説明

情報提示システム

【課題】 連鎖的に提供される情報に対してユーザが入力可能なタイミングを知ることができるとともに、精度よく、かつ小さい操作負担で、入力を行なうことができる情報提示システムを提供する。
【解決手段】 情報提供システム100は、自ら形状を変化させることが可能であり、かつユーザによる機械的な入力が可能である変形インターフェース50と、変形インターフェース50の形状を変化させるよう制御するインターフェース形状制御部40と、提供する情報を保存する提示情報データベース10と、情報を提示する情報提示部30と、提示情報データベース10に保存された情報のいずれを提示するかを管理する提示情報管理部20とを備えている。インターフェース形状制御部40は、提示する情報の中に、情報の分岐点が存在する場合に、変形インターフェース50の形状を変化させることによって、情報の分岐点の存在をユーザに伝達する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報を提示するとともに提示する情報に対して入力を行なうことができる情報提示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両を運転しているドライバに対して情報を提示する情報提示システムが提案されている。このような情報提示システムにおいて、特に、複数のエージェントによる雑談(会話)の形式で、複数の情報を連鎖的に提示するという雑談形式の情報提示システムがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この雑談形式の情報提示システムでは、例えば、「この辺りはお店が増えてきたよねぇ」、「この近くに評判のいいイタリアンレストランができたんだよ」、「あそこは、若い夫婦で経営しているらしいよ」、・・・というように、エージェントの間で会話が進行していくという形式で、情報が連鎖的に提示される。
【0004】
情報提示システムのユーザであるドライバは、エージェントによる雑談を聞いていれば情報を取得でき、情報を得るために情報提示システムに対して問いかけをする必要はなく、情報提示システムからの問いかけに応答する必要もない。従って、このような雑談形式の情報提示システムは、車両における情報提示のように、運転に注意を払わなければならないドライバに対する情報提示に適している。
【0005】
このように、雑談形式の情報提示システムによれば、ユーザは、問いかけや応答を強要されないものであるが、ユーザがより有用な情報を得るために、ユーザが入力をすることも可能である。この入力とは、ユーザが、エージェントの会話に介入することで、自らが望む情報が得られるように、エージェントによる会話の発展方向を誘導するための入力である。このような入力を行なうことで、ユーザは、エージェントによる会話に興味を覚えた場合には、その会話を自らが望む方向に発展させることができ、ユーザにとってより有用な情報を得ることができる。
【0006】
なお、本発明に関連する先行技術が記載された文献として、以下の先行技術文献がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−83986号公報
【特許文献2】特開2008−2106号公報
【特許文献3】特開2002−260904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の雑談形式の情報提示システムでは、エージェントによる会話が展開されているときに、その会話にはユーザに対する直接の問いかけがないので、ユーザにとっては、自らが介入可能(即ち、自らの入力が可能)なタイミングがわかりにくい。
【0009】
また、従来の雑談形式の情報提示システムを車両のドライバ向けの情報提示システムとして応用する場合には、ユーザであるドライバの運転の安全を確保する観点から、ユーザの入力操作の負担を軽減するために、ユーザからの入力を音声による入力とすることが考えられる。しかしながら、音声認識技術の不完全さから、車内のようなノイズの多い環境で精度の高い音声入力を実現することは困難である。
【0010】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、連鎖的に提供される情報に対してユーザが入力可能なタイミングを知ることができるとともに、精度よく、かつ小さい操作負担で、入力を行なうことができる情報提示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の情報提示システムは、ユーザに情報を連鎖的に提供する情報提供システムであって、自ら形状を変化させることが可能であり、かつユーザによる機械的な入力が可能である変形インターフェースと、前記変形インターフェースに形状を変化させるよう制御するインターフェース形状制御部と、ユーザに提供する情報を保存するための提示情報保存部と、前記情報を提示する情報提示部と、前記提示情報保存部に保存された情報のいずれを前記情報提示部にて提示するかを管理する提示情報管理部とを備え、前記インターフェース形状制御部は、前記提示情報管理部が前記情報提示部に提示させる情報の中に、情報の分岐点が存在する場合に、前記変形インターフェースの形状を変化させることによって、前記情報の分岐点の存在をユーザに伝達する構成を有している。
【0012】
この構成によれば、連鎖的に提供される情報において、情報の分岐点が存在する場合に、変形インターフェースの形状が変化するので、ユーザは、情報の分岐点に対して入力が可能であることを知ることができるとともに、変形インターフェースに対して機械的に入力を行なうことができるので、精度よく入力を行なうことができる。
【0013】
また、本発明の情報提示システムにおいて、前記変形インターフェースは、前記機械的な入力が有効である入力有効領域と前記機械的な入力が有効でない入力無効領域とを区別できるように、形状を変化させてよい。
【0014】
この構成によれば、ユーザは、形状が変化した変形インターフェースに触れるだけで、入力有効領域を知ることができ、小さい操作負担で入力を行なうことができる。
【0015】
また、本発明の情報提示システムにおいて、前記インターフェース形状制御部は、前記情報の分岐点の内容に基づいて、前記変形インターフェースの形状を変化させてよい。
【0016】
この構成によれば、分岐点の内容に基づいて変形インターフェースの形状が変化するので、ユーザは、変形インターフェースに触れるだけで分岐点の内容(例えば、選択肢の内容や種類)を判断できる。例えば、分岐点が左右の分岐を示す場合には、変形インターフェースの左右にそれぞれ入力有効領域となる突出部を形成してよい。
【0017】
また、本発明の情報提示システムは、前記変形インターフェースに対するユーザの入力を処理部する入力処理部をさらに備えていてよく、前記インターフェース形状制御部は、前記入力処理部にてユーザによる前記入力を受け付けたときに、当該入力の内容に応じて、前記変形インターフェースを別の形状に変化させてよい。
【0018】
この構成によれば、ユーザに、階層構造によって段階的に入力を行なわせることができる。例えば、ユーザに、最初に音量調節及び周波数調整のいずれかを選択する入力を行わせ、音量調節が選択された場合に、次に上下にそれぞれ入力有効領域となる突出部を形成することで音量の大小を入力させることができ、周波数調整が選択された場合に、次に左右にそれぞれ入力有効領域となる突出部を形成させることで周波数を調整させることができる。
【0019】
また、本発明の情報提示システムは、ユーザの指の位置を検知する指位置検知部をさらに備えていてよく、前記提示情報管理部は、前記指位置検知部にて検知されたユーザの指の位置が前記入力有効領域にあるときに、当該入力有効領域に対応する説明を前記情報提示部に提示させてよい。
【0020】
この構成によれば、ユーザは、変形インターフェースに入力有効領域が形成された場合に、そこに指を触れるだけで、その入力有効領域を操作することがどのような意味の入力をすることになるかを知ることができる。これによって、ユーザが車両を運転しているドライバである場合には、安全運転への影響を軽減できる。
【0021】
また、本発明の情報提示システムは、ユーザの指の位置を検知する指位置検知部をさらに備えていてよく、前記インターフェース形状制御部は、前記指位置検知部にて検知されたユーザの指の位置に応じて前記変形インターフェースの形状を変化させてよい。
【0022】
この構成によれば、ユーザの指を中心とした位置に複数の入力有効領域を形成することができ、ユーザの入力操作負荷を軽減できる。
【0023】
また、本発明の情報提示システムは、ユーザの指の位置を検知する指位置検知部をさらに備えていてよく、前記インターフェース形状制御部は、前記指位置検知部にて検知されたユーザの指の位置に基づいて、前記ユーザの指を前記入力有効領域に誘導するように、前記変形インターフェースの形状を変化させてよい。
【0024】
この構成によれば、ユーザは、変形インターフェースを目視で確認しなくても、指を変形インターフェースにおいてどの方向にずらせば入力有効領域に近づくことができるのかを知ることができる。
【0025】
また、本発明の情報提示システムにおいて、前記情報提供システムは、車両に搭載される車載システムとして用いられてよく、前記提示情報管理部は、前記車両の位置及び前記車両のナビゲーションシステムの処理に基づいて、前記提示情報保存部に保存された情報の中から提示する情報を選択して前記情報提示部に提示させてよい。
【0026】
この構成によれば、前記車両の位置及び前記車両のナビゲーションシステムの処理に基づいて選択された情報が提示されるとともに、提供される情報に分岐点が存在する場合に、変形インターフェースの形状が変化するので、ユーザは、情報の分岐点に対して入力が可能であることを知ることができるとともに、変形インターフェースに対して機械的に入力を行なうことができるので、精度よく入力を行なうことができる。
【0027】
また、本発明の情報提示システムは、前記情報提供システムは、さらにユーザの運転負荷を検知する運転負荷検知部を備えていてよく、前記インターフェース形状制御部は、前記運転負荷検知部にて検知した運転負荷が所定の閾値をより大きい場合には、前記変形インターフェースの形状を変化させないようにしてよい。
【0028】
この構成によれば、車両を運転するユーザの運転負荷が大きい場合には変形インターフェースの形状が変化しないので、安全運転への影響を軽減できる。
【0029】
また、本発明の情報提示システムにおいて、前記変形インターフェースは、前記車両のステアリングに設けられてよい。
【0030】
この構成によれば、ユーザは、ステアリングから手を離すことなく入力を行なうことができるので、安全運転への影響を軽減できる。
【0031】
また、本発明の情報提示システムにおいて、前記インターフェース形状制御は、前記車両のステアリングの回転角度に応じた形状に、前記変形インターフェースの形状を変化させてよい。
【0032】
この構成によれば、ユーザがステアリングを回転させたときに、操作しにくい位置を避けて入力有効領域を形成するなど、安全運転への影響を軽減するように変形インターフェースを変形させることができる。
【0033】
また、本発明の情報提示システムにおいて、前記インターフェース形状制御部は、所定の時間内に複数の分岐点が存在した場合には、前記変形インターフェースを前記複数の分岐点の内容に応じた複数通りの形状に順に変化させてよい。
【0034】
この構成によれば、ユーザは、複数の分岐点について、入力が可能であることを知ることができる。
【0035】
また、本発明の情報提示システムにおいて、前記提示情報管理部は、前記インターフェース形状制御部が前記変形インターフェースを複数通りの形状に順に変化させるときに、前記変形インターフェースの形状に応じた説明を前記情報提示部に提供させてよい。
【0036】
この構成によれば、前記変形インターフェースを複数通りの形状に順に変化するときに、それぞれの形状の内容を知ることができる。
【0037】
また、本発明の情報提示システムにおいて、前記変形インターフェースは、基準形状と複数通りの変形形状とを有し、前記インターフェース形状制御部は、ユーザによる入力を拒否する場合には、前記変形インターフェースを基準形状にしてよい。
【0038】
この構成によれば、ユーザは、変形インターフェースを指で触れてそれが基準形状であることを確認することで、入力ができないことを知ることができる。
【0039】
また、本発明の情報提示システムにおいて、前記提示情報管理部は、前記変形インターフェースの形状を変化させる直前に、前記ユーザに変形インターフェースの形状を変化させることを通知してよい。
【0040】
この構成によれば、ユーザは、通知を受けてから変形インターフェースの形状に注意すればよく、常に変形インターフェースの形状の変化に注意する必要がなくなる。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、連鎖的に提供される情報において、情報の分岐点が存在する場合に、変形インターフェースの形状が変化するので、ユーザは、情報の分岐点に対して入力が可能であることを知ることができるとともに、変形インターフェースに対して機械的に入力を行なうことができるので、精度よく入力を行なうことができる。また、ユーザは、形状が変化した変形インターフェースに触れるだけで、入力有効領域を知ることができ、小さい操作負担で入力を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態における情報提供システムの構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態における提示情報の遷移構造を示す図
【図3】本発明の実施の形態における変形インターフェースを備えたステアリングの外観図
【図4】本発明の実施の形態における変形インターフェースの内部構造を示す断面図
【図5】(a)本発明の実施の形態における変形インターフェースの変形例(基準形状)を示す図 (b)本発明の実施の形態における変形インターフェースの変形例(4ボタン形状)を示す図 (c)本発明の実施の形態における変形インターフェースの変形例(1ボタン形状)を示す図 (d)本発明の実施の形態における変形インターフェースの変形例(2ボタン形状)を示す図 (e)本発明の実施の形態における変形インターフェースの変形例(十字ボタン形状)を示す図
【図6】本発明の実施の形態における情報提示システムの動作フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の実施の形態の情報提供システムについて、図面を参照しながら説明する。以下では、本発明の実施の形態として、車両に搭載される車載システムとして用いられる情報提供システムを説明する。なお、本発明の情報提供システムは、車載システムに限られない。本発明の情報提供システムは、特に、ユーザが提示情報やそれに対する入力に対して自身の全ての注意を払えない状況で、そのようなユーザに対して情報を提示して、それに対するユーザからの入力を受け付けるシステムとして好適に応用される。
【0044】
図1は、本発明の実施の形態の情報提供システムの構成を示すブロック図である。情報提供システム100は、ユーザに情報を連鎖的に提供するシステムである。特に、車載システムとして用いられる本実施の形態の情報提示システム100は、車両の位置及び車両のナビゲーションシステムの処理に基づいて提示する情報を選択する。図1に示すように、本実施の形態の情報提示システム100は、提示情報データベース10、提示情報管理部20、情報提示部30、インターフェース形状制御部40、変形インターフェース50、入力処理部60、及び指位置検出部70を備えている。
【0045】
図2は、提示情報データベース10に保存された提示情報の遷移構造を示す図である。図2に示すように、提示情報データベース10は、複数の提示情報を記憶している。本実施の形態の提示情報は、XMLの形式で表現される。提示情報は、音声データである。複数の提示情報は全体として複数の分岐点を含む遷移構造を有している。分岐点の提示情報には、分岐先の情報及びインターフェース形状の情報を含む分岐メタデータが含まれている。なお、提示情報データベース10には、図2に示すような提示情報の遷移構造が複数保存されている。
【0046】
本実施の形態では、提示情報データベース10に保存された提示情報によって、ストリームが形成されている。図2の例では、提示情報1−1、提示情報1−2、・・・提示情報1−5、・・・というメインストリームと、提示情報1−2から分岐した提示情報2−1、提示情報2−2、・・・というサブストリームと、提示情報2−2から分岐した提示情報3−1、提示情報3−2、・・・というサブストリームと、提示情報1−3から分岐した提示情報4−1、提示情報4−2、・・・というサブストリームが図示されている。
【0047】
本実施の形態では、ユーザからの入力がない場合には、ストリーム内にて提示情報が次々に提示さていき、ユーザから分岐の入力があった場合に、別のサブストリームに分岐する。そして、分岐メタデータは、他のサブストリームへの分岐が可能な提示情報に付与されている。図2の例では、提示情報1−2は、提示情報2−1のストリームに移行可能であるので、この提示情報1−2には分岐メタデータが付与されており、その分岐先は提示情報1−3である。
【0048】
なお、図2の例では、各分岐点では1つの別のサブストリームにしか分岐していないが、複数のサブストリームへの分岐が可能な提示情報があってもよい。また、ストリームの最後の提示情報に複数のストリームへの提示情報があってもよい。この場合には、ユーザが何らかの入力をしなければ、提示情報の提示がストップすることになる。
【0049】
提示情報管理部20は、ユーザに情報を連鎖的に提供するために、提示情報データベース10に保存された提示情報の遷移構造及びユーザからの入力に従って、提示情報データベース10に保存された提示情報のいずれを提示するかを管理する。提示情報管理部20は、提示する情報を情報提示部30に出力する。
【0050】
情報提示部30は、提示情報管理部20から受けた提示情報を提示する。本実施の形態の情報提示部30は、表示パネル及びスピーカからなり、提示情報である音声データはスピーカから音声として出力される。なお、本発明の情報提示部は、表示パネルのみからなり、提示情報がテキスト及び画像の情報であってもよい。また、本発明の情報提示部は、スピーカのみからなっていてもよい。
【0051】
インターフェース形状制御部40は、提示情報管理部20が情報提示部30に提示させる提示情報に基づいて、変形インターフェース50の形状を変化させるよう、変形インターフェース50を制御する。
【0052】
図3は、変形インターフェース50を備えたステアリングの外観図である。変形インターフェース50は、ステアリングSの横スポークSS上のウィールSWに近い位置に設けられる。図3に示すように、変形インターフェース50のこの設置位置は、ユーザであるドライバがステアリングSを正常な位置で把持したときに、ユーザが親指で触れることができる位置に相当する。
【0053】
図3の例では、変形インターフェース50が、左右それぞれの横スポークに設けられているが、設置位置はここに限られない。また、変形インターフェース50は1つ出会ってもよい。さらに、図3に示すように、本実施の形態の変形インターフェース50は円形であるが、矩形等任意の形状であってよい。
【0054】
変形インターフェース50は、自ら形状を変化させることが可能であるであるとともに、ユーザによる機械的な入力が可能である。即ち、ユーザは、変形インターフェース50に対して機械的な入力が可能であり、この入力により変形インターフェース50は変形をするが、変形インターフェース50は、このような変形とは別に、外力によらずに自ら形状を変化させることができる。
【0055】
図4は、変形インターフェース50の内部構造を示す断面図である。変形インターフェース50は、内部に二次元状に配列された押し上げ部材51を有する。押し上げ部材51は、上支持部材52によって支持されており、上方向(表面方向)に自由移動が可能である。上支持部材52に支持された押し上げ部材52の上から、変形インターフェース50の表面となる変形カバー53が被せられる。変形カバー53は、押し上げ部材51を下方向に押して、押し上げ部材51は下からの押し上げ力が働かない状態で、上支持部材52の標準位置(下位置)に保持される。
【0056】
押し上げ部材51には、下支持部材54に支持された高分子アクチュエータ55によって変形カバー53に抗して押し上げられる。高分子アクチュエータ55は、その変形によって押し上げ部材51を上方向(表面方向)に押し上げる。図4に示す高分子アクチュエータ55は、積層化されているが、単体であってもよい。
【0057】
インターフェース形状制御部40は、このような構造の変形インターフェース50における複数の高分子アクチュエータ55を個々に制御することで、変形インターフェース50の表面(変形カバー53の表面)の形状を任意の形状に変形させる。具体的には、インターフェース形状制御部40は、変形インターフェース50の表面の任意の領域が押し上げ部材51によって押し上げられることで若干突出するように変形させることができる。
【0058】
このようにして変形インターフェース50の表面において突出した領域は、ボタンとなる。ユーザは、形成されたボタンを押下することで、入力を行なうことができる。即ち、変形インターフェース50の表面において突出した領域は、そこを押下することで入力ができる入力有効領域として設定され、突出していない領域は、そこを押下しても入力をすることができない入力無効領域となる。変形インターフェース50は、インターフェース形状制御部40による制御によって、任意の形状の入力有効領域を設定することができる。
【0059】
図5は、変形インターフェース50の表面形状の変形例を示す図である。図5(a)は、何れの領域も突出しておらず、入力有効領域が形成されていない基準形状を示しており、図5(b)は、上下左右の4つのボタン(入力有効領域)が形成された例を示しており、図5(c)は、中央に1つのボタン(入力有効領域)が形成された例を示しており、図5(d)は、上下に2つのボタン(入力有効領域)が形成された例を示しており、図5(e)は、十字型のボタン(入力有効領域)が形成された例を示している。
【0060】
図1に戻って、入力処理部60は、ユーザによって変形インターフェース50に対してされた入力を受け付けて処理し、定情報管理部20に出力する。指位置検出部70は、変形インターフェース50の表面に設けられた接触検知センサによって構成される。指位置検出部70は、変形インターフェース50の表面のどの位置に指が触れているかを検知する。指位置検出部70にて検知された指の位置は、インターフェース形状制御部40及び提示情報管理部20に出力される。
【0061】
次に、本実施の形態の情報提示システム100の動作を説明する。図6は、情報提示システム100の動作フローチャートである。まず、提示情報管理部20は、情報提示部30を用いて提示情報データベース10に保存された情報を連鎖的に提示するために、提示情報データベース10から提示するべき提示情報を取得する(ステップS61)。
【0062】
上述のように、提示情報データベース10には、図2に示すような提示情報の遷移構造が複数保存されており、提示情報管理部20は、車両の位置及び車両のナビゲーションシステムの処理に基づいて、複数の遷移構造の中から該当するものを選択する。そして、図2に示す遷移構造が選択された場合には、提示情報管理部20は、まず、その遷移構造のメインストリームの最初の提示情報である提示情報1−1を取得する。
【0063】
そして、提示情報管理部20は、提示情報データベース10より取得した提示情報に分岐メタデータが含まれているか否かを判断する(ステップS62)。提示情報に分岐メタデータが含まれていない場合には(ステップS62にてNO)、ステップS61に戻って現在のストリーム内の次の提示情報を取得する。図2の例では、提示情報1−1には分岐メタデータは含まれていないので、ステップS61に戻って次の提示情報である提示情報1−2を取得する。
【0064】
提示情報管理部20は、取得した提示情報について、そこに分岐メタデータが含まれているかを判断し、分岐メタデータが含まれている場合には(ステップS62にてYES)、その分岐メタデータに含まれるインターフェース形状の情報をインターフェース形状制御部40に出力し、インターフェース形状制御部40は、取得したインターフェース形状の情報に従って変形インターフェース50を変形させて、入力有効領域を設定する(ステップS63)。
【0065】
次に、入力処理部60は、ユーザによって変形インターフェースの入力有効領域に入力があったかを監視する(ステップS64)。提示情報管理部20は、入力がない場合には(ステップS64にてNO)、ステップS61に戻って、現在のストリームから分岐することなく、現在のストリーム内の次の提示情報を取得する。図2の例では、提示情報管理部20は、提示情報1−2から分岐させることなく、次の提示情報1−3を取得する。
【0066】
変形インターフェース50が変形した後に、変形インターフェース50に対して入力操作が行なわれて、入力処理部60が入力を受け付けたときは(ステップS64にてYES)、入力処理部60はその入力を提示情報管理部20に通知する。提示情報管理部20は、ユーザから受けた入力に従ってストリームを分岐させる(ステップS65)。
【0067】
図2の例では、提示情報1−3について、ステップS61〜S63を経てステップS64にて変形インターフェース50に対して入力操作が行なわれて、入力処理部60が入力を受け付けたときは(ステップS64にてYES)、入力処理部60はその入力を提示情報管理部20に通知する。提示情報管理部20は、ユーザから受けた入力に従って、ストリームを分岐させて、次に提示情報4−1を提示する。
【0068】
情報提示システム100は、上記のようにして、ユーザからの入力がない場合には、ストリーム内にて提示情報を次々に提示していき、分岐点においてユーザからの入力があった場合には、ストリームを分岐させる。
【0069】
このとき、分岐点では、インターフェース形状制御部40が、ストリームの分岐候補に対応するように変形インターフェース50の形状が変形する。例えば、上下左右のいずれかを選択させる場合には、図5(b)のように上下左右に突出部を形成するように変形インターフェース50を変形させる。また、YESかNOを問う場合には、図5(c)のように中心に1つだけ突出部を形成するように変形インターフェース50を変形させる。また、上下のいずれかを選択させる場合には、図5(d)のように上下左右に突出部を形成するように変形インターフェース50を変形させる。これらの場合に、変形インターフェース50は、突出部に対応する領域を入力有効領域に設定する。
【0070】
さらに、情報提示部30にて提示する提示情報に分岐メタデータがない場合には、インターフェース形状制御部40は、変形インターフェース50を図5(a)の基準形状とする。この場合には、変形インターフェース50にて入力有効領域は設定されず、変形インターフェース50に対するユーザの操作はすべて無効となる。即ち、変形インターフェース50を基準形状とすることでユーザの入力を拒否することができる。
【0071】
次に、指位置検出部70によって検出された指の位置の情報(指位置情報)の活用例について説明する。
【0072】
(指位置情報の活用例1)
インターフェース形状制御部40は、変形インターフェース50を変形させる際に、指位置検出部70から指位置情報を取得する。インターフェース形状制御部40は、ユーザの指の位置に応じて、突出部を形成する位置を決定する。例えば、ユーザの指が変形インターフェース50の縁の方にある場合において、図5(c)のように1つの突出部を形成するときには、インターフェース形状制御部40は、ユーザの指がある縁の方に1つの突出部を形成し、そこに入力有効領域を設定する。
【0073】
(指位置情報の活用例2)
インターフェース形状制御部40は、変形インターフェース50を変形させる際に、指位置検出部70から指位置情報を取得する。インターフェース形状制御部40は、ユーザの指が変形インターフェース50の縁の方にある場合に、ユーザの指を変形インターフェース50の中央に誘導するように変形インターフェース50を変形させる。具体的には、ユーザの指が変形インターフェース50の縁の方にある場合に、ユーザの指がある領域から中央に向けて順に突出部を形成することで、ユーザの指を中央に向けて誘導する。
【0074】
(指位置情報の活用例3)
上述のように、提示情報管理部20は、提示情報に分岐メタデータが含まれている場合は、これをインターフェース形状制御部40に出力する。インターフェース形状制御部40は、この分岐メタデータに基づいて変形インターフェース50の形状を変化させるが、このときに指位置検出部70から指位置情報が提示情報管理部20に入力されない場合、又は指位置検出部70から指を検出できない旨の通知が定情報管理部20に出力した場合には、提示情報管理部20は、情報提示部30を通じてユーザに注意喚起を行なう。具体的には、情報提示部30は、通知音を発する。なお、情報提示システム100がステアリングSに設けられるバイブレーション機構を備えている場合に、提示情報管理部20がユーザへの注意喚起として、そのバイブレーション機構を作動させてもよい。
【0075】
(指位置情報の活用例4)
提示情報管理部20は、インターフェース形状制御部40によって変形インターフェース50の形状が変化して、変形インターフェース50の表面に突出部が形成された場合において、ユーザの指が形成された突出部にあるという指位置情報を取得すると、情報提示部30に、そのボタンを押す意味を説明する出力を行なわせる。具体的は、情報提示部30は、ユーザが触れているボタンの意味を音声で説明する。
【0076】
以上のように、本実施の形態の情報提示システム100によれば、ユーザには、提示情報をその遷移構造に従って順に提示していくとともに、ユーザに対して直接の問いかけをするのではなく、ユーザが何らかの入力をできるときに、変形インターフェース50の形状を変化させて、ユーザによる入力を可能とするので、ユーザは、問いかけに対していちいち応答をする必要はない。よって、ユーザが提示情報に対して積極的に関与したくないとき(例えば、車両の運転に集中しているとき)には、ユーザの入力がなくても次々に情報が提示される。
【0077】
一方、提示される情報に対して、ユーザが積極的に入力を行いたい場合には、ユーザの入力が可能なタイミングで、その入力を行なうためのインターフェースである変形インターフェース50が変形するので、ユーザは、入力が可能なタイミングを知ることができる。そして、この変形インターフェース50の変形が入力有効領域に対応して変形するので、ユーザは、いくつの選択肢の中から選んで入力をすることができるのかも知ることができる。
【0078】
以上に説明した情報提示システム100に対しては、種々の変形が可能である。以下、変形例を説明する。
【0079】
(変形例1)
例えば、情報提示システム100は、さらにユーザの運転負荷を検知する運転負荷検知部を含んでいてよい。運転負荷検知部は、車両の速度やステアリングの回転角度等の運転負荷に関する検出値をインターフェース形状制御部40に通知する。インターフェース形状制御部40は、車両の速度やステアリングの回転角度が所定の閾値より大きく、即ち運転負荷が所定の閾値より大きい場合には、分岐メタデータに関らず、変形インターフェース50の形状を変化させないように制御する。これにより、運転負荷が大きい場合に変形インターフェース50の形状を変化させることで、ユーザがそれに対して注意を払い、また変形した変形インターフェース50に対して入力を行なうことで安全運転に影響を及ぼすことを回避できる。
【0080】
(変形例2)
インターフェース形状制御部40は、所定の時間内に複数の分岐点が存在した場合には、変形インターフェース50を前記複数の分岐点の内容に応じた複数通りの形状に順に変化させてもよい。また、このとき、提示情報管理部20は、情報提示部30に、変形インターフェース50の各形状の意味を説明する出力を行なわせる。具体的は、情報提示部30は、インターフェース形状制御部40によって変形された変形インターフェース50の形状の意味を音声で説明する。
【0081】
(変形例3)
インターフェース形状制御部40は、入力処理部60にてユーザによる入力を受け付けたときに、入力の内容に応じて、変形インターフェースをさらに別の形状に変化させてよい。このようにすることで、ユーザに段階的に入力を行なわせることができる。
【0082】
例えば、ユーザに、最初に音量調節及び周波数調整のいずれかを選択する入力を行わせ、音量調節が選択された場合に、次に上下にそれぞれ入力有効領域を形成することで音量の大小を入力させることができ、周波数調整が選択された場合に、次に左右にそれぞれ入力有効領域を形成させることで周波数を調整させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、情報の分岐点に対して入力が可能であることをユーザに知らせることができるとともに、ユーザが精度よく入力を行なうことができるという効果を有し、情報を提示するとともに提示する情報に対して入力が可能な情報提示システム等として有用である。
【符号の説明】
【0084】
10 提示情報データベース
20 提示情報管理部
30 情報提示部
40 インターフェース形状制御部
50 変形インターフェース
51 押し上げ部材
52 上支持部材
53 変形カバー
54 下支持部材
55 高分子アクチュエータ
60 入力処理部
70 指位置検出部
100 情報提示システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに情報を連鎖的に提供する情報提供システムであって、
自ら形状を変化させることが可能であり、かつユーザによる機械的な入力が可能である変形インターフェースと、
前記変形インターフェースの形状を変化させるよう制御するインターフェース形状制御部と、
ユーザに提供する情報を保存するための提示情報保存部と、
前記情報を提示する情報提示部と、
前記提示情報保存部に保存された情報のいずれを前記情報提示部にて提示するかを管理する提示情報管理部と、
を備え、
前記インターフェース形状制御部は、前記提示情報管理部が前記情報提示部に提示させる情報の中に、情報の分岐点が存在する場合に、前記変形インターフェースの形状を変化させることによって、前記情報の分岐点の存在をユーザに伝達することを特徴とする情報提供システム。
【請求項2】
前記変形インターフェースは、前記機械的な入力が有効である入力有効領域と前記機械的な入力が有効でない入力無効領域とを区別できるように、形状を変化させることを特徴とする請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項3】
前記インターフェース形状制御部は、前記情報の分岐点の内容に基づいて、前記変形インターフェースの形状を変化させることを特徴とする請求項2に記載の情報提供システム。
【請求項4】
前記変形インターフェースに対するユーザの入力を処理部する入力処理部をさらに備え、
前記インターフェース形状制御部は、前記入力処理部にてユーザによる前記入力を受け付けたときに、当該入力の内容に応じて、前記変形インターフェースを別の形状に変化させることを特徴とする請求項2又は3に記載の情報提供システム。
【請求項5】
ユーザの指の位置を検知する指位置検知部をさらに備え、
前記提示情報管理部は、前記指位置検知部にて検知されたユーザの指の位置が前記入力有効領域にあるときに、当該入力有効領域に対応する説明を前記情報提示部に提示させる
ことを特徴とする請求項2ないし4のいずれか一項に記載の情報提供システム。
【請求項6】
ユーザの指の位置を検知する指位置検知部をさらに備え、
前記インターフェース形状制御部は、前記指位置検知部にて検知されたユーザの指の位置に応じて前記変形インターフェースの形状を変化させる
ことを特徴とする請求項2ないし4のいずれか一項に記載の情報提供システム。
【請求項7】
ユーザの指の位置を検知する指位置検知部をさらに備え、
前記インターフェース形状制御部は、前記指位置検知部にて検知されたユーザの指の位置に基づいて、前記ユーザの指を前記入力有効領域に誘導するように、前記変形インターフェースの形状を変化させる
ことを特徴とする請求項2ないし4のいずれか一項に記載の情報提供システム。
【請求項8】
前記情報提供システムは、車両に搭載される車載システムとして用いられ、
前記提示情報管理部は、前記車両の位置及び前記車両のナビゲーションシステムの処理に基づいて、前記提示情報保存部に保存された情報の中から提示する情報を選択して前記情報提示部に提示させる
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の情報提供システム。
【請求項9】
前記情報提供システムは、さらにユーザの運転負荷を検知する運転負荷検知部を備え、
前記インターフェース形状制御部は、前記運転負荷検知部にて検知した運転負荷が所定の閾値をより大きい場合には、前記変形インターフェースの形状を変化させない
ことを特徴とする請求項8に記載の情報提供システム。
【請求項10】
前記変形インターフェースは、前記車両のステアリングに設けられることを特徴とする請求項8又は9に記載の情報提供システム。
【請求項11】
前記インターフェース形状制御部は、前記車両のステアリングの回転角度に応じた形状に、前記変形インターフェースの形状を変化させることを特徴とする請求項8ないし10のいずれか一項に記載の情報提示システム。
【請求項12】
前記インターフェース形状制御部は、所定の時間内に複数の分岐点が存在した場合には、前記変形インターフェースを前記複数の分岐点の内容に応じた複数通りの形状に順に変化させることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか一項に記載の情報提供システム。
【請求項13】
前記提示情報管理部は、前記インターフェース形状制御部が前記変形インターフェースを複数通りの形状に順に変化させるときに、前記変形インターフェースの形状に応じた説明を前記情報提示部に提供させることを特徴とする請求項12に記載の情報提供システム。
【請求項14】
前記変形インターフェースは、基準形状と複数通りの変形形状とを有し、
前記インターフェース形状制御部は、ユーザによる入力を拒否する場合には、前記変形インターフェースを基準形状にする
ことを特徴とする請求項1ないし13のいずれか一項に記載の情報提供システム。
【請求項15】
前記提示情報管理部は、前記変形インターフェースの形状を変化させる直前に、前記ユーザに変形インターフェースの形状を変化させることを通知することを特徴とする請求項1ないし14に記載の情報提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−203798(P2012−203798A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69863(P2011−69863)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(502324066)株式会社デンソーアイティーラボラトリ (332)
【Fターム(参考)】