説明

情報提供装置、情報提供方法、情報提供装置の制御プログラム、情報提供装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】測位装置が測位モードを選択するために必要な情報を簡便かつ低費用に作成し測位装置に提供することができる情報提供装置等を提供すること。

【解決手段】人口密度の地理的な分布を記述する電子的な情報である人口密度地図を格納する人口密度地図格納手段と、測位装置と情報提供装置の間の通信を仲介する基地局から測位装置の概略位置を示す測位装置概位置情報を取得する測位装置概位置情報取得手段と、初期位置情報が示す地点における人口密度を示す人口密度情報を人口密度地図に基づいて生成する人口密度情報生成手段と、人口密度情報に基づいて測位モード選択情報を生成する測位モード選択情報生成手段と、測位モード選択情報を測位装置に送信する測位モード選択情報送信手段と、を有することを特徴とする測位サーバ200。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置、情報提供方法、情報提供装置の制御プログラム、情報提供装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、人工衛星を利用して位置を測位する測位システムとしてGPS(Global Positioning System)装置が用いられている。GPS装置による測位では、GPS衛星から発信される電波を受信する必要があるが、大都市のように高層建築物が多く存在する地域では、マルチパスが発生しやすく、測位に対する障害となっている。
また、ノイズが多い環境では、GPS衛星から発信される位置関連信号を受信して測位を行うことは困難になる。
【0003】
そのため、複数の測位モードを有し測位を行う地点の電波受信環境によって測位モードを使い分ける測位装置が実用化されている。特許文献1では、マルチパス信号頻発地域情報を伴う地図情報データに基づいて、基地局位置におけるマルチパス発生可能性を判定し、信号レベルマスク値を選択する現在位置検出装置が開示されている。
【特許文献1】特開2001−272450号公報(図2等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、各基地局の位置における電波受信環境を個別に調査して、測位モードを選択するために使用するデータベースを作成するには、多大な費用と手間が必要であるという問題があった。また、電波受信環境は建築物の新設等によって変動するため、作成されたデータベースを常に最新の状態に保つべく維持管理するためにも、多大な費用と手間が必要であるという問題もあった。
【0005】
そこで、本発明は、測位装置が測位モードを選択するために必要な情報を簡便かつ低費用に作成し測位装置に提供することができる情報提供装置、情報提供方法、情報提供装置の制御プログラム、情報提供装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的は、第1の発明によれば、複数の測位モードを有し、位置情報衛星を利用して測位を行う測位装置に、前記測位装置が前記複数の測位モードの中から使用する測位モードを選択するための情報である測位モード選択情報を通信網を介して提供する情報提供装置であって、人口密度の地理的な分布を記述する電子的な情報である人口密度地図を格納する人口密度地図格納手段と、前記測位装置と前記情報提供装置の間の通信を仲介する基地局から前記測位装置の概略位置を示す測位装置概位置情報を取得する測位装置概位置情報取得手段と、前記初期位置情報が示す地点における人口密度を示す人口密度情報を前記人口密度地図に基づいて生成する人口密度情報生成手段と、前記人口密度情報に基づいて前記測位モード選択情報を生成する測位モード選択情報生成手段と、前記測位モード選択情報を前記測位装置に送信する測位モード選択情報送信手段と、を有することを特徴とする情報提供装置により達成される。
【0007】
第1の発明の構成によれば、初期位置情報取得手段は、通信網、たとえば携帯通信網を介して測位装置が現在接続している基地局から測位装置概位置情報を取得する。人口密度情報生成手段は、人口密度地図格納手段、たとえばハードディスクに格納されている人口密度地図を検索して測位装置概位置情報に示される位置における人口密度を取得する。
人口密度が大きい地域は都市部であるということができ、そのような地域には高層建築物が多くマルチパスが発生しやすいと推定することができる。また、人口密度の大きい地域は、それだけ人間の活動も活発であり、GPS衛星の発信する位置関連信号の周波数(1.575GHz)に近いノイズの発生頻度も高いと推定することができる。測位モード選択情報生成手段は、たとえば基地局の位置の人口密度があらかじめ定めれた閾値以上である場合には「マルチパス頻発地域である」旨の、閾値未満である場合には「マルチパス頻発地域ではない」旨の測位モード選択情報を生成する。
そして、測位モード選択情報送信手段は、上記のようにして生成された測位モード選択情報を通信網を介して測位装置、たとえばGPS受信機付きの携帯端末に送信する。
測位モード選択情報を受信した測位装置は、測位モード選択情報に基づいて現在位置において測位するために最適な測位モードを選択して測位を行う。
【0008】
人口密度地図は、たとえば総務省統計局が発行する「日本統計地図」等の既存の資料を利用して容易に作成することができる。また、人口密度は急激に変動するものではないので、人口密度地図の更新はたとえば1年に1回程度行えば十分であると考えられる。更新作業も、単に情報提供装置に格納されている人口密度地図を新しいもので上書きするだけですむ。
そのため、本発明の情報提供装置によれば測位装置が測位モードを選択するために必要な情報を簡便かつ低費用に測位装置に対して提供することができる。
【0009】
前記目的は、第2の発明によれば、複数の測位モードを有し、位置情報衛星を利用して測位を行う測位装置に、前記測位装置が前記複数の測位モードの中から使用する測位モードを選択するための情報である測位モード選択情報を提供する情報提供装置であって、前記測位装置が接続している基地局が単位時間に取り扱った通信量を示す通信量情報を取得する通信量情報取得手段と、前記通信量情報に基づいて前記測位モード選択情報を生成する測位モード選択情報生成手段と、前記測位モード選択情報を前記測位装置に送信する測位モード選択情報送信手段と、を有することを特徴とする情報提供装置により達成される。
【0010】
第2の発明の構成によれば、通信量情報取得手段は、測位を行おうとしている測位装置が現在接続している基地局から、通信量情報を取得する。通信量情報は、基地局が単位時間に取り扱った通信の量を示す情報で、たとえば、1時間あたりの通話回数を示す情報である。電話機による通話は原則的には人間同士が行うものであるから、通話量が多い場合には、その基地局の周辺で活動している人間の数が多いものと推定することができる。したがって、測位装置が接続中の基地局は都市部にあり、その基地局の付近の電波の受信環境は悪いと推定することができる。
そこで、測位モード選択情報生成手段は、たとえば基地局が取り扱った単位時間当たりの通話回数が、あらかじめ定めれた閾値以上である場合には「マルチパス頻発地域である」旨の、閾値未満である場合には「マルチパス頻発地域ではない」旨の測位モード選択情報を生成する。
【0011】
通信量情報は、通常、基地局において生成され管理されているため、情報提供装置は既存の通信プロトコルを用いて簡単に通信量情報を取得することができる。通信量情報を生成するために、基地局または情報提供装置にハードウェア的な構成を追加する必要もない。
そのため、本発明の情報提供装置によれば測位装置が測位モードを選択するために必要な情報を簡便かつ低費用に測位装置に対して提供することができる。
【0012】
好ましくは、第3の発明によれば、第2の発明の構成において、前記測位モード選択情報生成手段は、前記通信量情報の時間帯による変動に基づいて前記測位モード選択情報を生成することを特徴とする。
【0013】
ある地域において活動する人間の数は、時間帯によって変動する。たとえば、いわゆるビジネス街では、企業のオフィス等が多くあるため日中は活動している人間の数が多いが、夜間は自分の居住地に帰る人間が多いため活動している人間の数が少ない。したがって、このような地域では、通信量にも時間帯による変動があると考えられる。
そこで、測位モード選択情報生成手段は、通信量情報の時間帯による変動を考慮して測位モード情報を生成する。たとえば、ある基地局の通信量が日中は多く夜間は少ないという傾向を示している場合には、その基地局は都市部に存在していると考えられるから、たとえば「マルチパス頻発地域である」旨の測位モード選択情報を生成する。
【0014】
このように、第3の発明の情報提供装置は、動的なデータに基づいて測位モード選択情報を生成するから、より信頼性の高い測位モード選択情報を測位装置に提供することができる。また、取得する通信量情報は、第2の発明と同様に、基地局が通常生成しているものであるから、測位モード選択情報を簡便かつ低費用に測位装置に対して提供することができる。
【0015】
前記目的は、第4の発明によれば、複数の測位モードを有し、位置情報衛星を利用して測位を行う測位装置に、前記測位装置が前記複数の測位モードの中から使用する測位モードを選択するための情報である測位モード選択情報を提供する情報提供装置であって、前記情報提供装置が単位時間に行った情報提供の回数を示す情報提供回数情報を生成する情報提供回数情報生成手段と、前記測位装置が接続している基地局についての情報提供回数情報に基づいて前記測位モード選択情報を生成する測位モード選択情報生成手段と、前記測位モード選択情報を前記測位装置に送信する測位モード選択情報送信手段と、を有することを特徴とする情報提供装置により達成される。
【0016】
第4の発明の構成によれば、情報提供回数情報生成手段が、情報提供装置が単位時間に行った情報提供の回数を示す情報提供回数情報を生成する。第3の発明の通信量情報と同様に、情報提供回数情報から測位装置が接続している基地局が都市部にあるか否かを推定することができる。そこで、測位モード選択情報生成手段は、情報提供回数情報に基づいて測位モード選択情報を生成する。
コンピュータの動作に関する記録(ログ)を自動的に生成することは広く行われている。したがって、コンピュータ上に実装される情報提供装置が自己が行った情報提供の回数を取得することは、既存のログ生成技術を利用して容易に行うことができる。
そのため、情報提供装置は、測位モード選択情報を簡便かつ低費用に測位装置に対して提供することができる。
【0017】
前記目的は、第5の発明によれば、複数の測位モードを有し、位置情報衛星を利用して測位を行う測位装置に、前記測位装置が前記複数の測位モードの中から使用する測位モードを選択するための情報である測位モード選択情報を通信網を介して提供する情報提供方法であって、情報提供装置の測位装置概位置情報取得手段が、前記測位装置と前記情報提供装置の間の通信を仲介する基地局から前記測位装置の概略位置を示す測位装置概位置情報を取得する測位装置概位置情報取得ステップと、前記情報提供装置の人口密度情報生成手段が、前記初期位置情報が示す地点における人口密度を示す人口密度情報を人口密度の地理的な分布を記述する電子的な情報である人口密度地図に基づいて生成する人口密度情報生成ステップと、前記情報提供装置の測位モード選択情報生成手段が、前記人口密度情報に基づいて前記測位モード選択情報を生成する測位モード選択情報生成ステップと、前記情報提供装置の測位モード選択情報送信手段が、前記測位モード選択情報を前記測位装置に送信する測位モード選択情報送信ステップと、を有することを特徴とする情報提供方法により達成される。
【0018】
前記目的は、第6の発明によれば、複数の測位モードを有し、位置情報衛星を利用して測位を行う測位装置に、前記測位装置が前記複数の測位モードの中から使用する測位モードを選択するための情報である測位モード選択情報を提供する情報提供方法であって、情報提供装置の通信量情報取得手段が、前記測位装置が接続している基地局が単位時間に取り扱った通信量を示す通信量情報を取得する通信量情報取得ステップと、前記情報提供装置の測位モード選択情報生成手段が、前記通信量情報に基づいて前記測位モード選択情報を生成する測位モード選択情報生成ステップと、前記情報提供装置の測位モード選択情報送信手段が、前記測位モード選択情報を前記測位装置に送信する測位モード選択情報送信ステップと、を有することを特徴とする情報提供方法により達成される。
【0019】
前記目的は、第7の発明によれば、複数の測位モードを有し、位置情報衛星を利用して測位を行う測位装置に、前記測位装置が前記複数の測位モードの中から使用する測位モードを選択するための情報である測位モード選択情報を提供する情報提供方法であって、情報提供装置の情報提供回数情報生成手段が、前記情報提供装置が単位時間に行った情報提供の回数を示す情報提供回数情報を生成する情報提供回数情報生成ステップと、前記情報提供装置の測位モード選択情報生成手段が、前記測位装置が接続している基地局についての情報提供回数情報に基づいて前記測位モード選択情報を生成する測位モード選択情報生成ステップと、前記情報提供装置の測位モード選択情報送信手段が、前記測位モード選択情報を前記測位装置に送信する測位モード選択情報送信ステップと、を有することを特徴とする情報提供方法により達成される。
【0020】
前記目的は、第8の発明によれば、コンピュータに、複数の測位モードを有し、位置情報衛星を利用して測位を行う測位装置に、前記測位装置が前記複数の測位モードの中から使用する測位モードを選択するための情報である測位モード選択情報を提供する情報提供装置の制御プログラムであって、情報提供装置の通信量情報取得手段が、前記測位装置が接続している基地局が単位時間に取り扱った通信量をを示す通信量情報を取得する通信量情報取得ステップと、前記情報提供装置の測位モード選択情報生成手段が、前記通信量情報の時間帯による変動に基づいて前記測位モード選択情報を生成する測位モード選択情報生成ステップと、前記情報提供装置の測位モード選択情報送信手段が、前記測位モード選択情報を前記測位装置に送信する測位モード選択情報送信ステップと、を有することを特徴とする情報提供装置の制御プログラムにより達成される。
【0021】
前記目的は、第9の発明によれば、コンピュータに、複数の測位モードを有し、位置情報衛星を利用して測位を行う測位装置に、前記測位装置が前記複数の測位モードの中から使用する測位モードを選択するための情報である測位モード選択情報を提供する情報提供装置の制御プログラムであって、情報提供装置の通信量情報取得手段が、前記測位装置が接続している基地局が単位時間に取り扱った通信量をを示す通信量情報を取得する通信量情報取得ステップと、前記情報提供装置の測位モード選択情報生成手段が、前記通信量情報の時間帯による変動に基づいて前記測位モード選択情報を生成する測位モード選択情報生成ステップと、前記情報提供装置の測位モード選択情報送信手段が、前記測位モード選択情報を前記測位装置に送信する測位モード選択情報送信ステップと、を有することを特徴とする情報提供装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な情報記録媒体により達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態にかかる測位サーバ200等を示す概略図である。
測位装置の一例である携帯端末100は、GPS装置110を有していて、位置情報衛星の一例であるGPS衛星10から発信される位置関連信号を受信して、携帯端末100の現在位置の測位を行う。
GPS装置110は、複数の測位モードを有していて位置関連信号の受信環境に応じて適切な測位モードを使用できるように構成されている。たとえば、携帯端末100の近傍に電波を反射するビル12が存在する場合には、GPS装置110はGPS衛星から直接届く直接波S1とビル12に反射した後に届く反射波S2を同時に受信する場合がある。このような現象は、マルチパスと呼ばれていて直接波S1と反射波S2は位相が異なるために測位に支障をきたすことになる。
たとえば、測位地点においてマルチパスが発生すると予想される場合には、携帯端末100はマルチパスの影響を排除できる測位モードに切替えて測位を行う。
【0024】
携帯端末100は、端末通信装置112(図2参照)を有していて、基地局14a及び通信網の一例である携帯通信網16を介して他の機器と通信を行えるようになっている。情報提供装置の一例である測位サーバ200もサーバ通信装置212(図3参照)を有していて、たとえばインターネットを介して携帯通信網16に接続されている。そのため、携帯端末100と測位サーバ200は相互に通信が可能であり、測位サーバ200は携帯端末100の要求に応じて測位モード選択情報を提供することができる。
なお、基地局は図示した14a、14bのほかにも多数存在している。
【0025】
(携帯端末100の主なハードウエア構成について)
図2は、図1の携帯端末100の主なハードウエア構成を示す概略図である。
携帯端末100は、制御機能及び演算機能を有するCPU(Central Processing Unit)104、記憶装置106、たとえば操作ボタンから成る入力装置108、出力装置の一種である端末表示装置114を有している。すなわち、携帯端末100はコンピュータを有している。
CPU104は、バス102を介して記憶装置106等の他の構成要素との間でデータ及びコントロールコードの授受を行えるようになっている。CPU104は、記憶装置106に格納されているプログラムを読み込んで実行することにより、携帯端末100全体を制御している。
記憶装置106はたとえばRAM(Random Access Memory)により構成されていて、OS(Operating System)、デバイスドライバ等の各種プログラム及びデータが格納されている。
【0026】
端末GPS装置110は、GPS衛星から発信される位置関連信号を受信して、復調・復号等を行い、GPS衛星の軌道情報(エフェメリス及びアルマナック)等測位を行うために必要な情報を取得する。
【0027】
端末通信装置112は、たとえば携帯端末システムで用いられる周波数の電波を送受信する機能を有している。そのため、携帯端末100は、最寄の基地局14との間で接続を確立し、GPSサーバ200と通信を行うことができる。
【0028】
(測位サーバ200の主なハードウエア構成について)
図3は、図1の測位サーバ200の主なハードウエア構成を示す概略図である。CPU204等、図2の携帯端末100と同様な構成要素については説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0029】
測位サーバ200は、基地局を介することなく携帯通信網に接続されているため、サーバ通信装置212は、たとえば、イーサネットアダプタにより構成されている。
測位サーバ200は、人口密度地図等を格納しておくために、たとえばハードディスクからなる外部記憶装置214を有している。
【0030】
時計218は、たとえばRTC(Real Time Clock)であり、測位サーバ200の主電源が切られている間も動作し続け、測位サーバ200のOSに時刻情報を供給する。
【0031】
(携帯端末100の主なソフトウエア構成について)
図4は、図1の携帯端末100のソフトウェア構成を示す概略図である。
端末制御部120は、メモリ管理、タスク管理、入出力管理等の機能を有し、携帯端末100の動作全体を制御するためのプログラムである。具体的には、記憶装置106に格納されているOSに実装されていて、CPU104により実行される。
端末通信部112aおよび測位部110aはそれぞれ、端末通信装置112及び端末測位装置110を制御するためのプログラムである。これらのプログラムは、たとえばデバイスドライバとして実装されていて記憶装置106に格納されている。
【0032】
CPU104は、端末制御部120の制御のもと、端末第1記憶部130に格納されているプログラムを順次読み込んで実行する。CPU104は、プログラムの実行にあたり必要なデータを、端末第2記憶部150から読み込んで取得する。また、端末制御部120が取得したデータや端末第1記憶部130に格納されているプログラムが生成したデータは、端末第2記憶部150に格納される。
なお、図4に示した2個の記憶部は、物理的に独立した2個の記憶装置を携帯端末100が有していることを示すものではなく、説明の便宜上、記憶装置に格納される情報をその種類により分類して示すためのものである。
【0033】
モード選択情報取得プログラム132は、基地局14aおよび携帯通信網16を介して、測位サーバ200に対して、モード選択情報の送信を要求する。モード選択情報取得プログラム132は、取得したモード選択情報152を端末第2記憶部150に格納する。
【0034】
モード決定プログラム134は、モード選択情報152を参照して、今回の測位に用いる測位モードを決定する。たとえば、モード選択情報152が、測位定点ではマルチパスの影響が強いことを示している場合には、モード決定プログラム134は測位モードをマルチパスモード、すなわち測位に使用するGPS衛星を選択するための仰角マスク値を通常よりも大きくした測位モード、に設定する。
【0035】
このように、携帯端末100は測位サーバ200からモード選択情報を取得し、適切な測位モードを選択することができるから、測位精度を向上させ、測位時間を短縮させることができる。
【0036】
(測位サーバ200の主なソフトウエア構成について)
図5は、図1の測位サーバ200のソフトウェア構成を示す概略図である。
サーバ制御部220は、メモリ管理、タスク管理、入出力管理等の機能を有し、測位サーバ200の動作全体を制御するためのプログラムである。具体的には、記憶装置206に格納されているOSに実装されていて、CPU204により実行される。
サーバ通信部212a及び計時部218aはそれぞれ、サーバ通信装置212及び時計218を制御するためのプログラムである。これらのプログラムは、たとえばデバイスドライバとして実装されていて記憶装置206に格納されている。
【0037】
CPU204は、サーバ制御部220の制御のもと、サーバ第1記憶部230に格納されているプログラムを順次読み込んで実行する。CPU204は、プログラムの実行にあたり必要なデータを、サーバ第2記憶部250又はサーバ第3記憶部260から読み込んで取得する。また、サーバ制御部220が取得したデータやサーバ第1記憶部230に格納されているプログラムが生成したデータは、サーバ第3記憶部260に格納される。端末第2記憶部250に格納されているデータは、変動する可能性が小さいため、固定値として格納されているデータである。
なお、図5に示した3個の記憶部は、物理的に独立した3個の記憶装置を測位サーバ200が有していることを示すものではなく、説明の便宜上、記憶装置に格納される情報をその種類により分類して示すためのものである。
【0038】
測位装置概略位置情報取得手段の一例である端末概位置情報取得プログラム232は、携帯端末100が接続している基地局14aから端末概位置情報を取得する。端末概位置情報は、たとえば基地局14aの位置である。端末概位置情報取得プログラム232は、取得した情報を端末概位置情報262としてサーバ第3記憶部260に格納する。
【0039】
人口密度地図格納手段の一例であるサーバ第2記憶部250には、人口密度地図252が格納されている。図6(a)は、人口密度地図の作成方法の一例を示す概略図である。まず、人口密度地図作成の対象とする地域を1辺が1kmの正方形の区画に分割する。次に各区画の中心点(2本の対角線の交点)の座標を求める。次に、既存の資料たとえば総務省が発行する日本統計地図を利用して、中心点付近の人口密度を求める。
図6(b)は、人口密度地図の一例を示す概略図である。一列目は、区画の番号である。2列目と3列目はそれぞれ中心点の緯度と経度を示している。4列目は人口密度で単位は、1平方キロメートル当たりの人口(人/km)である。
【0040】
人口密度情報生成手段の一例である人口密度情報生成プログラム234は、まずサーバ第3記憶部260から端末概位置情報262を読み出す。次に、人口密度地図252を参照し、端末概位置情報262に示される座標に最も近い代表点を検索し、その代表点が属する区画の人口密度を取得する。
人口密度情報生成プログラム234は、取得した人口密度をサーバ第3記憶部260に人口密度情報264として格納する。
【0041】
測位モード選択情報生成手段の一例であるモード選択情報生成プログラム236は、人口密度閾値情報254と人口密度情報264を読み出し二つの数値を比較する。人口密度情報264が示す携帯端末100の概略位置における人口密度が、人口密度閾値情報254に示される人口密度、たとえば1000人/km以上の場合は、モード選択情報266として「マルチパス影響度=高」を生成する。人口密度情報264が人口密度閾値情報254よりも小さい場合には、モード選択情報266として「マルチパス影響度=低」を生成する。
モード選択プログラム238は、生成したモード選択情報266をサーバ第3記憶部260に格納する。
【0042】
測位モード選択情報送信手段の一例であるモード選択情報送信プログラム238は、携帯端末100からの送信要求があったときに、モード選択情報266を読み出し、携帯端末100に送信する。
【0043】
本実施の形態に係る測位サーバ200は以上のように構成されるが、次に、その動作例等について説明する。
(携帯端末100と測位サーバ200による測位シーケンス)
図7は、携帯端末100と本実施形態の測位サーバ200による測位の手順を示す概略シーケンス図である。
まず、携帯端末100は、基地局14aにモード選択情報の要求を行う(ST10)。基地局14aはモード選択情報の要求を測位サーバ200へ転送する(ST11)。基地局14aはこのとき、モード選択情報の要求とともに、携帯端末100の概略位置を測位サーバ200に送信する。
モード選択情報要求と携帯端末100の概略位置を受信した測位サーバ200は、人口密度地図を参照して、モード選択情報を生成する(ST12)。測位サーバ200は、生成したモード選択情報を基地局14aに送信する(ST13)。
基地局14aはモード選択情報を携帯端末100に転送する(ST14)。
モード選択情報を受信した携帯端末100は、モード選択情報を参照して適切な測位モードを選択する(ST15)。携帯端末100は、ST15で選択した測位モードを使用してGPS衛星の捕捉し測位計算を行う(ST16)。
【0044】
(測位サーバ200の主な動作例)
図8は、測位サーバ200の主な動作例を示す概略フローチャートである。
測位サーバ200は、携帯端末100が基地局14a及び携帯通信網16を介して送信してきたモード選択情報要求を受信する(ST20)。
端末概位置情報取得プログラム232は、基地局14aが送信してきた携帯端末100の概位置を取得し、端末概位置情報262としてサーバ第3記憶部に格納する(ST21、端末概位置情報取得ステップの一例)。
人口密度情報生成プログラム234は、人口密度地図252を参照して、端末概位置情報262に示される地点の人口密度を取得する。人口密度情報生成プログラム234は、取得した人口密度を人口密度情報264としてサーバ第3記憶部260に格納する(ST22、人口密度情報生成ステップの一例)。
モード選択情報生成プログラム236は、人口密度閾値情報254と人口密度情報264を比較して(ST23)、人口密度情報264が人口密度閾値情報254以上の場合は、マルチパスの影響度が高い旨のモード選択情報266を生成する(ST24)。人口密度情報264が人口密度閾値情報254未満の場合には、マルチパスの影響度が小さい旨のモード選択情報266を生成する(ST25)。ST23からST25は、測位モード選択情報生成ステップの一例である。
モード選択情報送信プログラム238は、モード選択情報266を携帯通信網16及び基地局14aを介して携帯端末100に送信する(ST26、測位モード選択情報送信ステップの一例)。
【0045】
(携帯端末100の主な動作例)
図9は、携帯端末100の主な動作例を示す概略フローチャートである。
モード選択情報取得プログラム132は、基地局14aと携帯通信網16を介して、測位サーバ200にモード選択情報要求を送信する(ST30)。要求に応じて測位サーバ200から送信されてきた測位モード選択情報を受信し(ST31)、端末第2記憶部150にモード選択情報152として格納する。
モード決定プログラム134は、モード選択情報152に基づいて、使用する測位モードを決定する。モード選択情報152がマルチパスの影響度が高いことを示している場合には、たとえば測位に使用するGPS衛星を選択するための仰角マスク値を通常よりも大きくして測位を行う(ST33)。モード選択情報152がマルチパスの影響度が低いことを示している場合には、通常の測位モードで測位を行う(ST34)。
【0046】
このように、測位サーバ200は、既存の資料に基づいて容易に作成することができる人口密度地図252に基づいてモード選択情報266を生成し、携帯端末100に提供することができる。
すなわち、測位サーバ200は携帯端末100が測位モードを選択するために必要な情報を簡便かつ低費用に提供することができる。
【0047】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態と共通する部分については図に同一の符号を付すこととし、説明を省略し、以下相違点を中心に説明する。
図10は、本発明の実施の形態にかかる測位サーバ200a等を示す概略図である。測位サーバが携帯端末にモード選択情報を提供する点は第1の実施形態と同様である。
図1と同様に1台のサーバですべての携帯端末に情報を提供する構成とすることも可能ではある。しかし、本実施形態の場合は、図10に示すように各基地局14a、14b等にそれぞれ測位サーバ200a、測位サーバ200b等を設置するのが好ましい。第1実施形態では、人口密度地図は基地局によらず一定のものであるから、位置サーバは1台として人口密度地図の入力修正作業を1ヶ所だけで行えば済む構成とするのが合理的である。これに対し、本実施形態では基地局ごとに異なる通話量等をモード選択情報の生成に使用するから、基地局にそれぞれ位置サーバを設けることが、位置サーバと基地局との間の携帯通信網を経由する通信量の削減につながり合理的である。
図11では、位置サーバ200aは携帯端末100a及び基地局14aに接続している他の測位装置に、位置サーバ200bは携帯端末100b及び基地局14bに接続している他の測位装置にそれぞれモード選択情報の提供を行う。以下の説明は、代表例として携帯端末100a、基地局14a、測位サーバ200aについて説明を行う。
【0048】
基地局14aと測位サーバ200aは、たとえばひとつの建物の中等互いに近い距離に設置されている。そのため基地局14aと測位サーバ200aとは、たとえばイーサネット(登録商標)で接続されていて、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)を用いて通信を行っている。
なお、図10のように基地局と測位サーバを別々の筐体に実装する構成のほかに、基地局が後述する測位サーバの機能をすべて兼ね備える構成とすることもできる。この場合には、基地局が情報提供装置の一例となる。
【0049】
携帯端末100a及び測位サーバ200aのハードウェア構成は、図2及び図3に示した第1実施形態の携帯端末100及び測位サーバ200と同様である。携帯端末100aのソフトウェア構成及び動作例は、図4及び図9に示した第1実施形態の場合と同様である。
【0050】
(位置サーバ200aのソフトウェア構成について)
図11は、図10の測位サーバ200aのソフトウェア構成を示す概略図である。
通信量情報取得手段の一例である通話量情報取得プログラム240は、基地局14aから通信量情報の一例である通話量情報をたとえば1日に1回取得する。
図12aは、通話量情報の内容を示す概略図である。表の1列目は、レコードを識別するための番号である。2列目は、データを取得した日付を示していて、たとえば2行目の「20040810」は、2004年8月10日にデータが取得されたことを示している。3列目は、昼間の通話量であり基地局14aが1時間当たりに取り扱った携帯端末の通話回数を示す。ここで、「昼間」とは午前8時0分から午後5時59分までの時間帯を意味する。4列目は、夜間の通話量であり基地局14aが1時間あたりに取り扱った携帯端末による通話回数を示す。ここで、「夜間」とは午後6時0分から翌日の午前7時59分までの時間帯を意味する。
通話量情報取得プログラム240は、取得した生の情報を通話量情報270としてサーバ第3記憶部260に格納する。
なお、通信量情報として取得するデータは、通話回数には限らず、たとえば、単位時間当たりの通過パケット数、電話システムとしての呼量等とすることもできる。また時間帯の区分も昼間夜間の2区分とは限らずもっと多くの区分としてもよい。
【0051】
通話量統計情報生成プログラム242は、通話量閾値情報256と比較するための通話量統計情報272を通話量情報270に基づいて生成する。本実施形態では、通話量統計情報生成プログラム242は、1ヶ月に1回実行され、過去1月分の通話量情報270を統計処理し、昼間及び夜間の通話量の1月の平均値である昼間通話量平均値情報272a及び夜間通話量平均値情報272bを算出し、第3記憶部260に格納する。
【0052】
測位モード選択情報生成手段の一例であるモード選択情報生成プログラム236aは、測位モード選択情報の一例であるモード選択情報266を生成する。モード選択情報266は、第1実施形態と同様にたとえばマルチパス影響度の高低を示す情報である。
モード選択情報生成プログラム236aは、まず、昼間通話量平均値情報272aと通話量閾値情報256とを比較する。昼間通話量平均値情報272aが通話量閾値情報256以上である場合には、モード選択情報266として「マルチパス影響度=高」を生成する。
昼間通話量平均値情報272aが通話量閾値情報256よりも小さい場合は、モード選択情報生成プログラム236aは、昼間通話量平均値情報272aとたとえば夜間通話量平均値情報272bを1.5倍した数値とを比較する。昼間通話量平均値情報272aが夜間通話量平均値情報272bを1.5倍した数値以上の場合には、その地域は昼間に活動している人口は多いがそこに居住している人口は少ない地域、すなわち都市地域と考えられるから、モード選択情報266として「マルチパス影響度=高」を生成する。昼間通話量平均値情報272aが夜間通話量平均値情報272bを1.5倍した数値よりも小さい場合には、モード選択情報266として「マルチパス影響度=低」を生成する。なお、ここで使用した定数「1.5」は、一例であり適宜変更することができる。
図12(b)は、モード選択情報266の生成手順を示す表である。図中の「T」は、1行目に示した論理式が真であることを、「F」は、偽であることを示している。この表の4行目に示されるように昼間通話量が閾値よりも小さい場合でも、時間帯による通話量の変動を考慮することにより、携帯端末100aが接続している基地局14aは都市部にあると判定することができる。
【0053】
携帯端末システムの中には、GPS衛星が位置関連信号の発信に使用している1.575GHzに近い1.5GHz帯の電波を使用するものがある。したがって、携帯端末による通話量が多い地域では、携帯端末100aが測位を行う際にノイズの影響度が高くなると考えられる。そこで、本実施形態においてはモード選択情報266は携帯端末100aのGPS装置110が測位を行う際に障害となるノイズ影響度の高低を示す情報とすることもできる。
この場合には、通話量の長期間にわたる平均値よりも、携帯端末100aが測位を行おうとしている時点の通話量が問題になる。したがって、通話量情報取得プログラム240が取得する通話量情報270はたとえば1分あたりの通話量とし、通話量統計情報生成プログラム242が生成する通話量統計情報は、たとえば直近の1時間の平均通話量を示す平均通話量情報272cとする。
そして、モード選択情報生成プログラム235aは、通話量閾値情報256と平均通話量情報272cとを比較して、平均通話量272cが通話量閾値情報256、たとえば1000以上である場合はモード選択情報266として「ノイズ影響度=高」を生成する。平均通話量情報272cが通話量閾値256より小さい場合には、モード選択情報266として「ノイズ影響度=低」を生成する。
【0054】
モード選択情報送信プログラム238は、基地局14aを介して携帯端末100aにモード選択情報266を送信する。たとえば、モード選択情報266が、ノイズの影響度が高いことを示している場合には、携帯端末100aは、ハードウェアの積算時間を通常よりも長くする高感度モードで測位を行う。
【0055】
(測位サーバ200aの動作例について)
図13は、測位サーバ200aの動作例を示す概略フローチャートである。第1実施形(図8)と異なるのは、モード選択情報を生成するための判断部分(ST23a及びST23b)である。
モード選択情報生成プログラム236aは、まず、昼間通話量平均値情報272aが通話量閾値情報256以上かどうか(第1の条件)を判断する(ST23a)。第1の条件が真である場合にはモード選択情報266として「マルチパス影響度=高」を生成する(ST24)。
第1の条件が偽である場合には、昼間通話量平均値情報272aが夜間通話量平均値情報272bの1.5倍以上かどうか(第2の条件)を判断する(ST23b)。第2の条件が真の場合には、ST24に進む。第2の条件が偽である場合には、モード選択情報266として「マルチパス影響度=低」を生成する(ST25)。
【0056】
このように、測位サーバ200aは、既存の通信プロトコルを用いて基地局14aから容易に取得することができる通話量情報270に基づいてモード選択情報266を生成し、携帯端末100aに提供することができる。また、モード選択情報266は、通話量情報270の時間帯による変動を考慮して作成されているから信頼度の高い情報となっている。
すなわち、測位サーバ200aは信頼度の高いモード選択情報266を、簡便かつ低費用に携帯端末100aに対して提供することができる。
【0057】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第1の実施形態と共通する部分については図に同一の符号を付すこととし、説明を省略し、以下相違点を中心に説明する。
本発明の実施の形態にかかる測位サーバ200a等は図10に示すように構成される。
第2実施形態の場合と同様の理由から、測位サーバは、基地局1ヶ所につき1台設ける構成となっている。もちろん、この実施形態と異なり測位サーバを1台に集約する構成、基地局数ヶ所ごとに1台の測位サーバを設ける構成とすることもできる。
【0058】
携帯端末100a及び測位サーバ200aのハードウェア構成は、図2及び図3に示した第1実施形態の携帯端末100及び測位サーバ200と同様である。携帯端末100aのソフトウェア構成及び動作例は、図4及び図9に示した第1実施形態の場合と同様である。
【0059】
(位置サーバ200aのソフトウェア構成について)
図14は、図10の測位サーバ200aのソフトウェア構成を示す概略図である。
情報提供回数情報生成手段の一例であるアクセス数情報生成プログラム244は、情報提供回数情報の一例であるアクセス数情報274を生成する。具体的には、アクセス数情報生成プログラム274は、コンピュータの主記憶装置に常駐し携帯端末100a等基地局14aの通信エリア内の機器からのアシストデータ送信要求を監視している。そして、アシストデータ送信要求があるたびにその要求があった時刻をアクセス数情報274のレコードとして追加する。
【0060】
平均アシスト数情報生成プログラム246は、たとえば1月に1回起動され、アクセス数情報274を分析して1時間あたりのアクセス数を示す平均アクセス数情報276を生成する。たとえば、アクセス数情報274に含まれているレコードのうち最近1月以内のレコードの数をカウントし、その結果得られた数を1月の時間数(30日の月の場合には720)で除して平均アクセス数情報276を生成する。
【0061】
測位モード選択情報生成手段の一例であるモード選択情報生成プログラム236bは、アクセス数閾値情報258と平均アクセス数情報276を読み出し二つの数値を比較する。平均アクセス数情報276が、アクセス数閾値情報258に示されるアクセス数、たとえば1000回/時間以上の場合は、モード選択情報266として「マルチパス影響度=高」を生成する。平均アクセス数情報276が、アクセス数閾値情報258に示されるアクセス数よりも小さい場合には、モード選択情報266として「マルチパス影響度=低」を生成する。
【0062】
(測位サーバ200aの動作例について)
図15は、測位サーバ200aの動作例を示す概略フローチャートである。基本的な動作の流れは第1実施形態の場合(図8参照)と同様である。モード選択情報を生成するための判断ステップ(ST23c)における判断基準が、アクセス数となっている点だけが異なる。
【0063】
このように、測位サーバ200aは、測位サーバ200a自体の動作記録であるために容易に取得することができるアクセス数情報274に基づいてモード選択情報266を生成し、携帯端末100aに提供することができる。
すなわち、測位サーバ200aは、モード選択情報266を簡便かつ低費用に携帯端末100aに対して提供することができる。
【0064】
(プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体等について)
コンピュータに上述の動作例の衛星選択指標情報生成工程、測位工程、出力工程、受信環境指標情報生成工程、測位情報判断工程等を実行させるための測位プログラム等とすることができる。
また、このような測位プログラム等を記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体とすることもできる。
【0065】
これら測位プログラム等をコンピュータにインストールし、コンピュータによって実行可能な状態にするために用いられるプログラム格納媒体は、例えばフロッピー(登録商標)のようなフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Compact Disc−Recordable)、CD−RW(Compact Disc−Rewriterble)、DVD(Digital Versatile Disc)などのパッケージメディアのみならず、プログラムが一時的若しくは永続的に格納される半導体メモリ、磁気ディスクあるいは光磁気ディスクなどで実現することができる。
【0066】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されない。さらに、上述の各実施の形態は、相互に組み合わせて構成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】第1の実施形態にかかる測位サーバを示す概略図である。
【図2】図1の携帯端末の主なハードウエア構成を示す概略図である。
【図3】図1の測位サーバの主なハードウエア構成を示す概略図である。
【図4】図1の携帯端末の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
【図5】図1の測位サーバの主なソフトウエア構成を示す概略図である。
【図6】人口密度地図等の構造を示す概略図である。
【図7】携帯端末と測位サーバの間の通信シーケンスを示す概略図である。
【図8】図1の測位サーバの動作例を示す概略フローチャートである。
【図9】図1の携帯端末の動作例を示す概略フローチャートである。
【図10】第2(第3)の実施形態にかかる測位サーバを示す概略図である。
【図11】図10の測位サーバの主なソフトウエア構成を示す概略図である。
【図12】通話量情報の構造を示す概略図である。
【図13】図10の測位サーバの動作例を示す概略フローチャートである。
【図14】図10の測位サーバ(第3実施形態)の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
【図15】図10測位サーバ(第3実施形態)の動作例を示す概略フローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
10・・・GPS衛星、14a及び14b・・・基地局、16・・・携帯通信網、100・・・携帯端末、200・・・測位サーバ、112a・・・端末通信部、110a・・・測位部、120・・・端末制御部、130・・・端末第1記憶部、150・・・端末第2記憶部、132・・・モード選択情報取得プログラム、134・・・モード決定プログラム、212a・・・サーバ通信部、218a・・・計時部、220・・・サーバ制御部、230・・・サーバ第1記憶部、250・・・サーバ第2記憶部、260・・・サーバ第3記憶部、232・・・端末概位置情報取得プログラム、234・・・人口密度情報生成プログラム、236・・・モード選択情報生成プログラム、238・・・モード選択情報送信プログラム、252・・・人口密度地図、254・・・人口密度閾値情報、262・・・端末概位置情報、264・・・人口密度情報、266・・・モード選択情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の測位モードを有し、位置情報衛星を利用して測位を行う測位装置に、前記測位装置が前記複数の測位モードの中から使用する測位モードを選択するための情報である測位モード選択情報を通信網を介して提供する情報提供装置であって、
人口密度の地理的な分布を記述する電子的な情報である人口密度地図を格納する人口密度地図格納手段と、
前記測位装置と前記情報提供装置の間の通信を仲介する基地局から前記測位装置の概略位置を示す測位装置概位置情報を取得する測位装置概位置情報取得手段と、
前記初期位置情報が示す地点における人口密度を示す人口密度情報を前記人口密度地図に基づいて生成する人口密度情報生成手段と、
前記人口密度情報に基づいて前記測位モード選択情報を生成する測位モード選択情報生成手段と、
前記測位モード選択情報を前記測位装置に送信する測位モード選択情報送信手段と、を有することを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
複数の測位モードを有し、位置情報衛星を利用して測位を行う測位装置に、前記測位装置が前記複数の測位モードの中から使用する測位モードを選択するための情報である測位モード選択情報を提供する情報提供装置であって、
前記測位装置が接続している基地局が単位時間に取り扱った通信量を示す通信量情報を取得する通信量情報取得手段と、
前記通信量情報に基づいて前記測位モード選択情報を生成する測位モード選択情報生成手段と、
前記測位モード選択情報を前記測位装置に送信する測位モード選択情報送信手段と、を有することを特徴とする情報提供装置。
【請求項3】
前記測位モード選択情報生成手段は、前記通信量情報の時間帯による変動に基づいて前記測位モード選択情報を生成することを特徴とする請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
複数の測位モードを有し、位置情報衛星を利用して測位を行う測位装置に、前記測位装置が前記複数の測位モードの中から使用する測位モードを選択するための情報である測位モード選択情報を提供する情報提供装置であって、
前記情報提供装置が単位時間に行った情報提供の回数を示す情報提供回数情報を生成する情報提供回数情報生成手段と、
前記測位装置が接続している基地局についての情報提供回数情報に基づいて前記測位モード選択情報を生成する測位モード選択情報生成手段と、
前記測位モード選択情報を前記測位装置に送信する測位モード選択情報送信手段と、を有することを特徴とする情報提供装置。
【請求項5】
複数の測位モードを有し、位置情報衛星を利用して測位を行う測位装置に、前記測位装置が前記複数の測位モードの中から使用する測位モードを選択するための情報である測位モード選択情報を通信網を介して提供する情報提供方法であって、
情報提供装置の測位装置概位置情報取得手段が、前記測位装置と前記情報提供装置の間の通信を仲介する基地局から前記測位装置の概略位置を示す測位装置概位置情報を取得する測位装置概位置情報取得ステップと、
前記情報提供装置の人口密度情報生成手段が、前記初期位置情報が示す地点における人口密度を示す人口密度情報を人口密度の地理的な分布を記述する電子的な情報である人口密度地図に基づいて生成する人口密度情報生成ステップと、
前記情報提供装置の測位モード選択情報生成手段が、前記人口密度情報に基づいて前記測位モード選択情報を生成する測位モード選択情報生成ステップと、
前記情報提供装置の測位モード選択情報送信手段が、前記測位モード選択情報を前記測位装置に送信する測位モード選択情報送信ステップと、を有することを特徴とする情報提供方法。
【請求項6】
複数の測位モードを有し、位置情報衛星を利用して測位を行う測位装置に、前記測位装置が前記複数の測位モードの中から使用する測位モードを選択するための情報である測位モード選択情報を提供する情報提供方法であって、
情報提供装置の通信量情報取得手段が、前記測位装置が接続している基地局が単位時間に取り扱った通信量を示す通信量情報を取得する通信量情報取得ステップと、
前記情報提供装置の測位モード選択情報生成手段が、前記通信量情報に基づいて前記測位モード選択情報を生成する測位モード選択情報生成ステップと、
前記情報提供装置の測位モード選択情報送信手段が、前記測位モード選択情報を前記測位装置に送信する測位モード選択情報送信ステップと、を有することを特徴とする情報提供方法。
【請求項7】
複数の測位モードを有し、位置情報衛星を利用して測位を行う測位装置に、前記測位装置が前記複数の測位モードの中から使用する測位モードを選択するための情報である測位モード選択情報を提供する情報提供方法であって、
情報提供装置の情報提供回数情報生成手段が、前記情報提供装置が単位時間に行った情報提供の回数を示す情報提供回数情報を生成する情報提供回数情報生成ステップと、
前記情報提供装置の測位モード選択情報生成手段が、前記測位装置が接続している基地局についての情報提供回数情報に基づいて前記測位モード選択情報を生成する測位モード選択情報生成ステップと、
前記情報提供装置の測位モード選択情報送信手段が、前記測位モード選択情報を前記測位装置に送信する測位モード選択情報送信ステップと、を有することを特徴とする情報提供方法。
【請求項8】
コンピュータに、
複数の測位モードを有し、位置情報衛星を利用して測位を行う測位装置に、前記測位装置が前記複数の測位モードの中から使用する測位モードを選択するための情報である測位モード選択情報を提供する情報提供装置の制御プログラムであって、
情報提供装置の通信量情報取得手段が、前記測位装置が接続している基地局が単位時間に取り扱った通信量をを示す通信量情報を取得する通信量情報取得ステップと、
前記情報提供装置の測位モード選択情報生成手段が、前記通信量情報の時間帯による変動に基づいて前記測位モード選択情報を生成する測位モード選択情報生成ステップと、
前記情報提供装置の測位モード選択情報送信手段が、前記測位モード選択情報を前記測位装置に送信する測位モード選択情報送信ステップと、を有することを特徴とする情報提供装置の制御プログラム。
【請求項9】
コンピュータに、
複数の測位モードを有し、位置情報衛星を利用して測位を行う測位装置に、前記測位装置が前記複数の測位モードの中から使用する測位モードを選択するための情報である測位モード選択情報を提供する情報提供装置の制御プログラムであって、
情報提供装置の通信量情報取得手段が、前記測位装置が接続している基地局が単位時間に取り扱った通信量をを示す通信量情報を取得する通信量情報取得ステップと、
前記情報提供装置の測位モード選択情報生成手段が、前記通信量情報の時間帯による変動に基づいて前記測位モード選択情報を生成する測位モード選択情報生成ステップと、
前記情報提供装置の測位モード選択情報送信手段が、前記測位モード選択情報を前記測位装置に送信する測位モード選択情報送信ステップと、を有することを特徴とする情報提供装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な情報記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−90934(P2006−90934A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−278985(P2004−278985)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】