説明

情報提供方法、情報提供システム、サーバ装置および通話案内装置

【課題】クライアント装置によるWebページの閲覧と、接客員との通話とを連携させ、接客員が主体となってユーザに様々な情報を提供する。
【解決手段】情報提供システム100では、サーバ装置120が、クライアント装置110にWebページの提供と共にクライアント識別子を送信し、クライアント装置が、通話案内装置130に音声通信要求を行うと共にクライアント識別子を送信し、通話案内装置が、クライアント装置から受信したクライアント識別子を用いて、サーバ装置に、音声通信を確立しているクライアント装置に新たなWebページの提供を指示する情報提供指示を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが所望する情報を通信網を介して提供する情報提供方法、情報提供システム、サーバ装置および通話案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットやLAN(Local Area Network)等のネットワーク・インフラの普及に伴い、必要な情報をあらゆる場所で容易に取得できるようになった。例えば、ユーザは、クライアント装置を用い、インターネットを通じてサーバ装置から音楽、静止画、動画等の様々な情報を入手できる。また、ユーザは、クライアント装置を通じて通信販売を行っているWebサイト(サーバ装置)にアクセスすることで、クライアント装置のWebブラウザに、購入可能な商品一覧が示されるWebページを表示させることが可能となり、その中から商品を選択することで、実在する販売店舗における対面販売の如く商品を購入することができる。
【0003】
しかし、Webブラウザを介した商品購入においては、商品を、あくまで映像として表示させることしかできないので、実物の大きさや触感、動作、その他商品の具体的な内容に関し、対面販売ほどの情報を得ることはできなかった。また、Webサイトによっては、購入可能な商品について詳しい説明文を提示しているものもあるが、その内容は接客側(販売側)の視点に立った商品の好都合な内容が多く、ユーザが不安に感じる点や疑問点等に関しては、真に所望する情報を得ることができなかった。
【0004】
そこで、ユーザが、Webサイトにアクセスしながら、Webサイトとは独立したテレビ電話等を通じて接客側の接客員(販売員)と対話でき、接客員に商品の内容を直接聞くことが可能な技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−163031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術では、商品等の情報に関し、あくまでユーザが主体となってWebサイトから情報を取得しなければならず、接客員は、ユーザから問い合わせのあった質問に返答することはできても、ユーザが、どのWebページを閲覧しつつ通話しているのか把握できないため、実際にユーザが閲覧しているWebページとは異なるWebページに基づいて間違った情報を伝達してしまうこともあった。また、接客員は、自身が主体となって、通話以外の情報、例えば、商品を図解した画像や新たな商品画像をユーザに閲覧させたくても、口頭で案内することしかできなかった。
【0007】
仮に、対話によって得られたユーザの要望に従い、接客員が、クライアント装置のWebブラウザを通じて任意の情報を提供しようとしても、Webサイトには多数のアクセスがあるので、現在通話しているユーザのクライアント装置自体を特定したり、クライアント装置とWebサイトとの接続回線を特定することができず、やはり、ユーザが閲覧しているWebページを参照したり、ユーザに新たな情報を提示したりするのは困難であった。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み、クライアント装置によるWebページの閲覧と、接客員との通話とを連携させ、接客員が主体となってユーザに様々な情報を提供することが可能な、情報提供方法、情報提供システム、サーバ装置および通話案内装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は下記の方法、システム、および、装置を提供するものである。
(1)通信網を介して接続される、クライアント装置とサーバ装置と通話案内装置とを用いた情報提供方法であって、前記クライアント装置は、前記サーバ装置に、Webページの取得を要求する情報取得要求を行い、前記サーバ装置は、前記情報取得要求に応じて、前記クライアント装置を特定するクライアント識別子を生成し、生成した前記クライアント識別子を前記クライアント装置の接続情報と関連付けてサーバメモリに保持させ、前記クライアント装置に前記Webページを提供すると共に前記クライアント識別子を送信し、前記クライアント装置は、前記サーバ装置から前記Webページの提供を受けると共に前記クライアント識別子を受信し、前記通話案内装置に音声通信要求を行うと共に前記クライアント識別子を送信し、前記クライアント装置と前記通話案内装置とは音声通信を確立し、前記通話案内装置は、前記クライアント装置から受信した前記クライアント識別子を用いて、前記サーバ装置に対し、音声通信を確立しているクライアント装置に新たなWebページの提供を指示する情報提供指示を行い、前記サーバ装置は、前記情報提供指示に応じ、前記クライアント識別子に関連付けられたクライアント装置の接続情報に基づいてクライアント装置を特定し、特定した前記クライアント装置に新たなWebページを提供することを特徴とする情報提供方法。
(2)クライアント装置と、前記クライアント装置に通信網を介して接続されるサーバ装置と、前記サーバ装置に通信網を介して接続される通話案内装置と、前記通話案内装置と音声通信を確立可能な通信端末とを用いた情報提供方法であって、前記クライアント装置は、前記サーバ装置に、Webページの取得を要求する情報取得要求を行い、前記サーバ装置は、前記情報取得要求に応じて、前記クライアント装置を特定するクライアント識別子を生成し、生成した前記クライアント識別子を前記クライアント装置の接続情報と関連付けてサーバメモリに保持させ、前記クライアント装置に前記Webページを提供すると共に前記クライアント識別子を送信し、前記クライアント装置は、前記サーバ装置から前記Webページの提供を受けると共に前記クライアント識別子を受信し、前記通信端末は、前記通話案内装置に音声通信要求を行うと共に前記クライアント装置が受信した前記クライアント識別子を送信し、前記通信端末と前記通話案内装置とは音声通信を確立し、前記通話案内装置は、前記通信端末から受信した前記クライアント識別子を用いて、前記サーバ装置に対し、クライアント装置に新たなWebページの提供を指示する情報提供指示を行い、前記サーバ装置は、前記情報提供指示に応じ、前記クライアント識別子に関連付けられたクライアント装置の接続情報に基づいてクライアント装置を特定し、特定した前記クライアント装置に新たなWebページを提供することを特徴とする情報提供方法。
(3)クライアント装置とサーバ装置と通話案内装置とがそれぞれ通信網を介して接続された情報提供システムであって、前記クライアント装置は、前記サーバ装置に、Webページの取得を要求する情報取得要求を行い、前記サーバ装置から前記Webページの提供を受けると共に自体を特定するクライアント識別子を受信する情報取得制御部と、前記通話案内装置に音声通信要求を行い、前記通話案内装置と音声通信を確立すると共に、前記クライアント識別子を送信する音声通信要求部と、を備え、前記サーバ装置は、前記情報取得要求に応じて、前記クライアント識別子を生成し、生成した前記クライアント識別子を前記クライアント装置の接続情報と関連付けてサーバメモリに保持させる識別子生成部と、前記クライアント装置と前記通話案内装置との音声通信に基づいて前記通話案内装置が行った、音声通信を確立しているクライアント装置に新たなWebページの提供を指示する情報提供指示に応じ、前記クライアント識別子に関連付けられたクライアント装置の接続情報に基づいてクライアント装置を特定するクライアント特定部と、前記情報取得要求に応じて、前記情報取得要求を送信した前記クライアント装置に前記Webページを提供すると共に前記クライアント識別子を送信し、前記情報提供指示に応じて、特定された前記クライアント装置に新たなWebページを提供する情報提供制御部と、を備え、前記通話案内装置は、前記クライアント装置の音声通信要求に応じて、前記クライアント装置と音声通信を確立すると共に、前記クライアント識別子を受信する音声通信受付部と、前記クライアント装置から受信した前記クライアント識別子を用いて、前記サーバ装置に対し、前記情報提供指示を行う情報提供指示部と、を備えることを特徴とする情報提供システム。
(4)クライアント装置と、前記クライアント装置に通信網を介して接続されるサーバ装置と、前記サーバ装置に通信網を介して接続される通話案内装置と、前記通話案内装置と音声通信を確立可能な通信端末とを含む情報提供システムであって、前記クライアント装置は、前記サーバ装置に、Webページの取得を要求する情報取得要求を行い、前記サーバ装置から前記Webページの提供を受けると共に自体を特定するクライアント識別子を受信する情報取得制御部を備え、前記サーバ装置は、前記情報取得要求に応じて、前記クライアント識別子を生成し、生成した前記クライアント識別子を前記クライアント装置の接続情報と関連付けてサーバメモリに保持させる識別子生成部と、前記クライアント装置と前記通話案内装置との音声通信に基づいて前記通話案内装置が行った、音声通信を確立クライアント装置に新たなWebページの提供を指示する情報提供指示に応じ、前記クライアント識別子に関連付けられたクライアント装置の接続情報に基づいてクライアント装置を特定するクライアント特定部と、前記情報取得要求に応じて、前記情報取得要求を送信した前記クライアント装置に前記Webページを提供すると共に前記クライアント識別子を送信し、前記情報提供指示に応じて、特定された前記クライアント装置に新たなWebページを提供する情報提供制御部と、を備え、前記通信端末は、前記通話案内装置に音声通信要求を行い、前記通話案内装置と音声通信を確立すると共に、前記クライアント装置が受信した前記クライアント識別子を送信する音声通信要求部と、前記通話案内装置は、前記通信端末の音声通信要求に応じて、前記通信端末と音声通信を確立すると共に、前記クライアント識別子を受信する音声通信受付部と、前記クライアント装置から受信した前記クライアント識別子を用いて、前記サーバ装置に対し、前記情報提供指示を行う情報提供指示部と、を備えることを特徴とする情報提供システム。
(5)クライアント装置および通話案内装置に通信網を介して接続されたサーバ装置であって、前記クライアント装置から受信したWebページの取得を要求する情報取得要求に応じて、前記クライアント装置を特定するクライアント識別子を生成し、生成した前記クライアント識別子を前記クライアント装置の接続情報と関連付けてサーバメモリに保持させる識別子生成部と、前記クライアント装置と前記通話案内装置との音声通信に基づいて前記通話案内装置が行った、音声通信を確立クライアント装置に新たなWebページの提供を指示する情報提供指示に応じ、前記クライアント識別子に関連付けられたクライアント装置の接続情報に基づいてクライアント装置を特定するクライアント特定部と、前記情報取得要求に応じて、前記情報取得要求を送信した前記クライアント装置に前記Webページを提供すると共に前記クライアント識別子を送信し、前記情報提供指示に応じて、特定された前記クライアント装置に新たなWebページを提供する情報提供制御部と、を備えることを特徴とするサーバ装置。
(6)前記識別子生成部は、前記クライアント識別子および前記通話案内装置と音声通信を行うための情報とを符号化したQRコードを生成し、前記情報提供制御部は、前記情報取得要求に応じて、前記クライアント装置に前記Webページを提供すると共に、前記QRコードを送信することを特徴とする上記(5)に記載のサーバ装置。
(7)クライアント装置または通信端末、および、サーバ装置に通信網を介して接続された通話案内装置であって、前記クライアント装置または前記通信端末の音声通信要求に応じて、前記クライアント装置または前記通信端末と音声通信を確立すると共に、クライアント装置を特定するクライアント識別子を受信する音声通信受付部と、前記クライアント装置または前記通信端末から受信した前記クライアント識別子を用いて、前記サーバ装置に対し、クライアント装置に新たなWebページの提供を指示する情報提供指示を行う情報提供指示部と、を備えることを特徴とする通話案内装置。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本発明では、クライアント装置によるWebページの閲覧と、接客員との通話とを連携させ、接客員が主体となってユーザに様々な情報を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態における情報提供システムの概略的な関係を示した説明図である。
【図2】情報提供方法の全体的な流れを示したシーケンス図である。
【図3】情報提供方法の他の例を示したシーケンス図である。
【図4】クライアント装置の電気的構成を示した機能ブロック図である。
【図5】RTPにおけるクライアント識別子の重畳態様を説明するための説明図である。
【図6】サーバ装置の電気的構成を示した機能ブロック図である。
【図7】クライアント管理テーブルを説明するための説明図である。
【図8】通話案内装置の電気的構成を示した機能ブロック図である。
【図9】第2の実施形態における情報提供システムの概略的な関係を示した説明図である。
【図10】通話案内装置の電気的構成を示した機能ブロック図である。
【図11】通信端末のブロックの電気的構成を示した機能ブロック図である。
【図12】情報提供方法の全体的な流れを示したシーケンス図である。
【図13】音声通信要求部の他の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0013】
(第1の実施形態:情報提供システム100)
図1は、情報提供システム100の概略的な関係を示した説明図である。情報提供システム100は、通信網102と、クライアント装置110と、サーバ装置120と、通話案内装置130とを含んで構成される。ユーザ112は、クライアント装置110を有し、接客側は、サーバ装置120と通話案内装置130とを有し、接客側の接客員132は、通話案内装置130を通じてユーザ112と通話し、サーバ装置120が提供する情報に関する案内を行う。ただし、接客員132は、接客側の一員に限定されず、サーバ装置120が提供する情報に関してユーザ112にアドバイス可能な人であればよい。
【0014】
通信網102は、インターネット、LAN(Local Area Network)、専用回線等で構成され、クライアント装置110、サーバ装置120、通話案内装置130それぞれを接続する。
【0015】
クライアント装置110は、パーソナルコンピュータ、ノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話等、Webブラウザを利用可能な電子機器であり、サーバ装置120が蓄積している、音楽、静止画、動画等の様々な情報をWebブラウザを通じて取得することができる。本実施形態では、サーバ装置120からクライアント装置110に提供される情報を、説明の便宜のため、Webブラウザに表示される「Webページ」として説明する。Webページは、1または複数のコンテンツや後述するプラグイン・モジュールを含む概念であり、Webページを特定するページ識別子にはそれに含まれるコンテンツのコンテンツ識別子やプラグイン・モジュールの識別子も含む。また、クライアント装置110は、通話案内装置130と接続することで、ユーザ112と接客員132との音声通信を確立することもできる。
【0016】
サーバ装置120は、Webサイトを管理し、クライアント装置110による、Webページの取得を要求する情報取得要求に応じ、クライアント装置110のWebブラウザを通じて、自体で管理している様々なWebページを提供する。また、サーバ装置120は、通話案内装置130とも通信接続されており、通話案内装置130の、新たなWebページの提供を指示する情報提供指示に応じて、クライアント装置110にWebページを提供することもできる。ここで、Webサイト(ポータルサイト)は、サーバ装置120により特定されるドメイン下にあるWebページ群を言う。
【0017】
通話案内装置130は、クライアント装置110の音声通信要求に応じて、クライアント装置110と音声通信を確立し、サーバ装置120がクライアント装置110に提供した情報を把握しつつ、サーバ装置120に、クライアント装置110への新たなWebページの提供を指示する情報提供指示を行う。
【0018】
ユーザ112は、クライアント装置110のWebブラウザを通じてWebサイトにアクセスし、Webページに提示されている商品を購入することができる。その際、ユーザ112は、そのWebページの表示内容について、通話案内装置130と音声通信を確立し、通話によって具体的に質問したり、または、説明を受けたりすることもできる。このとき、通話案内装置130における接客員132が、ユーザ112から問い合わせのあった質問に対し、すべて口頭で案内しなければならないとすると、接客員132の負担が大きくなり、無駄に時間が費やされてしまう。したがって、接客員132により、ユーザ112の質問に関連したWebページをクライアント装置110のWebブラウザに直接表示させるシステムが望まれる。
【0019】
しかし、Webサイトには、多数のアクセスがあるので、現在通話しているユーザ112のクライアント装置110とWebサイトとの接続回線を特定するのは難しかった。また、通話案内装置130が通話先であるクライアント装置110のIPアドレスを取得し、サーバ装置120にそのIPアドレスを問い合わせることで、クライアント装置110を特定することも考えられるが、グローバルなIPアドレスを複数のクライアント装置110で共有するNAPT(Network Address Port Translation:IPマスカレード、またはNATと同様、単にNAT機能とも呼ばれる。)を利用している場合に、IPアドレスからクライアント装置110を特定することができないといった問題が顕在している。
【0020】
本実施形態では、クライアント装置110が、サーバ装置120との通信接続に加え、通話案内装置130との音声通信を確立し、クライアント装置110によるWebページの閲覧と、接客員132との通話とを連携させる。さらに、接客員132は、通話案内装置130を通じてサーバ装置120を操作し、接客員132が主体となってサーバ装置120からユーザ112(クライアント装置110)に、ダイナミックに様々な情報(Webページ)を提供することを目的とする。以下、クライアント装置110、サーバ装置120および通話案内装置130を用いた情報提供方法の処理の流れを述べ、その後、クライアント装置110、サーバ装置120および通話案内装置130それぞれの具体的な構成を詳述する。
【0021】
(情報提供方法)
図2は、情報提供方法の全体的な流れを示したシーケンス図であり、図3は、情報提供方法の他の例を示したシーケンス図である。ユーザ112が、クライアント装置110を操作してサーバ装置120のWebサイトへのアクセスを試みると、クライアント装置110は、サーバ装置120に情報取得要求を行う(S140)。
【0022】
サーバ装置120は、クライアント装置110の情報取得要求に応じて、クライアント装置110を一意に特定するクライアント識別子を生成する(S142)。かかるクライアント識別子は、クライアント装置110を特定可能にユニークな値であればよく、例えばハッシュ計算等を用いて導出されたり、乱数を用いて生成される。乱数を用いる場合、サーバ装置120は、生成された乱数値が、クライアント識別子として現時点で他のクライアント装置110に利用されているかどうかを判定し、利用されていなければ、その乱数値を今回のクライアント装置110のクライアント識別子として用い、既に利用されていれば、新たに別の乱数値を生成する。
【0023】
続いて、サーバ装置120は、生成したクライアント識別子をクライアント装置110の接続情報と関連付け、クライアント管理テーブルとしてサーバメモリに保持させ(S144)、クライアント装置110の情報取得要求に基づいて、情報取得要求を送信したクライアント装置110(Webブラウザ)にWebページを提供する(S146)。Webページには、Java(登録商標)ScriptやFlashのようなコンテンツ、通話案内装置130に通信接続を行うプラグイン・モジュール等が含まれている。このとき、サーバ装置120は、Webページと共に、クライアント識別子生成ステップS142で生成したクライアント識別子を送信し、クライアント装置110は、サーバ装置120からWebページの提供を受けると共にクライアント識別子を受信する。
【0024】
ユーザ112は、クライアント装置110のWebブラウザを通じて、サーバ装置120から提供されたWebページを閲覧しつつ、そのWebページの内容について詳細な情報を知りたくなった場合に、接客員132と直接、通話することを試みる。具体的に、クライアント装置110は、Webページに埋め込まれているプラグイン・モジュールを制御して通話案内装置130に、音声セッションの開始要求である音声通信要求を行う(S148)。通話案内装置130は、クライアント装置110との通話が可能であればクライアント装置110に確認応答(ACK)を返信する(S150)。
【0025】
こうして、クライアント装置110と通話案内装置130とは音声通信を確立し、接客員132は、通話案内装置130を通じて、クライアント装置110のユーザ112に口頭で案内を行うことができる(S152)。また、クライアント装置110は、音声通信を確立している間、または、音声通信要求の際に、サーバ装置120から受信したクライアント識別子を通話案内装置130に送信する。通話は、ユーザ112と接客員132の間で、複数やりとりされるが、ここでは、説明の便宜のため、通話を両矢印1本で記載している。このとき、ユーザ112は、Webブラウザを通じて、Webページによる情報の提供を受けつつ、通話を通じて接客員132からそのWebページの内容の説明を受けることができる。
【0026】
ここで、通話案内装置130は、クライアント装置110から受信したクライアント識別子を用いて、サーバ装置120に対し、このクライアント識別子に関連付けられたクライアント装置110が現在閲覧しているWebページを問い合わせることができ(S154)、サーバ装置120は、クライアント管理テーブルにおいて、クライアント識別子に関連付けられたページ識別子によって特定されるWebページを通話案内装置130に送信する(S156)。こうして、接客員132は、ユーザ112がどのWebページを閲覧しつつ通話しているかを把握することができ、迅速かつ適切にユーザ112の疑問点を解消することが可能となる。
【0027】
また、通話案内装置130は、クライアント装置110から受信したクライアント識別子を用いて、サーバ装置120に対し、このクライアント識別子に関連付けられたクライアント装置110に情報提供指示を行うことができ(S158)、サーバ装置120は、情報提供指示を受付可能であれば、通話案内装置130に確認応答(ACK)を返信し(S160)、クライアント管理テーブルにおいて、クライアント識別子に関連付けられた既存のページ識別子を、情報提供指示による新たなWebページを示すページ識別子に書き換え、更新情報を「更新無し」から「更新有り」に書き換える(S162)。
【0028】
一方、音声通信が開始された後も、クライアント装置110は、最初に読み込んだWebページに含まれるJava(登録商標)ScriptやFlashに基づいてサーバ装置120にポーリングすることで、Webページが更新されているか否か定期的に問い合わせており(S164)、サーバ装置120は、ポーリングを受信する度に、クライアント管理テーブルを参照し、そのクライアント装置110に関連付けられた更新情報が「更新有り」になっているか否か判定し(S166)、なっていなければ更新が無いことをクライアント装置110に返信する(S168)。クライアント装置110は、更新が無いことを受けて、直近に提供されたWebページの表示を継続する。
【0029】
ここで、上述した、通話案内装置130による情報提供指示ステップS158が実行されると、ページ識別子書き換えステップS162によって、クライアント管理テーブルのページ識別子および更新情報が書き換えられるので、クライアント装置110がサーバ装置120にWebページが更新されているか否かポーリングによって問い合わせたとき(S170)、サーバ装置120は、更新情報が「更新有り」となっていると判定し(S172)、ページ識別子によって特定される新たなWebページを、接続情報で特定されるクライアント装置110に提供して(S174)、Webページ提供後、更新情報を「更新無し」に戻す(S176)。
【0030】
ここでは、サーバ装置120が主体となって、クライアント装置110が実行したポーリングにおける、セッションを管理するセッションIDを通じてセッションを特定し、それに応じる形で新たなWebページを提供しているので、クライアント装置110をIPアドレス等によって特定しなくても、サーバ装置120は、情報取得要求を送信したクライアント装置110に確実にWebページを提供することができる。
【0031】
ユーザ112と接客員132との音声通信が終了すると、通話案内装置130は、サーバ装置120に対し、クライアント識別子を用いてセッションの終了要求を行う(S178)。サーバ装置120は、通話案内装置130に確認応答(ACK)を返信し(S180)、通話案内装置130とのセッションを終了する。そして、サーバ装置120は、クライアント装置110によるWebサイトのアクセスの終了に伴って、当該クライアント装置110に関連付けられた情報をクライアント管理テーブルから削除する(S182)。
【0032】
図2においては、クライアント装置110は、サーバ装置120へのポーリングを実行する度に、サーバ装置120とのTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)の接続と切断とを繰り返しているが、図3のように、サーバ装置120とのTCP/IP接続を維持したまま、サーバ装置120側からWebページをプッシュすることもできる。
【0033】
図3を参照すると、ページ識別子書き換えステップS162までの処理は図2で述べた処理と実質的に機能が等しいので、ここではその説明を省略する。図3では、図2の処理と異なり、クライアント装置110は、音声通信開始後、サーバ装置120とのTCP/IP接続を維持している。
【0034】
ここで、通話案内装置130による情報提供指示ステップS158が実行されると、サーバ装置120は、接続を維持しているTCP/IPを通じて、クライアント装置110に、Webページが更新されたことを示す更新案内を送信する(S190)。クライアント装置110は、Webページの更新案内に応じて、Webページの取得要求を実行し(S192)、サーバ装置120は、Webページの取得要求に応じて、ページ識別子によって特定される新たなWebページの提供をクライアント装置110に提供して(S194)、更新情報を「更新無し」に戻す(S196)。以降の処理も図2と実質的に等しい。ここでは、Webページに含まれるJava(登録商標)ScriptやFlash等が更新案内の受信処理やWebページの取得要求を実行している。
【0035】
かかる構成により、通話案内装置130が行ったWebページの更新が迅速に反映され、ユーザ112がすぐに閲覧することができるので、接客員132は、ユーザ112に対して、所望するWebページを効率的に提示することができ、総合的なサービスの向上を図ることが可能となる。
【0036】
以上、説明したように、本実施形態の情報提供方法では、ユーザ112(クライアント装置110)が最初にサーバ装置120にアクセスした際に生成されるクライアント識別子をクライアント装置110、サーバ装置120、通話案内装置130で共有し、ユーザ112は、通話案内装置130を介した通話のサービスと、サーバ装置120によるWebサーバの提供サービスとを並行して受けることができる。また、接客側は、顧客に対し、問い合わせの内容と連動した情報(Webページ)を積極的に提示することが可能となり、Webページを通じた情報提供(販売)の効率化を図り、ユーザの満足度を高めることができる。
【0037】
(クライアント装置110)
図4は、クライアント装置110の電気的構成を示した機能ブロック図である。クライアント装置110は、操作部210と、表示部212と、音声入力部214と、音声出力部216と、クライアントメモリ218と、クライアント通信部220と、クライアント制御部222とを含んで構成される。
【0038】
操作部210は、キーボード、ポインティングデバイス、十字キー、ジョイスティック、タッチパネル等で構成され、ユーザ112の操作入力を受け付ける。表示部212は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等で構成され、Webブラウザを通じてサーバ装置120から提供されるWebページを表示したり、通話案内装置130と音声通信を確立するための案内画面を表示したり、その他、様々な画像を表示する。本実施形態においては、ユーザが、表示部212のWebブラウザに表示されたWebページにおけるUI(User Interface)を、操作部210を通じて操作することで、Webページに関する様々な処理を実現する。
【0039】
音声入力部214は、マイク等で構成され、A/D変換、エンコーダ(コーデック)等を通じてユーザ112の音声を音声信号として取り込む。音声出力部216は、スピーカ等で構成され、音声信号を音声に変換して出力する。また、本実施形態においては、音声入力部214と音声出力部216とが一体的に形成されたヘッドセットが用いられている。
【0040】
クライアントメモリ218は、HDD(Hard disk drive)、フラッシュメモリ、RAM等の記憶媒体で構成され、後述するクライアント制御部222で利用されるプログラムや、Webブラウザを通じてサーバ装置120からWebページと共にダウンロードしたドキュメント、音楽、静止画、動画などの情報を保持する。なお、HDDは正確には装置であるが、説明の便宜上本説明では記録媒体と同義として扱う。
【0041】
クライアント通信部220は、TCP/IP等のプロトコルを用い、通信網102を通じてサーバ装置120と通信接続を行う。また、クライアント通信部220は、SIP(Session Initiation Protocol)やRTP(A Transport Protocol for Real-Time Applications)等のプロトコルを用い、通話案内装置130との音声通信も確立する。
【0042】
クライアント制御部222は、中央処理装置(CPU)を含む半導体集積回路で構成され、クライアントメモリ218や他の電子回路と協働してクライアント装置110全体を管理および制御する。また、クライアント制御部222は、情報取得制御部230、音声通信要求部232としても機能する。
【0043】
情報取得制御部230は、HTTP(HyperText Transfer Protocol)等を用い、Webブラウザを通じてサーバ装置120に情報取得要求を行い、サーバ装置120からWebページの提供を受ける。そして、情報取得制御部230は、Webページに含まれるJava(登録商標)ScriptやFlash、またはWebブラウザに埋め込まれたプラグイン・モジュールに従って動作する。また、情報取得制御部230は、情報取得要求に基づいてサーバ装置120が生成したクライアント識別子を受信し、音声通信要求部232にクライアント識別子を送信する。例えば、情報取得制御部230は、サーバ装置120からWebページを最初に読み込んだ際、Webページに埋め込まれたクライアント識別子またはCookieの値を読み取る。Cookieをクライアント識別子に使用している場合は、セッション管理用の領域を読み取り、そこに記載されたセッションIDをクライアント識別子とする。かかるCookieに関しては後ほど詳述する。
【0044】
情報取得制御部230は、サーバ装置120からWebページを取得した後も、以下に示す音声通信要求部232による音声通信が実行される一方で、そのセッションを維持する。例えば、ポーリングによりセッションを維持する場合、情報取得制御部230は、サーバ装置120に、Webページが更新されているか否かポーリングによって定期的に問い合わせる。サーバ装置120は、ポーリングしてきたクライアント装置110のCookieの値をクライアント管理テーブルから検索し、そのクライアント装置110に関連付けられた更新情報が「更新有り」となっていると、更新されたWebページをクライアント装置110に提供する。
【0045】
また、ポーリングに依らず、TCP/IP接続を継続したまま、サーバ装置120とのセッションを維持している場合、サーバ装置120は、Webページの更新に伴い、クライアント管理テーブルのSocketディスクリプタを参照して複数のTCP/IP接続(通信路)のうち、どのTCP/IP接続が当該クライアント装置110に対応するか特定し、そのクライアント装置110に更新案内を送信する。したがって、情報取得制御部230は、更新案内に応じてWebページの取得要求を実行し、Webページを取得する。
【0046】
ところで、近年、DHTML(Dynamic HTML)やAjax(Asynchronous JavaScript + XML)などのWebページのリロードを伴わずにWebブラウザの表示を書き換える技術が普及してきており、TCP/IP接続を維持していれば、ユーザ112が主体となってWebサイトからWebページを選択しなくても、接客員132が主体となってクライアント装置110のWebブラウザ上のWebページを変更することができる。
【0047】
音声通信要求部232は、情報取得制御部230同様、サーバ装置120から提供されたWebページに含まれるJava(登録商標)ScriptやFlash、またはWebブラウザのプラグイン・モジュールに従って動作する。そして、音声通信要求部232は、Webページに含まれるJava(登録商標)Scriptを通じて、Webページ上で予め定められている通話案内装置130との音声通信の確立を試みる(音声通信要求)。そして、音声通信要求部232は、通話案内装置130と音声通信を確立する。
【0048】
具体的に、ユーザ112が、サーバ装置120から提供されたWebページを閲覧しつつ、そのWebページの内容について詳細な情報を知りたいといった状況で、通話案内装置130の接客員132との通話を試み、Webページの案内画面を操作すると、音声通信要求部232は、Webページに含まれるJava(登録商標)Scriptを通じ、ブラウザのプラグイン・モジュールを制御して、音声通信セッションの準備を開始する。
【0049】
音声セッションの準備は、SIP等の標準化されたプロトコルを用いる。また、音声通信要求部232は、音声通信を確立している間、または、音声通信要求の際、音声通信要求と共にサーバ装置120から受信したクライアント識別子を通話案内装置130に送信する。ここでは、サーバ装置120から受信したクライアント識別子を通話案内装置130に送信することで、情報提供システム100内におけるクライアント装置110、サーバ装置120、通話案内装置130間でクライアント識別子を共有することを目的としている。
【0050】
音声セッションの準備が整うと、音声通信要求部232は、通話案内装置130との音声通信を確立し、ユーザ112は接客員132と通話を開始する。かかる音声通信は、RFC(Request For Comment)3550で定義されるRTP等を用いている。音声通信要求部232は、少なくとも音声通信要求時または音声通信を開始して間もなく、クライアント識別子を送信するが、そのクライアント識別子をRTPパケットに重畳して送信するとしてもよい。また、そのクライアント識別子の送信は、音声通信要求時や音声通信を開始して直ぐのみならず、音声通信が継続している間、所定時間間隔で定期的に行われるとしてもよい。
【0051】
図5は、RTPにおけるクライアント識別子の重畳態様を説明するための説明図である。図5(a)に示すRTPデータのヘッダ(RTPヘッダ)において、搬送するペイロードのフォーマットを、図5(a)中「PT」と記したペイロードタイプ領域で指定している。具体的な値は、RFC3551”RTP Profile for Audio and Video Conferences with Minimal Control”で定義されており、例えば、音声を伝送する際、「G728」という音声コーデックを使うのであれば「15」をペイロードタイプ領域(PT)に設定する。
【0052】
上述したRFC3551では、ペイロードタイプ領域に設定可能な値の範囲のうち、96〜127の値は任意に割り当て可能な範囲となっている。したがって、かかる範囲内の1の値を決め、その値をクライアント識別子の搬送に利用すると予め定めておけば、RTPパケット(音声パケット)中にクライアント識別子を有するパケットが混在されたとしても、通話案内装置130で誤って音声として認識してしまうこともない。
【0053】
また、「V」はバージョン、「P」はペイロードのページング有無、「X」は拡張ヘッダの有無、「CC」はCSRC(Contributing source:寄与情報源)カウント、Mはマーカ、シーケンス番号はパケットの通し番号、タイムスタンプは再生時刻、SSRC(Synchronization source:同期化情報源)識別子はセッション参加者の識別子、CSRC識別子は送信元の識別子を示す。音声通信要求部232は、図5(b)に示すように、PTにクライアント識別子を示す値を記載したRTPヘッダに、クライアント識別子を記載したペイロードを合わせて、RTPパケットとして通話案内装置130に送信する。
【0054】
このようにクライアント装置110と通話案内装置130との音声通信が確立し、ユーザ112と接客員132とが通話できる状態になると、ユーザ112は、接客員132にWebページに関する様々な説明を口頭で受けつつ、例えば、Webページに表示された商品を購入することができる。また、接客員132は、通話案内装置130を操作して、サーバ装置120を制御し、サーバ装置120がクライアント装置110に提供しているWebページを接客員132が主体となって変更することができるので、ユーザ112に対し、所望するWebページを効率的に提示することができ、総合的なサービス向上を図ることが可能となる。
【0055】
また、このような一連の処理の間、ユーザ112は、Webブラウザを操作する必要はなく、専ら、接客員132と対話しつつ、Webブラウザに接客員132によって自動的に提示される情報を視覚的に享受するのに専念するだけでよい。ここでは、Webサイトにアクセスする形の例えば通信販売でありながら、接客員132から対面販売に近いサービスを受けることができるので、ユーザ112は、真に所望する商品を購入することができ、対面販売同様の満足感を得ることが可能となる。
【0056】
また、上述した例では、RTPパケットにクライアント識別子を重畳したが、音声通信の接続準備をするSIPを実行している段階で、SIPの接続情報にクライアント識別子を含めて通話案内装置130に伝達してもよい。
【0057】
音声通信要求部232は、音声通信の前段で、そのパラメータの合意をとるためSIPを用いている。SIPでは、RFC4566で定義されるSDP(Session Description Protocol)に従ったテキスト形式の記述方法によりセッションのパラメータ合意を行う。そこには、送信元の情報を記述する領域があり、以下のような様な書式になっている。
o=
この中の領域は、ログインした時のユーザIDを記入する部分である。本実施形態では、このユーザIDを記入する部分に、サーバ装置120から受信したクライアント識別子を記入する。こうして、通話案内装置130では、領域を読み取ることでクライアント識別子を得ることが可能となる。
【0058】
SIPにおけるユーザIDを記入する領域は、既存の領域であり、その領域をクライアント識別子に利用してもデータ容量や通信負荷には影響しない。したがって、別途、クライアント識別子を送信する処理や、RTPパケットとしてクライアント識別子を送信する場合と比較して、通信による処理負荷を軽減することができる。
【0059】
(サーバ装置120)
図6は、サーバ装置120の電気的構成を示した機能ブロック図である。サーバ装置120は、サーバメモリ310と、サーバ通信部312と、サーバ制御部314とを含んで構成される。
【0060】
サーバメモリ310は、HDD、フラッシュメモリ、RAM等の記憶媒体で構成され、後述するサーバ制御部314で利用されるプログラムや、Webブラウザを通じてクライアント装置110に提供可能な、ドキュメント、音楽、静止画、動画などの情報を保持する。サーバ通信部312は、TCP/IP等のプロトコルを用い、通信網102を通じてクライアント装置110および通話案内装置130と通信接続する。
【0061】
サーバ制御部314は、中央処理装置(CPU)を含む半導体集積回路で構成され、サーバメモリ310や他の電子回路と協働してサーバ装置120全体を管理および制御する。また、サーバ制御部314は、識別子生成部330、クライアント特定部332、情報提供制御部334としても機能する。
【0062】
識別子生成部330は、クライアント装置110から受信した情報取得要求に応じて、クライアント装置110を特定するクライアント識別子を生成し、生成したクライアント識別子をクライアント装置110の接続情報と関連付け、クライアント管理テーブルとしてサーバメモリ310に保持させる。
【0063】
図7は、クライアント管理テーブル340を説明するための説明図である。識別子生成部330は、クライアント装置110から受信した情報取得要求に応じて、サーバ装置120内で他の複数のクライアント装置110と識別するためのユニークな値を生成し、そのクライアント装置110のクライアント識別子342とする。
【0064】
識別子生成部330は、クライアント管理テーブル340に生成したクライアント識別子342を登録し、さらに、図7の如く、セッション管理用のCookieの値344、Socketディスクリプタ346、現時点でクライアント装置110のWebブラウザに表示させているWebページを特定するページ識別子348、Webページの更新の有無および更新領域等を示す付加パラメータを示す更新情報350が関連付けられる。
【0065】
ここで、Cookieの値344、Socketディスクリプタ346は、クライアント装置110の接続情報として利用される。ページ識別子348は、個々のWebページを特定するためのユニークな値であり、情報提供システム100内のコンテンツ管理番号やコンテンツのファイルパス、URI(Uniform Resource Identifier)、プラグイン・モジュールのファイルパスで置き換えることもできる。また、Socketは、TCP/IP通信を行う際の標準的なアプリケーション・インターフェースであり、Socketディスクリプタ346は、クライアント装置110との通信接続上にある端点または通信路を特定可能なサーバマシン内でのユニークな値であり、個々のTCP/IP接続を判別することができる。
【0066】
クライアント特定部332は、クライアント装置110と通話案内装置130との音声通信に基づいて通話案内装置130が行った情報提供指示に応じ、クライアント管理テーブル340において、情報提供指示と共に受信したクライアント識別子に関連付けられたクライアント装置110の接続情報に基づき、通話案内装置130が音声通信を確立しているクライアント装置110を特定する。
【0067】
情報提供制御部334は、クライアント装置110による情報取得要求に応じて、情報取得要求を送信したクライアント装置110にWebページを提供すると共に、通話案内装置130による情報提供指示に応じて、クライアント特定部332が特定したクライアント装置110に新たなWebページを提供する。
【0068】
具体的に、情報提供制御部334は、クライアント装置110から、サーバ装置120自体のURL(Uniform Resource Locator)に対してWebページを取得する情報取得要求を受信すると、HTTPに従って、指定されたURLに対するWebページをサーバメモリ310から抽出してクライアント装置110に送信し、クライアント装置110のWebブラウザにWebページを表示させる。
【0069】
このとき、情報提供制御部334は、識別子生成部330が生成した、クライアント装置110を特定可能なクライアント識別子をWebページに埋め込む。ただし、後述するようにCookieをクライアント識別子として使用する場合は、Webページへの埋め込み処理は実行しない。さらに、情報提供制御部334は、セッション管理のためのCookieを生成し、Webページと共にクライアント装置110に送信する。
【0070】
具体的に、情報提供制御部334は、クライアント識別子「12345678」をJava(登録商標)Scriptファイル、または、htmlファイル内のJava(登録商標)Script記述領域に以下のように挿入する。このクライアント識別子の値「client_ID」を、識別子生成部330においてクライアント毎に異ならせる。

......
var client_ID = 12345678;
.........

また、クライアント識別子をクライアント装置110に伝達する手段として、上記Java(登録商標)Scriptに挿入する手段の他に、上述した、通常のセッション管理に用いられるCookieの値を利用することもできる。Cookieは、リクエストとレスポンスとが組になって完結してしまうHTTPプロトコルに対して、次回のリクエストとの連続性を確保するために考案されたものであり、Cookieの値は、クライアント装置110がサーバ装置120にリクエストした際にサーバ装置120によって生成され、クライアント装置110が次回のリクエストのため保持する値である。例えば、クライアント装置110によるリクエストヘッダには、以下の例のような形式でCookieの値が付されている。
Cookie:Name=Value
かかるName=ValueがCookieの値を示す。また、
Name=Value;Name=Value;Name=Value…
のように複数のCookieの値を書き連ねることもできる。本実施形態においては、例えば、
Cookie:SessionID=abcd12345-efg12345678
で示されるセッションIDをクライアント識別子として用いている。ただし、Cookieには、セッション管理だけではなくクライアント毎のパラメータを付加したりなど他の用途にも利用されるので、運用を分離する意味で上記のようなJava(登録商標)Scriptへの埋め込みが有効な手段である。
【0071】
こうして、クライアント装置110は、情報取得要求で要求したWebページを、自体のWebブラウザに表示することができる。また、クライアント装置110では、Webページを表示した後、サーバ装置120に定期的にWebページの更新の有無を問い合わせる(ポーリング)。
【0072】
かかるWebページの更新を問い合わせる際には、サーバ装置120が発行したCookieの値が示されており、サーバ装置120は、クライアント管理テーブル340に関連付けて保持しているCookieの値344と照合し、Cookieの値344が有ると、それに関連付けられた更新情報350を参照する。そして、更新情報350が「更新有り」となっていれば、ページ識別子348で特定される更新されたWebページをクライアント装置110に提供し、クライアント管理テーブル340の更新情報を「更新無し」に戻す。
【0073】
また、クライアント装置110とサーバ装置120とのTCP/IP接続が維持されている場合、クライアント装置110は、情報取得要求で要求したWebページを、クライアント装置110自体のWebブラウザに表示した後、サーバ装置120からの更新通知待ち状態となる。
【0074】
図3にも示したように、通話案内装置130が、クライアント装置110から受信したクライアント識別子を用いて、サーバ装置120に対し、クライアント識別子や他のパラメータをPOSTメソッドで送信し、このクライアント識別子に関連付けられたクライアント装置110への新たなWebページの提供を指示すると、クライアント特定部332は、クライアント識別子がクライアント管理テーブル340に既に存在するか否か判定し、存在すれば、情報提供制御部334は、そのクライアント識別子342に関連付けられたページ識別子348を通話案内装置130に指示されたページ識別子348に書き換え、クライアント管理テーブル340の更新情報350を「更新有り」に書き換える。
【0075】
サーバ装置120は、その書き換えに応じ、更新のあったクライアント識別子342に関連付けられているSocketディスクリプタ346の値と現在維持しているTCP/IP接続におけるSocketディスクリプタの値を比較し、一致する接続が見つかったら、そのTCP/IPを通じてWebページが更新されたこと(更新案内)をクライアント装置110に伝達する。
【0076】
クライアント装置110は、Webページの更新案内に応じて、Cookieを含んだ、Webページの取得要求を実行し、サーバ装置120は、そのWebページの取得要求に含まれるCookieの値を取り出し、クライアント管理テーブル340からCookieの値344を検索し、Cookieの値344に関連付けられた更新情報350を参照し、更新情報350が「更新有り」となっていることを確認して、同じく関連付けられているページ識別子348によって特定されるWebページを読み出し、その新たなWebページをクライアント装置110に提供し、更新情報350を「更新無し」に戻す。
【0077】
このようにして、サーバ装置120に対する多くのアクセスの中から、通話案内装置130が音声通信を確立しているクライアント装置110を特定し、ユーザ112の操作を要すことなく、クライアント装置110のWebブラウザ上に表示されるWebページを更新させることが可能になる。
【0078】
(通話案内装置130)
図8は、通話案内装置130の電気的構成を示した機能ブロック図である。通話案内装置130は、操作部410と、表示部412と、音声入力部414と、音声出力部416と、案内メモリ418と、案内通信部420と、案内制御部422と含んで構成される。
【0079】
操作部410は、キーボード、ポインティングデバイス、十字キー、ジョイスティック、タッチパネル等で構成され、接客員132の操作入力を受け付ける。表示部412は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等で構成され、Webブラウザを通じて、サーバ装置120がクライアント装置110に現在提供しているWebページを表示したり、サーバ装置120が有するWebページでありサーバ装置120がクライアントに提供可能なWebページを表示したり、クライアント装置110に提供するため、通話案内装置130に予め準備している、または生成したWebページを表示する。
【0080】
音声入力部414は、マイク等で構成され、A/D変換、エンコーダ等を通じて接客員132の音声を音声信号として取り込む。音声出力部416は、スピーカ等で構成され、音声信号を音声に変換して出力する。また、本実施形態においては、音声入力部414と音声出力部416とが一体的に形成されたヘッドセットが用いられている。
【0081】
案内メモリ418は、HDD、フラッシュメモリ、RAM等の記憶媒体で構成され、後述する案内制御部422で利用されるプログラムや、サーバ装置120を通じてWebページとしてクライアント装置110に提供可能なドキュメント、音楽、静止画、動画などの情報を保持する。
【0082】
案内通信部420は、TCP/IP等のプロトコルを用い、通信網102を通じてサーバ装置120と通信接続を行う。また、クライアント通信部220は、RTP等のプロトコルを用い、クライアント装置110との音声通信も確立する。
【0083】
案内制御部422は、中央処理装置(CPU)を含む半導体集積回路で構成され、案内メモリ418や他の電子回路と協働して通話案内装置130全体を管理および制御する。また、案内制御部422は、音声通信受付部430、情報提供指示部432としても機能する。
【0084】
音声通信受付部430は、クライアント装置110の音声通信要求に応じて、クライアント装置110と音声通信を確立すると共に、クライアント装置110から、例えば、RTPパケットに重畳されて送信されたクライアント識別子を受信する。
【0085】
具体的に、音声通信受付部430は、クライアント装置110からのSIPによる音声通信要求を受信すると、音声通信のためのポート、音声コーデック等の、音声通信に必要なパラメータをクライアント装置110との間で合意し、音声通信の準備を行う。そして、準備が完了したら、音声通信受付部430は、クライアント装置110との音声通信を開始する。
【0086】
音声通信が開始され、音声入力部414に接客員132の音声が取り込まれると、その音声は、音声入力部414のA/D変換、エンコーダを通じて音声信号に変換される。そして、案内通信部420は、この音声信号をRTPに従ってRTPパケットに変換し、通信網102を介してクライアント装置110に送信する。
【0087】
また、案内通信部420がクライアント装置110から通信網102を介してRTPパケットを受信すると、RTPパケットにおけるRTPヘッダのペイロードタイプ(PT)領域を読み取り、ペイロードタイプが所定の音声コーデックを表していれば、音声データとして音声出力部416に伝達する。音声出力部416は、音声データを、デコーダ、D/A変換を通じてアナログの音声信号に変換し、スピーカを通じて音声として出力する。
【0088】
また、ペイロードタイプがクライアント識別子を表していれば、RTPパケットからクライアント識別子を取り出し、情報提供指示部432に伝達し、情報提供指示部432は、当該クライアント識別子をセッションが終了するまで保持する。
【0089】
情報提供指示部432は、音声通信受付部430が受信したクライアント識別子を用いて、サーバ装置120に対し、クライアント識別子に関連付けられたクライアント装置110に、新たなWebページの情報提供指示を行う。以下、情報提供指示部432の具体的な動作を述べる。
【0090】
音声通信受付部430によって、通話案内装置130とクライアント装置110との間で音声通信が確立されると、その会話内容に応じ、接客員132からユーザ112に情報を提示するのが望ましい場面が生じる。このとき、情報提供指示部432は、ユーザに提示するコンテンツを含むWebページを、クライアント装置110とセッションを開いているサーバ装置120に指示する。
【0091】
例えば、通話案内装置130の表示部412に、ユーザ112に提示可能なコンテンツの一覧がリストとして示されたUIが示されていると仮定すると、接客員132は、かかるUIを操作して、リストからコンテンツを選択し、情報提供指示部432は、選択されたコンテンツに対応したページ識別子を、クライアント識別子や付加パラメータと共に、例えば以下に示すHTTPのPOSTメソッドによってサーバ装置120に送信する(情報提供指示)。
POST /renew_contents.php HTTP/1.1
HOST:www.example_shop.com
(空行)
client_ID=12345678&contents=/newcontent.html&area_info=0
この例では、「client_ID」としてクライアント識別子を指定し、「contents」として更新するWebページにおけるコンテンツを指定している。「area_info」は、例えば、ブラウザ内の更新する領域を示す情報であり、必要に応じて同様の追加のパラメータを付加(付加パラメータ)してもよい。各パラメータは、「パラメータ名=値」で指定し、複数ある場合は間に”&”を挟んで連ねて記載する。
【0092】
サーバ装置120は、この情報提供指示を受け、情報提供指示を受付可能であれば、通話案内装置130にHTTPに基づいて以下に示す確認応答(ACK)を返信し、
HTTP/1.1 200 OK
受信したクライアント識別子を用いて、クライアント装置110を特定し、特定したクライアント装置110に提供するコンテンツを、接客員132が選択したコンテンツを含むWebページに更新する。
【0093】
そして、ユーザ112と接客員132との音声通信が終了すると、通話案内装置130は、サーバ装置120に対し、サーバ装置120で管理しているクライアント識別子およびCookieの有効期間が終了したことを明示的にサーバ装置120に知らせるために、クライアント識別子を用いて、以下のようなPOSTメソッドによってセッションの終了要求を行う。
POST / renew_contents.php HTTP/1.1
HOST:www.example_shop_ctl.com
(空行)
client_ID=12345678&sess_end=1
ここで、「client_ID」は、クライアント識別子を表し、「sess_end」は、セッションの終了コマンドである。上記の例では、「sess_end」に値「1」を指定してセッションの終了を表している。
【0094】
サーバ装置120は、通話案内装置130に確認応答(ACK)を返信し、通話案内装置130とのセッションを終了する。そして、サーバ装置120は、クライアント装置110によるWebサイトのアクセスの終了に伴って、当該クライアント装置110に関連付けられた情報をクライアント管理テーブル340から削除する。
【0095】
以上説明したクライアント装置110、サーバ装置120、通話案内装置130によって、クライアント装置110によるWebページの閲覧と、接客員132との通話とを連携させ、接客員132が主体となってユーザ112に様々な情報を提供することが可能となる。
【0096】
(第2の実施形態:情報提供システム500)
第1の実施形態においては、クライアント装置110は、サーバ装置120から提供されたWebページのプラグイン・モジュールを通じて通話案内装置130との音声通信を確立していた。しかし、ユーザ112が、コンピュータに精通していない場合や、クライアント装置110に音声入力部214や音声出力部216が設けられていない場合に、通話案内装置130との音声通信を、Webページから直接行うことができなくなる。
【0097】
しかし、ユーザ112は、コンピュータには疎くても、通常、固定電話や携帯電話を通じて通話することには慣れている。そこで、第2の実施形態では、クライアント装置110と通話案内装置130との音声通信を、別体の電話と通話案内装置130との音声通信に置き換えて、第1の実施形態同様、クライアント装置110によるWebページの閲覧と、接客員132との通話とを連携させ、接客員132が主体となってユーザに様々な情報を提供する。
【0098】
図9は、情報提供システム500の概略的な関係を示した説明図である。情報提供システム500は、通信網102と、クライアント装置110と、サーバ装置120と、通話案内装置530と、通信端末540と、電話網542とを含んで構成される。ユーザ112は、第1の実施形態同様、クライアント装置110を有し、接客側は、サーバ装置120と通話案内装置530とを有し、接客側の接客員132は、通話案内装置530を通じてユーザ112と通話し、サーバ装置120が提供する情報に関する案内を行う。ただし、第2の実施形態では、ユーザ112が、クライアント装置110とは別体に通信端末540を有し、通信端末540は、電話網542を通じて通話案内装置530と音声通信を実行する。
【0099】
第1の実施形態における構成要素として既に述べた通信網102と、クライアント装置110と、サーバ装置120とは、実質的に機能が同一なので同一の符号を付すことにより重複説明を省略し、ここでは、構成が相違する通話案内装置530と、通信端末540とを主に説明する。
【0100】
(通話案内装置530)
図10は、通話案内装置530の電気的構成を示した機能ブロック図である。通話案内装置530は、操作部410と、表示部412と、音声入力部414と、音声出力部416と、案内メモリ418と、案内通信部420と、案内制御部422と、電話回線接続部524とを含んで構成される。ここでは、第1の実施形態と構成が異なる電話回線接続部524を説明する。
【0101】
電話回線接続部524は、電話網542に接続され、通信端末540との音声通話を実行する。したがって、電話回線接続部524は、音声入力部414で生成された音声信号を電話網542を通じて通信端末540に送信し、電話網542を通じて受信された音声信号を音声出力部416に送信する。
【0102】
また、電話回線接続部524は、後述するように通信端末540から発信された、クライアント識別子としてのトーン信号(DTMF:Dual-Tone Multi-Frequency)を受信すると、そのトーン信号を文字列コードに変換し、それをクライアント識別子として音声通信受付部430に送信する。以降の処理は第1の実施形態と等しいので、ここではその説明を省略する。
【0103】
(通信端末540)
図11は、通信端末540のブロックの電気的構成を示した機能ブロック図である。通信端末540は、操作部550と、表示部552と、音声入力部554と、音声出力部556と、端末メモリ558と、端末通信部560と、端末制御部562とを含んで構成される。
【0104】
操作部550は、キーボード、十字キー、ジョイスティック、タッチパネル等で構成され、ユーザ112の操作入力を受け付ける。表示部552は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等で構成される。音声入力部554はマイク等で構成され、A/D変換、エンコーダ等を通じてユーザ112の音声を音声信号として取り込む。音声出力部556は、スピーカ等で構成され、音声信号を音声に変換して出力する。
【0105】
端末メモリ558は、HDD、フラッシュメモリ、RAM等の記憶媒体で構成される。端末通信部560は、無線通信によって電話網542と通信接続を行い、通話案内装置530との音声通信を確立する。端末制御部562は、中央処理装置(CPU)を含む半導体集積回路で構成され、端末メモリ558や他の電子回路と協働して通信端末540全体を管理および制御する。また、端末制御部562は、通話案内装置530に音声通信要求を行い、通話案内装置530と音声通信を確立すると共に、クライアント装置110がサーバ装置120から受信したクライアント識別子を、端末通信部560にトーン信号等に変換して送信させる音声通信要求部570としても機能する。
【0106】
(情報提供方法)
図12は、情報提供方法の全体的な流れを示したシーケンス図である。ここでも、図2および図3を用いて、第1の実施形態における情報提供方法として既に述べた処理は実質的に機能が同一なので同一の符号を付すことにより重複説明を省略し、ここでは、構成が相違する処理のみを主に説明する。
【0107】
ユーザ112は、クライアント装置110のWebブラウザを通じて、サーバ装置120から提供されたWebページを閲覧しつつ、そのWebページの内容について詳細な情報を知りたくなった場合に、Webページに埋め込まれている案内情報を通じて、接客員132に直接、通話することを試みる。ここでは、ユーザは、通信端末540を用い、電話網542を通じて、通話案内装置530に音声通信要求(発呼)を行い(S580)、通話案内装置530はその音声通信要求を着信し、通信端末540との通話が可能であれば通信端末540に確認応答(ACK)を返信する(S582)。こうして、通信端末540と通話案内装置530とは音声通信を確立し、接客員132は、通話案内装置530を通じて、通信端末540のユーザ112に口頭で案内を行うことができる(S584)。また、通信端末540は、音声通信を確立している間、クライアント装置110がサーバ装置120から受信したクライアント識別子を通話案内装置530に送信する。
【0108】
具体的に、通信端末540は、クライアント識別子をトーン信号に変換し音声として送信したり、クライアント装置110にクライアント識別子を示すビープ音を出力させ、それを音声として送信したり、通話案内装置530による案内に従って通信端末540の操作部550を操作して数値または文字列で送信したり、直接音声を発して伝えたりすることで、クライアント識別子を通話案内装置530に送信する。
【0109】
こうして、通信端末540と通話案内装置530とは音声通信を確立し、接客員132は、クライアント装置110のユーザ112に通信端末540を通じて口頭で案内を行うことができる。通話ステップS584以降の処理は図2および図3で説明した処理と実質的に等しい。このような一連の処理の間、ユーザ112は、Webブラウザを操作する必要はなく、専ら、通信端末540を通じて接客員132と対話しつつ、Webブラウザに接客員132によって自動的に提示される情報を視覚的に享受するのに専念するだけでよい。
【0110】
かかる構成により、ユーザ112が、コンピュータに精通していない場合や、クライアント装置110に音声入力部214や音声出力部216が設けられていない場合においても、手慣れた通信端末540を用いることで通話案内装置530との音声通信を実行でき、クライアント装置110によるWebページの閲覧と、通信端末540による接客員132との通話とを連携させ、接客員132が主体となってユーザに様々な情報を提供することが可能となる。
【0111】
また、サーバ装置120の識別子生成部330は、クライアント識別子、および、通話案内装置530と音声通信を行うための情報(例えば、通話案内装置530の電話番号)とを符号化したQR(Quick Response)コードを生成し、情報提供制御部334は、情報取得要求に応じて、情報を提供すると共に、クライアント識別子の代わりに、または加えて、生成したQRコードを送信してもよい。通信端末540としての、特に近年の携帯電話には、撮像部が設けられていることが多い。ユーザ112は、クライアント装置110のWebブラウザに表示されたQRコードを、通信端末540の撮像部で撮像し、通信端末540内に取り込むことで、通話案内装置530との音声通信を確立する。
【0112】
図13は、音声通信要求部570の他の動作を説明するためのフローチャートである。通信端末540の音声通信要求部570は、撮像部を通じてWebブラウザに表示されたQRコードを撮像して取り込み(S600)、取り込んだQRコードを復号して(S602)、そのQRコードの内容が電話番号とクライアント識別子であるか否か判定する(S604)。電話番号とクライアント識別子でなければ(S604におけるNO)、エラー処理を行う(S606)。
【0113】
電話番号とクライアント識別子であれば(S604におけるYES)、その電話番号とクライアント識別子を一時的に端末メモリ558に保持し(S608)、少なくとも電話番号を表示部552に表示する(S610)。そして、ユーザ112が、その電話番号が妥当な番号であることを確認して、通話案内装置530と音声通信を行うべく、操作部550を通じて発呼操作を行うと(S612におけるYES)、音声通信要求部570は、通話案内装置530との音声通信を確立し(S614)、音声通信が開始されると(S616におけるYES)、端末メモリ558に保持されているクライアント識別子がトーン信号に変換されて音声として送信される(S618)。ユーザが、操作部550を通じて発呼操作を行わないと(S612におけるNO)、音声通話が行われないまま、当該処理は終了する。
【0114】
通話案内装置530は、トーン信号を文字列コードに変換してクライアント識別子を取り出し、そのクライアント識別子によって、音声通信を行っているユーザ112が、サーバ装置120からどのようなWebページの提供を受けているのか特定することができる。音声通信要求部570は、通話終了の操作を受け付けるまで(S620におけるNO)、通話案相装置と音声通信を継続し(S622)、通話終了の操作を受け付けると(S620におけるYES)、音声通信の終了処理を実行する(S624)。
【0115】
このようにQRコードを用いることで、ユーザ112は、通信端末540への煩雑な手入力を回避でき、また、打ち間違えを防止できる。さらに、クライアント識別子をQRコードに埋め込むことで、ユーザ112にその値を認識させないことも可能であり、クライアント識別子の改竄防止にもなる。
【0116】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0117】
なお、本明細書の情報提供方法における各工程は、必ずしもシーケンス図およびフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明は、ユーザが所望する情報を通信網を介して提供する情報提供方法、情報提供システム、サーバ装置および通話案内装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0119】
100、500 …情報提供システム
102 …通信網
110 …クライアント装置
120 …サーバ装置
130、530 …通話案内装置
230 …情報取得制御部
232、570 …音声通信要求部
330 …識別子生成部
332 …クライアント特定部
334 …情報提供制御部
430 …音声通信受付部
432 …情報提供指示部
540 …通信端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信網を介して接続される、クライアント装置とサーバ装置と通話案内装置とを用いた情報提供方法であって、
前記クライアント装置は、前記サーバ装置に、Webページの取得を要求する情報取得要求を行い、
前記サーバ装置は、
前記情報取得要求に応じて、前記クライアント装置を特定するクライアント識別子を生成し、生成した前記クライアント識別子を前記クライアント装置の接続情報と関連付けてサーバメモリに保持させ、
前記クライアント装置に前記Webページを提供すると共に前記クライアント識別子を送信し、
前記クライアント装置は、
前記サーバ装置から前記Webページの提供を受けると共に前記クライアント識別子を受信し、
前記通話案内装置に音声通信要求を行うと共に前記クライアント識別子を送信し、
前記クライアント装置と前記通話案内装置とは音声通信を確立し、
前記通話案内装置は、前記クライアント装置から受信した前記クライアント識別子を用いて、前記サーバ装置に対し、音声通信を確立しているクライアント装置に新たなWebページの提供を指示する情報提供指示を行い、
前記サーバ装置は、
前記情報提供指示に応じ、前記クライアント識別子に関連付けられたクライアント装置の接続情報に基づいてクライアント装置を特定し、
特定した前記クライアント装置に新たなWebページを提供することを特徴とする情報提供方法。
【請求項2】
クライアント装置と、前記クライアント装置に通信網を介して接続されるサーバ装置と、前記サーバ装置に通信網を介して接続される通話案内装置と、前記通話案内装置と音声通信を確立可能な通信端末とを用いた情報提供方法であって、
前記クライアント装置は、前記サーバ装置に、Webページの取得を要求する情報取得要求を行い、
前記サーバ装置は、
前記情報取得要求に応じて、前記クライアント装置を特定するクライアント識別子を生成し、生成した前記クライアント識別子を前記クライアント装置の接続情報と関連付けてサーバメモリに保持させ、
前記クライアント装置に前記Webページを提供すると共に前記クライアント識別子を送信し、
前記クライアント装置は、
前記サーバ装置から前記Webページの提供を受けると共に前記クライアント識別子を受信し、
前記通信端末は、前記通話案内装置に音声通信要求を行うと共に前記クライアント装置が受信した前記クライアント識別子を送信し、
前記通信端末と前記通話案内装置とは音声通信を確立し、
前記通話案内装置は、前記通信端末から受信した前記クライアント識別子を用いて、前記サーバ装置に対し、クライアント装置に新たなWebページの提供を指示する情報提供指示を行い、
前記サーバ装置は、
前記情報提供指示に応じ、前記クライアント識別子に関連付けられたクライアント装置の接続情報に基づいてクライアント装置を特定し、
特定した前記クライアント装置に新たなWebページを提供することを特徴とする情報提供方法。
【請求項3】
クライアント装置とサーバ装置と通話案内装置とがそれぞれ通信網を介して接続された情報提供システムであって、
前記クライアント装置は、
前記サーバ装置に、Webページの取得を要求する情報取得要求を行い、前記サーバ装置から前記Webページの提供を受けると共に自体を特定するクライアント識別子を受信する情報取得制御部と、
前記通話案内装置に音声通信要求を行い、前記通話案内装置と音声通信を確立すると共に、前記クライアント識別子を送信する音声通信要求部と、
を備え、
前記サーバ装置は、
前記情報取得要求に応じて、前記クライアント識別子を生成し、生成した前記クライアント識別子を前記クライアント装置の接続情報と関連付けてサーバメモリに保持させる識別子生成部と、
前記クライアント装置と前記通話案内装置との音声通信に基づいて前記通話案内装置が行った、音声通信を確立しているクライアント装置に新たなWebページの提供を指示する情報提供指示に応じ、前記クライアント識別子に関連付けられたクライアント装置の接続情報に基づいてクライアント装置を特定するクライアント特定部と、
前記情報取得要求に応じて、前記情報取得要求を送信した前記クライアント装置に前記Webページを提供すると共に前記クライアント識別子を送信し、前記情報提供指示に応じて、特定された前記クライアント装置に新たなWebページを提供する情報提供制御部と、
を備え、
前記通話案内装置は、
前記クライアント装置の音声通信要求に応じて、前記クライアント装置と音声通信を確立すると共に、前記クライアント識別子を受信する音声通信受付部と、
前記クライアント装置から受信した前記クライアント識別子を用いて、前記サーバ装置に対し、前記情報提供指示を行う情報提供指示部と、
を備えることを特徴とする情報提供システム。
【請求項4】
クライアント装置と、前記クライアント装置に通信網を介して接続されるサーバ装置と、前記サーバ装置に通信網を介して接続される通話案内装置と、前記通話案内装置と音声通信を確立可能な通信端末とを含む情報提供システムであって、
前記クライアント装置は、
前記サーバ装置に、Webページの取得を要求する情報取得要求を行い、前記サーバ装置から前記Webページの提供を受けると共に自体を特定するクライアント識別子を受信する情報取得制御部を備え、
前記サーバ装置は、
前記情報取得要求に応じて、前記クライアント識別子を生成し、生成した前記クライアント識別子を前記クライアント装置の接続情報と関連付けてサーバメモリに保持させる識別子生成部と、
前記クライアント装置と前記通話案内装置との音声通信に基づいて前記通話案内装置が行った、音声通信を確立クライアント装置に新たなWebページの提供を指示する情報提供指示に応じ、前記クライアント識別子に関連付けられたクライアント装置の接続情報に基づいてクライアント装置を特定するクライアント特定部と、
前記情報取得要求に応じて、前記情報取得要求を送信した前記クライアント装置に前記Webページを提供すると共に前記クライアント識別子を送信し、前記情報提供指示に応じて、特定された前記クライアント装置に新たなWebページを提供する情報提供制御部と、
を備え、
前記通信端末は、
前記通話案内装置に音声通信要求を行い、前記通話案内装置と音声通信を確立すると共に、前記クライアント装置が受信した前記クライアント識別子を送信する音声通信要求部と、
前記通話案内装置は、
前記通信端末の音声通信要求に応じて、前記通信端末と音声通信を確立すると共に、前記クライアント識別子を受信する音声通信受付部と、
前記クライアント装置から受信した前記クライアント識別子を用いて、前記サーバ装置に対し、前記情報提供指示を行う情報提供指示部と、
を備えることを特徴とする情報提供システム。
【請求項5】
クライアント装置および通話案内装置に通信網を介して接続されたサーバ装置であって、
前記クライアント装置から受信したWebページの取得を要求する情報取得要求に応じて、前記クライアント装置を特定するクライアント識別子を生成し、生成した前記クライアント識別子を前記クライアント装置の接続情報と関連付けてサーバメモリに保持させる識別子生成部と、
前記クライアント装置と前記通話案内装置との音声通信に基づいて前記通話案内装置が行った、音声通信を確立クライアント装置に新たなWebページの提供を指示する情報提供指示に応じ、前記クライアント識別子に関連付けられたクライアント装置の接続情報に基づいてクライアント装置を特定するクライアント特定部と、
前記情報取得要求に応じて、前記情報取得要求を送信した前記クライアント装置に前記Webページを提供すると共に前記クライアント識別子を送信し、前記情報提供指示に応じて、特定された前記クライアント装置に新たなWebページを提供する情報提供制御部と、
を備えることを特徴とするサーバ装置。
【請求項6】
前記識別子生成部は、前記クライアント識別子および前記通話案内装置と音声通信を行うための情報とを符号化したQRコードを生成し、
前記情報提供制御部は、前記情報取得要求に応じて、前記クライアント装置に前記Webページを提供すると共に、前記QRコードを送信することを特徴とする請求項5に記載のサーバ装置。
【請求項7】
クライアント装置または通信端末、および、サーバ装置に通信網を介して接続された通話案内装置であって、
前記クライアント装置または前記通信端末の音声通信要求に応じて、前記クライアント装置または前記通信端末と音声通信を確立すると共に、クライアント装置を特定するクライアント識別子を受信する音声通信受付部と、
前記クライアント装置または前記通信端末から受信した前記クライアント識別子を用いて、前記サーバ装置に対し、クライアント装置に新たなWebページの提供を指示する情報提供指示を行う情報提供指示部と、
を備えることを特徴とする通話案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−44544(P2012−44544A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185337(P2010−185337)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
2.FLASH
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】