説明

情報端末

【課題】筐体の開口から露出させる透光部を、ねじ等の別部材を使用することなく当該筐体に強固に組み付け得る情報端末を提供する。
【解決手段】透光部61は、開口14から露出するときに筐体11の内面のうち当該開口14を囲む周縁面15に対して面接触する周縁部62と一体に形成されている。そして、周縁面15には、開口14を挟んで突起16と突出片17とが形成され、周縁部62には、突起16に係合可能な貫通穴63と、この貫通穴63を突起16に係合させるように透光部61を開口14から露出させるときに突出片17の開口側に押圧するように面接触するL字片64の延出部64bと、が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透光部が筐体の開口から露出する情報端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、筐体内に複数の部品が収容される情報端末では、一般的に、部品間の組み立てや筐体への組み付けなどにねじや接着剤等を使用して組み立て作業を実施している。しかしながら、部品間の組み立てや筐体への組み付けなどにねじや接着剤等を使用すると、組立工程の簡易化や部品削減による低コスト化が困難になるという問題がある。
【0003】
そこで、下記特許文献1に開示されるパッキン付きキャップ器では、パッキン体の組付き筒の底板に設けられる各係止片にパッキン板の周端を複数箇所係止した状態で、このパッキン体をキャップ体内に挿入する。このとき、組付き筒の外周面がキャップの内周面にきつく嵌入されることで、各係止片が内方に変位し、パッキン板が各係止片により挟持されて保持される。これにより、両面接着テープや接着剤等を使用することなく、パッキン板のキャップ体に対する組付け固定を達成している。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示される構成は、キャップ内にパッキンを保持するための構成であり、筐体の開口から露出させる透光部を当該筐体に組み付ける構成には、そのまま適用することができないという問題がある。
【0005】
そこで、筐体の開口から露出させる透光部を当該筐体に組み付ける構成に関する技術として、下記特許文献2に開示される携帯電話装置が知られている。この携帯電話装置では、ディスプレイの上方にカメラとライトとが近接して設けられている。ライトは、被写体を照光する発光ダイオードやこの発光ダイオードからの光を集光する配光レンズを備えており、筐体11の開口部を介して収容されている。この開口部には配光レンズや発光ダイオード等の内部部品を保護する透明カバーが配置されており、当該透明カバーは、筐体の開口部に嵌合あるいは接着剤により固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭55−115568号公報
【特許文献2】再公表特許WO2003−79671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献2では、透明カバーを筐体の開口部に嵌合するための具体的な構成が開示されていないために、筐体の開口から露出させる透光部を当該筐体に組み付ける構成に対して適用しても、透光部を筐体に強固に組み付けることが困難である。このため、透光部または筐体に落下衝撃などが作用すると、透光部が筐体に対してずれるか脱落する場合があり、この場合には、防水機能や防塵機能が低下してしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、筐体の開口から露出させる透光部を、ねじ等の別部材を使用することなく当該筐体に強固に組み付け得る情報端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の情報端末では、筐体(11)内に収容される発光部(43)からの光を透光させる透光部(61)が前記筐体に形成される開口(14)から露出する情報端末(10)であって、前記透光部は、前記開口から露出するときに前記筐体の内面のうち当該開口を囲む周縁面(15)に対して面接触する周縁部(62)と一体に形成されており、前記周縁面には、前記開口を挟んで筐体側係合部(16)と突出片(17)とが形成され、前記周縁部には、前記筐体側係合部に係合可能な周縁部側係合部(63)と、この周縁部側係合部を前記筐体側係合部に係合させるように前記透光部を前記開口から露出させるときに前記突出片の開口側に押圧するように面接触する接触部(64)と、が形成されることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の情報端末において、前記周縁面とこの周縁面に面接触する前記周縁部の接触面とは、外側に膨らむように曲面状に形成されることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の情報端末において、前記筐体の外面のうち前記開口を囲む面と、当該開口から露出する前記透光部の露出面(61b)とは、外側に膨らむように曲面状に形成されることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の情報端末において、前記周縁部側係合部は、貫通穴(63)として形成され、前記筐体側係合部は、前記貫通穴の内径よりも僅かに大きな外径の突起(16)として形成されることを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の情報端末において、前記周縁面には、前記筐体側係合部が複数形成され、前記周縁部には、複数の前記筐体側係合部にそれぞれ対応する前記周縁部側係合部が同数形成されることを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の情報端末において、前記透光部の表面の少なくとも一部には、透光性を向上させるための表面加工が施されることを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明は、請求項6に記載の情報端末において、前記表面加工は、前記透光部の内側面(61a)に施されることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明では、透光部は、開口から露出するときに筐体の内面のうち当該開口を囲む周縁面に対して面接触する周縁部と一体に形成されている。そして、周縁面には、開口を挟んで筐体側係合部と突出片とが形成され、周縁部には、筐体側係合部に係合可能な周縁部側係合部と、この周縁部側係合部を筐体側係合部に係合させるように透光部を開口から露出させるときに突出片の開口側に押圧するように面接触する接触部と、が形成されている。
【0017】
このため、透光部を開口から露出させる場合には、周縁部側係合部が筐体側係合部に係合するとともに接触部が突出片の開口側に押圧するように面接触した状態で、周縁部が周縁面に面接触する。これにより、周縁部と周縁面とが離れにくくなり、周縁部による防水機能や防塵機能等が高められるように、透光部が筐体に組み付けられることとなる。
したがって、筐体の開口から露出させる透光部を、ねじ等の別部材を使用することなく当該筐体に強固に組み付けることができる。
【0018】
請求項2の発明では、周縁面とこの周縁面に面接触する周縁部の接触面とは、外側に膨らむように曲面状に形成されるため、係合時の筐体側係合部を介して周縁部側係合部に作用する押圧力と、面接触時の突出片を介して接触部に作用する押圧力とが、周縁部を周縁面に押し付ける力としても作用することとなる。このため、周縁部が周縁面に強固に押し付けられることとなり、周縁部による防水機能や防塵機能等をさらに高めることができる。
【0019】
請求項3の発明では、筐体の外面のうち開口を囲む面と、当該開口から露出する透光部の露出面とは、外側に膨らむように曲面状に形成されている。このため、当該端末の操作時に透光部の露出面と周囲の筐体の外面とに指などが触れて透光部を筐体内方に押し込む押圧力が作用するときでも、この押圧力が曲面形状に応じて分散される。これにより、上記押圧力に起因する周縁部と周縁面とを引き離す力が抑制されるので、周縁部による防水機能や防塵機能等の低下を抑制することができる。
【0020】
請求項4の発明では、周縁部側係合部は、貫通穴として形成され、筐体側係合部は、上記貫通穴の内径よりも僅かに大きな外径の突起として形成されるため、周縁部側係合部と筐体側係合部との係合を簡易な形状で強固にすることができる。
【0021】
請求項5の発明では、周縁面には、筐体側係合部が複数形成され、周縁部には、複数の筐体側係合部にそれぞれ対応する周縁部側係合部が同数形成されるため、例えば透光部の露出面を介してどの方向から押圧力が作用するときでも、周縁部と周縁面とが離れにくくなる。これにより、周縁部と周縁面との面接触がより強固となり、周縁部による防水機能や防塵機能等をさらに高めることができる。
【0022】
請求項6の発明では、透光部の表面の少なくとも一部には、透光性を向上させるための表面加工が施されるため、当該透光部を透光する光の視認性を向上させることができる。
【0023】
請求項7の発明では、上記表面加工は、透光部の内側面に施されるため、露出面に施される場合と比較して当該表面加工による効果が低下しにくくなるので、当該表面加工により向上させた視認性を長期間持続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態に係る光学的情報読取装置の構成概要を示す断面図である。
【図2】図1の光学的情報読取装置の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】図3(A)は、上側ケースの開口周辺を拡大して示す説明図であり、図3(B)は、図3(A)に示す3B−3B線相当の切断面による断面図である。
【図4】カバーの詳細構造を示す説明図であり、図4(A)は正面図であり、図4(B)は側面図であり、図4(C)は下面図である。
【図5】図5(A)は、カバーを上側ケースに組み付けた状態を拡大して示す説明図であり、図5(B)は、図5(A)に示す5B−5B線相当の切断面による断面図である。
【図6】カバーに作用する押圧力を説明するための拡大断面図である。
【図7】本実施形態の変形例に係る光学的情報読取装置の要部であるカバーを示す説明図である。
【図8】本実施形態の変形例に係る光学的情報読取装置の要部であるカバーを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の情報端末を光学的情報読取装置に適用した一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る光学的情報読取装置10の構成概要を示す断面図である。図2は、図1の光学的情報読取装置10の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
図1に示す光学的情報読取装置10は、物品に付された情報コード、例えば、バーコードなどの一次元コードやQRコード(登録商標)などの二次元コードを光学的に読み取る携帯型の情報端末として構成されている。
【0026】
光学的情報読取装置10は、ABS樹脂等の合成樹脂材料により形成される上側ケース11aおよび下側ケース11bが組み付けられて構成されるガンタイプの筐体11によって外郭が形成され、下端部には、当該筐体11から外部に延びて上位システムと電気的な接続を可能にするケーブル71が設けられている。筐体11には、両ケース11a,11bを組み付けることで、情報コードからの反射光の入射を可能とする読取口12が形成される。
【0027】
また、筐体11の読取口12の周囲と、筐体11のケーブル71を保持するケーブル取付部13の周囲とには、落下時の衝撃を緩和するための読取口チップ72とボトムピース73とが組み付けられている。これら読取口チップ72およびボトムピース73は、保護機能を実現するだけでなく、両ケース11a,11bの組み付けを強固にするため、環状の弾性部材から構成されている。
【0028】
次に、光学的情報読取装置10の電気的構成について図2を用いて説明する。
図2に示すように、筐体11の内部には、回路部20が収容されており、この回路部20は、主に、照明光源21、受光センサ28、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40、トリガースイッチ42等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、から構成されている。
【0029】
光学系は、投光光学系と、受光光学系とに分かれている。投光光学系を構成する照明光源21は、照明光Lfを発光可能な照明光源として機能するもので、例えば、赤色のLEDとこのLEDの出射側に設けられるレンズとから構成されている。なお、図2では、情報コードCが付された物品Rに向けて照明光Lfを照射する例を概念的に示している。
【0030】
受光光学系は、受光センサ28、結像レンズ27、反射鏡(図示略)などによって構成されている。受光センサ28は、情報コードC等に照射されて反射した反射光Lrを受光可能に構成されるもので、例えば、C−MOSやCCD等の固体撮像素子である受光素子を2次元に配列したエリアセンサが、これに相当する。
【0031】
結像レンズ27は、外部から読取口12を介して入射する入射光を集光して受光センサ28の受光面28aに像を結像可能な結像光学系として機能するものである。本実施形態では、照明光源21から照射された照明光Lfが情報コードCにて反射した後、この反射光Lrを結像レンズ27で集光し、受光センサ28の受光面28aにコード像を結像させている。
【0032】
マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、トリガースイッチ42、発光部43、ブザー44、バイブレータ45、通信インタフェース48等から構成されている。
【0033】
光学系の受光センサ28から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力されると、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、生成されてメモリ35に入力されると、所定のコード画像情報格納領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ28およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0034】
メモリ35は、半導体メモリ装置で、例えばRAM(DRAM、SRAM等)やROM(EPROM、EEPROM等)がこれに相当する。このメモリ35のうちのRAMには、上述したコード画像情報格納領域のほかに、制御回路40が算術演算や論理演算等の各処理時に利用する作業領域や読取条件テーブルも確保可能に構成されている。またROMには、読取処理や解析処理等を実行可能な所定プログラムやその他、照明光源21、受光センサ23等の各ハードウェアを制御可能なシステムプログラム等が予め格納されている。
【0035】
制御回路40は、光学的情報読取装置10全体を制御可能なマイコンによって構成されており、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有すると共に、情報処理機能を備えており、メモリ35とともに情報処理装置を構成している。本実施形態では、制御回路40に対し、トリガースイッチ42、発光部43、ブザー44、バイブレータ45、通信インタフェース48等が接続されている。
【0036】
これにより、制御回路40は、例えば、トリガースイッチ42の監視や管理、情報コードCの読み取りに関する情報を報知するインジケータとして機能する発光部43の点灯・消灯、ビープ音やアラーム音を発生可能なブザー44の鳴動のオンオフ、当該光学的情報読取装置10の使用者に伝達し得る振動を発生可能なバイブレータ45の駆動制御やケーブル71を介した外部装置とのシリアル通信を可能にする通信インタフェース48の通信制御等を可能にしている。
【0037】
次に、本実施形態に係る光学的情報読取装置10の特徴的構成について図面を用いて説明する。図3(A)は、上側ケース11aの開口14周辺を拡大して示す説明図であり、図3(B)は、図3(A)に示す3B−3B線相当の切断面による断面図である。図4は、カバー60の詳細構造を示す説明図であり、図4(A)は正面図であり、図4(B)は側面図であり、図4(C)は下面図である。
【0038】
図1に示すように、筐体11内に収容される基板50には上述した発光部43が実装されており、この発光部43からの光が照射される上側ケース11aの位置には、透光部61を有するカバー60が配置されている。このように構成される筐体11とカバー60とについて、以下に説明する。
【0039】
まず、筐体11の形状について説明する。
図3(A),(B)に示すように、発光部43からの光が照射される上側ケース11aの位置には、略逆三角形状の開口14が形成されている。筐体11の内面のうち開口14を囲む面(以下、周縁面15という)は、外側に膨らむように曲面状に形成されており、この周縁面15には、当該開口14を挟んで上下方向に2つの突起16と突出片17とが設けられている。
【0040】
両突起16は、開口14の下端近傍の周縁面15から内方へ突出するように設けられており、後述する貫通穴63との係合を強固とするため、断面が十字状に形成されている。突出片17は、開口14の上端から読取口側に所定距離だけ離れた位置の周縁面15から、内方へ略平板状に突出するように形成されている。
【0041】
次に、カバー60の形状について説明する。
図4(A)〜(C)に示すカバー60は、半透明の樹脂材料からなり、略逆三角形状の透光部61とこの透光部61の周囲に設けられる周縁部62とが一体に形成されている。透光部61は、発光部43からの光を透光させることで、当該発光部43の光を外部から視認させる機能を有するもので、開口14から外方に露出するように配置される。この透光部61の内側面61aには、透光性を向上させるための表面加工が施されている。また、開口14から露出する透光部61の露出面61bは、筐体11の外面のうち開口14を囲む面とともに、外側に膨らむように曲面状に形成されている。
【0042】
周縁部62は、透光部61が開口14から露出するときに筐体11の周縁面15に対して面接触するように、その接触面が周縁面15に応じて外側に膨らむように曲面状に形成されている。この周縁部62には、両突起16にそれぞれ係合する2つの貫通穴63と、突出片17に一部が面接触するL字片64とが、透光部61を挟んで設けられている。両貫通穴63は、透光部61の下端近傍であって、両突起16にそれぞれ強固に係合するために、その内径が突起16の外径よりも僅かに小さくなるように形成されている。
【0043】
L字片64は、周縁部62の上端から平板状に突出する基部64aと、この基部64aの突出端部から略L字状に延出する延出部64bとを有するように形成されている。延出部64bは、両貫通穴63が対応する突起16に係合するように周縁部62を周縁面15に面接触させるとき、すなわち、透光部61を開口14から露出させるとき、その基部側65が突出片17の開口側に押圧して面接触し、その延出側66が突出片17の頂部から突出するように形成されている。特に、延出部64bの延出側66は、面接触時の突出片17を介した応力を分散させるため、基部側65よりも厚さが厚くなるように形成されている。
【0044】
このように構成されるカバー60の筐体11への組み付けについて以下に説明する。図5(A)は、カバー60を上側ケース11aに組み付けた状態を拡大して示す説明図であり、図5(B)は、図5(A)に示す5B−5B線相当の切断面による断面図である。図6は、カバー60に作用する押圧力F1,F2を説明するための拡大断面図である。
【0045】
まず、図3に示すように形成された上側ケース11aと、図4に示すように形成されたカバー60とを用意する。次に、カバー60を、その透光部61が開口14に対向するように、上側ケース11aに対して内側から近接させる。続いて、透光部61を開口14から露出させるように、両貫通穴63に両突起16を挿通させる。このとき、カバー60のL字片64は、基部64aの上面にて周縁面15に形成される突出片17の頂部に接触している。
【0046】
そして、さらにカバー60を上側ケース11aに押し付けることで、図5(A),(B)に示すように、両貫通穴63が対応する突起16に係合し、基部64aがL字片64を乗り越えて延出部64bの基部側65が突出片17の開口側に押圧されるように面接触する。この面接触時では、延出部64bの基部側65のみが突出片17に面接触し、延出側66が突出片17の頂部から突出するので、延出側66の突出度合いを確認することで、延出部64bが基部側65にて突出片17の開口側に適切に面接触しているか否かを容易に視認することができる。
【0047】
これにより、カバー60には、係合時の両突起16を介して両貫通穴63に作用する押圧力と、面接触時の突出片17を介して延出部64bの基部側65に作用する押圧力とが、周縁部62を周縁面15に押し付ける力として作用する。
このようにして、ねじや接着剤等を使用することなく、カバー60の筐体11への組み付けが完了する。
【0048】
ここで、係合時の両突起16を介して両貫通穴63に作用する押圧力(以下、押圧力F1という)と、面接触時の突出片17を介して延出部64bの基部側65に作用する押圧力(以下、押圧力F2という)について、図6を用いて説明する。
図6に示すように、押圧力F1は、突起16に対して略直交する方向に作用し、押圧力F2は、突出片17の接触面に対して略直交方向に作用する。このため、両押圧力F1,F2が周縁部62を周縁面15に押し付ける力として作用するため、周縁部62が周縁面15に強固に押し付けられることとなり、周縁部62による防水機能や防塵機能等を高めることができる。
【0049】
このようにカバー60が上側ケース11aに組み付けられた光学的情報読取装置10において、読取作業にて撮像した情報コードCのデコードが成功すると、その旨を報知するために、筐体11内の発光部43が発光する。この発光部43からの光は、筐体11の開口14から外方に露出するように配置されるカバー60の透光部61を透光する。これにより、作業者は、デコードが成功したことを透光部61を透光する光に応じて認識することができる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態に係る光学的情報読取装置10では、透光部61は、開口14から露出するときに筐体11の内面のうち当該開口14を囲む周縁面15に対して面接触する周縁部62と一体に形成されている。そして、周縁面15には、開口14を挟んで突起16と突出片17とが形成され、周縁部62には、突起16に係合可能な貫通穴63と、この貫通穴63を突起16に係合させるように透光部61を開口14から露出させるときに突出片17の開口側に押圧するように面接触するL字片64の延出部64bと、が形成されている。
【0051】
このため、透光部61を開口14から露出させる場合には、貫通穴63が突起16に係合するとともにL字片64の延出部64bが突出片17の開口側に押圧するように面接触した状態で、周縁部62が周縁面15に面接触する。これにより、周縁部62と周縁面15とが離れにくくなり、周縁部62による防水機能や防塵機能等が高められるように、透光部61が筐体11に組み付けられることとなる。
したがって、筐体11の開口14から露出させる透光部61を、ねじ等の別部材を使用することなく当該筐体11に強固に組み付けることができる。
【0052】
特に、周縁面15とこの周縁面15に面接触する周縁部62の接触面とは、外側に膨らむように曲面状に形成されるため、係合時の突起16を介して貫通穴63に作用する押圧力F1と、面接触時の突出片17を介してL字片64の延出部64bに作用する押圧力F2とが、周縁部62を周縁面15に押し付ける力としても作用することとなる(図6参照)。このため、周縁部62が周縁面15に強固に押し付けられることとなり、周縁部62による防水機能や防塵機能等をさらに高めることができる。
【0053】
さらに、筐体11の外面のうち開口14を囲む面と、当該開口14から露出する透光部61の露出面61bとは、外側に膨らむように曲面状に形成されている。このため、当該光学的情報読取装置10の操作時に透光部61の露出面61bと周囲の筐体11の外面とに指などが触れて透光部61を筐体内方に押し込む押圧力が作用するときでも、この押圧力が曲面形状に応じて分散される。これにより、上記押圧力に起因する周縁部62と周縁面15とを引き離す力が抑制されるので、周縁部62による防水機能や防塵機能等の低下を抑制することができる。
【0054】
また、透光部61の内側面61aには、透光性を向上させるための表面加工が施されるため、当該透光部61を透光する光の視認性を向上させることができる。特に、上記表面加工は、透光部61の内側面61aに施されるため、例えば露出面61bに施される場合と比較して当該表面加工による効果が低下しにくくなるので、当該表面加工により向上させた視認性を長期間持続することができる。
なお、上記表面加工は、透光部61の内側面61aに施されることに限らず、透光部61の表面の少なくとも一部に施されてもよい。
【0055】
また、貫通穴63とこの貫通穴63の内径よりも僅かに大きな外径の突起16とにより上記係合を実現しているので、貫通穴63と突起16との係合を簡易な形状で強固にすることができる。
【0056】
また、周縁面15には、突起16が2つ形成され、周縁部62には、両突起16にそれぞれ対応する貫通穴63が同数形成されるため、単に周縁面15と周縁部62との係合部同士が1箇所係合する場合と比較して、透光部61の露出面61bを介してどの方向から押圧力が作用するときでも、周縁部62と周縁面15とが離れにくくなる。これにより、周縁部62と周縁面15との面接触がより強固となり、周縁部62による防水機能や防塵機能等をさらに高めることができる。
【0057】
図7および図8は、本実施形態の変形例に係る光学的情報読取装置10の要部であるカバー60を示す説明図である。
本実施形態の変形例として、突起16は、断面十字状に形成されることに限らず、例えば、貫通穴63の内径よりも僅かに大きな外径を有するように円柱状に形成されてもよい。また、貫通穴63および突起16に代えて、例えば、凸部と凹部とのように、周縁部62に設けられる周縁部側係合部と周縁面15に設けられて周縁部側係合部と係合可能な筐体側係合部とを採用してもよい。
【0058】
また、図7(A)に示すように、カバー60は、貫通穴(図7(A)にて符号63aにて示す)が周縁部62に対して3つ形成されてもよい。この場合、周縁面15には、各貫通穴63aに対応して同数の突起16が設けられる。このようにしても、単に周縁面15と周縁部62との係合部同士が1箇所係合する場合と比較して、周縁部62と周縁面15とが離れにくくなり、周縁部62による防水機能や防塵機能等をさらに高めることができる。もちろん、周縁部62に対して貫通穴63を4つ以上設けるとともに、周縁面15に各貫通穴63に対応して同数の突起16を設けるようにしても、上記効果を奏する。
【0059】
また、図7(B)に示すように、1つの貫通穴(図7(A)にて符号63bにて示す)を採用する場合には、この貫通穴63bを、カバー60全体として対象となる位置に設けるようにしてもよい。
また、上述した貫通穴63a,63bや対応する突起16に代えて、上述した凸部と凹部とのように、周縁部62に設けられる周縁部側係合部と周縁面15に設けられて周縁部側係合部と係合可能な筐体側係合部とを一対または複数対採用してもよい。
【0060】
また、本実施形態の変形例として、カバー60は、周縁部62から突出するL字片64の平面部(延出部64bの基部側65)にて突出片17の開口側に押圧するように面接触することで筐体11に固定されることに限らず、周縁部62から突出する接触部が有する平面部にて突出片17の開口側に押圧するように面接触することで筐体11に固定されてもよい。
【0061】
具体的には、図8に示すように、周縁部62から板状に突出する接触部(図8にて符号67にて示す)の平面部67aにて突出片17の開口側に押圧するように面接触することで、カバー60が筐体11に固定されてもよい。
【0062】
また、カバー60は、そのL字片64の延出部64bまたは平面部67aにて、突出片17の開口側に面接触することで筐体11に固定されることに限らず、突出片17に代えて周縁面15に形成される段部等に面接触することで筐体11に固定されてもよい。
【0063】
なお、本発明は上記実施形態および変形例に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよい。
(1)カバー60および筐体11の周縁面15における本発明の構成は、上述した光学的情報読取装置10に適用されることに限らず、例えば、携帯型の決済端末等のように、筐体内に収容される発光部からの光を透光させる透光部が当該筐体に形成される開口から露出する情報端末に適用されてもよい。
【0064】
(2)カバー60は、周縁部62を除き、透光部61のみが透光性を有するように形成されてもよい。
【0065】
(3)周縁面15および周縁部62は、外側に膨らむように曲面状に形成されることに限らず、例えば、平面状に形成されてもよい。また、透光部61の露出面61bは、筐体11の外面のうち開口14を囲む面とともに外側に膨らむように曲面状に形成されることに限らず、例えば、開口14を囲む面とともに平面状に形成されてもよい。
【0066】
(4)突起16および突出片17は、開口14を挟んで上下方向に位置するように周縁面15に設けられることに限らず、例えば、開口14を挟んで左右方向に位置するように周縁面15に設けられるてもよい。この場合、カバー60の貫通穴63およびL字片64は、突起16および突出片17に応じて形成することができる。
【符号の説明】
【0067】
10…光学的情報読取装置(情報端末)
11…筐体
11a…上側ケース
11b…下側ケース
14…開口
15…周縁面
16…突起(筐体側係合部)
17…突出片
43…発光部
60…カバー
61…透光部
61a…内側面
61b…露出面
62…周縁部
63…貫通穴(周縁部側係合部)
64…L字片
64b…延出部(接触部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に収容される発光部からの光を透光させる透光部が前記筐体に形成される開口から露出する情報端末であって、
前記透光部は、前記開口から露出するときに前記筐体の内面のうち当該開口を囲む周縁面に対して面接触する周縁部と一体に形成されており、
前記周縁面には、前記開口を挟んで筐体側係合部と突出片とが形成され、
前記周縁部には、前記筐体側係合部に係合可能な周縁部側係合部と、この周縁部側係合部を前記筐体側係合部に係合させるように前記透光部を前記開口から露出させるときに前記突出片の開口側に押圧するように面接触する接触部と、が形成されることを特徴とする情報端末。
【請求項2】
前記周縁面とこの周縁面に面接触する前記周縁部の接触面とは、外側に膨らむように曲面状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の情報端末。
【請求項3】
前記筐体の外面のうち前記開口を囲む面と、当該開口から露出する前記透光部の露出面とは、外側に膨らむように曲面状に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の情報端末。
【請求項4】
前記周縁部側係合部は、貫通穴として形成され、
前記筐体側係合部は、前記貫通穴の内径よりも僅かに大きな外径の突起として形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の情報端末。
【請求項5】
前記周縁面には、前記筐体側係合部が複数形成され、
前記周縁部には、複数の前記筐体側係合部にそれぞれ対応する前記周縁部側係合部が同数形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の情報端末。
【請求項6】
前記透光部の表面の少なくとも一部には、透光性を向上させるための表面加工が施されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の情報端末。
【請求項7】
前記表面加工は、前記透光部の内側面に施されることを特徴とする請求項6に記載の情報端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−20409(P2013−20409A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152695(P2011−152695)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】