説明

情報表示用パネル製造時の粒子配置方法

【課題】マスクの構成を改良することにより、基板上のセル内に表示媒体とする粒子群を確実に配置できる情報表示用パネル製造時の粒子配置方法を提供する。
【解決手段】情報表示用パネル製造時の粒子配置方法であって、粒子群を充填するセル7の開口に対応した位置に形成されたマスク開口部11−1を有するマスク11上に粒子群を置き、粒子充填部材12をマスクに押し当てながら移動させることによって粒子群をマスク上で移動させる間に、粒子群をマスク開口部を介して基板上のセル内に配置するに際し、マスクとして、粒子群を充填する各々のセルの開口に対応した位置に複数個のマスク開口部を有し、複数個のマスク開口部相互間における、マスク開口部の端部間距離が35μm以上であるマスクを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一方の表示画面領域が透明な、2枚の基板を対向配置した基板間を隔壁で仕切って形成した各セル内に、表示媒体とする粒子群を配置し、該粒子群に電界を付与して基板間を移動させて情報を表示する情報表示用パネル製造時の粒子配置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、少なくとも一方が透明な2枚の基板を対向配置した基板間を、隔壁で仕切って形成した各セル内に、表示媒体とする粒子群を配置し、粒子群を電気的に移動させて情報を表示する情報表示用パネルが知られている。
【0003】
そして、上述した情報表示用パネル製造時の粒子配置方法で、マスク機能を有するスクリーンおよび板状部材を用いて粒子を配置する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、情報表示用パネルのパネル基板に形成した隔壁上にマスク機能を有するスクリーンを配置し、このスクリーン上に載せた表示媒体を構成する粒子群を板状部材でスクリーン上を移動させながらスクリーンの開口部から落下させる。これにより、パネル基板上の隔壁で囲まれたセル内に粒子群を配置する技術である。このようにマスク機能を有するスクリーンおよび板状部材による粒子配置を行えば、情報表示用パネルを製造する際に、効率良くセル内に粒子を配置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−148381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に開示された技術では、マスクの開口部を中心とした山形状に粒子が充填される。その状態で、さらに次の粒子を充填すると、セル内に形成された粒子の山がセルの深さ、言い換えると隔壁の高さと同程度になる。そのため、マスクを取り外す時に充填済みの粒子を巻き上げてしまい、セルごとに均一充填することができない場合があった。特許文献1では、1セルに1個および複数個の開口部を対応させる例の開示があるが、それらの開口部を具体的にどのように一般化して配置すれば良いかについての記載はなかった。
【0006】
すなわち、マスク開口部を通過した粒子群(粉)は、マスク開口部下に山形状に配置され、通過した粒子群の量に応じた高さとなる。その高さがセルの深さに近くなると、マスクを取り外すときにセル内に配置済みの粒子を巻き上げてしまい、各セルに配置した粒子群の量にばらつきができる。このように、各セルに配置した粒子群の量にばらつきがある情報表示用パネルでは、表示画像のコントラストに部分的なむらができてしまい、良質な画像を表示できない不都合があった。
【0007】
本発明の目的は上述した問題点を解消して、マスクの構成を改良することにより、基板上のセル内に表示媒体とする粒子群を確実に配置できる情報表示用パネル製造時の粒子配置方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の情報表示用パネル製造時の粒子配置方法は、少なくとも一方の表示画面領域が透明な、2枚の基板を対向配置した基板間を隔壁で仕切って形成した各セル内に、表示媒体とする粒子群を配置し、該粒子群に電界を付与して基板間を移動させて情報を表示する情報表示用パネル製造時の粒子配置方法であって、前記セルの開口に対応した位置にマスク開口部が形成されたマスク上に前記粒子群を置き、粒子充填部材を前記マスクに押し当てながら移動させることによって、前記粒子群を前記マスク上で移動させる間に、前記粒子群を前記マスク開口部を介して基板上のセル内に配置するに際し、前記マスクとして、前記粒子群を充填する各々のセルの開口に対応した位置に複数個のマスク開口部を有し、前記複数個のマスク開口部相互間における、マスク開口部の端部間距離が35μm以上であるマスクを用いることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の情報表示用パネル製造時の粒子配置方法の好適例として、前記マスクを基板の隔壁上に配置した状態で、前記隔壁の高さをd1とし、前記隔壁に最も近接するマスク開口部の端部から前記隔壁内面までの距離をd2としたとき、d1とd2が次式:d2≧d1の関係を満足することが挙げられる。また、他の好適例として、前記マスクのマスク開口部に内接する最大円の直径をDとし、充填する粒子群の平均粒子径をDaveとしたとき、DとDaveが次式:7≧D/Dave≧2の関係を満足することが挙げられる。さらに、他の好適例として、前記充填する粒子群の平均粒子径Daveが、1μm〜20μmであることが挙げられる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、セルの開口に対応した位置に形成されたマスク開口部を有するマスク上に粒子群を置き、粒子充填部材をマスクに押し当てながら移動させることによって、粒子群をマスク上で移動させる間に、粒子群をマスク開口部を介して基板上のセル内に配置するに際し、マスクとして、粒子群を充填する各々のセルの開口に対応した位置に複数個のマスク開口部を有し、複数個のマスク開口部相互間における、マスク開口部の端部間距離が35μm以上であるマスクを用いることで、基板上のセル内に表示媒体とする粒子群を確実に配置できる情報表示用パネル製造時の粒子配置方法を得ることができる。
【0011】
また、本発明の好適例に従って、マスクを基板の隔壁上に配置した状態で、隔壁の高さをd1とし、隔壁に最も近接するマスク開口部の端部から隔壁までの距離をd2としたとき、d1とd2が次式:d2≧d1の関係を満足する場合、マスクのマスク開口部に内接する最大円の直径をDとし、充填する粒子群の平均粒子径をDaveとしたとき、DとDaveが次式:7≧D/Dave≧2の関係を満足する場合、充填する粒子群の平均粒子径Daveが、1μm〜20μmである場合は、いずれの場合も、本発明の情報表示用パネル製造時の粒子配置方法をさらに好適に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)、(b)はそれぞれ本発明の粒子配置方法の対象となる帯電性粒子気中駆動型の情報表示用パネルの一例を説明するための図である。
【図2】(a)、(b)はそれぞれ本発明の粒子配置方法の対象となる帯電性粒子気中駆動型の情報表示用パネルの他の一例を説明するための図である。
【図3】本発明の粒子配置方法の一例を説明するための図である。
【図4】本発明の粒子配置方法の他の例を説明するための図である。
【図5】(a)〜(c)はそれぞれ本発明の粒子配置方法に用いる基板とマスクの配置の一例を説明するための図である。
【図6】本発明の粒子配置方法で基板に形成された隔壁上に配置されたマスクの状態を説明するための図である。
【図7】(a)、(b)はそれぞれ本発明の粒子配置方法におけるマスク開口部の位置と隔壁の位置との関係について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<本発明を用いて製造する情報表示用パネルについて>
まず、本発明の対象となる情報表示用パネルの一例である帯電性粒子駆動型情報表示用パネルの基本的な構成について説明する。前記情報表示用パネルでは、対向する2枚の基板間に封入した帯電性粒子を含んだ粒子群として構成した表示媒体に対向電極対から電界が付与される。付与された電界方向にそって、表示媒体が電界による力やクーロン力などによって引き寄せられ、表示媒体が電界方向の変化によって移動方向が切り換わることにより、画像等の情報表示がなされる。従って、表示媒体とする粒子群が、均一に移動し、かつ、表示情報を書き換える時あるいは表示した情報を継続して表示する時の安定性を維持できるように、情報表示用パネルを設計する必要がある。ここで、表示媒体を構成する粒子にかかる力は、粒子同士のクーロン力により引き付けあう力の他に、電極や基板との電気鏡像力、分子間力、液架橋力、重力などが考えられる。
【0014】
本発明の対象となる帯電性粒子気中駆動型の情報表示用パネルの例を、図1(a)、(b)〜図2(a)、(b)に基づき説明する。
【0015】
図1(a)、(b)に示す例では、少なくとも光学的反射率および帯電性を有する粒子を含んだ粒子群として構成した少なくとも2種類の表示媒体(ここでは負帯電性白色粒子3Waを含んだ白色粒子群3Wと正帯電性黒色粒子3Baを含んだ黒色粒子群3Bを示す)を、隔壁4で形成された各セル7において、背面側のパネル基板1に設けた電極5(ストライプ電極)と観察側のパネル基板2の透明な領域に設けた透明電極6(ストライプ電極)とが対向直交交差して形成する画素電極対の間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と垂直に移動させる。そして、図1(a)に示すように白色粒子群3Wを観察者に視認させて白色の表示を、あるいは、図1(b)に示すように黒色粒子群3Bを観察者に視認させて黒色の表示を白黒のドットでマトリックス表示している。なお、図1(a)、(b)において、手前にある隔壁は省略している。また、8は接着剤である。さらに、ここではセルと画素(ドット)とが1対1に対応する例を示している。さらにまた、セル内は気体で満たすか、真空にすることができるほか、透明な絶縁性液体で満たすこともできる。
【0016】
図2(a)、(b)に示す例では、少なくとも光学的反射率および帯電性を有する粒子を含んだ粒子群として構成した少なくとも2種類の表示媒体(ここでは負帯電性白色粒子3Waを含んだ白色粒子群3Wと正帯電性黒色粒子3Baを含んだ黒色粒子群3Bを示す)を、隔壁4で形成された各セルにおいて、基板1に設けた電極5(TFT(薄膜トランジスタ)付き画素電極)と基板2に設けた電極6(共通電極)との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と垂直に移動させる。そして、図2(a)に示すように白色粒子群3Wを観察者に視認させて白色の表示を、あるいは、図2(b)に示すように黒色粒子群3Bを観察者に視認させて黒色の表示を白黒のドットでマトリックス表示している。なお、図2(a)、(b)において、手前にある隔壁は省略している。また、8は接着剤である。さらに、ここではセルと画素(ドット)とが1対1に対応する例を示している。さらにまた、セル内は気体で満たすか、真空にすることができるほか、透明な絶縁性液体で満たすこともできる。
【0017】
<本発明の情報表示用パネル製造時における粒子配置方法について>
図3および図4はそれぞれ本発明の情報表示用パネル製造時における粒子配置方法の一例を説明するための図である。
【0018】
図3に示す例では、マスク11と隔壁4の頂上とは離して配置し、マスク11上に載せた白色粒子群(白色の粉)3Wを粒子充填部材12でマスク11上で移動させる。マスク11の開口部11−1から落下した白色粒子群3Wは、基板1上で隔壁4で囲まれて形成されたセル7内に配置される。粒子充填部材12で押されたマスク11が隔壁4の頂上に接触した状態で、粒子充填部材12で押された白色粒子群3Wがマスク11の開口部11−1から落下する。なお、図3における左端の図は、粒子充填部材12が移動した後、マスク11が変形から解放されて元に戻った状態を示す。また、図3における中央の図は、粒子充填部材12が移動することで押された白色粒子群3Wがマスク11の開口部11−1からセル7内に落下して配置されている状態を示す。この状態では、隔壁4の頂上とマスク11のマスク部11−2とは接触している。さらに、図3における右端の図は、粒子充填部材12が通過する前のマスク11と隔壁4との関係を示す。
【0019】
図4に示す例では、マスク11を隔壁4の頂上と接触させて、好ましくは密着させて配置し、マスク11上に載せた白色粒子群(白色の粉)3Wを粒子充填部材12でマスク11上で移動させる。マスク11の開口部11−1から落下した白色粒子群3Wは、基板1上で隔壁4で囲まれて形成されたセル7内に配置される。マスク11が隔壁4の頂上に常に接触した状態で、粒子充填部材12で押された白色粒子群3Wがマスク11の開口部11−1から落下する。本例では、図4における左端の図、中央の図、右端の図のいずれにおいても、隔壁4の頂上とマスク11のマスク部11−2とが接触している。粒子充填部材12が横方向に移動する際にマスク部11−2と隔壁4とがずれないように、マスク11は隔壁4と密着させておくのがよい。
【0020】
<本発明の粒子配置方法における特徴となるマスクの構成について>
本発明の粒子配置方法における特徴部分は、上述した図3および図4に示す粒子配置方法において、マスク11として、粒子群を充填するセル7の開口の各々に対応してマスク開口部11−1を複数個配置し、1セルの領域内に配置される複数個のマスク開口部11−1の位置関係において、一つのマスク開口部11−1の端部から他のマスク開口部11−1の端部までの端部間距離が、全ての端部間距離において35μm以上となるよう形成されているマスクを用いる点にある。
【0021】
図5は(a)〜(c)はそれぞれ本発明の粒子配置方法に用いるマスクの一例を説明するための図である。図5(a)〜(c)に示す例では、説明が明瞭となるように、マスク11のうち、隔壁4で囲まれた粒子群を充填する1個のセル7に対応する部分を示している。
【0022】
図5(a)に示す例では、長方形のセル7に対応するマスク11の領域に、それぞれが円形のマスク開口部11−1−1〜11−1−5を5個形成した例を示している。5個のマスク開口部11−1−1〜11−1−5を、隔壁4と距離d2をもってセル7のほぼ中央に配置している。ここでは、セル7の中心に対応するマスク開口部11−1−1と、この中心のマスク開口部11−1−1の周囲の長方形の角部に設けられ、中心のマスク開口部11−1−1よりも小さい直径のマスク開口部11−1−2〜11−1−5として構成されている。
【0023】
図5(b)に示す例では、正方形のセル7に対応するマスク11の領域に、それぞれが円形のマスク開口部11−1−1〜11−1−4を4個形成した例を示している。4個のマスク開口部11−1−1〜11−1−4は、隔壁4と距離d2をもってセル7のほぼ中央に配置している。ここでは、正方形の角部に設けられ、一方の対角線上に設けられたマスク開口部11−1−1、11−1−3と、もう一方の対角線上に設けられた、マスク開口部11−1−1、11−1−3よりも小さい直径のマスク開口部11−1−2、11−1−4として構成されている。
【0024】
図5(c)に示す例では、六角形のセル7に対応するマスク11の領域に、それぞれが円形のマスク開口部11−1−1〜11−1−7を7個形成した例を示している。7個のマスク開口部11−1−1〜11−1−7は、隔壁4と距離d2をもってセル7のほぼ中央に配置されている。ここでは、セル7の中心に対応するマスク開口部11−1−1と、この中心のマスク開口部11−1−1の周囲の六角形の角部に設けられ、中心のマスク開口部11−1−1よりも小さい直径のマスク開口部11−1−2〜11−1−7として構成されている。
【0025】
図5(a)〜(c)に示した例において、本発明で重要な点は、マスク開口部11−1を複数設けることと、1セルに対応する領域に設けた複数個のマスク開口部11−1の位置関係において、一つのマスク開口部11−1の端部から他のマスク開口部11−1の端部までの端部間距離DIが、全ての端部間距離DIにおいて35μm以上となるよう形成されている。具体的には、図5(a)に示す例では、5個の円形マスク開口部それぞれの位置関係においてマスク開口部の端部間距離DIの全てが35μm以上となるようにマスク開口部11−1−1〜11−1−5が形成されている。また、図5(b)に示す例では、4個の円形マスク開口部それぞれの位置関係においてマスク開口部の端部間距離DIの全てが35μm以上となるようにマスク開口部11−1−1〜11−1−5が形成されている。さらに、図5(c)に示す例では、7個の円形マスク開口部それぞれの位置関係においてマスク開口部の端部間距離DIの全てが35μm以上となるようにマスク開口部11−1−1〜11−1−7が形成されている。
【0026】
なお、ここで「マスク開口部11−1の端部」とは、あるマスク開口部11−1を形成する形状の輪郭のうち他のマスク開口部11−1を形成する輪郭と最も近い位置を示している。ここではマスク開口部11−1の形状を円形としたが、マスク開口部11−1の形状を四角形などの多角形や楕円形や長方形、レーストラック形など他の形状とすることができ、その場合の端部も上記のように、あるマスク開口部11−1を形成する形状の輪郭のうち他のマスク開口部11−1を形成する輪郭と最も近い位置を示している。
【0027】
本発明では、図5(a)〜(c)に示すように、粒子群を充填する各セル7の開口のそれぞれに対して複数のマスク開口部11−1を設けたマスク11を用いることで、万一異物が原因で1つのマスク開口部が詰まった場合でも、複数のマスク開口部を設けることで、詰まったマスク開口部以外のマスク開口部からセル内への粒子充填を行うことができる。そのため、1つのセルに対応した領域に1つのマスク開口部しか設けなかった場合に、当該マスク開口部が詰まり、セル内へ粒子が充填されず表示媒体となる粒子群が配置されないセルの発生をなくすことができる。また、本発明において、各マスク開口部11−1の端部から端部までの端部間距離DIを35μm以上とするのは、情報表示用パネルでは平均粒子径が1μm〜20μmの粒子群を用いるので、マスク開口部も、この粒子群が通過できる大きさの孔を設けることに起因する。一例として図6に示す例において説明する。
【0028】
図6では、基板1に形成された隔壁4で囲まれたセルに対応する位置に4個のマスク開口部11−1が配置されるように、隔壁4上にマスク11を載せた様子を、隣接する2個のマスク開口部を通る線で分断したときの断面として示している。2個のマスク開口部11−1の端部間距離DIとして示している。本発明のマスクは、厚さが15μm〜100μmのものを好適に用いるが、端部間距離DIを35μm未満にしようとすると、開口部同士が繋がってしまい所定の大きさの開口部をマスクに形成できない不都合がある。また、平均粒子径Daveが1μm〜20μmの粒子群が通過できる程度の大きさの開口部を、35μm未満の端部間距離DIで作製できても、粒子群を充填する際に粒子充填部材でマスクが繰り返し擦られていくと、隣接するマスク開口部が繋がってしまい、大きなマスク開口部となってしまうことがあった。このように隣接するマスク開口部が繋がってしまうと所定量以上の粒子群がセル内に配置されてしまい情報表示用パネルとして良好な表示性能が得られなくなる不都合がある。
【0029】
上述した図5(a)〜(c)に示す例では、複数個のマスク開口部11−1−1〜11−1−7を1セルに対応する領域内に均等に配置している。そして、隔壁4に最も近接するマスク開口部の端部を結ぶ線分(図中Lと示す)と隔壁4の端部との距離d2は各セルで一定にしている。これらの構成は一例であって、本発明はこれらの構成に限定されるものではなく、1セルに対応する領域内で、偏った配置構成をとることも可能である。また、マスク開口部の形状は円形、楕円形、レーストラック形、多角形などいずれでもよいし、複数のマスク開口部すべてを同じ形状にしてもよいし、別の形状にしてもよい。複数個のマスク開口部11−1−1〜11−1−7のに内接する最大円の直径は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0030】
図7(a)、(b)はそれぞれ本発明の粒子配置方法におけるマスク開口部の位置と隔壁の位置との関係について説明するための図である。本発明では、図7(a)に示すように、マスク11を基板1の隔壁4上に配置した状態で、隔壁4に最も近い位置にあるマスク開口部11−1の端部と隔壁4までの距離をd2とし、隔壁4の高さをd1としたとき、d2≧d1の関係を満たすように、マスク11を隔壁4上に配置することが好ましい。その好ましい理由は以下の通りである。すなわち、マスク開口部11−1と隔壁4との距離が近くなると、マスク開口部11−1を介してセル7内に落ちた粒子群3Bが広がるが、図7(b)に示すように、粒子群3Bが隔壁4に付着した時点で粒子群がセル7内に入り難くなる。粒子群3Bは、帯電性粒子および粒子の流動性を高める微小粒子を含んでおり、帯電性粒子の帯電状況や微小粒子の配合量にもよるが安息角約45度程度で充填されていくので、隔壁4に最も近い位置にあるマスク開口部11−1の端部と隔壁4までの距離d2と隔壁4の高さd1との関係がd2≧d1/tan(45°)すなわちd2≧d1を満たすと、隔壁4に対する粒子群の付着が少なくなり、粒子群のセル7内への充填量が安定するためである。
【0031】
この微小粒子は、帯電性粒子に付着して、あるいは、表示媒体を形成している粒子群中に、帯電性粒子とは離れて存在し、粒子群が表示媒体として移動する際に移動しやすくさせる機能を発現する。微小粒子は、平均粒子径が、30nm〜500nmのシリカ微粒子や窒素原子を含んだ樹脂微粒子などが好適である。そして、微小粒子と帯電性粒子とを均一に混合処理して得た粒子群を、表示媒体とする粒子群として基板上のセル内に配置する方法を採ることができる。したがって、本発明でいう表示媒体とする粒子群は、帯電性粒子だけで構成されていてもよいし、帯電性粒子および前記微小粒子で構成されていてもよい。
【0032】
また、本発明において、マスク11のマスク開口部11−1に内接する最大円の直径Dがいずれも、充填する粒子群の平均粒子径Daveとの関係において、7≧D/Dave≧2であることが好ましい。マスク開口部のDと充填する粒子群の平均粒子径Daveとの関係が7≧D/Dave≧2であることが好ましいのは、D/Dave>7であると、充填しようとしている粒子同士が凝集した状態でマスク開口部を通過するような場合があり、このような凝集した粒子が通過したマスク開口部の下にあるセルには多量の粒子群が配置されてしまう。また、このように凝集した粒子が通過したマスク開口部の隣のマスク開口部では、粒子群がマスク開口部を通過しないうちに、マスク上を粒子群が通過してしまうことがあり、このマスク開口部の下にあるセルには粒子群が配置されないことがあり、表示画面を構成するセル全体として見たときに、各セルにおいて表示媒体として配置された粒子群の量にばらつきができてしまうことになる。このような情報表示用パネルであは良好な表示状態が得られない不都合を生じることになる。一方、D/Dave<2であると、充填しようとしている粒子群の大きさ(平均粒子径Daveが、1μm〜20μm)に対して、マスク開口部の大きさが十分に大きいとはいえないため粒子がマスク開口部を通過できない場合があり、このマスク開口部の下にあるセルには粒子群が配置されないことになってしまう。この場合も、表示画面を構成するセル全体として見たときに、各セルにおいて表示媒体として配置された粒子群の量にばらつきができてしまうことになる。このような情報表示用パネルでは良好な表示状態が得られない不都合が生じることになる。
【0033】
マスク11は、材料にステンレス鋼(SUS)、ニッケル、ニッケル合金、アルミニウム、鉄、銅等の金属を用いたメタルマスクや、汎用プラスチックを用いた樹脂製マスクおよびメタル部分と樹脂部分とを組み合せた複合マスクなどが用いられる。メタルマスクの一部に絶縁部材を設けて部分的に絶縁性部分を有する導電性メタルマスクとしたり、樹脂製マスクの一部に導電部材を設けて部分的に導電性部分を有する樹脂製マスクとしたりすることができる。
【0034】
次に、充填する粒子群について説明する。本発明を適用する情報表示用パネルにおいて表示媒体とする粒子群は、平均粒子径d(0.5)が、1μm〜20μmの帯電性粒子で構成したり、この帯電性粒子に対して、平均粒子径が10nm〜1μmの微小粒子を付着または固着させたり、あるいは、帯電性粒子と微小粒子との混合粉体としたりしたものである。いずれの構成にしてもよいが、表示媒体となる帯電性粒子の平均粒子径d(0.5)がこの範囲より大きいと表示上の鮮明さに欠け、表示媒体となる帯電性粒子の平均粒子径d(0.5)がこの範囲より小さいと、粒子同士の凝集力が大きくなりすぎるために表示媒体としての移動に支障をきたすようになる。
【0035】
さらに、表示媒体とする粒子(粒子群)の粒子径分布に関して、下記式に示される粒子径分布Spanを5未満、好ましくは3未満とする。
Span=(d(0.9)−d(0.1))/d(0.5)
(但し、d(0.5)は粒子の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値、d(0.1)はこれ以下の粒子の比率が10%である粒子径をμmで表した数値、d(0.9)はこれ以下の粒子が90%である粒子径をμmで表した数値である。)
Spanを5以下の範囲に納めることにより、表示媒体とする粒子のサイズが揃い、表示媒体(粒子群)としての均一な移動が可能となる。
【0036】
さらにまた、表示媒体として複数の粒子群を使用する場合には、使用した粒子群の内、最大の平均粒子径d(0.5)を示す粒子群の平均粒子径d(0.5)に対する、最小の平均粒子径d(0.5)を示す粒子群の平均粒子径d(0.5)の比を10以下とする。たとえ粒子径分布Spanを小さくしたとしても、複数の粒子群は表示媒体として互いに反対方向に動くので、互いの粒子群を構成している粒子サイズが近い方が表示媒体として容易に移動できるようになるので好適であり、それがこの範囲となる。
【0037】
なお、上記の粒子径分布および粒子径は、レーザー回折/散乱法などから求めることができる。測定対象となる粒子にレーザー光を照射すると空間的に回折/散乱光の光強度分布パターンが生じ、この光強度パターンは粒子径と対応関係があることから、粒子径および粒子径分布が測定できる。
ここで、粒子径および粒子径分布は、体積基準分布から得られたものである。具体的には、Mastersizer2000(Malvern Instruments Ltd.)測定機を用いて、窒素気流中に粒子群を投入し、付属の解析ソフト(Mie理論を用いた体積基準分布を基本としたソフト)にて、平均粒子径および粒子径分布の測定を行うことができる。
【0038】
さらに、帯電性粒子を含んだ粒子群を表示媒体として、気体(真空を含む)中空間で駆動させる方式とする場合には、パネル基板間の表示媒体を取り巻く空隙部分の気体の管理が重要であり、表示安定性向上に寄与する。具体的には、空隙部分の気体の湿度について、25℃における相対湿度を60%RH以下、好ましくは50%RH以下とすることが重要である。
この空隙部分とは、対向する基板1、基板2に挟まれる部分から、電極5、6、表示媒体(3B、3W)の占有部分、隔壁4の占有部分、パネル基板間のシール部分を除いた、いわゆる表示媒体が接する気体部分を指すものとする。
空隙部分の気体は、先に述べた湿度領域であれば、その種類は問わないが、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、乾燥ヘリウム、乾燥二酸化炭素、乾燥メタンなどが好適である。この気体は、その湿度が保持されるようにパネル基板間に封入することが必要であり、例えば、表示媒体の充填、パネルの組み立てなどを所定湿度環境下にて行い、さらに、外からの湿度侵入を防ぐシール剤、シール方法を施すことが肝要である。
【0039】
本発明の対象とする情報表示用パネルの基板と基板との間隔は、表示媒体が駆動できて、表示コントラストを維持できればよいが、通常10μm〜500μm、好ましくは10μm〜200μmに、表示媒体とする粒子群を構成する粒子の大きさや充填量に合わせて調整される。この基板間の間隔は、セルを形成する隔壁の高さ、基板間ギャップ確保用隔壁の高さおよび接着剤の厚さによって調整される。
表示媒体とする粒子群に帯電性粒子を用いる場合は、基板と基板との間隔は10μm〜200μm、好ましくは10μm〜100μmの範囲で調整される。さらに、基板間の気体(真空を含む)中空間における表示媒体の体積占有率は5〜70%が好ましく、さらに好ましくは5〜60%である。70%を超える場合には表示媒体としての粒子の移動に支障をきたし、5%未満の場合にはコントラストが不明確となり易い。
【実施例】
【0040】
以下に示す実施例1(1セルに対応する領域に配置したマスク開口部の数についての検討)、実施例2(マスク開口部端部間の距離DIについての検討)、実施例3(隔壁の高さd1と隔壁内面からマスク開口部端部までの距離d2との関係についての検討)を実施するにあたり、いずれの実施例においても、次に示す粒子充填方法を用いた。
【0041】
後述する白色粒子群をセルに配置した後、画面全体を9分割した各領域ごとに50倍の拡大観察を行い、セル内に充填された白色粒子群の量を目視観察して、そのばらつき程度で評価した。評価用の基板は、ITOストライプ電極が設けられたガラス基板(700μm厚)を用いて、ITO電極の上に積層した、ニチゴーモートン社製のドライフィルムレジスト材アルフォNIT2をフォトリソグラフィー加工して、格子状隔壁を、幅20μmで形成して準備した。隔壁の高さは、用いるドライフィルムレジスト材の厚さで調整して、数種類の高さの隔壁を形成した。マスクは、電鋳法で作製したニッケル製マスク(25μm厚)を用いた。粒子充填部材は、厚さ5mmで断面形状が長方形のウレタンゴム製の板状部材をその進行方向に約60°倒して角部が僅かに変形するようにマスクに押し付けた状態のまま水平に移動させて、マスク上に載せた粒子群(粉)を移動させながらマスク開口部下のセル内に充填した。
【0042】
(黒色粒子群)
メチルメタクリレートモノマー(関東化学試薬)60重量部、及び、1分子中に重合反応基を複数持つ多官能性モノマーとしてエチレングリコールジメタクリレート(和光純薬試薬)40重量部(約25mol%)に、正帯電の荷電制御剤としてニグロシン化合物(ボントロンN07:オリエント化学製)3重量部、及び、黒色顔料として、カーボンブラック(スペシャルブラック:デグッサ製)5重量部をサンドミルにより分散させ、(アクリル系及びメタクリル系)樹脂−炭化水素系樹脂ブロックコポリマー(モディパーF600:日本油脂製)5重量部を溶解させた後、さらに2重量部のラウリルパーオキサイド(パーロイルL:日本油脂製)を溶解させた液を、界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(ラテムルE−118B:花王製)を0.5%添加した精製水に懸濁、重合させ、濾過、乾燥させた後、分級機(MDS−2:日本ニューマチック工業)を用いて平均粒子径9.2μmの正帯電性黒色粒子群を得た。
【0043】
(白色粒子群)
ポリメチルペンテンポリマー(TPX−R18:三井化学社製)100重量部と、着色剤として二酸化チタン(タイペークCR−90:石原産業社製)100重量部と、負帯電の荷電制御剤としてフェノール系縮合物(ボントロンE89:オリエント化学製)5重量部とを2軸混練機により溶融混練し、ジェットミル(ラボジェットミルIDS−LJ型:日本ニューマチック(株)製)で細かく粉砕し、分級機(MDS−2:日本ニュ−マチック工業)を用いて分級し、溶融球状化装置(MR−10:日本ニュ−マチック工業)を用いて溶融球状化し、平均粒子径が、9.5μmの負帯電性の白色粒子群を得た。
【0044】
<実施例1:1セルに対応する領域に配置したマスク開口部の数についての検討>
ITOストライプ電極を、対向直交させて、画素をマトリックス配置する情報表示用パネル(画素数:44800)を作製するため、ITOストライプ電極を、幅300μm、スペース20μmで形成したガラス基板(厚さ700μm)を準備した。基板上のITO電極の上に、画素を囲むようにリブ(隔壁)を幅20μm、高さ50μmで格子状に形成して、画素とセルとを1対1に対応させた。マスクは、直径20μmの円形マスク開口部を有する厚さ25μmのニッケルマスクを電鋳法で作製し、これを用いた。
【0045】
実施例1〜4用のマスクおよび比較例1用のマスクとして、粒子群を充填するセルに対応する領域に対して設けるマスク開口部の個数が異なるマスクを、実施例1〜4および比較例1ごとに準備した。それぞれのマスクにおいて、直径20μmの円形のマスク開口部の配置は、各セルに対応する領域の中央領域とし、複数のマスク開口部を設けたマスクでは、複数のマスク開口部間の内、最短となる端部間距離を35μmで形成した。また、実施例1〜4および比較例1では、平均粒子径Daveが9.5μmの白色粒子群を、表示画面を構成する44800個のセルに充填し、白色粒子群を充填した後に表示画面領域の各セルに白色粒子群が充填されていないセルをドット欠陥セルとしてカウントして結果を評価した。結果を以下の表1に示す。
【0046】
【表1】

【0047】
表1の結果から、実施例1〜4と比較例1とを対比することで、粒子群を充填するセルに対応する領域に、マスク開口部を1個しか設けていないと、粒子群が充填されていないセルを発生させてしまうことがあることが分かった。また、粒子群を充填するセルに対応する領域に、マスク開口部を2個以上設けておけば、粒子群が充填されていないセルの発生を妨げることが分かった。さらに、マスク開口部の端部間距離が35μmにおいても良好な粒子充填工程を実行できることが分かった。
【0048】
<実施例2:マスク開口部端部間の距離DIについての検討>
ITOストライプ電極を、対向直交させて、画素をマトリックス配置する情報表示用パネル(画素数:44800)を作製するため、ITOストライプ電極を、幅250μm、スペース20μmで形成したガラス基板(厚さ700μm)を準備した。基板上のITO電極の上に、画素を囲むようにリブ(隔壁)を幅20μm、高さ50μmで格子状に形成して、画素とセルとを1対1に対応させた。マスクは、円形マスク開口部を有する厚さ25μmのニッケルマスクを電鋳法で作製し、これを用いた。
【0049】
実施例11〜16用のマスクおよび比較例11〜13用のマスクとして、粒子群を充填するセルに対応する領域に対して円形のマスク開口部を4個有し、この円形のマスク開口部の直径およびこの円形のマスク開口部の端部間距離が異なるマスクを、各実施例11〜16および比較例11〜13ごとに準備した。それぞれのマスクにおいて、円形のマスク開口部の配置は、各セルに対応する領域の中央領域とした。また、実施例11〜13および比較例11〜13では、平均粒子径Daveが9.5μmの白色粒子群を、表示画面を構成する44800個のセルに充填する工程を10枚の基板に対して実施し、その様子を観察して評価した。結果を以下の表2に示す。
【0050】
【表2】

【0051】
表2の結果から、粒子群を充填するセルに対応する領域に、マスク開口部を複数個設けた場合、一つのマスク開口部の端部から他のマスク開口部の端部までの端部間距離DIが、すべての端部間距離DIにおいて35μm以上である実施例11〜16は、端部間距離DIが35μm未満である比較例11〜13と比べて、マスクが得られるという点で優れているとともに、このようなマスクを用いれば、良好な粒子充填工程を実行できることが分かった。
【0052】
<実施例3:隔壁の高さd1と隔壁内面からマスク開口部端部までの距離d2との関係についての検討>
ITOストライプ電極を、対向直交させて、画素をマトリックス配置する情報表示用パネル(画素数:44800)を作製するため、ITOストライプ電極を、幅300μm、スペース20μmで形成したガラス基板(厚さ700μm)を準備した。基板上のITO電極の上に、画素を囲むようにリブ(隔壁)を幅20μmで格子状に形成して、画素とセルとを1対1に対応させた。隔壁の高さは、40μm、50μm、60μmの2種類で準備した。マスクは、直径20μmの円形マスク開口部を、1セルに対応する領域に4個有する厚さ25μmのニッケルマスクを電鋳法で作製し、これを用いた。
【0053】
実施例21〜26用のマスクおよび参考例21〜23用のマスクにおいて、直径20μmの円形のマスク開口部の配置は、各セルに対応する領域の中央領域とし、4個のマスク開口部を正方形形状のセルの対角線上に、隔壁内面からの距離に応じたマスク開口部端部間距離で均等とした。また、実施例21〜26および参考例21〜23では、平均粒子径Daveが9.5μmの白色粒子群を、表示画面を構成する44800個のセルに充填し、白色粒子群を充填した後にマスクを取り外して、表示画面領域の各セルの粒子充填状態を顕微鏡で100倍〜1000倍に拡大して観察して評価した。結果を以下の表3に示す。
【0054】
【表3】

【0055】
表3の結果から、粒子群を充填するセルに対応する領域に、マスク開口部を複数個設けた場合、一つのマスク開口部の端部から隔壁内面までの距離d2と、セルを形成している隔壁の高さd1との関係が、d2≧d1を満たす実施例21〜26は、d2とd1との関係がd2<d1である参考例21〜23と比べて、良好な粒子充填工程を実行できることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明を用いて製造する情報表示用パネルは、ノートパソコン、電子手帳、PDA(Personal Digital Assistants)と呼ばれる携帯型情報機器、携帯電話、ハンディターミナル等のモバイル機器の表示部、電子書籍、電子新聞等の電子ペーパー、看板、ポスター、黒板(ホワイトボード)等の掲示板、電子卓上計算機、家電製品、自動車用品等の表示部、ポイントカード、ICカード等のカード表示部、電子広告、情報ボード、電子POP(Point Of Presence, Point Of Purchase advertising)、電子値札、電子棚札、電子楽譜、RF−ID機器の表示部のほか、POS端末、カーナビゲーション装置、時計など様々な電子機器の表示部に好適に用いられる。他に、リライタブルペーパー(外部電界形成手段を用いて書換えできるものや、外部の表示書換え手段に接続して情報を書き換えた後、接続を解放しても情報を表示したままにすることができるもの)としても好適に用いられる。
【符号の説明】
【0057】
1、2 基板
3W 白色粒子群
3Wa 白色粒子
3B 黒色粒子群
3Ba 黒色粒子
4 隔壁
5、6 電極
7 セル
8 接着剤
11 マスク
11−1、11−1−1〜11−1−7 マスク開口部
11−2 マスク部
12 粒子充填部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方の表示画面領域が透明な、2枚の基板を対向配置した基板間を隔壁で仕切って形成した各セル内に、表示媒体とする粒子群を配置し、該粒子群に電界を付与して基板間を移動させて情報を表示する情報表示用パネル製造時の粒子配置方法であって、
前記セルの開口に対応した位置にマスク開口部が形成されたマスク上に前記粒子群を置き、粒子充填部材を前記マスクに押し当てながら移動させることによって、前記粒子群を前記マスク上で移動させる間に、前記粒子群を前記マスク開口部を介して基板上のセル内に配置するに際し、
前記マスクとして、前記粒子群を充填する各々のセルの開口に対応した位置に複数個のマスク開口部を有し、前記複数個のマスク開口部相互間における、マスク開口部の端部間距離が35μm以上であるマスクを用いる、情報表示用パネル製造時の粒子配置方法。
【請求項2】
前記マスクを基板の隔壁上に配置した状態で、前記隔壁の高さをd1とし、前記隔壁に最も近接するマスク開口部の端部から前記隔壁内面までの距離をd2としたとき、d1とd2が次式:
d2≧d1
の関係を満足する、請求項1に記載の情報表示用パネル製造時の粒子配置方法。
【請求項3】
前記マスクのマスク開口部に内接する最大円の直径をDとし、充填する粒子群の平均粒子径をDaveとしたとき、DとDaveが次式:
7≧D/Dave≧2
の関係を満足する、請求項1または2に記載の情報表示用パネル製造時の粒子配置方法。
【請求項4】
前記充填する粒子群の平均粒子径Daveが、1μm〜20μmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報表示用パネル製造時の粒子配置方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−103561(P2012−103561A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253052(P2010−253052)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】