説明

情報格納検索装置

【課題】 検索指向、検索者指向、かつ、検索者自身が容易にカスタマイズでき、情報を概念ごとにまとめて格納・検索する情報格納検索装置を提供する。
【解決手段】 キーワード入力部20などから入力したキーワードを核とした概念的広がりを表現したキーワード仮想記憶空間をキーワード仮想記憶空間管理部30により設定する。空間軸を情報の属性としても良い。情報格納制御部40により情報を空間に配置・格納する。属性検知部31により登録情報の属性を検知し、属性に応じて配置しても良い。ハイパーリンク設定部41により情報間、外部情報源とのリンクを設定しても良い。情報は、情報表示部50により表示でき、情報検索部60により検索が可能である。検索には属性情報フィルタ61を利用して情報の属性値を指定した検索も可能である。アクセス管理テーブル32、アクセス権管理部34によりでアクセスを管理する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、情報の整理・統合を行なう情報格納検索装置に関するものである。特に、情報の要求者や提供者といった情報の発信・受信の立場や情報の置かれている場所などを意識することなく、指定した情報が必要なときに簡単に検索して得られるような状態を保ちつつ、情報を有機的に保持する情報格納検索装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年のインターネットなどネットワークシステムの普及に伴って、情報を蓄積・発信・検索・取得する機会が爆発的に増えてきている。ネットワーク上に大量のデータを如何に蓄積し、如何に検索・取得するかという問題は重要な技術課題である。例えば、ワールドワイドウェブ(WWW)ブラウザを用いて行なう情報アクセス手法では、情報間にハイパーリンクを設ける機能がある程度整備されているため、一次情報に加え、他の情報へリンクを張ったり、当該情報のインデックスとなる情報を提供したりすることもできる。
【0003】一方で、そうした膨大な情報の山の中には関連のない情報や望んだ質に達していないものも多い。情報発信者側は、情報取得側の視点に立って情報発信をしているとは限らないため、本当に必要な情報を得ることが難しい場合が多い。
【0004】このような環境の変化に伴い、大量・多様な情報に効果的に対処する必要が出てきた。従来の関連ありそうな情報を全て集めるという意識に代え、自分の欲しい情報を選別して積極的に整埋して扱う必要がある。
【0005】従来の情報格納検索装置としては、体系的なシソーラスを用意してキーワードを利用するキーワード検索システム、検索エンジンを利用した検索システム、リンク集ベースのインデックス検索システム、メタ検索サーバシステム、ワークフロー的情報一括管理システムなどが挙げられる。
【0006】キーワード検索システムは、システムが想定するキーワードを体系的にシソーラスとして用意しておき、情報を格納するとき、該当するキーワードを所定の数又は可能な限りすべて付与しておき、検索時は利用者がシソーラスから関連しそうなキーワードを入力して試行錯誤的に情報を取り出して絞り込んで行くものである。
【0007】検索エンジンを利用した検索システムは、ロボットなどを利用したインターネット/イントラネット上のサーバを指定して順次アクセスしながらドキュメントを収集する部分と、それを解析してインデックス化する仕組み、そしてそれを倹索することによってあるキーワードやドキュメントに対してそれに近いドキュメントを一覧する仕組みを持つものである。
【0008】リンク集ベースのインデックス検索システムは、主に人手によってインターネット/イントラネットの情報の一覧を作成したインデックスを利用するものである。情報を妥当と思われるカテゴリに適当に分類して整理するものである。
【0009】メタ検索サーバシステムとは、複数の検索サーバの結果を統合・整理して返す検索サーバを利用するシステムである。単語の種類によって引き方を変えるなどの仕組みを持つものもある。
【0010】ワークフロー的情報一括管理システムは、ある特定の業務に関連した情報の生成・変更・送付・閲覧などの全ての作業まで含めた統合を狙ったシステムである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の情報格納検索システムにおいて、以下のような問題があった。
【0012】第1には、従来の情報格納検索システムは、その情報格納体系が情報検索者個人にカスタマイズされたものではないという問題があった。つまり、一律にシステム全体で決められている体系であるかまたはハイパーリンクなどのように情報発信者側が決めて作成した体系であった。そのため、蓄積情報が、検索者側個人から見た好ましい体系では蓄積されておらず、検索者による情報の管理・検索には不便な場合があった。
【0013】第2には、従来の情報格納検索システムは、検索者にとり、情報へのアプローチが、単なる閲覧、検索に力点が置かれたものであり、検索者が検索後、当該情報を加工したり、情報格納場所・体系などを自由に変更したりすることができないという問題がある。
【0014】第3には、情報格納体系の複雑化が挙げられる。情報が大量・多様になるにつれ、上記従来の情報格納検索システムでは、いきおいその情報格納体系や階層が複雑となり、情報の整理格納時点および情報の検索時点の双方において、その処理が非効率なものになってしまうという問題があった。
【0015】第4には、情報が不用意に分類されてしまい、結局情報の一元管理ができない場合があるという問題がある。つまり、情報整理格納時点では、ある一視点から情報が分類され別々に格納されたものの、実際の検索時点の視点では両方とも関連があり必要となる場合でも、格納場所が異なるため、必要な情報が揃わないという場合がある。
【0016】本発明は、上記問題点を解決するため、検索指向、検索者指向で、かつ、検索者自身が容易にカスタマイズできる情報格納検索装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記従来の目的を達成するために、本発明の情報格納検索装置は、記憶装置と、キーワードを入力するキーワード入力部と、前記キーワードに対して前記記憶装置の記憶領域を割り当て、前記キーワードに割り当てられた記憶領域をキーワードが仮想的に持つ記憶空間として管理するキーワード仮想記憶空間管理部と、情報格納制御部を備え、前記キーワード仮想記憶空間管理部は、前記情報格納制御部による利用者の指定に基づいた一の情報の前記記憶領域への格納に際し、前記一の情報を前記キーワード仮想記憶空間内に仮想的に配置・格納して情報を管理することを特徴とする上記構成により、キーワードを核としてキーワードが持つキーワード仮想記憶空間を設定することができ、各種情報を当該空間内に配置していくことにより情報の格納、検索ができる。
【0018】ここで、キーワード仮想記憶空間とは、情報へのリンクや情報自体を統合・倹索するための仮想記憶空間をキーワードごとに構築したものとなり、キーワードの表す概念をその仮想記憶空間上に整理していくものとなる。キーワードにはどのようなキーを指定しても良い。この仮想記憶空間をキーワードごとに作ることにより、情報の整理の単位や、その整理された情報へのアクセスが扱いやすくなる。人間にとってはあるまとまった概念を表すときにキーワードによれば表現しやすいという利点がある。
【0019】次に、前記情報格納制御部は、情報間にハイパーリンクを設定するハイパーリンク設定部を備え、前記格納する情報として、前記キーワード仮想記憶空間内に配置・格納された情報が持つ、他のキーワード仮想記憶空間へのハイパーリンク情報を含むことが好ましい。
【0020】また、前記格納する情報として、ネットワークを介して接続された外部記憶装置の情報への結び付きを示すハイパーリンク情報を含むことが好ましい。
【0021】上記構成により、キーワード仮想記憶空間ごとに整理される情報間の結び付きを持たせることができ、情報の格納、検索が柔軟に行なうことができる。情報間の結び付きは、キーワード仮想記憶空間内の情報間、キーワード仮想記憶空間を横断する情報間、ネットワーク上に分散された情報間において持たせることができる。
【0022】次に、前記ハイパーリンク設定部により設定されたハイパーリンクが結び付きの強さを持つことが好ましい。
【0023】上記構成により、ハイパーリンクで結び付けられた情報間の結び付きの強さを持たせることができ、ハイパーリンクを辿っていく検索などに有効な情報となる。
【0024】次に、前記情報として、後に検索対象となる情報のほか、個人、組織およびプロジェクトの概念と、前記概念間の結び付きを表わすハイパーリンク情報を含み、前記キーワード仮想記憶空間内に前記概念を配置・格納し、前記概念間のハイパーリンクによりプロジェクト間連携および人的連携を管理することが好ましい。
【0025】上記構成により、キーワード仮想記憶空間を利用し、人のキーワードにその人の持つ情報、能力などを格納し、ハイパーリンクにより人的関係、組織的関係を持たせれば、人的・組織的ネットワークを管理することができ、プロジェクトをキーワードとしてプロジェクト遂行に必要な情報、能力を持つ人、組織へハイパーリンクを設定すれば、プロジェクト管理をすることができる。
【0026】次に、前記情報として、後に検索対象となる情報のほか、ソフトウェアおよびツールを含み、前記キーワード仮想記憶空間をコンピュータウィンドウ内の仮想キャビネットとして利用できることが好ましい。
【0027】上記構成により、従来のデータベースソフトのように、後に検索を予定する情報の整理・格納のみならず、コンピュータで利用できるソフトウェア、ツール類を含むデータ一般を対象とすることで、デスクトップ環境に構築された仮想現実のキャビネットのような情報の仮想整理空間を設けることができる。
【0028】次に、前記キーワード仮想記憶空間管理部が、前記キーワード仮想記憶空間内に配置・格納された情報の属性を検知する属性検知部を備え、情報のキーワード仮想記憶空間内での配置場所を、情報の持つ属性に沿ってソートした結果に対応する位置とすることが好ましい。
【0029】上記構成により、キーワード仮想記憶空間への情報の配置・格納にあたり、情報の持つ様々な属性を利用して整理することができる。属性情報は、例えば、格納日時、情報の作成日時、情報格納者、情報元の媒体、情報の機密レベル、情報の言語、情報の属する分野、登録時に副次的に付される補助キーワード、あらかじめ用意されたシソーラスに従って自動抽出される補助キーワードなどを含み、利用者が適宜定めたもので良い。これら属性に応じてソートした結果に対応する位置に配置すれば、キーワード仮想記憶空間の整理に有効である。
【0030】次に、前記情報格納検索装置は、情報表示部を備え、前記情報表示部は、前記キーワード仮想記憶空間内に配置・格納された情報を視覚的に表示することが好ましい。
【0031】上記構成により、情報の格納・整理された状況を視覚的に把握することができ、また、検索時に格納情報の存在を視覚的に把握することができる。
【0032】次に、前記情報格納検索装置は、情報検索部を備え、前記情報検索部は、前記キーワード仮想記憶空間内に配置・格納された情報を検索して取り出すことが好ましい。
【0033】また、前記情報検索部が、前記キーワード仮想記憶空間内に配置・格納された情報の属性に応じて情報を取捨選択する属性情報フィルタを備えることが好ましい。
【0034】上記構成により、キーワード仮想記憶空間内に配置・格納した情報を検索することができ、キーワード仮想記憶空間内に多数の情報が配置格納されているときは、さらに属性などにより検索情報を絞り込むことができ、効率的な検索が可能となる。
【0035】次に、前記キーワード仮想記憶空間管理部は、前記キーワード仮想記憶空間ごとにアクセスされた回数と時間のアクセス履歴情報を保持するアクセス管理テーブルを備えることが好ましい。
【0036】上記構成により、キーワード仮想記憶空間に格納された情報へのアクセス履歴、アクセス状況を管理することができ、アクセスの状況に従った情報の管理を行なうことができる。例えば、検索時に、特定の時間内にアクセスしたものだけを選びだしたり、アクセス日時が新しい順に表示したりすることができる。
【0037】次に、前記キーワード仮想記憶空間管理部は、キーワード評価部を備え、前記キーワード評価部は、前記アクセス管理テーブルが保持するアクセス履歴情報に従い、アクセス頻度が一定以上少ないキーワード仮想記憶空間を持つキーワードに対して、検索に適しないキーワードと評価して前記キーワード仮想記憶空間管理部に通知することが好ましい。
【0038】また、前記キーワード仮想記憶空間管理部は、前記アクセス管理テーブルが保持するアクセス履歴情報に従い、一定期間アクセスされないキーワード仮想記憶空間を自動的に消去することが好ましい。
【0039】上記構成により、格納情報の死蔵化の大きな原因となりうる不適当なキーワードを評価して選択的に是正し、キーワード仮想記憶空間に配置・格納した情報の死蔵化を防止し、格納情報の有効活用を図ることができる。
【0040】次に、前記キーワード仮想記憶空間管理部は、特定のキーワードに対応づけられていないキーワード無定義仮想記憶空間を持ち、一の情報の格納に際し、前記情報格納制御部が特定のキーワードとの関連を指定しない場合は、前記キーワード仮想記憶空間管理部は、前記一の情報を前記キーワード無定義仮想記憶空間に配置・格納することが好ましい。
【0041】上記構成により、一時的または継続的に特定のキーワードへ対応づけずに、多種多様な情報をまとめて格納しておく仮想記憶空間を設けることができ、例えば、雑情報保存、格納の前の未整理情報の一時保存などを行なうことができ、情報格納検索装置を用いた格納、整理、検索処理を一層柔軟に行なうことができる。
【0042】次に、前記キーワード仮想記憶空間管理部は、アクセス権管理部を備え、管理する前記キーワード仮想記憶空間ごとにアクセス権を設定し、前記キーワード仮想記憶空間のアクセス要求に対してアクセス権を保持するプロセスのみにアクセスを許可することが好ましい。
【0043】また、前記アクセス権管理部は、前記キーワード仮想記憶空間に配置・格納された情報ごとにアクセス権を設定し、前記キーワード仮想記憶空間内の個別情報のアクセス要求に対してアクセス権を保持するプロセスのみにアクセスを許可することが好ましい。
【0044】上記構成により、キーワード仮想記憶空間ごとにアクセス権を設定でき、複数人が使用する環境や、ネットワークからのログインを認める環境においても、個人情報、機密情報などを混在して格納しておくことができ、情報のプライバシー、セキュリティを保持することができる。
【0045】
【発明の実施の形態】本発明の情報格納検索装置を説明する。まず、本発明の情報格納検索装置の基本原理を説明し、次に、各実施形態の情報格納検索装置について述べる。
【0046】まず、本発明の情報格納検索装置の基本原理を説明する。
【0047】本発明の情報格納検索装置は、キーワード仮想記憶空間を用いた情報の整理、格納、検索を行なう。ここで、キーワード仮想記憶空間とは、情報へのリンクや情報自体を統合・検索するための仮想記憶空間をキーワードごとに構築していき、キーワードの表す概念の広がりをその仮想記憶空間としてみなして情報を配置して整理していくものである。
【0048】キーワードにはどのようなキーを指定しても良いが、情報の整理という立場からは、仕事や趣昧などの向き方を表現するような概念やカテゴリに対応するようなキーワードを選んで仮想記憶空間を作ることが効果的である。つまり、整理しながら構成されていくキーワード仮想記憶空間は、利用者にとり、多様な情報が整理されて他の情報へのリンクも持つ使い勝手の良いカスタマイズされた一種の辞書・百科事典、情報源となりうる。
【0049】この空間をキーワードごと定義して持たせる意義は、情報の整理を行なう際の整理の単位や、その整理された情報にアクセスする方法としてキーワードの持つ概念に結び付けることが利用者にとっても、コンピュータ装置にとっても扱いやすくなる点にある。本質的な意味において情報やそのまとまりを完全にキーワードに対応づけることは出来ないが、そのアクセス手段の方便としてキーワードを用いることはできるので情報の整理・格納・検索の単位もキーワード単位とするのが自然で扱いやすいと言える。特に、人間にとって、あるまとまった概念を表わす場合、キーワードがあると把握しやすく表現しやすいといった利点がある。
【0050】図1に、キーワード仮想記憶空間の概念を表わした一例を示す。
【0051】図1に可視的に示した空間は、人間が理解しやすいように3次元で表わしたものであるが、コンピュータ内では、概念的にはより多次元空間であっても良いことは言うまでもない。
【0052】図1の例では、キーワードが「論文原稿」であり、格納される情報の属性として、発表日時、発表者、適用分野の3つを軸としてキーワード仮想記憶空間を表わしたものである。もっとも、属性情報による空間軸の設定は必須ではなく、情報の配置・格納にあたっては空間内に無秩序に配置しても良く、格納順に時系列に並べていっても良い。なお、情報の属性は、特に限定されず多種多様なもので良く、例えば、格納日時、情報の作成日時、情報格納者、情報元の媒体、情報の機密レベル、情報の言語、情報の属する分野、登録時に副次的に付される補助キーワード、あらかじめ用意されたシソーラスに従って自動抽出される補助キーワードなどを含み、利用者が適宜定めたもので良い。これら属性に応じてソートした結果に対応する位置に配置すれば、キーワード仮想記憶空間の整理に有効である。
【0053】以下に、上記キーワード仮想記憶空間を利用した本発明の情報格納検索装置の実施形態を示す。
【0054】(実施の形態1)図2は、本発明の実施形態1の情報格納検索装置の基本構成例である。
【0055】図2において、10は記憶装置、20はキーワードを入力するキーワード入力部、30は、キーワードに対して前記記憶装置の記憶領域を割り当て、前記キーワードに割り当てられた記憶領域をキーワードが仮想的に持つ記憶空間として管理するキーワード仮想記憶空間管理部、40は、指定された情報を生成されたキーワード仮想記憶空間に対して格納する情報格納制御部、50はキーワード仮想記憶空間に配置・格納された情報その他必要な利用者インタフェースをを可視的に表示する情報表示部、60はキーワード仮想記憶空間およびその空間内に配置・格納された情報を検索する情報検索部である。なお、情報格納検索装置全体の制御部、メモリ、通信インタフェース、ネットワークは説明の便宜上、図示を省略した。
【0056】次に、上記キーワード仮想記憶空間を利用した情報格納検索装置に必要とされる代表的な機能を示す。
【0057】第1の機能は、キーワード仮想記憶空間の生成機能である。図1で示したようなキーワード仮想記憶空間を生成する。このキーワード仮想記憶空間生成機能はキーワード入力部20とキーワード仮想記憶空間管理部30により提供される。
【0058】まず、キーワード入力部20から利用者がキーワードを入力することにより、記憶装置10の記憶領域を仮想的に入力キーワードを核とする記憶空間であるキーワード仮想記憶空間を生成するものである。なお、特定のキーワードに対応したキーワード仮想記憶空間は、あらかじめ設定しておいても良いが、情報格納の際に動的に生成することができ、情報格納の際、格納する情報を表わす概念として想定するものとして一のキーワードが初めてアクセスされたときに動的に生成する。
【0059】キーワード仮想記憶空間生成時には、関連情報の初期登録がされ、その情報を管理するテーブルなどが併せて作成される。例えば、キーワード仮想記憶空間内に配置格納される情報および当該キーワードに関連する他のキーワード仮想記憶空間へのリンク情報を管理するの情報格納管理テーブル、ユーザ情報、アクセス履歴情報を管理するアクセス管理テーブル、他のキーワード仮想記憶空間に対応づけられていない未整理情報のうち当該キーワード仮想記憶空間に対応づけられる可能性のあるもののリストなどがある。これら各種テーブルを利用については後述する。
【0060】情報格納管理テーブルに管理される情報には、格納された情報の記憶領域での格納アドレス、サイズ、属性情報に加え、キーワード仮想記憶空間内で配置位置情報が含まれる。
【0061】第2の機能は、情報をキーワード仮想記憶空間に格納整理する機能である。この情報登録機能は情報格納制御部40とキーワード仮想記憶空間管理部30により提供される。
【0062】格納すべき情報の入力は、情報格納部40を介して利用者が指定する格納したい情報の入力、または、外部ネットワーク上の情報源などからの情報のダウンロードがある。その際、格納先となるキーワードが指定される。キーワード仮想記憶空間管理部30は、入力情報を対応するキーワード仮想記憶空間上に配置・格納する。
【0063】キーワード仮想記憶空間内での情報の配置位置の決定は、特に規則を設けずランダムに行うもの、時系列順とするもの、空間軸を特定の属性に対応させ、情報の持つ属性値に従って配置するものなどがある。
【0064】次に、情報登録の際に利用するインタフェースについて説明する。利用者にとって使い勝手の良い入力情報および外部情報源の検索結果を追加登録する利用者インタフェースを用意することは重要である。登録インタフェースの例としては、情報が格納されたファイルを指定するインタフェース、ディレクトリ全体を指定するインタフェース、インターネットまたはイントラネットで情報の位置を表す記法であるURLを指定するインタフェースなどがある。
【0065】それぞれの情報の登録のときには,どのキーワード仮想記憶空間に登録するかが問題になる。例えば、あるキーワード仮想記憶空間を使用中に検索した結果であっても、別のキーワード仮想記憶空間に登録したいケースも考えられる。また、ディレクトリごとまとめて登録するようなケースでは、その中身が丸ごと同じキーワード仮想記憶空間に入るべき情報を表しているとは限らない。そのため、キワードの指定に関するインタフェースの例としては、例えば、情報の登録時にユーザがキーワードを指定して登録するインタフェースがあり、他の例としては、次ぎの3つの候補、■以前の登録時に指定したキーワード、■キーワード仮想記憶空間での検索で入力したことのあるキーワード、■キーワード仮想記憶空間の一覧のキーワードの中から選択するインタフェースがあげられる。
【0066】第3の機能は、キーワード仮想記憶空間に格納された情報を保持し、必要に応じて表示する機能である。この格納情報保持表示機能は、情報表示部50とキーワード仮想記憶空間管理部30により提供される。
【0067】図1に示したキーワード仮想記憶空間と当該空間内に配置・格納された情報を可視的に表示する。なお、情報表示部50はこれら情報以外に、各種利用者インタフェースを可視的に提供する要素としても利用される。
【0068】第4の機能は、キーワード仮想記憶空間専用の情報検索機能である。この情報検索機能は、情報検索部60とキーワード仮想記憶空間管理部30により提供される。
【0069】この情報検索機能は、キーワード仮想記憶空間内に配置格納された情報を検索する機能である。これは、キーワード仮想記憶空間内に配置格納された情報が多くある場合、さらに情報を絞り込みたいときに用いる機能である。例えば、情報を時系列にソートして情報絞込みを行う。また、登録時に副次的に付される補助キーワード、あらかじめ用意されたシソーラスに従って自動抽出される補助キーワードを入力することにより情報の絞り込みを行う。また、実施形態2において後述するように、情報の持つ属性を利用して検索絞り込みを行うこともできる。
【0070】以上、本実施形態1に示した情報格納検索装置によれば、上記説明した基本装置構成と各種機能により、キーワード仮想記憶空間を利用し、柔軟で効率的な情報の格納、検索、表示を行なうことができる。
【0071】(実施の形態2)次に、本発明の実施形態2の情報格納検索装置を説明する。本実施形態2は、本発明の情報格納検索装置の応用形態である。
【0072】図3に実施形態2の情報格納検索装置の構成例を示す。
【0073】なお、図2と同様の要素については同じ番号を付し、ここでは説明を適宜省略する。
【0074】図3において、10は記憶装置、20はキーワード入力部、30はキーワード仮想記憶空間管理部であり、属性検知部31、アクセス管理テーブル32、キーワード評価部33、アクセス権管理部34を含んでいる。40は情報格納制御部であり、ハイパーリンク設定部41を含んでいる。50は情報表示部、60は情報検索部であり、属性情報フィルタ61を含んでいる。なお、情報格納検索装置全体の制御部、メモリ、通信インタフェース、ネットワークは説明の便宜上、図示を省略した。
【0075】属性検知部31は、キーワード仮想記憶空間内に配置・格納された情報の属性を検知するものである。なお、キーワード仮想記憶空間内での情報の配置場所を情報の持つ属性に沿ってソートした結果に対応する位置とすることが好ましい。なぜならキーワード仮想記憶空間への情報の配置・格納にあたり、情報の持つ様々な属性を利用して整理することができるからである。属性情報は、例えば、格納日時、情報の作成日時、情報格納者、情報元の媒体、情報の機密レベル、情報の言語、情報の属する分野、登録時に副次的に付される補助キーワード、あらかじめ用意されたシソーラスに従って自動抽出される補助キーワードなどを含み、利用者が適宜定めたもので良い。
【0076】アクセス管理テーブル32は、キーワード仮想記憶空間ごとにアクセスされた回数と時間のアクセス履歴情報を保持・管理するものである。
【0077】キーワード評価部33は、アクセス管理テーブルが保持するアクセス履歴情報に従い、アクセス頻度が一定以上少ないキーワード仮想記憶空間を持つキーワードに対して、検索に適しないキーワードと評価して前記キーワード仮想記憶空間管理部に通知するものである。
【0078】アクセス権管理部34は、管理する前記キーワード仮想記憶空間ごとにアクセス権を設定し、前記キーワード仮想記憶空間のアクセス要求に対してアクセス権を保持するプロセスのみにアクセスを許可するものである。また、前記キーワード仮想記憶空間に配置・格納された情報ごとにアクセス権を設定し、前記キーワード仮想記憶空間内の個別情報のアクセス要求に対してアクセス権を保持するプロセスのみにアクセスを許可するものである。複数人が使用する環境や、ネットワークからのログインを認める環境においても、個人情報、機密情報などを混在して格納しておくことができ、情報のプライバシー、セキュリティを保持することができる。
【0079】ここで、ハイパーリンク設定部41は、情報と情報の間において、また、情報と他のキーワード仮想記憶空間の間において特定の結び付きであるハイパーリンクを設定するものである。ハイパーリンク設定部41は、設定するハイパーリンクの結び付きの強さを設定することができ、情報間の結び付きの優先順位づけを行うことができる。
【0080】属性情報フィルタ61は、キーワード仮想記憶空間内に配置・格納された情報の属性に応じて情報を取捨選択するものであり、情報検索に用いられ、キーワード仮想記憶空間内に多数の情報が配置格納されているときは、さらに属性などにより検索情報を絞り込むことができ、効率的な検索を可能とするものである。
【0081】次に、本実施形態2の情報格納検索装置の代表的な機能を示す。ここでは、実施形態1において説明した基本機能の説明は適宜省略するものとし、応用機能を中心に説明する。
【0082】まず、情報格納時における応用機能を説明する。情報格納時の応用機能には、格納する情報の対象を拡大し、情報間のハイパーリンク情報を登録する機能、また、必要な情報をネットワーク上の外部情報源から取得・登録する機能、設定したハイパーリンク情報に結び付きの強さのレベルを設定する機能などが含まれる。
【0083】これら機能はハイパーリンク設定部41により、情報間において、また、情報と他のキーワード仮想記憶空間の間における結びつきを示すハイパーリンク情報を設定する。
【0084】格納する情報として、前記キーワード仮想記憶空間内に配置・格納された情報が持つ、他のキーワード仮想記憶空間へのハイパーリンク情報、ネットワークを介して接続された外部記憶装置の情報への結び付きを示すハイパーリンク情報が含まれる。
【0085】一の情報を他のキーワード仮想記憶空間内に配置された情報へ自動的にハイパーリンクを設定することも可能である。一のキーワード仮想記憶空間からリンクを張る他のキーワード仮想記憶空間の選定方式は、キーワード仮想記憶空間で絞り込み検索時に入力したキーワードをその頻度に応じてリンクを張る方式、逆に他のキーワード仮想記憶空間で絞り込み検索に使われたキーワードが当該キーワード仮想記憶空間を指していた場合に頻度に応じてリンクを張る方式がある。さらに頻度に応じてハイパーリンクの結び付きの強さを可変としてもよい。もっとも利用者自らの入力指示によりハイパーリンクを張ることができることは言うまでもない。
【0086】また、情報格納制御部40およびハイパーリンク設定部41は、外部情報源からキーワード仮想記憶空間内へ情報の取得を行なうために以下のような手順で各種外部情報源とリンクを設ける。
【0087】まず、外部情報源に応じたアクセスの仕組みを用意する。必要な通信インタフェース、通信制御ソフトウェア、ネットワークリソースを用意する。
【0088】次に、情報源とキーワード仮想記憶空間との結び付きをチェックする。ここで、情報源の中にはさまざまな種類があり、特にキーワードとの結び付きを考えたときには、キーワードによって結びつけるのが容易であったり結び付けるのが困難であったりする(例えば、英英辞典は英単語とそれの簡単な英語表現との関連を示す情報源であるため、日本語の単語とは直接結び付かない)。
【0089】そこで、キーワード仮想記憶空間と結び付くかどうかを決めるプロセスを用意してチェックを行なう必要がある。このプロセスも情報源ごとに用意する。
【0090】次に、結び付くキーワードについては情報源アクセスの仕組みとキーワード仮想記憶空間との連結を行なう。結び付けるタイミングは,キーワード仮想記憶空間が生成されるときと,情報源自体が更新されたり追加されたときである。情報源自体が更新されるときには、既存の全てのキーワード仮想記憶空間について結び付きをチェックする。
【0091】このように情報間、情報とキーワード仮想記憶空間の間にハイパーリンクを設定し、ハイパーリンクに結び付きの強さを与えることにより、ハイパーリンクを辿っていく検索などに有効な情報として活用できる。
【0092】また、情報格納機能は、応用として次に示すいくつかのバリエーションがある。
【0093】第1の機能バリエーションは、キーワード仮想記憶空間から結びつけられた情報源を介して得られる情報を登録する機能である。これは、キーワード仮想記憶空間を介して外部情報源検索などの結果を取り込むのが、キーワード仮想記憶空間のカスタマイズには一番効率的であるからである。そのため、キーワード仮想記憶空間内で利用できる情報源を充実させることが好ましい。
【0094】第2の機能バリエーションは、情報の中身を検索して、使われている言葉の中に、キーワード仮想記憶空間として存在しているキーワードがあれば、その頻度、重要度などを評価して最も優位なキーワードがもつキーワード仮想記憶空間に登録する機能である。
【0095】第3の機能バリエーションは、どのキーワード仮想記憶空間にも対応づけられなかった情報については、対応づけのない情報を置くキーワード仮想記憶空間に格納する機能である。
【0096】上記説明した各種機能によりキーワード仮想記憶空間への情報登録を柔軟かつ効率的に実行でき、その後の検索などにおいて有効活用できる情報の登録・整理が可能である。
【0097】次に、キーワード仮想記憶空間管理部30による応用機能を説明する。
【0098】第1の機能は、情報の属性を検知する情報属性検知機能およびキーワード仮想記憶空間への情報の配置・格納をこの検知した属性に従って行う情報配置格納機能がある。図1に示したように、キーワード仮想記憶空間の空間軸を情報の属性を持って定義することができる。情報のキーワード仮想記憶空間への配置・格納にあたり、属性検知部31により情報の持つ属性値を検知する。検知にあたっては属性検知部31が自動的に属性値を抽出・検知してもよいし、情報の登録者に属性値を入力させる入力インタフェースを提供しても良い。例えば、格納日時、情報の作成日時、情報格納者、情報元の媒体、情報の言語、情報の属する分野、あらかじめ用意されたシソーラスに従って自動抽出される補助キーワードなどを属性検知部31による属性値自動的抽出・検知とし、情報の機密レベル、登録時に副次的に付される補助キーワードを利用者インタフェースを介した利用者からの入力とすることができる。これら属性に応じてソートした結果に対応する属性軸位置に配置する。
【0099】第2の機能は、キーワード仮想記憶空間へのアクセス情報管理機能である。
【0100】このアクセス情報管理機能には、アクセス履歴管理機能、アクセス利用者などのアクセス情報を得るアクセス情報取得機能、アクセス権管理機能が含まれる。
【0101】アクセス履歴管理機能は、キーワード仮想記憶空間ごとにアクセスされた回数と時間のアクセス履歴情報を保持するアクセス管理テーブル32によりアクセス情報を管理する。このアクセス履歴情報は様々な用途に用いることができる。一例として、アクセス頻度から設定したキーワードが妥当で有効なものか否かの判断情報として応用できる。キーワード評価部を設け、キーワード評価部により、アクセス管理テーブルが保持するアクセス履歴情報に従い、アクセス頻度が一定以上少ないキーワード仮想記憶空間を持つキーワードに対して、検索に適しないキーワードと評価すれば、設定キーワードの有効性について一定の判断基準が得られることとなる。
【0102】アクセス情報取得機能は、キーワード仮想記憶空間ヘアクセスしている利用者、アクセスした利用者ID、アクセス時間などアクセスに関する情報を取得管理する機能である。このアクセス情報は様々な用途に用いることができる。一例として、アクセス時間、アクセス頻度によりアクセス者の興味、趣向を知ることができ、販売情報などのデータ蓄積が可能となり、また、フォーラムのような同好者間の人的ネットワーク、情報の共有化が可能となる。
【0103】ただし、キーワード仮想記憶空間へのアクセスを秘密にしたいケースもありうるので、キーワード仮想記憶空間ヘアクセスするユーザの側で、ユーザ名などを秘密にする指定も可能とする構成としても良い。この場合であっても匿名でアクセスされた数を把握することにより、共通のキーワードについて興味を持っている人がどの程度いるかという情報が得られるため、市場調査などに役立つことが期待できる。
【0104】アクセス権管理機能は、アクセス権管理部34により、キーワード仮想記憶空間ごと、また、空間内に配置・格納された情報ごとににアクセス権を設定し、キーワード仮想記憶空間のアクセス要求に対してアクセス権を保持するプロセスのみにアクセスを許可する機能である。
【0105】キーワード仮想記憶空間ごとにアクセス権を設定でき、複数人が使用する環境や、ネットワークからのログインを認める環境においても、個人情報、機密情報などを混在して格納しておくことができ、情報のプライバシー、セキュリティを保持することができる。
【0106】第3の機能として、キーワード仮想記憶空間の消去機能がある。
【0107】利用者の指定により、または、システムの自動消去機能により、生成されているキーワード仮想記憶空間を消去する機能である。
【0108】ここで、キーワード仮想記憶空間を消去する際に、キーワード仮想記憶空間内のすべての情報については必要ないとは限らない。つまり、格納されている情報全体が必要ないケースもあれば、情報自体は有用だが、そのキーワード仮想記憶空間につけたキーワードが不適当であり、生成したキーワード仮想記憶空間のみを消去したいケースも考えられる。そこで、キーワード仮想記憶空間の消去の際のキーワード仮想記憶空間内の情報については、他のキーワードキーワード仮想記憶空間にて保持されている情報は消去し、保持されていないものは、一時保存する制御を行う。
【0109】キーワード仮想記憶空間の自動消去機能とは、長期間アクセスされないキーワード仮想記憶空間について自動的に消去したり、消去の対象として通知する機能である。自動消去の判断は、キーワード仮想記憶空間管理部により、アクセス管理テーブルが保持するアクセス履歴情報に従って行うこととし、一定期間アクセスされないキーワード仮想記憶空間を自動的に消去する。
【0110】キーワード仮想記憶空間の自動消去に際しても、そのキーワード仮想記憶空間内に含まれる情報については、前述の利用者指定によるキーワード仮想記憶空間消去の場合と同様に、情報自体は不用意に消去されないように保護する。
【0111】次に、第4の機能として、情報表示部50における情報表示の応用機能を説明する。
【0112】利用者の利便性を考慮して可視的に表示した方が良い機能要素も同時に表示する。例えば、情報の内容をさらに属性などで絞り込むためのフィルタリングするなどの目的で使われる検索機能要素とその操作部、新規情報の登録機能要素とその操作部、他の情報へのハイパーリンク作成機能要素とその操作部などがある。また、キーワード仮想記憶空間および配置・格納された情報を可視化して表示できれば、利用者にとって情報格納検索の状況の把握が容易にできる。キーワード仮想記憶空間が属性軸を持っている場合は、情報は情報の属性値に従って配置・格納されるが、その状況も可視化されればさらに利用者の使い勝手が向上することとなる。
【0113】次に、第5の機能として、情報検索部60を用いた情報検索時における応用機能を説明する。
【0114】これは、キーワード仮想記憶空間に配置・整理された情報の検索を、さらに属性情報などを利用して絞り込み検索する機能である。この機能は、属性情報フィルタ61により提供される。情報が各種属性を持ち、または、当該情報のキーワード仮想記憶空間への配置格納に際して各種属性に従って実行されている場合は、属性を判断基準として、検索情報フィルタ61を通して絞り込み検索を実行する。情報の属性は、キーワード仮想記憶空間生成機能でも述べたように多種多様なもので良く、格納日時、情報の作成日時、情報格納者、情報元の媒体、情報の機密レベル、情報の言語、情報の属する分野、登録時に副次的に付される補助キーワード、あらかじめ用意されたシソーラスに従って自動抽出される補助キーワード、利用者が適宜定めた属性がある。これら属性のうち、検索対象となる情報が持つと想定される属性値を属性情報フィルタ61に与えることで情報をフィルタリングする。
【0115】次に、本発明のキーワード仮想記憶空間を利用した情報格納検索装置の応用利用形態について説明する。
【0116】第1の情報格納検索装置の応用利用形態は、本発明の情報格納検索装置を仮想キャビネットとして利用するものである。仮想キャビネットは、ハードディスクなどの記憶媒体に対する情報の格納、整理、取り出しを行うために擬似的にデスクトップ環境上に設けた仮想のキャビネット、整理ツールである。利用者に対して現実の紙媒体を扱うキャビネットを使用するような仮想現実を与え、さらに、現実のキャビネットにはない付加価値を設けたものである。
【0117】仮想キャビネットが扱う情報としては、後に検索対象となる各種情報のほか、ソフトウェアおよびツールを含めたものである。データ形式は、テキストデータ、画像データ、音声データなどコンピュータリソースが扱える形式であれば良い。ソフトウェアおよびツールも仮想キャビネット内で扱うことができる。例えば、「翻訳ツール」というキャビネットの引き出しに各種言語間の翻訳ツール、例えば、日英翻訳ツール、英日翻訳ツール、日独翻訳ツール、独日翻訳ツール、・・などを格納・整理し、当該引き出しを開けて翻訳ツールを取り出して使うことができる。
【0118】仮想キャビネットの容量は、ハードディスクなど記憶リソースの割り当て量を変更することで簡単に伸縮できる。また、仮想キャビネットの引き出し数の変更、新規引き出しの設定も記憶リソースの割り当て設定の更新により簡単に行うことができる。
【0119】仮想キャビネットは利用者とのインタフェースを持っている。図4に仮想キャビネットのインタフェースを含めたデスクトップの表示例を示す。401は仮想キャビネット、402a〜402cが仮想キャビネット401の引き出しである。403a〜403bが当該仮想キャビネット401に関連する他のキーワード仮想記憶空間へのリンクを行うリンクツールをアイコン化したものである。404がツールバー、405が起動しているアプリケーションウィンドウの例、410がデスクトップ画面背景である。
【0120】仮想キャビネット401は、上記説明したキーワード仮想記憶空間に対応し、情報を格納・整理・検索できる。例えば論文原稿の引き出し402aをクリックすると引き出し402aが開き、図5に示したキーワード仮想記憶空間が表示される。501が仮想記憶空間上に配置された論文原稿の情報であり、502が情報に対して付与されたしおり(ブックマーク)、タグである。特定の情報を見つけやすいように目立たせることができる。また、キーワード仮想記憶空間形式の表示に代え、指定属性でソートした結果として表示させることもできる。図6に、適用分野の属性軸でソートした例を示す。図6において、601はソートされた各種情報、602はしおり(ブックマーク)である。ポインタ603が触れた情報は紙を引き上げたように内容が表示されることが好ましい。また、キーワードによる検索も、ツールバー404の検索キー入力機能を介して実行できる。
【0121】リンクツール403は、仮想キャビネットから関連する他のキーワード仮想記憶空間へリンクを張るものであり、本機能は本実施形態2の図3で示した情報格納検索装置の構成中のハイパーリンク設定部41より提供される。前記したハイパーリンク設定部41の動作処理によりキーワード仮想記憶空間同士の間にリンクを張り、そのリンク先を可視化するために情報表示部50によりアイコン表示をしたものである。ここでは、論文原稿という仮想キャビネットに対して、「学会情報」をキーワードとするキーワード仮想記憶空間とのリンクを表わすアイコン403a、組織内の「研究プロジェクト」をキーワードとするキーワード仮想記憶空間とのリンクを表わすアイコン403bを例として挙げた。
【0122】なお、他の関連するキーワード仮想空間へのリンクの設定は、ハイパーリンク設定部41により自動的に行うことが可能である。選定方式は、前述したように当該仮想キャビネット利用履歴における他のキーワード仮想記憶空間の利用頻度に応じてリンクを張る方式、逆に他のキーワード仮想記憶空間の検索等において当該仮想キャビネットのキーワードが利用された頻度に応じてリンクを張る方式などがある。また、仮想キャビネット利用者が、ハイパーリンク設定部41を利用して新たに他のキーワード仮想記憶空間との間にリンクを張ることができ、当該リンク先をアイコンとしてデスクトップ表示画面上に追加表示することができる。また、不要となったリンクを消去することもでき、当該アイコンをデスクトップ表示画面上から削除することもできる。
【0123】以上、本発明の情報格納検索装置を仮想キャビネットとして利用すれば、従来のデータベースソフトのように後に検索を予定する情報の整理・格納のみならず、現実のキャビネットのように必要に応じてその都度情報、ソフトウェア、ツール類を含むデータキーワード仮想記憶空間内に格納・配置することができ、利用者にとり使い勝手の良い環境が提供される。また、リンクツールを利用すれば、関連する他のキーワード仮想記憶空間とのリンクを設定でき、そのリンク先をアイコンとして可視的に表示することができる。
【0124】第2の情報格納検索装置の応用利用形態は、本発明の情報格納検索装置をプロジェクト管理システム、組織・人的ネットワーク管理システムとして利用するものである。格納情報として、後に検索対象となる情報のほか、個人、組織およびプロジェクトの概念と、前記概念間の結び付きを表わすハイパーリンク情報を含み、前記キーワード仮想記憶空間内に前記概念を配置・格納し、前記概念間のハイパーリンクを設ければ、プロジェクト間連携および人的・組織的連携を管理することが可能となる。ハイパーリンク間の結び付きの強さを設定することで、プロジェクトにおける仕事の流れを量的に表わすことができ、また、組織間の結び付きの強弱も表現することができる。
【0125】以上、本実施形態2に示した情報格納検索装置によれば、上記説明した基本装置構成と各種機能により、キーワード仮想記憶空間を利用し、柔軟で効率的な情報の格納、検索、表示を行なうことができる。
【0126】
【発明の効果】本発明の情報格納検索装置によれば、検索指向、検索者指向で、かつ、検索者自身が容易にカスタマイズでき、キーワードを核としてキーワードが持つキーワード仮想記憶空間を設定することができ、各種情報を当該空間内に配置していくことにより情報の格納、検索ができる。
【0127】また、本発明の情報格納検索装置によれば、キーワード仮想記憶空間ごとに整理される情報間の結び付きであるハイパーリンク情報を持たせることができ、情報間の結び付きは、キーワード仮想記憶空間内の情報間、キーワード仮想記憶空間を横断する情報間、ネットワーク上に分散された情報間において持たせることができ、結び付きの強さも設定することができ、情報間の関係の優先順位を与えることもできる。
【0128】また、本発明の情報格納検索装置によれば、キーワード仮想記憶空間への情報の配置・格納にあたり、情報の持つ様々な属性を利用して整理することができる。
【0129】情報の格納・整理された状況を視覚的に把握することができ、また、検索時に格納情報の存在を視覚的に把握することができる。
【0130】また、本発明の情報格納検索装置によれば、キーワード仮想記憶空間ごとにアクセスされた回数と時間のアクセス履歴情報を保持するアクセス管理テーブルを備え、アクセス履歴、アクセス状況を管理することができ、アクセスの状況に従った情報の管理を行なうことができる。
【0131】さらに、本発明の情報格納検索装置によれば、キーワード仮想記憶空間ごとにアクセス権を設定でき、複数人が使用する環境や、ネットワークからのログインを認める環境においても、個人情報、機密情報などを混在して格納しておくことができ、情報のプライバシー、セキュリティを保持することができる。
【0132】さらに、本発明の情報格納検索装置によれば、仮想キャビネット、仮想連絡ボックス、リンクツールをデスクトップのインタフェースに設け、利用することができ、また、プロジェクト管理システム、組織・人的ネットワーク管理システムとして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のキーワード仮想記憶空間の概念の一例を表わした図
【図2】 本発明の実施形態1の情報格納検索装置の基本構成例を示す図
【図3】 本発明の実施形態2の情報格納検索装置の基本構成例を示す図
【図4】 本発明のキーワード仮想記憶空間を仮想キャビネットとして利用したデスクトップの例を示す図
【図5】 仮想キャビネットの引き出しを開いた場合の表示例を示す図
【図6】 仮想キャビネットの引き出しを開いた場合の表示例を示す図
【符号の説明】
10 記憶装置
20 キーワード入力部
30 キーワード仮想記憶空間管理部
31 属性検知部
32 アクセス管理テーブル
33 キーワード評価部
34 アクセス権管理部
40 情報格納制御部
41 ハイパーリンク設定部
50 情報表示部
60 情報検索部
61 属性情報フィルタ
401 仮想キャビネット
402 仮想キャビネットの引き出し
403 リンクツール
404 ツールバー
405 アプリケーションウィンドウ
410 デスクトップ背景
501 格納情報
502,602 しおり(ブックマーク)
601 時系列ソートされた情報
603 ポインタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 情報を格納し、前記格納した情報を検索する情報格納検索装置において、記憶装置と、キーワードを入力するキーワード入力部と、前記キーワードに対して前記記憶装置の記憶領域を割り当て、前記キーワードに割り当てられた記憶領域をキーワードが仮想的に持つ記憶空間として管理するキーワード仮想記憶空間管理部と、情報格納制御部を備え、前記キーワード仮想記憶空間管理部は、前記情報格納制御部による利用者の指定に基づいた一の情報の前記記憶領域への格納に際し、前記一の情報を前記キーワード仮想記憶空間内に仮想的に配置・格納して情報を管理することを特徴とする情報格納検索装置。
【請求項2】 前記情報格納制御部は、格納する情報間にハイパーリンクを設定するハイパーリンク設定部を備え、前記格納する情報として、前記キーワード仮想記憶空間内に配置・格納された情報が持つ、他のキーワード仮想記憶空間へのハイパーリンク情報を含む請求項1に記載の情報格納検索装置。
【請求項3】 前記格納する情報として、ネットワークを介して接続された外部記憶装置の情報への結び付きを示すハイパーリンク情報を含む請求項2に記載の情報格納検索装置。
【請求項4】 前記ハイパーリンク設定部により設定されたハイパーリンクが結び付きの強さのレベルを持つ請求項2または3に記載の情報格納検索装置。
【請求項5】 前記情報として、後に検索対象となる情報のほか、個人、組織およびプロジェクトの概念と、前記概念間の結び付きを表わすハイパーリンク情報を含み、前記キーワード仮想記憶空間内に前記概念を配置・格納し、前記概念間のハイパーリンクによりプロジェクト間連携および人的・組織的連携を管理する請求項2〜4のいずれか1項に記載の情報格納検索装置。
【請求項6】 前記情報として、後に検索対象となる情報のほか、ソフトウェアおよびツールを含み、前記キーワード仮想記憶空間をコンピュータウィンドウ内の仮想キャビネットとして利用できる請求項1に記載の情報格納検索装置。
【請求項7】 前記キーワード仮想記憶空間管理部が、前記キーワード仮想記憶空間内に配置・格納された情報の属性を検知する属性検知部を備え、情報のキーワード仮想記憶空間内での配置場所を、情報の持つ属性に沿ってソートした結果に対応する位置とする請求項1に記載の情報格納検索装置。
【請求項8】 情報表示部を備え、前記情報表示部は、前記キーワード仮想記憶空間内に配置・格納された情報を視覚的に表示する請求項1に記載の情報格納検索装置。
【請求項9】 情報検索部を備え、前記情報検索部は、前記キーワード仮想記憶空間内に配置・格納された情報を検索して取り出す請求項1に記載の情報格納検索装置。
【請求項10】 前記情報検索部が、前記キーワード仮想記憶空間内に配置・格納された情報の属性に応じて情報を取捨選択する属性情報フィルタを備えた請求項9に記載の情報格納検索装置。
【請求項11】 前記キーワード仮想記憶空間管理部は、前記キーワード仮想記憶空間ごとにアクセスされた回数と時間のアクセス履歴情報を保持するアクセス管理テーブルを備えた請求項1に記載の情報格納検索装置。
【請求項12】 前記キーワード仮想記憶空間管理部は、キーワード評価部を備え、前記キーワード評価部は、前記アクセス管理テーブルが保持するアクセス履歴情報に従い、アクセス頻度が一定以上少ないキーワード仮想記憶空間を持つキーワードに対して、検索に適しないキーワードと評価して前記キーワード仮想記憶空間管理部に通知する請求項11に記載の情報格納検索装置。
【請求項13】 前記キーワード仮想記憶空間管理部は、前記アクセス管理テーブルが保持するアクセス履歴情報に従い、一定期間アクセスされないキーワード仮想記憶空間を自動的に消去する請求項11に記載の情報格納検索装置。
【請求項14】 前記キーワード仮想記憶空間管理部は、特定のキーワードに対応づけられていないキーワード無定義仮想記憶空間を持ち、一の情報の格納に際し、前記情報格納制御部が特定のキーワードとの関連を指定しない場合は、前記キーワード仮想記憶空間管理部は、前記一の情報を前記キーワード無定義仮想記憶空間に配置・格納する請求項1に記載の情報格納検索装置。
【請求項15】 前記キーワード仮想記憶空間管理部は、アクセス権管理部を備え、管理する前記キーワード仮想記憶空間ごとにアクセス権を設定し、前記キーワード仮想記憶空間のアクセス要求に対してアクセス権を保持するプロセスのみにアクセスを許可する請求項1に記載の情報格納検索装置。
【請求項16】 前記アクセス権管理部は、前記キーワード仮想記憶空間に配置・格納された情報ごとにアクセス権を設定し、前記キーワード仮想記憶空間内の個別情報のアクセス要求に対してアクセス権を保持するプロセスのみにアクセスを許可する請求項15に記載の情報格納検索装置。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図3】
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【図4】
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