説明

情報提供方法、情報提供装置および媒体

【課題】 媒体の流通および電子情報の流通において、適度な秩序を保ちながら、利用者の個人情報開示および情報機器の所持を不要とし、多様な利用者が、必要なコンテンツやそれに関連する情報を容易に入手することができる情報提供方法、情報提供装置、および媒体を提供する。
【解決手段】 文字、画像等のコンテンツが印刷された媒体に、個々のコンテンツに対応して記されているコンテンツ識別情報を、該コンテンツ識別情報に関連付けられた電子情報が保存されているサーバ装置に対して指定することにより、前記コンテンツに関連する電子情報を、前記サーバ装置から端末装置へ送信する情報提供方法において、前記電子情報を前記サーバ装置から前記端末装置へ送信する前に、前記媒体に設けられた媒体認証手段を用いて、媒体認証を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新聞、雑誌、書籍、CDなどの媒体における、情報提供方法、情報提供装置および媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、新聞、雑誌、書籍等の媒体に掲載される記事、文章、画像などのコンテンツの中から、必要な情報を必要な時に入手するには主に次の方法がある。一つめは、これらの媒体を保管しておき、その中から探す方法、二つめは、インターネットの情報配信サイト等から入手する方法、三つめは、特許文献1に示されるように、新聞の記事毎に付与されているバーコードを読取り、記事に関連する情報を入手する方法である。
【0003】
一つめの方法では、新聞、書籍等の媒体を保管するための十分なスペースを確保するのは通常難しく、比較的最近発行されたものだけ保管し古いものは廃棄される傾向が強い。このため過去の情報を簡単に入手するのが困難なことが多い。一方、媒体のコピーを保存し、媒体の現物は廃棄することも一般的に行われているが、その事自体、正当な媒体の流通という意味では必ずしも好ましい流通秩序とはいえないし、複写機の原理上、コピーは元の媒体より画質に劣るという問題もある。また、媒体に掲載されている記事等のコンテンツの中で特定のものだけ読みたい場合であっても、媒体全体を購入する必要があるため、利用者の活用する情報量にくらべて媒体の情報量が多すぎるという不均衡が生じやすい。
【0004】
二つめの方法では、インターネットで利用者が必要な情報を探すことになるが、その情報を掲載しているサイトが見つからない、検索条件の設定がわからない、新聞、雑誌等のコンテンツと内容が異なっている、関連するコンテンツが多数検索されどれが適切なものか判断できない等の不都合が多い。また、コンテンツを閲覧する際や、ショッピングサイトに入る際に、利用者のメールアドレス、住所、氏名、年齢、カード番号、パスワードなどの個人情報開示の必要なことがあり、この手続を面倒に感じたり、個人情報が漏洩し悪用される不安を感じるなどして、ショッピングを楽しめない利用者やコンテンツの購入を諦める利用者もいる。また、コンテンツを正規に購入する利用者がいる一方で、不正なコピー、ダウンロードや個人情報の悪用などが発生し、インターネットは秩序のある情報流通とは言い難い。そして、コンピュータや携帯電話などの情報機器を持っていない、あるいは情報機器の使い方を知らないなどの場合、コンテンツの入手がそもそも不可能であるといった情報格差の問題を生じる。
【0005】
三つめの方法では、媒体のコンテンツ毎に付与されているバーコードを読取りネットワーク経由で情報を入手する際に、媒体のコピー等の不正な媒体を用いた利用が増える危険性が高い。このことは、一種の無秩序な媒体の流通状態が、直接、ネットワーク上での電子情報の流通に反映してしまうという意味でもある。このような状態になると、正規な媒体を購入した利用者に不公平感が生じ、システム自体に対する信頼を得られない可能性が高い。ここで、媒体を購入した利用者について媒体購入者登録をしておき、システム利用時に、媒体購入者とシステム利用者とが同一人物であることを確認する方法も考えられるが、この場合は、上述のインターネット利用時の個人情報開示と同様の問題を生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−297644
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記の背景技術に鑑み、媒体の流通および電子情報の流通において、適度な秩序を保ちながら、利用者の個人情報開示および情報機器の所持を不要とし、多様な利用者が、必要なコンテンツやそれに関連する情報を容易に入手することができる情報提供方法、情報提供装置、および媒体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、文字、画像等のコンテンツが印刷された媒体に、個々のコンテンツに対応して記されているコンテンツ識別情報を、該コンテンツ識別情報に関連付けられた電子情報が保存されているサーバ装置に対して指定することにより、前記コンテンツに関連する電子情報を、前記サーバ装置から端末装置へ送信する情報提供方法において、前記電子情報を前記サーバ装置から前記端末装置へ送信する前に、前記媒体に設けられた媒体認証手段を用いて、媒体認証を行うことを特徴とする情報提供方法、
第2の発明は、第1の媒体と、該第1の媒体に対応する媒体であって、媒体認証手段が設けられ、文字、画像等のコンテンツが印刷され、個々のコンテンツに対応してコンテンツ識別情報が記された第2の媒体のうち、少なくとも第2の媒体に対して行われる第1の発明の情報提供方法であって、第2の媒体の個々のコンテンツは、それぞれに対応する第1の媒体の個々のコンテンツの部分であり、第2の媒体のコンテンツ識別情報に関連付けられた電子情報は、対応する第1の媒体のコンテンツを包含することを特徴とする情報提供方法、
第3の発明は、端末装置と通信ネットワークとサーバ装置とを備え、端末装置は、媒体に記されているコンテンツ識別情報を読取り、この読取ったコンテンツ識別情報をサーバ装置に対して指定する手段を有し、サーバ装置は、前記媒体に記されているコンテンツ識別情報に関連付けられた電子情報が保存されており、該電子情報を端末装置へ送信する手段を有する情報提供装置において、前記端末装置は、前記媒体に設けられた媒体認証手段から媒体認証用情報を読取り、この媒体認証用情報を前記サーバ装置へ送信する手段を有し、前記サーバ装置は、前記端末装置から送信された前記媒体認証用情報に応じて前記電子情報の送信可否を判定する手段を有することを特徴とする情報提供装置、および
第4の発明は、第1の媒体と、該第1の媒体に対応する、媒体認証手段が設けられた媒体であって、文字、画像等のコンテンツが印刷され、個々のコンテンツに対応してコンテンツ識別情報が記された第2の媒体とを含む媒体であって、第2の媒体の個々のコンテンツは、それぞれに対応する第1の媒体の個々のコンテンツの部分であり、第1の媒体と第2の媒体とは個別に発行されることを特徴とする媒体である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の情報提供方法、情報提供装置および媒体によれば、媒体の流通および電子情報の流通において適度な秩序を保ちながら、利用者の個人情報開示および情報機器の所持を不要とし、多様な利用者が、必要なコンテンツやそれに関連する情報を容易に入手することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る媒体を示す図である。
【図2】本発明に係る媒体を示す図である。
【図3】本発明に係る情報提供装置を示す図である。
【図4】サーバ装置に蓄積されている電子情報の一例を示す図である。
【図5】サーバ装置に蓄積されたデータベースに含まれるテーブルの一例を示す図である。
【図6】本発明に係る情報提供方法のステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の実施の形態例
まず、本発明に係る第1の実施の形態例として、媒体、情報提供装置およびそれらを用いた情報提供方法について、「A.媒体」、「B.情報提供装置」、「C.情報提供方法」の順に説明する。「B.情報提供装置」は、第3の発明に該当する。「C.情報提供方法」は、第1の発明に該当する。
【0012】
A.媒体
本例における媒体は、文字、画像等のコンテンツが印刷され、個々のコンテンツに対応してコンテンツ識別情報が記された媒体であって、該媒体に媒体認証手段が設けられている媒体である。ここで、本明細書中において、「媒体認証」とは、対象となる媒体の正当性を確認する行為を意味するものとする。
【0013】
以下、図1を参照しながら媒体について説明する。媒体10には、文字、画像等のコンテンツ11が印刷されている。コンテンツ11は、文字、画像等を印刷することにより視覚にて認識可能な状態、および/または点字を印刷することにより触覚にて認識可能な状態となっている。媒体10の形態は、特に制限されないが、冊子、枚葉、枚葉を折畳んだ形態、経本あるいは巻子本の形態、カード等の形態を用いることができる。
【0014】
媒体10には、コンテンツ11の個々のコンテンツに対応して、各コンテンツに固有の情報であって、各コンテンツの識別が可能なコンテンツ識別情報が記されている。コンテンツ識別情報は、英数字、記号を組合わせて符号化したコード(以下、コンテンツコードと称する)を示すものであることが好ましい。コンテンツ識別情報がコンテンツコードであれば、後述するサーバ装置において、データベースにコンテンツに関する電子情報を蓄積し管理するのに適している。また、コンテンツ識別情報の表記は、1次元バーコード、2次元バーコードの表記形式であることが好ましい。これらの表記形式であれば周知のバーコードリーダを用いて読取ることができるため、後述する情報提供装置においてコンテンツを容易に指定することができる。
【0015】
コンテンツ識別情報を記す場所は、対応する個々のコンテンツの近くであることが好ましい。または個々のコンテンツから離れた位置に記す場合は、コンテンツ識別情報とコンテンツとの対応関係がわかる情報をコンテンツ識別情報の近傍に記すことが好ましい。コンテンツ識別情報は、媒体上に直接印刷するか、またはあらかじめコンテンツ識別情報を印刷した転写箔を媒体上に貼付けることによって形成することができる。
【0016】
媒体10には、媒体認証手段13が設けられている。媒体認証手段は、認証の対象となる種類の媒体について、この媒体に固有の情報であって、他の種類の媒体との区別が可能な情報を示すことができる物体である。以下、認証の対象となる種類の媒体に固有の情報であって、媒体認証手段にて示され、その媒体と他の認証対象である媒体との区別が可能な情報を、「媒体認証用情報」と称するものとする。本発明に係る媒体認証は、媒体認証用情報を用いて対象となる媒体の正当性を確認するために行われるものであって、媒体の利用者の正当性を確認するものではないので、媒体認証用情報には利用者の個人情報は含まれていない。すなわち、媒体認証手段によって、利用者の個人情報が示されることはない。媒体認証用情報としては、特定の絵柄や文字、媒体認証手段の物体としての性質に基づく情報、またはこれらを組合わせた情報を使用することができる。
【0017】
媒体認証手段は、媒体の不正使用を防止するために、偽造防止性能を有するものが好ましい。偽造防止性能を与える方法としては、彩紋模様、マイクロ文字、パールインキあるいは紫外線により発光するインキ等により絵柄や文字を印刷する方法、文字や絵柄をホログラム像として目視判別する方法、磁気インキの印刷により磁気信号を機械検出する方法、延伸フィルム上に形成された隠しマークを判別具で視認する方法等を用いることができる。
【0018】
本発明に係る媒体認証用情報は、少なくとも、媒体認証手段の物体としての性質に基づく情報を含むことが好ましく、機器にてこの情報を読取ることを考慮し、特定の測定環境において、媒体認証手段を介在して測定される物理量(測定された物理量を基に変換された値も含む)を含むことがより好ましい。媒体認証用情報に、当該物理量が含まれていれば、測定機器にて測定することが可能となり、正確かつ簡単に媒体の正当性を確認することができる。
媒体認証用情報が、媒体認証手段の物体としての性質とは無関係に定められるものや情報管理上の便宜だけで定められるもののみから構成される場合は(例えば、人為的に定められる管理コード番号のような符号または図形)、その情報と、物体としての媒体とを結びつける要素が無い。このような場合、媒体認証用情報は、媒体認証手段の中にイメージとして形成されることになるので、媒体認証用情報の全体を直接読み取られ、不正に利用される危険性がある。これに対し、媒体認証用情報の中に前記物理量が含まれていれば、媒体認証用情報の全体を直接読み取られる危険性が低くなる。このため、媒体認証用情報には前記物理量が含まれている方がより好ましいのである。ここで、媒体認証用情報を、媒体認証手段の物体としての性質に基づく情報と、物体の性質とは無関係に定められる情報とを組合わせたものとすることにより、多数の種類の媒体に対してそれぞれに固有の情報を付与することができるので好ましい。
【0019】
前記物理量としては、光学的物理量、電気的物理量、磁気的物理量、および機械的物理量等が挙げられる。機械的物理量としては、膜厚、硬度、変形に関連する弾性率、塑性率等が挙げられる。ここで前記物理量としては、光学的物理量であることが好ましい。光学的物理量としては、波長、発光強度、透過強度、反射強度、回折強度、回折角度、およびこれらの測定値を用いて算出される値を使用することができる。また、上記の値に基づき算出される色度、輝度等の色彩に関する物理量も使用可能である。光学的物理量であれば、照射強度、反射強度、波長、照射角度、透過率、反射率、色度等多数の関連する物理量を測定機器によって非接触で正確に測定することが可能である。非接触であれば、複数回の測定により媒体認証手段が変形したり劣化したりするのを抑止することができる。光学的物理量の測定が可能な媒体認証手段としては、ホログラムまたは顔料を分散した膜が挙げられる。
【0020】
ホログラムとしては、透過型と反射型のいずれも使用できるが、反射型ホログラムが特に好ましい。反射型ホログラムとしては、具体的にはリップマンホログラムを用いることができる。リップマンホログラムであれば、反射光の波長の種類と半値幅の設定が可能であるとともに、回折角度および回折効率の制御が可能である。このため、ホログラムに関する上記物理量を制御することにより、複数の媒体のそれぞれに対して、固有の光反射特性を対応させることができる。これにより同一の測定原理に基づき、機器を用いて媒体認証用情報を読取ることができる。特に、2種類以上の波長に対して、特定の回折角度と特定の回折効率を示すホログラムとすることにより偽造防止効果をより高めることができる。このようなホログラムは、各波長に対応するホログラムを別々に作成して積層するか、一層のホログラム用感光性樹脂を多重露光することにより作成することができる。
【0021】
顔料を分散した膜は、ビヒクル中に顔料を分散したインキを媒体上に印刷することにより設けることができる。ここで複数の顔料を分散した膜とすることにより、混合する顔料種の組合わせと顔料粒径に応じて、異なる透過スペクトルを得ることができる。このため、測定する波長の種類を適宜選択し、当該波長における透過率を制御することにより、複数の媒体のそれぞれに対して固有の光透過特性を対応させることができる。これにより同一の測定原理に基づき、機器を用いて媒体認証用情報を読取ることができる。顔料を分散した膜により示される媒体認証用情報としては、所定の波長における透過率と、色度の両方を含んでいることが好ましい。これらの値を含むことにより、色は同じで所定の波長における透過率の異なる膜および色は異なり所定の波長における透過率は同じ膜を、正当な膜と区別できるようになるため、偽造防止性能がより向上するからである。顔料を分散した膜は、アルミニウム、クロム、ニッケル、銅、など光反射性の膜上に形成することにより、反射光の測定環境で光学的物理量を測定してもよい。
【0022】
また、媒体認証用情報を示す媒体認証手段は、単一の物体である必要はなく、媒体に直接印刷されたイメージと、物理量の測定によって媒体認証用情報の示される物体とを組合わせる、物理量測定原理の異なる複数の物体を組合わせる、物理量測定原理は同一であって異なる測定値を示す複数の物体を組合わせる等により、媒体認証手段を構成してもよい。このような媒体認証手段に相当するものとしては、それぞれ、媒体認証用情報の一部を媒体上に直接バーコードの形式で印刷し残りの情報をホログラムで示すようにしたもの、媒体認証用情報の一部を顔料を分散した膜で示し残りの情報をホログラムで示すようにしたもの、回折光波長が1種類のホログラムと回折光波長が複数種類のホログラムを組合わせて媒体認証用情報を示すようにしたものが挙げられる。媒体認証手段をこのような構成とすることによって、媒体認証用情報のうち、媒体の種類によらない共通の情報を多く含む部分を、物理量測定環境について制約の少ない物体で示し、媒体に固有の情報を多く含む部分を制約の多い物体で示すようにすることが可能である。上述の例では、それぞれ、媒体認証用情報の一部を媒体上に直接バーコードの形式で印刷したもの、媒体認証用情報の一部を顔料を分散した膜で示したもの、および回折光波長が1種類のホログラムが、物理量測定環境について制約の少ない物体に相当する。これにより、媒体に偽造防止性能を与え、かつ媒体認証手段の製造工程簡略化による媒体の低コスト化を実現することが可能となる。
【0023】
本例の媒体によれば、該媒体に媒体認証手段が設けれているので、コンテンツに関連する電子情報をサーバ装置から端末装置へ送信する前に媒体認証を行うことにより、正当な媒体のみに対してコンテンツに関連する電子情報が提供される。このため、正当な媒体のみが所有に値する価値を持つことになり、利用者は、媒体を廃棄したりコピーしたりせずに媒体の現物を保管し利用する傾向が強まる。したがって媒体の流通に適度な秩序が保たれる。また、媒体を長期間保管する傾向も強まるため、古い情報であっても入手できる機会が増える。さらに、媒体に印刷されているコンテンツ識別情報は、サーバ装置に保存されている電子情報と関連付けられている。このため、媒体の流通秩序が電子情報へと反映されやすくなるため、媒体の流通と電子情報の流通の両面で適度な秩序が保たれる。ここで本発明における媒体認証は、媒体の正当性を確認するためのものであって、利用者の正当性を確認することを目的とするものではないので、媒体認証用情報に利用者の個人情報は含まれていない。すなわち、媒体認証手段によって個人情報が開示されることはない。また利用者が情報機器を所持して情報を探す必要もない。これにより多様な利用者が安心して容易に情報を入手することができるようになる。
【0024】
B.情報提供装置
本例の情報提供装置は、第3の発明に該当する。すなわち本例の情報提供装置は、端末装置と通信ネットワークとサーバ装置とを備え、端末装置は、媒体に記されているコンテンツ識別情報を読取り、この読取ったコンテンツ識別情報をサーバ装置に対して指定する手段を有し、サーバ装置は、前記媒体に記されているコンテンツ識別情報に関連付けられた電子情報が保存されており、該電子情報を端末装置へ送信する手段を有する情報提供装置において、前記端末装置は、前記媒体に設けられた媒体認証手段から媒体認証用情報を読取り、この媒体認証用情報を前記サーバ装置へ送信する手段を有し、前記サーバ装置は、前記端末装置から送信された前記媒体認証用情報に応じて前記電子情報の送信可否を判定する手段を有することを特徴とする情報提供装置である。
【0025】
以下、図3を参照しながら、情報提供装置について説明する。本例の情報提供装置は、端末装置31、通信ネットワーク32、及びサーバ装置33から構成されている。
【0026】
端末装置31は、媒体10上に記されているコンテンツ識別情報12である1次元または2次元コードを読み取るためのコンテンツ識別情報読み取り装置34と、同じく媒体10上に設けられた媒体認証手段13から媒体認証用情報を読み取るための媒体認証用情報読み取り装置35を備えている。コンテンツ識別情報読み取り装置には、公用のコードリーダを用いることができる。
【0027】
媒体認証用情報読み取り装置としては、媒体認証手段の測定される物理量の種類に応じた測定環境を有する測定装置が適宜選択される。測定される物理量が光学的物理量であれば、媒体を測定に適した状態に保持するための媒体保持部と、媒体認証手段に光を照射するための光照射部と、媒体認証手段によって変調した光を受光する受光部と、物理量の種類に応じた測定を行う測定部とを具備する装置を用いることができる。
【0028】
ここで、媒体認証手段がホログラムまたは顔料を分散した膜である場合は、複数の波長について測定できるよう、回折格子、波長選択フィルタなどの分光手段を有することが好ましい。ホログラムの場合は、平行光、発散光または収束光の制御をするための光束制御手段か、媒体認証手段の受光面に対して照射角度および受光角度を変更できる機構の少なくともいずれかを、さらに有することが好ましい。これらの機構を有していれば、ホログラムの様々な光学特性設計値に対し、最適な測定環境の提供が可能となる。他方、顔料を分散した膜の場合は、色度座標、輝度、基礎刺激などの色彩に関する物理量の計測手段をさらに有することが好ましい。色彩の計測手段を有していれば、所定の波長における透過率と、色度の両方を含む媒体認証用情報を測定することができる。
【0029】
端末装置31は、コンテンツの電子情報を各種メディアとして出力するためのメディア出力装置36と、コンテンツの電子情報を表示、再生するための表示・再生装置37を備えている。メディア出力装置31としては、印刷・製本装置、ディスク書込み装置、メモリーカード書込み装置等を用いる。メディア出力装置36を備えることにより、文字や画像の印刷された紙メディア、小説、随筆、論説等の印刷された冊子、音楽CDや映像DVD等のディスク、メモリーカード等を、その場で利用者に提供することができる。ここで、印刷・製本装置においては、コンテンツの電子情報を直接、紙メディアや冊子として出力するため、媒体を複写機でコピーする場合に問題となる画質の劣化は生じない。表示・再生装置37としては、ディスプレイ、スピーカ等を用いる。表示・再生装置37を備えることにより、画像または音声を通じて、利用者はその場でコンテンツの内容を確認することができる。さらに端末装置31は、コンテンツ識別情報および媒体認証用情報の送信、コンテンツの電子情報の受信と表示、再生および各種媒体への出力を制御するためのコンピュータ38および通信ネットワーク32と接続するためのインターフェース(図示せず)を備えている。
【0030】
通信ネットワーク32としては、インターネット、LAN等がある。
【0031】
サーバ装置33は、蓄積装置39と、コンピュータ38と、通信ネットワークと接続し電子情報を送受信するためのインターフェース(図示せず)とを備えている。蓄積装置39には、コンテンツに関連する電子情報が保存され、さらにコンテンツ識別情報と媒体認証用情報とコンテンツに関連する電子情報とが関連付けられたデータベースが蓄積されている。
【0032】
このデータベースには、端末装置から送信されたコンテンツ識別情報と媒体認証用情報とをレコード毎に含むコンテンツ指定履歴が保存されるコンテンツ指定テーブル、およびコンテンツ識別情報がレコードに固有の識別符号とされ、コンテンツ識別情報に対応して、媒体認証用情報が関連付けられ、コンテンツに関連する電子情報へのアクセス情報(ドライブ名、フォルダ名、ファイル名、およびそれらへのリンク等)が保存されたコンテンツテーブルが少なくとも含まれている。
【0033】
該データベースにおいて、コンテンツ指定テーブルとコンテンツテーブルとは、コンテンツ識別情報フィールドで結合されており、コンテンツ指定テーブルのレコード毎に、対応するコンテンツテーブルのレコードとの比較が可能となっている。さらに、当該データベースにおいては、コンテンツ指定テーブルに入力された媒体認証用情報と、コンテンツテーブルにおいてコンテンツ識別情報と関連付けられている媒体認証用情報とを比較し、コンテンツ指定テーブルにて指定されたコンテンツレコード毎に、媒体の正当性を判定するとともにコンテンツに関連する電子情報の端末装置への送信可否を判定するための論理式が設定されている。
【0034】
データベースを前記の構成としたことにより、指定されたコンテンツを含む媒体の正当性を、サーバ装置にて判定することが可能となる。このため、後述する情報提供方法において電子情報を端末装置へ送信する前に、媒体認証を行うことができるのである。
【0035】
本例の情報提供装置は、公共の利用が可能な地点に設置されることが好ましい。公共の利用が可能な地点に設置されていれば、さまざまな生活パターンや行動パターンの利用者に対して、情報提供を容易に行うことができる。好ましい設置地点としては、鉄道やバスの駅、空港、ショッピングセンター、図書館、書店、病院、コンビニエンスストア、レコード店、道路のサービスエリア、公園、公民館、宿泊施設等が挙げられる。
【0036】
本例の情報提供装置によれば、媒体に設けられた媒体認証手段から媒体認証用情報を読取り、その読取られた媒体認証用情報を用いて媒体の正当性を判定し、正当な媒体のみに対して指定されたコンテンツに関連する電子情報を提供することができるので、電子情報の流通に適度な秩序が保たれる。また、利用者は、コンピュータや携帯電話等の情報機器を持つ必要がなく、インターネットに接続してコンテンツを探す手間がかからず、個人情報開示も不要である。このため、多様な利用者が、不安を感じることなく簡単に情報を入手することができる。これに伴い、情報機器の利用で問題となっている情報格差を縮小することにつながる。
【0037】
C.情報提供方法
本例における媒体と情報提供装置を用いた情報提供方法について説明する。本例の情報提供方法は第1の発明に該当する。すなわち、本例の情報提供方法は、文字、画像等のコンテンツが印刷された媒体に、個々のコンテンツに対応して記されているコンテンツ識別情報を、該コンテンツ識別情報に関連付けられた電子情報が保存されているサーバ装置に対して指定することにより、前記コンテンツに関連する電子情報を、前記サーバ装置から端末装置へ送信する情報提供方法において、前記電子情報を前記サーバ装置から前記端末装置へ送信する前に、前記媒体に設けられた媒体認証手段を用いて、媒体認証を行うことを特徴とする情報提供方法である。
【0038】
本情報提供方法のステップ(SP)を説明する。
まず、SP1では、媒体に印刷されたコンテンツから、必要なコンテンツが選択される。
次に、SP2では、この選択されたコンテンツについて、コンテンツ識別情報および媒体認証用情報をサーバ装置へ送信する。コンテンツ識別情報は、コンテンツ識別情報読み取り装置を用いて読取ることができる。媒体認証用情報は、媒体認証手段を介在して媒体認証用情報読取装置を用いて読取ることができる。
次にSP3では、コンテンツ識別情報および媒体認証用情報は、サーバ装置に蓄積されているデータベース内のコンテンツ指定テーブルに入力される。これにより電子情報を送信する対象となるコンテンツが指定される。
次に、SP4では、データベース内のコンテンツテーブルから、前記コンテンツ指定テーブルに入力されたコンテンツ識別情報に対応するコンテンツレコードを抽出する。ここでコンテンツテーブルには、レコード毎にあらかじめ媒体認証用情報が保存されている。
次に、SP5では、媒体認証を行う。この媒体認証のステップにおいては、コンテンツ指定テーブルの媒体認証用情報とコンテンツテーブルの媒体認証用情報とを比較する。この時、両テーブルの媒体認証用情報が一致していれば正当な媒体であると判定し、コンテンツに関連する電子情報の端末装置への送信を可と判定する。一致していなければ正当な媒体ではないと判定し、該電子情報の端末装置への送信を否と判定する。
次に、SP6では、前記電子情報の端末装置への送信を可と判定したレコードについて、前記電子情報へのアクセス情報をもとに、選択されたコンテンツ識別情報に関連付けられた電子情報を端末装置へ送信する。この電子情報へのアクセス情報は、コンテンツテーブルにあらかじめ保存されている。
次に、SP7では、SP6で送信された電子情報を、端末装置のメディア出力装置により、紙メディア、冊子、CDやDVD等のディスクあるいはメモリーカード等の各種メディアの形態に出力する。
【0039】
続いて、本例における情報提供方法について、さらに具体例を挙げて説明する。
図5は、サーバ装置に蓄積された前記データベースに含まれるテーブルの一例である。媒体認証用情報テーブルにおいては、各々の媒体認証用情報に対して媒体認証用コードが関連付けられている。媒体テーブルにおいては、媒体識別情報として媒体コードが用いられ、各々の媒体コードに対して媒体認証用コードが関連付けられている。媒体識別情報は、媒体の種類ごとに設定される固有の情報であって、他の種類の媒体との区別が可能な情報である。コンテンツテーブルにおいては、コンテンツ識別情報としてコンテンツコードが用いられ、各々のコンテンツコードに対して、電子ファイルへのアクセス情報と媒体コードとが関連付けられている。コンテンツ指定テーブルにおいては、識別符号として、コンテンツの指定された順に指定Noが割り当てられ、各々の指定Noに対して、コンテンツコードと媒体認証用情報とが入力される。
【0040】
また、媒体テーブルとコンテンツテーブルとは媒体コードフィールドで結合されている。これにより、各々のコンテンツコードに対して、媒体コード、媒体認証用コード、および電子ファイルへのアクセス情報が関連付けられることになる。また、コンテンツ指定テーブルと媒体認証用情報テーブルとは、媒体認証用情報フィールドで結合されている。これにより、各々の指定Noに対して、コンテンツコード、媒体認証用情報、および媒体認証用コードが関連付けられることになる。
【0041】
上述のデータベース構成においては、媒体認証用情報と媒体認証用コードとが関連付けられることにより媒体認証用コードを比較して媒体認証を行う構成となっているので、異なる複数の媒体認証用情報に対して同一の媒体認証用コードを関連付けることが可能となる。このため、複数の媒体のうちいずれか一つの媒体の媒体認証用情報を読み取れば、その他の媒体のコンテンツを指定することも可能となり、提供されるサービスの自由度が広がるとともに、利用者の操作上の手間を軽減することが可能となる。
【0042】
次に情報提供方法のステップを、図6を参照しながら説明する。
まず、SP1では、媒体に印刷されたコンテンツから、必要なコンテンツが選択される。
次に、SP2では、この選択されたコンテンツについて、コンテンツコードおよび媒体認証用情報が読取られる。
次に、SP3では、この読取られた情報はサーバ装置へ送信され、データベース内のコンテンツ指定テーブルに入力される。
次に、SP4では、コンテンツ指定テーブルに入力されたコンテンツコードに対応するレコードを、コンテンツテーブルから抽出する。
続いて、SP5−1、SP5−2において媒体認証を行う。
SP5−1では、コンテンツ指定テーブルに入力された媒体認証用情報に関連付けられた媒体認証用コードの有無を確認する。コードが有る場合はSP5−2へ進む。コードがない場合は正当な媒体ではないと判定し、SP2へ戻る。
PS5−2では、SP5−1でコード有と確認された媒体認証用コードと、SP4で抽出されたレコードの媒体認証用コードとを比較する。コードが一致していれば、正当な媒体であると判定し、コンテンツに関連する電子ファイルの端末装置への送信を可と判定する。一致していなければ、正当な媒体ではないと判定し、SP2へ戻る。
SP5−1とSP5−2における、媒体認証用コードの有無の判断、一致または不一致の判断、および前記判断に応じた電子ファイルの送信可否の判定は、データベース内に設定された論理式によりなされる。
次に、SP6では、前記電子ファイルの端末装置への送信を可と判定したレコードについて、前記電子ファイルへのアクセス情報をもとに、選択されたコンテンツコードに関連付けられた電子ファイルを端末装置へ送信する。
次に、SP7では、SP6で送信された電子情報を、端末装置のメディア出力装置により、紙メディア、冊子、CDやDVD等のディスクあるいはメモリーカード等の各種メディアの形態に出力する。
【0043】
上述のSP5−1およびSP5−2では、媒体認証用コードの有無と、有の場合について一致と不一致を確認する。すなわち、媒体認証用コードの無し、一致、不一致の3通りの確認を行っている。無しの場合は、利用者が媒体認証用情報の読取りを行っていない可能性がある。不一致の場合は、利用者が複数の媒体を持っており、媒体認証手段を読取った媒体とコンテンツ識別情報を読取った媒体とが異なっている可能性がある。一致の場合は、次のステップへ進むことができる。このため上述の3通りの確認を行うことによって、利用者に対し、それぞれの場合に応じた操作上の注意や指示を、表示・再生装置により画面表示や音声によって促すことができる。すなわち、本例の情報提供方法においては、利用者が、複数の異なる媒体からコンテンツを指定することが、通常の使用方法として想定されるので、この場合に起こり得る誤操作に対応した注意を促すことを可能としている。
【0044】
本例の情報提供方法において、媒体に印刷されているコンテンツと、コンテンツに関連する電子情報については、情報量の大小関係は特に制限されない。すなわち、両者の情報量は、前者は後者より多い、前者は後者と同じ、前者は後者より少ないのいずれであってもよく、利用者に提供されるサービスの形態に応じて設定される。また、利用者は、媒体購入時に個人情報を開示する必要はない。
【0045】
本例の情報提供方法によれば、コンテンツに関連する電子情報をサーバ装置から端末装置へ送信する前に媒体認証を行うので、正当な媒体に対してのみコンテンツに関連する電子情報が提供される。このため、正当な媒体のみが所有に値する価値を持つことになり、媒体を廃棄したりコピーしたりせずに媒体の現物を保管し利用する傾向が強まる。また、媒体に印刷されているコンテンツ識別情報とサーバ装置に保存されている電子情報とが関連付けられている。このため、媒体の流通秩序が電子情報へと反映されやすくなり、これにより、媒体の流通と電子情報の流通の両面で適度な秩序が保たれる。ここで本発明における媒体認証は、媒体の正当性を確認するためのものであって、利用者の正当性を確認することを目的としていない。このため、媒体認証用情報には利用者の個人情報は含まれていないので、媒体認証手段によって個人情報が開示されることはない。また、媒体認証に当たり、媒体認証手段を用いた媒体認証とは別に、利用者が個人情報を開示する必要はない。すなわち、利用者は媒体認証に当たって個人情報を開示する必要がない。さらに、利用者は、コンピュータや携帯電話等の情報機器を所持する必要もない。これにより多様な利用者が容易に情報を入手することができる。したがって情報機器の利用で問題となっている情報格差を縮小することにつながる。
【0046】
第2の実施の形態例
次に、本発明に係る第2の実施の形態例として、媒体、情報提供装置およびそれらを用いた情報提供方法について、「A.媒体」、「B.情報提供装置」、「C.情報提供方法」の順に説明する。「A.媒体」は、第4の発明に該当する。「C.情報提供方法」は、第2の発明に該当する。
【0047】
A.媒体
本例における媒体は、第4の発明に該当する。すなわち本例の媒体は、第1の媒体と、該第1の媒体に対応する、媒体認証手段が設けられた媒体であって、文字、画像等のコンテンツが印刷され、個々のコンテンツに対応してコンテンツ識別情報が記された第2の媒体とを含む媒体であって、第2の媒体の個々のコンテンツは、それぞれに対応する第1の媒体の個々のコンテンツの部分であり、第1の媒体と第2の媒体とは個別に発行されることを特徴とする媒体、である。
【0048】
第2の媒体は、第1の実施の形態例における媒体と同様であるため、ここでは、第1の媒体と第2の媒体との対応関係について、図2を参照しながら説明する。第1の媒体21には、コンテンツ1、コンテンツ2、コンテンツ3(コンテンツ2の裏面に印刷されている)、コンテンツ4、---が印刷されている。第2の媒体22には、コンテンツ1´、コンテンツ2´、コンテンツ3´、コンテンツ4´---が印刷されており、それぞれコンテンツ1、コンテンツ2、コンテンツ3、コンテンツ4、---の部分となっている。ここで、コンテンツa’がコンテンツaの部分であるとは、コンテンツa´はコンテンツaに関連する内容であり、かつコンテンツa´はコンテンツaよりも情報量が少ないことを意味する。
【0049】
第1の媒体については、媒体の種類、コンテンツの種類、コンテンツの表記は特に限定されない。第1の媒体としては、新聞、雑誌、書籍、音楽CD、映像DVD等が挙げられる。
【0050】
一方、第2の媒体については、第2の媒体の個々のコンテンツは、それぞれに対応する第1の媒体の個々のコンテンツと同一のコンテンツに関連する内容となっており、かつ、対応する第1の媒体のコンテンツより情報量が少ない。
【0051】
第1の媒体に対する第2の媒体の具体例としては、新聞、雑誌に対する各記事の見出し、要約、導入文、代表的な画像等が印刷された媒体、小説集に対する各小説の題名、作者名、あらすじ、宣伝文、解説文、挿絵等が印刷された媒体、音楽CDに対する各楽曲の曲名、演奏者名、宣伝文、解説文、楽譜、演奏者の写真等が印刷された媒体、映像DVDに対する各映像の題名、作者名、あらすじ、宣伝文、解説文、一場面の画像等が印刷された媒体等が挙げられる。
【0052】
また、第1の媒体と第2の媒体とは個別に発行されるものである。このため、利用者は購入する媒体を選択することができる。
【0053】
本例の媒体によれば、媒体を選択する自由度が増す。すなわち第1の媒体および第2の媒体は個別に発行されるので、利用者は、第1の媒体に含まれる特定のコンテンツだけ入手したい場合に、まず第2の媒体を購入し、それを用いて第1の媒体と同等の所望のコンテンツのみを入手することができる。全てのコンテンツを入手したければ第1の媒体を購入すればよい。また、第1の媒体と第2の媒体の価格を個別に設定できるので、第2の媒体の価格を第1の媒体より安価にするなどにより、サービスの適正化を図ることができる。さらに、第2の媒体では、第1の媒体と比較して物量の低減が可能なため、同じ保管スペースでより多数の媒体を保管できるようになり、所望のコンテンツを含む媒体が廃棄されているためにそのコンテンツを入手できないという状況が改善されるとともに、利用者が活用する情報量にくらべて利用者が所有する媒体の情報量が多すぎるという不均衡も改善される。これに伴い、媒体の流通秩序がさらに高まることになる。
【0054】
B.情報提供装置
本例における情報提供装置は、前記第1の媒体および第2の媒体のうち、少なくとも第2の媒体に対して情報を提供するための情報提供装置であって、端末装置と通信ネットワークとサーバ装置とを備え、端末装置は、第2の媒体に記されているコンテンツ識別情報を読取り、この読取ったコンテンツ識別情報をサーバ装置に対して指定する手段を有し、サーバ装置は、前記第2の媒体に記されているコンテンツ識別情報に関連付けられた電子情報が保存されており、該電子情報を端末装置へ送信する手段を有する情報提供装置において、前記サーバ装置に保存されている、第2の媒体のコンテンツ識別情報に関連付けられた電子情報は、対応する第1の媒体のコンテンツを包含するものであり、前記端末装置は、前記第2の媒体に設けられた媒体認証手段から媒体認証用情報を読取り、この媒体認証用情報を前記サーバ装置へ送信する手段を有し、前記サーバ装置は、前記端末装置から送信された前記媒体認証用情報を用いて電子情報送信可否を判定する手段を有することを特徴とする情報提供装置、である。
【0055】
本情報提供装置の基本的な構成は、第1の実施の形態例と同様なので、ここでは、第2の媒体のコンテンツ識別情報に関連付けられた電子情報について説明する。
【0056】
図4は、サーバ装置に蓄積されている、第2の媒体のコンテンツ識別情報に関連付けられた電子情報の一例を示す図である。図4において、サーバ装置33には、電子ファイル42(電子ファイル1、電子ファイル2、電子ファイル3、電子ファイル4---)が蓄積されており、それぞれ第1の媒体のコンテンツ1、コンテンツ2、コンテンツ3、コンテンツ4---と同等の内容となっている。そしてサーバ装置に蓄積されているデータベース内のコンテンツテーブルにおいて、第2の媒体のコンテンツレコードと前記電子ファイルとが関連付けられている。すなわち、コンテンツ1´、コンテンツ2´、コンテンツ3´、コンテンツ4´---の各レコードに対して、電子ファイル1、電子ファイル2、電子ファイル3、電子ファイル4---がそれぞれ関連付けられる。
【0057】
本例の情報提供装置によれば、第1の実施の形態例の情報提供装置による効果に加え、次の効果を生じる。第2の媒体のコンテンツに関連する電子情報は、少なくとも第1の媒体のコンテンツを包含しており、サーバ装置に蓄積されている。これにより情報量の少ない第2の媒体に対して、情報量の多い第1の媒体と同等のコンテンツを提供できる。すなわち利用者は、第1の媒体に含まれる特定のコンテンツだけ入手したい場合に、まず第2の媒体を購入し、それを用いて第1の媒体と同等の所望のコンテンツだけを入手することができる。このため、利用者が活用する情報量にくらべて利用者が所有する媒体の情報量が多すぎるという不均衡が低減し、これに伴い、媒体の流通と電子情報の流通における両面で適度な秩序が保たれる。
【0058】
C.情報提供方法
本例における媒体と情報提供装置を用いた情報提供方法について説明する。本例における情報提供方法は、第2の発明に該当する。すなわち本例の情報提供方法は、第1の媒体と、該第1の媒体に対応する媒体であって、媒体認証手段が設けられ、文字、画像等のコンテンツが印刷され、個々のコンテンツに対応してコンテンツ識別情報が記された第2の媒体のうち、少なくとも第2の媒体に対して行われる第1の発明の情報提供方法であって、第2の媒体の個々のコンテンツは、それぞれに対応する第1の媒体の個々のコンテンツの部分であり、第2の媒体のコンテンツ識別情報に関連付けられた電子情報は、対応する第1の媒体のコンテンツを包含することを特徴とする情報提供方法、である。
【0059】
本情報提供方法は、第2の媒体に対して行われる点、および第2の媒体のコンテンツ識別情報に関連付けられた電子情報が、対応する第1の媒体のコンテンツを包含する点以外は、第1の実施の形態例の情報提供方法と同様である。
【0060】
以下に本情報提供方法のステップを説明する。
まず、SP1では、第2の媒体に印刷されたコンテンツから、必要なコンテンツが選択される。
次に、SP2では、この選択されたコンテンツについて、コンテンツ識別情報および媒体認証用情報をサーバ装置へ送信する。コンテンツ識別情報は、コンテンツ識別情報読み取り装置を用いて読取ることができる。媒体認証用情報は、媒体認証手段を介在して媒体認証用情報読取装置を用いて読取ることができる。
次にSP3では、コンテンツ識別情報および媒体認証用情報は、サーバ装置に蓄積されているデータベース内のコンテンツ指定テーブルに入力される。これにより電子情報を送信する対象となるコンテンツが指定される。
また上記の情報提供装置の項で説明したとおり、サーバ装置には、第1の媒体のコンテンツと同等の内容の電子情報が包含され、該電子情報は、データベース内のコンテンツテーブルにおいて、第2の媒体のコンテンツ識別情報と関連付けられている。
次に、SP4では、データベース内のコンテンツテーブルから、前記コンテンツ指定テーブルに入力されたコンテンツ識別情報に対応するコンテンツレコードを抽出する。ここでコンテンツテーブルには、レコード毎にあらかじめ媒体認証用情報または媒体認証用コードが保存されている。
次に、SP5では、第2の媒体に対して媒体認証を行う。この媒体認証のステップにおいては、コンテンツ指定テーブルの媒体認証用情報または媒体認証用コードと、コンテンツテーブルの媒体認証用情報または媒体認証用コードとを比較する。この時、両テーブルの媒体認証用情報または媒体認証用コードが一致していれば正当な媒体であると判定し、第2の媒体のコンテンツ識別情報に関連付けられた電子情報の端末装置への送信を可と判定する。一致していなければ正当な媒体ではないと判定し、該電子情報の端末装置への送信を否と判定する。
次に、SP6では、前記電子情報の端末装置への送信を可と判定したレコードについて、前記電子情報へのアクセス情報をもとに、第2の媒体の選択されたコンテンツ識別情報に関連付けられた電子情報を端末装置へ送信する。前記電子情報へのアクセス情報は、コンテンツテーブルにあらかじめ保存されている。
次に、SP7では、SP6で送信された電子情報を、端末装置のメディア出力装置により、紙メディア、冊子、CDやDVD等のディスクあるいはメモリーカード等の各種メディアの形態に出力する。
【0061】
本例の情報提供方法によれば、第1の実施の形態例の情報提供方法の効果に加え、情報量の多い第1の媒体を購入せずとも、情報量の少ない第2の媒体により、第1の媒体と同等のコンテンツを入手することができる。このため利用者は、第1の媒体に含まれる特定のコンテンツだけ入手したい場合に、まず第2の媒体を購入し、それを用いて第1の媒体と同等の所望のコンテンツだけを入手することができる。このため、利用者が活用する情報量にくらべて利用者が所有する媒体の情報量が多すぎるという不均衡が低減し、これに伴い、媒体の流通と電子情報の流通における両面で適度な秩序が保たれる。
【実施例】
【0062】
(実施例1)
次に、第1の実施の形態例を実施例1にて具体的に示す。実施例1における媒体を、図1を用いて説明する。媒体10は、ある特定の作家の小説を複数編集めた冊子である。コンテンツ11として、個々の小説の作者名、題名、執筆年、紹介文が印刷されている。これらの小説には、発行中のもの、廃刊になっているものおよび未発表のものが含まれており、発行経歴のあるものの中でも、異なる書籍に掲載されているものや、雑誌の連載のみで発行されたものなどが含まれている。またコンテンツ識別情報12として、個々の小説に固有のコードを示すバーコードが印刷されている。上記の印刷されている各コンテンツに割振られた紙面スペースは大きくなく、コンテンツの一覧性に優れた薄い冊子となっている。サーバ装置には、個々の小説について全文の電子データが蓄積されている。すなわち、媒体に印刷されている個々のコンテンツの情報量よりも、これらのコンテンツに関連する電子情報の情報量の方が多い。
【0063】
これと同じ種類の冊子であればどの冊子にも、媒体認証手段13として、同一の光学特性を示すリップマンホログラムの転写箔が貼付けられている。このリップマンホログラムは、一例として、ホログラム面に対して90度の角度から入射した所定の波長の光を、鏡面反射とは異なる所定の反射角および所定の反射率をもって反射する光学特性を有している。ここで光学特性を、反射角50度、反射率65%とした場合、媒体認証用情報を、50および65という数値を含む媒体認証用情報として設定する。この媒体認証用情報は、サーバ装置のデータベースにおいて媒体認証用コードと関連付けられている。また、別の種類の冊子には、異なる光学特性を示すホログラムが設けられ、上記の数値とは異なる数値を含む媒体認証用情報が設定されている。このように媒体認証用情報を設定することで、媒体認証手段を用いて当該冊子の正当性を確認することができるようになる。
【0064】
利用者は、書店で当該冊子を購入した後、第1の実施の形態例の情報提供装置の端末装置の所まで行き、所望の小説2編のバーコードをバーコード読取り装置で読取り、媒体認証用情報読取り装置を用いて、冊子に設けられているホログラムの示す光学特性を含む媒体認証用情報を読取る。利用者は、冊子を購入する際、個人情報を開示する必要はない。次に、上記の読取った2件分の情報をサーバ装置へ送信する。送信された情報は、サーバ装置に蓄積されているデータベース内のコンテンツ指定テーブルに入力され、あらかじめ所望の2件に関連付けられた媒体認証用コードと、送信された媒体認証用情報に関連付けられる媒体認証用コードとが、比較される。この媒体認証を行う際、媒体認証用情報に利用者の個人情報は含まれておらず、利用者の個人情報を別に入力する必要も無い。ここで、コードが一致していれば、所望の2件について、サーバ装置に蓄積されている小説全文の電子データが、端末装置へ送信される。続いて利用者は、冊子メディアを出力する指示を行い、2件分の代金を支払った後、メディア出力装置による冊子メディアの出力を開始する。最後に、利用者は、所望の小説2編の全文が印刷され製本された冊子を受取る。
【0065】
(実施例2)
実施例2は、第2の実施の形態例の具体例である。実施例2において、第1の媒体は、音楽CDである。第2の媒体は、この音楽CDに収録されているものと同一の楽曲について、関連する情報が印刷されている1枚の紙媒体である。この媒体にはコンテンツ11として、個々の楽曲の曲名、演奏者名、作曲者名、発表年、紹介文、CDタイトルが印刷されている。コンテンツ識別情報、媒体認証手段については、実施例1と同様のやり方で設定できるので説明は省略する。媒体の表面には音楽CDのジャケットと同じ絵柄が印刷され、対応する音楽CDが一目でわかるようになっている。
【0066】
音楽CDと当該媒体とは個別に発行されており、媒体の価格は音楽CDよりも安価に設定されている。利用者は、3枚の音楽CDにそれぞれ収録されている計3つの楽曲を聴きたいと思っている。そこで利用者は、3枚の音楽CDに対応する媒体を3枚購入する。購入の際、個人情報を開示する必要はない。次に利用者は、購入した媒体を用いて情報提供装置の端末装置で所望の楽曲をサーバ装置に対して指定する。サーバ装置では媒体認証が行われ、正当な媒体であると判定された場合、電子情報送信可と判定する。媒体認証の際、媒体認証用情報に個人情報は含まれいない。また媒体認証とは別に個人情報を開示する必要もない。サーバ装置には、個々の楽曲について音楽CDと同一の楽曲情報が保存されており、所望の楽曲につき音楽CDと同一の楽曲情報が端末装置へ送信される。続いて利用者は、CDメディアを出力する指示を行い、3曲分の代金を支払った後、CDメディアの出力を開始する。最後に、利用者は、音楽CDと同じ所望の3曲が収録された1枚のCDを受取る。
【0067】
以上の実施例から理解されるように、本発明の情報提供方法、情報提供装置および媒体によれば、該媒体に媒体認証手段が設けられているので、コンテンツに関連する電子情報をサーバ装置から端末装置へ送信する前に媒体認証を行うことにより、正当な媒体のみに対してコンテンツに関連する電子情報が提供される。このため、正当な媒体のみが所有に値する価値を持つことになり、利用者は、媒体の廃棄やコピーをせずに媒体の現物を保管し利用する傾向が強まる。したがって媒体の流通に適度な秩序が保たれる。また、媒体に印刷されているコンテンツ識別情報は、サーバ装置に保存されている電子情報と関連付けられている。このため、媒体の流通秩序が電子情報へと反映されやすくなるため、媒体の流通と電子情報の流通の両面で適度な秩序が保たれる。ここで本発明における媒体認証は、媒体の正当性を確認するためのものであって、利用者の正当性を確認することを目的とするものではないので、媒体認証用情報に利用者の個人情報は含まれていない。すなわち、媒体認証手段によって個人情報が開示されることはない。また利用者が情報機器を所持して情報を探す必要もない。これにより多様な利用者が安心して容易に情報を入手することができるようになる。したがって情報機器の利用で問題となっている情報格差を縮小することにつながる。
【0068】
また、利用者の活用する情報量にくらべて利用者の所有する媒体の情報量が多すぎるという不均衡が低減する。このような不均衡は、多くの場合、書籍、新聞等の文字媒体では、活用する情報に比較し所有する媒体の頁数が多すぎる状態であり、音楽CDでは、活用する楽曲数に比較し所有する音楽CDの曲数や枚数が多すぎる状態である。上述の実施例においては、最初に購入する媒体の情報量は、コンテンツの特定が可能な程度に抑えられており、所望のコンテンツについては、それに見合った頁数や枚数のメディアで提供することが可能であるため、上述の不均衡が解消されるのである。また媒体をコピーして媒体の現物を廃棄したり、保管スペースが不足して必要な媒体を廃棄するといった事態も低減する。これに伴い、媒体の流通に適度な秩序が保たれ、その媒体を用いて電子情報を提供することで、媒体の流通秩序が電子情報の流通秩序に反映されやすくなり、その結果、媒体の流通と電子情報の流通の両面で適度な秩序が保たれることになる。
【符号の説明】
【0069】
10 媒体
11 コンテンツ
12 コンテンツ識別情報
13 媒体認証手段
21 第1の媒体
22 第2の媒体
23 コンテンツ識別情報
24 媒体認証手段
31 端末装置
32 通信ネットワーク
33 サーバ装置
34 コンテンツ識別情報読取装置
35 媒体認証用情報読取装置
36 メディア出力装置
37 表示・再生装置
38 コンピュータ
39 蓄積装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字、画像等のコンテンツが印刷された媒体に、個々のコンテンツに対応して記されているコンテンツ識別情報を、該コンテンツ識別情報に関連付けられた電子情報が保存されているサーバ装置に対して指定することにより、前記コンテンツに関連する電子情報を、前記サーバ装置から端末装置へ送信する情報提供方法において、前記電子情報を前記サーバ装置から前記端末装置へ送信する前に、前記媒体に設けられた媒体認証手段を用いて、媒体認証を行うことを特徴とする情報提供方法。
【請求項2】
第1の媒体と、該第1の媒体に対応する媒体であって、媒体認証手段が設けられ、文字、画像等のコンテンツが印刷され、個々のコンテンツに対応してコンテンツ識別情報が記された第2の媒体のうち、少なくとも第2の媒体に対して行われる請求項1に記載の情報提供方法であって、第2の媒体の個々のコンテンツは、それぞれに対応する第1の媒体の個々のコンテンツの部分であり、第2の媒体のコンテンツ識別情報に関連付けられた電子情報は、対応する第1の媒体のコンテンツを包含することを特徴とする情報提供方法。
【請求項3】
端末装置と通信ネットワークとサーバ装置とを備え、端末装置は、媒体に記されているコンテンツ識別情報を読取り、この読取ったコンテンツ識別情報をサーバ装置に対して指定する手段を有し、サーバ装置は、前記媒体に記されているコンテンツ識別情報に関連付けられた電子情報が保存されており、該電子情報を端末装置へ送信する手段を有する情報提供装置において、前記端末装置は、前記媒体に設けられた媒体認証手段から媒体認証用情報を読取り、この媒体認証用情報を前記サーバ装置へ送信する手段を有し、前記サーバ装置は、前記端末装置から送信された前記媒体認証用情報に応じて前記電子情報の送信可否を判定する手段を有することを特徴とする情報提供装置。
【請求項4】
第1の媒体と、該第1の媒体に対応する、媒体認証手段が設けられた媒体であって、文字、画像等のコンテンツが印刷され、個々のコンテンツに対応してコンテンツ識別情報が記された第2の媒体とを含む媒体であって、第2の媒体の個々のコンテンツは、それぞれに対応する第1の媒体の個々のコンテンツの部分であり、第1の媒体と第2の媒体とは個別に発行されることを特徴とする媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−232797(P2011−232797A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99724(P2010−99724)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】