMデータの再生位置情報を楽曲照合サーバ2に送信している。そして、楽曲照合サーバ2側では、再生位置情報と一致するフィンガープリント情報のみ検索対象として、楽曲照合処理を行い、当該照合結果がPC4に通知される。したがって、情報取得システム1およびPC4は、取得したデータの再生時間軸上の位置に関わらず、楽曲の検索処理を適切に行うことができる。
【実施例2】
【0064】
本発明の実施例2について、以下、図面を参照しながら説明する。
【0065】
実施例1では、PC4の操作部4eの操作を通じて楽曲照合サーバ2へHTTPリクエストを送信する手法を示したが、実施例2では、PC4が取得したデジタルデータが楽曲データであると判定されている状態において、一定周期毎(たとえば30秒ごとの周期)に取得したデジタルデータおよび再生位置情報を含んだHTTPリクエストを楽曲照合サーバ2に対して自動的に送信するものである。なお、本実施例2に係る情報取得システム1Aをなす、楽曲照合サーバ2、オーディオ再生記録装置3、PC4、外付けHDD5の各ハードウェア構成は、上記実施例1と同様であるため再度の説明を割愛する。
【0066】
実施例2における情報取得システム1Aの動作を説明する。図9は、本発明の実施例2に係る情報取得システム1Aの特徴的な処理を示すフローチャートである。なお、図9に示すステップS23以外の各処理は、図7に示すステップS4以外の各処理とそれぞれ同様であるため、再度の説明を割愛する。
【0067】
CPU4aは、取得したPCMデータが楽曲データであると判定されている状態において、所定の周期毎にPCMデータおよびΔDの経過時間をRAM4bから読み出す(ステップS23)。すなわち、CPU4aは、HDD4eに記憶されている検索照合対象決定プログラム4mおよび楽曲再生位置情報生成プログラム4lをRAM4bに読み出し、以下の各処理を行う。
【0068】
検索照合対象決定プログラム4mは、PCMデータが楽曲データであると判定されている状態において、所定の周期毎に所定長のPCMデータをRAM4から読み出して取得する。楽曲再生位置情報生成プログラム4lは、当該PCMデータのΔDの経過時間情報から楽曲再生位置情報を生成する。
【0069】
以上説明した実施例2では、オーディオ再生記録装置3で受信したラジオ放送を視聴中に流れる楽曲が再生されてからの経過時間等を算出し、当該楽曲のPCMデータと共に経過時間を楽曲照合サーバ2に所定の周期で自動的に送信することで、たとえばユーザがラジオ放送で気になる楽曲が連続的に流れているときに、新しい楽曲の演奏が開始する度に操作部4eを通して楽曲照合指示を逐一行わなくとも済むようになる。したがって、当該情報取得システム1Aを利用する側にとっても非常に効率的な情報取得システム1Aとなり得る。
【0070】
なお、PC4は、取得したPCMデータが楽曲データと判定されている状態において、楽曲照合サーバ2に対して所定の周期毎にHTTPリクエストを送信していたが、既に送信したHTTPリクエストに対するHTTPレスポンスの返信があり、当該PCMデータの楽曲メタデータのレコードが取得できている場合には、ΔDの経過時間を示す情報がRAM4bからクリアされるまでHTTPリクエストの送信を中止するようにしてもよい。このようにすることで、既に楽曲メタデータが取得されているPCMデータにも関わらず、無駄にHTTPリクエストを楽曲照合サーバ2へ送信することがなくなる。
【実施例3】
【0071】
本発明の実施例3について、以下、図面を参照しながら説明する。
【0072】
実施例1および実施例2では、PC4から送信する再生位置情報としては、楽曲データと判定された時点からの継続時間(つまり、ΔDの経過時間)としていたが、実施例3では、音声データ継続時間(ΔC)情報についても楽曲照合サーバ2へ送信するものである。なお、本実施例3に係る情報取得システム1Bをなす、楽曲照合サーバ2、オーディオ再生記録装置3、PC4、外付けHDD5の各ハードウェア構成は、上記実施例1および実施例2と同様であるため再度の説明を割愛する。
【0073】
本実施例3の動作を説明する。図10は、本発明の実施例3に係る情報取得システム1Bの特徴的な処理を示すフローチャートである。なお、図10に示すステップS43以外の各処理は、図7に示すステップS4以外の各処理、図9に示すステップS23以外の各処理と同様であるため、再度の説明を割愛する。
【0074】
CPU4aは、取得したPCMデータが楽曲データであると判定されている状態において、操作部4eの操作を通じて楽曲の認識指示処理がなされると、PCMデータおよびΔCおよびΔDの継続時間をRAM4bから読み出す(ステップS43)。すなわち、CPU4aは、HDD4eに記憶されている検索照合対象決定プログラム4mおよび楽曲再生位置情報生成プログラム4lをRAM4bに読み出し、以下の各処理を行う。
【0075】
検索照合対象決定プログラム4mは、PCMデータが楽曲データであると判定されている状態において、認識指示処理要求のあった時点から所定時間のPCMデータ(図8のΔE)および音声データ継続時間(ΔC)を示す情報と楽曲データ継続時間を示す情報(ΔD)をRAM4bから読み出して取得する。そして、楽曲再生位置情報生成プログラム4lは、検索照合対象決定プログラム4mが取得した楽曲データ継続時間から楽曲データと判定された時点から認識開始処理がなされた時点までの秒数(ΔDの経過時間)を求めて、当該PCMデータの楽曲再生位置情報として生成する。
【0076】
なお、ステップS46において楽曲照合サーバ2は、PC4からPCMデータ、当該PCMデータの楽曲再生位置情報、音声データ継続時間(ΔC)を示す情報を含むHTTPリクエストが送信されてくるため、当該音声データの継続時間分だけ楽曲再生位置情報を移動させた値と一致する「楽曲再生位置情報」を楽曲照合DB2fより特定し、当該「楽曲再生位置情報」に対応する「フィンガープリント情報」との一致判定を行う。
【0077】
以上説明した実施例3では、オーディオ再生記録装置3で受信したラジオ放送を視聴中に流れる楽曲が再生されてからの経過時間および音声データ継続時間を示す情報等を算出し、当該楽曲のPCMデータと共に経過時間を楽曲照合サーバ2に送信することで、効率的に認識させることができる。TVやラジオ放送で流れている楽曲の受信状況や楽曲の特性によっては、演奏が開始されたとして検出されるポイントが本来検出されるべきポイントより遅れて検出される場合も想定される。そのような状況であっても、本実施例においては当該音声のみが流れていた時間が考慮されることにより、本来の検出ポイントに近似した時間となり得る。その結果、楽曲照合サーバ2では、たとえば、経過時間に音声のみが流れていた時間を加算した時間に対応するフィンガープリント情報を対象として照合する処理としたり、再生位置時間より当該音声のみが流れていた時間を差し引いた時間から当該経過時間までのレンジに対応するフィンガープリント情報を対象として照合する処理としたりすることが可能となる。これにより、楽曲照合サーバ2の楽曲照合DB2f内に蓄積された楽曲の曲頭から順次照合処理を行うのと比較して局所的な照合処理が実現され、非常に効率的である。また、PC4側での楽曲演奏開始ポイントの検出誤差を包含した照合処理とすることが可能となる。
【0078】
(他の実施の形態)
本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形実施が可能である。
【0079】
たとえば、実施例1〜3では、PC4に入力されるデジタルデータはラジオ放送から取得したものであったが、そのほかにも外付けHDD5やHDD3mなどに記憶された楽曲データから取得するものであってもよい。この場合、ΔDの初期値は0に設定することで楽曲認識が可能である。また、ラジオ番組が録音されたデータコンテンツを取得するものであってもよい。この場合には実施例1と同様の処理によって楽曲認識が可能である。
【0080】
また、実施例3では、操作部4eの操作を通じて楽曲照合サーバ2へHTTPリクエストを送信する手法を示したが、実施例2のように、PC4が一定周期毎に自動的に取得したデジタルデータおよびΔCおよびΔDの時間情報を含むHTTPリクエストを楽曲照合サーバ2へ送信するようにしてもよい。
【0081】
また、実施例3では、PC4から楽曲照合サーバ2へ送信する情報は、音声データ継続時間情報であるΔCおよび楽曲再生位置情報であるΔDとしたが、その他にも更に無音データ継続情報であるΔAも含めて送信するようにしてもよい。また、PCMデータの状態変化が、図8の下方に示すように無音データと楽曲データと検出された場合には、無音データ継続情報であるΔBおよび楽曲再生位置情報であるΔDを楽曲照合サーバ2に対して送信するようにしてもよい。これにより、たとえば本来の楽曲データが無音データや音声データとして検出した部分を含む楽曲データである場合であっても、楽曲データ判定の誤差を解消して楽曲照合処理を行うことができる。
【0082】
また、実施例3では、楽曲照合サーバ2側でPC4から楽曲照合サーバ2へ送信された情報に基づいて、楽曲再生位置情報を変更させて楽曲照合処理を行っていたが、その他にも送信されてきた情報からある程度の範囲に含まれる楽曲再生位置情報に関連付けられて記憶されているフィンガープリント情報を参照して、楽曲メタデータを特定するようにしてもよい。具体的には、たとえば、音声データ継続時間(ΔC)が3秒で楽曲再生位置情報が2分43秒である場合には、楽曲照合DB2f内の「楽曲再生位置情報」が2分40秒から2分43秒の間にそれぞれ関連付けられて記憶されている「フィンガープリント情報」に検索対象を限定する。そして、限定された検索対象内の「フィンガープリント情報」と送信されてきたPCMデータとの一致判定を行う。これにより、厳密に楽曲再生位置情報が一致していなくとも検索対象をある程度の範囲内に絞った上でのあいまいな検索が可能となるため効率的な楽曲照合処理を行うことができる。
【0083】
また、実施例1〜3では、PC4から送信する再生位置時間情報は、ΔC、ΔDなどそれぞれの時間情報を区別可能な状態で送信するものとしたが、その他にもたとえばΔC、ΔDを加算した値、ΔA、ΔC、ΔDを加算した値、ΔB、ΔDを加算した値を再生位置情報として楽曲照合サーバ2へ送信するようにしてもよい。
【0084】
また、実施例1〜3では、検索照合データベース2fは、IP通信網7を経由して検索照合サーバ2内に構築されているが、PC4の装置内やオーディオ再生記録装置3の装置内に構築してもよい。または、PC4と同一LAN内に検索照合サーバ2が構築されてもよい。
【0085】
また、実施例1〜3に示す楽曲照合サーバ2のHDD2d内に記憶されている楽曲照合DB2fおよび楽曲メタデータ配信プログラム2gを、予めコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておき、別のサーバにインストールすることで実施例1〜3の楽曲照合サーバ2として機能させるようにしてもよい。
【0086】
また、実施例1〜3に示すPC4のHDD4d内に記憶されているデジタルデータ検出プログラム4i、デジタルデータ監視プログラム4j、経過時間算出プログラム4k、楽曲再生位置情報生成プログラム4l、検索照合対象決定プログラム4m、検索照合リクエストプログラム4nを、予めコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておき、別のコンピュータに上述のプログラムインストールすることで、実施例1〜3のPC4として機能させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1,1A,1B・・・情報取得システム、2・・・楽曲照合サーバ、2a・・・CPU(楽曲メタデータ出力部の一部)、2b・・・RAM、2c・・・ROM、2d・・・HDD、2E・・・通信コントローラ、2f・・・楽曲照合データベース、2g・・・楽曲メタデータ配信プログラム(楽曲メタデータ出力部の一部)、3・・・オーディオ再生記録装置、3a・・・CPU、3b・・・ADC、3c・・・DAC、3d・・・DSP、3e・・・チューナ、3f・・・USBコントローラ、3g・・・操作部、3h・・・表示部、3i・・・CDドライブ、3j・・・EEPROM、3k・・・フラッシュメモリ、3l・・・SDRAM、3m・・・HDD、4・・・パーソナルコンピュータ(情報取得装置)、4a・・・CPU(検出部、状態監視部、経過時間算出部、楽曲再生位置情報生成部、検索照合対象決定部、検索照合リクエスト部、楽曲メタデータ取得部の一部)、4b・・・RAM(一時記憶部)、4c・・・ROM、4d・・・HDD、4e・・・操作部、4f・・・表示部、4g・・・通信コントローラ、4h・・・USBコントローラ(データ取得部)、4i・・・デジタルデータ検出プログラム(検出部の一部)、4j・・・デジタルデータ監視プログラム(状態監視部の一部)、4k・・・経過時間算出プログラム(経過時間算出部の一部)、4l・・・楽曲再生位置情報生成プログラム(楽曲再生位置情報生成部の一部)、4m・・・検索照合対象決定プログラム(検索照合対象決定部の一部)、4n・・・検索照合リクエストプログラム(検索照合リクエスト部の一部)、5・・・外付けHDD、6・・・モデム内蔵ルータ、7・・・IP通信網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽曲から取り込んだ取り込みデータと、上記取り込みデータの上記楽曲での再生位置を示す情報と、上記楽曲のメタデータとが少なくとも関連付けられて記憶されている楽曲照合データベースと、
外部からデータを取得するデータ取得部と、
上記データ取得部で取得した上記データが無音データ、音声データ、楽曲データのいずれであるかを検出する検出部と、
上記データ取得部で取得した上記データを一定期間サンプリングし、上記無音データ、上記音声データ、上記楽曲データのいずれの状態であるかを監視する状態監視部と、
上記データ取得部で取得した上記データの一部と、上記状態監視部により上記データが楽曲データであると判定されている状態が継続した楽曲データ継続時間情報に基づいて上記楽曲照合データベースを参照し、上記データ取得部で取得した上記データの楽曲メタデータを取得する楽曲メタデータ取得部と、
を備えることを特徴とする情報取得システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報取得システムであって、
前記状態監視部の判定に基づいて前記無音データであると判定されている状態が継続した無音データ継続時間、前記楽曲データであると判定されている状態が継続した楽曲データ継続時間、前記音声データであると判定されている状態が継続した音声データ継続時間を算出する経過時間算出部と、
前記楽曲データ継続時間を示す情報から楽曲再生位置情報を生成する楽曲再生位置情報生成部と、
前記状態監視部により前記データが前記楽曲データであると判定されている状態において、検索照合対象データを決定する検索照合対象決定部と、
を備えることを特徴とする情報取得システム。
【請求項3】
請求項2に記載の情報取得システムであって、
前記経過時間算出部で算出した各継続時間を示す情報を一時的に記憶する一時記憶部と、
前記楽曲照合データベースに対して、前記検索照合対象データおよび前記検索照合対象データの前記楽曲再生位置情報を、上記一時記憶部から読み出して出力する検索照合リクエスト部と、
を備えることを特徴とする情報取得システム。
【請求項4】
請求項3に記載の情報取得システムであって、
前記検索照合リクエスト部は、前記楽曲照合データベースに対して前記楽曲再生位置情報と共に前記音声データ継続時間を示す情報を前記一時記憶部から読み出して出力することを特徴とする情報取得システム。
【請求項5】
請求項3または4に記載の情報取得システムであって、
前記検索照合リクエスト部は、前記楽曲照合データベースに対して前記楽曲再生位置情報と共に前記無音データ継続時間を示す情報を前記一時記憶部から読み出して出力することを特徴とする情報取得システム。
【請求項6】
請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の情報取得システムであって、
前記検索照合リクエスト部から取得した情報に基づいて前記楽曲照合データベースを参照し、前記楽曲メタデータを特定する楽曲メタデータ特定部を備えることを特徴とする情報取得システム。
【請求項7】
請求項6に記載の情報取得システムであって、
前記楽曲メタデータ特定部は、前記楽曲照合データベースに記憶されている前記取り込みデータの検索対象の範囲を、前記検索照合リクエスト部から取得した前記楽曲再生位置情報の示す値に、前記音声データ継続時間の示す値を加算した値と一致する前記再生位置情報に限定し、限定した再生位置情報に関連付けられて記憶されている前記取り込みデータを検索して前記楽曲メタデータを特定することを特徴とする情報取得システム。
【請求項8】
請求項6に記載の情報取得システムであって、
前記楽曲メタデータ特定部は、前記楽曲照合データベースに記憶されている前記取り込みデータの検索対象の範囲を、前記検索照合リクエスト部から取得した前記楽曲再生位置情報の示す値に、前記無音データ継続時間の示す値とを加算した値と一致する前記楽曲再生位置情報に限定し、限定した再生位置情報に関連付けられて記憶されている前記取り込みデータを検索して前記楽曲メタデータを特定することを特徴とする情報取得システム。
【請求項9】
請求項6に記載の情報取得システムであって、
前記楽曲メタデータ特定部は、前記楽曲照合データベースに記憶されている前記取り込みデータの検索対象の範囲を、前記検索照合リクエスト部から取得した前記楽曲再生位置情報の示す値に、前記音声データ継続時間の示す値と前記無音データ継続時間の示す値とを加算した値と一致する前記楽曲再生位置情報に限定し、限定した再生位置情報に関連付けられて記憶されている前記取り込みデータを検索して前記楽曲メタデータを特定することを特徴とする情報取得システム。
【請求項10】
請求項6に記載の情報取得システムであって、
前記楽曲メタデータ特定部は、前記楽曲照合データベースに記憶されている前記取り込みデータの検索対象の範囲を、前記検索照合リクエスト部から取得した前記音声データ継続時間または前記無音データ継続時間の示す値から前記楽曲再生位置情報の示す値までの範囲にある前記再生位置情報に限定し、限定した範囲内にある前記再生位置情報に関連付けられて記憶されている前記取り込みデータを検索して前記楽曲メタデータを特定することを特徴とする情報取得システム。
【請求項11】
請求項6から請求項10のいずれか1項に記載の情報取得システムであって、
前記楽曲メタデータ特定部により特定した前記楽曲メタデータを出力する楽曲メタデータ出力部を備えることを特徴とする情報取得システム。
【請求項12】
楽曲から取り込んだ取り込みデータと、上記取り込みデータの上記楽曲での再生位置を示す情報と、上記楽曲のメタデータとが少なくとも関連付けられて記憶されている楽曲照合データベースと接続可能な情報取得装置であって、
外部からデータを取得するデータ取得部と、
上記データ取得部で取得した上記データが無音データ、音声データ、楽曲データのいずれであるかを検出する検出部と、
上記データ取得部で取得した上記データを一定期間サンプリングし、上記無音データ、上記音声データ、上記楽曲データのいずれの状態であるかを監視する状態監視部と、
上記データ取得部で取得した上記データの一部と、上記状態監視部により上記データが楽曲データであると判定されている状態が継続した楽曲データ継続時間情報に基づいて上記楽曲照合データベースを参照し、上記データ取得部で取得した上記データの楽曲メタデータを取得する楽曲メタデータ取得部と、
を備えることを特徴とする情報取得装置。
【請求項13】
データ取得部、検出部、状態監視部、楽曲メタデータ取得部を備え、楽曲から取り込んだ取り込みデータと、上記取り込みデータの上記楽曲での再生位置を示す情報と、上記楽曲のメタデータとが少なくとも関連付けられて記憶されている楽曲照合データベースと接続可能な情報取得装置に用いられる情報取得方法であって、
上記データ取得部が、外部からデータを取得するデータ取得ステップと、
上記検出部が、上記データ取得ステップで取得した上記データが無音データ、音声データ、楽曲データのいずれであるかを検出する検出ステップと、
上記状態監視部が、上記データ取得ステップで取得した上記データを一定期間サンプリングし、上記無音データ、上記音声データ、上記楽曲データのいずれの状態であるかを監視する状態監視ステップと、
上記楽曲メタデータ取得部が、上記データ取得ステップで取得した上記データの一部と、上記状態監視ステップにより上記データが楽曲データであると判定されている状態が継続した楽曲データ継続時間情報に基づいて上記楽曲照合データベースを参照し、上記データ取得ステップで取得した上記データの楽曲メタデータを取得する楽曲メタデータ取得ステップと、
を有することを特徴とする情報取得方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−40116(P2011−40116A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−183861(P2009−183861)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(308036402)JVC・ケンウッド・ホールディングス株式会社 (1,152)
【Fターム(参考)】