説明

情報表示装置

【課題】文字等の形状を崩すことなく昼間と夜間に判読しやすい文字表示を行う情報表示装置を提供する。
【解決手段】ドットマトリクス状に配置されたLEDを選択的に発光させて文字や数字などの情報を表示する屋外設置用の情報表示装置を、昼間は発光する前記LEDの数を多くして該文字を太字で表示させ、夜間は発光する前記LEDの数を少なくして該文字を細字で表示させる。昼間に発光するLEDの数を多くして文字を太字に表示させることで、太陽光によって周囲が明るい状況でより強い光で文字を表示するため、表示した文字を判読しやすくなる。また、夜間に発光する前記LEDの数を少なくして文字を細字で表示するので、文字を形成する発光LEDの間の消灯LEDの部分が大きくなる。このため、前記消灯LEDの部分が、昼間でも視認しやすい強い光で発光している発光LEDの光の中に紛れることがなく視認でき、文字の形状がより判読しやすくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路周辺に設置され、発光により道路利用者に情報を伝達する情報表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LEDなどの発光体を文字の形やドットマトリックス状に配置した情報表示装置は一般的に用いられており、これに関する発明も種々のものが開示されている。
【0003】
例えば特許文献1には、屋外用の表示装置において、必要とする視認距離に対する空間周波数が50cpd以下の線幅と線間からなる文字フォントを記憶し、該文字フォントを用いて昼間時の表示を行うことを特徴とする文字表示方法と、必要とする視認距離に対する空間周波数が40cpd以下の線幅と線間からなる文字フォントを記憶し、該文字フォントを用いて夜間時の表示を行うことを特徴とする文字表示方法が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−279586号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1の如き情報表示装置は、昼間と夜間に表示する文字フォントを判読し易くするために、文字フォントの線幅と線間を昼間表示用を50cpd以下にし、夜間表示用を40cpd以下にするので、一部の文字等については前記の基準を満たすためにその形状をデフォルメさせた文字体にして表示させるようになされている。このため、正確な文字形状とは異なる崩れた文字体が表示されることにより、視認する者に混乱や疑問を抱かせるという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、文字等の形状を崩すことなく昼間と夜間に判読しやすい文字表示を行う情報表示装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。
すなわち本発明に係る情報表示装置は、ドットマトリクス状に配置されたLEDを有し、該LEDを選択的に発光させて文字や数字などの情報を表示する屋外設置用の情報表示装置であって、文字や数字の表示において、昼間は発光する前記LEDの数を多くして該文字を太字で表示し、夜間は発光する前記LEDの数を少なくして該文字を細字で表示することを特徴としている。
【0008】
本発明に係る情報表示装置によれば、昼間に発光するLEDの数を多くして文字を太字に表示するので、太陽光によって周囲が明るい状況でより強い光で文字を表示するため、表示した文字を判読しやすくなる。また、夜間に発光する前記LEDの数を少なくして該文字を細字で表示するので、該文字を形成する発光LEDの間の消灯LEDの部分が大きくなる。このため、前記消灯LEDの部分が、昼間でも視認しやすい強い光で発光している発光LEDの光の中に紛れることがなく視認でき、文字の形状がより判読しやすくなる。また、昼間と夜間の表示する文字をそれぞれ太字と細字にするので、文字の形状が崩れることがなく、ドライバーなどに正確に情報を伝達することができる。また、夜間に発光する前記LEDの数を少なくして該文字を表示するので、より小さな消費電力で情報を表示することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る情報表示装置によれば、昼間と夜間に判読しやすい文字表示を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
図1は本発明に係る情報表示装置の実施の一形態を示す斜視図であり、図2は本発明に係る情報表示装置の表示する文字の実施の一形態を示した図である。
【0011】
図面において1は情報表示装置の本体である。本体1は周囲にアルミニウム製の押出形材からなる左右縦枠体11及び上下横枠体12が枠組みされて枠体が形成されている。本体1の前面側と背面側には、それぞれポリカーボネート板で形成した保護カバー2と、塗装したアルミ板で形成した背面板が取り付けられており、本体1を中空の箱体に形成している。この本体1の内部には配線基板31にドットマトリクス状にLED3を配置して文字や記号などの情報を発光表示可能としており、この表示する情報を保護カバー2を透過させて本体1の外部に発光可能にしている。
【0012】
4は制御ボックスである。制御ボックス4は内装した蓄電池Bに太陽電池5の生起する電力を蓄え、LED3の発光に用いる。また、制御ボックス4は内装した制御部CによってLED3の点灯と消灯を制御し、LED3を表示する文字形状に選択的に点灯させる。
本実施形態ではLED3の発光に太陽電池5が生起する電力を用いているが、商用電源など他の電源を用いてもよい。また、本実施形態では、本体1、制御ボックス4、太陽電池5がそれぞれ同一の支柱6に取り付けられている。
【0013】
図2は、本発明に係る情報表示装置の表示する文字の実施の一形態を示した図であり、縦24個×横24個のドットマトリクス状に配置したLED3を昼間に発光させて、「止」の文字を2列のLED3の発光で表示した図である。配置したLEDを発光させて文字情報などを昼間に表示する場合、太陽光によって情報表示装置の周囲が明るく照らされているので、強い光で表示を行わなければ文字が判読しにくい場合がある。図2に示すように、発光するLED3の数を増やして、表示する文字を太字で発光させることによって出射する光の強さを増加させ、文字を判読しやすくすることができる。
【0014】
また、図3は図2と同じ情報表示装置において「止」の文字をLED3の発光数を減少させ1列のLED3の発光で表示した図である。昼間と異なり夜間は情報表示装置の周囲が暗く、LED3からの発光を紛らわせる光がない。このため、LED3からの光の強さを昼間より小さく調整してもその表示した情報を十分視認することができる。
昼間と夜間ともに情報を発光表示する情報表示装置においては、前記の保護カバーを透過する際の光の減衰の大きさや、ドライバーなどに視認させることを想定した距離の大きさなどから、LED3などの発光体の輝度や発光数を調整して、ドライバーなどが表示した文字などを判読しやすい光の強さとするが、昼に判読しやすい光の強さで夜間に情報表示を行った場合、発光するLED3からの強い光の中に消灯させたLED3の部分が紛れてしまい、表示した文字の形状が判読しにくくなる場合がある。特に発光するLED3が文字の形状を形作る際に、隣り合う光の線分の間に形成される消灯したLED3の範囲が、前記の光の線分をからの光の影響を受けて視認しにくくなる場合があった。
発光するLED3の数を減少させ、表示する文字を細字に形成することで、消灯させるLED3の範囲を大きくして、発光するLED3からの光の中に紛れず、十分視認できるようにすることができる。図2および図3に示す本実施形態では、昼間と夜間にそれぞれ表示する「止」の文字を形づくる線分の隙間の大きさについて、横線の間隔はそれぞれ消灯したLED3の数が11ドットから13ドットに増加するように表示し、縦線の間隔は6ドットから7ドットに増加するように表示させている。このように昼間表示する夜間表示する文字の形状に表示を変更する際に、文字を形作る線分の間隔が大きくなるように表示させれば、隣り合う光の線分からの光の影響が小さくなり、消灯したLED3の部分が紛れて判読しにくくなるという状態を抑制することができる。
また、夜間の文字表示をLED3の発光数を減少させて行うので、発光に伴うエネルギー消費量を小さくすることができるとともに、太陽電池5が発電ができない夜間のエネルギー消費量を小さくすることで夜明け前に蓄電池Bが電池切れになる危険を低減させる。
【0015】
また、図2および図3に示すように、発光して文字を形作るLED3の線分の太さを変化させて光の強さを変更するので、文字の形を大きく崩すことなく発光するLED3の数を変更することができ、正確に情報を発光表示させることができる。また、本実施形態では、昼間2列の太さで表示した文字を夜間1列の太さに減少させているが、昼間3列以上の太さで発光表示させてもよく、夜間も昼間以下の太さであれば1列の太さに限定されるものではない。
【0016】
図4は文字を形作る線分の太さを一つの文字で部分的に異ならせた例を示したものである。詳細には、「止」の文字を形作る線分について、縦方向の線分を2列のLED3を用いた「太線」で表し、横方向の線分を1列のLED3を用いた「細線」で表している。このように一つの文字を異なる太さの線分とすることで、昼間と夜間の情報表示の際に発光させるLED3の数を変更させても良く、昼間に図2の形態で発光させ夜間に図3の形態で発光させてLED3の発光数を減少させてもよく、昼間に図3の形態で発光させ夜間に図4の形態で発光させてLED3の発光数を減少させてもよい。一つの文字を異なる太さの線分を混在させて表す場合、図4に示すように縦方向の線分を横方向の線分よりも太くすることで明朝体のような形状となるので、普段馴染んでいる字体に近い形状とすることで、違和感なく視認した文字を判読させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る情報表示装置の実施の一形態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る情報表示装置の表示する文字の実施の一形態を示した図である。
【図3】本発明に係る情報表示装置の表示する文字の実施の一形態を示した図である。
【図4】本発明に係る情報表示装置の表示する文字の実施の他の一形態を示した図である。
【符号の説明】
【0018】
1 本体
11 上下横枠体
12 左右縦枠体
2 保護カバー
3 LED
31 配線基板
4 制御ボックス
5 太陽電池
6 支柱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドットマトリクス状に配置されたLEDを有し、該LEDを選択的に発光させて文字や数字などの情報を表示する屋外設置用の情報表示装置であって、文字や数字の表示において、昼間は発光する前記LEDの数を多くして該文字を太字で表示し、夜間は発光する前記LEDの数を少なくして該文字を細字で表示することを特徴とする情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−54637(P2010−54637A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−217458(P2008−217458)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】