説明

情報表示装置

【課題】 不特定多数の人が見るための大型ディスプレイの表示画面の一部の領域に、不特定多数の人には見られたくない個人向け情報を、秘匿性を確保しつつ、表示する。
【解決手段】 情報表示システム1000は、特定人が個人向けコンテンツをみるために、表示部100の表示画面上に、視野角を制限するためのフィルタ104を設置したときに、その設置領域を検出し、表示画面上において、フィルタ104が設置されていない領域を表示領域R1として設定するとともに、フィルタ104が設置されている領域を表示領域R2として設定する。そして、表示領域R1に、一般向けコンテンツを表示し、表示領域R2に、個人向けコンテンツを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報表示装置に関し、詳しくは、不特定多数人が見るための情報表示装置の表示画面の一部の領域に、特定の個人向けの情報を表示する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、銀行などの公共機関には、いわゆる大型ディスプレイが設置され、各種情報を表示することによって、種々の宣伝が行われている。そして、その表示内容に関心を持った個人は、さらに詳細な情報を得るために、パンフレットを取り寄せたり、インターネットを用いて知りたい情報を検索したりしていた。しかし、これらの作業を煩わしく思う場合があった。
【0003】
大型ディスプレイの表示画面の一部の領域に、詳細情報も表示できるようにすれば、上述した煩わしさを解消し、大型ディスプレイの利便性を向上させることができる。しかし、詳細情報には、他人には見られたくない情報や、個人情報(以下、これらの情報を個人向け情報と呼ぶ)が含まれる場合がある。このため、単純に、大型ディスプレイの表示画面の一部の領域に、個人向け情報も表示できるようにするだけでは、個人情報の漏洩を招くおそれがある。
【0004】
一方、2枚の偏光板を用いたり、液晶シャッタ付きメガネを用いたりして、特定人にしか表示画面に表示された表示内容が視認できないディスプレイが提案されている(下記特許文献1、特許文献2参照)
【0005】
【特許文献1】特開2001−222004号公報
【特許文献2】特開2000−310965号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献に記載された技術では、特定人がディスプレイを専有することになるので、不特定多数の人に表示内容を見せるための大型ディスプレイに、上記特許文献に記載された技術を適用することは不適切である。また、大型ディスプレイと、個人向け情報を表示するための上記特許文献に記載されたディスプレイとを併設することも可能ではあるが、この場合には、システムの大型化を招き、ディスプレイの設置スペースを広くしなければならなくなる。
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、不特定多数の人が見るための大型ディスプレイの表示画面の一部の領域に、不特定多数の人には見られたくない個人向け情報を、秘匿性を確保しつつ、表示する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明では、所定の情報を表示する情報表示装置に、以下の構成を採用した。すなわち、本発明の第1の情報表示装置は、前記情報を表示画面上に表示するための表示部と、前記表示画面上の一部に設置され、視野角を制限するための所定のフィルタと、前記表示部を制御する表示制御部と、を備え、前記表示制御部は、前記表示画面上において、前記フィルタが設置されていない領域を、第1の表示領域として設定するとともに、前記フィルタが設置されている領域を、第2の表示領域として設定し、前記第1の表示領域に、不特定多数人向けの情報を表示しつつ、前記第2の表示領域に、特定人向けの情報を表示するように、前記表示部を制御することを要旨とする。
【0009】
こうすることによって、第1の表示領域には、不特定多数人がその表示内容を視認できるように不特定多数人向けの情報を表示しつつ、第2の表示領域に表示された特定人向けの情報を、フィルタのほぼ正面にいる特定人にしか視認できないようにすることができる。つまり、本発明によって、不特定多数の人が見るためのディスプレイの表示画面の一部の領域に、不特定多数の人には見られたくない個人向け情報を、秘匿性を確保しつつ、表示することができる。
【0010】
上記情報表示装置において、前記フィルタは、前記表示画面上の所定の位置に固定されているようにしてもよい。
【0011】
こうすることによって、フィルタの設置位置は予め既知であるため、フィルタの設置位置を検出するまでもなく、第1の表示領域、および、第2の表示領域の設定を、予め行っておくことができる。
【0012】
また、本発明の第1の情報表示装置において、前記フィルタは、前記表示画面上の任意の位置に着脱自在に設置可能であり、前記情報表示装置は、さらに、前記フィルタが前記表示画面上に設置されたときに、該設置された領域を検出するための検出部を備え、前記表示制御部は、前記検出された領域を、前記第2の表示領域として設定するようにしてもよい。
【0013】
こうすることによって、特定人は、表示画面上の任意の位置にフィルタを設置して、第2の表示領域に表示された個人向け情報を見ることができる。
【0014】
上記情報表示装置において、前記表示画面上に前記フィルタが複数設置されたときに、前記表示制御部は、前記複数のフィルタのそれぞれに対応して、複数の前記第2の表示領域を設定するとともに、前記検出部は、前記複数のフィルタ間の距離を検出し、前記表示制御部は、前記検出された複数のフィルタ間の距離のうち、第1のフィルタと第2のフィルタとの間の距離が所定値以下のときに、前記第1のフィルタ、および、前記第2のフィルタのそれぞれに対応する前記第2の表示領域のうちの少なくとも1つについて、前記特定人向けの情報の表示を禁止するようにしてもよい。
【0015】
表示画面上に複数のフィルタが設置された場合、複数のフィルタ間の距離が近すぎると、フィルタによって視野角を制限しても、各フィルタを設置した複数の特定人の間で、第2の表示領域に表示された表示内容が互いに視認できてしまう。本発明によって、この不具合を回避することができる。
【0016】
また、上記検出部を備える情報表示装置において、前記表示画面上に前記フィルタが複数設置されたときに、前記表示制御部は、前記複数のフィルタのそれぞれに対応して、複数の前記第2の表示領域を設定するとともに、前記検出部は、前記複数のフィルタ間の距離を検出し、前記表示制御部は、前記検出された複数のフィルタ間の距離のうち、第1のフィルタと第2のフィルタとの間の距離が所定値以下のときに、前記第1のフィルタ、および、第2のフィルタのそれぞれに対応する前記第2の表示領域のうちの少なくとも1つに、前記特定人向けの情報が他人に見られるおそれがある旨の警告情報を表示するようにしてもよい。
【0017】
こうすることによって、表示画面上に複数のフィルタが設置され、複数のフィルタ間の距離が近すぎる場合に、各フィルタを設置した特定人のうちの少なくとも一方は、第2の表示領域に表示された表示内容が他人に見られるおそれがあることを認識することができる。
【0018】
本発明の第2の情報表示装置は、前記情報を表示画面上に表示するための表示部と、前記表示画面の前面の少なくとも一部に設置され、前記表示画面の少なくとも一部の領域の視野角を制御可能なフィルタ装置と、前記フィルタ装置を制御するフィルタ制御部と、前記表示部を制御する表示制御部と、を備え、前記表示制御部は、前記フィルタ装置が設置されている前記表示画面上において、所定領域を設定し、前記表示画面上において、前記設定された所定領域以外の領域を、第1の表示領域として設定するとともに、前記設定された所定領域を、第2の表示領域として設定し、前記第1の表示領域に、不特定多数人向けの情報を表示しつつ、前記第2の表示領域に、特定人向けの情報を表示するように、前記表示部を制御し、前記フィルタ制御部は、前記第2の表示領域に表示された表示内容を、前記特定人のみが視認可能なように、前記第2の表示領域の視野角が狭くなるように、前記フィルタ装置を制御することを要旨とする。
【0019】
フィルタ装置としては、例えば、視野角を制御可能な透過型の液晶パネルが挙げられる。
【0020】
本発明によって、先に説明した本発明の第1の情報表示装置と同様に、第1の表示領域には、不特定多数人がその表示内容を視認できるように不特定多数人向けの情報を表示しつつ、第2の表示領域に表示された特定人向けの情報を、第2の表示領域のほぼ正面にいる特定人にしか視認できないようにすることができる。つまり、本発明によって、不特定多数の人が見るためのディスプレイの画面の一部の領域に、不特定多数の人には見られたくない個人向け情報を、秘匿性を確保しつつ、表示することができる。
【0021】
上記情報表示装置において、さらに、前記フィルタ装置が設置されている前記表示画面上において、前記特定人によって位置が指定されたときに、該指定された位置を検出するための検出部を備え、前記表示制御部は、前記検出された位置に基づいて、前記所定領域を設定するようにしてもよい。
【0022】
本発明において、フィルタ装置は、表示画面の全面に設置されているようにすることが好ましい。こうすることによって、特定人は、表示画面上の任意の位置を指定して、第2の表示領域に表示された個人向け情報を見ることができる。
【0023】
上述したいずれかの情報表示装置において、さらに、前記特定人を識別するための識別情報を入力する識別情報入力部を備え、前記表示制御部は、前記第2の表示領域に、前記特定人向けの情報として、前記入力された識別情報に対応する個別情報を表示するようにしてもよい。
【0024】
本発明では、識別情報、および、個別情報は、所定の記憶装置に記憶され、管理される。そして、識別情報と、個別情報とは、関連付けられている。情報表示装置は、識別情報入力部に入力された識別情報に基づいて、識別情報に対応する個別情報を上記記憶装置から読み出し、表示する。
【0025】
本発明によって、情報表示装置は、各特定人用に用意された個別情報を提供できるので、情報表示装置の利便性を向上させることができる。
【0026】
本発明は、上述した種々の特徴を必ずしも全て備えている必要はなく、その一部を省略したり、適宜、組み合わせたりして構成することができる。本発明は、上述の情報表示装置としての構成の他、情報表示方法の発明として構成することもできる。また、これらを実現するコンピュータプログラム、およびそのプログラムを記録した記録媒体、そのプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号など種々の態様で実現することが可能である。なお、それぞれの態様において、先に示した種々の付加的要素を適用することが可能である。
【0027】
本発明をコンピュータプログラムまたはそのプログラムを記録した記録媒体等として構成する場合には、情報表示装置の動作を制御するプログラム全体として構成するものとしてもよいし、本発明の機能を果たす部分のみを構成するものとしてもよい。また、記録媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、DVD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置などコンピュータが読み取り可能な種々の媒体を利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
A1.情報表示システムの構成:
A2.個人向けコンテンツ表示処理:
A3.個人向けコンテンツ表示禁止処理:
B.第2実施例:
B1.情報表示システムの構成:
B2.個人向けコンテンツの表示領域の設定方法:
C.変形例:
【0029】
A.第1実施例:
A1.情報表示システムの構成:
図1は、本発明の第1実施例の情報表示システム1000の概略構成を示す説明図である。この情報表示システム1000は、通常時には、表示部の表示画面全面に不特定多数人向けの情報(一般向けコンテンツ)を表示し、個人向けの情報(個人向けコンテンツ)を見ようとした特定人が、表示部の表示画面に後述するフィルタ104を設置したときには、フィルタ104が設置された領域に個人向けコンテンツを表示するシステムである。本実施例では、情報表示システム1000が、銀行の店内に設置されている場合を例に説明する。
【0030】
情報表示システム1000は、表示部100と、表示部100の表示画面の前面に設置された圧力検出装置102と、フィルタ104と、ICカード読み取り装置106と、CPU110と、表示制御部120と、フィルタ設置領域検出部130と、ICカード読み取り制御部140と、一般向けコンテンツデータベース150と、ホストコンピュータ200が備える記憶装置に記憶された個人情報管理データベース210、および、個人向けコンテンツデータベース220を備えている。一般向けコンテンツデータベース150は、ホストコンピュータ200が備える記憶装置に記憶されているものとしてもよい。
【0031】
本実施例では、フィルタ104は、表示部100の表示画面上、すなわち、圧力検出装置102の表面に着脱自在に設置可能であるものとした。このフィルタ104は、圧力検出装置102の表面に設置したときに、フィルタ104のほぼ正面に位置する特定人のみが、表示部100の表示画面におけるフィルタ104が設置されている表示領域に表示された表示内容を視認可能なように、視野角を制限するためのフィルタである。フィルタ104は、矩形形状を有しており、圧力検出装置102の表面に当接する側の面の四隅に、4つの突起部105a〜105dを備えている。なお、フィルタ104の形状は、矩形形状に限らず、他の形状であってもよい。また、突起部の数も4つに限られない。
【0032】
CPU110は、情報表示システム1000の各部の制御を行う。フィルタ設置領域検出部130は、フィルタ104が、圧力検出装置102の表面に設置されたときに、圧力検出装置102を制御して、フィルタ104の各突起部105a〜105dが当接している点A〜点Dに対応する表示部100の表示画面上の各座標値を検出し、フィルタ104が設置されている表示画面上の領域を特定する。
【0033】
ICカード読み取り制御部140は、ICカード読み取り装置106にICカードが挿入されたときに、ICカード読み取り装置106を制御して、ICカードに記憶されている個人識別IDを読み取る。
【0034】
表示制御部120は、通常時には、一般向けコンテンツデータベース150から読み出された「資産運用情報」や、「貸付情報」等の一般向けコンテンツを、表示部100の表示画面全面に表示するように、表示部100を制御する。また、表示制御部120は、圧力検出装置102の表面にフィルタ104が設置されたときには、フィルタ設置領域検出部130によって特定された領域を、個人向けコンテンツを表示するための表示領域R2として設定するとともに、表示領域R2以外の領域を、一般向けコンテンツを表示するための表示領域R1として設定する。そして、表示制御部120は、表示領域R2に個人向けコンテンツデータベース220から読み出された個人向けコンテンツを表示するとともに、表示領域R1に一般向けコンテンツを表示するように、表示部100を制御する。本実施例では、フィルタ104が設置された表示領域R2には、後述するように、ICカード読み取り制御部140によって読み取られた個人識別IDに対応する個人向けコンテンツを表示するものとした。
【0035】
図2は、個人情報管理データベース210、および、個人向けコンテンツデータベース220の内容の一例を示す説明図である。図2(a)に、個人情報管理データベース210の内容の一例を示し、図2(b)に、個人向けコンテンツデータベース220の内容の一例を示した。
【0036】
図2(a)に示すように、個人情報管理データベース210には、個人識別IDや、氏名や、住所や、口座残高等が対応付けて記録されている。また、図2(b)に示すように、個人向けコンテンツデータベース220には、表示部100の表示画面に表示中の一般向けコンテンツの内容ごとに、口座残高の範囲と、表示すべきコンテンツ名と、そのファイル名とが対応付けて記録されている。
【0037】
例えば、表示部100の表示画面に表示中の一般向けコンテンツの内容が「資産運用情報」であり、ICカード読み取り制御部140によって読み取られた個人識別IDが「12345678」であるものとする。この場合、個人情報管理データベース210を参照することによって、個人識別ID「12345678」に対応する「日立太郎」の口座残高は「50万円」であることが分かる。口座残高「50万円」は、個人向けコンテンツデータベース220において、口座残高の範囲「20万円以上100万円未満」に該当する。したがって、CPU110は、個人向けコンテンツデータベース220から、「外貨預金情報」のファイル「Gaika.swf」を読み出し、表示制御部120は、表示部100の表示画面の表示領域R2に、「Gaika.swf」の内容を表示する。
【0038】
A2.個人向けコンテンツ表示処理:
図3は、個人向けコンテンツ表示処理の流れを示すフローチャートである。表示部100の表示画面に一般向けコンテンツが表示している。そして、特定人が、個人向けコンテンツを見るための、表示部100の表示画面上、すなわち、圧力検出装置102の表面にフィルタ104を設置する。すると、CPU110が、この個人向けコンテンツ表示処理を開始する。
【0039】
まず、CPU110は、フィルタ設置領域検出部130によって、フィルタ104の設置領域を検出する(ステップS100)。
【0040】
次に、CPU110は、表示制御部120によって、ステップS100において検出されたフィルタ104の設置領域を、個人向けコンテンツを表示するための表示領域R2として設定する(ステップS110)。このとき、CPU110は、表示領域R2以外の領域を表示領域R1として設定する。
【0041】
次に、CPU110は、表示制御部120によって、フィルタ104を設置した特定人に対して、ICカード読み取り装置106にICカードを挿入するように指示するメッセージを、表示領域R2に表示する(ステップS120)。
【0042】
次に、CPU110は、ICカード読み取り装置106にICカードが挿入されたか否かを判断する(ステップS130)。
【0043】
ICカード読み取り装置106にICカードが挿入されると(ステップS130:YES)、CPU110は、ICカード読み取り制御部140によって、ICカードから個人識別IDを取得する(ステップS140)。そして、CPU110は、ステップS140において取得した個人識別IDに対応する個人向けコンテンツを、個人向けコンテンツデータベース220から取得し(ステップS150)、その個人向けコンテンツを表示制御部120によって表示領域R2に表示する(ステップS160)。このとき、表示領域R1には、一般向けコンテンツが表示されている。
【0044】
なお、上述した各処理の途中で、フィルタ104が表示部100の表示画面から外された場合には、CPU110は、個人向けコンテンツ表示処理を終了する。
【0045】
A3.個人向けコンテンツ表示禁止処理:
図4は、個人向けコンテンツ表示禁止処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、ある特定人が表示部100の表示画面上、すなわち、圧力検出装置102の表面にフィルタ104を設置し、個人向けコンテンツを見ているときに、さらに、他の特定人によって他のフィルタ104が設置されたときに、CPU110が実行する処理である。
【0046】
まず、CPU110は、フィルタ設置領域検出部130によって、新たに設置されたフィルタ104の設置領域を検出する(ステップS200)。
【0047】
次に、CPU110は、表示制御部120によって、ステップS200において検出されたフィルタ104の設置領域を、個人向けコンテンツを表示するための表示領域R2として設定する(ステップS210)。
【0048】
次に、CPU110は、フィルタ設置領域検出部130によって、すでに設置されているフィルタ104と、新たに設置されたフィルタ104との距離Lを検出する(ステップS220)。本実施例では、フィルタ104間の距離Lとして、最近接距離を検出するものとした。
【0049】
次に、CPU110は、ステップS220において検出された距離Lが、閾値Lth以下であるか否かを判断する(ステップS230)。
【0050】
CPU110は、ステップS220において検出された距離Lが閾値Lthよりも大きい場合には(ステップS230:NO)、図3に示したステップS120に進む。一方、ステップS220において検出された距離Lが閾値Lth以下である場合には(ステップS230:YES)、CPU110は、表示制御部120によって、新たに設置されたフィルタ104に対応する表示領域R2に、個人向けコンテンツが他人に見られるおそれがある旨の警告情報を表示し(ステップS240)、個人向けコンテンツの表示を禁止する(ステップS250)。そして、個人向けコンテンツ表示禁止処理を終了する。
【0051】
表示部100の表示画面上に複数のフィルタ104が設置された場合に、複数のフィルタ104間の距離が近すぎることによって、フィルタ104によって視野角を制限しても、各フィルタ104を設置した複数の特定人の間で、表示領域R2に表示された表示内容が互いに視認できてしまう。上述した個人向けコンテンツ表示禁止処理によって、この不具合を回避することができる。
【0052】
以上説明した第1実施例の情報表示システム1000によれば、表示領域R1には、不特定多数人がその表示内容を視認できるように不特定多数人向けの情報を表示しつつ、表示領域R2に表示された特定人向けの情報を、フィルタ104のほぼ正面にいる特定人にしか視認できないようにすることができる。つまり、不特定多数の人が見るための表示部100の表示画面の一部の領域に、不特定多数の人には見られたくない個人向け情報を、秘匿性を確保しつつ、表示することができる。
【0053】
B.第2実施例:
B1.情報表示装置の構成:
図5は、本発明の第2実施例の情報表示システム1000Aの概略構成を示す説明図である。第2実施例の情報表示システム1000Aは、第1実施例の情報表示システム1000におけるフィルタ104の代わりに、表示部100と、圧力検出装置102との間に設置され、視野角を制御可能な透過型の液晶パネル103と、液晶パネル103の駆動を制御する液晶パネル制御部134とを備えている。本実施例では、液晶パネル103は、表示部100の表示画面の全面に設置されているものとした。
【0054】
液晶パネル制御部134は、表示部100の表示画面上において、後述するように、表示領域R2が設定されたときに、表示領域R2のほぼ正面に位置する特定人のみが表示領域R2に表示された表示内容を視認可能なように、表示領域R2の視野角が狭くなるように、液晶パネル103の駆動を制御する。
【0055】
また、第2実施例の情報表示システム1000Aは、第1実施例の情報表示システム1000におけるフィルタ設置領域検出部130の代わりに、指定位置検出部132を備えている。この指定位置検出部132は、表示部100の表示画面上、すなわち、圧力検出装置102の表面において、特定人によって、指やペンを用いて指定された位置を検出する。表示制御部120は、この指定された位置に基づいて、個人向けコンテンツを表示するための表示領域R2、および、一般向けコンテンツを表示するための表示領域R1の設定を行う。他の構成は、第1実施例の情報表示システム1000と同じである。また、個人向けコンテンツ表示処理や、個人向けコンテンツ表示禁止処理も、表示領域R1、および、表示領域R2の設定方法以外は、第1実施例と同様である。
【0056】
B2.個人向けコンテンツの表示領域の設定方法:
図6は、個人向けコンテンツの表示領域R2の設定方法の一例を示す説明図である。
【0057】
図6(a)に示した例では、特定人は、表示部100の表示画面上において、点P0を指で押す。そして、指定位置検出部132は、点P0の座標値を検出し、表示制御部120は、点P0を含む所定の矩形領域を、表示領域R2として設定する。
【0058】
また、図6(b)に示した例では、特定人は、表示部100の表示画面上において、点P1を指で押し、そのまま点P2まで移動させ、点P2で指を離す。そして、指定位置検出部132は、点P1、および、点P2の座標値を検出し、表示制御部120は、点P1、および、点P2を端点とする線分を対角線とする矩形領域を、表示領域R2として設定する。
【0059】
また、図6(c)に示した例では、特定人は、表示部100の表示画面上において、点P3を指で押し、さらに、点P4を指で押す。そして、指定位置検出部132は、点P3、および、点P4の座標値を検出し、表示制御部120は、点P3、および、点P4を端点とする線分を対角線とする矩形領域を、表示領域R2として設定する。
【0060】
なお、ここでは、表示領域R2の形状は、矩形形状であるものとしたが、これに限られず、他の形状であってもよい。
【0061】
以上説明した第2実施例の情報表示システム1000Aによっても、先に説明した第1実施例の情報表示システム1000と同様に、表示領域R1には、不特定多数人がその表示内容を視認できるように不特定多数人向けの情報を表示しつつ、表示領域R2に表示された特定人向けの情報を、フィルタ104のほぼ正面にいる特定人にしか視認できないようにすることができる。つまり、不特定多数の人が見るための表示部100の表示画面の一部の領域に、不特定多数の人には見られたくない個人向け情報を、秘匿性を確保しつつ、表示することができる。
【0062】
C.変形例:
以上、本発明のいくつかの実施の形態について説明したが、本発明はこのような実施の形態になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様での実施が可能である。例えば、以下のような変形例が可能である。
【0063】
C1.変形例1:
上記第1実施例では、フィルタ104は、表示部100の表示画面上に着脱自在に設置可能であるものとしたが、表示部100の表示画面上に予め固定されているようにしてもよい。こうすることによって、フィルタ104の設置位置は予め既知であるため、圧力検出装置102、および、フィルタ設置領域検出部130は不要となる。また、表示領域R1、および、表示領域R2の設定を、予め行っておくことができる。ただし、上記第1実施例の情報表示システム1000によれば、特定人は、表示部100の表示画面上の任意の位置にフィルタ104を設置して、表示領域R2に表示された個人向け情報を見ることができるという利点がある。
【0064】
C2.変形例2:
上記第1実施例では、個人向けコンテンツ表示禁止処理のステップS250において、表示領域R2への個人向けコンテンツの表示を禁止するものとしたが、このステップS250を省略してもよい。ステップS240において表示された警告情報によって、新たにフィルタ104を設置した特定人は、表示領域R2に表示される表示内容が他人に見られるおそれがあることを認識することができるからである。
【0065】
C3.変形例3:
上記第1実施例では、個人向けコンテンツ表示禁止処理において、新たにフィルタ104を設置した特定人用の表示領域R2についてのみ、個人向けコンテンツの表示を禁止するものとしたが、先にフィルタ104を設置した特定人用の表示領域R2についても、個人向けコンテンツの表示を禁止するようにしてもよい。ステップS240における警告情報の表示についても同様である。
【0066】
C4.変形例4:
上記第1実施例では、フィルタ104が備える4つの突起部105a〜105dを用いてフィルタ104の設置領域を検出するものとしたが、これに限られない。例えば、フィルタ104の四隅に、突起部105a〜105dの代わりに、4つのICチップを備えるようにし、圧力検出装置102の代わりに、ICチップを検出する検出装置を備えるようにしてもよい。こうすることによっても、上記第1実施例と同様に、表示部100の表示画面上にフィルタ104が設置されたときに、フィルタ104の設置領域を検出することができる。
【0067】
C5.変形例5:
上記第2実施例では、液晶パネル103は、表示部100の表示画面の全面に設置されているものとしたが、これに限られない。例えば、表示領域R2として設定するサイズの液晶パネル103が、表示部100の表示画面上の一部に、予め固定されているようにしてもよい。こうすることによって、液晶パネル103の設置位置は予め既知であるため、圧力検出装置102、および、指定位置検出部132は不要となる。また、表示領域R1、および、表示領域R2の設定を、予め行っておくことができる。ただし、上記第2実施例の情報表示システム1000Aによれば、特定人は、表示部100の表示画面上の任意の位置を指定して、この指定位置に基づいて設定された表示領域R2に表示された個人向け情報を見ることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】第1実施例の情報表示システム1000の概略構成を示す説明図である。
【図2】個人情報管理データベース210、および、個人向けコンテンツデータベース220の内容の一例を示す説明図である。
【図3】個人向け情報表示処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】個人向けコンテンツ表示禁止処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】第2実施例の情報表示システム1000Aの概略構成を示す説明図である。
【図6】個人向けコンテンツの表示領域R2の設定方法の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0069】
1000、1000A...情報表示システム
100...表示部
102...圧力検出装置
103...液晶パネル
104...フィルタ
105a〜105d...突起部
106...ICカード読み取り装置
110...CPU
120...表示制御部
130...フィルタ設置領域検出部
132...指定位置検出部
134...液晶パネル制御部
140...ICカード読み取り制御部
150...一般向けコンテンツデータベース
200...ホストコンピュータ
210...個人情報管理データベース
220...個人向けコンテンツデータベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の情報を表示する情報表示装置であって、
前記情報を表示画面上に表示するための表示部と、
前記表示画面上の一部に設置され、視野角を制限するための所定のフィルタと、
前記表示部を制御する表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、
前記表示画面上において、前記フィルタが設置されていない領域を、第1の表示領域として設定するとともに、前記フィルタが設置されている領域を、第2の表示領域として設定し、
前記第1の表示領域に、不特定多数人向けの情報を表示しつつ、前記第2の表示領域に、特定人向けの情報を表示するように、前記表示部を制御する、
情報表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の情報表示装置であって、
前記フィルタは、前記表示画面上の所定の位置に固定されている、
情報表示装置。
【請求項3】
請求項1記載の情報表示装置であって、
前記フィルタは、前記表示画面上の任意の位置に着脱自在に設置可能であり、
前記情報表示装置は、さらに、前記フィルタが前記表示画面上に設置されたときに、該設置された領域を検出するための検出部を備え、
前記表示制御部は、前記検出された領域を、前記第2の表示領域として設定する、
情報表示装置。
【請求項4】
請求項3記載の情報表示装置であって、
前記表示画面上に前記フィルタが複数設置されたときに、前記表示制御部は、前記複数のフィルタのそれぞれに対応して、複数の前記第2の表示領域を設定するとともに、前記検出部は、前記複数のフィルタ間の距離を検出し、
前記表示制御部は、前記検出された複数のフィルタ間の距離のうち、第1のフィルタと第2のフィルタとの間の距離が所定値以下のときに、前記第1のフィルタ、および、前記第2のフィルタのそれぞれに対応する前記第2の表示領域のうちの少なくとも1つについて、前記特定人向けの情報の表示を禁止する、
情報表示装置。
【請求項5】
請求項3記載の情報表示装置であって、
前記表示画面上に前記フィルタが複数設置されたときに、前記表示制御部は、前記複数のフィルタのそれぞれに対応して、複数の前記第2の表示領域を設定するとともに、前記検出部は、前記複数のフィルタ間の距離を検出し、
前記表示制御部は、前記検出された複数のフィルタ間の距離のうち、第1のフィルタと第2のフィルタとの間の距離が所定値以下のときに、前記第1のフィルタ、および、第2のフィルタのそれぞれに対応する前記第2の表示領域のうちの少なくとも1つに、前記特定人向けの情報が他人に見られるおそれがある旨の警告情報を表示する、
情報表示装置。
【請求項6】
所定の情報を表示する情報表示装置であって、
前記情報を表示画面上に表示するための表示部と、
前記表示画面の前面の少なくとも一部に設置され、前記表示画面の少なくとも一部の領域の視野角を制御可能なフィルタ装置と、
前記フィルタ装置を制御するフィルタ制御部と、
前記表示部を制御する表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、
前記フィルタ装置が設置されている前記表示画面上において、所定領域を設定し、
前記表示画面上において、前記設定された所定領域以外の領域を、第1の表示領域として設定するとともに、前記設定された所定領域を、第2の表示領域として設定し、
前記第1の表示領域に、不特定多数人向けの情報を表示しつつ、前記第2の表示領域に、特定人向けの情報を表示するように、前記表示部を制御し、
前記フィルタ制御部は、
前記第2の表示領域に表示された表示内容を、前記特定人のみが視認可能なように、前記第2の表示領域の視野角が狭くなるように、前記フィルタ装置を制御する、
情報表示装置。
【請求項7】
請求項6記載の情報表示装置であって、さらに、
前記フィルタ装置が設置されている前記表示画面上において、前記特定人によって位置が指定されたときに、該指定された位置を検出するための検出部を備え、
前記表示制御部は、前記検出された位置に基づいて、前記所定領域を設定する、
情報表示装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の情報表示装置であって、さらに、
前記特定人を識別するための識別情報を入力する識別情報入力部を備え、
前記表示制御部は、前記第2の表示領域に、前記特定人向けの情報として、前記入力された識別情報に対応する個別情報を表示する、
情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−162929(P2006−162929A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−353680(P2004−353680)
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】