情報更新システム
【課題】情報提供者が公開する対象を制限している情報、例えば連絡先等の個人情報や私的な連絡を相互に伝達し、管理するための新規な情報管理プログラム又はシステムを提供すること
【解決手段】センターシステムの記憶媒体には、自分の個人情報、送信先リスト及び承諾先リストがユーザー情報として、他人の個人情報が承諾先個人情報データベースとして、ユーザー毎に記憶されており、情報処理装置は、記憶媒体に記憶された自分の個人情報がユーザーによって入力又は変更されると、当該ユーザーの送信先リストに登録された各送信先について、各送信先の承諾先リストの承諾先に当該ユーザーが登録されているか否かを照合し、登録されている送信先に限り、記憶媒体に記憶されている当該送信先の承諾先個人情報データベースに、入力又は変更された自分の個人情報の少なくとも一部を書き込むことにより、当該送信先の承諾先個人情報データベースの内容を自動的に更新する。
【解決手段】センターシステムの記憶媒体には、自分の個人情報、送信先リスト及び承諾先リストがユーザー情報として、他人の個人情報が承諾先個人情報データベースとして、ユーザー毎に記憶されており、情報処理装置は、記憶媒体に記憶された自分の個人情報がユーザーによって入力又は変更されると、当該ユーザーの送信先リストに登録された各送信先について、各送信先の承諾先リストの承諾先に当該ユーザーが登録されているか否かを照合し、登録されている送信先に限り、記憶媒体に記憶されている当該送信先の承諾先個人情報データベースに、入力又は変更された自分の個人情報の少なくとも一部を書き込むことにより、当該送信先の承諾先個人情報データベースの内容を自動的に更新する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークに接続された情報処理装置において相互に情報を伝達し、管理するための情報管理プログラム又はシステムに関し、特に、ネットワークに接続されている情報処理装置において、情報提供者が公開する相手を制限している情報、例えば連絡先等の個人情報を相互に伝達し、管理するための情報管理プログラム又はシステムに関する。具体的には、本発明は、住所録、アドレス帳、電話帳等の連絡先一覧として利用される他人の個人情報データベースを最新情報に維持するための情報管理プログラム又はシステムを含む。
【背景技術】
【0002】
一般的に、友人、取引先等の知人の連絡先は、住所録、アドレス帳、電話帳等(以下「連絡先一覧」ともいう)に記録して管理されている。従来は、紙媒体の住所録や電話帳に各連絡先を記入していたが、最近では、パーソナルコンピュータや携帯電話の普及に従い、これらの記憶媒体に各種ソフトウェアのアドレス帳、住所録、電話帳等を通じて各連絡先を入力し、電子情報として管理することが多くなっている。これらの連絡先一覧に対する知人連絡先の記入や入力処理は、名刺、電子メール、葉書、ファックス等の書面又は口頭で伝えられた情報を基に、手作業で連絡先一覧に記入、入力又は更新していた。
【0003】
引越しや結婚によって名前や自宅の住所、電話番号等が変更されたり、就職、転職、転勤等によって所属する会社名や会社の住所、電話番号、メールアドレス等が変更されたりした場合、自分の連絡先を連絡先一覧に入力している相手方に対し、新たな情報を通知する必要がある。この場合、自分の連絡先一覧を参照して各連絡先に電子メール、ハガキ、ファクシミリ、電話等によって新たな情報を通知したり、直接会った際に名刺等を渡したり、口頭で通知したりしていた。
【0004】
しかしながら、多数の連絡先に個々に通知するのは煩雑であるし、情報の入力ミスや通知忘れが生じる虞があった。電子メールを利用すれば、複数の連絡先に対し、一括して送信することができるが、必ずしもすべての連絡先に対し、同じ情報を通知するわけではないので、連絡先と通知情報との組み合わせの選択及び把握の作業が大変であり、多大な時間と労力を費やすことになる。例えば、転勤によって、個人的な住所及び電話番号と会社の住所及び電話番号の双方が変更となった場合、連絡先に応じて会社の住所及び電話番号だけを通知するのか、個人的な住所及び電話番号だけを通知するのか、または双方を通知するのか選択しなければならず、通知の遅延や誤りが生じやすかった。また、自分の連絡先一覧における連絡先が最新の情報に更新されていない場合もあり、連絡先が正しくなく、通知できないこともある。
【0005】
情報を受け取った側についても、通知された情報を手作業で住所録等に記入又は入力したり、記入又は入力された情報を更新したりするのは極めて煩雑であるし、手作業のため情報の入力ミスや更新忘れが生じることが多い。入力されている情報量が増えると、通知された情報に関連する古い情報を検索するだけでも時間が必要である。このように、他人の個人情報を記録した連絡先一覧の内容を常に最新内容に保つことは従来技術においては困難であり、連絡が取れなくなることもしばしばある。これらの連絡先一覧は、特定の相手については、頻繁に利用されるが、その他の相手については、年賀状、クリスマスカード、挨拶状(昇進、転勤、転職、就職、退職、転居、メールアドレス変更、携帯電話番号変更等)等を送る際に利用されるように、年に数回しか使用されないことも多く、その都度、相手の住所や肩書などが正しいか否かを確認しなければならず、各人の労力の総和は膨大なものであった。
【0006】
さらに、電子情報として管理される連絡先一覧は、表計算ソフト、インターネット閲覧ソフト、電子メールソフト、はがき宛名印刷ソフト、スケジュール管理ソフト等のパーソナルコンピュータのアプリケーション・ソフトや携帯電話の電話帳等、複数のソフトウェアにそれぞれ独立した連絡先一覧を有しており、各住所録等の内容を整合させて最新情報に保つことにも非常に労力が必要であった。それらの連絡先一覧は、相互にデータ変換ができる場合もあるが、それでも変換作業が必要であったり、何れの情報が最新であるのかの確認が必要であったりするため、根本的な解決手段が求められていた。
【0007】
特許文献1には、コンピュータを使用した個人情報の変更・配信方法として、個人情報提供者が関連する個人情報を変更し、コンピュータネットワークで接続されたコンピュータ・システムが当該個人情報を更新し記憶し、当該個人情報提供者が設定した配信先が更新を要求した場合に、当該発信先に対し、当該個人情報のうちの配信許容事項のみをコンピュータ・システムが配信する方法が開示されている。
【0008】
ところで、従来から、ネットワークに接続された情報処理装置における情報の伝達方法としては、電子メール、掲示板、RSS(RDF Site Summary又はRich Site Summary)が知られている。電子メールは、電子的に手紙を送信するものであり、相手のアドレスを知っていれば、送信者が特定の相手に情報を送ることができるシステムであり、情報提供者が相手を特定し、情報受信者は、個々の受信拒否等の設定は可能であるが、基本的には全体に対して開放されているシステムである。掲示板は、情報提供者が全体に情報を公開するシステムであり、情報受信者が検索ツールを活用して、特定の情報を閲覧するシステムである。RSSは、情報提供者に登録することによって情報提供者から登録者に情報を配信するシステムであり、情報提供者は全体に情報を公開しており、情報受信者が情報提供者を特定し、配信を依頼するシステムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−243186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
確かに、特許文献1の方法によれば、コンピュータネットワークを通じて、個人情報提供者が設定した配信先が更新を要求した場合に、個人情報提供者が入力した情報が配信され、自動的に入力できるので、手入力による煩雑さについては大幅に解消される。
【0011】
しかし、特許文献1の方法は、配信先(情報受信者)が能動的に更新を要求することによって、個人情報提供者が提供した個人情報を引き出し、初めて配信先の住所録等が最新内容に更新されるPULLタイプのシステムである(特許文献1の段落0040)。PULLタイプとは、配信先(情報受信者)は、実際に住所録等を使用する前に、更新されている情報はないか、自分がリストしている全個人情報提供者の個人情報格納部分に確認を取って、情報を引き出さなければならない仕組みである。このため、更新のタイミングは配信先の更新要求操作のタイミングによって決定され、配信先からの更新要求操作がない限り、ネットワークに常時接続されていたとしても、配信先に記録されている個人情報提供者の個人情報は更新されない。配信先は、個人情報提供者がいつ情報を入力又は更新したのか分からないため、必要なタイミングで更新要求操作が行われない可能性があり、また更新要求操作を失念する可能性もある。このため、特許文献1の方法では、最新の個人情報を維持するシステムとして未だ十分なものではなかった。
【0012】
また、配信先(情報受信者)が個人情報提供者の個人情報の受信を希望していない場合であっても、個人情報提供者に配信先として設定されると個人情報が提供され、情報が更新されるため、不要な個人情報によって、必要な個人情報が埋もれてしまう可能性があり、また迷惑メールに類似する新たな問題を発生させる危険性もある。
【0013】
しかも、多数の個人情報提供者から配信先として設定された配信先については、更新要求操作によって、多数の個人情報提供者のそれぞれに対し更新要求信号を通知し、複数の個人情報提供者のそれぞれにおいて情報が更新されたか否かを判断し、更新されていた場合には更新情報を受信するという多数の処理を行う必要がある。更新要求操作を行うごとに、多数の処理によって長い処理時間が必要となり、またシステムの処理能力が消費され、システム障害を引き起こす可能性もある。
【0014】
加えて、配信先による更新要求操作の後に、更新処理が始まるため、配信先は、更新処理が終了するまで最新の個人情報を利用することができず、緊急に個人情報を必要としたときに最新の個人情報を即時に入手できなかった。
【0015】
本発明は、上記の従来技術を踏まえて、ネットワークに接続された情報処理装置において、情報提供者が公開する対象を制限している情報、例えば連絡先等の個人情報や私的な連絡を相互に伝達し、管理するための新規な情報管理プログラム又はシステムを提供することを目的の一つとする。また、本発明の他の一つは、連絡先等の個人情報を相互に伝達し、各ユーザーが連絡先一覧として利用できる他人の個人情報データベースを最新状態に維持するための情報管理プログラム又はシステムを提供することを他の目的とする。さらに、本発明の他の一つは、情報管理システム内での個人情報の管理だけではなく、未だ情報管理システムに参加していない相手先についても、情報管理システム内に体系的に組み込み、容易に情報管理システムの利用者を拡張できる情報管理プログラム又はシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的の少なくとも一つを解決するため、本発明の情報更新システムは、ネットワークで接続されたセンターシステムとクライアントシステムとから構成され、前記センターシステムはネットワークに接続可能な情報処理装置及び記憶媒体を有し、前記センターシステムの記憶媒体には、自分の個人情報、送信先リスト及び承諾先リストがユーザー情報として、他人の個人情報が承諾先個人情報データベースとして、ユーザー毎に記憶されており、前記情報処理装置によって、前記承諾先個人情報データベースの内容を自動的に更新する情報更新システムであって、ユーザーは、前記クライアントシステムを用いて、前記記憶媒体に記憶された自己のユーザー情報における自分の個人情報を入力又は変更することが可能であり、ユーザーは、前記クライアントシステムを用いて、前記記憶媒体に記憶された自己のユーザー情報における送信先リストに、ユーザー情報として記憶された自分の個人情報の少なくとも一部を、他のユーザーの承諾先個人情報データベースに送信することを許可する送信先を登録又は変更することが可能であり、ユーザーは、前記クライアントシステムを用いて、前記記憶媒体に記憶された自己のユーザー情報における承諾先リストに、他のユーザーの個人情報が送信されてきた場合に受信して自己の承諾先個人情報データベースの内容を変更することを許可する承諾先を登録又は変更することが可能であり、前記情報処理装置は、前記記憶媒体に記憶された自分の個人情報がユーザーによって入力又は変更されると、当該入力又は変更したユーザーのユーザー情報における送信先リストに登録された各送信先について、各送信先のユーザー情報における承諾先リストの承諾先に前記入力又は変更したユーザーが登録されているか否かを照合し、登録されている送信先に限り、前記記憶媒体に記憶されている当該送信先の承諾先個人情報データベースに、前記入力又は変更された自分の個人情報の少なくとも一部を書き込むことにより、当該送信先の承諾先個人情報データベースの内容を自動的に更新することを特徴とする。
【0017】
または、本発明の情報更新システムは、前記情報処理装置が、ユーザーによって前記ユーザー情報における送信先リストに送信先が登録されると、当該登録された送信先のユーザー情報における承諾先リストの承諾先に前記送信先を登録したユーザーが登録されているか否かを照合し、登録されている場合に限り、前記記憶媒体に記憶されている当該送信先の承諾先個人情報データベースに、前記送信先を登録したユーザーのユーザー情報における自分の個人情報の少なくとも一部を書き込むことにより、当該送信先の承諾先個人情報データベースの内容を自動的に更新することを特徴とする。
【0018】
または、本発明の情報更新システムは、前記情報処理装置が、ユーザーによって前記ユーザー情報における承諾先リストに承諾先が登録されると、当該登録された承諾先のユーザー情報における送信先リストの送信先に前記承諾先を登録したユーザーが登録されているか否かを照合し、登録されている場合に限り、前記記憶媒体に記憶されている前記承諾先を登録したユーザーの承諾先個人情報データベースに、当該承諾先のユーザー情報における自分の個人情報の少なくとも一部を書き込むことにより、前記承諾先を登録したユーザーの承諾先個人情報データベースの内容を自動的に更新することを特徴とする。
【0019】
さらに、上記情報更新システムにおいて、前記照合の結果、登録されていない場合、登録されていない状態であることを示す情報を少なくともいずれか一方のユーザーの不一致リストに登録することが好ましい。加えて、ユーザーに、当該ユーザーの不一致リストを参照して、不一致リストに登録されていたユーザーを前記ユーザー情報における前記送信先リストの送信先又は前記承諾先リストの承諾先として登録させる機能を実現させることがより好ましい。
【0020】
さらに、上記情報更新システムにおいて、前記不一致リストに登録された後に、送信先又は承諾先として登録されることによって、相互に登録された場合、当該不一致リストの登録を削除する機能を実現させることが好ましい。
【0021】
さらに、上記情報更新システムにおいて、前記照合の結果、登録されている場合、当該関係を一致リストに登録し、前記照合は、最初に前記一致リスト又は前記不一致リストを参照し、前記一致リスト又は前記不一致リストに登録されていない場合に、相手方のユーザー情報と照合することが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の情報管理プログラムによって実現される情報管理システムにおける情報更新システムでは、入力者が送信先リストに送信先を登録することは、「自己の個人情報を送信先に対して開示することを許諾する」という入力者の意思表示を意味し、また入力者が承諾先リストに承諾先を登録することは、「承諾先からの個人情報を受信して入力者の承諾先個人情報データベースの内容を変更することを許諾する」という入力者の意思表示を意味する。そして、本情報管理システムでは、あるユーザーの情報開示の意思表示と他のユーザーの情報変更の意思表示とが一致した場合に限定されてはいるものの、入力者であるユーザーの操作によって、他人の承諾先個人情報データベースを変更することを認めたシステムなのである。
【0023】
さらに、本情報管理システムでは、情報開示の意思表示と情報受信及び書き換えの意思表示とを照合した結果を照合結果情報として記憶しておくことが好ましい。つまり、情報開示の意思表示と情報受信及び書き換えの意思表示とが一致した場合には、それらの関係を一致リストに登録し、一致しなかった場合には、それらの関係を不一致リストに登録する。不一致とは、一方の意思表示に対して、他方の意思表示が行われていない状況であり、その後、他方が許諾すれば一致の状態となり情報の開示、書き換えが行われ、他方が拒否すれば拒絶の状態となる。拒絶状態については、その効果について幾つかの実施態様が考えられるが、例えば、以後、拒否したユーザーによる解除操作が行われない限り、両者の間で情報の開示や書き換えはもちろん、不一致の通知などもできないようにすることもできる。なお、送信先リストから送信先を削除した場合又は承諾先リストから承諾先を削除した場合は、当該送信先又は承諾先との関係は拒絶状態となり、情報の開示や書き換えは行われない。
【0024】
一般的には、個人の記録エリアに記録された情報を他人が勝手に閲覧、複製したり、変更したりすることは、情報の漏洩、拡散、内容の改ざん等の危険性が伴うものであるが、本システムにおいては、送信先リスト及び承諾先リストに登録することで、情報開示や情報変更の意思表示をさせ、相手側の対応する意思表示との一致を条件として情報を開示し、自動的に情報の変更を行うことを認めたのである。本情報管理システム1では、ユーザー情報として個人情報、送信先リスト及び承諾先リストを入力することによって、以下に述べる効果の一つもしくは複数が得られる。
【0025】
第一に、各ユーザーは、自己の個人情報を一元化して管理することができる。つまり、本情報管理システム内の個人情報を最新の情報に更新しておけば、個別のアプリケーション(例えば名刺作成ソフトや葉書作成ソフト)や複数の情報処理装置(自宅パーソナルコンピュータ、携帯電話、会社パーソナルコンピュータ等)において自己の個人情報の入力が必要となった場合に本情報管理システムに登録した自己の個人情報を参照したり、ダウンロードすることによって、最新の自己の個人情報を把握できる。
【0026】
第二に、各ユーザーは、自己の個人情報の少なくとも一部の開示を許諾する送信先を送信先リストに登録することにより、送信先を一括して管理することができる。さらに、送信先の受信の意思表示(承諾先への登録)と一致していれば、自己の個人情報について更新する必要がある相手(送信先)に対して、一括して更新情報を提供でき、また各送信先の承諾先個人情報データベースを自動的に書きかえることも可能である。このため、各ユーザーは、送信先リストに登録された各送信先について、承諾先個人情報データベースを最新の情報に管理することができる。加えて、各送信先について送信項目を設定することにより、送信先毎に送信する個人情報の項目(送信内容)も管理することができる。
【0027】
第三に、各ユーザーは、他人の個人情報が送信されてきた場合に受信を許可する承諾先を承諾先リストに登録することにより、承諾先を一括して管理することができる。さらに、承諾先の個人情報の開示の意思表示(送信先への登録)と一致していれば、承諾先個人情報データベースとして、他人(承諾先)の個人情報を自動的に最新情報に管理することができる。
【0028】
また、照合結果情報を記憶しておくことによって、照合速度を速くできるという効果に加えて、個人情報を更新できた送信先と更新できなかった送信先とを管理したり、個人情報を受信できた承諾先と受信できなかった承諾先とを管理することができ、さらには、送信先や承諾先が自分に対して興味を持っているか否かについても把握することができる。なお、その他の効果については、以下に述べる実施の形態において明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明にかかる個人情報管理システム全体の概略構成図
【図2】各ユーザーに関連付けされたデータ構成の一例
【図3】(A)は、入力者の個人情報の項目の一例であり、(B)は、ユーザー送信項目設定の例
【図4】送信先リストの一例
【図5】承諾先リストの一例
【図6】クライアントシステムの情報処理装置の表示手段に表示された送信先リスト及び承諾先リスト入力画面の一例
【図7】個人情報入力変更処理のフローチャートの一例
【図8】送信先・送信項目入力変更処理のフローチャートの一例
【図9】承諾先入力変更処理のフローチャートの一例
【図10】ユーザーの登録処理のフローチャートの一例
【図11】未登録者を含む照合処理のフローチャートの一例
【図12】各ユーザー及び未登録者に関連付けされたデータ構成の一例
【図13】未登録者登録処理のフローチャートの一例
【図14】照合結果情報を利用した送信先の照合処理のフローチャートの一例
【図15】情報の出力(ダウンロード)処理のフローチャートの一例
【図16】(A)及び(B)はクライアントシステムの情報処理装置の表示手段に表示された出力画面の一例
【図17】送信先を削除する処理のフローチャートの一例
【図18】承諾先を削除する処理のフローチャートの一例
【図19】本発明にかかる個人情報管理システム構成図
【図20】データ構成と各リストの対応関係を説明する図
【図21】個人情報入力変更処理における各リストのデータの対応関係を説明する図
【図22】個人情報入力変更処理における各リストのデータの対応関係を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明するが、本発明は下記例に限定されるものではない。図1は、本発明にかかる情報管理システム1全体の概略構成図である。最初に、本発明のプログラムを使用した本情報管理システム1の個々の要素及び基本的な情報処理について説明し、その後、より複雑な機能を実現させた本発明のプログラムを使用した本情報管理システム1について説明する。なお、本明細書において、システムの利用者を「ユーザー」、個人情報を入力したユーザーを「入力者」、未だシステムを利用していない者を「未登録者」と称し、後述するフローチャートの説明における入力者は、別段の記載がない限り、ユーザーAを入力者として記載する。
【0031】
情報管理システム1は、ネットワーク(電気通信回線)4で接続されたクライアント側のシステム(以下「クライアントシステム」という)2とセンター側のシステム(以下「センターシステム」という)3とで構成される。ネットワーク4は、複数の情報処理装置の間において、双方向に通信可能な伝送路であり、例えばインターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)等が挙げられる。
【0032】
図1においては、クライアントシステム2とセンターシステム3とを別々に分離して示しているが、単に機能として区別しただけであり、別々に構成される必要はない。クライアントシステム2の一部、例えば情報処理装置や記憶装置等をセンターシステム3と共有させることもできる。
【0033】
クライアントシステム2は、センターシステム3とユーザーとの間における個人情報等の入出力を可能とするシステムであり、入力手段及び出力手段を有するネットワークに接続可能な情報処理装置21において、クライアント用ソフトウェアを利用することよって実現される。情報処理装置21としては、例えば、コンピュータ、家庭用ゲーム機、テレビ、動画録画装置(DVDレコーダー、HDDレコーダー等)、携帯端末(携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯ゲーム機等)を使用することができる。
【0034】
入力手段は、キーボード、マウス、コントローラ、タッチペン等の文字・コマンド入力手段、スキャナ、カメラ等の画像入力手段、CDドライブ、DVDドライブ、USBメモリ、メモリーカードリーダー、接触式ICカードリーダー、非接触式ICカードリーダー等の電子情報入力手段などの一つ或いは複数を使用することができる。なお、入力手段は、他の情報処理装置の入力手段を用いてネットワーク回線、無線LAN等を通じて入力されてもよい。
【0035】
出力手段は、ディスプレイ、プロジェクター等の画像表示装置、プリンター等の印字装置、スピーカー等の音声出力手段、CD−RWドライブ、DVD−RWドライブ、USB、電子メールソフト等の電子情報出力手段の一つ或いは複数を使用することができる。
【0036】
クライアント用ソフトウェアは、情報処理装置21に対し、少なくとも、(1)入力手段を介してユーザーがユーザー情報(個人情報、送信先リスト及び承諾先リストを含む)を入力又は編集する機能、(2)入力又は編集されたユーザー情報をセンターシステム3に送信する機能及び(3)センターシステム3から承諾先個人情報データベースの少なくとも一部を受信し、受信した承諾先個人情報データベースの少なくとも一部を出力手段によってユーザーに出力する機能を実現させる。さらに、クライアント用ソフトウェアは、上記機能に加えて、または上記機能の一環として、ユーザーの登録認証機能、ユーザー情報識別機能、承諾先個人情報の入力、編集又は抽出機能、データ変換機能などを実現させることもできる。
【0037】
クライアント用ソフトウェアは、情報処理装置21にクライアント用プログラムをインストールして利用してもよいし、センターシステム3と回線を通じて接続することにより、センターシステム3において実行されたクライアント用プログラムの機能を情報処理装置21において利用する、いわゆるアプリケーションサービスの形態で提供されてもよい。アプリケーションサービスの形態で提供される場合、クライアントシステム2の情報処理装置21には、プログラムは複製されないが、プログラムを実行することによる各種の機能を実現できるため、実質的にはプログラムが提供されているものとみなすことができる。そして、アプリケーションサービスの形態であれば、ユーザーが複数の情報処理装置からセンターシステム3に接続する場合や他人の情報処理装置を使用する場合に、各情報処理装置にプログラムをインストールする必要がなく利便性に優れている。一方、情報処理装置21にプログラムをインストールする場合は、ネットワークを通じてオンラインでプログラムをダウンロードしてインストールしてもよいし、プログラムが記憶されたCD−ROM等の記憶媒体からインストールしてもよい。情報処理装置21にクライアントソフトウェアをインストールしておけば、ネットワークがオフラインの状態でもユーザー情報の入力、編集等を行うことができる。この場合、センターシステム3と回線を通じて接続する際に、オフライン状態で入力、編集したクライアントシステム2のユーザー情報とセンターシステム3内に保存されたユーザー情報との間で最新となるようにユーザー情報を更新すればよい。
【0038】
センターシステム3は、クライアントシステム2によって入力された情報の蓄積、管理等を行うシステムであり、ネットワークに接続可能な演算処理手段を有する情報処理装置31及び記憶媒体32を用いて、センター用ソフトウェアを利用することよって実現される。情報処理装置31としては、例えば、1つあるいは複数のコンピュータ、1つあるいは複数のサーバーを使用することができ、センターシステム3の情報処理装置31とクライアントシステム2の情報処理装置21とを共有させることもできる。
【0039】
記憶媒体32には、ユーザー毎に、少なくともユーザー情報及び承諾先個人情報データベースが記憶されている。記憶媒体32としては、情報処理装置31に直接又はネットワークを通じて接続されており、情報処理装置31に内蔵されたハードディスクであってもよいし、情報処理装置31とは別に設けられたデータウェアハウスであってもよい。記憶媒体32は、複数の情報処理装置31の記憶媒体に分散させて記憶させてもよい。なお、記憶媒体32におけるデータ構成としては、各ユーザーのユーザー情報及び承諾先個人情報データベースは、各ユーザーに関連付けて記憶されていればよい。各ユーザーに関連付けて蓄積するとは、ユーザー特定情報を入力することにより、特定されたユーザーについてのユーザー情報及び承諾先個人情報データベースを特定又は出力できる状態を指す。すなわち、ユーザーを特定することで、そのユーザーのユーザー情報及び承諾先個人情報データベースを取り出すことが可能であれば、如何なるデータ構成であってもよい。
【0040】
図2は、各ユーザーA〜Dに関連付けされた記憶媒体32に記憶されたユーザー情報及び承諾先個人情報データベースのデータ構成の一例である。ユーザー情報は、クライアント用ソフトウェアを用いて入力者から提供されたユーザーに関する情報及びパスワードやユーザーID(ユーザーが自ら入力したもの又は自動的にシステムが付けたものも含む)等のユーザー特定情報を含み、具体的には入力者(自分)の個人情報、入力者の個人情報の少なくとも一部の送信を許可する送信先を登録する送信先リスト及び他人の個人情報が送信されてきた場合に受信を許可する承諾先を登録する承諾先リストがユーザー情報に含まれる。また、ユーザー情報には、送信先リストに関連して、各送信先について個別に設定した送信項目や、予めユーザーによって設定された送信項目設定情報を含めてもよい。さらに、ユーザー情報には、送信先リスト又は承諾先リストの送信先又は承諾先に関する照合結果情報(一致リスト、不一致リスト又は拒絶リスト)を含めてもよい。
【0041】
ユーザー特定情報として、ユーザー氏名、メールアドレス、ユーザーID等のユーザーを特定する情報の一つ又は複数を利用することができる。ユーザー氏名は、同姓同名の場合があり必ずしも個人を絶対的に特定できるものとまでは言えない。メールアドレスについては、同じアドレスは一つしか存在しないが、一人で複数のアドレスを保有する場合があり、また複数人が共有する場合もあるので、これまた個人を絶対的に特定できるものとまでは言えない。
【0042】
このため、ユーザーが、送信先や承諾先として入力する、又は登録時において入力するユーザー特定情報としては、ユーザー氏名及びメールアドレスを入力させることが好ましい。ユーザー氏名を入力させることは、ユーザーを特定するための情報として一般的に利用されるものであり、個人情報として最も基本的な情報であること、及びユーザー自身が忘れずに記憶していることから好ましい。また、メールアドレスは、アドレス自体が固有のものであり唯一無二であること、及びユーザーに対し電子的に連絡を取ることが可能であることから好ましい。そして、これら二つの情報を組み合わせることによって、個人をより特定することができる。なお、ユーザーIDと連絡先を兼ねるメールアドレスだけの構成とすることも可能である。
【0043】
ユーザーIDは、ユーザーに固有のものであるから、ユーザーと一対一に対応し、ユーザーを特定及び管理するために利用することができる。ユーザーIDは、ユーザーに設定させたり、ユーザーに公開してユーザー特定情報としてユーザーに利用させることもできる。ただし、ユーザーIDの漏洩によるセキュリティ上の問題や、ID入力時における煩雑さの問題(重複するIDを登録できないため、ユーザーに固有のIDを設定できるまで、何度も入力を繰り返すことがある)、またID忘れやID間違いによるシステム離れ等の問題がある。このため、ユーザーIDは、ユーザー登録時にセンターシステム3がユーザーに対応したユーザーIDを自動的に設定することが好ましく、さらには、システムが設定したユーザーIDはユーザーに公開せずにシステム内におけるユーザー識別用に利用する構成とすることが好ましい。なお、本人に対しては、ログイン時のユーザー特定情報として利用するためにユーザーIDを開示し、その他のユーザーには開示しない構成(送信先や承諾先としてユーザーIDで特定できない態様)とすることもできる。
【0044】
図2のユーザーAのデータは、ユーザー情報として、自己の個人情報、ユーザーB及びCを送信先として登録した送信先リスト及びユーザーB及びDを承諾先として登録した承諾先リストが記憶され、承諾先個人情報データベースとして、承諾先リストに登録された承諾先から受信したユーザーBの個人情報が記録されている。ユーザーB、C及びDも、図2に示すように、内容は異なるもののデータ構成としては同様の項目が記録されている。さらに、必要に応じて、送信の意思表示と受信の意思表示とが一致した場合に登録される一致リスト、一致しなかった場合に登録される不一致リスト等の照合結果情報も各ユーザーA〜Dに関連付けて記録される。
【0045】
入力者によって入力される自分の個人情報の項目としては、例えば、入力者が入力したユーザーID、氏名、勤務先名称、所属部署名、役職、肩書、勤務先住所、勤務先電話番号、勤務先FAX番号、勤務先メールアドレス、勤務先携帯電話番号、勤務先ホームページアドレス等の仕事に関連する情報や、自宅住所、自宅電話番号、自宅FAX番号、個人用メールアドレス、個人用携帯電話番号、個人用ホームページアドレス等の個人的な連絡先情報、さらには、年齢、生年月日、血液型、性別、出身地、出身校、趣味、家族構成等のより個人的な情報を含めてもよい。また、自分の個人情報は、連絡先にかかる情報だけではなく、入力者が公開する相手を制限している情報であって、少なくとも一部の他のユーザーについての情報の受信を希望する情報が含まれる。例えば、スケジュールに関する情報、ある事項(例えば、観光、テレビ番組、映画、店舗など)に対する私的な見解などを送受信してもよい。なお、本情報管理システムは、自分の個人情報を送信先に送信し、承諾先の個人情報を受信して承諾先個人情報データベースを作成し、承諾先個人情報データベースの内容を自動的に更新するものであるから、かかる用途に合致する情報であれば、特に上記情報に限定されるものではない。
【0046】
また、ユーザーとしては、自然人だけではなく、法人や団体などが主体として、法人や団体自身に関する情報を自己の個人情報とし、他の自然人、法人又は団体に対し、情報を送信し、また、他の自然人、法人又は団体の個人情報を受信するようなシステムであってもよい。例えば、法人や団体の本店、支店所在地、連絡先に加えて、各役職の氏名や連絡先、資材担当者、人事担当者、広報担当者等の氏名や連絡先を自己の個人情報とすることができる。さらには、法人のユーザーについては、自己の個人情報として、株主総会における決定事項や、製品リコールの情報等を入力し、株主や購入者等の特定の相手に対し、送信したり、通知するための住所録として、株主や購入者等の特定の相手に関する個人情報を収集するシステムとして利用することもできる。
【0047】
さらに、個人情報は、過去の更新履歴を確認できるようにしておくことも可能である。すなわち、登録時における個人情報の内容を含め、更新される毎に、更新の内容を記憶しておくことにより、個人情報の履歴を保存しておくことが可能である。更新の都度に、全ての個人情報を保存しておいてもよいが、記憶容量の削減のために、更新した部分のみを保存しておくことがおくことが好ましい。個人情報の履歴を保存しておくことによって、後述する送信先又は承諾先の照合処理(図11参照)において、送信先や承諾先を特定する情報又は連絡先(例えば氏名及びメールアドレス)が、すでにシステムに登録されているユーザーと一致するか否かを検索する際に、各ユーザーの最新の個人情報だけではなく、履歴として保存されている各ユーザーの過去の個人情報も含めて検索することができる。メールアドレスそれ自体は唯一無二のものであるが、転職、携帯端末の機種変更、プロバイダの変更、迷惑メール対策等の理由で、メールアドレスは比較的頻繁に変更される可能性がある。このため、例えば、転職前の名刺を有している等、最新のメールアドレスは不明であるが、過去のメールアドレスは判明している状況が十分に想定されるところ、照合処理として、履歴として保存されている各ユーザーの過去の個人情報も含めて検索する処理を採用すれば、氏名と過去のメールアドレスが入力された場合であっても、履歴から、すでに登録されているユーザーであることを特定することができる。
【0048】
図3(A)は、入力者の個人情報の項目の一例である。個人情報は、情報処理装置21にインストールされたプログラムを実行するか、回線を通じてセンターシステム3に接続し、個人情報入力処理を実行することによって表示される入力画面を通じて、又はその他の互換性を有するソフトウェアを通じて入力することができる。また、名刺、履歴書、二次元バーコード等を画像入力手段によって取り込み、文字認識又はデコード機能を通じて入力してもよいし、情報処理装置21に記憶されている住所録、アドレス帳、電話帳等の電子情報を変換機能によってシステムのフォーマットに変換させて入力してもよいし、CD、DVD又はICカード等に記憶された電子情報を電子情報入力手段によって入力してもよい。
【0049】
送信先リストは、入力者が、自己の個人情報の少なくとも一部の送信を許可する送信先を登録するものであり、少なくとも送信先を特定する情報又は連絡先を一つ以上入力する。送信先を特定する情報としては、ユーザーID、ユーザー氏名又はメールアドレス等が挙げられ、連絡先としてはメールアドレス、電話番号、住所等が挙げられる。送信先を特定する情報又は連絡先として、前述した理由と同様に、氏名及びメールアドレスを入力させることが好ましい。ここで送信先を特定する情報(氏名又は連絡先)は、ユーザーがシステムに登録する際に必須の入力項目とすべきである。また、ユーザーIDがユーザーに公開されている場合は、送信先の特定としてユーザーIDを入力させてもよい。
【0050】
送信先リストには、各送信先について、送信する個人情報の項目を設定させてもよい。例えば、個人的に親しい友人や家族であれば、全ての個人情報を送信してもよいが、仕事上の知人に対しては、仕事に関する情報のみを送信するように制限したりする。図3(A)の各項目について選択できる構成であってもよいが、項目数が多いため、複数の項目を一括して設定できる機能を有することが好ましい。かかる機能として、システム側が複数の項目の包括項目、例えば「全部」、「個人連絡先」、「仕事関連情報」等を設定し、この包括項目を選択可能にした機能でもよいし、予めユーザーによって設定された複数の項目からなる送信項目を保存しておき、このユーザーが設定した送信項目(ユーザー送信項目設定)を選択可能にした機能でもよい。図3(B)は、ユーザー送信項目設定の例である。図3(B)において、丸を付した項目が送信する項目であり、ユーザー送信項目設定1は仕事関連情報を全て送信し、ユーザー送信項目設定2は個人連絡先及び自宅情報を送信し、ユーザー送信項目設定3は個人連絡先のみ送信し、ユーザー送信項目設定4は仕事関連情報の一部と自宅情報を送信する設定である。もちろん、個人情報の各項目を選択可能とした上で、包括項目又は/及びユーザー送信項目設定を選択可能な構成としてもよい。このユーザー送信項目設定機能には、クライアントシステム2またはセンターシステム3に、ユーザー送信項目設定の入力、編集、保存機能が必要となる。
【0051】
図4は、送信先リストの一例である。図4において、ユーザーが入力する項目としては、送信先の氏名、メールアドレス及び送信項目であり、ユーザーIDの項目は、システム内におけるユーザーの対応関係を管理するためにセンターシステム3によって入力される。また、照合結果の項目は、送信の要否を簡単に確認するため、送信先の承諾先リストとの照合結果や送信先の意思表示を反映させたものであり、必要に応じてセンターシステム3によって入力される。照合結果の項目において、丸は送信先との間で送信可能な状態(一致)、三角は送信先の意思表示がされていない状態(不一致)、バツは送信先が受信を拒否した状態(拒絶)を意味する。つまり、照合結果の項目は、一致リスト、不一致リスト及び拒絶リストとして機能する。照合結果の項目はユーザーに通知することが好ましく、例えば、そのまま文字や記号を表記してもよいし、送信先リストの送信先を色分け(例:一致は青、不一致は黄色、拒絶は赤)して表示してもよい。また、送信先として、システム内のユーザーだけではなく、未だシステムを利用していない未登録者Xを登録できるシステムとしてもよい。未登録者についての処理は、後述する。
【0052】
承諾先リストは、入力者が他人の個人情報についての受信を許可する承諾先を登録するものであり、少なくとも承諾先を特定する情報又は連絡先を一つ以上入力する。承諾先を特定する情報としては、ユーザーID、ユーザー氏名又はメールアドレス等であり、連絡先としてはメールアドレス、電話番号、住所等が挙げられる。承諾先を特定する情報又は連絡先としては、前述した理由と同様に、氏名及びメールアドレスを入力させることが好ましい。ここで承諾先を特定する情報(氏名又は連絡先)は、ユーザーがシステムに登録する際に必須の入力項目とすべきである。また、ユーザーIDがユーザーに公開されている場合は、承諾先の特定としてユーザーIDを入力させてもよい。承諾先については、個人情報を受信する立場であるから、受信する項目を選択させることは重要ではないが、受信する項目を選択可能としてもよい。
【0053】
図5は、承諾先リストの一例である。図5において、ユーザーが入力する項目としては、承諾先の氏名、メールアドレスであり、図5におけるユーザーIDは、システム内におけるユーザーの対応関係を管理するためにセンターシステム3によって入力されるものである。また、照合結果の項目は、受信の要否を簡単に確認するため、承諾先の送信先リストとの照合結果や承諾先の意思表示を反映させたものであり、必要に応じてセンターシステム3によって入力される。照合結果の項目において、丸は承諾先との間で受信可能な状態(一致)、三角は承諾先の意思表示がされていない状態(不一致)、バツは承諾先が受信を拒否した状態(拒絶)を意味する。つまり、照合結果の項目は、一致リスト、不一致リスト及び拒絶リストとして機能する。照合結果の項目はユーザーに通知することが好ましく、例えば、そのまま文字や記号を表記してもよいし、承諾先リストの承諾先を色分け(例:一致は青、不一致は黄色、拒絶は赤)して表示してもよい。また、承諾先として、システム内のユーザーだけではなく、未だシステムを利用していない未登録者を登録できるシステムとしてもよい。未登録者についての処理は、後述する。
【0054】
送信先リスト及び承諾先リストは、情報処理装置21にインストールされたプログラムを実行するか、回線を通じてセンターシステム3に接続し、個人情報入力処理を実行することによって表示される入力画面を通じて入力することができる。図4及び図5から、送信先リストと承諾先リストの入力項目は多くが共通するため、両者を同時に入力可能な構成とすることが好ましい。図6は、クライアントシステム2の情報処理装置21の表示手段に表示された送信先リスト及び承諾先リスト入力画面の一例である。図6において、「氏名」、「メールアドレス」の入力欄の下には、「送信先」及び「承諾先」というチェックボックスがあり、入力した連絡先を送信先、承諾先又は両方に登録することができる。さらに下段には、送信項目を設定するチェックボックスが設けられており、送信先に登録する場合に、チェックした項目を送信先に送信される個人情報として設定できる。
【0055】
承諾先個人情報データベースは、承諾先リストに登録した承諾先から送信された承諾先の個人情報の各項目を蓄積したデータベースであり、入力者毎にデータベースが記録、保存されている。承諾先リストに登録した際に、登録した承諾先の氏名及び連絡先又はユーザーIDを承諾先個人情報としてとりあえずデータベースに記録する構成(承諾先登録型)でも、承諾先から個人情報を受信した際に、新たに承諾先とその個人情報を承諾先個人情報としてデータベースに登録する構成(個人情報登録型)でもよいが、承諾先登録型とすることが好ましい。個人情報登録型の場合、承諾先との関係が一致して初めてデータベースに登録されるので、一致するまでは連絡先一覧として当該承諾先が登録されず、入力者が希望する連絡先一覧と整合していない。これに対し、承諾先登録型の場合は、承諾先リストに登録した際に連絡先一覧に登録されるので、その個人情報が受信されていないだけで、リストアップはされている。入力者が、承諾先個人情報を入力・変更できる構成であれば、情報の正確性は担保されないが、不一致の承諾先についても入力者が把握している個人情報を入力しておくことで、承諾先個人情報データベースを一応の連絡先一覧として利用することが可能である。このように、入力者も、各承諾先に関する個人情報やその他の情報(例えば、備考として知り合った経緯や人相等)も記録、保存できる構成とすることが好ましい。この場合、名刺、履歴書、二次元バーコード等を画像として取り込み文字認識機能を通じて入力させてもよいし、情報処理装置21に記憶されている住所録、アドレス帳、電話帳等の電子情報に対し、変換機能によってシステムのフォーマットに変換させて入力させてもよい。
【0056】
承諾先個人情報データベースには、承諾先の個人情報をそのまま複製して記録する態様でもよいし、承諾先の個人情報の保存場所(リンク)を記録する態様でもよい。前者の場合は、同じ情報が複数存在することになるので、記録容量的には不利であるが、ユーザーが承諾先個人情報データベースを必要としたときに即時にデータを提供できる点において好ましい。後者の場合は、記録容量的には有利であるが、その分、より高性能の演算手段を採用する必要がある。
【0057】
また、センターシステム3の記憶媒体中には、承諾先個人情報データベースとして、ユーザーIDと未同期分の更新情報だけを保持し、その他の承諾先個人情報はクライアントシステム2側の記憶媒体中に記憶する構成でもよい。この場合、クライアントシステム2を通じてセンターシステム3にアクセスした際に、未同期分の更新情報がクライアントシステム2の記憶媒体にダウンロードされる。この構成によれば、センターシステム3側の負担を大幅に減らすことができ、安価な設備でシステムを構築できる。ただし、クライアントシステム2側の記憶媒体中に記憶する構成は、各ユーザーが複数の情報処理装置21を使用して、センターシステム3にアクセスする形態には向いていない。
【0058】
さらに、承諾先個人情報データベースにおける各承諾先の個人情報を更新する際に、各承諾先のユーザーを特定する情報又は連絡先(例えば氏名及びメールアドレス)が変更された場合は、承諾先リストに登録した承諾先のユーザーを特定する情報又は連絡先も最新の情報に更新することが好ましい。なお、承諾先として登録されているユーザーが送信先としても登録されている場合には、ユーザーを特定する情報又は連絡先が更新された場合には、送信先リストに登録した送信先のユーザーを特定する情報又は連絡先も最新の情報に更新してもよい。
【0059】
図19は、より具体的な本発明にかかる個人情報管理システム1の構成図の一例である。図19において、クライアントシステム2は情報処理装置21を有し、センターシステム3は情報処理装置31と記憶媒体32とを有している。クライアントシステム2は、クライアント用ソフトウェアを実行することによって情報処理装置21に入力・編集・閲覧機能を付与し、ユーザーが自己の個人情報、送信先リスト及び承諾先リストを登録・更新できるようにする。さらに、クライアントシステム2とセンターシステム3とを同期・アクセスさせて、登録・更新された個人情報等をセンターシステム3に送信し、初期登録やセンターシステム3の記憶媒体32に記憶されている自己のユーザー情報の入力や変更を可能とする。
【0060】
また、クライアントシステム2は、センターシステム3の記憶媒体32に記憶されている自己のユーザー情報や、承諾先個人情報データベース(図中ではDBと省略する)を閲覧したり、ダウンロードすることができる。ここで、承諾先個人情報データベースは、必要となる項目だけを抽出して、住所録、電話帳、メールアドレス帳等のサブセットとして出力させてもよい。さらに、クライアントシステム2の情報処理装置中の住所録、電話帳、メールアドレス帳等のサブセットの内容をセンターシステム3と同期させることで、センターシステム3の記憶媒体32に記憶されている最新の承諾先個人情報データベースの内容に更新させることもできる。また、ダウンロードした承諾先個人情報データベースは、クライアントシステム2の情報処理装置又はセンターシステム3外の環境(ローカル環境)において、適宜編集して様々なソフトウェアや用途に展開できる。
【0061】
センターシステム3には、複数のクライアントシステム2がネットワークを介して接続されている。クライアントシステム2とセンターシステム3との間に外部システムを介在させてもよい。外部システムは少なくともユーザー認証システムを有しており、外部システムでセンターシステム3に対するユーザー認証処理の一部を実行させておき、センターシステム3へのアクセスについては、認証処理を簡易化することもできる。
【0062】
センターシステム3の情報処理装置31は、センター用ソフトウェアによって、例えば、ユーザー登録・認証システム、メニューコントロールシステム、クライアント用ソフト送出システム、DB書き込み・制御システム、閲覧・ダウンロードシステム、メール自動発信システムとして機能する。ユーザー登録・認証システムは、例えばユーザー登録処理やユーザー認証処理を実行するものであり、ユーザーによって入力されたユーザーを特定する情報及び連絡先をユーザー登録したり、ユーザー情報の個人情報と照合し、一致した場合にシステムへのアクセスを認証したりする。メニューコントロールシステムは、センターシステムにアクセスするクライアントシステムに対してその表示画面における表示を制御するものであり、ユーザーの操作に従って必要な画面を表示する。クライアント用ソフト送出システムは、例えばユーザーからの要求やシステムログインに合わせて、クライアントシステム2の情報処理装置21にクライアント用ソフトウェアを初期送信したり、クライアントシステム2にすでに搭載されたクライアント用ソフトウェアのバージョン管理を行い、必要な場合にはユーザーに最新バージョンのダウンロードを促す。DB書き込み・制御システムは、例えば記憶媒体32に記憶された各ユーザーのユーザー情報及び承諾先個人情報データベースを含むデータベースに対し、ユーザーから入力された情報をユーザー情報としてデータベースに書き込んだり、送信先と承諾先の照合処理を制御したり、照合結果をデータベースに入力したり、承諾先個人情報データベースを書き換えたりする。閲覧・ダウンロードシステムは、例えばクライアントシステム2からの要求に応じて、記憶媒体32に記憶されたユーザー情報又は承諾先個人情報データベースにおける必要な項目を表示したり、クライアントシステム2にダウンロードしたりする。メール自動発信システムは、例えば照合結果が不一致だった場合に各ユーザー(登録済み)や未登録ユーザーに対し、該ユーザーが他のユーザーによって送信先又は承諾先としてリストに登録され、承諾が求められていることをメールによって通知する。
【0063】
センターシステム3の記憶媒体32には、ユーザー毎に、少なくともユーザー情報及び承諾先個人情報データベースが記憶されている。また、未登録者毎に仮IDと不一致リストが記憶されていてもよい。さらに、ユーザー情報の一部のみを抽出したデータベースが記憶されていてもよい。例えば、ユーザー情報におけるユーザーを特定する情報を蓄積したユーザーDBを設け、ユーザー認証に利用してもよい。
【0064】
図20は、図2のデータ構成と図3ないし図5の各リストとの対応関係を説明する図である。図20において、左側には図2のデータ構成が示され、右側には、上から順に、図3に示す個人情報の項目のリスト、図4に示す送信先リスト及び図5に示す承諾先リストが示されている。図20左側のユーザーAのデータ構成におけるユーザー情報の個人情報としては、図20右上の図3に示す個人情報の各項目の全部又は一部について、ユーザーAが入力した自己の個人情報が記録されている。また、同ユーザー情報の送信先リストとしては、図20右中の送信先リストに記載されているように、送信先の氏名、メールアドレス及び送信項目が記録されており、同ユーザー情報の承諾先リストとしては、図20右下の承諾先リストに記載されているように、承諾先の氏名及びメールアドレスが記録されている。データ構成の承諾先個人情報としては、図20右上の図3に示す個人情報の各項目の全部又は一部について、承諾先の個人情報において承諾先が設定した項目について記録されている。データ構成においては、ユーザー情報の個人情報と承諾先個人情報とは別のものであるように区別されているが、図20右上の表のように一つの表とすることもできる。さらに、データ構成の一致リスト及び不一致リストは、図20右中の送信先リスト及び右下の承諾先リストに照合結果として記録されている。
【0065】
なお、データ構成及び各リストの具体的な構成や対応関係は、図20のものに限定されるものではなく、各ユーザーのユーザー情報及び承諾先個人情報データベースを取り出すことが可能であれば、如何なるデータ構成であってもよい。
【0066】
以下、情報処理システムの各情報処理について詳細に説明することとする。
【0067】
(個人情報の入力又は変更処理:図7、図21及び図22)
図7は、個人情報を入力又は変更した時の処理のフローチャートの一例であり、図22及び23は、その処理によって入力、変更、参照等される各リストのデータの対応関係を説明する図である。
【0068】
ユーザーAが、クライアントシステム2を使用して、ユーザーAの「個人情報」を入力又は変更した場合(S1)、センターシステム3は、入力者であるユーザーAのユーザー情報における送信先リストに登録されている送信先の一つを参照し(S2)、各送信先のユーザー情報における承諾先リストに承諾先として入力者であるユーザーAが登録されているか否かを照合し(S3)、登録されている場合(図7、S3のYes)に限り、当該送信先の承諾先個人情報データベースに入力者Aの個人情報を書き込む(S5)。その後、他の送信先の有無を確認し(S8)、他の送信先がある場合(図7、S8のYes)は、再び送信先の承諾先リストを参照し(S2)、他の送信先がない場合(No)は処理を終了する。
【0069】
例えば、図2、図21及び図22では、ユーザーAの送信先リストには、ユーザーB及びCが送信先として登録されており、まずユーザーBの承諾先リストを照合する(S3)。照合の結果、ユーザーBの承諾先リストには、承諾先としてユーザーAが登録されているため、センターシステム3は、入力又は変更されたユーザーAの個人情報をユーザーBの承諾先個人情報データベースに書き込む(S5、図21参照)。次に、他の送信先の有無を確認し(S8)、他の送信先としてユーザーCが存在するので、再びユーザーCの承諾先リストを照合する(S3)。照合の結果、ユーザーCの承諾先リストには、承諾先としてユーザーAが登録されていないため、センターシステム3は、ユーザーAの個人情報をユーザーCの承諾先個人情報データベースに書き込まない(図22参照)。
【0070】
さらに、照合の結果を次回以降から有効に利用するために、照合結果を記録したり、ユーザーに通知することが好ましい。例えば、ユーザーBの承諾先リストを照合した結果、承諾先としてユーザーAが登録されているため、センターシステム3は、ユーザーAの送信先リストのユーザーB又は/及びユーザーBの承諾先リストのユーザーAを一致リストに登録する(S4、図21参照)。また、ユーザーCの承諾先リストを照合した結果、承諾先としてユーザーAが登録されていないため、例えば、ユーザーAに閲覧可能な送信先に関する不一致リストにユーザーCや不一致内容を登録すること(S6、図22参照)又は/及びユーザーAに対し承諾先未登録のためユーザーCの承諾先個人情報データベースに書き込まれず、ユーザーAの個人情報が未送信である旨を通知すること(S7)が好ましい。さらに、ユーザーCについても、承諾先として登録していなかったユーザーAから送信要求があったことを伝えるために、ユーザーCの承諾先に関する不一致リストにユーザーAや不一致内容を登録すること(S6、図22参照)又は/及びユーザーCに承諾先未登録のユーザーAから送信要求があった旨を通知すること(S7)が好ましい。次回の個人情報の更新時においては、送信先リストの送信先について、一致リスト及び不一致リストを参照するだけで、承諾先リストにユーザーAが登録されているか否かを確認できるので、情報の書き換え可能な送信先を素早く特定でき、処理が速くなる。また、不一致リストに基づいて、意思表示の一致していない相手方を特定することができ、相手方に対して、メールや口頭によって、システムに登録するよう依頼したり、情報未送信の相手方を管理することができる。
【0071】
(送信先リストの入力処理:図8)
図8は、送信先又は送信項目を入力又は変更した時の処理のフローチャートの一例である。ユーザーAが、クライアントシステム2を使用して、ユーザーAの「送信先」又は各送信先の「送信項目」を入力又は変更した場合(S11)、センターシステム3は、入力又は変更された「送信先」の一つ、又は「送信項目」が入力又は変更された送信先の一つを参照し(S12)、送信先のユーザー情報における承諾先リストに承諾先として入力者であるユーザーAが登録されているか否かを照合し(S13)、登録されている場合(図8、S13のYes)に限り、送信項目を参照して(S15)、当該送信先の承諾先個人情報データベースに入力者Aの個人情報を書き込む(S16)。その後、他の送信先の有無を確認し(S19)、他の送信先がある場合(図8、S19のYes)は、再び送信先の承諾先リストを参照し(S12)、他の送信先がない場合(No)は処理を終了する。
【0072】
例えば、図2において、ユーザーAが、クライアントシステム2を使用して、ユーザーAの「送信先リスト」に送信先として新たにユーザーDを登録した場合、センターシステム3は、入力されたユーザーDのユーザー情報を参照し(S12)、ユーザーDの承諾先リストに承諾先として入力者であるユーザーAが登録されているか否かを照合する(S13)。ユーザーDの承諾先リストにはユーザーAが登録されているので、センターシステム3は、ユーザーAの個人情報をユーザーDの承諾先個人情報データベースに書き込む(S16)。また、上述したように、照合した結果、承諾先として登録されていた場合は一致リストに登録し(S14)、登録されていない場合は不一致リストに登録し(S17)、各ユーザーに通知すること(S18)が好ましい。さらに、センターシステム3は、ユーザーAの不一致リストにユーザーDが登録されている場合やユーザーDの不一致リストにユーザーAが登録されている場合等には、それらを不一致リストから削除する。
【0073】
なお、上述した不一致リストに基づいて、送信先を送信先リストに登録することもできる。例えば、ユーザーDが、不一致リストを参照し、不一致リストに登録されているユーザーAを送信先リストに登録すれば、ユーザーAはすでに送信の意思表示を確認済みなので、ユーザーAのユーザー情報を参照することなく、一致リストに登録できる。また、送信リストに登録するのではなく、拒絶リストに登録してもよい。これらの場合、不一致リストによって、意思表示の一致していない相手方を特定することができ、不一致リストの登録者について、一致させるか拒否するか選択するだけで、個人情報の管理をより適切な状態に更新することができるので好ましい。
【0074】
(承諾先リストの入力処理:図9)
図9は、承諾先を入力又は変更した時の処理のフローチャートの一例である。ユーザーAが、クライアントシステム2を使用して、ユーザーAの「承諾先」を入力又は変更した場合(S21)、センターシステム3は、入力又は変更された「承諾先」の一つを参照し(S22)、承諾先のユーザー情報における送信先リストに送信先として入力者であるユーザーAが登録されているか否かを照合し(S23)、登録されている場合(図9、S23のYes)に限り、当該承諾先の個人情報をユーザーAの承諾先個人情報データベースに書き込む(S25)。その後、他の承諾先の有無を確認し(S28)、他の承諾先がある場合(図9、S28のYes)は、再び次の承諾先の送信先リストを参照し(S22)、他の承諾先がない場合(No)は処理を終了する。
【0075】
例えば、図2では、ユーザーAの承諾先は、ユーザーB及びDが登録されており、まずユーザーBの送信先リストを照合することになる(S23)。照合の結果、ユーザーBの送信先リストには、送信先としてユーザーAが登録されているため、センターシステム3は、ユーザーAの承諾先個人情報データベースにユーザーBの個人情報を書き込む(S25)。次に、ユーザーDの送信先リストを照合すると(S23)、送信先としてユーザーAが登録されていないため、センターシステム3は、ユーザーAの承諾先個人情報データベースにユーザーDの個人情報を書き込まない。このため、図2において、ユーザーAの承諾先リストにユーザーBだけではなく、ユーザーDも登録されているが、ユーザーDのユーザー情報における送信先リストにユーザーAが登録されていないため、承諾先個人情報データベースの中にはユーザーBの個人情報は記録されているが、ユーザーDの個人情報は記録されていない。なお、承諾先個人情報データベースが承諾先登録型の場合は、ユーザーDのユーザー情報における個人情報は書き込まれないが、ユーザーAが承諾先として入力したユーザーDの特定情報(氏名やID)と連絡先(メールアドレス)がユーザーAの承諾先個人情報データベースに書き込まれる。さらに、ユーザーAが入力したユーザーDに関する情報もユーザーAの承諾先個人情報データベースに書き込むことが可能な構成であってもよい。
【0076】
さらに、上述したように、照合の結果を次回以降から有効に利用するために、照合結果を記録したり、通知したりすることが好ましい。照合した結果、送信先として登録されていた場合は一致リストに登録し(S24)、登録されていない場合は不一致リストに登録し(S26)、各ユーザーに通知すること(S27)が好ましい。例えば、ユーザーBの送信先リストを照合した結果、送信先としてユーザーAが登録されているため、センターシステム3は、ユーザーAの承諾先リストのユーザーB又は/及びユーザーBの送信先リストのユーザーAを一致リストに登録する(S24)。
【0077】
また、ユーザーDの送信先リストを照合した結果、送信先としてユーザーAが登録されていないため、例えば、ユーザーAに閲覧可能な不一致リストにユーザーDを登録すること又は/及びユーザーAに「送信先未登録のためユーザーDの個人情報を得られなかったこと」を通知する(S26、27)。さらに、ユーザーDについても、送信先として登録していなかったユーザーAから送信要求があったことを伝えるために、ユーザーDの不一致リストにユーザーAを登録すること又は/及びユーザーDに「送信先未登録のユーザーAから受信要求があったこと」を通知することが好ましい(S26、27)。次回の承諾先リストの入力時、また承諾先の個人情報の更新時においては、承諾先リストの承諾先について、一致リスト及び不一致リストを参照するだけで、承諾先リストにユーザーAが登録されているか否かを確認できるので、情報の書き換え可能な承諾先を素早く特定でき、処理が速くなる。
【0078】
以上本個人情報管理システム1の基本的な処理について説明したが、本個人情報管理システム1において、入力者Aが送信先リストに送信先を登録することは、「自己の個人情報を送信先(例えばユーザーB及びC、未登録者X及びY)に対して開示することを許諾する」という入力者Aの意思表示を意味し、また入力者Aが承諾先リストに承諾先を登録することは、「承諾先(例えばユーザーB及びD、未登録者X及びZ)からの個人情報を受信して入力者Aの承諾先個人情報データベースの内容を変更することを許諾する」という入力者Aの意思表示を意味する。そして、本個人情報管理システム1では、あるユーザーの情報開示の意思表示と他のユーザーの情報変更の意思表示とが一致した場合に限定されてはいるものの、入力者であるユーザーAの操作によって、他人であるユーザーBの承諾先個人情報データベースを変更することを認めたシステムなのである。
【0079】
さらに、本個人情報管理システム1では、情報開示の意思表示と情報受信及び書き換えの意思表示とを照合した結果を照合結果情報として記憶しておくことが好ましい。つまり、情報開示の意思表示と情報受信及び書き換えの意思表示とが一致した場合には、それらの関係を一致リストに登録し、一致しなかった場合には、それらの関係を不一致リストに登録する。不一致とは、一方の意思表示に対して、他方の意思表示が行われていない状況であり、その後、他方が許諾すれば一致の状態となり情報の開示、書き換えが行われ、他方が拒否すれば拒絶の状態となる。拒絶状態については、その効果について幾つかの実施態様が考えられるが、例えば、以後、拒否したユーザーによる解除操作が行われない限り、両者の間で情報の開示や書き換えはもちろん、不一致の通知などもできないようにすることもできる。なお、送信先リストから送信先を削除した場合又は承諾先リストから承諾先を削除した場合は、当該送信先又は承諾先との関係は拒絶状態となり、情報の開示や書き換えは行われない。
【0080】
一般的には、個人の記録エリアに記録された情報を他人が勝手に閲覧、複製したり、変更したりすることは、情報の漏洩、拡散、内容の改ざん等の危険性が伴うものであるが、本システムにおいては、送信先リスト及び承諾先リストに登録することで、情報開示や情報変更の意思表示をさせ、相手側の対応する意思表示との一致を条件として情報を開示し、自動的に情報の変更を行うことを認めたのである。本個人情報管理システム1では、ユーザー情報として個人情報、送信先リスト及び承諾先リストを入力することによって、以下に述べる効果の一つもしくは複数が得られる。
【0081】
第一に、各ユーザーは、自己の個人情報を一元化して管理することができる。つまり、本個人情報管理システム1内の個人情報を最新の情報に更新しておけば、個別のアプリケーション(例えば名刺作成ソフトや葉書作成ソフト)や複数の情報処理装置(自宅パーソナルコンピュータ、携帯電話、会社パーソナルコンピュータ等)において自己の個人情報の入力が必要となった場合に本個人情報管理システム1に登録した自己の個人情報を参照したり、ダウンロードすることによって、最新の自己の個人情報を把握できる。
【0082】
第二に、各ユーザーは、自己の個人情報の少なくとも一部の開示を許諾する送信先を送信先リストに登録することにより、送信先を一括して管理することができる。さらに、送信先の受信の意思表示(承諾先への登録)と一致していれば、自己の個人情報について更新する必要がある相手(送信先)に対して、一括して更新情報を提供でき、また各送信先の承諾先個人情報データベースを自動的に書きかえることも可能である。このため、各ユーザーは、送信先リストに登録された各送信先について、承諾先個人情報データベースを最新の情報に管理することができる。加えて、各送信先について送信項目を設定することにより、送信先毎に送信する個人情報の項目(送信内容)も管理することができる。
【0083】
第三に、各ユーザーは、他人の個人情報が送信されてきた場合に受信を許可する承諾先を承諾先リストに登録することにより、承諾先を一括して管理することができる。さらに、承諾先の個人情報の開示の意思表示(送信先への登録)と一致していれば、承諾先個人情報データベースとして、他人(承諾先)の個人情報を自動的に最新情報に管理することができる。
【0084】
さらに、各ユーザーは、送信先リストと承諾先リストという二種類のリストを有しているため、個人情報の公開を一方通行とすることができる。すなわち、同一人物に対して、送信先リストには登録するが、承諾先リストには登録しないこと、又は送信先リストには登録しないが、承諾先リストには登録することができる。この場合、たとえ相手方が相互に自己の個人情報を公開し、相手方の承諾先個人情報データベースの更新(双方向の関係)を望んだとしても、何れか一方向の公開とそれに伴う更新の関係しか成立しないのである。いわゆるネットワーク社会においては、様々な情報が氾濫しており、それらの情報すべてを把握することは不可能であり、むしろ無数の情報から必要な情報を抽出することが重要視される。この点、個人情報においても同じであり、自己の個人情報を公開する対象として登録する送信先と、承諾先個人情報データベースの対象として登録する承諾先とは、必ずしも一致するものではない。たくさんの送信先を登録しているユーザーが、常に、送信先と同じ数の承諾先及び承諾先個人情報データベースを管理する必然性はないのである。本個人情報管理システム1は、上記のような一方向の関係も実現することができるので、かかる多様化する人間関係に対応させて適切な情報管理の態様を提供することができる。なお、お互いが送信先及び承諾先の双方に登録すれば、双方向の関係を築くことができる。
【0085】
また、照合結果情報を記憶しておくことによって、照合速度を速くできるという効果に加えて、個人情報を更新できた送信先と更新できなかった送信先とを管理したり、個人情報を受信できた承諾先と受信できなかった承諾先とを管理することができ、さらには、送信先や承諾先が自分に対して興味を持っているか否かについても把握することができる。
【0086】
以下、本個人情報管理システム1の付属的な処理や選択的に採用可能な処理を含め、より複雑な機能を実現させた本発明のプログラムを使用した本個人情報管理システム1について説明する。
【0087】
(登録処理)
まず、初めてシステムを利用する場合は、ユーザー登録処理が行われる。図10は、ユーザー登録処理のフローチャートの一例である。ユーザーAがネットワークを利用してクライアントシステム2の一部を構成する情報処理装置21からセンターシステム3にアクセスし、少なくともユーザーAを特定する情報及び連絡先を一つ以上入力する(S31)。ユーザーを特定する情報としては、ユーザーID、ユーザー氏名又はメールアドレス等であり、連絡先としてはメールアドレス、電話番号、住所等が挙げられる。図10においては、ユーザー氏名、メールアドレス及びパスワードを入力させる。図10には示していないが、同一のユーザー特定情報による二重登録を防ぐため、入力されたユーザー氏名及びメールアドレスの組み合わせについて、すでに登録されているユーザー情報のユーザー氏名とそのメールアドレスとを照合し、一致した場合には、すでに登録されている旨を通知するステップを設けることが好ましい。なお、S31の入力処理において、ユーザーAを特定する情報としてユーザーIDを入力させる場合には、その後、すでに登録されているユーザー情報のユーザーIDと照合し、一致した場合には、ユーザーAに対し、既に同じユーザーIDが登録されており、別のユーザーIDを入力するように指示するステップが必要となる。ただし、かかる効果は、一個人が、複数のユーザーとして登録することを妨げるものではない。本情報管理システムは、仕事用とプライベート用を共通して1ユーザーとして利用することも可能なシステムであるが、メールアドレスを変更することで別のユーザーとして登録することができ、仕事用のユーザーとプライベート用のユーザーを独立して登録することも可能である。
【0088】
また、登録時に、パスワードを入力させることにより、個人の特定およびセキュリティを高めることができる。パスワードは、登録時に、ユーザーに設定させてもよいし、氏名及びメールアドレスを入力させて仮登録させ、入力されたメールアドレスに対し、センターシステム3が発行したパスワードを通知してもよい。
【0089】
さらに、登録時に、その他のユーザー情報の一部または全部について入力させてもよい。もちろん、ユーザー情報は、後から追加、変更できるものではあるが、登録時点において、少なくとも自分の個人情報について入力させることが好ましい。
【0090】
次に、センターシステム3は、入力者Aが、既存のユーザーから送信先リスト又は承諾先リストにおいて未登録者として登録されているか否かを検索するため、入力されたユーザー氏名又は/及びメールアドレスを用いて、仮IDを検索する(S32)。仮IDは、後述するが、送信先又は承諾先として入力されたもののユーザー情報のユーザー特定情報に記憶されていなかった場合に付与されるものであり、仮IDに関連付けられて送信先又は承諾先として入力された連絡先等が記憶されている。ユーザーAが、仮IDに登録されていない新たなユーザーであった場合(S32のNo)には、センターシステム3は、新たなユーザーIDを設定する(S33)。仮IDの氏名及びメールアドレスと一致した場合(S32のYes)は、仮IDの内容をそのまま或いは変更してユーザーIDとして登録する(S34)。その後、ユーザーAが入力したメールアドレスに対して、システム登録済みの通知を送付する(S35)。ユーザーAにクライアントシステム2を通じて、ユーザー情報(自己の個人情報、送信先リスト及び受信先リスト)を入力させ(S36:図2〜6参照)、センターシステム3は、ユーザー情報を記憶媒体32に記憶する。入力されたユーザー情報の送信先リストに基づいて、意思表示が一致した送信先の承諾先個人情報を更新する送信先リスト照合処理を行う(S37:図7、8参照)。さらに、入力されたユーザー情報の承諾先リストに基づいて、意思表示が一致した承諾先の個人情報をユーザーAの承諾先個人情報に登録する承諾先リスト照合処理を行う(S38:図9参照)。なお、登録処理としては、S35の段階で登録完了とし、残りのユーザー情報の入力処理(S36)以降は、ユーザーの都合のよいタイミングで行わせてもよいし、S35の段階では仮登録とし、ユーザーがS36において所定のユーザー情報を入力した段階で正式登録としてもよい。さらに、システム登録の途中で、入力者の本人確認資料の提供を求めてもよい。例えば、電子証明書、住民基本台帳カード、運転免許証、保険証または学生証などの写しを送付させてもよい。
【0091】
(未登録者を含む処理)
ユーザーAが送信先及び承諾先を入力する際に、未だシステムに登録していない本登録者も対象とできるようにし、さらにその結果、システム登録者を増加させることが好ましい。このため、送信先又は承諾先として未登録者が入力された場合に、仮IDを発行し、未登録者を仮のユーザーとみなしてシステム内に組み込む。なお、仮IDは、ユーザーを特定する機能としては通常のユーザーIDと変わるものではないので、ユーザーIDと同じ符号方式によって符号を割り当ててもよい。しかし、仮IDは、自分からシステムに登録したものではないため、照合の結果、意思表示が一致しないことや送信先又は承諾先の入力間違いによっても発行されてしまいID数が多くなることから、ユーザーIDとは異なる符号方式によって符号を割り当てることが好ましい。例えば、通常のユーザーIDの符号方式として、6文字の英数字の組み合わせを順次割り当てている方式とし、仮IDの符号方式として、7文字の英数字の組み合わせを順次割り当てている方式としたり、仮IDには特定の文字列を付加したりすることで区別することができる。このように、ユーザーIDと仮IDを区別した場合、送信先又は承諾先の参照時において、最初にユーザーIDについて送信先又は承諾先が存在するか否かを検索して、その後、仮IDについて送信先又は承諾先が存在するか否かを検索すれば、意思表示の一致する送信先又は承諾先の特定を速くすることができる。すなわち、入力した送信先又は承諾先が仮IDの中に存在した場合には、意思表示が一致することはないため、仮IDを除いたユーザーID内だけを検索することで一致する送信先又は承諾先を特定できる。
【0092】
図11は、未登録者を含むシステムにおける送信先又は承諾先の照合処理(仮IDの発行処理を含む)のフローチャートの一例である。仮IDの発行処理は、送信先又は承諾先を参照し、照合する際に行われ、例えば図7のステップ2、図8のステップ12及び図9のステップ22において実行される。まず送信先又は承諾先を参照し(S41(S2、S12、S22の処理に相当))、送信先又は承諾先が記憶媒体32に記憶された各ユーザー情報の個人情報におけるユーザー特定情報及び連絡先と一致するか否かを照合し(S42)、一致するものが存在する場合は、当該一致するユーザーを送信先又は承諾先として認識し、それらの承諾先リスト又は送信先リストを照合する(S43(S3、S13、S23の処理に相当)。なお、S42において、各ユーザー情報の個人情報として過去の履歴を保存しておき、履歴として保存されている各ユーザーの過去の個人情報も含めて検索してもよい。ユーザー情報の個人情報に完全に一致するものが登録されていなかった場合、次に、仮IDのユーザー特定情報及び連絡先と一致するか否かを照合し(S44)、一致するものが存在する場合は、当該一致する仮IDの不一致リストにユーザーAや不一致内容を登録する(S46)。また、仮IDにも、一致するものが登録されていなかった場合、未だ登録されていない未登録者とみなし、仮IDを設定し、仮IDのユーザー情報の個人情報として、送信先又は承諾先として入力されたユーザー特定情報及び連絡先を記憶する(S45)。さらに、仮IDの不一致リストにユーザーAや不一致内容を登録する(S46)。なお、ステップ46において、ユーザーAの不一致リストに送信先又は承諾先や不一致内容を登録してもよい。また、仮IDの連絡先にシステム登録を促す通知や個人情報を送信したい旨の通知を行うことが好ましい(S47)。
【0093】
たとえば、図12において、ユーザーAの送信先リストに送信先としてユーザーXを登録した場合、ユーザーXのユーザー特定情報(氏名、ユーザーID)及び連絡先(メールアドレス)の組み合わせが、各ユーザーのユーザー情報における個人情報の中に存在するか否かを検索する(S42)。ユーザーXは、未登録者であるから、ユーザー情報における個人情報の中には存在しないため、センターシステム3は、仮IDの中にその組み合わせが存在するか否かを検索する(S44)。仮IDの中に同一のユーザー特定情報及び連絡先の組み合わせが存在していた場合は、その仮IDの不一致リスト中にユーザーAを登録する(S46)。また、仮IDの中にも存在しなかった場合、仮IDを設定し(S45)、その仮IDの不一致リスト中にユーザーAを登録する(S46)。そして、ユーザーXのメールアドレスにシステム登録を促す通知や個人情報を送信したい旨の通知を行う(S47)。図12におけるユーザーAの承諾先リストのユーザーXについても同様である。
【0094】
図13は、未登録者(ユーザーX)への通知からユーザー登録する際の登録処理のフローチャートの一例である。未登録者の連絡先への通知(S47)には、システムへのリンク(ウェッブアドレス)が記載されており、ユーザーXがリンクからアクセスすると、クライアントシステム2を通じてユーザー特定情報(氏名)の入力画面が表示され、ユーザーXに自己の特定情報(氏名)を入力させる(S52)。センターシステム3は、ユーザーXが入力した自己の特定情報(氏名)と、当該仮IDのユーザー特定情報として記憶されている特定情報とを照合する(S53)。入力された特定情報(氏名)と仮IDのユーザー特定情報とが一致しなかった場合(図13、S53のNo)、ユーザーXに登録処理を終了するか否かを選択させる(S54)。登録処理を終了する場合は、そのまま処理は終了となるが、登録処理を終了しない場合には、通常のユーザー登録処理(S55:図10)に移行する。入力された特定情報(氏名)と仮IDのユーザー特定情報とが一致した場合(図13、S53のYes)、仮IDの内容、例えば、仮ID番号、仮IDのユーザー特定情報及び不一致リストをそのまま或いは変更してユーザーIDとして登録する(S56)。仮IDの内容を利用することにより、登録時におけるユーザーの入力作業の一部を省略することができる。このように、ステップ52において、ユーザーXにユーザー特定情報を入力させることによって、通知された相手(ユーザーX)が送信先又は承諾先として入力されたものと同一人物であることを確認することができる。この場合には、ユーザーXへの通知には、仮IDのユーザー特定情報は記載しない。ただし、送信先又は承諾先として入力したユーザーAのユーザー特定情報は、ユーザーXへの通知に記載してもよい。
【0095】
その後、仮IDに関連付けて記憶されているユーザー特定情報、連絡先および不一致リストを表示し(S57)、必要に応じて、ユーザー情報の追加を行う(S58)。そして、センターシステム3は、送信先リストの照合処理(S59)及び承諾先リストの照合処理(S60)を行う。基本的には、図10のS38(図9参照)及び図10のS37(図7、8参照)において説明したように、送信先及び承諾先のユーザー情報と照合するものであるが、仮IDに関連付けて記憶されていた不一致リストに登録されていたユーザーを送信先又は承諾先として登録する場合には、既に、相手方の意思表示は明らかとされているため、わざわざ、各ユーザーのユーザー情報にアクセスする必要はない。
【0096】
(照合結果情報を利用した処理)
すでに述べてきたとおり、情報開示の意思表示と情報受信及び書き換えの意思表示とを照合した結果を一致リスト、不一致リスト及び拒絶リスト照合結果情報として記憶しておくことが好ましい。かかる照合結果情報は、送信先に関するものと承諾先に関するものとを区別可能に登録しておくことが好ましく、照合処理や送信先又は承諾先の入力処理において利用される。
【0097】
不一致の状態としては、入力者が送信先として登録したが、相手側が承諾先として登録していない状態(第1状態)と、入力者が承諾先として登録したが、相手側が送信先として登録していない状態(第2状態)の2種類であるが、入力者と相手とで立場が異なるため、計4種類となる。つまり、第1状態は、入力者にとっては、送信先に登録したが送信できなかった状態(以下「未送信」)であるが、相手にとっては、承諾先に登録していないため受信できなかった状態(以下「承諾先未登録」)である。また、第2状態は、入力者にとっては、承諾先に登録したが受信できなかった状態(以下「未受信」)であるが、相手にとっては、送信先として登録していないため送信できなかった状態(以下「送信先未登録」)である。未送信及び送信先未登録は、送信先に関する不一致であり、未受信及び承諾先未登録は、承諾先に関する不一致である。
【0098】
図14は、送信先の照合処理のうち照合結果情報を利用した部分のフローチャートの一例である。図14のフローチャートは、例えば、図7のS3、図8のS13又は図11のS42の前に行われる。まず送信先を参照し(S61(S2、S12、S41に相当))、送信先がユーザーAの送信先に関する一致リストに登録されているか否かを検索し(S62)、一致リストに登録されていた場合(図14のS62のYes)、送信先のユーザー情報を参照することなく個人情報を送信する(S63)。登録されていなかった場合(図14のS62のNo)は、ユーザーAの送信先に関する不一致リストに登録されているか否かを検索し(S64)、不一致リストに登録されていた場合(図14のS64のYes)、不一致内容が送信先未登録であるか否かを判断する(S65)。送信先未登録だった場合(図14のS65のYes)は、すでに相手方の承諾の意思表示がなされているため、送信先のユーザー情報を参照することなく個人情報を送信し(S63)、送信先未登録ではなかった場合(図14のS65のNo)、すなわち不一致内容が未送信だった場合は、送信先のユーザー情報を参照することなく、個人情報を送信せずに、ユーザーA又は/及び送信先の不一致リストの不一致内容を更新し(S66)、ユーザーA又は/及び送信先に対し通知する(S67)。S66における不一致内容の更新は、例えば、照合した日時を更新したり、送信内容を更新するものであるが、行わなくてもよい。不一致リストに登録されていなかった場合(図14のS64のNo)、拒絶リストに登録されているか否かを検索し(S68)、拒絶リストに登録されていた場合(図14のS68のYes)、送信先のユーザー情報を参照することなく、個人情報を送信せずに、ユーザーAに対してのみ拒絶リストにも登録されていることを通知する(S69)。拒絶リストにも登録されていなかった場合(図14のS68のNo)、ユーザー情報や仮IDに送信先が登録されているか否かを検索する処理(S70)、例えば図7のS3、図8のS13又は図11のS42によって、送信先を特定し、そのユーザー情報における承諾先リストを参照することになる。承諾先の照合時においても同様の処理が行われる。
【0099】
送信先未登録及び承諾先未登録の不一致については、送信先又は承諾先の入力時において利用することも可能である。すなわち、不一致リストにおける送信先未登録又は承諾先未登録のユーザーについて、送信先又は承諾先を登録することによって、すでに相手方の承諾の意思表示がなされているため、送信先又は承諾先のユーザー情報を参照することなく個人情報を送信したり、受信することができる。
【0100】
(出力処理)
ユーザーは、クライアントシステム2を通じて、センターシステム3に蓄積された承諾先個人情報データベースの全部又は必要な項目を特定して閲覧、ダウンロードしたり、センターシステム3と同期することによって、ユーザーの端末装置に記録されている承諾先個人情報や住所録、アドレス帳、電話帳等の内容を最新情報にアップデートすることができる。そして、承諾先個人情報を住所録、アドレス帳、電話帳等として利用することが可能であり、またユーザーの端末装置をセンターシステム3と同期することで、承諾先個人情報によって、ユーザーの端末装置に記録されている最新の情報に更新する構成も実現できる。さらに、承諾先個人情報データベースだけではなく、その他のユーザー情報についても出力可能な構成としてもよい。
【0101】
図15は、記憶媒体32に記憶された情報の出力(ダウンロード)処理のフローチャートの一例である。ユーザーAは、情報処理装置21のクライアントシステム2を通じて、センターシステム3の記憶媒体32に記憶されたユーザーAのユーザー情報及び承諾先個人情報データベースにアクセスして閲覧することが可能であり、それらの情報の少なくとも一部(特に承諾先個人情報データベース)を情報処理装置21に出力することが可能な構成とすることが好ましい。まず、ユーザーAは、出力を希望する一つもしくは複数の情報を特定する(S71)。例えば、図16(A)のように、クライアントシステム2の情報処理装置21に出力画面を表示させて、出力対象とする情報のチェックボックスを選択する構成や、図16(B)のように、対象の情報の閲覧画面において出力ボタン16を設けて特定させる構成でもよい。選択した出力情報が承諾先個人情報データベース以外(個人情報、送信先リスト、受信先リスト、照合結果情報等)の場合(S72のNo)であれば、選択された情報を記憶媒体32中から抽出し(S74)、出力する(S75)。
【0102】
選択された情報に承諾先個人情報データベースが含まれる場合(S72のYes)は、さらに、出力する前に出力項目を設定する(S73)。出力項目の設定として、個人情報の項目や出力する承諾先を設定することができる。例えば、図16(A)の承諾先個人情報データベースの下に、「全部」、「住所録」、「電話帳」というチェックボックスが配置されているが、これらは、各項目をチェックすることにより、承諾先個人情報データベースの全部を出力するか、承諾先個人情報データベースのうち住所録に関する項目(住所、氏名、肩書き等)を出力するか、電話帳に関する項目(氏名、電話番号、メールアドレス等)を出力するか一括して選択できるように構成されている。このように、複数の項目を一括して設定できる機能を有することが好ましい。複数の出力項目は、送信項目と同様に、ユーザーによって設定できるようにしてもよい。また、さらにその下には、個別の項目についても出力の有無を選択できるチェックボックスが設けられている。また、承諾先個人情報データベースのうち、どの承諾先の個人情報を出力するか設定できるように構成されていてもよい。例えば、承諾先をいくつかのグループ、例えば会社関係、大学関係、親戚関係などに分けて、そのグループを選択して出力したり、出力する承諾先を特定して出力できるようにしてもよい。なお、承諾先個人情報データベース以外の情報についても出力項目を設定してもよい。
【0103】
(削除処理)
さらに、本システムにおいては、送信先又は受信先を削除する時に、それに連動して、承諾先個人情報を削除するように構成することもできる。図17は、送信先を削除する処理のフローチャートの一例である。ユーザーAが送信先の一つを削除した場合(S81)、送信先がユーザーであるか否かを確認し(S82)、ユーザーの場合(S82のYes)には、さらに送信先の承諾先リストに登録されているか否かを確認する(S83)。その結果、承諾先リストに登録されていれば(S83のYes)、送信先の承諾先リストに登録されているユーザーAを削除する(S84)。さらに、送信先のユーザー情報における照合結果を変更し、送信先の拒絶リストにユーザーAを登録する(S87)と共に、ユーザーAの拒絶リストに送信先を登録する(S88)。また、送信先の承諾先リストにユーザーAが登録されていなかった場合には(S83のNo)、送信先の不一致リストからユーザーAを削除し(S86)、送信先の拒絶リストにユーザーAを登録する(S87)と共に、ユーザーAの拒絶リストに送信先を登録する(S88)。一方、削除した送信先がユーザーではなかった場合(S82のNo)、さらに仮ID内を検索し(S85)、仮IDの中に送信先が存在すれば(S85のYes)、送信先の不一致リストからユーザーAを削除し(S86)、送信先の拒絶リストにユーザーAを登録する(S87)と共に、ユーザーAの拒絶リストに送信先を登録する(S88)。仮IDの中にも送信先が存在しない場合(S85のNo)、ユーザーAの拒絶リストに送信先を登録する(S88)。
【0104】
図18は、承諾先を削除する処理のフローチャートの一例である。ユーザーAが承諾先の一つを削除した場合(S91)、承諾先がユーザーであるか否かを確認し(S92)、ユーザーの場合(S92のYes)には、さらに承諾先の送信先リストに登録されているか否かを確認する(S93)。その結果、送信先リストに登録されていれば(S93のYes)、承諾先の送信先リストに登録されているユーザーAを削除する(S94)。さらに、承諾先のユーザー情報における照合結果を変更し、承諾先の拒絶リストにユーザーAを登録する(S97)と共に、ユーザーAの拒絶リストに承諾先を登録する(S98)。また、承諾先の送信先リストにユーザーAが登録されていなかった場合には(S93のNo)、承諾先の不一致リストからユーザーAを削除し(S96)、承諾先の拒絶リストにユーザーAを登録する(S97)と共に、ユーザーAの拒絶リストに承諾先を登録する(S98)。一方、削除した承諾先がユーザーではなかった場合(S92のNo)、さらに仮ID内を検索し(S95)、仮IDの中に承諾先が存在すれば(S95のYes)、承諾先の不一致リストからユーザーAを削除し(S96)、承諾先の拒絶リストにユーザーAを登録する(S97)と共に、ユーザーAの拒絶リストに承諾先を登録する(S98)。仮IDの中にも承諾先が存在しない場合(S95のNo)、ユーザーAの拒絶リストに承諾先を登録する(S98)。
【0105】
なお、以上の説明においては、連絡先一覧に関する個人情報の更新を主たる目的としたシステムについて説明したが、本発明の範囲は、かかる構成に限定されるものではなく、ある特定のユーザー間において相互に情報を送受信するシステムにおいて利用可能である。また、以上の説明におけるフローチャートは一実施形態に過ぎず、適宜変更可能なものである。
【符号の説明】
【0106】
1 情報管理システム
2 クライアントシステム
3 センターシステム
4 ネットワーク(電気通信回線)
21、31 情報処理装置
32 記憶媒体
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークに接続された情報処理装置において相互に情報を伝達し、管理するための情報管理プログラム又はシステムに関し、特に、ネットワークに接続されている情報処理装置において、情報提供者が公開する相手を制限している情報、例えば連絡先等の個人情報を相互に伝達し、管理するための情報管理プログラム又はシステムに関する。具体的には、本発明は、住所録、アドレス帳、電話帳等の連絡先一覧として利用される他人の個人情報データベースを最新情報に維持するための情報管理プログラム又はシステムを含む。
【背景技術】
【0002】
一般的に、友人、取引先等の知人の連絡先は、住所録、アドレス帳、電話帳等(以下「連絡先一覧」ともいう)に記録して管理されている。従来は、紙媒体の住所録や電話帳に各連絡先を記入していたが、最近では、パーソナルコンピュータや携帯電話の普及に従い、これらの記憶媒体に各種ソフトウェアのアドレス帳、住所録、電話帳等を通じて各連絡先を入力し、電子情報として管理することが多くなっている。これらの連絡先一覧に対する知人連絡先の記入や入力処理は、名刺、電子メール、葉書、ファックス等の書面又は口頭で伝えられた情報を基に、手作業で連絡先一覧に記入、入力又は更新していた。
【0003】
引越しや結婚によって名前や自宅の住所、電話番号等が変更されたり、就職、転職、転勤等によって所属する会社名や会社の住所、電話番号、メールアドレス等が変更されたりした場合、自分の連絡先を連絡先一覧に入力している相手方に対し、新たな情報を通知する必要がある。この場合、自分の連絡先一覧を参照して各連絡先に電子メール、ハガキ、ファクシミリ、電話等によって新たな情報を通知したり、直接会った際に名刺等を渡したり、口頭で通知したりしていた。
【0004】
しかしながら、多数の連絡先に個々に通知するのは煩雑であるし、情報の入力ミスや通知忘れが生じる虞があった。電子メールを利用すれば、複数の連絡先に対し、一括して送信することができるが、必ずしもすべての連絡先に対し、同じ情報を通知するわけではないので、連絡先と通知情報との組み合わせの選択及び把握の作業が大変であり、多大な時間と労力を費やすことになる。例えば、転勤によって、個人的な住所及び電話番号と会社の住所及び電話番号の双方が変更となった場合、連絡先に応じて会社の住所及び電話番号だけを通知するのか、個人的な住所及び電話番号だけを通知するのか、または双方を通知するのか選択しなければならず、通知の遅延や誤りが生じやすかった。また、自分の連絡先一覧における連絡先が最新の情報に更新されていない場合もあり、連絡先が正しくなく、通知できないこともある。
【0005】
情報を受け取った側についても、通知された情報を手作業で住所録等に記入又は入力したり、記入又は入力された情報を更新したりするのは極めて煩雑であるし、手作業のため情報の入力ミスや更新忘れが生じることが多い。入力されている情報量が増えると、通知された情報に関連する古い情報を検索するだけでも時間が必要である。このように、他人の個人情報を記録した連絡先一覧の内容を常に最新内容に保つことは従来技術においては困難であり、連絡が取れなくなることもしばしばある。これらの連絡先一覧は、特定の相手については、頻繁に利用されるが、その他の相手については、年賀状、クリスマスカード、挨拶状(昇進、転勤、転職、就職、退職、転居、メールアドレス変更、携帯電話番号変更等)等を送る際に利用されるように、年に数回しか使用されないことも多く、その都度、相手の住所や肩書などが正しいか否かを確認しなければならず、各人の労力の総和は膨大なものであった。
【0006】
さらに、電子情報として管理される連絡先一覧は、表計算ソフト、インターネット閲覧ソフト、電子メールソフト、はがき宛名印刷ソフト、スケジュール管理ソフト等のパーソナルコンピュータのアプリケーション・ソフトや携帯電話の電話帳等、複数のソフトウェアにそれぞれ独立した連絡先一覧を有しており、各住所録等の内容を整合させて最新情報に保つことにも非常に労力が必要であった。それらの連絡先一覧は、相互にデータ変換ができる場合もあるが、それでも変換作業が必要であったり、何れの情報が最新であるのかの確認が必要であったりするため、根本的な解決手段が求められていた。
【0007】
特許文献1には、コンピュータを使用した個人情報の変更・配信方法として、個人情報提供者が関連する個人情報を変更し、コンピュータネットワークで接続されたコンピュータ・システムが当該個人情報を更新し記憶し、当該個人情報提供者が設定した配信先が更新を要求した場合に、当該発信先に対し、当該個人情報のうちの配信許容事項のみをコンピュータ・システムが配信する方法が開示されている。
【0008】
ところで、従来から、ネットワークに接続された情報処理装置における情報の伝達方法としては、電子メール、掲示板、RSS(RDF Site Summary又はRich Site Summary)が知られている。電子メールは、電子的に手紙を送信するものであり、相手のアドレスを知っていれば、送信者が特定の相手に情報を送ることができるシステムであり、情報提供者が相手を特定し、情報受信者は、個々の受信拒否等の設定は可能であるが、基本的には全体に対して開放されているシステムである。掲示板は、情報提供者が全体に情報を公開するシステムであり、情報受信者が検索ツールを活用して、特定の情報を閲覧するシステムである。RSSは、情報提供者に登録することによって情報提供者から登録者に情報を配信するシステムであり、情報提供者は全体に情報を公開しており、情報受信者が情報提供者を特定し、配信を依頼するシステムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−243186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
確かに、特許文献1の方法によれば、コンピュータネットワークを通じて、個人情報提供者が設定した配信先が更新を要求した場合に、個人情報提供者が入力した情報が配信され、自動的に入力できるので、手入力による煩雑さについては大幅に解消される。
【0011】
しかし、特許文献1の方法は、配信先(情報受信者)が能動的に更新を要求することによって、個人情報提供者が提供した個人情報を引き出し、初めて配信先の住所録等が最新内容に更新されるPULLタイプのシステムである(特許文献1の段落0040)。PULLタイプとは、配信先(情報受信者)は、実際に住所録等を使用する前に、更新されている情報はないか、自分がリストしている全個人情報提供者の個人情報格納部分に確認を取って、情報を引き出さなければならない仕組みである。このため、更新のタイミングは配信先の更新要求操作のタイミングによって決定され、配信先からの更新要求操作がない限り、ネットワークに常時接続されていたとしても、配信先に記録されている個人情報提供者の個人情報は更新されない。配信先は、個人情報提供者がいつ情報を入力又は更新したのか分からないため、必要なタイミングで更新要求操作が行われない可能性があり、また更新要求操作を失念する可能性もある。このため、特許文献1の方法では、最新の個人情報を維持するシステムとして未だ十分なものではなかった。
【0012】
また、配信先(情報受信者)が個人情報提供者の個人情報の受信を希望していない場合であっても、個人情報提供者に配信先として設定されると個人情報が提供され、情報が更新されるため、不要な個人情報によって、必要な個人情報が埋もれてしまう可能性があり、また迷惑メールに類似する新たな問題を発生させる危険性もある。
【0013】
しかも、多数の個人情報提供者から配信先として設定された配信先については、更新要求操作によって、多数の個人情報提供者のそれぞれに対し更新要求信号を通知し、複数の個人情報提供者のそれぞれにおいて情報が更新されたか否かを判断し、更新されていた場合には更新情報を受信するという多数の処理を行う必要がある。更新要求操作を行うごとに、多数の処理によって長い処理時間が必要となり、またシステムの処理能力が消費され、システム障害を引き起こす可能性もある。
【0014】
加えて、配信先による更新要求操作の後に、更新処理が始まるため、配信先は、更新処理が終了するまで最新の個人情報を利用することができず、緊急に個人情報を必要としたときに最新の個人情報を即時に入手できなかった。
【0015】
本発明は、上記の従来技術を踏まえて、ネットワークに接続された情報処理装置において、情報提供者が公開する対象を制限している情報、例えば連絡先等の個人情報や私的な連絡を相互に伝達し、管理するための新規な情報管理プログラム又はシステムを提供することを目的の一つとする。また、本発明の他の一つは、連絡先等の個人情報を相互に伝達し、各ユーザーが連絡先一覧として利用できる他人の個人情報データベースを最新状態に維持するための情報管理プログラム又はシステムを提供することを他の目的とする。さらに、本発明の他の一つは、情報管理システム内での個人情報の管理だけではなく、未だ情報管理システムに参加していない相手先についても、情報管理システム内に体系的に組み込み、容易に情報管理システムの利用者を拡張できる情報管理プログラム又はシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的の少なくとも一つを解決するため、本発明の情報更新システムは、ネットワークで接続されたセンターシステムとクライアントシステムとから構成され、前記センターシステムはネットワークに接続可能な情報処理装置及び記憶媒体を有し、前記センターシステムの記憶媒体には、自分の個人情報、送信先リスト及び承諾先リストがユーザー情報として、他人の個人情報が承諾先個人情報データベースとして、ユーザー毎に記憶されており、前記情報処理装置によって、前記承諾先個人情報データベースの内容を自動的に更新する情報更新システムであって、ユーザーは、前記クライアントシステムを用いて、前記記憶媒体に記憶された自己のユーザー情報における自分の個人情報を入力又は変更することが可能であり、ユーザーは、前記クライアントシステムを用いて、前記記憶媒体に記憶された自己のユーザー情報における送信先リストに、ユーザー情報として記憶された自分の個人情報の少なくとも一部を、他のユーザーの承諾先個人情報データベースに送信することを許可する送信先を登録又は変更することが可能であり、ユーザーは、前記クライアントシステムを用いて、前記記憶媒体に記憶された自己のユーザー情報における承諾先リストに、他のユーザーの個人情報が送信されてきた場合に受信して自己の承諾先個人情報データベースの内容を変更することを許可する承諾先を登録又は変更することが可能であり、前記情報処理装置は、前記記憶媒体に記憶された自分の個人情報がユーザーによって入力又は変更されると、当該入力又は変更したユーザーのユーザー情報における送信先リストに登録された各送信先について、各送信先のユーザー情報における承諾先リストの承諾先に前記入力又は変更したユーザーが登録されているか否かを照合し、登録されている送信先に限り、前記記憶媒体に記憶されている当該送信先の承諾先個人情報データベースに、前記入力又は変更された自分の個人情報の少なくとも一部を書き込むことにより、当該送信先の承諾先個人情報データベースの内容を自動的に更新することを特徴とする。
【0017】
または、本発明の情報更新システムは、前記情報処理装置が、ユーザーによって前記ユーザー情報における送信先リストに送信先が登録されると、当該登録された送信先のユーザー情報における承諾先リストの承諾先に前記送信先を登録したユーザーが登録されているか否かを照合し、登録されている場合に限り、前記記憶媒体に記憶されている当該送信先の承諾先個人情報データベースに、前記送信先を登録したユーザーのユーザー情報における自分の個人情報の少なくとも一部を書き込むことにより、当該送信先の承諾先個人情報データベースの内容を自動的に更新することを特徴とする。
【0018】
または、本発明の情報更新システムは、前記情報処理装置が、ユーザーによって前記ユーザー情報における承諾先リストに承諾先が登録されると、当該登録された承諾先のユーザー情報における送信先リストの送信先に前記承諾先を登録したユーザーが登録されているか否かを照合し、登録されている場合に限り、前記記憶媒体に記憶されている前記承諾先を登録したユーザーの承諾先個人情報データベースに、当該承諾先のユーザー情報における自分の個人情報の少なくとも一部を書き込むことにより、前記承諾先を登録したユーザーの承諾先個人情報データベースの内容を自動的に更新することを特徴とする。
【0019】
さらに、上記情報更新システムにおいて、前記照合の結果、登録されていない場合、登録されていない状態であることを示す情報を少なくともいずれか一方のユーザーの不一致リストに登録することが好ましい。加えて、ユーザーに、当該ユーザーの不一致リストを参照して、不一致リストに登録されていたユーザーを前記ユーザー情報における前記送信先リストの送信先又は前記承諾先リストの承諾先として登録させる機能を実現させることがより好ましい。
【0020】
さらに、上記情報更新システムにおいて、前記不一致リストに登録された後に、送信先又は承諾先として登録されることによって、相互に登録された場合、当該不一致リストの登録を削除する機能を実現させることが好ましい。
【0021】
さらに、上記情報更新システムにおいて、前記照合の結果、登録されている場合、当該関係を一致リストに登録し、前記照合は、最初に前記一致リスト又は前記不一致リストを参照し、前記一致リスト又は前記不一致リストに登録されていない場合に、相手方のユーザー情報と照合することが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の情報管理プログラムによって実現される情報管理システムにおける情報更新システムでは、入力者が送信先リストに送信先を登録することは、「自己の個人情報を送信先に対して開示することを許諾する」という入力者の意思表示を意味し、また入力者が承諾先リストに承諾先を登録することは、「承諾先からの個人情報を受信して入力者の承諾先個人情報データベースの内容を変更することを許諾する」という入力者の意思表示を意味する。そして、本情報管理システムでは、あるユーザーの情報開示の意思表示と他のユーザーの情報変更の意思表示とが一致した場合に限定されてはいるものの、入力者であるユーザーの操作によって、他人の承諾先個人情報データベースを変更することを認めたシステムなのである。
【0023】
さらに、本情報管理システムでは、情報開示の意思表示と情報受信及び書き換えの意思表示とを照合した結果を照合結果情報として記憶しておくことが好ましい。つまり、情報開示の意思表示と情報受信及び書き換えの意思表示とが一致した場合には、それらの関係を一致リストに登録し、一致しなかった場合には、それらの関係を不一致リストに登録する。不一致とは、一方の意思表示に対して、他方の意思表示が行われていない状況であり、その後、他方が許諾すれば一致の状態となり情報の開示、書き換えが行われ、他方が拒否すれば拒絶の状態となる。拒絶状態については、その効果について幾つかの実施態様が考えられるが、例えば、以後、拒否したユーザーによる解除操作が行われない限り、両者の間で情報の開示や書き換えはもちろん、不一致の通知などもできないようにすることもできる。なお、送信先リストから送信先を削除した場合又は承諾先リストから承諾先を削除した場合は、当該送信先又は承諾先との関係は拒絶状態となり、情報の開示や書き換えは行われない。
【0024】
一般的には、個人の記録エリアに記録された情報を他人が勝手に閲覧、複製したり、変更したりすることは、情報の漏洩、拡散、内容の改ざん等の危険性が伴うものであるが、本システムにおいては、送信先リスト及び承諾先リストに登録することで、情報開示や情報変更の意思表示をさせ、相手側の対応する意思表示との一致を条件として情報を開示し、自動的に情報の変更を行うことを認めたのである。本情報管理システム1では、ユーザー情報として個人情報、送信先リスト及び承諾先リストを入力することによって、以下に述べる効果の一つもしくは複数が得られる。
【0025】
第一に、各ユーザーは、自己の個人情報を一元化して管理することができる。つまり、本情報管理システム内の個人情報を最新の情報に更新しておけば、個別のアプリケーション(例えば名刺作成ソフトや葉書作成ソフト)や複数の情報処理装置(自宅パーソナルコンピュータ、携帯電話、会社パーソナルコンピュータ等)において自己の個人情報の入力が必要となった場合に本情報管理システムに登録した自己の個人情報を参照したり、ダウンロードすることによって、最新の自己の個人情報を把握できる。
【0026】
第二に、各ユーザーは、自己の個人情報の少なくとも一部の開示を許諾する送信先を送信先リストに登録することにより、送信先を一括して管理することができる。さらに、送信先の受信の意思表示(承諾先への登録)と一致していれば、自己の個人情報について更新する必要がある相手(送信先)に対して、一括して更新情報を提供でき、また各送信先の承諾先個人情報データベースを自動的に書きかえることも可能である。このため、各ユーザーは、送信先リストに登録された各送信先について、承諾先個人情報データベースを最新の情報に管理することができる。加えて、各送信先について送信項目を設定することにより、送信先毎に送信する個人情報の項目(送信内容)も管理することができる。
【0027】
第三に、各ユーザーは、他人の個人情報が送信されてきた場合に受信を許可する承諾先を承諾先リストに登録することにより、承諾先を一括して管理することができる。さらに、承諾先の個人情報の開示の意思表示(送信先への登録)と一致していれば、承諾先個人情報データベースとして、他人(承諾先)の個人情報を自動的に最新情報に管理することができる。
【0028】
また、照合結果情報を記憶しておくことによって、照合速度を速くできるという効果に加えて、個人情報を更新できた送信先と更新できなかった送信先とを管理したり、個人情報を受信できた承諾先と受信できなかった承諾先とを管理することができ、さらには、送信先や承諾先が自分に対して興味を持っているか否かについても把握することができる。なお、その他の効果については、以下に述べる実施の形態において明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明にかかる個人情報管理システム全体の概略構成図
【図2】各ユーザーに関連付けされたデータ構成の一例
【図3】(A)は、入力者の個人情報の項目の一例であり、(B)は、ユーザー送信項目設定の例
【図4】送信先リストの一例
【図5】承諾先リストの一例
【図6】クライアントシステムの情報処理装置の表示手段に表示された送信先リスト及び承諾先リスト入力画面の一例
【図7】個人情報入力変更処理のフローチャートの一例
【図8】送信先・送信項目入力変更処理のフローチャートの一例
【図9】承諾先入力変更処理のフローチャートの一例
【図10】ユーザーの登録処理のフローチャートの一例
【図11】未登録者を含む照合処理のフローチャートの一例
【図12】各ユーザー及び未登録者に関連付けされたデータ構成の一例
【図13】未登録者登録処理のフローチャートの一例
【図14】照合結果情報を利用した送信先の照合処理のフローチャートの一例
【図15】情報の出力(ダウンロード)処理のフローチャートの一例
【図16】(A)及び(B)はクライアントシステムの情報処理装置の表示手段に表示された出力画面の一例
【図17】送信先を削除する処理のフローチャートの一例
【図18】承諾先を削除する処理のフローチャートの一例
【図19】本発明にかかる個人情報管理システム構成図
【図20】データ構成と各リストの対応関係を説明する図
【図21】個人情報入力変更処理における各リストのデータの対応関係を説明する図
【図22】個人情報入力変更処理における各リストのデータの対応関係を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明するが、本発明は下記例に限定されるものではない。図1は、本発明にかかる情報管理システム1全体の概略構成図である。最初に、本発明のプログラムを使用した本情報管理システム1の個々の要素及び基本的な情報処理について説明し、その後、より複雑な機能を実現させた本発明のプログラムを使用した本情報管理システム1について説明する。なお、本明細書において、システムの利用者を「ユーザー」、個人情報を入力したユーザーを「入力者」、未だシステムを利用していない者を「未登録者」と称し、後述するフローチャートの説明における入力者は、別段の記載がない限り、ユーザーAを入力者として記載する。
【0031】
情報管理システム1は、ネットワーク(電気通信回線)4で接続されたクライアント側のシステム(以下「クライアントシステム」という)2とセンター側のシステム(以下「センターシステム」という)3とで構成される。ネットワーク4は、複数の情報処理装置の間において、双方向に通信可能な伝送路であり、例えばインターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)等が挙げられる。
【0032】
図1においては、クライアントシステム2とセンターシステム3とを別々に分離して示しているが、単に機能として区別しただけであり、別々に構成される必要はない。クライアントシステム2の一部、例えば情報処理装置や記憶装置等をセンターシステム3と共有させることもできる。
【0033】
クライアントシステム2は、センターシステム3とユーザーとの間における個人情報等の入出力を可能とするシステムであり、入力手段及び出力手段を有するネットワークに接続可能な情報処理装置21において、クライアント用ソフトウェアを利用することよって実現される。情報処理装置21としては、例えば、コンピュータ、家庭用ゲーム機、テレビ、動画録画装置(DVDレコーダー、HDDレコーダー等)、携帯端末(携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯ゲーム機等)を使用することができる。
【0034】
入力手段は、キーボード、マウス、コントローラ、タッチペン等の文字・コマンド入力手段、スキャナ、カメラ等の画像入力手段、CDドライブ、DVDドライブ、USBメモリ、メモリーカードリーダー、接触式ICカードリーダー、非接触式ICカードリーダー等の電子情報入力手段などの一つ或いは複数を使用することができる。なお、入力手段は、他の情報処理装置の入力手段を用いてネットワーク回線、無線LAN等を通じて入力されてもよい。
【0035】
出力手段は、ディスプレイ、プロジェクター等の画像表示装置、プリンター等の印字装置、スピーカー等の音声出力手段、CD−RWドライブ、DVD−RWドライブ、USB、電子メールソフト等の電子情報出力手段の一つ或いは複数を使用することができる。
【0036】
クライアント用ソフトウェアは、情報処理装置21に対し、少なくとも、(1)入力手段を介してユーザーがユーザー情報(個人情報、送信先リスト及び承諾先リストを含む)を入力又は編集する機能、(2)入力又は編集されたユーザー情報をセンターシステム3に送信する機能及び(3)センターシステム3から承諾先個人情報データベースの少なくとも一部を受信し、受信した承諾先個人情報データベースの少なくとも一部を出力手段によってユーザーに出力する機能を実現させる。さらに、クライアント用ソフトウェアは、上記機能に加えて、または上記機能の一環として、ユーザーの登録認証機能、ユーザー情報識別機能、承諾先個人情報の入力、編集又は抽出機能、データ変換機能などを実現させることもできる。
【0037】
クライアント用ソフトウェアは、情報処理装置21にクライアント用プログラムをインストールして利用してもよいし、センターシステム3と回線を通じて接続することにより、センターシステム3において実行されたクライアント用プログラムの機能を情報処理装置21において利用する、いわゆるアプリケーションサービスの形態で提供されてもよい。アプリケーションサービスの形態で提供される場合、クライアントシステム2の情報処理装置21には、プログラムは複製されないが、プログラムを実行することによる各種の機能を実現できるため、実質的にはプログラムが提供されているものとみなすことができる。そして、アプリケーションサービスの形態であれば、ユーザーが複数の情報処理装置からセンターシステム3に接続する場合や他人の情報処理装置を使用する場合に、各情報処理装置にプログラムをインストールする必要がなく利便性に優れている。一方、情報処理装置21にプログラムをインストールする場合は、ネットワークを通じてオンラインでプログラムをダウンロードしてインストールしてもよいし、プログラムが記憶されたCD−ROM等の記憶媒体からインストールしてもよい。情報処理装置21にクライアントソフトウェアをインストールしておけば、ネットワークがオフラインの状態でもユーザー情報の入力、編集等を行うことができる。この場合、センターシステム3と回線を通じて接続する際に、オフライン状態で入力、編集したクライアントシステム2のユーザー情報とセンターシステム3内に保存されたユーザー情報との間で最新となるようにユーザー情報を更新すればよい。
【0038】
センターシステム3は、クライアントシステム2によって入力された情報の蓄積、管理等を行うシステムであり、ネットワークに接続可能な演算処理手段を有する情報処理装置31及び記憶媒体32を用いて、センター用ソフトウェアを利用することよって実現される。情報処理装置31としては、例えば、1つあるいは複数のコンピュータ、1つあるいは複数のサーバーを使用することができ、センターシステム3の情報処理装置31とクライアントシステム2の情報処理装置21とを共有させることもできる。
【0039】
記憶媒体32には、ユーザー毎に、少なくともユーザー情報及び承諾先個人情報データベースが記憶されている。記憶媒体32としては、情報処理装置31に直接又はネットワークを通じて接続されており、情報処理装置31に内蔵されたハードディスクであってもよいし、情報処理装置31とは別に設けられたデータウェアハウスであってもよい。記憶媒体32は、複数の情報処理装置31の記憶媒体に分散させて記憶させてもよい。なお、記憶媒体32におけるデータ構成としては、各ユーザーのユーザー情報及び承諾先個人情報データベースは、各ユーザーに関連付けて記憶されていればよい。各ユーザーに関連付けて蓄積するとは、ユーザー特定情報を入力することにより、特定されたユーザーについてのユーザー情報及び承諾先個人情報データベースを特定又は出力できる状態を指す。すなわち、ユーザーを特定することで、そのユーザーのユーザー情報及び承諾先個人情報データベースを取り出すことが可能であれば、如何なるデータ構成であってもよい。
【0040】
図2は、各ユーザーA〜Dに関連付けされた記憶媒体32に記憶されたユーザー情報及び承諾先個人情報データベースのデータ構成の一例である。ユーザー情報は、クライアント用ソフトウェアを用いて入力者から提供されたユーザーに関する情報及びパスワードやユーザーID(ユーザーが自ら入力したもの又は自動的にシステムが付けたものも含む)等のユーザー特定情報を含み、具体的には入力者(自分)の個人情報、入力者の個人情報の少なくとも一部の送信を許可する送信先を登録する送信先リスト及び他人の個人情報が送信されてきた場合に受信を許可する承諾先を登録する承諾先リストがユーザー情報に含まれる。また、ユーザー情報には、送信先リストに関連して、各送信先について個別に設定した送信項目や、予めユーザーによって設定された送信項目設定情報を含めてもよい。さらに、ユーザー情報には、送信先リスト又は承諾先リストの送信先又は承諾先に関する照合結果情報(一致リスト、不一致リスト又は拒絶リスト)を含めてもよい。
【0041】
ユーザー特定情報として、ユーザー氏名、メールアドレス、ユーザーID等のユーザーを特定する情報の一つ又は複数を利用することができる。ユーザー氏名は、同姓同名の場合があり必ずしも個人を絶対的に特定できるものとまでは言えない。メールアドレスについては、同じアドレスは一つしか存在しないが、一人で複数のアドレスを保有する場合があり、また複数人が共有する場合もあるので、これまた個人を絶対的に特定できるものとまでは言えない。
【0042】
このため、ユーザーが、送信先や承諾先として入力する、又は登録時において入力するユーザー特定情報としては、ユーザー氏名及びメールアドレスを入力させることが好ましい。ユーザー氏名を入力させることは、ユーザーを特定するための情報として一般的に利用されるものであり、個人情報として最も基本的な情報であること、及びユーザー自身が忘れずに記憶していることから好ましい。また、メールアドレスは、アドレス自体が固有のものであり唯一無二であること、及びユーザーに対し電子的に連絡を取ることが可能であることから好ましい。そして、これら二つの情報を組み合わせることによって、個人をより特定することができる。なお、ユーザーIDと連絡先を兼ねるメールアドレスだけの構成とすることも可能である。
【0043】
ユーザーIDは、ユーザーに固有のものであるから、ユーザーと一対一に対応し、ユーザーを特定及び管理するために利用することができる。ユーザーIDは、ユーザーに設定させたり、ユーザーに公開してユーザー特定情報としてユーザーに利用させることもできる。ただし、ユーザーIDの漏洩によるセキュリティ上の問題や、ID入力時における煩雑さの問題(重複するIDを登録できないため、ユーザーに固有のIDを設定できるまで、何度も入力を繰り返すことがある)、またID忘れやID間違いによるシステム離れ等の問題がある。このため、ユーザーIDは、ユーザー登録時にセンターシステム3がユーザーに対応したユーザーIDを自動的に設定することが好ましく、さらには、システムが設定したユーザーIDはユーザーに公開せずにシステム内におけるユーザー識別用に利用する構成とすることが好ましい。なお、本人に対しては、ログイン時のユーザー特定情報として利用するためにユーザーIDを開示し、その他のユーザーには開示しない構成(送信先や承諾先としてユーザーIDで特定できない態様)とすることもできる。
【0044】
図2のユーザーAのデータは、ユーザー情報として、自己の個人情報、ユーザーB及びCを送信先として登録した送信先リスト及びユーザーB及びDを承諾先として登録した承諾先リストが記憶され、承諾先個人情報データベースとして、承諾先リストに登録された承諾先から受信したユーザーBの個人情報が記録されている。ユーザーB、C及びDも、図2に示すように、内容は異なるもののデータ構成としては同様の項目が記録されている。さらに、必要に応じて、送信の意思表示と受信の意思表示とが一致した場合に登録される一致リスト、一致しなかった場合に登録される不一致リスト等の照合結果情報も各ユーザーA〜Dに関連付けて記録される。
【0045】
入力者によって入力される自分の個人情報の項目としては、例えば、入力者が入力したユーザーID、氏名、勤務先名称、所属部署名、役職、肩書、勤務先住所、勤務先電話番号、勤務先FAX番号、勤務先メールアドレス、勤務先携帯電話番号、勤務先ホームページアドレス等の仕事に関連する情報や、自宅住所、自宅電話番号、自宅FAX番号、個人用メールアドレス、個人用携帯電話番号、個人用ホームページアドレス等の個人的な連絡先情報、さらには、年齢、生年月日、血液型、性別、出身地、出身校、趣味、家族構成等のより個人的な情報を含めてもよい。また、自分の個人情報は、連絡先にかかる情報だけではなく、入力者が公開する相手を制限している情報であって、少なくとも一部の他のユーザーについての情報の受信を希望する情報が含まれる。例えば、スケジュールに関する情報、ある事項(例えば、観光、テレビ番組、映画、店舗など)に対する私的な見解などを送受信してもよい。なお、本情報管理システムは、自分の個人情報を送信先に送信し、承諾先の個人情報を受信して承諾先個人情報データベースを作成し、承諾先個人情報データベースの内容を自動的に更新するものであるから、かかる用途に合致する情報であれば、特に上記情報に限定されるものではない。
【0046】
また、ユーザーとしては、自然人だけではなく、法人や団体などが主体として、法人や団体自身に関する情報を自己の個人情報とし、他の自然人、法人又は団体に対し、情報を送信し、また、他の自然人、法人又は団体の個人情報を受信するようなシステムであってもよい。例えば、法人や団体の本店、支店所在地、連絡先に加えて、各役職の氏名や連絡先、資材担当者、人事担当者、広報担当者等の氏名や連絡先を自己の個人情報とすることができる。さらには、法人のユーザーについては、自己の個人情報として、株主総会における決定事項や、製品リコールの情報等を入力し、株主や購入者等の特定の相手に対し、送信したり、通知するための住所録として、株主や購入者等の特定の相手に関する個人情報を収集するシステムとして利用することもできる。
【0047】
さらに、個人情報は、過去の更新履歴を確認できるようにしておくことも可能である。すなわち、登録時における個人情報の内容を含め、更新される毎に、更新の内容を記憶しておくことにより、個人情報の履歴を保存しておくことが可能である。更新の都度に、全ての個人情報を保存しておいてもよいが、記憶容量の削減のために、更新した部分のみを保存しておくことがおくことが好ましい。個人情報の履歴を保存しておくことによって、後述する送信先又は承諾先の照合処理(図11参照)において、送信先や承諾先を特定する情報又は連絡先(例えば氏名及びメールアドレス)が、すでにシステムに登録されているユーザーと一致するか否かを検索する際に、各ユーザーの最新の個人情報だけではなく、履歴として保存されている各ユーザーの過去の個人情報も含めて検索することができる。メールアドレスそれ自体は唯一無二のものであるが、転職、携帯端末の機種変更、プロバイダの変更、迷惑メール対策等の理由で、メールアドレスは比較的頻繁に変更される可能性がある。このため、例えば、転職前の名刺を有している等、最新のメールアドレスは不明であるが、過去のメールアドレスは判明している状況が十分に想定されるところ、照合処理として、履歴として保存されている各ユーザーの過去の個人情報も含めて検索する処理を採用すれば、氏名と過去のメールアドレスが入力された場合であっても、履歴から、すでに登録されているユーザーであることを特定することができる。
【0048】
図3(A)は、入力者の個人情報の項目の一例である。個人情報は、情報処理装置21にインストールされたプログラムを実行するか、回線を通じてセンターシステム3に接続し、個人情報入力処理を実行することによって表示される入力画面を通じて、又はその他の互換性を有するソフトウェアを通じて入力することができる。また、名刺、履歴書、二次元バーコード等を画像入力手段によって取り込み、文字認識又はデコード機能を通じて入力してもよいし、情報処理装置21に記憶されている住所録、アドレス帳、電話帳等の電子情報を変換機能によってシステムのフォーマットに変換させて入力してもよいし、CD、DVD又はICカード等に記憶された電子情報を電子情報入力手段によって入力してもよい。
【0049】
送信先リストは、入力者が、自己の個人情報の少なくとも一部の送信を許可する送信先を登録するものであり、少なくとも送信先を特定する情報又は連絡先を一つ以上入力する。送信先を特定する情報としては、ユーザーID、ユーザー氏名又はメールアドレス等が挙げられ、連絡先としてはメールアドレス、電話番号、住所等が挙げられる。送信先を特定する情報又は連絡先として、前述した理由と同様に、氏名及びメールアドレスを入力させることが好ましい。ここで送信先を特定する情報(氏名又は連絡先)は、ユーザーがシステムに登録する際に必須の入力項目とすべきである。また、ユーザーIDがユーザーに公開されている場合は、送信先の特定としてユーザーIDを入力させてもよい。
【0050】
送信先リストには、各送信先について、送信する個人情報の項目を設定させてもよい。例えば、個人的に親しい友人や家族であれば、全ての個人情報を送信してもよいが、仕事上の知人に対しては、仕事に関する情報のみを送信するように制限したりする。図3(A)の各項目について選択できる構成であってもよいが、項目数が多いため、複数の項目を一括して設定できる機能を有することが好ましい。かかる機能として、システム側が複数の項目の包括項目、例えば「全部」、「個人連絡先」、「仕事関連情報」等を設定し、この包括項目を選択可能にした機能でもよいし、予めユーザーによって設定された複数の項目からなる送信項目を保存しておき、このユーザーが設定した送信項目(ユーザー送信項目設定)を選択可能にした機能でもよい。図3(B)は、ユーザー送信項目設定の例である。図3(B)において、丸を付した項目が送信する項目であり、ユーザー送信項目設定1は仕事関連情報を全て送信し、ユーザー送信項目設定2は個人連絡先及び自宅情報を送信し、ユーザー送信項目設定3は個人連絡先のみ送信し、ユーザー送信項目設定4は仕事関連情報の一部と自宅情報を送信する設定である。もちろん、個人情報の各項目を選択可能とした上で、包括項目又は/及びユーザー送信項目設定を選択可能な構成としてもよい。このユーザー送信項目設定機能には、クライアントシステム2またはセンターシステム3に、ユーザー送信項目設定の入力、編集、保存機能が必要となる。
【0051】
図4は、送信先リストの一例である。図4において、ユーザーが入力する項目としては、送信先の氏名、メールアドレス及び送信項目であり、ユーザーIDの項目は、システム内におけるユーザーの対応関係を管理するためにセンターシステム3によって入力される。また、照合結果の項目は、送信の要否を簡単に確認するため、送信先の承諾先リストとの照合結果や送信先の意思表示を反映させたものであり、必要に応じてセンターシステム3によって入力される。照合結果の項目において、丸は送信先との間で送信可能な状態(一致)、三角は送信先の意思表示がされていない状態(不一致)、バツは送信先が受信を拒否した状態(拒絶)を意味する。つまり、照合結果の項目は、一致リスト、不一致リスト及び拒絶リストとして機能する。照合結果の項目はユーザーに通知することが好ましく、例えば、そのまま文字や記号を表記してもよいし、送信先リストの送信先を色分け(例:一致は青、不一致は黄色、拒絶は赤)して表示してもよい。また、送信先として、システム内のユーザーだけではなく、未だシステムを利用していない未登録者Xを登録できるシステムとしてもよい。未登録者についての処理は、後述する。
【0052】
承諾先リストは、入力者が他人の個人情報についての受信を許可する承諾先を登録するものであり、少なくとも承諾先を特定する情報又は連絡先を一つ以上入力する。承諾先を特定する情報としては、ユーザーID、ユーザー氏名又はメールアドレス等であり、連絡先としてはメールアドレス、電話番号、住所等が挙げられる。承諾先を特定する情報又は連絡先としては、前述した理由と同様に、氏名及びメールアドレスを入力させることが好ましい。ここで承諾先を特定する情報(氏名又は連絡先)は、ユーザーがシステムに登録する際に必須の入力項目とすべきである。また、ユーザーIDがユーザーに公開されている場合は、承諾先の特定としてユーザーIDを入力させてもよい。承諾先については、個人情報を受信する立場であるから、受信する項目を選択させることは重要ではないが、受信する項目を選択可能としてもよい。
【0053】
図5は、承諾先リストの一例である。図5において、ユーザーが入力する項目としては、承諾先の氏名、メールアドレスであり、図5におけるユーザーIDは、システム内におけるユーザーの対応関係を管理するためにセンターシステム3によって入力されるものである。また、照合結果の項目は、受信の要否を簡単に確認するため、承諾先の送信先リストとの照合結果や承諾先の意思表示を反映させたものであり、必要に応じてセンターシステム3によって入力される。照合結果の項目において、丸は承諾先との間で受信可能な状態(一致)、三角は承諾先の意思表示がされていない状態(不一致)、バツは承諾先が受信を拒否した状態(拒絶)を意味する。つまり、照合結果の項目は、一致リスト、不一致リスト及び拒絶リストとして機能する。照合結果の項目はユーザーに通知することが好ましく、例えば、そのまま文字や記号を表記してもよいし、承諾先リストの承諾先を色分け(例:一致は青、不一致は黄色、拒絶は赤)して表示してもよい。また、承諾先として、システム内のユーザーだけではなく、未だシステムを利用していない未登録者を登録できるシステムとしてもよい。未登録者についての処理は、後述する。
【0054】
送信先リスト及び承諾先リストは、情報処理装置21にインストールされたプログラムを実行するか、回線を通じてセンターシステム3に接続し、個人情報入力処理を実行することによって表示される入力画面を通じて入力することができる。図4及び図5から、送信先リストと承諾先リストの入力項目は多くが共通するため、両者を同時に入力可能な構成とすることが好ましい。図6は、クライアントシステム2の情報処理装置21の表示手段に表示された送信先リスト及び承諾先リスト入力画面の一例である。図6において、「氏名」、「メールアドレス」の入力欄の下には、「送信先」及び「承諾先」というチェックボックスがあり、入力した連絡先を送信先、承諾先又は両方に登録することができる。さらに下段には、送信項目を設定するチェックボックスが設けられており、送信先に登録する場合に、チェックした項目を送信先に送信される個人情報として設定できる。
【0055】
承諾先個人情報データベースは、承諾先リストに登録した承諾先から送信された承諾先の個人情報の各項目を蓄積したデータベースであり、入力者毎にデータベースが記録、保存されている。承諾先リストに登録した際に、登録した承諾先の氏名及び連絡先又はユーザーIDを承諾先個人情報としてとりあえずデータベースに記録する構成(承諾先登録型)でも、承諾先から個人情報を受信した際に、新たに承諾先とその個人情報を承諾先個人情報としてデータベースに登録する構成(個人情報登録型)でもよいが、承諾先登録型とすることが好ましい。個人情報登録型の場合、承諾先との関係が一致して初めてデータベースに登録されるので、一致するまでは連絡先一覧として当該承諾先が登録されず、入力者が希望する連絡先一覧と整合していない。これに対し、承諾先登録型の場合は、承諾先リストに登録した際に連絡先一覧に登録されるので、その個人情報が受信されていないだけで、リストアップはされている。入力者が、承諾先個人情報を入力・変更できる構成であれば、情報の正確性は担保されないが、不一致の承諾先についても入力者が把握している個人情報を入力しておくことで、承諾先個人情報データベースを一応の連絡先一覧として利用することが可能である。このように、入力者も、各承諾先に関する個人情報やその他の情報(例えば、備考として知り合った経緯や人相等)も記録、保存できる構成とすることが好ましい。この場合、名刺、履歴書、二次元バーコード等を画像として取り込み文字認識機能を通じて入力させてもよいし、情報処理装置21に記憶されている住所録、アドレス帳、電話帳等の電子情報に対し、変換機能によってシステムのフォーマットに変換させて入力させてもよい。
【0056】
承諾先個人情報データベースには、承諾先の個人情報をそのまま複製して記録する態様でもよいし、承諾先の個人情報の保存場所(リンク)を記録する態様でもよい。前者の場合は、同じ情報が複数存在することになるので、記録容量的には不利であるが、ユーザーが承諾先個人情報データベースを必要としたときに即時にデータを提供できる点において好ましい。後者の場合は、記録容量的には有利であるが、その分、より高性能の演算手段を採用する必要がある。
【0057】
また、センターシステム3の記憶媒体中には、承諾先個人情報データベースとして、ユーザーIDと未同期分の更新情報だけを保持し、その他の承諾先個人情報はクライアントシステム2側の記憶媒体中に記憶する構成でもよい。この場合、クライアントシステム2を通じてセンターシステム3にアクセスした際に、未同期分の更新情報がクライアントシステム2の記憶媒体にダウンロードされる。この構成によれば、センターシステム3側の負担を大幅に減らすことができ、安価な設備でシステムを構築できる。ただし、クライアントシステム2側の記憶媒体中に記憶する構成は、各ユーザーが複数の情報処理装置21を使用して、センターシステム3にアクセスする形態には向いていない。
【0058】
さらに、承諾先個人情報データベースにおける各承諾先の個人情報を更新する際に、各承諾先のユーザーを特定する情報又は連絡先(例えば氏名及びメールアドレス)が変更された場合は、承諾先リストに登録した承諾先のユーザーを特定する情報又は連絡先も最新の情報に更新することが好ましい。なお、承諾先として登録されているユーザーが送信先としても登録されている場合には、ユーザーを特定する情報又は連絡先が更新された場合には、送信先リストに登録した送信先のユーザーを特定する情報又は連絡先も最新の情報に更新してもよい。
【0059】
図19は、より具体的な本発明にかかる個人情報管理システム1の構成図の一例である。図19において、クライアントシステム2は情報処理装置21を有し、センターシステム3は情報処理装置31と記憶媒体32とを有している。クライアントシステム2は、クライアント用ソフトウェアを実行することによって情報処理装置21に入力・編集・閲覧機能を付与し、ユーザーが自己の個人情報、送信先リスト及び承諾先リストを登録・更新できるようにする。さらに、クライアントシステム2とセンターシステム3とを同期・アクセスさせて、登録・更新された個人情報等をセンターシステム3に送信し、初期登録やセンターシステム3の記憶媒体32に記憶されている自己のユーザー情報の入力や変更を可能とする。
【0060】
また、クライアントシステム2は、センターシステム3の記憶媒体32に記憶されている自己のユーザー情報や、承諾先個人情報データベース(図中ではDBと省略する)を閲覧したり、ダウンロードすることができる。ここで、承諾先個人情報データベースは、必要となる項目だけを抽出して、住所録、電話帳、メールアドレス帳等のサブセットとして出力させてもよい。さらに、クライアントシステム2の情報処理装置中の住所録、電話帳、メールアドレス帳等のサブセットの内容をセンターシステム3と同期させることで、センターシステム3の記憶媒体32に記憶されている最新の承諾先個人情報データベースの内容に更新させることもできる。また、ダウンロードした承諾先個人情報データベースは、クライアントシステム2の情報処理装置又はセンターシステム3外の環境(ローカル環境)において、適宜編集して様々なソフトウェアや用途に展開できる。
【0061】
センターシステム3には、複数のクライアントシステム2がネットワークを介して接続されている。クライアントシステム2とセンターシステム3との間に外部システムを介在させてもよい。外部システムは少なくともユーザー認証システムを有しており、外部システムでセンターシステム3に対するユーザー認証処理の一部を実行させておき、センターシステム3へのアクセスについては、認証処理を簡易化することもできる。
【0062】
センターシステム3の情報処理装置31は、センター用ソフトウェアによって、例えば、ユーザー登録・認証システム、メニューコントロールシステム、クライアント用ソフト送出システム、DB書き込み・制御システム、閲覧・ダウンロードシステム、メール自動発信システムとして機能する。ユーザー登録・認証システムは、例えばユーザー登録処理やユーザー認証処理を実行するものであり、ユーザーによって入力されたユーザーを特定する情報及び連絡先をユーザー登録したり、ユーザー情報の個人情報と照合し、一致した場合にシステムへのアクセスを認証したりする。メニューコントロールシステムは、センターシステムにアクセスするクライアントシステムに対してその表示画面における表示を制御するものであり、ユーザーの操作に従って必要な画面を表示する。クライアント用ソフト送出システムは、例えばユーザーからの要求やシステムログインに合わせて、クライアントシステム2の情報処理装置21にクライアント用ソフトウェアを初期送信したり、クライアントシステム2にすでに搭載されたクライアント用ソフトウェアのバージョン管理を行い、必要な場合にはユーザーに最新バージョンのダウンロードを促す。DB書き込み・制御システムは、例えば記憶媒体32に記憶された各ユーザーのユーザー情報及び承諾先個人情報データベースを含むデータベースに対し、ユーザーから入力された情報をユーザー情報としてデータベースに書き込んだり、送信先と承諾先の照合処理を制御したり、照合結果をデータベースに入力したり、承諾先個人情報データベースを書き換えたりする。閲覧・ダウンロードシステムは、例えばクライアントシステム2からの要求に応じて、記憶媒体32に記憶されたユーザー情報又は承諾先個人情報データベースにおける必要な項目を表示したり、クライアントシステム2にダウンロードしたりする。メール自動発信システムは、例えば照合結果が不一致だった場合に各ユーザー(登録済み)や未登録ユーザーに対し、該ユーザーが他のユーザーによって送信先又は承諾先としてリストに登録され、承諾が求められていることをメールによって通知する。
【0063】
センターシステム3の記憶媒体32には、ユーザー毎に、少なくともユーザー情報及び承諾先個人情報データベースが記憶されている。また、未登録者毎に仮IDと不一致リストが記憶されていてもよい。さらに、ユーザー情報の一部のみを抽出したデータベースが記憶されていてもよい。例えば、ユーザー情報におけるユーザーを特定する情報を蓄積したユーザーDBを設け、ユーザー認証に利用してもよい。
【0064】
図20は、図2のデータ構成と図3ないし図5の各リストとの対応関係を説明する図である。図20において、左側には図2のデータ構成が示され、右側には、上から順に、図3に示す個人情報の項目のリスト、図4に示す送信先リスト及び図5に示す承諾先リストが示されている。図20左側のユーザーAのデータ構成におけるユーザー情報の個人情報としては、図20右上の図3に示す個人情報の各項目の全部又は一部について、ユーザーAが入力した自己の個人情報が記録されている。また、同ユーザー情報の送信先リストとしては、図20右中の送信先リストに記載されているように、送信先の氏名、メールアドレス及び送信項目が記録されており、同ユーザー情報の承諾先リストとしては、図20右下の承諾先リストに記載されているように、承諾先の氏名及びメールアドレスが記録されている。データ構成の承諾先個人情報としては、図20右上の図3に示す個人情報の各項目の全部又は一部について、承諾先の個人情報において承諾先が設定した項目について記録されている。データ構成においては、ユーザー情報の個人情報と承諾先個人情報とは別のものであるように区別されているが、図20右上の表のように一つの表とすることもできる。さらに、データ構成の一致リスト及び不一致リストは、図20右中の送信先リスト及び右下の承諾先リストに照合結果として記録されている。
【0065】
なお、データ構成及び各リストの具体的な構成や対応関係は、図20のものに限定されるものではなく、各ユーザーのユーザー情報及び承諾先個人情報データベースを取り出すことが可能であれば、如何なるデータ構成であってもよい。
【0066】
以下、情報処理システムの各情報処理について詳細に説明することとする。
【0067】
(個人情報の入力又は変更処理:図7、図21及び図22)
図7は、個人情報を入力又は変更した時の処理のフローチャートの一例であり、図22及び23は、その処理によって入力、変更、参照等される各リストのデータの対応関係を説明する図である。
【0068】
ユーザーAが、クライアントシステム2を使用して、ユーザーAの「個人情報」を入力又は変更した場合(S1)、センターシステム3は、入力者であるユーザーAのユーザー情報における送信先リストに登録されている送信先の一つを参照し(S2)、各送信先のユーザー情報における承諾先リストに承諾先として入力者であるユーザーAが登録されているか否かを照合し(S3)、登録されている場合(図7、S3のYes)に限り、当該送信先の承諾先個人情報データベースに入力者Aの個人情報を書き込む(S5)。その後、他の送信先の有無を確認し(S8)、他の送信先がある場合(図7、S8のYes)は、再び送信先の承諾先リストを参照し(S2)、他の送信先がない場合(No)は処理を終了する。
【0069】
例えば、図2、図21及び図22では、ユーザーAの送信先リストには、ユーザーB及びCが送信先として登録されており、まずユーザーBの承諾先リストを照合する(S3)。照合の結果、ユーザーBの承諾先リストには、承諾先としてユーザーAが登録されているため、センターシステム3は、入力又は変更されたユーザーAの個人情報をユーザーBの承諾先個人情報データベースに書き込む(S5、図21参照)。次に、他の送信先の有無を確認し(S8)、他の送信先としてユーザーCが存在するので、再びユーザーCの承諾先リストを照合する(S3)。照合の結果、ユーザーCの承諾先リストには、承諾先としてユーザーAが登録されていないため、センターシステム3は、ユーザーAの個人情報をユーザーCの承諾先個人情報データベースに書き込まない(図22参照)。
【0070】
さらに、照合の結果を次回以降から有効に利用するために、照合結果を記録したり、ユーザーに通知することが好ましい。例えば、ユーザーBの承諾先リストを照合した結果、承諾先としてユーザーAが登録されているため、センターシステム3は、ユーザーAの送信先リストのユーザーB又は/及びユーザーBの承諾先リストのユーザーAを一致リストに登録する(S4、図21参照)。また、ユーザーCの承諾先リストを照合した結果、承諾先としてユーザーAが登録されていないため、例えば、ユーザーAに閲覧可能な送信先に関する不一致リストにユーザーCや不一致内容を登録すること(S6、図22参照)又は/及びユーザーAに対し承諾先未登録のためユーザーCの承諾先個人情報データベースに書き込まれず、ユーザーAの個人情報が未送信である旨を通知すること(S7)が好ましい。さらに、ユーザーCについても、承諾先として登録していなかったユーザーAから送信要求があったことを伝えるために、ユーザーCの承諾先に関する不一致リストにユーザーAや不一致内容を登録すること(S6、図22参照)又は/及びユーザーCに承諾先未登録のユーザーAから送信要求があった旨を通知すること(S7)が好ましい。次回の個人情報の更新時においては、送信先リストの送信先について、一致リスト及び不一致リストを参照するだけで、承諾先リストにユーザーAが登録されているか否かを確認できるので、情報の書き換え可能な送信先を素早く特定でき、処理が速くなる。また、不一致リストに基づいて、意思表示の一致していない相手方を特定することができ、相手方に対して、メールや口頭によって、システムに登録するよう依頼したり、情報未送信の相手方を管理することができる。
【0071】
(送信先リストの入力処理:図8)
図8は、送信先又は送信項目を入力又は変更した時の処理のフローチャートの一例である。ユーザーAが、クライアントシステム2を使用して、ユーザーAの「送信先」又は各送信先の「送信項目」を入力又は変更した場合(S11)、センターシステム3は、入力又は変更された「送信先」の一つ、又は「送信項目」が入力又は変更された送信先の一つを参照し(S12)、送信先のユーザー情報における承諾先リストに承諾先として入力者であるユーザーAが登録されているか否かを照合し(S13)、登録されている場合(図8、S13のYes)に限り、送信項目を参照して(S15)、当該送信先の承諾先個人情報データベースに入力者Aの個人情報を書き込む(S16)。その後、他の送信先の有無を確認し(S19)、他の送信先がある場合(図8、S19のYes)は、再び送信先の承諾先リストを参照し(S12)、他の送信先がない場合(No)は処理を終了する。
【0072】
例えば、図2において、ユーザーAが、クライアントシステム2を使用して、ユーザーAの「送信先リスト」に送信先として新たにユーザーDを登録した場合、センターシステム3は、入力されたユーザーDのユーザー情報を参照し(S12)、ユーザーDの承諾先リストに承諾先として入力者であるユーザーAが登録されているか否かを照合する(S13)。ユーザーDの承諾先リストにはユーザーAが登録されているので、センターシステム3は、ユーザーAの個人情報をユーザーDの承諾先個人情報データベースに書き込む(S16)。また、上述したように、照合した結果、承諾先として登録されていた場合は一致リストに登録し(S14)、登録されていない場合は不一致リストに登録し(S17)、各ユーザーに通知すること(S18)が好ましい。さらに、センターシステム3は、ユーザーAの不一致リストにユーザーDが登録されている場合やユーザーDの不一致リストにユーザーAが登録されている場合等には、それらを不一致リストから削除する。
【0073】
なお、上述した不一致リストに基づいて、送信先を送信先リストに登録することもできる。例えば、ユーザーDが、不一致リストを参照し、不一致リストに登録されているユーザーAを送信先リストに登録すれば、ユーザーAはすでに送信の意思表示を確認済みなので、ユーザーAのユーザー情報を参照することなく、一致リストに登録できる。また、送信リストに登録するのではなく、拒絶リストに登録してもよい。これらの場合、不一致リストによって、意思表示の一致していない相手方を特定することができ、不一致リストの登録者について、一致させるか拒否するか選択するだけで、個人情報の管理をより適切な状態に更新することができるので好ましい。
【0074】
(承諾先リストの入力処理:図9)
図9は、承諾先を入力又は変更した時の処理のフローチャートの一例である。ユーザーAが、クライアントシステム2を使用して、ユーザーAの「承諾先」を入力又は変更した場合(S21)、センターシステム3は、入力又は変更された「承諾先」の一つを参照し(S22)、承諾先のユーザー情報における送信先リストに送信先として入力者であるユーザーAが登録されているか否かを照合し(S23)、登録されている場合(図9、S23のYes)に限り、当該承諾先の個人情報をユーザーAの承諾先個人情報データベースに書き込む(S25)。その後、他の承諾先の有無を確認し(S28)、他の承諾先がある場合(図9、S28のYes)は、再び次の承諾先の送信先リストを参照し(S22)、他の承諾先がない場合(No)は処理を終了する。
【0075】
例えば、図2では、ユーザーAの承諾先は、ユーザーB及びDが登録されており、まずユーザーBの送信先リストを照合することになる(S23)。照合の結果、ユーザーBの送信先リストには、送信先としてユーザーAが登録されているため、センターシステム3は、ユーザーAの承諾先個人情報データベースにユーザーBの個人情報を書き込む(S25)。次に、ユーザーDの送信先リストを照合すると(S23)、送信先としてユーザーAが登録されていないため、センターシステム3は、ユーザーAの承諾先個人情報データベースにユーザーDの個人情報を書き込まない。このため、図2において、ユーザーAの承諾先リストにユーザーBだけではなく、ユーザーDも登録されているが、ユーザーDのユーザー情報における送信先リストにユーザーAが登録されていないため、承諾先個人情報データベースの中にはユーザーBの個人情報は記録されているが、ユーザーDの個人情報は記録されていない。なお、承諾先個人情報データベースが承諾先登録型の場合は、ユーザーDのユーザー情報における個人情報は書き込まれないが、ユーザーAが承諾先として入力したユーザーDの特定情報(氏名やID)と連絡先(メールアドレス)がユーザーAの承諾先個人情報データベースに書き込まれる。さらに、ユーザーAが入力したユーザーDに関する情報もユーザーAの承諾先個人情報データベースに書き込むことが可能な構成であってもよい。
【0076】
さらに、上述したように、照合の結果を次回以降から有効に利用するために、照合結果を記録したり、通知したりすることが好ましい。照合した結果、送信先として登録されていた場合は一致リストに登録し(S24)、登録されていない場合は不一致リストに登録し(S26)、各ユーザーに通知すること(S27)が好ましい。例えば、ユーザーBの送信先リストを照合した結果、送信先としてユーザーAが登録されているため、センターシステム3は、ユーザーAの承諾先リストのユーザーB又は/及びユーザーBの送信先リストのユーザーAを一致リストに登録する(S24)。
【0077】
また、ユーザーDの送信先リストを照合した結果、送信先としてユーザーAが登録されていないため、例えば、ユーザーAに閲覧可能な不一致リストにユーザーDを登録すること又は/及びユーザーAに「送信先未登録のためユーザーDの個人情報を得られなかったこと」を通知する(S26、27)。さらに、ユーザーDについても、送信先として登録していなかったユーザーAから送信要求があったことを伝えるために、ユーザーDの不一致リストにユーザーAを登録すること又は/及びユーザーDに「送信先未登録のユーザーAから受信要求があったこと」を通知することが好ましい(S26、27)。次回の承諾先リストの入力時、また承諾先の個人情報の更新時においては、承諾先リストの承諾先について、一致リスト及び不一致リストを参照するだけで、承諾先リストにユーザーAが登録されているか否かを確認できるので、情報の書き換え可能な承諾先を素早く特定でき、処理が速くなる。
【0078】
以上本個人情報管理システム1の基本的な処理について説明したが、本個人情報管理システム1において、入力者Aが送信先リストに送信先を登録することは、「自己の個人情報を送信先(例えばユーザーB及びC、未登録者X及びY)に対して開示することを許諾する」という入力者Aの意思表示を意味し、また入力者Aが承諾先リストに承諾先を登録することは、「承諾先(例えばユーザーB及びD、未登録者X及びZ)からの個人情報を受信して入力者Aの承諾先個人情報データベースの内容を変更することを許諾する」という入力者Aの意思表示を意味する。そして、本個人情報管理システム1では、あるユーザーの情報開示の意思表示と他のユーザーの情報変更の意思表示とが一致した場合に限定されてはいるものの、入力者であるユーザーAの操作によって、他人であるユーザーBの承諾先個人情報データベースを変更することを認めたシステムなのである。
【0079】
さらに、本個人情報管理システム1では、情報開示の意思表示と情報受信及び書き換えの意思表示とを照合した結果を照合結果情報として記憶しておくことが好ましい。つまり、情報開示の意思表示と情報受信及び書き換えの意思表示とが一致した場合には、それらの関係を一致リストに登録し、一致しなかった場合には、それらの関係を不一致リストに登録する。不一致とは、一方の意思表示に対して、他方の意思表示が行われていない状況であり、その後、他方が許諾すれば一致の状態となり情報の開示、書き換えが行われ、他方が拒否すれば拒絶の状態となる。拒絶状態については、その効果について幾つかの実施態様が考えられるが、例えば、以後、拒否したユーザーによる解除操作が行われない限り、両者の間で情報の開示や書き換えはもちろん、不一致の通知などもできないようにすることもできる。なお、送信先リストから送信先を削除した場合又は承諾先リストから承諾先を削除した場合は、当該送信先又は承諾先との関係は拒絶状態となり、情報の開示や書き換えは行われない。
【0080】
一般的には、個人の記録エリアに記録された情報を他人が勝手に閲覧、複製したり、変更したりすることは、情報の漏洩、拡散、内容の改ざん等の危険性が伴うものであるが、本システムにおいては、送信先リスト及び承諾先リストに登録することで、情報開示や情報変更の意思表示をさせ、相手側の対応する意思表示との一致を条件として情報を開示し、自動的に情報の変更を行うことを認めたのである。本個人情報管理システム1では、ユーザー情報として個人情報、送信先リスト及び承諾先リストを入力することによって、以下に述べる効果の一つもしくは複数が得られる。
【0081】
第一に、各ユーザーは、自己の個人情報を一元化して管理することができる。つまり、本個人情報管理システム1内の個人情報を最新の情報に更新しておけば、個別のアプリケーション(例えば名刺作成ソフトや葉書作成ソフト)や複数の情報処理装置(自宅パーソナルコンピュータ、携帯電話、会社パーソナルコンピュータ等)において自己の個人情報の入力が必要となった場合に本個人情報管理システム1に登録した自己の個人情報を参照したり、ダウンロードすることによって、最新の自己の個人情報を把握できる。
【0082】
第二に、各ユーザーは、自己の個人情報の少なくとも一部の開示を許諾する送信先を送信先リストに登録することにより、送信先を一括して管理することができる。さらに、送信先の受信の意思表示(承諾先への登録)と一致していれば、自己の個人情報について更新する必要がある相手(送信先)に対して、一括して更新情報を提供でき、また各送信先の承諾先個人情報データベースを自動的に書きかえることも可能である。このため、各ユーザーは、送信先リストに登録された各送信先について、承諾先個人情報データベースを最新の情報に管理することができる。加えて、各送信先について送信項目を設定することにより、送信先毎に送信する個人情報の項目(送信内容)も管理することができる。
【0083】
第三に、各ユーザーは、他人の個人情報が送信されてきた場合に受信を許可する承諾先を承諾先リストに登録することにより、承諾先を一括して管理することができる。さらに、承諾先の個人情報の開示の意思表示(送信先への登録)と一致していれば、承諾先個人情報データベースとして、他人(承諾先)の個人情報を自動的に最新情報に管理することができる。
【0084】
さらに、各ユーザーは、送信先リストと承諾先リストという二種類のリストを有しているため、個人情報の公開を一方通行とすることができる。すなわち、同一人物に対して、送信先リストには登録するが、承諾先リストには登録しないこと、又は送信先リストには登録しないが、承諾先リストには登録することができる。この場合、たとえ相手方が相互に自己の個人情報を公開し、相手方の承諾先個人情報データベースの更新(双方向の関係)を望んだとしても、何れか一方向の公開とそれに伴う更新の関係しか成立しないのである。いわゆるネットワーク社会においては、様々な情報が氾濫しており、それらの情報すべてを把握することは不可能であり、むしろ無数の情報から必要な情報を抽出することが重要視される。この点、個人情報においても同じであり、自己の個人情報を公開する対象として登録する送信先と、承諾先個人情報データベースの対象として登録する承諾先とは、必ずしも一致するものではない。たくさんの送信先を登録しているユーザーが、常に、送信先と同じ数の承諾先及び承諾先個人情報データベースを管理する必然性はないのである。本個人情報管理システム1は、上記のような一方向の関係も実現することができるので、かかる多様化する人間関係に対応させて適切な情報管理の態様を提供することができる。なお、お互いが送信先及び承諾先の双方に登録すれば、双方向の関係を築くことができる。
【0085】
また、照合結果情報を記憶しておくことによって、照合速度を速くできるという効果に加えて、個人情報を更新できた送信先と更新できなかった送信先とを管理したり、個人情報を受信できた承諾先と受信できなかった承諾先とを管理することができ、さらには、送信先や承諾先が自分に対して興味を持っているか否かについても把握することができる。
【0086】
以下、本個人情報管理システム1の付属的な処理や選択的に採用可能な処理を含め、より複雑な機能を実現させた本発明のプログラムを使用した本個人情報管理システム1について説明する。
【0087】
(登録処理)
まず、初めてシステムを利用する場合は、ユーザー登録処理が行われる。図10は、ユーザー登録処理のフローチャートの一例である。ユーザーAがネットワークを利用してクライアントシステム2の一部を構成する情報処理装置21からセンターシステム3にアクセスし、少なくともユーザーAを特定する情報及び連絡先を一つ以上入力する(S31)。ユーザーを特定する情報としては、ユーザーID、ユーザー氏名又はメールアドレス等であり、連絡先としてはメールアドレス、電話番号、住所等が挙げられる。図10においては、ユーザー氏名、メールアドレス及びパスワードを入力させる。図10には示していないが、同一のユーザー特定情報による二重登録を防ぐため、入力されたユーザー氏名及びメールアドレスの組み合わせについて、すでに登録されているユーザー情報のユーザー氏名とそのメールアドレスとを照合し、一致した場合には、すでに登録されている旨を通知するステップを設けることが好ましい。なお、S31の入力処理において、ユーザーAを特定する情報としてユーザーIDを入力させる場合には、その後、すでに登録されているユーザー情報のユーザーIDと照合し、一致した場合には、ユーザーAに対し、既に同じユーザーIDが登録されており、別のユーザーIDを入力するように指示するステップが必要となる。ただし、かかる効果は、一個人が、複数のユーザーとして登録することを妨げるものではない。本情報管理システムは、仕事用とプライベート用を共通して1ユーザーとして利用することも可能なシステムであるが、メールアドレスを変更することで別のユーザーとして登録することができ、仕事用のユーザーとプライベート用のユーザーを独立して登録することも可能である。
【0088】
また、登録時に、パスワードを入力させることにより、個人の特定およびセキュリティを高めることができる。パスワードは、登録時に、ユーザーに設定させてもよいし、氏名及びメールアドレスを入力させて仮登録させ、入力されたメールアドレスに対し、センターシステム3が発行したパスワードを通知してもよい。
【0089】
さらに、登録時に、その他のユーザー情報の一部または全部について入力させてもよい。もちろん、ユーザー情報は、後から追加、変更できるものではあるが、登録時点において、少なくとも自分の個人情報について入力させることが好ましい。
【0090】
次に、センターシステム3は、入力者Aが、既存のユーザーから送信先リスト又は承諾先リストにおいて未登録者として登録されているか否かを検索するため、入力されたユーザー氏名又は/及びメールアドレスを用いて、仮IDを検索する(S32)。仮IDは、後述するが、送信先又は承諾先として入力されたもののユーザー情報のユーザー特定情報に記憶されていなかった場合に付与されるものであり、仮IDに関連付けられて送信先又は承諾先として入力された連絡先等が記憶されている。ユーザーAが、仮IDに登録されていない新たなユーザーであった場合(S32のNo)には、センターシステム3は、新たなユーザーIDを設定する(S33)。仮IDの氏名及びメールアドレスと一致した場合(S32のYes)は、仮IDの内容をそのまま或いは変更してユーザーIDとして登録する(S34)。その後、ユーザーAが入力したメールアドレスに対して、システム登録済みの通知を送付する(S35)。ユーザーAにクライアントシステム2を通じて、ユーザー情報(自己の個人情報、送信先リスト及び受信先リスト)を入力させ(S36:図2〜6参照)、センターシステム3は、ユーザー情報を記憶媒体32に記憶する。入力されたユーザー情報の送信先リストに基づいて、意思表示が一致した送信先の承諾先個人情報を更新する送信先リスト照合処理を行う(S37:図7、8参照)。さらに、入力されたユーザー情報の承諾先リストに基づいて、意思表示が一致した承諾先の個人情報をユーザーAの承諾先個人情報に登録する承諾先リスト照合処理を行う(S38:図9参照)。なお、登録処理としては、S35の段階で登録完了とし、残りのユーザー情報の入力処理(S36)以降は、ユーザーの都合のよいタイミングで行わせてもよいし、S35の段階では仮登録とし、ユーザーがS36において所定のユーザー情報を入力した段階で正式登録としてもよい。さらに、システム登録の途中で、入力者の本人確認資料の提供を求めてもよい。例えば、電子証明書、住民基本台帳カード、運転免許証、保険証または学生証などの写しを送付させてもよい。
【0091】
(未登録者を含む処理)
ユーザーAが送信先及び承諾先を入力する際に、未だシステムに登録していない本登録者も対象とできるようにし、さらにその結果、システム登録者を増加させることが好ましい。このため、送信先又は承諾先として未登録者が入力された場合に、仮IDを発行し、未登録者を仮のユーザーとみなしてシステム内に組み込む。なお、仮IDは、ユーザーを特定する機能としては通常のユーザーIDと変わるものではないので、ユーザーIDと同じ符号方式によって符号を割り当ててもよい。しかし、仮IDは、自分からシステムに登録したものではないため、照合の結果、意思表示が一致しないことや送信先又は承諾先の入力間違いによっても発行されてしまいID数が多くなることから、ユーザーIDとは異なる符号方式によって符号を割り当てることが好ましい。例えば、通常のユーザーIDの符号方式として、6文字の英数字の組み合わせを順次割り当てている方式とし、仮IDの符号方式として、7文字の英数字の組み合わせを順次割り当てている方式としたり、仮IDには特定の文字列を付加したりすることで区別することができる。このように、ユーザーIDと仮IDを区別した場合、送信先又は承諾先の参照時において、最初にユーザーIDについて送信先又は承諾先が存在するか否かを検索して、その後、仮IDについて送信先又は承諾先が存在するか否かを検索すれば、意思表示の一致する送信先又は承諾先の特定を速くすることができる。すなわち、入力した送信先又は承諾先が仮IDの中に存在した場合には、意思表示が一致することはないため、仮IDを除いたユーザーID内だけを検索することで一致する送信先又は承諾先を特定できる。
【0092】
図11は、未登録者を含むシステムにおける送信先又は承諾先の照合処理(仮IDの発行処理を含む)のフローチャートの一例である。仮IDの発行処理は、送信先又は承諾先を参照し、照合する際に行われ、例えば図7のステップ2、図8のステップ12及び図9のステップ22において実行される。まず送信先又は承諾先を参照し(S41(S2、S12、S22の処理に相当))、送信先又は承諾先が記憶媒体32に記憶された各ユーザー情報の個人情報におけるユーザー特定情報及び連絡先と一致するか否かを照合し(S42)、一致するものが存在する場合は、当該一致するユーザーを送信先又は承諾先として認識し、それらの承諾先リスト又は送信先リストを照合する(S43(S3、S13、S23の処理に相当)。なお、S42において、各ユーザー情報の個人情報として過去の履歴を保存しておき、履歴として保存されている各ユーザーの過去の個人情報も含めて検索してもよい。ユーザー情報の個人情報に完全に一致するものが登録されていなかった場合、次に、仮IDのユーザー特定情報及び連絡先と一致するか否かを照合し(S44)、一致するものが存在する場合は、当該一致する仮IDの不一致リストにユーザーAや不一致内容を登録する(S46)。また、仮IDにも、一致するものが登録されていなかった場合、未だ登録されていない未登録者とみなし、仮IDを設定し、仮IDのユーザー情報の個人情報として、送信先又は承諾先として入力されたユーザー特定情報及び連絡先を記憶する(S45)。さらに、仮IDの不一致リストにユーザーAや不一致内容を登録する(S46)。なお、ステップ46において、ユーザーAの不一致リストに送信先又は承諾先や不一致内容を登録してもよい。また、仮IDの連絡先にシステム登録を促す通知や個人情報を送信したい旨の通知を行うことが好ましい(S47)。
【0093】
たとえば、図12において、ユーザーAの送信先リストに送信先としてユーザーXを登録した場合、ユーザーXのユーザー特定情報(氏名、ユーザーID)及び連絡先(メールアドレス)の組み合わせが、各ユーザーのユーザー情報における個人情報の中に存在するか否かを検索する(S42)。ユーザーXは、未登録者であるから、ユーザー情報における個人情報の中には存在しないため、センターシステム3は、仮IDの中にその組み合わせが存在するか否かを検索する(S44)。仮IDの中に同一のユーザー特定情報及び連絡先の組み合わせが存在していた場合は、その仮IDの不一致リスト中にユーザーAを登録する(S46)。また、仮IDの中にも存在しなかった場合、仮IDを設定し(S45)、その仮IDの不一致リスト中にユーザーAを登録する(S46)。そして、ユーザーXのメールアドレスにシステム登録を促す通知や個人情報を送信したい旨の通知を行う(S47)。図12におけるユーザーAの承諾先リストのユーザーXについても同様である。
【0094】
図13は、未登録者(ユーザーX)への通知からユーザー登録する際の登録処理のフローチャートの一例である。未登録者の連絡先への通知(S47)には、システムへのリンク(ウェッブアドレス)が記載されており、ユーザーXがリンクからアクセスすると、クライアントシステム2を通じてユーザー特定情報(氏名)の入力画面が表示され、ユーザーXに自己の特定情報(氏名)を入力させる(S52)。センターシステム3は、ユーザーXが入力した自己の特定情報(氏名)と、当該仮IDのユーザー特定情報として記憶されている特定情報とを照合する(S53)。入力された特定情報(氏名)と仮IDのユーザー特定情報とが一致しなかった場合(図13、S53のNo)、ユーザーXに登録処理を終了するか否かを選択させる(S54)。登録処理を終了する場合は、そのまま処理は終了となるが、登録処理を終了しない場合には、通常のユーザー登録処理(S55:図10)に移行する。入力された特定情報(氏名)と仮IDのユーザー特定情報とが一致した場合(図13、S53のYes)、仮IDの内容、例えば、仮ID番号、仮IDのユーザー特定情報及び不一致リストをそのまま或いは変更してユーザーIDとして登録する(S56)。仮IDの内容を利用することにより、登録時におけるユーザーの入力作業の一部を省略することができる。このように、ステップ52において、ユーザーXにユーザー特定情報を入力させることによって、通知された相手(ユーザーX)が送信先又は承諾先として入力されたものと同一人物であることを確認することができる。この場合には、ユーザーXへの通知には、仮IDのユーザー特定情報は記載しない。ただし、送信先又は承諾先として入力したユーザーAのユーザー特定情報は、ユーザーXへの通知に記載してもよい。
【0095】
その後、仮IDに関連付けて記憶されているユーザー特定情報、連絡先および不一致リストを表示し(S57)、必要に応じて、ユーザー情報の追加を行う(S58)。そして、センターシステム3は、送信先リストの照合処理(S59)及び承諾先リストの照合処理(S60)を行う。基本的には、図10のS38(図9参照)及び図10のS37(図7、8参照)において説明したように、送信先及び承諾先のユーザー情報と照合するものであるが、仮IDに関連付けて記憶されていた不一致リストに登録されていたユーザーを送信先又は承諾先として登録する場合には、既に、相手方の意思表示は明らかとされているため、わざわざ、各ユーザーのユーザー情報にアクセスする必要はない。
【0096】
(照合結果情報を利用した処理)
すでに述べてきたとおり、情報開示の意思表示と情報受信及び書き換えの意思表示とを照合した結果を一致リスト、不一致リスト及び拒絶リスト照合結果情報として記憶しておくことが好ましい。かかる照合結果情報は、送信先に関するものと承諾先に関するものとを区別可能に登録しておくことが好ましく、照合処理や送信先又は承諾先の入力処理において利用される。
【0097】
不一致の状態としては、入力者が送信先として登録したが、相手側が承諾先として登録していない状態(第1状態)と、入力者が承諾先として登録したが、相手側が送信先として登録していない状態(第2状態)の2種類であるが、入力者と相手とで立場が異なるため、計4種類となる。つまり、第1状態は、入力者にとっては、送信先に登録したが送信できなかった状態(以下「未送信」)であるが、相手にとっては、承諾先に登録していないため受信できなかった状態(以下「承諾先未登録」)である。また、第2状態は、入力者にとっては、承諾先に登録したが受信できなかった状態(以下「未受信」)であるが、相手にとっては、送信先として登録していないため送信できなかった状態(以下「送信先未登録」)である。未送信及び送信先未登録は、送信先に関する不一致であり、未受信及び承諾先未登録は、承諾先に関する不一致である。
【0098】
図14は、送信先の照合処理のうち照合結果情報を利用した部分のフローチャートの一例である。図14のフローチャートは、例えば、図7のS3、図8のS13又は図11のS42の前に行われる。まず送信先を参照し(S61(S2、S12、S41に相当))、送信先がユーザーAの送信先に関する一致リストに登録されているか否かを検索し(S62)、一致リストに登録されていた場合(図14のS62のYes)、送信先のユーザー情報を参照することなく個人情報を送信する(S63)。登録されていなかった場合(図14のS62のNo)は、ユーザーAの送信先に関する不一致リストに登録されているか否かを検索し(S64)、不一致リストに登録されていた場合(図14のS64のYes)、不一致内容が送信先未登録であるか否かを判断する(S65)。送信先未登録だった場合(図14のS65のYes)は、すでに相手方の承諾の意思表示がなされているため、送信先のユーザー情報を参照することなく個人情報を送信し(S63)、送信先未登録ではなかった場合(図14のS65のNo)、すなわち不一致内容が未送信だった場合は、送信先のユーザー情報を参照することなく、個人情報を送信せずに、ユーザーA又は/及び送信先の不一致リストの不一致内容を更新し(S66)、ユーザーA又は/及び送信先に対し通知する(S67)。S66における不一致内容の更新は、例えば、照合した日時を更新したり、送信内容を更新するものであるが、行わなくてもよい。不一致リストに登録されていなかった場合(図14のS64のNo)、拒絶リストに登録されているか否かを検索し(S68)、拒絶リストに登録されていた場合(図14のS68のYes)、送信先のユーザー情報を参照することなく、個人情報を送信せずに、ユーザーAに対してのみ拒絶リストにも登録されていることを通知する(S69)。拒絶リストにも登録されていなかった場合(図14のS68のNo)、ユーザー情報や仮IDに送信先が登録されているか否かを検索する処理(S70)、例えば図7のS3、図8のS13又は図11のS42によって、送信先を特定し、そのユーザー情報における承諾先リストを参照することになる。承諾先の照合時においても同様の処理が行われる。
【0099】
送信先未登録及び承諾先未登録の不一致については、送信先又は承諾先の入力時において利用することも可能である。すなわち、不一致リストにおける送信先未登録又は承諾先未登録のユーザーについて、送信先又は承諾先を登録することによって、すでに相手方の承諾の意思表示がなされているため、送信先又は承諾先のユーザー情報を参照することなく個人情報を送信したり、受信することができる。
【0100】
(出力処理)
ユーザーは、クライアントシステム2を通じて、センターシステム3に蓄積された承諾先個人情報データベースの全部又は必要な項目を特定して閲覧、ダウンロードしたり、センターシステム3と同期することによって、ユーザーの端末装置に記録されている承諾先個人情報や住所録、アドレス帳、電話帳等の内容を最新情報にアップデートすることができる。そして、承諾先個人情報を住所録、アドレス帳、電話帳等として利用することが可能であり、またユーザーの端末装置をセンターシステム3と同期することで、承諾先個人情報によって、ユーザーの端末装置に記録されている最新の情報に更新する構成も実現できる。さらに、承諾先個人情報データベースだけではなく、その他のユーザー情報についても出力可能な構成としてもよい。
【0101】
図15は、記憶媒体32に記憶された情報の出力(ダウンロード)処理のフローチャートの一例である。ユーザーAは、情報処理装置21のクライアントシステム2を通じて、センターシステム3の記憶媒体32に記憶されたユーザーAのユーザー情報及び承諾先個人情報データベースにアクセスして閲覧することが可能であり、それらの情報の少なくとも一部(特に承諾先個人情報データベース)を情報処理装置21に出力することが可能な構成とすることが好ましい。まず、ユーザーAは、出力を希望する一つもしくは複数の情報を特定する(S71)。例えば、図16(A)のように、クライアントシステム2の情報処理装置21に出力画面を表示させて、出力対象とする情報のチェックボックスを選択する構成や、図16(B)のように、対象の情報の閲覧画面において出力ボタン16を設けて特定させる構成でもよい。選択した出力情報が承諾先個人情報データベース以外(個人情報、送信先リスト、受信先リスト、照合結果情報等)の場合(S72のNo)であれば、選択された情報を記憶媒体32中から抽出し(S74)、出力する(S75)。
【0102】
選択された情報に承諾先個人情報データベースが含まれる場合(S72のYes)は、さらに、出力する前に出力項目を設定する(S73)。出力項目の設定として、個人情報の項目や出力する承諾先を設定することができる。例えば、図16(A)の承諾先個人情報データベースの下に、「全部」、「住所録」、「電話帳」というチェックボックスが配置されているが、これらは、各項目をチェックすることにより、承諾先個人情報データベースの全部を出力するか、承諾先個人情報データベースのうち住所録に関する項目(住所、氏名、肩書き等)を出力するか、電話帳に関する項目(氏名、電話番号、メールアドレス等)を出力するか一括して選択できるように構成されている。このように、複数の項目を一括して設定できる機能を有することが好ましい。複数の出力項目は、送信項目と同様に、ユーザーによって設定できるようにしてもよい。また、さらにその下には、個別の項目についても出力の有無を選択できるチェックボックスが設けられている。また、承諾先個人情報データベースのうち、どの承諾先の個人情報を出力するか設定できるように構成されていてもよい。例えば、承諾先をいくつかのグループ、例えば会社関係、大学関係、親戚関係などに分けて、そのグループを選択して出力したり、出力する承諾先を特定して出力できるようにしてもよい。なお、承諾先個人情報データベース以外の情報についても出力項目を設定してもよい。
【0103】
(削除処理)
さらに、本システムにおいては、送信先又は受信先を削除する時に、それに連動して、承諾先個人情報を削除するように構成することもできる。図17は、送信先を削除する処理のフローチャートの一例である。ユーザーAが送信先の一つを削除した場合(S81)、送信先がユーザーであるか否かを確認し(S82)、ユーザーの場合(S82のYes)には、さらに送信先の承諾先リストに登録されているか否かを確認する(S83)。その結果、承諾先リストに登録されていれば(S83のYes)、送信先の承諾先リストに登録されているユーザーAを削除する(S84)。さらに、送信先のユーザー情報における照合結果を変更し、送信先の拒絶リストにユーザーAを登録する(S87)と共に、ユーザーAの拒絶リストに送信先を登録する(S88)。また、送信先の承諾先リストにユーザーAが登録されていなかった場合には(S83のNo)、送信先の不一致リストからユーザーAを削除し(S86)、送信先の拒絶リストにユーザーAを登録する(S87)と共に、ユーザーAの拒絶リストに送信先を登録する(S88)。一方、削除した送信先がユーザーではなかった場合(S82のNo)、さらに仮ID内を検索し(S85)、仮IDの中に送信先が存在すれば(S85のYes)、送信先の不一致リストからユーザーAを削除し(S86)、送信先の拒絶リストにユーザーAを登録する(S87)と共に、ユーザーAの拒絶リストに送信先を登録する(S88)。仮IDの中にも送信先が存在しない場合(S85のNo)、ユーザーAの拒絶リストに送信先を登録する(S88)。
【0104】
図18は、承諾先を削除する処理のフローチャートの一例である。ユーザーAが承諾先の一つを削除した場合(S91)、承諾先がユーザーであるか否かを確認し(S92)、ユーザーの場合(S92のYes)には、さらに承諾先の送信先リストに登録されているか否かを確認する(S93)。その結果、送信先リストに登録されていれば(S93のYes)、承諾先の送信先リストに登録されているユーザーAを削除する(S94)。さらに、承諾先のユーザー情報における照合結果を変更し、承諾先の拒絶リストにユーザーAを登録する(S97)と共に、ユーザーAの拒絶リストに承諾先を登録する(S98)。また、承諾先の送信先リストにユーザーAが登録されていなかった場合には(S93のNo)、承諾先の不一致リストからユーザーAを削除し(S96)、承諾先の拒絶リストにユーザーAを登録する(S97)と共に、ユーザーAの拒絶リストに承諾先を登録する(S98)。一方、削除した承諾先がユーザーではなかった場合(S92のNo)、さらに仮ID内を検索し(S95)、仮IDの中に承諾先が存在すれば(S95のYes)、承諾先の不一致リストからユーザーAを削除し(S96)、承諾先の拒絶リストにユーザーAを登録する(S97)と共に、ユーザーAの拒絶リストに承諾先を登録する(S98)。仮IDの中にも承諾先が存在しない場合(S95のNo)、ユーザーAの拒絶リストに承諾先を登録する(S98)。
【0105】
なお、以上の説明においては、連絡先一覧に関する個人情報の更新を主たる目的としたシステムについて説明したが、本発明の範囲は、かかる構成に限定されるものではなく、ある特定のユーザー間において相互に情報を送受信するシステムにおいて利用可能である。また、以上の説明におけるフローチャートは一実施形態に過ぎず、適宜変更可能なものである。
【符号の説明】
【0106】
1 情報管理システム
2 クライアントシステム
3 センターシステム
4 ネットワーク(電気通信回線)
21、31 情報処理装置
32 記憶媒体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークで接続されたセンターシステムとクライアントシステムとから構成され、前記センターシステムはネットワークに接続可能な情報処理装置及び記憶媒体を有し、前記センターシステムの記憶媒体には、自分の個人情報、送信先リスト及び承諾先リストがユーザー情報として、他人の個人情報が承諾先個人情報データベースとして、ユーザー毎に記憶されており、前記情報処理装置によって、前記承諾先個人情報データベースの内容を自動的に更新する情報更新システムであって、
ユーザーは、前記クライアントシステムを用いて、前記記憶媒体に記憶された自己のユーザー情報における自分の個人情報を入力又は変更することが可能であり、
ユーザーは、前記クライアントシステムを用いて、前記記憶媒体に記憶された自己のユーザー情報における送信先リストに、ユーザー情報として記憶された自分の個人情報の少なくとも一部を、他のユーザーの承諾先個人情報データベースに送信することを許可する送信先を登録又は変更することが可能であり、
ユーザーは、前記クライアントシステムを用いて、前記記憶媒体に記憶された自己のユーザー情報における承諾先リストに、他のユーザーの個人情報が送信されてきた場合に受信して自己の承諾先個人情報データベースの内容を変更することを許可する承諾先を登録又は変更することが可能であり、
前記情報処理装置は、前記記憶媒体に記憶された自分の個人情報がユーザーによって入力又は変更されると、当該入力又は変更したユーザーのユーザー情報における送信先リストに登録された各送信先について、各送信先のユーザー情報における承諾先リストの承諾先に前記入力又は変更したユーザーが登録されているか否かを照合し、登録されている送信先に限り、前記記憶媒体に記憶されている当該送信先の承諾先個人情報データベースに、前記入力又は変更された自分の個人情報の少なくとも一部を書き込むことにより、当該送信先の承諾先個人情報データベースの内容を自動的に更新することを特徴とする情報更新システム。
【請求項2】
ネットワークで接続されたセンターシステムとクライアントシステムとから構成され、前記センターシステムはネットワークに接続可能な情報処理装置及び記憶媒体を有し、前記センターシステムの記憶媒体には、自分の個人情報、送信先リスト及び承諾先リストがユーザー情報として、他人の個人情報が承諾先個人情報データベースとして、ユーザー毎に記憶されており、前記情報処理装置によって、前記承諾先個人情報データベースの内容を自動的に更新する情報更新システムであって、
ユーザーは、前記クライアントシステムを用いて、前記記憶媒体に記憶された自己のユーザー情報における自分の個人情報を入力又は変更することが可能であり、
ユーザーは、前記クライアントシステムを用いて、前記記憶媒体に記憶された自己のユーザー情報における送信先リストに、ユーザー情報として記憶された自分の個人情報の少なくとも一部を、他のユーザーの承諾先個人情報データベースに送信することを許可する送信先を登録又は変更することが可能であり、
ユーザーは、前記クライアントシステムを用いて、前記記憶媒体に記憶された自己のユーザー情報における承諾先リストに、他のユーザーの個人情報が送信されてきた場合に受信して自己の承諾先個人情報データベースの内容を変更することを許可する承諾先を登録又は変更することが可能であり、
前記情報処理装置は、ユーザーによって前記ユーザー情報における送信先リストに送信先が登録されると、当該登録された送信先のユーザー情報における承諾先リストの承諾先に前記送信先を登録したユーザーが登録されているか否かを照合し、登録されている場合に限り、前記記憶媒体に記憶されている当該送信先の承諾先個人情報データベースに、前記送信先を登録したユーザーのユーザー情報における自分の個人情報の少なくとも一部を書き込むことにより、当該送信先の承諾先個人情報データベースの内容を自動的に更新することを特徴とする情報更新システム。
【請求項3】
ネットワークで接続されたセンターシステムとクライアントシステムとから構成され、前記センターシステムはネットワークに接続可能な情報処理装置及び記憶媒体を有し、前記センターシステムの記憶媒体には、自分の個人情報、送信先リスト及び承諾先リストがユーザー情報として、他人の個人情報が承諾先個人情報データベースとして、ユーザー毎に記憶されており、前記情報処理装置によって、前記承諾先個人情報データベースの内容を自動的に更新する情報更新システムであって、
ユーザーは、前記クライアントシステムを用いて、前記記憶媒体に記憶された自己のユーザー情報における自分の個人情報を入力又は変更することが可能であり、
ユーザーは、前記クライアントシステムを用いて、前記記憶媒体に記憶された自己のユーザー情報における送信先リストに、ユーザー情報として記憶された自分の個人情報の少なくとも一部を、他のユーザーの承諾先個人情報データベースに送信することを許可する送信先を登録又は変更することが可能であり、
ユーザーは、前記クライアントシステムを用いて、前記記憶媒体に記憶された自己のユーザー情報における承諾先リストに、他のユーザーの個人情報が送信されてきた場合に受信して自己の承諾先個人情報データベースの内容を変更することを許可する承諾先を登録又は変更することが可能であり、
前記情報処理装置は、ユーザーによって前記ユーザー情報における承諾先リストに承諾先が登録されると、当該登録された承諾先のユーザー情報における送信先リストの送信先に前記承諾先を登録したユーザーが登録されているか否かを照合し、登録されている場合に限り、前記記憶媒体に記憶されている前記承諾先を登録したユーザーの承諾先個人情報データベースに、当該承諾先のユーザー情報における自分の個人情報の少なくとも一部を書き込むことにより、前記承諾先を登録したユーザーの承諾先個人情報データベースの内容を自動的に更新することを特徴とする情報更新システム。
【請求項4】
前記照合の結果、登録されていない場合、登録されていない状態であることを示す情報を少なくともいずれか一方のユーザーの不一致リストに登録することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の情報更新システム。
【請求項5】
ユーザーに、当該ユーザーの不一致リストを参照して、不一致リストに登録されていたユーザーを前記ユーザー情報における前記送信先リストの送信先又は前記承諾先リストの承諾先として登録させる機能を実現させることを特徴とする請求項4に記載の情報更新システム。
【請求項6】
前記不一致リストに登録された後に、送信先又は承諾先として登録されることによって、相互に登録された場合、当該不一致リストの登録を削除する機能を実現させることを特徴とする請求項4又は5に記載の情報更新システム。
【請求項7】
前記照合の結果、登録されている場合、当該関係を一致リストに登録し、前記照合は、最初に前記一致リスト又は前記不一致リストを参照し、前記一致リスト又は前記不一致リストに登録されていない場合に、相手方のユーザー情報と照合することを特徴とする請求項4乃至6の何れか1項に記載の情報更新システム。
【請求項1】
ネットワークで接続されたセンターシステムとクライアントシステムとから構成され、前記センターシステムはネットワークに接続可能な情報処理装置及び記憶媒体を有し、前記センターシステムの記憶媒体には、自分の個人情報、送信先リスト及び承諾先リストがユーザー情報として、他人の個人情報が承諾先個人情報データベースとして、ユーザー毎に記憶されており、前記情報処理装置によって、前記承諾先個人情報データベースの内容を自動的に更新する情報更新システムであって、
ユーザーは、前記クライアントシステムを用いて、前記記憶媒体に記憶された自己のユーザー情報における自分の個人情報を入力又は変更することが可能であり、
ユーザーは、前記クライアントシステムを用いて、前記記憶媒体に記憶された自己のユーザー情報における送信先リストに、ユーザー情報として記憶された自分の個人情報の少なくとも一部を、他のユーザーの承諾先個人情報データベースに送信することを許可する送信先を登録又は変更することが可能であり、
ユーザーは、前記クライアントシステムを用いて、前記記憶媒体に記憶された自己のユーザー情報における承諾先リストに、他のユーザーの個人情報が送信されてきた場合に受信して自己の承諾先個人情報データベースの内容を変更することを許可する承諾先を登録又は変更することが可能であり、
前記情報処理装置は、前記記憶媒体に記憶された自分の個人情報がユーザーによって入力又は変更されると、当該入力又は変更したユーザーのユーザー情報における送信先リストに登録された各送信先について、各送信先のユーザー情報における承諾先リストの承諾先に前記入力又は変更したユーザーが登録されているか否かを照合し、登録されている送信先に限り、前記記憶媒体に記憶されている当該送信先の承諾先個人情報データベースに、前記入力又は変更された自分の個人情報の少なくとも一部を書き込むことにより、当該送信先の承諾先個人情報データベースの内容を自動的に更新することを特徴とする情報更新システム。
【請求項2】
ネットワークで接続されたセンターシステムとクライアントシステムとから構成され、前記センターシステムはネットワークに接続可能な情報処理装置及び記憶媒体を有し、前記センターシステムの記憶媒体には、自分の個人情報、送信先リスト及び承諾先リストがユーザー情報として、他人の個人情報が承諾先個人情報データベースとして、ユーザー毎に記憶されており、前記情報処理装置によって、前記承諾先個人情報データベースの内容を自動的に更新する情報更新システムであって、
ユーザーは、前記クライアントシステムを用いて、前記記憶媒体に記憶された自己のユーザー情報における自分の個人情報を入力又は変更することが可能であり、
ユーザーは、前記クライアントシステムを用いて、前記記憶媒体に記憶された自己のユーザー情報における送信先リストに、ユーザー情報として記憶された自分の個人情報の少なくとも一部を、他のユーザーの承諾先個人情報データベースに送信することを許可する送信先を登録又は変更することが可能であり、
ユーザーは、前記クライアントシステムを用いて、前記記憶媒体に記憶された自己のユーザー情報における承諾先リストに、他のユーザーの個人情報が送信されてきた場合に受信して自己の承諾先個人情報データベースの内容を変更することを許可する承諾先を登録又は変更することが可能であり、
前記情報処理装置は、ユーザーによって前記ユーザー情報における送信先リストに送信先が登録されると、当該登録された送信先のユーザー情報における承諾先リストの承諾先に前記送信先を登録したユーザーが登録されているか否かを照合し、登録されている場合に限り、前記記憶媒体に記憶されている当該送信先の承諾先個人情報データベースに、前記送信先を登録したユーザーのユーザー情報における自分の個人情報の少なくとも一部を書き込むことにより、当該送信先の承諾先個人情報データベースの内容を自動的に更新することを特徴とする情報更新システム。
【請求項3】
ネットワークで接続されたセンターシステムとクライアントシステムとから構成され、前記センターシステムはネットワークに接続可能な情報処理装置及び記憶媒体を有し、前記センターシステムの記憶媒体には、自分の個人情報、送信先リスト及び承諾先リストがユーザー情報として、他人の個人情報が承諾先個人情報データベースとして、ユーザー毎に記憶されており、前記情報処理装置によって、前記承諾先個人情報データベースの内容を自動的に更新する情報更新システムであって、
ユーザーは、前記クライアントシステムを用いて、前記記憶媒体に記憶された自己のユーザー情報における自分の個人情報を入力又は変更することが可能であり、
ユーザーは、前記クライアントシステムを用いて、前記記憶媒体に記憶された自己のユーザー情報における送信先リストに、ユーザー情報として記憶された自分の個人情報の少なくとも一部を、他のユーザーの承諾先個人情報データベースに送信することを許可する送信先を登録又は変更することが可能であり、
ユーザーは、前記クライアントシステムを用いて、前記記憶媒体に記憶された自己のユーザー情報における承諾先リストに、他のユーザーの個人情報が送信されてきた場合に受信して自己の承諾先個人情報データベースの内容を変更することを許可する承諾先を登録又は変更することが可能であり、
前記情報処理装置は、ユーザーによって前記ユーザー情報における承諾先リストに承諾先が登録されると、当該登録された承諾先のユーザー情報における送信先リストの送信先に前記承諾先を登録したユーザーが登録されているか否かを照合し、登録されている場合に限り、前記記憶媒体に記憶されている前記承諾先を登録したユーザーの承諾先個人情報データベースに、当該承諾先のユーザー情報における自分の個人情報の少なくとも一部を書き込むことにより、前記承諾先を登録したユーザーの承諾先個人情報データベースの内容を自動的に更新することを特徴とする情報更新システム。
【請求項4】
前記照合の結果、登録されていない場合、登録されていない状態であることを示す情報を少なくともいずれか一方のユーザーの不一致リストに登録することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の情報更新システム。
【請求項5】
ユーザーに、当該ユーザーの不一致リストを参照して、不一致リストに登録されていたユーザーを前記ユーザー情報における前記送信先リストの送信先又は前記承諾先リストの承諾先として登録させる機能を実現させることを特徴とする請求項4に記載の情報更新システム。
【請求項6】
前記不一致リストに登録された後に、送信先又は承諾先として登録されることによって、相互に登録された場合、当該不一致リストの登録を削除する機能を実現させることを特徴とする請求項4又は5に記載の情報更新システム。
【請求項7】
前記照合の結果、登録されている場合、当該関係を一致リストに登録し、前記照合は、最初に前記一致リスト又は前記不一致リストを参照し、前記一致リスト又は前記不一致リストに登録されていない場合に、相手方のユーザー情報と照合することを特徴とする請求項4乃至6の何れか1項に記載の情報更新システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2011−232883(P2011−232883A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101284(P2010−101284)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(509232153)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(509232153)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]